JP2008517990A - 鏡像異性体富化基質の脱富化方法 - Google Patents

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Abstract

鏡像異性体富化組成物に脱富化を受けさせる方法を提供し、この方法は、炭素−ヘテロ原子結合を含有していて前記炭素がキラル中心でありかつ前記ヘテロ原子がVI族のヘテロ原子である基質の少なくとも1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成る鏡像異性体富化組成物を触媒系および場合により反応促進剤の存在下で反応させることで、炭素−ヘテロ原子結合を有する前記基質の1番目および2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成っていて前記1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーに対する2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーの比率が前記鏡像異性体富化組成物中に存在していた前記1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーに対する2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーの比率よりも高い生成物組成物を得ることを含んで成る。好適な基質には、式(1):
【化1】
Figure 2008517990

[式中、XはO、Sを表し、R、Rは、各々独立して、場合により置換されていてもよいヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、場合により置換されていてもよい複素環基を表すか、或は場合により、RとRが場合により置換されていてもよい環1個または2個以上を形成するように連結していてもよいが、但しRおよびRが*がキラル中心であるように選択されることを条件とする]で表される化合物が含まれる。好適な方法では、式(2):
【化2】
Figure 2008517990

[式中、XはO、Sを表し、R、Rは、各々独立して、場合により置換されていてもよいヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、場合により置換されていてもよい複素環基を表すか、或は場合により、RとRが場合により置換されていてもよい環1個または2個以上を形成するように連結していてもよいが、但しRとRが異なることを条件とする]で表される化合物を得ることができる。

Description

本発明は、鏡像異性体富化基質(enantiomerically enriched substrates)、特にアルコールおよびスルフィドに脱富化(de−enrichment)を受けさせる方法に関する。
本発明の1番目の面に従い、鏡像異性体富化組成物に脱富化を受けさせる方法を提供し、この方法は、炭素−ヘテロ原子結合を含有していて前記炭素がキラル中心でありかつ前記ヘテロ原子がVI族のヘテロ原子である基質の少なくとも1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成る鏡像異性体富化組成物を触媒系および場合により反応促進剤の存在下で反応させることで、炭素−ヘテロ原子結合を有する前記基質の1番目および2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成っていて1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーに対する2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーの比率が前記鏡像異性体富化組成物中に存在していた1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーに対する2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーの比率よりも高い生成物組成物を得ることを含んで成る。
前記生成物組成物は、好適には、炭素−ヘテロ原子結合を含有していて前記炭素がキラル中心である基質の1番目と2番目の鏡像異性体のラセミ混合物である。
本発明の方法を用いて鏡像異性的脱富化を受けさせることができる基質には、キラリティーを持つ第二級炭素原子の所のアルコールおよび第二級炭素原子の所にキラリティーを持つスルフィドが含まれる。
本発明の方法において、好適には、炭素−ヘテロ原子結合を含有していて前記炭素原子がキラル中心である基質は、式(1):
Figure 2008517990
[式中、
Xは、O、Sを表し、
、Rは、各々独立して、場合により置換されていてもよいヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、場合により置換されていてもよい複素環基を表すか、或は
場合により、RとRが場合により置換されていてもよい環1個または2個以上を形成するように連結していてもよいが、但し
およびRが*がキラル中心であるように選択されることを条件とする]
で表される化合物である。
1−2が独立して表し得るヒドロカルビル基には、アルキル、アルケニルおよびアリール基およびこれらの任意組み合わせ、例えばアラルキルおよびアルカリール、例えばベ
ンジル基などが含まれる。
1−2が表し得るアルキル基には、炭素原子数が20以下、特に炭素原子数が1から7、好適には炭素原子数が1から5の直鎖および分枝アルキル基が含まれる。アルキル基が分枝している場合、そのような基が含有する分枝鎖の炭素原子数はしばしば10以下、好適には分枝鎖の原子数は4以下である。特定の態様におけるアルキル基は環式であってもよく、それは一般に最も大きな環の中に炭素原子を3から10個含有し、そして場合により、橋渡しされている環を1個以上含有することを特徴としてもよい。R1−2が表し得るアルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、ブチル、2−ブチル、t−ブチルおよびシクロヘキシル基が含まれる。
1−2が表し得るアルケニル基には、C2−20、好適にはC2−6のアルケニル基が含まれる。存在する炭素−炭素二重結合の数は1以上であってもよい。アルケニル基は置換基、特にフェニル置換基を1個以上持っていてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、スチリルおよびインデニル基が含まれる。RまたはRのいずれかがアルケニル基を表す場合、炭素−炭素二重結合が存在する位置は好適にはC−ヘテロ原子部分に対してβ位である。
1−2が表し得るアリール基は環を1個または縮合環を2個以上含有していてもよく、そのような環もしくは縮合環にはシクロアルキル、アリールまたは複素環式環が含まれ得る。R1−2が表し得るアリール基の例には、フェニル、トリル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、トリフルオロメチルフェニル、アニシル、ナフチルおよびフェロセニル基が含まれる。
1−2が独立して表し得る過ハロゲン化ヒドロカルビル基には、過ハロゲン化アルキルおよびアリール基およびこれらの任意組み合わせ、例えばアラルキルおよびアルカリール基などが含まれる。R1−2が表し得る過ハロゲン化アルキル基の例には−CFおよび−Cが含まれる。
1−2が独立して表し得る複素環式基には、芳香、飽和および部分不飽和環系が含まれ、これらは環を1個または縮合環を2個以上から成っていてもよく、そのような環もしくは縮合環にはシクロアルキル、アリールまたは複素環式環が含まれ得る。複素環式基は複素環式環を少なくとも1個含有し、それらの中で最も大きな環は環原子を通常は3から7個含有し、それらの中の少なくとも1個の原子は炭素でありそして少なくとも1個の原子はN、O、SまたはPの中のいずれかである。RまたはRのいずれかが複素環式基を表すか或は含んで成る場合、C−ヘテロ原子基と結合しているRまたはRの中の原子は好適には炭素原子である。R1−2が表し得る複素環式基の例には、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリルおよびトリアゾリル基が含まれる。
1−2のいずれかが置換されているヒドロカルビルもしくは複素環式基である場合、そのような置換基1個または2個以上は反応の速度にも立体選択率にも悪影響を与えないような置換基であるべきである。任意の置換基には、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、チオール、アシル、ヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、複素環、ヒドロカルビルオキシ、モノ−もしくはジ−ヒドロカルビルアミノ、ヒドロカルビルチオ、エステル、カーボネート、アミド、スルホニルおよびスルホンアミド基、ここで、ヒドロカルビル基は、この上でRに関して定義した通りである、が含まれる。存在する置換基は1個以上であってもよい。
とRが式(1)で表される化合物の炭素原子および/またはX原子のいずれかと
一緒になって環を形成するように連結している場合、それらは場合により環ヘテロ原子、好適にはO、SまたはN環原子を1個以上含有していてもよい5、6もしくは7員の環であるのが好適である。そのような式(1)で表される化合物の例には2−メチルシクロヘキサノールが含まれる。
