JP2008226959A - 有機電界効果トランジスタの製造方法、及び、有機電界効果トランジスタ - Google Patents

有機電界効果トランジスタの製造方法、及び、有機電界効果トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】 有機電界効果トランジスタを簡単に製造する方法を提供する。
【解決手段】 有機電界効果トランジスタを製造するに際して、固体状態において分子間水素結合により形成される結晶構造を有する有機半導体の膜を、該有機半導体の前駆体から誘導して形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機電子材料である有機電界効果トランジスタの製造方法、及び、その製造方法で製造された有機電界効果トランジスタに関する。
有機化合物を用いた有機半導体素子は、その殆どが無機半導体素子に比べて低温プロセスで製造できる。そのため、例えば有機電界効果トランジスタを、プラスチック基板やフィルムを用いて製造することができ、軽量で壊れにくい素子を作製することができる。また、有機半導体の中には、溶液の塗布法や印刷法を用いて素子作製が可能なものもあり、大面積の素子を低コストで製造することが可能である。さらに、有機半導体材料のバリエーションが豊富であり、分子構造を変化させることにより有機半導体の特性を根本的に変化させることが容易にできる。そのため、異なる機能の有機半導体を組み合わせることで、無機半導体では不可能な機能や特性を有する、半導体素子を実現することも可能である。
このような有機電界効果トランジスタは、これまで幾つか研究されてきている。例えば、特許文献1に示されたような、導電性高分子、共役高分子を利用したもの、特許文献2に示されるような、低分子化合物を利用したもの、等が挙げられる。
高分子の有機化合物を用いた例では、共役高分子や導電性高分子を半導体としてそのまま用いる試みや、電場によりイオン(ドーパント)を出し入れしてスイッチングを行なう試み、等がなされている。しかしながら、高分子化合物であるために、精製が困難なこと、成膜時において不完全な構造に形成された部分に由来する欠陥が生じてしまうこと、酸化電位が下がり酸化されやすくなること、等のため、十分に高性能でかつ安定性の良好な有機半導体材料は見出されていない。
一方で、低分子の有機化合物を用いた例では、ペンタセン等の芳香族縮合炭化水素やチオフェン環が4個以上連結したオリゴチオフェン類で、蒸着によりa−Si並の移動度を示す、有機トランジスタが開発されている。低分子化合物は、高分子化合物に比較して、定まった構造の化合物を合成することができ、かつ精製法も昇華精製や再結晶、カラムクロマト等色々利用できるため、安定な材料になる傾向がある。しかしながら、蒸着による成膜法は製造コストが塗布よりも高くなり、有機半導体素子の利点を十分に発揮されにくい傾向がある。また一般に低分子化合物を溶液にして、塗布によって該低分子化合物の成膜を行うと、結晶化による粒状の構造になるため、均一な膜が得られにくく、成膜性に課題がある場合が多い。さらに、ペンタセン等の結晶性化合物を用いた場合でも、光や酸素による劣化は避けられず、安定性の面で十分だとはいえない。このことは、一般に有機半導体素子に有機化合物を用いる場合の重要な課題である。
特開昭61−202467号公報 特許2984370号公報
これらのことから、耐久性の高い有機電界効果トランジスタを簡単に製造する方法が求められていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、耐久性の高い有機電界効果トランジスタを簡単に製造する方法を提供することにある。
本発明者らが、鋭意検討した結果、固体状態において分子間水素結合により結晶構造を形成する有機半導体の前駆体を用い、該前駆体から有機半導体膜を誘導して形成することにより、耐久性に優れた有機電界効果トランジスタを簡単に製造できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、固体状態において分子間水素結合により形成される結晶構造を有する有機半導体の膜を、該有機半導体の前駆体から誘導して形成することを特徴とした、有機電界効果トランジスタの製造方法に存する(請求項1)。
このとき、前駆体の膜を塗布法により形成する塗布工程と、前駆体の膜を熱変換して、有機半導体の膜を形成する熱変換工程とを有することが好ましい(請求項2)。
また、前駆体がカルボニルオキシ基を有し、該カルボニルオキシ基が該結晶構造において分子間水素結合に供される水素原子に置換されることも好ましい(請求項3)。
さらに、有機半導体が、キナクリドン系化合物、あるいは、ジケトピロロピロール系化合物であることが好ましい(請求項4)。
本発明の別の要旨は、ジケトピロロピロール系化合物を含有することを特徴とした、有機電界効果トランジスタに存する(請求項5)。
本発明の有機電界効果トランジスタの製造方法によれば、耐久性の高い有機電界効果トランジスタを簡単に製造することができる。
