JP2008518623A - メッセンジャーrna干渉酵素が促進する生細胞における単一タンパク質産生 - Google Patents

メッセンジャーrna干渉酵素が促進する生細胞における単一タンパク質産生 Download PDF

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Abstract

本発明は、mRNA干渉酵素、例えば全ての細胞mRNAをインビボで効率的および選択的に分解して全タンパク質合成を急落させる一本鎖RNA−およびACA−特異的エンドリボヌクレアーゼである細胞毒素のMazFの独特の特性を利用した、大腸菌生細胞における単一タンパク質産生(SPP)システムを記載する。MazF、および無ACAmRNAをコードするよう操作された標的遺伝子の同時発現によって、実質的にバックグラウンド細胞タンパク質の合成なしで、持続的かつ高レベル(90%もの)の標的発現が生じる。注目すべきことに、標的合成は少なくとも4日間続き、細胞がその増殖停止にもかかわらず転写および翻訳能力を保持していることが示される。SPP技術は、酵母およびヒトタンパク質、さらには細菌内在性膜タンパク質にも有効である。この新規なシステムは、これまで扱いにくいが生物学的に重要なタンパク質の構造および機能の研究を劇的に単純化できるかってないシグナル/ノイズ比を可能にする。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2004年11月4日に出願された、Inouyeらによる「mRNA干渉酵素によって促進される生細胞における単一タンパク質」と題された米国仮出願第60/624976号への優先権を主張する。この出願の全開示は、参照によって本明細書中に組み込まれる。
本発明は、一本鎖RNAおよび配列に特異的なエンドリボヌクレアーゼであるmRNA干渉酵素によって促進される、生細胞における単一タンパク質の産生システムに関する。
ほとんどの細菌は、細胞ストレスに曝されると発現して、増殖停止および最終的に死をもたらす自殺遺伝子を含有する(Elenberg−KulkaおよびGerdes、Ann.Rev.Microbiol.53:43〜70頁(1999年)、Engelberg−Kulkaら、Trends Microbiol.12:66〜71頁(2004年)によって概説されている)。これらの毒素遺伝子は、通常、同じオペロン中の同族抗毒素遺伝子とともに同時発現される(中毒モジュールまたは抗毒素−毒素系と呼ぶ)。大腸菌(E.coli)は、5つの中毒モジュールを有し(Christensenら、J.Mol.Biol.332:809〜19頁(2003年))、その中で、MazE/MazFモジュールが最も徹底的に調査されている。MazE/MazF複合体のx線構造(Kamadaら、Mol.Cell 11:875〜84頁(2003年))は公知であり、MazFの酵素活性は、最近特徴が明らかになった(Zhangら、J.Biol.Chem.278:32300〜306頁(2003年))。
MazFは、一本鎖RNA(ssRNA)を配列ACAにおいて特異的に切断する、配列特異的エンドリボヌクレアーゼである。エンドヌクレアーゼは、核酸を核酸鎖内の様々な位置で切断する、酵素の大グループの1つである。エンドリボヌクレアーゼまたはリボヌクレアーゼは、RNAに特異的である。MazFは、その主要な標的がインビボでのメッセンジャーRNA(mRNA)なので、mRNA干渉酵素と呼ばれる。転移RNA(tRNA)およびリボソームRNA(rRNA)は、それぞれ、その二次構造またはリボソームタンパク質との結合のせいで、切断から保護されているようである。したがって、MazFが発現すると、mRNAのほとんど完全な分解を引き起こし、タンパク質合成の激烈な減少、および最終的には細胞死をもたらす(Zhangら、Mol.Cell 12:913〜23頁(2003年))。MazFは、選択された細菌中に見られ、最近では、大腸菌タンパク質PemK(プラスミドR100によってコードされる)もまた、配列特異的エンドリボヌクレアーゼであることが示された(Zhangら、J.Biol.Chem.279:20678〜20684頁(2004年))。PemKは、高い特異性で、特異的核酸配列、すなわちUAXでRNAを切断する。ここでXはC、AまたはUである。本明細書中に援用される国際公開米国第2004/018571号を参照のこと。これらの配列特異的エンドリボヌクレアーゼはさまざまな種で保存されており、生理機能および進化において必須の役割を果たしていることを強く示している。本発明者らは、この配列特異的エンドリボヌクレアーゼ毒素のファミリーを、「mRNA干渉酵素」と呼ぶ(Zhangら、J.Biol.Chem.279:20678〜20684頁(2004年))。
米国仮出願第60/624976号 Elenberg−KulkaおよびGerdes、Ann.Rev.Microbiol.53:43〜70頁(1999年) Engelberg−Kulkaら、Trends Microbiol.12:66〜71頁(2004年) Christensenら、J.Mol.Biol.332:809〜19頁(2003年) Kamadaら、Mol.Cell 11:875〜84頁(2003年) Zhangら、J.Biol.Chem.278:32300〜306頁(2003年) Zhangら、Mol.Cell 12:913〜23頁(2003年) Zhangら、J.Biol.Chem.279:20678〜20684頁(2004年) 国際公開米国第2004/018571号 J.SambrookおよびD.W.Russell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第3版、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2001年) Konigsbergら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.U.S.A.80:687〜91頁(1983年) 米国特許第5656493号 米国特許第533675号 米国特許第5234824号 米国特許第5187083号 Thieringerら、Bioassays 20(1):49〜57頁(1998年) Qingら、Nat.Biotechnol.22:877〜882頁(2004年) TokudaおよびMatsuyama、Biochem.Biophys.Acta 1693:5〜13頁(2004年) YamaguchiおよびInouye、Cell 53:423〜432頁(1988年) Wolfeら、J.Biol.Chem.257:7898〜7902頁(1982年) Pedersenら、Mol.Microbiol.45:501〜10頁(2002年) Amitaiら、J.Bacteriol.186:8295〜8300頁(2004年)
本研究において、本発明者らは、MazFの独特の切断特性を利用して、大腸菌生細胞における単一タンパク質産生(SPP)システムを設計した。アミノ酸配列は変えずに無ACAmRNAを発現するよう操作された遺伝子を発現させると、バックグラウンド細胞タンパク質合成が実質的にないのに、標的タンパク質合成が、少なくとも96時間にわたって高レベルで維持された。したがって、MazFの毒性効果は、細胞生理機能に与える副作用は最小で、mRNAを標的とする。実際、増殖停止の状態にもかかわらず、これらの細胞は、エネルギー代謝(ATP産生)、アミノ酸およびヌクレオチド生合成ならびに転写および翻訳に必須な代謝および生合成活性を保持する。SPPシステムはヒトおよび酵母タンパク質に関して有効であることを示すとともに、この技術はまた、天然の発現レベルが比較的低い内在性内膜タンパク質を過剰発現させるにも有効である。このSPPシステムによれば、単離されたタンパク質の回収を必要とする実験でタンパク質精製工程を不要のものとし、より重要なことには、インタクトな生細胞におけるタンパク質の構造的および機能的研究が可能にするような、かつてないシグナル/ノイズ比が得られる。
本発明は、mRNA干渉酵素、例えば一本鎖RNA−およびACA−特異的エンドリボヌクレアーゼである細菌毒素のMazFの、インビボで全ての細胞mRNAを効率的および選択的に分解して全てのタンパク質合成の急落を生じるという独特の特性を利用する大腸菌生細胞における単一タンパク質産生(SPP)システムを記述するものである。本発明の一実施形態において、形質転換可能生細胞において非標的細胞タンパク質合成を減少させかつ単一標的タンパク質を発現するためのシステムは以下の(a)−(c)を含む。(a)少なくとも1つの第1のmRNA干渉酵素認識配列を有する細胞mRNAを含む、単離された形質転換可能生細胞;(b)mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする単離された核酸配列を含む第1の発現ベクター、ここでmRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする単離された核酸配列は、変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列を生じるように、少なくとも1つの第2のmRNA干渉酵素認識配列を別のトリプレットコドン配列で置換することによって変異されているものである;(c)場合により、標的タンパク質をコードする単離された核酸配列を含む第2の発現ベクター、ここで標的タンパク質をコードする単離された核酸配列は、変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列を生じるように、少なくとも1つの第3のmRNA干渉酵素認識配列を別のトリプレットコドン配列で置換することによって変異されているものである。ここで、単離された細胞は第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターで形質転換され、単離された細胞は、細胞中での変異標的タンパク質の発現を可能にする条件下で維持される。
