JP2001131872A - セルロース繊維材料の処理剤、処理浴およびその処理方法 - Google Patents

セルロース繊維材料の処理剤、処理浴およびその処理方法

Info

Publication number
JP2001131872A
JP2001131872A JP30267299A JP30267299A JP2001131872A JP 2001131872 A JP2001131872 A JP 2001131872A JP 30267299 A JP30267299 A JP 30267299A JP 30267299 A JP30267299 A JP 30267299A JP 2001131872 A JP2001131872 A JP 2001131872A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber material
cellulose fiber
acid
treating
cellulose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30267299A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Kako
邦夫 加古
Akira Saito
旭 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KOIZUMI KAGAKU KK
Chiyoda Shoji Co Ltd
Original Assignee
KOIZUMI KAGAKU KK
Chiyoda Shoji Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KOIZUMI KAGAKU KK, Chiyoda Shoji Co Ltd filed Critical KOIZUMI KAGAKU KK
Priority to JP30267299A priority Critical patent/JP2001131872A/ja
Publication of JP2001131872A publication Critical patent/JP2001131872A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホルマリンを全く含まない形態安定加工と抗
菌制菌の効果を併せもつセルロース繊維材料の処理剤お
よびその処理方法を提供する。 【解決手段】 キトサン、奇数のカルボキシル基を有す
るポリカルボン酸(A)、偶数のカルボキシル基を有す
るポリカルボン酸(B)および下記の一般式(I)で示
される水溶性のリンのオキソ酸ホスホニウム塩を有効成
分として含有するセルロース繊維材料の処理剤。該処理
剤の水溶液にセルロース繊維材料を浸漬処理する第1工
程、次いで処理されたセルロース繊維材料を脱水後加熱
してキュアリング処理する第2工程からなるセルロース
繊維材料の処理方法。 【化1】 (R1:炭素数2〜10のヒドロキシルアルキル基、
2,R3:炭素数2〜10のアルキル基又はヒドロキシ
ルアルキル基、X:リンのオキソ酸イオン)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセルロース繊維材料
の処理剤、処理浴およびその処理方法に関し、特にホル
マリンを含まない形態安定加工、変色防止および抗菌制
菌性に優れたセルロース繊維材料の処理剤、処理浴およ
びその処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維材料は、材質の如何にかかわ
らず、防縮、防しわ等の形態安定性、耳巻き防止、形く
ずれ防止、ひだつけ加工、硬化仕上げ、弾力性改善、腰
改善、風合い改良などの目的でセット又はセッティング
と称される形態固定加工が実施されている。(「染色工
業」41,195〜214頁,1993年)
【0003】防縮、防しわ等の形態安定性を目的とする
ウオッシュ アンド ウェアー(以下、w/wと記す)
セット加工は繊維内部の破壊と再結合が効果的に行われ
る必要があり、その手段としては、化学的方法および熱
的方法などの方法がある。
【0004】化学的方法とは、化学薬品を用いて繊維内
部の破壊と再結合を行うものであり、例えば木綿のシル
ケット加工、ポリエステルのフェノール処理、羊毛のジ
サルファイド結合の開裂・再結合によるセットなどが挙
げられる。
【0005】熱的方法は、加熱による繊維内部の結合の
破壊と再結合を行うもので、ポリエステル、ナイロンな
どの合成繊維のセット方法である。
【0006】現在のところ、セルロース繊維のw/wセ
ット加工は、樹脂加工によるものが多く行われている。
樹脂加工は、樹脂をセルロース繊維の非結晶部分に固定
するか、又は架橋結合させる作用機構が主体となってお
り、縮合型とセルロース反応型等の化学的方法がある。
【0007】縮合型は尿素ホルマリン樹脂、メラミン樹
脂などを用いた歴史的な樹脂加工であるが、加工時およ
び加工後のセルロース繊維材料から、発がん物質である
ホルマリンを多量に発生する欠点がある。そのために、
WHOなどから規制が提案されて、高ホルマリン型の樹
脂からジメチロールジハイドロオキシエチレン尿素樹
脂、グリオキザール樹脂などの低ホルマリン型へ関心が
移ってきた。
【0008】低ホルマリン型はホルマリンの発生が少い
というだけで、発生が全くないわけではない。ホルマリ
ンの発がん性が世に知られるにつれて、ノンホルマリン
型のw/wセット加工の研究が進んできた。
【0009】一方、セルロース反応型は、アメリカ合衆
国ではセルロースとの重合架橋方式によるノンホルマリ
ン型w/wセツト加工の研究が早くから行われてきた。
例えば、Southern Rogional Res
earch CenterU.S.Departmen
t of Agriculture(以下、SRRCと
略称する)が主体となって進められてきたポリカルボン
酸を用いてセルロースに重合架橋することで、完全にノ
ンホルマリン型のw/wセット加工を行おうとする方法
がある。
【0010】ポリカルボン酸をセルロースの架橋に用い
る試みの歴史は、AmericanDyestuff
Reporters 52,300〜303頁、(19
63年)に、エステル化触媒を使用しない方法で、ポリ
カルボン酸を用いてセルロースにエステル化架橋するこ
とが発表されたのが最初である。その後、Textil
e Research Journal 34,331
〜336頁(1964年)には、コハク酸などを用いて
