JP2008511709A - 接着に適した熱硬化性シリコーン被膜 - Google Patents
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Abstract
本発明は、熱可塑性プラスチックに対する熱硬化性シリコーン被膜に関する。この熱硬化性シリコーン被膜は、接着剤プライマーを使用することなく接着することができるという優れた特徴を有する。この熱硬化性シリコーン被膜は、次のステップを含む方法によって製造される。すなわち、熱可塑性プラスチックの表面上、またはプラスチックプライマーで処理された熱可塑性プラスチックの表面上にシリコーン組成物を塗布するステップと、このシリコーン組成物を少なくとも部分乾燥してシリコーンの薄膜を形成するステップと、このシリコーン薄膜上にカップリング剤組成物を塗布するステップと、80℃〜200℃の温度で焼き付けるステップとを含む方法である。
Description
本発明は、熱可塑性プラスチックに対する熱硬化性シリコーン被膜の分野と、その製造方法および接着方法とに関する。
熱可塑性プラスチックはかなり以前から用いられている。しかし、その使用はいくつかの欠点と関連している。熱可塑性プラスチックは、その柔らかさのために、きわめて傷が付き易く、これが、特に熱可塑性プラスチック製の可視部分および/または暴露部分において大きな短所になっている。この熱可塑性プラスチックの多くは透明であり、従ってガラスの代替品として窓ガラス板またはカバー材として用いられることが多い。この使用形態の場合には、傷によって光が偏向し、それによって透明度が落ちて濁ったりすることがあるので、同様に傷が大きな欠点となる。
熱可塑性プラスチックのこの欠点をなくすために、熱可塑性プラスチックを傷に強いシリコーン組成物で被膜処理することが以前から行われている。このようなシリコーン組成物は、熱可塑性プラスチックの上に塗布して焼き付けられる。この熱硬化性のシリコーン被膜は、専門家には、「Silicone Hard Coats(シリコーンハードコート)」という英語の用語によっても知られている。例えば、(特許文献1)、(特許文献2)および(特許文献3)あるいは(非特許文献1)がこのような被膜を開示している。しかし、このような熱硬化性シリコーン被膜処理した熱可塑性プラスチックからなる成形部材は、他の成形部材と種々多様に結合しなければならない。接着技術のよく知られた利点のために、これらの部材は接着することが望まれる。しかし、このような被膜処理部材を、通常の接着剤、特に一成分形のポリウレタン接着剤で接着することは非常に難しいことが示されている。
(特許文献4)は、この問題を特殊なイソシアネート含有プライマーを用いることによって解決している。このイソシアネート含有プライマーは、ポリジメチルシロキサンベースの被膜を有するポリ(メチルメタクリレート)またはポリカーボネート(PDMS−PMMAまたはPDMS−PC)などのプラスチックに対する良好な付着性を備えているものである。しかし、この場合、このような成形部材が使用される加工ラインに、付加的な工程、すなわちプライマーの塗布が必要になることが欠点となる。しかも、さらに、必要な乾燥によって、すなわちプライマーの塗布と接着剤の塗布との間の時間によって、待機時間が発生し、これが、連続生産に対して例えば中間保管を引き起こすという欠点が生じる。また、プライマーに通常存在する溶剤は、種々の応力亀裂腐食(応力割れ)を惹起する。
米国特許第5,041,313号明細書
米国特許第4,624,870号明細書
欧州特許出願公開第0 570 165 A2号明細書
欧州特許出願公開第1 382 625 A1号明細書
G.メッドフォード(Medford)他著「ポリカーボネート用の次世代耐候性ハードコート(The Next Generation in Weatherable Hardcoats for Polycarbonate)」、プラスチック被膜国際シンポジウム(International Coatings for Plastics Symposium)、2001年6月4日〜6日、ミシガン州トロイ(Troy)市
従って、本発明の課題は、プライマーなしで接着剤によって接着し得るような、熱可塑性プラスチックに対する熱硬化性シリコーン被膜を使用可能にすることにある。
ここで、かつ以下において、「プライマーなしで接着し得る」という用語は、接着剤プライマーの使用を伴わない接着可能性の特性を意味するものと理解する。
意外なことに、請求項1による方法によって、このような被膜を実現し得ることが発見されたのである。
本発明は、熱可塑性プラスチックに対する熱硬化性シリコーン被膜の製造方法に関する。この方法は次のステップ、すなわち、
熱可塑性プラスチックの表面上、またはプラスチックプライマーで処理された熱可塑性プラスチックの表面上にシリコーン組成物を塗布するステップと、
このシリコーン組成物を少なくとも部分乾燥してシリコーンの薄膜を形成するステップと、
このシリコーン薄膜上にカップリング剤組成物を塗布するステップと、
80℃〜200℃の温度で焼き付けるステップと、
を含む。
熱可塑性プラスチックの表面上、またはプラスチックプライマーで処理された熱可塑性プラスチックの表面上にシリコーン組成物を塗布するステップと、
このシリコーン組成物を少なくとも部分乾燥してシリコーンの薄膜を形成するステップと、
このシリコーン薄膜上にカップリング剤組成物を塗布するステップと、
80℃〜200℃の温度で焼き付けるステップと、
を含む。
シリコーン組成物は、典型的な構成として、水と、1種類の有機溶剤と、少なくとも1つのトリアルコキシシランRSi(OR’)3またはそのシラノールRSi(OR’)3−n(OH)nまたはその部分縮合物との混合物にコロイド状ケイ酸の分散系を含む。この場合、Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル置換基、または6〜13個の炭素原子を有するアリール置換基を表し、R’は1〜3個の炭素原子を有するアルキル置換基を表し、nは1、2または3を表す。Rはメチル基であることが望ましく、R’も同様にメチル基であることが望ましい。シリコーン組成物並びにそれから製造される熱硬化性のシリコーン被膜の詳細な製造法は、例えば、米国特許第4,373,061号明細書、米国特許第4,624,870号明細書、米国特許第5,869,185号明細書および米国特許第5,041,313号明細書に記載されており、従って、参照によって組み入れられた本発明の構成要素とみなされる。シリコーン組成物の固形分は、通常、10〜30重量%、特に15〜25重量%である。さらに、シリコーン組成物のpHは6〜8.5、特に6.5〜8であることが好ましい。シリコーン組成物の1つの好ましい構成要素は、アルコキシシリル化されたUV吸収剤、特にこの段落で言及した特許文献に記載されているようなものである。適切なシリコーン組成物は、熱硬化性シリコーン被膜(ハードコート)製造用の被膜剤として市場で商業的に入手できる。例えば、オハイオ州PPG工業(PPG Industries)からResilientとして、あるいは、GEシリコーンズ(GE Silicones)からPHC587、AS4000またはAS4700として、あるいは、SDCテクノロジーズ社(SDC Technologies Inc.)からCrystalCoat(登録商標)またはSupercoatとして入手可能であり、また、藤倉化成から販売されているような類似の製品としても入手することができる。
シリコーン組成物を塗布する熱可塑性プラスチックは、基本的にそれぞれよく知られた熱可塑性プラスチックである。焼き付け中にその形態が全く変化しないかほとんど変化しないような熱可塑性プラスチックが特に適している。従って、この熱可塑性プラスチックは主として100℃を超える、特に120℃を超えるガラス転移温度を有するべきである。
