JP2003517837A - バクテリオファージファイ6〜ファイ14由来のrnaポリメラーゼ類およびその使用 - Google Patents

バクテリオファージファイ6〜ファイ14由来のrnaポリメラーゼ類およびその使用

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Abstract

(57)【要約】 dsRNAウィルス由来のポリメラーゼタンパク質は、ssRNA、dsRNA、ssDNA、またはdsDNAテンプレート類を用いてRNA合成を触媒する。このようなポリメラーゼはdsRNAウィルスから精製でき、このようなポリメラーゼのアミノ酸配列を有するタンパク質は、in vitroでのRNA合成のための方法およびキットに有用である。本発明のポリメラーゼは操作性が高く、非常に高いRNA重合化率を有し、RNA合成開始のためにプライマーを必要としないが、プライマーの存在下で、RNA合成を開始することもできる。プライマー非依存の合成は、サンプル中のRNA種の定量、および直接的配列決定によるそれらの同定のためにRNAを増幅するのに特に有用である。この方法論は、病原性寄生物類および疾病に関連する遺伝子発現レベルの相違を検出するのに特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、種々のRNAテンプレートおよびDNAテンプレート存在下でRN
A合成が可能な新規なポリメラーゼタンパク質に関する。本発明はまた、そのポ
リメラーゼタンパク質を、適切な条件下で種々のRNAテンプレートおよびDN
Aテンプレートに接触させることによるRNA合成の方法とキットに関する。本
発明はまた、核酸を安定化し、配列決定する方法に関する。
【0002】 (発明の背景) 2本鎖RNAウィルス類は、原核生物から高等真核生物までの種々の宿主に感
染することが知られている。これらウィルスの幾つかは、ヒトや経済的に重要な
動物および植物に対して重篤な感染症を生じさせる(FieldsおよびKni
pe、1990年)。構造や宿主特異性が顕著に異るにもかかわらず、全てのd
sRNAウィルスは実際、共通の複製方法を有している。殆どの場合、ウイルス
粒子は侵入時、ゲノム性dsRNAをテンプレートとして用いてポジティブセン
ス1本鎖RNAをつくるトランスクリプターゼ機能を持つコア粒子に変る。ウィ
ルス・コア内で形成されたssRNAは細胞質内へ押し出され、蛋白合成を支配
するメッセンジャーとして働く。同じssRNAはまた、相補的マイナス鎖合成
(複製)のためのテンプレートとしての活性も十分にある。この過程は、新たに
組立てられたコア粒子内で起こり、ウィルス・ポリメラーゼによって行われる。
複製後、マイナス鎖RNA複製物は、プラス鎖テンプレートとの関連を保ったま
まゲノムdsRNAを再構成する。dsRNAを含むコア粒子は、さらなる転写
工程を支援することもできるし、またはさらに成熟して感染性の子孫粒子を形成
することもできる。したがって、dsRNAウィルスの複製および転写の双方は
、ウィルスがコードするポリメラーゼ活性に依存し、大型のタンパク質複合体の
内部で起こる。どのdsRNAウィルスもポリメラーゼ複合体を構築するいくつ
かのタンパク質のうちただ1種のポリペプチド種が、RNAポリメラーゼに共通
して保存されているいくつかの特徴的な配列モチーフを含むことが理論的に予測
されている(Kooninら、1989年;Bruenn、1991年;Bru
enn、1993年)。しかし、このようなタンパク質のポリメラーゼ活性につ
いての直接の生化学的な証拠は、今までのところ得られていない。
【0003】 今までに幾つかの実験系が、dsRNAウィルスのポリメラーゼ複合体内でR
NA代謝を律する分子的原理を解明するために開発されている。これらの系の中
で最初のものは、精製された完全ウィルス、またはウィルス標品から得られたコ
ア粒子を用いたin vitroでの転写であり、したがって既にdsRNAテ
ンプレートが含まれていた。このような系は、レオウィルス(Joklik、1
974年)、バクテリオファージφ6(Van Ettenら、1973年;P
artridgeら、1979年)、感染性膵臓壊死ウィルス(Cohen、1
975年)、酵母ウィルス様粒子(HerringおよびBevan、1977
年)および他の多くのものに関して報告されている。これらの方法により、ss
RNA合成の機構および制御に関して詳細な情報が得られている。しかしながら
、粒子ベースの転写では、複製に関する問題に取り組むことはできなかった。
【0004】 この問題は、パッケージssRNAを含んでいる単離されたウィルス中間体(
例えば、Fujimuraら、1986年参照)や、空のポリメラーゼ粒子を用
いて取組まれた。ファージφ6の場合、空の組換えポリメラーゼ複合体粒子(P
C)が、in vitroでのRNAパッケージング、複製および転写活性があ
ることが判った(Gottliebら、1990年;Olkkonenら、19
90年;Van Dijkら、1995年)。他の2つの系、すなわち酵母ウィ
ルス様粒子(VLP)およびロタウイルスのオープンコア粒子は、ウィルス特異
的外来性ssRNAテンプレートの複製を支えることが示された(Fujimu
raおよびWickner、1988年;Chenら、1994年)。
【0005】 バクテリオファージφは、Pseudomonas syringaeの複合
dsRNAウィルスである(Vidaverら、1973年)。φ6ゲノムは、
3種のdsRNAセグメント、すなわち大型(L)、中型(M)および小型(S
)から成る(Semancikら、1973年;Van Ettenら、197
4年)。本発明の目的のため、φ6RNAセグメントのプラスセンス鎖をl
、sと呼び、それに対応してマイナスセンス鎖を1、m、sと呼ぶ
。φ6ファージの全ポリメラーゼ複合体は、4種の蛋白種P1、P2、P4およ
びP7から成り、全てLセグメントにコードされる(Mindichら、198
8年)。P1は、十二面体殻に組み上げられる主要構造タンパク質であり、残り
のタンパク質サブユニットは恐らく5回対称位置に在る(Butcherら、1
997年;de Haasら、1999年)。個々の組換えタンパク質および遺
伝子操作された不完全PC粒子の研究により、P4およびP7の機能性を理解す
ることが可能となった。P4は、プラス鎖RNAのパッケージングを生じさせる
ヘキサマーNTPaseであり(Gottliebら、1992年;Paate
roら、1995年;FrilanderおよびBamford、1995年;
Juutiら、1998年;Paateroら、1998年)、一方P7は、効
率的なパッケージ反応に必要な蛋白コファクターとして働く(Juutiおよび
Bamford、1995年、1997年)。P2は今までのところ最も研究が
少ないPCタンパク質であるが、タンパク質配列のコンピュータ解析を用いてポ
リメラーゼ・サブユニットと推定されている(Kooninら、1989年;B
ruenn、1991年)。この結論は、さらに種々の蛋白欠損PC粒子に関す
る生化学的研究により支持された(Gottliebら、1990年;Casi
niら、1994年;JuutiおよびBamford、1995年)。
【0006】 dsRNAウィルスの推定ポリメラーゼは単独で、テンプレート依存RNA合
成を単独で触媒できるのか、あるいはその合成活性は粒子に結合したポリメラー
ゼタンパク質と緊密に関連しているのか。最近まで、この疑問は解かれずにいた
。φ6ファージのタンパク質P2も他のdsRNAウィルスの類似の推定ポリメ
ラーゼ(ロタウィルス・ポリメラーゼを除き)とも、今まで単離体では得られな
かった。これは、推定ポリメラーゼがポリメラーゼ複合体の微量成分にあたるの
で、この複合体から直接タンパク質を精製しようとしてもうまくゆかないという
事実によるものであったと思われる。さらに、個々の可溶性ポリメラーゼタンパ
ク質をつくれるような遺伝子発現系が知られていなかった。2種の推定ポリメラ
ーゼ、ブルータング・ウィルスおよび感染性滑液嚢疾患ウィルスのポリメラーゼ
に関して、対応する組換えタンパク質をつくる細胞の粗製抽出液といくらかのポ
リメラーゼ活性が関連することが報告されている(Urakawaら、1989
年;MacreadieおよびAzad、1993年)。しかしながら、これら
の報告は、問題のタンパク質と観察されたポリメラーゼ活性とが直接関連する如
何なる証拠も提供していない。一方、ロタウィルスの推定ポリメラーゼVP1は
、関連する部分的活性をいくらか有することが示された。該酵素は、ヌクレオチ
ド類似体(Valenzuelaら、1991年)およびウィルスssRNA(
Patton、1996年)と結合することが判明した。しかしながら、単離タ
ンパク質は、少なくとも1種の追加のタンパク質VP2(主要構造タンパク質)
がないとRNA基質を複製できなかった(Zengら、1996年;Patto
nら、1997年)。
【0007】 本発明におけるポリメラーゼは、他の如何なるタンパク質の助けが無くてもi
n vitroでRNA合成が可能であることを示している。以下の記載からあ
きらかになるように、本発明のポリメラーゼは、RNA重合に使用するテンプレ
ートに対し比較的特異性がない。これに反して、先行技術のRNA依存ポリメラ
ーゼのテンプレート特異性は一般にかなり厳密である。例えば、バクテリオファ
ージQβのRNAポリメラーゼは、RNA−プライマーが標的RNAにアニール
していない限り、極めて限定されたテンプレート・セットだけを効果的に複製す
る(米国特許第5631129号およびその中の引用文献)。特定の3’−末端
tRNA様構造は、チャヒキ・モザイク・ウィルスRNAポリメラーゼによるR
NA複製に必須である(DreherおよびHall、1988年)。同様に、
ウィルス特異的エレメントがインフルエンザ・ウィルスのポリメラーゼにより触
媒されるRNA合成に必要である(米国特許第5854037号)。最後に、ロ
タウィルスのオープンコア粒子は、相同なssRNAのみを複製することが示さ
れている(Chenら、1994年;および米国特許第5614403号)。
【0008】 (発明の概要) 本開示は、種々のRNAテンプレートおよびDNAテンプレート存在下、プラ
イマー非依存RNA合成のできる新規な、非特異的ポリメラーゼタンパク質に関
する。本発明者らは本報告が、広い範囲のウィルス特異的テンプレートおよび非
相同的ssRNAテンプレート双方を効果的にin vitroでプライマー非
依存的に複製して対応するdsRNA生成物を生成することができるRNAポリ
メラーゼを単離した、最初の報告であると考える。好ましい実施形態において、
該ポリメラーゼは、2本鎖RNAウィルスあるいは2本鎖RNAウィルスのポリ
メラーゼをコードする核酸を含む細胞に由来する。本発明のポリメラーゼの特徴
は、これを(1)in vitroでのRNAの増幅、(2)合成生成物中に容
易に検出可能なヌクレオチド類縁体の取り込み、(3)非常に長いdsRNA類
を生成するRNA合成、(4)1本鎖核酸の安定化、および(5)ポリヌクレオ
チド類の配列決定に特に適したものとする。
【0009】 本発明のポリメラーゼタンパク質は、好ましくはCystoviridaeウ
ィルス、Reoviridaeウィルス、Birnaviridaeウィルスま
たはTotiviridaeウィルスから由来し、具体的にはφ6、φ7、φ8
、φ9、φ10、φ11、φ12、φ13、またはφ14からなどのCysto
viridae科のφ6−関連バクテリオファージ類に由来する(Mindic
hら、1999年)。
【0010】 本技術の最も好ましい実施形態は、2本鎖RNAバクテリオファージφ6のP
2ポリメラーゼを扱う。より具体的には、P2ポリメラーゼは、そのタンパク質
をコードするDNAを含む細菌株から単離された。単離されたP2ポリメラーゼ
の標品は、テンプレート依存RNAポリメラーゼとして作用することがin v
itro酵素アッセイにおいて証明された。P2ポリメラーゼは鋳型特異性が低
く、ssRNA基質、dsRNA基質、ssDNA基質およびdsDNA基質存
在下、好ましくは線状形態でRNA合成を触媒できることが見出されている。該
P2ポリメラーゼは発展的(processive)であり、極めて高いRNA重合率を有し
、RNA合成開始のためのプライマーを必要としないが、しかしプライマー存在
下でもまたRNA合成を開始できる。本発明はまた、P2ポリメラーゼの遺伝子
的に修飾された形態、または遺伝子コードが自然に変化したため変化した変化形
体に関する。
【0011】 発明者らの知る限り、これが広範囲のウィルス特異的テンプレートおよび非相
同的ssRNAテンプレート双方をin vitroで効果的にプライマー非依
存性複製し対応するdsRNA生成物を生成することができるRNAポリメラー
ゼを単離した最初の報告である。他の知られたRNA依存RNAポリメラーゼ類
のテンプレート特異性は、本明細書に前記のとおり一般にかなり厳密である。本
発明のポリメラーゼは、実質的に任意に与えられたssRNAテンプレートから
