JP2008516235A - 安定な3酵素クレアチニンバイオセンサー - Google Patents

安定な3酵素クレアチニンバイオセンサー Download PDF

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Abstract

本発明は、現在利用可能なアンペロメトリックバイオセンサーの寿命を超えて大幅に延びた有効寿命を有する、生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための安定な複数回使用可能な3酵素バイオセンサーを作製する方法を提供する。本発明の方法によって作製されるバイオセンサーは、酵素−ポリマー組成物としてバイオセンサーに付けた複数の固定化酸素を含む。クレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼおよびサルコシンオキシダーゼを含み得る酵素は、酵素−ポリマー組成物中に同時に固定化されるとともに、バイオセンサーに同時に付けられる。固定化に先立ち、酵素単量体当たり1もしくは複数のポリエチレングリコール(PEG)鎖を結合させることにより、酵素を化学的に修飾してもよい。ポリウレタン膜によってポリマー成分を提供してもよい。本発明は、基準電極から発せられる銀イオンの拡散を制限することによって銀イオンと酵素の間の接触を防止するバイオセンサーを作製する方法も提供する。生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のため、複数回使用可能な3酵素バイオセンサーへの取り込みを意図した酵素−ポリマー組成物を作製する関連方法についても提供される。本発明は、複数回使用可能なバイオセンサーおよび開示された方法によって作製される酵素−ポリマー組成物も提供する。

Description

本発明は、概して、診断薬の分野に関するものであり、より詳細には、固定化酸素のバイオポリマーを含む、アンペロメトリッククレアチニン測定のための複数回使用可能なバイオセンサー(multiple-use biosensor)を作製する方法に関する。
体液中のクレアチニンレベルの測定は、臨床上の必要性においてますます重要となっている。アンペロメトリックバイオセンサーが、クレアチニンを電流的に測定可能な過酸化水素に変換する3酵素系に基づいて開発されている。3酵素系の複雑さが原因で、これらのバイオセンサーの開発は遅々として進んでいない。
酵素の多点での結合によるポリマー網への取り込みは、酵素の活性を保持する一方で安定性を高めるための迅速かつ有効な一般的戦略である。この戦略は、酵素表面上の特定の官能基と化学反応できるオリゴマーを利用した、単一工程でのバイオプラスチックの生成を含む。
バイオセンサーにおける酵素の有用性は、その安定性によって制限される。臨床血液分析器では、酵素を全血と接触させながら何回も繰り返して使用する必要がある。多くの血液分析器は、酵素安定性をさらに制限する37℃で作動する。さまざまな固定化方法が、バイオセンサーと共に使用するために文献に記載されている。記載されているほとんどの方法がバイオセンサーにおける有用性を示唆しているが、流体と接触させながら室温または37℃でというような、現実の条件下で適用可能と思われる条件下で試験されていない場合が多い。酵素の固定化は、酵素浸出が問題となり得る連続使用バイオセンサーにとって特に重要である。
多点での共有結合による「バイオポリマー」への酵素固定化は、バイオセンサー用の固定化酸素の調製のための簡単かつ便利な方法を提供する。多点での共有結合による固定化は、酵素浸出を防止するだけでなく、熱、pH、有機溶媒、過酸化物およびタンパク質分解および微生物分解に対する酵素安定性を高める。
したがって、活性を保持する安定な酵素を構成要素として組み込んでいる複数回使用可能なバイオセンサーの開発に対する要求がある。本発明はこの要求を満たしかつそれに関する利点を提供する。
本発明は、現在利用可能なアンペロメトリックバイオセンサーの寿命を大幅に超える有効寿命を有する、生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための安定な複数回使用可能な3酵素バイオセンサーを作製する方法を提供する。本発明の方法によって作製されるバイオセンサーは、酵素−ポリマー組成物としてバイオセンサーに付けられる(applied to)複数の固定化酸素を含む。クレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼおよびサルコシンオキシダーゼを含む酵素は、酵素−ポリマー組成物中に同時に固定化されるとともに、バイオセンサーに同時に付けられる。固定化に先立ち、酵素単量体当たり1もしくは複数のポリエチレングリコール(PEG)鎖を結合させることにより、酵素を化学的に修飾してもよい。ポリウレタン膜によってポリマー成分を提供してもよい。本発明は、基準電極から出てくる銀イオンの拡散を制限することによって銀イオンと酵素の間の接触を防止するバイオセンサーを作製する方法についても提供する。生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のため、複数回使用可能な3酵素バイオセンサーへの取り込みを意図した酵素−ポリマー組成物を作製する関連方法も提供する。本発明は、複数回使用可能なバイオセンサーおよび開示された方法によって作製される酵素−ポリマー組成物も提供する。
本発明は、現在利用可能なアンペロメトリックバイオセンサーの寿命を大幅に超える有効寿命を有する、生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための安定な複数回使用可能な3酵素バイオセンサーを作製する方法を提供する。
本明細書において開示されるように、クレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼおよびサルコシンオキシダーゼといった酵素を、有効に修飾し、かつ酵素−ポリマー組成物に取り込ませてもよい。本発明の方法による酵素の酵素−ポリマー組成物への固定化により、酵素安定性が顕著に改善されかつ半減期が延びる。本発明の方法によって作製される酵素−ポリマー組成物およびバイオセンサーは、顕著な酵素安定性を有し、かつそれにより、4日、6日、8日、10日、12日、15日、20日、25日、30日を超える期間にわたるバイオセンサーの複数回の使用が可能になる。
本発明の方法によって作製されるバイオセンサーは、バイオセンサーに酵素−ポリマー組成物として付けられた複数の固定化酸素を含む。クレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼおよびサルコシンオキシダーゼを含む酵素を、酵素−ポリマー組成物中に同時に固定化するとともに、バイオセンサーに同時に付けてもよい。他の実施形態では、酵素を固定化しかつ段階的な方式または使用者に望まれる任意の組み合わせによって添加してもよい。
バイオセンサーの開発における重要な工程は効果的な酵素の固定化である。本発明は、アンペロメトリッククレアチニンバイオセンサーにおいて使用される3酵素のクレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼおよびサルコシンオキシダーゼを、十分な酵素活性を保持しながらポリウレタンプレポリマーを使用した膜にうまく固定化することが可能であるという発見に一部基づいている。本明細書において例示されるように、3酵素を共有結合により修飾し、さらにポリウレタンヒドロゲルに取り込んでもよく、そこで、それら酵素は37℃の溶液中での天然酵素と比較して改善された安定性を示す。本発明の方法によって作製されるバイオセンサーを、使用者に望まれかつ特定の用途に依存する温度、例えば室温や37℃で使用してもよい。
好ましい実施形態では、本発明は、複数の固定化酸素を含む、生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための複数回使用可能な3酵素バイオセンサーを作製する方法であって、バイオセンサーに複数の固定化酸素を含有する酵素−ポリマー組成物を付ける工程を含む、方法を提供する。
3酵素系は、クレアチニンを電流的に測定可能な過酸化水素Hに変換する。
Figure 2008516235
この系の構成要素である全部で3種の酵素が酵素−ポリマー組成物中に固定化されると考えられている。しかし、3種のうちの1種または2種の酵素のみが酵素−ポリマー組成物中に固定化される場合の実施形態は、本発明の有用な実施形態であることも示している。したがって、酵素のクレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼおよびサルコシンオキシダーゼのうちの少なくとも1種または少なくとも2種または3種全部を、本発明のバイオセンサーに付けられる酵素−ポリマー組成物中に固定化してもよい。単一工程で、酵素を酵素−ポリマー組成物中に同時に固定化してもよい。それ故、酵素をバイオセンサーにポリウレタン膜を例とするポリマーのシートもしくは膜の一部として同時に付けてもよい。
生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための安定な複数回使用可能な3酵素バイオセンサーを作製するための本発明の方法は、酵素単量体当たり1もしくは複数のポリエチレングリコール(PEG)鎖を結合させることによって酵素を化学的に修飾する初期工程(initial step)をさらに含み得る。初期工程として、酵素単量体と水溶性重合調整剤との結合(conjugation)、特に「PEG化(PEGylation)」と称されることが多いポリエチレングリコール(PEG)との結合が考えられる。酵素単量体と水溶性重合調整剤とのバイオコンジュゲーション(Bioconjugation)は、それらの分子サイズおよび立体障害を増大させ、かつ酵素の半減期を改善する。
本発明に記載のバイオセンサーは、少なくとも1つの作動電極、少なくとも1つの基準電極および少なくとも1つの対向電極を有し、本発明の方法に開示のように固定化されている1種、2種または3種の酵素をその表面に付けている。本明細書に開示のように、酵素は、ポリウレタン膜を例とする酵素−ポリマー組成物に組み込まれ、センサーに付けられることによってバイオセンサーの一部となり得る。
もし使用者によって望まれる場合、センサーは、例えば2つの作動電極を有し、それぞれが少なくとも1種、少なくとも2種または3種の固定化酸素を含んでいてもよい。例えば、1つの電極が3種のうちの2種の酵素を含み、一方で、第2の作用電極は3種全部を含む。酵素と電極の任意の組み合わせおよび順列は、実施されるべき本発明の望ましい実施形態に基づいて使用者によって選択され得る。さらなる実施形態では、バイオセンサーは2つの3電極系から構成され、第1の電極系は酵素のクレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼおよびサルコシンオキシダーゼを含みかつクレアチニンおよびクレアチンの和の測定における役割を果たし、第2の電極系は酵素のクレアチンアミジノヒドロラーゼおよびサルコシンオキシダーゼを含みかつクレアチンの測定における役割を果たすことから、クレアチニンの測定においては第2の電極系の結果が第1の電極系の結果から差し引かれる。必要に応じ、バイオセンサーは、電気化学的干渉(electrochemical interference)の除去に役立つさらなる電極系を含む。
