本発明は、チップ部品に関するものであり、特に、耐サージ性を有するチップ抵抗器に関するものである。
従来より、耐サージチップ抵抗器として、特許文献1に示すものが存在する。この特許文献1に記載のチップ抵抗器は、図15に示すように構成され、基板1011の上面に上面電極1012と、蛇行状に形成された抵抗体1013とが形成されていて、上面電極1012に基板1011の内側に向かって突出する凸部を設けて、抵抗体1013と上面電極1012との間に隙間を設けることにより、チップ抵抗器の両端にサージ電圧が印加された場合でも抵抗体1013と上面電極1012間に発生する放電を抑制することができるものである。
また、出願人は、他の先行技術文献として特許文献2に示すものを知得している。
特開2000−216001号公報
特開2006−19694号公報
しかし、上記特許文献1に記載のチップ抵抗器においては、抵抗体1013の両端部分1013−1が一対の上面電極間の方向(X1−X2方向、電極間方向)に向いているため、その分抵抗体1013のターン数が多くなってしまう。
本来抵抗体においては、電流は最短のルートを通ろうとするので、抵抗体の内側のコーナー部に電流が集中しやすくなり、よって、該コーナー部が過度に高温になって破壊されやすい。つまり、図15の例では、コーナー部C1やコーナー部C2のような内側のコーナー部が破壊されやすい。
よって、図15の例では、抵抗体1013の両端部分1013−1が電極間方向を向いていてその分ターン数が多くなることから、特に、コーナー部C1の領域が破壊されやすくなる。ただし、特許文献2における図11、図21の例においては、抵抗体の両端部分が、電極間方向とは直角の方向を向いているので、その分ターン数を少なくできるといえる。
また、上記のように蛇行形状の抵抗体においては、コーナー部が破壊されやすいので、図15のコーナー部C2の幅S11がコーナー部以外の抵抗体の電流経路の幅S12と同じ幅で形成される場合には、コーナー部C2が破壊されると、コーナー部C2の電流経路の幅が狭くなってしまい、抵抗体1013の抵抗値変化が許容範囲を超えてしまう等抵抗体の電気的特性が劣化してしまうという問題があった。
また、上面電極1012の角部、特に、外側に突出した角部K1が直角に形成されている場合には、サージ電圧が印加された場合には、抵抗体1013との間で放電を生じやすいという問題があった。また、抵抗体1013においても、同様に、角部、特に、外側に突出した角部(例えば、角部K2)が直角に形成されている場合には、同様の問題が生じる可能性があった。
例えば、図15に示すように、抵抗体1013の両端の角部K2が上面電極1012の上面に形成されている場合には、角部K2との間で放電が生じるおそれは小さいが、仮に、抵抗体1013がずれて形成されることにより、角部K2が上面電極1012の上面に形成されない場合には、その角部K2と上面電極1012の角部K1との間で放電が生じる可能性がある。
また、近年、チップ抵抗器の耐サージ特性の充放電試験に用いられるコンデンサの容量が大きくなる等、より大きなサージ電力に耐えるチップ抵抗器が求められている。
そこで、本発明は、蛇行状の抵抗体を有するチップ抵抗器において、コーナー部が破壊されても抵抗体の電気的特性を劣化させることなく、かつ、放電を抑えることにより、耐サージ特性を向上させることができるチップ抵抗器を提供することを目的とするものである。
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、チップ抵抗器であって、絶縁基板上に形成された一対の上面電極で、他方の上面電極側に向いた突出状の角部にR面又はC面が形成された上面電極と、該一対の上面電極間に接続された抵抗体で、切欠部及びトリミングカーフによって複数のターン領域を形成することにより蛇行状に形成され、上面電極と接続する端部領域の電流経路が、一対の上面電極を結ぶ方向である電極間方向と略直角であり、該ターン領域の電流経路の少なくとも一部の幅が、該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成され、突出状の角部にR面又はC面が形成された抵抗体と、を有することを特徴とする。
この第1の構成においては、該ターン領域の電流経路の少なくとも一部の幅が、該電極間方向に直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成されているので、電流経路における内側の領域に電流が集中することにより、ターン領域の内側の部分が破壊された場合でも、抵抗体のターン領域の電流経路の幅を確保でき、電流経路の幅が短くなることにより抵抗値等の電気的特性が許容範囲以上に変化する等抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがない。また、上面電極の他方の上面電極側に向いた突出状の角部にR面又はC面が形成されているとともに、抵抗体における突出状の角部にR面又はC面が形成されているので、各角部同士で放電が発生するおそれを小さくでき、耐サージ特性を向上させることができる。また、抵抗体において上面電極と接続する端部領域の電流経路が、電極間方向と略直角となっているので、抵抗体のターン数を少なくすることができ、ターン数が少なくなった分ターン領域の内側の領域が破壊されるおそれを少なくしている。よって、全体として、耐サージ特性が向上したチップ抵抗器とすることができる。
なお、上記第1の構成において、該ターン領域の電流経路の幅で一対の上面電極を結ぶ方向である電極間方向の電流経路の幅が、一対の上面電極を結ぶ方向に直角な方向の電流経路の幅の1.15〜1.25倍であるとするのが好ましい。
なお、上記第1の構成において、該ターン領域の電流経路の少なくとも一部の幅が、上記上面電極と接続する端部領域の電流経路の幅よりも大きく形成されているものとしてもよく、また、ターン領域の電流経路の全ての位置の幅が、該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成されているものとしてもよい。
また、第2には、上記第1の構成において、上記ターン領域における電極間方向と略平行な方向の電流経路の幅が、該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅よりも大きいことを特徴とする。
また、第3には、上記第1又は第2の構成において、抵抗体において、切欠部により形成されたターン領域の該切欠部から見て外側の輪郭が、ターン領域における電極間方向の電流経路の該切欠部から見て外側の輪郭と、該ターン領域に連設した電流経路の該切欠部から見て外側の輪郭とに接する楕円で、楕円の長軸と短軸の交点が該切欠部内又は該切欠部の輪郭上に存在する楕円の軌跡よりも該切欠部から見て外側にあることを特徴とする。
よって、ターン領域の幅を広く確保でき、コーナー部に電流が集中することによりコーナー部が破壊された場合でも、抵抗体のターン領域の電流経路の幅を確保でき、電流経路の幅が短くなることにより抵抗値等の電気的特性が許容範囲以上に変化する等抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがない。
また、第4には、チップ抵抗器であって、絶縁基板上に形成された一対の上面電極で、他方の上面電極側に向いた突出状の角部にR面又はC面が形成された上面電極と、該一対の上面電極間に接続された抵抗体で、トリミングカーフが設けられた抵抗体本体部と、抵抗体本体部と上面電極との間に、一対の上面電極を結ぶ方向である電極間方向とは略直角の方向に伸びて形成され、上面電極と接続する一対の帯状部と、抵抗体本体部と帯状部とを接続する接続部で、電極間方向とは直角の方向の端部において抵抗体本体部と帯状部とを接続する接続部と、を有し、帯状部と接続部と抵抗体本体とで囲まれた切欠部と、抵抗体本体部に設けられたトリミングカーフとによって複数のターン領域を形成することにより蛇行状に形成された抵抗体で、接続部の電極間方向とは直角方向の幅と、抵抗体本体部におけるトリミングカーフ形成位置の電流経路の幅とが、帯状部の電極間方向の幅よりも大きく形成され、突出状の角部にR面又はC面が形成された抵抗体と、を有することを特徴とする。
