JP2008524110A - アルカリ土類金属炭酸塩の耐酸粒子 - Google Patents
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Abstract
Description
微粉末石灰石又は沈降炭酸カルシウムの使用は、例えば、ゴム、プラスチック、紙又は塗料用の充填剤として知られている。同様に、炭酸カルシウムが充填剤として添加される物質又は混合物における炭酸カルシウム粒子の分散性又は粒子の親和性が、例えば、脂肪酸又はその塩又はエステルによる表面処理によって改善又は増大することができることも知られている。前記処理によって、材料の粒子の表面が疎水性ホストにおける取込みに更に適することになる。特に、炭酸塩粒子の脂肪酸又はそれらの塩又はエステルによる疎水性コーティングは、分散性を改善するだけではなく、このような炭酸塩粒子を含有するポリマー組成物の粘度を安定化する。
単一コーティング剤でコーティングされる炭酸塩粒子の特性があらゆる点で、特に、粒子の完全な疎水性を必要とする適用には満足でないので、従来技術のコーティング炭酸塩粒子において、1以上のコーティング工程において1を超えるコーティング剤による方法が開発された。この点に関しては、例えば、国際出願公開第01/32787号、米国特許第4,151,136号、米国特許出願公開第2002/0102404 A1号を参照することができる。
米国特許出願公開第2002/0102404 A1号には、表面コーティングされた炭酸カルシウム粒子の製造方法であって、(1) (1A)少なくとも1つの化合物は、飽和脂肪酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物と(1B)不飽和脂肪酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含む脂肪酸混合物で炭酸カルシウム粒子をコーティングして、第一コーティング層を形成し、(2)フタル酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、トリメリット酸エステル及び金属アルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1つの有機化合物でコーティングされた炭酸カルシウム粒子をコーティングして、第二コーティング層を形成する工程を含む、前記方法が開示されている。
しかしながら、従来技術の疎水的にコーティングされた炭酸塩粒子の特性は、あらゆる点でなお満足でない。ある適用について、アルカリ土類金属炭酸塩の粒子を含むポリマー組成物は、優れた流動学的性質、例えば、高降伏応力、高粘度、また、優れた分散性を示さなければならない。これらの特性は、好ましくは数日又は数週間、一定期間一定でなければならない。更にまた、特に粒子が7又はそれ以下のpH値を有する組成物において用いられる場合、粒子は酸に対して抵抗性でなければならない。即ち、炭酸塩粒子の外面が酸性攻撃から保護されなければならない。
本発明は、粒子、例えば、前記粒子を含有するポリマー組成物、粒子の製剤及びその使用に関する。
第一の方法によれば、本発明の粒子の耐酸性は、1.0gの粒子を、20mlのトルエンと脱イオン水、11.76g/Lのクエン酸一水和物、2.57g/LのNaCl、及び0.068モル/LのNaOHからなる80mlの水相から作られた混合物に懸濁させた場合、25℃、1000 rpmで35分間撹拌した後に、混合物のpH値が7.00未満であると定義される。
粒子を添加する前の混合物のpH値は、通常約3.80+/-0.05である。
混合物のpH値を上げるのに必要とされる時間は、粒子の耐酸性に対応する。例えば、酸にさらされる際に粗CaCO3粒子の分解が次の簡易化された反応スキーム: CaCO3 + H2O -> Ca2+ + 2 OH- + CO2 に従って起こり、それによってpH値の上昇に関与する水酸化イオンを脱遊離させる。
好ましくは35分後、より好ましくは37.5分後、更により好ましくは40分後、なおより好ましくは42.5分後、最も好ましくは45分後、なお最も好ましくは47.5分後、特に50分後、混合物のpH値は、なお7.00未満である。本発明の粒子の好ましい実施態様において、35分後、水相のpH値は、なお6.80未満、より好ましくは6.60未満、更により好ましくは6.40未満、最も好ましくは6.20未満、なお最も好ましくは6.00未満、特に5.95未満である。
