JP2008505617A - 変異型ニューモリシンタンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、変異型肺炎連鎖球菌ニューモリシンタンパク質を含む免疫原性組成物に関する。本発明はさらに、かかるタンパク質及びこれらのタンパク質をコードする核酸に関する。特定の実施形態において、本発明は、単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質に関する。特定の実施形態において、変異型PLYタンパク質は、野生型タンパク質とは、上記領域内の置換又は欠失、例えば野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の欠失によって異なっている。

Description

本発明は、変異型肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシンタンパク質を含む免疫原性組成物に関する。本発明はさらに、かかるタンパク質及びこれらのタンパク質をコードする核酸に関する。
肺炎連鎖球菌は、肺炎、髄膜炎及び菌血症のような侵襲性疾患を引き起こす重要な病原体である。有効な抗生物質療法を自由に利用できる地域でさえ、肺炎球菌性肺炎に起因する死亡率は入院患者において19%にも達することがある。開発途上国では、毎年300万人を超える年齢5歳未満の小児が肺炎で死亡し、そのうち肺炎連鎖球菌は最大の原因因子である。肺炎連鎖球菌はまた、あまり重症ではないが高度に蔓延している感染症、例えば中耳炎及び副鼻腔炎を引き起こし、これらの感染症は先進国において医療費に大きな影響を与える。中耳炎は低年齢小児で特に重要である一方、副鼻腔炎は小児及び成人の両方において生じる。
米国ではPrevnar(登録商標)として、他の世界ではPrevenar(登録商標)としてWyeth から販売されている7価多糖複合ワクチン(conjugate vaccine)は、現在のところ肺炎連鎖球菌感染症に対する防御のために利用できる唯一の有効な複合ワクチンである(Kyaw et al, 2002;Hausdorff et al, 2000)。このワクチンは、可能性のある90のうち7の精製された連鎖球菌莢膜多糖(血清型4、6B、9V、14、18C、19F及び23F)を含み(Kalin, 1998)、それぞれはキャリアタンパク質と複合体形成している。かかるワクチンの製造は米国特許第4,673,574号(Anderson)に記載されている。莢膜多糖の複合体化に使用されるタンパク質は、幼児においてワクチンの免疫原性の増大を与えるジフテリアトキソイドCRM197である(Blum et al, 2000;Katkocin, 2000)。しかしながら、肺炎連鎖球菌の各血清型は構造的に明確に異なる莢膜多糖を有し、従って1の血清型による免疫は他の血清型の多くに対して防御を与えないが、幾分の交叉防御がワクチン関連血清型に対して生じる(Whitney et al, 2003)。
血清型特異的免疫に対して補完的な手法が研究されている。種共通毒性因子、例えばニューモリシン(PLY)、すなわち肺炎連鎖球菌の全ての感染性株により産生される53kDaトキシンを使用することにも可能性がある(Paton et al, 1993)。PLYは単独で又はPrevnar(登録商標)において多糖と複合体化したキャリアタンパク質として使用することができ、増大した効力を与えるものである。Alexander et al (1994) は、PLYトキソイドによるマウスの免疫が肺炎連鎖球菌の9の異なる血清型によるチャレンジにおいて免疫防御を与えることを示した。PLYは、肺炎連鎖球菌感染症と類似の免疫反応を古典的な補体経路の活性化(Paton et al, 1984)、並びに好中球及びマクロファージのアポトーシスの誘発(Cockeran et al, 2002;Kadioglu et al, 2000)によって刺激することが示されている。
PLYは、コレステロール結合細胞溶解素(CBC)のグループに属し、これは溶解性細孔を生成する大きな30〜50量体環構造の形成の前に宿主細胞膜のコレステロールに結合する(Palmer, 2001;Jedrzejas, 2001)。この細孔形成の機序は十分に理解されていないので、事象の順序に関しては多くの議論がある(Bonev et al, 2000;Shepard et al, 1998)。しかしながら、細孔形成能は天然PLYが極めて毒性であることを意味し、これは免疫原性組成物を開発する点で問題である。
製造に使用される複合体化プロセスはPLYを無毒性にしうるが、無毒性形態から出発することがいっそう好ましいだろう。さらに、毒性形態は、非複合体化免疫原性組成物の製造に使用するのが困難であろう。PLYの毒性は、ニューモリソイド(Pneumolysoid)として知られているPLYトキソイドを生成する部位特異的突然変異誘発によって著しく低減することができる(Paton, 1996)。
種々のかかるトキソイドが存在し、独立して又は多糖に複合体化してのいずれかで、感染性2 D39型肺炎連鎖球菌によるチャレンジに反応してマウスに免疫防御を与えることが示されている(Paton et al, 1991;Alexander et al, 1994)。大部分の突然変異は、以前にC’末端付近の高度に保存された11アミノ酸領域に作製された(Mitchell et al, 1992;Berry et al, 1995)。この部位は、宿主細胞への結合に関与することが示されている(de los Toyos et al, 1996)。PLYの多数のかかる突然変異形態は、国際特許出願WO90/06951号に記載されており、この刊行物に記載された突然変異のそれぞれは、タンパク質のC’末端に対するものである。
PLYに関するもう一つの問題は、それが大規模生産において凝集すること、すなわち、PLYを免疫原性組成物に使用するために解決せねばならない問題である。PLYの凝集は細孔形成に関与するPLYのオリゴマー化に関連があると考えられている。従って本発明は、PLY−PLY相互作用(オリゴマー化)を低減又は排除し、大規模生産中に凝集する可能性が減少し、それによって容易に精製された形態のPLYを生成しようと試みるものである。
Toyos et al (1996) は、PLYの種々の領域に対するモノクローナル抗体(mAb)を生成し、そしてトキシン全体及び「プロテイナーゼK切断(nicked)」形態を検出することを記載している。プロテイナーゼKはPLYを37kDa及び150kDa断片に切断する。抗体mAb PLY 4は、PLY全体だけを認識し、いずれの断片も認識しないため、このmAbに対するPLY上のエピトープは切断領域内にあることを示している。PLYをmAb PLY 4と共にプレインキュベートし、次いでリポソームに加えると、トキシンはその後リポソーム膜上に細孔を形成しない。これは、mAb PLY 4によりブロックされた部位(アスパラギンN143領域にあると考えられる)が、他のPLYモノマーと相互作用してオリゴマー細孔を形成する原因となる部位であることを意味する。ストレプトコッカス・エスピーに起因するストレプトリシンOのオリゴマー化は、Hugo et al, 1986 により示されたようにmAbによってもブロックすることができる。抗体がオリゴマー化部位に結合することによりオリゴマー化を直接防止するのかどうか、又はトキシンモノマーの相互作用を立体的に障害する会合があるのかどうかは不明である。
モノクローナル抗体PLY 4は、Suarez-Alvarez et al (2003)によってさらに特性決定されており、彼らはmAb PLY 4に対するエピトープがToyos et al, 1996によって最初に提案されたN143領域よりもさらに下流にあることを示唆している。現在は、認識の部位は、構造依存性であり、かつアミノ酸E151〜Y247内にあるがN143領域内にはないと考えられている。
以前に、PLY内のN142143欠失及びN143D置換は、この領域及びオリゴマー化におけるその役割を理解する初期の一歩として本発明者によって作製された。両方の変異型の特性決定により、溶血及び細孔形成に関して天然型PLYと同一の挙動が明らかとなり(Search, 2002)、このことは、オリゴマー化はブロックされず、変異型の毒性は不変のままであることを示唆している。このように、以前に作製された変異型PLY形態は、低減した毒性又は低減したオリゴマー化を示さず、このことはこれらの突然変異が免疫原性組成物の製造に役立たないだろうことを示唆している。
本発明は、広範には、変異型肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシンタンパク質を含む免疫原性組成物に関する。本発明はさらに、かかるタンパク質及びこれらのタンパク質をコードする核酸に関する。
従って、一つの態様において、本発明は、単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している、単離されたニューモリシン(PLY)タンパク質に関する。突然変異は、野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内に位置することができる。
突然変異は、野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の1又は複数のアミノ酸の欠失又は置換でありうる。
変異型PLYタンパク質は、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失によって異なりうる。
例えば、変異型PLYタンパク質は、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の置換又は欠失によって、例えばアミノ酸バリン144及びプロリン145、アラニン146及びアルギニン147、メチオニン148及びグルタミン149、又はチロシン150及びグルタミン酸151などの欠失によって異なりうる。
上記変異型PLYタンパク質のいずれも、野生型配列のアミノ酸257〜297、367〜397又は424〜437の少なくとも1つの領域内に少なくとも1つのアミノ酸の置換又は欠失をさらに含んでもよい。
単離された変異型PLYタンパク質は、哺乳動物に対し低減した毒性を有する。これは典型的には、野生型PLYタンパク質と比べて、低減した溶血活性及び/又は低減したオリゴマー化活性と関連しうる低減した細孔形成活性を有する結果である。変異型PLYタンパク質は低減したオリゴマー化活性を有し、精製及び後続の操作を容易にすることが望ましいが、必ずしもそうではない。
別の態様において、本発明は、(a)単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質、及び(b)単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している単離されたニューモリシン(PLY)タンパク質、を含む免疫原性複合体に関する。突然変異は、野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内に位置することができる。
突然変異は、野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失でありうる。