この第4の構成においては、接続部の電極間方向とは直角方向の幅と、抵抗体本体部におけるトリミングカーフ形成位置の電流経路の幅とが、帯状部の電極間方向の幅よりも大きく形成されているので、電流経路における内側の領域に電流が集中することにより、ターン領域の内側の部分が破壊された場合でも、抵抗体のターン領域の電流経路の幅を確保でき、電流経路の幅が短くなることにより抵抗値等の電気的特性が許容範囲以上に変化する等抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがない。また、上面電極の他方の上面電極側に向いた突出状の角部にR面又はC面が形成されているとともに、抵抗体における突出状の角部にR面又はC面が形成されているので、各角部同士で放電が発生するおそれを小さくでき、耐サージ特性を向上させることができる。また、抵抗体において帯状部が電極間方向とは略直角の方向に伸びて形成されているので、抵抗体のターン数を少なくすることができ、ターン数が少なくなった分ターン領域の内側の領域が破壊されるおそれを少なくしている。よって、全体として、耐サージ特性が向上したチップ抵抗器とすることができる。
また、第5には、上記第4の構成において、抵抗体において、帯状部におけるターン領域の該切欠部から見て外側の輪郭が、接続部の該切欠部から見て外側の輪郭と、帯状部の該切欠部から見て外側の輪郭とに接する楕円で、楕円の長軸と短軸の交点が該切欠部内又は該切欠部の輪郭上に存在する楕円の軌跡よりも該切欠部から見て外側にあることを特徴とする。
よって、ターン領域の幅を広く確保でき、コーナー部に電流が集中することによりコーナー部が破壊された場合でも、抵抗体のターン領域の電流経路の幅を確保でき、電流経路の幅が短くなることにより抵抗値等の電気的特性が許容範囲以上に変化する等抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがない。
また、第6には、上記第1から第5までのいずれかの構成において、抵抗体において、ターン領域の内側の切欠部における奥側のコーナー部が略円弧状又は略楕円弧状に形成されていることを特徴とする。よって、コーナー部が破壊されにくくなっているので、耐サージ特性を向上させることができる。つまり、コーナー部が直角に形成されている場合に比べて、コーナー部に電流密度が異常に高くなる領域を形成するおそれが小さく、耐サージ特性を向上させることができる。
また、第7には、上記第1から第6までのいずれかの構成において、抵抗体に形成された切欠部が、奥側から開口側にいくに従い幅広に形成されていることを特徴とする。よって、抵抗体に形成された切欠部の両側の間の放電のおそれを小さくすることができる。特に、切欠部の奥側よりも開口側(手前側)の方がその両側の電位差が高いので、切欠部の幅が奥側と手前側とで同じとすれば、開口側において放電が発生しやすくなるが、切欠部において開口側にいくほど幅広になるように形成しているので、放電が発生する可能性を小さくすることができる。
また、第8には、上記第1から第7までのいずれかの構成において、上面電極が、絶縁基板における中心線で、一対の上面電極を結ぶ方向の中心線を跨ぐように形成された上面電極本体部と、上面電極本体部の内側に突出して形成された突出部で、該中心線を跨がないように形成された突出部と、を有することを特徴とする。
また、第9には、上記第8の構成において、上面電極本体部の電極間方向の幅が、電極間方向と直角な方向で突出部形成側から反対側に向けて小さくなるように形成され、これにより、上面電極と上面電極に接続した抵抗体の端部領域とで形成された切欠部が、奥側から開口側にいくに従い幅広に形成されていることを特徴とする。よって、上面電極と抵抗体との間の放電のおそれを小さくすることができる。
また、第10には、上記第1から第7までのいずれかの構成において、上面電極が、絶縁基板における中心線で、一対の上面電極を結ぶ方向の中心線を跨がないように形成されていることを特徴とする。
本発明に基づくチップ抵抗器によれば、ターン領域の電流経路の幅で一対の上面電極を結ぶ方向である電極間方向の電流経路の幅が、該電極間方向に直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成され、また、接続部の電極間方向とは直角方向の幅と、抵抗体本体部におけるトリミングカーフ形成位置の電流経路の幅とが、帯状部の電極間方向の幅よりも大きく形成されているので、電流経路における内側の領域に電流が集中することにより、ターン領域の内側の部分が破壊された場合でも、抵抗体のターン領域の電流経路の幅を確保でき、電流経路の幅が短くなることにより抵抗値等の電気的特性が許容範囲以上に変化する等抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがない。また、上面電極の他方の上面電極側に向いた突出状の角部にR面又はC面が形成されているとともに、抵抗体における突出状の角部にR面又はC面が形成されているので、各角部同士で放電が発生するおそれを小さくでき、耐サージ特性を向上させることができる。また、抵抗体において上面電極と接続する端部領域の電流経路が、電極間方向と略直角となっているので、抵抗体のターン数を少なくすることができ、ターン数が少なくなった分ターン領域の内側の領域が破壊されるおそれを少なくしている。よって、全体として、耐サージ特性が向上したチップ抵抗器とすることができる。
本発明においては、蛇行状の抵抗体を有するチップ抵抗器において、コーナー部が破壊されても抵抗体の電気的特性を劣化させることなく、かつ、放電を抑えることにより、耐サージ特性を向上させることができるチップ抵抗器を提供するという目的を以下のようにして実現した。
すなわち、本発明に基づく実施例におけるチップ抵抗器5は、図1〜図5に示されるように構成され、絶縁基板(基板)10と、上面電極20、22と、抵抗体30と、保護膜40と、下面電極50と、側面電極60と、メッキ70と、を有している。
なお、図1、図4、図5は、チップ抵抗器5の平面図であるが、厳密には、保護膜40と側面電極60とメッキ70とを除いた状態の図であるといえる。また、図2は、チップ抵抗器5の底面図であるが、厳密には、メッキ70と側面電極60を除いた状態の図であるといえる。
また、各図において、Y1−Y2方向は、X1−X2方向(電極間方向)に直角な方向であり、Z1−Z2方向は、X1−X2方向及びY1−Y2方向に直角な方向である。
ここで、上記絶縁基板10は、含有率96%程度のアルミナにて形成された絶縁体である。この絶縁基板10は、直方体形状を呈しており、平面視すると、略長方形形状を呈している。この絶縁基板10は、上記チップ抵抗器5の基礎部材、すなわち、基体として用いられている。
また、上面電極20は、平面視において鉤状を呈し、絶縁基板10の上面の一方の短辺に沿って形成され、上面電極本体部20aと、突出部20bとを有している。つまり、上面電極本体部20aは、短辺に沿った略長方形状を呈している。また、突出部20bは、上面電極本体部20aの内側の辺のY2側の端部分から内側(つまりX2側)に突出して形成され、上面電極本体部20aのY2側の辺部と突出部20bのY2側の辺部とは面一に形成されている。また、上面電極本体部20aは、絶縁基板10の平面視におけるX1−X2方向の中心線を跨ぐように形成されているが、突出部20bは、該中心線を跨ぐことなく該中心線よりもY2側に形成されている。
また、上面電極20の角部には、R面が形成されている。つまり、上面電極本体部20aの角部K20(つまり、上面電極本体部20aにおいて抵抗体30と対向する角部K20)には、R面が形成されているとともに、突出部20bの先端の両側の角部K21、K22には、R面が形成されている。この角部K20、K21、K22は、他方の上面電極側に向いた突出状の角部である。