別の実施形態において、本発明は以下の(a)−(g)の工程からなる、単離された生細胞における標的タンパク質の発現を増大させる方法を提供する。(a)mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする単離された核酸配列を、少なくとも1つの第1のmRNA干渉酵素認識配列を別のトリプレットコドン配列で置換して変異させて、変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列を生じる工程、(b)標的タンパク質をコードする単離された核酸配列を、第2のmRNA干渉酵素認識配列を少なくとも1つ、代替のトリプレットコドン配列で置換して変異させて、変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列を生じる工程、(c)工程(a)の変異核酸配列を含む第1の発現ベクターおよび工程(b)の変異核酸配列を含む第2の発現ベクターを用意する工程、(d)第3のmRNA干渉酵素認識配列を少なくとも1つ含む細胞メッセンジャーRNA配列を有する、単離された形質転換可能生細胞を用意する工程、(e)第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターを、前記単離された、形質転換可能生細胞に導入する工程、(f)変異mRNA干渉酵素ポリペプチドを発現させる工程、ならびに(g)単離された細胞を、細胞中での変異標的タンパク質の発現を可能にする条件下で維持する工程を含む。
以下の定義は、本発明のパラメータを述べる。
略語「ACA」は、アデニン−シトシン−アデニン配列をいう。
本明細書中で使用される場合、ある特定の核酸に関して、用語「コードする」、「コードしている」または「コードされる」は、特定のタンパク質に翻訳されるために核酸中に保存された情報をいう。タンパク質をコードする核酸は、核酸の翻訳領域内に非翻訳配列(例えばイントロン)を含んでもよく、またはかかる介在非翻訳配列を欠失していてもよい(例えば、cDNAでのように)。タンパク質をコードする情報は、コドンの使用によって特定される。典型的にはアミノ酸配列は、核酸により「ユニバーサル」遺伝子コードを用いてコードされる。
用語「コドン」は、本明細書中で使用される場合、ポリペプチド鎖中のある1つのアミノ酸残基を特定する、ヌクレオチドのトリプレットをいう。ほとんどの生物は、20または21種のアミノ酸を用いて、タンパク質またはタンパク質前駆体であるそれらのポリペプチドを産生する。DNA中には4種の可能なヌクレオチド、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびチミン(T)があるので、わずか20種のアミノ酸と終止シグナルを認識するために、64種もの可能なトリプレットがある。この冗長性のために、ほとんどのアミノ酸は、2つ以上のトリプレットによってコードされる。単一のアミノ酸を特定するコドンは、等しい頻度で使用されない。異なる生物は、しばしば、同じ所定のアミノ酸をコードするいくつかのコドンの1つに対して、特に「好む傾向」を示す。コード領域が希少コドンを高レベルでまたはクラスターとして含む場合、遺伝子の再合成または変異誘発によって希少コドンを除くと、発現が増大する可能性がある。本明細書中に援用される、J.SambrookおよびD.W.Russell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第3版、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2001年)の15.12を参照のこと。したがって、「コドン選択」を行って、選択された宿主における発現を最適化してもよい。最も好ましいコドンは、高度に発現される遺伝子に頻繁に見られるものである。大腸菌における「コドン選好性」については、本明細書中に援用される、Konigsbergら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.U.S.A.80:687〜91頁(1983年)を参照のこと。
当業者は、コードされる配列中の1つのアミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を変化、付加または欠失させるような、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列への個々の置換、欠失または付加が、変更により1つのアミノ酸が化学的に類似したアミノ酸と置き換えられる「保存的に変更されたバリアント」であることが理解できよう。用語「保存的に変更されたバリアント」とは、アミノ酸および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に変更されたバリアントとは、同一のアミノ酸配列または保存的に変更されたバリアントをコードする核酸をいう。遺伝子コードの縮重のために、多数の機能的に同一な核酸が、ある所定のタンパク質をコードする。例えば、UUA、UUG、CUU、CUC、CUAおよびCUGコドンは、全てアミノ酸ロイシンをコードする。したがって、コドンによってロイシンが特定される全ての位置で、コドンをコードされるポリペプチドを変化させることなく、上記の対応コドンのいずれかに変えることができる。かかる核酸変異は、「サイレント変異」であり、保存的に変更された変異の一種を表す。本明細書中、ポリペプチドをコードする全ての核酸配列は遺伝子コードを参照することによって、核酸の全ての可能なサイレント変異を記述するものである。当業者は、核酸中の各コドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンに対する唯一のコドンであるUGGを除く)が変更されて機能的に同一な分子を生じ得ることが理解できよう。したがって、本発明のポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、本発明の範囲内である。
用語「エオタキシン」は、本明細書中で使用される場合、C−C(またはβ)ケモカインファミリーに属する、動物およびヒトの好酸球性炎症状態に関係している、74個のアミノ酸残基からなる化学走性因子をいう。
本発明は、mRNA干渉酵素ポリペプチドの活性部分、断片、誘導体、変異体および機能的バリアントを含むが、かかる活性部分、断片、誘導体および機能的バリアントはmRNA干渉酵素のなんらかの生物学的特性を保持するものであればよい。mRNA干渉酵素ポリペプチドの「活性部分」は、全長ポリペプチドより短いが測定可能な生物学的活性を保持するペプチドを意味する。mRNA干渉酵素の「断片」は、少なくとも5個〜7個の連続したアミノ酸、しばしば少なくとも約7個〜9個の連続したアミノ酸、典型的には少なくとも約9〜13個の連続したアミノ酸、最も好ましくは少なくとも約20個〜30個の連続したアミノ酸の、アミノ酸残基の範囲を意味する。mRNA干渉酵素の「誘導体」またはその断片は、タンパク質のアミノ酸配列を変化させることによって、例えばタンパク質をコードする核酸を操作することによって、またはタンパク質自体を変化させることによって、変更されたポリペプチドを意味する。天然のアミノ酸配列のかかる誘導体は、1つまたは複数のアミノ酸の挿入、付加、欠失または置換を含んでもよく、元のmRNA干渉酵素の本質的な活性を変化させても変化させなくてもよい。
用語「遺伝子」は、DNAのセグメントの特定の位置に位置する、特定の機能的産物(すなわち、タンパク質またはmRNA分子)をコードするヌクレオチドの秩序のある配列をいう。これは、コードDNAの前および後の領域、ならびにエキソンの間のイントロンを含み得る。
用語「誘導する」または「誘導性」は、細胞を誘導物質に曝す、またはある状態、例えば熱に曝すことによって、転写または合成が増大する遺伝子または遺伝子産物をいう。
用語「誘導物質」または「誘導因子」は、リプレッサー因子と結合して、オペレーターに結合できない複合体を生じる、低分子量化合物または物理的因子をいう。
用語「誘導」は、特定の刺激に曝露された後の生物によるいくつかの特定の効果、例えば特定の遺伝子もしくはオペロンの転写またはタンパク質の産生を引き起こす作用または過程をいう。
細胞に核酸を挿入することの文脈における、用語「導入された」、「トランスフェクション」、「形質転換」、「形質導入」は、核酸が細胞のゲノム(例えば、染色体、プラスミド、プラスチドまたはミトコンドリアDNA)に組み込まれ得るか、自律レプリコンに転換され得るか、または一時的に発現され得る(例えば、トランスフェクトされたmRNA)、原核細胞または真核細胞への核酸の組み込みへの言及を含む。
