JP2008511735A - 半導電性パーコレーションネットワーク - Google Patents

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Abstract

本発明はマトリックス中のカーボンナノチューブを含んでなる半導体組成物に関する。これら半導体組成物は、薄膜トランジスタの半導体部分を印刷するのに有用である。

Description

本発明は、半導体マトリックス(semiconductive matrix)中にカーボンナノチューブを含んでなる組成物に関する。かかる組成物は薄膜トランジスタの半導体(semiconducting)部分を印刷するのに有用である。
特許文献1においてブランシェット(Blanchet)らは、導電性ポリアニリンマトリックス中におけるカーボンナノチューブの配合物について記載している。
米国特許出願第10/374875号明細書
ポリマーまたはオリゴマー内にカーボンナノチューブを配合して半導体マトリックスを得ることが必要であることが見出された。
本発明は、ホストマトリックスと、0.01〜10体積%のカーボンナノチューブ、好ましくは、製造時に生成されるナノチューブの大きなロープから分離された0.01〜1体積%のカーボンナノチューブとを含んでなる組成物である。大きなロープは、水溶液中に分散された後、有機溶媒中に再分散されることによって分離される。次いで、このナノチューブは、半導体材料によって連結される。
また、本発明は、半導体ホストと、0.01〜10体積%のカーボンナノチューブ、好ましくは、製造時に水溶液中に生成されるナノチューブの大きなロープから分離された0.01〜1体積%のカーボンナノチューブとを含んでなる組成物である。次いで、このナノチューブは、半導体マトリックス中に分散される。
本発明のさらに別の実施形態は、ドナー要素上に上記組成物をコーティングする工程と、そのコーティングがドナー要素と受容要素との間に位置するようにドナー要素を受容要素と接触させる工程と、ドナー要素を通してコーティングをレーザーで照射してドナー要素上のコーティングを受容要素に転写する工程とを含んでなる方法である。
本発明のさらに別の実施形態は、上記組成物の溶液を用いてスタンプまたはフレキソ版の突出領域にインキ付けする工程と、インク溶液がスタンプ突出部のパターンと共に受容要素上に転写されるようにスタンプまたは版を受容要素上に接触させる工程とを含んでなる方法である。
本発明のさらに別の実施形態は、上記組成物の溶液をインクジェットノズルを介して受容要素上へ送出する工程を含んでなる方法である。
本発明のさらに別の実施形態は、上記組成物を含んでなる半導体を有するトランジスタである。
本発明は、半導体または絶縁性マトリックス中に分散されたカーボンナノチューブを含んでなる組成物を開示する。これは、ソース−ドレイン間距離が比較的広いにもかかわらず、高相互コンダクタンスの有機トランジスタが得られる代替経路を示す。この方式の電子的特性の向上は、下地となっている有機半導体の移動度の60倍の増加に等しい。本方法はネットワークをベースにしており、これは、有機半導体ホスト内の個々の単層カーボンナノチューブ(SWNT)および幅狭のロープの分散体から作製される。
本明細書に記載のカーボンナノチューブは、その製造プロセス時に生成するナノチューブのロープから分離したものであり、マトリックス中に、0.01〜10%、好ましくは0.01%〜1%の濃度で分散される。これにより、カーボンナノチューブのネットワークが形成され、ナノチューブ上に塗布された半導体ポリマー、半導体オリゴマー、またはわずかに導電性のあるポリマーを介して連結され得る。ソース−ドレイン間の電流経路のほとんどは、パーコレーションネットワークの形成よりも低いナノチューブ濃度で金属性ナノチューブに追従するが、その回路を完成するには、短く切替可能な半導体性接続路が必要である。このような半導電性の(electrically semiconductive)有機複合体には、その薄膜が適当な電子移動度を保持するようにパターンを形成することができる。
カーボンナノチューブは、絶縁性マトリックス中に分散するより前に、小量の半導体材料中に分散することができる。これによって、得られた半導体層が有機電子デバイス中のトランスポート層として機能する用途のために、有機マトリックス中に半導体性カーボンナノチューブネットワークが形成される。こうしたナノチューブ/半導体複合体を用いると、ソース−ドレイン間距離を効果的に60倍短縮させることができるが、これは、オン/オフ電流比をあまり低下させずに、出発半導体材料の移動度が60倍増加したことに等しい。このような電界誘導ネットワークによって、市販の印刷技術により製造することができる、比較的広いソース−ドレイン間距離を有する高相互コンダクタンスのトランジスタを作製することができる。