その結果として、本発明は、1.0gの粒子を、20mlのトルエンと、脱イオン水、11.76g/Lのクケン酸一水和物、2.57g/LのNaCl、及び0.068モル/LのNaOHからなる80mlの水相から作られた混合物に懸濁した場合に、25℃において1000 rpmで35分間撹拌した後に、混合物のpH値が7.00未満であるような耐酸性を示すアルカリ土類金属炭酸塩を含む粒子に関する。
本発明は、最後にまた、開放セルにおいて25から250℃まで窒素雰囲気下で10℃/分の加熱速度で測定した場合に170〜190℃に少なくとも1つのピークを示す示差走査熱量測定(DSC)スペクトルとして表される耐酸性を示すアルカリ土類金属炭酸塩を含む粒子に関する。
アルカリ土類金属炭酸塩は、好ましくは、MgCO3、CaCO3、SrCO3、BaCO3、及びそれらの混合物、CaMg(CO3)2より選ばれる。CaCO3が特に好ましい。
炭酸カルシウムが合成炭酸カルシウムである場合には、粒子はあらゆる形状であり得る。針状、偏三角面体状、菱面体状、球状、小板状又は柱状の形を有してもよい。擬立方体状又は擬球状に変形し得る菱面体形状が好ましい。炭酸カルシウムは、また、国際出願公開第03004414号に記載され特許請求された方法によって得られる、種々のナノスケール構造-ナノファゴット、ナノロザリオ、ナノアコーディオン-を示すことができる。ナノファゴット、ナノロザリオ、ナノアコーディオンの定義は、引例国際出願公開第03004414号、5頁、33行〜7頁、9行に示され、この明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。
炭酸カルシウム粒子の平均基本粒径(dp)は、通常0.001μm以上、好ましくは0.002μm以上、より好ましくは0.005μm以上、更により好ましくは0.01μm以上、最も好ましくは0.05μm以上である。平均粒径は、一般的には20μm以下、より好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。当業者は、平均基本粒径を求めるための適切な方法を知っている。この点に関しては、例えば、規格NF 11 601/11 602を参照することができる。より詳しくは、平均基本粒径は、リー・ナース法(規格NFX 11-601、1974)で測定される。dP値は、全ての粒子が球状で非多孔性で等径であると仮定することによって、また、粒子間の接触面を無視することによって、リー・ナース法から誘導される塊の面積(SM)から得られる。
dP = 6/(ρ SM)
ここで、ρは炭酸カルシウムの比質量である。
炭酸カルシウム基本粒子は、凝集し得る。凝集した粒子の平均サイズ(下で定義されるD50の値にほぼ等しい)は、0.030μm以上、好ましくは0.050μm以上、より好ましくは0.070μm以上、なおより好ましくは0.100μm以上、最も好ましくは0.150μm以上である。平均粒径は、一般的には20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更により好ましくは3μm以下、最も好ましくは1μm以下である。D50は、50質量%の粒子がそれ以下の粒径値である。D50は、50容積%の粒子のサイズ値がD50以下であることを表す粒径値である。当業者は、D50を求めるための適切な方法を知っている。例えば、Micromeritics Corporation(米国)によって提供されるSEDIGRAPH 5100の機械又は堀場製作所(日本)によって提供されるCAPA 700の機械を用いて水性媒体に充分に分散された状態の粒子の沈降技術において使われる周知の標準法から得ることができる。凝集体の平均径は、0.1〜300μmの範囲のサイズについてMicromeritics SediGraph 5 100測定デバイスを用いる(規格ISO 13317-3)、また、0.01〜300μmの範囲のサイズについてHoriba CAPA 700測定デバイスを用いる(規格ISO 13318-2)沈降法によって決定される粒子の粒度分布に基づいて得られる。
脂肪族カルボン酸は、あらゆる置換された又は置換されていない直鎖又は分枝鎖又は環状飽和又は不飽和カルボン酸であってもよい。脂肪族カルボン酸は、炭素原子数を通常4個以上、好ましくは8個以上、より好ましくは10個以上、最も好ましくは14個以上有する。脂肪族カルボン酸は、炭素原子数を一般的には32個以下、好ましくは28個以下、より好ましくは24個以下、最も好ましくは22個以下有する。
