JP2008308010A - スタッドレスタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スタッドレスタイヤのトレッド部は、少なくともジエン系ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、加硫促進剤が0.5〜5.0質量部、硫黄が1.0〜3.5質量部、酸化亜鉛が0.5〜5.0質量部、グラスファイバーが2〜4質量部配合されているトレッドゴム組成物からなり、トレッドパターンのタイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度が0.013mm/mm2〜0.016mm/mm2、タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる前記サイピングの密度が0.085mm/mm2〜0.12mm/mm2としている。
【選択図】図2
Description
スタッドレスタイヤは、例えば、特開2001−130228号公報(特許文献1)等において、図3に示すように、トレッド部の接地面側に深い溝2を凹設してトレッドパターン1を形成していると共に、前記溝2によって囲まれたブロック3にスリット状のサイピング4を多数形成している。このような構成により、ブロック3表面と路面の接触による粘着、凝着摩擦力だけでなく、溝2やサイピング4のエッジによる掘りおこし摩擦力を高めることができるため、スタッドレスタイヤのグリップ力を高め、雪氷上性能を向上させることができる。
また、スタッドレスタイヤの溝2やサイピング4を増やすことによってもスタッドレスタイヤの雪氷上性能は向上するが、トレッドパターンの溝を細かくするとブロック剛性が低下し、この場合にも耐磨耗性が悪化する傾向がある。
即ち、スタッドレスタイヤにおいては、良好な雪氷上性能と耐摩耗性をバランスよく保持させることが難しいという問題がある。
前記トレッド部は、少なくともジエン系ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、加硫促進剤が0.5〜5.0質量部、硫黄が1.0〜3.5質量部、酸化亜鉛が0.5〜5.0質量部、グラスファイバーが2〜4質量部配合されているトレッドゴム組成物からなり、
前記トレッドパターンのタイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度が0.013mm/mm2〜0.016mm/mm2、タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる前記サイピングの密度が0.085mm/mm2〜0.12mm/mm2とされていることを特徴とするスタッドレスタイヤを提供している。
また、例えば、溝がタイヤ軸線方向に対して所定角度傾斜して形成されている場合、タイヤの進行方向に対して有効エッジ成分となる溝とは、前記溝をタイヤ周方向成分とタイヤ軸線方向成分とに分解したときのタイヤ軸線方向成分の溝で、かつ該タイヤ軸線方向成分の溝のタイヤ進行方向後端側の端縁を意味する。
特に、良好な雪氷上性能と耐磨耗性をバランスよく保持させるために、タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度を0.014mm/mm2〜0.015mm/mm2とすることが好ましい。
特に、良好な雪氷上性能と耐磨耗性をバランスよく保持させるために、タイヤ進行方向に対して有効なエッジ成分となるサイピングの密度を0.09mm/mm2〜0.10mm/mm2とすることが好ましい。
グラスファイバーの配合量を前記ゴム成分100質量部に対して2〜4質量部としているのは、タイヤ進行方向に対する有効エッジ成分となる溝やサイピングの密度を前記範囲内に設定した場合でも、グラスファイバーの配合量が2質量部未満では十分な雪氷上性能が得られないおそれがある一方、グラスファイバーの配合量が4質量部を越えると、耐摩耗性が悪化してしまうおそれがあることに因る。
特に、良好な雪氷上性能と耐磨耗性をバランスよく保持させるために、前記グラスファイバーの配合量を、前記ゴム成分100質量部に対して3質量部程度とすることが好ましい。
前記グラスファイバーの平均繊維径が20μm未満の場合、氷雪路面を引っ掻き、掘りおこす効果が得られにくくなる一方、前記グラスファイバーの平均繊維径が50μmを越えると、摩耗しやすくなる。
前記グラスファイバーの平均繊維長が0.3mm未満の場合、走行によりグラスファイバーが脱落しやすくなる。前記0.8mmとしているのはグラスファイバーは混練時に折れて平均繊維長が0.8mm以下となることによる。
特に、ゴム成分100質量部に対して、前記シリカを12〜18質量部配合することがより好ましい。
特に、ゴム成分100質量部に対して、前記カーボン粉体を42〜48質量部配合することがより好ましく、カーボン粉体としてはISAF等のカーボンブラックを用いることが好ましい。