個々のカーボンナノチューブの約3分の2が半導電性(semiconducting)であり、残り3分の1が導電性であることが見出された。しかし、半導体性(semiconducting)対金属性比も、その調製に用いられるナノチューブ合成方法および特定の触媒に依存する。ナノチューブが、製造時に凝集する大きなロープから分離または分散されると、小さなロープおよび個々のチューブのネットワークが得られ、マトリックス中に分散されることができる。ナノチューブ濃度が0.01〜10体積パーセントの範囲では、カーボンナノチューブの連結度はかなり異なる。測定可能なオフ電流の開始は、0.0025%の低濃度でソース−ドレイン間に導通経路がいくつか生成されたことを示すが、他の多くの経路は、半導体材料が伸長する部分によって遮断されたままであることを示す。しかし、誘電体との接触面付近にある遮断された接続路は切替可能であり、ゲートを介してオンおよびオフにすることができ、半導体内に細い電子チャネルを作製する。この切替可能なネットワークこそが、任意の均質材料ではなく、ソース−ドレイン間の能動素子となるものである。主に高度に導通する金属性ナノチューブ内を、ソースからドレインへキャリアが移動する。これらのキャリアは、場合によってのみ、かつソース−ドレイン長に比べて短い距離を、導通した半導体チャネルを通って移動する。これは、ソース−ドレイン間距離が効果的に短縮し、それに対応して相互コンダクタンスが増加することを表わす。この概念が、本発明の最も重要な部分である。ナノチューブがほぼパーコレートしているネットワークとは、所望の電気接点(ソースおよびドレイン電極など)間に接する完全な3次元経路がほぼ確立してはいるが、完全ではないネットワークである。ナノチューブに接触する導電性経路内には間隙が残っている。これら間隙の存在は、10,000以上の複合トランジスタのオン/オフ比に表れる。測定可能なIoffが起きることは、ソース−ドレイン間に導通経路がいくつか生成されたことを示すが、他の多くの経路は、半導体が伸長する部分によって遮断されたままであることを示す。しかし、誘電体との接触面付近にある遮断された接続路は切替可能であり、ゲートを介してオンおよびオフにすることができ、半導体内に細い電子チャネルを作製する。この切替可能なネットワークこそが、任意の均質材料ではなく、ソース−ドレイン間の能動素子となるものである。主に高度に導通する金属性ナノチューブ内を、ソースからドレインへキャリアが移動する。これらのキャリアは、場合によってのみ、かつソース−ドレイン長に比べて短い距離を、導通したPHTチャネルを通って移動する。これは、ソース−ドレイン間距離が効果的に短縮し、それに対応して相互コンダクタンスが高まることを表わす。
CNT濃度が増加すると、切替可能な電流経路の数が増加し、相互コンダクタンスgが増加する。移動度が相互コンダクタンスに直線的に入るので、μappはgを追跡する。しかし、当モデルによれば、半導体接続路の移動度が一定のままであると、gの増加をチャネル長の効果的な短縮、Ieff∝1/μapp、とみなすほうが適当である。
ナノチューブ濃度が上昇するにつれて、薄膜トランジスタのトランスポート層として用いた場合のこれら半導体複合体のオン/オフ比は、導電性チューブの含有量の増加によって減少する。濃度がかなり高まると、導電性ナノチューブが3次元にパーコレートしているネットワークが形成され、マトリックス中のナノチューブの複合体も導通している。したがって、半導体性および金属性カーボンナノチューブを含む複合体が生成されて、薄膜トランジスタにおいて使用する半導体にすることができる。金属性チューブの存在によって、チャネル長が短くなり、有効な移動度が増加する。
ネットワークが埋設されたホストマトリックスがポリマーであれば、その複合体も、様々な印刷工程によってトランジスタ内に活性半導体層として堆積されてもよい。半導体層は熱転写工程によって印刷され、光画像化可能な印刷版(例えば、オフセットおよびフレキソ)、マイクロコンタクトプリンティング版などのエラストマー成形板またはインクジェットを用いて印刷することができる。また、電子移動度は、高アスペクト比で半導体のような移動度を有する半導体ナノロッドなどの半導電性媒体の添加により向上させることもできる。ナノチューブ濃度はフィラー(fillers)に必要な濃度よりもはるかに低いので、移動度が増加する間、ホストポリマーの加工性は維持される。