好適な特定態様では、RとRの両方を異ならせ、そして両方が異なるC1−6アルキル基であるか、両方が異なるアリール基、特に一方がフェニル基であるように選択するか、或は一方がアリール、特にフェニルでありそしてもう一方がC1−6アルキルであるように選択する。RおよびRの中の一方または両方が置換フェニル基の場合、置換基が存在していてもよく、特にC−X基に対してパラ位に置換基が存在していてもよい。
式(1)で表される化合物の例には、1−フェニルエタン−1−オール、1−(2−ナフチル)エタン−1−オール、1−(1−ナフチル)エタン−1−オール、1−フェニルエタン−1−チオール、1−(2−ナフチル)エタン−1−チオールおよび1−(1−ナフチル)エタン−1−チオールが含まれる。
前記触媒系は、好適には、遷移金属触媒および場合により配位子を含んで成る。
場合により存在させてもよい配位子には、アミン、アルコールおよびおスルフィドが含まれる。
配位子を用いる場合、場合により、その配位子と前記遷移金属触媒を前記基質と反応させる前に前以て混合または前以て配位させておいてもよい。そのような前以て配位させておいてもよい配位子および遷移金属触媒の例には、公開番号がWO97/20789、WO98/42643およびWO02/44111の国際特許出願(これらは各々引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている触媒が含まれる。
遷移金属触媒には、遷移金属のハロゲン化物、遷移金属ハロゲン化物錯体および遷移金属の錯体が含まれるが、そのような遷移金属は場合により置き換え可能(displaceable)配位子と錯体を形成していてもよい。
置き換え可能配位子には、ホスフィン、例えばトリ−ヒドロカルビルホスフィン、例えばPhPなど、カルベン、例えばイミダゾールカルベンなど、ニトリル、例えばアセトニトリルなど、一酸化炭素、トリフレート、アルケンおよびジエンが含まれる。遷移金属が場合により置き換え可能配位子と錯体を形成していてもよい遷移金属錯体の例には、式M
[式中、
Mは、遷移金属であり、
Lは、置き換え可能配位子であり、
Xは、ハロゲン化物であり、
Yは、場合により置換されていてもよいヒドロカルビルである中性の錯化基、場合により置換されていてもよい過ハロゲン化ヒドロカルビルである中性の錯化基、または場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである錯化基であり、そして
nは、整数であり、そして
o、pおよびrは、各々、0または整数であるが、但しo+p+rが整数であることを条件とする]
で表される錯体が含まれる。
そのような遷移金属触媒は、好適には、周期律表のVIII族の遷移金属、例えばルテニウム、ロジウムまたはイリジウムなどが基になった遷移金属ハロゲン化物または遷移金
属ハロゲン化物錯体である。
そのような遷移金属触媒は、より好適には、式M
[式中、
Mは、遷移金属であり、
Xは、ハロゲン化物であり、
Yは、場合により置換されていてもよいヒドロカルビルである中性の錯化基、場合により置換されていてもよい過ハロゲン化ヒドロカルビルである中性の錯化基、または場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである錯化基であり、そして
n、pおよびrは、整数である]
で表される遷移金属ハロゲン化物錯体である。
遷移金属触媒は実質的にこの上に示した式で表される通りであると考えているが、ある場合には、また、そのような遷移金属触媒は二量体、三量体または他のある種の高分子(polymeric)種として存在する可能性もある。
Mが表し得る金属には、移動水素化(transfer hydrogenation)に触媒作用を及ぼし得る金属が含まれる。好適な金属には遷移金属、より好適には周期律表のVIII族の金属(鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金)、より好適にはルテニウム、ロジウムまたはイリジウム、最も好適にはイリジウムが含まれる。
整数n、p、rを典型的には遷移金属ハロゲン化物錯体が全体として中性種であるように選択する。従って、n、p、rの選択は当該金属の原子価状態および存在するハロゲン化物の数および錯化基Yの性質に直接関係する。例えば、Yが負に帯電しているシクロペンタジエニルである錯化基の場合、当該金属の原子価状態と均衡を取るに必要な負帯電ハロゲン化物の数はYが中性のヒドロカルビルである錯化基の時の数よりも少ないであろう。
当該金属がルテニウムの場合、それは好適にはIIの原子価状態で存在する。当該金属がロジウムまたはイリジウムの場合、それは、Yが場合により置換されていてもよい中性のヒドロカルビルまたは場合により置換されていてもよい中性の過ハロゲン化ヒドロカルビル配位子の時には好適にはIの原子価状態で存在し、そしてYが場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニル配位子の時には好適にはIIIの原子価状態で存在する。特に好適な金属はイリジウムである。
Yが表し得る場合により置換されていてもよいヒドロカルビルまたは過ハロゲン化ヒドロカルビルである中性の錯化基には、場合により置換されていてもよいアリールおよびアルケニルである錯化基が含まれる。
Yが表し得る場合により置換されていてもよいアリールである錯化基は、環を1個または縮合環を2個以上含有していてもよく、そのような環もしくは縮合環にはシクロアルキル、アリールまたは複素環式環が含まれ得る。そのような錯化基が含有する環は好適には6員の芳香環である。アリールである錯化基が有する環1個または2個以上はしばしばヒドロカルビル基で置換されている。そのような置換の様式および置換基の数は多様であり、存在する環の数の影響を受け得るが、存在する置換基の数はしばしば1から6である。置換基には、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、チオール、アシル、ヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、複素環、ヒドロカルビルオキシ、モノ−もしくはジ−ヒドロカルビルアミノ、ヒドロカルビルチオ、エステル、カーボネート、アミド、スルホニルおよびスルホンアミド基、ここで、ヒドロカルビル基は、この上でRに関して定義した通りである、が含まれ得る。そのような1から6個の置換基は、典型的に、各々独立して、ヒドロカルビル基、好適には2、3または6個のヒドロカルビル基、より好適には6個のヒドロカルビル基である。好適なヒドロカルビル置換基には、メチル、エチル、イソプロピル、メンチル、ネオメンチルおよびフェニルが含まれる。特にアリールである錯化基が単一の環の場合、そのような錯化基は好適にはベンゼンまたは置換ベンゼンである。錯化基が過ハロゲン化ヒドロカルビルの場合、それは好適には多ハロゲン置換(polyhalogenated)ベンゼン、例えばヘキサクロロベンゼンまたはヘキサフルオロベンゼンなどである。ヒドロカルビル置換基が鏡像異性および/またはジアステレオマー中心を含有する場合、それらの鏡像異性および/またはジアステレオマー的に高純度の形態を用いるのが好適である。特にベンゼン、p−シミル、メシチレンおよびヘキサメチルベンゼンが好適な錯化基である。
Yが表し得る場合により置換されていてもよいアルケニルである錯化基には、C2−30、好適にはC6−12アルケンまたはシクロアルケンが含まれるが、それらが有する炭素−炭素二重結合は好適には2個以上、好ましくは、炭素−炭素二重結合は2個のみである。そのような炭素−炭素二重結合は、場合により、存在し得る他の不飽和系と共役していてもよく、好適には互いに共役している。そのようなアルケンもしくはシクロアルケンは好適にはヒドロカルビル置換基で置換されていてもよい。そのアルケンが有する二重結合が1個のみの場合、そのような場合により置換されていてもよいアルケニルである錯化基は個別のアルケンを2個含有し得る。好適なヒドロカルビル置換基にはメチル、エチル、イソプロピルおよびフェニルが含まれる。場合により置換されていてもよいアルケニルである錯化基の例には、シクロ−オクタ−1,5−ジエンおよび2,5−ノルボルナジエンが含まれる。特にシクロ−オクタ−1,5−ジエンが好適である。
Yが表し得る場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである錯化基には、エータ−5結合を形成し得るシクロペンタジエニル基が含まれる。そのようなシクロペンタジエニル基はしばしば1から5個の置換基で置換されている。置換基には、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、チオール、アシル、ヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、複素環、ヒドロカルビルオキシ、モノ−もしくはジ−ヒドロカルビルアミノ、ヒドロカルビルチオ、エステル、カーボネート、アミド、スルホニルおよびスルホンアミド基(ここで、ヒドロカルビル基は、この上でRに関して定義した通りである)が含まれ得る。シクロペンタジエニル基は好適には1から5個のヒドロカルビル基、より好適には3から5個のヒドロカルビル基、最も好適には5個のヒドロカルビル基で置換されている。好適なヒドロカルビル置換基にはメチル、エチルおよびフェニルが含まれる。ヒドロカルビル置換基が鏡像異性および/またはジアステレオマー中心を含有する場合、それらの鏡像異性および/またはジアステレオマー的に高純度の形態を用いるのが有利であり得る。場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである錯化基の例には、シクロペンタジエニル、ペンタメチル−シクロペンタジエニル、ペンタフェニルシクロペンタジエニル、テトラフェニルシクロペンタジエニル、エチルテトラメチルペンタジエニル、メンチルテトラフェニルシクロペンタジエニル、ネオメンチルテトラフェニルシクロペンタジエニル、メンチルシクロペンタジエニル、ネオメンチルシクロペンタジエニル、テトラヒドロインデニル、メンチルテトラヒドロインデニルおよびネオメンチルテトラヒドロインデニル基が含まれる。特にペンタメチルシクロペンタジエニルが好適である。