免疫原性複合体の変異型PLYタンパク質は、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失によって異なりうる。
例えば、免疫原性複合体の変異型PLYタンパク質は、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の置換又は欠失によって、例えばアミノ酸バリン144及びプロリン145、アラニン146及びアルギニン147、メチオニン148及びグルタミン149、又はチロシン150及びグルタミン酸151などの欠失によって異なりうる。
免疫原性複合体の変異型PLYタンパク質のいずれも、野生型配列のアミノ酸257〜297、367〜397又は424〜437の少なくとも1つの領域内に少なくとも1つのアミノ酸の置換又は欠失をさらに含んでもよい。
免疫原性複合体の単糖、オリゴ糖又は多糖は、肺炎連鎖球菌に由来するものでありうる。
別の態様において、本発明は、a)変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質をコードする核酸配列;又はb)a)に定義される核酸配列に対し相補的な核酸配列を含む、単離され精製された核酸配列を提供する。
突然変異は、野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内に位置することができる。
突然変異は、野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失でありうる。
核酸配列は、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失によって異なっている変異型PLYタンパク質をコードすることができる。
例えば、核酸配列は、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の置換又は欠失によって、例えばアミノ酸バリン144及びプロリン145、アラニン146及びアルギニン147、メチオニン148及びグルタミン149、又はチロシン150及びグルタミン酸151などの置換又は欠失によって異なっている変異型PLYタンパク質をコードすることができる。
上記核酸配列によりコードされる変異型PLYタンパク質は、上記のいずれであってもよく、そして野生型配列のアミノ酸257〜297、367〜397又は424〜437の少なくとも1つの領域内に少なくとも1つのアミノ酸の置換又は欠失をさらに含んでもよい。
さらに別の態様において、本発明は、変異型PLYタンパク質をコードする上記単離され精製された核酸配列のいずれかを含む組換え発現ベクター、並びにかかる組換え発現ベクターが形質転換された、トランスフェクトされた、又は感染した組換え宿主細胞を提供する。
別の態様において、本発明は、本発明の単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質を作製する方法であって、a)宿主細胞に上記組換え発現ベクターを形質転換し、トランスフェクトし又は感染させ、該宿主細胞を、該宿主細胞により該変異型PLYタンパク質の発現が可能な条件下にて培養するステップ、及びb)変異型PLYタンパク質を培養物から回収するステップを含む方法を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、a)上記の非複合体化形態での又は免疫原性複合体の一部としての、単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質、及びb)1又は複数の生理学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体、を含む免疫原性組成物を提供する。
突然変異は、野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内に位置することができる。
突然変異は、野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失でありうる。
組成物の単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質は、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失の存在によって異なりうる。
例えば、変異型PLYタンパク質は、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の置換又は欠失によって、例えばアミノ酸バリン144及びプロリン145、アラニン146及びアルギニン147、メチオニン148及びグルタミン149、又はチロシン150及びグルタミン酸151などの置換又は欠失によって異なりうる。
免疫原性組成物は、上記の非複合体化形態での又は免疫原性複合体の一部としての、上記変異型PLYタンパク質であって、野生型配列のアミノ酸257〜297、367〜397又は424〜437の少なくとも1つの領域内に少なくとも1つのアミノ酸の置換又は欠失をさらに含む変異型PLYタンパク質のいずれを含んでいてもよい。
従って、免疫原性組成物は、
a)(i)連鎖球菌、例えば肺炎連鎖球菌に由来する単糖、オリゴ糖又は多糖;及び(ii)単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質、を含む免疫原性複合体;並びに
b)1又は複数の生理学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体
を含みうる。組成物は、複数の肺炎連鎖球菌亜型の単糖、オリゴ糖又は多糖を含んでいてよい。
さらなる態様において、本発明は、対象哺乳動物に、a)単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質;及びb)1又は複数の生理学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体、を含む免疫原性組成物を投与するステップを含む、哺乳動物のための予防方法に関する。
免疫原性組成物は、a)(i)単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質;及び(ii)上記の単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質、を含む免疫原性複合体を含有していてよい。
別の態様において、本発明は、免疫原性組成物の製造における本発明の単離された変異型PLYタンパク質又は免疫原性複合体のいずれかの使用に関する。本発明はまた、本発明の変異型タンパク質又は免疫原性複合体を製薬上許容される担体と混合するステップを含む、免疫原性組成物の製造方法を提供する。
本発明の免疫原性組成物は、細菌感染症の予防又は治療のために使用することができる。特に、それらは、免疫学的にPLYと交叉反応性であり、すなわち、PLYに結合するであろう抗体によって結合され得る、コレステロール結合細胞溶解素(例えば、Palmer, 2001 参照)を有する細菌による感染症の予防又は治療のために有用である。しかし好ましくは、細菌は連鎖球菌、好ましくは肺炎連鎖球菌である。
別の態様において、本発明は、医療処置の方法に使用するための本発明の単離された変異型PLYタンパク質又は免疫原性複合体を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、免疫原性組成物の製造方法であって、本明細書に記載する単離された変異型PLYタンパク質を準備するステップ;及び変異型タンパク質を、単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質と複合体化するステップを含む方法に関する。上記方法における変異型タンパク質は、肺炎連鎖球菌多糖と複合体化していてよい。本方法は、こうして得られた複合体を製薬上許容される担体と混合するステップをさらに含むことができる。
また別の態様において、本発明は、免疫原性組成物における使用に適した候補変異型PLYタンパク質をスクリーニングする方法であって、変異型PLYタンパク質を準備するステップ、変異型タンパク質を溶血活性について試験するステップ、変異型PLYタンパク質をオリゴマー化活性について試験するステップ、並びに変異型PLYタンパク質の溶血活性及びオリゴマー化活性を非変異型タンパク質と比較するステップを含む方法に関する。
PLYは、コレステロール結合細胞溶解素(CBC)のグループに属する。野生型ニューモリシンのアミノ酸配列を図1に示す。図1は、NCBI-GenBank Flat File Release 141.0, April 15 2004 に由来する配列のGenBank同定番号も示している。
本発明は、溶血活性及び/又はオリゴマー化の低減の反映として低減した毒性を有する、野生型PLYタンパク質のアミノ酸144〜161の領域内に突然変異を有する多数のPLY形態の確認に基づいている。この領域のコンセンサス配列は、次のとおりである:VPARMQYEKITAHSMEQL(図1参照)。
一つの態様において、本発明は、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の突然変異によって異なっている変異型PLYタンパク質に関する。この領域のコンセンサス配列は、次のとおりである:VPARMQYE(図1参照)。
変異型はアミノ酸144〜161、例えば144〜151の領域内に1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失を有しうる。
従って、本発明の全ての態様において、変異型ニューモリシンは、野生型配列のアミノ酸144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160又は161の1又は複数のアミノ酸において、突然変異、例えば置換又は欠失を有しうる。
本発明はさらに、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の置換又は欠失によって異なっている変異型PLYタンパク質に関する。かかる二重変異体の例は、アミノ酸バリン144及びプロリン145、アラニン146及びアルギニン147、メチオニン148及びグルタミン149、又はチロシン150及びグルタミン酸151の置換又は欠失を含むものである。
これらの変異型PLYタンパク質は、それら自体で、1又は複数の生理学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体とともに免疫学的組成物に使用される。
あるいは、これらの変異型PLYタンパク質は、同一又は異種生物に由来する単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質と複合体化させて、1又は複数の生理学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体とともに免疫学的組成物に使用される複合体を形成する。従って、変異型PLYが複合体化する単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、連鎖球菌、例えば肺炎連鎖球菌に由来するものとしうる。それらは細菌莢膜に由来するものであってよい。