ペンタセンおよびポリチオフェンなどの有機半導体は、その主鎖にπ電子系を有しており、芳香環の配列からなる。特に、これらの材料の移動度は、無機相当物に比べてかなり低い。過去10年にわたって、活性電子デバイスに用いられ得る高移動度の有機半導体を開発することにかなりの関心がもたれてきた。
以下の3つの異なる方法を利用して、有機物の輸送特性を調整している。
1)出発材料の化学組成および構造の変更(modifying)により、固有のバルク特性を改質する。
2)分子レベルでポリマーまたはオリゴマーの特性を変更(altering)して、電荷輸送および分子配置を調整する。
3)化学的改質(modification)ではなく幾何学的改質によって電気的特性を調整する。ホストポリマー中にカーボンナノチューブまたは無機ナノロッドなどの微細片を組込み、半導体ネットワークを形成する。
化学的なルート(routes)は、有機材料における移動度を増加させる効率良い経路を明らかに提供するが、限定的であって、周囲条件下で材料が安定しない。有機薄膜トランジスタ(TFT)は、H.サーリンガウス(H.Sirringhaus)ら、サイエンス(Science)、280:1741(1998)、P.F.バウド(P.F.Baude)ら、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)、82:3964(2003)、G.B.ブランシェット(G.B.Blanchet)ら、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)、20:463(2003)に報告されるように、フラットパネルディスプレイ、無線周波識別タグ、および有機オプトエレクトロニクスを用いた集積化における用途で、低価格で、機械的柔軟性があり、広い面積をカバーすることによって、大いに関心を集めている。
薄膜トランジスタのオープンリール(reel−to−reel)方式製造プロセスにおいて溶液処理可能なポリマーを潜在的に使用することができるため、真空蒸着有機薄膜に比べて製造コストがさらに削減できる。原則として、有機材料はシリコンベースの相当物に比べて、より柔軟性があり、より容易に調整できる。しかし、溶液ベースの有機材料は、電界効果移動度が低い(10−3−10−6cm/Vs)。したがって、膨大な種類の有機材料が利用可能であるため、TFTにおける用途については、高い移動度を有する半導体材料を開発することにかなり集中して取り組んできた。同様に、熱蒸着によって堆積し得る半導体オリゴマーも、無機相当物に比べて、適度な移動度を示す。ポリ(アルキルチオフェン)、オリゴチオフェン、ペンタセン、フタロシアニンは、かかる半導体の数例に過ぎない。さらに、有機電子デバイスを実用化するには、半導体層にパターンを形成できなければならない。かかる用途のために、レーザー熱転写、インクジェット、またはマイクロコンタクトプリンティングなどの画像化プロセスを記載しており、TFTの製造において本発明の組成物のパターンを堆積するのに適当な方法である。画像化プロセス全体にわたって、画像の解像度ならびにデバイスの性能が制御される。特に、有機半導体薄膜の移動度は、画像化プロセスの間中維持されなければならない。有機半導体オリゴマーの移動度には、大きな粒径、および限られた数の粒界と共に、相当な結晶性秩序の度合いが必要とされる。半導体ポリマーには、高い移動度を達成するために、代わりに高度な位置規則性が必要である。これら両系では、レーザー処理による画像化によって、結晶度や秩序が乱され、故に移動度が乱される。本発明は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)複合材料の設計によって移動度が増加する傾向の経路を示す。この複合体をトランスポートチャネルとして用いるTFTが作製されている。対照的に、本発明の半導体ネットワークを、レーザー転写技術、マイクロコンタクト、光画像化可能な版、およびインクジェットによって画像化することができる。さらに、材料の大きさは全体的な薄膜移動度に積極的に寄与していないので、加工性、ナノチューブ親和性、および特定の印刷方式との互換性に関して選択することができる。本発明を用いると、潜在的に現在の選択肢(ペンタセン)よりもはるかに高い移動度およびかなり高い加工性を有する有機半導体を集積することができる。ペンタセンと異なり、こうしたネットワークは、潜在的に、熱転写法、マイクロコンタクトプリンティング法、およびインクジェット法を用いて、高解像度で画像化することができる。本明細書に開示される材料は、マイクロエレクトロニクスのプラスチックTFTトランジスタにおけるトランスポート層のような用途に適当である。