第一コーティング剤が脂肪族カルボン酸の塩である場合には、これは、炭酸塩コアのカチオンとアニオンとしてのカルボン酸に対応するアルカリ土類金属の塩、即ち、カルボン酸のカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム又はバリウム塩であってもよい。しかしながら、第一コーティング剤は、また、脂肪族カルボン酸のナトリウム、カリウム又はアンモニウムの塩の形であってもよい。
第一コーティング剤は、適切ないかなる方法によっても粒子に適用することができる。好ましくは、アルカリ土類金属炭酸塩は、既知の方法においてコーティング剤と接触させる。コーティング剤は、例えば、粉砕工程中又は沈降中及び/又は沈降後に、液体又は固体の形で、好ましくは、分散したアルカリ土類金属炭酸塩よるエマルジョンとして分散又は乳化し、コーティング剤はアルカリ土類金属炭酸塩の表面に付着する。
本発明の粒子の好ましい実施態様において、コーティングは、第一コーティング剤と異なるのがよく、カルボン酸、スルホン酸、それらの塩、アルキル硫酸塩又はそれらの混合物より選ばれる第二コーティング剤を含む。カルボン酸が好ましく、脂肪族カルボン酸が最も好ましい。脂肪族カルボン酸は上記のように定義される。
コーティングが第一コーティング剤と第二コーティング剤を含む場合、第一コーティング剤は、アルカリ土類金属炭酸塩コアの外部表面積の好ましくは少なくとも0.5%、より好ましくは少なくとも25%、更により好ましくは少なくとも30%を覆う。第一コーティング剤は、アルカリ土類金属炭酸塩コアの外部表面積の多くても75%、より好ましくは多くても65%、更により好ましくは多くても50%を覆う。
第二コーティング剤は、アルカリ土類金属炭酸塩コアの外部表面積の好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、更により好ましくは少なくとも50%を覆う。第二コーティング剤は、アルカリ土類金属炭酸塩コアの外部表面積の多くても99.5%、より好ましくは多くても75%、更により好ましくは多くても70%を覆う。
好ましくは、本発明の粒子のコーティングは、フタル酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、トリメリット酸エステル、金属アルコキシドからなる群より選ばれる化合物及び炭素原子8〜22個を有する長鎖カルボン酸のビニルエステル及びポリジアルキルジシロキサンの群より選ばれる化合物を含有しない。
更にまた、本発明の粒子は、Hegmanゲージ値で測定した場合に優れた分散性を示す。分散性は、通常は60μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、なおより好ましくは30μm以下、なおより好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。当業者は、分散性を測定するのに適切な方法を知っている。この点に関しては、規格ISO 1524を参照することができる。
本発明の粒子は、また、PCC充填ポリマーのミクロトム切片の光学顕微鏡所見からわかるようにポリマーにおいて良好な分散を示す。このようなミクロトム切片の写真を図2に示す。
本発明の粒子は、
(a)アルカリ土類金属炭酸塩の粒子と第一コーティング剤とを第一コーティング媒体において接触させる工程、
(b)前記第一コーティング媒体の少なくとも1つの部分を除去する工程であって、前記部分が工程(a)から得られたアルカリ土類金属炭酸塩のコーティングされた粒子と異なる、前記工程、
(c)工程(b)から得られた第一コーティング媒体の残りの部分と第二コーティング剤とを第二コーティング媒体において接触させる工程
を含む、方法によって調製することができる。
第一コーティング媒体は、少なくとも、アルカリ土類金属炭酸塩、第一コーティング剤及び水を含有する。
本発明の方法の好ましい実施態様において、第一コーティング媒体(工程a)の水分は第二コーティング媒体(工程c)の水分より多い。
工程(a)における第一コーティング媒体の水分は、通常は500g/kg以上、好ましくは750g/kg以上、より好ましくは850g/kg以上、最も好ましくは950g/kg以上である。