酵素は銀による阻害を受けやすい可能性があり、銀はマイクロモル量でしか存在しなくても不活性化を誘発し得る。銀イオンに対する感受性は、銀を含む電極を具備したアンペロメトリッククレアチニンバイオセンサーに酵素を使用する場合に重要であり得る。下記のように、銀電極体に付けられる3酵素ポリマーは、銀イオンによる非活性化を誘発し得る。例えば、クレアチンアミジノヒドロラーゼは、極めて銀による阻害を受けやすい。銀を除去するチオール含有分子の添加は、銀に起因する酵素の失活を防止するのに有効であり得る。クレアチンアミジノヒドロラーゼの分子ダイナミクスのGNM分析に基づき、システイン残基のうちの2種、両方の鎖内のCys60およびCys297は、酵素の機能ダイナミクスの制御にとって重要なものとして同定されたもので、酵素を不安定化させかつ不活性化をもたらすという役割を果たす。注目すべきことに、Cys297は負に帯電した残基の近傍で正に帯電した銀を引きつける場合のこの残基に囲まれている。したがって、バイオセンサーにおけるクレアチンアミジノヒドロラーゼの使用においては銀イオンからの保護が必要とされ、それは銀の感受性を低下させている酵素ミメティック(mimetic)を利用する、銀スカベンジャー(silver scavenger)を添加する、または好ましい実施形態では銀イオンと酵素の間の接触を防止する材料で電極を被覆することによって達成可能である。
上記を考慮すると、基準電極がAg/AgCl(銀/塩化物)電極である場合の実施形態では、基準電極を該基準電極から発せられる銀イオンの拡散を制限する材料で被覆することによって銀イオンと酵素の間の接触を防止することが可能であると考えられる。ポリウレタンス(polyurethance)膜を例とする酵素−ポリマー組成物から電極を分離するための酢酸セルロースのカバー膜を使用することで、電極からの銀の浸出が遅延しかつセンサーの半減期が改善する可能性があると考えられる。さらに、銀イオンの浸出を防止しかつ酵素のセンサーとの接触を低下させることを意図したセンサー設計上の改善を行うことで、クレアチニンバイオセンサーの使用寿命が延びかつ臨床全血分析におけるそれらの有用性が高まる可能性がある。一般に、本発明に記載のバイオセンサーにおける電極を、炭素、金属、金属酸化物または炭素と金属もしくは金属酸化物との混合物から構成してもよい。さらに、電極が非導電性基板上に付けられると考えられる。
好ましい実施形態では、バイオセンサーは2つの3電極系から構成され、第1の電極系は酵素のクレアチニナーゼ、クレアチナーゼおよびサルコシンオキシダーゼを含みかつクレアチニンおよびクレアチンの和の測定における役割を果たし、第2の電極系は酵素のクレアチナーゼおよびサルコシンオキシダーゼを含みかつクレアチンの測定における役割を果たすことから、クレアチニンの測定においては第2の電極系の結果が第1の電極系の結果から差し引かれる。必要に応じ、バイオセンサーは、電気化学的な干渉を除去するためにさらなる電極系を含み得る。
本発明の方法は、サルコシンオキシダーゼの化学修飾およびバイオポリマーとも称される酵素−ポリマー組成物、例えばポリウレタンポリマーへの固定化を含む。本発明の方法はポリウレタンスを用いて例示される一方、当業者であれば、酵素の安定性を高めながらも活性を保持する様式で酵素のポリマー網への取り込みを可能にする任意のポリマー、例えば、ポリウレタン、シアネートポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、酢酸ビニル共重合体、ナイロン、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、プロピオン酸セルロース、エチレン/アクリル酸共重合体、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、アクリルフィルム、ポリスチレン、およびポリフッ化ビニルが、本発明の方法を実施するのに有用なものと考えられることを理解するであろう。
好ましい実施形態では、本明細書において提供される方法は、酵素−ポリマー組成物の生成が、酵素表面上で特定の機能性と化学反応可能なオリゴマーを用いた単一工程でなされることを含む。酵素は、固定化の利点が最大になり得るように、架橋、共有結合またはマトリックス封入を例とするタンパク質の保持をもたらす様式でポリマーに結合される。
本発明は、高分子センサー環境下でのサルコシンオキシダーゼを維持するのに必要な特定の構造−機能−環境の関係性の発見に一部基づいている。サルコシンオキシダーゼ(EC1.5.3.1)は、サルコシン(N−メチルグリジン)の酸化的脱メチル化を触媒し、かつ等モル量ずつのホルムアルデヒド、グリジン、および過酸化水素を形成する。アルスロバクター属(Arthrobacter sp.)由来のサルコシンオキシダーゼは分子量43kDaを有する単量体である(ニシヤ(Nishiya)およびイマナカ(Imanaka)、J Ferm Bioeng 75:139−244頁(1993年))。単量体のサルコシンオキシダーゼ(MSOX)は、システイン残基を介して酵素に共有結合されたモル単位のフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を含むフラビンタンパク質である(トリッキー(Trickey)ら、Structure 7:331−345頁(1999年))。特定の実施形態では、酵素サルコシンオキシダーゼは、ピロール−2−カルボン酸または(メチルチオ)酢酸を例とする阻害剤と、化学修飾工程の間に起こる不活性化を防止するのに有効な量で接触される。本明細書に記載のように、サルコシンオキシダーゼはPEG−NCOの単一分子によって修飾される場合に不活性化され、かつ(メチルチオ)酢酸およびピロール−2−カルボン酸といった2種の不可逆性阻害剤が、ポリウレタンヒドロゲルを形成するポリマーへの化学架橋によって重合の間に首尾よく不可逆的に酵素の固定化を可能にする修飾の間に起こる酵素の不活性化を防止し、緩衝溶液中、37℃で約30日の使用に対して十分な活性および安定性を保持するのに有効であることが見出された。
クレアチンアミジノヒドロラーゼ(クレアチナーゼ、EC3.5.3.3)は、分子量が約45kDのサブユニットを有するホモダイマーである。同タンパク質の2つの活性部位は、各単量体によって共有されている単量体の界面に存在し、二量体のみが活性を示す。酵素が低い機能的安定性を有する一方、還元剤などの添加剤、タンパク質およびポリオールが酵素の安定性を高めることが示されている(シュマン(Schumann)ら、Biol Chem 374:427−434頁(1993a))。クレアチナーゼの低い固有の安定性により、タンパク質工学の利用が促進されて安定性が改善されている(シュマン(Schumann)ら、Protein Science 2:1612−1620頁(1993b))。本明細書において開示のように、クレアチンアミジノヒドロラーゼをPEG−NCOによって有効に修飾し、イソシアネートプレポリマーによる修飾を介して共有結合的にポリウレタン材料に取り込ませてもよい。クレアチンアミジノヒドロラーゼは、ポリウレタンポリマーへの化学架橋によって首尾よく不可逆的に固定化され、かつ緩衝溶液中、37℃での30日間の使用において顕著な活性および十分な安定性が保持された。
以下の実施例は、本発明における例示を目的としており、限定されることを意図していない。
実施例1
高分子センサー環境下でのサルコシンオキシダーゼの修飾、固定化および維持
この実施例では、PEG−NCOを使用したポリウレタンポリマー中でのサルコシンオキシダーゼの固定化について記載する。
A.材料およびプロトコル
サルコシンオキシダーゼ(Arthrobactersp.、SAO−341由来)を東洋紡績株式会社(Toyobo Co.,Ltd.)から購入し、西洋わさびペルオキシダーゼをシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich)(St.Louis、ミシシッピ州)から購入した。すべての酵素をさらに精製することなく使用した。PEG−NCO(Mw5000)およびPEGSPA(Mw5000)をシアウォーター・ポリマーズ(Shearwater Polymers Inc.)(Huntsville、アラバマ州)から入手した。ハイポール(Hypol)2060Gプレポリマーをハンプシャー・ケミカル(Hampshire Chemical)(Lexington、マサチューセッツ州)から購入した。すべての他の試薬をシグマ・アルドリッチ・ケミカルズ(Sigma−Aldrich Chemicals)(St.Louis、ミズーリ州)から購入し、それらは最高純度で使用可能であった。
サルコシンオキシダーゼのPEG化
サルコシンオキシダーゼを1mg/mLの濃度で水性緩衝液(50mMリン酸塩緩衝液、pH7.5または50mMホウ酸塩緩衝液、pH8.5)に溶解させた。PEG−NCOまたはPEG−SPAを1:100のモル比で酵素に過剰に添加し、完全な酵素修飾を確実にした。一部の実験では、サルコシンオキシダーゼ阻害剤(50mMメチルチオ酢酸または50mMピロール−2−カルボン酸)を添加し、酵素の不活性化の防止を促した。反応混合物を30分間混合してから50mMリン酸塩緩衝液に対して透析した(12000Mwカットオフ)(ドレヴォン(Drevon)ら、Biomacromolecules 2:764−771頁(2001年))。
サルコシンオキシダーゼを含有するポリウレタンの合成
トルエンジイソシアネートをベースとするプレポリマーのハイポールプレポリマー2060G(0.4g)を、サルコシンオキシダーゼを含有する緩衝溶液(3.6gの50mMリン酸塩緩衝液、50mM阻害剤、pH7.5)に添加した(プレポリマー1グラム当たり0〜200単位の酵素)。水性ポリマー溶液をゲル化が開始するまで計量ボート内で30秒間激しく混合した。重合は極めて迅速であり、ゲル化は通常1分以内に生じた。
酵素修飾の特徴づけ
パースペクティブ・バイオシステムズ・ヴォイジャー・エリート(Perspective Biosystems Voyager Elite)MALDI−TOFを使用してMALDI−MS分析を実施した。加速電圧を線形モードで20kVに設定した。1μLのPEG化した酵素溶液(0.1mg/mL)を1μLのマトリックス溶液(0.5mLの水、0.5mLのアセトニトリル、1μLのトリフルオロ酢酸、および10mgのシナピン酸)と混合し、次いで標的プレート上でスポッティングした。溶媒混合物の蒸発後、スペクトルを記録し、ウマチトクロームC(12,361.96Da(平均))、ウサギ筋肉アルドラーゼ(39,212.28Da(平均))およびウシ血清アルブミン(66,430.09Da(平均))を用いて外部較正を行った。
エンドポイントアッセイを用いたサルコシンオキシダーゼ活性の測定
4−アミノアンチピレン(aminoantipyrene)−ペルオキシダーゼ系の使用によって過酸化水素の生成について測定した(ニシヤ(Nishiya)およびイマナカ(Imanaka)、Appl.Environ.Microbiol.62:2405−2410頁(1996年))。典型的には酵素溶液(0.05mL)を、95mMのサルコシン、0.47mMの4−アミノアンチピリン、2mMのフェノール、0.045%のトリトンX−100、50mMのリン酸ナトリウム(pH8.0)および5単位/mLの西洋わさびペルオキシダーゼの混合物(全体で1.0mL)とともに37℃で10分間インキュベートした。0.25%SDS溶液2.0mLの添加によって反応を終結させ、500nmでの吸光度を測定した。1単位を1分当たり基質1μモルの酸化を触媒する酵素の量として定義した。
酸素モニターアッセイ(oxygen monitor assay)を使用したサルコシンオキシダーゼ活性の測定
