JP2001299348A - Dnaポリメラーゼ活性と3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性ヘテロダイマー酵素およびその製法 - Google Patents
Dnaポリメラーゼ活性と3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性ヘテロダイマー酵素およびその製法Info
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- JP2001299348A JP2001299348A JP2000116257A JP2000116257A JP2001299348A JP 2001299348 A JP2001299348 A JP 2001299348A JP 2000116257 A JP2000116257 A JP 2000116257A JP 2000116257 A JP2000116257 A JP 2000116257A JP 2001299348 A JP2001299348 A JP 2001299348A
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Abstract
ヌクレアーゼ活性を有しかつプライマー伸長活性が強い
高耐熱性DNAポリメラーゼを提供する。 【解決手段】 分子量がそれぞれ約70±7kDa、約144±1
4.4kDaである小サブユニットおよび大サブユニットから
なり、大サブユニットがインテイン配列を含まないこ
と、85℃、1時間の加熱処理で少なくとも約50%の活性
を保持し、90℃、1時間の加熱処理で少なくとも約20%
の活性を保持すること、ならびにDNAポリメラーゼ活性
および3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を有することを特
徴とする好熱性古細菌由来の耐熱性ヘテロダイマー酵
素、この酵素をコードするDNA、ならびにこの酵素の
製造方法。
Description
活性と3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を有する新規の耐
熱性ヘテロダイマー酵素およびその製法に関する。
反応、遺伝子増幅反応(PCR反応)、DNAの放射活性標識、
変異遺伝子の試験管内合成等に有用な酵素である。現在
までに知られているDNAポリメラーゼは、アミノ酸配
列の共通性から、大きく4つのファミリーに分類するこ
とができる。その中で一般的に遺伝子操作実験用試薬と
して利用されているのは、大腸菌DNAポリメラーゼI
や好熱菌サーマスアクアティカスDNAポリメラーゼ
(Taq DNAポリメラーゼ)に代表されるファミリーA
(ポルI型酵素)と、T4ファージDNAポリメラーゼ
に代表されるファミリーB(α型酵素)に属するもので
ある。
メラーゼが細菌や動植物から発見されているが、多くが
常温生物由来のため、耐熱性に乏しく、鋳型DNAの94℃
以上での熱変性反応を含むPCR反応等には不適当であっ
た。また、耐熱性DNAポリメラーゼとしてTaq DNAポリメ
ラーゼ等の好熱性細菌由来の酵素が市販されているが、
いずれも3'-5'校正エキソヌクレアーゼ活性を欠くた
め、PCR反応等のポリメラーゼ反応中にエラーを誘発し
やすく、PCR反応等には不向きである。さらにまた、高
耐熱性で3'-5'校正エキソヌクレアーゼ活性を持つα型
酵素が、パイロコッカスやサーモコッカス等の超好熱性
古細菌より単離され市販されているが、プライマー伸長
活性が弱く、長鎖DNAのPCR反応には適さない。
伸長の校正機能である3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を
有し、かつプライマー伸長活性が強いDNAポリメラー
ゼを見出し、廉価で安定に供給することが強く求められ
ている。
な課題を解決すべく、90〜100℃で生育する超好熱性細
菌に着目し、その遺伝子配列から本酵素活性を示すと推
測される遺伝子を見出した。さらに、細菌を使ってその
遺伝子から酵素を生産し、この酵素が85℃という高温で
さえ比較的安定に存在しかつDNAポリメラーゼ活性を示
すことを確認し、本発明を完成するに至った。さらにま
た、ここで得られた遺伝子を、他の微生物に組み込み、
活性の高い本酵素を多量に生産する方法を見出した。
明は、第1の態様において、分子量がそれぞれ約70±7kD
a、約144±14.4kDaである小サブユニットおよび大サブ
ユニットからなり、大サブユニットがインテイン配列を
含まないこと、85℃、1時間の加熱処理で少なくとも約5
0%の活性を保持し、90℃、1時間の加熱処理で少なくと
も約20%の活性を保持すること、ならびにDNAポリメラ
ーゼ活性および3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を有する
ことを特徴とする好熱性古細菌由来の耐熱性ヘテロダイ
マー酵素を提供する。
がパイロコッカス属に属する細菌である。本発明の別の
実施態様において、該酵素はさらにプライマー長依存性
のプライマー伸長活性を示す。本発明の別の実施態様に
おいて、該酵素はさらに至適pHが約8.0〜約9.0であ
る。本発明の別の実施態様において、該酵素はさらに至
適Mg2+濃度が約12mM以上である。