以下、本発明について実施の形態を挙げて詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々に変更して実施することができる。
本発明の有機電界効果トランジスタの製造方法(以下、適宜「本発明の製造方法」ということがある。)は、固体状態において分子間水素結合により形成される結晶構造を有する有機半導体(以下、適宜「本発明の有機半導体」ということがある。)の膜を、該有機半導体の前駆体(以下、適宜「本発明の前駆体」ということがある。)から誘導して形成することに特徴を有する。
以下の記載では、まず、本発明の有機半導体の構造について説明し、次に本発明の前駆体について説明し、さらに、本発明の製造方法について説明し、続いて、本発明の製造方法で製造された有機電界効果トランジスタ(以下、適宜「本発明の有機電界効果トランジスタ」ということがある。)、及びその用途を説明する。
[1.本発明の有機半導体の構造]
本発明の有機半導体は、固体状態において分子間水素結合により結晶構造を形成する、特定の構造を備えた有機顔料(以下、適宜「水素結合性顔料」ということがある。)を有してなる。以下、水素結合性顔料について説明する。
水素結合性顔料は、例えば、下記式(1)に示す構造を備える。下記式(1)の水素結合性顔料が、本発明の有機半導体に用いられる場合、半導体としての機能を奏するために、分子内にπ電子共役系の部分を有し、可視光領域に強い吸収を有する。以下、式(1)に示す構造について説明する。
Figure 2008226959
上記式(1)のQ及び波線で示される結合手は、それ全体で水素結合性顔料の骨格を表わしている。水素結合性顔料の骨格は、全て炭素で構成されていても良いし、窒素、硫黄、酸素等の他の元素を含んだ骨格であってもよい。また、鎖状構造の骨格でもよく、環状構造の骨格でもよい。鎖状構造の骨格の場合は、直鎖状構造でもよく、分岐構造でもよい。環状構造の骨格の場合は、単環であってもよく、2つ以上の環からなる骨格であってもよい。2つ以上の環からなる骨格の場合、それらの環は同一の種類であってもよいが、2種以上の異なる環を含んでいてもよい。また、2つ以上の環からなる骨格の場合、それらの環は直接或いは結合基を介して互いに結合していてもよく、互いに縮合して縮合環を形成していてもよい。
上記式(1)のQは、水素結合性顔料の骨格のうち、上述のπ電子共役系の部分を示す。Qはπ電子が共役していれば、その構造に制限はなく、直鎖状構造であってもよく、環構造であってもよい。
上記式(1)のXは、水素と結合して、該水素に分子間水素結合性の性質を提供させることができる原子であれば制限はない。具体的には、水素よりも電気陰性度が高く、水素に微少な正の電荷(δ+)を与えられればよい。そのような原子の例としては、窒素、酸素、硫黄、リン等が挙げられる。中でも窒素が好ましい。
上記式(1)のY1、及びY2は、各々独立して酸素原子、又は硫黄原子を示す。Y1、及びY2の結合手は、全て水素結合性顔料の骨格に結合している。通常、酸素原子、及び硫黄原子は、電気陰性度が高く微少な負の電荷(δ−)を帯びている。従って、上述のδ+を帯びた水素と共に分子間水素結合に供される。なお、以下、Xに結合した水素と酸素とをあわせて、分子間水素結合基と呼ぶ。
上記式(1)においては、水素結合性顔料1分子中に分子間水素結合基を2組有する構造を示しているが、これには限定されず、水素結合性顔料1分子中に分子間水素結合基を1組有していてもよいし、あるいは、分子間水素結合基を3組以上有していてもよい。従って、水素結合性顔料1分子当たりの分子間水素結合基は、通常1組以上、好ましくは2組以上、また、上限はないが、分子量の上限の規定から、通常4組以下である。
水素結合性顔料の分子量は、通常100以上、好ましくは120以上、さらに好ましくは150以上、また、通常2000以下、好ましくは1500以下、さらに好ましくは1000以下である。この範囲を上回ると、塗布法を行なう場合に溶媒への溶解性が低下する傾向がある。また、この範囲を下回ると、π共役系が小さくなり半導体特性が低下する傾向がある。
水素結合性顔料の融点は、通常150℃以上、好ましくは200℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。この範囲を下回ると、結晶性が悪くなり安定性が低下する可能性がある。
このような水素結合性顔料の具体例としては、キナクリドン系化合物、ジケトピロロピロール系化合物が挙げられる。
キナクリドン系化合物の例としては、キナクリドン、及びその置換体等が挙げられる。
ジケトピロロピロール系化合の例としては、ジケトピロロピロール系化合物、及びその置換体等が挙げられる。
これらの水素結合性顔料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
本発明の有機半導体は、上記の水素結合性顔料が分子間水素結合によって立体的に結合した構造を有してなる。これにより、非常に高い安定性を有した半導体としての機能を奏するようになる。具体的には、例えば、分子間水素結合基を2組有する水素結合性顔料の場合、式(2)に示されるように、分子間水素結合によって結合された構造を備える。なお、式(2)に示される構造は、任意の2分子の水素結合性顔料によって形成される分子間水素結合のみに着目した構造を示しているのであり、その構造の様式はこれに制限されるものではない。本発明の有機半導体においては、複数の水素結合性顔料が、分子間水素結合によって相互作用しながら、立体的に結晶構造を形成している。