本発明の組成物は、ナノチューブ製造時に幅狭のロープおよび個々のチューブに生成される凝集ロープからナノチューブを分散することを必要とする。実施例において概説するように、これは水溶液中にナノチューブを分散させて、次いで、有機溶媒中で再分散させることによって実施することができる。
さらに、カーボンナノチューブは、ホストマトリックス中で分散する前にコーティングされて、その電子移動度がナノチューブが単に接する複合体の電子移動度を上回ってもよい。このコーティングは、半導体または絶縁体、またはわずかに導電性のあるポリマーであってもよい。「わずかに導電性のある」とは、導電率が10−6S/cm未満であることを意味する。
本明細書においてカーボンナノチューブとは、六角形のパターンにおいて共に接合して長い円筒を形成する炭素原子を意味する。ナノチューブも、多層の壁から生成することができる。カーボンナノチューブは1991年頃に発見された。本明細書中で用いられるナノチューブは、米国テキサス州ヒューストンのライス大学(Rice University, Houston, TX, U.S.A.)より得たものである。
本明細書中で好ましい溶剤は、オルトジクロロベンゼン、水、キシレン、トルエン、シクロヘキサン、クロロホルム、またはイソプロパノール、2−ブトキシエタノールなどの極性溶媒とそれらの混合物よりなる群から選択され、この極性溶媒の含有量は、トルエン、シクロヘキサン、クロロホルム、イソプロパノール、2−ブトキシエタノール、およびそれらの混合物の25重量%未満であることが好ましい。
実施例1〜3
これらの実施例は、ポリチオフェン中に分散した単層カーボンナノチューブ(SWNT)の効果を具体的に説明する。テキサス州ヒューストンのライス大学(Rice University, Houston, Texas)から得た単層ナノチューブを、濃度0.01mg/mlのオルトジクロロベンゼン中に分散した。この分散液から得られるSWNTは、直径数ナノメートル、または単層チューブである。
ポリチオフェンマトリックスを調製するために、アルドリッチ(Aldrich)のポリチオフェン(PTH)1グラムを標準精製工程に従って社内で精製した。無水クロロホルム中のPTH0.5重量%をドライボックス中に調製した。この溶液を固形物が無くなるまで、室温にて約48時間撹拌棒で攪拌した。ソース−ドレインAuパターンセットを備えた清浄なSi/SiOウエハ上に2000RPMで30秒間薄膜をスピンコートすることによってコントロール試料の薄膜を調製した。次いで、スピンコートした半導体層を80℃で30分間焼成した。これによって、ボトムゲート構造に薄膜トランジスタのトランスポート層が設けられた(実施例1)。このドープされたSiウエハを、ゲート電極として用いた。Siウエハ上の熱成長した250nmのSiO薄膜を、様々な幅(W)およびチャネル長(L)のソース−ドレインセットをフォトリソグラフィーによって40セットその上にパターン化した誘電体として用いた。このパターン付きウエハを、以下の方法に従って洗浄した。1)アセトンで濯ぎ3回、2)メタノールで濯ぎ3回、3)脱イオン水で濯ぎ、4)送風乾燥、5)Oプラズマを5分間。
カーボンナノチューブを有するチオフェン溶液を、実施例2および3に例示する。濃度0.15mg/mlでオルトジクロロベンゼン(ODCB)中に単層カーボンナノチューブを分散したものを、5分間チップ(tip)超音波処理を実施した。その後、その溶液をドライボックスに配して、ポリチオフェン溶液中に混合し、0.01、0.02、0.05、0.1、および0.2重量%のCNTで複合体を作製した。次いで、標準ヒューレットパッカード4155プローブステーションを用いて、トランジスタのIV特性を測定した。IV測定は、暗所にてドライボックス中で実施して、酸素および光によってPTP上に生ずることが知られている劣化を避けた。図1Aは、試験トランジスタ構成の断面図を示す。図1Bは、実施例1のIV曲線を示す。図2Aは、実施例2におけるトランジスタのゲート掃引を示す。図2Bは、実施例2におけるトランジスタのIV曲線を示す。図3は、実施例3におけるトランジスタのIV曲線示す。SWNT充填量0.02%での複合体のIV特性およびゲート掃引を、図2Aおよび図2Bに示す。その直線および飽和領域から得た、明らかに有効な電界移動度は、μapp≒0.13cm/Vsであった。算出した相互コンダクタンスは、g≒8×10−5S/cmであった。図3は、様々なSWNT濃度でのポリチオフェン複合体およびコントロールポリチオフェン薄膜に関するIV曲線を示す。
