JP2008518164A - 締結体 - Google Patents

Abstract

本発明は、機械部品（３６、３７）を互いに連結するための締結体において、締結体の固定中に、材料の除去によって穴の縁部（４０、４１）を加工し、それにより、穴を取り付け部のシェル表面にぴったり適合させるように構成された切り込み加工溝（９〜２０）を有する締結体に関する。本発明の目的は、安価で簡単な態様で、連結された部品間に発生する剪断負荷及び圧縮／牽引負荷の両方を吸収するように構成された締結体を得ることである。
【選択図】図１

Description

本発明は、添付の請求項１の前文に従った締結体に関する。

異なる方向の高い応力を受ける機械部品は、従来より２種類の継手、すなわち、一方では剪断負荷を吸収する継手、たとえばリベットと、他方では牽引／圧縮負荷を吸収する継手、たとえばねじ継手とによって連結される。従来のねじ継手は、継手のねじと穴との間の遊びのために、剪断負荷吸収性が限定的である。特定のねじについてプレスばめを行うように穴を精密加工する特殊な工具によって、この遊びを除去することができる。この種類の継手は、高い組み立てコストを必要とする。

本発明の目的は、特殊な組み立て工具を必要とすることなく、剪断負荷吸収性及び圧縮／牽引負荷吸収性を１種類の継手内に組み込む締結体を製造することである。

該目的は、本発明による締結体によって達成され、その特徴は、添付の請求項１から引き出される。

次に、添付の図面を参照しながら、例示によって本発明をさらに詳細に説明する。

締結体の構造が、図１からわかるであろう。図示の例では、締結体は、相互連結すべき部品の１つ又は複数の穴に挿通されることを意図したピン形の貫通部１と、完成継手状態において、締結体の長手方向の、すなわち長手軸３の方向の力をほぼ吸収するように構成された頭部２とを有するねじ又はボルトとして実現される。この目的のために、頭部２は接触面４を有し、これは、環状であり、好都合には平坦であって、長手軸に対して半径方向の平面上に延在する。頭部はさらに、ストップ面５を有し、これは接触面４から遠い側に向いて、締結体を穴（複数可）に打ち込むための打撃を受け取るように構成される、あるいは代替として、係合部分６にねじり係合し、それにより、締結体を長手軸３に対して固定することができる適当な工具、たとえば六角穴付きねじキーによって、締結体をその回転方向に対して固定するように構成される。

貫通部１は、取り付け部７を有し、これは、締結体を据えるべき穴を貫通してそれにはまるように構成されている。この目的のために、取り付け部は、穴の寸法と正確に一致する直径のほぼ円筒形のシェル表面８を有する。本発明によれば、取り付け部は切り込み加工溝９〜２０を有し、これらはシェル表面全体に分散しており、一端部で取り付け部の縁部分２１に現れて、締結体の長手軸３に対して角度５１を付けて螺旋状に延在する、すなわち、長手軸３に対して傾斜している。図示の例では、加工溝は、取り付け部７の長さの大部分にわたって延在する第１種類の溝を有し、この第１種類の加工溝は、全体としてシェル表面８の円周全体に及ぶ、すなわち、溝は少なくとも、互いに重なるような円周方向広がりを有する。この第１種類の加工溝９〜１４とは別に、図示の例によれば、以下で補助溝と呼ぶ第２種類の加工溝１５〜２０が設けられており、これらは逆向きの傾斜を有し、かつ主溝より短い広がりを有する。補助溝は、一端部２２で、わずかに貫入して各主溝に連結し、また他端部２３で、図示の例では、隣接する主溝と一緒に縁部分２１に現れ、それにより、それらは継手溝開口部２４を形成している。補助溝の目的は、一方では、締結体が位置決め穴に引き込まれるときの締結体の回転を防止する、すなわち、主溝から発生するねじり力を補償することであり、他方では、位置決め穴の壁面を加工するとき、主溝と協働することである。

取り付け部７は、短い傾斜ベベル２５を有する縁部分に加えて、円筒形シェル表面８の下方に位置する円錐形テーパ部分２６を有し、これは長手軸３に対してわずかな傾斜角２７を有する。円錐形部分２６は、破線で示された境界線２８で円筒形部分に変わる。図示の例では、境界線２８は、各主溝９〜１４及び補助溝１５〜２０間の分岐部分２９にほぼ位置している。

取り付け部７の下方において、貫通部１は締結部３０を有し、これは、ナットなどの対向する締結部品内に固定されるようになっており、締結部３０はねじ付きであり、取り付け部の直径より小さい直径を有し、それにより、締結部は、取り付け部をはめ込むべき穴に挿通されることができる。図示の例では、締結部３０はさらに、取り付け部７と逆のベベル部分３１を有し、それにより、縁部分２１がはっきり目立つ。