なお、式(2)において、式(1)と同様の基は、同じ符号を用いて表わしている。
Figure 2008226959
[2.本発明の前駆体]
本発明の有機半導体は、上述のように水素結合性顔料の結晶構造を有してなる。従って、本発明の有機半導体の前駆体(本発明の前駆体)とは、即ち、水素結合性顔料の前駆体(潜在顔料)でもある。以下、本発明の前駆体について説明する。
一般に、水素結合性顔料はその強い分子間力相互作用のため、溶媒に対する溶解性が高くない傾向がある。そこで、分子構造の一部を変換して、溶媒溶解性を高め、それを前駆体とすることが考えられる。
本発明の前駆体においては、溶媒に可溶であり、熱や光等の外部の刺激により顔料分子に変換されるものであれば、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はない。
具体例としては、下記式(3)に示されるように、上記式(1)に明示された水素を、他の置換基(式(3)においてはZ)に変換した構造が挙げられる。以下、さらに具体的に説明する。
なお、式(3)において、式(1)と同様の基は、同じ符号を用いて表わしている。
Figure 2008226959
上記式(3)のZは、熱や光等の外部の刺激により脱離するものであれば、制限はない。具体的には、例えば、カルボニルオキシ基等が好ましい。
カルボニルオキシ基は、−CO−O−Rの構造を有する置換基である。ここでRは有機基を表わす。
Rの具体例としては、炭素数が1以上20以下で、直鎖状、分岐状、又は環状の、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基;炭素数が1以上20以下で、直鎖状、分岐状、又は環状の、アルキル基を持つアルコキシ基;炭素数が6以上30以下のアリール基;炭素数4以上30以下の複素環化合物基;等が挙げられる。
これらの中でも特に好ましいRは、三級ブチル基である。以後、Rが三級ブチル基であるZを、特にt−BOC(三級ブチルオキシカルボニル基)と呼ぶ。
Zの分子量は、通常60以上、好ましくは80以上、また、通常300以下、好ましくは200以下である。分子量が上記の範囲を上回ると、脱離したZが反応系に残って、悪影響を与える可能性がある。
上述のような、本発明の前駆体の例としては、米国特許第6071989号明細書に例示されている化合物が挙げられる。その中でも、以下式(4)、及び式(5)に例示する構造の化合物が望ましい。合成によって得ることが容易であり、且つ、比較的低温で定量的に水素結合性顔料への変換が起こるためである。
Figure 2008226959
Figure 2008226959
上記式(4)のl、nは、それぞれ独立に0以上3以下の整数であり、mは、1以上3以下の整数を表わす。また式(4)では、共役した炭素原子が置換基を有していない例を示しているが、これに限定されるものではなく、1価の有機基やハロゲン原子等で置換されていてもよい。1価の有機基の例としては、アルキル基、及びアルコキシ基等が挙げられる。これらの置換基は1種が単独で置換されていてもよく、2種以上の置換基かが任意の組み合わせ、及び比率で置換されていても良い。また、置換位置も任意である。なお、t−BOCは三級ブチルオキシカルボニル基のことである。
上記式(5)のArは、さらに置換基を有していてもよい芳香環を示す。具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素;フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、キノリン環、イミダゾール環等の複素芳香環;等を表わす。これらの芳香環は、1種を単独で選択されてもよく、任意の組み合わせで選択されてもよい。また、t−BOCは三級ブチルオキシカルボニル基のことである。なお、Y1、及びY2は、各々独立して酸素原子、又は硫黄原子を示す。
(前駆体の合成方法)
本発明の前駆体は、水素結合性顔料の分子間水素結合に供与される水素原子を、脱離可能な他の置換基Zで置換することによって得ることができる。例えば、Zがカルボニルオキシ基の場合には、以下式(6)に示すように、O(CO−O−R)2の構造を有する化合物を用いることができる。
なお、式(6)において、式(1)と同様の基は、同じ符号を用いて表わしている。
Figure 2008226959
[3.本発明の製造方法]
本発明の製造方法は、本発明の有機半導体の膜を、本発明の前駆体から誘導することにより形成する工程を少なくとも有することを特徴とする。具体的には、本発明の前駆体から、水素結合性顔料を誘導し、該水素結合性顔料が分子間水素結合によって結晶構造を形成することによって、本発明の有機半導体の膜が形成される。