用語「単離された」は、天然に生じる環境で見られる場合通常それに伴うか、または相互作用する成分を、実質的に含まない、核酸またはタンパク質等の物質をいう。単離された物質は、場合によって、その天然の環境では見られない物質を含有する。または、物質がその天然の環境にある場合、物質は、故意の人間の介入によって、合成によって(非天然に)変えられている。例えば、「単離された核酸」は、プラスミドまたはウイルスベクター等のベクターに挿入された、あるいは原核もしくは真核細胞または宿主生物のゲノムDNAに組み込まれた、DNA分子を含み得る。RNAに適用される場合、用語「単離された核酸」は、主に、上記で定義されたような単離されたDNA分子によってコードされるRNA分子をいう。あるいは、この用語は、それが天然の状態(すなわち、細胞または組織中)では一般に結合している他の核酸から十分分離されたRNA分子を言うこともある。単離された核酸(DNAまたはRNAのいずれか)はさらに、生物学的手段または合成手段によって直接作られ、作製時に存在する他の成分から分離された分子を表すこともある。
略語「IPTG」は、乳糖利用を促進する酵素であるβ−ガラクトシダーゼを、lacリプレッサーに結合して阻害することにより誘導する合成誘導物質、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドをいう。例えば、IPTGは、lacZ遺伝子を含有するプラスミドベクターを用いたクローニング戦略において合成色素生成基質Xgalと組み合わせて使用されて、組み換え体を、非組み換え細菌コロニーと区別する。
用語「MazF」は、本明細書中で使用される場合、エンドリボヌクレアーゼの一般的なクラス、特定の名前を有する特定の酵素、ならびに本発明におけるMazFポリペプチドの役割と一致した構造的および配列相同性を有するその活性断片および誘導体をいう。
略語「lspA」は、大腸菌におけるシグナルペプチダーゼII活性の原因である遺伝子をいう。
略語「LspA」は、大腸菌におけるリポタンパク質シグナルペプチダーゼ活性の原因である遺伝子をいう。
本発明に包含される酵素のファミリーは、「mRNA干渉酵素」と呼ばれる。本発明は、本発明におけるこの酵素ファミリーの役割と一致する構造的および機能的類似性を有する分子まで拡張されることが意図される。
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」または「核酸分子」は、一本鎖または二本鎖のいずれかの任意のDNAまたはRNA分子を含み、一本鎖の場合、線状または環状の形態のいずれかの、その相補配列の分子をも含む。核酸分子の議論において、特定の核酸分子の配列または構造は、配列を提供する通常の慣習に従って、5’から3’の方向で本明細書中に記載され得る。他に限定されなければ、この用語は公知の類似体を包含する。
用語「オリゴヌクレオチド」は、ホスホジエステル結合によって連結された、2つ以上、好ましくは3つより多くのリボまたはデオキシリボヌクレオチドで構成される核酸分子をいう。
用語「オペレーター」は、遺伝子(複数可)の上流(5’)の、1つまたは複数の調節タンパク質(リプレッサーまたは活性化因子)が結合して(複数可)遺伝子の発現を制御するDNAの領域をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「オペロン」は、遺伝子発現の制御のために機能的に一体となった遺伝子単位をいう。これは、1つまたは複数のポリペプチドをコードする1つまたは複数の遺伝子、および構造遺伝子の転写を制御することによってその発現を制御する隣接した部位(プロモーターおよびオペレーター)からなる。用語「発現オペロン」は、プロモーター、エンハンサー、翻訳開始シグナル、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター等の転写および翻訳制御配列を有し得る、宿主細胞または生物におけるポリペプチドコード配列の発現を促進する核酸セグメントをいう。
語句「動作可能に連結された」は、プロモーターと第2の配列との間の機能的結合をいうものであり、ここでプロモーター配列は、第2の配列に相当するDNA配列の転写を開始および媒介する。一般に、「動作可能に連結された」とは、連結される核酸配列が連続していることを意味し、2つのタンパク質コード領域を結合する必要のある場合は、連続していて同じリーディングフレーム中にあること意味する。
略語「ORF」は、内部停止配列によって中断されていない、ペプチドまたはタンパク質をコードする能力のある、塩基の配列を含有する遺伝子の配列の部分である「オープンリーディングフレーム」を表す。オープンリーディングフレームは、開始コドンで始まり、終止コドンで終わる。終止または停止コドンは、ポリペプチドの末端を決定する。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中で交換可能に使用され、アミノ酸残基のポリマーをいう。この用語は天然に生じるアミノ酸ポリマーに加え、1つまたは複数のアミノ酸残基が天然アミノ酸からその人工的な化学的類似体に変わったアミノ酸ポリマーにも適用される。
略語「PCR」は、ポリメラーゼ連鎖反応をいい、これはDNAの量を増幅させて、DNAの単離、クローニングおよび配列決定をより容易にする技術である。例えば、米国特許第5656493号、第533675号、第5234824号および第5187083号を参照のこと。これらは本明細書中に援用される。
本明細書中で使用される場合、用語「プロモーター」は、転写の開始の上流(5’)にあって、転写を開始するためのRNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の認識および結合にかかわるDNAの領域をさす。用語「誘導性プロモーター」は、特定の化合物すなわち誘導物質もしくは誘導因子の存在、または特定の外部条件(例えば上昇した温度)のいずれかに応答した、プロモーターの活性化をいう。
語句「部位特異的変異誘発」は、それによって一片のDNAに特定の部位で塩基変化、すなわち変異が導入される、組み換えDNA方法を用いたインビトロ技術をいう。
用語「非翻訳領域」またはUTRは、本明細書中で使用される場合、塩基がタンパク質合成に関係していないDNAの部分をいう。
用語、核酸の特定の配列の「バリアント」、「変異体」および「誘導体」は、特定の配列に密接に関連しているが、天然にまたは設計により配列または構造に変化を有する核酸配列をいう。「密接に関連する」とは、少なくとも60%、しばしば85%を超える配列のヌクレオチドが核酸配列の定義された長さにわたって一致することを意味する。密接に関連する核酸配列の間のヌクレオチド配列の変化または違いは、天然の特定の核酸配列が通常の複製または複写の過程の間に生じる配列中のヌクレオチド変化を表すこともある。他の変化を特定の目的のために配列に特異的に設計および導入することもできる。かかる特異的変化は、種々の変異誘発技術を用いてインビトロで行われ得る。かかる特異的に生じた配列バリアントは、元の配列の「変異体」または「誘導体」と呼ばれ得る。
当業者は、同様に、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加または置換を有するタンパク質バリアントを産生し得る。これらのバリアントとしては、とりわけ以下のものを挙げることができる。(a)1つまたは複数のアミノ酸残基が保存的または非保存的アミノ酸で置換されたバリアント、(b)1つまたは複数のアミノ酸が付加されたバリアント、(c)少なくとも1つのアミノ酸が置換基を含むバリアント、(d)ある種由来のアミノ酸残基が、保存的または非保存的位置のいずれかで、別の種の対応する残基に置換されたバリアント、および(d)標的タンパク質が、融合パートナーのような別のペプチドまたはポリペプチド、タンパク質タグまたは他の化学的部分等に融合したバリアント、これは例えば抗体に対するエピトープ等標的タンパク質に有用な特性を付与し得る。かかるバリアントを得るための技術は、遺伝学的(抑制、欠失、変異等)、化学的および酵素的技術を含み、当業者に公知である。
本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」および「発現ベクター」は、レプリコン、すなわちファージ、プラスミド、コスミド、バクミド、ファージまたはウイルス等の、担体または輸送体として作用する任意の因子をいい、それに別の遺伝子配列またはエレメント(DNAまたはRNAのいずれか)が結合することによりその配列またはエレメントの複製と宿主細胞への伝達が可能になる。本明細書中に記載される大腸菌SPPシステムは、低温でタンパク質産生を誘導する、pColdIベクターを利用する。
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用される場合、名詞は、文脈によって他に明らかに規定されない限り、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、同じ意味を有する。
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載されるものと同様または同等な任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験において用いられ得るが、好ましい方法および材料をここに説明する。本明細書中で言及される全ての刊行物は、本明細書中に援用され、刊行物が引用された方法および/または材料を開示および記載する。
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明をどのようにして行い、使用するかの完全な開示および説明を当業者に提供するよう提出され、本発明者らがその発明と見なすものの範囲を限定することを意図せず、また、下記の実験が行われた全てまたは唯一の実験であることを表すことを意図しない。使用した数(例えば、量、温度等)に関しては正確を期したが、いくつかの実験誤差および偏りが計上されるべきである。他に示されなければ、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧または大気圧近くである。