また、上面電極22は、絶縁基板10の上面の他方の短辺に沿って形成され、上面電極20と線対称に形成されている。つまり、上面電極22は、平面視において鉤状を呈し、上面電極本体部22aと、突出部22bとを有し、上面電極22の角部には、R面が形成されている。つまり、上面電極本体部22aの角部K20(つまり、上面電極本体部22aにおいて抵抗体30と対向する角部K20)には、R面が形成されているとともに、突出部22bの先端の両側の角部K21、K22には、R面が形成されている。この角部K20、K21、K22は、他方の上面電極側に向いた突出状の角部である。
また、抵抗体30は、絶縁基板10の上面に設けられているとともに、上面電極20、22との接続部分では上面電極20、22の上面に設けられていて、切欠部L1、L2やトリミングカーフTを形成することにより蛇行状に形成されていて、奇数回(具体的には3回)ターンする構成となっている。つまり、図5に示すように、抵抗体30におけるハッチングで示した領域TRがターン領域といえる。すなわち、ターン領域TRは、電流経路における少なくともいずれかの部分がターンし始める位置から始まり、電流経路における全ての部分がターンし終わった位置で終了する(他の実施例においても同じ)。つまり、ターン領域とそれ以外の領域の境界位置は、コーナー部C30、C31のY2側の端部や、コーナー部C32、C33のY2側の端部や、トリミングカーフTの最深部の曲線部分(略円弧状部)のY1側の端部といえる。
また、この抵抗体30は、略W字状に形成されていて、抵抗体本体部32と、帯状部34aと、接続部34bと、帯状部36aと、接続部36bとを有している。
すなわち、抵抗体本体部32は、上面電極20と上面電極22の間の位置に設けられ、略方形状を呈し、角部K33、K34にはR面が形成されている。つまり、抵抗体本体部32は、接続部34bと接続部36bとが接続されていない側(つまり、Y2側)に角部K33、K34を有しているが、この2つの角部(突出状の角部)はR状に形成されている。
また、帯状部34aは、上面電極20と接続され、Y1−Y2方向に帯状に形成されて、略方形状を呈している。つまり、帯状部34aの両側の辺部は略平行をなし、ともに電極間方向とは直角の方向を向いている。この帯状部34aの角部K30、K31、K32(突出状の角部)には、R面が形成されている。
また、接続部34bは、抵抗体本体部32と帯状部34aの間を接続するようにX1−X2方向に形成されている。この接続部34bのY1側の辺部は、帯状部34aのY1側の辺部及び抵抗体本体部32のY1側の辺部と面一に形成されていて、接続部34bのY2側においては、帯状部34aと接続部34bと抵抗体本体部32とで囲まれた切欠部L1が形成されている。なお、この切欠部におけるコーナー部C30とコーナー部C31とは、曲線状に形成されていて、具体的には、略円弧状(又は略楕円弧)に形成されている。つまり、この2つのコーナー部は直角ではなく、略円弧状(又は略楕円弧)に形成されている。また、コーナー部C30とコーナー部C31の間の辺部は直線状に形成されている。
なお、帯状部34aの幅S1と接続部34bの幅S2とを比較すると、S2>S1となっていて、具体的には、S2=1.15〜1.25(好適には1.2)×S1の関係となっている。この帯状部34aの幅S1が、上記「電極間方向に直角な方向の電流経路の幅」、「上面電極と接続する端部領域の電流経路の幅」、「帯状部の電極間方向の幅」に当たり、接続部34bの幅S2が、上記「ターン領域の電流経路の幅で電極間方向の電流経路の幅」、「接続部の電極間方向とは直角方向の幅」に当たり、S2>S1であることにより、ターン領域の電流経路の少なくとも一部の幅が、該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成されているといえる。
なお、帯状部34aの角部K32のR面を形成する輪郭線Jは、コーナー部C30の円弧(又は楕円弧)の中心Gを原点とした場合に、帯状部34aのX1側の辺部に接するとともに、接続部34bのY1側の辺部に接する楕円Dよりも外側に位置している。つまり、中心Gと帯状部34aのX1側の辺部の間の距離をPとし、中心Gと接続部34bのY1側の辺部の間の距離をQとした場合に、該楕円Dは、x2/P2+y2/Q2=1となるが、輪郭線Jは、この楕円Dよりも外側となっている。つまり、切欠部L1により形成されたターン領域の該切欠部L1から見て外側の輪郭Jが、ターン領域における電極間方向の電流経路の該切欠部から見て外側の輪郭M1と、該ターン領域に連設した電流経路の該切欠部から見て外側の輪郭M2とに接する楕円で、楕円の長軸と短軸の交点Gが該切欠部内に存在する楕円Dの軌跡よりも該切欠部L1から見て外側にあるといえる。なお、楕円の長軸と短軸の交点Gは、切欠部L1内にあるか、切欠部L1の輪郭上にあればよい。
また、切欠部L1の最深部の位置は、Y1−Y2方向において、上面電極20の突出部20bよりもY1側に形成され、切欠部L1の最深部と突出部20b間のY1−Y2方向の距離Rは正となっている。
また、帯状部36aは、帯状部34aと線対称に形成されていて、接続部36bは、接続部34aと線対称に形成されている。つまり、帯状部36aは、上面電極22と接続され、Y1−Y2方向に帯状に形成されて、略方形状を呈し、帯状部36aの角部K35、K36、K37(突出状の角部)には、R面が形成されている。
また、接続部36bは、接続部34bと線対称に形成され、抵抗体本体部32と帯状部36aの間を接続するようにX1−X2方向に形成されていて、接続部36bのY1側の辺部は、帯状部36aのY1側の辺部及び抵抗体本体部32のY1側の辺部と面一に形成されていて、接続部36bのY2側においては、帯状部36aと接続部36bと抵抗体本体部32とで囲まれた切欠部L2が形成されている。この切欠部における2つのコーナー部C32、C33は、曲線状に形成されていて、具体的には、略円弧状に形成されている。また、コーナー部C32とコーナー部C33の間の辺部は直線状に形成されている。
また、帯状部36aの幅をS3(図示せず)とし、接続部36bの幅S4(図示せず)とした場合に、幅S3と幅S4とを比較すると、S4>S3となっていて、具体的には、S4=1.15〜1.25(好適には1.2)×S3の関係となっている。この帯状部36aの幅S3が、「電極間方向に直角な方向の電流経路の幅」、「上面電極と接続する端部領域の電流経路の幅」、「帯状部の電極間方向の幅」に当たり、接続部36bの幅S4が、「ターン領域の電流経路の幅で電極間方向の電流経路の幅」、「接続部の電極間方向とは直角方向の幅」に当たり、S4>S3であることにより、ターン領域の電流経路の少なくとも一部の幅が、該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成されているといえる。
また、帯状部36aの角部K35のR面を形成する輪郭線Jは、コーナー部C33の円弧の中心を原点とした場合に、帯状部36aのX2側の辺部に接するとともに、接続部36bのY1側の辺部に接する楕円よりも外側に位置している。
また、抵抗体本体部32には、X1−X2方向の中心位置にY1側からトリミングカーフTを形成することにより、電流経路が180度ターンするように形成され、抵抗体30全体として蛇行状に形成される。なお、トリミングカーフT形成位置における抵抗体の幅S5(つまり、トリミングカーフTの最深部と抵抗体本体部32の反対側(Y2側)の端部との間の距離)と、帯状部34aの幅S1とを比較すると、S5>S1となっていて、具体的には、S5=1.15〜1.25(好適には1.2)×S1の関係となっている。このトリミングカーフT形成位置における抵抗体の幅S5が、「ターン領域の電流経路の幅で電極間方向の電流経路の幅」、「抵抗体本体部におけるトリミングカーフ形成位置の電流経路の幅」に当たり、S5>S1であることにより、ターン領域の電流経路の少なくとも一部の幅が、該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成されているといえる。