以下、具体的にその方法の一例について説明する。なお、以下の製造方法の説明は一例であって、本発明の効果を著しく損なわない限り、その工程の実施順序は任意に変更することができる。また、以下に説明する以外の工程を有してもよいし、以下の工程に換えて他の工程を行なってもよい。
本発明の製造方法の一例として、本発明の前駆体の膜を塗布法により形成する塗布工程と、該前駆体の膜を熱変換して、本発明の有機半導体の膜を形成する熱変換工程とを有することを特徴とした、有機電界効果トランジスタの製造方法が挙げられる。以下、各工程について、具体的に説明する。
(塗布工程)
塗布工程とは、本発明の前駆体を溶媒に溶解して組成物(以下、適宜「塗布用組成物」ということがある。)を調製し、それを塗布法により成膜する工程をいう。
塗布用組成物用の溶媒としては、本発明の前駆体を溶解するものであれば、制限はない。具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、テトラリン、アニソール等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、安息香酸エチル等のエステル類;ピリジン、キノリン等の含窒素有機溶媒類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。
この中でも、安全性や取り扱いやすさ、各種塗布法との組み合わせの容易さの面から、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等が望ましい。
これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。2種以上を組み合わせることで、沸点や粘度等の物性を調整することが可能である。
塗布用組成物を成膜する塗布法としては、キャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法;インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法;マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィー法等;等が挙げられる。なお、これらの方法は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の方法を組み合わせて用いてよい。なお、2種以上組み合わせる場合は、上記の方法を任意の順序で行なってもよく、また、いくつかの方法を並行して行なってもよい。
本発明の前駆体の膜の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上、また、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは200nm以下である。この範囲を上回ると、成膜が困難となり、高コスト化する可能性がある。また、下回ると半導体特性が低下する傾向がある。
(熱変換工程)
熱変換工程とは、塗布工程で成膜された本発明の前駆体の膜を、熱変換して、水素結合性顔料に変換し、本発明の有機半導体の膜を形成する工程をいう。
例えば、本発明の前駆体が、上記式(3)のZで表わされる置換基として、t−BOC等のカルボニルオキシ基を有する化合物である場合、該置換基が、熱変換によって、有機半導体の有する結晶構造において分子間水素結合に供される水素原子に置換される。
ここで、本発明の前駆体から水素結合性顔料へ変換する反応(以下、適宜「熱変換」ということがある。)を説明する。
下記式(7)は、熱変換を説明する式である。熱変換では、本発明の前駆体(式(3))に加熱処理を施すことによって、Zを水素に置換し、水素結合性顔料(式(1))に変換する。該水素結合性顔料(式(1))が、分子間水素結合によって相互作用しながら、立体的に結晶構造を形成することによって、本発明の有機半導体の膜が形成される。
なお、式(7)において、式(1)と同様の基は、同じ符号を用いて表わしている。
また、Zが水素と置換されるとき、本発明の前駆体からどのような形態で脱離されてもよい。即ち、Zが単体で脱離してもよく、脱離したZ同士、または反応系内にあるその他の原子と化合物を形成して脱離してもよい。
Figure 2008226959
熱変換は、通常100℃以上、好ましくは150℃以上の加熱処理によって生じる。また、加熱処理の上限は、通常400℃以下、好ましくは300℃以下である。この範囲を上回ると、水素結合性顔料が分解し、劣化する可能性がある。
熱変換の時間は、十分に変換することができる時間であれば、制限はない。熱変換の進行度合いの確認方法にも制限はないが、通常、IR法(赤外吸収スペクトル測定法)、可視スペクトル法、熱重量分析法を用いることができる。
有機電界効果トランジスタの用途によっては、本発明の前駆体への熱変換の程度を部分的に調節して、本発明の有機半導体の特性に変化を与えることも可能である。この場合には、熱変換を低温及び/又は短時間で処理することが好ましい。