菌株およびプラスミド
下記の実験において、大腸菌BL21(DE3)細胞を用いた。mazF遺伝子を、pACYCDuet(Novagen)のNdeI−XhoI部位にクローニングして、プラスミドpACYCmazFを作製した。pACYCmazFを鋳型として用いた部位特異的変異誘発によって、pACYCmazF(−9ACA)を構築した。最適な大腸菌コドン使用頻度(図2A参照)に基づいてエオタキシン遺伝子を合成し、pColdI(SP−1)のNdeI−HindIII部位にクローニングして、プラスミドpColdI(SP−1)エオタキシンを作製した。pColdI(エオタキシン)を鋳型として用いた部位特異的変異誘発によって、テキストに記載されるように、pColdI(SP−1)エオタキシンを構築した。QuickChange部位特異的変異誘発キット(Stratagene)のための使用説明書に従って、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて変異誘発を行った。pColdI(SP−1)エオタキシンを鋳型として用いた部位特異的変異誘発によって、pColdI(SP−2)エオタキシンもまた構築した。pColdI(SP−1)エオタキシンを鋳型として用いた部位特異的変異誘発によって、pColdI(SP−1)エオタキシン(+ACA)を構築した。野生型Hsp10遺伝子を、酵母染色体を鋳型として用いたPCRによって増幅し、pColdI(SP−2)のNdeI−BamHI部位にクローニングして、プラスミドpColdI(SP−2)Hsp10を作製した。酵母染色体を鋳型として用いた二段階PCRによって無ACAHsp10遺伝子を増幅し、pColdI(SP−2)のNdeI−BamHI部位にクローニングしてプラスミドpColdI(SP−2)Hsp10(−ACA)を作製した。鋳型として野生型Rpb12プラスミド、および変化した配列を含有する5’および3’オリゴヌクレオチドを用いたPCRによって野生型および無ACARpb12遺伝子を増幅しpColdI(SP−2)のNdeI−BamHI部位にクローニングして、プラスミドpColdI(SP−2)Rpb12およびpColdI(SP−2)Rpb12(−ACA)をそれぞれ作製した。二段階PCRによって無ACALspA遺伝子を増幅し、pColdI(SP−2)のNdeI−BamHI部位にクローニングしてプラスミドpColdIV(SP−2)lspA(−ACA)を作製した。
インビボでのタンパク質合成のアッセイ
これらのプラスミドを担持する大腸菌BL21(DE3)を、M9−グルコース培地中で増殖させた。培養物のOD600が0.5に達したときに、培養物を15℃に45分間移し、1mMのIPTGを培養物に添加した。指示された時間間隔で、10mCi[35S]−メチオニンを含む試験管に1mlの培養物を加えた。15分間のインキュベーション(パルス)後、0.2mlの40mg/mlメチオニンを添加し、さらに5分間インキュベートした(チェイス)。標識された細胞をM9−グルコース培地で洗浄し、100μlのSDS−PAGEローディングバッファーに再懸濁した。各試料10μlを、SDS−PAGEと、それに続くオートラジオグラフィによって解析した。
膜画分の調製
1mlの培養物から遠心分離(10,000×gで5分間)によって採取した細胞を、10mM Tris−HCl(pH7.5)に懸濁し、超音波によって破砕した。破壊されなかった細胞を除去した後、全膜画分を、遠心分離(100,000×gで60分間)によって得た。
細胞タンパク質合成のMazF誘発の効果
pACYCmazFを担持している大腸菌BL21(DE3)細胞を、pColdI(SP−1)エオタキシン(1Aおよび1Bの左パネル)またはpColdI(SP−2)エオタキシン(1Bの右パネルおよび1C)のいずれかで形質転換した。細胞をM9培地中、37℃で増殖させた。OD600が0.5で、培養物を15℃に移し、15℃で45分間インキュベートして細胞を低温に順化させた後、IPTG(1mM)を添加して、エオタキシンおよびMazF発現の両方を誘導した(時間0)。各ゲルの上部に示される時点で、細胞を35S−メチオニンで15分間パルスラベルし、全細胞タンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)と、それに続くオートラジオグラフィによって解析した。
pACYCmazFは、mazF遺伝子を、IPTG誘導性ファージT7プロモーターを含有する低コピー数プラスミドであるpACYCにクローニングして作製した。クローニング技術は、一般に、本明細書に援用されるJ.SambrookおよびD.W.Russell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual第3版、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2001年)に見ることができる。IPTGを含有する寒天プレート上にコロニーはまったく形成されなかったので、pACYCmazFで形質転換された大腸菌BL21(DE3)はlac誘導物質であるIPTGに感受性があった(示さず)。
図1は、SDS−PAGEによる、MazF同時発現のあるまたはない状態での、pColdI(SP−1)およびpColdI(SP−2)を用いたヒトエオタキシンの発現を示す。図1Bは、pColdI(SP−1)エオタキシンで形質転換された細胞(左パネル)、およびpColdI(SP−2)エオタキシンで形質転換された細胞(右パネル)の結果を示す。図1Cは、pACYCmazFとpColdI(SP−2)エオタキシンで形質転換された細胞の結果を示し、LB(左パネル)またはM9培地(右パネル)中でインキュベートした。図1Aおよび図1Bと同様にして細胞を処理し、示された時点で、SDS−PAGEとそれに続くクマシーブルー染色によって、全細胞タンパク質を解析した。解析のために同じ体積の培養物が採取されたことに留意されたい。分子量マーカーの位置をゲルの左側に示し、エオタキシンの位置を矢印で示す。MazFはmRNAをACA配列において効果的に切断するので、細胞タンパク質合成は37℃でMazF誘発の際に(Zhangら、Mol.Cell 12:913〜23頁(2003年))、または図1Aに示されるように15℃で、劇的に阻害された。この寒冷ショック実験では、pACYCmazFを担持している細胞を、まず15℃で45分間インキュベートして、寒冷ショック順化に必要とされる寒冷ショックタンパク質を誘導した(Thieringerら、Bioassays 20(1):49〜57頁(1998年)参照)。次いで、IPTGを培養物に添加して、MazFを誘導した(図1A、左パネルの時間0)。ゲルの上部に示される時点で、[35S]メチオニンで15分間細胞をパルスラベルした。パネルA左パネルは、pACYCエオタキシンのみで形質転換された細胞の結果を示す。パネルA中央パネルは、pColdI(SP−1)エオタキシンのみで形質転換された細胞の結果を示す。パネルA右パネルは、両方のプラスミドで形質転換された細胞の結果を示す。
時間0で、IPTGなしの細胞(対照、Cとして示される)のものと非常に類似したパターンが観察されたが、細胞タンパク質合成はIPTGの添加の1時間後に劇的に阻害された。6時間後、ほとんど全ての細胞タンパク質の合成が、ほとんど完全にブロックされた。
MazF誘発細胞における無ACAmRNAの発現
本発明者らは、ACA配列を含まないよう操作されたmRNAをMazF誘発細胞中で発現させた場合にmRNAが細胞中で安定して維持されて、他のいかなる細胞タンパク質も産生することなく、mRNAによってコードされるタンパク質が産生され得ると推測した。この可能性を試験するために、本発明者らは、アミノ酸配列を変化させることなく遺伝子中の全てのACA配列を排除して、ヒトエオタキシンの遺伝子を合成した。図2Aは、ヒトエオタキシンのアミノ酸配列およびその遺伝子のヌクレオチド配列を示す。ヌクレオチド配列は、好ましい大腸菌コドンを用いて設計し、下線を引いたトリプレットを、下記の実験においてACAに変化させた。ACA配列は、リーディングフレーム中のACA配列の位置にかかわらず、タンパク質のアミノ酸配列を変化させることなく他のMazF切断不可能配列に変えることができる。これは64種の可能性のあるトリプレット配列の中で類がないものである。
図2Aに示されるエオタキシン遺伝子を、主要な寒冷ショックタンパク質であるCspAのcspA遺伝子の翻訳促進エレメントからの配列(Qingら、Nat.Biotechnol.22:877〜882頁(2004年))、6個のHis残基、第Xa因子切断部位、および遺伝子挿入のためのNdeI部位由来のHis−Met配列からなる、17残基の配列と融合させた。融合タンパク質のコード領域全体を、寒冷ショックの際に高タンパク質発現を可能にする寒冷ショックベクターであるpColdI(SP−1)およびpColdI(SP−2)ベクター(Qingら、Nat.Biotechnol.22:877〜882頁(2004年))に挿入した。pColdI(SP−1)においては2つのACA配列、シャイン・ダルガーノ配列と開始コドンとの間に1つと翻訳促進エレメントに1つ、をAUAに転換させた。pColdI(SP−2)においては、pColdI(SP−1)中の2つのACA配列に加えて、5’−非翻訳領域(5’−UTR)中の3つの他のACA配列もまた、塩基置換によってMazF切断不可能配列に変化させた(5’ACAから3’ACAへ順に、GCA、AUAおよびGCA)。得られた構築体、pColdI(SP−1)エオタキシンおよびpColdI(SP−2)エオタキシンで、それぞれ大腸菌BL21(DE3)細胞を形質転換した。
