JP2008529693A - マトリックス・デバイス - Google Patents
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Abstract
この発明は、歯科治療用マトリックス・デバイス(1)に関し、マトリックス(2)と、少なくとも一のウェッジ(3)を具え、このマトリックス(2)が柔軟な材料でできており、前記硬質でリバーシブルに変形可能なウエッジ(3)と連結可能にして、単一の部品の形状になるようにしている。
【選択図】 図1
【選択図】 図1
Description
この発明は、マトリックスと少なくとも一つのウェッジを具える歯科治療用のマトリックス・デバイスに係るものである。
患者の口中でのコンポジットの加工用としてに従来知られているマトリックス・デバイスは、形状に注意を払うこと無く、口中で加工する材料に対する配慮がなされていないと云う共通性がある。このマトリックスには、通常、金属でできた硬質材料、もしくは軟質で柔軟なプラスチック材料のいずれかを用いている。
硬質のマトリックスは填塞材の加工にのみ適しているのに対して、軟質のマトリックスはコンポジットのような非填塞材の加工が可能であるが、歯間隙に導入するのが困難であるか、あるいは全く入らない。非填塞材は内側からマトリックスに向かってモデル成形されるので、柔軟なマトリックスが撓んでモデル成形する材料が凸状態になる軟質のマトリックスが必要である。これによって、隣の歯と確実に接触した状態で、適切に指示されて治療対象の歯を修復することが可能である。
歯間隙領域をシールするために、歯間隙領域中でマトリックスを更にウエッジで固定することが常に必要である。その場合に用いられるウェッジは、処理された窩洞の深さと歯乳頭の高さを考慮しておらず、従って、時に口腔内の多湿な環境に対して処理部分を満足にシールしないままとなる。この領域は比較的乾燥した状態となっている必要があるため、とりわけコンポジットの加工に際に問題が生じる。
本発明の課題は、非填塞材の加工に必要となる軟質で柔軟なマトリックス(単体)を、歯間隙に容易に導入することが可能であり、付属のウェッジによってマトリックスをワンタッチで固定でき、口腔内の多湿な環境で確実に信頼性のあるシールを可能にするマトリックス・デバイスを提供することである。更に、ウェッジを歯間隙スペースの生体構造上の個人差を考慮し得るように成形されるマトリックス・デバイスを提供することも本発明の課題の一つである。
これは、硬質でリバーシブルに変形し得るウェッジに連結して、あるいは連結可能で、単一部品を形成する、軟質で柔軟なマトリックスによって、本発明によって達成することができる。
本発明の特徴の一つは、非填塞材の加工に適した軟質で柔軟なプラスチック製のマトリックスであり、同様に、メモリ効果、もしくは所定の弾力性を具える材料、望ましくはチタン製の硬質でリバーシブルに変形可能なウェッジを提供することである。しかしながら、マトリックスとウェッジの双方を、例えばプラスチックあるいは硬質シリコーンゴムといった同じ材料で作り、製造時にすでに一体であるようにするか、あるいは、別々に作って互いに強固に繋ぎ合せることも可能である。
本発明によるマトリックス・デバイスは、上側部にスロットを有するウェッジでスロット中にマトリックスを挟み込むように構成されている。このようなマトリックス・デバイスの利点は、治療を行うものが、薄くて柔軟なマトリックスと、固定用のウェッジの両方を同時に、歯間隙の空間にワンタッチで導入することができる点である。本発明の一の好ましい実施例では、ウェッジがチタン製で上面にスロット、下側にフィレットを有し、ウェッジの二つのリムを互いに押すことによって広がったスロットの中に柔軟なマトリックスを導入できる。ウェッジの材料が持つメモリ効果もしくは弾力性によって、押し付けを解除すると再び元の状態に戻ってマトリックスがスロットにしっかり挟みこまれる。
本発明の更なる特徴は、ウェッジの狭い側部の少なくとも一つがテーパ状になっており、歯間隙の空間への導入を容易にしていることである。