熱変換における加熱手段には、ヒーターを用いた伝熱、炭酸ガスレーザー、赤外線ランプ、本発明の前駆体の吸収する波長の光の照射、本発明の前駆体の近傍に光を吸収する層を設けて光をこの層で吸収させることにより加熱すること、等の方法を用いることができる。中でも、ヒータを用いた伝熱が好ましい。均一で安定した加熱が可能なためである。
[その他]
(塗布工程以外の成膜方法)
上記の塗布工程以外の方法で本発明の前駆体の膜を成膜することも出来る。例えば、塗布法を用いる代わりに、LB法(ラングミュア・ブロジェット法)、等によって成膜してもよい。これらの方法は1種を単独で行なっても良く、また、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で行なっても良い。さらに、これらの方法と上記の塗布法とを組み合わせて行なってもよい。
なお、本発明の前駆体を成膜するだけではなく、水素結合性顔料を成膜して本発明の有機半導体の膜を形成しても良い。水素結合性顔料を成膜する方法は、本発明の前駆体を成膜する方法と同様である。
(熱変換工程以外の熱変換方法)
水素結合性顔料を成膜して本発明の有機半導体の膜を形成する場合には、成膜する前の本発明の前駆体に対して熱変換を行なってもよい。
(本発明の有機半導体の膜)
本発明の有機半導体の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上、また、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは200nm以下である。上記範囲を下回ると、電流の流れる部分が制限され、半導体特性が低下する傾向がある。また、上記範囲を上回ると、成膜に必要な材料が多くなったり、成膜時間が長くなったりしてコストアップにつながる傾向がある。さらに、オフ電流が流れやすくなりオンオフ比を大きく取れなくなる可能性がある。
従って、本発明の製造方法によって製造された有機半導体の膜も、上記範囲の膜厚を有することが好ましい。
また、本発明の製造方法で製造された有機半導体は、上記の好ましいと例示された本発明の前駆体から製造されることが好ましい。従って、該有機半導体が、キナクリドン系化合物、あるいは、ジケトピロロピロール系化合物であることが好ましい。
[4.有機電界効果トランジスタ]
本発明の有機電界効果トランジスタは、有機半導体層として、上述の水素結合性顔料から形成される有機半導体(本発明の有機半導体)の膜を有している。具体的に有機半導体としては、キナクリドン系化合物、あるいは、ジケトピロロピロール系化合物を含有することが好ましく、中でもジケトピロロピロール系化合物を含有することが好ましい。
なお、ジケトピロロピロール系化合物を含有する有機電界効果トランジスタであれば、本発明の製造方法によって得られたものか否かを問わず、本発明の有機電界効果トランジスタであるものとする。
本発明の有機電界効果トランジスタは、本発明の有機半導体の膜からなる有機半導体層を備えていれば、その他の構成に制限はない。以下、本発明の有機電界効果トランジスタの一例について説明する。
図1A〜Dは、本発明の有機電界効果トランジスタの構造の一例を模式的に示す図である。図1A〜Dにおいて、1が本発明の有機半導体の層、2が絶縁体層、3及び4がソース電極及びドレイン電極、5がゲート電極、6が基板をそれぞれ示す。
(有機半導体層のドープ剤)
本発明の有機電界効果トランジスタは、本発明の有機半導体の膜を有してなる。本発明の有機半導体の膜には、その特性を変化させるために、微量の原子や原子団、分子、高分子等のドープ剤をドーピングしてもよい。
ドープ剤の種類に制限はないが、例えば、酸素、水素、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;ナトリウム、カリウム等の金属原子;等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。ドーピングは、ドープ剤のガスに接触させたり、溶液に浸したり、電気化学的な処理をすることにより達成できる。これらのドーピングは膜の形成後に行なってもよいし、材料合成時に行なってもよい。また、溶液を用いた作製プロセスの場合には、その溶液に混合したり、前駆体膜の段階で混合したりすることもできる。また蒸着時に添加する材料を共蒸着したり、膜形成時の雰囲気に混合したり、さらにはイオンを真空中で加速して膜に衝突させることも可能である。
これらのドーピングの効果は、キャリア密度の増加あるいは減少による電気伝導度の変化、キャリアの極性の変化(p型、n型)、フェルミ準位の変化等が挙げられ、有機電界効果トランジスタでは良く利用されているものである。
(ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極)