溶剤中でエステル化架橋する方法が、同文献35,26
0〜270頁(1965年)には、マロン酸を用いる方
法、同文献37,933〜941頁(1967年)およ
び同文献38,634〜643頁(1968年)には、
SRRCによりポリカルボン酸がセルロースの重合架橋
に有効であることが発表されている。
【0011】また、Textile Chemist
and Colourist 21,13〜17頁(1
989年)には、リンを含む無機酸のアルカリ金属塩を
触媒として用いて、ポリカルボン酸をセルロースに重合
架橋して完全なノンホルマリン型w/wセット加工を行
う方法がSRRCから発表され、特許出願された。(W
O89/12714、公表特許公報平3−50307
2) また、Textile Research Journ
al 62,614〜618頁(1992年)には、マ
レイン酸とイタコン酸を用い、重合架橋の開始剤として
過硫酸カリウムを併用する方法が発表された。それら
は、いずれもリンを含む無機酸のアルカリ土類金属塩を
触媒とするノンホルマリン型の方法である。
【0012】次に、ホスホニウム塩をセルロース繊維の
加工に用いる方法は、最初はCanadian Jou
rnal of Chemistry 41,821〜
825(1963年)の報告に始まる。これらは、セル
ロース繊維の難燃加工に関するもので、アミン類又はア
ンモニアとの反応が難燃ポリマー生成の鍵となるものが
多い。その他、難燃に関する特許も、又、それらの実用
化も数多い。
【0013】難燃加工以外のセルロース繊維への応用例
は、Textile Research Journa
51,529〜537頁(1982年)に、ノルマ
ルメチロールアクリルアマイドを用いてセルロース繊維
をw/wセット加工するときの、フリーラジカル重合の
開始剤として、過硫酸塩に替えてテトラキスヒドロキシ
メチルホスホニウムサルフェート、又はテトラキスヒド
ロキシメチルホスホニウムホスフェートを用いることが
報告されている。この趣旨は、ノルマルメチロールアク
リルアマイドを繊維上で重合せしめるとき、触媒的使用
量の範囲にある極めて少量の(例えば、サルフェートで
0.93%、ホスフェートで0.49%)ホスホニウム
塩を用いることで、水中の溶存酸素による重合障害を防
止して、重合効率を向上せしめ、w/wセット加工効果
を確保することにある。
【0014】また、Textile Research
Journal 35,291〜298頁(1965
年)には、トリスノルマルメチロールカルバモイルエチ
ルホスフィンおよびルイス酸触媒として硝酸亜鉛と塩化
マグネシウムを用いて、木綿繊維に約10%以上吸収せ
しめ、140〜170℃でキュアリングする方法で高度
の防しわ性に加えて中程度の難燃性が得られることが報
告されている。
【0015】更に、本出願人は、セルロースのw/wセ
ット加工に有効な処理剤として、リンのオキソ酸ホスホ
ニウム塩とポリカルボン酸を有効成分として含有するこ
とを特徴とするセルロース繊維材料の処理剤を提案し
た。(特開平7−145561号公報)
【0016】一方、最近において繊維材料の抗菌加工が
注目されている。抗菌加工としては、銀、銅、亜鉛など
を主体とする金属系抗菌剤や有機シリコン系第四級アン
モニウム塩による繊維表面の処理や、キトサン粉末を紡
糸工程で練り込むなどの方法が行われていた。また、ホ
スホニウム塩による抗菌方法としては、特開平6−18
4938号公報、特開平6−304458号公報などが
開示されているが、これらはホスホニウム塩を含有する
オルガノシリコン化合物である。
【0017】一方、セルロース繊維の抗菌加工法とし
て、ポリカルボン酸としてクエン酸またはブタンテトラ
カルボン酸(BTCA)を用いて架橋結合したセルロー
ス繊維へキトサンを固着する方法が、Textile
Research Journal 68,(10),
772〜775頁(1998年)、FIBER(繊維学
会誌)55,(1),42〜47頁(1999年)に報
告されている。しかし、これ等はいずれも、米国特許第
4820307号および、公表特許公報平3−5030
72号に示された方法に基づき、次亜リン酸ソーダを触
媒としてポリカルボン酸をセルロースに架橋せしめると
き、キトサンを併用するものである。キュアリング工程
で、ポリカルボン酸はセルロースに架橋結合するとき、
カルボニル基を形成するが、同時に多数のフリーのカル
ボキシル基も残る。キトサンの反応性に富むアミノ基
は、これらのカルボキシル基と造塩結合して、キトサン
はセルロースに固着することが開示されている。
【0018】また、FIBER(繊維学会誌)54
(8),400〜406頁(1998年)では、紫外線
による光酸化によって、セルロース中にフリーのカルボ
キシル基を生成せしめ、キトサンのアミノ基と造塩結合
させることによって、キトサンがセルロースに固着する
ことが開示されている。この様にキトサンは抗菌作用を
有するために、セルロースに固着することによって、耐
洗濯性に優れた抗菌制菌効果が得られる。
【0019】キトサン又はポリカルボン酸類は抗菌性を
もつことが知られているが、それぞれを単独又は単に混
合した溶液にセルロース繊維材料を浸漬処理しても、水
洗いすれば流出して、抗菌効果は消失する。即ち、セル
ロースに固着されなければ、耐洗濯性のある抗菌制菌効
果は得られない。
【0020】上記のクエン酸、ブタンテトラカルボン酸
等のポリカルボン酸の中で、セルロースへのキトサン固
着能力が最も優れているのはクエン酸である(FIBE
R(繊維学会誌)55,(1),42〜47頁(199
9年))。しかしながら、クエン酸はキュアリング工程
においてセルロースを黄変させる(公表特許公報平3−
503072号公報他参照)ことが最大の欠点となって
いた。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、セルロ
ース繊維のw/wセット加工において、発がん性のホル
マリンの発生をきらって、現実の加工の主流は、低ホル
マリン型へ移行する経過を辿ったが、低ホルマリン型よ
りはノンホルマリン型が求められるのは明らかである。
【0022】低ホルマリン型樹脂加工は、ルイス酸触媒
などを用いて加工することが必要なので、セルロースの
強度低下を招く。これは、セルロース分子の分解による
もので、強度の低下は50%にも及ぶことがある。ま
た、セルロース分子の分解は、強度を低下させるに止ま
らず、繊維を変色させることがある。
【0023】例えば、前述の公表特許公報平3−503