この熱可塑性プラスチックは基本的に透明である。
特に適した熱可塑性プラスチックは、一方では、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチロール並びにこれらの任意の混合物を含む群から選択したモノマーの単独重合体または共重合体である。この単独重合体または共重合体の中で、ポリ(メチルメタクリレート)が好ましい。
他方では、ポリカーボネート、特にビスフェノール−Aベースのもの、並びに、PETGまたはPETのような無定形ポリエステルが特に適している。
芳香族の熱可塑性プラスチック、特に、ゼネラルエレクトリック社(General Electric Company)の製品名Lexan(登録商標)ポリカーボネート、あるいは、バイエル(Bayer)の製品名Makrolon(登録商標)などの芳香族ポリカーボネートが好ましい。
用途によっては、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリアミド、またはポリスルホンのような、他の熱可塑性プラスチックまたはそのブレンドも用いることができる。
カップリング剤組成物は、基本的に少なくとも1種類の有機ケイ素化合物および/または少なくとも1種類の有機チタン化合物を含む。この場合、この有機ケイ素化合物は、ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基と、炭素−ケイ素結合を介してケイ素原子に結合した少なくとも1つの有機置換基とを有する。また、有機チタン化合物は、酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合した少なくとも1つの置換基を有する。
有機ケイ素化合物として、次式(I)または(II)または(III)の有機ケイ素化合物が特に適している。
R1は、直鎖状、または分枝状、場合によっては環状の、1〜20個のC原子を有するアルキレン基で、場合によっては芳香族部分を有し、また、場合によっては1個以上のヘテロ原子、特に窒素原子を有するアルキレン基を表し、
R2は、1〜5個のC原子を有するアルキル基、特にメチルまたはエチルを表し、
R3は、1〜8個のC原子を有するアルキル基、特にメチルを表し、
Xは、H、あるいは、オキシラン、OH、(メタ)アクリロキシ、アミン、SH、アシルチオおよびビニルを含む群から選択される官能基、好ましくはアミンを表し(ここで念のために注記しておくと、本明細書においては、アシルチオという用語を、
X1は、NH、S、S2およびS4を含む群から選択される官能基を表し、
X2は、Nおよびイソシアヌレートを含む群から選択される官能基を表し、
aは、値0、1または2のいずれか、好ましくは0を表す。
置換基R1は、特に、メチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、ブチレン基またはジメチルブチレン基を意味する。置換基R1としてはプロピレン基が特に好ましい。
アミノ基、メルカプト基、またはオキシラン基を有する有機ケイ素化合物は、「アミノシラン」、「メルカプトシラン」または「エポキシシラン」とも呼称される。
式(I)の有機ケイ素化合物として、例えば、
メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、メチル−オクチルジメトキシシラン;
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピル−ジメトキシメチルシラン、3−アミノ−2−メチルプロピル−トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−ジメトキシメチルシラン、4−アミノブチル−トリメトキシシラン、4−アミノブチル−ジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3−メチルブチル−トリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチル−トリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチル−ジメトキシメチルシラン、2−アミノエチル−トリメトキシシラン、2−アミノエチル−ジメトキシメチルシラン、アミノメチル−トリメトキシシラン、アミノメチル−ジメトキシメチルシラン、アミノメチル−メトキシジメチルシラン、7−アミノ−4−オキサヘプチル−ジメトキシメチルシラン、N−(メチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン;
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン;
3−アシルチオプロピルトリメトキシシラン;
ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシラン;
を含む群から、有機ケイ素化合物が適切に選択される。
メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、メチル−オクチルジメトキシシラン;
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピル−ジメトキシメチルシラン、3−アミノ−2−メチルプロピル−トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−ジメトキシメチルシラン、4−アミノブチル−トリメトキシシラン、4−アミノブチル−ジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3−メチルブチル−トリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチル−トリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチル−ジメトキシメチルシラン、2−アミノエチル−トリメトキシシラン、2−アミノエチル−ジメトキシメチルシラン、アミノメチル−トリメトキシシラン、アミノメチル−ジメトキシメチルシラン、アミノメチル−メトキシジメチルシラン、7−アミノ−4−オキサヘプチル−ジメトキシメチルシラン、N−(メチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン;
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン;
3−アシルチオプロピルトリメトキシシラン;
ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシラン;
を含む群から、有機ケイ素化合物が適切に選択される。
式(II)の有機ケイ素化合物として、例えば、ビス−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−アミン、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−アミン、4,4,15,15−テトラエトキシ−3,16−ジオキサ−8,9,10,11−テトラチア−4,15−ジシラオクタデカン(ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドまたはビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを含む群から、有機ケイ素化合物が適切に選択される。
