JP2008311637A - 有機薄膜トランジスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】閾値電圧が小さい有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】少なくとも、基板、有機半導体層、ゲート絶縁膜、及び導電体を備えた有機薄膜トランジスタであって、有機半導体層の表面が、有機半導体層の表面に露出している最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を、有機半導体層の表面積に対して10%以上含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【選択図】図8
【解決手段】少なくとも、基板、有機半導体層、ゲート絶縁膜、及び導電体を備えた有機薄膜トランジスタであって、有機半導体層の表面が、有機半導体層の表面に露出している最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を、有機半導体層の表面積に対して10%以上含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【選択図】図8
Description
本発明は、有機薄膜トランジスタに関する。
半導体装置として、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)は、アクティブマトリックス液晶ディスプレイ等のスイッチィング素子として実用化されている。TFTとしては、アモルファスまたは多結晶のシリコンを半導体膜として用いた素子が広く使用されている。
また、近年ではTFT用の半導体材料として、有機半導体材料が注目を集めている。有機半導体は、スピンコート法や真空蒸着法といった簡便な成膜法によって容易に薄膜が形成でき、さらに、アモルファスまたは多結晶のシリコンを用いた従来のTFTに比べ、製造プロセス温度を低温化できるという利点がある。プロセス温度の低温化は、耐熱性の低いプラスチック基板上への半導体膜の形成を可能とし、それにより、ディスプレイの軽量化や低コスト化、さらにはプラスチック基板のフレキシビリティを生かしたことによる用途の多様化など、多くの効果が期待できる。このような有機半導体材料を用いた半導体装置は、一般的に、有機薄膜トランジスタとよばれ、活発な研究が行われている。
特に、有機薄膜トランジスタを、印刷法やインクジェット法に代表される塗布法を用いて形成することで、大面積の装置を安価に製造することができる。塗布法によって有機半導体層を形成できる有機半導体材料としては、ポリチオフェン誘導体やフルオレン−ジチオフェン共重合体などに代表される高分子材料が挙げられる。しかしながら、一般的に高分子材料は移動度が10−2cm2/Vs程度と低く、適用範囲は限定されてしまう。
一方、ペンタセンに代表される低分子化合物を用いる場合には、一般的に蒸着法によって有機半導体層が形成され、形成された有機半導体層は移動度が高いという特徴を有する。しかし、蒸着法では大面積の成膜が困難であり、また、真空装置を使用するために製造コストが高くなる可能性がある。
このような課題に対し、低分子化合物からなる有機半導体層を形成する方法として、溶媒に可溶な有機半導体の前駆体を塗布し、その後、前駆体に光や熱を印加することで有機半導体へ変換する方法が報告されている。例えば、特許文献1、非特許文献1では、テトラビシクロポルフィリン誘導体を基板上へ塗布後、加熱によりテトラベンゾポルフィリン誘導体に変換し、10−2cm2/Vs以上の移動度を有する薄膜を得ている。
一般的に、半導体装置の消費電力を下げるため、駆動電圧は低い方が好ましい。有機薄膜トランジスタの駆動電圧の指標としては、閾値電圧が挙げられる。特許文献1の方法は非常に有効なものであるが、閾値電圧が14V以上と大きく、駆動電圧や消費電力の上昇をもたらす可能性があった。本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、閾値電圧が小さい有機薄膜トランジスタを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、有機半導体層において、最長部の長さが一定以上である結晶が占める割合が、閾値電圧に与える影響が大きいことを見出し、さらに閾値電圧が小さい有機薄膜トランジスタを得ることに成功し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも、基板、有機半導体層、ゲート絶縁膜、及び導電体を備えた有機薄膜トランジスタであって、有機半導体層の表面が、有機半導体層の表面に露出している最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を、有機半導体層の表面積に対して10%以上含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタに関する。
本発明においては、有機半導体層を、例えば、溶液を塗布することによって形成することが可能である。
本発明においては、有機半導体層が、ポルフィリン又はその誘導体を含むことが好ましく、有機半導体層が、銅ポルフィリン誘導体を含むことがさらに好ましい。また、ゲート絶縁膜が、有機物を含むことが好ましい。
本発明においては、有機半導体層を、例えば、溶液を塗布することによって形成することが可能である。
