JP2008157348A - 動作制御装置 - Google Patents

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俊洋 青山
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Abstract

【課題】磁性流体の保圧特性を利用して動作制限時の消費電力を低減する。
【解決手段】少なくとも往復動作もしくは回転動作する動作部材の動作を選択的に制限する動作制御装置であって、作用する磁界が増大することにより粘度が増大して前記動作部材の動作を制限する磁性流体と、前記動作部材の動作制限要求によって前記磁界を増大させた後、前記動作部材の動作制限の解除要求が生じるまでの間に前記磁界を低下させて前記磁性流体の粘度が相対的に増大した状態に維持する磁界制御手段(ステップS13,S14)とを備えている。したがって、磁界を常時消磁させておく必要がないので、消費電力を低減でき、車両では燃費を向上させることができる。
【選択図】 図4

Description

この発明は、押圧力を受けて前後動し、あるいはトルクを受けて回転する所定の回転部材の動作を選択的に制限する装置に関するものである。
従来、直線的に動作する部材の位置を決めたり、あるいは相対位置を調整したり、さらには相対的に回転する部材の相対回転を制限したりする装置や機構が各種の分野で使用されている。この種の装置のうち直線的に動作の制限を行う装置を適用可能な機構の一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載されている装置は、電磁石をアクチュエータとして利用した電磁摩擦クラッチであって、電磁石で発生させた磁気力によってアーマチュアを吸引し、その推力を摩擦板に作用させて各摩擦板を接触させるように構成されている。したがって、その推力に応じた係合力すなわちトルク容量が設定される。しかしながら、その推力あるいはクラッチの締結力は、磁束密度によって変化し、その磁束密度がエアギャップによって変化するので、特許文献1に記載された発明では、磁束密度を算出することにより、電磁石に通電する電流値をフィードバック制御するように構成している。その結果、エアギャップが変化しても締結力を適切に制御できる、としている。
この特許文献1の発明は、アーマチュアによる推力もしくは締結力を所定値に維持するために電流を制御することとしているが、磁束密度は、電流以外にエアギャップによっても変化するから、エアギャップを調整することにより、電流を変化させずにアーマチュアによる推力もしくは締結力を一定に維持することができる。これは、アーマチュアと摩擦板との間に、両者の間隔を調整するために、一方の動作を他方に対して選択的に制限する機構を設けることにより成立させることができる。
特開2002−227882号公報
上述したアーマチュアと摩擦板との間隔調整などのために相対的な動作を制限したり、あるいは回転動作を制限したりする機構は、本来直線的に動作し、あるいは回転する装置の内部に組み込むことになるのが一般的であるから、可及的に小型であり、また制御が簡単でエネルギ消費の少ないものであることが好ましい。しかしながら、上述したエアギャップを一定に維持するための機構もしくは装置を含めて、従来では、必ずしも小型化や制御の簡素化あるいはエネルギ消費の削減の要請を十分に満たすものが開発されていないのが実情である。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、動作制限制御が容易であり、またエネルギ消費の少ない装置を提供することを目的とするものである。
この発明は、上記の目標を達成するために、作用する磁界に応じて粘度が変化する磁性流体を使用し、その粘度を高くして所定の動作部材の動作を制限するとともに、磁界を低下させた後であっても直ちには粘度が低下しない特性を利用して動作の制限を行うように構成したことを特徴としている。なお、この発明における磁性流体は、ミクロンメータ(μm)オーダーの磁性粉粒体をオイルの混入した磁性流体だけでなく、ナノメータ(nm)オーダーの磁性粉粒体をオイルの混入した磁気粘性流体を含む。
具体的には、請求項1の発明は、少なくとも往復動作もしくは回転動作する動作部材の動作を選択的に制限する動作制御装置において、作用する磁界が増大することにより粘度が増大して前記動作部材の動作を制限する磁性流体と、前記動作部材の動作制限要求によって前記磁界を増大させた後、前記動作部材の動作制限の解除要求が生じるまでの間に前記磁界を低下させて前記磁性流体の粘度が相対的に増大した状態に維持する磁界制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記動作部材は、摩擦接触することによりトルクを伝達する摩擦板を押圧するピストンを含み、そのピストンに推力を与えるアクチュエータを更に備え、前記ピストンと前記アクチュエータとの間に形成された流体室に前記磁性流体が流出入可能に収納され、前記磁界制御手段は、前記磁性流体の前記流体室からの流出を阻止するように前記磁性流体に磁界を作用させる手段を含むことを特徴とする動作制御装置である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記磁界を発生させる電磁コイルを更に備え、前記磁界制御手段は、前記磁性流体が磁界の作用によって固化した後に前記電磁コイルによる磁束密度を低下させる手段を含むことを特徴とする動作制御装置である。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記磁界制御手段は、前記電磁コイルによる磁束密度を低下させる継続時間を、その電磁コイルによる磁束密度が低いほど、および前記磁性流体の圧力が高いほど、短くする手段を含むことを特徴とする動作制御装置である。
請求項5の発明は、請求項3または4の発明において、前記磁性流体を固化させた後に前記磁界を低下させている間に前記アクチュエータによる推力を間欠的に増大させる推力制御手段を更に備えていることを特徴とする動作制御装置である。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記推力制御手段は、前記アクチュエータの推力を、前記磁性流体が固化した時点における推力より小さい推力に低下させた後に間欠的に増大させる手段を含むことを特徴とする動作制御装置である。