図4A、B、CおよびDは、カーボンナノチューブ含有率がそれぞれ0.05、0.1、0.25、および1%の場合の、実施例3における原子間力顕微鏡写真(AFM)を示す。0.0001〜10%の範囲内のCNT濃度でTFTに関する直線領域から算出した移動度および相互コンダクタンスを図5に示す。オン/オフ比およびオフ電流を、図5のデバイスに関するゲート掃引から抜粋した。これらを図6に示す。低いCNT含有量に対する測定可能なオフ電流は、半導体ネットワーク中の金属性接続路の存在を反映する。金属性接続路は、効果的にチャネル長を短縮し、金属性接続路自身で単独で、効果的に移動度を増加させる。
実施例4
本実施例は、単層カーボンナノチューブ(SWNT)のランダム配列上にペンタセンからなる2層を集積することによって高相互コンダクタンスの有機トランジスタを得る代替経路を示す。実施例3と同様に、パーコレートしていないSWNT配列については、ソース−ドレイン間の電流経路のほとんどは、短く切替可能なペンタセン接続路を備えた高導電性ナノチューブに追従して、回路を完成している。ここでは、下地となっているナノチューブネットワークの連結度を変化させることによって、薄膜トランジスタのチャネル長をほぼ2桁短縮できることを示している。これによって、オン/オフ比を低下させることなくデバイスの相互コンダクタンスを増加させることができる。
テキサス州ヒューストンのCNI社(CNI, Houston, TX)製のHipco(ヒプコ)のSWNTロープを、界面活性剤を用いて個々のチューブに分離した。得られた金属性および半導体性チューブを含有する水性分散液をろ過し、界面活性剤を完全に除去した。このチューブ(および小径のロープ)を乾燥させ、5mg/L、10mg/L、20mg/L、35mg/L、および50mg/Lの濃度でオルトジクロロベンゼン(ODCB)中に再分散した。2500Åの熱酸化物と、予めパターンを形成した様々なチャネル幅(W)および長さ(L)のAuソース/ドレイン電極とを有する清浄なSiウエハ上に様々な分散液を1000RPMでスピンコートした。約7×10−8トルのベース圧および0.2Å/sで、200Åのペンタセン被覆層を蒸着し、デバイスを完成させた。電気的性能はアジレント(Agilent)4155℃を用いて特徴づけられた。
SWNT分散液5mg/Lおよび20mg/LをSi/SiOウエハ上にスピンコートしたSWNT配列のAFM画像と、それに対応するSWNT/ペンタセン2層のAFM画像とを、図7a〜dに示す。ペンタセンのX線スペクトル、およびカーボンナノチューブ配列上に20mg/Lでスピンコートしたペンタセンを図8に示す。
SWNT濃度の関数として、ペンタセン−SWNTの両TFT層の有効な電界効果移動度および相互コンダクタンスを図9に示す。下地となっているSWNTネットワークがパーコレーションに近づくにつれて、両パラメータが、0.036cm/Vsから0.17cm/VSに、および2.48 10−8から1.17 10−7 Sに約5倍増加する。移動度は、飽和領域(円)ではVds=−50V、直線領域(正方形)ではVds=−5VのTFT伝達特性から算出される。直線の相互コンダクタンスは、三角形で表示する、Vds=−5Vに相当する。
図10は、SWNT含有量の関数として、チューブに対する任意の配列のチャネル長L(c)および2層デバイス用のオン/オフ比を示す。SWNT濃度が上昇するとともにチューブのランダムな配列のチャネル長は指数関数的に小さくなり、50mg/Lのパーコレーションに到達し、オン/オフ比が急速に低下しはじめる。有効な移動度および相互コンダクタンスは、高いカーボンナノチューブ濃度で10cm/Vsに達するが、SWNT濃度が100mg/Lに近づくにつれて、OFF電流が同時に増加して、ON/OFF比が10未満になる。
パーコレートしていないナノチューブネットワークを含んでなるTFTデバイスにおいて、導通しているSWNTロッドが存在するだけで、ソース−ドレイン間の距離が短縮される。対照的に、導通経路がパーコレーションを上回ると、オフ電流が急速に増加し、オン/オフ比が低下してしまう。本実施例において、半導体被覆層はペンタセンである。
単層複合体加工物と同様に、ソース−ドレイン間の電流経路のほとんどは、短く切替可能なペンタセン接続路を備えた高導電性ナノチューブに追従して、回路を完成する。原則として、相互コンダクタンスの増加は、チャネル長の短縮と逆に釣り合いがとれると考えられよう。したがって、相互コンダクタンスがほぼ2桁増加することは、チャネル長が100倍短縮することを表す。図10は、ネットワークがパーコレーションに近づくにつれて、SWNTの下地のチャネル長が実際に2桁減少することを示す。しかし、ペンタセン2層の相互コンダクタンスは5倍しか増加しておらず、これは、ペンタセン被覆層の結晶度が同時に減少していることを表している。相互コンダクタンスは移動度に比例し、チャネル長に反比例するので、図2の結果は、チャネル長が100倍短縮すると、それに伴って、ペンタセン被覆層の移動度が20倍低下することを示唆する。移動度の低下は、ペンタセン被覆層の結晶度の減少に関連している(図8)。