工程(c)における第二コーティング媒体の水分は、一般的には850g/kg以下、好ましくは500g/kg以下、より好ましくは300g/kg以下、なおより好ましくは100g/kg以下、最も好ましくは10g/kg以下である。
余分な水は、工程(c)における第二コーティング媒体にほとんど添加されない。余分な水は、工程(b)から得られる第一コーティング媒体の残りの部分から、また、工程(c)に用いられる第二コーティング剤から生じないあらゆる水を意味する。ほとんどは、第二コーティング媒体における余分な水が通常は100g/kg以下、好ましくは10g/kg以下、最も好ましくは1g/kg以下であることを意味する。
乾燥固形物とは、通常は10質量%以下の水分を有する固形物を意味するものである。この含量は、好ましくは3質量%以下、より詳しくは1質量%以下である。その場合には、方法は工程(b)と(c)との間に乾燥工程を含むことが好ましい。
湿ったケークとは、通常は10質量%を超え、より詳しくは30質量%以上の水分を有する固形物を意味するものである。この含量は、一般的には80質量%以下、好ましくは50質量%以下である。
工程(b)から得られ、工程(c)に入る第一コーティング媒体の残りの部分は、乾燥固形物であることが好ましい。
本発明の方法の他の好ましい実施態様において、工程(c)におけるコーティング媒体の水分は、工程(a)におけるコーティング媒体の水分より多い。その場合、工程(b)は省略することができる。工程(a)に入るアルカリ土類金属炭酸塩は、上で定義した通り、乾燥固形物又は湿ったケークであり得る。
第一コーティング媒体(工程a)の水分が第二コーティング媒体(工程c)の水分より多い場合、第二コーティング剤は、乾燥セル式ミル又は乾燥エアジェットミル(例えば、Atritor Multirotor Cellmill, Jaeckering Ultrarotor, …)によって粒子に適用される。ミルの出口の温度は、通常は100℃以上、好ましくは120℃以上、最も好ましくは130℃以上である。この温度は、一般的には350℃以下、好ましくは250℃以下、最も好ましくは200℃以下である。このような出口温度ミルによって、ミル内の温度が全反応と第二コーティング剤のアルカリ土類金属炭酸塩の良好な分配を確実にするために充分であると考えられる。
・ジェット(“噴霧”)によって液化した第二コーティング剤を噴霧する;
・粉砕の前に乾燥粒子と固形の第二コーティング剤とを混合する;
・液体又は固体の第二コーティング剤を添加して連続的に又は段階的に粉砕する。
一般に、コーティングされた粒子の特性は、次のパラメータを変えることによって調整することができる。
・第一/第二コーティング剤(固相)を適用するときのコーティング工程の温度;
・熱的に処理され、粉砕装置内にある粒子の時間;
・第一/第二コーティング剤の種類;
・第一/第二コーティング剤の量;
・アルカリ土類金属炭酸塩の比表面積。
本発明は、また、上で定義した耐酸粒子を含むポリマー組成物にも関する。
好ましくは、本発明のポリマー組成物は、粒子を、一般的には0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%、より好ましくは1.0質量%、最も好ましくは5.0質量%である組成物の全質量に基づく量で含有する。この量は、通常は99質量%以下、好ましくは95質量%以下、最も好ましくは50質量%以下である。
好ましくは、本発明のポリマー組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリハロゲン化ビニル、ポリシリコーン、変性ポリシリコーン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリアクリレート及びそれらの混合物又はコポリマーからなる群より選ばれる1つ以上のポリマーを含有する。ポリマーは、適切な架橋剤によって架橋されてもよい。
ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、変性ポリシリコーン、ポリシリコーン、ポリアクリル及び/又はポリウレタン(PU)が好ましい。プラスチゾルやシーラント適用に用いられるPVC、変性ポリシリコーン、ポリシリコーン、ポリアクリル及び/又はポリウレタンが特に好ましい。プラスチゾルやシーラントに用いられるポリウレタン、また、ポリプロピレンが最も好ましい。