請求項7の発明は、請求項5または6の発明において、前記アクチュエータによる推力を間欠的に増大させる時間間隔を、前記電磁コイルによる磁束密度が低いほど、および前記磁性流体の圧力が高いほど、短くする手段を含むことを特徴とする動作制御装置である。
請求項8の発明は、請求項2ないし7のいずれかの発明において、前記磁性流体を固化させた状態で前記電磁コイルに通電できなくなった場合に、前記摩擦板に掛かるトルクおよび前記アクチュエータによる推力を低下させる負荷制御手段を更に備えていることを特徴とする動作制御装置である。
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかの発明において、前記動作部材の動作制限を解除する場合に、前記磁界とは逆の磁化を一時的に作用させる解除制御手段を更に備えていることを特徴とする動作制御装置である。
請求項10の発明は、請求項2ないし9のいずれかの発明において、前記ピストンは、前記アクチュエータに対して前記推力の作用方向に前後動可能に配置され、前記流体室に封入される前記磁性流体の量に応じて、前記ピストンの前記アクチュエータに対する伸長量が変化するように構成されていることを特徴とする動作制御装置である。
請求項11の発明は、請求項10の発明において、前記磁界制御手段は、前記ピストンが前記摩擦板に当接して反力を受けることにより前記アクチュエータと前記ピストンとの間隔が短くなった状態で前記磁性流体に作用する磁界を増大させて前記磁性流体の粘度を増大させる手段を含むことを特徴とする動作制御装置である。
請求項12の発明は、請求項10の発明において、前記磁界制御手段は、前記アクチュエータの初期位置からの移動量が予め定めた所定量になりかつ前記ピストンが前記アクチュエータ側に押し戻されている状態で前記磁性流体に作用する磁界を増大させる手段を備えていることを特徴とする動作制御装置である。
請求項13の発明は、請求項2ないし12のいずれかの発明において、前記アクチュエータは、通電されて磁気を発生する主コイルと、その磁気によって吸引されて移動するアーマチュアとを備えていることを特徴とする動作制御装置である。
請求項1の発明によれば、所定の動作部材の動作の制限要求があると、磁性流体に作用する磁界を増大させることによりその粘度を増大させ、これにより所定の動作部材の動作が制限される。その後、前記動作制限の解除要求があるまでの間に、前記磁界が低下させられる。その場合であっても、磁性流体の粘度は、残留磁界などが要因となって粘度が増大した状態を維持する。その結果、動作制限を継続するために磁界を常時維持する必要がないので、エネルギ消費を抑制することができる。また、磁界に応じて磁性流体の状態を変化させることにより、動作制限の制御を行うことができるので、制御が容易になり、また全体としての構成を簡素化することが可能になる。
請求項2の発明によれば、アクチュエータの推力によって磁性流体が流体室に押されるとともに、その磁性流体を介してピストンが押され、摩擦板が摩擦接触する。その状態で磁界を低下させても磁性流体の粘度が直ちには低下せずに増大した状態に維持されるので、摩擦板に対する押圧力を維持できる。
請求項3の発明によれば、磁性流体を固化させた後に電磁コイルに対する通電を止め、あるいは低減して、磁性流体の固化状態を維持するので、電力の消費を抑制することができ、エネルギ効率を向上させることができる。
請求項4の発明によれば、電磁コイルによる磁束密度を低下させた場合、その継続時間を磁束密度および磁性流体の圧力に基づいて制御する。具体的には、磁束密度が低いほど、また圧力が高いほど、磁束密度を低下させた状態の継続時間を短くする。その結果、磁束密度の粘度を相対的に高い状態に維持できる。
請求項5の発明によれば、磁界を低下させることにより磁性流体の粘度が次第に低下するのに対して、アクチュエータによる推力が間欠的に付与されるので、摩擦板を押圧する押圧力が維持される。その場合、アクチュエータを間欠的に動作させるだけであって、推力を発生する動作状態を継続させるものではないから、エネルギ消費を抑制することができる。
請求項6の発明によれば、アクチュエータに替わって、粘度の増大した磁性流体が反力を受け持ち、アクチュエータの推力あるいはアクチュエータを動作状態に維持する消費エネルギを低減できるので、エネルギ効率を向上させることができる。
請求項7の発明によれば、磁界を低下させていることにより磁性流体の粘度が低下しやすい状態ほど、すなわち磁束密度が低いほど、また磁性流体に掛かる圧力が高いほど、アクチュエータが頻度高く推力を発生するので、磁性流体の粘度の低下を補って、摩擦板を押圧する押圧力を維持することができる。
請求項8の発明によれば、電磁コイルに通電できなくなって磁性流体に磁界を作用させることができなくなった場合、アクチュエータによる推力を低下させて磁性流体の圧力を相対的に低くするので、磁性流体の固化状態あるいはその粘度が高い状態を相対的に長い時間の間、維持させることができ、またそれに伴って摩擦板によって伝達できるトルクが低下することに合わせて、摩擦板に掛かるトルクを低下させるので、摩擦板を介したトルクの伝達を長時間に亘って維持できる。
請求項9の発明によれば、磁性流体の粘度を高くした後、その粘度を低下させる場合、消磁することにとどまらず、逆の磁界を一時的に作用させるので、残留磁界を積極的に除去して磁性流体の粘度を早期に低下させることができ、その結果、動作部材の動作制限を迅速に解消することができる。
請求項10の発明によれば、アクチュエータとピストンとが相対的に移動可能であるから、それらの間に介在させる磁性流体の量に応じて両者の相対位置、言い換えれば、アクチュエータに対するピストンの伸長量を変化させることができる。したがって、ピストンをストロークさせる位置がそのストローク方向で前後に変化しても、その変化分を流体室内の磁性流体の量で調整でき、それに伴ってアクチュエータのストローク量もしくはその範囲を一定に維持することができる。