式(III)の有機ケイ素化合物として、例えば、トリス−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−アミン、トリス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−アミン、1,3,5−トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン−尿素(=トリス−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート)、および1,3,5−トリス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン−尿素(=トリス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート)を含む群から、有機ケイ素化合物が適切に選択される。
有機ケイ素化合物として、アミノシラン、特にX=NH2またはNH2−CH2−CH2−NH、X1=NH、およびX2=Nであるアミノシランが好ましい。特に好ましいのは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、ビス[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−アミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、およびビス[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−アミン、並びにこれらの相互間の混合物である。特にアミノシランによって、しかも特に本段落において言及したアミノシランの場合に、熱硬化性シリコーン被膜の微細亀裂の形成が低減することが判明している。
酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合する置換基としては、アルコキシ基、スルホネート基、カルボキシレート基、ジアルキルホスフェート基、ジアルキルピロホスフェート基、およびアセチルアセトネート基を含む群から、特に適した置換基が選択される。
チタンに結合するすべての置換基が、アルコキシ基、スルホネート基、カルボキシレート基、ジアルキルホスフェート基、ジアルキルピロホスフェート基およびアセチルアセトネート基を含む群から選択される化合物が特に適している。この場合、すべての置換基は同一であってもよいし、あるいは相互に異なるものでもよい。
アルコキシ基としては、特に、いわゆるネオアルコキシ置換基、特に次式(IV)のネオアルコキシ置換基が特に適していることが明らかになっている。
スルホン酸としては、特にその芳香族がアルキル基で置換された芳香族スルホン酸が特に適していることが明らかになっている。次式(V)の残基が好ましいスルホン酸である。
カルボキシレート基としては、特に脂肪酸のカルボキシレートが特に適していることが明らかになっている。デカノエートが好ましいカルボキシレートである。
上記のすべての式において、点線の結合は酸素−チタン結合を示す。
有機チタン化合物は、例えばケンリッチ石油化学(Kenrich Petrochemicals)社またはデュポン(DuPont)から商業的に入手することができる。適切な有機チタン化合物の例として、例えば、ケンリッチ石油化学のKen−React(登録商標)KR TTS、KR 7、KR 9S、KR 12、KR 26S、KR 33DS、KR 38S、KR 39DS、KR 44、KR 134S、KR 138S、KR 158FS、KR 212、KR 238S、KR 262ES、KR 138D、KR 158D、KR 238T、KR 238M、KR 238A、KR 238J、KR 262A、LICA 38J、KR 55、LICA 01、LICA 09、LICA 12、LICA 38、LICA 44、LICA 97、LICA 99、KR OPPR、KR OPP2、あるいは、デュポンのTyzor(登録商標)ET、TPT、NPT、BTM、AA、AA−75、AA−95、AA−105、TE、ETAM、がある。Ken−React(登録商標)KR 7、KR 9S、KR 12、KR 26S、KR 38S、KR 44、LICA 09、LICA 44、NZ 44、並びに、デュポンのTyzor(登録商標)ET、TPT、NPT、BTM、AA、AA−75、AA−95、AA−105、TE、ETAM、が好ましい。
酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合した式(IV)および/または(V)の置換基を有する有機チタン化合物が特に好ましい。
カップリング剤は、少なくとも1種類の有機ケイ素化合物および少なくとも1種類の有機チタン化合物を含むことが望ましい。
カップリング剤は、さらに少なくとも1種類の溶剤を含むことができる。溶剤としては、熱可塑性プラスチックとも、また場合によっては存在するプラスチックプライマーとも、応力亀裂の形成をもたらさないようなものが特に望ましい。特に易揮発性の溶剤、すなわち760Torrにおいて、40℃〜140℃、特に50℃〜120℃、好ましくは65℃〜99℃の沸点を有するものが溶剤として適している。さらに、異なる溶剤の特別な混合物が有利であることが判明している。少なくとも1種類の炭化水素と、その構造式中に少なくとも1個のへテロ原子を有する少なくとも1種類の極性溶剤との混合物を用いることが特に適していると判明している。炭化水素は、飽和炭化水素でも、あるいはオレフィン系または芳香族の不飽和炭化水素でもよいが、飽和炭化水素の方が好ましい。極性溶剤中のヘテロ原子としては、特に、O、NおよびSが適している。少なくとも1個のへテロ原子は酸素原子であることが望ましいが、その場合、この酸素原子は、極性溶剤の構造式中に、ヒドロキシル基、カルボニル基、エーテル基、カルボキシル基、あるいは、例えばエステル基、アミド基またはカルボキシレート基などのカルボキシル誘導基の形で存在することが望ましい。好ましい極性溶剤は、水、アルコールおよびケトンである。最も好ましい極性溶剤は、アルコール、特に1〜8個の炭素原子を有する分枝状または直鎖状のまたは環状の飽和アルコールである。
アルコール、および、脂肪族並びに脂環式の炭化水素、特にエタノール、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンまたはオクタンが溶剤として好ましい。好ましい溶剤はエタノールまたはヘプタンである。
1種類のアルコールと、1種類の脂肪族または脂環式の炭化水素との溶剤の混合物が特に好ましい。特に、エタノールまたはイソプロパノールと、ヘキサンまたはシクロヘキサンまたはヘプタンまたはオクタンとの混合物が好ましい。エタノールとヘプタンとの混合物が特に好ましい溶剤であることが明らかになっている。
このような溶剤を使用する条件の下で、均質な低濃度のカップリング剤物質、すなわち有機ケイ素化合物および/または有機チタン化合物をシリコーン薄膜の上に塗布することができる。溶剤の含量は、有機ケイ素化合物および/または有機チタン化合物の含量が1〜20重量%、特に2〜10重量%となるように選定する。
しかし、カップリング剤組成物が溶剤を全く含まず、有機ケイ素化合物および/または有機チタン化合物の含量が90重量%超、特に99重量%超になることも、完全に有利になる場合がある。これによって、例えば、VOC規定によって課せられる制限または短所を回避することができ、あるいは、場合によっては溶剤が惹起するシリコーン薄膜の特性変化をなくすことができる。