なお、チップ抵抗器5を設計するに当たり、トリミングに際して所望の抵抗値となった際に、S5>S1となり、特に、S5=1.15〜1.25(好適には1.2)×S1の関係となるように設計をしておくことになる。
また、上記構成の抵抗体30においては、ターン領域の電流経路の全ての位置の幅が、帯状部34a、36aの幅(該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅)よりも大きく形成されているといえる。
以上のように、抵抗体30においては、トリミングカーフTの形成位置を除く角部には、R面が形成され、また、切欠部の内側のコーナー部は円弧状に形成されている。
また、保護膜40は、上面電極20、22及び抵抗体30の上面に設けられていて、平面視において略方形状に形成されている。すなわち、保護膜40のX1−X2方向の長さは、抵抗体30を保護する程度に形成され、そのX1−X2方向の端部は、絶縁基板10の端部とは隙間が形成されるように形成されている。また、保護膜40のY1−Y2方向の長さは、抵抗体30を保護する程度に形成され、そのY1−Y2方向の端部は、絶縁基板10の端部と一致するか又は隙間が形成されるように形成されている。
また、下面電極50は、図2、図3に示すように、絶縁基板10の底面に形成されていて、帯状を呈している。つまり、下面電極50は、両側の短辺に沿って帯状に形成されていて、Y1側の端部からY2側の端部にまで形成されている。
また、側面電極60は、上面電極20、22の一部と、下面電極50の一部と、保護膜40の一部と、絶縁基板10の側面や上面の一部を被覆するように断面略コ字状に層状に形成されている。
また、メッキ70は、ニッケルメッキ72と、錫メッキ74とから構成されていて、X1−X2方向の両側の端部にそれぞれ設けられている。つまり、ニッケルメッキ72は、保護膜40の一部と、上面電極20、22の一部と、側面電極60と、下面電極50の一部とを被覆するように形成されている。つまり、上面電極20、22と側面電極60と下面電極50の露出部分を被覆するように形成されている。このニッケルメッキ72は、電気メッキにより略均一の膜厚で配設されている。このニッケルメッキ72は、ニッケルにて形成されており、上面電極20等の内部電極のはんだ食われを防止するために形成されている。このニッケルメッキ72は、ニッケル以外にも銅メッキが用いられる場合もある。
また、錫メッキ74は、ニッケルメッキ72の上面を被覆するように略均一の膜厚で配設されている。この錫メッキ74は、上記チップ抵抗器5の配線基板へのはんだ付けを良好に行うために形成されている。なお、この錫メッキ74は、錫メッキ以外に、はんだが用いられる場合もある。
上記構成のチップ抵抗器5の製造方法としてとしては、通常のチップ抵抗器の製造方法とほぼ同様であるが、特に、上面電極20、22と抵抗体30とを上記の形状に形成する点が異なる。
つまり、複数の絶縁基板10の大きさを有する大判の基板上に所定の範囲に上面電極を形成する。つまり、上面電極ペーストを基板の上に印刷して乾燥した後に焼成して上記上面電極20、22を形成する。なお、隣接するチップ抵抗器における上面電極とともに1つの印刷領域で形成するのが好ましい。次に、抵抗体をその一部を上面電極に重ねるようにして形成する。つまり、抵抗体ペーストをその一部を上面電極の上に重ねるように印刷して乾燥した後に焼成して抵抗体30を形成する。
続いて、抵抗体30についてトリミングを行って抵抗値調整を行った後に、保護膜40を形成し、基板を一次分割する。その後、側面電極を形成する。つまり、側面電極用ペーストを印刷して乾燥した後に焼成(焼成ではなく硬化としてもよい)することにより側面電極を形成する。その後、二次分割を行い、個々のチップ片とした後に、メッキ70を形成する。
上記構成のチップ抵抗器5においては、電流経路における内側の領域に電流が集中することにより、ターン領域の内側の部分が破壊された場合でも、ターン領域の電流経路の幅で一対の上面電極を結ぶ方向である電極間方向の電流経路の幅が、該電極間方向に直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成されているので、抵抗体のターン領域の電流経路の幅を確保でき、電流経路の幅が短くなることにより抵抗値等の電気的特性が許容範囲以上に変化する等抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがない。
例えば、接続部34bの内側(Y2側)や接続部36bの内側(Y2側)に電流が集中して接続部34bの内側の領域や接続部36bの内側の領域が破壊された場合でも、接続部34bの幅が帯状部34aの幅よりも大きく形成されているとともに、接続部36bの幅が帯状部36aの幅よりも大きく形成されているので、抵抗体のターン領域の電流経路の幅を確保でき、電流経路の幅が短くなることにより抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがない。
また、同様に、電流経路における内側の領域に電流が集中することにより、トリミングカーフTの最深部の領域(つまり、コーナー部C34の領域)に電流が集中して該領域が破壊された場合でも、トリミングカーフT形成位置における抵抗体の幅が、帯状部34aの幅よりも大きく形成されているので、トリミングカーフ形成位置のターン領域の電流経路の幅を確保でき、電流経路の幅が短くなることにより抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがない。
また、帯状部34aの角部K32のR面を形成する輪郭線や、帯状部36aの角部K35のR面を形成する輪郭線は、上記楕円よりも外側に位置しているので、これにより、ターン領域の幅を広く確保でき、コーナー部に電流が集中することによりコーナー部が破壊された場合でも、抵抗体のターン領域の電流経路の幅を確保でき、電流経路の幅が短くなることにより抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがない。例えば、コーナー部C30を例にとった場合に、帯状部34aの幅S1よりも接続部34bの幅S2の方が大きいことから、それらの幅に合わせて幅S1から幅S2になるように徐々に幅を大きくして角部K32の輪郭を決定すると、上記のような楕円の輪郭となるが、本実施例においては、角部K32の輪郭を該楕円よりも外側になるように構成しているので、コーナー部C30における電流経路の幅を十分広く確保している。特に、コーナー部C30やコーナー部C31の箇所は、電流が集中しやすいので破壊されやすいが、上記のように、角部K32の輪郭を該楕円よりも外側になるように構成することによりコーナー部C30の箇所が破壊されても、電流経路の幅を確保でき、電流経路の幅が短くなることにより抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがない。
また、コーナー部C30、C31、C32、C33は、曲線状(特に、略円弧状又は略楕円弧状)に形成されていて、直角には形成されていないことから、コーナー部が破壊されにくくなっている。
以上のように、接続部34b、36bの幅や、トリミングカーフ形成位置における抵抗体の幅を十分広く確保し、また、角部K32、35の輪郭を楕円よりも外側にして、ターン領域における幅を十分広く確保することにより、抵抗体30のターン領域の内側の領域に電流が集中することによりその一部が破壊されても抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがなく、耐サージ特性を向上させることができる。