dsRNAを生成するための一般的な道具として分子生物学的に使用できる新型
酵素である。最近、dsRNAは、種々の生物において幾つかの極めて重要なプ
ロセスを誘発することが示されたため大きな関心課題となっている(総説として
Sharp、1999年参照)。
【0012】 in vitroでのRNA合成に種々のdsRNAテンプレートを利用でき
る本発明のポリメラーゼの能力はまた、研究されたポリメラーゼ類のいずれにお
いても知られていなかった新規な特徴である。酵母ウィルス様粒子がdsRNA
依存RNA合成を触媒することが以前に報告されているが、この系でRNA転写
に用いられたテンプレートは、ウィルス特異的dsRNAだけであった(Fuj
imuraおよびWickner、1989年)。本発明において、用語「RN
A転写」とは、dsRNAテンプレート上のRNA合成を言う。P2ポリメラー
ゼにより触媒されるRNA転写において、新たに合成されたRNAは、dsRN
Aテンプレートのテンプレート鎖と2本鎖を形成し、古い非テンプレート鎖と置
き換わる。したがって、このタイプの反応を利用して、ポリメラーゼとのインキ
ュベーションでできるdsRNA産物に放射活性または化学的に修飾されたヌク
レオチド類を取り込ませることによりdsRNA基質を標識することができる。
あるいは、該反応を基質dsRNAから放出されたssRNAを回収するために
使用できる。
【0013】 ssRNAをdsRNAに変換し、鎖置換機構によりdsRNAを転写する本
発明のポリメラーゼタンパク質の能力は、in vitroでRNAを増幅する
ために本酵素を使用することを示唆する。従来のポリメラーゼ類と違って、P2
タンパク質は1本鎖RNAテンプレートの相補的生成物を合成するためにプライ
マーを必要としない。したがって、該P2ポリメラーゼは、RNA基質を増幅す
るために比類なく適している。これらの特性により、本発明のポリメラーゼは感
染検出において特に有用となる。これに関する診断法は、RNAサンプルを増幅
すること、場合によっては、容易に検出可能なヌクレオチド類縁体を増幅生成物
に取込ませること、ならびに直接的配列決定によりRNA種を同定することを含
む。
【0014】 本発明のポリメラーゼがDNA基質存在下、RNA合成できることもまた非常
に有利である。この特徴により、生物学的および物理化学的研究の双方に好適な
所望のDNA−RNAヘテロ2本鎖の生成が可能となる。また、放射活性標識ま
たは化学的に修飾されたヌクレオチド類の存在下、DNAテンプレート類からR
NA合成を可能にして、放射活性標識化DNA−RNAヘテロ2本鎖または化学
的に修飾されたヌクレオチド類を含有するDNA−RNAヘテロ2本鎖をそれぞ
れ得ることができる。
【0015】 本発明は、本発明のポリメラーゼを使用するin vitroのRNA合成法
を意図している。この方法は、(a)下記の詳細な説明において具体的に述べる
ように、ssRNAまたはdsRNAまたはssDNA、またはdsDNAのど
れかに属する核酸基質を用意すること;(b)その基質を、RNA合成に十分な
条件下でポリメラーゼタンパク質と接触させること;および(c)新たに形成さ
れた核酸を、反応混合物から回収することを含む。RNA−RNAハイブリダイ
ゼーションに依る方法とは対照的に、dsRNAを調製する本発明方法は都合が
よいことに、少なくとも13,500bpまでの非常に長い2本鎖RNA類を生
成するのに使用できる。例えば、米国特許第5795715号に記載されている
現行の方法は、一般に1000bp未満の長さのdsRNA類を生成する。
【0016】 本発明のポリメラーゼタンパク質を核酸類を安定化する方法に用いることがで
きる。1本鎖核酸類はヌクレアーゼにより容易に分解されることが知られている
。1本鎖核酸を2本鎖核酸に変換し、この反応混合物を1種または複数のヌクレ
アーゼを含む調製物と接触させることにより、1本鎖核酸に比べて安定性の増し
た2本鎖核酸類を回収することが可能である。
【0017】 本発明はまた、後で述べるin vitroでのテンプレート依存RNA合成
用のキットを提供する。
【0018】 本発明はまた、dsDNAからdsRNAを生成する方法に関する。この方法
は、 (a)DNAテンプレートをDNA依存RNAポリメラーゼにより転写するこ
とによりssRNAを用意すること;および (b)本発明のタンパク質によりssRNA基質をdsRNAに変換すること
を含み、ステップ(a)および(b)は同一反応容器内で同時に、または連続し
て実施されるのが好ましい。
【0019】 本発明はまた、本発明のポリメラーゼタンパク質を用いる核酸分子のヌクレオ
チド塩基配列決定法に向けられる。これは、プライマー無しの直接核酸配列決定
への可能性を開いている。核酸分子を配列決定するための具体的なキットも開示
する。
【0020】 本発明の他の特徴、態様および利点は、以下の記載および添付の請求項から明
らかとなろう。
【0021】 本発明の以下の詳細な説明ならびに前記の本文は、添付の図面と組み合わせて
解釈すればより良く理解されるであろう。
【0022】 (発明の詳細な説明) 本発明のポリメラーゼタンパク質は、dsRNAウィルスに由来するか、また
はこのようなウィルス・ポリメラーゼのアミノ酸配列を有するものである。本発
明のポリメラーゼは、ssRNAテンプレート、dsRNAテンプレート、ss
DNAテンプレート、またはdsDNAテンプレートを用いてRNA合成を触媒
する。本発明の重要な態様は、dsRNAウィルスからポリメラーゼを精製する
方法である。本発明の好ましいポリメラーゼであるP2ポリメラーゼはprocessi
veであり、非常に高いRNA重合率を有し、RNA合成開始のためにプライマー
を必要としないが、しかしプライマー存在下でRNA合成を開始することもでき
る。上記のように、プライマー非依存の合成は、サンプル中のRNA種定量のた
めのRNA増幅および直接的配列決定によるそれらの同定に特に有用である。こ
の方法論は、病原性寄生物および疾病に関連する遺伝子発現レベルの相違を検出
するのに特に有用である。
【0023】 本発明のポリメラーゼ 新型テンプレート依存RNAポリメラーゼ類は、極めて低いテンプレート特異
性を有し、種々の核酸基質存在下でRNA合成を触媒できる。RNAポリメラー
ゼは、「dsRNAウィルスのポリメラーゼ」、「dsRNAウィルス・ポリメ
ラーゼ」、「ポリメラーゼタンパク質」または「ポリメラーゼ」と様々に呼ばれ
る。本発明は、好適な条件下でssRNA基質、dsRNA基質、ssDNA基
質またはdsDNA基質と接触させると、dsRNAウィルス由来の単離ポリメ
ラーゼが単独でin vitro RNA合成できるという最初の直接的証拠を
提供する。
【0024】 好ましくは、本発明のRNAポリメラーゼは、任意のdsRNAウィルス(例
えば、Cystoviridae、Reoviridae、Birnaviri
daeまたはTotiviridae)に由来するものである。Cystovi
ridae科(例えば、φ6、φ7、φ8、φ9、φ10、φ11、φ12、φ
13またはφ14)のφ6関連バクテリオファージ類は、本発明のポリメラーゼ
の最も好ましい起源であることが期待される。
【0025】 同一または実質的に同じポリメラーゼは、同一または実質的に同じタンパク質
をコードする配列を有する核酸を単離することにより調製でき、選択された宿主
中好適な制御領域のもとでそのタンパク質を発現させてそのタンパク質を単離す
る。このようなタンパク質をコードする配列を有する核酸は、dsRNAウィル
スから単離するのが好ましく、そうでない場合は合成または部分的に合成しても
よい。
【0026】 本発明の好ましい実施形態において、RNA合成のin vitro系は、d
sRNAバクテリオファージφ6の精製された組換えタンパク質P2に基づく。
dsRNAバクテリオファージφ6のP2タンパク質はまた、本明細書では「R
NAポリメラーゼP2」、「P2 RNAポリメラーゼ」、「P2ポリメラーゼ
」、「P2タンパク質」または「P2」と様々に言われる。
【0027】 さらに本発明は、 (a)少なくとも配列番号1の部分的核酸配列を有する核酸配列; (b)少なくとも配列番号8の部分的アミノ酸配列を有するポリペプチドをコ
ードする核酸配列; (c)遺伝子コードの縮退により(a)または(b)の核酸配列とは異なる核
酸配列; (d)(a)、(b)および/または(c)の核酸配列にハイブリダイズする
核酸配列;および (e)(b)の配列に対して少なくとも20%同一性、好ましくは少なくとも
50%同一性を示すアミノ酸配列をコードする核酸配列 を含む群から選択される核酸配列によりコードされるタンパク質に関する。
【0028】 「部分的核酸配列」とは、配列番号1の1端または他端から少なくとも1個の
ヌクレオチドを欠く連続RNAまたはDNA配列を意味し、該部分配列は依然と
して、タンパク質P2と同様の生物学的活性を有するタンパク質の発現を制御で
きる。
【0029】 「部分的アミノ酸配列」とは、タンパク質P2と同様の生物学的活性を有した
ままの配列番号8の1端または他端から少なくとも1個のアミノ酸を欠く連続ア
ミノ酸配列を意味する。好ましい実施形態において、部分的アミノ酸配列は、ポ
リペプチドのN末端および/またはC末端から10個、30個または50個のア
ミノ酸を欠く。
【0030】 本発明はまた、遺伝子コードの縮退により配列番号1とは異なる核酸配列に関
する。
【0031】 本発明はさらに、従来のハイブリダイゼーション条件下で、好ましくはSam
brookら、1989年により記載されたようなストリンジェントな(緊縮)
条件下で、配列番号1にハイブリダイズする核酸配列に関する。高緊縮ハイブリ
ダイゼーションは、6×SSC、0.5%SDS、5×デンハルト溶液および1
00μgの非特異的担体DNA中で約65℃から70℃の間が考えられる。好ま
しいプローブは、配列番号1に記載されたポリヌクレオチド配列の連続した塩基
から選択された100個の塩基である。過剰なプローブは約0.2×から0.1
×SSC未満の等価イオン強度を有する溶液中で洗浄することにより除去する。
典型的な高緊縮洗浄は、55℃で30分間を2回、および60℃で15分間を3
回である。
【0032】 本発明の核酸配列にハイブリダイズするこれらの核酸配列は、原則としてこの
ような核酸配列を有する任意の生物由来であり得るが、dsRNAウィルス由来
であることが好ましい。本発明の核酸配列にハイブリダイズする核酸配列は、例
えば種々の生物の遺伝子ライブラリーから単離することができる。
【0033】 このような核酸配列は、例えば標準的技法によるハイブリダイゼーション(S
ambrookら、1989年参照)により、本発明の核酸配列、またはこれら
の配列の断片、またはこれら分子の逆の相補分子を用いて同定し、単離すること
ができる。
【0034】 ハイブリダイゼーション・プローブとしては、配列番号1と全く同一の、また
は実質的に同一のヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその配列の断片が使
用できる。好ましくは配列番号1の全ヌクレオチド配列が使用される。ハイブリ
ダイゼーション・プローブとして使用される断片はまた、従来の合成技法により
得られた合成断片であって、その配列が本発明の核酸配列と実質的に同一である
ものであってもよい。本発明の核酸配列にハイブリダイズする遺伝子が同定され
単離されたらばその配列を決定し、その配列によりコードされるタンパク質の特
性を分析する必要がある。
【0035】 用語の「核酸配列にハイブリダイズする」は、同一または実質的に同じタンパ
ク質またはその生物学的に活性な断片をコードしている、配列番号1の断片、誘
導体および対立変異体を包含する。断片は、記載されたタンパク質(または実質
的に同様のタンパク質)またはその生物学的に活性な断片をコードするのに十分
の長さを有する核酸配列の部分として理解される。本文での用語「誘導体」とは
、上記の核酸分子の配列とは1箇所または複数の箇所の位置で異なっており、し
かもその配列に対する相同性の高いこれら分子のヌクレオチド配列を意味する。
【0036】 本明細書での「%同一性」とは、2個のアミノ酸配列が対応する位置で同一の
ヌクレオチドまたはアミノ酸の最大量を与えるように整列している場合、対応す
る位置に存在している同一アミノ酸のパーセンテージを意味する。本発明は、そ
のアミノ酸配列が配列番号8の特定のアミノ酸配列に対して、アミノ酸レベルで
少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも8
0%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも9
0%、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有するタンパク質に関する。
【0037】 改善された特性を有する修飾ポリメラーゼを構築するために、タンパク質工学
が使用できる。このような修飾には、例えばP2ポリメラーゼまたは実質的に同
