JP2008308372A - オゾン発生装置。 - Google Patents
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Abstract
放電回数を増加させ、オゾン発生効率を上昇させて消費電力を削減し、電源回路小型化できるオゾン発生装置を提供する。
【解決手段】
誘電体に覆われた表面が平坦電極と相対する表面が多数の突起電極とからなる放電装置であって、前記突起電極はステンレス製で、突起電極の各突起の先端と前記平坦電極との最短距離を等しくするとともに突起の密度を5.8〜33.7本/cm2とし、平坦電極と突起電極に高電圧を印加し、平坦電極の誘電体と突起電極との放電空間に酸素又は空気を通過させてオゾンを発生させるオゾン発生装置。
【選択図】図5
Description
このオゾン発生装置は、放電面積が大きいことから無声放電が可能で古くからオゾン発生に利用されているが、両電極間に高周波、高電圧を印加することから消費電力の多さが問題となり、また、電力の多くが熱に変わり、その熱が発生したオゾンを分解してしまうため、効率が悪いといった問題点があり、さらに、高電圧を発生するための電源装置、それを受け入れる放電部で発生する熱を冷却する水冷装置などが必要なので、全体では比較的大型な設備となってしまうといった問題点があった。
そのため、小型化や低消費電力化の必要から、放電効率を上げる構造が求められ、特許文献1に開示され、図2の無声放電オゾン発生装置に示すような、多数の突起電極を設ける技術が提供されている。しかし、両平板電極よりも消費電力が少なくなるが、依然として、消費電力は多く、更なる消費電力を節約できるオゾン発生装置の開発が要望されている。
その研究過程で、従来の多数の突起電極は、通常、電気伝導性の良好な銅や真鍮等が使用されていたが、オゾン発生のための突起電極の先端は鋭利な針先形状であるが、この針先形状であると放電により先端の損耗が激しく、損耗によって先端の形状や突起の高さが変わると期待通りの放電が得られなくなり、また、突起間のバラツキも大きくなり、したがって、放電の効率が低下するといった問題点があり、特に、使用初期の先端の損耗が激しく、この期間でのオゾン発生能力が大きく変動してオゾンの発生量の制御が難しくなり、先端の損耗の度合いもまちまちで結果としてオゾン発生効率も低下することを見出した。
更に、オゾン発生濃度を高めるには、放電空間以外の部分である突起の根元の部分の空隙を極力少なくして、通過する原料の空気や酸素ガスを効率よく放電空間に導く必要がある。しかし、放電により装置が高温になると折角生成したオゾンガスが熱分解するので放電空間近傍を冷却しなければならない。そこで、前記の突起形状は電極の冷却フィンの役目も果たしているので、前記突起根元の部分の空隙に着目して、最低限の空隙だけを残して、突起を角柱、角錐、円錐形状にして表面積を同じ或いは増加させて、突起根元の無駄な空隙を削減すれば、冷却効果を維持しながら放電空間の空気や酸素ガス等の通過量の比率を上げることが可能であることを見出した。
請求項2の発明は、請求項1のオゾン発生装置において、前記平坦電極の基盤と、相対する前記多数突起電極の基盤とが平板状であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1のオゾン発生装置において、前記多数突起電極の基盤が円柱形状であり、相対する前記平坦電極が円柱形状の突起電極を囲む円筒形状であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3のオゾン発生装置において、前記多数突起電極の突起は基盤の根元に近くなるに従い断面積を大きくし、突起の先端は0.1〜0.7mm2の平坦部を有することを特徴とする。
請求項5の発明は、前記突起電極は、請求項1乃至4のオゾン発生装置において、基盤の根元に近い程断面積を大きくした錘形とし、且つ、隣り合う突起電極の根元の間隔は1.0mm以下とすることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、請求項1の効果に加えて、突起の損耗による形状変化が少なくなり、稼働初期から安定したオゾン発生量とすることができ、オゾン発生量の長期安定が可能となり、供給電源の制御も容易となる。
請求項5の発明によれば、請求項1乃至4の効果に加えて、電極の表面積を広くしているので、放電に伴って発生する熱を放散する放熱効果が大きく、また、隣り合う極間を通過する原料空気等と発生したオゾンガスの流れによって冷却される。結果として、熱によるオゾンの分解を抑制してオゾンの生成効率をあげることができ、生成効率(単位消費電力量あたりのオゾン生成量)が良いので、その分だけ消費電力を削減でき、同時に電源部を小型化できる。