また、コーナー部C30、C31、C32、C33は、曲線状(特に、略円弧状)に形成されているので、コーナー部が破壊されにくくなっているので、この点でも、耐サージ特性を向上させることができる。つまり、コーナー部が直角に形成されている場合に比べて、コーナー部に電流密度が異常に高くなる領域を形成するおそれが小さく、耐サージ特性を向上させることができる。
また、抵抗体30においては、トリミングカーフTの形成位置を除く角部には、R面が形成され、また、上面電極20、22の角部にはR面が形成されているので、各角部同士で放電が発生するおそれを小さくでき、耐サージ特性を向上させることができる。例えば、上面電極20の角部K20と抵抗体30の角部K32や、上面電極22の角部K20と抵抗体30の角部K35とが、ともに直角の角部の場合には、2つの角部が互いに対向しているため、両角部間で放電が発生するおそれがあり、また、上面電極20の角部K21と抵抗体30の角部K33、抵抗体30の角部K31と抵抗体30の角部K33、上面電極22の角部K21と抵抗体30の角部K34、抵抗体30の角部K36と抵抗体30の角部K34についても、2つの角部が対向しているため、両角部間で放電が発生するおそれがあるが、本実施例においては、各角部にR面が形成されていることから、放電のおそれがない。
また、本実施例のチップ抵抗器5の抵抗体30においては、抵抗体30の端部をなす帯状部34a、36aが、ともに、電極間方向(X1−X2方向)に直角の方向(Y1−Y2方向)になっているので、抵抗体のターン数を少なくすることができ、ターン領域の内側の領域が破壊されるおそれをなくしているので、これによっても、耐サージ特性を向上させることができる。
次に、実施例2のチップ抵抗器について説明する。実施例2のチップ抵抗器105は、実施例1のチップ抵抗器5と略同様の構成であるが、図6に示すように、抵抗体の構成が異なる。なお、図6は、チップ抵抗器105の平面図であるが、厳密には、保護膜と側面電極とメッキとを除いた状態の図であるといえる。
すなわち、図6に示すように、チップ抵抗器105における抵抗体130は、略W字状に形成されていて、抵抗体本体部132と、帯状部134aと、接続部134bと、帯状部136aと、接続部136bとを有している。
ここで、抵抗体本体部132は、実施例1の抵抗体本体部32とは異なり、平面視において、その上部が斜めに欠切されていてテーパ状に形成されている。つまり、抵抗体本体部132においては、コーナー部C31から接続して形成された傾斜辺部132−1が設けられ、また、コーナー部C32から接続して形成された傾斜辺部132−2が設けられている。この傾斜辺部132−1と傾斜辺部132−2とは、直線状に形成され、傾斜辺部132−1は、Y2側にいくほどX2側になるように傾斜して形成され、帯状部134aと接続部134bと抵抗体本体部132とで囲まれた切欠部L1が、開口側にいくに従い幅広になるように形成され、また、傾斜辺部132−2は、Y2側にいくほどX1側になるように傾斜して形成され、帯状部136aと接続部136bと抵抗体本体部132とで囲まれた切欠部L2が、開口側にいくに従い幅広になるように形成されている。
これにより、抵抗体130に形成された切欠部L1、L2の両側の間の放電のおそれを小さくすることができる。すなわち、切欠部L1、L2においては、切欠部の奥側よりも手前側(開口側)の方がその両側の電位差が高いので、切欠部の幅が奥側と手前側とで同じとすれば、手前側において放電が発生しやすくなるが、本実施例の場合には、切欠部L1、L2において、開口側にいくほど幅広になるように形成しているので、放電が発生する可能性を小さくすることができる。
なお、抵抗体130における抵抗体本体部132以外の構成は、実施例1における抵抗体30の構成と同様であるので詳しい説明を省略する。つまり、帯状部134aは、帯状部34aと同様の構成であり、接続部134bは、接続部34bと同様の構成であり、帯状部136aは、帯状部36aと同様の構成であり、接続部136bは、接続部36bと同様の構成である。また、チップ抵抗器105における抵抗体130以外の構成は、実施例1のチップ抵抗器5と同様であるので詳しい説明を省略する。
特に、接続部134bの幅が帯状部134aの幅よりも大きく形成されているとともに、接続部136bの幅が帯状部136aの幅よりも大きく形成され、また、トリミングカーフT形成位置における抵抗体の幅が、帯状部134aの幅よりも大きく形成されている。また、帯状部134aの角部K32のR面を形成する輪郭線や、帯状部136aの角部K35のR面を形成する輪郭線は、上記楕円よりも外側に位置している。これにより、実施例1の場合と同様に、ターン領域における幅を十分広く確保して、抵抗体130のターン領域の内側の領域に電流が集中することによりその一部が破壊されても抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがなく、耐サージ特性を向上させることができる。
また、コーナー部C30、C31、C32、C33は、曲線状(特に、略円弧状)に形成されているので、コーナー部が破壊されにくく構成され、この点でも耐サージ特性が向上されている。
また、抵抗体130においては、トリミングカーフTの形成位置を除く角部(つまり、角部K30、K31、K32、K33、K34、K35、K36、K37)には、R面が形成され、また、上面電極20、22の角部にはR面が形成されているので、各角部同士で放電が発生するおそれを小さくでき、耐サージ特性を向上させることができる。
なお、上記実施例1及び実施例2においては、トリミングカーフを1本としたが、これには限られず、同一方向に隣接して複数本(例えば、2本)のトリミングカーフを形成するようにしてもよい。
次に、実施例3のチップ抵抗器について説明する。実施例3のチップ抵抗器205は、実施例1のチップ抵抗器5と略同様の構成であるが、図7、図8に示すように、一対の上面電極が点対称に形成され、また、抵抗体が点対称に形成されている点が異なる。なお、図7、図8は、チップ抵抗器205の平面図であるが、厳密には、保護膜と側面電極とメッキとを除いた状態の図であるといえる。
すなわち、上面電極220は、実施例1の上面電極20と同様の構成である。すなわち、上面電極220は、絶縁基板10の上面の一方の短辺に沿って形成され、平面視において鉤状を呈し、上面電極本体部220aと、突出部220bとを有し、上面電極220の角部には、R面が形成されている。つまり、上面電極本体部220aの角部K20には、R面が形成されているとともに、突出部220bの先端の両側の角部K21、K22には、R面が形成されている。また、上面電極本体部220aは、絶縁基板10の平面視におけるX1−X2方向の中心線を跨ぐように形成されているが、突出部220bは、該中心線を跨ぐことなく該中心線よりもY2側に形成されている。
また、上面電極222は、絶縁基板10の上面の他方の短辺に沿って形成され、上面電極220と点対称に形成されている。つまり、上面電極220においては、突出部220bが上面電極本体部220aのY2側から突出しているのに対して、上面電極222においては、突出部222bが上面電極本体部222aのY1側から突出して形成されている。また、上面電極本体部222aは、絶縁基板10の平面視におけるX1−X2方向の中心線を跨ぐように形成されているが、突出部222bは、該中心線を跨ぐことなく該中心線よりもY1側に形成されている。
また、抵抗体230は、絶縁基板10の上面に設けられているとともに、上面電極220、222との接続部分では上面電極220、222の上面に設けられていて、蛇行状に形成されていて、偶数回(具体的には4回)ターンする構成となっている。
つまり、この抵抗体230は、抵抗体本体部232と、帯状部234aと、接続部234bと、帯状部236aと、接続部236bとを有している。