カップリング剤組成物はさらに別の構成要素を含むことができる。別の構成要素としては、UV吸収剤および蛍光増白剤が特に適している。蛍光増白剤は例えば品質管理に用いることができる。すなわち、熱硬化性シリコーン被膜の製造時にカップリング剤組成物の塗布が行われたか否かを、UV光を制御することによってトレーサとして確定することができる。このような蛍光増白剤はUV光を吸収し、可視光、通常は青色光を放射する。1つの好ましい蛍光増白剤は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Speciality Chemicals)のCiba Uvitex(登録商標)OBである。さらに別の適切な蛍光増白剤は、例えば、カーク−オスマー(Kirk−Othmer)著「化学技術百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」、第4版、第11巻、227−241頁、ジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley&Sons)、ニューヨークに記載されている。
熱可塑性の材料およびその上の熱硬化性の被膜はさまざまな程度において透明であるので、熱硬化性のシリコーン被膜と結合した接着剤を、熱可塑性の材料およびその上に存在する熱硬化性のシリコーン被膜を貫通して届くUV放射に対して防護し得るように、UV吸収剤を使用することができる。このようなUV防護は、とりわけポリウレタン接着剤の場合に非常に有利である。UV吸収剤は、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズのTinuvin(登録商標)製品系列のような有機性のものでもよいし、あるいは、例えば色素顔料特にカーボンブラックまたは二酸化チタンのような無機性のものでもよい。
カップリング剤組成物はイソシアネート基を有する化合物を含まないことが望ましい。すなわち、このようなイソシアネート基含有化合物がカップリング剤組成物中に存在すると、それによって製造される熱硬化性シリコーン被膜が機械的に軟弱化することが確認された。反応性に富むイソシアネート基が、焼き付け前または焼き付け中にシリコーン組成物と反応し、従ってシリコーン組成物の橋かけ結合が妨げられると推測される。
シリコーン組成物は、専門家には周知の種々の塗布法、例えば吹き付け、浸漬、ロール被膜、その他の方法で塗布することができる。シリコーン組成物の乾燥薄膜層の厚さは、基本的におよそ5〜15マイクロメートルである。数層を順次に塗布することもできる。
さらに、シリコーン組成物の熱可塑性プラスチックに対する良好な付着を確実にするために、シリコーン被膜を塗布する前に、プラスチックプライマーを熱可塑性プラスチックの上に塗布しなければならないことが必要になることもある。このプラスチックプライマーの層厚は、通常、0.1〜3マイクロメートルである。ここで、かつ本明細書の全体において、「プラスチックプライマー」という用語を、シリコーン組成物塗布前に熱可塑性プラスチック上に塗布されるプライマーを意味するものと理解する。
さらに、UV遮蔽物質または色素を含む中間層を設けることが有利になることがある。このような中間層は、美観上または装飾的観点のみからでも望ましい場合がある。
中間層を設ける場合は、これを、熱可塑性プラスチックもしくはその上に付着形成された層の特定の表面部位にのみ設けることも可能で、必ず全面に設けなければならないわけではない。このための例として、自動車用のポリカーボネート窓ガラス板が挙げられる。このポリカーボネート板はその周縁にカバー用の中間層を有しており、その周縁において、接着剤がポリカーボネート板を車体フランジ、あるいはアルミニウムフレームまたはKTL塗装した鋼フレームと接着させる。
シリコーン組成物は、少なくとも部分的に乾燥しなければならない。すなわち、別の加工工程を実行し得るまで、ある時間を経過しなければならない。シリコーン組成物は、この時間内に薄膜を形成する。この場合、典型的には、溶剤の蒸発による少なくとも一部分の乾燥および/またはシリコーン組成物の反応性の構成成分の前反応が生じている。この部分乾燥時間の長さおよび乾燥の程度は、非常に変動性があり、シリコーン組成物の調製の詳細によって大きく変化する。しかし、それは、少なくともシリコーン組成物が薄膜(以下、シリコーン薄膜と称する)を形成するまでの長さである。この長さは、場合によっては、空気、特に加温空気を吹き付けることによって、あるいは、熱可塑性ポリマーを決められたフレーム内で軽く加温する(しかし明らかに焼き付け温度未満で)ことによって短縮することができる。しかし、乾燥時間は、通常は、少なくとも5分である。部分乾燥時間を、5〜60分、特に5〜30分、好ましくは5〜25分にすることが望ましい。
部分乾燥に続いて、生成したシリコーン薄膜上にカップリング剤組成物を塗布する。しかし、この塗布は、シリコーン組成物が完全に乾燥してしまう時点の前にすでに行うことができる。組成物の塗布は、基本的に非常に多様な方法で行うことができる。好ましい塗布方法は吹き付けである。この場合、場合によっては、目的に応じて1つの型を塗布したりあるいは部分領域を処理したりするために、マスクを用いることができる。塗布されるカップリング剤組成物の量は、状況によって存在する溶剤に応じて非常に大きく変化する。カップリング剤組成物は、シリコーン薄膜上に、10〜200g/m2、特に30〜100g/m2の量で塗布するのが好ましい。シリコーン薄膜上への有機ケイ素化合物および/または有機チタン化合物の塗布量が、0.02〜40g/m2、特に0.1〜20g/m2、好ましくは0.5〜10g/m2になることが望ましいとするべきである。
カップリング剤組成物の塗布は、2回以上の互いに前後するステップによって行うことができる。この場合、後続の塗布は、ウェット・オン・ウェット方式で、あるいは、先行塗布したカップリング剤組成物の乾燥後に塗布する方式で塗布することができる。相前後する2回のカップリング剤組成物塗布の間には、10秒〜1分の時間が置かれることが望ましい。複数回のカップリング剤組成物塗布によって、高濃度のカップリング剤物質、すなわち高濃度の有機ケイ素化合物および/または有機チタン化合物を、容易に、均等に塗布することができる。
カップリング剤組成物の塗布に引き続く主要なステップは乾燥工程である。このステップは、特に、場合によって存在する溶剤を焼き付け工程前に蒸発させるのに寄与する。これは、被膜のより良好な表面品質を保証するために、加工の安全技術の面から有利なあるいは好ましいステップである。蒸発工程がなければ、状況によっては、被膜の焼き付け中に脱離する溶剤によって、表面品質に問題が生じる可能性がある。しかし、溶剤を含まないカップリング剤組成物の場合には、このような乾燥は通常必要でない。
カップリング剤組成物の乾燥時間は、使用される溶剤によって大きく異なり、一般的に、10秒〜1日、特に10秒〜5分、好ましくは30秒〜3分である。
加工工程は、一般的に、乾燥によって制限されて遅れを蒙ることは全くない。カップリング剤組成物を塗布する場所と焼き付けを行う場所との間の輸送時間は、通常、カップリング剤組成物の乾燥時間よりも大幅に短いからである。
さらに、カップリング剤組成物の塗布は通常シリコーン組成物が完全に乾燥する前に行われるので、カップリング剤組成物の追加的な塗布と場合によって必要なその乾燥とによっても、通常、加工工程の遅れは全く生じない。
カップリング剤組成物の塗布後に、場合によってはその乾燥後に、被膜を、80℃〜200℃の温度で焼き付ける。焼き付けの温度および時間は、基本的にシリコーン組成物および熱可塑性プラスチックに合わせて調整する。
一般的に、焼き付けは、100〜140℃、特に120〜130℃の温度において、通常30〜90分、特に40〜60分の焼き付け時間行われる。焼き付け工程の間焼き付け温度を一定にするのではなく、温度変化曲線に従って焼き付けることが有利になる可能性がある。焼き付けは一般に炉内で行う。熱可塑性プラスチックに対する熱硬化性シリコーン被膜を製造するためのシリコーン組成物の焼き付けのさらなる詳細については、シリコーン組成物の説明書においてすでに言及されている現行技術から、専門家には周知である。
焼き付け工程によってシリコーン被膜は硬化する。すなわち、シリコーン被膜は硬化変性し、網目構造を形成する。現在のところ実験的な証明はないが、上記に述べた熱硬化性シリコーン被膜は、カップリング剤組成物に由来する組成物を、シリコーン被膜/熱可塑性プラスチックの境界面近傍におけるよりも表面近傍において比較的に、より高濃度で含んでいると考えられる。