本発明の組成物に含有されるポリマーの質量平均分子量は、好ましくは1,000〜5,000,000g/モル、より好ましくは2,500〜2,500,000g/モル、より好ましくは5,000〜1,000,000g/モル、なおより好ましくは10,000〜750,000g/モル、最も好ましくは25,000〜500,000g/モル、特に50,000〜250,000g/モルの範囲内にある。
55質量%のポリマー、好ましくはポリウレタン、より好ましくはイソシアネート(143L Isonate、Papi、Desmocap 11、Desmocap 1280、Katenate L、Desmodur E22、Desmodur TP、KL5-2493、Desmodur vl-50、Desmodur HL、Desmodur N、Desmodur VKS 70、Lupranate T80-2、Lupranate 8020、No 219isocyanate、Lupranate M20S、No 78 Isocyanate)とポリオール(PCP 301、PolyG 85-28、LU 5800、LU 10000、Desmophen 1150、Pluracol P1010、Pluracol P 2020、Quadrol、PPG 2025、PPG 2035、PPG 4025、E351、LHT 42、LHT 28、Polymeg 2000、Baycoll AD 3040、Baycoll AS 2060、Baycoll DS 1165)の混合物、22%の本発明の粒子、1%の充填剤、例えば、TiO2、SiO2、天然炭酸カルシウム又はタルク、6質量%の乾燥剤、例えば、CaO及び15質量%の他の添加剤、例えば、安定剤を含む組成物は、降伏応力が通常は50Pa以上、好ましくは75Pa以上、より好ましくは100Pa以上、更により好ましくは125Pa以上、最も好ましくは145Pa以上、特に145〜175Paの範囲内である。当業者は、降伏応力を求めるのに適切な方法を知っている。この点に関しては、例えば、規格ISO 3219を参照することができる。
100s-1における上記ポリマー組成物の粘度は、規格ISO 3219に準じて測定した場合、一般的には1.0Pa・s以上、好ましくは2.0Pa・s以上、より好ましくは3.0Pa・s以上、なおより好ましくは4.0Pa・s以上、最も好ましくは5.0Pa・s以上、特に5.5〜7.0Pa・sの範囲内である。
上記のポリマー組成物において本発明の粒子の分散性は、Hegmanゲージ値に従って測定した場合、通常は60μm未満、好ましくは40μm未満、より好ましくは20μm未満、更により好ましくは10μm未満、最も好ましくは5μm未満、特に1μm未満である。当業者は、分散を求めるのに適切な方法を知っている。この点に関しては、例えば、規格ISO 1524を参照することができる。
組成物が25℃においてBrabander内で押出されるか又は混合された、ポリマー、好ましくはポリプロピレン、より好ましくはプロピレンコポリマーと20質量%の本発明の粒子を含む組成物は、ヤングモジュラスが一般的には600MPa以上、好ましくは700MPa以上、より好ましくは800MPa以上、更により好ましくは900MPa以上、最も好ましくは1,000MPaを超え、特に1,000〜1,200MPaの範囲内である。当業者は、ヤングモジュラスを求めるのに適切な方法を知っている。この点に関しては、例えば、規格ISO 527-1を参照することができる。
本発明に従ってコーティングされる炭酸カルシウムは、混合成分として高機能性を有し、ポリマー、ポリマー製剤、プラスチック、プラスチゾル、コーティング組成物、シーリング組成物、紙、塗料、顔料及び特に印刷インキにおける充填剤として使用し得る。
好ましくは、本発明の粒子は、ポリマー組成物における添加剤として用いられる。例えば、粒子は、ポリマー組成物における充填剤として使用し得る。このような組成物は、優れた流体力学的及び機械的性質、特に高降伏応力及び高粘度を示す。これらの特性は、時間とともにわずかに低下するだけであるので、比較的安定である。
充填剤としてPCCを含有するポリマー組成物の機械的性質は、コーティングされたPCCを用いることにより改善することができる。特にポリプロピレン組成物において、衝撃強さとヤング(引張り)モジュラスは、同時に改善することができる。水分のレベルができるだけ低くなければならない(好ましくは1.5g/kg未満)、シーラントやプラスチゾルにおいて、このようなコーティングされたPCCは、シリカの代用品であり得る。ポリウレタン又はシリコーンのマスチックは、好ましいシーラントである。