非複合体化又は複合体化形態のいずれにおいても、免疫原性組成物に含まれる変異型PLYタンパク質は、予防又は治療において使用される。
非複合体化又は複合体化形態のいずれにおいても、変異型PLYタンパク質は、野生型配列のアミノ酸257〜297、367〜397又は424〜437の少なくとも1つの領域内に少なくとも1つのアミノ酸の置換又は欠失をさらに含んでいてよい。これらのさらなる置換又は欠失は、Paton et alの公開国際特許WO90/06951号に記載されている。
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載した単離された変異型PLYタンパク質を含む免疫原性組成物が提供される。一つの実施形態において、免疫原性組成物は肺炎連鎖球菌免疫原性組成物である。
変異型PLYタンパク質は、哺乳動物における免疫原性活性を保持することができる。「哺乳動物における免疫原性」とは、哺乳動物の免疫系が変異型PLYタンパク質に対する抗体を産生し、そしてこれらの抗体が野生型PLYタンパク質も認識することを意味する。同様に、野生型PLYタンパク質に対する哺乳動物抗体は、変異型PLYタンパク質も認識するだろう。好ましくは、変異型タンパク質はヒトにおいて免疫原性である。好ましくは、変異型PLYタンパク質は、野生型VPARMQYEKITAHSMEQL又はVPARMQYE配列に結合する抗体を産生する哺乳動物免疫系を刺激しうる。
一つの実施形態において、突然変異は、野生型タンパク質のオリゴマー化に関与するPLYタンパク質の領域内に存在する。
理論に拘束されるものではないが、変異型PLYタンパク質は、野生型PLYタンパク質と比べて低減した細孔形成活性の結果として、低減した毒性を有すると考えられる。これは、低減したオリゴマー化活性及び/又は低減した溶血活性に関連すると考えられる。毒性は直接測定することができる。あるいは、可能性ある毒性の指標を得るために細孔形成、オリゴマー化及び溶血の1又は複数を測定してもよい。
欠失及び置換は、低減した毒性を有するPLY変異型タンパク質を得るために使用できる突然変異の例である。非保存的置換は、非保存的突然変異を有する変異型が保存的置換を有するものよりも野生型レベルを保持する可能性が低いので、PLY変異型の毒性を低減するために特に適することがある。
保存的置換は、アミノ酸クラス内の置換及び/又は以下に示すようにBLOSUM62マトリックスにおいてポジティブスコアの置換と定義することができ、従って、非保存的置換は、アミノ酸クラス間の置換、又はBLOSUM62マトリックスにおいてポジティブスコアではない置換と定義することができる。
1つの分類によれば、アミノ酸クラスは、酸性、塩基性、非荷電極性及び非極性であってよく、酸性アミノ酸はAsp及びGluであり、塩基性アミノ酸はArg、Lys及びHisであり、非荷電極性アミノ酸はAsn、Gln、Ser、Thr及びTyrであり、そして非極性アミノ酸はAla、Gly、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、Trp及びCysである。
別の分類によれば、アミノ酸クラスは、小さい親水性、酸/酸アミド/親水性、塩基性、小さい疎水性及び芳香族であり、小さい親水性アミノ酸はSer、Thr、Pro、Ala及びGlyであり、酸/酸アミド/親水性アミノ酸はAsn、Asp、Glu及びGlnであり、塩基性アミノ酸はHis、Arg及びLysであり、小さい疎水性アミノ酸はMet、Ile、Leu及びValであり、そして芳香族アミノ酸はPhe、Tyr及びTrpである。
BLOSUM62マトリックスにおいてポジティブスコアの保存的置換は、下記のとおりである。
Figure 2008505617
本発明の変異型ニューモリシンタンパク質は、図1に示すように、好ましくは野生型配列と少なくとも80%のアミノ酸同一性を有する。突然変異は、野生型配列と少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性又は少なくとも95%の同一性を有する。
参照配列に対するパーセント(%)アミノ酸配列同一性は、いずれの保存的置換も配列同一性の一部として考慮しないで必要に応じて最大の%配列同一性を得るために配列をアライメントさせてギャップを挿入した後の、参照配列におけるアミノ酸残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基の割合(%)として定義される。%同一性値は、WU−BLAST−2によって決定することができる(Altschul et al., Methods in Enzymology, 266:460-480 (1996))。WU−BLAST−2では幾つかの検索パラメーターが使用され、それらの大部分はデフォルト値に設定される。調節可能なパラメータは、次の値で設定される:重複スパン=1、重複フラクション=0.125、ワード閾値(T)=11。%アミノ酸配列同一性値は、参照配列の残基の総数(無視されるアライメントスコアを最大にするためにWU−BLAST−2により参照配列に挿入されたギャップ)で除した、WU−BLAST−2により決定した一致同一残基の数に100を乗じて決定される。
パーセント(%)アミノ酸類似性は、BLOSUM62マトリックスにおいて正の値をスコアする残基が集計される以外は、同一性と同じように定義される。従って、同一ではないが類似の特性を有する残基(例えば保存的置換の結果として)も集計される。
アミノ酸144〜161、例えば144〜151の領域内のアミノ酸挿入も、PLY変異型の毒性を低減するために使用することができる。例えば、1、2、3、4、5、10、15、20又はそれ以上のアミノ酸の挿入を使用することができる。しかしながら、欠失又は置換は一般的に挿入よりも好ましい。なぜならば、それらは野生型エピトープを破壊する可能性が少なく、かかる破壊は、免疫原性組成物において望ましくない変異型タンパク質の免疫原性を低減することがあるためである。
本発明の別の態様において、変異型PLYタンパク質は、単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質と複合体化して免疫原性複合体を形成している。この態様において、変異型PLYタンパク質は、その免疫原性を保持していてもよいし、又はその免疫原性は除去されていてもよい。いずれの場合にも、変異型PLYタンパク質は、複合体における単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質の免疫原性を向上するのに役立つ。
かかる単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、変異型PLYタンパク質と、任意の好適な方法でそれぞれ複合体化する。例えば、(1)タンパク質官能基による直接共役(例えば、チオール−チオール結合、アミン−カルボキシル結合、アミン−アルデヒド結合、酵素直接共役);(2)アミンの同質二官能性共役(例えば、ビス−アルデヒドを用いる):(3)チオールの同質二官能性共役(例えば、ビス−マレイミドを用いる);(4)光活性化試薬による同質二官能性共役;(5)アミンのチオールへの異質二官能性共役(例えば、マレイミドを用いる);(6)光活性化試薬(例えば、β−カルボニルジアゾファミリー)による異質二官能性共役;(7)臭化シアン活性化によるアミン反応基の多糖又はオリゴ糖への導入;(8)異質二官能性化合物、例えばマレイミド−ヒドラジドによるチオール反応基の多糖又はオリゴ糖への導入;(9)疎水性基のタンパク質への導入によるタンパク質−脂質複合体化、及び(10)反応基の脂質への導入によるタンパク質−脂質複合体化が挙げられるが、これらに限定されない。また、異質二官能性「非共役結合」技術、例えばビオチン−アビジン相互作用も想定される。複合体化技術の包括的な概説については、Aslam and Dent (1998)を参照されたい(以下、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質とタンパク質との複合体化のさらなる方法は、米国仮出願第60/530,480号及び第60/530,481号に記載されており、両者とも2003年12月17日出願であり、両者とも全体が参照により本明細書に組み込まれる。
さらに、Kuo et al.への米国特許第5,565,204号は、かかる多糖を野生型PLYタンパク質と複合体化する方法を記載しており、その方法は、かかる多糖を本発明の変異型PLYタンパク質と複合体化するためにも適している。
本発明の免疫原性組成物は、複合体化免疫原性組成物であってよい。各免疫原性組成物は、野生型PLYタンパク質の生物源(肺炎連鎖球菌)に由来するものであってよい1又は複数の単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を含んでいてよい。非限定的な例において、かかる成分は生物の莢膜に由来するものでありうる。
一つの実施形態において、単糖、オリゴ糖又は多糖は、肺炎連鎖球菌の2以上の血清型に由来する。特定の血清型は、免疫原性組成物のために意図される使用及び標的集団におけるこれらの血清型の有病率に依存するだろう。
別法として、単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、異種生物(すなわち、肺炎連鎖球菌以外の生物)に由来する。単糖、オリゴ糖又は多糖の場合、複数の血清型は、限定するものではないが、髄膜炎菌(例えば血清型A、C、Y及びW135)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)から得ることができる。
本発明の一定の態様において、変異型PLYタンパク質は、肺炎連鎖球菌の別のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質と複合体化している。あるいは、変異型PLYタンパク質は、異種生物、例えばヒトに由来するペプチド、ポリペプチド又はタンパク質と複合体化している。例えば、変異型PLYタンパク質は、病原性ウイルス、細菌、真菌若しくは寄生虫、又は(2)癌細胞若しくは腫瘍細胞、又は(3)アレルゲンに対するアレルギー反応を調節するためにIgEの産生を妨害するためのアレルゲン、又は(4)脊椎動物宿主におけるアミロイド沈着を特徴とする疾患を予防若しくは治療するためのアミロイド前駆体タンパク質(APP)、に由来する別のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質と複合体化している。
変異型PLYタンパク質と複合体化しているAPPの部分は、β−アミロイドペプチド(Aβペプチドとも呼ばれる)であってよく、これはAPPをβ及びγセクレターゼ酵素で処理することによって作り出される(APP)の内部39〜43アミノ酸の断片である。かかるペプチドの例は、Aβ1−42ペプチドであり、次のアミノ酸配列を有する:
Asp Ala Glu Phe Arg His Asp Ser Gly Tyr Glu Val His His
Gln Lys Leu Val Phe Phe Ala Glu Asp Val Gly Ser Asn Lys