酸素消費の初期速度についてもイエロー・スプリングス・インスツルメンツ(Yellow Springs Instruments)(Yellow Springs、オハイオ州)から入手したクラーク(Clark)酸素電極を用いて37℃で測定した。酵素溶液(1μL)または酵素含有ポリマー(小片に切断した10〜100mg)を5.0mLの基質(50mMリン酸塩緩衝液中50mMサルコシン、pH7.5)に添加することによって反応を開始した。測定前に、アッセイ溶液を大気中、37℃に平衡化しておいた。酸素消費を5〜10分間測定した。
天然サルコシンオキシダーゼの熱安定性
サルコシンオキシダーゼを緩衝培地(50mMリン酸ナトリウム、2mM EDTA、pH7.5)に添加した。用いた天然酵素濃度は0.06mg/mlであった。上記のエンドポイントアッセイを用い、サルコシンオキシダーゼの活性を室温(22℃)と、4℃および37℃で経時的に追跡した。
PEG修飾サルコシンオキシダーゼの熱安定性
天然酵素についての記載のように、PEG−サルコシンオキシダーゼの熱不活性化を緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、2mM EDTA、pH7.5)中、37℃で監視した。全試料中の酵素濃度を0.05mg/mlに調節した。
固定化したサルコシンオキシダーゼの熱安定性
酵素ポリマー試料を小片に切断し、緩衝液(50mMリン酸塩、pH7.5)に添加し、37℃でインキュベートした。試料を経時的に取り出し、酸素電極を使用して酵素活性についてアッセイした。
サルコシンオキシダーゼにおける銀の阻害
銀イオンのサルコシンオキシダーゼに対する作用を測定するため、0.07mg/mLのサルコシンオキシダーゼを硝酸銀(0〜1mM)とともに20mMトリス−HCl(pH7.5)中、室温でインキュベートした。試料を定期的に取り出し、エンドポイントアッセイを用いてサルコシンオキシダーゼ活性についてアッセイした。
B.結果
酵素の活性および安定性に対するPEG化の作用
酵素のポリウレタンポリマーへの固定化が酵素表面上の求核残基とのイソシアネートを含む反応による酵素の化学修飾を含むことから、溶解性ポリマーを用いて化学修飾の過程をモデリングすることは好都合である。この技術を用いた修飾は、溶解性酵素とさらに連携しながら共有結合的な固定化の酵素活性に対する作用を再現することを可能にする。一旦酵素がポリマーに取り込まれる場合、物質移動効果が分析を困難にし得る。
異なる比(NCO/酵素)を用い、pH7.5(50mMリン酸塩緩衝液)およびpH8.5(50mMホウ酸塩緩衝液)で、PEG−NCO(5,000MW)を使用して単量体サルコシンオキシダーゼを修飾した。MALDI−TOF分析を用いて残留する天然酵素の量を定量し、修飾後のサルコシンオキシダーゼの活性保持に対してプロットした(図1)。酵素をpH7.5で修飾した場合、保持された活性の百分率は修飾されていない酵素の百分率に比例した。これは、酵素機構の観点からいえば重要な残基(または残基の基)がイソシアネートとの反応を支配することを示す。しかし、pH8.5で修飾すると、おそらくはpHの上昇に伴うリジン(平均pKa=9.3〜9.5)のy−アミンの求核性の上昇に起因し、活性保持の増強がもたらされた。
イソシアネートによる単一の修飾によってサルコシンオキシダーゼが非活性化するように見られることから、ポリウレタンポリマー内部で固定化する間、酵素を保護する方法が必要となる。もし活性部位残基の位置またはその近傍で修飾が生じている場合、阻害剤を溶液に添加し、活性部位クレフトを遮断することによって活性保持の増強を促進してもよい。この保護方法が検討されることは多いが、文献に含まれる事例には阻害剤による保護戦略が有効に働く場合が極めて少ない。サルコシンオキシダーゼに対して多数の阻害剤が同定されている(ワグナー(Wagner)ら、Biochem 39:8813−8824頁(2000年))。ピロール−2−カルボン酸(Ki=1.37mM)および(メチルチオ)酢酸(Ki=2.60mM)が低いKi値を有しかつイソシアネートと高い反応性を示す官能基を含まないことからこれらを選択した。触媒酸化生成物である過酸化水素が酵素を不活性化しかつPEG骨格を酸化する可能性があることから、保護剤として天然基質のサルコシン(Km=0.6)を使用しなかった。いずれかの阻害剤を伴うpH7.5でのサルコシンオキシダーゼの修飾により、阻害剤を伴わない修飾と比べて活性保持が顕著に改善することが示された(図2)。MALDI−TOF分析によると、大部分の酵素がPEGで修飾され、かつ阻害剤の存在によって修飾過程自体に対する作用が最小であることが確認された。
天然およびPEG修飾サルコシンオキシダーゼの安定性を50mMリン酸塩緩衝液中、37℃で測定した(図3)。酵素1分子当たり平均1つのPEG鎖が結合した状態の酵素が天然酵素の場合と同様の安定性を有した(7日の半減期)。酵素1分子当たり平均3本のPEG鎖が結合した状態の酵素が改善した半減期を有した(17日)。
化学修飾の性質の発見
イソシアネートは、タンパク質中のアミノ基、スルフヒドリル基、カルボキシル基、フェノールヒドロキシル基、イミダゾール基、およびリン酸基と反応可能である(ミーンズ(Means)およびフィーネイ(Feeney)、「Chemical modification of proteins」、San Francisco:ホールデン・デイ(Holden−Day,Inc.)(1971年))が、アミノ基との反応のみが安定な生成物の形成をもたらす。スルフヒドリル基、イミダゾール基、チロシン基、およびカルボキシル基との反応により、希釈時またはpHの変化時に分解し得る相対的に不安定な付加体が生成される(REF)。
ペプシン(リモン(Rimon)およびパールマン(Perlmann)、J Biol Chem 243:3566−3572頁(1968年)、パパイン(スルイターマン(Sluyterman)、Biochim Biophys Acta 139:439−449頁(1967年))、トリプシンおよびキモトリプシン(ショー(Shaw)ら、J Biol Chem 239:PC671−673頁(1964年);ブラウン(Brown)およびウォルド(Wold)、Biochemistry 12:835−40頁(1973年))、ならびにグルタチオンレダクターゼ(ヨハイム(Jochheim)およびベイリー(Bailie)、Biochem Pharmacol 47:1197−1206頁(1994年))といった多数の酵素において、シアネートおよびイソシアネートによる不活性化が報告されている。チロシン残基がカリウムシアネートによってカルバミル化される場合、ペプシンのタンパク質分解活性が阻害されたが、ヒドロキシルアミンによる処理は、残基の脱カルバミル化によって不活性化を逆転させるのに有効だった(リモン(Rimon)およびパールマン(Perlman)、上記、1968年)。パパインもまたシアネートによって不活性化され、実際、パパインの活性部位チオールにおけるシアネートとの反応性は遊離システインのチオール基の場合よりも約3000倍である(スルイターマン(Sluyterman)、上記、1967年)。不活性化は、カルバミル化されたスルフヒドリル基の不安定性に起因して希釈時には可逆的である。キモトリプシンもまたシアネートによって不活性化されることが示された(ショー(Shaw)ら、上記、1964年)。活性部位セリンの修飾は不活性化の原因であり、トリプシンおよびスブチリジンにおいて類似作用が報告されている(ショー(Shaw)ら、上記、1964年)。
イソシアネートで修飾したサルコシンオキシダーゼが不安定な付加体を生成する残基(例えば、修飾されたスルフヒドリル残基またはチロシン残基)で修飾されたか否かを判定するため、酵素を多数の方法で処理し、酵素活性を再活性化することを試みた。希釈またはpH7.5での一晩の透析のいずれであっても酵素をうまく再活性化することができなかった。ヒドロキシルアミンによる処理は、弱く結合した抱合体を酵素から取り除くためによく用いられる方法である(スミス(Smyth)、J.Biol.Chem.242:1592−1598頁(1967年))。イソシアネートで修飾したサルコシンオキシダーゼのヒドロキシルアミン(500mM、pH7)による最大24時間にわたる処理は、酵素の再生には無効であった。したがって、PEG−イソシアネートはタンパク質の表面上のアミンと反応しており、それにより酵素を不活性化した。
不活性化がイソシアネートに対して特異的であるか否かまたは他のアミンを修飾するPEGであれば類似作用を有するか否かを判定するため、PEG−SPAを使用してサルコシンオキシダーゼを修飾した。PEG−SPAは、アミンと安定なアミド結合を形成するNHSで修飾されたPEGである(ハーマンソン(Hermanson)、Bioconjugate Techniques、San Diego:Academic Press、1996年)。興味深いことに、サルコシンオキシダーゼのPEG−SPAによる低度な修飾(1酵素当たり平均1〜3個のPEGによるもの)により、5%未満の失活がもたらされた。より高度な修飾(結合された5本を超えるPEG鎖)では、酵素活性がより有意に低下することが明らかであり、阻害剤のピロールカルボン酸および(メチルチオ)酢酸を使用すればそれを防止することが可能であった。これは、PEG−SPAとサルコシンオキシダーゼの表面上の残基との反応性がPEG−NCOとサルコシンオキシダーゼとの反応性よりも異なることを示す。
サルコシンオキシダーゼの修飾ではpH8.5よりもpH7.5で行う場合に一層の不活性化がもたらされることから、末端アミンであればより反応性を示す(末端アミンが有するpKaはリジンのy−アミンの場合よりも低下する)はずであるために末端アミンの修飾が失活を担い得るという可能性が高いと思われる。事実、PEG−NCOによるサルコシンオキシダーゼの修飾により、サルコシンオキシダーゼの可視吸収スペクトルにおいて注目に値する偏移が生じることは全くなく、これは修飾が活性部位において生じなかったことを示している。ヒスチジン残基がおそらくはフラビン部分の近傍でピロ炭酸ジエチル(DEP)で修飾される際にコリネバクテリウムのサルコシンオキシダーゼにおける酵素に結合されたFADの吸収スペクトルが変化すること(455〜462nmの吸収ピークの赤方偏移)が報告されている(ハヤシ(Hayashi)ら、J.Biochem.94:551−558頁(1983年))。DEPで修飾されたサルコシンオキシダーゼは完全に不活性を示すが、ヒドロキシルアミンで処理することによって活性が回復し得る。アルスロバクター(Arthrobacter)のサルコシンオキシダーゼの吸収スペクトルはPEG−NCOでの修飾時に偏移しなかったが、これは活性部位において修飾が生じなかったことの絶対的証拠ではない。
化学修飾部位の予測
サルコシンオキシダーゼ活性に対する化学修飾の作用を解明するため、計算論的研究を行い、酵素活性/安定性における最も重要な残基および修飾における最も反応性の高い残基を予測した。
残基の溶媒アクセシビリティ(solvent accessibility)(SA)の関数としてのRNアーゼA中のリジン残基に対するアセチル化の反応性およびリジンのpKa値については先行的に記載がなされている(グロッカー(Glocker)ら、Bioconjugate Chem.5:583−590頁(1994年))。デオキシ−ヘモグロビン(スカロニ(Scaloni)ら、FEBS Letters 452:190−194頁(1999年))および西洋わさびペルオキシダーゼ(オブライエン(O’Brien)ら、Biotechnol Bioeng 76:277−284頁(2001年))について同様の結果が示されている。具体的には、SAの増加に伴い反応性が高まる。しかし、たとえ低いSAであっても、所定のリジン残基のpKaが特に低い場合には反応性は劇的に高まる(これは極めて優れた求核剤を意味する)。それ故、酵素の表面上に位置するリジン残基(pKaが10.5以下の場合)はSAに比例する反応性を有することになるが、ウシリボヌクレアーゼAの活性部位のリジンのような、pKaに対して顕著な作用を示し得る環境下に位置する残基は顕著に異なるpKaおよび変化した反応性を有することになる。