すなわち、抵抗体本体部232は、上面電極220と上面電極222の間の位置に設けられ、略方形状を呈し、対角位置に設けられた角部K33、K34にはR面が形成されている。つまり、抵抗体本体部232は、接続部234bと接続部236bとが接続されていない側に角部K33、K34を有しているが、この2つの角部はR状に形成されている。
また、帯状部234aは、上面電極220と接続され、Y1−Y2方向に帯状に形成されて、略方形状を呈している。この帯状部234aの角部K30、K31、K32には、R面が形成されている。
また、接続部234bは、抵抗体本体部232と帯状部234aの間を接続するようにX1−X2方向に形成されている。この接続部234bのY1側の辺部は、帯状部234aのY1側の辺部及び抵抗体本体部232のY1側の辺部と面一に形成されていて、接続部234bのY2側においては、帯状部234aと接続部234bと抵抗体本体部232とで囲まれた切欠部L1が形成されている。なお、この切欠部L1におけるコーナー部C30とコーナー部C31とは、曲線状に形成されていて、具体的には、略円弧状に形成されている。つまり、この2つのコーナー部は直角ではなく、略円弧状に形成されている。また、コーナー部C30とコーナー部C31の間の辺部は直線状に形成されている。
なお、帯状部234aの幅S1と接続部234bの幅S2とを比較すると、S2>S1となっていて、具体的には、S2=1.15〜1.25(好適には1.2)×S1の関係となっている。この帯状部234aの幅S1が、上記「電極間方向に直角な方向の電流経路の幅」、「上面電極と接続する端部領域の電流経路の幅」、「帯状部の電極間方向の幅」に当たり、接続部234bの幅S2が、「ターン領域の電流経路の幅で電極間方向の電流経路の幅」、「接続部の電極間方向とは直角方向の幅」に当たり、S2>S1であることにより、ターン領域の電流経路の少なくとも一部の幅が、該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成されているといえる。
なお、帯状部234aの角部K32のR面を形成する輪郭線Jは、図8に示すように、上記各実施例の場合と同様に、コーナー部C30の円弧の中心Gを原点とした場合に、帯状部234aのX1側の辺部に接するとともに、接続部234bのY1側の辺部に接する楕円Dよりも外側に位置している。つまり、中心Gと帯状部234aのX1側の辺部の間の距離をPとし、中心Gと接続部234bのY1側の辺部の間の距離をQとした場合に、該楕円Dは、x2/P2+y2/Q2=1となるが、輪郭線Jは、この楕円Dよりも外側となっている。
また、切欠部L1の最深部の位置は、Y1−Y2方向において、上面電極220の突出部220bよりもY1側に形成され、切欠部L1の最深部と突出部220b間のY1−Y2方向の距離Rは正となっている。
また、帯状部236aは、帯状部234aと点対称に形成されていて、接続部236bは、接続部234aと点対称に形成されている。つまり、帯状部236aは、上面電極222と接続され、Y1−Y2方向に帯状に形成されて、略方形状を呈し、帯状部236aの角部K35、K36、K37には、R面が形成されている。
また、接続部236bは、接続部234bと点対称に形成され、抵抗体本体部232と帯状部236aの間を接続するようにX1−X2方向に形成されていて、接続部236bのY2側の辺部は、帯状部236aのY2側の辺部及び抵抗体本体部32のY2側の辺部と面一に形成されていて、接続部236bのY2側においては、帯状部236aと接続部236bと抵抗体本体部232とで囲まれた切欠部L2が形成されている。この切欠部L2における2つのコーナー部C32、C33は、曲線状に形成されていて、具体的には、略円弧状に形成されている。また、コーナー部C32とコーナー部C33の間の辺部は直線状に形成されている。
また、帯状部236aの幅をS3(図示せず)とし、接続部236b(図示せず)の幅S4とした場合に、幅S3と幅S4とを比較すると、S4>S3となっていて、具体的には、S4=1.15〜1.25(好適には1.2)×S3の関係となっている。この帯状部236aの幅S3が、「電極間方向に直角な方向の電流経路の幅」、「上面電極と接続する端部領域の電流経路の幅」、「帯状部の電極間方向の幅」に当たり、接続部236bの幅S4が、「ターン領域の電流経路の幅で電極間方向の電流経路の幅」、「接続部の電極間方向とは直角方向の幅」に当たり、S4>S3であることにより、ターン領域の電流経路の少なくとも一部の幅が、該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成されているといえる。
また、帯状部236aの角部K35のR面を形成する輪郭線Jは、コーナー部C33の円弧の中心を原点とした場合に、帯状部236aのX2側の辺部に接するとともに、接続部236bのY2側の辺部に接する楕円よりも外側に位置している。
また、抵抗体本体部232には、異なる方向から2つのトリミングカーフTを形成することにより、電流経路が180度2回ターンするように形成され、抵抗体230全体として蛇行状に形成されている。つまり、抵抗体本体部232のX1側の端部から抵抗体本体部232のX1−X2方向の長さの1/3の長さの位置でY1側からトリミングカーフTを形成するとともに、抵抗体本体部232のX1側の端部から抵抗体本体部232のX1−X2方向の長さの2/3の長さの位置でY2側からトリミングカーフTを形成することにより、電流経路が2回180度ターンするように形成され、抵抗体230全体として蛇行状に形成される。
なお、トリミングカーフT形成位置における抵抗体の幅S5、S6(図8参照)と、帯状部234aの幅S1とを比較すると、S5>S1及びS6>S1となっていて、具体的には、S5=1.15〜1.25(好適には1.2)×S1及びS6=1.15〜1.25(好適には1.2)×S1の関係となっている。このトリミングカーフT形成位置における抵抗体の幅S5が、「ターン領域の電流経路の幅で電極間方向の電流経路の幅」、「抵抗体本体部におけるトリミングカーフ形成位置の電流経路の幅」に当たり、S5>S1であることにより、ターン領域の電流経路の少なくとも一部の幅が、該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅よりも大きく形成されているといえる。
なお、チップ抵抗器205を設計するに当たり、トリミングに際して所望の抵抗値となった際に、S5(S6)>S1となり、特に、S5(S6)=1.15〜1.25(好適には1.2)×S1の関係となるように設計をしておくことになる。
また、上記構成の抵抗体230においては、ターン領域の電流経路の全ての位置の幅が、帯状部234a、236aの幅(該電極間方向に略直角な方向の電流経路の幅)よりも大きく形成されているといえる。
以上のように、抵抗体230においては、トリミングカーフTの形成位置を除く角部には、R面が形成され、また、切欠部の内側のコーナー部は円弧状に形成されている。
なお、チップ抵抗器205における上面電極220、222と抵抗体230以外の構成は、上記実施例1のチップ抵抗器5と同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。
また、チップ抵抗器205の製造方法も、上面電極220、222と抵抗体230とを上記の形状に形成する点以外は実施例1と同様であるので、詳しい説明を省略する。
また、チップ抵抗器205の作用・効果も、実施例1のチップ抵抗器5の作用・効果と同様である。
つまり、接続部234bの幅が帯状部234aの幅よりも大きく形成されているとともに、接続部236bの幅が帯状部236aの幅よりも大きく形成され、また、トリミングカーフT形成位置における抵抗体の幅が、帯状部234aの幅よりも大きく形成されていて、また、帯状部234aの角部K32のR面を形成する輪郭線や、帯状部236aの角部K35のR面を形成する輪郭線は、上記楕円よりも外側に位置しているので、ターン領域における幅を十分広く確保して、抵抗体230のターン領域の内側の領域に電流が集中することによりその一部が破壊されても抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがなく、耐サージ特性を向上させることができる。