pColdI(SP−1)エオタキシンで形質転換された細胞に15℃で寒冷ショックを与えて1時間低温に順化させた後、IPTGを添加して、エオタキシン産生を誘導した。次いで細胞を[35S]メチオニンで15分間パルスラベルした(時間0、図1A、中央パネル)。時間0から、72時間のインキュベーションの間、他の細胞タンパク質とともに、ほぼ一定のレベルでエオタキシンが産生された。12時間の時点でのエオタキシンの産生は、[35S]メチオニン取り込みから判断して、全細胞タンパク質合成のおよそ11%であった。
pACYCmazFおよびpColdI(SP−1)エオタキシンの両方を含む大腸菌BL21(DE3)を用いてエオタキシンおよびmazF遺伝子の両方が同時発現された場合、バックグラウンド細胞タンパク質合成は3時間の誘導後に劇的に減少したが、エオタキシン産生はほぼ一定のレベルで72時間持続した(図1A、右パネル)。興味深いことに、この実験におけるエオタキシン産生のレベルは、MazF誘発なしのもの(図1A、中央パネル、12時間で47%)よりも高かった(図1A、右パネル、12時間で全タンパク質産生の11%)。このおよそ5倍の濃縮は、細胞のmRNAがMazFによって分解されるので、エオタキシンmRNA翻訳により多くのリボソームが利用可能になったことによるようである。注目すべきことに、12時間より後の時点では、固有のタンパク質バンドは観察されなかった。
pACYCmazFおよびpColdI(SP−2)エオタキシンの両方を含む細胞を用いて同じ実験を行った場合、ほとんどエオタキシンのみが産生された(図1B、右パネル)。注目すべきことに、エオタキシン産生はpColdI(SP−1)エオタキシンを用いたものより実質的に高かった(図1B、左パネル)。この、より高いエオタキシンの産生は、pColdI(SP−1)中の5’−UTRのACA配列を除いたことよる、エオタキシンmRNAの安定化によるようである。MazF誘発の12時間後に、およそ90%の[35S]メチオニンがエオタキシンに取り込まれており、注目すべきことに、明確な細胞タンパク質バンドは認められず(図1B、右パネル)、本SPPシステムによってエオタキシンのシグナル対ノイズ比が劇的に向上したことが示される。高レベルのエオタキシン産生が誘導の96時間後でも減少しなかったことは注目に値する。さらに、バックグラウンド細胞タンパク質合成は、pColdI(SP−1)エオタキシンを用いた場合(6時間で)よりも早く(3時間で)減少した(図1Bの左パネルを右パネルと比較されたい)。
両方のベクター(図1Aおよび1B)があると、細胞増殖は、OD600およびまた細胞タンパク質への[35S]メチオニン取り込みで判断して、MazF誘発の際に完全にブロックされた。これらの結果から、MazF誘発によって増殖停止された細胞は生理学的に死滅しておらず、むしろ、そのmRNAがACA配列を持たなければタンパク質を合成する能力を完全に有していることがわかる。これは、言い換えると、大腸菌BL21(DE3)細胞の、細胞の完全性が長時間にわたって無傷で維持されており、増殖停止された細胞において、エネルギー代謝だけでなくアミノ酸およびヌクレオチドの生合成機能も完全に活性があることを示す。さらに、RNAポリメラーゼ、リボソーム、tRNA、およびタンパク質合成に必要とされる他の全ての因子を含む、転写および翻訳機序もまた、十分維持されている。
pColdI(SP−2)エオタキシンを用いたエオタキシンの産生は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法後のクマシーブルー染色によって、主要なバンドとして現れる(図1C)。0時間の時点で、エオタキシンバンドはほとんど認められないが、12時間目では主要なバンドになり、その濃度は24時間後でも増大している。しかしながら、より長いインキュベーションしても、その産生レベルは顕著に促進されず、MazF誘発細胞におけるエオタキシン産生の閾値レベルがあることが示唆される。[35S]メチオニン取り込みは96時間にわたって一定に維持されたので(図1B)、SPPシステムにおけるエオタキシン産生および分解は、24時間後に平衡に達するようである。MazF誘発の際の完全な増殖阻害から予想されるように細胞タンパク質のバンドの濃度が一定のままであったことに注目することは重要である。本発明者らは、エオタキシン産生がLB培地等の富栄養培地によって影響されるかどうかを調べたが、pColdI(SP−2)を用いた場合、LB培地の使用によってエオタキシン産生が、限定されたM9培地で得られるレベルより促進されることはなかった。
タンパク質産生に対するACA配列の負の効果
図1で観察されるMazF誘発細胞における排他的エオタキシン産生が、ACAを持たないエオタキシンmRNAによることを確認するために、図2Aに示されるように、エオタキシン遺伝子に、そのアミノ酸配列を変化させることなく、5つの本来のACA配列を付加した。pColdI(SP−2)の使用によってエオタキシン遺伝子を発現させ、図1に記載されているのと同様にして細胞を処理し、[35S]−メチオニンで標識した。左パネルは、無ACAエオタキシン遺伝子の結果を示し(図1Bの左パネルと同じである)、右パネルは5つのACA配列を有するエオタキシン遺伝子の結果を示す。
この遺伝子を、図1に記載されるのと同じ条件下で、pColdI(SP−1)とpACYCmazFをともに用いることによって発現させた場合、最初の2時間低レベルのエオタキシン産生が観察されたのみで、後の時点では、無ACAmRNAでの発現(図2B、左パネル)と比較して、産生はバックグラウンドレベルまでさらに減少した(図2B、右パネル)。
不思議なことに、mazF遺伝子は異常に高いACA含量(111残基のタンパク質中9つのACA配列)を有するmRNAをコードし(MazEでは82アミノ酸残基中わずか2つのACA配列)、細胞においてmazF発現が負に調節されていることが示唆される。したがって、本発明者らは、無ACAmazF遺伝子[pACYCmazF(−9ACA)]を構築し、mazFコード領域からこれらのACA配列を除去すると、バックグラウンド細胞タンパク質産生をより効果的に減らせるかどうかを試験した。
図3は、mazF ORF中の全てのACA配列を除去した場合の、エオタキシン発現に対する効果を示す。パネルAは、MazFのアミノ酸配列、およびそのORFのヌクレオチド配列を示す。下線を引かれたトリプレット配列(合計9個)は、野生型mazF遺伝子中で元々ACAであり、MazF切断不可能配列に変化された。パネルBは、野生型mazF遺伝子(左パネル)および無ACAmazF遺伝子(右パネル)を用いた、pColdI(SP−2)エオタキシンによるエオタキシンの発現を示す。実験は、図1に記載されるように行った。
図3Aに示されるように、塩基置換はいずれもMazFのアミノ酸配列を変化させない。pYCACmazF(−9ACA)を含む細胞は、M9培地中ではpYCACmazFを含む細胞よりも少し増殖が遅かったが、バックグラウンドタンパク質合成は、エオタキシン産生に顕著に影響することなく、さらに減少した(図3B)。これらの結果は、mRNA中のACA配列がMazF誘発細胞中のタンパク質産生に重要な役割を果たしていることを明らかに示す。
酵母タンパク質へのSPPシステムの適用
本発明者らは、SPPシステムを2つの酵母タンパク質、熱ショック因子Hsp10およびRNAポリメラーゼサブユニットRpb12に適用した。Hsp10およびRpb12のORFは、それぞれ3つおよび1つのACAを含み、それらのアミノ酸配列を変化させることなく、これをMazF切断不可能配列に転換した(図4A)。これらおよび野生型配列をそれぞれpColdI(SP−2)に挿入した。得られたプラスミドを、それぞれ、野生型Hsp10に対してpColdI(SP−2)Hsp10、変異Hsp10に対してpColdI(SP−2)Hsp10(−1ACA)、野生型Rpb12に対してpColdI(SP−2)Rpb12、およびpColdI(SP−2)Rpb12(−3ACA)と名づけた。これらのプラスミドで、pACYCmazFを含む大腸菌BL21(DE3)を個々に形質転換した。次いでタンパク質発現パターンを、15℃で48時間調べた。
SPPシステムにおける酵母タンパク質の発現を図4に示す。pColdI(SP−2)を用いて、酵母Hsp10およびRpb12を、それらの遺伝子中のACA配列ありおよびなしで、SPPシステムにおいて発現させた。実験は、図1に関して上述したように行った。図4Aは、野生型および無ACAHsp10遺伝子を用いたHsp10の発現を示す。106個のコドンからなるhsp10 ORFは3つのACA配列(A25−Q26のGCA−CAA、T29のACAおよびP76−Q77のCCA−CAG)を含み、これらをそれぞれGCC−CAA、ACCおよびCCC−CAGに転換した(変化させた塩基は太字で示す)。これらの塩基置換は、Hsp10のアミノ酸配列を変化させない。図4Bは、野生型および無ACA遺伝子を用いたRpb12の発現を示す。70個のコドンからなるrpb12 ORFは、T10に1つのACAを含み、これはスレオニン用ACCに転換された。