請求項11の発明によれば、アクチュエータを移動させることに伴ってピストンが摩擦板に当接すると、その反力によってピストンがアクチュエータ側に押される。その場合に磁性流体が流動状態に設定されていると、これが流体室から押し出されてピストンがアクチュエータに対して接近する。すなわち、ピストンのストローク位置がいわゆる後退側に調整される。その状態で、磁性流体の流動性が低下させられて流体室に封止した状態に維持されるので、アクチュエータによる推力が摩擦板に作用してこれがいわゆる係合状態になる。したがって、摩擦板が摩耗していないなどのことによってピストンのストローク位置を後退側に設定するストローク調整を自動的に、かつ容易に行うことができる。
請求項12の発明によれば、アクチュエータの移動量に基づいて流体室における磁性流体の封止量すなわちアクチュエータとピストンとの相対位置が設定されるので、アクチュエータのストロークを維持しつつ、ピストンのストローク位置を調整することができ、ストローク調整が容易になる。
請求項13の発明によれば、ピストンのストローク位置を変化させる場合であっても、アーマチュアのストローク量もしくはその範囲が一定に維持される。そのため、主コイルとアーマチュアとの間のエアギャップを一定の範囲に維持できるため、主コイルに流す電流を増大させるなどの必要がなく、したがって主コイルの大型化や電流もしくは消費エネルギの増大を防止もしくは抑制することができる。
つぎにこの発明を更に具体的に説明する。この発明で動作が制限される動作部材は、直線的に前後動する部材や回転動作する部材のいずれであってもよい。前者の直線往復動作する例が、摩擦係合装置の押圧機構や振動を減衰させるダンパーなどであり、後者の回転動作する例が、ビスカスカップリングや差動制限機構などである。また、その動作の制限は、動作の絶対量を減じる制限であってもよく、あるいは相対移動量や相対速度を減じる制限などであってもよい。
この発明を適用した電磁クラッチの例を図1に模式的に示してある。ここに示す例におけるアクチュエータ1は、電磁石2とこれに吸引されるアーマチュア3とによって推力を発生するように構成されている。その電磁石2は、全体として環状を成しかつ周辺部分の断面が、軸線方向に開いたコ字状を成すヨーク4と、通電することにより磁界を発生する電磁コイル(以下、仮にメインコイルと記す)5とを備えている。そのメインコイル5はヨーク4の内部に嵌め込まれた状態になっている。
アーマチュア3は、ヨーク4に対向するリング状の平板部6と、その平板部6の外周端に一体化させられているシリンダ部7とを備えている。このアーマチュア3がこの発明の可動部に相当している。そのシリンダ部7は、内筒部7aとそれより大径の外筒部7bとを備え、全体として環状を成し、かつ周辺部分が中空形状を成している。
このシリンダ部7は、ヨーク4の外周側の少なくとも一部を被うように配置されており、その先端部に薄板状のリテーナ8が取り付けられている。このリテーナ8に対向する他のリテーナ9が、電磁石2を保持している所定の固定部10に固定されている。そして、これらのリテーナ8,9の間にリターンスプリング11が配置されている。このリターンスプリング11は、アーマチュア3が電磁石2によって吸引されて前進された場合に圧縮され、電磁石2による吸引力(アーマチュア3の推力)がなくなった場合にアーマチュア3を元の初期位置に押し戻す弾性力を発生するように構成されている。
前記シリンダ部7の内部で軸線方向でのほぼ中央部に電磁石12が固定されている。この電磁石12は、前記内筒部7aの外周面に固定したベースリング12aと、その外周側に嵌合させた電磁コイル(以下、仮にサブコイルと記す)12bと、そのサブコイル12bを被うフレーム部材12cとを備えている。なお、ベースリング12aとサブコイル12bおよびフレーム部材12cとの間には僅かな隙間が開いていて、この隙間が後述する磁性流体もしくは磁気粘性流体のための流路を形成している。
上記のシリンダ部7の内部で前記電磁石12を挟んだ一方(図1の右側)には、この発明におけるピストンに相当する第1ピストン13が液密状態を維持して前後動するように嵌め込まれている。それに伴って電磁石12と第1ピストン13との間に、この発明における流体室に相当する第1ピストン室14が形成されている。また、上記のシリンダ部7の内部で前記電磁石12を挟んだ他方(図1の左側)には、第2ピストン15が液密状態を維持して前後動するように嵌め込まれている。それに伴って電磁石12と第2ピストン15との間に第2ピストン室16が形成されている。
第1ピストン13は、シリンダ部7の内部に嵌合する部分から軸線方向に延び出ている部分を備え、そのいわゆる延出部分が、ブレーキとして機能するクラッチ機構17を構成している摩擦板18に接近して対向している。この摩擦板18は、ケーシング19の内周面にスプライン嵌合されたブレーキプレートと、ブレーキドラム20の外周面にスプライン嵌合されかつブレーキプレートに対して交互に配置されたブレーキディスクとを含み、第1ピストン13によって厚さ方向(軸線方向)に押圧されることにより互いに摩擦接触してトルクを伝達するように構成されている。図1に示す例では、遊星歯車機構21のサンギヤ22にブレーキドラム20が一体化され、そのサンギヤ22を選択的に制動するように構成されている。
また、第2ピストン15は、シリンダ部7の内部に嵌合する部分から軸線方向(図1における左方向)に延び出ている部分を備え、そのいわゆる延出部分が、ケーシング19に取り付けられているストッパー23に当接するように構成されている。このストッパー23は、第2ピストン15をシリンダ部7の内部に押し戻すためのものであり、したがって第2ピストン15に前記延出部分を形成する替わりに、第2ピストン15に向けて突出した部分をストッパー23に設けてもよい。
そして、上記の各ピストン室14,16の内部に、磁性流体もしくは磁気粘性流体(以下、仮にこれらを磁性流体と記す)24が封入されている。この磁性流体24は、従来知られているものであり、作用する磁界に応じて粘度が増大し、もしくはその流動性が低下し、あるいは固化する流体である。
なお、上記の各コイル5,12bに対する通電およびその遮断ならびに電流量の各制御は、クラッチ機構17の係合および解放の各要求ならびにこれらの要求に伴う前記磁性流体24の固化要求やその固化解除要求に基づく電子制御装置(図示せず)からの指令信号によって実行されるようになっている。