式M[式中、Mは、RhまたはIrであり、そしてYは、場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニル基である]で表される遷移金属ハロゲン化物錯体が好適である。式M[式中、Mは、Irであり、そしてYは、場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニル基である]で表される遷移金属ハロゲン化物錯体が最も好適である。
遷移金属ハロゲン化物錯体の例にはRuCl(シミル),RhCl(Cp,RhBr(Cp,Rh(Cp,IrCl(Cp,Ru(シミル),RhClCp,RhBrCp,RhlCpおよびIr(Cp[ここで、Cpはペンタメチルシクロペンタジエニル基である]が含まれる。
好適な特定態様における触媒系は、好適には、式M[式中、Mは遷移金属であり、Xはハロゲン化物であり、Yは、場合により置換されていてもよいヒドロカルビルである中性の錯化基、場合により置換されていてもよい過ハロゲン化ヒドロカルビルである中性の錯化基、または場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである錯化基であり、そしてn、pおよびrは整数である]で表される遷移金属ハロゲン化物錯体と式(1)で表されるアルコールもしくはスルフィド配位子を接触させることで得ることができる組成物である。
有利には、そのような触媒系の少なくとも一部を固体状担体に担持されている状態または封じ込められている(encapsulated)系として導入してもよい。当該触媒系を固体状担体に担持されている状態または封じ込められている系として存在させる場合、そのような担持触媒系は、特に繰り返しが想定される場合必要であり得る分離作業の実施に役立ちかつ段階と段階の間の材料の循環を容易にする可能性がある。当該触媒系の担持または封じ込めで使用可能な固体状担体または封じ込め技術の例がWO03/006151およびWO05/016510に記述されている。
場合により存在させてもよい反応促進剤には、ハロゲン化物塩、例えば金属のハロゲン化物などが含まれる。好適な反応促進剤には臭化物、特にヨウ化物塩が含まれる。ヨウ化カリウムおよびヨウ化セシウムが非常に好適である。
本発明の方法を好適には塩基の存在下で実施する。塩基の例には炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムが含まれる。
本発明のさらなる面では、式(1)で表される出発アルコールもしくはスルフィドの脱プロトンで生じる式(2):
Figure 2008517990
[式中、
Xは、O、Sを表し、
、Rは、各々独立して、場合により置換されていてもよいヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、場合により置換されていてもよい複素環基を表すか、或は
場合により、RとRが場合により置換されていてもよい環1個または2個以上を形成するように連結していてもよいが、但し
とRが異なることを条件とする]
で表される相当するケトンもしくはチオケトンを製造することができる。
式(1)で表される出発アルコールもしくはスルフィドの脱プロトンで生じる相当する
式(2)で表されるケトンもしくはチオケトンの生成を抑制または助長する必要がある場合、有利には、水素受容体および/または水素供与体を用いてもよい。
本発明の方法に存在させてもよい水素受容体には、酸、酸素、アルデヒドおよびケトン、イミンおよびイミニウム塩、易水素化可能炭化水素、染料、クリーンな酸化剤、炭酸塩、重炭酸塩およびこれらの任意組み合わせに由来するプロトンが含まれる。
便利な適合性酸のいずれか、例えば蟻酸、酢酸、水素炭酸塩、水素硫酸塩、アンモニウム塩またはアルキルアンモニウム塩などからプロトンを生じさせることができる。便利には、当該基質自身からプロトンを生じさせてもよい。
水素受容体として使用可能なアルデヒドおよびケトンは炭素原子を一般に1から20個、好適には炭素原子を2から15個、より好適には炭素原子を3から5個含有する。アルデヒドおよびケトンには、アルキル、アリール、ヘテロアリールアルデヒドおよびケトン、およびアルキル、アリールまたはヘテロアリール基を混ぜて有するケトンが含まれる。水素受容体の代表例であり得るアルデヒドおよびケトンの例には、ホルムアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトンおよびベンゾフェノンが含まれる。水素受容体がアルデヒドまたはケトンの場合、アセトンが特に好適である。
水素受容体として使用可能な易水素化可能炭化水素には、水素を受け取る性質を有する炭化水素または還元系を生じる性質を有する炭化水素が含まれる。水素受容体として使用可能な易水素化可能炭化水素の例には、キノン、ジヒドロアレン(dihydroarenes)およびテトラヒドロアレン(tetrahydroarenes)が含まれる。
水素受容体の代表例であり得るクリーンな酸化剤には、高い酸化電位を有する酸化剤、特に標準的な水素電極を基準にして約0.1eVより大、しばしば約0.5eVより大、好適には約1eVより大の酸化電位を有する酸化剤が含まれる。水素受容体の代表例であり得るクリーンな酸化剤の例には、酸化性金属および酸素が含まれる。
染料には、ローズベンガル、プロフラビン、臭化エチジウム(ethidium)、エオシンおよびフェノールフタレインが含まれる。
炭酸塩および重炭酸塩には、炭酸および重炭酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよび第四級アミン塩が含まれる。
最も好適な水素受容体は、酸、アセトン、酸素、基質アミンおよび炭酸塩および重炭酸塩からのプロトンである。
水素供与体には、水素、第一級および第二級アルコール、第一級、第二級および第三級アミン、カルボン酸およびこれらのエステルおよびアミン塩、易脱水素可能炭化水素、クリーンな還元剤およびこれらの任意組み合わせが含まれる。
水素供与体として使用可能な第一級および第二級アルコールは、炭素原子を一般に1から10個、好適には炭素原子を2から7個、より好適には炭素原子を3または4個含有する。水素供与体の代表例であり得る第一級および第二級アルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、ブタン−1−オール、ブタン−2−オール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールおよびメントールが含まれる。水素供与体がアルコールの場合、第二級アルコールが好適であり、特にプロパン−2−オールおよびブタン−2−オールが好適である。
水素供与体として使用可能な第一級、第二級および第三級アミンは、炭素原子を一般に1から20個、好適には炭素原子を2から14個、より好適には炭素原子を3から8個含有する。水素供与体の代表例であり得る第一級、第二級および第三級アミンの例には、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−イソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−イソブチルアミン、ジヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、ピペリジン、(R)または(S)6,7−ジメトキシ−1−メチルジヒドロイソキノリン、トリエチルアミンが含まれる。水素供与体がアミンの場合、第一級アミンが好適であり、特に第二級アルキル基を含有する第一級アミン、特にイソプロピルアミンおよびイソブチルアミンが好適である。
水素供与体として使用可能なカルボン酸またはこれらのエステルまたは塩は、炭素原子を一般に1から10個、好適には炭素原子を1から3個含有する。特定態様におけるカルボン酸は有利にベータ−ヒドロキシ−カルボン酸である。そのようなカルボン酸とC1−10アルコールからエステルを生じさせることができる。水素供与体として使用可能なカルボン酸の例には、蟻酸、乳酸、アスコルビン酸およびマンデル酸が含まれる。カルボン酸を水素供与体として用いる場合、そのようなカルボン酸の少なくともいくらかを好適には塩として存在させる。アミン塩を生じさせてもよい。そのような塩を生じさせる時に使用可能なアミンには、芳香および非芳香両方のアミンが含まれるが、これらもまた第一級、第二級および第三級アミンであり、炭素原子を典型的に1から20個含有する。第三級アミン、特にトリアルキルアミンが好適である。塩を生じさせる時に使用可能なアミンの例には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジ−イソプロピルエチルアミンおよびピリジンが含まれる。最も好適なアミンはトリエチルアミンである。カルボン酸の少なくともいくらかをアミン塩として存在させる場合、特に蟻酸とトリエチルアミンの混合物を用いる場合、酸とアミンのモル比を一般に約5:2にする。反応過程中にいずれかの成分を添加、通常はカルボン酸を添加することで、そのような比率を維持してもよい。他の好適な塩にはナトリウム、カリウム、マグネシウム塩が含まれる。