本発明の一の特徴によれば、マトリックスが、ウェッジでクランプすることができるタブを下端部に具えるプラスチック製のストリップであり、下端部とタブは厚くなっており従って柔軟性が低いのに対して、上端部は薄くなっていて柔軟性が高く、マトリックスの厚みは下端部から上端部に向かって漸次薄くなっている。マトリックスの下端部とタブが厚くなっていることによって、ウェッジ導入時に、しっかりとした挟み込みが確実に行われる。更に上側に向かってマトリックスの厚さが薄くなっているため、このマトリックス・デバイスは歯間隙の空間へ押し込むのに充分に安定している。一方で、処理された窩洞付近では非常に柔軟であり、非填塞材の加工が可能である。
更に、本発明によるマトリックス・デバイスは、マトリックスの両側にそれぞれ二本の柔軟な脚部を具え、この脚部はマトリックスの中央部で収束して、下端部の共通のタブでウェッジに挟まれるように構成されている。このような構成により、隣接する二つの歯を一つのマトリックス・デバイスによって同時に処置することが可能となる。従来はそれぞれの歯を個別に処置することのみが可能であり、個別に処置する必要があったが、これによって作業工程を少なくして、処置時間を短縮することができる。
両側面に4本の柔軟な脚部を有する二重Y字状のマトリックスの代わりに、本発明によれば、二つの薄いマトリックスを合わせて、スロットが切られたウェッジに共に挟みこむようにすることも勿論可能である。
本発明によるマトリックス・デバイスは、望ましくは金属製の硬質マトリックス部分と、このマトリックスのクリアランス中に配置した、望ましくはプラスチック製の軟質で柔軟なマトリックス部分を具えるように構成することも可能である。この場合に、硬質マトリックス部分は、例えば亜鉛含有量の多い金属のように歯に合わせて変形させることができる変形可能な金属製とすることができる。この結果、止め座金のような追加の固定措置が不要となる。
更に、歯の周囲にクランプ出来るように、例えば金属製の硬質リングでマトリックスを構成することも可能である。この場合、ウェッジはマトリックス自体の構成部品として緩く使用されている。この実施例では、軟質で柔軟なマトリックス部分を硬質なマトリックス部分あるいは金属リングの助けによって、歯間隙の空間に導入して固定することが容易であるという利点がある。
本発明のその他の実施例として、マトリックス・デバイスを円形状とし、マトリックス全周の少なくとも一部に沿ってウェッジを配することが可能である。また、マトリックスを湾曲状にし、アーチ状になったマトリックスの下端部にウェッジを配することも可能である。
更に、ウェッジの下側に歯乳頭を受けるためのフィレットを付けることも可能である。ウェッジ下側に配置したフィレットに加えて、本発明ではウェッジのリムを異なる長さとすることも可能であり、これによって個々の歯間隙の空間の生体構造の個体差を配慮して、口腔内の処理した窩洞を確実にシールすることが可能となる。
これに適合するウェッジは、幅・高さ・リムの長さがその先端から大きくなるように形成して、単一のマトリックス・デバイスを異なる歯列間隔に適用できるようにすることができる。
幅・高さ・リムの長さが大きくなるウェッジは、湾曲状あるいは円形状のマトリックスのようにアーチ状のマトリックスに適用した場合にことのほか有益である。この構成では、上端部が真っ直ぐなウェッジよりもウェッジの大きくなってゆく傾斜を緩やかにすることにより、適合するマトリックスと一体になったウェッジを歯間隙の空間に導入するのが容易になる。湾曲状もしくは円形状マトリックスの更なる利点は、特に歯間隙の空間の端部で深い窩洞となった箇所において、歯肉がマトリックスを導入する経路の途上に来ることになる点にある。それゆえにマトリックス上の接する相応の半径によって、各位置において必要な深さを得て窩洞を確実にシールすることが可能になる。
更なる特徴の一つとして、マトリックスの導入及び取り外し操作をより容易にすべく、マトリックス上にグリップとなるような肉厚部を配設するようにしてもよい。
その他の利点となる特徴は、以下の説明と請求項ならびに図面において詳述する。