図4Aは、天然の3つのACA配列(WT)があってもHsp10はそれなりのレベルで発現されることを示す。しかしながら、全てのACA配列を除去すると、Hsp10合成は有意に数倍増した。おそらくより多くのリボソームがHsp10の産生に専ら用いられたために、無ACAHsp10の場合、バックグラウンドもまた顕著に減少したことは、注目に値する。図4Bでは野生型パネルでは35S−メチオニン取り込みがほとんど観察されず、無ACARpb12ではそれなりの取り込みが見られた。したがってRpb12は1つのACAしか含まないにもかかわらず、これがSPPシステムにおける産生において壊滅的な効果を引き起こすことを示す。これらの結果から、MazFに対するmRNA感受性はmRNA中のACA配列の数だけでなく、MazFに対するACA配列の効果的な感受性によっても支配され得ることが示唆される。リボソームはmRNAをMazFによるその切断から保護すると考えられるので、ACA配列感受性は、mRNAの一本鎖領域中のその位置、ならびにリボソームによるmRNAの効果的翻訳によって決定されるようである。
内在性膜タンパク質へのSPPシステムの適用
本発明者らは、SPPシステムを微量内在性膜タンパク質へ適用しようと試みた。本発明者らは、リポタンパク質のシグナルペプチドの切断に特異的に必要とされる、大腸菌中のシグナルペプチダーゼIIの遺伝子lspAを選択した(TokudaおよびMatsuyama、Biochem.Biophys.Acta 1693:5〜13頁(2004年))。大腸菌は、合計96種のリポタンパク質を含み、これらは、成熟したリポタンパク質の第2のアミノ酸残基の性質(酸性であるか中性であるか)により、内膜または外膜のいずれかで集合することが知られている(YamaguchiおよびInouye、Cell 53:423〜432頁(1988年)、TokudaおよびMatsuyama、Biochem.Biophys.Acta 1693:5〜13頁(2004年))。他の全ての分泌タンパク質のシグナルペプチドは、シグナルペプチダーゼI(リーダーペプチダーゼ)によって切断されるが、これは大腸菌中に1細胞あたり500分子のレベルでしか存在しないと推定される(Wolfeら、J.Biol.Chem.257:7898〜7902頁(1982年))。
リポタンパク質シグナルペプチダーゼ(LspA)もまた、内膜中の非常に少量のタンパク質であると考えられている。これは164個のアミノ酸残基からなり、4つの推定膜貫通ドメインを含むので、LspAが内在性内膜タンパク質であることが示される。IspA ORF中の3つのACA配列を、そのアミノ酸配列を変化させることなく非MazF切断可能配列に変化させ、mazF(−9ACA)を用いたSPPシステムにおいて、pColdI(SP−2)を用いて無ACALspAを発現させた。
pColdL(SP−2)を用いたSPPシステムにおける、内膜タンパク質LspAの発現を図5に示す。LspA(シグナルペプチダーゼII、リポタンパク質シグナルペプチダーゼ)を、図1に記載されるようにSPPシステムにおいて発現させた。パネルAは全細胞タンパク質を示す。パネルBは膜画分を示す。LspAの位置を矢印で示す。
図5Aに示されるように、35S−メチオニン取り込みがIPTG誘導後1時間しか続かなかったので、SPPシステムにおけるLspAの発現は、見かけ上細胞に対して毒性がある。しかし、図5Bに示されるように、0時間および1時間の時点でのLspAバンド濃度は他の細胞タンパク質バンドと比較して最も高かったので(図5A中のCレーンと比較されたい)、かなりの35S−メチオニンがLspAに取り込まれるようである。0時間および1時間で観察されたバックグラウンドの細胞タンパク質合成は、超遠心分離によって容易に除去され、35S−メチオニン取り込みは膜画分に高度に濃縮された。
考察
本研究は、mRNA干渉酵素による細胞タンパク質合成の完全な阻害が、細胞生理機能劣化効果がないことを示す。MazFによりほとんど全ての細胞mRNAがACA配列で切断される結果として、細胞タンパク質合成は完全にブロックされ、これは言い換えると、完全な細胞増殖停止につながる。しかし驚いたことに、MazF誘発によって増殖停止された細胞は、mRNAがACA配列を有さないように改変されていれば、タンパク質合成を高レベルで長時間にわたって(15℃で少なくとも96時間)行う能力があることがわかった。このようにして、本発明者らは、インビボでの単一タンパク質産生(SPP)を確立することに初めて成功した。
本発明者らの結果から、MazF誘発細胞が死んでいないことが実証される。MazFを誘発しても、RNAおよびタンパク質合成を含む種々の細胞機能に必要とされる十分なATPを産生するエネルギー代謝は維持され、細胞の統合性は妨げられない。また、アミノ酸およびヌクレオチドの生合成もまた、無傷のまま維持される。新しい細胞タンパク質合成が完全にない状態で、これらの細胞機能に必要とされる全てのタンパク質因子(例えばタンパク質合成に必要とされるタンパク質因子)および細胞代謝が15℃で少なくとも96時間安定して維持されることがわかったのは、実に驚くべきことである。SPP能力に影響することなくこれらの細胞機能がどれぐらいの時間保持され得るかは、まだ決定されていない。それらの細胞は一見して休止状態にあるように見えるが、それらは、RNAおよびタンパク質合成の能力を完全に有しており、栄養の欠乏による静止期によって引き起こされる休止状態とは明らかに異なる。本発明者らは、MazF誘発によって生じる生理学的状態を、「擬休止」状態と呼ぶことを提案する。擬休止細胞が死んでいるかいないかは、まだ決定されていない。細菌の生存能は、種々の処理後の細胞のコロニー形成能力によってしばしば決定される。MazF誘発後の大腸菌細胞の生存能をこの方法で調べたが、MazEが誘発されれば、MazF誘発後の限られた時間のインキュベーションの間に、生育が再開されることが示されている(Pedersenら、Mol.Microbiol.45:501〜10頁(2002年)、Amitaiら、J.Bacteriol.186:8295〜8300頁(2004年))。したがって、MazFの効果はある程度可逆的であるが、全ての細胞が死ぬことになる「引き返し限界点」があると主張されている(Amitaiら、J.Bacteriol.186:8295〜8300頁(2004年))。重要なのは、両方のグループによって用いられているMazE遺伝子は、そのORF中に2つのACA配列を含むことである。本結果から、MazF誘発細胞において任意の遺伝子が発現されるためには、これらの遺伝子中のACA配列がMazF切断不可能配列に転換されなければならないことが明らかに示される。したがって、MazFを発現している擬休止細胞は、MazEのORFから全てのACA配列が排除されていなければMazEを発現できない可能性が高い。
生細胞または非死細胞において目的の単一タンパク質のみを産生する能力は、これまで達成できなかった、生細胞におけるタンパク質の種々の側面を研究するための新規なアプローチを提供する。SPPシステムを用いると生細胞中で目的のタンパク質を同位元素(15Nおよび13C)で排他的に標識することができるので、生細胞中でタンパク質のNMR構造を調べることも可能かもしれない。最近本発明者らは、高発現寒冷ショックベクターpColdによって目的のタンパク質を発現させると、タンパク質精製なしで細胞溶解物を用いて、タンパク質のNMR構造決定ができることを示した(Qingら、Nat.Biotechnol.22:877〜882頁(2004年))。我々はここで、MazFとpColdベクターを一緒に用いると、バックグラウンド細胞タンパク質合成がMazF誘発によってほとんど完全にブロックされるので、シグナル対ノイズ比が劇的に減少することを示す。これらの実験において、本発明者らは、pColdIベクター自体からのACA配列の除去もまた非常に重要であり、それによってエオタキシン産生が5倍向上することを示した。MazFと組み合わせた場合、エオタキシン合成の割合は、35S−メチオニン取り込みで判断して、全細胞タンパク質合成の90%のレベルであった。残りの10%は、いかなる特定のタンパク質バンドへも取り込まれることなく、一般的なバックグラウンドを構成した。これは、次に、大量に発現された場合は毒性があるために産生が限られている非常に少量のタンパク質の構造研究を行うことを可能にする。本発明者らは、実際にここで非常に少量の内膜タンパク質であるLspAが膜画分中で排他的に発現され得ることを実証した。いくつかのタンパク質は生細胞中でしかフォールディングができないので、その構造研究はSPPシステムの使用によってのみ達成され得る。
その他のSPPシステム独特の利点は、MazF誘発の際に細胞増殖が完全にブロックされるので、高度に濃縮された培養物中で、目的のタンパク質が産生、または同位元素で標識され得る点である。SPPシステムを、タンパク質だけでなく他の非タンパク質化合物の産生にも使用することも可能である。さらに、SPPシステムは細菌に限定されず、MazFおよび他のmRNA干渉酵素を真核細胞に適用して酵母および哺乳動物細胞においてSPPシステムをつくることも可能である。
本明細書中にある範囲の値が提供される場合、他に文脈によって明らかに規定されない限り、低い方の限界の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間の、間にある値のそれぞれ、およびその述べられた範囲の任意の他の述べられた、または間にある値が本発明に包含されることが理解される。述べられた範囲の、任意の具体的に排除された限界を条件として、これらの、より小さい範囲に独立して含まれ得る、より小さい範囲の上限および下限もまた、本発明に包含される。述べられた範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限界の両方を排除する範囲もまた、本発明に含まれる。