Gly Ala Ile Ile Gly Leu Met Val Gly Gly Val Val Ile Ala
Aβ成分はさらに、変異型PLYタンパク質と複合体化した断片の形態で投与することができる。かかる断片の非限定的な例としては、Aβ1−3、1−4、1−5、1−6、1−7、3−7、3−8、3−9、3−10、3−11、1−10及び1−12が挙げられる。PLY以外のタンパク質と複合体化したAβ及びその断片の使用は、国際特許出願WO99/27944号及びWO00/72880号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の別の態様は、対象哺乳動物に、本明細書に記載した突然変異を有する単離されたPLYタンパク質であって、本明細書に記載したように非複合体化又は複合体化されている変異型PLYタンパク質を含有する免疫原性組成物を投与するステップを含む、哺乳動物のための予防又は治療方法を提供する。典型的には、本方法は、野生型ニューモリシンと免疫学的に交叉反応するコレステロール結合サイトリシンを有する細菌の1又は複数の種又は株、特に連鎖球菌、とりわけ肺炎連鎖球菌による感染症の予防又は治療を意図している。他の種及びそれらのサイトリシンとしては、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(ペルフリンゴリシンO)、ストレプトコッカス・インターメジウス(インターメジリシン)、バチルス・アルベイ(アルベオリシン)、炭疽菌(Bacillus anthracis;アントロリシン)、セレウス菌(Bacillus cereus;セレオリシン)、リステリア・イバノビイ(イバノリシンO)、クロストリジウム・ノービ(ノービリシン)、アルカノバクテリウム・ピオゲネス(ピオリシン)、リステリア・シーリゲリ(シーリゲリオリシンO)、クロストリジウム・セプチカム(セプチコリシン)、化膿連鎖球菌(S. pyrogenes;ストレプトリシンO)、ストレプトコッカス・スーイス(スーイリシン)、破傷風菌(Clostridium tetani;テタノリシン)、リステリア・モノサイトゲネス(リステリオリシンO)、ストレプトコッカス・エクイシミリス(ストレプトリシンO)、ストレプトコッカス・カニス(ストレプトリシンO)、バチルス・チューリンギエンシス(チューリンギオリシン)、バチルス・ラテロスポルス(ラテロスポロリシンO)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum;ボツリノリシン)、クロストリジウム・ショウベイ(ショウベオリシン)、クロストリジウム・ビファーメンタンス(ビファーメントリシン)、ソルデル菌(C. Sordellii;ソルデリリシン)が挙げられる(例えば Palmer 2001 参照)。
本発明の免疫原性組成物の投与方法は、変異型PLYタンパク質が単独で投与されるか又は免疫原性複合体の一部として投与されるかにかかわらず、免疫防御的量のタンパク質を被験体に送達する任意の好適な経路によることができる。かかる一つの経路は、非経口経路、例えば筋肉内又は皮下投与による経路である。所望により、他の投与方法、例えば、粘膜経路、例えば経口、直腸、口腔若しくは鼻腔内投与によって、又は他の非経口的経路、すなわち、皮内又は静脈内経路を採用することもできる。
一般的に、免疫原性組成物は、生理学的に許容される担体又は賦形剤、例えば、滅菌水又は滅菌等張生理食塩水、並びにヒトへの投与に適合するあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む医薬製剤として通常提供されうる。適切な担体は、当業者には明らかであり、そして大部分は投与経路に依存するだろう。本発明の免疫原性組成物は、生理学的に許容される希釈剤、例えば滅菌水又は滅菌等張生理食塩水を含むこともできる。製剤は従来法により製造することができる。
しかしながら、任意の特定のレシピエント哺乳動物について具体的な投与レベルは、種々の因子、例えば年齢、全体的健康状態及び性別;投与時期;投与経路;投与される他の薬剤との相乗効果;並びに求められる防御の程度に依存することが理解されるだろう。言うまでもないが、投与は必要に応じて好適な間隔で繰り返すことができる。
哺乳動物はヒトであってよく、又はヒト以外の哺乳動物であってもよい。免疫原性組成物は任意の便利な方法で、例えば上記のように投与することができる。
本発明の免疫原性組成物は、1又は複数の生理学的に許容されるアジュバントを含むことができる。免疫原又は抗原と一緒に投与したときに免疫反応を増強する物質は、アジュバントとして知られている。多数のサイトカイン又はリンホカインは免疫調節活性を有することが示されており、従ってアジュバントとして使用することができる。それらの例としては、1−α、1−β、2、4、5、6、7、8、10、12(例えば、米国特許第5,723,127号参照、これは参照により本明細書に組み込まれる)、13、14、15、16、17及び18(及びその変異型)、インターロイキン−α、β及びγ、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF;例えば、米国特許第5,078,996号参照。これは参照により本明細書に組み込まれる、及びATCC受託番号39900)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、並びに腫瘍壊死因子α及びβが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において有用なさらに他のアジュバントとしては、ケモカインがあり、その例はMCP−1、MIP−1α、MIP−1β及びRANTESであるが、これらに限定されない。セレクチンのような接着分子、例えばL−セレクチン、P−セレクチン及びE−セレクチンも、アジュバントとして有用であり得る。さらに他の有用なアジュバントとしては、ムチン様分子、例えばCD34、GlyCAM−1及びMadCAM−1、インテグリンファミリーのメンバー、例えばLFA−1、VLA−1、Mac−1及びp150.95、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、例えばPECAM、ICAM、例えばICAM−1、ICAM−2及びICAM−3、CD2及びLFA−3、副刺激分子、例えばCD40及びCD40L、成長因子、例えば血管成長因子、神経成長因子、線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、B7.2、PDGF、BL−1及び血管上皮成長因子、受容体分子、例えばFas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2及びDR6が挙げられるが、これらに限定されない。さらに他のアジュバント分子としては、カスパーゼ(ICE)がある。国際特許公開WO98/17799号及びWO99/43839号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)も参照されたい。
免疫反応を増強するために用いられる好適なアジュバントとしては、MPLTM(3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A;Corixa, Hamilton, MT)がさらに挙げられるが、これに限定されず、これは米国特許第4,912,094号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。アジュバントとして使用するために同様に適するものは、合成脂質A類似体、あるいはアミノアルキルグルコサミンホスフェート化合物(AGP)又はその誘導体若しくは類似体であり、これらはCorixa(Hamilton, MT)から入手でき、そして米国特許第6,113,918号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。一つのかかるAGPは、2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]−2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル−アミノ]−β−D−グルコピラノシドであり、これは529としても知られている(以前はRC529として知られていた)。この529アジュバントは水溶液形態として又は安定なエマルジョンとして製剤される。
さらに他のアジュバントとしては、鉱油及び水エマルジョン、アルミニウム塩(ミョウバン)、例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムなど、Amphigen、Avridine、L121/スクアレン、D−ラクチド−ポリラクチド/グリコシド、プルロニックポリオール、ムラミルジペプチド、死滅ボルデテラ属、サポニン、例えば米国特許第5,057,540号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたStimulonTMQS−21(Antigenics, Framingham, MA.)、及びそれから作り出される粒子、例えばISCOM(免疫刺激複合体)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、細菌性リポ多糖、合成ポリヌクレオチド、例えばCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド(米国特許第6,207,646号、これは参照により本明細書に組み込まれる)、百日咳トキシン(PT)、大腸菌易熱性トキシン(LT)、特にLT−K63、LT−R72、又はPT−K9/G129が挙げられる。例えば、国際特許公開WO93/13302号及びWO92/19265号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
アジュバントとして同様に有用なものは、コレラトキシン及びその変異型であり、例えば公開国際特許出願WO00/18434号に記載されたものである(アミノ酸位置29のグルタミン酸が他のアミノ酸(アスパラギン酸以外)、好ましくはヒスチジンで置換されている)。類似のCTトキシン又は変異型は、公開国際特許出願WO02/098368号に記載されている(アミノ酸位置16のイソロイシンが別のアミノ酸で置換されている、この置換単独であるか又はアミノ酸位置68のセリンの別のアミノ酸での置換と組み合わせたもの;及び/又はアミノ酸の位置72のバリンが別のアミノ酸で置換されている)。他のCTトキシンは、公開国際特許出願WO02/098369号に記載されている(アミノ酸位置25のアルギニンが別のアミノ酸で置換されている;及び/又は1つのアミノ酸がアミノ酸位置49に挿入されている;及び/又は2つのアミノ酸がアミノ酸位置35及び36に挿入されている)。
変異型PLYタンパク質の溶血活性は、任意の好適な方法で決定することができる。本発明において使用される一つの特定のプロトコールは、次のとおりである。トキシンを、1.5mlの1×PBS(Oxoid)中の連続希釈物として調製した。等体積の2%(vol/vol)SRBC(ヒツジ赤血球)を各希釈物に加え、37℃で30分間インキュベートした。次いで溶液を3000rpmで5分間遠心分離してSRBC膜又は全細胞をペレットにした。上澄み液のヘモグロビン含有量をOD540nmで読み取り、トキシン濃度に対してプロットして、トキシン濃度に対する溶血度を得た。OD540nmが0.5=50%溶解。