072号公報には、セルロース繊維のw/wセット加工
による黄ばみ、又は変色についての記述がある。具体的
には、180℃,90秒のキュアリングで黄変すること
が記載されている。また、ジメチロールジハイドロオキ
シエチレン尿素によるセルロース繊維のw/wセット加
工方法では、160℃で80秒のキュアリングで、白物
がオフホワイトに変色することが知られている。
【0024】因みに、前述のTextile Rese
arch Journal 62,614〜618頁
(1992年)には、結論(Conclusion)の
記載によれば、前記のノンホルマリン型の方法でw/w
セット加工して得られるセルロース繊維の白度は、ジメ
チロールジハイドロオキシエチレン尿素でw/wセット
加工して得られるのと同等である旨の記載がある。
【0025】防縮、防しわ等による形態安定性の他に耳
巻き防止、形くずれ防止,ひだつけ,硬仕上げ,弾力性
改善,腰改善,風合い改善などがw/wセット加工の一
般的目的であるが、発がん性につながるホルマリンを全
く無くすこと、加工後の強度の保持、変色防止が重要な
課題となっている。さらに、繊維材料の抗菌加工が注目
されていることから、耐洗濯性に優れた抗菌制菌性を合
わせ持つことが重要な課題となっている。
【0026】本発明の目的は、上記の従来の課題を解決
するためになされたものであり、w/wセット加工時に
おいてホルマリンを放出する物質を使用することなく、
又加工後のセルロース繊維材料中にホルマリンを全く含
まないw/wセット加工、即ちノンホルマリン型加工が
可能で、加工後のセルロース繊維材料の強度の保持、変
色防止および耐洗濯性に優れた抗菌制菌性を与えること
ができるセルロース繊維材料の処理剤およびその処理方
法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、キトサ
ン、奇数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸
(A)、偶数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸
(B)および水溶性のリンのオキソ酸ホスホニウム塩を
有効成分として含有することを特徴とするセルロース繊
維材料の処理剤である。
【0028】また、本発明は、前記セルロース繊維材料
の処理剤を有効成分として含有する水溶液からなるセル
ロース繊維材料の処理浴である。
【0029】さらに、本発明は、前記セルロース繊維材
料の処理剤の水溶液にセルロース繊維材料を浸漬処理す
る第1工程、次いで処理されたセルロース繊維材料を脱
水後加熱してキユアリング処理する第2工程からなるこ
とを特徴とするセルロース繊維材料の処理方法である。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のセルロース繊維材料の処理剤は、キトサン、奇
数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸(A)、偶
数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸(B)およ
び水溶性のリンのオキソ酸ホスホニウム塩を有効成分と
して含有することを特徴とする。
【0031】本発明のセルロース繊維材料の処理剤に含
有されるキトサンは、カニやエビ等の甲殻類や昆虫類の
外骨組成として自然界に存在するキチンをアルカリ処理
し、更に脱アセチル化して得られた多糖類で、グルコサ
ミン(2−アミノ−D−グルコース)を構成成分とする
天然物である。このキトサンは、市販されているものを
用いることができる。本発明においては、キトサンをセ
ルロース繊維に固着させることにより、耐洗濯性に優れ
た抗菌制菌作用を付与することができる。
【0032】次に、本発明のセルロース繊維材料の処理
剤には、カルボキシル基を2箇以上含むポリカルボン酸
が含有され、且つ該ポリカルボン酸として、奇数のカル
ボキシル基を有するポリカルボン酸(A)および偶数の
カルボキシル基を有するポリカルボン酸(B)の2種類
を併用することを特徴とする。
【0033】奇数のカルボキシル基を有するポリカルボ
ン酸(A)の具体例を示すと、トリカルボン酸として、
1,2,3−プロパントリカルボン酸、クエン酸、アコ
ニット酸、ニトリロトリ酢酸、1,2,3−ベンゼント
リカルボン酸、トリメリット酸が挙げられる。これらの
ポリカルボン酸(A)の中で、構造中に水酸基を有する
クエン酸(OH基=1個)が好ましい。また、これらの
ポリカルボン酸(A)は一種でも、又は二種以上の組み
合わせで用いてもよい。
【0034】偶数のカルボキシル基を有するポリカルボ
ン酸(B)の具体例を示すと、ジカルボン酸としては、
リンゴ酸(マリック酸)、酒石酸、マロン酸、イタコン
酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フタール酸、
イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。テトラカル
ボン酸としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボ
ン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、1,2,3,4−
シクロペンタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、
3,3′,3,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン
酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸が挙
げられる。ヘキサカルボン酸としては、メリット酸が挙
げられる。これらのポリカルボン酸(B)の中で、構造
中に水酸基を有するリンゴ酸(OH基=1個)、酒石酸
(OH基=2個)が好ましい。また、これらのポリカル
ボン酸(B)は一種でも、又は二種以上の組み合わせで
用いてもよい。
【0035】本発明のセルロース繊維材料の処理剤に含
有される水溶性のリンのオキソ酸ホスホニウム塩は、具
体的には、次の一般式(I)
【0036】
【化2】 (式中、R1は炭素原子数2〜10のヒドロキシルアル
キル基、R2,R3は炭素原子数2〜10のアルキル基又
はヒドロキシルアルキル基、Xはリンのオキソ酸イオン
を表わす)で示される化合物が好ましい。
【0037】上記一般式(I)において、R1は炭素原