放電電極である突起電極の個々電極の先端は、鋭利であるほうが突起の特性を生かせるが、実際には放電開始時から放電の影響によって先端が損耗し始め、丸みを帯びてくるが、やがて、R形状或いは平面形状の大きさがある程度まで進むと、損耗の進行が非常に遅くなることを見出したが、放電初期の段階の損耗の進行中は、放電も不安定で、オゾン発生装置としての制御が困難であり、しかも、不揃いの高さとなるので放電回数や放電効率も減ることもある。
本発明の実施例では、予め先端をある程度のR形状あるいは面取り形状を施して、最初から安定した放電と高水準での放電効率を確保するようにしているが、突起の先端は損耗を抑えるために、あまり先端の平坦部の面積を大きくすると平板電極に近くなるので、「突起」電極の特性を失わない程度に平面化する必要がある。
また、円柱や角柱のように先端の断面積と根元までの断面積が同じであると損耗が根元まで続くことになるので、根元に近づくに従い突起の断面積が大きくなる形状であることが必要であり、円錐形、多角錐形、あるいは多角柱の上部が多角錘形のものがよく、これらの形状を適宜選択すればよい。
図3(a)に示すように、下方(根元)へ行くほど太くなる4角錐形の突起で先端での対角度α=20°〜90°とし、実施例1では、図3(b)に示すように、先端近くを平坦部11にして、下方に行くほど太くすることで放電による損耗がある位置で止まり進行し難い形状で、その先端の平坦部11の面積は、0.5mm2 及び、0.1〜0.7mm2(後述の実施例2乃至3[グラフ2]参照)としている。
すなわち、突起先端が損耗するのは、電荷が突起先端の鋭利な1点に集中して放電し、鋭利な点ほどたちまち損耗するが、その結果、全体としてはやがてR形状となり、さらに進行すれば、理論的には平面となるものと考えられるが、平面に近づくほど放電はし難くなり、その結果損耗も進行し難くなる。
本実施例1では、先端角度α=30°としたが、先端角度が大きすぎれば初めから放電し難くなるので、自ずと限界があり、先端角度α=20°〜90°であれば有効に使用できる。
この実験使用したステンレスの規格はSUS304であるが、ステンレス(SUS)であれば、規格がSUS303、SUS304、SUS305、SUS309、SUS310、SUS316 等のオーステナイト系、および SUS409、SUS410、SUS430 等のフェライト系が使用可能である。
この[グラフ1]から判るように、参考例1のステンレス(SUS)の針状の突起電極の放電装置を連続稼働させると、放電開始から5日までは急激にオゾン発生量が減少し不安定であったが、その後は安定したオゾン発生量となった。この安定した状態の突起先端部の状態を拡大してみると、先端部の角が損耗し始めてR形状となって、その平坦面積は0.1〜0.7mm2の平坦部となっていた。他方、参考例2の真鍮は、放電による損耗が激しいのが原因と考えられるが、オゾンの発生量の変化が激しく、制御が極めて難しいことが判る。また、参考例2は突起の高さが不揃いになる為か、オゾン発生量の増減の変化が激しい。
したがって、突起電極の材質がステンレスであれば、長期に安定した性能が得られることが判る。
実施例1での突起電極1は、図3(b)に示す形状で平坦部11の面積は0.5mm2とし、対向角αは30°各突起の基盤2(図4)の根元からの高さは5mmであり、図4に示すように、ステンレス製基盤2上に1465本のステンレス製の突起を縦横方向に整列させ、その突起密度11.1/cm2であり、実際には密集した状態である。
この密集した突起電極1を、図5に示すように、オゾン発生装置の上側の上部枠体51に固定し、相対するセラミックの誘電体4に覆われた表面が平坦電極3を下側の下部枠体52に固定し、誘電体4(平坦電極3)と突起電極1を平行状態で突起先端の距離を1.5mmとした放電空間eを形成し、この放電空間eに空気(又は酸素ガス)を送り込む。また、突起電極1の基盤2からはリード線21が、平坦電極(基盤)3からはリード線31が接続され、従来装置と同様に両電極に高周波高電圧交流電源により高電圧が印加されている。
ここで、誘電体4が厚すぎると、突起電極1と平坦電極3の距離が遠くなり、放電のため大きな電力を必要として消費電力が増加してしまう。セラミック誘電体4はできるだけ薄いほうが望ましいが、強度面から限界もあるので、実施例では厚さ2mmを使用している。誘電体はセラミック製の場合であれば、厚さ1.5〜2mmが使用可能である。