水素供与体として使用可能な易脱水素可能炭化水素には、芳香化を起こす性質を有する炭化水素または高共役系を生じる性質を有する炭化水素が含まれる。水素供与体として使用可能な易脱水素可能炭化水素の例には、シクロヘキサジエン、シクロヘキセン、テトラリン、ジヒドロフランおよびテルペンが含まれる。
水素供与体の代表例であり得るクリーンな還元剤には、高い還元電位を有する還元剤、特に標準的な水素電極を基準にして約−0.1eVより大、しばしば約−0.5eVより大、好適には約−1eVより大の還元電位を有する還元剤が含まれる。水素供与体の代表例であり得る奇麗な還元剤の例には、ヒドラジンおよびヒドロキシルアミンが含まれる。
最も好適な水素供与体は、(R)または(S)6,7−ジメトキシ−1−メチルジヒドロイソキノリン、プロパン−2−オール、ブタン−2−オール、蟻酸トリエチルアンモニウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、および蟻酸トリエチルアンモニウムと蟻酸の混合物である。
気体状水素を存在させてもよいが、本方法を通常は気体状水素の存在無しに実施する、と言うのは、それは不必要であると思われるからである。
典型的には、不活性なパージ用ガスを用いてもよい。
本方法を適切には−78から+150℃、好適には−20から+110℃、より好適には−10から+40℃の範囲内の温度で実施する。
基質である式(1)で表される化合物の初期濃度を適切には0.05から1.0の範囲内にするが、大規模な操作を便利に実施しようとする場合には、モルを基準にして例えば6.0以下、より特別には0.75から2.0にしてもよい。基質と触媒系のモル比を適切には50:1以上にするが、この比率は50000:1以下、好適には250:1から5000:1、より好適には500:1から2500:1であってもよい。
反応促進剤を存在させる場合、そのような反応促進剤を好適には当該基質を基準にしてモル過剰量、特に1から5倍、または便利であるならば、例えば20倍に及ぶモル過剰量で用いる。
水素供与体および/または受容体を存在させる場合、そのような水素供与体および/または受容体を好適には当該基質を基準にしてモル過剰量、特に5から20倍、または便利であるならば、例えば500倍に及ぶモル過剰量で用いる。
反応時間は典型的に1.0分から24時間の範囲、特に8時間以内、便利には約3時間である。反応後の混合物を標準的手順で処理する。
反応用溶媒、例えばジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、または便利には、基質であるアルコールもしくはスルフィドが反応温度で液状の時には基質であるアルコールもしくはスルフィドを存在させてもよい。通常は、水を実質的に存在させないで実施するのが好適であるが、水が反応を過度に抑制することはないと思われる。基質であるアルコールもしくはスルフィドまたは反応用溶媒が水と混和せずかつ所望生成物が水溶性の場合には、水を2番目の相として存在させる方が望ましい可能性がある。当該基質の濃度を反応時間、収率および鏡像異性体過剰度の脱富化が最適になるように選択してもよい。
本発明のさらなる面では、炭素−ヘテロ原子結合を含有していて前記炭素がキラル中心でありかつ前記ヘテロ原子がVI族のヘテロ原子である基質の少なくとも1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成る鏡像異性体富化組成物を触媒系および場合により反応促進剤の存在下で反応させることで生じさせた式(2)で表されるケトンまたはチオケトンを含んで成る組成物を次に移動水素化用触媒および水素供与体と接触させることで、炭素−ヘテロ原子結合を有する前記基質の1番目および2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成っていて1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーに対する2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーの比率が前記鏡像異性体富化組成物中に存在していた1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーに対する2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーの比率よりも高い生成物組成物を得る。
水素供与体は本明細書の上で定義した通りである。
前記式2で表される化合物の還元を好適には立体選択的還元系を用いて達成する。そのような立体選択的還元ではキラル配位遷移金属触媒を用いた移動水素化方法を用いるのが最も好適である。そのような方法およびその方法で用いる触媒、反応体および条件の例には、国際特許出願公開番号WO97/20789、WO98/42643およびWO02/44111(これらは各々引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されているそれらが含まれる。本発明の方法で用いるに好適な移動水素化用触媒は、一般式(a):
Figure 2008517990
[式中、
は、場合により置換されていてもよい中性のヒドロカルビル、場合により置換されていてもよい中性の過ハロゲン化ヒドロカルビルまたは場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである配位子を表し、
Aは、場合により置換されていてもよい窒素を表し、
Bは、場合により置換されていてもよい窒素、酸素、硫黄または燐を表し、
Eは、連結基を表し、
Mは、移動水素化に触媒作用を及ぼし得る金属を表し、そして
Yは、アニオン性基、塩基性配位子または空部位を表すが、但し
AまたはBの中の少なくとも一方が置換されている窒素を含んで成りかつその置換基がキラル中心を少なくとも1個有することを条件とし、かつ
Yが空部位でない時にはAまたはBの中の少なくとも一方が水素原子を持つことを条件とする]
で表される。
特に好適な移動水素化触媒は、WO97/20789、WO98/42643およびWO02/44111に記述されている種類のRu、RhもしくはIr触媒であり、これは、場合により置換されていてもよいジアミン配位子、例えば場合により置換されていてもよいエチレンジアミン配位子、この場合により置換されていてもよいジアミン配位子が有する少なくとも1個の窒素原子は好適にはキラル中心含有基で置換されている、および中性の芳香配位子、例えばp−シメンなど、または場合により置換されていてもよいシクロペンタジエン配位子、例えばペンタメチルシクロペンタジエンなどを含有して成る。
本発明の方法で用いるに非常に好適な移動水素化用触媒は、一般式(A):
Figure 2008517990
[式中、
は、場合により置換されていてもよい中性のヒドロカルビル、場合により置換されていてもよい中性の過ハロゲン化ヒドロカルビルまたは場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである配位子を表し、
Aは、−NR−、−NR−、−NHR、−NRまたは−NR、ここで、RはH、C(O)R、SO、C(O)NR10、C(S)NR10、C(=NR10)SR11またはC(=NR10)OR11であり、RおよびR
、各々独立して、場合により置換されていてもよいヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビルまたは場合により置換されていてもよい複素環基を表し、そしてR10およびR11は、各々独立して、水素またはRで定義した如き基である、を表し、
Bは、−O−、−OH、OR、−S−、−SH、SR、−NR−、−NR−、−NHR、−NR、−NR、−PRまたは−PR、ここで、RはH、C(O)R、SO、C(O)NR12、C(S)NR12、C(=NR12)SR13またはC(=NR12)OR13であり、RおよびRは、各々独立して、場合により置換されていてもよいヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビルまたは場合により置換されていてもよい複素環基を表し、そしてR12およびR13は、各々独立して、水素またはRで定義した如き基である、を表し、
Eは、連結基を表し、
Mは、移動水素化に触媒作用を及ぼし得る金属を表し、そして
Yは、アニオン性基、塩基性配位子または空部位を表すが、但し
Yが空部位でない時にはAまたはBの中の少なくとも一方が水素原子を持つことを条件とする]
で表される。
AまたはBの中の少なくとも一方が置換されている窒素を含んで成りそしてその置換基がキラル中心を少なくとも1個有する式(A)で表される移動水素化用触媒が非常に好適である。
そのような触媒種は実質的にこの上に示した式で表されると考えている。それを固体状担体に担持されている状態で導入することも可能である。