好ましくは、変異型タンパク質は1μg/mlより高い濃度で、より好ましくは5μg/mlより高い濃度で、よりいっそう好ましくは10μg/mlより高い、25μg/mlより高い、又は35μg/mlより高い濃度で、そして最も好ましくは50μg/mlより高い濃度で、非溶血性である。溶血の決定は、上記のように行うことができる。
細孔形成活性の決定は、任意の好適な方法で決定することができ、好ましいプロトコールは、電子顕微鏡法(これにより細孔の数を可視化することが可能となる)によるSRBC膜の目視検査に基づく。このプロトコールをより詳細に以下に説明する。
幾つかの方法を使用して、細孔形成トキシンのオリゴマー化活性を分析することができる。例えば、Morgan et al (1993) に記載された分析超遠心を使用して、溶液中のトキシンのオリゴマー化を研究することができる。ショ糖密度勾配をトキシン結合赤血球に適用することができ、この場合、オリゴマーは高分子量画分中で観察され、そして他の赤血球膜タンパク質から分離される(Bhakdi et al, 1985;Saunders et al, 1989)。
溶液中の変異型PLYのオリゴマー化活性を野生型PLYと比較する一つの特定の方法は、Search (2002) により記載されたのと同様の方法で行われる蛍光アッセイを使用することである。簡単に説明すると、ANS(8−アニリノ−1−ナフタレン−スルホン酸)(Kodak Ltd.)は、外部蛍光としてPLYに結合する。水溶液中で、ANSは490nmにおいて弱い蛍光(JASCO FP−750蛍光分光計で読み取る)を有するが、疎水性環境中では、ANS蛍光は増大する。この現象は、ANS結合PLYモノマーの移動を溶液中で追跡することを可能にする。デオキシコール酸ナトリウム(BDH Laboratory供給)を使用して、ニューモリシンのオリゴマー化を誘導することができる。蛍光の増大は、野生型PLY及びANSがデオキシコール酸ナトリウムで処理されてトキシンが自己会合してANSを親水性環境から疎水性環境とした場合に観測される。誘導体化PLY、すなわち、モノマーのままであるようにジチオ(ビス)ニトロベンゾエートで化学的に修飾されたPLYは、デオキシコール酸ナトリウムで処理する場合に490nmにおける蛍光の増大をもたらさない。この実験から、変異型PLYは、モノマーのままであるならば、誘導体化PLYと同じ結果を与えるだろうと予測される。変異型PLYがWT PLYと同じ程度まで蛍光性であることがわかった場合には、変異型PLYはオリゴマー化すると結論付けることができる。
本発明のタンパク質及び組成物の毒性は、変異型をヒト以外の試験動物、例えばげっ歯動物に投与することにより、直接決定することができる。変異型の毒性は、野生型タンパク質の毒性と比較することができる。毒性の好適な指標は、例えば生存率、動物の行動及び炎症(これは、例えば気管支肺胞洗浄液中での炎症性サイトカイン産生により決定できる)である。好適なプロトコールは以下の実施例に記載される。
本発明はさらに、免疫原性組成物の製造方法であって、
本明細書に記載した突然変異を有し、かつ野生型PLYタンパク質と比べて低減した溶血活性を有する単離された変異型PLYタンパク質であって、哺乳動物において免疫原性である変異型PLYタンパク質を準備するステップ;及び
変異型タンパク質を、単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質と複合体化するステップ
を含む方法を提供する。
本発明のもう一つの態様によれば、変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質をコードする核酸配列、又はかかる核酸配列に対し相補的な核酸配列であって、ここで変異型タンパク質が哺乳動物において免疫原性である、単離され精製された核酸配列が提供される。本発明のさらなる態様は、かかる配列と相補的な核酸配列を提供する。
核酸配列は、遺伝暗号の縮退に基づくタンパク質配列から誘導することができる。
本発明の核酸配列は、追加の調節配列、例えば、プロモーター又はリプレッサーを含むことができる。核酸配列は、発現ベクター、例えば、プラスミド、人工染色体、カセットなどに含めることができる。
本発明のさらに別の態様によれば、本明細書に記載した変異型PLYタンパク質を発現する単離され精製された核酸配列を含む組換え発現ベクターが形質転換された、トランスフェクトされた、又は感染した組換え宿主細胞が提供される。一つの実施形態において、細胞は原核細胞である。
本発明のさらに別の態様によれば、免疫原性組成物における使用に適した候補変異型PLYタンパク質をスクリーニングする方法であって、
変異型タンパク質を準備するステップ;
変異型タンパク質を溶血活性について試験するステップ;
変異型タンパク質をオリゴマー化活性について試験するステップ;並びに
変異型タンパク質の溶血活性及びオリゴマー化活性を非変異型タンパク質と比較するステップ
を含む方法が提供される。
タンパク質の非変異型形態と比べて低減した溶血活性及びオリゴマー化活性を有する変異型タンパク質は、免疫原性組成物の製造のための良好な候補となりうる。
本方法は、変異型タンパク質を標的哺乳動物における免疫原性活性について試験するステップをさらに含むことができる。これは、変異型タンパク質を非変異型タンパク質に対する抗体と接触させるステップを含むことができる。これはin vivo又はin vitroで行うことができる。
本明細書に記載した発明は、低減した毒性、溶血及び細孔形成を示すニューモリシンの欠失変異型に関する。データは、Δ6 PLYが7μg/投与で、2μg/投与のWY PLYと比べてマウスに対し悪影響を与えないことを示している。
それでもなお、本発明者により作製され本明細書に記載したN143残基周辺の種々の突然変異は、mAb PLY 4を用いるウエスタンブロット法によって依然として認識され、このことはPLY上のこの高度に抗原性の部位が変化していないことを示している。突然変異の部位はエピトープ走査によって高度に抗原性であることが示されており、そしてヒト血清及びウサギ過免疫血清の両者によって認識される(Salo et al, 1993)。
作製された全ての変異型は、ニューモリシンの形態であることが確認された。mAb PLY4が変異型を認識するという事実は、エピトープがこの抗体にもはや特異性でないような程度には変化していないことを示している。この領域内のより大きな欠失は、mAbPLY4によって認識されない変異型を生成するだろう。この領域は高度に免疫原性であることが確認されているので(Salo et al, 1993)、本発明者が作製した欠失においてこの部位が無傷のままであることは、免疫原性組成物における使用に関して有用である。
本明細書に記載した無毒性変異型は、オリゴマー化に関与すると提唱された部位内にある(de los Toyos et al, 1996)。1つの精製されたトキソイド、Δ6 PLYのさらなるin vitro特性決定によって、それがネズミ線維芽細胞又は赤血球に対して細胞毒性ではないことが明らかとなった。これは、オリゴマー化(細孔形成)が防止されているので、宿主細胞膜はΔ6 PLYによって溶解されないことを示唆している。WT PLYで処理したSRBC膜上の細孔は容易に目に見えるが、Δ6 PLYで処理した膜上では細孔が観察されなかった。Δ6 PLYで処理した膜を可視化のためのグリッドにEMで固定化することは困難であった。これは、Δ6 PLYを用いた溶血アッセイで見られる膜の凝集のためであり得る。SRBCを用いたΔ6 PLYの溶血アッセイで観察された血液凝集効果は、Δ6 PLYモノマーが宿主細胞膜に依然として結合することを示唆している。宿主細胞膜への結合の可視化を可能にするΔ6 PLYの標識された形態を作製した。結合アッセイ(データは示さず)から、Δ6 PLYが宿主細胞膜に結合しなかったことが確認された。Δ6 PLYモノマー間には弱いアフィニティがあるかもしれず、モノマーの架橋を可能にするが真のオリゴマーの形成を可能にしない。赤血球に結合するΔ6 PLYモノマーに加えてΔ6 PLYモノマーのこの架橋は、96ウェルプレートで観察されるマトリックスを生成することができた。Δ6 PLY変異型の作製によって、オリゴマー化段階はブロックされたが、宿主細胞結合/認識は無効とならなかったことが提案される。
この仮説は、変異型及び野生型タンパク質のeGFP標識形態を用いて決定して、Δ146 PLYが細胞膜と依然として会合できるが、Δ146 PLYが細胞膜において細孔を形成しないという知見によって支持される。それどころか、長鎖のタンパク質が細胞表面において見られ、これは正しくオリゴマー化して細孔を形成できない自己会合タンパク質であり得る。
Δ6 PLYでのin vivo処置によって、処置後24時間で炎症性サイトカインIL−6は増加しなかった。WT PLYで処置したマウスは、生理食塩水対照及びΔ6 PLY処置よりも10倍多いIL−6を産生することが見出された。このデータは、Δ6 PLYによる処置が天然PLYに関する炎症性副作用を誘発しなかったことを確立した。WT PLY処置により、投与部位において局在化炎症反応が生じた。気管支肺胞洗浄液におけるこの局在化IL−6産生は、リクルートされた好中球(Kadioglu, 2000)、及び肺組織の上皮細胞よりも多くのIL−6を産生する肺胞マクロファージ(Kerr, personal communication 2003)に起因するようである。
野生型PLYは肺全体を激しく損傷したが、Δ6 PLYで処置した肺は健康なままであった。WT PLYで処置したマウスの気道で観察された大量の総タンパク質は、宿主タンパク質の流入を特徴としていた(Rubins & Janoff, 1998)。PLYは、以前は接着結合の破壊に関係があるとされ(Rayner et al, 1995)、宿主タンパク質が毛細管/気道障壁の破壊によって気道内に「漏洩」するのを可能にする。Δ6 PLYによる低い炎症反応及び肺の破壊がないことは、Δ6 PLYが宿主細胞膜において細孔形成オリゴマーを生成できないことと相関する。
WT PLYでのマウスの処置はまた、Δ146 PLYで処置した動物では見られない持続性低体温反応を引き起こすことが示された。
本発明のこれら及び他の態様を、下記の非限定的な実施例により添付の図面を参照して説明する。
ニューモリシンの部位特異的突然変異誘発
野生型ニューモリシンに由来する8つの二重アミノ酸欠失を、Quikchange(登録商標)部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を用いて作製した。鋳型プラスミドは、予めPLYが挿入された高発現ベクターpKK233−3(Clontech Laboratories)とした。適切なアミノ酸を欠失するように設計されたプライマー(下記の表1参照)はSigma-Genosysに注文した。PLYのN143領域に及ぶように下記の欠失を作製した:
134135136137138139140141142143144145146147148149150151
