JP2008309253A - 磁性流体式押圧装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁性流体の圧力特性を利用して消費電力を低減する。
【解決手段】被押圧部材に向けた押圧力を発生する推力機構と、その推力機構と前記被押圧部材との間に介在されて前記推力機構によって押されて前記被押圧部材側に流動することにより前記押圧力を被押圧部材に伝達する磁性流体と、その磁性流体に磁気を作用させてその流動を抑制する磁化手段と、前記磁性流体に前記磁気を作用させた後にその磁気の作用を止めて前記押圧力を前記磁性流体で保持させる保圧手段とを備えた磁性流体式押圧装置において、前記保圧手段によって前記押圧力を保持させている状態で前記推力機構によって押圧力を加える場合に、前記磁性流体にその残留磁気を消失させる磁気を一時的に作用させる消磁手段とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】被押圧部材に向けた押圧力を発生する推力機構と、その推力機構と前記被押圧部材との間に介在されて前記推力機構によって押されて前記被押圧部材側に流動することにより前記押圧力を被押圧部材に伝達する磁性流体と、その磁性流体に磁気を作用させてその流動を抑制する磁化手段と、前記磁性流体に前記磁気を作用させた後にその磁気の作用を止めて前記押圧力を前記磁性流体で保持させる保圧手段とを備えた磁性流体式押圧装置において、前記保圧手段によって前記押圧力を保持させている状態で前記推力機構によって押圧力を加える場合に、前記磁性流体にその残留磁気を消失させる磁気を一時的に作用させる消磁手段とを備えている。
【選択図】図1
Description
この発明は、推力機構と被押圧部材との間に磁性流体を介在させた押圧装置に関するものである。
従来、押圧装置において、押圧力を受けてそれを電磁的に制御する装置は使用されている。この種の装置のうち直線的に動作の制限を行う装置を適用可能な機構の一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載されている装置は、電磁石をアクチュエータとして利用した電磁摩擦クラッチであって、電磁石で発生させた磁気力によってアーマチュアを吸引し、その推力を摩擦板に作用させて各摩擦板を接触させるように構成されている。したがって、その推力に応じた係合力すなわちトルク容量が設定される。しかしながら、その推力あるいはクラッチの締結力は、磁束密度によって変化し、その磁束密度がエアギャップによって変化するので、特許文献1に記載された発明では、磁束密度を算出することにより、電磁石に通電する電流値をフィードバック制御するように構成している。その結果、エアギャップが変化しても締結力を適切に制御できる、としている。
この特許文献1の発明は、アーマチュアによる推力もしくは締結力を所定値に維持するために電流を制御することとしているが、磁束密度は、電流以外にエアギャップによっても変化するから、エアギャップを調整することにより、電流を変化させずにアーマチュアによる推力もしくは締結力を一定に維持することができる。これは、アーマチュアと摩擦板との間に、両者の間隔を調整するために、一方の動作を他方に対して選択的に制限する機構を設けることにより成立させることができる。
上述したアーマチュアと摩擦板との間隔調整などのために相対的な動作を制限したり、あるいは回転動作を制限したりする機構は、本来直線的に動作し、あるいは回転する装置の内部に組み込むことになるのが一般的であるから、可及的に小型であり、また制御が簡単でエネルギ消費の少ないものであることが好ましい。しかしながら、上述したエアギャップを一定に維持するための機構もしくは装置を含めて、従来では、必ずしもエネルギ消費の削減の要請を十分に満たすものが開発されていないのが実情である。また、図8に示すように、サブコイルの通電を止めても磁性流体が固化しているため、メインコイルに通電した場合に磁性流体の固化部が抵抗となってクラッチ締結圧が所定の圧力にもどるまでの応答性が悪く、また磁性流体の抵抗に打ち勝つために大きく電力を必要とするのでエネルギ消費を低減させるという点において問題があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、エネルギ消費が少なく、また押圧応答性の良い装置を提供することを目的とするものである。
この発明は、上記の目標を達成するために、作用する磁界に応じて粘度が変化する磁性流体を使用し、その磁性流体の流動性を高くして所定の動作部材の磁界を制御するように構成した装置を対象としている。なお、この発明における磁性流体は、ミクロンメータ(μm)オーダーの磁性粉粒体をオイルに混入した磁性流体だけでなく、ナノメータ(nm)オーダーの磁性粉粒体をオイルに混入した磁気粘性流体を含む。