質 (1)DNAポリメラーゼ活性および3'-5'エキソヌクレア
ーゼ活性を有すること; (2) 子量がそれぞれ約70±7kDa、約144±14.4kDaであ
る小サブユニットおよび大サブユニットからなり、大サ
ブユニットがインテイン配列を含まないこと; (3) 適pHが約8.0〜約9.0であること; (4) 至適Mg2+濃度が約12mM以上であること; (5) 85℃、1時間の加熱処理で少なくとも約50%の活
性を保持し、90℃、1時間の加熱処理で少なくとも約20
%の活性を保持すること;および (6) プライマー長依存性のプライマー伸長活性を示す
ことを有する耐熱性ヘテロダイマー酵素を提供する。
酵素類は好熱性古細菌、好ましくは硫黄代謝好熱性古細
菌、例えばパイロコッカス属に属する古細菌由来であ
る。本発明の別の実施態様において、本発明の酵素の小
サブユニットは配列番号4に示されるアミノ酸配列を有
するタンパク質であるか、あるいは該アミノ酸配列にお
いて1個もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失また
は付加を含みかつ前記大サブユニットとダイマーを形成
したときに前記性質を発現するタンパク質である。
発明の酵素の大サブユニットは配列番号2に示されるア
ミノ酸配列中インテイン配列によりコードされるアミノ
酸配列(955番目〜1120番目)を除去した配列を有するタ
ンパク質であるか、あるいは該配列において1個もしく
は数個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を含みか
つ前記小サブユニットとダイマーを形成したときに前記
性質を発現するタンパク質である。
記に定義したいずれかの酵素をコードするDNAを提供
する。本発明は、さらに第4の態様において、配列番号
4に示されるアミノ酸配列を有する小サブユニットをコ
ードするDNAおよび配列番号2に示されるアミノ酸配
列中インテイン配列 (955番目〜1120番目)を除去した配
列を有する大サブユニットをコードするDNAを共発現
可能に含む1つまたは2つからなる組換えベクターを提
供する。
大および小サブユニットをコードするDNAが共発現可
能である限り、単一のベクターDNA中に両方の該DN
Aが挿入されていてもよいし、あるいは異なるベクター
中に各々の該DNAが挿入されていてもよい、ことを意
味する。
において、小サブユニットをコードするDNAは配列番
号3に示されるヌクレオチド配列を有し、および大サブ
ユニットをコードするDNAは配列番号1に示されるヌ
クレオチド配列中インテイン配列をコードする配列(286
3番目〜3360番目)を除去したヌクレオチド配列を有す
る。
記のいずれかの酵素の製造方法であって、上記定義のD
NAまたは組換え体ベクターで宿主細胞を形質転換する
こと、形質転換宿主細胞を培地中で培養し、小サブユニ
ットをコードするDNAと大サブユニットをコードする
DNAを共発現させること、および小サブユニットと大
サブユニットから構成される該酵素を回収することを含
む方法を提供する。
菌である。本明細書中「インテイン」とは、タンパク質
性のイントロンを指す。また「プライマー長依存性のプ
ライマー伸長活性」とは、DNAポリメラーゼ酵素のプ
ライマー伸長活性がプライマーの長さに依存して高まる
傾向を指す。さらに、本明細書中で使用される「1もし
くは数個の」とは、10個以下、好ましくは7個以下、よ
り好ましくは5個以下を意味する。
ジ、ファージミド(例えばコスミド)、ウイルスなどの形
態をとることができ、好ましくはプラスミドである。そ
して小サブユニットおよび/または大サブユニットをコ
ードするDNAは同一のまたは異なるベクターDNA、
好ましくは同一のベクター上に存在することができる。
あるいは、これらの大および小サブユニットをコードす
るDNAは共発現可能なように宿主のゲノムに相同組換
え法により組み込まれてもよく、この場合宿主はこれら
のDNAが由来する細菌またはその近縁種が好ましい。
本発明の組換えベクターは通常、目的の2つのDNAが
共発現可能なように同一のまたは異なるプロモーターを
含み得る。本明細書中「共発現可能」とは、宿主内で2
つのDNAが同時に発現されて、各DNAによってコー
ドされるタンパク質が生成可能であることをいう。
る。本発明の酵素は、上記の性質を有し、天然からまた
は人工的に得ることができる。例えば、該酵素は超好熱
性細菌、好ましくは好熱性古細菌、より好ましくは硫黄
代謝好熱性古細菌から得ることができる。好熱性古細菌
の例としてはパイロコッカス(Pyrococcus)属[例えばパ
イロコッカス・ホリコシ(P. horikoshii)、パイロコッ
カス・フリオサス(P. furiosus)、パイロコッカス・ウ
ォーセイ(P. woesei)など]、サーモコッカス( Thermoco
ccus)属[サーモコッカス・リトラリス(T.litoralis)、
サーモコッカス・セラー(T. celer)、サーモコッカス・
プロファンダス(T. profundus)、サーモコッカス・ペプ
トノフィラス(T. peptonopjilus)など]、ピロバキュラ
ム(Pyrobaculum)属[ピロバキュラム・イスランジカム
(P. islandicum)など]などを挙げることができる。ある
いは、該酵素はDNA組換え技術を使用して作製しても