様の特性を有するタンパク質のアミノ酸配列を現在利用できる酵素よりも:1)
よりテンプレート特異性を低くする;2)より操作性を高める;3)2本鎖核酸
テンプレート上でのRNA合成の触媒作用においてより効率的にするように突然
変異させることを含み得る。このような修飾はまた、プライマーの伸長、配列決
定または核酸の増幅に関して該酵素を最適化することも含むことができる。
【0038】 本発明のポリメラーゼタンパク質の製造 本発明は、本発明のタンパク質、好ましくはdsRNAウィルス・ポリメラー
ゼタンパク質の発現方法および精製方法を提供する。この方法は(a)本発明の
ポリメラーゼタンパク質をコードする配列を有する核酸を有しその核酸から前記
タンパク質を発現できる細胞をインキュベーションし;(b)そのタンパク質を
宿主から、または培地から回収し;(c)そのタンパク質を精製することを含む
。本発明の核酸配列は、発現ベクター内の調節エレメントに操作可能に結合させ
ることができる。その結合体は配列制御下でタンパク質を産生するために選択さ
れた宿主細胞内に導入される。具体的な実施形態として、バクテリファージφ6
のP2 RNAポリメラーゼの発現と精製が実施例1において扱われている。
【0039】 本技術のポリメラーゼ発現は、任意の好適な宿主細胞において達成し得る(例
えば、動物細胞、植物細胞、真菌細胞または細菌細胞)。本発明の現時点で好ま
しい実施形態では、発現宿主は、細菌の大腸菌である。
【0040】 該タンパク質は: (a)細胞溶解物を得るために緩衝液中で宿主細胞を破壊すること; (b)前記溶解物を遠心分離により清澄化すること; (c)少なくとも1回、より好ましくは2回のアフィニティー・クロマトグラ
フィを用いてタンパク質を精製すること; (d)さらに、本質的にヌクレアーゼおよびプロテアーゼ活性の無いフラクシ
ョンを得るために少なくとも1回のイオン交換クロマトグラフィを用いてタンパ
ク質を精製すること を含むステップにより単離し、精製することが好ましい。
【0041】 該精製法は、 (i)ブルーアガロース(Blue Agarose)上でそのタンパク質を精製すること; (ii)ヘパリン・アガロース(Heparin Agarose)上で該タンパク質をさらに
精製すること;および (iii)リソースQ(Resource Q)上で該タンパク質をさらに精製し、本質的
にヌクレアーゼやプロテアーゼを含まず、少なくとも90%、より好ましくは少
なくとも95%のポリメラーゼタンパク質を含有するタンパク質フラクションを
得ることを、含むことが好ましい。
【0042】 本明細書で「本質的にヌクレアーゼやプロテアーゼを含まない」とは、精製さ
れたタンパク質調製物が検出可能な量のヌクレアーゼおよび/またはプロアーゼ
を含有しないという意味である。
【0043】 RNA基質上でのin vitro RNA合成 本発明は: (a)ssRNAまたはdsRNA基質を用意するステップ; (b)前記ssRNA基質またはdsRNA基質を、RNA合成に十分な条件
下で本発明のタンパク質と接触させるステップ;および (c)この反応混合液から新たに生成されたdsRNA種を回収するステップ
を含むin vitroでRNAを製造する方法に関する。
【0044】 本技術の具体的実施形態によれば、ポリメラーゼP2は、あらたに開始し、さ
らにssRNA基質上での完全長相補鎖合成を触媒し、適切なサイズのdsRN
A生成物を与えることが示された(図2、図3および図5)。したがって、精製
P2による反応は、φ6に関して確立された、最初の真正な複製のin vit
roモデルであると考えることができる。というのは、以前に報告されたφ6プ
ロカプシドに基づく系(Olkkonenら、1990年;Gottliebら
、1990年)は、RNAパッケージ化が完了しない限り、複製を支援すること
ができない(Frilanderら、1992年)からである。
【0045】 本技術の具体的実施形態において(図2)、P2複製混合物はP2タンパク質
の他に1本鎖mRNA基質(φ6ファージのポジティブセンスmセグメント)
、[α32P]UTPを含む4種のヌクレオチド三リン酸類(NTP類)および
組換えプロカプシド系におけるRNA合成に関して記載されているのと同じ緩衝
液(Van Dijkら、1995年)を含んでいた。該反応生成物を分析する
と、P2タンパク質の存在は,mRNA基質の2本鎖形(M)として移動し、
エチジウムブロミド(EtBr)染色ゲルとオートラジオグラムの双方(図2)
において見ることのできる新たなRNAバンドの出現と対応することを示した。
このバンドの強度は、試験された範囲内で(レーン2〜4)加えられたP2の量
に比例していた。P2がBSAと置換された場合、または該反応混合液がRNA
基質を欠いた場合(レーン2および1)、バンドは現れなかった。
【0046】 図3(C)に示すように行われたRNase保護アッセイでのP2複製生成物
の性質は、新たに生成されたRNAが確かにdsRNAの性質を有していること
を明白に証明している。また、鎖分離実験(図3(A)および3(B))から、
プラスセンスRNAセグメント(特にmセグメント)の存在下、P2ポリメラ
ーゼは相補的マイナスセンスRNA鎖を合成することもまた明かである。
【0047】 本発明の具体的実施形態により、RNA合成の混合液は、0.01から0.1
mg/mlの精製P2(図1のレーン6)、40μg/mlから300μg/m
lのRNA基質、50mMのトリスHCl、pH8.9、80mMの酢酸アンモ
ニウム(NHOAc)、各1mMのATPおよびGTP、各0.2mMのCT
PおよびUTP、6%(w/v)PEG4000、5mMのMgCl、1mM
のMnCl、2mMのDTT、0.1mMのEDTA、0.2mg/mlのB
SA、および800u/mlのRNasinを含有していた。該反応混合物は2
8℃で1時間インキュベートした。条件をいくらか変更しても、検出できるレベ
ルのRNA合成を行えることが示された。具体的には、mRNAテンプレート
が用いられる場合、これらの変更条件は以下の群から選択された1つまたは幾つ
かの変更を含み得る: (1)該反応混合液中P2タンパク質の最終濃度を変える(好ましくは、0.
005から0.4mg/ml); (2)該反応混合液中に精製度の低いP2タンパク質標品を使用する(図2、
レーン3); (3)異なるpH値の緩衝液(好ましくはpH7.3〜9.3); (4)ヌクレオシド三リン酸の濃度を変える(好ましくは各NTPの0.2〜
3mM); (5)PEG4000の濃度を変える(好ましくは0〜9%); (6)MgClの濃度を変える(好ましくは0〜10mM、より好ましくは
5〜10mM); (7)MnClの濃度を変える(好ましくは0〜3mM); (8)BSAの濃度を変える(好ましくは0〜1mg/ml); (9)インキュベートの温度を変える(好ましくは20〜42℃)。
【0048】 しかし、最適なRNA合成のためには、ATPおよびGTP双方の最終濃度を
少なくとも1mMまで上げることが最も有利である(例えば、図2のレーン4と
レーン6を比較)。また反応混合液にMn2+イオンを含むことも非常に有利で
ある。なぜならばMn2+の添加によりRNA合成が著しく促進されることが判
明したからである(例えば、図2のレーン4とレーン5を比較)。さらに、非イ
オン性界面活性剤、好ましくはTriton X−1000またはTween
20を、好ましくは0.01から0.5%の最終濃度まで加えることもまた、該
反応の効率にとって有利であることを本発明者らは見出した。RNA依存RNA
合成に及ぼすプリンヌクレオチド三リン酸やマンガンの促進効果はφ6ポリメラ
ーゼ複合体(Van Dijkら、1995年)および他の幾つかのウィルス・
ポリメラーゼ類(Blumenthal、1980年およびその中の引用文献)
の双方に関して報告されている。
【0049】 本発明の他の実施形態において、P2ポリメラーゼは、φ6ファージに関連し
ているものと非相同体の両方の幾つかの異なったssRNA基質を複製すること
が示された。第1に、一連の種々のφ6特異的ssRNAをP2ポリメラーゼ・
アッセイにおいて試験した(図5、レーン1〜8)。φ6ファージの大型(l )ssRNAセグメントと小型(s)ssRNAセグメントのコピーのどちら
もが、ゲル中をLおよびS各々の位置において移動する標識化dsRNA生成物
を生じさせた。これら2種の基質の複製効率は、前に述べた実施形態においてや
はり基質として用いられたmRNAの複製効率(図5、レーン1〜3)と非常
に近かった。同等の複製効率が、φ6ヌクレオカプシド転写混合物から単離され
た天然の1本鎖セグメントに関して見出された(レーン8)。もう1つの試験さ
れた基質は、融合したsセグメント、mセグメントおよびlセグメントか
ら成る13.5kb長の転写体(Qiaoら、1997年)であった。この場合
の2本鎖生成物は、Lセグメントより著しく移動が遅く、完全なまたは殆ど完全
な複製を示していた。3種のセグメントは全て70〜80塩基長の3’末端部分
が保存されており、伸長的な二次的構造を形成していると考えられていることは
注目すべきことである(Mindichら、1994年)。上記のRNA基質全
てがこの特徴を有しており、複製可能であった。したがって、in vitro
でのRNA複製の可能性に及ぼす3’−近位配列の効果可能性を調べることは興
味深いことであった。3’末端において158個のヌクレオチドを欠く切断s セグメントが合成され、複製反応における基質として用いられた(レーン4)。
驚くべきことに、生成物の効率における低下は見られなかった。それどころか、
この複製効率は、非修飾sの複製効率よりもいくらか高かった。プラスミドポ
リリンカー由来の13個の余分のヌクレオチドをつけたsRNAでは、さらに
高い複製効率が検出された(レーン5)。しかしながら、sセグメントに31
個のポリリンカーヌクレオチドを加えると、dsRNA生成物の収率を著しく低
下させた(レーン6)。したがって、我々は以下のように結論した:1)RNA
基質の3’末端における保存された二次的構造とφ6特異的配列のどちらも、P
2によるin vitroの複製にとって重要ではない。しかしながら、2)複
製効率は確かに基質の3’末端配列に依存する。第2に、P2ポリメラーゼはま
た、3種のφ6 RNAセグメントのいずれにも関連していない幾つかの非相同
的ssRNAテンプレート類を効果的に複製することも示された。試験されたR
NA類の全てが複製反応にとって好適な基質であることが判ったが、生成される
dsRNAの収率は投入されたテンプレートの性質に依存した(図5、レーン9
〜12)。T7ファージ転写体の混合物は、数種のdsRNA種の非常に効果的
な合成できた(レーン9)。効果的なテンプレート類は、ホタル・ルシフェラー
ゼのメッセンジャーRNAとブルータング・ウィルスのプラスセンス転写体であ
った(レーン10とレーン12)。大腸菌ファージMS2のゲノムRNAの複製
は、再現的に効率が悪く、元のEtBr染色ゲル中でdsRNA生成物は殆ど認
められなかった。この場合でもオートラジオグラム上では、生成物のバンドは明
らかに検出できた(レーン11)。さらに、幾つかの他のRNA、すなわちチオ
レドキシンをコードするmRNA(XhoIで切断したpET32b(+)のT
7転写体)、緑色蛍光タンパク質(EcoRIで切断したpTU58のT7転写
体)およびネオマイシンホスホトランスフェラーゼIIと融合させたホタル・ル
シフェラーゼ(XhoIで切断したpTZluc(NPT2)のT7転写体)、
および大腸菌の16Sおよび23SリボゾームRNAの混合物(Boehrin
ger社)もまた、P2タンパク質で複製可能であった(データは示さず)。該
酵素は、RNAテンプレートを長さ13.5kbまで(図5、レーン7)および
恐らくより長く(図5、レーン9)複製することができ、高い進歩性を示したこ
ともまた注目すべきことである。
【0050】 種々のssRNAテンプレートの完全で効果的な複製により、本発明のポリメ
ラーゼタンパク質を用いたin vitro dsRNA製造の一般的な方法が
示唆される。多くの細胞プロセスの強力な調節物質としてのdsRNAの重要性
を知ると(Sharp、1999年)、本発明方法は特に有用であると思われる
。この数十年間、dsRNA分子は、高等真核生物における翻訳の強力な阻害剤
として知られてきた。最近、dsRNAは、昆虫、線虫、トリパソノーマおよび
ゼブラフィッシュなどの幾つかの動物において、いわゆるRNA干渉(RNAi
)を起こすことが示された。dsRNAを介した生化学経路についてのさらなる
知見は、植物から得られており、それらは転写後遺伝子サイレンシング(PTG
S)の形でdsRNAに応答することが示されている。明らかに、RNAiおよ
びPTGSの双方とも配列特異的機構であり、標的遺伝子の発現が、該遺伝子ま
たはその部分と相同の配列を有するdsRNA断片によって阻害されていること
を示唆している。dsRNA依存性の調節のさらなる例は、ごく近い将来発見さ
れる可能性が高い。この点で、予め決定された配列を有するdsRNAの合成の
ために提出された方法は、dsRNAにより引き起こされるメカニズムの研究お