具体的には、請求項1の発明は、被押圧部材に向けた押圧力を発生する推力機構と、その推力機構と前記被押圧部材との間に介在されて前記推力機構によって押されて前記被押圧部材側に流動することにより前記押圧力を被押圧部材に伝達する磁性流体と、その磁性流体に磁気を作用させてその流動を抑制する磁化手段と、前記磁性流体に前記磁気を作用させた後にその磁気の作用を止めて前記押圧力を前記磁性流体で保持させる保圧手段とを備えた磁性流体式押圧装置において、前記保圧手段によって前記押圧力を保持させている状態で前記推力機構によって押圧力を加える場合に、前記磁性流体にその残留磁気を消失させる磁気を一時的に作用させる消磁手段を備えていることを特徴とする磁性流体式押圧装置である。
請求項1の発明によれば、磁性流体にその残留磁気を消失させる磁気を一時的に作用させる消磁手段を備えているので、その磁性流体の粘度を変えることにより電磁コイルへの通電時間を短縮できる。その結果、消費電力を低減することができる。
つぎにこの発明を更に具体的に説明する。この発明での動作部材は、直線的に前後動する部材や回転動作する部材のいずれであってもよい。前者の直線往復動作する例が、摩擦係合装置の押圧機構や振動を減衰させるダンパーなどであり、後者の回転動作する例が、ビスカスカップリングや差動制限機構などである。また、その動作の制限は、動作の絶対量を減じる制限であってもよく、あるいは相対移動量や相対速度を減じる制限などであってもよい。
この発明を適用した電磁クラッチの例を図1に模式的に示してある。ここに示す例におけるアクチュエータ1は、電磁石2とこれに吸引されるアーマチュア3とによって推力を発生するように構成されている。その電磁石2は、全体として環状を成しかつ周辺部分の断面が、軸線方向に開いたコ字状を成すヨーク4と、通電することにより磁界を発生する電磁コイル(以下、仮にメインコイルと記す)5とを備えている。そのメインコイル5はヨーク4の内部に嵌め込まれた状態になっている。
アーマチュア3は、ヨーク4に対向するリング状の平板部6と、その平板部6の外周端に一体化させられているシリンダ部7とを備えている。このアーマチュア3が可動部である。そのシリンダ部7は、内筒部7aとそれより大径の外筒部7bとを備え、全体として環状を成し、かつ周辺部分が中空形状を成している。
このシリンダ部7は、ヨーク4の外周側の少なくとも一部を被うように配置されており、その先端部に薄板状のリテーナ8が取り付けられている。このリテーナ8に対向する他のリテーナ9が、電磁石2を保持している所定の固定部10に固定されている。そして、これらのリテーナ8,9の間にリターンスプリング11が配置されている。このリターンスプリング11は、アーマチュア3が電磁石2によって吸引されて前進された場合に圧縮され、電磁石2による吸引力(アーマチュア3の推力)がなくなった場合にアーマチュア3を元の初期位置に押し戻す弾性力を発生するように構成されている。
前記シリンダ部7の内部で軸線方向でのほぼ中央部に電磁石12が固定されている。この電磁石12は、前記内筒部7aの外周面に固定したベースリング12aと、その外周側に嵌合させた電磁コイル(以下、仮にサブコイルと記す)12bと、そのサブコイル12bを被うフレーム部材12cとを備えている。なお、ベースリング12aとサブコイル12bおよびフレーム部材12cとの間には僅かな隙間が開いていて、この隙間が後述する磁性流体もしくは磁気粘性流体のための流路を形成している。
上記のシリンダ部7の内部で前記電磁石12を挟んだ一方(図1の右側)には、この発明におけるピストンに相当する第1ピストン13が液密状態を維持して前後動するように嵌め込まれている。それに伴って電磁石12と第1ピストン13との間に、第1ピストン室14が形成されている。また、上記のシリンダ部7の内部で前記電磁石12を挟んだ他方(図1の左側)には、第2ピストン15が液密状態を維持して前後動するように嵌め込まれている。それに伴って電磁石12と第2ピストン15との間に第2ピストン室16が形成されている。
第1ピストン13は、シリンダ部7の内部に嵌合する部分から軸線方向に延び出ている部分を備え、そのいわゆる延出部分が、ブレーキとして機能するクラッチ機構17を構成している摩擦板18に接近して対向している。この摩擦板18は、ケーシング19の内周面にスプライン嵌合されたブレーキプレートと、ブレーキドラム20の外周面にスプライン嵌合されかつブレーキプレートに対して交互に配置されたブレーキディスクとを含み、第1ピストン13によって厚さ方向(軸線方向)に押圧されることにより互いに摩擦接触してトルクを伝達するように構成されている。図1に示す例では、遊星歯車機構21のサンギヤ22にブレーキドラム20が一体化され、そのサンギヤ22を選択的に制動するように構成されている。