よい。
該酵素を含むと考えられる上記のような細菌を適切な培
地にて培養増殖した後、例えばホモジナイゼーションな
どの細胞破壊によって培養細胞を破壊し、酵素精製のた
めの一般的な手法を任意に組み合わせて使用して目的の
酵素を得ることができる。このような手法の例として、
塩析法、加熱処理、溶媒抽出法、溶媒沈殿法、限外濾過
法、免疫化学的方法、カラムクロマトグラフィー法(ゲ
ル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作
用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィ
ーなど)、HPLC、電気泳動法、等電点電気泳動法などを
挙げることができる。これらの手法の具体的記述とし
て、例えば日本生化学会編、新生化学実験講座1、タン
パク質I、分離・精製・性質、1990年、東京化学同人を
参照することができる。また細菌の培養は細菌の種類に
応じて異なり既知の培養条件にて行うことができる。例
えば好熱性古細菌の場合、その多くは嫌気性菌であるた
め培養中に窒素ガスなどを連続的に通気するか、または
流動パラフィンなどの物質を重層して空気を遮断しなが
ら、約85〜100℃の温度で約1〜4日間、NaCl0〜4%の
存在下でNaSO2,KCl,Na2SO4,KBr,H3BO3, MgCl2,CaCl2,S
rCl2,NH4Cl,K2HPO4などの無機物,CH3COONa,トリプトン,
酵母エキスなどの有機物,MnSO4,FeSO4,ZnSO4などの微量
元素を含有する培地中で培養することができる(例えば
公庄千寿ら、生化学72巻3号203〜206頁、2000年参
照)。
して、DNA組換え技術を用いる方法を挙げることがで
きる。超好熱性細菌の遺伝子配列から本酵素活性を示す
と思われる遺伝子を、例えば該細菌由来のゲノムライブ
ラリーもしくはcDNAライブラリーからスクリーニングし
て定法により目的のクローンを得るか、あるいは、適切
なプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に
よって目的のDNAを増幅した後、フェノール、クロロ
ホルムなどの有機溶剤での処理やショ糖もしくはセシウ
ムクロライド密度勾配遠心によりDNAを調製、単離
し、蛋白質発現用プラスミド(例えばpET11aまたはpET15
b)などの適当なベクターに、該DNAが発現可能なよう
に挿入し、そのプラスミドを適当な宿主(例えば大腸
菌、枯草菌などの細菌類、場合により酵母、担子菌など
の菌類)に導入し、該宿主の培養と通して本発明の酵素
の生産を行うことができる。一般にベクターには、宿主
に応じて選択可能なプロモーター、選択マーカーの他
に、例えば複製起点、リボソーム結合部位(またはシャ
イン・ダルガルノ配列)、転写開始部位、ターミネータ
ー、ポリリンカー(複数の制限酵素部位からなる配列)
などが適宜含まれる。生産された目的の酵素は、上記の
慣用の酵素精製手法を適宜組み合わせることによって単
離・精製される。
約70±7kDaの二つのサブユニットからなるヘテロダイマ
ータンパク質で、DNAを鋳型として相補鎖を合成する
活性と、3'-5'校正エキソヌクレアーゼ活性とを保持す
る、所謂DNA依存性DNAポリメラーゼに分類される
酵素である。この酵素は500 mM NaClと10 mM MgCl2を含
む50mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)中で85℃で1時間処理
しても処理開始前の活性の少なくとも約50%を保持する
ことから、比較的耐熱性であり、また、この酵素を用い
てDNA鎖の伸長を行うときプライマー長が約15merで
は伸長活性が認められず約30merを超えると伸長活性が
認められ、プライマー長が増すにつれて伸長活性がより
高まる傾向を示す、という独特の性質も有している。
うにパイロコッカス属細菌であるパイロコッカス・ホリ
コシ(特に理化学研究所に寄託された菌株JCM9974)由
来のDNAを基にDNA組換え技術によって得ることがで
きる。しかしながら意外にも、DNA合成活性のある本発
明酵素を調製しようとする場合、該酵素を構成する大サ
ブユニットをコードするヌクレオチド配列からインテイ
ン配列をコードする配列(例えば配列番号1の2863番目
〜3360番目)を欠失させる必要があることが判明した。
このようにして得られる酵素はしたがって、例えば配列
番号4に示されるアミノ酸配列を有する小サブユニット
と、例えば配列番号2に示されるアミノ酸配列中インテ
イン配列によりコードされるアミノ酸配列(例えば955番
目〜1120番目)を除去した配列を有する大サブユニット
とのヘテロダイマーから構成される。もし大サブユニッ
ト中にインテイン配列が存在すると、たとえ小サブユニ
ットとヘテロダイマーを形成しても非常に低いDNA合
成活性しか示さない(後述の実施例11の表1参照)。この
ような低活性は、小サブユニットのみの場合、大サブユ
ニットのみの場合、インテイン配列が除去された大サブ
ユニットのみの場合にも認められる。したがって、本発
明の酵素が実用的なDNA合成活性を示すためには、大
サブユニットからインテイン配列(存在する場合)を除去
する必要がある。
るアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸残