本発明においては、有機半導体層が、ポルフィリン又はその誘導体を含むことが好ましく、有機半導体層が、銅ポルフィリン誘導体を含むことがさらに好ましい。また、ゲート絶縁膜が、有機物を含むことが好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層の表面が、有機半導体層の表面に露出している最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を、有機半導体層の表面積の10%以上含有するため閾値電圧が小さい。その結果、駆動電圧や消費電力を低減させることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の有機薄膜トランジスタの素子構造の一例を示す図である。この有機薄膜トランジスタは、基板1上にゲート電極2、ゲート絶縁膜3、有機半導体層4をこの順に有し、さらにソース電極5、ドレイン電極6を有するものであり、トップコンタクト型と呼ばれるものである。また、図2は、本発明の有機薄膜トランジスタの素子構造の他の一例を示す図である。この有機薄膜トランジスタは、基板7上にゲート電極8、ゲート絶縁膜9、ソース電極10、ドレイン電極11をこの順に有し、さらにその上に有機半導体層12を有するものであり、ボトムコンタクト型と呼ばれるものである。有機薄膜トランジスタの素子構造は、様々な種類があるが、特に限定されない。例えば、有機薄膜トランジスタの動作性向上技術 材料開発 作製法 素子設計、技術情報協会、2003、P11に記載の構成が一例として挙げられる。
図1は、本発明の有機薄膜トランジスタの素子構造の一例を示す図である。この有機薄膜トランジスタは、基板1上にゲート電極2、ゲート絶縁膜3、有機半導体層4をこの順に有し、さらにソース電極5、ドレイン電極6を有するものであり、トップコンタクト型と呼ばれるものである。また、図2は、本発明の有機薄膜トランジスタの素子構造の他の一例を示す図である。この有機薄膜トランジスタは、基板7上にゲート電極8、ゲート絶縁膜9、ソース電極10、ドレイン電極11をこの順に有し、さらにその上に有機半導体層12を有するものであり、ボトムコンタクト型と呼ばれるものである。有機薄膜トランジスタの素子構造は、様々な種類があるが、特に限定されない。例えば、有機薄膜トランジスタの動作性向上技術 材料開発 作製法 素子設計、技術情報協会、2003、P11に記載の構成が一例として挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタは、少なくとも、基板、有機半導体層、ゲート絶縁膜、及び導電体を備えた有機薄膜トランジスタであって、有機半導体層の表面が、有機半導体層の表面に露出している部分の最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を、有機半導体層の表面積に対して10%以上含むことを特徴とする。
上記の有機薄膜トランジスタの閾値電圧の絶対値は10V以下、つまり、閾値電圧は−10Vから+10Vであることが好ましい。
上記の有機薄膜トランジスタの閾値電圧の絶対値は10V以下、つまり、閾値電圧は−10Vから+10Vであることが好ましい。
有機半導体結晶を構成する物質としては、有機半導体として機能すれば特に限定されないが、ペンタセン、ルブレン、フタロシアニン、ペリレン、フラーレン、ポルフィリン又はこれらの誘導体などを用いることができる。特に、ペンタセン、フタロシアニン、ポルフィリン又はこれらの誘導体が有機薄膜トランジスタの特性から好ましく、ポルフィリン又はその誘導体が最も好ましい。
また、有機半導体層として、金属原子を有するフタロシアニン誘導体や、金属原子を有するポルフィリン誘導体も用いることができる。
なお、本発明において、誘導体としては、溶解度や有機薄膜トランジスタの特性を調整する目的で、ペンタセン、ルブレン、フタロシアニン、ペリレン、フラーレン、ポルフィリン等の化合物へ置換基を付与したものや、これらの化合物を配位子として有する錯体などが挙げられ、具体的には、例えば、フッ素化フタロシアニン、PCBM([6,6]−phenyl−C61−butyric acid methyl ester)などが挙げられる。
有機半導体層として用いる、ポルフィリン又はその誘導体としては、例えば下記一般式(1)、(2)が挙げられる。
式中、Q1〜Q8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を示す。このうち、(Q1及びQ2)、(Q3及びQ4)、(Q5及びQ6)、又は、(Q7及びQ8)は、互いに結合して環構造を形成していても良い。R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。Mは、金属原子を表す。Q1〜Q8、R1〜R4における1価の有機基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基等が挙げられ、置換されていても、分岐構造を有していてもよい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えば、フラン残基、チオフェン残基、ピロール残基、オキサゾール残基、チアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、ピラジン残基、トリアジン残基、キノリン残基、キノキサリン残基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基が挙げられる。