図10の有効なチャネル長は、5、10、20、35、および50mg/LのSWNT分散液を予めパターンを形成したウエハ上に1000PRMでスピンコートした、パーコレートしていないナノチューブ配列のAFM画像から推定された。これらのチャネル長は、各予想経路に沿って様々な断線を加えることによって得られたものである。全チューブ/μ数を、各画像について測定した。各濃度cに対するチャネル長Lは、それぞれの濃度でいくつかの画像に得られた多数の経路長さの平均であった。
実施例5
下地となっているナノチューブネットワークと同様の形態を有する半導体接続路を介して接続されるパーコレートしていないSWNT配列を活用することによって、チャネル長が短いトランジスタを作製した。本方法により、当デバイスの相互コンダクタンスを、Siの移動度1cm/V 秒に対してほぼ2桁上昇させることができる。アモルファス2層に対してここで観察された40倍とは、下地となっているナノチューブネットワークの存在によってペンタセン結晶度が減少した実施例4に比べて、著しく向上したことを示している。この実施例は、下地となっているチューブのネットワークに合わせて成長するアモルファス半導体をより多く用いて2層の電位差が得られることを具体的に説明する。この移動度向上の発端は、SWNTのパーコレートしていない配列の生成によって、有効なソース−ドレイン間距離が短縮されたことによるものであるため、オン/オフ比10を維持することができる。この材料となるアルキルアントラセンは、ホン・メン(Hong Meng)による米国仮特許出願第672177号明細書に記載される。SiO層を備えたSiウエハ上に蒸着された、400Åの半導体薄膜のAFMを図11に示す。図11aは、カーボンナノチューブを含んでいない。この基板は、堆積時60℃で維持され、堆積速度は1A/秒であった。8mg/L(図11b)および50mg/L(図11c)の溶液からスピンコートした半導体配列上に同様の条件で蒸着した同じ厚さの薄膜のAFMを中央右側に示す。ナノチューブ濃度の関数として、これら2層の移動度および相互コンダクタンスを図12に示す。これら2層の有効移動度は、アモルファスSiよりも高い。オフ電流およびオン/オフ比を図13に示す。前述の実施例と同様に、これらのデバイスは、操作窓を有し、ほぼパーコレーションで、移動度が40倍増加してもオン/オフ比は10で維持される。
実施例6〜10
これらの実施例は、ポリアニリン(PANI)マトリックス中の半導体性カーボンナノチューブネットワークを具体的に説明する。ポリアニリンは、10−5オームcmの導電率に対してわずかにドープされた。単層カーボンナノチューブ(SWNT)を水中に十分に分散し、ストラノ(Strano)より提供された界面活性剤(SDS)1%を用いて濃度0.015mg/mlにした。この分散液より得たSWNTのほとんどは単層チューブであった。この分散液を超音波処理せずに複合体にて用いた。蒸留水に3重量%のポリアニリン溶液を入れて、室温にて調製した。次いで、このポリアニリン溶液を、前述のように水中のSWNTと混合し、0、1%、2%、5%、および10%のSWNT濃度にした。コーティング助剤として、ゾニル(Zonyl)FSN(デラウェア州ウィルミントンのデュポン(DuPont, Wilmington, DE)製)を6〜10重量%濃度まで添加した。実施例6〜10において用いられる複合体の量を以下に示す。
実施例6、コントロールPANI250mg:カーボンナノチューブ無
実施例7、PANI中カーボンナノチューブ1%:SWNT溶液5ml、PANI250mg
実施例8、PANI中カーボンナノチューブ2%:SWNT溶液5ml、PANI120mg
実施例9、PANI中カーボンナノチューブ5%:SWNT溶液5ml、PANI68mg
実施例10、PANI中カーボンナノチューブ10%:SWNT溶液10ml、PANI68mg
実施例1〜3に記載のSiO/Siウエハ上にこれら溶液を2000rpmでスピンコートし、60℃で5分間オーブン内で焼成した。前述したようにTFT特性を測定した。ゲート掃引曲線を、PANI中1%のカーボンナノチューブは図14Aに、PANI中2%のカーボンナノチューブは図14Bに示す。図15Aは実施例9のゲート掃引およびIV曲線を示し、図15Bは実施例10に関するゲート掃引を示す。