子数2〜10、好ましくは2〜8のヒドロキシルアルキ
ル基を示す。その具体例としては、ヒドロキシエチル
基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒド
ロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシ
オクチル基などが挙げられる。
【0038】また、R2,R3は炭素原子数2〜10、好
ましくは2〜8のアルキル基又はヒドロキシルアルキル
基を示す。その具体例としては、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基な
どのアルキル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロ
ピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、
ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシオクチル基などのヒ
ドロキシルアルキル基が挙げられる。
【0039】上記一般式(I)において、Xはリンのオ
キソ酸イオンを表わし、その具体例としては、次亜リン
酸イオン,亜リン酸イオン,正リン酸イオン,ピロリン
酸イオン,ポリリン酸イオン,ヒドロキシエチリデンジ
ホスホン酸イオン、アミノトリスメチレンホスホン酸イ
オン、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸イオ
ンなどが挙げられる。
【0040】また、上記一般式(I)の化合物は次の
(2)式で表わされるヒドロキシアルキルホスフィン
【0041】
【化3】 (式中、R1,R2およびR3は上記と同義である)とリ
ンのオキソ酸との反応によって得られ、これは恰もアン
モニアとリンのオキソ酸との反応によって得られるアン
モニウム塩と類似している。
【0042】なお、この場合、上記(2)式のヒドロキ
シアルキルホスフィンは必要に応じ誘導体であるエチレ
ンオキシドやプロピレンオキシドの如きアルキレンオキ
シドの付加物(付加モル数としては1〜5の範囲のも
の)であってもよい。従って、本発明における水溶性の
リンのオキソ酸ホスホニウム塩としては、上記に挙げた
ほかに他のものとしてアルキレン付加物も含みうる。
【0043】また、上記一般式(I)に係る化合物の上
記反応から言えば、(2)式で表わされるヒドロキシア
ルキルホスフィンは、特にトリスヒドロキシエチルホス
フィン、トリスヒドロキシプロピルホスフィン、トリス
ヒドロキシブチルホスフィン等が好ましい。
【0044】このように一般式(I)に係る化合物は、
酸と塩基の反応生成物であるが、その量的関係は必ずし
も量論的関係にある正塩でなくてもよく、ホスホニウム
イオン又は/及び(2)式のヒドロキシアルキルホスフ
ィンあるいはリンのオキソ酸イオンが少過剰の弱塩基性
塩または弱酸性塩であってもよい。
【0045】なお、一般式(I)で表わされる水溶性の
リンのオキソ酸ホスホニウム塩の好ましい例を挙げる
と、トリスヒドロキシプロピルホスホニウムホスフィネ
ート、トリスヒドロキシブチルホスホニウムホスフィネ
ート、トリスヒドロキシエチルホスホニウムプロピルア
シドホスフェート、トリスヒドロキシエチルホスホニウ
ムホスファイト等が挙げられる。
【0046】なお、上記の水溶性のリンのオキソ酸ホス
ホニウム塩には、本出願人が既に提案した特開平7−1
45561号公報に開示されている、セルロースのw/
wセット加工に有効な処理剤としてのリンのオキソ酸ホ
スホニウム塩と同様のものを用いることができる。
【0047】本発明の処理浴は、上記のセルロース繊維
材料の処理剤を有効成分として溶解させて含有する水溶
液からなる。
【0048】次に、本発明のセルロース繊維材料の処理
剤の水溶液に含有されるキトサンの濃度は、加工後の繊
維に求められる諸機能、例えば抗菌制菌、防しわ性など
の程度によって定められるが、一般的には処理繊維重量
に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜
2重量%の範囲であり、0.01重量%未満では抗菌制
菌効果が乏しく、10重量%を越えると風合も損ね、又
不経済で好ましくない。
【0049】本発明のセルロース繊維材料の処理剤に係
る浸漬液に含有されるポリカルボン酸は、奇数のカルボ
キシル基を有するポリカルボン酸(A)と偶数のカルボ
キシル基を有するポリカルボン酸(B)を同時に併用
し、かつリンのオキソ酸ホスホニウム塩を用いることに
より、それ等が相乗してポリカルボン酸(A),(B)
とセルロース繊維との固着、およびセルロース繊維とキ
トサンとの固着効果を顕著に高めることができる。ポリ
カルボン酸(A)およびポリカルボン酸(B)の濃度
は、使用するポリカルボン酸の溶解度および加工後の繊
維に求められる諸機能、例えば防縮性,防しわ性,耐磨
耗性、腰弾力性,強度、抗菌制菌性などの程度によって
定められるが、一般的には処理繊維重量に対してポリカ
ルボン酸(A)は0.5〜25重量%、好ましくは3〜
15重量%の範囲であり、ポリカルボン酸(B)は0.
5〜25重量%、好ましくは3〜15重量%の範囲であ
る。
【0050】また、処理剤の水溶液に含有される水溶性
のリンのオキソ酸ホスホニウム塩は、ポリカルボン酸
(A)および(B)とセルロース繊維との重合架橋によ
る固着、およびポリカルボン酸(A)および(B)によ
るセルロース繊維とキトサンとの固着の触媒作用、セル
ロース繊維と処理剤のキユアリング処理による着色防止
作用を行ない、その濃度は、加工後の繊維に求められる
諸機能の程度によって定められるが、一般的には処理繊
維重量に対して1〜25重量%、好ましくは3〜13重
量%の範囲である。1重量%未満では重合架橋、固着効
果に乏しく、25重量%を越えると風合いを損い変色も
著しく、また不経済となるので好ましくない。
【0051】また、本発明のセルロース繊維材料の処理
剤に係る浸漬液には、上記の有効成分以外に助剤を用い
ることができる。助剤には、例えば処理繊維中に、処理
浴中の薬品類を充分吸収せしめる目的で、浸透剤を使用
することもできる。浸透剤はアニオン系又は非イオン系
の界面活性剤が好ましい。更にセルロース繊維材料は、
衣料用などでは、柔軟な肌ざわりが好まれることが多い
ので処理浴中に柔軟剤を使用しても差し支えない。柔軟
剤には非イオン性ポリエチレン系又はシリコン系の柔軟
剤などが好ましい。
【0052】さらに、加工を施した後のセルロース繊維
の染色性及び/又は機能性を向上させる目的で、本発明