平坦電極3を覆うセラミック誘電体4と突起電極1の突起先端との隙間距離は1.5mmとしている。隙間距離は小さいほうが放電しやすく消費電力が少ない。放電し易くするには、間隔距離が0mmでも可能であるが、オゾン発生量が少ない。また、距離が開くほどオゾン発生量が増加するが、同時に消費電力が大幅に増加し、間隔距離2.5mm以上では消費電力が大きくなりすぎて実用的ではない。これらのことから、間隔距離は0〜2.5mmが設定可能であるが、オゾン発生量と消費電力のバランスを考えて、本実施例での間隔は、1.5mmに設定しており、実際の電極間の距離は、1.5mm+2mm=3.5mmである。
この[グラフ2]から判ることは、安定状態を維持する実施例1、実施例2、実施例3において、実施例2の突起先端の平坦部の面積が0.1mm2ではオゾン発生量は多いが、損耗は拡大して検査すると実施例1、実施例3に比べると多く、逆に、突起の先端の平面が大きくなれば放電はし難くなり、比較例1もステンレス製ではあるが、1.0mm2とするとオゾン発生量は少なく効率も低くなる。したがって、突起電極1での突起先端の平坦部11の面積は0.1〜0.7mm2がよく、これ以上面積を大きくすると平板電極に近づき性能が劣るので、損耗を考慮すれば0.5mm2の前後がより好ましい。
オゾンの生成量は、放熱のエネルギーロス等を無視すれば、おおよそ消費電力に比例することから、消費電力によってオゾン生成量を比較することが出来るが、前記実施例のような多数突起電極にすれば、[グラフ2]に見られるように、低電圧で放電をはじめ、全体にわたって、低電圧でより多くのオゾンを発生でき、一般にバリア放電では移動するトータルの電荷量が等しい場合に1つのマイクロ放電での電荷量を小さくして、多くの放電を起こすことで活性種を効率よく発生でき、したがって、突起数を増やしてマイクロ放電数を増やせばオゾン発生量を増やすことが出来る。
しかし、突起が多すぎると、それだけ「平面」に近づき、却ってマイクロ放電数は減少し、「突起」電極の効果を損なうものと考えられ、突起数密度には限界がある。逆に、突起数が少なければこれも平面と変わらなくなる。
長期に安定した放電性能を得る突起電極の材質としては、電極の損耗が少なく、ステンレスが最適であり、突起形状は先端に平坦部がある円錐形、多角錐形、あるいは、多角錘形が最適である。ここで、最適突起密度について、実施例1の形状で、その大きさを比例的に変えて、密度を変えてその投入エネルギー密度とオゾン発生量との関係を調べたのが、図8の[グラフ3]である。
この[グラフ3]での実施例1、実施例4〜6、及び、比較例2、比較例3は、全て4角錐形状で、先端の傾斜角度α=30°、先端平坦面積0.5mm2の突起電極とし、基盤は巾60mm×長さ220mmのステンレス製基盤上2に切削加工により製造したもので、突起密度だけを下記のように変えてある。
実施例1・・1465本:突起密度11.1本/cm2
実施例4・・・765本:突起密度 5.8本/cm2
実施例5・・3075本:突起密度23.3本/cm2
実施例6・・4448本:突起密度33.7本/cm2
比較例2・・・396本:突起密度 3.0本/cm2
比較例3・・8092本:突起密度61.3本/cm2
この[グラフ3]から判るように、比較例2の突起密度が少ない3.0本/cm2の電極では17J/Lにおけるオゾン発生量は0.3g/hで、実施例1の突起密度11.1本/cm2の0.9g/hに比べて1/3程度であり、逆に、突起密度が多い比較例3の61.3本/cm2ではオゾン発生量が0.5g/hで、実施例1の突起密度11.1本/cm2の0.9g/h比べてほぼ半分となる。
したがって、[グラフ3]から突起密度は実施例4の5.8本/cm2〜実施例6の33.7本/cm2が好ましく、より好ましくは実施例5の23.3本 〜実施例6の33.7本/cm2である。
なお、突起密度の範囲は、突起の材質によって異なり、例えば、電気伝導率のよい真鍮では、1000本:突起密度7.6本/cm2〜2000本:突起密度15.2本/cm2であった。
図5に示すように、実施例の突起電極1は、多数の突起先端部から放電するので、長時間使用すると加熱され、放電空間の温度は上昇する。オゾン発生装置においては、電極周囲の温度が上昇すると、オゾンの生成効率が下がる傾向があり、このことを示すのが図9の[グラフ4]である。
このグラフ4からは、13℃から14℃、20℃と温度が上昇し、50℃になると1/4〜1/6程度までオゾン生成効率に下がるようになり、この原因は高熱により生成したオゾンが分解されてしまうものと考えられる。