次の実施例は更に本発明を具体的に説明するものであるが、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきでない。
第一工程において、70nmの基本粒径(dp)及び20のm2/gの比表面積(BET)を特徴とする200g/Lのコーティングされていない沈降炭酸カルシウムの500リットルの懸濁液を、2.8kgのステアリン/100kgPCC、即ち、10質量%のステアリン(第一コーティング剤)を含有する28Lの水性エマルジョンで処理した。粒子を、75℃で45分間エマルジョンと接触させた。
その後、粒子をフィルタによってエマルジョンから分離し、水分が3g/kg未満あり粉末になるまで、炉内で105℃で乾燥した。
第二工程において、3.35kgのステアリン(第二コーティング剤)を100kgの以前にコーティングされたPCCを含むセルミル乾燥機に注入した。出口温度を180-200℃に調節した。2分後、全固形物を回収した。
実施例1の第一工程に従って粒子を調製した。
比較例2(本発明でない粒子)
Imerys製のコーティングされた天然炭酸カルシウムFilmlink(登録商標) C400を用いた。
比較例3(本発明でない粒子)
第一工程のコーティングされない炭酸カルシウムを用いた以外は、実施例1の第二工程後に粒子を調製した。
比較例4(本発明でない粒子)
Shiraishi製のコーティングされた沈降炭酸カルシウムViscolite(登録商標) OSを用いた。
沈降炭酸カルシウム粒子を100kgの沈降炭酸カルシウムにつきそれぞれ4.5、4.8、5.5、6.9kgのステアリンでコーティングした以外は粒子を実施例1の手順に従って調製した。
実施例6
沈降炭酸カルシウム粒子をステアリンの代わりにロジン酸、5.5kgのロジン酸/100kg沈降炭酸カルシウムでコーティングした以外は、粒子を実施例1の手順に従って調製した。
水溶液を以下の通り調製した。11.76gのクエン酸一水和物、2.57gのNaCl、68mlのNaOH(1N)を1Lの定量フラスコに添加し、脱イオン水を1Lの容量に添加した。
ビーカー(内径5cm、高さ9cm)に、20mLのトルエン、80mLの上記水溶液を添加した。混合液を、25℃において1000rpm (Bioblock Scientific AM 3001磁気スターラー(長さ2.5cm幅0.9cmの三角撹拌棒)で磁気的に撹拌してエマルジョンを得た。pHプローブ(PHM 250、Radiometter Analytical製)を混合液に挿入した。pHは、3.80+/-0.05であった。
1+/-0.05gの試験される固体をエマルジョンに添加し、pH値を、7.00値に達するまで分毎に記録した。
結果を表1に示す。
TA Instrument 2010タイプのDSCデバイスを用いた。10mgの粒子を開放セルに添加し、対照標準として空のセルを用いて25から250℃まで窒素下に10℃/分の加熱速度で熱流量を測定した。
結果を図1に示す。曲線(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例1、比較例3、比較例1、比較例2で得られた粒子を表す。
水分測定
10gの粒子をガラスセルに導入した。冷却し、計量する前に、セルを105℃で3時間炉内に入れた。水分を、初期試料と乾燥した試料との間の質重の差によって決定した(規格ISO 787/5を参照のこと)。
結果を表2に示す。
吸湿量測定
シールしたバッグで又は相対湿度50%の屋外で22℃において1、2、3、4週間貯蔵した後に、105℃で3時間以前に乾燥した粒子の質量増を測定することによって粒子の吸湿量を得た。
結果を表2(シールバッグ)と表3(屋外)に示す。
種々の量のポリプロピレン(KS001P、British Petroleum製)と、コーティングされた炭酸カルシウムを混合し、押出し(190-200℃)、その後、次の条件下で圧縮した。
・190℃、20バール、5-6分
・190℃、80バール、5-6分
・冷却。
延伸試験を規格ISO 527-1に準じて行い、衝撃試験を規格ISO 179に準じて行った。
1mm/分の牽引速度による室温(25℃)、周囲相対湿度(50%)での延伸応力/変形曲線からヤングモジュラス値を得た(5つの試料の平均)。結果を表4に示す。
室温(25℃)と周囲相対湿度(50%)で行われるノッチ付きシャルピー試験からショック耐性を測定した。1Jのハンマーを用いた(10の試料の平均)。結果を表5に示す。