ヘテロアリールオキシ基としては、例えば、フランオキシ基、チオフェンオキシ基、ピロールオキシ基が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えば、フラン残基、チオフェン残基、ピロール残基、オキサゾール残基、チアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、ピラジン残基、トリアジン残基、キノリン残基、キノキサリン残基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基が挙げられる。
ヘテロアリールオキシ基としては、例えば、フランオキシ基、チオフェンオキシ基、ピロールオキシ基が挙げられる。
また、Q1〜Q8のうち、(Q1及びQ2)、(Q3及びQ4)、(Q5及びQ6)、又は、(Q7及びQ8)は、互いに結合して環構造を形成しても良い。環構造を形成する場合、芳香環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環であることがより好ましい。また、環構造が置換基を有していてもよい。また、Mは、金属原子であれば特に限定されないが、元素の周期表の第3族〜12族元素であることが好ましく、Cu、Zn、又はNiであることがより好ましく、Cuであることが最も好ましい。
有機薄膜トランジスタにおいて、有機薄膜トランジスタを塗布法により形成することが望ましいという観点から、有機半導体層は、塗布法によって形成することのできる材料を用いることが好ましい。塗布法によって形成することのできる材料として、例えば、有機半導体の前駆体を挙げることができる。本発明においては、特に、有機半導体の前駆体を含む溶液を用いて有機半導体の前駆体を含む層を形成し、その後、前駆体を含む層に光や熱を加えることで、前駆体を有機半導体に変換することが好ましい。このような前駆体として、例えば、下記一般式(3)、(4)のような、テトラビシクロポルフィリン誘導体が挙げられる。この材料は、加熱によりテトラベンゾポルフィリン誘導体に変換され、有機半導体として利用できる。
式中、R1〜R4、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。Mは、金属原子を表す。R1〜R4、Rの1価の有機基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基等が挙げられ、置換されていても、分岐構造を有していてもよい。Mは、金属原子であれば特に限定されないが、元素の周期表の第3族〜12族元素であることが好ましく、Cu、Zn、又はNiであることがより好ましく、Cuであることが最も好ましい。
アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基としては、例えば、上述のものを例示することができる。
アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基としては、例えば、上述のものを例示することができる。
本発明の有機薄膜トランジスタは、有機半導体層が、有機半導体層の表面に露出している最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を、有機半導体層の表面積に対して10%以上含有する。有機半導体層の表面に露出している有機半導体結晶の最長部の長さが小さすぎると、移動度が低下する傾向があり、好ましくない。有機半導体層の表面に露出している有機半導体結晶の最長部の長さの上限は有機薄膜トランジスタを微細化する観点から、1mm以下であることが好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタは、有機半導体層の表面が、有機半導体層の表面に露出している最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を、有機半導体層の表面積に対して10%以上含有するが、20%以上含有することが好ましく、60%以上含有することがさらに好ましく、85%以上含有することが特に好ましい。含有する割合の上限は、特に限定されず、100%とすることも可能である。有機半導体層の表面に露出している最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を含有する割合が小さいと、閾値電圧の絶対値が大きくなってしまい、駆動電圧や消費電力の点から好ましくない。含有する割合が20%以上になると、閾値電圧の低減に大きな効果があり、より好ましい。また、含有する割合が60%以上になると、閾値電圧の低減に加え、移動度の向上、ION/IOFFの向上に大きな効果があり、特に好ましい。
有機半導体層の表面の、最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を含有する割合は、分解能の高い顕微鏡を用いて有機半導体層の表面形状を測定し、得られた画像より最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を抽出し、最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶の面積が測定面積に占める割合として求めることができる。分解能の高い顕微鏡としては、走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)等の走査型プローブ顕微鏡(SPM)が挙げられる。