の処理剤の水溶液中に、トリエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、モノエタノールアミン、アミン(ヒドロ
キシメチル)アミノメタンおよびこれらの塩酸塩、ヒド
ロキシアルキルアミン、4級アンモニウム塩などの含窒
素化合物および/又はグリセロール、エチレングリコー
ル、ポリエチレングリコールなどのグリコール類などを
用いることもできる。
【0053】これらの助剤は、界面活性剤、含窒素化合
物、グリコール類および柔軟剤から選ばれた1種又は2
種以上の組み合わせで用いられる。
【0054】また、これらの助剤の添加量は、使用する
薬剤の種類と物性、繊維の用途等によって異なるが、処
理繊維重量に対して柔軟剤では0.5〜3重量%、界面
活性剤では当初の浸漬液(建浴)濃度で0.5〜2g/
lおよび含窒素化合物とグリコール類は1〜10重量
%、好ましくは2〜6重量%の範囲が好ましい。
【0055】本発明の処理剤で処理されるセルロース繊
維材料は、特に制限することなく一般のものを用いるこ
とができるが、例えばアンモニア法マーセライズ加工済
木綿、苛性ソーダ法マーセライズ加工済木綿、未処理木
綿、苛性ソーダ法マーセライズ加工済麻、未処理麻、ス
テープルファイバー(スフ),キュープラ,ポリノジッ
ク,ビスコースレーヨン等のレイヨン、テンセル、ポリ
エステル木綿混合繊維,木綿−レーヨン混合繊維,木綿
−麻混合繊維等の混合繊維、その他のセルロース系に属
する材料の一種又は二種以上の組み合わせからなるセル
ロース繊維を20%以上含む繊維材料である。
【0056】また、セルロース繊維材料の形態は特に制
限することなく、例えば織物、編物、不織布,ファイバ
ー,リンター,スライバー,ペーパーなどが挙げられる
が、これらの形態に制限されるものではない。
【0057】次に、本発明の上記の処理剤を用いてセル
ロース繊維材料を処理する方法について説明する。
【0058】本発明のセルロース繊維材料の処理方法
は、基本的には前記セルロース繊維材料の処理剤の水溶
液にセルロース繊維材料を浸漬処理する第1工程、次い
で処理されたセルロース繊維材料を脱水後加熱してキユ
アリング処理する第2工程からなる。
【0059】具体的な処理方法としては、先ず、本発明
の処理に先立ち、セルロース繊維材料を精練糊抜きす
る。加工用薬品を均一、且つ速やかにセルロース繊維中
に吸収せしめる目的である。精練糊抜きは、一般に慣例
的に行われている方法で行えばよい。
【0060】精練糊抜きしたセルロース繊維材料を処理
剤の処理浴に浸漬する。その後、マングル絞りなどによ
って平均に脱水する。処理液を繊維中に充分に浸み込ま
せるために、要すれば、2回以上浸漬と脱水をくり返
す。
【0061】処理液が繊維中に充分吸収された後、絞り
機などで脱水する。しぼり率(脱水後の繊維重量と、処
理浴に浸漬前の繊維重量に基き、繊維中に持ち込まれた
処理液の重量を%で表わす。キャリーオーバー重量%で
ある。Wet Pick・up%ともいう)は繊維中の
薬品附着量を定める目的で、処理浴の濃度に基いて30
%〜200%とする。繊維への薬品附着率は、再現性の
ある一定範囲に保つのが好ましい。
【0062】更に、80〜110℃で乾燥して繊維材料
を無水化せしめる。必要に応じて、この乾燥は省略して
も差し支えない。次に、必要量の処理剤を吸収した繊維
を加熱してキュアリングする。加熱方法は、連続法、バ
ッチ法、タンブル法(バッチ法)等を用いることができ
るが、それらの方法に特に限定されるものではない。
【0063】キュアリングの温度と時間は、加工の目的
によって定められる。一般に温度は120℃〜240
℃、好ましくは160〜200℃で、時間は10秒〜6
00秒、好ましくは60秒〜120秒である。
【0064】一般に、加熱温度が高い程時間は短く、加
熱温度が低い程時間は長くする関係にある。又、加熱温
度が高く時間が長い程、変色の機会は大きくなる。キュ
アリング終了後、必要に応じて未反応物質および処理剤
を繊維から除去する目的で、温水又は冷水で繊維を洗滌
する。その後、乾燥して加工処理を終了する。
【0065】本発明に係るセルロース繊維材料の処理剤
のセルロース繊維に対する作用機構の詳細は明らかでな
い。しかしながら、該処理剤の処理液にセルロース繊維
を浸漬処理して薬剤を担持せしめ、次いで加熱してキュ
アリング処理を施すと、処理繊維を充分な温水洗を施し
た後の計量で得られる重量が未処理繊維(本発明に係る
w/wセット加工および抗菌制菌の未処理繊維)と比較
して相当増加することから、処理剤がセルロースと反応
していることが明らかである。
【0066】本発明においては、処理剤の処理浴中に、
触媒として水溶性のリンのオキソ酸ホスホニウム塩の存
在下にポリカルボン酸(A)および(B)とキトサンを
有効成分として加えることによって、ひきつづいて行わ
れる加熱キュアリング工程において、ポリカルボン酸
(A)と(B)との結合、ポリカルボン酸とセルロース
の水酸基の間にエステル結合が生ずると同時に、ポリカ
ルボン酸とキトサンの水酸基との間にエステル結合が発
生し、さらに、ポリカルボン酸のフリーのカルボキシル
基は、キトサンのアミノ基とアミド結合をして造塩結合
する。上記の反応において、ホスホニウム塩は該反応触
媒として作用するものと推定される。さらに、ホスホニ
ウム塩は単なる触媒作用に止まらず、ポリカルボン酸と
相互に作用し合って、ホスホニウム塩とポリカルボン酸
とによるエステル結合が生じているものと思われる。
【0067】例えば、ポリカルボン酸(A)および
(B)としてクエン酸およびリンゴ酸を用いた場合につ
いて下記の反応式により簡単に説明する。処理剤の処理
浴中に浸漬したセルロース繊維材料を約180℃にキュ
アリングすると、リンゴ酸が脱水してカルボニル基化
し、クエン酸と反応して1個のカルボキシル基が離れた
テトラカルボン酸を生成する。なお、リンゴ酸とクエン
酸が逆の場合の反応も起こる。該テトラカルボン酸のカ
ルボニル基は触媒として水溶性のリンのオキソ酸ホスホ
ニウム塩の存在下にセルロースの水酸基と反応して1個
のカルボキシル基を生成してセルロースに固着する。同
様に、テトラカルボン酸の2個のカルボキシル基はカル
ボニル基を形成し、またカルボキシル基単独でリンのオ
キソ酸ホスホニウム塩の存在下にセルロースの水酸基、
キトサンの水酸基およびアミノ基と反応して、ポリカル
ボン酸を介してセルロースにキトサンを固着するものと
推測される。
【0068】
【化4】
【0069】本発明においては、ポリカルボン酸は、上