ここで、(Δ1)W134135、(Δ2)Q136137、(Δ3)Y138139、(Δ4)Q140141、(Δ5)V144145、(Δ6)A146147、(Δ7)M148149、(Δ8)Y150151(表2参照)。N142143は予め作製した欠失であり(Search (2000))、プロテイナーゼKはPLYを2つの断片に切断する。
Figure 2008505617
Figure 2008505617
タンパク質の発現及び精製
野生型(WT)及び変異型PLYを以前に記載されたように大腸菌において発現させ、回収した(Mitchell et al, 1989)。細胞を、卓上細胞破砕器(Constant Systems Ltd)を用いて破砕し、細胞質タンパク質を13,000rpmで30分間遠心分離することにより得た。フェニルエーテルマトリックスによる疎水性相互作用クロマトグラフィ(PE20, Applied Biosystems)を用いて、BioCAD(RTM)700E還流クロマトグラフィワークステーション(Applied Biosystems)によりPLYを精製した。溶離した画分をSDS−PAGE上で泳動させ、標準的プロトコールを用いてクーマシー染色し、純粋なPLYを含む画分をプールした。
定量的溶血アッセイ
精製タンパク質の溶血活性を、Walker at al.(1987)により報告されたアッセイに基づくアッセイを用い、1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Oxoid)中の2%(vol/vol)ヒツジ赤血球(SRBC)(E & O laboratories)溶液を用いて評価した。プールした画分を、minicon B15臨床サンプル濃縮器(Millipore)を用いて濃縮した。トキシンを1.5mlの1×PBS(Oxoid)中の連続希釈物として調製した。等体積の2%(vol/vol)SRBCを各希釈物に加え、37℃で30分間インキュベートした。次いで溶液を3000rpmで5分間遠心分離してSRBC膜又は全細胞をペレットにした。上澄み液のヘモグロビン含有量をOD540nmで読み取り、トキシン濃度に対してプロットして、トキシン濃度に対する溶血度を得た。OD540nmが0.5=50%溶解。
大まかな溶血アッセイは、これらの変異型の4つ、すなわち欠失5〜8が、非溶血性であったことを明らかにした。定量的溶血アッセイにおける精製Δ6 PLY(A146147)のさらなる分析(図3)によって、それが50μg/mlの濃度で非溶解性であるが、1μg/ml未満のWT PLYはSRBCに対して溶血性であったことが明らかになった。Δ5 PLY及びΔ6 PLYの精製調製物は、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて赤血球を凝集させるが細胞を溶解しないことが観察された。この効果は濃度依存性であった。
電子顕微鏡法
200μlの2%(v/v)SRBC溶液を等体積の0.2mg/ml WY PLY又はΔ6 PLYとともに37℃で20分間インキュベートし、次いで卓上型遠心分離機で遠心分離してSRBC膜をペレットにした。膜をdHOで3回洗浄し、100μlのdHOに再懸濁した。5μlの懸濁液を炭素被覆グリッド上に固定し、1%リンタングステン酸、pH6.8でネガティブ染色した。倍率はLEO 912エネルギーフィルター透過電子顕微鏡を用いて×25000とした。
30〜40μmの細孔が0.2mg/mlのWT PLYで処理した赤血球膜上で可視化された(図5)。これに対し、0.2mg/mlのΔ6 PLYで処理した膜上では細孔は可視化されなかった。
ウエスタンブロット法
部位特異的突然変異誘発により作製したPLY変異型を、標準的技術を用いたウエスタンブロットで検出した。ブロットを、ウサギ由来のポリクローナル抗PLY血清又はマウス由来のモノクローナルPLY 4抗PLY血清(de los Toyos et al, 1996)とともにインキュベートし、次いで適切なHRP結合抗体(Amersham Life Sciences)とともにインキュベートし、現像した。
作製した8つの二重アミノ酸欠失のうち全てが、de los Toyos et al (1996) より作製されたポリクローナル抗PLY血清(示さず)及びmAb PLY(図2)を用いたウエスタンブロット法によって認識された。
L929死滅アッセイ
L929ネズミ線維芽細胞(ECACC, no.85011425)をRPMI1640培地+10%ウシ胎仔血清(FBS)(Gibco)中で培養し、継代させて96ウェルプレートに移し、37℃、5%COで24時間インキュベートした。精製されたWT PLY及び変異型Δ6 PLYトキシンの連続希釈物を、0.05mg/mlのストック濃縮物からRPIM1640培地中で調製し、L929線維芽細胞に加えた。PLYとの24時間インキュベーションでの細胞生存を、ミトコンドリア活性により分解されて紫色ホルマザン沈殿物になるMTT(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)(Sigma)を用いて評価した。ウェル中のMTTは死滅細胞と一緒であれば、黄色のままとなる。光学密度はMRXプレートリーダー(Dynatech Laboratories)により540nmで読み取った。
L929ネズミ線維芽細胞を用いた細胞毒性アッセイを行って、変異型Δ6 PLYの毒性をWT PLYと比べて評価した(図4)。30μg/mlの濃度で、Δ6 PLYは線維芽細胞に対して毒性でなかったが、500pg/ml未満のWY PLYは細胞毒性であった。
in vivoでのサイトカイン分析
8週齢のMF−1マウス(Harlan)を、2%ハロタン/1.5%酸素(1.5リットル/分)(Zeneca)で軽く麻酔した。LPS不含の精製WT PLYを2μg/投与で、及びΔ6 PLYを7μg/投与(9.928ngのLPS/投与)で50μlの体積として鼻腔内投与し、食塩水グループを対照とした(各処置のためにn=4)。精製トキシンのリポ多糖(LPS)の含有量を、カブトガニ変形細胞溶解物(LAL)Kinetic−QCLキット(BioWhittaker)を用いて決定し、製造業者の指示に従って行った。マウスを24時間終点までモニターした。血清、気管支肺胞洗浄液及び肺組織のサンプルを回収し、以前に記載されたように処理した(Kerr, et al. 2002)。サイトカインレベルを、市販のサイトカインELISAキットを用いてインターロイキン(IL)−6、インターフェロン(IFN)−γ(Pharmigen)及び腫瘍壊死因子(TNF)−α(R&D systems, UK)について測定した。洗浄液中の総タンパク質レベルを、標準的ブラッドフォードアッセイを用いて測定した。
マンホイットニーU検定によるノンパラメトリック分析を用いてサイトカインレベル及び総タンパク質レベルを測定し、p<0.05は統計的に有意であると考えられた。値は、Statview(Abacus Concepts)を用いた中央値±1中央値絶対偏差(MAD)として表される。
in vivo毒性研究の一部として、全体的症状を確かめた。WT PLYグループ由来の1頭を除いて全てのマウスが処置後24時間生存した。Δ6 PLY及び生理食塩水で処置したマウスはWT PLYを与えたマウスよりも速やかに麻酔から回復した。Δ6 PLY処置マウスの行動は生理食塩水対照と類似していたが、WT PLY処置マウスは6時間の期間にわたって立毛、呼吸困難及び猫背の姿勢を示し、24時間の時間スケール内に回復した。
次に、炎症性サイトカイン分析を行った。IL−6産生を、宿主に対するPLYの毒性マーカーとして測定した。WT PLY処置マウスの気管支肺胞洗浄液には、Δ6 PLY処置(p<0.05)及び生理食塩水対照(p<0.05)と比べて10倍を超えるIL−6の増加があった(図7)。WT PLYでの処置は宿主気道に炎症を誘発したが、Δ6 PLYでの処置は誘発しなかった。WT処置気管支肺胞洗浄液中の中央IL−6レベルは416pg/ml(335〜2225pg/mlの範囲)であったが、バックグラウンドIL−6レベルは低く(59pg/ml)、Δ6 PLYで処置したマウスでは増加しなかった(36pg/ml)(以下の表3参照)。IL−6レベルの増加は、生理食塩水対照と比べてWT処置マウスの肺組織において観察された(p<0.05)(図6)。Δ6処置マウスの肺組織には、生理食塩水対照と比べて有意なIL−6増加はなかった。IFN−γ及びTNF−αの測定値は、投与後24時間に処置間で有意性がなかった(データは示さず)。
Figure 2008505617
総タンパク質レベル(図8)を気管支肺胞洗浄液中で測定して、肺の全体を評価した。タンパク質レベルの増加は、健康洗浄液サンプルと比較してΔ6 PLY処置マウスについては観察されなかった。WT PLY処置マウスの気道は、生理食塩水対照グループについての0.23mg/mlのバックグラウンド総タンパク質レベルと比べて多量のタンパク質(3.57mg/ml)を有していた(図8)。
マウス免疫原性の研究
マウス免疫原性の研究を行って、野生型PLYタンパク質の反応をΔ5、Δ6及びΔ7変異型タンパク質と比較した。全ての免疫原性組成物は、アジュバント、AlPO(0.2mg)及びMPL−SE(50μg)の組み合わせの存在下に5μgのrPLY/投与で調製した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のAlPO(0.2mg)及びMPL−SE(50μg)を、陰性対照として用いた。
5頭の6〜8週齢雌CD−1マウスのグループを腹腔内免疫し、2週間の間隔で2回の追加免疫用量を与えた。血液を、0、2、4及び6週目に眼窩後部で採取した。個々の血清をアッセイし、GMTは0.3で終点を示した。0週目の抗体は全て<50であった。表4に示すように、3つのPLY変異型は、マウスにおいて野生型PLYによって誘発されたものに匹敵する抗体を誘発した。
Figure 2008505617
抗PLY抗体の生成
野生型PLY又はΔ6 PLYで免疫したマウスにおいて生じさせた抗PLY抗体のレベルを、20μgのWT PLY又はΔ6 PLY、それぞれ100μgのミョウバン/100μl用量の初回皮下注射でMF−1マウスを免疫することによって決定した。次いでマウスを同じ投与量で2回追加免疫した。免疫プロトコールの47日目に血清を採取し、抗PLY IgG抗体について分析した。抗体希釈曲線は、血清連続希釈に対するグループ平均OD490nm±SEMとして図9に示されている。より濃縮したサンプルとして1/1000までの血清の初期希釈を用いて、基質の完全飽和を生じさせた。図9は、Δ6 PLY+ミョウバン及びWT PLY+ミョウバンの両方に反応して高レベルの抗体が産生されたが、ミョウバン単独の対照グループには産生されなかったことを示している。
次に、溶血活性を中和する抗PLY抗体の能力を評価した。Δ6 PLY及び野生型PLY処置グループにおける抗PLY抗体は、溶血アッセイにおいてPLYの2.5溶血単位(HU)を1000〜2400の力価まで完全に中和した(中和能は、PLYの2.5HUを完全に中和する抗体希釈の逆数として表される)(データは示さず)。これは、PLY上の中和部位が認識され、Δ6 PLY+ミョウバン及びWT PLY+ミョウバンによる免疫に反応して産生された抗体によって結合されることを示している。Δ6 PLYは無毒性であり、野生型PLY処置で観察されたin vivoレベルのサイトカイン産生を誘発しないので、Δ6 PLYは免疫原性キャリアタンパク質として使用するために野生型PLYよりも好ましいタンパク質である。