また、第2ピストン15は、シリンダ部7の内部に嵌合する部分から軸線方向(図1における左方向)に延び出ている部分を備え、そのいわゆる延出部分が、ケーシング19に取り付けられているストッパー23に当接するように構成されている。このストッパー23は、第2ピストン15をシリンダ部7の内部に押し戻すためのものであり、したがって第2ピストン15に前記延出部分を形成する替わりに、第2ピストン15に向けて突出した部分をストッパー23に設けてもよい。
そして、上記の各ピストン室14,16の内部に、磁性流体もしくは磁気粘性流体(以下、仮にこれらを磁性流体と記す)24が封入されている。この磁性流体24は、従来知られているものであり、作用する磁界に応じて粘度が増大し、もしくはその流動性が低下し、あるいは固化する流体である。
なお、上記の各コイル5,12bに対する通電およびその遮断ならびに電流量の各制御は、クラッチ機構17の係合および解放の各要求ならびにこれらの要求に伴う前記磁性流体24の固化要求やその固化解除要求に基づく電子制御装置(図示せず)からの指令信号によって実行されるようになっている。
つぎに上述した装置の作用について説明する。先ず、クラッチ機構17を係合させるまでのいわゆる通常制御を行った場合の作用について説明すると、図1に示す状態は、メインコイル5がオフ状態であって押圧作用を行っていない状態であり、アーマチュア3はリターンスプリング11によって、各ピストン13,15と共に後退側の初期位置に押し戻されている。この状態では、サブコイル12bもオフ状態となっており、したがって磁性流体には磁界が作用しておらず、もしくは磁界が微弱であって、磁性流体24の粘度が低く、流動性を保持している。また、第2ピストン15がストッパー23に当接して第2ピストン室16内に相対的に押し込まれている。そのため、第2ピストン室16の容積が小さくなっているので、磁性流体24の多くは第1ピストン室14の内部に移動している。したがって、第1ピストン室14の容積が大きく、あるいはその内部の磁性流体24の量が多いことにより、第1ピストン13がアーマチュア3から相対的に大きく突出した状態となっており、そのストローク調整が押圧方向での前方側になっている。
図2のフローチャートおよび図3のタイムチャートに示すように、この状態でサブコイル12bに通電を開始して磁性流体24に磁界をかけ、この磁界の作用によって磁性流体24から第1ピストン13を介してクラッチ機構17を構成する摩擦板18を締結するための油圧(以下、クラッチ締結圧という)を保持する指令が出力される(ステップS1)。そして、磁性流体24の磁界残留特性を事前に調査して得たT1時間だけサブコイル12bに通電して残留磁界を発生させる(ステップS2)。
その後、T1時間経過後サブコイル12bの通電を止める(ステップS3)とクラッチ締結圧がわずかであるが減少していく。これは、その時点の温度や圧力装置の個体差、経時変化などが要因となっており、実験的あるいは経験的に知り得る圧力低下もしくは推定できる圧力低下である。はじめにサブコイル12bに通電を開始して得られたクラッチ締結圧からそのクラッチ締結圧の限界(以下、クラッチ係合限界差圧という)に達する時間をn分割してそのn分割分ごとに達する時間をT2時間とする。
ステップS3で通電を止めたサブコイル12bにT2時間経過するか、もしくは事前に調査して得たクラッチ締結圧がP1以上低減した場合(ステップS4)に否定的に判断されたならばステップS3に戻りサブコイルの通電を止め、肯定的に判断されたならば再びサブコイル12bにT1時間通電して磁界を発生させた後サブコイル12bの通電を再び止める(ステップS5)。
そして、クラッチ係合限界差圧に事前に設定した余裕分P2を加えて得られたクラッチ締結圧に達した場合(ステップS6)に否定的に判断されたならばステップS3に戻りサブコイル12bの通電を止め、肯定的に判断されたならばサブコイル12bに逆位相の通電を行う。このとき、残留磁気を解消もしくは低減できる時間であって、予め実験などにより、あるいは設計上決めた時間であるT3時間の間通電する(ステップS7)。このサブコイル12bに逆位相の通電を行うことにより固化していた磁性流体24の残留磁気が低減もしくは解消されて粘度が低下するので、その粘度が低下した状態から圧力を加えることにより直ちに流動してクラッチ締結圧を高くすることができる。つまり、クラッチ締結圧の応答性が格段に向上する。
