JP7011906B2 - クレアチニンセンサ - Google Patents
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Description
[1]検体中のクレアチニンを定量するためのセンサであって、
内部に配置された2つ以上の電極を含む反応部と、
前記反応部に連通し、前記反応部に検体を流入させるキャピラリー部を含み、
前記2つ以上の電極のうち、1つ以上の電極上には、クレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、サルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよびポリマー結合メディエーターを含む試薬層が形成されており、クレアチナーゼのユニット数がクレアチニナーゼのユニット数の4倍以上である、検体中のクレアチニンを定量するためのセンサ。
[2]前記キャピラリー部の高さが150μm以上である、[1]に記載のセンサ。
[3]前記2つ以上の電極が作用極および対極である、[1]または[2]に記載のセンサ。
[4]前記2つ以上の電極が作用極、参照極および対極である、[1]または[2]に記載のセンサ。
[5]前記参照極が銀塩化銀電極である、[4]に記載のセンサ。
[6]メディエーターがフェロシアン化合物である、[1]~[5]のいずれかに記載のセンサ。
[7]ポリマーがポリビニルイミダゾールである、[1]~[6]のいずれかに記載のセンサ。
[8][1]~[7]のいずれかに記載のセンサに検体を導入する工程、
電極に電位を印加して電流を測定する工程、および
電流値からクレアチニン濃度を算出する工程、
を含む、検体中のクレアチニンの定量方法。
[9]電流の測定時間が5分未満である、[8]に記載のクレアチニンの定量方法。
[10]前記検体は血液である、[8]または[9]に記載のクレアチニンの定量方法。[11][1]~[7]のいずれかに記載のセンサと、
当該センサへの電位印加を制御する、制御部と、
当該センサへの電位印加により得られる、電流を検出する、検出部と、
前記電流の値からクレアチニン濃度を算出する、演算部と、
前記算出されたクレアチニン濃度を出力する出力部と、
を含む、クレアチニン測定装置。
本発明のクレアチニンセンサは、
内部に配置された2つ以上の電極を含む反応部と、
前記反応部に連通し、前記反応部に検体を流入させるキャピラリー部を含み、
前記2つ以上の電極のうち、1つ以上の電極上には、クレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、サルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよびポリマー結合電子メディエーターを含む試薬層が形成されており、クレアチナーゼのユニット数がクレアチニナーゼのユニット数の4倍以上であることを特徴とする。
以下、それぞれの構成要素について説明する。
本発明のクレアチニンセンサは、内部に配置された2つ以上の電極を含む反応部を有するが、作用極(酵素電極)と対極を含む2電極系でもよいし、作用極と対極に加えて、参照電極を含む3電極系でもよい。
作用極や対極などの電極は、導電性のある素材であれば特に制限されないが、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、ルテニウム(Ru)およびパラジウム(Pd)のような金属材料、或いはグラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン、メソポーラスカーボンなどのカーボンに代表される炭素材料を用いて形成することができる。なお、対極や参照電極は銀/塩化銀電極とすることもできる。
前記電極のうち、少なくとも1つの電極、すなわち、少なくとも作用極上には、クレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、サルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよびポリマー結合電子メディエーターを含む試薬層が設けられている。
Creatinine+ H2O → Creatine・・・(1)
Creatine + H2O → Sarcosine + Urea・・・(2)
Sarcosine + O2 + H2O → Glycine + HCHO + H2O2・・・(3)
H2O2 + 2H+ +2PVI[Fe(CN)5]3- → 2H2O + 2PVI[Fe(CN)5]2-・・・(4)
PVI[Fe(CN)5]2- + e- → PVI[Fe(CN)5]3-・・・(5)
ナーゼは上記の反応(1)を触媒できる限り由来などは特に制限されないが、例えば、微生物由来のクレアチニナーゼを使用できる。クレアチニナーゼは市販されている酵素を使用することもできる。
クレアチニナーゼの使用量は、電極上の試薬層の単位表面積(1mm2)当たり、好まし
くは0.1~20U、より好ましくは0.2~2.0Uである。