単一アミノ酸欠失の効果
単一アミノ酸欠失を有する変異型PLYを作製した。すなわち、アミノ酸146におけるアラニンを欠失した(ΔA146 PLY)。図10に示すように、この単一欠失(ΔA146)は、非溶血形態のPLYも生じさせた。ΔA146 PLYは100μg/mlを超える濃度までSRBCに対して溶血性でなかったが、野生型PLYは1μg/ml未満の濃度で溶血性であった。この変異型の産生は、発現されたタンパク質の配列決定及びポリクローナル抗PLY血清によるウエスタンブロット法によって確認された(データは示さず)。
PLY W433Fと比べたPLY変異型の溶血活性
ヒト赤血球に対する欠失変異型Δ6、Δ7、Δ8 PLY及びΔA146 PLYの溶血活性を、WT PLY及び置換W433Fを有するPLY変異型(これはWT PLYの溶血活性の僅か1%を有すると以前に記載されている(WO90/0695号参照))と比較した。
図11は、予期したとおり、W433F変異型が野生型PLYの約1%の溶血活性を示すことを示している。しかしながら、欠失変異型はヒト赤血球の溶解を全く引き起こさなかった。
GFP標識PLYの赤血球膜への結合
蛍光顕微鏡法を用いて、WT PLY及びΔ6 PLYのeGFP標識形態で処理した赤血球を可視化した。
赤血球ゴーストを、ヒト血液から蒸留水での反復洗浄によって調製した。0.1mlのヒト血液から生成した赤血球ゴーストを、50μgのEGFP−PLY又は50μgのΔ6EGFP−PLYとともに1mlの1×PBS中で37℃で30分間インキュベートした。ゴースト膜をペレットにし、PBS中で3回洗浄し、Zeiss Axioscop 20を用いて蛍光顕微鏡法によって可視化した。
結果(示さず)は、Δ6 PLYの膜への結合がWT PLYと実質的に同じであることを実証する。
透過電子顕微鏡法を用いた細孔形成の分析
電子顕微鏡法を、0.2mg/mlの野生型ニューモリシン、0.2mg/mlのW433F PLY及び0.2mg/ml ΔA146 PLYで処理した、ネガティブ染色したウマ赤血球膜について上記(実施例4)のように行った。
細孔は、wt PLY及びW433Fで処理した膜上で観察されたが、ΔA146 PLYで処理した膜上では観察されなかった。その代わりに、ΔA146 PLY処理は長鎖の形成を生じさせたが、これは、オリゴマー化して細孔を形成できない自己会合トキシンを含有すると考えられる(データは示さず)。
従って、Δ6 PLYは野生型PLYの膜結合特性を保持するが、細胞膜に細孔を形成しない。
ネズミL929線維芽細胞に対するニューモリシン変異型の細胞毒性
ネズミL929線維芽細胞に対するWT PLY、PLY W433F、並びに欠失変異型Δ6、Δ7、Δ8 PLY及びΔA146 PLYの細胞毒性を、実施例6に記載したように決定した。ヒト赤血球をWT PLY及びと比べた。
W433F PLY変異型は10μg/mlで細胞毒性であることが見出されたが、欠失変異型はこのアッセイにおいて無毒性であった(図12)。
RBL−2H3マスト細胞に対するニューモリシン変異型ΔA146 PLYの細胞毒性
ラットRBL−2H3マスト細胞に対するΔA146 PLYの細胞毒性を、脱顆粒アッセイを用いて評価した。
アッセイを、Stassen et al (2003) により記載されたように、10細胞/ウェルを用い、野生型PLY又はΔA146 PLYとともに90分間インキュベートして行った。
トキシンに反応した細胞の脱顆粒の直接的尺度を与える、マスト細胞顆粒からのβ−ヘキソサミダーゼの放出を測定した。ΔA146 PLYはマスト細胞の脱顆粒を引き起こさなかった(図13)。
wt PLY又はΔA146 PLYで処置した後のネズミ中核温度の分析
Balb/cマウスに、中核体温(Tc)を得るのを可能にする遠隔計測チップを埋め込んだ。マウスを1μgのwt PLY、1μgのΔA146 PLY、又は生理食塩水単独で処置した。
図14に示すように、WT PLYでの処置は激しい低体温反応を生じさせ、Tcは28℃に低下した。このTcは6時間持続し、その後Tcは約0.6℃/時ずつ上昇し、24時間までにこれは対照グループのTcと同様であったが、依然として統計的に有意であった。ΔA146 PLYでの処置は低体温をもたらさず、中央値Tcは生理食塩水対照グループと同等であった。
このように、WT PLYでのマウスの処置は、同量のΔA146 PLYでの処置後には観察されなかった持続性低体温反応を生じさせた。
本発明を上記の例示的実施形態と併せて説明してきたが、多くの同等の修飾及び変更は、この開示が与えられれば当業者には明らかであろう。従って、上記の本発明の例示的実施形態は説明のためであって限定するためではないとみなされる。本発明の精神及び範囲を逸脱することなく記載した実施形態に種々の変更を行うことができる。本明細書で引用した全ての参考文献は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
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野生型ニューモリシンのアミノ酸配列を示す。 mAb PLY4により検出されたPLY欠失変異型のウエスタンブロットを示す。 WT PLYをΔ6 PLYと比較した定量溶血アッセイの結果を示す。 WT PLYをΔ6 PLYと比較した細胞毒性アッセイの結果を示す。 WY PLYで処理した赤血球膜の電子顕微鏡写真を示す。 WT PLY又はΔ6 PLYで処置した後の肺組織中のIL−6レベルを示す。 WT PLY又はΔ6 PLYで処置した後の肺組織中のIL−6レベルを示す。 WT PLY又はΔ6 PLYで処置した後の気管支肺胞洗浄液中の総タンパク質レベルを示す。 WT PLY又はΔ6 PLYによるマウスの免疫に反応した抗PLY抗体レベルを示す。 WT PLY又は欠失変異型ΔA146で処理したSRBC(ヒツジ赤血球)中のトキシン濃度に対する溶血度を示す。 WT PLY並びに変異型PLY W433F、Δ6 PLY、Δ7 PLY、Δ8 PLY及びΔA146 PLYの溶血活性を比較している。 WT PLY並びに変異型PLY W433F、Δ6 PLY、Δ7 PLY、Δ8 PLY及びΔA146 PLYのネズミL929に対する細胞毒性を示す。 ΔA146 PLYがRBL−2H3マスト細胞の脱顆粒を引き起こさない一方、WY PLYは該脱顆粒を引き起こすことを示す。 野生型PLY又はΔA146 PLYで処置した後の中核体温の分析を示す。

Claims (68)

  1. 単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している、単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質。
  2. 変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の1又は複数のアミノ酸の欠失又は置換によって異なっている、請求項1記載のタンパク質。
  3. 変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の突然変異の存在によって異なっている、請求項1記載のタンパク質。
  4. 変異型PLYタンパク質が、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失によって異なっている、請求項3記載のタンパク質。
  5. アラニン146が置換又は欠失されている、請求項4記載のタンパク質。
  6. 変異型PLYタンパク質が、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の欠失によって異なっている、請求項4記載のタンパク質。
  7. アミノ酸バリン144及びプロリン145が欠失されている、請求項6記載のタンパク質。
  8. アミノ酸アラニン146及びアルギニン147が欠失されている、請求項6記載のタンパク質。
  9. アミノ酸メチオニン148及びグルタミン149が欠失されている、請求項6記載のタンパク質。
  10. アミノ酸チロシン150及びグルタミン酸151が欠失されている、請求項6記載のタンパク質。
  11. 野生型配列のアミノ酸257〜297、367〜397又は424〜437の少なくとも1つの領域内に少なくとも1つのアミノ酸置換又は欠失をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のタンパク質。
  12. (a)単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質、及び
    (b)単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質
    を含む免疫原性複合体。
  13. 変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の1又は複数のアミノ酸の欠失又は置換によって異なっている、請求項12記載の免疫原性複合体。
  14. 変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の突然変異の存在によって異なっている、請求項12記載の免疫原性複合体。
  15. 変異型PLYタンパク質が、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失によって異なっている、請求項13記載の免疫原性複合体。
  16. アラニン146が置換又は欠失されている、請求項15記載の免疫原性複合体。
  17. 変異型PLYタンパク質が、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の欠失によって異なっている、請求項15記載の免疫原性複合体。
  18. PLYタンパク質のアミノ酸バリン144及びプロリン145が欠失されている、請求項17記載の免疫原性複合体。
  19. PLYタンパク質のアミノ酸アラニン146及びアルギニン147が欠失されている、請求項17記載の免疫原性複合体。
  20. PLYタンパク質のアミノ酸メチオニン148及びグルタミン149が欠失されている、請求項17記載の免疫原性複合体。
  21. PLYタンパク質のアミノ酸チロシン150及びグルタミン酸151が欠失されている、請求項17記載の免疫原性複合体。
  22. 単糖、オリゴ糖又は多糖が肺炎連鎖球菌に由来する、請求項12〜21のいずれか1項に記載の免疫原性複合体。
  23. タンパク質が、野生型配列のアミノ酸257〜297、367〜397又は424〜437の少なくとも1つの領域内に少なくとも1つのアミノ酸置換又は欠失をさらに含む、請求項12〜22のいずれか1項に記載の免疫原性複合体。
  24. a)変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質をコードする核酸配列、又はb)a)に定義される核酸配列に対し相補的な核酸配列を含む、単離され精製された核酸配列。