図1は本発明によるマトリックス・デバイスの断面図である。図2は本発明によるマトリックス・デバイスの側面図である。図3にはウェッジリムの長さが異なるマトリックス・デバイスの断面を示す。図4はウェッジリムの長さが異なるマトリックス・デバイスの別の実施例を示す。図5は四本の脚部を有するマトリックス・デバイスの平面図である。図6は金属リング形状のマトリックスの斜視図である。図7は湾曲状となったマトリックス・デバイスの斜視図である。図8は図7に示す湾曲状マトリックス・デバイスの平面および側面を示す図である。図9は図8に示すC−C線に沿った断面図である。図10は図8に示すB−B線に沿った断面図である。図11は図8に示すA−A線に沿った断面図である。図12は図8に示すD−D線に沿った断面図である。図13は円形状のマトリックス・デバイスの平面及び側面を示す図である。
図1に示すマトリックス・デバイス1は、マトリックス2とこれに付属するウェッジ3で構成されている。マトリックス2は、例えばプラスチック製ストリップで出来ており、産業上容易且つコスト面で有利に生産することができる。マトリックス2はその上端部12が薄く、柔軟性があり、下端に13に向けて舌方向及び頬方向において徐々に厚くなっている。ウェッジ3の上側にスロット14が切られており、その中にタブ15によってマトリックス2が挟まれている。更にウェッジの下面はフィレット6となっており、左リム4と右リム5が形成されている。
図2はマトリックス2とウェッジ3を具えるマトリックス・デバイス1の側面を示す図である。この実施例では、ウェッジ3が、一方の短辺8が直線状に形成されているのに対して、他方の短辺はテーパ形状9になっており、マトリックス・デバイス1を歯間隙の空間に容易に導入できるようになっている。マトリックスはタブ15のみによってウェッジ3に挟まれており、軟質のマトリックス2を歯にモールドして、止め輪によって固定して、処理された窩洞を側面全体で確実にシールすることができるようにしている。
図3および図4はそれぞれ、マトリックス・デバイス1の断面を示しており、ウェッジ3は長さが異なるリム4、5を具えている。図3に示すウェッジの実施例において、右リム5が左リム4よりも長い。図4に示す実施例は鏡像対称形の例であり、左リム4が右リム5よりも長い。これら図1、図3、図4に示す三つの異なる形状のウェッジを用いることによって、原則的に、歯間隙の空間の生体構造のほとんどの個体差に対処することができ、いずれの治療においても処理された窩洞を確実にシールすることができる。
図5はマトリックス2の両側にそれぞれ二本の脚部10、11を具えるマトリックス・デバイス1の平面を示す図である。計四本の脚部10、11はマトリックス2の共通の中央部分16に集束している。中央部分16の下端にはタブ15が設けられており、これによってマトリックス2がウェッジ3のスロット14内に挟み込まれている。このような構成によって隣合う二本の歯を同時に処置することが可能であり、大幅な時間の節約になる。
図6に示す斜視図はリング状のマトリックス2を示し、これは例えば金属製などの硬質マトリックス部分17によって形成されており、例えばプラスチック製の軟質のマトリックス部分18が切欠き19の中に配設されている。この実施例においては二つの丸い切欠き19がマトリックス2の側部に設けられている。この切欠き19はそれぞれ異なる形状であってもよい。処理した窩洞のあり方によって切欠き19はそれぞれに相応した形状とすることができる。クランプ(図示せず)を装着し、張力調整コイル20でマトリックス2を引き締めることによって、マトリックス2が歯に密接する。加えてマトリックス2は歯間隙の空間にウェッジによっても固定される。
図7は湾曲状のマトリックス・デバイス1の斜視図であり、マトリックス2はくさび状の小さな板片で提供される。その下端部13にはアーチに沿ってウェッジ3が装着されている。ウェッジはその幅・高さ・リムの長さにおいて、先端部7から大きくなっている。マトリックス2の一端では、薄く成形されて歯間隙の空間に導入するように働くマトリックス部分21が設けられている。マトリックス2の両端にはマトリックスの取扱いを容易にするための補強部22が設けられている。