クレアチナーゼの使用量は、クレアチニナーゼのユニット数の4倍以上とする。本発明のクレアチニンセンサはエンドポイントで反応させるので、反応の進行にともない基質量が少なくなるとクレアチニナーゼの逆反応が無視できなくなる。そのため、クレアチニナーゼの反応生成物であるクレアチンの蓄積を防ぐためクレアチナーゼを十分量加えることが重要である。クレアチナーゼの添加量は、具体的には、電極上の試薬層の単位表面積(1mm2)当たり、好ましくは0.6U~120U、より好ましくは1.2U~12Uである。
に制限されないが、例えば、微生物由来のサルコシンオキシダーゼを使用できる。サルコシンオキシダーゼは市販されている酵素を使用することもできる。サルコシンオキシダーゼの使用量は、クレアチニナーゼと同程度であればよいが、具体的には、電極上の試薬層の単位表面積(1mm2)当たり、好ましくは0.01U~20U、より好ましくは0.02U~2.0Uである。
電子メディエーターは、ペルオキシダーゼによる過酸化水素の還元反応と共役して酸化され、かつ、電極から電子を受け取って再還元される物質であればよいが、例えば、酵素電極で電子メディエーターとして使用される、フェリシアン化合物、フェロセン、フェロセン誘導体、ベンゾキノン、キノン誘導体およびオスミウム錯体などが挙げられる。この中では、フェリシアン化カリウムなどのフェリシアン化合物がより好ましい。
電子メディエーターはポリマーと結合させて用いる。これにより、電子メディエーターがペルオキシダーゼの反応に選択的に利用され、サルコシンオキシダーゼの反応には利用されないため、精度よく測定が可能である。なお、電子メディエーターとポリマーとの結合は化学結合が好ましい。
ポリマーとしては、例えば、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ポリビニルピリジンなど
のビニル系ポリマーが使用できるが、ポリビニルイミダゾールが好ましい。
非特許文献1には、ポリビニルイミダゾール結合フェリシアン化合物(PVI[Fe(CN)5])が開示されており、電子メディエーターとポリマーとの結合は、例えば、非特許文献1の方法を参考にして行うことができる。
試薬層は、前記酵素およびポリマー結合電子メディエーターを含むが、これらに加えてバ
インダーや架橋剤を含有させてもよい。
試薬層に使用することのできるバインダーとしては、例えば、ブチラール樹脂系、ポリエステル樹脂系などの樹脂バインダーを使用してもよいし、再表2005/043146に開示された層状無機化合物を使用することもできる。
また、架橋剤としては、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)、グルタルアルデヒドが挙げられる。
界面活性剤としては、Triton X-100、ドデシル硫酸ナトリウム、ペルフルオ
ロオクタンスルホン酸またはステアリン酸ナトリウムやアルキルアミノカルボン酸(またはその塩)、カルボキシベタイン、スルホベタインおよびホスホベタイン等が挙げられる。
して、前記貫通孔20が、検体を毛管現象により吸入するための空気孔となる。
まず、図1(A)に示すように、基板10上にリード部11aを有する対極11、リード部12aを有する作用極12およびリード部13aを有する参照極13からなる電極系を形成する。
検体はクレアチニンを含む検体であれば特に制限されないが、生体由来の検体が好ましく、血液、尿などが挙げられる。
7は、前述のようにキャピラリー構造となっており、その他端に対応するカバー19には空気孔20が設けられているため、毛管現象によって前記検体が内部に吸引される。吸引された前記検体は、検出部15の作用極12上に設けられた試薬層16表面に達する。そして、表面に達した検体中のクレアチニンは、試薬層16中のクレアチニナーゼと反応し、一連の酵素反応が進行する。
次に、図面を用いて、本発明のクレアチニンセンサを備えた測定装置の一態様について説明する。ただし、本発明のクレアチニンセンサを備えた測定装置は以下の態様には限定されない。
クレアチニンセンサは、図1に示すように、以下の手順で作製した。まず、図1(A)に示すように、絶縁性基板10として、PET製基板(長さ350mm、幅350mm、厚み250μm)を準備し、その一方の表面に、スクリーン印刷により、導電性カーボンインクでリード部をそれぞれ有する対極11、作用極12および参照極13からなるカーボン電極対を形成した。さらに参照極13上にスクリーン印刷により、銀塩化銀ペーストを印刷した。
まず、クレアチニナーゼ77.4mg/mLを1.0μL(0.38U)、クレアチナーゼ963mg/mLを10μL(ユニット数2.6U)、サルコシンオキシダーゼ138
mg/mLを1μL(ユニット数0.047U)、ペルオキシダーゼ64.9mg/mLを1μL(0.13U)およびポリマー結合電子メディエーターPVI[Fe(CN)5]20μLを添加し、さらに架橋剤PEGDGE(1/10希釈)を2μLを添加して試薬層作製用調製液と
した。
各濃度(0、0.5、1.0または2.0mM)のクレアチニンを含む、全血検体を調製した。