サルコシンオキシダーゼ(FADを含有しないMSOX)中の全リジン残基におけるpKa予測値を表1に示す。
Figure 2008516235
SWISS PDBビューワからSAを算出し、UHBDアルゴリズムから推定のpKaを得た。これらの結果に基づくと、リジン351はそのpKaが9.18であることから最も反応性の高いリジンである。活性部位におけるリジン268は2番目に低いpKaの9.68を有する。活性部位の第3のリジン(リジン322)は著しく増加したpKa(13.67)を有し、容易に修飾されるものとは思われない。
ポリウレタンポリマー中でのサルコシンオキシダーゼの固定化
イソシアネートを用いて修飾する間に酵素活性を保持することを目的としたサルコシンオキシダーゼの修飾における最適な条件を見出した後、ポリウレタンヒドロゲル中に酵素を固定化した。酵素濃度0〜200U/gのポリマーを用いて作製された酵素含有ポリマーが酵素濃度に正比例する比活性を有していた(図4)。反応速度が酵素濃度に比例することから、これらの条件下で測定される速度が拡散制御されたものではなく、酵素触媒反応からの速度のみを示すことをこれは保証する(ヤマネ(Yamane)、Bioeng.19:749−756頁(1977年))。阻害剤を含めずに作製した酵素−ポリマーは全く活性を保持しなかったが、これは溶解性調節剤を含める場合に見られる作用がポリウレタンバイオポリマーに直接翻訳されることを実証している。阻害剤を含めて作製したポリマーの活性保持は、保守的な方法を用いた場合に見られた活性保持の約10%であった。
明白な失活を全く示すことなく単一のゲル試料を8サイクルにわたり繰り返しアッセイすることにより、固定化ポリマーにおける再利用性について試験した(図5)。他のポリウレタンの化学的性質で見られるように、酵素はゲル内部で十分に固定化され、かつ酵素の欠損は全く観察されない(レジューヌ(Lejeune)およびラッセル(Russell)、Biotechnol Bioeng 51:450−457頁(1996年);レジューヌ(Lejeune)ら、Biotechnol Bioeng 54:105−114頁(1997年);ドレヴォン(Drevon)ら、Biotechnol Bioeng 79:785−794頁(2002年))。ポリマーもまた、ゆっくり撹拌しながら緩衝液中、4℃で作製し保存した。試料を液体相から取り出し、浸出している可能性がある酵素活性について測定した。約50日間にわたり液体相において活性を測定することは全くなかった(図6)。酵素はポリウレタン材料中に非可逆的に固定化されることから、この固定化技術は、再使用可能な臨床バイオセンサーにおける使用において望ましいものである。
酵素−ポリマー試料を緩衝液中、37℃でインキュベートし、定期的にアッセイ対象の試料を取り出すことにより、ポリマー中での酵素の熱不活性化について測定した(図7)。37℃での天然サルコシンオキシダーゼの半減期は7日である一方、固定化したサルコシンオキシダーゼは緩衝液中、37℃で50日を超える期間のインキュベーション後に50%を超える活性を保持した。明らかに、阻害剤で保護したサルコシンオキシダーゼのポリウレタンポリマー中での固定化は、酵素を安定化する場合に有効である。連続使用の臨床血液分析器における適用が成功するためには、特に高温時での高い酵素安定性は必須であろう。
銀イオンの酵素活性に対する作用
酵素がAg/AgCl基準電極を含むアンペロメトリック電極に付けられることから、銀イオンの酵素活性に対する作用について探求した。従来より基準電極からの銀イオンによる酵素の阻害が注目されており(シャッファー(Schaffar)、Anal Bioanal Chem 372:254−260頁(2002年);米国特許第4,547,280号明細書)、銀イオンが酵素に極めて強く結合して失活を招く可能性があることからそうであれば十分に評価されるべきである。
銀イオンによる阻害についてサルコシンオキシダーゼを試験するため、1nM〜1mMの硝酸銀を酵素の溶液に添加し、様々な期間インキュベートした。次いで、酵素を溶液から取り出し、銀の非存在下で残留するサルコシンオキシダーゼ活性についてアッセイした(図8)。明らかに、銀はサルコシンオキシダーゼに対する有効な不可逆的阻害剤である。酵素阻害は緩やかであり、低い銀濃度で作用を認めるのに長いインキュベーション時間を要するように見られる。阻害が瞬間的になされない場合があるが、これらのセンサーでは2〜3週間の期間にわたる使用が可能であることから銀による阻害がセンサーの半減期を短縮する可能性があり、また上記のようにバイオ触媒をベースとするセンサーに対する銀イオンの影響を低減することを目的とした戦略をとることで不活性化を低減するかまたは防止することが可能である。
実施例II
高分子センサー環境下でのクレアチンアミジノヒドロラーゼの修飾および固定化
この実施例では、イソシアネートで活性化されるポリエチレングリコール(PEG)で修飾したクレアチンアミジノヒドロラーゼの固定化および安定化について述べる。
A.材料およびプロトコル
クレアチンアミジノヒドロラーゼ(アクチノバチラス属(Actinobacilus sp.)由来、CRH−211)およびサルコシンオキシダーゼ(アルスロバクター属由来、SAO−341)を東洋紡績株式会社(Toyobo Co.,Ltd.)から購入した。すべての酵素をさらに精製することなく使用した。PEG−NCO(Mw5000)をシアウォーター・ポリマーズ(Shearwater Polymers Inc.)(Huntsville、アラバマ州)から入手した。ハイポール2060Gプレポリマーをハンプシャー・ケミカル(Hampshire Chemical)(Lexington、マサチューセッツ州)から購入した。すべての他の試薬をシグマ・アルドリッチ・ケミカルズ(Sigma−Aldrich Chemicals)(St.Louis、ミズーリ州)から購入し、それらは最高純度で使用可能であった。
クレアチンアミジノヒドロラーゼのPEG化
PEG−NCOを、3mg/mLのクレアチンアミジノヒドロラーゼを含有する緩衝溶液(50mMリン酸塩、pH7.5)に室温で添加した。PEG−NCO/酵素の比を0/1から100/1に調節した。反応物を30分間混合してから、50mMリン酸塩緩衝液に対して4℃で一晩透析した(ドレヴォン(Drevon)ら、Biomacromolecules 2:764−771頁(2001年))。修飾後の酵素活性をエンドポイントアッセイを用いて測定した(下記)。
クレアチンアミジノヒドロラーゼを含有するポリウレタンヒドロゲルの合成
トルエンジイソシアネートをベースとするプレポリマーであるハイポールプレポリマー2060G(0.4g)を、クレアチンアミジノヒドロラーゼを含有する緩衝溶液(3.6gの50mMリン酸塩緩衝液、pH7.5)に添加した(プレポリマー1グラム当たり0〜100単位の酵素)。水性ポリマー溶液をゲル化が開始するまで計量ボート内で30秒間混合した。重合は極めて迅速であり、ゲル化は通常1分以内に完了した。
酵素修飾の特徴づけ
パースペクティブ・バイオシステムズ・ヴォイジャー・エリート(Perspective Biosystems Voyager Elite)MALDI−TOFを使用してMALDI−MS分析を実施した。加速電圧を線形モードで20kVに設定した。1μLのPEG化した酵素溶液(0.1mg/mL)を1μLのマトリックス溶液(0.5mLの水、0.5mLのアセトニトリル、1μLのトリフルオロ酢酸、および10mgのシナピン酸)と混合した。溶媒混合物の蒸発後、スペクトルを記録し、ウマチトクロームC(12,361.96Da)、ウサギ筋肉アルドラーゼ(39,212.28Da)およびウシ血清アルブミン(66,430.09Da)を用いて外部較正を行った。
クレアチンアミジノヒドロラーゼ活性に対するエンドポイントアッセイ
クレアチンの加水分解からの尿素形成を測定する比色アッセイを用い、クレアチンアミジノヒドロラーゼ活性を監視した(ツチダ(Tsuchida)およびヨダ(Yoda)、Clin.Chem.29:51−55頁(1983年))。酵素溶液(0.1mL)を、リン酸ナトリウム緩衝液(50mM、pH7.5)中の100mMクレアチンの混合物(0.90mL)とともに37℃で10分間インキュベートした。エールリッヒ試薬(ジメチルスルホキシド100mL+濃縮HCl15mLの中に2.0gのp−ジメチルアミノベンツアルデヒド)を含有する溶液2.0mLを添加することによって反応を停止した。溶液を室温で20分間インキュベートし、435nmでの吸光度を測定した。1単位を1分当たり基質1μモルの加水分解を触媒する酵素の量として定義した。
クレアチンアミジノヒドロラーゼ活性に対する酸素モニターアッセイ
酸素消費の初期速度についても、イエロー・スプリングス・インスツルメンツ(Yellow Springs Instruments)(Yellow Springs、オハイオ州)から入手したクラーク酸素電極を用いて37℃で測定した。酵素溶液(1μL)または酵素含有ポリマー(小片に切断した10〜100mg)を5.0mLの基質(50mMリン酸塩緩衝液中100mMクレアチン、pH7.5、少なくとも6U/mLのサルコシンオキシダーゼを含有)に添加することによって反応を開始した。測定前に、アッセイ溶液を大気中、37℃に平衡化しておいた。酸素消費を5〜10分間測定した。
天然およびPEG修飾クレアチンアミジノヒドロラーゼの熱安定性
天然およびPEG−クレアチンアミジノヒドロラーゼの熱不活性化を緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、2mM EDTA、pH7.5)中、37℃で監視した。全試料中の酵素濃度は0.08〜0.mg/mlであった。試料を定期的に取り出し、エンドポイントアッセイを用いて活性についてアッセイした。
固定化クレアチンアミジノヒドロラーゼの熱安定性
酵素ポリマー試料を小片に切断し、緩衝液(50mMリン酸塩、pH7.5)に添加し、37℃でインキュベートした。試料を定期的に取り出し、酸素電極を使用して酵素活性についてアッセイした。
クレアチンアミジノヒドロラーゼにおける銀の阻害
クレアチンアミジノヒドロラーゼ(1.0mg/mL)を硝酸銀(0〜1mM)とともに20mMトリス−HCl(pH7.5)中、室温でインキュベートした。試料を定期的に取り出し、エンドポイントアッセイを用いてアッセイした。クレアチンが銀を阻害するための競合阻害剤として作用するか否かを試験するため、硝酸銀をクレアチン溶液(20mMトリス緩衝液中、0〜100μMのAgNO)に添加した状態で上記のようにエンドポイントアッセイを実施した。インキュベーションの10分後、停止溶液(p−ジメチルベンズアルデヒド溶液)を添加した。対照実験は、硝酸銀が色の発現に対して全く作用を示さないことを示した。
クレアチンアミジノヒドロラーゼにおける銀の阻害を防止するための添加剤の使用
クレアチンアミジノヒドロラーゼ(1.0mg/ml)を、50mM EDTA、50mM EGTA、50mMメルカプトエタノール、20mMトリス、pH7.5の状態の50mM DTTまたは50mMシステインを含有する溶液中で作製した。硝酸銀を添加して最終濃度0〜100μMを得た。硝酸銀の添加後、溶液を5分間インキュベートさせ、エンドポイントアッセイを用いて残存活性を測定した。