図8乃至図12は、図7に示す湾曲状のマトリックス・デバイス1の平面図および部分的断面図である。図9に示す断面においては、ウェッジの左右のリム4、5ならびにフィレット6が示されている。この実施例においてはリム4、5が同じ長さとなっているが、本発明によれば、それぞれ異なる歯間隙の空間の生体構造的な特異性に対応するように、リムの長さを変えることも可能である。
図13は円形状のマトリックス・デバイス1を示す図であり、ウェッジ3がマトリックス2の円周に沿って配置されている。ウェッジは先端部7からその幅・高さ・リムの長さにおいて大きくなっている。歯間隙の空間に導入するために、同様に薄いマトリックス部分21が設けられている。マトリックス2を導入した後、マトリックス・デバイス1を回すことでウェッジ3は、各歯間隙を満たすウェッジの厚さが届いて窩洞が適切にシールされるまで、その先端部7から歯間隙の空間に押し入れられる。この実施例においてはリム4、5が同じ長さで形成されているが、他の全ての実施例と同様、生体構造的な個々の状態に従って異なる長さにすることができる。
Claims (9)
- マトリックスと少なくとも一のウェッジを具え、軟質で柔軟な素材でできたマトリックス(2)に、硬質でリバーシブルに変形可能なウェッジ(3)が連結されて単一部材を形成している歯科治療用マトリックス・デバイスにおいて、前記マトリックス(2)が円形もしくは湾曲状の小板片として成形され、前記円形状のマトリックス(2)にあってはその全周の少なくとも一部に沿って、又は、前記湾曲状のマトリックス(2)にあってはアーチ状となった下端部(13)の少なくとも一部に沿って、前記ウェッジ(3)が配置されていることを特徴とする歯科治療用マトリックス・デバイス。
- 請求項1に記載のマトリックス・デバイスにおいて、前記軟質で柔軟なマトリックス(2)が、非填塞材の加工に適するプラスチック製であることを特徴とするマトリックス・デバイス。
- 請求項1又は2に記載のマトリックス・デバイスにおいて、前記硬質でリバーシブルに変形可能なウェッジ(3)が、メモリ効果又は所定の弾力性を有する材料、望ましくはチタン製であることを特徴とするマトリックス・デバイス。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマトリックス・デバイスにおいて、前記マトリックス(2)とウェッジ(3)が、例えば硬質シリコーンゴムなどの、同一材料でできていることを特徴とするマトリックス・デバイス。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマトリックス・デバイスにおいて、前記ウェッジ(3)が、アーチ状の長手方向にテーパ形状(9)を有することを特徴とするマトリックス・デバイス。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマトリックス・デバイスにおいて、前記マトリックス(2)に、取扱いをより容易にする追加の厚みあるいはグリップ(22)等が設けられていることを特徴とするマトリックス・デバイス。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のマトリックス・デバイスにおいて、前記ウェッジ(3)の下側に、歯乳頭を受けるためのフィレット(6)が設けられていることを特徴とするマトリックス・デバイス。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のマトリックス・デバイスにおいて、前記ウェッジ(3)のリム(4、5)が、同じ長さか、それぞれ異なる長さであることを特徴とするマトリックス・デバイス。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマトリックス・デバイスにおいて、前記ウェッジ(3)が、先端部(7)からその幅・高さ・リムに沿って大きくなっていることを特徴とするマトリックス・デバイス。
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