  25. 変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の1又は複数のアミノ酸の欠失又は置換によって異なっている、請求項24記載の単離され精製された核酸配列。
  26. 変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の突然変異の存在によって異なっている、請求項24記載の単離され精製された核酸配列。
  27. アラニン146が置換又は欠失されている、請求項26記載の単離され精製された核酸配列。
  28. 変異型PLYタンパク質が、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の1又は複数のアミノ酸の置換又は欠失によって異なっている、請求項26記載の単離され精製された核酸配列。
  29. 変異型PLYタンパク質が、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の欠失によって異なっている、請求項28記載の単離され精製された核酸配列。
  30. アミノ酸バリン144及びプロリン145が欠失されている、請求項29記載の単離され精製された核酸配列。
  31. アミノ酸アラニン146及びアルギニン147が欠失されている、請求項29記載の単離され精製された核酸配列。
  32. アミノ酸メチオニン148及びグルタミン149が欠失されている、請求項29記載の単離され精製された核酸配列。
  33. アミノ酸チロシン150及びグルタミン酸151が欠失されている、請求項29記載の単離され精製された核酸配列。
  34. タンパク質が、野生型配列のアミノ酸257〜297、367〜397又は424〜437の少なくとも1つの領域内に少なくとも1つのアミノ酸置換又は欠失をさらに含む、請求項24〜33のいずれか1項に記載の単離され精製された核酸配列。
  35. 請求項24〜34のいずれか1項に記載の核酸配列を含む単離され精製された核酸配列を含有する組換え発現ベクター。
  36. 請求項35記載の組換え発現ベクターが形質転換された、トランスフェクトされた、又は感染した組換え宿主細胞。
  37. 単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質を作製する方法であって、a)宿主細胞に請求項35記載の組換え発現ベクターを形質転換し、トランスフェクトし又は感染させ、該宿主細胞を、該宿主細胞により該変異型PLYタンパク質の発現が可能な条件下にて培養するステップ、及びb)変異型PLYタンパク質を培養物から回収するステップを含む方法。
  38. a)単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質、及び
    b)1又は複数の生理学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体
    を含む免疫原性組成物。
  39. 変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の1又は複数のアミノ酸の欠失又は置換によって異なっている、請求項38記載の免疫原性組成物。
  40. 変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の突然変異の存在によって異なっている、請求項38記載の免疫原性組成物。
  41. 変異型PLYタンパク質が、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の1又は複数のアミノ酸の欠失又は置換によって異なっている、請求項40記載の免疫原性組成物。
  42. アラニン146が置換又は欠失されている、請求項41記載の免疫原性組成物。
  43. 変異型PLYタンパク質が、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の欠失によって異なっている、請求項41記載の免疫原性組成物。
  44. アミノ酸バリン144及びプロリン145が欠失されている、請求項43記載の免疫原性組成物。
  45. アミノ酸アラニン146及びアルギニン147が欠失されている、請求項43記載の免疫原性組成物。
  46. アミノ酸メチオニン148及びグルタミン149が欠失されている、請求項43記載の免疫原性組成物。
  47. アミノ酸チロシン150及びグルタミン酸151が欠失されている、請求項43記載の免疫原性組成物。
  48. タンパク質が野生型配列のアミノ酸257〜297、367〜397又は424〜437の少なくとも1つの領域内に少なくとも1つのアミノ酸置換又は欠失をさらに含む、請求項38〜47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
  49. a)(i)単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質、及び
    (ii)単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なっており、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質
    を含む免疫原性複合体、並びに
    b)1又は複数の生理学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体
    を含む免疫原性組成物。
  50. 変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の1又は複数のアミノ酸の欠失又は置換によって異なっている、請求項49記載の免疫原性組成物。
  51. 変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の突然変異の存在によって異なっている、請求項49記載の免疫原性組成物。
  52. 変異型PLYタンパク質が、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の1又は複数のアミノ酸の欠失又は置換によって異なっている、請求項51記載の免疫原性組成物。
  53. アラニン146が置換又は欠失されている、請求項52記載の免疫原性組成物。
  54. 変異型PLYタンパク質が、野生型タンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜151の領域内の2つの隣接するアミノ酸の欠失によって異なっている、請求項52記載の免疫原性組成物。
  55. PLYタンパク質のアミノ酸バリン144及びプロリン145が欠失されている、請求項54記載の免疫原性組成物。
  56. PLYタンパク質のアミノ酸アラニン146及びアルギニン147が欠失されている、請求項54記載の免疫原性組成物。
  57. PLYタンパク質のアミノ酸メチオニン148及びグルタミン149が欠失されている、請求項54記載の免疫原性組成物。
  58. PLYタンパク質のアミノ酸チロシン150及びグルタミン酸151が欠失されている、請求項54記載の免疫原性組成物。
  59. 単糖、オリゴ糖又は多糖が肺炎連鎖球菌に由来する、請求項49〜58のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
  60. 複数の肺炎連鎖球菌血清型が存在する、請求項59記載の免疫原性組成物。
  61. タンパク質が、野生型配列のアミノ酸257〜297、367〜397又は424〜437の少なくとも1つの領域内に少なくとも1つのアミノ酸置換又は欠失をさらに含む、請求項49〜60のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
  62. 対象哺乳動物に、a)単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の1又は複数のアミノ酸の欠失によって異なっている変異型PLYタンパク質、及びb)1又は複数の生理学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体を含む免疫原性組成物を投与するステップを含む、哺乳動物のための予防方法。
  63. 対象哺乳動物に、
    a)(i)単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質、及び
    (ii)単離された変異型ニューモリシン(PLY)タンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なり、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質
    を含む免疫原性複合体、並びに
    b)1又は複数の生理学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体
    を含む免疫原性組成物を投与するステップを含む、哺乳動物のための予防方法。
  64. 細菌感染症の予防又は治療のための免疫原性組成物の製造における変異型PLYタンパク質又はその免疫原性複合体の使用であって、該変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なり、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減しているものである、上記使用。
  65. 医療処置の方法に使用するための単離された変異型PLYタンパク質又はその免疫原性複合体であって、該変異型PLYタンパク質が、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なり、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減しているものである、上記変異型PLYタンパク質又はその免疫原性複合体。
  66. 免疫原性組成物の製造方法であって、
    単離された変異型PLYタンパク質であって、野生型PLYタンパク質とは野生型配列のアミノ酸144〜161の領域内の突然変異の存在によって異なり、変異型の毒性が野生型タンパク質と比べて低減している変異型PLYタンパク質を準備するステップ、及び
    変異型タンパク質を、単糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質と複合体化するステップ
    を含む方法。
  67. 変異型タンパク質が肺炎連鎖球菌多糖と複合体化されている、請求項66記載の方法。
  68. 免疫原性組成物における使用に適した候補変異型PLYタンパク質をスクリーニングする方法であって、
    変異型PLYタンパク質を準備するステップ、
    変異型タンパク質を溶血活性について試験するステップ、
    変異型PLYタンパク質をオリゴマー化活性について試験するステップ、並びに
    変異型PLYタンパク質の溶血活性及びオリゴマー化活性を非変異型タンパク質と比較するステップ
    を含む方法。
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