5−7またはR9−11が表す場合により置換されていてもよいヒドロカルビル基には、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール基およびこれらの任意組み合わせ、例えばアラルキルおよびアルカリール、例えばベンジル基などが含まれる。
5−7またはR9−11が表し得るアルキル基には、炭素原子数が1から20、特に炭素原子数が1から7、好適には炭素原子数が1から5の直鎖および分枝アルキル基が含まれる。特定の態様におけるアルキル基は環式であってもよく、それは一般に最も大きな環の中に炭素原子を3から10個含有し、そして場合により、橋渡しされている環を1個以上含有することを特徴としてもよい。R5−7またはR9−11が表し得るアルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、ブチル、2−ブチル、t−ブチルおよびシクロヘキシル基が含まれる。
5−7またはR9−11の中の1つ以上が表し得るアルケニル基には、C2−20、好適にはC2−6のアルケニル基が含まれる。存在する炭素−炭素二重結合の数は1以上であってもよい。アルケニル基は置換基、特にフェニル置換基を1個以上持っていてもよい。
5−7またはR9−11の中の1つ以上が表し得るアルキニル基には、C2−20、好適にはC2−10のアルキニル基が含まれる。存在する炭素−炭素三重結合の数は1以上であってもよい。アルキニル基は置換基、特にフェニル置換基を1個以上持っていてもよい。アルキニル基の例にはエチニル、プロピニルおよびフェニルエチニル基が含まれる。
5−7またはR9−11の中の1つ以上が表し得るアリール基は環を1個または縮合もしくは橋状環を2個以上含有していてもよく、そのような環または縮合もしくは橋状環にはシクロアルキル、アリールまたは複素環式環が含まれ得る。R5−7またはR9−1
が表し得るアリール基の例には、フェニル、トリル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、トリフルオロメチルフェニル、アニシル、ナフチルおよびフェロセニル基が含まれる。
5−7またはR9−11の中の1つ以上が独立して表し得る過ハロゲン化ヒドロカルビル基には、過ハロゲン化アルキルおよびアリール基およびこれらの任意組み合わせ、例えばアラルキルおよびアルカリール基などが含まれる。R5−7またはR9−11が表し得る過ハロゲン化アルキル基の例には−CFおよび−Cが含まれる。
5−7またはR9−11の中の1つ以上が独立して表し得る複素環式基には、芳香、飽和および部分不飽和環系が含まれ、これらは環を1個または縮合環を2個以上含有していてもよく、そのような環もしくは縮合環にはシクロアルキル、アリールまたは複素環式環が含まれ得る。複素環式基は複素環式環を少なくとも1個含有し、それらの中で最も大きな環は環原子を通常は3から7個含有し、それらの中の少なくとも1個の原子は炭素でありそして少なくとも1個の原子はN、O、SまたはPの中のいずれかである。R5−7またはR9−11が表し得る複素環式基の例には、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリルおよびトリアゾリル基が含まれる。
5−7またはR9−11のいずれかが置換されているヒドロカルビルもしくは複素環式基である場合、そのような置換基1個または2個以上は反応の速度にも立体選択率にも悪影響を与えないような置換基であるべきである。任意の置換基には、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオール、アシル、ヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、複素環、ヒドロカルビルオキシ、モノもしくはジ−ヒドロカルビルアミノ、ヒドロカルビルチオ、エステル、カルボキシ、カーボネート、アミド、スルホニルおよびスルホンアミド基、ここで、ヒドロカルビル基は、この上でR5−7またはR9−11に関して定義した通りである、が含まれる。存在する置換基は1個以上であってもよい。R5−7またはR9−11は各々キラル中心を1個以上含有していてもよい。
が表し得る場合により置換されていてもよいヒドロカルビルまたは過ハロゲン化ヒドロカルビルである中性の配位子には、場合により置換されていてもよいアリールおよびアルケニルである配位子が含まれる。
が表し得る場合により置換されていてもよいアリールである配位子は、環を1個または縮合環を2個以上含有していてもよく、そのような環もしくは縮合環にはシクロアルキル、アリールまたは複素環式環が含まれ得る。そのような配位子が含有する環は好適には6員の芳香環である。アリールである配位子が有する環1個または2個以上はしばしばヒドロカルビル基で置換されている。そのような置換の様式および置換基の数は多様であり、存在する環の数の影響を受け得るが、しばしば1から6個のヒドロカルビル置換基、好適には2、3または6個のヒドロカルビル基、より好適には6個のヒドロカルビル基が存在する。好適なヒドロカルビル置換基には、メチル、エチル、イソプロピル、メンチル、ネオメンチルおよびフェニルが含まれる。特にアリールである配位子が単一の環の場合、そのような配位子は好適にはベンゼンまたは置換ベンゼンである。配位子が過ハロゲン化ヒドロカルビルの場合、それは好適には多ハロゲン置換(polyhalogenated)ベンゼン、例えばヘキサクロロベンゼンまたはヘキサフルオロベンゼンなどである。ヒドロカルビル置換基が鏡像異性および/またはジアステレオマー中心を含有する場合、それらの鏡像異性および/またはジアステレオマー的に高純度の形態を用いるのが好適である。特にベンゼン、p−シミル、メシチレンおよびヘキサメチルベンゼンが好適な配位子である。
が表し得る場合により置換されていてもよいアルケニルである配位子には、C2−30、好適にはC6−12アルケンまたはシクロアルケンが含まれるが、それらが有する炭素−炭素二重結合は好適には2個以上、好ましくは、炭素−炭素二重結合は2個のみである。そのような炭素−炭素二重結合は、場合により、存在し得る他の不飽和系と共役していてもよく、好適には互いに共役している。そのようなアルケンもしくはシクロアルケンは好適にはヒドロカルビル置換基で置換されていてもよい。そのアルケンが有する二重結合が1個のみの場合、そのような場合により置換されていてもよいアルケニルである配位子は個別のアルケンを2個含有し得る。好適なヒドロカルビル置換基にはメチル、エチル、イソプロピルおよびフェニルが含まれる。場合により置換されていてもよいアルケニルである配位子の例には、シクロ−オクタ−1,5−ジエンおよび2,5−ノルボルナジエンが含まれる。特にシクロ−オクタ−1,5−ジエンが好適である。
が表し得る場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニル基には、エータ−5結合を形成し得るシクロペンタジエニル基が含まれる。そのようなシクロペンタジエニル基はしばしば1から5個のヒドロカルビル基、好適には3から5個のヒドロカルビル基、より好適には5個のヒドロカルビル基で置換されている。好適なヒドロカルビル置換基にはメチル、エチルおよびフェニルが含まれる。ヒドロカルビル置換基が鏡像異性および/またはジアステレオマー中心を含有する場合、それらの鏡像異性および/またはジアステレオマー的に高純度の形態を用いるのが好適である。場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニル基の例には、シクロペンタジエニル、ペンタメチル−シクロペンタジエニル、ペンタフェニルシクロペンタジエニル、テトラフェニルシクロペンタジエニル、エチルテトラメチルペンタジエニル、メンチルテトラフェニルシクロペンタジエニル、ネオメンチルテトラフェニルシクロペンタジエニル、メンチルシクロペンタジエニル、ネオメンチルシクロペンタジエニル、テトラヒドロインデニル、メンチルテトラヒドロインデニルおよびネオメンチルテトラヒドロインデニル基が含まれる。特にペンタメチルシクロペンタジエニルが好適である。
AまたはBのいずれかが−NR−、−NHR、NR、−NR−、−NHRまたはNR、ここで、RおよびRは、この上で定義した通りである、で表されるアミド基の場合、RまたはRは、−C(O)Rまたは−C(O)Rで表されるアシル基であり、RおよびRは、独立して、しばしば、直鎖もしくは分枝C1−7アルキル、C1−8シクロアルキルまたはアリール、例えばフェニルなどである。RまたはR10が表し得るアシル基の例には、ベンゾイル、アセチルおよびハロゲノアセチル、特にトリフルオロアセチル基が含まれる。
AまたはBのいずれかが−NR−、−NHR、NR、−NR−、−NHRまたはNR、ここで、RおよびRは、この上で定義した通りである、で表されるスルホンアミド基として存在する場合、RまたはRは、−S(O)または−S(O)で表されるスルホニル基であり、RおよびRは、独立して、しばしば、直鎖もしくは分枝C1−12アルキル、C1−12シクロアルキルまたはアリール、例えばフェニルなどである。好適なスルホニル基には、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、より好適にはp−トルエンスルホニル基およびナフチルスルホニル基、特に樟脳スルホニルが含まれる。
AまたはBのいずれかが−NR−、−NHR、NR、−NR−、−NHRまたはNR、ここで、RおよびRは、この上で定義した通りである、で表される基として存在する場合、RまたはRは、C(O)NR10、C(S)NR10、C(=NR10)SR11、C(=NR10)OR11、C(O)NR12、C(S)NR12、C(=NR12)SR13またはC(=NR12)OR13で表される基であり、RおよびRは、独立して、しばしば、直鎖もしくは分枝C1−8