実施例11〜13
これらの実施例は、絶縁性マトリックス中の半導体カーボンナノチューブネットワークの生成を具体的に説明する。ホストマトリックスは、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジルが70/25/3/2の比率の絶縁性ターポリマーである。このガラス転移温度(Tg)は70℃である。ラテックスは水中33重量%であった。単層カーボンナノチューブを水中に十分に分散して、イリノイ大学のマイケル・ストラノ(Michael Strano from University of Illinois)より提供された1%の界面活性剤(SDS)を用いて0.015mg/mlの濃度にした。この分散液より得られたSWNTのほとんどは単層チューブであり、超音波処理せずに複合体にて用いた。次いで、このSWNT分散液をラテックスと混合させた。全溶液の10重量部の内1部にゾニル(Zonyl)FSNを添加して、コーティングを補助した。実施例11(コントロール試料)において、前述のパターン形成した清浄なウエハ上にラテックスをスピンコートした。IV曲線を図9に示す。実施例12および13において、1%および0.5%のSWNTをラテックス中に分散する。以下にその組成を挙げる。
実施例12 ラテックス中SWNT1%:カーボンナノチューブ10ml、ラテックス45mg
実施例13 ラテックス中SWNT0.5%:カーボンナノチューブ6.6ml、ラテックス60mg
次いで、これらの配合物を、前述のパターン形成した清浄なSiウエハ上に2000rpmでスピンコートした。その後、スピンコートした試料を60℃で5分間オーブン内で焼成した。そのIV曲線を測定し、移動度を直線領域より算出した。図16Aは、実施例13のゲート掃引を示す。図16Bは、実施例13のIV曲線を示す。
実施例14
これらの実施例は、絶縁性マトリックス中の導電性ポリアニリン(比率1:4)でコートした半導体性カーボンナノチューブネットワークの生成を具体的に説明する。実施例4と同様に、ポリアニリンを水に溶解して、3重量%の濃度にする。実施例9と同様に、ホストマトリックスは、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジルの絶縁性ターポリマーである。このガラス転移温度(Tg)は70℃である。ラテックスは水中33重量%であった。単層カーボンナノチューブを水中に十分に分散し、ストラノ(Strano)より提供された界面活性剤(SDS)1%を用いて濃度0.015mg/mlにした。この分散液より得たSWNTのほとんどは単層チューブであり、超音波処理せずに複合体にて用いた。全溶液の10重量部の内1部にゾニル(Zonyl)FSNを添加して、コーティングを補助した。SWNT分散液を1:4の割合でPANI溶液と混合させた。すなわち、SWNT約0.27mgを含有する分散液18mlを、PANI1.14mgを含有する3%のPANI溶液38mlと混合させた。最後に、これを約76mgのラテックスを含有する33%のラテックス溶液228mlと混合させた。
次いで、この配合物を、前述のパターン形成した清浄なSiウエハ上に2000rpmでスピンコートした。その後、スピンコートした試料を60℃で5分間オーブン内で焼成した。そのIV曲線を測定し、移動度を直線領域より算出した。図17Aはゲート掃引を示し、図17Bは、実施例17のIV曲線を示す。
試験トランジスタ構成の断面図を示す。 実施例1のIV曲線を示す。 実施例2におけるトランジスタのゲート掃引を示す。 実施例2におけるトランジスタのIV曲線を示す。 実施例3におけるトランジスタのIV曲線を示す。 カーボンナノチューブ含有率が0.05、0.1、0.25、1%の場合の、実施例3における原子間力顕微鏡写真(AFM)を示す。 CNT濃度の関数として、ポリチオフェン/CNT複合体の移動度および相互コンダクタンスを示す。 図5におけるトランジスタのオン/オフ比およびオフ電流を示す。 (a)5mg/Lおよび(c)20mg/Lの2つの異なる溶液濃度でスピンコートしたSWNTのAFM画像を示し、(b)および(d)は、SWNT上に0.2Å/sで蒸着した厚さ200Åのペンタセンを有する対応する2層のAFM画像を示す。SおよびDの文字は、Auソースおよびドレイン電極を示す。 ベアSiO上、およびSiO分散体上にスピンコートしたSWNT配列上に、0.2Å/sで蒸着した200Åペンタセン膜のX線回折スペクトルを示す。 SWNT濃度の関数として、TFTペンタセン2層の有効な直線移動度および飽和移動度を示す。 