よび可能な適用における真の突破口となることを示している。本発明の好ましい
実施形態において、dsRNA製造方法に用いられるポリメラーゼは、バクテリ
オファージφ6由来のRNAポリメラーゼP2である。この方法のためのssR
NA基質は、in vitroで生成できるか、または細胞源またはウィルス源
から精製できる。ssRNA複製に好適な条件は、本技術の具体的実施形態(実
施例2を参照)で記載されたとおりでもいいし、または検出可能な量のdsRN
A生成物の生成を低下させないように変えることもできる。使用者の要求と意図
に依り、生成されたdsRNAは、反応混合物の他の成分からさらに精製して、
または精製しないで用いることができる。
【0051】 本技術の具体的実施形態において、P2はまた、φ6のdsRNAゲノムまた
は他のウィルス(L−A、BTV、CPV)の非特異的dsRNAゲノムから精
製された2本鎖RNAをRNA合成のためのテンプレートとして使用することも
示された(図8、および非図示)。本発明において、dsRNA基質存在下での
RNA合成反応を、RNA転写と称す。RNA転写結果として、新たに合成され
たRNAは、dsRNAテンプレートのテンプレート鎖との2本鎖を形成し、古
い非テンプレート鎖と置き換わる。φ6に由来するdsRNA基質の場合、P2
は、圧倒的にプラス鎖RNAを合成することが示される(図9)。
【0052】 DNA基質上のRNA合成 本発明は、 (a)ssDNA基質またはdsDNA基質を用意するステップ; (b)前記ssDNA基質を、RNA合成に十分な条件下で本発明のタンパク
質と接触させるステップ;および (c)反応混合物から新たに生成した核酸を回収するステップ を含むin vitroでRNAを製造する方法に関する。
【0053】 天然由来のdsRNA類に加えて、P2はまた、合成dsRNAテンプレート
上のRNA転写を触媒する(図9A、本発明で請求されたdsRNA製造方法を
用いてssRNAから調製されたm)。具体的には、以下のステップを用いて
上記実験のための合成dsRNA基質を調製した(詳細については実施例2も参
照): a)T7プロモーターの制御下にmcDNA複製物を含む線状化プラスミド
をT7 RNAポリメラーゼでin vitro転写してmssRNAをつく
ること; b)P2ポリメラーゼによるmssRNAの複製;および c)続いてMセグメントの新たに形成されたdsRNAを1%アガロース・ゲ
ルで精製して、そのdsRNAを複製混合物の他の成分から分離すること。
【0054】 本技術の幾つかのさらなる実施形態によれば、一連の1本鎖DNA(例として
は合成デオキシリボオリゴヌクレオチド、M13ファージ線状ssDNA)を、
1本鎖RNAに関して上述したのと同様な条件下でP2により複製できることが
示された(図10A、および非図示)。この反応により、テンプレートDNAお
よび新たに生成したRNAレプリカから成る2本鎖を生じる。さらに、幾つかの
線状dsDNAが、P2触媒RNA合成のためのテンプレートとして働くことが
示された(図10(B))。ここでも、RNAテンプレートの場合のように、1
本鎖DNAは2本鎖DNAよりも効率がはるかに高い基質である。
【0055】 RNA基質およびDNA基質でのRNA合成条件 in vitroでRNAを生成する方法は、 −RNA基質またはDNA基質を用意し; −前記RNA基質またはDNA基質を、 (a)核酸基質、好ましくは40〜400μg/ml; (b)請求項1〜5のタンパク質、好ましくは0.005〜0.5mg/ml
; (c)緩衝剤、好ましくはpH7.3〜9.3; (d)MgClイオン、好ましくは0〜10mM、より好ましくは5〜10
mM; (e)ヌクレオシド三リン酸、好ましくは各NTPの0.2〜3mM; (f)PEG、好ましくは0〜9%; (g)酢酸アンモニウム、好ましくは0〜200mM; (h)MnCl、好ましくは0〜3mM; (i)BSA、好ましくは0〜1.0mg/ml; (j)DTT、好ましくは0〜5mM; (k)非イオン性界面活性剤、好ましくは0〜0.5% を含む混合物中RNA合成に十分な条件下で本発明のタンパク質と接触させ、 −該反応混合物を20℃〜40℃でインキュベーションし、 −反応混合物から新たに生成した核酸種を回収する ことを含む。
【0056】 in vitro RNA増幅法 本発明は、 (a)RNA基質を用意するステップ; (b)前記RNA基質を、RNA複製およびRNA転写の双方に十分な条件下
で本発明のいずれか1種のタンパク質と接触させるステップ;および (c)該反応混合物から新たに生成した増幅RNAの混合物を回収するステッ
プ を含むin vitroでRNAを増幅させる方法に関する。
【0057】 さらに本発明は、 (a)ssRNA基質を用意するステップ; (b)前記ssRNA基質を、dsRNAを形成するために請求項1から5の
いずれか一項に記載のタンパク質により複製するステップ; (c)前記dsRNAを、本発明のタンパク質により転写してssRNAを得
るステップ;および (d)RNA合成生成物の十分な量が得られるまで増幅ステップを反復するス
テップ を含む方法に関する。
【0058】 興味深いことに、合成MセグメントのP2による転写(図9、M)は、m
製に好ましく用いられた条件とよく似た条件下で実施された。この事実は、P2
が触媒するssRNA基質の複製で新たに形成されたdsRNAがP2が触媒す
る転写のテンプレートとして働き得ることを示唆するものである。一本の試験管
中でこのように複製と転写が同時に起こるということは、1本鎖RNA基質用に
組まれた反応が、dsRNA種(投入したssRNAの複製生成物)のみならず
ssRNA種(新たに形成されたdsRNA種の転写生成物)をも生じさせるこ
とを意味する。少なくともいくらかの新たに合成されたssRNAは、投入ss
RNA基質と同じ極性となるであろうから、P2含有反応混合物中での投入基質
の増幅がおこるであろう。おおむね、上述の新たに生成したssRNAは順次、
もう1回このような増幅ラウンド、あるいは数回のラウンドさえも経ると思われ
る。このスキームに基づいて、本発明は、(a)RNA基質を用意するステップ
;(b)このRNAを本発明のポリメラーゼタンパク質と接触させ、増幅RNA
を回収するステップ、から成るRNA増幅方法を提供する。現在のところ好まし
い条件下でのdsRNAの転写は、バンド強度をホスホロイメージャー分析して
算出したところ、ssRNAの複製よりも効率的にはいくらか劣る。
【0059】 本発明はまた、 (a)DNAテンプレートを、DNA依存RNAポリメラーゼにより転写する
ことによりssRNA基質を用意するステップ;および (b)前記ssRNA基質を請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク
質により複製してdsRNAを形成するステップ を含むin vitroでRNAを増幅する方法に関する。
【0060】 この方法は、以下のステップをさらに含むin vitroでRNAを増幅す
る方法に用いることができる: (c)前記dsRNAを請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質に
より転写してssRNAを得るステップ;および (d)RNA合成生成物の十分な量が得られるまで増幅ステップを反復するス
テップ。
【0061】 本発明の具体的な実施形態において、P2が触媒する複製のためのssRNA
基質は、DNAテンプレートをDNA依存RNAポリメラーゼで転写することに
より用意できる。好ましい事例では、DNA依存RNAポリメラーゼは、バクテ
リオファージから得られる。そのバクテリオファージは、T7、T3、およびS
P6バクテリオファージから成る群から選択することが最も有利である。幾つか
の本技術の実施形態では、前記DNAテンプレートのDNA依存RNAポリメラ
ーゼによる転写および新たに生成した線状ssRNAのP2触媒複写は、同じ反
応容器内で行わせることができる。後者のアプローチの可能性を証明するために
特別な実験を実施した。これらの実験において、T7 RNAポリメラーゼ用の
プロモーターを含む線状dsDNA(すなわち、SmaIで切断されたpLM6
59)を、温度が37℃である以外はP2触媒RNA複製に関する実施例2に記
載されたものと本質的に同じ条件下で、T7 RNAポリメラーゼとP2 RN
Aポリメラーゼの両方とインキュベーションした。その反応生成物は基本的には
、標準アガロース・ゲル電気泳動で対応するφ6s+およびSセグメント(示し
ていない)の位置に移動するssRNAおよびdsRNAの混合物を含んでいた
。P2を反応混合物から除くとssRNA種のみが形成された。
【0062】 上に掲げた知見に基づいて、本発明は種々の核酸テンプレートと接触させた本
発明のポリメラーゼを用いてRNAを生成する方法を提供する。幾つかのこれら
の方法は、核酸の安定性を増し、プライマー非依存配列決定、およびプライマー
を伸長するなどの特別な用途に使用するために設計される。
【0063】 核酸の安定化法 本発明は、 (a)1本鎖核酸基質を用意するステップ; (b)前記1本鎖核酸基質を、RNA合成に十分な条件下で本発明のタンパク
質と接触させて、少なくとも1本鎖核酸基質の一部を2本鎖核酸体に変換するス
テップ; (c)反応混合物から全核酸を回収するステップ を含む核酸を安定化する方法に関するものであり; この方法は、場合によっては: (d)前記全核酸を、ヌクレアーゼまたは1本鎖核酸を選択的に分解するが2
本鎖核酸は分解しないヌクレアーゼを含む調製物と接触させるステップ;および (e)ヌクレアーゼによる分解に対して安定性の増した2本鎖核酸を回収する
ステップ をさらに含むことができる。
【0064】 1本鎖核酸の安定性増加法は、2本鎖核酸が、ある一定条件下で1本鎖特異的
ヌクレアーゼによる分解に抵抗性があるという現象(例えば図3(C)に示され
る)に基づく。
【0065】 線状核酸のヌクレオチド塩基配列決定法 本発明は、 (a)線状核酸分子を用意するステップ; (b)本発明のタンパク質; 4種のヌクレオシド三リン酸またはそれらの機能性類縁体;および 特定のヌクレオチド塩基でRNA合成を終結させる4種のRNA合成終止
剤のうち少なくとも1種(それらの剤はそれぞれ異なるヌクレオチド塩基でRN
A合成を終結させる) を含む混合物中、RNA合成に十分な条件下で前記核酸分子をインキュベートす
るステップ;および (c)インキュベーション反応で終結したRNA産物をサイズにより分離して
、前記核酸分子の少なくとも一部のヌクレオチド塩基配列を決定するステップ を含む線状核酸分子のヌクレオチド塩基配列を決定する方法に関する。
【0066】 核酸のプライマー非依存酵素的配列決定法は、本発明のポリメラーゼ(好まし
い実施形態ではP2タンパク質)が、1)プライマー無しでRNA合成を開始で
き、2)核酸テンプレート(好ましい実施形態ではssRNA)のまさに3’末
端ヌクレオチドから出発するという事実(図7)に依る。後者の特徴によって、
新たに生成されたRNA鎖は、テンプレート調製が均質である場合、均一の5’
末端を有することになろう。都合のいいことに本発明のポリメラーゼは、伸びて
ゆくRNA鎖に3’−デオキシヌクレオチドを取込むことができ、その結果特定
の位置で鎖を終結させることが証明された(非図示)。DNAまたはRNA重合
反応に基づく核酸配列決定の方法のいくつかは、先行技術に記載されている(例
えば、米国特許第5173411号およびその中の引用文献;Axelrodお
よびKramer、1985年)。これら全ての方法において、塩基特異的鎖終
止剤、例えばジデオキシヌクレオチド類(DNAポリメラーゼに対し)または3
’−デオキシヌクレオチド類(RNAポリメラーゼに対し)の取込みにより重合
を特定の塩基において終結させる。DNAポリメラーゼに基づく配列決定の場合
、重合は、関心のあるテンプレートに相補的なプライマーから開始される。DN
A依存RNAポリメラーゼは、プライマー無しでDNAを配列決定するのに用い
られた(Axelrodら、1985年)。しかしこの場合、DNAテンプレー
トは、RNA合成開始のために特別なプロモーターを含まねばならない。都合の
良いことに、本技術の核酸配列決定法は、プライマーまたはプロモーターのいず
れも必要としない。本発明方法の唯一の限定は、配列決定されるポリヌクレオチ
ドにおける遊離の3’末端の存在である。
【0067】 プライマー伸長法 本発明はまた、本発明のポリメラーゼを用いたプライマー伸長法を開示する。
このプライマー伸長法は、基本的にssRNAテンプレートとそのテンプレート
の中のある部分に相補的な標識デオキシリボオリゴヌクレオチドプライマーとか
らなる核酸テンプレートの存在下でP2を用いRNAを合成した本発明の具体的
実施形態で成された観察に基づいている。P2ポリメラーゼは、ヌクレオチド類
をその3’末端に付加することによりプライマーを伸長できることが示された。
このタイプのRNA合成は、完全にssRNAテンプレートの存在に依存する。