また、コーナー部C30、C31、C32、C33は、曲線状(特に、略円弧状)に形成されているので、コーナー部が破壊されにくく構成され、この点でも耐サージ特性が向上されている。
また、抵抗体230においては、トリミングカーフTの形成位置を除く角部には、R面が形成され、また、上面電極220、222の角部にはR面が形成されているので、各角部同士で放電が発生するおそれを小さくでき、耐サージ特性を向上させることができる。
次に、実施例4のチップ抵抗器について説明する。実施例4のチップ抵抗器305は、実施例3のチップ抵抗器205と略同様の構成であるが、図9に示すように、実施例2と同様に切欠部が開口側にいくほど幅広になっている点が異なる。なお、図9は、チップ抵抗器305の平面図であるが、厳密には、保護膜と側面電極とメッキとを除いた状態の図であるといえる。
つまり、チップ抵抗器305における抵抗体330は、抵抗体本体部332と、帯状部334aと、接続部334bと、帯状部336aと、接続部336bとを有している。
ここで、抵抗体本体部332は、実施例1の抵抗体本体部32とは異なり、平面視において、対角上の角部が斜めに欠切されていてテーパ状に形成されている。つまり、抵抗体本体部332においては、コーナー部C31から接続して形成された傾斜辺部332−1が設けられ、また、コーナー部C32から接続して形成された傾斜辺部332−2が設けられている。この傾斜辺部332−1と傾斜辺部332−2とは、直線状に形成され、傾斜辺部332−1は、Y2側にいくほどX2側になるように傾斜して形成され、帯状部334aと接続部334bと抵抗体本体部332とで囲まれた切欠部L1が、開口側にいくに従い幅広になるように形成され、また、傾斜辺部332−2は、Y1側にいくほどX1側になるように傾斜して形成され、帯状部336aと接続部336bと抵抗体本体部332とで囲まれた切欠部L2が、開口側にいくに従い幅広になるように形成されている。
これにより、実施例2の場合と同様に、抵抗体330に形成された切欠部L1、L2の両側の間の放電のおそれを小さくすることができる。
なお、抵抗体330における抵抗体本体部332以外の構成は、実施例3における抵抗体230の構成と同様であるので詳しい説明を省略する。つまり、帯状部334aは、帯状部234aと同様の構成であり、接続部334bは、接続部234bと同様の構成であり、帯状部336aは、帯状部236aと同様の構成であり、接続部336bは、接続部236bと同様の構成である。また、チップ抵抗器305における抵抗体330以外の構成は、実施例3のチップ抵抗器205と同様であるので詳しい説明を省略する。
また、チップ抵抗器305の作用・効果も、実施例3のチップ抵抗器205の作用・効果と同様である。
つまり、接続部334bの幅が帯状部334aの幅よりも大きく形成されているとともに、接続部336bの幅が帯状部336aの幅よりも大きく形成され、また、トリミングカーフT形成位置における抵抗体の幅が、帯状部334aの幅よりも大きく形成されていて、また、帯状部334aの角部K32のR面を形成する輪郭線や、帯状部336aの角部K35のR面を形成する輪郭線は、上記楕円よりも外側に位置しているので、ターン領域における幅を十分広く確保して、抵抗体330のターン領域の内側の領域に電流が集中することによりその一部が破壊されても抵抗値等の電気的特性が変化してしまうことがなく、耐サージ特性を向上させることができる。
また、コーナー部C30、C31、C32、C33は、曲線状(特に、略円弧状)に形成されているので、コーナー部が破壊されにくく構成され、この点でも耐サージ特性が向上されている。
また、抵抗体330においては、トリミングカーフTの形成位置を除く角部(つまり、角部K30、K31、K32、K33、K34、K35、K36、K37)には、R面が形成され、また、上面電極220、222の角部にはR面が形成されているので、各角部同士で放電が発生するおそれを小さくでき、耐サージ特性を向上させることができる。
次に、実施例5のチップ抵抗器について説明する。実施例5のチップ抵抗器405は、実施例4のチップ抵抗器305と略同様の構成であるが、図10に示すように、抵抗体における両側の帯状部が外側に傾斜している点が異なる。つまり、帯状部の先端側が電極間方向の外側に傾斜している。なお、図10は、チップ抵抗器405の平面図であるが、厳密には、保護膜と側面電極とメッキとを除いた状態の図であるといえる。
つまり、抵抗体330は、抵抗体本体部332と、帯状部334aと、接続部334bと、帯状部336aと、接続部336bとを有しているが、帯状部334aと帯状部336aが電極間方向に直角の方向に対して傾斜して形成され、帯状部334aは、その先端側が外側(X1側)に向けて傾斜して形成され、また、帯状部336aは、その先端側が外側(X2側)に向けて傾斜して形成されている。つまり、帯状部334aの略平行な辺部334a−1、334a−2は、ともに直線状をなし、Y2側にいくほどX1側になるように傾斜して形成され、また、帯状部336aの略平行な辺部336a−1、336a−2は、ともに直線状をなし、Y1側にいくほどX2側になるように傾斜して形成されている。
これにより、帯状部334aと接続部334bと抵抗体本体部332とで囲まれた切欠部L1の開口角度、つまり、辺部334a−2と傾斜辺部332−1がなす角度や、帯状部336aと接続部336bと抵抗体本体部332とで囲まれた切欠部L2の開口角度、つまり、辺部336a−2と傾斜辺部332−2がなす角度は、実施例4のチップ抵抗器305に比べて、より大きく形成されている。よって、切欠部L1、L2の両側の間の放電のおそれをより小さくすることができる。なお、辺部334a−1、334a−2や辺部336a−1、336a−2のY1−Y2方向に対する傾斜角度としては、傾斜角度が大きくなると抵抗体の面積が小さくなってしまうため、10度以下とするのが好ましい。なお、帯状部334aや帯状部336aはY1−Y2方向に対して傾斜しているが、帯状部334aや帯状部336aにおける電極経路は、電極間方向に略直角な方向の電流経路といえる。
また、帯状部334a、336aが傾斜して形成されていることにより、帯状部334aと上面電極220とによって形成される切欠部L3も、開口側にいくに従い幅広になるように形成されることになり、よって、上面電極220と抵抗体330との間の放電、特に、上面電極220の角部K20と抵抗体330の角部K33との間の放電や、上面電極222の角部K20と抵抗体330の角部K35との間の放電のおそれを小さくすることができる。
なお、この実施例5のように抵抗体の帯状部を傾斜させる点は、実施例3のチップ抵抗器205に適用してもよく、また、実施例1のチップ抵抗器5や実施例2のチップ抵抗器105に適用してもよく、これにより、上面電極220と抵抗体330との間の放電のおそれを小さくすることができる。
次に、実施例6のチップ抵抗器について説明する。実施例6のチップ抵抗器505は、実施例5のチップ抵抗器405と略同様の構成であるが、図11に示すように、上面電極の構成が異なる。なお、図11は、チップ抵抗器505の平面図であるが、厳密には、保護膜と側面電極とメッキとを除いた状態の図であるといえる。
すなわち、上面電極220における上面電極本体部220aの抵抗体330と対向する辺部220−1が、電極間方向に直角の方向(Y1−Y2方向)に対して傾斜して形成されていて、該辺部220−1は直線状を呈し、Y1側にいくほどX1側になるように傾斜して形成されている。同様に、上面電極222における上面電極本体部222aの抵抗体330と対向する辺部222−1が、電極間方向に直角の方向(Y1−Y2方向)に対して傾斜して形成されていて、該辺部222−1は直線状を呈し、Y2側にいくほどX2側になるように傾斜して形成されている。つまり、上面電極220と上面電極222は、ともに、上面電極本体部の電極間方向の幅が、電極間方向と直角な方向で突出部形成側から反対側に向けて小さくなるように形成されているといえる。