クレアチンアミジノヒドロラーゼのUV−Vis吸収スペクトル
シェン(Shen)ら、J.Inorg.Biochem、95:124−130頁(2003年)に記載のように、UVスペクトルを測定した。要するに、クレアチンアミジノヒドロラーゼ(1mg/mL)を様々な濃度の硝酸銀(0〜100μM)を含有する20mMトリス(pH7.5)中に溶解させた。石英キュベット内で、酵素溶液のUV吸収スペクトルを230nmから300nmまで測定した。銀−酵素スペクトルから天然酵素(銀を含まない)のスペクトルを引くことによって差スペクトルを得た。
GNM分析に適する鋳型の選択
集合ダイナミクス(collective dynamics)のガウシアンネットワークモデル(Gaussian Network Model(GNM))(バハー(Bahar)ら、Folding Design 2:173−181頁(1997年))分析のため、パドマナバン(Padmanabhan)ら、Acta Crystallogr.Sect.D58(8):1322−1328頁(2002年)(PDBコード:IKPO)に記載のアクチノバチルス(Actinobacillus)クレアチナーゼの結晶構造を使用した。シュードモナス・プチダ(P.putida)クレアチナーゼ構造(PDBコード:ICHM)内のCMS分子をアクチノバチルスクレアチナーゼ構造と組み合わせることにより、CMS(クレアチン類似体)に結合したアクチノバチルスクレアチナーゼ構造のコンピュータモデリングを行った後、MOEパッケージ(Molecular Operating Environment、world wide web:chemcomp.com/Corporate_lnformation/MOE_Bioinformatics.html)を用いて標準エネルギーの最小化を行った。
B.結果
酵素の活性および安定性に対するPEG化の作用
クレアチンアミジノヒドロラーゼの活性および安定性に対する化学修飾の作用に関しては、PEG化はポリウレタンをベースとする固定化戦略における第1の工程を正確に再現する。このようにして酵素をPEG化した。クレアチンアミジノヒドロラーゼを反応性の高いPEGで高度に修飾することが可能であり、酵素活性の顕著な低下を伴うことがない。酵素の各単量体を平均5本のPEG鎖で修飾しても失活に至ったのは30%に過ぎなかった。
大部分の酵素活性を修飾後に保持したが、修飾酵素を緩衝液中、37℃で保存する場合、酵素安定性の顕著な低下を観察した(図9)。天然酵素において40日にわたって失われる活性が緩衝液中、37℃で40%未満であるが、修飾酵素は溶液中での安定性において顕著な低下を示した。クレアチンアミジノヒドロラーゼが固有の安定性が低いホモダイマーであることから(シュマン(Schumann)ら、Biol.Chem.374:427−434頁(1993年))、化学修飾によって比較的簡単にフォールディングされないような方法でタンパク質が修飾されるという可能性がある。PEG化により活性に対するポリウレタン固定化の効果が予測されることが多いが、固定化によるタンパク質の安定化がPEG化の効果とは著しく異なる可能性がある。
ポリウレタンポリマー中でのクレアチンアミジノヒドロラーゼの固定化
バイオポリマーを酵素濃度0〜100単位/gのポリマーを用いて作製した。酵素−ポリマーの比活性は酵素濃度に正比例した(図10)。これは、これらの条件下で測定される速度は拡散制御されるのではなく酵素反応速度を示すに過ぎないことを意味する(ヤマネ(Yamane)、Biotechnol.Bioeng.19:749−756頁(1977年))。ポリウレタンポリマー中でのクレアチンアミジノヒドロラーゼの平均の活性保持は28%であった。
明白な失活を全く示すことなく単一のゲル試料を8サイクルにわたり繰り返しアッセイすることにより、固定化ポリマーにおける再利用性を試験した(表1)。他のポリウレタンの化学的性質で見られるように、酵素はゲル内部で十分に固定化され、かつ酵素の欠損は全く観察されない(レジューヌ(Lejeune)およびラッセル(Russell)、Biotechnol Bioeng 51:450−457頁(1996年);レジューヌ(Lejeune)ら、Biotechnol Bioeng 54:105−114頁(1997年);ドレヴォン(Drevon)ら、Biotechnol Bioeng 79:785−794頁(2002年))。
酵素−ポリマー試料を緩衝液中、37℃でインキュベートし、アッセイ対象の試料を定期的に取り出すことにより、ポリマー中での酵素の保存安定性について測定した(図10)。興味深いことに、第1週目の保存期間中に重合酵素が観察された活性を再生可能なように増強させた。この活性面の増強がポリマーの諸特性上の変化に起因する可能性があるが、この種の作用はこれらのポリマー中の他の酵素の場合には観察されなかった。第1週目の後、酵素活性が減弱し始め、観察された酵素の失活速度はポリマー中の酵素の濃度に依存していた。より多くの酵素を含有するポリマーでは、非活性化において低速化を示した。それにもかかわらず、診断用バイオセンサーにおける使用にとって十分過ぎる程度に長い最大80日の期間にわたり、すべてのポリマー中で活性保持は顕著であった。明らかに、固定化酸素ではPEG化によって誘発される安定性の低下が観察されなかった。固定化時に限って酵素が固定された高次構造に「ロックされる(locked)」と仮定すると、これらのデータは安定性強化に関する直観的予測を支持している。
酵素活性に対する銀の作用
ポリウレタン−固定化酸素を、機能するセンサー内で使用する前にAg/AgClを含むアンペロメトリック電極に付けなければならない。銀イオンにおけるタンパク質と相互作用する既知の傾向を前提として(シャッファー(Schaffar)、Anal Bioanal Chem 372:254−260頁(2002年);米国特許第4,547,280号明細書)、銀イオンの酵素活性に対する作用について探索した。酵素が溶液から銀を除去するのに多大な時間がかかることになるため、もしあるセンサーが他のセンサーと直列に長期間使用されるとしたら、銀誘発性の不活性化は一層の関心事となる。
クレアチンアミジノヒドロラーゼにおける銀イオンによる阻害を試験するため、酵素を5〜100μMの硝酸銀とともにインキュベートし、残留するクレアチンアミジノヒドロラーゼ活性に対するアッセイを行った。銀はクレアチンアミジノヒドロラーゼに対する極めて有効な阻害剤であり、完全に酵素活性を阻害する。さらに、低濃度の銀は酵素を有効に不活性化する。但し実際には、銀濃度は酵素濃度と同程度である。
銀が競合阻害剤として作用しているか否かを判定するため、異なる濃度の銀および90mMのクレアチンを緩衝液に添加した。酵素(〜7μM)をこの溶液に直接添加し、10分後、系内の尿素の濃度を測定した(図11)。クレアチンが存在することで、酵素の阻害が遅延することはなかった。銀は活性部位以外の位置で結合している可能性が高く、そうでなければ高濃度の基質の存在によってその阻害活性が低下する。不活性化が可逆的でない点も注目に値するほど重要である。阻害された酵素の希釈によって活性が再生することはなく、さらにEDTAもしくはDTTのいずれかで一晩透析しても酵素が再活性化することはなかった。これは、銀が酵素に極めて強く結合しかつ解離しにくいことを示す。
酵素が臨床用バイオセンサー内の電極から放出された可能性がある種々の濃度の銀イオンによって有効に阻害されることから、銀による酵素阻害を防止するかまたは少なくとも遅延させる方法を開発することへの関心は高い。銀は多数の分子によって有効に除去され得る。EDTA、EGTA、DTT、メルカプトエタノール、システイン、イミダゾールおよびポリエチレンイミン(PEI)といった50mM溶液使用を、銀を隔離するのに用いた。銀イオンによる阻害を、チオール含有化合物(システイン、メルカプトエタノール、DTT)との予備インキュベーションによって有効に防止し、ほんの一部をPEIによって防止した(図12)。それ故、チオール含有化合物は、電極から浸出する銀イオンを除去するのに有効でかつ酵素の非活性化を防止するのに有用であり得る。
UV/Vis分光を用いて任意の主要な構造変化が銀の酵素への結合時に生じるか否かを判定した(図13)。銀の濃度の上昇に伴い、247nm付近での吸光度が増加することは明らかである。この観察されたピークは、配位子−金属間電荷移動(LMCT)バンドの形成に起因する可能性が高い。LMCTバンドは、クレアチンアミジノヒドロラーゼ中の配位子がAg(I)の金属中心に結合する場合に生じる電荷移動に起因する(シェン(Shen)ら、J Inorg Biochem 95:124−130頁(2003年))。ラマン分光を用いて、銀イオンがヒト血清アルブミン(HSA)中の硫黄原子と共有結合を形成することを示している(シェン(Shen)ら、上記、2003年)。Ag(I)は、ソフトルイス酸(soft Lewis acid)であることからソフトドナーの硫黄原子(参照)に対して高親和性を有するはずであり、それ故、クレアチンアミジノヒドロラーゼのシステイン残基と銀の間に強い相互作用が存在することを想定できる。
クレアチンアミジノヒドロラーゼ上のスルフヒドリル基の修飾により、完全な失活が誘発される(コル(Coll)ら、J Mol Biol 214:597−610頁(1990年)およびヨシモト(Yoshimoto)ら、J Biochem 79:1381−1383頁(1976年))。Cys残基のすべてが決して活性部位ではなくかつ触媒作用における既知の役割を全く有していないことから、これは興味深い(コル(Coll)ら、上記、1990年;ヘフケン(Hoeffken)ら、J Mol Biol 204:417−433頁(1988年))。Cys298のアルキル化によってこの残基が決して活性部位ではないとしても酵素が不活性化され、かつ失活の原因をアルキル化によって起こり得るドメイン運動の阻止に帰することが可能であり、それ故に酵素が所定の高次構造にロックされる。
酵素の集合ダイナミクスおよびシステイン残基の重要な役割
Cys残基およびその銀イオンとの相互作用がいかにクレアチンアミジノヒドロラーゼの機能や安定性に寄与し得るかをさらに検討するため、ガウシアンネットワークモデル(Gaussian Network Model)(GNM)(バハー(Bahar)ら、上記、1997年)を用いてタンパク質のダイナミクスについて検討した。GNMは、X線結晶学的実験から得られる温度(B−)因子(バハー(Bahar)、Folding Design 2:173−181頁(1997年);クンドゥ(Kundu)ら、83:723−732頁(2002年))、ならびにH/D交換の自由エネルギーコスト(バハー(Bahar)ら、Biochemistry 37:1067−1075頁(1998b))にほぼ一致したタンパク質の集合ダイナミクスを予測することが示されている弾性ネットワークモデルである。同アプローチにより、その関連周波数によってランク付けされた、高次構造運動(conformational motions)の一連の直交モードへの分解が可能になる。‘グローバル’運動とも称される最遅な周波数を有するモード(最遅モード)は、通常、分子全体を連動させる機能運動を示す(キタオ(Kitao)およびゴウ(Go)、Curr.Op.Struc.Biol.9(2):164−169頁(1999年);ミン(Ming)ら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 99:8620−8625頁(2002年);ハリログル(Haliloglu)およびバハー(Bahar)、「Proteins:Structure,Function and Genetics 37:654−667頁(1999年);バハー(Bahar)およびジェニガン(Jernigan)、J.MoI.Biol.281:871−884頁(1998年);バハー(Bahar)ら、Phys.Rev.Lett.80:2733−2736頁(1998年);バハー(Bahar)ら、J.Mol.Biol.285:1023−1037頁(1999年);タマ(Tama)およびサンジュアン(Sanejouand)、Protein Engineering 14:1−6頁(2001年))。他方では、最速モードは‘ローカル’運動を示し、初期のフォールディング/安定化過程に関与する個々の残基を示す(バハー(Bahar)ら、Phys.Rev.Lett.80:2733−2736頁(1998年);ラダー(Rader)およびバハー(Bahar)、Polymer 45(2):659−668頁(2004年))。GNMの主な有用性とは、分子ダイナミクスシミュレーションの範囲を超える大規模構造のダイナミクス(クレアチンアミジノヒドロラーゼ、N=804残基の二量体など)に対するその効率的な適用可能性である。