基の置換、欠失または付加を含むサブユニットタンパク
質からなる酵素も包含される。このような置換、欠失ま
たは付加からなる変異操作は、例えば部位特異的変異誘
発法、PCR法などの当業者に周知される手法を用いて
実施することができる。
DNA組換え技術、PCR法、部位特異的変異誘発法な
どの具体的記述として、例えばJ. Sambrook et al., Mo
lecular Cloning A Laboratory Manual, second editio
n, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989を参照
することができる。
るが、本発明はそれらの実施例に限定されないものとす
る。 <実施例1> 菌の培養 パイロコッカス・ホリコシ(理化学研究所受託番号JCM
9974)は次の方法で培養した。13.5gの食塩、4gの
Na2SO4, 0.7 gのKCl, 0.2g のNaHCO3 、0.1gのKBr、30
mgのH3BO3、10gのMgCl2・6H2O、1.5g のCaCl2 、25mgの
SrCl2、1.0mlのレザスリン溶液(0.2g/L)、1.0gの酵母
エキス、5gのバクトペプトンを1Lに溶かし、この溶液の
pHを6.8に調整し加圧殺菌した。ついで、乾熱滅菌した
元素硫黄を0.2%となるように加え、この培地をアルゴ
ンで飽和して嫌気性とした後、JCM9974を植菌し
た。培地が嫌気性となったか否かはNa2S溶液を加えて、
培養液中でNa2Sによるレザスリン溶液のピンク色が着色
しないことにより確認した。この培養液を95℃で2〜4
日間培養し、その後遠心分離し集菌した。
終了後5000rpm、10分間の遠心分離により菌体を集菌す
る。菌体を10mM Tris(pH 7.5)- 1mM EDTA 溶液で2回
洗浄後InCert Agarose(FMC社製)ブロック中に封入す
る。このブロックを1%N-ラウロイルサルコシン(laur
oylsarcosine), 1mg/mlプロテアーゼK溶液中で処理す
ることにより、染色体DNAはAgaroseブロック中に分離調
製される。
ークローンの作製 実施例2で得られた染色体DNAを制限酵素HindIIIで部分
分解後、アガロースゲル電気泳動により約40kb長の断片
を調製した。このDNA断片と制限酵素HindIIによって完
全分解したBacベクターpBAC108L及びpFOS1とをT4リガー
ゼを用いて結合させた。前者のベクターpBAC108Lを用い
た場合には結合終了後のDNAをただちに大腸菌内へ電気
孔窄法により導入した。後者のベクターpFOS1を用いた
場合には結合終了後のDNAをGIGA Pack Gold (ストラタ
ジーン社製)により試験管内でλファージ粒子内に詰め
込み、この粒子を大腸菌に感染させることによりDNAを
大腸菌内に導入した。これらの方法により得られた抗生
物質クロラムフェニコール耐性の大腸菌集団をBAC及びF
osmidライブラリーとした。ライブラリーからJCM9974の
染色体をカバーするのに適したクローンを選択して、ク
ローンの整列化を行った。
の塩基配列決定 整列化されたBAC或いはFosmidクローンについて順次以
下の方法で塩基配列を決定した。大腸菌より回収した各
BAC或いはFosmidクローンのDNAを超音波処理することに
より断片化し、アガロースゲル電気泳動により1kb及び2
kb長のDNA断片を回収した。この断片をプラスミドベク
ターpUC118のHincII制限酵素部位に挿入したショットガ
ンクローンを各BAC或いはFosmidクローン当たり500クロ
ーン作製した。各ショットガンクローンの塩基配列をパ
ーキンエルマー、ABI社製自動塩基配列読み取り装置373
または377を用いて決定した。各ショットガンクローン
から得られた塩基配列を塩基配列自動連結ソフトSequen
cherを用いて連結編集し、各BAC或いはFosmidクローン
の全塩基配列を決定した。
定 上記で決定された各BAC或いはFosmidクローンの塩基配
列の大型計算機による解析を行い、DNAポリメラーゼの
大サブユニットをコードする遺伝子(図1)と小サブユ
ニットをコードする遺伝子(図3)が同定された。
ミドの構築 小サブユニット構造遺伝子領域の前後に制限酵素(NdeI
とBamHI)サイトを構築する目的で下記のDNAプライマー
を合成し、PCRでその遺伝子の前後に制限酵素サイト
を導入した: 上部プライマー: PolS1; 5'-TTTTGTCGACGTACATATGGATGA
ATTCGTAAAG-3'(配列番号5;下線部はNdeIサイトを示
す); 下部プライマー: PolS2; 5'-TTTTGAGCTCTTTGGATCCTTAGA
AGCTCCATCAGCACCACCT-3'(配列番号6;下線部はBamHI
サイトを示す)。 PCR反応後、制限酵素(NdeIとBamHI)で完全分解(3
7℃で2時間)した後、その構造遺伝子を精製した。さら
に、pET11a或いはpET15b(ともにNovagen社製)を制限
酵素NdeIとBamHIで切断・精製した後、上記の構造遺伝
子とT4リガーゼで16℃、2時間反応させ連結した。
連結したDNAの一部を大腸菌E. coli XL1-BlueMRF1
(Stratagene社製)のコンピテントセルに導入し形質転