熱硬化性シリコーン被膜は際立った長時間安定性を有しており、特に応力亀裂の形成が全くないかあるいは僅かしかない傾向を有する。これによって、被膜の長寿命を保証することができる。
このように製造された熱硬化性シリコーン被膜は、意外なことに、種々の接着剤によるプライマーなしの接着にきわめて良く適合している。
シリコーン被膜を、シリコーン薄膜上にカップリング剤組成物を塗布するステップなしで製造すると、接着剤プライマーを使用しない場合、付着は得られないのである。ここで、かつ本明細書の全体において、「接着剤プライマー」という用語を、接着剤を塗布するあるいは塗布することができる熱硬化性シリコーン被膜上に塗工されるプライマーを意味するものと理解する。
カップリング剤組成物を、シリコーン組成物塗布後にウェット・オン・ウェット方式で直接塗布すると、すなわち、シリコーン被膜を少なくとも部分的に乾燥してシリコーンの薄膜を形成するステップなく熱硬化性シリコーン被膜を製造すると、同様に、接着剤プライマーを使用しない場合、付着は得られない。
カップリング剤組成物を焼き付け後に塗布して、焼き付け前に塗布しなければ、これも一般的に同様に、接着剤プライマーを使用しない場合、付着は得られない。
好ましい接着剤は、エポキシ樹脂ベースのもの、(メタ)アクリレート基を有するモノマーまたはオリゴマーベースのもの、アルコキシシラン末端化プレポリマーベースのもの、またはイソシアネート末端化プレポリマーベースのものである。
エポキシ樹脂ベースの適切な接着剤としては、その1つに、二成分形の接着剤が考えられる。この接着剤では、1つの成分がアミン硬化剤またはメルカプタン硬化剤を含み、第2の成分がビスフェノールAまたはビスフェノールFまたはビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテルを含む。このような二成分形エポキシ樹脂接着剤の例として、シーカ・スイス(株)(Sika Schweiz AG)から商業的に入手し得るSikadur(登録商標)製品系列のようなものがある。
エポキシ樹脂ベースの適切な接着剤として、さらに一成分形の加熱硬化エポキシ樹脂接着剤が挙げられる。この接着剤は、通常、高温において初めて遊離しあるいは活性化する硬化剤を含んでいる。このような硬化剤の例はジシアンジアミド(ダイサイ:dicy)である。特に好ましい一成分形の加熱硬化エポキシ樹脂接着剤は、例えば欧州特許出願公開第1 359 202 A1号明細書に開示されているような、高い耐衝撃性を有するものである。一成分形の加熱硬化エポキシ樹脂接着剤の例として、シーカ・スイス(株)から商業的に入手し得るSikaPower(登録商標)製品系列のようなものがある。
(メタ)アクリレート基を有するモノマーまたはオリゴマーベースの適切な接着剤としては、特に二成分形の室温硬化(メタ)アクリレート接着剤が考えられる。この接着剤は、第一成分に、ラジカル開始剤、特に有機性の過酸化物、好ましくは過酸化ベンゾイルを含み、第二成分に(メタ)アクリレート基を有するモノマーまたはオリゴマーを含む。二成分形の室温硬化(メタ)アクリレート接着剤の例は、シーカ・スイス(株)から商業的に入手し得るSikaFast(登録商標)製品系列である。
アルコキシシラン末端化プレポリマーベースの適切な接着剤としての一成分形水分硬化性接着剤は、いわゆるMSポリマーまたはアルコキシシラン末端化ポリウレタンプレポリマーであり、特に、ポリオールおよびイソシアネートからイソシアネート活性化有機シランまたはイソシアネート官能化有機シランの結合反応によって調製されるようなものである。
一方、イソシアネート末端化プレポリマーベースの適切な接着剤として、二成分形のポリウレタン接着剤が考えられる。その第一成分はアミンまたはポリオールを含み、第二成分はNCO含有プレポリマーを含む。このような二成分形の室温硬化ポリウレタン接着剤の例は、シーカ・スイス(株)から商業的に入手し得るSikaForce(登録商標)製品系列である。
イソシアネート末端化プレポリマーベースの適切な接着剤として、さらに、反応性ポリウレタン−ホットメルト接着剤が考えられる。この接着剤は、熱可塑性のポリマーと、イソシアネート末端化プレポリマーまたは熱可塑性のイソシアネート末端化プレポリマーとを含んでいる。この反応性ポリウレタン−ホットメルト接着剤は、加熱溶解され、一方では冷却によって硬化し、他方では空気中の水分との反応によって橋かけ構造になる。
イソシアネート末端化プレポリマーベースの適切な接着剤として、またさらに、一成分形の水分硬化性ポリウレタン接着剤が考えられる。この接着剤は、水分、特に空気中の水分の影響の下で橋かけ反応する。このような一成分形の水分硬化性ポリウレタン接着剤の例は、シーカ・スイス(株)から商業的に入手し得るSikaFlex(登録商標)およびSikaTack(登録商標)製品系列である。
上記に言及したイソシアネート末端化プレポリマーは、ポリオール、特にポリオキシアルキレンポリオールと、ポリイソシアネート、特にジイソシアネートとから調製される。
イソシアネート末端化プレポリマーベースの接着剤が好ましい。
接着の際には、接着剤を、熱硬化性のシリコーン被膜と、その被膜を接着剤プライマーによって先行して前処理することなく接触させる。接着においては、さらに、熱硬化性シリコーン被膜を、接着剤によって別の接合相手部材と接着する。
接着は、一方では、接着剤を熱硬化性シリコーン被膜上に塗布し、続いて別の接合相手部材をそれと接着させるか、あるいは、接着剤を最初に別の接合相手部材上に塗布し、続いて熱硬化性シリコーン被膜をそれと接着させることによって行うことができる。さらにまた、熱硬化性シリコーン被膜と別の接合相手部材との間に形成される隙間に、接着剤を圧入することが可能である。接着剤を熱硬化性シリコーン被膜と別の接合相手部材との両者に塗布し、続いてこれらを互いに結合するというさらに別の塗布法は好ましくない方法である。
接合相手部材の接合後、接着剤は硬化し、それによって接合相手部材を恒久的に結合する。この方法で形成された結合体は、種々の環境条件において恒久的な付着性を備えており、高い機械的負荷を支えることができる。
熱硬化性シリコーン被膜は接着剤プライマーで前処理しないが、接着前にそれを清浄化しておくことはきわめて有利になり得る。このような清浄化は、特に清拭、基本的には軽質の揮発性溶剤による清拭を含む。溶剤は、特に被膜に対して不活性なものでなければならない。この場合は、さらに、接着剤を清浄化された表面に塗布する前に、あるいはそれと接触させる前に、溶剤が可能な限り完全に除去されたことを見届けるべきである。
別の接合相手部材は多様な材料のものとすることができる。一方ではプラスチック、他方では金属が好ましく、最後にガラスおよびガラスセラミックも好ましい。プラスチックとしては、接着技術において通常使用されるプラスチックを関連材料と見做すことができる。特に好ましい場合は、この別の接合相手部材が、同様に、熱硬化性シリコーン被膜、もしくは熱硬化性シリコーン被膜で被覆された熱可塑性プラスチックである場合である。従って、この別の接合相手部材を、本発明による熱硬化性シリコーン被膜、もしくはそれで被覆された熱可塑性プラスチックと同じものにすることも可能である。
金属としては、特に、鉄、アルミニウム、銅、クロムの金属および合金が好ましい。特に好ましいのは、鋼およびアルミニウム並びにその合金である。金属は塗装しておくことが特に望ましい。塗料としては、特に自動車用塗料が好ましい。
ガラスおよびガラスセラミックも同様に好ましい基材である。特に、フロートガラスとよばれるガラス、およびそれから製造される物品、特に窓ガラス板が好ましい。ガラスセラミックとしては、特に、スクリーン印刷法で塗布され、続いて焼き付けられるものが望ましい。