有機半導体層の膜厚は、特に限定されないが、10nmから100μmが好ましく、20nmから10μmがより好ましく、30nmから1μmが特に好ましい。膜厚が小さすぎると製造時のばらつきが発生しやすい傾向があり、厚すぎるとトランジスタ特性が低下しやすい傾向がある。
有機半導体層を形成する方法としては、特に限定されないが、固体を真空中で加熱して基板に堆積させる真空蒸着法や、溶液を用いて塗布を行う、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法などの公知の方法で行うことができる。特に、溶液を用いて塗布により形成する方法が、製造コストや大面積化のために好ましい。また、有機半導体の前駆体を塗布し、その後加熱処理や光照射処理によって有機半導体層へ変換する方法も用いることができる。
また、有機半導体層を形成後、膜質等を調整する目的で、加熱処理や光照射処理を行うことができる。
前駆体の変換や、膜質の調整を目的とした加熱処理は、ホットプレート上やオーブン内で行うことができ、0〜+300℃の温度範囲、好ましくは20〜250℃、特に好ましくは80〜200℃で実施することができる。また、光照射処理には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、発光ダイオード、太陽光等の光源を用いることができる。
特に、有機半導体の前駆体を用いて有機半導体層を形成する場合に、有機半導体層の表面が、有機半導体層の表面に露出している最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を、有機半導体層の表面積の10%以上含有するようにするためには、加熱により前駆体を有機半導体に変換した後、冷却し、さらに加熱処理(アニール)することが好ましい。前駆体の変換は、80〜300℃、1〜120分の条件で行うことが好ましく、また、変換後の加熱処理は、120〜220℃、10〜90分の条件で行うことが好ましい。冷却温度は、例えば室温程度とすることができ、例えば、ホットプレートなどを用いて前駆体を有機半導体に変換した後、単に室温で放置すればよい。
有機薄膜トランジスタにおいて、基板は、プラスチック、ガラス、シリコンなどの材質で作られたものを使用することができる。
有機薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極は、導電体によって形成される。用いる導電体は特に限定されないが、例えば、シリコン、ドーピングを行ったシリコン、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、インジウム−スズ酸化物(ITO)、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)等が好適である。これらの電極の形成方法は、特に限定されないが、例えば、真空蒸着法、印刷法、インクジェット法などが利用可能である。また、基板がゲート電極を兼ねていてもよい。
有機薄膜トランジスタにおいて、ゲート絶縁膜は、有機半導体層とゲート電極間に形成される絶縁性の層であり、その材質は特に限定されない。ゲート絶縁膜としては、SiO2、Ta2O5等の無機物、ポリパラキシリレン、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリイミド、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の有機物を用いることができる。特に、有機薄膜トランジスタを塗布法により形成する観点から、有機物を用いることが好ましく、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリイミド、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂を用いることがより好ましく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂を用いることが最も好ましい。
また、ゲート絶縁膜が有機物を含む場合、有機物の他に、必要に応じて、比誘電率が10以上の粒子を添加してもよい。このような粒子としては、特に限定されないが、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、二酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、チタン酸バリウムストロンチウム、二酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
前記ゲート絶縁膜の膜厚は、特に限定されないが、1nmから10μmであることが好ましく、2nmから5μmであることがより好ましく、5nmから1μmであることが特に好ましい。ゲート絶縁膜の膜厚が小さすぎると、ゲート−ソース間に漏れ電流が生じやすく、大きすぎると、駆動電圧が上昇する傾向がある。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ゲート絶縁膜は、2層以上で構成されていてもよい。ゲート絶縁膜が2層で構成される場合の一例を図3に示すが、これに限定されない。また、ゲート絶縁膜の表面状態を改質する目的で、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)等の有機シラン化合物で処理してもよい。