換体のコロニーを得た。得られたコロニーから発現プラ
スミドをアルカリ法で精製した。得られた発現プラスミ
ドは各々pET11a/PolS或いはpET15b/PolSと略記された。
構造遺伝子上にランダム変異がないことはDNA配列決定
により確認された。
発現するためのプラスミドの構築 完全長の大サブユニット遺伝子を2段階でpGEMEX-1ベク
ター(プロメガ社製)にクローニングした。前半部のDN
A断片は以下の二つのプライマーを用い、PCR法で得た: 上部プライマー: PolL1; 5'-CTCGACTTTAGCATATGGCTCTGA
TGGAGC-3'(配列番号7;下線部はNdeIサイトを示
す); 下部プライマー: PolL2; 5'-GCTTGTCGACGCCATAAACTTTGA
CATTATCCATTGCGCGCTTAAGCAAC-3'(配列番号8;下線部
はSalIサイトを示す)。 このPCR産物をNdeIとSalIで完全消化した後、pGEMEX-1
ベクターにクローニングし、pGEM/PolL1-2と略記した。
ーを用い、PCR法で得た: 上部プライマー: PolL3; 5'-TTTATGGCGTCGACAAGCTGAAGG
-3'(配列番号9;下線部はSalIサイトを示す); 下部プライマー: PolL4; 5'-TATAACTTATGCATTGTGGTTATT
TCGCTGAGAAG-3'(配列番号10;下線部はNsiIサイトを示
す)。 このPCR産物はSalIとNsiIで完全消化した後、先に調製
したpGEM/PolL1-2にクローニングし、完全長の大サブユ
ニット遺伝子を含むpGEM/PolLを得た。
ブユニットを発現するためのプラスミドの構築 図2のようにパイロコッカス・ホリコシ(P. horikoshii)
のDNAポリメラーゼの大サブユニット遺伝子の中には
(蛋白質性のイントロンをコードする)インテインが一
つ含まれるので、プライマーPolL3とPolL6(下記)を用
いたPCR法でインテインの上流のDNA断片を増幅し、プラ
イマーPolL5(下記)とPolL4を用いたPCR法でインテイ
ンの下流のDNA断片を増幅した。この2断片とプライマ
ーPolL3とPolL4を用い、インテインの除かれたDNA断片
をオーバーラップPCRで増幅した。次にこの産物を制限
酵素SalIとNsiIで完全消化した後、先に調製したpGEM/P
olL1-2にクローニングし、インテインの除かれた大サブ
ユニット遺伝子を含むpGEM/PolL(-Intein)を得た。 PolL5: 5'-CACGCTGCAAAGAGGAGAAATTGCGATGGTGATGAAGATG
CT-3'(配列番号11) PolL6: 5'-AGCATCTTCATCACCATCGCAATTTCTCCTCTTTGCAGCG
TG-3'(配列番号12)
ンを除去した大サブユニットを共発現するプラスミドの
構築 目的のヘテロダイマーDNAポリメラーゼの安定した生産
を図るために両サブユニットを共発現するプラスミドの
構築を行った。まず、pET15b/PolSのBamHIサイトの直上
流域に新しいマルチクローニングサイトを導入するため
にプライマーPolS1とPolS3(下記)を用いPCR反応を行
った。なお、下記のようにPolS3には5'-末端より順番に
BamHI、NsiI、SalI、SacIIサイトがコードされている。
PCR産物をNdeIとBamHI処理し、pET15bに挿入することに
より、小サブユニットの終止コドンとBamHIサイトの間
にマルチクローニングサイトを含むpET15b/PolS(M)を造
成した。次に、pGEM/PolL(-Intein)を鋳型DNAとし、プ
ライマーPolL7(下記)とPolL2を用いPCR反応を行っ
た。得られた産物は新しいSacIIサイトを5'-末端にも
ち、pGEM/PolL(-Intein)のタンパク質発現ユニットのう
ち、リボソーム結合サイトからコード領域中のSalIサイ
トまでを含んでいる。これをSacIIとSalI処理し、pET15
b/PolS(M)に造成されたマルチクローニングサイトに挿
入した。このプラスミドはpET15b/PolSL1-2と略記され
る。さらに、pGEM/PolL(-Intein)をSalIとNsiI処理し、
大サブユニットの後半部分の遺伝子(インテインを含ま
ない)を単離し、これをpET15b/PolSL1-2のタンパク質
発現ユニットの最後に残ったSalIとNsiIサイトに挿入し
た。得られたプラスミドはpET15b/PolSL(-Intein)と略
記される。この発現プラスミドpET15b/PolSL(-Intein)
によりアミノ末端にヒスチジンタグが付加した小サブユ
ニットとインテインを含まない大サブユニットの共発現
が可能になった。 PolS3: 5'-CGGGATCCATGCATGGTCGACACCGCGGTCAGCACCACCT
ACTAAAGTCGAG-3'(配列番号13;下線部は5'-末端より順
番にBamHI, NsiI, SalI, SacIIサイトを示す。) PolL7: 5'-GGTGTCCGCGGCTCACTATAGGGAGACCAC-3'(配列
番号14;下線部はSacIIサイトを、太字はpGEMEX-1ベク
ターのリボソーム結合サイトを示す。)
e社製)のコンピテントセルを融解して、ファルコンチ
ューブに0.1mL移した。その中に発現プラスミド溶液0.