別の接合相手部材は、接着前にプライマーまたはカップリング剤組成物で前処理することもできるし、あるいはしなくてもよい。これは、接合相手部材の材料、もしくはその結合が用いられるべき環境条件に強く依存している。
別の実施形態においては、熱硬化性シリコーン被膜を、反応性の、あるいは熱可塑性の材料でカバーする。この場合は、特に、例えば一成分形または二成分形のポリウレタンのような反応性の材料で、RIM(反応射出成形:Reaction Injection Molding)法によってカバーするか、あるいは、例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU)のような熱可塑材を塗布することによってカバーする窓ガラス板を対象にしている。
このように形成された結合体は、乗り物、特に自動車またはその部品であることが好ましい。接着されたモジュールを用いること、あるいは、構成要素を製造ラインにおいて接着することは、自動車製造において頻繁に行われる。
本発明による被膜で被覆された透明なプラスチック製の窓ガラス板、特にポリカーボネート製の窓ガラス板を、乗り物、特に自動車の車体に接着することは特に好ましい。この場合、接着は、通常フランジまたはフレーム材に対して行われる。車体、もしくはフランジまたはフレームは、一般的には塗装した金属から製造されている。特に好ましい実施形態は、天窓および横窓の窓ガラス板である。
本発明の別の好ましい実施形態は、本発明による熱硬化性シリコーン被膜で被覆したポリカーボネート製のヘッドランプレンズ、もしくは、このようなヘッドランプレンズとヘッドランプハウジングとの接着から生まれるヘッドランプである。
本発明の実施形態のさらに別の可能性は、本発明による熱硬化性シリコーン被膜で被覆された熱可塑性プラスチックの用途分野、特にこのような材料を接着する、あるいは接着しなければならない用途分野から明らかになる。
そこで、本発明による熱硬化性シリコーン被膜で被覆された熱可塑性プラスチックは、例えば、電灯のケーシング、安全めがね、白熱灯のカバー、表示装置のカバー、安全ガラスおよび安全窓ガラス板、屋根部材、CDまたはDVDその他のようなデータ記録媒体等としての製造に、特に、これらの対象物の製造に接着剤が用いられる場合、あるいは、これらの対象物を他の接合相手部材と接着する場合に、用いることができる。
熱可塑性プラスチックの新しい用途、つまりOLED(有機発光ダイオード:Organic Light Emitting Diode)シート用の用途も、同様に本発明の対象である。この場合、熱可塑性プラスチックの中に、電流印加によって目的に応じた光を励起することが可能であり、このため情報表示に使用し得る有機分子が埋め込まれている。このようなOLEDの作動態様および製造法については、例えば、Matthias Rehan著「電導性プラスチック(Elektrische leitfaehige Kunststoffe)」『現代の化学(Chemie in Unserer Zeit)』誌、2003年、p.17−30、または米国特許第6,703,184号明細書、または米国特許第5,247,190号明細書からすでに知られている。このようなOLEDは、OLED表示装置用のシートとして使用することができる。OLED表示装置は、ケンブリッジ・テクノロジー(Cambridge Technology)およびコダック(Kodak)から販売されている。このOLEDシートの保護用として、熱硬化性シリコーン被膜を有する熱可塑性プラスチックを本発明による方法によって被膜処理することができるのである。このシートは、特に、コンピュータ用の薄い表示ユニットとして適しており、また、広告目的用の情報記録媒体としても用いることができる。このシートの重要な特性は、その薄さと、それから生じる柔軟性とにある。この柔軟性によって、従来の情報技術では実現し得ないような情報の表現が可能になる。このため、このシートは巻くことが可能であり、または立体形体の輪郭形状に完全に適合させ得るので、複雑な形状を実現することができる。
これらすべての用途において、熱硬化性シリコーン被膜で被覆したポリカーボネート製のシートを接着することが特に望ましいことが共通している。従って、接着剤プライマーによる処理なしで施工し得る本発明による熱硬化性シリコーン被膜は、技術的および経済的利点を明示している。
有機ケイ素化合物および/またはチタン化合物を不活性雰囲気においてそれぞれの溶剤に攪拌しながら添加し、続いてさらに1時間攪拌して、表2によるカップリング剤物質HV1〜HV8を調製した。続いて、カップリング剤組成物をガラス瓶に移して密封した。
[熱硬化性シリコーン被膜の製作]
すべての被膜試験は、23℃かつ50%相対湿度で行った。基板として、バイエルのMakrolon(登録商標)AL2647ポリカーボネート板を使用した。寸法10cm×15cm×3mmの板を、使用前に、イソプロパノールを浸み込ませたフーゼル油を含まない布切れで清拭することによって清浄化し、続いて3分間乾燥した。
すべての被膜試験は、23℃かつ50%相対湿度で行った。基板として、バイエルのMakrolon(登録商標)AL2647ポリカーボネート板を使用した。寸法10cm×15cm×3mmの板を、使用前に、イソプロパノールを浸み込ませたフーゼル油を含まない布切れで清拭することによって清浄化し、続いて3分間乾燥した。
シリコーン組成物としては、いずれもGEシリコーンズから販売されているPHC587およびAS4700を使用した。AS4700を用いる場合は、まず、ポリカーボネート板を、それ用に推奨されているGEシリコーンズのプラスチックプライマーSHP470Basecoatで流れ被膜処理し、すなわち、噴霧瓶を用いて垂直に置かれた板にプラスチックプライマーを均等にスプレーし、この位置で20分間空気乾燥させた。続いて被膜処理した板を、25分間、125℃で空気循環炉の中で加熱処理した。
それぞれ、PHC587は、垂直に置かれた清浄化ポリカーボネート板に、AS4700は、垂直に置かれた上記プライマー処理ポリカーボネート板に、噴霧瓶を用いて垂直に置かれた板に均等にスプレーし、表3〜7に「Tx」として表示される部分乾燥時間、垂直位置において乾燥させ、引き続いて、各カップリング剤組成物HV1〜HV8、もしくはSika(登録商標)活性剤(SA)を、50g/m2の量で、垂直に置かれた板に吹き付けによって塗布した。特定の実験(B11、B14、B17、B20およびB25)においては、この吹き付けを、その後すぐにさらにもう1度実行したので、塗布量は2倍になった。引き続いて、表3〜7に「Ty」として表示される時間待機し、その後、垂直に保持された被膜処理済み試験体を125℃もしくは130℃に温度調節された空気循環炉内で焼き付けた。この場合、AS4700ベースのシリコーン被膜の場合は125℃で45分間、PHC587ベースのシリコーン被膜の場合は130℃で50分間保持して焼き付けた。
このように製作した熱硬化性シリコーン被膜を3時間の範囲内で冷却した後、このシリコーン被膜に接着剤を塗布し、以下に述べるような付着を確立した。
この熱硬化性シリコーン被膜の表面上に、一成分形の水分硬化性ポリウレタン接着剤Sikaflex(登録商標)221(「SF221」)、SikaTack(登録商標)Plus(「STP」)およびSikaTack(登録商標)Ultrafast(「STUF」)(すべてシーカ・スイス(株)から商業的に入手し得る)のそれぞれの丸いビードを、押し出しカートリッジおよびノズルを用いて塗布した。
接着剤は、7日間の室内環境保管(「KL」)(23℃、50%相対湿度)の硬化時間後と、引き続いて7日間23℃の水中で水中保管(「WL」)した後と、引き続いて7日間70℃、100%相対湿度において湿布保管(「CP」)した後とに試験した。