これにより、帯状部334aと上面電極220とによって形成される切欠部L3の開口角度、つまり、辺部334a−1と辺部220−1がなす角度や、帯状部336aと上面電極222とによって形成される切欠部L4の開口角度、つまり、辺部336a−1と辺部222−1がなす角度は、実施例5のチップ抵抗器405に比べて、より大きく形成されている。よって、上面電極220、222と抵抗体330との間の放電、特に、上面電極220の角部K20と抵抗体330の角部K33との間の放電や、上面電極222の角部K20と抵抗体330の角部K35との間の放電をより防止することができる。
なお、この実施例6のように上面電極本体部の抵抗体と対向する辺部を傾斜させる点は、実施例3のチップ抵抗器205に適用してもよく、また、実施例1のチップ抵抗器5や実施例2のチップ抵抗器105に適用してもよく、これにより、上面電極220と抵抗体330との間の放電のおそれを小さくすることができる。
次に、実施例7のチップ抵抗器について説明する。実施例7のチップ抵抗器605は、実施例5のチップ抵抗器405と略同様の構成であるが、図12に示すように、上面電極の構成が異なる。なお、図12は、チップ抵抗器605の平面図であるが、厳密には、保護膜と側面電極とメッキとを除いた状態の図であるといえる。
つまり、上面電極320は、電極間方向に伸びた帯状を呈し、その両側側の先端にR面が形成されている。つまり、上面電極320は、方形状、特に、電極間方向に細長の長方形状を呈していて、その両側の先端の角部K21、K22にはR面が形成されている。この上面電極320は、絶縁基板10の平面視におけるX1−X2方向の中心線を跨ぐことなく該中心線よりもY2側に形成されている。
また、上面電極322は、上面電極320と点対称に形成されていて、電極間方向に伸びた帯状を呈し、その両側の先端の角部K21、K22にはR面が形成されている。以上のように、上面電極320、322は島状に形成されているといえる。
上面電極320、322を上記のように形成することにより、上面電極320、322には抵抗体330と対向する領域が存在せず、よって、抵抗体330と上面電極320、322間の放電を防止することが可能となる。
なお、この実施例7のように上面電極を島状に形成する点は、実施例3のチップ抵抗器205や実施例4のチップ抵抗器305に適用してもよく、また、実施例1のチップ抵抗器5や実施例2のチップ抵抗器105に適用してもよく、これにより、抵抗体330と上面電極320、322間の放電を防止することが可能となる。
なお、実施例7のチップ抵抗器に対して、実施例1〜実施例6のチップ抵抗器の場合には、上面電極本体部が形成されているので、側面電極との接続を確実に行うことができるといえる。
なお、上記各実施例において、抵抗体の抵抗体本体部におけるトリミングカーフ形成位置に図13に示すような凹部Uを形成するようにしてもよい。すなわち、図13は、実施例1のチップ抵抗器5における抵抗体30の抵抗体本体部32のトリミングカーフ形成位置、つまり、抵抗体本体部32におけるX1−X2方向の中心位置に凹部Uを形成した状態を示すものであるが、この凹部Uは、R面が形成された角部K40、K41と、該角部K40と角部K41間に形成された曲線状の窪み部K42により構成され、より具体的には、角部K40、K41は円弧状に形成されるとともに、窪み部K42も円弧状に形成されている。
そして、トリミングカーフTは、図13に示すように、この凹部UのX1−X2方向の中心位置から形成することにより、角部K40と角部K41にはR面が形成されているので、角部K40と角部K41間の放電のおそれを小さくすることができる。なお、トリミングカーフTを形成することにより、凹部Uとの間で角部K43、K44が形成されるが、角部K43の角度や角部K44の角度は直角よりは角度が大きく形成されるので放電が発生するおそれを小さくでき、また、仮にトリミングカーフTの形成位置がずれて該角度が直角に近くなった場合でも、角部K40と角部K41間に比べて、電位差は低くなるので、放電が発生するおそれを小さくすることができる。
また、凹部の形状を図14に示すようにしてもよい。つまり、図14に示す凹部U’は、R面が形成された角部K40、K41と、角部K40に連設された直線部H1と、角部K41に連設された直線部H2と、直線部H1と直線部H2間に形成された曲線状の窪み部K42により構成され、より具体的には、角部K40、K41は円弧状に形成されるとともに、窪み部K42も円弧状に形成されている。
そして、トリミングカーフTは、図14に示すように、この凹部U’のX1−X2方向の中心位置から形成することにより、角部K40と角部K41にはR面が形成されているので、角部K40と角部K41間の放電のおそれを小さくすることができる。なお、トリミングカーフTを形成することにより、凹部U’との間で角部K43、K44が形成されるが、角部K43の角度や角部K44の角度は直角よりは角度が大きく形成されるので放電が発生するおそれを小さくでき、また、仮にトリミングカーフTの形成位置がずれて該角度が直角に近くなった場合でも、角部K40と角部K41間に比べて、電位差は低くなるので、放電が発生するおそれを小さくすることができる。特に、図14に示す凹部U’の場合には、角部K43、K44が形成される位置が凹部Uに比べてより奥側となるので、角部K43と角部K44間の電位差はより小さくなり、放電が発生するおそれを小さくすることができる。
なお、図13、図14は、実施例1のチップ抵抗器5の抵抗体30に凹部を形成する場合の例であるが、上記の他の実施例におけるチップ抵抗器に適用してもよい。
また、上記各実施例の説明においては、抵抗体や上面電極の角部にR面が形成されているとして説明したが、R面の代わりにC面を形成してもよい。
また、上記各実施例において、抵抗体は、上面電極の上面に積層して形成されているものとして説明したが、上面電極が抵抗体の上面に積層して形成されている構成としてもよい。
また、上記各実施例において、上面電極は、絶縁基板の相対する短辺に沿って形成されているとして説明したが、相対する長辺に沿って形成したものであってもよい。
実施例1におけるチップ抵抗器の平面図である。
実施例1におけるチップ抵抗器の底面図である。
実施例1における断面図であり、特に、図1のA−A位置における断面図である。
実施例1におけるチップ抵抗器の要部拡大図である。
実施例1におけるチップ抵抗器の説明図である。
実施例2におけるチップ抵抗器の平面図である。
実施例3におけるチップ抵抗器の平面図である。
実施例3におけるチップ抵抗器の要部拡大図である。
実施例4におけるチップ抵抗器の平面図である。
実施例5におけるチップ抵抗器の平面図である。
実施例6におけるチップ抵抗器の平面図である。
実施例7におけるチップ抵抗器の平面図である。
抵抗体の形状の他の例を示す平面図である。
抵抗体の形状の他の例を示す平面図である。
従来におけるチップ抵抗器の構成を示す平面図である。
符号の説明
5、105、205、305、405、505、605、1005 チップ抵抗器
10 絶縁基板
20、22、220、222、320、322 上面電極
20a、22a、220a、222a 上面電極本体部
20b、22b、220b、222b 突出部
30、130、230、330 抵抗体
32、132、232、332 抵抗体本体部
34a、36a、134a、136a、234a、236a、334a、336a 帯状部
34b、36b、134b、136b、234b、236b、334b、336b 接続部
TR ターン領域
40 保護膜
60 側面電極
70 メッキ