アルキル、例えばメチル、エチル、イソプロピルなど、C1−8シクロアルキルまたはアリール、例えばフェニル基などであり、そしてR10−13は、しばしば、各々独立して、水素または直鎖もしくは分枝C1−8アルキル、例えばメチル、エチル、イソプロピルなど、C1−8シクロアルキルまたはアリール、例えばフェニル基などである。
Bが−OR、−SR、−PR−または−PRで表される基として存在する場合、RおよびRは、独立して、しばしば、直鎖もしくは分枝C1−8アルキル、例えばメチル、エチル、イソプロピルなど、C1−8シクロアルキルまたはアリール、例えばフェニル基などである。
AおよびBの正確な性質はAおよび/またはBが形式的に金属と結合するか或は孤立電子対を通して金属に配位するかによって決まることは理解されるであろう。
基AとBは連結基Eを通して連結している。連結基Eは、AとBの両方が金属Mと結合またはそれに配位するようにAとBの適切な形態(conformation)を達成する。AとBは一般に2、3または4個の原子を通して連結している。AとBを連結させるE中の原子は置換基を1個以上持っていてもよい。E中の原子、特にAまたはBに対してアルファ位に位置する原子とAおよびBは複素環式環、好適には芳香環、特に5、6または7員の環を形成するように連結していてもよい。そのような環は他の1個以上の環と縮合していてもよい。AとBを連結させる原子はしばしば炭素原子である。AまたはBに加えて、AとBを連結させる炭素原子の中の1個以上も好適には置換基を持つ。置換基には、この上で定義した如きR5−7またはR9−11の置換基であり得る置換基が含まれる。そのような置換基のいずれかを有利には金属Mに配位しない基であるように選択する。好適な置換基には、この上で定義した如きハロゲン、シアノ、ニトロ、スルホニル、ヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビルおよび複素環基が含まれる。最も好適な置換基はC1−6アルキル基およびフェニル基である。最も好適には、AとBは2個の炭素原子を通して連結、特に場合により置換されていてもよいエチル部分を通して連結している。AとBが2個の炭素原子を通して連結している場合、そのAとBを連結させている2個の炭素原子は芳香もしくは脂肪環式基、特に5、6もしくは7員の環の一部を構成していてもよい。そのような環は他の1個以上のそのような環と縮合していてもよい。Eが炭素原子2個分の分離に相当しそしてこれらの炭素原子の中の一方または両方がこの上で定義した如き場合により置換されていてもよいアリール基を持つか或はEが炭素原子2個分の分離に相当しそしてそれが場合によりフェニル環と縮合していてもよいシクロペンタンまたはシクロヘキサン環を含んで成る態様が特に好適である。
Eは、好適には、立体特異的中心を少なくとも1個有する化合物の一部を構成している。AとBを連結させている2、3または4個の原子の中のいずれかまたは全部がこれらの原子の中の1個以上の所に少なくとも1個の立体特異的中心を限定するように置換されている場合、そのような立体特異的中心の中の少なくとも1個が基AまたはBの中のいずれかに隣接する原子の所に位置するのが好適である。そのような立体特異的中心が少なくとも1個存在する場合、それを有利には鏡像異性体的に高純度の状態で存在させる。
Bが−O−または−OHを表しそしてE中の隣接して位置する原子が炭素の場合、Bがカルボン酸基の一部を形成していないのが好適である。
A−E−Bが表し得る化合物またはA−E−Bを脱プロトンで生じさせ得る化合物は、しばしば、アミノアルコールであり、4−アミノアルカン−1−オール、1−アミノアルカン−4−オール、3−アミノアルカン−1−オール、1−アミノアルカン−3−オール、特に2−アミノアルカン−1−オール、1−アミノアルカン−2−オール、3−アミノアルカン−2−オールおよび2−アミノアルカン−3−オール、特に2−アミノエタノールまたは3−アミノプロパノールを包含し、またはジアミンであり、1,4−ジアミノアルカン、1,3−ジアミノアルカン、特に1,2−もしくは2,3−ジアミノアルカン、特にエチレンジアミンを包含する。A−E−Bが表し得るさらなるアミノアルコールは2−アミノシクロペンタノールおよび2−アミノシクロヘキサノールであり、これらは好適にはフェニル環と縮合している。A−E−Bが表し得るさらなるジアミンは1,2−ジアミノシクロペンタンおよび1,2−ジアミノシクロヘキサンであり、これらは好適にはフェニル環と縮合している。そのアミノ基は有利にN−トシル化されていてもよい。A−E−Bがジアミンを表す場合、好適には、少なくとも1個のアミノ基がN−トシル化されている。そのようなアミノアルコールまたはジアミンは有利に置換、特に連結基Eが少なくとも1個のアルキル基、例えばC1−4アルキル、特にメチル基または少なくとも1個のアリール基、特にフェニル基で置換されている。
A−E−Bが表し得る化合物およびそれらを生じさせ得るプロトン化相当物の具体例は下記である:
Figure 2008517990
好適には、それらの鏡像異性および/またはジアステレオマー的に高純度の形態を用いる。その例には、(1S,2R)−(+)−ノルエフェドリン、(1R,2S)−(+)−シス−1−アミノ−2−インダノール、(1S,2R)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、(1S,2R)−(−)−シス−1−アミノ−2−インダノール、(1R,2S)−(−)−ノルエフェドリン、(S)−(+)−2−アミノ−1−フェニルエタノール、(1R,2S)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、N−トシル−(1R,2R)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N−トシル−(1S,2S)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2S)−シス−1,2−インダンジアミン、(1S,2R)−シス−1,2−インダンジアミン、(R)−(−)−2−ピロリジンメタノールおよび(S)−(+)−2−ピロリジンメタノールが含まれる。
Mが表し得る金属には、移動水素化に触媒作用を及ぼし得る金属が含まれる。好適な金属には遷移金属、より好適には周期律表のVIII族の金属、特にルテニウム、ロジウムまたはイリジウムが含まれる。当該金属がルテニウムの場合、それは好適にはIIの原子価状態で存在する。当該金属がロジウムまたはイリジウムの場合、それは、Rが場合により置換されていてもよい中性のヒドロカルビルまたは場合により置換されていてもよい中性の過ハロゲン化ヒドロカルビル配位子の時には好適にはIの原子価状態で存在し、そしてRが場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニル配位子の時には好適にはIIIの原子価状態で存在する。
金属MがIIIの原子価状態で存在するロジウムでありそしてRが場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニル配位子であるのが好適である。
Yが表し得るアニオン性基には、水素化物、ヒドロキシ、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルアミノおよびハロゲン基が含まれる。Yがハロゲンを表す場合、好適には、そのハロゲンは塩化物(chloride)である。Yがヒドロカルビルオキシまたはヒドロカルビルアミノ基を表す場合、そのような基は、反応で用いた水素供与体が脱プロトンを受けることで生じ得る。
Yが表し得る塩基性配位子には、水、C1−4アルコール、C1−8第一級もしくは第二級アミンまたは反応系に存在させる水素供与体が含まれる。Yが表す好適な塩基性配位子は水である。
最も好適には、A−E−B、RおよびYを当該触媒がキラリティーを持つように選択する。その場合、好適には、鏡像異性および/またはジアステレオマー的に高純度の形態を用いる。そのような触媒を最も有利には不斉移動水素化工程で用いる。多くの多様において、そのような触媒のキラリティーはA−E−Bの性質に由来する。
式B(i−iv)で表される触媒が特に好適である:
Figure 2008517990
そのような移動水素化用触媒の調製は、配位子、好適にはキラリティーを持つ二座窒素配位子と金属錯体、例えば場合により置換されていてもよいヒドロカルビルである中性の錯化基、場合により置換されていてもよい過ハロゲン化ヒドロカルビルである中性の錯化
基または場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである錯化基を含有するRu、RhまたはIr金属錯体などを一緒にすることで前以てまたはインシトゥで実施可能である。この実施で好適には溶媒を存在させる。用いる溶媒は、当該触媒の生成に悪影響を及ぼさない如何なる溶媒であってもよい。そのような溶媒には、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、メタノール、テトラヒドロフラン、エチルメチルケトンが含まれる。そのような溶媒は好適にはメタノールである。