有機物からなるゲート絶縁膜を形成するためには、真空蒸着法やCVD法、溶液を用いて塗布法で行う、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法などの公知の方法で行うことができる。また、光照射処理や加熱処理等により硬化反応を行うこともできる。
また、本発明の有機薄膜トランジスタは、保護層を有していてもよい。保護層は、有機薄膜トランジスタの動作を妨げなければ特に限定されないが、SiO2やSiNなどの無機物、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール等のポリマー膜、及びこれらの混合物や積層構造が挙げられる。
本発明を以下の実施例により説明するが、これらに限定されるものではない。
(比較例1)
nドープされたSiウエハを基板兼ゲート電極として用いた。このSiウエハにSiO2(100nm)をゲート絶縁膜として形成した。基板を純水で洗浄後、UVオゾン処理を10分間行った。以後の作業は全て窒素ガスを導入したグローブボックス中で行った。有機半導体の前駆体として、S.Ito,N.Ochi,T.Murashima,H.Uno,N.Ono,Heterocycles,52,399−411(2000)に準じて合成した下記化学式(5)(融点>200℃(分解)、UV−VIS(CHCl3中)398,520,555。文献値:融点>200℃(分解)、UV−VIS(CDCl3中)397,519,555)のクロロホルム溶液(0.4重量%)を3000rpmでスピンコートした。その後、ホットプレート上で170℃で30分加熱することで下記化学式(5)を下記化学式(6)に変換し、有機半導体層(60nm)を形成した。次いで、メタルマスクを介してAuを真空蒸着法により30nm成膜し、ソース電極及びドレイン電極を形成した。ゲート幅(W)は1mm、ゲート長(L)は50μmとした。このようにして作製した有機薄膜トランジスタの電圧−電流特性を、窒素中、室温(25℃)で、pAメータ/DCボルテージソース(ヒューレットパッカード製4140B)、及び、デジタルエレクトロメータ(アドバンテスト製TR8652)を用いて測定した。
nドープされたSiウエハを基板兼ゲート電極として用いた。このSiウエハにSiO2(100nm)をゲート絶縁膜として形成した。基板を純水で洗浄後、UVオゾン処理を10分間行った。以後の作業は全て窒素ガスを導入したグローブボックス中で行った。有機半導体の前駆体として、S.Ito,N.Ochi,T.Murashima,H.Uno,N.Ono,Heterocycles,52,399−411(2000)に準じて合成した下記化学式(5)(融点>200℃(分解)、UV−VIS(CHCl3中)398,520,555。文献値:融点>200℃(分解)、UV−VIS(CDCl3中)397,519,555)のクロロホルム溶液(0.4重量%)を3000rpmでスピンコートした。その後、ホットプレート上で170℃で30分加熱することで下記化学式(5)を下記化学式(6)に変換し、有機半導体層(60nm)を形成した。次いで、メタルマスクを介してAuを真空蒸着法により30nm成膜し、ソース電極及びドレイン電極を形成した。ゲート幅(W)は1mm、ゲート長(L)は50μmとした。このようにして作製した有機薄膜トランジスタの電圧−電流特性を、窒素中、室温(25℃)で、pAメータ/DCボルテージソース(ヒューレットパッカード製4140B)、及び、デジタルエレクトロメータ(アドバンテスト製TR8652)を用いて測定した。
また、nドープされたSiウエハ上に、ゲート絶縁膜、1.5mmφのAl電極(100nm)を形成し、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード製4192A)を用い、周波数1kHzでゲート絶縁膜容量(C0)を測定した。
図4に、ドレイン電圧(VD)が−40Vの際の、ゲート電圧(VG)−ドレイン電流(ID)特性を示す。VGが負になるに従い、|ID|が増加する、pチャネル型の特性が見られた。移動度(μ)、閾値電圧(VT)は、VG−(ID)1/2特性から、式1を用いて算出した(表1)。オン電流とオフ電流の比(ION/IOFF)は、|ID|の最大値と最小値の比より求めた。
(ID)1/2=(μ・C0・W/(2L))1/2・(VG−VT)・・・(式1)
(ID)1/2=(μ・C0・W/(2L))1/2・(VG−VT)・・・(式1)
また、上記有機薄膜トランジスタの有機半導体層の表面形状を、走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ製、Nanopics NPX−100)を用い、ダンピングモードにて4μm×4μmの範囲測定した。得られた画像(図5)より、有機半導体層の表面において観察される最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶が、表面積に占める割合を算出した(表1)。結晶の最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶は確認できなかった。
(実施例1)