第1の試験として、GNMによって予測されたクレアチンアミジノヒドロラーゼ残基の平均二乗揺らぎ(mean−square fluctuations)が実験で得られたB因子と比較された(パドマナバン(Padmanabhan)ら、上記、2002年)(図13(a))。両方の単量体がほぼ同一の揺らぎ挙動を示すことから、一方の単量体のみについて結果を示す。単量体構造は、160個および240個の残基からなるN末端およびC末端の各々でN−ローブおよびC−ローブといった2つのローブからなる。N−末端は最大の揺らぎを示す。理論値と実験値がほぼ一致することで、GNMを用いた集団運動に関する更なる実験が支持される。パネルbは、平均二乗揺らぎが低下する順に赤から青へ色分けされた酵素のリボン図を示す。パネルCは、2つの単量体および基質類似体(CMS)の位置を示す。
次いで、運動のグローバルモードを用いて機能ダイナミクスに関する情報を推定した。図14は、酵素の最も代表的なグローバルモードにおける残基の移動度を示し、2つのローブ間の境界を有効に表示している。縦座標の目盛りは個々の残基の二乗変位である。ピークは最も移動度が高い領域を示し、極小はグローバルなヒンジ(または固定)領域を示し、その近傍では大きなサブストラクチャ(substructures)(ドメイン、サブユニットなど)の協奏的運動が起こる。(青丸によって示される)酵素の触媒活性に関与する残基は最小の揺らぎを示す。触媒部位近傍でのこの種の機械的拘束は、酵素活性の微調整および協同性に一致している(バーネット(Barlett)およびトーントン(Thornton)、J.MoI.Biol.324:105−121頁(2002年))。注目すべきことに、両方の鎖が同一のグローバルダイナミクスを示すが故に一様に配置されて基質に結合するとはいえ、基質類似体(CMS)はPDB構造内の2つの単量体に対して対称的に結合することはないが、鎖のうちの1本(単量体B)および(図14中の矢印によって示す)一部の触媒残基とより密に相互作用する。
図15中のパネル(B)は、単量体Bの色分けされたリボン図の場合と同じ結果を示す。図14の場合と同じ様式を用い、移動度領域を赤に色づけし、最も厳しく拘束された領域を青に色づけする。移動度が中間の領域を移動度が低下する順にオレンジ−黄−緑−シアンに色づけする。末端のローブは最大の振幅運動を示す。Cys60およびCys297は、いずれもC−ローブおよびN−ローブの各々の上の強く拘束されたヒンジ/固定領域内に位置する(図15(A))。特にCys297は、2つのローブ間の界面付近の高度に安定な中心領域内に存在し、ドメイン運動とサブドメイン運動を制御する二重の役割を果たす(主要なモードでのこの残基で観察された極小によって裏付けられる)。N−末端ドメインは、他方の鎖のC−末端ドメインにおける触媒ポケットが溶媒に暴露されかつ内部の基質を動員することを可能にする協調して動く蓋としての働きをする。A鎖に属するCys60は、基質を微調整し、さらに厳密に拘束されかつ高度な連携を示すダイナミクスによって区別される(パネルA中の最小のもの)。
図16は、触媒結合ポケットの拡大図を提供する。単量体B上の酸素原子であるGlu357のOεlおよびGlu261の0ε2は、CMSのグアニジン基において窒素原子と水素結合を形成し(図16)、それによってグアニジン基と生成されるサルコシン分子の間のペプチド結合切断が促進され得る。同様に、単量体A上の残基Cys60、Phe62およびArg64は、クレアチンの触媒化学反応を決定する最も重要な残基であるB−単量体His231に空間的に近くに位置する(コル(Coll)ら、J.MoI.Biol.214:597−610頁(1990年);パドマナバン(Padmanabhan)ら、上記、2002年)。His231は、(点線によって示す)基質と3つの水素結合を形成するが、任意の他のアミノ酸とは形成しない。Cys60上に硫化物原子(Sγ)が存在すれば、His231上の窒素Nδlと‘水素結合様の(Hydrogen−bond like)’相互作用が形成される可能性があり、そうであれば触媒的に強力な高次構造内でのHis231側鎖の安定化が促進される可能性がある。
GNMによって予測された高周波数モードから核のフォールディングが推定された。3つのシステイン残基の中で、Cys297は図16中のピークによって区別される。Cys297は、クレアチンアミジノヒドロラーゼにおける初期のフォールディング過程に関与する最も重要な残基であることが知られている。Cys249近傍でもピークが観察された。Cys249は3つのβシート(β9、β11およびβl2)からなるフォールディング核内に位置し、さらにC末端ローブのピタパン(pita bread)フォールド内の2つのαヘリックス(α7およびα8)の一部はフォールディング過程における単なる小構造(minor structure)の重要性を有している。さらに静電気分析から、Cys297が負に帯電したパッチに囲まれていることを見出した。それらのパッチは、銀イオンをCys297に他のシステインよりはむしろ優先的に動員すると思われ、それが構造と機能の両面で重要であることを見出した。銀のクレアチンアミジノヒドロラーゼに対する感受性を低下させるための1つの直観的アプローチがCys297周囲の負のパッチに関与する残基を変化させることであり得ると仮定される。また、Cys60がSerまたはThrに単一の変化をすると、Cys60の機能的特徴が維持される一方で銀イオンの攻撃の可能性が低下するはずである。
注目すべきことに、銀は低濃度であってもクレアチンアミジノヒドロラーゼと強く結合しかつ酵素機能を完全に阻害する。この一連の他の論文で報告されたように、クレアチニンバイオセンサーにとって必要な3酵素全部が銀によってある程度阻害され、それ故、銀による酵素の不活性化を防止するか遅延させる方法が必要とされる。
実施例III
ポリウレタンプレポリマーを使用したクレアチニンアミドヒドロラーゼの修飾および固定化
この実施例は、酵素クレアチニンアミドヒドロラーゼの化学修飾およびポリウレタンプレポリマーへの固定化について記載する。
A.材料およびプロトコル
クレアチニンアミドヒドロラーゼ(微生物CNH−311由来)、クレアチンアミジノヒドロラーゼ(アクチノバチラス属由来、CRH−211)およびサルコシンオキシダーゼ(アルスロバクター属由来、SAO−341)を東洋紡績株式会社(Toyobo Co.,Ltd.)から購入した。すべての酵素をさらに精製することなく使用した。PEG−SPA(Mw5000)をシアウォーター・ポリマーズ(Shearwater Polymers Inc.)(Huntsville、アラバマ州)から入手した。ハイポール2060Gプレポリマーをハンプシャー・ケミカル(Hampshire Chemical)(Lexington、マサチューセッツ州)から購入した。すべての他の試薬をシグマ・アルドリッチ・ケミカルズ(Sigma−Aldrich Chemicals)(St.Louis、ミズーリ州)から購入し、それらは最高純度で使用可能であった。
クレアチニンアミドヒドロラーゼのPEG化
PEG−SPAを3mg/mLのクレアチンアミジノヒドロラーゼを含有する緩衝溶液(50mMリン酸塩、pH7.5)に室温で添加した。PEG−SPA対酵素の比を0/1から100/1に調節した。反応混合物を30分間混合してから、50mMリン酸塩緩衝液に対して4℃で一晩透析した(12000MWCO)(ドレヴォン(Drevon)ら、Biomacromolecules 2:764−771頁(2001年))。修飾後の酵素活性をエンドポイントアッセイを用いて測定した。
クレアチニンアミドヒドロラーゼを含有するポリウレタンの合成
トルエンジイソシアネートをベースとするプレポリマーであるハイポールプレポリマー2060G(0.4g)を、クレアチニンアミドヒドロラーゼを含有する緩衝溶液(3.6gの50mMリン酸塩緩衝液、pH7.5)に添加した(プレポリマー1グラム当たり0〜150単位の酵素)。水性ポリマー溶液をゲル化が開始するまで計量ボート内でスパチュラを使用して30秒間激しく混合した。重合は極めて迅速であり、ゲル化は通常1分以内に完了した。
酵素修飾の特徴づけ
パースペクティブ・バイオシステムズ・ヴォイジャー・エリート(Perspective Biosystems Voyager Elite)MALDI−TOFを使用してMALDI−MS分析を実施した。加速電圧を線形モードで20kVに設定した。1μLのPEG化した酵素溶液(0.1mg/mL)を1μLのマトリックス溶液(0.mLの水、0.5mLのアセトニトリル、1μLのトリフルオロ酢酸、および10mgのシナピン酸)と混合した。溶媒混合物の蒸発後、スペクトルを記録し、ウマチトクロームc(12,361.96Da(平均))、ウサギ筋肉アルドラーゼ(39,212.28Da(平均))およびウシ血清アルブミン(66,430.09Da(平均))を用いて外部較正を行った。
エンドポイントアッセイを用いたクレアチニンアミドヒドロラーゼ活性の測定
クレアチニンアミドヒドロラーゼ活性の測定は、ヤッフェ(Jaffe)反応に基づく(ツチダ(Tsuchida)およびヨダ(Yoda)、Clin.Chem.29:51−55頁(1983年))。酵素溶液(0.1mL)を、mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)中の100mMクレアチンの混合物(0.90mL)とともに37℃で10分間インキュベートした。10分後、クレアチン/酵素混合物(0.1mL)を0.5M水酸化ナトリウム(1.9mL)および1%ピクリン酸(1.0mL)に添加した。この溶液を室温で20分間インキュベートし、520nmでの吸光度を測定した。1単位を1分当たりクレアチニン1μモルの形成を触媒する酵素の量として定義した。
酸素モニターアッセイを使用したクレアチニンアミドヒドロラーゼ活性の測定
酸素消費の初期速度についても、イエロー・スプリングス・インスツルメンツ(Yellow Springs Instruments)(Yellow Springs、オハイオ州)から入手したクラーク酸素電極を用いて37℃で測定した。酵素溶液(1μL)または酵素含有ポリマー(小片に切断した10〜100mg)を5.0mLの基質(50mMリン酸塩緩衝液中1.0mMクレアチニン、pH7.5、少なくとも18U/mLのサルコシンオキシダーゼおよび10U/mLのクレアチンアミジノヒドロラーゼを含有)に添加することによって反応を開始した。測定前に、アッセイ溶液を大気中、37℃に平衡化しておいた。酸素消費を5〜10分間測定した。