本明細書中で議論された刊行物は、単に本願の出願日前のそれらの開示に関してのみ提供される。本明細書中で、本発明が以前の発明のためにかかる刊行物に先立つ権利がないと認めるものと解釈されるべきものはない。さらに、提供される発行の日付は、実際の発行の日付と異なり得、個々に確認される必要があり得る。
特定の実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変化がなされ得、同等物が置換され得ることは、当業者によって理解されるべきである。また、特定の状況、物質、組成物、方法、方法の1つまたは複数の工程を目的の本発明の精神および範囲に適応させるように、多くの変更がなされ得る。かかる変更は全て、ここに添付される特許請求の範囲の範囲内にあるよう意図される。
MazF同時発現ありまたはなしでpColdI(SP−1)およびpColdI(SP−2)を使用した、ヒトエオタキシンの発現を示す図である。 MazF同時発現ありまたはなしでpColdI(SP−1)およびpColdI(SP−2)を使用した、ヒトエオタキシンの発現を示す図である。 MazF同時発現ありまたはなしでpColdI(SP−1)およびpColdI(SP−2)を使用した、ヒトエオタキシンの発現を示す図である。 エオタキシン発現に対するACA配列の効果を示す図である。 エオタキシン発現に対するACA配列の効果を示す図である。 エオタキシン発現に対する、MazF ORF中の全てのACA配列の除去の効果を示す図である。 エオタキシン発現に対する、MazF ORF中の全てのACA配列の除去の効果を示す図である。 SPPシステムにおける酵母タンパク質の発現を示す図である。 pColdIV(SP−2)を用いたSPPシステムにおける、内膜タンパク質であるLspAの発現を示す図である。

Claims (68)

  1. 形質転換可能生細胞において非標的細胞タンパク質合成を減少させながら単一標的タンパク質を発現するためのシステムであって、
    (a)第1のmRNA干渉酵素認識配列を少なくとも1つ有する細胞mRNAを含む単離された形質転換可能生細胞;
    (b)mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする単離された核酸配列を含む第1の発現ベクター、ここでmRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする単離された核酸配列は、少なくとも1つの第2のmRNA干渉酵素認識配列を代替のトリプレットコドン配列で置換することによって変異されて変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列となる;
    (c)任意に、標的タンパク質をコードする単離された核酸配列を含む第2の発現ベクター、ここで標的タンパク質をコードする単離された核酸配列は、少なくとも1つの第3のmRNA干渉酵素認識配列が代替のトリプレットコドン配列で置換されて変異されて、変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列を生じる;
    を含んでなり、単離された細胞が第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターで形質転換されており、単離された細胞が、細胞における変異標的タンパク質の発現を可能にする条件下で維持されることを特徴とするシステム。
  2. 第1および第2の発現ベクターが、それぞれ少なくとも1つの調節配列をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
  3. 少なくとも1つの調節配列が、少なくとも1つの誘導性プロモーターである、請求項2に記載のシステム。
  4. 第1の発現ベクターにおける少なくとも1つの誘導性プロモーターが、変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列に動作可能に連結されている、請求項3に記載のシステム。
  5. 第2の発現ベクターにおける少なくとも1つの誘導性プロモーターが、変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列に動作可能に連結されている、請求項3に記載のシステム。
  6. (b)における変異核酸配列が、非変異mRNA干渉酵素ポリペプチドのアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする、請求項1に記載のシステム。
  7. (c)における変異核酸配列が、非変異標的タンパク質のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する変異標的タンパク質をコードする、請求項1に記載のシステム。
  8. 変異mRNA干渉酵素ポリペプチドが細胞において発現された場合に細胞メッセンジャーRNA中の少なくとも1つの第1のmRNA干渉酵素認識配列を認識する、請求項1に記載のシステム。
  9. 細胞メッセンジャーRNAが変異mRNA干渉酵素ポリペプチドによって選択的に切断され、それによって非標的細胞タンパク質合成が減少する、請求項1に記載のシステム。
  10. 第1のmRNA干渉酵素認識配列、第2のmRNA干渉酵素認識配列および第3のmRNA干渉酵素認識配列が同じmRNA干渉酵素認識配列である、請求項1に記載のシステム。
  11. mRNA干渉酵素認識配列がアデニン−シトシン−アデニンである、請求項10に記載のシステム。
  12. 変異標的タンパク質をコードする、発現されたメッセンジャーRNAが、細胞中で安定して維持される、請求項1に記載のシステム。
  13. 変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列がさらに変異されてレアコドンを好ましいコドンに置換して二重変異核酸配列を生じ、二重変異核酸配列が、非変異標的タンパク質のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する二重変異標的タンパク質をコードする、請求項1に記載のシステム。
  14. 二重変異標的タンパク質をコードする二重変異核酸配列が、二重変異標的タンパク質をコードする二重変異核酸配列に動作可能に連結されている誘導性プロモーターを含む、請求項13に記載のシステム。
  15. 二重変異標的タンパク質をコードする、発現されたメッセンジャーRNAが、細胞中で安定して維持される、請求項13に記載のシステム。
  16. 変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列がさらに変異されてレアコドンを好ましいコドンに置換して二重変異核酸配列を生じ、二重変異核酸配列が、非変異mRNA干渉酵素ポリペプチドのアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する二重変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする、請求項1に記載のシステム。
  17. 二重変異標的タンパク質をコードする二重変異核酸配列が、二重変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする二重変異核酸配列に動作可能に連結されている誘導性プロモーターを含む、請求項16に記載のシステム。
  18. 細胞が哺乳動物細胞である、請求項1に記載のシステム。
  19. 細胞が真核細胞である、請求項1に記載のシステム。
  20. 細胞が原核細胞である、請求項1に記載のシステム。
  21. 細胞が大腸菌細胞である、請求項20に記載のシステム。
  22. 変異mRNA干渉酵素ポリペプチドがMazFである、請求項1に記載のシステム。
  23. 変異mRNA干渉酵素ポリペプチドがMazFの機能的断片である、請求項1に記載のシステム。
  24. 変異mRNA干渉酵素ポリペプチドがMazFの機能的バリアントである、請求項1に記載のシステム。
  25. 標的タンパク質が哺乳動物タンパク質である、請求項1に記載のシステム。
  26. 哺乳動物タンパク質がヒトタンパク質である、請求項25に記載のシステム。
  27. 標的タンパク質が酵母タンパク質である、請求項1に記載のシステム。
  28. 標的タンパク質が微量細菌タンパク質である、請求項1に記載のシステム。
  29. 標的タンパク質が、毒性の少量タンパク質である、請求項28に記載のシステム。
  30. 細胞が、少なくとも1つの放射性標識同位元素を含む培地中で維持される、請求項1に記載のシステム。
  31. 変異タンパク質が、発現された場合に放射性同位元素標識される、請求項30に記載のシステム。
  32. 標的タンパク質をコードする単離された核酸配列がポリメラーゼ連鎖反応によって増幅される、請求項1に記載のシステム。
  33. (a)mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする単離された核酸配列を変異させて少なくとも1つの第1のmRNA干渉酵素認識配列を代替のトリプレットコドン配列で置換して、変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列を生じる工程、
    (b)標的タンパク質をコードする単離された核酸配列を変異させて少なくとも1つの第2のmRNA干渉酵素認識配列を代替のトリプレットコドン配列で置換して、変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列を生じる工程、