記の様に2種の異なるポリカルボン酸の組み合わせで使
用することで、好結果が得られる。使用するポリカルボ
ン酸の組み合わせとしては、大別して下記の組み合わせ
が好ましい。 (1)奇数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸
(A)および偶数のカルボキシル基を有するポリカルボ
ン酸(B)の組み合わせ。 (2)ポリカルボン酸(A)および(B)の少なくとも
一方が水酸基を有するポリカルボン酸(A)および
(B)の組み合わせ。
【0070】例えば、水酸基を有しないポリカルボン酸
(A)および(B)同志の組み合わせとしては、カルボ
キシル基が奇数箇と偶数箇の場合、1,2,3−プロパ
ントリカルボン酸とマレイン酸が例として挙げられる。
【0071】又、いずれも水酸基を有するポリカルボン
酸同志の組み合わせとしては、奇数箇と偶数箇のカルボ
キシル基を有するポリカルボン酸(A)および(B)の
組み合わせとして、カルボキシル基3箇のクエン酸(水
酸基=1個)とカルボキシル基2箇のリンゴ酸(水酸基
=1個)の組み合わせが例として挙げられる。
【0072】又、組み合わせの一方のみが水酸基を有す
るポリカルボン酸の組み合わせとしては、奇数箇と偶数
箇のカルボキシル基を有するポリカルボン酸(A)およ
び(B)の組み合わせとして、カルボキシル基3箇で水
酸基を有しない、1,2,3−プロパントリカルボン酸
とカルボキシル基2箇で水酸基2箇を有する酒石酸の組
み合わせが例として挙げられる。又、同様にして、カル
ボキシル基3箇のクエン酸(水酸基=1個)と1,2,
3,4−ブタンテトラカルボンの組み合わせなどが例と
して挙げられる。
【0073】本発明では、これらのポリカルボン酸の組
み合わせの内、水酸基を有するポリカルボン酸を含む場
合、最も顕著に好ましい結果を得ることができる。具体
的には、リンのオキソ酸ホスホニウム塩を触媒として用
いないで、従来技術で行なわれていた様に、水酸基を有
するポリカルボン酸のクエン酸を単独で用いると、キュ
アリングによりセルロースに激しい黄変をもたらすとい
う欠点があった。又、キトサンを併用すると、セルロー
スの黄変は更に激しくなる傾向が認められた。
【0074】しかしながら、本発明におけるリンのオキ
ソ酸ホスホニウム塩を触媒として使用し、また少なくと
も一方に水酸基を有するポリカルボン酸(A)および
(B)を用いて、しかもキトサンを併用しても肉眼では
全く分別し難い程ほとんど黄変のないセルロース製品を
得ることができる。しかも、その製品は防縮性、防しわ
性、寸法安定性などのw/wセット加工性、強度におい
て優れ、更に加えて、抗菌制菌効果も併せ得ることがで
きる。
【0075】つまり、リンのオキソ酸ホスホニウム塩と
ポリカルボン酸(A)および(B)とキトサンの相乗効
果は著しく、ノンホルマリンw/wセット加工効果に加
えて、キトサンとの強固な造塩結合(アミド結合)によ
って、耐洗濯制に優れた抗菌制菌の効果が得られる。
【0076】尚、キトサンは水に難溶性であるため、一
般に酢酸などのカルボン酸類を用いて予め溶解すること
が行われる。FIBER,55,(1),42〜47頁
(1999年)に示されるごとく、予め酢酸溶液中にキ
トサンを溶解しておき使用しても差し支えない。以下の
実施例では、ポリカルボン酸を用いるので、酢酸で予め
溶解する操作は必要がなかった。
【0077】
【実施例】以下に実施例および参考例を挙げて本発明を
具体的に説明する。
【0078】実施例1 ホスホニウム塩として下記の構造式で示されるトリスヒ
ドロキシプロピルホスホニウムホスフィネート1モルに
対して、水酸基を1個、カルボキシル基を3個有するク
エン酸2.79モル、および水酸基を1個、カルボキシ
ル基を2個有するリンゴ酸(マリック酸)4.36モル
の割合、即ち処理繊維重量に対して、ホスホニウム塩を
2.40重量%(owf)、クエン酸を5.00重量%
(owf)、リンゴ酸を5.00重量%(owf)、さ
らにキトサン(甲陽ケミカル社製、食品添加物)を0.
32重量%(owf)、ポリエチレン系柔軟剤(スミテ
ックスソフナーL、住友化学社製)を1.00重量%
(owf)、非イオン浸透剤(テスポール300、一方
社油脂工業社製)を0.1重量%(owf)の割合で担
持される様に、それらを温水に溶解して処理液を調製し
た。浴温は35℃に保った。
【0079】
【化5】
【0080】次に、セルロース繊維試料に、精練糊抜き
済、アンモニア法マーセライズ加工済の紳士用ワイシャ
ツ用織地(縦32cm、横23cm)9gを用いて下記
の処理操作を行った。
【0081】上記の処理浴の浴温を35℃に保ちなが
ら、この浴液270g中にセルロース繊維試料9gを5
分間浸漬した。浴比は30:1である。マングルしぼり
機(ニューマチックマングル、型式NM−450)で、
しぼり率60%(owf)に脱水した。吸収を均一化さ
せる目的で同じ浸漬脱水操作をもう一度くり返した。し
ぼり率60%(owf)は、マングルしぼり機による脱
水後の繊維重量が14.4gである。
【0082】次に、自動温度調節機能を有するオーブン
コントローラー(E&M OVEN CONTROL
LER 6070、SE−60−3S)を用いて脱水後
のセルロース繊維試料を100℃で10分間乾燥した。
その後、180℃で120秒間キュアリングした。その
後、炭酸ソーダ0.5g/l、浴比300:1、浴温6
0℃で10分間中和操作した。
【0083】未反応物質及び余剰の試薬類を除去するた
めに、浴温を50℃に保った温水浴中で浴比300:1
で、キュアリングおよび中和済のセルロース繊維試料を
10分間洗浄した。その後、浴比300:1、常温、5
分間の水洗を2回行なった後、タンブル乾燥機を用いて
乾燥した。
【0084】実施例2 ホスホニウム塩として、トリスヒドロキシプロピルホス
ホニウムホスフィネート1モルに対して、下記に示す水
酸基を有せずカルボキシル基を3個有する1,2,3−
プロパントリカルボン酸3.4モル、および水酸基を2
個有しカルボキシル基を2個有する酒石酸3.8モルの
割合、即ち処理繊維重量に対して、ホスホニウム塩を
2.40重量%(owf)、1,2,3−プロパントリ
カルボン酸を5.00重量%(owf)、酒石酸を5.
00重量%(owf)使用する以外は実施例1と同様に
処理浴を調製した。
【0085】この処理浴を用いた以外は実施例1と同様
の操作を行い、セルロース繊維試料の処理を行った。
【0086】
【化6】
【0087】参考例1 ホスホニウム塩として、トリスヒドロキシプロピルホス
ホニウムホスフィネート1モルに対して、クエン酸5.