また、前述したように、実施例1の突起電極である4角錐の隣り合う側面は放電には寄与しないが、空気等に触れて突起電極1を冷却する冷却空間gを形成する。このことを図10の[グラフ5]で説明すると、実施例1の突起密度11.1本/mm2で突起の高さ5mmの突起電極と平面電極の比較例4を図5のオゾン発生装置に装着し、空気を40リットル/minで送り込んだ時の温度を測定すると、実施例1では、70℃程度を維持しているが、平板の比較例4では、120℃にも上昇し、実施例1等の多数突起形状は冷却効果を有するので、オゾン発生装置において特に有効である。
この冷却効果を高める形状は、図11(a)の隣り合う突起の根元に隙間が無い形状に比べて、空気の流通面積を増やすために、図11(b)の実施例7のように、根元に0.5mmの隙間を設けるとさらに冷却効果が高まる。
しかし、あまり冷却空間gを大きくすると冷却空間は放電に寄与せず、その空間を通過する空気や酸素等の原料ガスはオゾン生成に寄与しないので、その分だけ原料空気が無駄になるので、オゾン発生量のバランスを取る必要がある。
実施例1において、実施例8のような巾0.5mmで、深さは突起先端からの深さ4mmの溝を設けた電極形状では、別途に水冷の冷却装置を用いなくても、夏期に最高室温45℃、最高湿度95%で30日間連続稼働させても、オゾン発生量は低下しなかった。
なお、溝巾が1.0mm以上になるとオゾン発生に寄与する空気の割合が低くなってオゾン量の濃度が低下し、溝巾が0.3mm以下だと空気が通過しづらくなり冷却効果が薄れて、オゾン分解が起こるので、別途に冷却装置が必要となる。
また、各実施例の相対する電極の基礎部分は平板状であるが、図14に示す実施例10のように円柱形状としてもよく、中心円柱2bに突起密度が5.8 〜 33.7本/cm2の突起電極1bを設け、その中心の突起電極1bの回りに放電空間eを形成するように円筒を設け、その円筒内壁に表面が平坦の平坦電極(基盤)3bを設け、更にその内壁を覆うように誘電体4bを設けた構成にしてもよい。
さらに、これとは逆に、円筒側の内壁を突起電極し、中心円柱(2b)側を表面が平坦な平坦電極とし、電極である中心円柱2bを誘電体で覆ってもよい。
いずれにしても、突起電極の各突起の先端と平坦電極との最短距離を等しくすることが、実際に放電する面積を拡げることになる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上述した実施例に限定されるものでないことは勿論である。例えば、実施例では突起形状を4角錐としたが、円錐形、多角錐形、あるいは多角柱の上部が多角錘形に限らず、突起先端から基盤の根元に近づく従い断面積が大きくなるような形状であればよい。
1,1a,1b・・・突起電極、11,11a・・・平坦部、12・・・溝
2・・・突起電極基盤、2b・・・中心円柱(突起電極基盤)、21・・・リード線、
3,3b・・・平坦電極(基盤)、31・・・リード線、
4,4b・・・誘電体
51・・上部枠体、52・・・下部枠体、
Claims (5)
- 誘電体に覆われた表面が平滑な平坦電極と相対する表面に多数の突起を有する突起電極とで放電空間を形成し、
前記突起電極はステンレス製であり、
該突起電極の各突起の先端と前記平坦電極との最短距離を等しくするとともに突起の密度を5.8 〜 33.7本/cm2とし
前記平坦電極と突起電極とに高電圧を印加し、
前記放電空間に酸素又は空気を通過させてオゾンを発生させることを特徴とするオゾン発生装置。 - 前記平坦電極の基盤と、相対する前記多数突起電極の基盤とが平板状であることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生装置。
- 前記多数突起電極の基盤が円柱形状であり、相対する前記平坦電極が円柱形状の突起電極を囲む円筒形状であることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発装置。
- 前記多数突起電極の突起は基盤の根元に近くなるに従い断面積を大きくし、突起の先端は0.1〜0.7mm2の平坦部を有することを特徴とする請求項1乃至3に記載のオゾン発生装置。
- 前記突起電極は、基盤の根元に近くなるに従い面積を大きくした錘形とし、且つ、隣り合う突起電極の根元の間隔は1.0mm以下にすることを特徴とする請求項1乃至4に記載のオゾン発生装置。
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