本発明の方法は有利にキラル工程、例えばキラル分離、化学的および酵素的キラル分割などで得られた望まれない異性体を再利用しようとする時に使用可能である。キラル分離または分割を実施する時、典型的には、ラセミ混合物に結果として所望の鏡像異性体もしくは鏡像異性副生成物の分離がもたらされるような物理的、化学的または生化学的処理を受けさせるが、しばしば、未反応または望まれない鏡像異性体もしくは鏡像異性副生成物が残存する。本発明の方法は、未反応の鏡像異性体を所望の鏡像異性体を含有する使用可能な原料に変化させる方法を提供するものである。
本発明を以下の実施例で例示する。
手順
反応1: 標準的条件+0.5当量の2,4−ジメチル−3−ペンタノール
10mlの丸底フラスコに(S)−1−フェニルエタノール(246.8mg、99%、244.3mg、2.0ミリモル)、塩化ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジウム(III)二量体(16.6mg、96%、15.9mg、0.02ミリモル)、トリデカン(372.4mg、99%、368.7mg、2.0ミリモル)、ヨウ化カリウム(335.4mg、99%、332.0mg、2.0ミリモル)、2,4−ジメチル−3−ペンタノール(117.4mg、99%、116.2mg、1.0ミリモル)、炭酸カリウム(279.2mg、99%、276.4mg、2.0ミリモル)およびトルエン(4ml)を加えると結果として淡オレンジ色の溶液が生じた。水冷却器を取り付けた後の反応容器を80℃のオイルバスの中に置いてタイマーを開始させ、オイルバスの中に入れて1分以内に反応溶液が暗オレンジ色になり、徐々に暗色になって2時間後に暗褐色になりそして全体に渡ってその色のままであった。規則的な間隔でサンプル(〜100μl)を採取してジクロロメタン(2ml)と0.5Mの水酸化ナトリウム溶液(2ml)に入れて反応を消滅させ、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、アキラルGCおよびキラルGCで分析した。
反応2: 標準的条件+1.0当量の2,4−ジメチル−3−ペンタノール
10mlの丸底フラスコに(S)−1−フェニルエタノール(246.8mg、99%、244.3mg、2.0ミリモル)、塩化ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジウム(III)二量体(16.6mg、96%、15.9mg、0.02ミリモル)、トリデカン(372.4mg、99%、368.7mg、2.0ミリモル)、ヨウ化カリウム(335.4mg、99%、332.0mg、2.0ミリモル)、2,4−ジメチル−3−ペンタノール(234.7mg、99%、232.4mg、2.0ミリモル)、炭酸カリウム(279.2mg、99%、276.4mg、2.0ミリモル)およびトルエン(4ml)を加えると結果として淡オレンジ色の溶液が生じた。水冷却器を取り付けた後の反応容器を80℃のオイルバスの中に置いてタイマーを開始させ、オイルバスの中に入れて1分以内に反応溶液が暗オレンジ色になり、徐々に暗色になって2時間後に暗褐色になりそして全体に渡ってその色のままであった。規則的な間隔でサンプル(〜100μl)を採取してジクロロメタン(2ml)と0.5Mの水酸化ナトリウム溶液(2ml)に入れて反応を消滅させ、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、アキラルGCおよびキラルGCで分析した。
分析
アキラルGC
Chrompac 7680 CP SIL 5CBカラム、長さ=25.0m、直径320μm、膜厚=5.0μm
圧力=8.0psi
流量=1.1ml/分
温度=250℃で22.5分間に続いて20℃/分で300℃になるまで上昇
1−フェニルエタノール=13.1分
アセトフェノン=13.7分
トリデカン=27.5分
2,4−ジメチル−3−ペンタノール=5.7分
キラルGC
CP−Chirasil−Dex−CBカラム、長さ=25.0m、直径250μm、膜厚=0.25μm
圧力=10.0psi
流量=0.7ml/分
温度=110℃で40分間に続いて20℃/分で190℃になるまで上昇させそして5分間保持
(R)−1−フェニルエタノール=23.7分
(S)−1−フェニルエタノール=26.0分
アセトフェノン=10.0分
トリデカン=21.0分
2,4−ジメチル−3−ペンタノール=4.6分
Figure 2008517990
Figure 2008517990
手順
反応2: +炭酸カリウム
10mlの丸底フラスコに(S)−1−フェニルエタノール(246.8mg、99%、244.3mg、2.0ミリモル)、塩化ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジウム(III)二量体(16.6mg、96%、15.9mg、0.02ミリモル)、トリデカン(372.4mg、99%、368.7mg、2.0ミリモル)、ヨウ化カリウム(335.4mg、99%、332.0mg、2.0ミリモル)、炭酸カリウム(279.2mg、99%、276.4mg、2.0ミリモル)およびトルエン(4ml)を加えると結果として淡オレンジ色の溶液が生じた。水冷却器を取り付けた後の反応容器を80℃のオイルバスの中に置いてタイマーを開始させ、オイルバスの中に入れて1分以内に反応溶液が暗オレンジ色になり、益々暗色になって2時間後に暗褐色になりそして全体に渡ってその色のままであった。規則的な間隔でサンプル(〜100μl)を採取してジクロロメタン(2ml)と2.5Mの水酸化ナトリウム溶液(2ml)に入れて反応を消滅させ、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、アキラルGCおよびキラルGCで分析した。
分析
アキラルGC
Chrompac 7680 CP SIL 5CBカラム、長さ=25.0m、直径320μm、膜厚=5.0μm
圧力=8.0psi
流量=1.1ml/分
温度=250℃で22.5分間に続いて20℃/分で300℃になるまで上昇
1−フェニルエタノール=13.1分
アセトフェノン=13.7分
トリデカン=27.5分
キラルGC
CP−Chirasil−Dex−CBカラム、長さ=25.0m、直径250μm、膜厚=0.25μm
圧力=10.0psi
流量=0.7ml/分
温度=110℃で40分間に続いて20℃/分で190℃になるまで上昇させそして5分間保持
(R)−1−フェニルエタノール=23.7分
(S)−1−フェニルエタノール=26.0分
アセトフェノン=10.0分
トリデカン=21.0分
Figure 2008517990
Figure 2008517990
注:** STREM Chemicalsから購入
反応に先立って溶媒に脱気を受けさせた:
乾燥させておいた奇麗な密封型丸底フラスコにシリンジで無水2−プロパノールを100ml加えた後、脱気を真空下20℃で30分間受けさせた。
(a)触媒調製
(+)−ノルエフェドリンおよびロジウム化合物の重量を測定して乾燥させておいた奇麗なSchlenkフラスコの中に入れた。そのフラスコに「Suba−seal」(RTM)の蓋を付けた。その内容物に排気を受けさせた後、室温で窒素によるパージ洗浄を15回受けさせた。次に、2−プロパノール(20ml)をカニューレで加えた。そのフラスコの口を密封した後、そのフラスコを出発固体が溶解するまで撹拌した。その結果としてオレンジ色の上澄み液と暗色の固体が生じた。そのフラスコの口を再び開け、窒素流を流し込みながらフラスコの内容物を60℃に2時間5分加熱した。30分の間隔で触媒を検査した。それは各間隔毎に暗褐色の溶液であり、底に黒色の固体が存在していた。
(b)水添
アセトフェノンを2−プロパノール(80ml)に溶解させた後、それに脱気を40分間受けさせた。その溶液をカニューレで前記触媒が入っているフラスコに加えた後、シリンジで2−プロパノール中0.1MのKOH溶液(脱気を受けさせておいた)を加えた。その混合物を室温に放置し、間隔を置いてサンプルを採取してガスクロで分析した。この小規模の操作の時には反応混合物に窒素を流し込まなかったが、より大きな規模の生産の時には流し込むことになるであろう。1時間後に(R)−1−フェニルエタノールを92%の変換率、84%eeで得た。
Figure 2008517990
(a)触媒調製
前記ロジウム化合物を50mlの2−プロパノールに入れて懸濁させた後、それに真空および窒素フラッシュによる脱気を3回受けさせた。その混合物を加熱して固体が溶解するまで穏やかに還流させた後、周囲温度になるまで冷却した。その溶液に撹拌しながら(1S,2R)−(−)−シス−1−アミノ−2−インダノールを加えた。その混合物に真空および窒素フラッシュによる脱気を数回受けさせた後、30℃に30分間温めた。その結果として生じた触媒のオレンジ−赤色溶液を次の段階で用いたが、これはアルゴンまたは窒素下で貯蔵可能であった。
(b)水添
アセトフェノンを前記触媒溶液に加えた。その混合物を周囲温度で1時間撹拌した。ナトリウム2−プロポキサイド(新しく調製した2−プロパノール中0.1Mの溶液を0.25ml)を加えた。その混合物を2時間撹拌した後、サンプルを採取した;アセトフェノンの57%が反応して79%eeの(R)−1−フェニルエタノールが生じた。
Figure 2008517990
(a)触媒調製
前記イリジウム化合物および(+)−ノルエフェドリンを脱気を受けさせておいた2−プロパノール(20ml)に窒素下で入れて懸濁させた後、その反応物に窒素によるパージ洗浄を30分間受けさせた。その混合物を60℃に90分間加熱した後、周囲温度になるまで冷却した。その結果として生じた触媒の溶液を次の段階で用いたが、これはアルゴンまたは窒素下で貯蔵可能であった。