また、ブロック剛性の低下を防止するために、前記縦溝と横溝に囲まれた1ブロックの面積は、300〜1200mm2程度とすることが好ましく、その中に、長さ10〜30mm程度のサイピングがタイヤ周方向に均等なピッチで形成されていることが好ましい。
また、前記トレッドパターンの縦溝や横溝の溝幅や溝深さは、特に限定はされないが、例えば、溝幅が4〜8mm程度、溝深さが8〜14mm程度であることが好ましい。
前記2−0HTUのプライ構造とは、2枚のカーカスプライを内側から外側に折り返し、折返し部の端部を、タイヤ軸線方向において最大幅となる部分よりも高い位置(タイヤ半径方向外側)に位置させた、所謂、ハイターンアップ構造を有するプライ構造のことであり、前記構造とすることによりタイヤの横剛性も高めることができる。
なお、前記ゴム硬度Hsは、JIS K6253に規定された方法に従って0℃において測定されたものである。
ゴム硬度Hsが48未満である場合には、ゴムそのものが柔らか過ぎて耐磨耗性が悪化しやすく、特に、小、中型トラック、ライトバンおよびワンボックスバン等の商用車両に装着するタイヤとして必要な耐磨耗性が得られないおそれがある一方、ゴム硬度Hsが56を越えると、ゴムそのものが硬くなり過ぎ、トレッド部と氷雪路面との接地性が悪化して雪氷上性能が低下するおそれがある。
図1は、本発明の実施形態に係るスタッドレスタイヤ10を示し、スタッドレスタイヤ10が正規リム30にリム組みされ、正規内圧が充填された状態を示している。
スタッドレスタイヤ10は、トレッド部11から両側のサイドウォール部12を経てビード部13のビードコア14の周りを内側から外側に折り返されて係止されるカーカス15と、トレッド部11の内側で、かつカーカス15の外側に配置された2枚のスチールベルト16からなるベルト層とを備えている。
また、カーカス15は、トレッド部11からサイドウォール部12を経てビード部13のビードコア14に至る本体部15aと、本体部15aより延在しビードコア14の周りで折り返される折返し部15bとからなり、折返し部15bの端部を、タイヤ軸線方向において最大幅となる部分Mよりもタイヤ半径方向外側に位置させた、所謂、ハイターンアップ構造としている。即ち、本実施形態のスタッドレスタイヤ10は、2−0HTUのプライ構造を有しており、商用車装着用タイヤとして利用される。
図2に示すように、タイヤ周方向の縦溝18とタイヤ軸方向の横溝19をトレッド部11に設けてトレッドパターン17を形成し、縦溝18と横溝19とで囲まれた各ブロック20には、タイヤ軸線方向にサイピング21を形成している。
なお、縦溝18および横溝19は、必ずしもタイヤ周方向やタイヤ軸線方向に平行に設ける必要はなく、タイヤ周方向やタイヤ軸線方向に対して所定角度傾斜させて設けていてもよい。同様にサイピング21も、必ずしもタイヤ軸線方向に平行に設ける必要はなく、タイヤ軸線方向に対して所定角度傾斜させて設けていてもよい。また、縦溝18および横溝19の溝幅や溝深さも適宜相違させることができ、本実施形態においては、縦溝18として、溝幅の広い太溝18aと溝幅の狭い細溝18bを設けている。
また、縦溝(太溝)18aおよび横溝19の溝幅を5〜6mm、溝深さを7〜13mmとしている。
また、前記グラスファイバーの平均繊維径を、27〜39μmとし、平均繊維長を、0.5〜0.8mmとしている。
また、前記シリカの平均粒子径を10〜25nmとしている。
また、カーボンブラックの平均粒子径を20〜26nmとしている。
前記加硫促進剤は、前記ゴム成分100質量部に対して、0.5〜5.0質量部、好ましくは、1.5〜2.5質量部配合している。
なお、前記グラスファイバーをトレッド部の厚さ方向へ配向させるために、例えば、前記グラスファイバーを配合したトレッドゴム組成物をカレンダーロールにて圧延加工し、得られたシートを繰り返し折りたたむことにより厚さ方向への配向が可能となる。
なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1に示す構造を有し、タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度およびサイピング密度が表1〜表3に示す値となるトレッドパターンおよびサイピングを有する商用車装着用スタッドレスタイヤ(タイヤサイズ:195/80R15、107/105L)を試作した。
前記試作した各スタッドレスタイヤの耐磨耗性および雪氷上性能をテストした。
前記テスト結果を、各スタッドレスタイヤのゴム硬度Hs、コスト指数と共に表1〜表3に示す。
また、前記各試作タイヤに使用したトレッドゴム組成物の組成も表1〜表3に合わせて示している。
なお、表1〜表3中、各種成分の配合量を示す数値は質量部を表し、「溝密度」、「サイピング密度」は、「タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度」、「タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となるサイピングの密度」をそれぞれ意味している。