つぎに上述した装置の作用について説明する。先ず、クラッチ機構17を係合させるまでのいわゆる通常制御を行った場合の作用について説明すると、図1に示す状態は、メインコイル5がオフ状態であって押圧作用を行っていない状態であり、アーマチュア3はリターンスプリング11によって、各ピストン13,15と共に後退側の初期位置に押し戻されている。この状態では、サブコイル12bもオフ状態となっており、したがって磁性流体には磁界が作用しておらず、もしくは磁界が微弱であって、磁性流体24の粘度が低く、流動性を保持している。また、第2ピストン15がストッパー23に当接して第2ピストン室16内に相対的に押し込まれている。そのため、第2ピストン室16の容積が小さくなっているので、磁性流体24の多くは第1ピストン室14の内部に移動している。したがって、第1ピストン室14の容積が大きく、あるいはその内部の磁性流体24の量が多いことにより、第1ピストン13がアーマチュア3から相対的に大きく突出した状態となっており、そのストローク調整が押圧方向での前方側になっている。
この状態で係合開始の判断が成立して係合指令が出力されると、図2のフローチャートに示すように、先ず、メインコイル5の電流が増大させられる(ステップS1)。その結果、メインコイル5による磁力によってアーマチュア3が吸引され、軸線方向の推力が発生する。したがってアーマチュア3における少なくとも前記平板部6は磁性体によって形成されている。その場合の吸引力すなわち推力は、メインコイル5に流す電流と、ヨーク4とアーマチュア3との間のエアギャップとに応じたものとなる。
アーマチュア3に作用する吸引力が、前記リターンスプリング11による弾性力より大きくなると、アーマチュア3が移動し始める。このアーマチュア3と共に各ピストン13,15が移動すると、第1ピストン13が摩擦板18に当接し、また第2ピストン15がストッパー23から離れてストッパー23側に移動できる状態になる。したがって、第1ピストン13の前進が阻止された状態でアーマチュア3が前進するので、第1ピストン13がシリンダ部7の内部に向けて相対的に押し戻される。そのため、この状態では摩擦板18を積極的に摩擦接触させる押圧力は生じない。
また、第1ピストン室14の磁性流体24は、前述した流路を通って第2ピストン室16に移動し、それに伴って第2ピストン15がストッパー23側に押し出される。したがって、第1ピストン13のアーマチュア3からの突出量もしくは両者の相対位置が変更され、第1ピストン13のストローク位置が相対的に後退方向に調整される。
こうして、アーマチュア3が設定位置まで前進すると、メインコイル5の電流が一時的に低下させられる。すなわち、メインコイル5による推力が一時的に低下させられる。これを図2のフローチャートで説明すると、アーマチュア3の位置が設定位置か否かが判断される(ステップS2)。そのステップS2で否定的に判断された場合には、ステップS1に戻ってメインコイル5の電流を増大させる制御もしくは電流を維持する制御を継続する。これとは反対にステップS2で肯定的に判断された場合には、メインコイル5の電流を低下させる(ステップS3)。
ここで、ステップS2の判断基準である設定位置は、エアギャップがゼロに近い微小になる位置であり、実験やシミュレーションなどによって予め定めた位置である。そして、ステップS2の判断は、アーマチュア3の位置やストローク量を検出するセンサによる出力値と設定値とを比較することにより行うことができる。他方、ステップS2で低下させるメインコイル5の電流値は、アーマチュア3が前記リターンスプリング11による押し戻し力で初期位置に戻らない程度の推力もしくは吸引力が発生する電流値であり、設計上、予め定めておくことができる。
上記のようにしてヨーク4とアーマチュア3との間のエアギャップがゼロに近い所定間隔になった時点に、サブコイル12bの電流が増大させられる(ステップS4)。これは、この発明における磁性流体の粘度を増大させる制御もしくは固化させる制御に相当し、前述した磁性流体24にサブコイル12bからの磁界が作用することにより磁性流体24が固化し、あるいはその粘度が増大する。そのために、第1ピストン室14の内部に充填されている磁性流体24がその第1ピストン室14の内部に封止された状態になって、アーマチュア3と第1ピストン13とが接近する相対移動が制限もしくは規制され、あるいは第1ピストン13の前進を止めた状態でアーマチュア3が前進する動作が制限もしくは規制され、その結果、アーマチュア3の推力が第1ピストン13に伝達される。その状態を図3に示してある。
そのため、第1ピストン13が摩擦板18を押圧してそれらを互いに摩擦接触させ、クラッチ機構17がいわゆる係合状態となる。その場合の係合力は、メインコイル5でアーマチュア3を吸引する電磁気力あるいは磁束密度に応じたものになるが、アーマチュア3と第1ピストン13との相対位置もしくは第1ピストン13のストローク位置が前述したように調整されてエアギャップが小さいことにより、その電磁気力あるいは磁束密度が大きく、メインコイル5の電流を特に増大させることなく、必要十分な係合力を得ることができる。
サブコイル12bの電流を増大させる制御は、クラッチ機構17の保持トルクが必要トルク以上となるように実行される。すなわち、図2に示すフローチャートでは、保持トルクが必要トルク以上か否かが判断され(ステップS5)、このステップS5で否定的に判断された場合には、ステップS4に戻ってサブコイル12bの電流を増大させる制御を継続する。これとは反対にステップS5で肯定的に判断された場合には、サブコイル12bの電流値がその時点の電流値に維持され(ステップS6)、ついでメインコイル5の電流制御(ステップS7)が実行される。
なお、保持トルクは、摩擦板18の枚数、摩擦係数、半径、第1ピストン13による係合圧などに基づいて算出することができる。また、必要トルクは、前記クラッチ機構17を含む動力伝達装置に入力されるトルク(例えばエンジントルク)や変速比などに基づいて算出することができる。さらに、メインコイル5の電流制御は、前述したステップS3で低下させた電流値への復帰、および入力トルクや変速比の変化などによる必要トルクの変化に合わせて保持トルクを変化させる制御である。