天然およびPEG修飾クレアチニンアミドヒドロラーゼの熱安定性
天然およびPEG−クレアチニンアミドヒドロラーゼの熱不活性化を緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、2mM EDTA、pH7.5)中、37℃で監視した。全試料中の酵素濃度は0.01〜0.02mg/mlであった。試料を定期的に取り出し、エンドポイントアッセイを用いて活性についてアッセイした。
固定化したクレアチニンアミドヒドロラーゼの熱安定性
酵素ポリマー試料を小片に切断し、緩衝液(50mMリン酸塩、pH7.5)に添加し、37℃でインキュベートした。試料を経時的に取り出し、酸素電極を用いて酵素活性についてアッセイした。
クレアチニンアミドヒドロラーゼにおける銀の阻害
銀イオンのクレアチニンアミドヒドロラーゼに対する作用を測定するため、57μg/mLの凍結乾燥酵素を硝酸銀(0〜mM)とともに20mMトリス−HCl(pH7.5)中、室温でインキュベートした。試料を定期的に取り出し、エンドポイントアッセイを用いてアッセイした。
センサーチップの固定化酸素の安定性に対する作用
5mLのWheatonバイアル内に平面センサーを有する場合(2つの平面センサー)と有しない場合で、1mLの50mMリン酸塩緩衝液(pH5)中で膜(20mg、水和)を保存することにより、3酵素含有ポリウレタン膜の相対活性について試験した。膜を取り出し、1mMクレアチニンを用い、酸素モニターを使用してアッセイした。酸素消費の速度を測定し、膜を交換し、翌日再びアッセイした。3酵素ポリウレタン膜を、50mMピロール−2−カルボン酸を含有する50mMリン酸塩緩衝液(pH7.8)中の、1000単位/gのサルコシンオキシダーゼおよびクレアチンアミジノヒドロラーゼのプレポリマーと2500単位/gのクレアチニンアミジノヒドロラーゼのプレポリマーとを使用して作製した。
バイオセンサーにおける銀の阻害の防止
酵素を含有するポリウレタン膜層をアンペロメトリックセンサーチップ上部にキャストし、約25μmの湿潤ポリマーの厚みを得ることにより、クレアチニンバイオセンサーを作製した。センサーチップをセンサー体内に設け、ストップフロー設定を使用して試験した。クレアチニンの酵素分解から生成された過酸化水素をBAS Voltammograph CV−37を使用して電流的に測定した。50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)を使用し、ベースラインの読取り値を測定した。1mMクレアチニンに対する応答を、センサー体を通して約1mLのクレアチニン溶液を注入することによって測定した。2分後にアンペロメトリック応答の増大を測定した。センサーが試験対象でなかった場合、センサーを50mMリン酸塩緩衝液中、37℃で保存した。塩化銀の基準電極からの浸出を防止するため、酢酸セルロース溶液(アセトン中5重量%)で電極表面をスポッティングすることによって一部のセンサーを作製し、酵素−膜層を塗布する前に空気乾燥状態にした。
B.結果
酵素の活性および安定性に対するPEG化の作用
クレアチニンアミドヒドロラーゼの活性および安定性に対する化学修飾の作用について測定するため、PEG化試験を実施した。PEGのNHSエステル(PEG−SPA)をPEG−SPAの異なる比で使用してPEG修飾を行い、酵素粉末を凍結乾燥させた。PEG−SPAによって酵素を容易に修飾することは可能であり(図17)、酵素の1分子当たり平均で5つのPEGを結合させた状態でも活性は30%低下するだけであった。
修飾後における37℃、緩衝液中での酵素の安定性を観察した(図18)。37℃の溶液中で観察した天然酵素と修飾酵素の間の差異は極めてわずかであった。37℃での天然酵素の半減期の6日は、もし溶液中に2mMのEDTAが含有される場合には2日に低下した。クレアチニンアミドヒドロラーゼがpH7.5および37℃での試験対象として最も不安定な酵素であることから、戦略を適用して酵素を安定化させてもよい。
ポリウレタンポリマー中でのクレアチニンアミドヒドロラーゼの固定化
酵素濃度0〜150U/gのポリマーによってポリマーを作製し、ポリマーは酵素濃度の上昇に伴って比活性の線形増加を示した(図19)。これらの条件下で測定した速度が拡散制御されることはなく、酵素反応速度のみを示すことをこれは保証している(ヤマネ(Yamane)、1977年)。
明白な失活を全く示すことなく単一のゲル試料を8サイクルにわたり繰り返しアッセイすることにより、固定化ポリマーにおける再利用性について試験した(図20)。他のポリウレタンの化学的性質で見られるように、酵素はゲル内部で十分に固定化され、かつ酵素の欠損は全く観察されない(レジューヌ(Lejeune)およびラッセル(Russell)、Biotechnol Bioeng 51:450−457頁(1996年);レジューヌ(Lejeune)ら、Biotechnol Bioeng 54:105−114頁(1997年);ドレヴォン(Drevon)ら、Biotechnol Bioeng 79:785−794頁(2002年))。
酵素−ポリマー試料を緩衝液中、37℃でインキュベートし、定期的にアッセイ対象の試料を取り出すことにより、ポリマー中での酵素の熱不活性化について測定した(図21)。天然酵素は緩衝液中、37℃で速やかに失活し、半減期が6日である。しかし90日後、固定化酸素は緩衝液中、37℃で50%を超える活性保持を示した。活性保持におけるこの顕著な増強は、クレアチニンバイオセンサーの半減期の増加を保証するのに必須であろう。
銀の酵素活性に対する作用
酵素がAg/AgClを含むアンペロメトリック電極に付けられることから、銀イオンの酵素活性に対する作用について探求した。従来より基準電極からの銀イオンによる酵素の阻害が注目されており(シャッファー(Schaffar)、Anal Bioanal Chem 372:254−260頁(2002年);米国特許第4,547,280号明細書)、銀イオンが酵素に極めて強く結合して失活を招く可能性があることからそうであれば十分に評価されるべきである。酵素が溶液から銀を除去するのに多大な時間を有することになるため、もしあるセンサーが他のセンサーと直列に長期間使用されることになる場合、これは一層の関心事となる。
銀イオンによる阻害についてクレアチニンアミドヒドロラーゼを試験するため、1nM〜mMの硝酸銀を酵素(<2μM)の溶液に添加し、様々な期間インキュベートした。次いで、酵素を溶液から取り出し、残留クレアチニンアミジノヒドロラーゼ活性についてアッセイした(図22)。明らかに、銀はクレアチニンアミジノヒドロラーゼの高濃度での有効な阻害剤である。酵素阻害は即時的であるように見られ、5分間〜1時間のインキュベーション時間においてほとんど効果が変化することはない。
溶液中での3酵素含有ポリマーの安定性
(場合によってウエハーに付けた)3酵素含有ポリマーの安定性を試験するため、3酵素ポリマーを作製し、緩衝液中に37℃で保存した。センサーに付けた酵素ポリマーは、酵素安定性試験において使用される場合よりも最大で20倍多くの酵素を含有した。酵素含有ポリマーを1000単位/gのサルコシンオキシダーゼおよびクレアチンアミジノヒドロラーゼのプレポリマーと2500単位/gのクレアチニンアミドヒドロラーゼのプレポリマーを用いて作製した。ゲルを1mMのクレアチニンに添加した場合、酵素−ポリマーを定期的に取り出し、酸素モニターを使用して酸素消費についてアッセイした(図23)。緩衝液中、37℃で11日後、バイオポリマーの活性低下は50%に過ぎなかった。明らかに、3酵素ポリマーはクレアチニンを利用しかつ酸素を消費するのに極めて有効である。
酵素ゲルの試料を、アンペロメトリックセンサー用ウエハーを含むバイアルに添加する場合、不活性化がより迅速に生じた(図23)。この不活性化は、ウエハー上に銀イオンが存在することによって生じやすい。実際、AgClを含まずに印刷されたセンサーチップを用いた同様の実験では、インキュベーションによって不活性化の増大が全く生じなかった。3酵素の銀イオンに対する感受性を示すデータおよび塩化銀電極による酵素−ポリマーの不活性化を示す浸漬試験に基づくと、溶液中からの遊離銀を防止することは明らかに重要である。
アンペロメトリッククレアチニンセンサーおよび銀に対する安定化
酵素−ポリウレタン膜を使用して3酵素バイオセンサーを試験するため、酵素−ポリマーをウエハーの電極に直接付けることによってアンペロメトリッククレアチニンセンサーを作製した。センサーをセンサー筺体内に設け、ストップフロー装置を使用して安定性について試験した。センサーが試験対象でない場合、センサーを37℃(湿性)で保存した。センサー−ウエハーに直接付けた酵素−ポリマーの活性が速やかに低下する一方(図24)、溶液中に保存した酵素−ポリマーが活性を保持する(図23中に見られる)ことが判明した。この活性低下は、センサーを試験するか否かまたは試験しないで保存するか否かに関係なく生じた(過酸化水素の形成が非活性化の原因ではないことを示している)。
電極からの銀浸出が不活性化の原因であり得ることが明白であることから、電極上部に酢酸セルロースのカバー膜を用いて電極を作製した。酢酸セルロース膜を有するセンサーでは半減期が顕著に改善していた(図24)。さらにより優れた膜の設計または銀を含まない基準電極の設計により、これらのセンサーの使用寿命がさらに改善し得る。
本発明をその特定の実施形態と関連させて記載している一方、上記を踏まえると多数の選択肢、変更、および変形が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、本発明の趣旨および幅広い範囲の枠内に収まる、かかる選択肢、変更、および変形のすべてを包含することを意図している。
本発明の開示内容を理解するかまたは完成させるのに必要な範囲に至るまで、本明細書において記載されるあらゆる出版物、特許、および特許出願は、あたかも各々が個別に十分に援用されるように、その全体が同程度に明示的に参照により本明細書に援用される。