58モルの割合、即ち、処理繊維重量に対して、ホスホ
ニウム塩が2.40重量%(owf)、クエン酸が1
0.00重量%(owf)使用する以外は実施例1と同
様に処理浴を調製した。
【0088】この処理浴を用いた以外は実施例1と同様
の操作を行い、セルロース繊維試料の処理を行った。
【0089】比較例1 実施例1に用いたのと同じ織地(但し、縦16.5c
m、横8cm、重量1.6g)を用い、トリスヒドロキ
シプロピルホスホニウムホスフィネート2.4重量%
(owf)の代りにリン酸二水素一ナトリウム(無水)
(NaH2 PO4 )4.0重量%(owf)を用いる以
外は、実施例1と同じ薬品を同じ割合で用いて処理浴を
調製した。この処理浴を用いて、しぼりに手まわししぼ
り機、乾燥とキュアリングに電気マッフルを用いた以外
は実施例1と同じ処理操作を行った。
【0090】比較例2 比較例1に用いたリン酸二水素一ナトリウム(無水)
4.0重量%(owf)の代わりに、次亜リン酸ソーダ
・1水塩(NaH2 PO2 ・H2 O)4.0重量%(o
wf)を用いる以外は、すべて比較例1と同じく処理操
作を行った。
【0091】測定結果 (1)測色およびハンター白色度 参考例1、実施例1〜2および比較例1,2で得られた
精練済、アンモニア法マーセライズ加工済の紳士用ワイ
シャツ用織地のセルロース繊維試料を、測色色差計ND
−101DP型(日本電色工業(株)製)を用いて、そ
のL値、a値、b値を測定し、ハンター白色度(W)を
求めた。その結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】(注)W値:ハンター白色度である。10
0を完全な白として、明度、彩度、色相の三要素を基に
色を立体的に表わした数値。値が100に近い程完全な
白に近いことを意味する。
【0094】a値:+値が大きい程、赤味が強く、値が
小さい程赤味が減少する。 −値が大きい程、緑味が強く、値が小さい程緑味が減少
する。 b値:+値が大きい程、黄味が強く、値が小さい程黄味
が減少する。 −値が大きい程、青味が強く、値が小さい程青味が減少
する。 2.0以下は肉眼で判別しにくい。 L値:「明度」を示し、数値が大きい程明るい。 視覚的には、L値が大きく、b値が小さい程白く感じる
ことになる。
【0095】表1に示されているように各実施例は本発
明に係るw/wセット加工未処理試料に比べてL値、W
値が大きく、b値が小さい。これは実施例で用いられた
トリスヒドロキシプロピルホスホニウム塩の漂白黄変防
止作用の結果であると考えられる。本発明による効果が
明確に認められる。
【0096】(2)w/wセット加工性 参考例1および実施例1,2で得られたセルロース繊維
試料および未処理試料のw/wセット加工性を、JIS
L−0217、103法により測定した。その結果を
表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】(注)表中のw/wセット加工性は、数値
の値が3.5以上あれば通常市販されている製品として
問題がない。
【0099】(3)引き裂き強度 参考例1および実施例1,2で得られたセルロース繊維
試料および未処理試料の引き裂き強度を、JIS L−
1096 D法により測定した。その結果を表3に示
す。
【0100】
【表3】
【0101】(注)表中の引き裂き強度は、数値の値が
7.0N以上あれば通常市販されている製品として問題
がない。
【0102】(4)防しわ性 参考例1および実施例1,2で得られたセルロース繊維
試料および未処理試料の防しわ性を、JIS L−10
59 B法により測定した。その結果を表4に示す。
【0103】
【表4】
【0104】(注)表中の防しわ性は、数値の値が概ね
60%以上あれば通常市販されている製品として問題が
ない。
【0105】(5)収縮率 参考例1および実施例1,2で得られたセルロース繊維
試料および未処理試料の収縮率を、JIS L−109
6 G法により測定した。その結果を表5に示す。
【0106】
【表5】
【0107】(6)抗菌制菌性 参考例1および実施例1,2で得られたセルロース繊維
試料および未処理試料の抗菌制菌性を、繊維製品新機能
評価協議会(JAFET:JapaneseAssoc
iation for the Function E
valuation of Textiles)で定め
るSEK 統一試験法(定量法)により測定した。その
結果を表6に示す。
【0108】
【表6】
【0109】(注1)試験菌には、黄色ブドウ球菌(S
taphylococcus aureus ATCC
6538P)を用いた。
【0110】(注2)logAは、処理剤で処理した処
理試料(原布試料)に菌液を接種した直後、分散回収し
た生菌数を対数値に換算した数値を示す。logBは、
未処理試料に接種した菌液を18時間培養後、分散回収
した生菌数を対数値に換算した数値を示す。logC
は、処理剤で処理した処理試料(原布試料)に接種した
菌液を18時間培養後、分散回収した生菌数を対数値に
換算した数値を示す。静菌活性値=logB−logC
は、増殖しようとする菌を抑制する作用を示す。(未処
理試料Bに対する処理試料Cの生菌数の差) 殺菌活性値=logA−logCは、菌の発育を阻止す
る作用を示す。(接種菌数Aに対する処理試料Cの生菌
数の差)
【0111】表6の結果から、従来キトサンを用いたセ
ルロース繊維の抗菌制菌にポリカルボン酸の中でクエン
酸が最も優れているとされていたが、本発明の処理剤の
偶数と奇数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸
(B)および(A)を併用することにより、抗菌制菌効
果がクエン酸単独で用いるよりも優れることが認められ
る。また、実施例1のようにポリカルボン酸(B)およ
び(A)が共に水酸基を有するものを用いると、抗菌制
菌効果が更に優れることが認められる。
【0112】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明のセルロース
繊維材料の処理剤、処理浴およびそれを用いた処理方法
によれば、w/wセット加工時においてホルマリンを放
出する物質を使用することなく、又加工後のセルロース
繊維材料中に、ホルマリンを全く含まないw/wセット
加工と抗菌制菌の効果を併せ持ち、変色防止、加工後の
セルロース繊維材料の強度を保持することができる効果
が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L033 AB01 AC01 AC10 AC15 BA18 BA36 BA37 BA39

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キトサン、奇数のカルボキシル基を有す
    るポリカルボン酸(A)、偶数のカルボキシル基を有す
    るポリカルボン酸(B)および水溶性のリンのオキソ酸
    ホスホニウム塩を有効成分として含有することを特徴と
    するセルロース繊維材料の処理剤。
  2. 【請求項2】 処理繊維重量に対し、キトサン0.01
    〜10重量%、奇数のカルボキシル基を有するポリカル
    ボン酸(A)0.5〜25重量%、偶数のカルボキシル
    基を有するポリカルボン酸(B)0.5〜25重量%お
    よび水溶性のリンのオキソ酸ホスホニウム塩1〜25重
    量%を含有する請求項1記載のセルロース繊維材料の処
    理剤。
  3. 【請求項3】 前記水溶性のリンのオキソ酸ホスホニウ
    ム塩は次の一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素原子数2〜10のヒドロキシルアル
    キル基、R2,R3は炭素原子数2〜10のアルキル基又
    はヒドロキシルアルキル基、Xはリンのオキソ酸イオン
    を表わす)で示される請求項1または2記載のセルロー
    ス繊維材料の処理剤。
  4. 【請求項4】 前記奇数のカルボキシル基を有するポリ
    カルボン酸(A)および偶数のカルボキシル基を有する
    ポリカルボン酸(B)の少なくとも一方が構造中に水酸
    基を有する請求項1または2記載のセルロース繊維材料
    の処理剤。
  5. 【請求項5】 界面活性剤、含窒素化合物、グリコール
    類および柔軟剤から選ばれた1種又は2種以上の助剤を
    含有する請求項1乃至4のいずれかの項に記載のセルロ
    ース繊維材料の処理剤。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載のセル