増加するSWNT含有率の関数として、SWNTのパーコレートしていない配列のチャネル長をひし形で示し、様々なSWNT濃縮に関するボトムゲートデバイス(Vds=−50V)のオン/オフ比を円で示す。 SiO上に蒸着され、0、8、および50mg/Lのカーボンナノチューブ配列上に蒸着された半導体のAFMを示す。かかる膜は、厚さ400Åである。 カーボンナノチューブ含有率の関数として半導体2層の有効な移動度および相互コンダクタンスを示す。 ナノチューブ含有率の関数としてオフ電流およびオン/オフ比を示す。 1重量%および2重量%の単層カーボンナノチューブを有するポリアニリン(PANI)複合薄膜のゲート掃引曲線を示す。 5重量%および10重量%の単層カーボンナノチューブを有するポリアニリン(PANI)薄膜のゲート掃引曲線を示す。 CNTが0.5重量%でPANIホスト中の水溶性CNTのゲート掃引曲線を示す。 実施例13のIV曲線を示す。 ゲート掃引を示す。 絶縁ホスト中1重量%での水溶性CNTのIV曲線を示す。

Claims (18)

  1. 半導体または絶縁性マトリックス中に分散されたカーボンナノチューブを含んでなる組成物。
  2. A)半導体ポリマーまたはオリゴマーと、
    B)0.01〜10体積%のカーボンナノチューブと
    を含んでなる組成物。
  3. カーボンナノチューブが、わずかに導電性のあるポリマーコーティングでコートされる請求項2に記載の組成物。
  4. ホストマトリックスが半導体ポリマーであり、前記カーボンナノチューブが絶縁性ポリマーコーティングでコートされる請求項2に記載の組成物。
  5. ホストマトリックスが半導体ポリマーであり、前記カーボンナノチューブが半導体ポリマーコーティングでコートされる請求項2に記載の組成物。
  6. 前記ホストマトリックスが半導体オリゴマーである請求項2に記載の組成物。
  7. 前記ホストマトリックスが液晶である請求項2に記載の組成物。
  8. 前記半導体ポリマーが、10−4S/cmを超えない導電率を有する、トリフェニルアミン、アニリンオリゴマー、エメラルディンポリアニリン、およびポリアニリンよりなる群から選択される請求項3に記載の組成物。
  9. a)絶縁性ホストマトリックスと、
    b)前記絶縁性ホストマトリックス中に分散された0.01〜10体積%のカーボンナノチューブであり、ナノチューブが、水溶液中に、生成されるロープから分散されて、有機溶媒中に再分散されるカーボンナノチューブと
    を含んでなる組成物。
  10. 前記絶縁性ホストマトリックスが絶縁性ポリマーである請求項9に記載の組成物。
  11. a)絶縁性マトリックスと、
    b)前記絶縁性マトリックス中に分散された0.01〜10体積%のカーボンナノチューブであり、ナノチューブが、水溶液中に、生成されるロープから分散されて、有機溶媒中に再分散されるカーボンナノチューブと、
    c)前記カーボンナノチューブをコーティングする半導体材料と
    を含んでなる組成物。
  12. a)ドナー要素上に請求項1の組成物をコーティングする工程と、
    b)コーティングがドナー要素と受容要素との間に位置するようにドナー要素を受容要素と接触させる工程と、
    c)ドナー要素を通してコーティングをレーザーで照射してドナー要素上のコーティングを受容要素に転写する工程と
    を含んでなる方法。
  13. レーザー照射がパターンを形成する請求項12に記載の方法。
  14. a)請求項1に記載の組成物の溶液を用いてスタンプまたはフレキソ版の突出領域にインキ付けする工程と、
    b)インク溶液がスタンプ突出部のパターンと共に受容要素上に転写されるようにスタンプまたは版を受容要素上に接触させる工程と
    を含んでなる方法。
  15. a)請求項1に記載の組成物の溶液をインクジェットノズルを介して受容要素上へ送出する工程を含んでなる方法。
  16. a)金属板の表面上に画像をエッチングする工程と、
    b)エッチングされた画像を請求項1のいずれかに記載の組成物で充填する工程と、
    c)基板に前記画像を転写するように円筒上の版を回転させる工程と
    を含んでなる方法。
  17. a)印刷版に写真術的にまたはデジタル的に画像を転写する工程と、
    b)版へ請求項1に記載の組成物を塗布する工程と、
    c)ラバーブランケットに画像を転写する工程と、
    d)画像を受容体へ転写する工程と
    を含んでなる方法。
  18. 請求項1に記載の組成物を含んでなる半導体を有するトランジスタ。
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