pH7.5(黒丸)およびpH8.5(黒四角)でPEG−NCOを使用して修飾されたPEG化されたMSOXの活性保持を示す。 阻害剤の存在下(イソシアネート対アミンの比が10:1(塗りつぶし)および10:1(白))、PEG化後でのMSOXの活性保持を示す。阻害剤濃度は50mMであった。 37℃で結合されたPEGの数の関数としてのサルコシンオキシダーゼの安定性を示す。天然酵素(白四角);結合された1つのPEG(黒四角);結合された2つのPEG(黒丸)。 酵素含量の関数として、MSOXを含有するポリウレタンの相対活性を示す。 MSOXを含有するポリウレタンヒドロゲルの再利用性を示す。 サルコシンオキシダーゼのポリウレタンヒドロゲルからの浸出を示す。1mgのMSOX/gポリマー(黒三角);2mgのMSOX/gポリマー(白四角)。 緩衝液中、37℃で保存されたMSOXを含有するポリウレタンヒドロゲルの安定性を示す。第1日経過後に速度を酸素消費の速度に正規化した。天然酵素(黒丸);固定化酸素(白丸)。 サルコシンオキシダーゼ活性のイオン誘発性の不可逆阻害を示す。インキュベーション時間:5分(黒丸);1時間(白四角);3時間(黒三角);5時間(白丸);21時間(黒四角)。 37℃で結合されたPEGの数の関数としてのクレアチンアミジノヒドロラーゼの安定性を示す。天然酵素(黒菱形);結合された1つのPEG(黒三角);結合された3つのPEG(黒丸);結合された5つのPEG(黒四角)。 緩衝液中、37℃で保存されたクレアチンアミジノヒドロラーゼを含有するポリウレタンヒドロゲルの安定性を示す。第1日経過後に速度を酸素消費の速度に正規化した。天然酵素(白丸);固定化酸素:10単位/gのポリマー(黒三角);50単位/gのポリマー(黒四角);100単位/gのポリマー(黒丸)。 溶液中でのクレアチンアミジノヒドロラーゼの銀誘発性の非活性化を示す。インキュベーション時間:5分(黒丸);15分(黒四角)。 クレアチンアミジノヒドロラーゼの銀誘発性の不活性化の保護について示す。 クレアチナーゼ中の残基の揺らぎを示す。予測によるB−因子(GNMによる;青色で示される)と実験から得たB−因子(X線結晶学;赤色)の比較。 クレアチナーゼ中の残基の揺らぎを示す。赤色の最も柔軟性が高い領域(パネルa中のピーク)および青色の最も柔軟性が低い領域(極小)を示す単量体の色分けされたリボン図。 リガンドに対する単量体AおよびBの相対位置を図示するリボン図。 クレアチナーゼ二量体の主要なグローバルモードにおける移動度の分布を示す。(点線によって分離された)両方の単量体において、青丸によって触媒残基のPhe62、Arg64、His231、Tyr257、Glu261、Arg334およびGlu357が示され、かつオレンジ四角によってCys60、Cys249およびCys297が示される。赤矢印は、検討された結晶構造におけるCMSを調整する触媒残基を示す。 パネル(A)は、グローバル運動中のクレアチナーゼ残基の移動度を図示する色分けされたリボン図を示す。移動度が高まる順に青色−緑色−黄色−オレンジ色−赤色が用いられる。クレアチン類似体のCMSがスペースフィリングの表現で示される。黄矢印は単量体B上の(ボールアンドスティックで示される)3つのシステイン、白矢印は単量体A上のCys60を示す。CMSおよびシステイン中の原子がCPK様式によって色付けされる。パネル(B)は、活性部位近傍でのダイナミクスを示す。クレアチン類似体のCMSおよび主要な触媒残基がボールアンドスティックで示される。触媒残基の側鎖およびそれらに関連した骨格(リボン)がそれらのグローバルな移動度によって色付けされる(パネルaと同じで、明確にするために異なる観点から示される)。水素結合が点線で示される。触媒電子移動の間におけるペプチド結合切断の位置が白矢印によって示される。CMSのグアニジン基において窒素原子と水素結合を形成するGlu261およびGlu357の移動度が中程度であることにより、ペプチド結合切断が促進され得る。Phe62およびArg64は、他の鎖からの触媒ポケットに連結する。 パネル(A)は高周波モードにおける揺らぎを示す。(残基の種類および番号によって標識された)ピークは、最高周波数振動に支配されるエネルギーの局在化の中心を示す。Cys60、Cys249およびCys297は赤丸によって示される。Cys297での最高ピークは、この残基がフォールディング/安定性に大きく寄与することを示す。パネル(B)は、クレアチナーゼの結晶構造上にマッピングされたものと同一の結果を示す。単量体Bのα−炭素のトレースは黒色および単量体Aのそれは灰色で示される。パネル(a)中のピーク残基の側鎖は、ボールアンドスティックで示され、赤色(最高ピーク)または黄色(中間ピーク)で色付けされる。CMSはCPK様式によって色付けされる。発明者らは単量体A中のS173、C249およびL266が、フォールディング核を示す空間的に密な接触状態を形成することに注目している。 共有結合された平均の数のPEG鎖の関数として、PEG化されたクレアチニンアミドヒドロラーゼの活性保持を示す。 37℃で結合されたPEGの数の関数として、クレアチニンアミドヒドロラーゼの安定性を示す。天然酵素(黒丸);結合された1つのPEG(黒四角);結合された2つのPEG(黒三角);結合された3つのPEG(白丸);結合された4つのPEG(白三角);結合された5つのPEG(白四角)。 酵素含量の関数として、クレアチニンアミドヒドロラーゼを含有するポリウレタンの相対活性を示す。 クレアチニンアミドヒドロラーゼを含有するポリウレタンゲルの再利用性を示す。 緩衝液中、37℃で保存されたクレアチニンアミドヒドロラーゼを含有するポリウレタンヒドロゲルの安定性を示す。第1日経過後に速度が酸素消費の速度に正規化された。天然酵素(黒丸);固定化酸素(白丸)。 溶液中でのクレアチニンアミドヒドロラーゼの銀イオン誘発性の非活性化を示す。インキュベーション時間:5分(白丸);1時間(黒四角)。 平面センサーを含む場合(黒四角)と含まない場合(黒丸)での、50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)中、37℃で保存された3酵素を含有するポリウレタン膜の安定性を示す。 緩衝液中、37℃で保存された3酵素電極の活性保持を示す。酢酸セルロースのカバー膜を含む場合(白四角)と含まない場合(黒丸)に電極が作製された。

Claims (25)

  1. 生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための複数回使用可能な3酵素バイオセンサーを作製する方法であって、前記バイオセンサーが複数の固定化酸素を含み、該方法が、前記バイオセンサーに前記複数の固定化酸素を含有する酵素−ポリマー組成物を付ける工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記複数の固定化酸素が、クレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼおよびサルコシンオキシダーゼのうちの少なくとも2種を含有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記酵素が、酵素−ポリマー組成物中に同時に固定化されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記酵素が、前記センサーに同時に付けられることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 前記酵素が、架橋、共有結合またはマトリックス封入によって固定化されることを特徴とする請求項2記載の方法。
  6. 前記酵素が共有結合によって固定化されることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 酵素単量体当たり1もしくは複数のポリエチレングリコール(PEG)鎖を結合させることによって前記酵素を化学的に修飾する初期工程をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 前記修飾の前に、前記サルコシンオキシダーゼを修飾の間の不活性化を防止するのに有効な量の阻害剤と接触させることを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 前記阻害剤が、ピロール−2−カルボン酸または(メチルチオ)酢酸であることを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. 前記ポリマーが、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、酢酸ビニル共重合体、ナイロン、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、プロピオン酸セルロース、エチレン/アクリル酸共重合体、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、アクリルフィルム、ポリスチレンおよびポリフッ化ビニルより成る群から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  11. 前記酵素−ポリマー組成物がポリウレタンを含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
  12. 前記バイオセンサーが、少なくとも1つの作用電極、少なくとも1つの基準電極および少なくとも1つの対向電極を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  13. 前記酵素−ポリマー組成物が、前記作用電極、前記基準電極および前記対向電極に付けられることを特徴とする請求項12記載の方法。
  14. 前記基準電極がAg/AgCl電極であることを特徴とする請求項12記載の方法。
  15. 前記基準電極が前記基準電極から発せられる銀イオンの拡散を制限する材料で覆われ、それにより前記銀イオンと前記酵素の間の接触を防止することを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. 請求項1記載の方法によって作製された、生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための複数回使用可能な3酵素バイオセンサー。
  17. 請求項11記載の方法によって作製された、生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための複数回使用可能な3酵素バイオセンサー。
  18. 請求項15記載の方法によって作製された、生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための複数回使用可能な3酵素バイオセンサー。
  19. 酵素−ポリマー組成物の作製方法であって、
    (a)酵素単量体当たり1もしくは複数のポリ(エチレングリコール)(PEG)鎖を結合させることにより、(1)クレアチニンアミドヒドロラーゼ、(2)クレアチンアミジノヒドロラーゼおよび(3)サルコシンオキシダーゼのうちの少なくとも1種を含む複数種の酵素を化学的に修飾し、ここで、該修飾の前に前記サルコシンオキシダーゼを修飾の間の不活性化を防止するのに有効な量の阻害剤と接触させる、工程と、
    (b)重合を可能にする条件下で前記複数の修飾酵素を含有する溶液をポリマー溶液と接触させ、前記酵素が共有結合により固定化されることによって酵素−ポリマー組成物が形成される、工程とを含むことを特徴とする方法。
  20. 前記阻害剤が、ピロール−2−カルボン酸または(メチルチオ)酢酸であることを特徴とする請求項19記載の方法。
  21. 前記ポリマーが、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、酢酸ビニル共重合体、ナイロン、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、プロピオン酸セルロース、エチレン/アクリル酸共重合体、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、アクリルフィルム、ポリスチレンおよびポリフッ化ビニルより成る群から選択されることを特徴とする請求項19記載の方法。
  22. 前記酵素−ポリマー組成物がポリウレタンを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
  23. 請求項19記載の方法によって作製された酵素−ポリマー組成物。
  24. 請求項19記載の酵素−ポリマー組成物を含む、生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための複数回使用可能な3酵素バイオセンサー。
  25. 請求項22記載の酵素−ポリマー組成物を含む、生物学的液体中のクレアチニンのアンペロメトリック測定のための複数回使用可能な3酵素バイオセンサー。
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