    (c)工程(a)の変異核酸配列を含む第1の発現ベクターおよび工程(b)の変異核酸配列を含む第2の発現ベクターを提供する工程、
    (d)少なくとも1つの第3のmRNA干渉酵素認識配列を含む細胞メッセンジャーRNA配列を有する、単離された、形質転換可能生細胞を提供する工程、
    (e)第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターを、単離された、形質転換可能生細胞に導入する工程、
    (f)変異mRNA干渉酵素ポリペプチドを発現させる工程、ならびに
    (g)単離された細胞を、細胞における変異標的タンパク質の発現を可能にする条件下で維持する工程
    を含む、単離された生細胞における標的タンパク質の発現を増大させる方法。
  34. 第1および第2の発現ベクターが、それぞれ少なくとも1つの調節配列をさらに含む、請求項33に記載の方法。
  35. 少なくとも1つの調節配列が少なくとも1つの誘導性プロモーターである、請求項34に記載の方法。
  36. 第1の発現ベクターにおける誘導性プロモーターが、変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列に動作可能に連結されている、請求項35に記載の方法。
  37. 変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列に動作可能に連結された誘導性プロモーターを誘導因子で誘導して変異mRNA干渉酵素ポリペプチドを発現させる工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
  38. 変異mRNA干渉酵素ポリペプチドが細胞メッセンジャーRNAを選択的に切断し、それによって非標的細胞タンパク質合成を減少させる、請求項37に記載の方法。
  39. 第2の発現ベクターにおける誘導性プロモーターが、変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列に動作可能に連結されている、請求項35に記載の方法。
  40. 変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列に動作可能に連結された誘導性プロモーターを誘導因子で誘導して変異標的タンパク質を発現させる工程をさらに含む、請求項39に記載の方法。
  41. 第1の発現ベクターにおける誘導性プロモーターが変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列に動作可能に連結されており、第2の発現ベクターにおける誘導性プロモーターが変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列に動作可能に連結されており、さらに以下の工程:
    変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列に動作可能に連結された誘導性プロモーターを第1の誘導因子で誘導して変異mRNA干渉酵素ポリペプチドを発現させる工程、および
    変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列に動作可能に連結された誘導性プロモーターを第2の誘導因子で誘導して変異標的タンパク質を発現させる工程
    を含む、請求項33に記載の方法。
  42. 細胞が第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターでコトランスフェクションされる、請求項33に記載の方法。
  43. 工程(a)が、
    変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異核酸配列をさらに変異させてレアコドンを好ましいコドンで置換して、非変異mRNA干渉酵素ポリペプチドのアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する二重変異mRNA干渉酵素をコードする二重変異核酸配列を生じる工程
    をさらに含む、請求項33に記載の方法。
  44. 工程(b)が、
    変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列をさらに変異させてレアコドンを好ましいコドンで置換して、非変異標的タンパク質のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する二重変異標的タンパク質をコードする二重変異核酸配列を生じる工程
    をさらに含む、請求項33に記載の方法。
  45. 工程(a)が、
    変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする変異誘導性核酸配列をさらに変異させてレアコドンを好ましいコドンで置換して、非変異mRNA干渉酵素ポリペプチドのアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する二重変異mRNA干渉酵素をコードする二重変異誘導性核酸配列を生じる工程
    をさらに含み、
    工程(b)が、
    変異標的タンパク質をコードする変異核酸配列をさらに変異させてレアコドンを好ましいコドンで置換して、非変異標的タンパク質のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する二重変異標的タンパク質をコードする二重変異核酸配列を生じる工程
    をさらに含む、
    請求項33に記載の方法。
  46. 第1の発現ベクターの二重変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする二重変異核酸配列が、二重変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする二重変異核酸配列に動作可能に連結された第1の誘導性プロモーターを含み、第2の発現ベクターの二重変異標的タンパク質をコードする二重変異核酸配列が、二重変異標的タンパク質をコードする二重変異核酸配列に動作可能に連結された第2の誘導性プロモーターを含む、請求項45に記載の方法。
  47. 二重変異mRNA干渉酵素ポリペプチドをコードする二重変異核酸配列に動作可能に連結された第1の誘導性プロモーターを第1の誘導因子で誘導して二重変異mRNA干渉酵素ポリペプチドを発現させる工程、および
    二重変異標的タンパク質をコードする二重変異核酸配列に動作可能に連結された第2の誘導性プロモーターを第2の誘導因子で誘導して二重変異標的タンパク質を発現させる工程
    をさらに含む、請求項46に記載の方法。
  48. 工程(a)における少なくとも1つの第1のmRNA干渉酵素認識配列、工程(b)における少なくとも1つの第2のmRNA干渉酵素認識配列、および工程(d)における少なくとも1つの第3のmRNA干渉酵素認識配列が、同じmRNA干渉酵素認識配列である、請求項33に記載の方法。
  49. 工程(a)、(b)および(d)におけるmRNA干渉酵素認識配列がアデニン−シトシン−アデニンである、請求項48に記載の方法。
  50. 工程(g)において、変異標的タンパク質をコードするメッセンジャーRNAが細胞中で安定して維持される、請求項33に記載の方法。
  51. 工程(g)において、二重変異標的タンパク質をコードするメッセンジャーRNAが細胞中で安定して維持される、請求項45に記載の方法。
  52. 細胞が真核細胞である、請求項33に記載の方法。
  53. 細胞が哺乳動物細胞である、請求項52に記載の方法。
  54. 細胞が原核細胞である、請求項33に記載の方法。
  55. 細胞が大腸菌細胞である、請求項54に記載の方法。
  56. 変異mRNA干渉酵素ポリペプチドがMazFである、請求項33に記載の方法。
  57. 変異mRNA干渉酵素ポリペプチドがMazFの機能的断片である、請求項33に記載の方法。
  58. 変異mRNA干渉酵素ポリペプチドがMazFの機能的バリアントである、請求項33に記載の方法。
  59. 二重変異mRNA干渉酵素ポリペプチドがMazFである、請求項45に記載の方法。
  60. 二重変異mRNA干渉酵素ポリペプチドがMazFの機能的断片である、請求項45に記載の方法。
  61. 二重変異mRNA干渉酵素ポリペプチドがMazFの機能的バリアントである、請求項45に記載の方法。
  62. 標的タンパク質が哺乳動物タンパク質である、請求項33に記載の方法。
  63. 標的タンパク質がヒトタンパク質である、請求項62に記載の方法。
  64. 標的タンパク質が酵母タンパク質である、請求項33に記載の方法。
  65. 標的タンパク質が微量細菌タンパク質である、請求項33に記載の方法。
  66. 標的タンパク質が、毒性の少量タンパク質である、請求項65に記載の方法。
  67. 工程(g)の間に少なくとも1つの放射性標識同位元素を含む培地中で細胞をインキュベートする工程をさらに含む、請求項33に記載の方法。
  68. 工程(b)における標的タンパク質をコードする単離された核酸配列をポリメラーゼ連鎖反応によって増幅する工程をさらに含む、請求項33に記載の方法。
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