上述のようにしてクラッチ機構17の係合制御が実行された後、係合状態を保持するための制御が行われる。その制御例を図4に示してある。図4に示す制御例では、先ず、クラッチ係合終了が判定される(ステップS11)。すなわち、前記クラッチ機構17が所期通りに係合したか否かが判断される。この判断は、サブコイル12bの電流を増大させてからの経過時間や回転数、あるいは車両の場合には変速比などによって行うことができる。このステップS11で否定的に判断された場合には、ステップS12に進んで通常制御が継続される。この通常制御は、図2を参照して説明した制御である。このステップS12の後、リターンする。
これに対してクラッチ機構17が所期通りに係合してステップS11で肯定的に判断された場合には、マップが読み込まれる(ステップS13)。このマップは、一旦粘度を増大させた磁性流体24の保圧特性を示すマップであり、磁性流体24に掛かる圧力(摩擦板18の締結圧あるいはクラッチ機構17の係合圧)、サブコイル12bの電流値(磁性流体24に作用する磁束密度)、磁性流体24の温度のそれぞれに応じた圧力の保持時間を示すマップである。具体的に説明すると、図5の(a)は、所定の油温において、クラッチ機構17の係合圧が90%に低下するまでの時間(保圧時間)Tlpを、係合圧毎およびサブコイル12bの電流値毎に測定した結果を示す図である。この図5の(a)に示すように、磁性流体24の圧力が低いほど、また磁性流体24に作用する磁束密度が高いほど、保圧時間Tlpが長くなる。なお、特定の電流値の下でのクラッチ係合圧Plpに対する保圧時間Tlpの関係を示せば、図5の(b)のとおりである。
図5の(a)に示す測定結果をマップとして書き直すと、図5の(c)のとおりであり、ステップS13ではこのようにして作成されたマップが読み込まれる。なお、磁性流体24はオイルに磁性の粉粒体を混入させたものであるから、油温が高いほどその粘度が低くなるので、保圧時間Tlpは油温が高いほど短くなる特性を示す。したがって、上記のマップは、油温毎に作成されて用意される。そして、そのマップに基づいて、設定すべきクラッチ係合圧Plp、保圧時間Tlpからサブコイル12bの電流値が求められる。また、メインコイル5の電流値は設定するべきクラッチ係合圧Plpに基づいて求められる。より具体的には、サブコイル12bの電流値は、可及的に小さくなるように設定される。
そして、ステップS13での制御の結果に基づいてサブコイル12bの電流値Isおよびメインコイル5の電流Imが制御される(ステップS14)。その後にリターンする。このようにして設定された各電流値の下での磁性流体24の粘度は次第に低下し、クラッチ係合圧Plpがそれに応じて次第に低下するので、磁性流体24を介した摩擦板18の押圧を維持するために、すなわちアーマチュア3と第1ピストン13との相対動作を制限した状態を維持するために、いずれかの電流Is,Imが制御される。その例を図6に示してある。
クラッチ機構17の係合指示に伴って磁性流体24を固化させる要求(この発明における動作制限要求)が生じると、メインコイル5の電流Imが増大させられてアーマチュア3の推力が発生し、また前述したストローク調整が完了したストローク位置でサブコイル12bの電流Isが増大させられて、磁性流体24が固化される。その結果、クラッチ機構17の係合圧Plpが所期通りの圧力に増大し、これが検出されることによりクラッチ機構17の係合完了の判定が成立する(t1時点)。これと同時にクラッチ係合のフラグが立つ。
その後、サブコイル12bの電流Isが低下させられる(t2時点)。その結果、磁性流体24に作用する磁界が消失し、もしくは低下するので、磁性流体24を介したクラッチ係合圧Plpが次第に低下する。その低下傾向は、前述した保圧特性に応じたものとなる。クラッチ係合圧Plpが、摩擦板18の滑りを生じさせることなくトルクを伝達できる範囲で、所定の圧力まで低下したt3時点に、メインコイル5の電流が一時的に増大させられる。このメインコイル5の電流を増大させるタイミングは、前述した保圧特性から決定することができ、こうすることによりクラッチ係合圧Plpを検出する必要はなくなる。
メインコイル5の電流Imを一時的に増大させる制御は、クラッチ機構17の係合要求があり、かつサブコイル12bの電流値を低下させている間、繰り返し実行される。これは、サブコイル12bの電流Imを増大させてクラッチ係合圧Plpを増大させても、磁性流体24に作用する磁界が消失しもしくは低下していることにより、磁性流体24の保圧特性に応じてクラッチ係合圧Plpが再度、次第に低下するからである。したがって、メインコイル5の電流Imを一時的に増大させる制御の時間間隔、すなわち推力を間欠的に増大させる際の時間間隔は、磁性流体24の保圧特性に基づいて決定することができる。具体的には、磁性流体24の圧力(クラッチ係合圧Plp)が高いほど、また低下させたサブコイル12bの電流値(磁束密度)が低いほど、短くする。一例として、メインコイル5の電流値を最初に増大させたことにより、クラッチ係合圧Plpが元に戻る場合には、前述したt2時点とt3時点との時間間隔でメインコイル5の電流値を間欠的に増大させればよい。
したがって、クラッチ係合圧Plpは、図6に示すように、僅かな低下と復帰とを繰り返しながらトルク伝達できる圧力に維持される。その間、サブコイル12bの電流Isを止め、あるいは低下させておくことができるので、クラッチ機構17を係合状態に維持するために消費する電力を低減することができる。そのため、この発明を車両に搭載されている装置に適用すれば、燃費を向上させることができる。
一方、上記のようにして係合させたクラッチ機構17を解放させる場合、解放指示の信号に基づいてフラグがリセットされ、同時にアーマチュア3と第1ピストン13との相対移動を制限もしくは規制していた状態を解除する動作制限解除の要求が成立する(t4時点)。それに伴ってメインコイル5の電流値が次第に低下させられ、それに応じてクラッチ係合圧Plpが所定の勾配で低下する。このように、クラッチ機構17の解放を徐々に行うのは、トルクの急激な変化やそれに起因するショックを防止するためである。