主反応生成物のサイズは、RNA重合化がプライマーの3’末端から開始してポ
リメラーゼがssRNAテンプレートのちょうど5’末端に到達するまで続くと
いう想定と一致した(示さず)。
【0068】 in vitro RNA合成用および配列決定用キット 本発明はまた、in vitro RNA合成用キットを提供する。該キット
には、本発明のポリメラーゼタンパク質の標品および十分なレベルでのRNA合
成に必要な添加物を含んでいる。これら添加物の性質は、in vitro R
NA合成の詳細な説明(実施例2および3)から容易に理解される。添加物とし
ては、典型的には緩衝剤、塩、PEGおよび/またはDTTを含む。本発明の具
体的実施形態において、該キットには、ヌクレオシド三リン酸および/または検
出可能なRNA合成を活性化させるために示された1種または複数の核酸調製物
を含んでもよい。他の具体的実施形態において、ヌクレオシド三リン酸混合物は
、検出可能な標識を持つよう修飾された少なくとも1種のヌクレオシド三リン酸
を含むこともできる。
【0069】 本発明はまた、配列決定に特に用いられるキットを開示する。このキットは、
特定のヌクレオチド塩基でRNA合成を終結させる少なくとも1種のRNA合成
終止剤を含む。
【0070】 化学的に修飾されたヌクレオチド類のRNA生成物への取込み 正常または放射性標識ヌクレオシド三リン酸に加えて、本発明者らは、本発明
のポリメラーゼが、RNA生成物に化学的に修飾されたヌクレオチド類を取込ま
せることを示した。この取込みは、蛍光または化学発光検出に基づくものなど非
放射性方式でのRNA合成アッセイを可能にする。蛍光標識または他の非放射性
標識を含有するRNA生成物は、例えばRNAプローブとしても使用できる。
【0071】 好ましい実施形態において、ssRNA基質を含有する標準P2複製混合物に
は、0.02〜0.1mMのAlexa Fluor(登録商標)488−5−
UTP(Molecular Probes社)、クマリン−5−CTP(Ne
w England Nuclear社)、またはビオチン−11−CTP(N
ew England Nuclear社)を加えた。反応物を30℃で1時間
インキュベーションした。次に反応混合物をAutoSeq G−50スピンカ
ラム(Pharmacia社)を通して非反応ヌクレオチド類縁体および他の低
分子量不純物からRNA生成物を精製した。次にヌクレオチド類縁体の新たに生
成したRNAへの取込みを、フロースルーフラクションを用い分光蛍光光度計(
Alexa Fluor488−5−UTPおよびクマリン−5−CTPの場合
)またはドットブロット・アッセイ(ビオチン−11−CTPの場合)を用いて
測定した。どちらの場合も、検出できる量の類縁体がRNA生成物フラクション
に見出された(図11)。
【0072】 実施例1 組換えバクテリオファージφ6P2ポリメラーゼの発現および精製 P2生産株の構築 P2タンパク質発現のためのプラスミドを構築するために、P2遺伝子(配列
番号1)を、組換えPfuDNAポリメラーゼ(Stratagen社)および
オリゴヌクレオチドでpLM687(Mindichら、1994年)テンプレ
ートからPCR増幅した。 5’−GGTAAGCGCCATATGCCGAGGAGA−3’(配列番号
2)および5’−TACGAATTCCGGCATGATTACCTAGGCA
TTACA−3’(配列番号3)は、それぞれ上流および下流プライマーとして
働く。NdeIおよびEcoRIで消化されたPCR断片(プライマー配列内の
下線部)をゲルで精製しNdeI−EcoRIで切断したベクターpET32b
(+)(Novagen社)の大型断片と結合させた。大腸菌BL21(DE3
)(StudierおよびMoffatt、1986年:Novagen社から
購入)を、得られたプラスミドpEM2で形質転換してP2生産株BL21(D
E3/pEM2)を得た。全P2挿入体の配列を決定した(配列番号8)。公表
されたタンパク質配列(ジーンバンク、AAA32355)と比較すると、すな
わちIle457がMetに変わった1つのアミノ酸の変化が見出された。この
位置でのメチオニンコドンは遺伝子増幅のテンプレートとして用いられたプラス
ミドpLM687中にも見出された。このプラスミドは、φ6ファージの全大型
ゲノム・セグメントのcDNAコピーを含有し、以前に逆遺伝学実験に使用され
て生ウィルス粒子を生じた(Mindichら、1994年)。したがって、観
察された変化は、ウィルス内のP2活性を損なわない。
【0073】 組換えP2タンパク質の発現および精製 P2タンパク質の精製を、12.5%アクリルアミドゲル中のSDS−PAG
E(OlkkonenおよびBamford、1989年)、および組換えポリ
メラーゼ複合体(PC)粒子(FrilanderおよびBamford、19
95年)に対するウサギポリクローナル抗体による免疫ブロット法によりモニタ
ーした。SDS−PAGEおよび免疫ブロット分析(図1、レーン1〜3)によ
る判定では、BL21(DE3/pEM2)株は15〜23℃で可溶性のP2タ
ンパク質を検出可能な量で生産した。注目すべきことに、28〜37℃で発現さ
せると、P2の生産は極めて高くなり、合成されたタンパク質の殆ど全てが不溶
性形態であった(示さず)。可溶性P2の発現を達成するために、150mg/
mlアンピシリンを含有するLB培地中でBL21(DE3/pEM2)株のス
ターター培養を37℃で振とうし、OD540が0.5に達するまで増殖させた
。次にこれを3Lの同一培地中に50倍希釈した。さらに、希釈した培養菌を3
7℃でOD5401.0まで増殖させた。培養を氷で冷却し、1mMのイソプロ
ピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)により誘導をかけた。IPT
Gで誘導した細胞を次に15℃に移して18時間振とうした(図1、レーン1〜
2)。あるいは誘導した培養菌を14時間振とうして20〜23℃で発現を行っ
た。他に特に指示しない限り、以下のステップはすべて4℃で実施した。菌を遠
心分離で集め、30mlの緩衝液A1(100mM NaCl、50mM トリ
スHCl、pH8.0、1mM EDTA)に再懸濁した。懸濁液は〜105M
Paで予め冷却したフレンチプレスのセルを3回通した。一回通した後にフッ化
フェニルメチルスルホニルを1mMになるよう加えた。溶菌液を120,000
gで2時間30分遠心分離した。上清画分(図1、レーン1)をダイアフィニテ
ィーカラム(Cibacron Blue 3GA、Sigma社)に充填した
。カラムに結合したタンパク質を緩衝液AS(500mM NaCl、50mM
トリスHCl、pH8.0、1mM EDTA)で溶出した。P2を含有する
フラクションをプールしたもの(図1、レーン4)を氷冷蒸留水で5倍希釈し、
ヘパリン・アガロース・カラム(シグマ社)に載せた。タンパク質を、50mM
トリスHCl、pH8.0および1mM EDTAで緩衝化した0.1〜1M
NaClの直線勾配で溶出した。P2を含む画分(図1、レーン5)を集めて
20mM トリスHCl、pH8.0で10倍希釈しろ過して、Resourc
eQカラム(Pharmacia社;室温)に注入した。結合タンパク質の溶出
は、50mM トリスHCl、pH8.0および0.1mM EDTAで緩衝化
した0〜0.5MNaClの勾配で実施した。P2は、凡そ90〜100mM
NaClで単独ピークとして溶出した(図1、レーン6)。精製P2タンパク質
の濃度を6M塩酸グアニジン中280nmにおける吸光度により測定した(折り
たたまれていないタンパク質について算出された1mg/ml当たり1.39の
値を基準にした;Edelhoch、1967年)。精製タンパク質の推定収量
は、細菌培養1リットル当たり約1mgであった。P2を20〜23℃で発現さ
せた場合、通常いくらか良好な収量が得られた。精製P2は、活性やタンパク質
の完全性の検出できるほどの損失なしに、1カ月間までは氷上で保存できた。
【0074】 実施例2 RNA複製 細菌株とプラスミド 大腸菌DH5α(Gibco−BRL社)を、プラスミド増幅および分子クロ
ーニングの宿主とした。プラスミドpLM659(Gottliebら、199
2年b)、pLM656(Olkkonenら、1990年)およびpLM68
7(Mindichら、1994年)はそれぞれ、バクテリオファージゲノム・
セグメントs、mおよびlのポジティブセンスssRNAコピーをつくる
ことができた。プラスミドpLM1809(Qiaoら、1997年)は、融合
したs、m、lセグメントを含む長いRNA合成に使用された。プラスミ
ドpGEMluc(Promega社)は、Photinus pyralis
ルシフェラーゼmRNAをつくるのに用いられた。プラスミドpTU58(Ch
alfieら、1994年)およびpTZluc(NPT2)(Makeyev
ら、1996年)は、緑色蛍光タンパク質をコードするmRNA類およびホタル
・ルシフェラーゼとネオマイシンホスホトランスフェラーゼIIの翻訳融合体を
つくるためのテンプレートであった。
【0075】 ssRNA基質の調製 合成1本鎖RNA基質は、SP6(pGEMlucについて)またはT7(残
りのDNAテンプレートについて)RNAポリメラーゼを用いてin vitr
o転写により調製された。非標識RNAは、原則としてMakeyevら、19
96年に記載されるようにして50μl転写混合物中で作った。混合物を37℃
で2時間インキュベーションしてから、投入DNAテンプレートの1μg当たり
1単位のDNase RQ(Promega社)を加えて停止させた。インキュ
ベーションはさらに37℃で15分間続けた。RNA標品はフェノール/クロロ
ホルム(1:1)、クロロホルムの順で抽出し、3M LiClで沈殿させ、滅
菌水に溶解した。標識mRNAは、Promega社により推奨されたとおり
合成した。混合物(25μl)は、1mCi/mlの[α32P]UTP(Am
ersham社、3000Ci/mmol)、20単位のRNasin、Xba
I(NEB社)およびマングビーン・ヌクレアーゼ(Promega社)で処理
された4μgのpLM656、40単位のT7 RNAポリメラーゼを含む。反
応を1時間実施してから、標識RNAをLiCl沈殿ステップ後にセファデック
スG25スピンカラム(Pharmacia社)を通すことによりさらに精製す
ること以外は、非標識転写について記載されるように処理した。天然φ6転写体
の混合物(1本鎖セグメントs、mおよびl)は、ヌクレオカプシドによ
る転写(Bamfordら、1995年)、次いでフェノール抽出、3連続Li
Cl沈殿により調製した。RNA濃度は、260nmにおける光学密度により測
定した。RNAの品質は、7.5M尿素を含有する5%ポリアクリルアミドゲル
(PAAG)中または標準1%アガロース・ゲル(PagratisおよびRe
vel、1990年)中のいずれかでの電気泳動により決定した。
【0076】 in vitro RNA合成のアッセイ 実施例1に記載されたとおりに調製したP2タンパク質の複製活性のアッセイ
は、通常50mM トリスHCl、pH8.9、80mM 酢酸アンモニウム(
NHOAc)、6%(w/v)PEG4000、5mM MgCl、1mM
MnCl、2mM DTT、0.1mM EDTA、各1mM のATPお
よびGTP、各0.2mMのCTPおよびUTP(4種ヌクレオチド三リン酸は
全てPharmacia社から入手)、0.2mg/ml BSA(ヌクレアー
ゼフリー、NEB社)、および0.8u/μl RNasinを含有する10μ
l反応混合物中で行った。添加したRNA基質の最終濃度は、40μg/mlか
ら300μg/mlの範囲であった。別に指示しない限り、該混合物に、0.2
5〜0.5mCi/mlの[α32P]UTP(Amersham社、3000
Ci/mmol)を加えた。反応は0.2〜2μlのP2タンパク質標品の添加
により開始した。コントロール反応(「緩衝剤のみ」)では、P2を等容量のP
2緩衝液(50mM トリスHCl、pH8.0、90mM NaCl、0.1
mM EDTA、0.2mg/ml BSA)に換えた。この混合物を28℃で
1時間インキュベートし、次の分析のために処理した。この試験におけるRNA
分析には、2つのタイプのアガロース・ゲル電気泳動(両方ともPagrati
sおよびRevel(1990年)により最初に記載された)を使用した。ポジ
ティブセンスssRNAおよび対応するdsRNAセグメントを分離するために
用いられる第1のすなわち標準的タイプの電気泳動は、0.25μg/mlのE
tBrを含み、1×TBE(50mMトリス−ホウ酸塩、pH8.3、1mM
EDTA)で緩衝化された1%アガロース・ゲル中で実施された。P2重合生成
物の分析のために、反応を等容量のU2緩衝液(8M尿素、10mM EDTA
、0.2%SDS、6%(v/v)グリセロール、0.05%ブロモフェノール
ブルーおよび0.05%キシレンシアノールFF)の加えて停止させた。RNA
を分離(5V/cm)したのち、ゲルをUV光で照射して撮影した。放射活性標