このクラッチ締結圧の応答性が向上した状態でメインコイル5に再度の通電を行うと短時間のうちにクラッチ締結圧が上昇する(ステップS8)。これによりアーマチュア3の推力が第1ピストン13に伝達されて再び摩擦板18を加圧してクラッチ機構の17の締結が完了する。そして、このクラッチ締結圧の保持を終了する場合(ステップS9)否定的に判断されたならば、ステップS3に戻りサブコイル12bの通電を止め、肯定的に判断されたならば再びサブコイル12bに逆位相の磁界をかけ、磁性流体24の固化を解く、換言すれば、残留磁気が低減されて磁性流体の流動性が高くなる(ステップS10)。
次に第2の実施例を示すと、図4のフローチャートおよび図5のタイムチャートに示すように、前記第1の実施例のステップS6までと同じであるのでステップS6から説明する。まず、クラッチ係合限界差圧に事前に設定した余裕分P2を加えて得られたクラッチ締結圧に達した場合(ステップS6)に否定的に判断されたならばステップS3に戻りサブコイル12bの通電を止め、肯定的に判断されたならばメインコイル5にまず通電を行いクラッチ締結圧を幾分補充させる(ステップS17)。そののちにサブコイル12bに逆位相の通電を行って残留磁気を解消もしくは低減できる時間であって予め実験などにより、あるいは設計上決めた時間であるT3時間の間通電する(ステップS18)。つまり、メインコイル5の通電によりピストン13を介して摩擦板18への押圧を行い、その押圧状態でサブコイル12bに逆位相の通電を行い残留磁気を解消もしくは低減することによりクラッチ締結圧の応答性が格段に向上する。
このサブコイル12bに逆位相の通電を行うことにより固化していた磁性流体24の粘度が低下して流動性が相対的に高くなるのでクラッチ締結圧の応答性が格段に向上する。そこでアーマチュア3の推力が第1ピストン13に伝達され再び摩擦板18を加圧してクラッチ機構17の締結が完了する。そして、このクラッチ締結圧の保持を終了する場合(ステップS9)否定的に判断されたならば、ステップS3に戻りサブコイル12bの通電を止め、肯定的に判断されたならば再びサブコイル12bに逆位相の磁界をかけ、磁性流体24の固化を解く、換言すれば、残留磁気が低減されて磁性流体の流動性が高くなる(ステップS10)。これは、この発明における磁性流体24の粘度を変化させる制御に相当し、磁性流体24にサブコイル12bからの磁界が作用することにより磁性流体24の粘度が変化する。そのために第1ピストン室14の内部に磁性流体24が封止された状態になって、アーマチュア3と第1ピストン13とが接近する相対移動が制限もしくは規制され、あるいは第1ピストン13の前進を止めた状態でアーマチュア3が前進する動作が制限もしくは規制され、その結果アーマチュア3の推力が第1ピストン13に伝達される。図6に示すように第1ピストン13が摩擦板18を押圧してそれらを互いに摩擦接触させ、クラッチ機構17がいわゆる係合状態となる。
つぎに、この発明に係る磁性流体式押圧装置の第3の実施例を説明する。図7はこの発明の第3の実施例を模式的に示しており、ここに示す磁性流体式押圧装置は、摩擦板などの押圧対象物を押す推力を、磁性流体の圧力特性を利用して維持し、推力発生手段による付勢を解除できるように構成した例である。
図7において、摩擦板などの被押圧部材(以下、押圧対象物と記す)30に向けた保圧機構31が配置されている。この保圧機構31は、シリンダ32と、その両端側に前後動自在に収容された第1ピストン33と第2ピストン34とを備えている。また、シリンダ32の内部で軸線方向でのほぼ中央部に隔壁35が形成されており、この隔壁35には、その左右の油室36,37を連通させる油路38が貫通して形成されている。そして、これらの油圧36,37および油路38を満たすように磁性流体39が充填されている。さらに、その磁性流体39の粘度を増大させる磁界を生じさせる電磁コイル40が、油路38の内部もしくは近傍に設けられている。この電磁コイル40の電流の制御、すなわち磁界の制御は、図示しない電子制御装置によって行うように構成されている。
前記第1ピストン33はその先端部が押圧対象物30に接近して対向するように配置され、これに対して第2ピストン34は第1ピストン33とは反対側に配置されており、この第2ピストン34に推力(押圧対象物30を押すための軸線方向の力)を付与するようになっている。その推力を発生する機構としてネジ機構およびこれを回転させるモータ41が設けられている。これらのネジ機構およびモータ41がアクチュエータに相当し、そのネジ機構は、ネジ軸の一例としてのボールネジ軸42と、これにねじ込まれているナット43とを備えており、そのボールネジ軸42が前記モータ41に連結されて、モータ41によって回転させられるようになっている。また、ナット43に前記第2ピストン34が連結されている。