(b)水添
アセトフェノン(2ml、17ミリモル)を2−プロパノール(80ml)に溶解させた後、窒素でパージ洗浄した。次に、前記触媒溶液に続いて水酸化カリウム溶液(2−プロパノール中0.1Mの溶液を3.3ml)を加えた。その混合物を窒素下周囲温度で10時間撹拌した。それによって1−フェニルエタノールを得た。収率68%、ee49%。

Claims (18)

  1. 鏡像異性体富化組成物に脱富化を受けさせる方法であって、炭素−ヘテロ原子結合を含有していて前記炭素がキラル中心でありかつ前記ヘテロ原子が周期律表VI族のヘテロ原子である基質の少なくとも1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成る鏡像異性体富化組成物を触媒系および場合により反応促進剤の存在下で反応させることで、炭素−ヘテロ原子結合を有する前記基質の1番目および2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成っていて前記1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーに対する2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーの比率が前記鏡像異性体富化組成物中に存在していた前記1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーに対する2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーの比率よりも高い生成物組成物を得ることを含んで成る方法。
  2. 炭素−ヘテロ原子結合を含有していて前記炭素原子がキラル中心である前記基質が式(1):
    Figure 2008517990
    [式中、
    Xは、O、Sを表し、
    、Rは、各々独立して、場合により置換されていてもよいヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、場合により置換されていてもよい複素環基を表すか、或は
    場合により、RとRが、場合により置換されていてもよい環1個または2個以上を形成するように連結していてもよいが、但し
    およびRが*がキラル中心であるように選択されることを条件とする]
    で表される化合物である請求項1記載の方法。
  3. 前記触媒系が遷移金属触媒および場合により配位子を含んで成る請求項1または請求項2記載の方法。
  4. 前記遷移金属触媒が式M
    [式中、
    Mは、遷移金属であり、
    Xは、ハロゲン化物であり、
    Yは、場合により置換されていてもよいヒドロカルビルである中性の錯化基、場合により置換されていてもよい過ハロゲン化ヒドロカルビルである中性の錯化基、または場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである錯化基であり、そして
    n、pおよびrは、整数である]
    で表される遷移金属ハロゲン化物錯体である請求項3記載の方法。
  5. MがRhまたはIrでありそしてYが場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニル基である請求項4記載の方法。
  6. MがIrであり、XがIでありそしてYが場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、好適にはペンタメチルシクロペンタジエニル基である請求項5記載の方法。
  7. 前記遷移金属触媒が式M[式中、MはIrであり、XはIであり、そしてYは場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、好適にはペンタメチルシクロペンタジエニル基である]で表される遷移金属ハロゲン化物錯体である請求項6記載の方法。
  8. 反応促進剤を存在させる請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記反応促進剤がハロゲン化物塩である請求項8記載の方法。
  10. 前記ハロゲン化物塩が金属のハロゲン化物である請求項9記載の方法。
  11. 前記金属のハロゲン化物がカリウムもしくはセシウムのヨウ化物である請求項10記載の方法。
  12. 塩基、好適には炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムを存在させる請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
  13. 式(2):
    Figure 2008517990
    [式中、
    Xは、O、Sを表し、
    、Rは、各々独立して、場合により置換されていてもよいヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、場合により置換されていてもよい複素環基を表すか、或は
    場合により、RとRが、場合により置換されていてもよい環1個または2個以上を形成するように連結していてもよいが、但し
    とRが異なることを条件とする]
    で表される化合物を得る請求項1から12のいずれか1項記載の方法。
  14. 炭素−ヘテロ原子結合を含有していて前記炭素がキラル中心でありかつ前記ヘテロ原子が周期律表VI族のヘテロ原子である基質の少なくとも1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成る鏡像異性体富化組成物を触媒系および場合により反応促進剤の存在下で反応させることで生じさせた式(2)で表されるケトンまたはチオケトンを次に移動水素化用触媒および水素供与体と接触させることで、炭素−ヘテロ原子結合を有する前記基質の1番目および2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成っていて1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーに対する2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーの比率が前記鏡像異性体富化組成物中に存在していた1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーに対する2番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーの比率よりも高い生成物組成物を得る請求項13記載の方法。
  15. 前記移動水素化用触媒が一般式(a):
    Figure 2008517990
    [式中、
    は、場合により置換されていてもよい中性のヒドロカルビル、場合により置換されていてもよい中性の過ハロゲン化ヒドロカルビルまたは場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである配位子を表し、
    Aは、場合により置換されていてもよい窒素を表し、
    Bは、場合により置換されていてもよい窒素、酸素、硫黄または燐を表し、
    Eは、連結基を表し、
    Mは、移動水素化に触媒作用を及ぼし得る金属を表し、そして
    Yは、アニオン性基、塩基性配位子または空部位を表すが、但し
    AまたはBの中の少なくとも一方が置換されている窒素を含んで成りかつその置換基がキラル中心を少なくとも1個有することを条件とし、かつ
    Yが空部位でない時にはAまたはBの中の少なくとも一方が水素原子を持つことを条件とする]
    で表される触媒である請求項14記載の方法。
  16. 炭素−ヘテロ原子結合を含有する基質の少なくとも1番目の鏡像異性体もしくはジアステレオマーを含んで成る前記鏡像異性体富化組成物がキラル分離または化学的もしくは酵素的キラル分割で得られた未反応の鏡像異性体もしくは副生成物である請求項1から15のいずれか1項記載の方法。
  17. 式M[式中、Mは遷移金属であり、Xはハロゲン化物であり、Yは、場合により置換されていてもよいヒドロカルビルである中性の錯化基、場合により置換されていてもよい過ハロゲン化ヒドロカルビルである中性の錯化基、または場合により置換されていてもよいシクロペンタジエニルである錯化基であり、そしてn、pおよびrは整数である]で表される遷移金属ハロゲン化物錯体と式(1):
    Figure 2008517990
    [式中、
    Xは、O、Sを表し、
    、Rは、各々独立して、場合により置換されていてもよいヒドロカルビル、過ハロゲン化ヒドロカルビル、場合により置換されていてもよい複素環基を表すか、或は
    場合により、RとRが、場合により置換されていてもよい環1個または2個以上を形成するように連結していてもよいが、但し
    およびRが*がキラル中心であるように選択されることを条件とする]
    で表されるアルコールもしくはスルフィド配位子と場合により塩基を接触させることで得ることができる組成物。
  18. 塩基を用いそして前記塩基が炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムである請求項17記載
    の組成物。
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