ゲート電極、ドレイン電極、及びソース電極の各電極は、導電性材料であれば制限はない。例えば、白金、金、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属材料;InO2、SnO2、ITO等の導電性の酸化物材料;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子材料、並びに、該導電性高分子に塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントとして添加された材料;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、等の半導体材料、及びそれらがドーピングされた材料;、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料;金属粒子等を分散した導電性の複合材料;等の、導電性を有する材料が用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
上記の各電極を形成する方法は、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法、等を用いることができる。また、そのパターニング方法も、フォトレジストのパターニングとエッチング液や反応性のプラズマでのエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、等のソフトリソグラフィーの手法、及びこれらの手法の複数の組み合わせた手法を利用することができる。また、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して材料を除去したり材料の導電性を変化させたりすることにより、直接パターンを作製することもできる。
なお、ソース電極、及びドレイン電極は、直接有機半導体と接合して電荷のやりとりをするので、その障壁があまり大きくないものが好ましい。そのために、p型半導体のソース電極には仕事関数の大きな金属が、n型半導体の場合には仕事関数の小さな電極を用いることが好ましい。また、電極と半導体の界面処理により、電荷の注入をスムーズにすることも可能である。例えば、金属電極上に自己組織化単分子層(SAM)や導電性高分子の層を形成して、電荷注入障壁を小さくすることも可能である。
有機電界効果トランジスタは、ソース電極とドレイン電極とで挟まれるチャネル部分の電流を、ゲート電極により制御することで、スイッチング、あるいは増幅の動作をする。
このチャネル部分の幅(ソース電極とドレイン電極とのギャップ間隔)は、一般に狭いほどトランジスタとしての特性が上がるが、狭すぎると、オフ電流が増加したりオンオフ比が小さくなったりする、いわゆるショートチャンネル効果が見られるようになる傾向がある。また、チャネルの幅(ソース電極とドレイン電極の幅)が大きくなると大きな電流を流せるようになり好ましいが、大きすぎると素子の面積が大きくなり集積化の点で課題となる。さらに、ソース電極とドレイン電極とを櫛型電極にすることにより、長いチャネル長を得ることができる。
従って、チャネル長は通常100nm以上、好ましくは500nm以上、さらに好ましくは1μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。また、チャネルの幅は、通常500nm以上、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上、また、通常20mm以下、好ましくは5mm以下、さらに好ましくは1mm以下である。
(絶縁体層)
絶縁体層に用いられる材料としては、任意の絶縁体を用いることができる。
絶縁体の種類に制限はないが、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー及びこれらを組み合わせた共重合体、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル等の酸化物;SrTiO3、BaTiO3等の強誘電性酸化物;窒化珪素等の窒化物;硫化物;フッ化物;等の誘電体、あるいは、これら誘電体の粒子を分散させたポリマー、等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
一般に絶縁体層の静電容量が大きくなるほどゲート電圧を低電圧で駆動できることになるので、有利になる。これには、誘電率の大きな絶縁材料を用いるか、絶縁体層の厚さを薄くする事に対応することができる。絶縁体層は、例えば塗布(スピンコーティングやブレードコーティング)、蒸着、スパッタ、スクリーン印刷やインクジェット等の印刷法、アルミ上のアルマイトの様に金属上に酸化膜を形成する方法等、材料特性に合わせた方法で作製することができる。
(基板)
本発明の有機電界効果トランジスタは、通常基板上に作製する。基板としては任意のものを用いることができ、例えば、ポリマーの板、フィルム、ガラス、あるいは金属をコーティングにより絶縁体層を形成したもの、ポリマーと無機材料の複合材等を用いることができる。
さらに、基板には基板処理を施すことにより、有機電界効果トランジスタの特性を向上させることができる。これは基板の親水性/疎水性を調整して、成膜の際に得られる膜質を向上させること、特に基板と半導体層の界面部分の特性を改良することがその原因と推定される。このような基板処理としては、例えばヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等の疎水化処理、塩酸や硫酸、酢酸等の酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ処理、オゾン処理、フッ素化処理、酸素やアルゴン等のプラズマ処理、ラングミュアブロジェット膜の形成処理、その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理が挙げられる。