005mLを加え氷中に30分間放置した後42℃でヒートシ
ョックを30秒間行い、SOCmedium 0.9mLを加え、37
℃で1時間振とう培養する。その後アンピシリンを含む
2YT寒天プレートに適量まき、37℃で一晩培養し、形
質転換体を得た。この形質転換体をE. coli BL21-Codon
Plus(DE3)-RIL/ pET15b/PolSL(-Intein)と命名して工業
技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目
1の3)に平成12年4月14日に寄託し、受託番号FERM P-1
7816を与えられた。得られた形質転換体をアンピシリン
を含む2YT培地(2リットル)で600nmの吸収が1に
達するまで培養した後、IPTG(Isopropyl-β-D-thiogal
actopyranoside)を加え30℃でさらに8時間培養した。
培養後遠心分離(6,000rpm,20分)により集菌し
た。
ス塩酸緩衝液(pH8.0)と1 mgのDNaseを加え懸濁液を
得た。得られた懸濁液を37℃で30分保温した後、10分間
超音波照射した。さらに85℃で30分加熱後、遠心分離
(11,000 rpm、20分)し上澄液を得た。これを粗酵素液と
した。次にこの粗酵素液をNi-カラム(Novagen, His・
Bind metal chelation resin & His・Bind buffer kit
を使用)に添加し、親和性クロマトグラフィーを行っ
た。ここで得られた60mMイミダゾール溶出画分をセント
リプレップ30(アミコン社)で100mMリン酸緩衝液(pH6.0)
に置換した。さらに、これをHiTrap SP(ファルマシア
社製)カラムに吸着させ、NaCl濃度勾配による溶出を行
った。次に、各画分のSDS-電気泳動を行い、含まれるタ
ンパク質の分子量を測定した。遺伝子配列より当該DNA
ポリメラーゼのサブユニットの分子量は約144,000 Daと
約70,000 Daと予測されたので、この分子量のタンパク
質を含む画分を集め、セントリプレップ30を用い50 mM
トリス塩酸緩衝液(pH7.0)へ置換した。これをさら
に次の親和性クロマトグラフィーカラムであるHiTrap
ヘパリン(ファルマシア社製)カラムに吸着させ、NaCl
濃度勾配による溶出を行い精製酵素を得た。
の性質 1.酵素反応条件 (1)PCR反応 目的のDNAポリメラーゼの活性検出のために、前記の2
種のDNAオリゴマー(Upper primerとLower primer)と
当該DNAポリメラーゼの小サブユニットをコードする発
現ベクターpET15b/PolSを鋳型DNAとしてPCR反応を行っ
た。反応温度条件は1サイクルが3ステップ(94℃:1
分、61℃:2分、70℃:3分)からなり、35サイクル
を繰り返した。反応液組成(100 ml)は20 mMトリス塩酸
緩衝液(pH8.8),10 mM KCl, 4 mM MgSO4, 0.1% Trit
on X-100, 0.375 mM dNTP mix, 100pmol Upper primer,
100 pmol Lower primer, 0.1 μg DNAポリメラーゼで
あった。
ornberg, A., (1962)J. Biol. Chem., 237:519-525、お
よびKornberg, R. S., Zimmerman, B. S.と Kornberg,
A., (1961) J. Biol. Chem., 236: 1487-1493)に従っ
た。反応液組成(200 μl)は20 mMトリス塩酸緩衝液(p
H8.8),10 mM KCl, 10 mM (NH4)2SO4, 2 mM MgSO4, 0.