識バンドの位置を決めるために、ゲルを乾燥してフジスーパーRXフィルムに曝
露した。図2および図5は、標準的電気泳動で分析したP2触媒RNA複製の典
型的な結果を示す。
【0077】 第2の方法は鎖分離ゲル分析であった。この場合、電気泳動は1×TBEで緩
衝化されEtBrを含まない1%アガロース・ゲル中で実施された。分析用のサ
ンプルは、P2反応混合物を4倍容量の100mM EDTAで反応を停止させ
、フェノール/クロロホルム(1:1)ついでクロロホルムで抽出することによ
り調製した。水相をNHOAc2.5Mとし、2.5倍容量のエタノールで沈
殿させた。ペレットを無菌水で2倍希釈したU2緩衝液に溶解した。適当な時期
に、サンプルを3分間煮沸して、さらに3分間氷上に置いた。RNA分離後(5
V/cm)、ゲルをEtBrで染色し、標準ゲルに関して指示されたとおり処理
した。鎖分離分析は、新たに合成されたRNA生成物の性質を明らかにするため
に用いられた。加熱処理をしないと、前の実験で見出されたように、mテンプ
レート上でのP2触媒反応の放射活性生成物は鎖分離ゲル中で2本鎖Mセグメン
トの位置に移動した(図3(A)および3(B))。しかし、熱変性ステップ後
の生成物の易動度は、Mセグメントのマイナス鎖(m)の易動度に変化する。
したがって我々は、P2タンパク質が投入したプラス鎖テンプレートに相補的な
マイナス鎖の合成、すなわち複製反応を触媒すると結論した。
【0078】 RNase保護活性 次の実験で、我々は、RNA基質と新たに合成された鎖の2本鎖がdsRNA
分子の性質を有しているかどうかを調べた。その実験は、大腸菌のRNaseが
、1本鎖および部分的に2本鎖のRNAを容易に加水分解するが、完全RNA2
本鎖は加水分解しないという事実(Brewerら、1992年)に基づく。R
Nase保護アッセイは、10mM トリスHCl(pH7.5)、200mM
NHOAc、5mM EDTA、1単位のRNase(RNase ONE
;Promega社)、P2ポリメラーゼ・アッセイ混合物からフェノール/ク
ロロホルム抽出およびエタノール沈殿により精製したRNAサンプル、を含有す
る10μl反応混合物中で実施した。反応は28℃で1時間実施し、0.1%S
DSおよび10μgの大腸菌tRNA(Sigma社)の添加により停止させた
。反応生成物をアガロース・ゲル中、標準的電気泳動により分析した。図3(C
)に示される結果から明らかなように、複製生成物(mとmの2本鎖)はR
Nase消化にほぼ完全に耐えたが、RNA基質(m)は同一の条件下で完全
に分解された。したがって、複製生成物は、相補的m鎖とm鎖から成る完全
2本鎖RNAであることが示された。
【0079】 分析ゲルろ過 RNA合成活性とP2タンパク質の直接的関連は、非変性ゲルろ過を用いて示
された。クロマトグラフィは、室温で50mM トリスHCl、100mM N
aClおよび0.1mM EDTAを含有する緩衝液を用い、Superdex
75HR 10/30カラム(Pharmacia社)上0.5ml/分の流
速で実施された。精製マウスIgG(Zymed社)および大豆トリプシン阻害
剤(Boehringer社)以外のキャリブレーション用タンパク質とブルー
・デキストランはSigma社から入手した。典型的には、200μgの精製P
2をカラムに注入し、0.5mlづつのフラクションを採集した。各フラクショ
ンから1マイクロリットルづつとり、上記のmRNA基質を用いてレプリカー
ゼ活性をアッセイした。その結果、P2は見かけ上45kDaの分子質量を有し
単一ピークとして移動することが判ったが(図4)、一方、P2の実際の分子量
は75kDaである。この相違はタンパク質の分解によるということでは説明で
きなかった(図1および図4(A)のSDS−PAGE参照)。ゲルろ過マトリ
ックス(セファデックス)に対するタンパク質の相互作用の可能性という解釈も
成り立ちがたいように思われた。というのは、同様に見かけ上低分子量の物が、
異なるカラム(Ultrahydrogel500、Waters社、示さず)
でも得られたからである。したがって、このタンパク質は、溶液中で極めてコン
パクトな球形モノマーであることを提案するのが妥当である。この結論は、さら
に予備的光散乱データ(R.Tuma、未発表結果)により確認された。ポリメ
ラーゼ活性は、タンパク質ピーク中にのみ見出され、したがってP2は、それ自
体がRNAポリメラーゼ活性を有し、その活性はP2モノマーと関連することが
示された。
【0080】 P2開始部位および伸長速度 in vitroでのP2による複製の開始と伸長の性質を明らかにするため
にさらにいくつかの方法が使用された。 (a)プライマー伸長アッセイ(図7)は、少なくとも完全長sセグメント
の場合、精製P2はインビボでの実際のφ6複製のようにテンプレートのまさし
く3’末端ヌクレオチドから複製を開始することを示した。このアッセイは、5
0mM トリスHCl(pH8.3)、50mM KCl、50mM MgCl 、10mM DTT、0.5mM スペルミジン、各0.6mMの4種のデオ
キシヌクレオチド三リン酸、および5単位のAMV逆転写酵素(Promega
社)を含有する10μl反応混合物中で実施した。反応液は、プライマーとして
末端をポリヌクレオチドキナーゼ(Promega社)および[γ32P]AT
P(Amersham社、3000Ci/mmol)で標識された0.5pmo
lのオリゴヌクレオチド(5’−GGATAAACAAGTCCTTGTATA
AC−3’)(配列番号4)を含有した。このプライマーは小型のφ6ゲノム・
セグメントのマイナス鎖に相補的になるようにデザインした。アッセイのための
変性RNAは以下のとおり調製した:P2ポリメラーゼまたはP2コントロール
緩衝液を含み標識ヌクレオチドを含まない標準10μl複製混合物をフェノール
/クロロホルム(1:1)およびクロロホルムで抽出し、NHOAで2.5M
にし、エタノールで沈殿させた。RNAペレットを無菌水に溶解し、100℃で
3分間加熱し、さらに3分間氷上で冷却し、室温に移した。RNAサンプルをア
ッセイ成分の残りと混合し、この混合物を42℃で10分間インキュベートした
。7.5μlの95% ホルムアミド、20mM EDTA、0.05% ブロ
モフェノールブルーおよび0.05% キシレンシアノールFFの添加により反
応を中止した。停止混合物を次に80℃で5分間インキュベートし、7.5M
尿素を含有する6%PAAG中で分析した。
【0081】 (b)複製中のP2ポリメラーゼの伸長速度を決定するために、動力学実験を
設計した。天然のφ6転写体の複製を、P2タンパク質を混合物に加えることに
より開始し、一定量を異なる時点でサンプル採取して電気泳動分析した。図6(
A)に示されるオートラジオグラムから明らかなようにまず完全長S生成物が短
い遅滞時間の後に現れ、次に続いてMとLが現れた。そしてバンド強度は、少な
くとも1時間(3600秒)の時点まで増加した。個々のdsRNAの時間内蓄
積もまた、経時曲線としてプロットした(図6(B)〜(D))。曲線の直線部
を時間軸に対して外挿すると、各2本鎖生成物の完全合成に必要な特性時間が得
られる。3種すべてのssRNAに対して等しい開始が起こると仮定して、平均
伸長速度(Vav)は以下のように計算できる: Vav=[(L−M)/(τ−τ)+(M−S)/(τ−τ)+(L
−S)(τ−τ)]/3、 式中L、MおよびSは、対応するセグメントの長さである(S=2948bp
、M=4063bpおよびL=6374bp;McGrawら、1986年;G
ottliebら、1988年;Mindichら、1988年);τ、τ およびτは、観測された特性時間である(図6(B)〜(D))。その結果、
試験条件下でのP2の伸長速度は、およそ120bp/秒であった。
【0082】 実施例3 dsRNA基質、ssDNA基質およびdsDNA基質でプログラム化された
反応混合物におけるRNA合成 核酸調製物 精製dsRNAウィルス(バクテリオファージφ6、BTV、CPV、Sac
charomyces cerevisiaeウィルス L−A)から2本鎖R
NA基質をフェノール−クロロホルム抽出により調製した。RNAをエタノール
で沈殿させて、無菌水に溶解した。BTVおよびCPVの場合、細心の注意を払
ってRNA調製物が感染ウィルス粒子を含んでいないことを確かめた。短い線状
1本鎖DNA基質(デオキシリボオリゴヌクレオチド)を化学合成により調製し
た。具体的に、以下のオリゴヌクレオチドを本実施例で用いた; 5’−CGTTCAGTTCTCAGTTCT−3’(配列番号5); 5’−GGTAAGCGCCATATGCCGAGGAGA−3’(配列番号
6);および 5’−CTGAATTCTAATACGACTCACTATAGATCCGA
CCGTAG−3’(配列番号7)。
【0083】 制限エンドヌクレアーゼHinfIにより線状化された組換えバクテリオファ
ージM13(M13mp10、Amersham社)の長いssDNAもRNA
合成の基質として用いた。線状dsDNA基質は、種々の制限エンドヌクレアー
ゼ類:BamHI、HincII、HindIII、KpnI、PstI、Sa
cI、SmaIおよびXbaIによりプラスミドpUC18の環状DNAを切断
することにより調製した。制限酵素によるインキュベーション後は、常にフェノ
ール−クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行った。dsRNAおよびDN
A双方の濃度は、260nmの光学密度により測定した。核酸標品の品質は、1
% アガロース・ゲル(PagratisおよびRevel、1990年)中ま
たは7.5M 尿素を含有するポリアクリルアミドゲル中の電気泳動により決定
した。
【0084】 RNA合成アッセイ 本アッセイは、40〜300μg/mlのdsRNA、または40〜100μ
g/mlのssDNA、または100μg/mlのdsDNA基質をssRNA
の代わりに反応混合物に加えた以外は基本的に実施例2に記載されたとおり実施
された。核酸基質、P2ポリメラーゼおよび全ての必要な添加物を含有する混合
物を典型的には28℃で1時間インキュベートし、反応生成物を実施例2に記載
されるとおり行われた通常ゲル(図8、図9(A)、図10)または鎖分離ゲル
(図9(B))のいずれかの電気泳動により分析した。電気泳動後、ゲルを乾燥
し、フジスーパーRXフィルムに曝した。P2ポリメラーゼは、種々のdsRN
Aテンプレートの存在下RNAを合成する(図8)。特に、プラスセンスRNA
鎖が、φ6 dsRNA上RNA合成の主生成物である(図9)。これは、イン
ビボでのφ6転写状況を想起させる。P2ポリメラーゼ存在下でバクテリオファ
ージM13の線状ssDNAをインキュベートすると(図10(A)、レーンN
)、対応するサイズ(約7kb)の2本鎖核酸種として移動する反応生成物を生
じる。標識生成物は、P2を含まないコントロール反応(図10(A)、レーン
N)、または4種のヌクレオシド三リン酸の混合物の代わりにUTPのみを含む
反応では現れない(示さず)。これらのデータは生成物がテンプレートDNAと
新たに合成されたRNA鎖の2本鎖として生じていることを強く示唆する。同様
にまた、反応混合物が短い合成デオキシリボオリゴヌクレオチドでプログラムさ
れた場合、標識DNA−RNA2本鎖の形成が生じることも示された(示さず)
。したがって、ssDNAテンプレート上のP2触媒RNA合成はssRNAテ
ンプレートによる反応と似ている確率が高い。P2と幾つかの線状dsDNAテ
ンプレートをインキュベートすると、投入dsDNAとして移動する標識核酸体
が現れる(図10(B))。特に、RNA合成の効率はdsDNA末端の性質に
依存する。BamHI、HindIII、PstI、SacI、SmaIまたは
XbaIにより切断されたpUC18DNAは標識ヌクレオチドの検出可能な取
込みを促進したが、HinIIまたはKpnIで切断された同じDNAは促進し
なかった。標識生成物は、P2のないコントロール反応、または4種のヌクレオ
シド三リン酸混合物の代わりにUTPのみを含む反応では検出されなかった。d
sDNAテンプレート上の反応がdsRNA転写と似ていることが提起できる。
【0085】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 大腸菌細胞中で作られた組換えP2の精製を示す図である。P2発現は、実施
例1に記載されるように15℃で18時間実施された。(A)クーマシー・ブル
ーG−250で染色されたSDS−PAGEゲル。レーン:IPTGによるP2
合成の誘導前(1)および誘導後(2)の細菌細胞BL21(DE3/pEM2
)の蛋白組成;透明な細胞溶解物(3);シバクロン・ブルー・アガロースで精
製後のサンプル(4)、ヘパリン・アガロースで精製後(5)、およびリソース
Qカラムで精製後(6)。野生型φ6のタンパク質は右側に記される。(B)全
φ6ポリメラーゼ複合体(タンパク質P1、P2、P4、およびP7)に対して
作製された抗体を用いた同一タンパク質サンプルの免疫ブロット分析。レーン指