(保護層)
本発明の有機電界効果トランジスタは、半導体特性を改良したり、外気の影響を最小限にしたりするために、保護膜を形成することができる。
保護層の材料は特に限定されないが、例えば、スチレン樹脂;エポキシ樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート樹脂等のポリマー膜;フッ素樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂からなる膜;酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等、無機酸化膜や窒化膜等の誘電体からなる膜;が好ましく挙げられる。中でも、酸素や水分の透過率や吸水率の小さな樹脂(ポリマー)が望ましい。その例としては、ポリマーフィルムにアルミ等の金属や酸化ケイ素、窒化珪素、SiON等の気体透過性の小さな金属、無機酸化膜を有するポリマーの膜、等を好適に用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
保護層の形成方法に制限はないが、例えば溶液の塗布乾燥する方法、モノマーを塗布あるいは蒸着して重合する方法が挙げられ、さらに架橋処理や多層膜を形成することも可能である。
また、無機物の保護層の形成には、例えばスパッタ法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法に代表される溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。
半導体に接するポリマー膜は、半導体特性の改良にはポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリベンジルメタクリレート、ポリアセナフチレン、ポリカーボネート樹脂等の芳香環を含むものが好ましく、その上にガスバリア性を有する膜、例えば窒化珪素や酸化ケイ素等の無機膜、アルミニウムやクロム等の金属膜を積層するのが好ましい。
また、用途などに応じて、本発明の有機電界効果トランジスタには、上述した以外の層や部材を設けても良い。
[5.本発明の有機電界効果トランジスタの用途]
本発明の有機電界効果トランジスタは、ディスプレーのアクティブマトリクスのスイッチング素子として利用することが出来る。これは、ゲートに印加される電圧によって、ソースとドレインとの間の電流をスイッチング出来ることを利用して、ある表示素子に電圧を印加あるいは電流を供給する時のみスイッチを入れ、その他の時間は回路を切断する事により、高速、高コントラストな表示を行うものである。このような表示素子としては、液晶表示素子、高分子分散型液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロルミネッセント素子、エレクトロクロミック素子等が挙げられる。
また、本発明の有機電界効果トランジスタは、低温プロセスでの素子作製が可能である。従って、プラスチック基板、プラスチックフィルム、及び紙等の高温処理に耐えない基板を用いることができるというメリットがある。また、塗布あるいは印刷プロセスでの素子作製が可能であることから、大面積のディスプレーへの応用に適している。また、従来のアクティブマトリクスの代替としても、省エネルギープロセス、低コストプロセスの可能な素子として有利である。
さらに、本発明の有機電界効果トランジスタを集積することにより、デジタル素子やアナログ素子が実現できる。これらの例としては、AND、OR、NAND、NOT等の論理回路、メモリー素子、発振素子、増幅素子、等が挙げられる。さらにこれらを組み合わせることにより、ICカードやICタグを作製することができる。
また、本発明の有機半導体は、ガスや化学物質、温度等の外部の刺激により、特性が大きく変化する特徴を有する。従って、本発明の有機電界効果トランジスタは、上記特徴を利用したセンサーへ応用することも考えられる。例えば本発明の有機電界効果トランジスタの特性が、気体や液体との接触により変化する量を測定することにより、定性的あるいは定量的にそれに含まれている化学物質を検出することが可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下の記載において、DMSOとはジメチルスルホキシド、TFAAとは無水トリフルオロ酢酸、Etとはエチル基、Prとはプロピル基、TFAとはトリフルオロ酢酸を意味する。
[水素結合性顔料の前駆体]
水素結合性顔料の前駆体としては、以下式(8)に示すジケトピロロピロール系化合物(以下「t−BOC DPP」という。)と、以下式(9)に示すキナクリドン系化合物(以下「t−BOC QA」という。)とを用いる。