ポリマーマトリックスにおける分散
コーティングされた炭酸カルシウムを含有するPPの押出試料からマイクロトム切片(10μm厚)を得た。写真は、光学顕微鏡(LEICA)で行った。図2は、実施例1で得られる粒子を含有するポリマー組成物の写真であり、図3は、比較例1で得られた粒子を含有するポリマー組成物の写真である。
55質量%のPU、22%のPCC、1%の充填剤、6質量%の乾燥剤及び15質量%の他の添加剤を含有するPUシーラント組成物(2つの成分)を調製した。
次の手順に従って、Bohlin CVO 120HR機器(測定システム: コーンプレート4o、直径20mm)を用いて規格ISO 3219に従って流動学的性質を測定した。
・0から100s-1まで2分間剪断速度を上げる
・100s-1に1分間剪断速度を一定に保つ
・100から0s-1まで2分間剪断速度を下げる。
低下曲線(データ点99〜77s-1)に適用されるビンガムの数学モデルに従って降伏応力を得た。
組成物の降伏応力、粘度、及び分散性を表6にまとめる。
30〜35質量%のポリマー、14〜18質量%の可塑剤、35〜40質量%のコーティングされた炭酸カルシウム粒子、0〜4質量%のシラン及び0〜2質量%のワックスを含有する変性シリコーン組成物を調製した。
長さ69.4mm、上の直径12mm、下の直径6.5mmを有する円錐ノズルを備えたセバーズレオメータを用いて2バールの相対圧において流動性(セバース粘度)を測定した。
200mm/分の延伸速度による規格ISO 37-1994に従ってタイプIIの試験バーについて延伸試験を行った。結果は、5つの試験バーからの平均である。
組成物の流動性、引張強さ、破断時の歪みを表7にまとめる。
30〜50質量%のアクリル樹脂(アクリル酸のアルキルエステルとメタクリル酸メチル)、30〜60質量%の可塑剤、1〜2質量%の乾燥剤、13〜20質量%のコーティングされた炭酸カルシウム粒子及び40〜70質量%の天然粉末炭酸カルシウムを含有するアクリルプラスチゾル組成物を調製した。
長さ45mm、アパーチャ3.0mm径を有するノズルを備えたセバーズレオメータを用いて4.9バールの相対圧において流動性(セバース粘度)を測定した。
ブルックフィールド粘度計により2rpmの回転数でブルックフィールド粘度を測定した。
22℃と35℃において種々の時間の貯蔵時の流動性と粘度を、表8にまとめる。
15〜25質量%のコーティングされた炭酸カルシウム粒子、25〜35質量%のポリマー(Vestolit、Vinolit)、30〜40質量%の可塑剤(ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、アジペート、セバケート)、3〜6質量%の溶媒(炭化水素誘導体)、0〜16質量%の充填剤(TiO2、SiO2、天然粉末炭酸カルシウム)、1〜6質量%の促進剤(ポリアミン、ポリアミド)、1〜2質量%の乾燥剤(CaO)及び0〜5質量%のその他の添加剤を含有するポリ塩化ビニルプラスチゾル組成物を調製した。
長さ50mm、アパーチャ1.6mm径を有するノズルを備えたセバーズレオメータを用いて5.5バールの相対圧において流動性(セバース粘度)を測定した。
2rpmの回転速度でブルックフィールド粘時計によって粘度を測定した。
流動性と粘度を表9にまとめる。
Claims (13)
粒子の全質量に基づき、0.0001質量%〜60質量%の範囲にあるコーティング含量、
粒子の全質量に基づき、1.0質量%以下の水分、
60μm以下の分散性、
必要の場合にはコーティング前に、1m2/g以上で300m2/g以下のBET比表面積、
必要の場合にはコーティング前に、0.001μm〜50μmの範囲にある平均基本粒径(dp)
の少なくとも1つを示す、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粒子。
(b)前記第一コーティング媒体の少なくとも1つの部分を除去する工程であって、前記部分が工程(a)から得られたアルカリ土類金属炭酸塩のコーティングされた粒子と異なる、前記工程、
(c)工程(b)から得られた第一コーティング媒体の残りの部分と第二コーティング剤とを第二コーティング媒体において接触させる工程
を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の粒子の調製方法。
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