つぎに、この発明に係る動作制御装置の他の例を説明する。図7はこの発明の他の具体例を模式的に示しており、ここに示す動作制御装置は、摩擦板などの押圧対象物を押す推力を、磁性流体の保圧特性を利用して維持し、推力発生手段による付勢を解除できるように構成した例である。なお、図7に示す例では、ストローク調整もしくは伸長量の調整のための機構は設けられていない。
図7において、摩擦板などの押圧対象物30に向けた保圧機構31が配置されている。この保圧機構31は、シリンダ32と、その両端側に前後動自在に収容された第1ピストン33と第2ピストン34とを備えている。また、シリンダ32の内部で軸線方向でのほぼ中央部に隔壁35が形成されており、この隔壁35には、その左右の油室36,37を連通させる油路38が貫通して形成されている。そして、これらの油圧36,37および油路38を満たすように磁性流体39が充填されている。さらに、その磁性流体39の粘度を増大させる磁界を生じさせる電磁コイル40が、油路38の内部もしくは近傍に設けられている。この電磁コイル40の電流の制御、すなわち磁界の制御は、図示しない電子制御装置によって行うように構成されている。
前記第1ピストン33はその先端部が押圧対象物30に接近して対向するように配置され、これに対して第2ピストン34は第1ピストン33とは反対側に配置されており、この第2ピストン34に推力(押圧対象物30を押すための軸線方向の力)を付与するようになっている。その推力を発生する機構としてネジ機構およびこれを回転させるモータ41が設けられている。これらのネジ機構およびモータ41がこの発明におけるアクチュエータに相当し、そのネジ機構は、ネジ軸の一例としてのボールネジ軸42と、これにねじ込まれているナット43とを備えており、そのボールネジ軸42が前記モータ41に連結されて、モータ41によって回転させられるようになっている。また、ナット43に前記第2ピストン34が連結されている。
上記の押圧対象物30に荷重を掛ける場合、先ず、電磁コイル40への通電を遮断して磁性流体39の粘度を低下させておき、その状態でモータ41を駆動してボールネジ軸42を回転させることにより、ナット43を図7の右方向に前進させる。このナット43と共に第2ピストン34が移動してシリンダ32の内部に押し込まれるから、図7の左側の油室37における磁性流体39が、油路38を通って図7の右側の油室36に流動する。そのため、第1ピストン33が押圧対象物30に向けて前進し、これを押圧する。このようにして、モータ41およびネジ機構による推力が、磁性流体39を介して押圧対象物30に作用する。
この発明の動作制御装置は、上述のようにして押圧対象物30に付与した荷重もしくは押し付け力(摩擦クラッチや摩擦ブレーキの場合は係合力)を磁性流体39の保圧機能によって維持するように構成されている。すなわち、予め定めた所定の荷重で押圧対象物30を押す状態にまでモータ41およびネジ機構によって推力を発生させた後に、先ず、電磁コイル40に通電されて、油路38に磁界を生じさせる。その電流は、油路38における磁性流体39の粘度が、油路38で流動しない程度の粘度となる電流の範囲で、可及的に少ない電流である。これは、油路38の寸法やエアギャップ、あるいは磁性流体39の特性などによって異なるので、実験などによって予め定めておくことができる。
電磁コイル40にこのようにして電流を流すことにより、少なくとも油路38において磁性流体39の粘度が高くなり、あるいは実質的に固化するので、図7の右側の油室36に移動した磁性流体39は、その油室36に閉じ込められた状態となる。したがって、押圧対象物30を押し付けることによる反力は、第1ピストン33および磁性流体39を介して、固定されているシリンダ32によって受け止められる。そのため、モータ41の駆動を止めて、モータ41およびネジ機構による推力をなくしても、押圧対象物30を押し付ける荷重を保持することができる。
電磁コイル40に通電して磁界を発生させた場合、磁性流体39の粘度が高くなるものの完全に固化する訳ではないので、漏れなどが要因となって僅かながらも圧力が低下することがある。これは、図5を参照して前述したとおりである。そこでこの発明では、粘度が増大して磁性流体39で保持されている圧力の低下を補うように、アクチュエータによる推力を間欠的に発生させる。その制御例を図8にタイムチャートで示してある。
ここに示す例は、摩擦式のクラッチ機構を押圧対象物30とした例であり、クラッチ機構の係合判断に基づく指令信号によってモータ41の電流Imが増大させられて推力が発生する。図7に示す構成の場合には、これに加えて電磁コイル40の電流Imgが増大させられる。すなわち、モータ41の電流Imを増大させて各ピストン33,34を前進させ、第1ピストン33が押圧対象物30に当接してこれを押圧する。こうして、クラッチ機構が係合するとクラッチ係合完了の判断が成立する(t11時点)。クラッチ機構の係合状態を維持するためには、磁性流体39を固化させ、あるいはその粘度を高くしておく必要があるので、電磁コイル40の電流値Imは、係合完了の判断の前に高くさせられている。そして、クラッチ係合完了の判断が成立するのとほぼ同時、もしくはその後に電磁コイル40の電流値Imが低下させられる。これは、磁性流体39に作用させる磁界が低下しても、磁性流体39の粘度が直ちには低下させずに、圧力を維持する保圧特性を有効に利用するためである。なお、その電流値Imもしくは磁界あるいは磁束密度の低下量は、油温や圧力などのマップとして予め用意しておくことができる。
その結果、クラッチ機構を係合させることに伴う反力が、前述したようにシリンダ32を介して所定の固定部で受け止められるので、モータ41の駆動を止めるためにモータ41に対する電流が遮断される(t12時点)。モータ41の駆動を止めることにより、積極的に推力が作用することがなくなり、これに対して漏れなどによって第1ピストン33を押す圧力が低下する場合があり、これは、その時点の温度や圧力、電磁コイル40の電流値、装置の個体差、経時変化などが要因となっており、実験的あるいは経験的に知り得る圧力低下もしくは推定できる圧力低下である。そこで、目標とする圧力に対して所定の圧力低下が生じる時間が経過した時点(t13時点)に、モータ電流Imを一時的に増大させてモータ41を駆動する。すなわち、モータ41によって推力を発生させ、これにより圧力低下を補う。