Figure 2008226959
Figure 2008226959
t−BOC DPPは、米国特許第5484943号明細書(J. Zambounis, Z. Hao, and A. Iqbal)記載の方法に従って合成して得た。また、t−BOC QAは、米国特許第5561232号明細書(Z. Hao, A. Iqbal, and J. Zambounis)記載の方法に従って合成して得た。
[実施例1]
(電極の形成)
300nmの酸化膜を形成したN型のシリコン基板(Sbドープ、抵抗率0.02Ωcm以下、住友金属工業社製)上に、フォトリソグラフィーで長さ10μm、幅500μmのギャップを有する金電極(ソース、ドレイン電極)を形成した。この基板を、塗布工程の前に120℃で24時間加熱処理した。
(塗布工程)
次にt−BOC DPP20mgを、クロロホルム230mgに溶解し、0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを用いて濾過した。濾過したt−BOC DPP溶液を1000回転30秒間の条件で基板上にスピンコートした。
(熱変換工程)
基板をホットプレート上で、230℃で15分間加熱(表面温度計で基板の温度を直接測定)し、塗布されたt−BOC DPPを有機半導体に変換した。その後、不要な半導体膜を、アセトンを含んだ綿棒で除去し、有機電界効果トランジスタを製作した。
[実施例2]
塗布工程でt−BOC DPP20mgの代わりに、t−BOC QA20mgを用いた以外は、実施例1と同様の方法で有機電界効果トランジスタを製作した。
[電界効果トランジスタの評価方法]
実施例で得られた有機電界効果トランジスタを、真空下、半導体パラメータアナライザ(アジレント社製、4155C)を用いて、トランジスタ特性を測定した。
ソース電極とドレイン電極との間に印加された電圧をVd、このときソース電極とドレイン電極との間を流れた電流をId、ソース電極とゲート電極との間に印加された電圧をVg、閾値電圧をVt、絶縁体層の単位面積当たりの静電容量をCi、ソース電極とドレイン電極との間隔をL、幅をW、有機半導体層の移動度をμとすると、その動作特性は次のように表すことができる。
Figure 2008226959
移動度μは素子の電流電圧特性から求めることができる。μを求めるには式(10)、又は式(11)を用いる方法が考えられる。本発明の場合は、式(11)の飽和電流部分のId 1/2−Vgの傾きから飽和移動度μmaxを求めた。このプロットのId=0との切片から閾値電圧Vtを求めた。また、Vdを−30V印加した場合における、Vgを30V印加したときのIdの値と、Vgを−50V印加したときのIdの値との比を、オンオフ比とした。
[結果]
実施例1、及び実施例2で製造した製作した有機電界効果トランジスタに対して、上記の電界効果トランジスタの評価を行なった。
実施例1で得られた電界効果トランジスタは、上記の測定結果より計算された飽和移動度μmaxが7.19×10-6cm2/Vs、オンオフ比が105、Vtが21Vであった。
実施例2で得られた電界効果トランジスタは、上記の測定結果より計算された飽和移動度μmaxが8.23×10-6cm2/Vs、オンオフ比が39、Vtが−10Vであった。
本発明は、産業上の任意の分野において使用可能であるが、特に、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、化学センサー、太陽電池、光電流を生じるフォトダイオード、フォトトランジスターなどの、有機半導体を適用しうる素子に用いて好適である。
本発明の有機電界効果トランジスタの構造の例を模式的に示す図である。
符号の説明
1 本発明の有機半導体層
2 絶縁体層
3 ソース電極
4 ドレイン電極
5 ゲート電極
6 基板

Claims (5)

  1. 固体状態において分子間水素結合により形成される結晶構造を有する有機半導体の膜を、該有機半導体の前駆体から誘導して形成する
    ことを特徴とした、有機電界効果トランジスタの製造方法。
  2. 該前駆体の膜を塗布法により形成する塗布工程と、
    該前駆体の膜を熱変換して、該有機半導体の膜を形成する熱変換工程とを有する
    ことを特徴とした、請求項1記載の有機電界効果トランジスタの製造方法。
  3. 該前駆体がカルボニルオキシ基を有し、
    該カルボニルオキシ基が、該結晶構造において分子間水素結合に供される水素原子に置換される
    ことを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載の有機電界効果トランジスタの製造方法。
  4. 該有機半導体が、キナクリドン系化合物、あるいは、ジケトピロロピロール系化合物である
    ことを特徴とした、請求項1〜3の何れか一項に記載の有機電界効果トランジスタの製造方法。
  5. ジケトピロロピロール系化合物を含有する
    ことを特徴とした、有機電界効果トランジスタ。
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