図２は、締結部３０から見た締結体の端面図を示し、端面３２及びそのベベル３３が、最も内側の２つの円形の線によって表されている。これらの外側に見えるのは、加工溝の端部、すなわち開口部であり、それらは縁部分２１の外周全体に等間隔に分散している。わかりやすくするために、溝の端部より先に位置するものは省略している。

図３には、境界線２８に沿った、加工溝９を設けた断面の拡大図が示されている。ここでは、加工溝９は、シェル表面への移行部の近くの鋭利なエッジ３４、３５を有することがわかるであろう。これは、円筒形部分８及び円錐形部分２６の両方において、加工溝９に当てはまる。締結体を位置決め穴に引き込むとき、エッジ３４、３５の一方が、本例ではエッジ３４が、切れ刃として作用するであろう。この場合、加工溝９は、円形の断面形状に構成されており、また非対称形であって、それにより、少なくとも一方の鋭利なエッジ３４が幾分尖って、そのエッジが、締結体を導入すべき穴の内部の縁部を加工することができる切れ刃を形成するようになっていることが有利である。図示の例では、エッジ３４の切れ刃は、シェル表面の法線Ｎと一致している。特に溝の製造方法しだいで、シェル表面の法線Ｎに対して別の角度を切れ刃に与えることもできる。図４には、エッジが角度αを付けて尖っている例が示されている。角度αは正である、すなわち０°より大きいことが有利である。たとえば、角度αは、良好な切り込みを得るために０°〜３０°である。製造方法しだいでは、角度αを幾分負にする、すなわち、０°より幾分小さくすることもできる。この場合、角度αが０°〜−２０°であることが有利である。エッジ３４の外観も、切り込みの品質に影響を与える。エッジができる限り鋭利である、すなわち丸味がまったくないことが、有利である。溝の深さ及び幅は、位置決め穴のシェル表面から除去される材料を溝内に受け取ることができるように調節される。ここに記載する加工溝９の実施形態は、主溝９〜１４及び補助溝１５〜２０の両方に当てはまる。

位置決め穴のシェル表面を加工することができるために、締結体、又は少なくとも加工溝上の切れ刃は、締結体をはめ込もうとする材料より相当に硬くなければならない。したがって、締結体をはめ込もうとする材料より硬い材料で締結体を製造することが、有利である。締結体全体を、又は切れ刃だけを硬化し、それにより、確実に切り込みを入れることができるようにすることも可能である。締結体の強度の大きさは、はめ付けられた締結体によって吸収すべき負荷によっても決まる。

図５及び図６は、２つの機械部品３６、３７間の継手を通る断面で、締結体の機能を示す。２つの機械部品は、相互に連結すべき自動車のビーム構造内の２つの部品であることができる。２つの部品の各々は、それぞれの貫通穴３８、３９を備え、これらの貫通穴は、一方が他方の直前に配置される、すなわち、同軸状であり、凹状のシリンダジャケット形シェル表面４０、４１を有し、シェル表面は、取り付け部の直径４３より小さいが、円錐形部分の最小直径４４、すなわち、縁部分２１のそばの領域内の直径より大きい直径４２で事前に作製されている。

上記の前提条件で、２つの部品３６、３７間の継手を形成するための締結体のはめ付けは、以下のように進められる。締結体を押し込み、その貫通部１を同軸配置された穴３８、３９に挿通する。これは、最初に締結体の締結部３０を穴に、取り付け部７の円錐形部分２６が第１穴３８の円周縁部４６と接触する点まで、導入することによって達成される。次に、締結体を長手軸の方向に、より正確には、矢印４７の方向に押し込む。押し込み力は、たとえば、ナット４５を締結部３０のねじ部分４８上にねじ付け、それにより、部品３７の接触面４９にナットが支持接触することによって軸方向力が生じることにより、達成される。軸方向力は、頭部２、より正確にはそのストップ面５に対する打撃又は加圧によって発生させることもできる。押し込み運動中、機械切り込みが、加工溝９〜２０の、穴３８、３９のシェル表面４０、４１内への機械切り込みによって行われるであろう。ここでは、溝の切れ刃部分３４、３５が切り込み工具として働く一方、同時に、材料チップを溝及び／又は隙間５０内に集めることができるであろう。取り付け部７の円錐形テーパ部分２６の範囲内の溝により、荒削り加工が行われる一方、円筒形部分内の溝は、主に精密研削又は平滑化を行う。隙間５０の寸法は、ベベル部分３１及びナット４５のねじなし部分によって形成される。この隙間を使用して、被加工材料を受け取ることができる。ナット４５のねじなし部分の長さも、締結体が獲得すべき予圧を実際に達成できるように調節される。