    ロース繊維材料の処理剤を有効成分として含有する水溶
    液からなるセルロース繊維材料の処理浴。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれかに記載のセル
    ロース繊維材料の処理剤の水溶液にセルロース繊維材料
    を浸漬処理する第1工程、次いで処理されたセルロース
    繊維材料を脱水後加熱してキユアリング処理する第2工
    程からなることを特徴とするセルロース繊維材料の処理
    方法。
JP30267299A 1999-10-25 1999-10-25 セルロース繊維材料の処理剤、処理浴およびその処理方法 Pending JP2001131872A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30267299A JP2001131872A (ja) 1999-10-25 1999-10-25 セルロース繊維材料の処理剤、処理浴およびその処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30267299A JP2001131872A (ja) 1999-10-25 1999-10-25 セルロース繊維材料の処理剤、処理浴およびその処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001131872A true JP2001131872A (ja) 2001-05-15

Family

ID=17911806

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30267299A Pending JP2001131872A (ja) 1999-10-25 1999-10-25 セルロース繊維材料の処理剤、処理浴およびその処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001131872A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005009041A (ja) * 2003-06-20 2005-01-13 Sanyo Chem Ind Ltd ポリエステル系合成繊維用難燃剤
JP2008516102A (ja) * 2004-10-08 2008-05-15 ショート,ダン,シー. イオン化高機能生地
JP2013112903A (ja) * 2011-11-25 2013-06-10 Komatsu Seiren Co Ltd 抗菌性繊維構造物およびその製造方法
JP2016519728A (ja) * 2013-04-18 2016-07-07 カネパ,エリザベッタ 製織機能への適合性を有する糸の製造方法
US10174443B2 (en) 2011-10-19 2019-01-08 Canepa S.P.A. Process for improving weavability of a yarn
EP4107191A4 (en) * 2020-02-17 2023-10-25 Essity Hygiene and Health Aktiebolag LAYERED FIBROUS PRODUCT

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005009041A (ja) * 2003-06-20 2005-01-13 Sanyo Chem Ind Ltd ポリエステル系合成繊維用難燃剤
JP2008516102A (ja) * 2004-10-08 2008-05-15 ショート,ダン,シー. イオン化高機能生地
US10174443B2 (en) 2011-10-19 2019-01-08 Canepa S.P.A. Process for improving weavability of a yarn
JP2013112903A (ja) * 2011-11-25 2013-06-10 Komatsu Seiren Co Ltd 抗菌性繊維構造物およびその製造方法
JP2016519728A (ja) * 2013-04-18 2016-07-07 カネパ,エリザベッタ 製織機能への適合性を有する糸の製造方法
EP4107191A4 (en) * 2020-02-17 2023-10-25 Essity Hygiene and Health Aktiebolag LAYERED FIBROUS PRODUCT

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1331826C (en) Catalysts and processes for formaldehyde-free durable press finishing of cotton textiles with polycarboxylic acids
US5695528A (en) Treating agent for cellulosic textile material and process for treating cellulosic textile material
EP0354648A2 (en) Process for the formaldehyde-free durable press finishing of cotton textiles with polycarboxylic acids
JP2001278716A (ja) 繊維用抗菌剤及び抗菌性繊維製品
US6585780B2 (en) Crosslinking agents for textile finishing baths and process for using same
PT1957705E (pt) Processo para o acabamento de têxteis
JP4495457B2 (ja) セルロース繊維を防炎加工する方法
JP2001131872A (ja) セルロース繊維材料の処理剤、処理浴およびその処理方法
JP5135120B2 (ja) セルロース系繊維材料の改質加工法
AU656527B2 (en) A method for the treatment of wool
JP2010031434A5 (ja)
US20030226212A1 (en) Textile mill applications of cellulosic based polymers to provide appearance and integrity benefits to fabrics during laundering and in-wear
US5527362A (en) Alkyl polyglycosides in textile scour/bleach processing
US4458080A (en) Imidazoline derivatives
JP3344834B2 (ja) セルロース繊維材料の処理剤およびその処理方法
US20030226213A1 (en) Textile mill applications of cellulosic based polymers to provide appearance and integrity benefits to fabrics during laundering and in-wear
US6981998B2 (en) Flame-retardant compositions of methanephosphonic acid, boric acid and an organic base
US6369023B1 (en) Use of polyether hydroxycarboxylate copolymers in textile manufacturing and treating processes
GB2300200A (en) Treatment of cellulose with polymeric biguanides
US6547832B1 (en) Finishing for jeans material
JP2621580B2 (ja) 抗菌防臭性着色ポリエステル系繊維構造物およびその製造方法
KR100556711B1 (ko) 염착성이 우수한 아크릴계 흡습발열 섬유제품
US4225312A (en) Treatment of textiles
WO2009150079A1 (en) Process for treatment of a fabric
JP4079844B2 (ja) 染色異常防止剤及び繊維材料の処理方法