1% Triton X-100, 0.25 mM dNTP mix, 0.37 Mbq の(α
-32P)dATP, 20 μg の加熱急冷処理サケ精巣DNA, 0.1
μg の DNAポリメラーゼであった。反応は75℃で30分間
行い、反応後これに0.5 mgの氷冷サケ精巣DNAを加え、5
00 μlの氷冷1N過塩素酸と500μlの氷冷水を添加し、酸
不溶性画分を遠心分離(9000xg 5分間)で得た。この沈
殿を300μlの0.2N NaOHに溶解し、再度300 μlの氷冷1
N過塩素酸と300 μlの氷冷水を加え、遠心分離で酸不溶
性画分を得た。この沈殿を1 mlの1 N酢酸で洗浄し、遠
心分離後沈殿を0.4 mlの2 Nアンモニア水に溶解し、こ
の放射活性をCherenkov効果で液体シンチレーションカ
ウンターを用いて測定した。また、75℃の30分間の合成
反応において10 nmolのdNTPを取り込む酵素量を1単位(
Unit)と規定した。
し、酵素反応液のpHを、酸性域はリン酸緩衝液を、アル
カリ域はトリス塩酸緩衝液を用いpH5.8から9.5まで変化
させ、酸不溶性画分への放射活性の取り込みにより決定
した。 (4)至適Mg2+濃度 至適Mg2+濃度は上記DNA合成反応で反応温度を75℃に固
定し、MgSO4濃度を0 mMから20 mMまで変化させ、酸不溶
性画分への放射活性の取り込みにより決定した。
(pH8.0 、 25 ℃), 500mM NaCl, 10 mM MgSO4と0.1 m
g/ml濃度の目的酵素を含む。これをGeneAmp PCRSystem
2400 (Perkin Elmer) で60℃から95℃まで1時間加熱処
理し、残存活性を上記DNA合成反応を用い、酸不溶性画
分への放射活性の取り込みで測定した。
ージ一本鎖DNA(0.2mg)とこれに相補的な配列を有し、32
P で5'-ラベル化された0.5 pmol のプライマー(15mer,
34mer, 50mer)を各々20 mM トリス塩酸緩衝液(pH8.5)中
でアニールさせ、10mM MgCl2存在下、0.05 UnitのDNA
ポリメラーゼを加え、75℃で反応させた。反応は2分
後、10分後に、反応停止(Stop)液を加えることで停止さ
せた。反応産物は8M尿素を含む15%ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動(PAGE)で分析された。
)を用いて3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を測定した。
反応液は20ml反応液中に20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
5)、12mM MgCl2、4ngのラベル化DNAを含み、これに0.0
5 UnitのDNAポリメラーゼを加え、75℃で反応させた。
反応は30分後に、Stop液を加えることで停止させた。反
応産物は8M尿素を含む15%ポリアクリルアミドゲル電気
泳動(PAGE)で分析された。
では各々1434アミノ酸残基と1268アミノ酸残基より構成
され、その分子量は各々163,000 Daと144,000Daであっ
た。小サブユニットは623アミノ酸残基より構成され、
その分子量は70,000 Daであった。
した大サブユニットを共発現することによる活性型酵素
の高効率発現 各サブユニットを単独発現させると極めて不安定で、安
定的高発現は不可能である。そこで共発現系を構築する
ことにした。これにより活性型酵素の高発現が可能にな
り、物理化学的性質の解析と熱安定化機構の解明を行う
ことができた。
性を調べた。表1に示すように、サブユニット単独では
活性は検出されなかった。また、小サブユニットとイン
テインが含まれた大サブユニットとの組み合わせでも非
活性であった。これらの結果より、小サブユニットとイ
ンテインが除去された大サブユニットからなるヘテロダ
イマー構造が活性発現に必須であることが明らかとなっ
た。
去した大サブユニットからなるヘテロダイマー酵素pET1
5b/PolSL(-Intein)を精製し、精製酵素(0.1μg)と10 mM
MgSO4を用い、DNA合成活性を調べた。酵素添加系では
非添加系に比べ175倍以上の放射活性の上昇を検出し
た。次に該精製酵素を用い、PCR反応を行った結果、目
的DNAフラグメントと同じ長さ(1.9 kb)の増幅反応産
物をアガロースゲル電気泳動で確認した。また、当該酵
素を含まない反応系では PCR反応産物は検出されなかっ
た。さらに、以上の事実より、小サブユニットとインテ
インが除去された大サブユニットからなる該ヘテロダイ
マーDNAポリメラーゼは十分活性であることが明らかに
なった。
50%の活性を保持していた。さらに、90℃、1時間の加熱
処理でも20%の活性を有した。
が検出されなかったが、プライマー長が34mer、50merと
伸びるに従い、強いプライマー伸長活性が認められた。
このようなプライマー伸長活性のプライマー長依存性は
他のDNAポリメラーゼでは報告されていない。
対し強い3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を示した。この
ことから本酵素は、分子量144kDaと70kDaの二つのサブ
ユニットからなるヘテロダイマータンパク質で、DNAを
鋳型とし、相補鎖を合成し、3'-5'校正エキソヌクレア
ーゼ活性を保持するDNA依存性DNAポリメラーゼであるこ
とが分かった。
られる、高温環境下で長鎖DNAを高速かつ正確に複製す
るDNAポリメラーゼが提供できる。また、本酵素を用い
た遺伝子配列解析に関する新手法の開発が可能になる。
ン。 配列番号2:インテイン。 配列番号4:プライマー。 配列番号5:プライマー。 配列番号6:プライマー。 配列番号7:プライマー。 配列番号8:プライマー。 配列番号9:プライマー。 配列番号10:プライマー。 配列番号11:プライマー。 配列番号12:プライマー。 配列番号13:プライマー。 配列番号14:プライマー。
アミノ酸配列(B)を示す。下線部は(蛋白質性のイン
トロンをコードする)インテイン配列を示す。
びPy. furi由来)との併置によるインテイン配列の同定
を示す。本酵素(Py. hori由来)のインテインは955番
目のシステインから始まり1120番目のグルタミンで終わ
る。
アミノ酸配列(B)を示す。
写真である。