したがって、実行された切り込みの結果として、穴径が増大し、円筒形シェル表面８全体にわたる取り付け部の穴径４３と一致し、最終的結果は、取り付け部と穴との間に遊びがなく、したがって、これは、矢印５１の方向の剪断力及び矢印４７の方向の軸方向力の両方を吸収する能力を有する、図６に示された継手を生じる。しかしながら、図示の例では、穴３９の下方部分は、部分的に円錐形であって、締結体の円錐形部分と一致している。

本発明は、以上に記載し、且つ図面に示した説明的な実施形態に制限されないで、添付の特許請求の範囲内で変更されることが可能である。たとえば、図示の補助溝を設けることは、まったく必要というわけではない。また、溝の広がり及び傾斜は、溝の断面形状と同様に、変更が可能である。

本発明による締結体の側面図を示す。 締結体の端面図を示す。 境界線２８に沿った部分の一部破断した拡大図である。 図３の部分の代替実施形態を示す。 ２つの部品を連結するためにはめ付け中の締結体を示す。 最終はめ付け状態にある締結体を示す。

Claims (14)

1. 機械部品（３６、３７）を互いに連結するための締結体において、相互連結すべき部品の少なくとも一方に連続的に延びた貫通穴（３９、４０）に挿通されるように構成されたピン形貫通部（１）と、穴の一方側部上の接触表面に対して支持接触する接触表面（４）を有する頭部（２）とをからなり、貫通部は、穴に挿通されるように構成された取り付け部（７）と、穴の直径より小さい直径であって、締結部品（４５）内に締結されるように構成された締結部（３０）とを有する、締結体であって、取り付け部（７）は、締結体の固定前の状態では、穴（４２）の直径より幾分大きい直径を有し、また、締結体の固定中に、材料の除去によって穴の縁部（４０、４１）を加工し、それにより、穴を取り付け部のシェル表面にぴったり適合させるように構成された切り込み加工溝（９〜２０）を有し、それにより、締結体は、連結された部品間に発生する剪断負荷及び圧縮／牽引負荷の両方を吸収するように構成されることを特徴とする、締結体。
2. 加工溝（９〜２０）は、取り付け部（７）の軸方向平面（３）に対して傾斜角を有する軸方向広がりを有することを特徴とする、請求項１に記載の締結体。
3. 加工溝（９〜２０）は、全体として取り付け部の円周全体に及ぶように延在することを特徴とする、請求項２に記載の締結体。
4. 取り付け部（７）は、円筒形シェル表面（８）を有し、また、締結部の方向で、わずかに円錐形のテーパ部分（２６）に変わり、テーパ部分の最も狭い点は、締結部の直径より大きい直径を有し、円周縁部（２１）で終わることを特徴とする、請求項３に記載の締結体。
5. 加工溝（９〜２０）は、取り付け部（７）の長さの大部分及び円錐形テーパ部分の長さにわたって連続的に延在して、円周縁部（２１）に現れることを特徴とする、請求項４に記載の締結体。
6. 円錐形部分（２６）は、他方の加工溝（９〜１４）と逆向きの傾斜を有してこれらに連結される補助溝（１５〜２０）を有することを特徴とする、請求項５に記載の締結体。
7. 各補助溝（１５〜２０）は、縁部（２１）の位置で、その一端部（２３）が長い方の加工溝（９〜１５）の１つの開口部に隣接して現れ、また円錐形部分（２６）及び円筒形部分（８）間の移行部の位置で、隣接の加工溝に連結されることを特徴とする、請求項１に記載の締結体。
8. 加工溝（９〜２０）は、長手軸に対して２５〜７５度の傾斜角（５１）で螺旋状に延びることを特徴とする、請求項７に記載の締結体。
9. 円周縁部（２１）にベベルが付けられていること特徴とする、請求項４乃至８のいずれかに記載の締結体。
10. 締結部（３０）は、ナット（４５）を螺着するためのねじを切られており、また、取り付け部（７）に向かって先細になる部分（３１）を有することを特徴とする、請求項９に記載の締結体。
11. 頭部（２）は、係合部分（６）を有することを特徴とする、請求項１乃至１０のいずれかに記載の締結体。
12. シェル表面の法線Ｎに対する加工溝（９〜２０）のエッジ部分３４の角度αは、０°より大きいことを特徴とする、請求項１乃至１１のいずれかに記載の締結体。
13. シェル表面の法線Ｎに対する加工溝（９〜２０）のエッジ部分３４の角度αは、０°より小さいことを特徴とする、請求項１乃至１１のいずれかに記載の締結体。
14. 加工溝（９〜２０）のエッジ部分３４の角度αは、シェル表面の法線Ｎと一致することを特徴とする、請求項１乃至１１のいずれかに記載の締結体。

Images