上記の押圧対象物30に荷重を掛ける場合、先ず、電磁コイル40へ逆位相の電流を通電して磁性流体39の粘度を低下させておき、その状態で再度モータ41を駆動してボールネジ軸42を回転させることにより、モータ41への通電時間が短縮され、ナット43を図7の右方向に前進させる。つまり、再加圧される。あるいは、あらかじめモータ41に電流を通電しておき、その状態で電磁コイル40に逆位相の電流を通電することで磁性流体39の粘度を低下させておき、さらに再度モータ41に電流を通電することでそのモータ41への通電時間が短縮され、ナット43を前進させる。つまり、再加圧される。このナット43と共に第2ピストン34が移動してシリンダ32の内部に押し込まれるから、図7の左側の油室37における磁性流体39が、油路38を通って図7の右側の油室36に流動する。そのため、第1ピストン33が押圧対象物30に向けて前進し、これを押圧する。このようにして、モータ41およびネジ機構による推力が、磁性流体39を介して押圧対象物30に作用する。
ここに示す例は、摩擦式のクラッチ機構を押圧対象物30とした例であり、クラッチ機構の係合判断に基づく指令信号によってモータ41の電流が増大させられて推力が発生する。図7に示す構成の場合には、これに加えて電磁コイル40の電流が逆位相に通電させられる。すなわち、モータ41の電流を短時間のうちに通電させて各ピストン33,34を前進させ、第1ピストン33が押圧対象物30に当接してこれを押圧する。こうして、クラッチ機構が係合するとクラッチ係合完了の判断が成立する。
なお、この発明は、摩擦板を摩擦接触させる機構における磁性流体式押圧装置に限られないのであって、直線的な動作を制限するダンパーにも適用することができる。例えば、シリンダ内を往復移動するピストンに、その両側を連通させる貫通孔を形成するとともに、そのシリンダの内部に上述した磁性流体を封入し、かつその磁性流体に磁界を作用させる電磁石を設けてもよく、このような作用・効果は、上記の磁性流体を粘性流体として使用するビスカスカップリングや差動制限機構でも得ることができる。
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、サブコイル12bおよび電磁コイル40ならびに図2のステップS7の制御を実行する機能的手段が、この発明の消磁手段に相当し、メインコイル5およびモータ41ならびに図2のステップS8の制御を実行する機能的手段が、この発明の保圧手段に相当する。
1…アクチュエータ、 2,12…電磁石、 3…アーマチュア、 5…メインコイル、 11…リターンスプリング、 12b…サブコイル、 13…第1ピストン、 14…第1ピストン室、 15…第2ピストン、 16…第2ピストン室、 17…クラッチ機構、 18…摩擦板、 24,39…磁性流体、 30…押圧対象物、 31…保圧機構、 33,34…ピストン、 36,37…油室、 38…油路、 40…電磁コイル、 41…モータ、 42…ボールネジ軸、 43…ナット。
Claims (1)
- 被押圧部材に向けた押圧力を発生する推力機構と、その推力機構と前記被押圧部材との間に介在されて前記推力機構によって押されて前記被押圧部材側に流動することにより前記押圧力を被押圧部材に伝達する磁性流体と、その磁性流体に磁気を作用させてその流動を抑制する磁化手段と、前記磁性流体に前記磁気を作用させた後にその磁気の作用を止めて前記押圧力を前記磁性流体で保持させる保圧手段とを備えた磁性流体式押圧装置において、
前記保圧手段によって前記押圧力を保持させている状態で前記推力機構によって押圧力を加える場合に、前記磁性流体にその残留磁気を消失させる磁気を一時的に作用させる消磁手段を備えていることを特徴とする磁性流体式押圧装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011007123A (ja) * | 2009-06-26 | 2011-01-13 | Nippon Soken Inc | バルブタイミング調整装置 |
WO2020044639A1 (ja) * | 2018-08-30 | 2020-03-05 | アルプスアルパイン株式会社 | 操作装置及び操作装置の制御方法 |
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2007
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