真である。レーン1〜3は15merプライマーを、レーン
4〜6は34merプライマーを、レーン7〜9は50merプライ
マーを使用した。レーン1、4、7は酵素存在下で2分反
応させた。レーン2、5、8は酵素存在下で10分反応させ
た。レーン3、6、9はコントロールで酵素は反応系に加
えられていない。
す。50merのオリゴヌクレオチドを基質として使用し
た。レーン1は酵素存在下での30分間反応を、レーン2は
コントロールで酵素は反応系に加えられていない。
Claims (15)
- 【請求項1】 分子量がそれぞれ約70±7kDa、約144±1
4.4kDaである小サブユニットおよび大サブユニットから
なり、大サブユニットがインテイン配列を含まないこ
と、85℃、1時間の加熱処理で少なくとも約50%の活性
を保持し、90℃、1時間の加熱処理で少なくとも約20%
の活性を保持すること、ならびにDNAポリメラーゼ活性
および3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を有することを特
徴とする好熱性古細菌由来の耐熱性ヘテロダイマー酵
素。 - 【請求項2】 好熱性古細菌がパイロコッカス属に属す
ることを特徴とする請求項1に記載の酵素。 - 【請求項3】 さらにプライマー長依存性のプライマー
伸長活性を示すことを特徴とする請求項1または2に記
載の酵素。 - 【請求項4】 さらに至適pHが約8.0〜約9.0であるこ
とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酵素。 - 【請求項5】 さらに至適Mg2+濃度が約12mM以上である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酵
素。 - 【請求項6】 下記の性質(1) DNAポリメラーゼ活性お
よび3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を有すること; (2) 分子量がそれぞれ約70±7kDa、約144±14.4kDaで
ある小サブユニットおよび大サブユニットからなり、大
サブユニットがインテイン配列を含まないこと; (3) 至適pHが約8.0〜約9.0であること; (4) 至適Mg2+濃度が約12mM以上であること; (5) 85℃、1時間の加熱処理で少なくとも約50%の活性
を保持し、90℃、1時間の加熱処理で少なくとも約20%
の活性を保持すること;および (6) プライマー長依存性のプライマー伸長活性を示す
ことを有する耐熱性ヘテロダイマー酵素。 - 【請求項7】 好熱性古細菌由来であることを特徴とす
る請求項6に記載の酵素。 - 【請求項8】 パイロコッカス属に属する古細菌由来で
あることを特徴とする請求項7に記載の酵素。 - 【請求項9】 小サブユニットが配列番号4に示される
アミノ酸配列を有するタンパク質であるか、あるいは該
アミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸残基
の置換、欠失または付加を含みかつ前記大サブユニット
とダイマーを形成したときに前記性質を発現するタンパ
ク質であることを特徴とする請求項1または6に記載の
酵素。 - 【請求項10】 大サブユニットが配列番号2に示され
るアミノ酸配列中インテイン配列によりコードされるア
ミノ酸配列(955番目〜1120番目)を除去した配列を有す
るタンパク質であるか、あるいは該配列において1個も
しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を含
みかつ前記小サブユニットとダイマーを形成したときに
前記性質を発現するタンパク質であることを特徴とする
請求項1または6に記載の酵素。 - 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の酵素
をコードするDNA。 - 【請求項12】 配列番号4に示されるアミノ酸配列を
有する小サブユニットをコードするDNAおよび配列番
号2に示されるアミノ酸配列中インテイン配列 (955番
目〜1120番目)を除去した配列を有する大サブユニット
をコードするDNAを共発現可能に含む1つまたは2つ
からなる組換え体ベクター。 - 【請求項13】 小サブユニットをコードするDNAが
配列番号3に示されるヌクレオチド配列を有し、および
大サブユニットをコードするDNAが配列番号1に示さ
れるヌクレオチド配列中インテイン配列をコードする配
列(2863番目〜3360番目)を除去したヌクレオチド配列を
有することを特徴とする請求項12に記載の組換え体ベク
ター。 - 【請求項14】 請求項1〜10のいずれかに記載の酵素
の製法であって、請求項11に記載のDNAまたは請求項
12もしくは13に記載の組換え体ベクターで宿主細胞を形
質転換すること、形質転換宿主細胞を培地中で培養し、
小サブユニットをコードするDNAと大サブユニットを
コードするDNAを共発現させること、および小サブユ
ニットと大サブユニットから構成される該酵素を回収す
ることを含む方法。 - 【請求項15】 宿主細胞が細菌であることを特徴とす
る請求項14に記載の方法。
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JP2000116257A JP3829174B2 (ja) | 2000-04-18 | 2000-04-18 | Dnaポリメラーゼ活性と3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性ヘテロダイマー酵素およびその製法 |
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JP2010207160A (ja) * | 2009-03-11 | 2010-09-24 | National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology | Dna3’末端の修飾基除去用酵素試薬 |
-
2000
- 2000-04-18 JP JP2000116257A patent/JP3829174B2/ja not_active Expired - Lifetime
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