定は、(A)のとおりである。
【図2】 ssRNAテンプレート存在下、組換えP2触媒in vitro RNA合
成を示す図である。φ6ファージの合成1本鎖ポジティブセンスmセグメント(
RNA;100μg/ml)を含有する(レーン8を除いて)標準的10μ
lポリメラーゼ・アッセイ混合物からとった一定量のアガロース・ゲル分析。重
要な添加物は、枠の下に示してある。P2は、精製P2タンパク質を言う(図1
のレーン6)。P2−CBAは、シバクロン・ブルー・アガロース・カラム後の
部分精製P2(図1、レーン4)であり、mockCBAは、pET32b(+
)プラスミド含有BL21(DE3)細胞からIPTG誘導され、同様に調製さ
れたタンパク質のフラクションである。ヌクレオカプシド転写で生成した標識φ
6セグメント(N)の位置を左レーンに示す。2本鎖セグメントは、大文字(L
、MおよびS)で印し、プラスセンス1本鎖セグメントを小文字(l、m
よびs)で示す。(A)EtBr染色ゲル;(B)同じゲルのオートラジオグ
ラム。
【図3】 RNA合成の生成物がテンプレートおよび相補的に新たに生成した鎖により形
成されたdsRNAであることを示す図である。mRNA複製アッセイの生成
物は鎖分離ゲルで分析された。pと印したレーンはアッセイ中にP2タンパク質
を含んでいた(図2のレーン4と同じ条件);bと印したものは、同量のP2コ
ントロール緩衝剤を入れたものである(図2のレーン2と同じ)。Nと印したレ
ーンは、ヌクレオカプシド転写でつくられた標識φ6セグメントを含む。2本鎖
RNAセグメントを熱変性(煮沸)して個々のプラス(l、mおよびs
およびマイナス(1、mおよびs)RNAが得られた。煮沸ステップを省
略すると(非煮沸)鎖分離は生じなかった。パネル(A)はEtBr染色ゲルで
あり;(B)は同じゲルのオートラジオグラムである。(C)はRNase保護
アッセイである。[α32P]UMP標識mRNAテンプレートと非標識ヌク
レオチド三リン酸を含みP2を含む複製混合物から精製した反応生成物(p)ま
たはP2を含まないコントロールの複製混合物(b)から精製した反応生成物を
、RNaseI添加(+RNase)または無添加(−RNase)でインキュ
ベートし、標準アガロース・ゲル中で分析した。
【図4】 レプリカーゼ活性がP2モノマーに関連することを示す図である。精製P2を
、スーパーデックス75ゲルろ過カラムで分析し、採取したフラクションでレプ
リカーゼ活性を測定した。レプリカーゼ活性のピークは、P2タンパク質ピーク
と一致する。(A)カラム溶出液の吸光度(280nm)プロフィール。矢印は
、P2注入時間(注入)および分子質量標品、すなわちBDはブルー・デキスト
ラン(2000kDa);βAmはβ−アミラーゼ(200kDa);IgGは
マウス免疫グロブリンG(150kDa);BSAはウシ血清アルブミン(67
kDa);OAはオボアルブミン(45kDa);STIは大豆トリプシン阻害
剤(20.1kDa);αLAはα−ラクトアルブミン(14.2kDa)の位
置を示す。挿入図はフラクション9から22中の蛋白含量のSDS−PAGE分
析図。(B)フラクション1から29中のレプリカーゼ活性を示すアガロース・
ゲルのオートラジオグラム。レーンNは、図2に定義されるとおりである。
【図5】 P2が非特異的にssRNA基質を複製することを示す図である。(A)精製
P2タンパク質を含有する反応の複製生成物(p)またはコントロール緩衝剤を
含有する反応の複製生成物(b)を示すEtBr染色ゲル。プログラム反応に使
用される1本鎖RNA基質は以下のとおりであった。1、lRNA(XbaI
およびマングビーン・ヌクレアーゼ(MBN)で処理されたpLM687のT7
転写により生成したφ6ファージの合成ポジティブセンス大型セグメント);2
、mRNA(中型セグメント、図2と同じ);3、sRNA(小型セグメン
ト;XbaIおよびMBNで処理されたpLM659のT7転写体);4、短い
RNA(Eco47111で切断されたpLM659のT7転写体);5、
伸長sRNA(SmaIで切断されたpLM659のT7転写体);6、伸長
RNA(EcoRIで切断されたpLM659のT7転写体);7、s
およびl融合セグメント(XbaIおよびMBNで処理されたpLM18
09のT7転写体)を含む13.5kb長RNA;8、φ6ヌクレオカプシドに
よる転写から精製された天然s、mおよびlセグメントの混合物;9、バ
クテリオファージT7の全DNAのT7転写により生成したRNA混合物;10
、ホタル・ルシフェラーゼmRNA(StuIで切断されたpGEMlucのS
P6転写体);11、コリファージMS2のゲノムRNA(Boehringe
r社);12、ブルータング・ウィルス、株1(BTV1)、BTV1ヌクレオ
カプシド転写からLiCl沈殿させたssRNAセグメントの混合物。ヌクレオ
カプシド転写されたφ6セグメント(N)は、左側に印される。BTV1のビリ
オンからフェノール抽出された10種のゲノムdsRNAセグメント類の位置を
右側(B1〜B10)に示す。(B)同一ゲルのオートラジオグラム。
【図6】 P2による複製の経時を示す図である。(A)3種の天然ポジティブセンス・
セグメントを用いた100μl複製混合物をP2タンパク質存在下、28℃でイ
ンキュベーションした。示された時点でサンプリングした5μlの一定分割量を
、標準的アガロース・ゲル中で分析し、オートラジオグラフ化した。レーンNは
、図2のとおりである(B、CおよびD)。複製生成物L、MおよびSそれぞれ
の時間依存的蓄積のホスホイメージャー(Fuji BAS 1500)分析。
各枠内の最も高い観測値を100%に設定するようにグラフを標準化する。B、
CならびにDの挿入図は、最初の300秒の経時を示す。線は、時間軸に対する
プロットの直線部分を外挿する。τ、τおよびτは、関連する完全長のd
sRNAセグメントが出現する前の遅滞時間(ラグタイム)を示す。
【図7】 図7は、P2が、ssRNAテンプレートのまさしく3’−末端ヌクレオチド
から複製を開始することを示す図である。天然のssRNAセグメントs、m およびlの混合物とP2タンパク質を含有する複製反応のRNA生成物(p
)または緩衝液を含有する複製反応のRNA生成物(b)は、小型φ6セグメン
トのマイナス鎖(s)に相補的な標識プライマーを用いるプライマー伸長実験で
アッセイされた。コントロールとして、プライマー伸長はまた、野生型φ6から
抽出された熱変性dsRNAゲノム(d)上でも行われた。ジデオキシヌクレオ
チド終止配列決定レーン(A、C、GおよびT)は四角で囲んである。それらは
セグメントのクローン化cDNAを含有するプラスミドpLM659を用い
て同じプライマーおよびT7シークエナーゼ2.0(Amersham社)によ
り作製した。配列読取りを左側に示す。sの3’−末端「T」は、矢印で示さ
れ、図5に述べられた特有の制限部位には下線が引かれている。
【図8】 P2ポリメラーゼがdsRNAテンプレートの存在下、RNA合成(転写)を
触媒することを示す図である。EtBr染色ゲル(A)および同一ゲルのオート
ラジオグラム(B)は、精製P2タンパク質を含有する反応生成物(p)または
コントロール緩衝剤を含有する反応生成物(b)を示す。2本鎖RNA基質は次
のとおりであった。φ6はバクテリオファージφ6から抽出されたゲノムdsR
NAセグメントの混合物;L−AはSaccharomyces cerevi
siaeウィルスL−AのゲノムdsRNA;BTV1はブルータング・ウィル
ス、株1のゲノムdsRNAセグメントの混合物。φ6のL、MおよびSセグメ
ントの位置を左側レーンに示し、10種のBTVIセグメント(B1〜B10)
の位置は右側に示す。
【図9】 φ6特異的dsRNA基質のP2触媒転写が、主にプラスセンスRNA鎖合成
の結果となることを示す図である。(A)2種のssRNA基質および2種のd
sRNA基質を、別個の精製P2を含む反応混合物(p)またはコントロール緩
衝剤を含有する反応混合物(b)中28℃にインキュベートした。1時間の時点
で混合物から一定量を取り出して標準アガロース・ゲル中で分析した。1本鎖R
NA類は以下のとおりであった:φ6ssはφ6ヌクレオカプシドによる転写か
ら精製された天然s、mおよびlセグメントの混合物;mはmRNA
。2本鎖RNA類:φ6dsはバクテリオファージφ6から抽出された3種のゲ
ノム・セグメントの混合物;MはP2によるssRNA mの複製に続いて、
新たに形成されたdsRNAを標準アガロース・ゲル電気泳動を用いて精製する
ことにより調製された合成Mセグメント。レーンNは図2に定義されたとおりで
ある。(B)(A)に記載されたP2存在下で調製され、ゲル分析前に熱処理さ
れた反応生成物の鎖分離電気泳動。
【図10】 P2ポリメラーゼがDNAテンプレートの存在下でRNA合成を触媒すること
を示す図である。(A)Hinflで切断されたM13mp10のssDNAを
、実施例3に記載されたとおりP2ポリメラーゼと共に(1)または無しで(2
)インキュベーションした。Nは図2におけるようなマーカー・レーンである。
(B)種々の制限エンドヌクレアーゼで切断されたpUC18のdsDNA類:
1、HincII;2、SmaI;3、KpnI;4、PstI;5、SacI
;6、BamHI;7、HindIII;8、XbaIをP2ポリメラーゼと共
にインキュベーションし、実施例3の記載のとおり分析した。レーン9は、Xb
aIで切断されたpUC18をP2無しの反応混合物中でインキュベーションし
た結果である。
【図11】 ヌクレオチド類縁体が新たに生成したRNAへ取込まれたことを示す図である
。標準P2複製混合物に、(A)25μMのAlexa Fluor(登録商標
)488−5−UTP;(B)25μMのクマリン−5−CTP;または(C)
100μMビオチン−11−CTPを補足した。これらヌクレオチド類縁体の各
々について、3つの別個の反応が、(P)P2ポリメラーゼ(40μg/ml)
を含むがRNAは含まない;(R)mssRNAテンプレート(75μg/m
l;MakeyevおよびBamford(2000)EMBO J.、19、
6275〜6284)を含むがポリメラーゼは含まない;(PR)P2ポリメラ
ーゼおよびssRNAテンプレートの双方を含む;ように実施された。30℃で
1時間インキュベーション後、反応液をゲルろ過カラムを通し、流出(flow-thro
ugh)フラクション(RNA反応生成物を含む)をさらなる分析のために用いた。
精製フラクションの蛍光発光スペクトルは、固定励起波長の490nm(A);
402nm(B)で記録された。(C)ビオチン−ストレプタビジン・ドット−
ブロット・アッセイ。手短に言えば、流出フラクションからの一定量を、ハイボ
ンドN+ナイロン膜(Amersham社)にスポットし、ストレプタビジン−
HRP複合体(NEN)で染色し、続いてECL検出法(Biological
Industries社のキット、イスラエル国)を行った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/10 C12Q 1/68 Z C12P 19/34 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/68 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA11 BA10 CA01 GA11 HA12 HA19 4B050 CC01 CC03 DD20 EE10 FF01C FF11C FF14C LL05 4B063 QA13 QQ52 QR08 QR32 QR35 QR42 QR62 QS25 QX01 4B064 AF27 CA21 CB30 CC24 CD12 DA13 4B065 AA98Y AB01 AC14 BA02 BD01 BD15 CA23 CA29 CA46

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 十分な条件下で核酸基質と接触させた場合、in vitr
    oで非特異的にRNA合成を行う能力を有する単離されたポリメラーゼタンパク
    質。
  2. 【請求項2】 タンパク質が、dsRNAウィルスに由来する、請求項1に
    記載のタンパク質。
  3. 【請求項3】 タンパク質が、Cystoviridaeウィルス、Reo
    viridaeウィルス、BirnaviridaeウィルスまたはTotiv
    iridaeウィルスに由来し、好ましくはφ6、φ7、φ8、φ9、φ10、
    φ11、φ12、φ13またはφ14などのCystoviridae科のφ6
    関連バクテリオファージ群に由来する、請求項1または2に記載のタンパク質。
  4. 【請求項4】 タンパク質が、Pseudomonas syringae
    のバクテリオファージであるφ6のP2タンパク質であるか、或いはP2の改変
    体または遺伝的に改変されたものである、請求項1から3のいずれか一項に記載
    のタンパク質。
  5. 【請求項5】 (a)少なくとも配列番号1の部分的核酸配列を有する核酸