ソース電極及びドレイン電極を形成した後、窒素中、ホットプレート上で120℃で30分間加熱した他は、比較例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。室温(25℃)まで冷却後、比較例1と同様にして電圧−電流特性を測定し、μ、VT、ION/IOFFを算出した。また、比較例1と同様にして結晶の最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶が、表面積に占める割合を算出した(図6)。
ソース電極及びドレイン電極を形成した後、窒素中、ホットプレート上で120℃で30分間加熱した他は、比較例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。室温(25℃)まで冷却後、比較例1と同様にして電圧−電流特性を測定し、μ、VT、ION/IOFFを算出した。また、比較例1と同様にして結晶の最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶が、表面積に占める割合を算出した(図6)。
(実施例2)
ソース電極及びドレイン電極を形成した後、窒素中、ホットプレート上で170℃で30分間加熱した他は、比較例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。室温(25℃)まで冷却後、比較例1と同様にして電圧−電流特性を測定し、μ、VT、ION/IOFFを算出した。また、比較例1と同様にして結晶の最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶が、表面積に占める割合を算出した(図7)。
ソース電極及びドレイン電極を形成した後、窒素中、ホットプレート上で170℃で30分間加熱した他は、比較例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。室温(25℃)まで冷却後、比較例1と同様にして電圧−電流特性を測定し、μ、VT、ION/IOFFを算出した。また、比較例1と同様にして結晶の最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶が、表面積に占める割合を算出した(図7)。
(実施例3)
ソース電極及びドレイン電極を形成した後、窒素中、ホットプレート上で200℃で30分間加熱した他は、比較例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。室温(25℃)まで冷却後、比較例1と同様にして電圧−電流特性を測定し、μ、VT、ION/IOFFを算出した。また、比較例1と同様にして結晶の最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶が、表面積に占める割合を算出した(図8)。
ソース電極及びドレイン電極を形成した後、窒素中、ホットプレート上で200℃で30分間加熱した他は、比較例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。室温(25℃)まで冷却後、比較例1と同様にして電圧−電流特性を測定し、μ、VT、ION/IOFFを算出した。また、比較例1と同様にして結晶の最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶が、表面積に占める割合を算出した(図8)。
比較例1、実施例1〜3の結果を、表1、図9にまとめて示す。
本発明の有機薄膜トランジスタは、閾値電圧が小さく、その結果、駆動電圧や消費電力を低減させることができる。
1,7,19;基板
2,8,13;ゲート電極
3,9;ゲート絶縁膜
4、12,18;有機半導体層
5,10,16;ソース電極
6,11,17;ドレイン電極
14;ゲート絶縁膜1
15;ゲート絶縁膜2
2,8,13;ゲート電極
3,9;ゲート絶縁膜
4、12,18;有機半導体層
5,10,16;ソース電極
6,11,17;ドレイン電極
14;ゲート絶縁膜1
15;ゲート絶縁膜2
Claims (5)
- 少なくとも、基板、有機半導体層、ゲート絶縁膜、及び導電体を備えた有機薄膜トランジスタであって、有機半導体層の表面が、有機半導体層の表面に露出している最長部の長さが100nm以上である有機半導体結晶を、有機半導体層の表面積に対して10%以上含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
- 有機半導体層が、溶液を塗布することによって形成される請求項1記載の有機薄膜トランジスタ。
- 有機半導体層が、ポルフィリン又はその誘導体を含む請求項1又は2記載の有機薄膜トランジスタ。
- 有機半導体層が、銅ポルフィリン誘導体を含む請求項1〜3のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
- ゲート絶縁膜が、有機物を含む請求項1〜4のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
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JP2005093990A (ja) * | 2003-08-11 | 2005-04-07 | Mitsubishi Chemicals Corp | 銅ポルフィリン化合物を用いた有機電子デバイス |
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