図4に示すように、クレアチニンと応答電流値には相関がみられ、本発明のクレアチニンセンサを用いることにより、微量の検体からでも精度よくクレアチニンが定量できることが分かった。
センサにおけるスペーサーの厚さが測定結果に与える影響について検討を行った。
上記(1)と同様にして試薬層作製用調製液を調製したが、ここでは、酵素として、クレアチニナーゼは添加せず、クレアチナーゼとサルコシンオキシダーゼとペルオキシダーゼのみを加え、試料にサルコシンを使用して評価を行った。
また、センサについては、図1の手順でセンサを作成するに当たり、スペーサーの厚さを150μmまたは300μmの2種類用意した。これにより、スペーサーの厚さを150μmとした場合はキャピラリーの断面積は0.36mm2となり、体積は2.16mm3となり、スペーサーの厚さを300μmとした場合はキャピラリーの断面積は0.72mm2となり、体積は4.32mm3となる。
この2種類のセンサを使用して、0、0.5、1または2mMのサルコシンを含む試料を供給して電流測定を行った(0V、60秒)。その結果、図5に示すように、スペーサーの幅が300μmのときに、サルコシン濃度と電流値のより強い相関がみられた。この結果は、クレアチニナーゼとクレアチナーゼをさらに使用し、クレアチニン含有試料を用いても同様と考えられる。
10・・・基板
11・・・対極
11a・・・リード部
12・・・作用極
12a・・・リード部
13・・・参照極
13a・・・リード部
14・・・絶縁層
15・・・検出部
16・・・試薬層
17・・・開口部
18・・・スペーサー
19・・・カバー
20・・・空気孔
B・・・測定装置
21・・・出力部
22・・・制御部
23・・・演算部
24・・・検出部
25・・・表示部ユニット
26・・・バッテリ
27・・・クレアチニンセンサ
28・・・制御コンピュータ
29・・・ポテンショスタット
30・・・基板
31・・・電力供給装置
CR、W・・・端子
Claims (12)
- 検体中のクレアチニンをエンドポイントの反応で定量するためのセンサであって、
内部に配置された2つ以上の電極を含む反応部と、
前記反応部に連通し、前記反応部に検体を流入させるキャピラリー部を含み、
前記2つ以上の電極のうち、1つ以上の電極上には、クレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、サルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよびポリマー結合メディエーターを含む試薬層が形成されており、クレアチナーゼのユニット数がクレアチニナーゼのユニット数の4倍以上であり、
前記クレアチニナーゼの添加量が、電極上の試薬層の単位表面積(1mm2)当たり、0.1~20Uであり、
前記クレアチナーゼの添加量が、電極上の試薬層の単位表面積(1mm2)当たり、0.6U~120Uであり、
前記サルコシンオキシダーゼの添加量が、電極上の試薬層の単位表面積(1mm2)当たり、0.01U~20Uであり、
前記ペルオキシダーゼの添加量が、電極上の試薬層の単位表面積(1mm2)当たり、0.01~20Uである、検体中のクレアチニンをエンドポイントの反応で定量するためのセンサ。 - 前記キャピラリー部の高さが150μm以上である、請求項1に記載のセンサ。
- 前記2つ以上の電極が作用極および対極である、請求項1または2に記載のセンサ。
- 前記2つ以上の電極が作用極、参照極および対極である、請求項1または2に記載のセンサ。
- 前記参照極が銀塩化銀電極である、請求項4に記載のセンサ。
- メディエーターがフェリシアン化合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載のセン
サ。 - ポリマーがポリビニルイミダゾールである、請求項1~6のいずれか一項に記載のセンサ。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載のセンサに検体を導入する工程、
電極に電位を印加して電流を測定する工程であって、前記測定が前記センサのエンドポイントの反応による測定である工程、および
電流値からクレアチニン濃度を算出する工程、
を含む、検体中のクレアチニンの定量方法。 - 電流の測定時間が5分未満である、請求項8に記載のクレアチニンの定量方法。
- 前記検体は血液である、請求項8または9に記載のクレアチニンの定量方法。
- 前記電極に電位を印加して電流を測定する工程を行う前に、前記検体を30秒以下、非印加の状態で保持する、請求項8~10のいずれか一項に記載のクレアチニンの定量方法。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載のセンサと、
当該センサへの電位印加を制御する、制御部と、
当該センサへの電位印加により得られる、電流を検出する、検出部と、
前記電流の値からクレアチニン濃度を算出する、演算部と、
前記算出されたクレアチニン濃度を出力する出力部と、
を含む、クレアチニン測定装置。
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