すなわち、クラッチ係合圧Plpの低下を補うように推力を付与する。その結果、クラッチ係合圧Plpおよび磁性流体39の圧力が増大し、その後、モータ41およびネジ機構による推力が消失することにより、クラッチ係合圧Plpおよび磁性流体39の圧力が磁性流体39の保圧特性に従って、再度、次第に低下する。以降、前述した図6に示す制御の例と同様に、モータ41の電流Imを間欠的に増大させる。その時間間隔は、磁性流体39の圧力(クラッチ係合圧Plp)が高いほど、また油温が高いほど、電磁コイル40の電流値(磁束密度)が低いほど、短くすればよい。
そして、クラッチ機構を解放させる場合、解放指示の信号に基づいてフラグがリセットされ、同時に第1ピストン33の後退移動を制限もしくは規制していた状態を解除する動作制限解除の要求が成立する(t14時点)。それに伴って電磁コイル40の電流が次第に低下させられ、またモータ41の電流が一旦、増大させられた後に、次第に低下させられる。それに応じてクラッチ係合圧Plpが所定の勾配で低下する。このように、クラッチ機構の解放を徐々に行うのは、トルクの急激な変化やそれに起因するショックを防止するためである。
つぎに、前述した図1あるいは図7に示す構成において、磁性流体24,39を固化させた状態でサブコイル12bや電磁コイル40が断線フェールした場合の制御の例を説明する。磁性流体24,39は前述したように保圧性があるので、サブコイル12bや電磁コイル40による磁界が消失しても直ちに粘度が低下することはなく、ある程度の圧力を維持できる。したがって磁性流体24,39が目標とする所定の時間の間、所定の圧力になるようにクラッチ係合圧Plpを低下させ、そのクラッチ係合圧Plpに応じてクラッチ機構17の入力トルクを低下させれば、サブコイル12bが断線フェールしてもクラッチ機構17を含む変速機などの伝動機構を有効に機能させることができる。
具体的に説明すると、図9に示すように、先ず、前述したサブコイル12bの断線フェールの有無が判断される(ステップS21)。これは、サブコイル12bに通電できない状態もしくはサブコイル12bが磁界を生じさせ得ない状態が生じているか否かの判断であり、通常のフェール検出プログラムによって実行することができる。
ステップS21で否定的に判断された場合、すなわち断線フェールが生じていない場合には、前述した図2に示す通常の制御が実行される(ステップS22)。これとは反対に断線フェールが生じていることによりステップS21で肯定的に判断された場合には、マップが読み込まれる(ステップS23)。このマップの一例を図10に模式的に示してある。
図10に示すマップは、所定の油温で磁性流体24を固化させ、その状態でサブコイル12bの電流をゼロにして磁界を消失させた場合に、磁界消失後に90%のクラッチ係合圧Plpを保持する時間を示すマップであり、基準となる保持時間Tlpを設定すると、保圧特性線からクラッチ係合圧Plpを求めることができる。上記のステップS23では、サブコイル12bが消磁した時点における圧力の所定の割合(例えば90%)以上の圧力を維持する目標時間(例えば数十分)に対応するクラッチ係合圧Plpを図10のマップから求める。
ついで、クラッチ機構17に対する入力トルクもしくはクラッチ機構17を含む変速機などの伝動装置に対する入力トルクを低下させる制御が実行される(ステップS24)。この制御は、車両の場合にはエンジンのトルクあるいはエンジンを含む動力源のトルクを低下させる制御である。上述したようにサブコイル12bの断線フェールが生じた場合に磁性流体24の保圧特性を利用してクラッチ係合圧Plpを維持するとしても、そのクラッチ係合圧Plpは低い圧力であるから、そのクラッチ係合圧Plpで設定されるクラッチ機構17のトルク容量に応じた入力トルクとなるように、トルクダウン制御が実行される。その状態でメインコイル5の電流を低下させる制御が実行される(ステップS25)。その電流値は、ステップS23においてマップから算出されたクラッチ係合圧Plpを設定する電流値である。
上記のように制御することにより、磁性流体24を固化させた状態でサブコイル12bが断線フェールし、あるいは磁界を発生できない状態になっても、磁性流体24の保圧特性によりクラッチ機構17を係合状態に維持することができ、低トルクであってもトルクを伝達することができる。したがって、車両に搭載されたクラッチ機構17に上記の制御を適用することにより、サブコイル12bの断線フェールが生じても、上記の目標時間の間は低トルクで走行を維持でき、いわゆるリンプホーム走行が可能になる。
なお、この発明は、摩擦板を摩擦接触させる機構における動作制御装置に限られないのであって、直線的な動作を制限するダンパーにも適用することができる。例えば、シリンダ内を往復移動するピストンに、その両側を連通させる貫通孔を形成するとともに、そのシリンダの内部に上述した磁性流体を封入し、かつその磁性流体に磁界を作用させる電磁石を設ける。そして、そのピストンの移動を制限するべく磁性流体に磁界を作用させてその粘度を高くした後、電磁石への通電を一時的に低下させ、もしくは遮断する。こうして、磁性流体の保圧特性によりその粘度の高い状態を維持し、所定時間の後に、もしくは所定時間毎に、電磁石への通電を行い、磁界を発生させる。その結果、常時通電することなく磁性流体の粘度を相対的に高い状態に維持できるので、消費電力を低減することができる。このような作用・効果は、上記の磁性流体を粘性流体として使用するビスカスカップリングや差動制限機構でも得ることができる。
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、サブコイル12bおよび電磁コイル40ならびに図4のステップS13,S14の制御を実行する機能的手段が、この発明の磁界制御手段に相当し、また図4のステップS14の制御および図6に示すようにメインコイル5の電流を間欠的に増大させる制御ならびに図8に示すようにモータ電流を間欠的に増大させる制御を実行する機能的手段が、この発明の推力制御手段に相当する。さらに、図9のステップS23,〜S25の制御を実行する機能的手段が、この発明の負荷制御手段に相当する。