    配列; (b)少なくとも配列番号8の部分的アミノ酸配列を有するポリペプチドをコ
    ードする核酸配列; (c)遺伝子コードの縮退により(a)または(b)の核酸配列とは異なる核
    酸配列; (d)(a)、(b)および/または(c)の核酸配列にハイブリダイズする
    核酸配列;および (e)(b)の配列に対して少なくとも20%同一性、好ましくは少なくとも
    50%同一性を示すアミノ酸配列をコードする核酸配列 からなる群から選択される核酸配列によりコードされる、請求項1から4のい
    ずれか一項に記載のタンパク質。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質をコード
    する核酸配列を含むベクター。
  7. 【請求項7】 請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質をコード
    する核酸配列または請求項6に記載のベクターを含む宿主細胞。
  8. 【請求項8】 (a)請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質を
    コードする核酸配列を含む宿主細胞をインキュベーションしてタンパク質を発現
    させるステップ; (b)宿主または培地からタンパク質を回収するステップ; (c)タンパク質を精製するステップ;および、場合によっては (d)そのタンパク質のRNA合成活性をアッセイするステップ を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質を製造する方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のタンパク質を単離して精製する方法であっ
    て、該方法が: (a)緩衝液中で宿主細胞を破壊して細胞溶解物を得るステップ; (b)その溶解物を遠心分離により清澄化するステップ; (c)少なくとも1回、より好ましくは2回のアフィニティー・クロマトグラ
    フィを用いてタンパク質を精製するステップ; (d)少なくとも1ステップのイオン交換クロマトグラフィを用いてタンパク
    質をさらに精製して本質的にヌクレアーゼ活性およびプロテアーゼ活性のないフ
    ラクションを得るステップ を含む請求項8に記載のタンパク質を単離、精製する方法。
  10. 【請求項10】 (a)ssRNA基質を用意するステップ; (b)そのssRNA基質を、RNA合成に十分な条件下で請求項1から5の
    いずれか一項に記載のタンパク質と接触させるステップ;および (c)反応混合物から新たにつくられたRNA種を回収するステップ を含むin vitroでRNAを製造する方法。
  11. 【請求項11】 新たにつくられたそのRNA種がdsRNAである、請求
    項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 (a)dsRNA基質を用意するステップ; (b)そのdsRNA基質を、RNA合成に十分な条件下で請求項1から5の
    いずれか一項に記載のタンパク質と接触させるステップ;および (c)反応混合物から新たにつくられたRNA種を回収するステップ を含むin vitroでRNAを製造する方法。
  13. 【請求項13】 (a)RNA基質を用意するステップ; (b)そのRNA基質を、RNA複製およびRNA転写の双方に十分な条件下
    で請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質と接触させるステップ;お
    よび (c)反応混合物から新たにつくれられた増幅RNAの混合物を回収するステ
    ップ を含むin vitroでRNAを増幅させる方法。
  14. 【請求項14】 (a)ssRNA基質を用意するステップ; (b)そのssRNA基質を、請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパ
    ク質により複製してdsRNAを形成するステップ; (c)そのdsRNAを、請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質
    により転写してssRNAを得るステップ;および (d)RNA合成生成物の十分な量が得られるまで増幅ステップを反復するス
    テップ を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 (a)DNAテンプレートをDNA依存RNAポリメラー
    ゼにより転写することにより、ssRNA基質を用意するステップ;および (b)そのssRNA基質を請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク
    質により複製してdsRNAを形成するステップ を含むin vitroでRNAを製造する方法。
  16. 【請求項16】 (a)DNA依存RNAポリメラーゼによりDNAテンプ
    レートを転写することによりssRNA基質を用意するステップ; (b)そのssRNA基質を請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク
    質により複製してdsRNAを形成するステップ; (c)そのdsRNAを請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質に
    より転写してssRNAを得るステップ;および (d)RNA合成産物の十分な量が得られるまで増幅ステップを反復するステ
    ップ を含むin vitroでRNAを増幅する方法。
  17. 【請求項17】 そのDNA依存RNAポリメラーゼが、バクテリオファー
    ジ、好ましくはT7、T3、およびSP6バクテリオファージを含む群から選択
    されるバクテリオファージ由来である、請求項15または16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 ステップ(a)および(b)が、同じ反応容器内で同時に
    または連続して実施される、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 【請求項19】 (a)1本鎖核酸基質を用意するステップ; (b)その1本鎖核酸基質を、RNA合成に十分な条件下で請求項1から5の
    いずれか一項に記載のタンパク質と接触させて少なくとも1本鎖核酸基質の一部
    を2本鎖核酸体に変換するステップ; (c)反応混合物から全核酸を回収するステップ;および、場合によっては (d)その全核酸を、2本鎖核酸ではなく1本鎖核酸を選択的に分解するヌク
    レアーゼを含む製剤と接触させるステップ;および (e)ヌクレアーゼによる分解に対して安定性が増加した2本鎖核酸を回収す
    るステップ を含む核酸を安定化する方法。
  20. 【請求項20】 (a)ssDNA基質を用意するステップ; (b)そのssDNA基質を、RNA合成に十分な条件下で請求項1から5の
    いずれか一項に記載のタンパク質と接触させるステップ;および (c)反応混合物から新たに生成した核酸種を回収するステップ を含むin vitroでRNAを製造する方法。
  21. 【請求項21】 (a)dsDNA基質を用意するステップ; (b)そのdsDNA基質を、RNA合成に十分な条件下で請求項1から5の
    いずれか一項に記載のタンパク質と接触させるステップ;および (c)反応混合物から新たに生成した核酸種を回収するステップ を含むin vitroでRNAを製造する方法。
  22. 【請求項22】 新たに生成した核酸種が、テンプレートDNAおよびRN
    A複製物から成る2本鎖を含む請求項20または21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 1本鎖または2本鎖の核酸基質が線状である、請求項10
    から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 【請求項24】 RNA合成用の混合物が、放射活性同位元素で標識されて
    いるか、または化学的に修飾されている少なくとも1種のヌクレオシド三リン酸
    を含有する、請求項10から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 【請求項25】 −RNAまたはDNA基質を用意するステップ; −核酸基質、請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質、ヌクレオシ
    ド三リン酸、および、場合によっては、緩衝剤、酢酸アンモニウム、DTT、P
    EG、Mg2+イオン類、Mn2+イオン類および/またはBSAを含む混合物
    中、そのRNAまたはDNA基質をRNA合成に十分な条件下で請求項1から5
    のいずれか一項に記載のタンパク質と接触させるステップ; −RNA合成に十分な温度で反応混合物をインキュベートするステップ; −反応混合物から新たに生成した核酸種を回収するステップ を含むin vitroでRNAを製造する方法。
  26. 【請求項26】 RNA合成が、核酸基質に相補的なプライマーの3’末端
    から開始される、請求項10から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 【請求項27】 そのプライマーが、1本鎖RNAまたはDNAである、請
    求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 (a)請求項1から5のいずれか一項に記載のポリメラー
    ゼタンパク質;および、場合によっては (b)検出可能な濃度のRNA合成に必要な添加物 を含むin vitroでRNAを製造するためのキット。
  29. 【請求項29】 RNA合成に十分な濃度のヌクレオシド三リン酸を含む、
    請求項28に記載のキット。
  30. 【請求項30】 少なくとも1種のヌクレオシド三リン酸が、放射性同位元
    素で標識されているか、または化学的に修飾されている、請求項28または29
    に記載のキット。
  31. 【請求項31】 キットがさらに、RNA合成のためのテンプレート(複数
    のテンプレート)として働くことのでできる標準的な核酸標品を含有する、請求
    項28から30のいずれか一項に記載のキット。
  32. 【請求項32】 核酸分子を配列決定するために特に使用され、特定のヌク
    レオチド塩基でRNA合成を終結させる少なくとも1種のRNA合成終止剤を場
    合によっては含む、請求項28から31のいずれか一項に記載のキット。
  33. 【請求項33】 そのRNA合成終止剤が、3’−デオキシヌクレオチド三
    リン酸またはその機能的誘導体である、請求項32に記載のキット。
  34. 【請求項34】 (a)線状核酸分子を用意するステップ; (b)請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質; 4種のヌクレオシド三リン酸またはそれらの機能的類縁体;および 特定のヌクレオチド塩基でRNA合成を終結させる4種のRNA合成終止剤の
    うち少なくとも1種、ここでその終止剤は、それぞれ異なるヌクレオチド塩基に
    おいてRNA合成を終結させる; を含む混合物中、RNA合成に十分な条件下でその核酸分子をインキュベートす
    るステップ;および (c)インキュベーション反応物の終結されたRNA生成物をサイズによって
    分離してその核酸分子の少なくとも一部のヌクレオチド塩基配列を決定するステ
    ップ を含む線状核酸分子のヌクレオチド塩基配列を決定する方法。
  35. 【請求項35】 その核酸分子が、1本鎖RNAまたはDNAである、請求
    項34に記載の方法。
  36. 【請求項36】 その核酸分子が、2本鎖RNAまたはDNAである、請求
    項34に記載の方法。
  37. 【請求項37】 検出可能な標識を持つように修飾されたヌクレオシド三リ
    ン酸またはそれらの機能性類縁体を少なくとも1種使用することを含む、請求項
    34から36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 【請求項38】 検出可能な標識を持つように修飾されたRNA合成終止剤
    を少なくとも1種使用することを含む、請求項34から37のいずれか一項に記
    載の方法。
  39. 【請求項39】 そのRNA合成終止剤が、3’−デオキシヌクレオシド三
    リン酸またはそれらの機能的誘導体である、請求項34から38のいずれか一項
    に記載の方法。
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