接着剤の付着は「ビード試験(Raupentest)」によって試験した。この場合、ビードの端部を接着面のすぐ上で切開する。切開されたビードの端部を丸先ペンチで固く保持して基板から引っ張る。これは、ビードをペンチの先端上に慎重に巻き取ることによって、かつ切開面をビード引っ張り方向に垂直に位置させることによって、未塗布の清浄な基板部分まで行う。ビードを引き剥がす速度は、約3秒ごとに1回の切開を行わなければならないように選定するべきである。試験の範囲は少なくとも8cmに等しくなければならない。ビードを引き剥がした後基板上に残留する接着剤(接着剤の凝集破壊部分)を評価する。付着特性の判定は付着面の凝集破壊部分を査定することによって行われる。すなわち、
1=接着剤の凝集破壊部分が>95%
2=接着剤の凝集破壊部分が75〜95%
3=接着剤の凝集破壊部分が25から75%
4=接着剤の凝集破壊部分が<25%
5=接着剤の凝集破壊部分が0%(純粋に接着が剥脱)
1=接着剤の凝集破壊部分が>95%
2=接着剤の凝集破壊部分が75〜95%
3=接着剤の凝集破壊部分が25から75%
4=接着剤の凝集破壊部分が<25%
5=接着剤の凝集破壊部分が0%(純粋に接着が剥脱)
添付記号「B」は、熱硬化性シリコーン被膜がポリカーボネートから剥離し、従ってシリコーン被膜が弱い部位を表すことを示している。通常、75%未満の接着剤凝集破壊部分を有する試験結果は不十分とみなされる。
表3の付着結果は、カップリング剤組成物の塗布によって、特に、室内環境保管後および水中保管後に大きく改善されることを示している。一方、参考シリコーン被膜R1、R2およびR3の場合は、付着が達成されなかった。湿布保管後の付着は、接着剤およびカップリング剤組成物に応じて、同様に部分的に目立つ改善を確認することができる。
表4の付着結果は、表3においてB1をB2と比較した場合と同様に、シリコーン薄膜上に塗布されるカップリング剤物質の量が限界値を超えると、参考実施例と比較して、付着が大幅に改善されることを示している。他方、この結果は、また、部分乾燥時間があまりに短いと(Tx=1分)、付着の改善が全くないか、あるいはごく僅かなものにしかならないことを示している。カップリング剤組成物を塗布することによって、特に室内環境保管後および水中保管後に、付着が大幅に改善される一方、参考シリコーン被膜R1、R2およびR3においては、付着は全く実現されていない。湿布保管後の付着の場合は、接着剤およびカップリング剤組成物に応じて、同様に部分的に目立つ改善を確認することができる。さらに、特に、有機ケイ素化合物/有機チタン化合物の混合物(HV8、SA)を含むカップリング剤組成物は、特にSikaflex(登録商標)221の場合に大きな付着改善をもたらすことが示されている。
表5には、表3および表4のものとは異なる他のシリコーン組成物ベースの熱硬化性シリコーン被膜の付着が記載されている。表3の類似のシリコーン被膜と比較すると、確かのある種の差異が示されている。しかし、この場合も、本発明によるシリコーン被膜の付着が、参考被膜に比較して一般的に大幅に改善されていること、および、有機チタン化合物を含有するカップリング剤組成物の使用が、大幅な付着改善、特に湿布保管後の改善をもたらしていることが明らかである。
表6、表7および表8は、カップリング剤組成物の塗布のステップを、製造工程の正しい位置に配置することが重要であることを示している。
熱硬化性シリコーン被膜をカップリング剤組成物の追加なしに製作し、すなわち現行技術に合致するハードコートシリコーン被膜を製作し、実施例R8およびR11のように、焼き付けおよび冷却後に、カップリング剤組成物を浸み込ませた、フーゼル油を含まない布切れでカップリング剤組成物を塗布すると、本発明によるシリコーン被膜のB9およびB22の場合とは対照的に、付着の改善は全く見られず、付着は、参考被膜R1、R2、R3、R4、R5およびR6への付着と同様に不良であった。
同様に、R7においては、シリコーン組成物を部分乾燥することなくカップリング剤組成物を塗布した、すなわちウェット・オン・ウェット方式(Tx=0)で塗布したが、接着剤の付着はほとんど改善されていない。
表8の実施例R11〜R16においては、各シリコーン組成物に対して、100gのシリコーン組成物に1gのカップリング剤物質(=有機ケイ素化合物+有機チタン化合物)の添加量で、カップリング剤物質を添加した。しかし、この場合、有機チタン化合物を含むすべての試験、すなわちR11、R12、R14およびR15において、添加後直ちに沈殿が生じることが判明した。この不均質性のため、この組成物は被膜材料として使用不可能である。しかし、組成物R13およびR16は均質のままであった。しかしながら、この場合、上記のようなカップリング剤物質/シリコーン組成物のこの混合物を、熱可塑性プラスチック上(R13)もしくはプライマーで前処理された熱可塑性プラスチック上(R16)に塗布し、記載のように20分間の乾燥後に焼き付けて冷却した、本発明によらない熱硬化性シリコーン被膜は、付着の改善を全く達成していないことが明らかになった(表9)。
[シリコーン被膜の接着]
表10に示すシリコーン被膜上に、前もって接着剤プライマーを用いることなく、Sikaflex(登録商標)221のビードを塗布した。続いて、同様にプライマー処理なしもしくはプライマー処理した表10に示す接合相手部材の各材料の板を、接着剤ビードの上に、接着剤層の厚さが3mmになるように押し付けた。この結合を、23℃、50%相対湿度において7日間保管した。いずれの結合体も、くさびをハンマーで打ち込んでも接着を分離することはできなかった。
表10に示すシリコーン被膜上に、前もって接着剤プライマーを用いることなく、Sikaflex(登録商標)221のビードを塗布した。続いて、同様にプライマー処理なしもしくはプライマー処理した表10に示す接合相手部材の各材料の板を、接着剤ビードの上に、接着剤層の厚さが3mmになるように押し付けた。この結合を、23℃、50%相対湿度において7日間保管した。いずれの結合体も、くさびをハンマーで打ち込んでも接着を分離することはできなかった。
Claims (33)
- 熱可塑性プラスチックに対する熱硬化性シリコーン被膜の製造方法であって、次のステップ、すなわち、
熱可塑性プラスチックの表面上、またはプラスチックプライマーで処理された熱可塑性プラスチックの表面上にシリコーン組成物を塗布するステップと、
前記シリコーン組成物を少なくとも部分乾燥してシリコーンの薄膜を形成するステップと、
前記シリコーン薄膜上にカップリング剤組成物を塗布するステップと、
80℃〜200℃の温度で焼き付けるステップと、
を含むことを特徴とする製造方法。 - 前記シリコーン組成物が、水と、1種類の有機溶剤と、少なくとも1つのトリアルコキシシランRSi(OR’)3またはそのシラノールRSi(OR’)3−n(OH)nまたはその部分縮合物との混合物にコロイド状ケイ酸の水性分散系を含み、
ここで、
Rは、1〜3個の炭素原子を有するアルキル置換基または6〜13個の炭素原子を有するアリール置換基を表し、
R’は1〜3個の炭素原子を有するアルキル置換基を表し、
n=1、2または3である、
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 - R=メチルであり、かつ、R’=メチルであることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
- 前記シリコーン組成物の固形分含量が、10〜30重量%、特に15〜25重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記カップリング剤組成物が、少なくとも1種類の有機ケイ素化合物を含み、前記有機ケイ素化合物は、ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基と、炭素−ケイ素結合を介してケイ素原子に結合した少なくとも1つの有機置換基とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記カップリング剤組成物が、少なくとも1種類の有機チタン化合物を含み、前記有機チタン化合物は、酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合した少なくとも1つの置換基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記カップリング剤組成物が、少なくとも1種類の有機ケイ素化合物と、少なくとも1種類の有機チタン化合物とを含み、