この発明の一例を模式的に示す部分的な断面図である。 そのメインコイルおよびサブコイルの電流の制御例を説明するためのフローチャートである。 ストローク調整が完了してクラッチ機構を係合させている状態を示す部分的な断面図である。 磁性流体の保圧特性を利用してサブコイルの電流を低下させる制御を説明するための概略的なフローチャートである。 (a)は磁性流体の保圧特性をサブコイルの電流値毎に測定した結果を示す線図、(b)は(a)に示す測定結果を所定の電流値についての保圧時間に書き換えた線図、(c)は所定のの油温でのクラッチ係合圧および保圧時間ならびにサブコイルの電流との関係を示すマップである。 サブコイルの電流を低下させて保圧する制御を行った場合のクラッチ係合圧や電流などの変化を示すタイムチャートである。 この発明の他の例を模式的に示す図である。 図7に示す装置を対象としてこの発明による制御を行った場合のクラッチ係合圧や電流などの変化を示すタイムチャートである。 図1に示す構成でサブコイルが断線フェールした場合の制御例を説明するためのフローチャートである。 その制御で使用するマップの一例を示す図である。
符号の説明
1…アクチュエータ、 2,12…電磁石、 3…アーマチュア、 5…メインコイル、 11…リターンスプリング、 12b…サブコイル、 13…第1ピストン、 14…第1ピストン室、 15…第2ピストン、 16…第2ピストン室、 17…クラッチ機構、 18…摩擦板、 24,39…磁性流体、 30…押圧対象物、 31…保圧機構、 33,34…ピストン、 36,37…油室、 38…油路、 40…電磁コイル、 41…モータ、 42…ボールネジ軸、 43…ナット。

Claims (13)

  1. 少なくとも往復動作もしくは回転動作する動作部材の動作を選択的に制限する動作制御装置において、
    作用する磁界が増大することにより粘度が増大して前記動作部材の動作を制限する磁性流体と、
    前記動作部材の動作制限要求によって前記磁界を増大させた後、前記動作部材の動作制限の解除要求が生じるまでの間に前記磁界を低下させて前記磁性流体の粘度が相対的に増大した状態に維持する磁界制御手段と
    を備えていることを特徴とする動作制御装置。
  2. 前記動作部材は、摩擦接触することによりトルクを伝達する摩擦板を押圧するピストンを含み、
    そのピストンに推力を与えるアクチュエータを更に備え、
    前記ピストンと前記アクチュエータとの間に形成された流体室に前記磁性流体が流出入可能に収納され、
    前記磁界制御手段は、前記磁性流体の前記流体室からの流出を阻止するように前記磁性流体に磁界を作用させる手段を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の動作制御装置。
  3. 前記磁界を発生させる電磁コイルを更に備え、
    前記磁界制御手段は、前記磁性流体が磁界の作用によって固化した後に前記電磁コイルによる磁束密度を低下させる手段を含む
    ことを特徴とする請求項2に記載の動作制御装置。
  4. 前記磁界制御手段は、前記電磁コイルによる磁束密度を低下させる継続時間を、その電磁コイルによる磁束密度が低いほど、および前記磁性流体の圧力が高いほど、短くする手段を含むことを特徴とする請求項3に記載の動作制御装置。
  5. 前記磁性流体を固化させた後に前記磁界を低下させている間に前記アクチュエータによる推力を間欠的に増大させる推力制御手段を更に備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の動作制御装置。
  6. 前記推力制御手段は、前記アクチュエータの推力を、前記磁性流体が固化した時点における推力より小さい推力に低下させた後に間欠的に増大させる手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の動作制御装置。
  7. 前記アクチュエータによる推力を間欠的に増大させる時間間隔を、前記電磁コイルによる磁束密度が低いほど、および前記磁性流体の圧力が高いほど、短くする手段を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の動作制御装置。
  8. 前記磁性流体を固化させた状態で前記電磁コイルに通電できなくなった場合に、前記摩擦板に掛かるトルクおよび前記アクチュエータによる推力を低下させる負荷制御手段を更に備えていることを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の動作制御装置。
  9. 前記動作部材の動作制限を解除する場合に、前記磁界とは逆の磁化を一時的に作用させる解除制御手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の動作制御装置。
  10. 前記ピストンは、前記アクチュエータに対して前記推力の作用方向に前後動可能に配置され、前記流体室に封入される前記磁性流体の量に応じて、前記ピストンの前記アクチュエータに対する伸長量が変化するように構成されていることを特徴とする請求項2ないし9のいずれかに記載の動作制御装置。
  11. 前記磁界制御手段は、前記ピストンが前記摩擦板に当接して反力を受けることにより前記アクチュエータと前記ピストンとの間隔が短くなった状態で前記磁性流体に作用する磁界を増大させて前記磁性流体の粘度を増大させる手段を含むことを特徴とする請求項10に記載の動作制御装置。
  12. 前記磁界制御手段は、前記アクチュエータの初期位置からの移動量が予め定めた所定量になりかつ前記ピストンが前記アクチュエータ側に押し戻されている状態で前記磁性流体に作用する磁界を増大させる手段を備えていることを特徴とする請求項10に記載の動作制御装置。
  13. 前記アクチュエータは、通電されて磁気を発生する主コイルと、その磁気によって吸引されて移動するアーマチュアとを備えていることを特徴とする請求項2ないし12のいずれかに記載の動作制御装置。
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