・天然ゴム;「RSS#3」グレード
・ブタジエンゴム;宇部興産(株)製「BR150B」
・シリカ;デグサ製「VN3」
・カーボンブラック;三菱化学(株)製「ダイヤブラックI N220ISAF」
・グラスファイバー;日本板硝子(株)製 平均繊維径33μm、繊維長3mm
・カップリング剤;デグサ製「Si−96」
・ミネラルオイル;出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイル」
・老化防止剤;精工化学(株)製「オゾノン6C」
・ワックス;大内新興化学工業(株)製「サンノックワックス」
・ステアリン酸;日本油脂(株)製「桐」
・酸化亜鉛;三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛2種」
・硫黄;軽井沢硫黄(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤;大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
(1)ゴム硬度Hs
JIS K6253に規定された方法に従って、0℃におけるゴム硬度Hs(JIS−A)を測定した。
実施例および比較例のスタッドレスタイヤを、内圧450kPa、リム15×6.0JJにて、商用車(1BOXタイプ)の四輪に装着し、10000km実車走行後にトレッド部の溝深さを測定し、タイヤの溝深さが1mm減るときの走行距離を算出した。
実施例2における走行距離を100とし、他の実施例および比較例の走行距離を指数表示した。即ち、この指数が大きいほど、耐磨耗性に優れていることを意味している。
実施例および比較例のスタッドレスタイヤを、内圧450kPa、リム15×6.0JJにて、商用車(1BOXタイプ)の四輪に装着し、時速30km/hrから氷路面で急停止させて、停止するまでに要した氷上の停止距離を測定した。各停止距離の逆数をとり、実施例3における1/(停止距離)を100として、他の実施例および比較例の1/(停止距離)を指数表示した。即ち、この指数が大きいほど、雪氷上性能に優れていることを意味している。
トレッドゴムの単位重量当たりのコストの逆数をとり、比較例1における1/(単位質量当たりのコスト)を100として、他の実施例および比較例の1/(単位質量当たりのコスト)を指数表示した。即ち、この指数が大きいほど、低コストであることを意味している。
即ち、比較例1〜3では、スタッドレスタイヤに、良好な雪氷上性能と耐摩耗性とをバランスよく保持させることができなかった。
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部
14 ビードコア
15 カーカス
16 スチールベルト
17 トレッドパターン
18 縦溝
19 横溝
20 ブロック
21 サイピング
Claims (5)
- トレッド部の接地面側にトレッドパターンとサイピングを有するスタッドレスタイヤであって、
前記トレッド部は、少なくともジエン系ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、加硫促進剤が0.5〜5.0質量部、硫黄が1.0〜3.5質量部、酸化亜鉛が0.5〜5.0質量部、グラスファイバーが2〜4質量部配合されているトレッドゴム組成物からなり、
前記トレッドパターンのタイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる溝の密度が0.013mm/mm2〜0.016mm/mm2、タイヤ進行方向に対して有効エッジ成分となる前記サイピングの密度が0.085mm/mm2〜0.12mm/mm2とされていることを特徴とするスタッドレスタイヤ。 - 前記トレッドゴム組成物のゴム成分はブタジエンゴムと天然ゴムとからなり、該ゴム成分100質量部に対してブタジエンゴムが20〜80質量部である請求項1に記載のスタッドレスタイヤ。
- 前記トレッドゴム組成物には、ゴム成分100質量部に対して、更に、平均粒子径が10〜25nmであるシリカが10〜20質量部、平均粒子径が18〜27nmであるカーボン粉体が40〜50質量部配合されている請求項1または請求項2に記載のスタッドレスタイヤ。
- 2枚のスチールベルトと、2−0HTUのプライ構造を備えた空気入りタイヤからなる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスタッドレスタイヤ。
- 小、中トラック、ライトバン、ワンボックスバン等からなる商用車両の装着用タイヤとされる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスタッドレスタイヤ。
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