前記有機ケイ素化合物は、ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基と、炭素−ケイ素結合を介してケイ素原子に結合した少なくとも1つの有機置換基とを有し、
前記有機チタン化合物は、酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合した少なくとも1つの置換基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。 - 酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合する前記少なくとも1つの置換基が、アルコキシ基、スルホネート基、カルボキシレート基、ジアルキルホスフェート基、ジアルキルピロホスフェート基、およびアセチルアセトネート基を含む群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
- 酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合する前記少なくとも1つの置換基が、アルコキシ基、スルホネート基、カルボキシレート基、ジアルキルホスフェート基、ジアルキルピロホスフェート基、およびアセチルアセトネート基を含む群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
- 前記有機ケイ素化合物が、次の式(I)または(II)または(III)の構造、すなわち、
R1は、直鎖状、または分枝状、場合によっては環状の、1〜20個のC原子を有するアルキレン基で、場合によっては芳香族部分を有し、また、場合によっては1個以上のヘテロ原子、特に窒素原子を有するアルキレン基を表し;
R2は、1〜5個のC原子を有するアルキル基、特にメチルまたはエチルを表し;
R3は、1〜8個のC原子を有するアルキル基、特にメチルを表し;
Xは、H、あるいは、オキシラン、OH、(メタ)アクリロキシ、アミン、SH、アシルチオおよびビニルを含む群から選択される官能基、好ましくはアミンを表し;
X1は、NH、S、S2およびS4を含む群から選択される官能基を表し;
X2は、Nおよびイソシアヌレートを含む群から選択される官能基を表し;
aは、値0、1、または2のいずれか、好ましくは0を表す)
の構造を有することを特徴とする請求項5または7または9に記載の製造方法。 - 前記置換基R1が、メチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、ブチレン基またはジメチルブチレン基、好ましくはプロピレン基であることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
- X=NH2またはNH2−CH2−CH2−NHであり、X1=NHであり、X2=Nであることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
- 前記カップリング剤組成物が、760Torrにおいて、25℃〜140℃、特に50℃〜120℃、好ましくは65℃〜99℃の沸点を有する少なくとも1種類の溶剤を含むことを特徴とする請求項5〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記カップリング剤組成物が、少なくとも1種類の炭化水素と、その構造式中に少なくとも1個のへテロ原子を有する少なくとも1種類の極性溶剤との混合物を含むことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
- 前記少なくとも1種類の溶剤が、アルコール、または脂肪族の炭化水素、または脂環式の炭化水素、特にエタノール、イソプロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンまたはオクタン、好ましくはエタノールまたはヘプタンであることを特徴とする請求項13または14に記載の製造方法。
- 前記カップリング剤組成物が、1〜20重量%、特に2〜10重量%の有機ケイ素化合物および/または有機チタン化合物の含量を有することを特徴とする請求項5〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記カップリング剤組成物を、前記シリコーン薄膜上に、10〜200g/m2、特に30〜100g/m2の量で塗布することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記シリコーン薄膜上への有機ケイ素化合物および/または有機チタン化合物の塗布量が、0.02〜40g/m2、特に0.1〜20g/m2、好ましくは0.5〜10g/m2であることを特徴とする請求項5〜17のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記熱可塑性プラスチックがポリカーボネートである、特に芳香族ポリカーボネートであることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記シリコーン組成物の部分乾燥を、5〜60分間、特に5〜30分間、好ましくは5〜25分間継続して行うことを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記焼き付けを、100〜140℃の温度において、特に30〜90分の焼き付け時間行うことを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法によって製造されることを特徴とする熱硬化性シリコーン被膜。
- 前記熱硬化性シリコーン被膜上に前もって接着剤プライマーを塗布することなく、接着剤を前記熱硬化性シリコーン被膜と接触させることを特徴とする、請求項22に記載の熱硬化性シリコーン被膜の接着方法。
- 前記熱硬化性シリコーン被膜を、接着剤によって別の接合相手部材と接着することを特徴とする請求項23に記載の接着方法。
- 前記別の接合相手部材がプラスチックであることを特徴とする請求項24に記載の接着方法。
- 前記別の接合相手部材が金属、特に塗装された金属であることを特徴とする請求項24に記載の接着方法。
- 前記別の接合相手部材がガラスまたはガラスセラミック、特に窓ガラス板であることを特徴とする請求項24に記載の接着方法。
- 前記別の接合相手部材を、前記接着前に、プライマーによって前処理することを特徴とする請求項24〜27のいずれか一項に記載の接着方法。
- 前記接着剤が、イソシアネート末端化ポリウレタンプレポリマーを含む一成分形の水分硬化性ポリウレタン接着剤であることを特徴とする請求項23〜28のいずれか一項に記載の接着方法。
- 請求項23〜29のいずれか一項に記載の接着方法によって製造され、前記接着剤が硬化している結合体。
- 前記結合体が乗り物、特に自動車、またはその部品であることを特徴とする請求項30に記載の結合体。
- 前記結合体が情報を表現するための表示装置であることを特徴とする請求項30に記載の結合体。
- 請求項5〜16中に記載されるカップリング剤組成物の、シリコーン被膜の接着剤の付着を改善するための使用。
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