JP2008305686A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の運転状態に関わらず、膜電極接合体の面内における荷重分布を均一とする。
【解決手段】燃料電池スタック10を定寸に締結する。燃料電池スタック10の運転中に、要求電流、温度,燃料ガスの供給圧力,酸化剤ガスの供給圧力を検出し、それら検出値から運転状態に対応した荷重分布を推定する。そうして、その荷重分布に基づいて、荷重管理層24に供給する加湿ガスを面内で制御することにより、MEA12の面内の荷重分布を均一化する。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池スタックを備えた燃料電池システムに関する。
燃料ガス(例えば、水素)と酸化剤ガス(例えば、酸素)との電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギ源として注目されている。この燃料電池には、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって発電する膜電極接合体を、複数積層させたスタック構造を有するものがある(以下、燃料電池スタックと呼ぶ)。このような燃料電池スタックでは、一般に、複数の膜電極接合体は、各膜電極接合体内、および、各膜電極接合体間の接触抵抗を低減したり、燃料電池スタック内に流れる流体(燃料ガス、酸化剤ガス、冷却水)の漏洩を防止したりするために、燃料電池スタックの両側から膜電極接合体の積層方向に締結部材によって締結される。
このような燃料電池スタックの締結構造の一つとして、締結部材による積層体への締結力を可変する制御装置を備える技術が提案されている(例えば、下記特許文献1)。さらに、下記特許文献2には、各膜電極接合体の間をつなぐセパレータの内部に面圧発生板を設けることによって、燃料電池スタックの内部から上記締結の圧力を得る技術が提案されている。
特開2004−253269号公報 特開平6−68898号公報
しかしながら、前記従来の技術のいずれであっても、前記膜電極接合体の表面積が大きくなると、燃料電池スタックの運転中に、膜電極接合体の面内における電流密度や温度や湿度の分布にバラツキが生じる。このために、燃料電池スタックの運転中に、膜電極接合体の面内における荷重分布が大きくばらつくという問題が発生した。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池スタックの運転中において、膜電極接合体の面内における荷重分布を均一化することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
燃料電池システムであって、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって発電する膜電極接合体を導電性のセパレータを介して複数積層し、該積層体を両側から定寸に締結した燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに前記燃料ガスと酸化剤ガスとを供給することによって前記燃料電池スタックを運転する運転手段と、前記運転手段による前記運転中に、前記膜電極接合体における面内の荷重分布を推定する荷重分布推定手段と、前記膜電極接合体の表面を複数の領域に分けて、各領域に対して個別に荷重を掛ける荷重付与手段と、前記荷重分布演推定手段により得られた荷重分布に基づいて前記荷重付与手段を制御して、前記膜電極接合体における面内の荷重分布の偏りを低減する分布偏り低減手段とを備える燃料電池システム。
以上のように構成された適用例1は、燃料電池スタックの運転中に、膜電極接合体の面内の荷重分布を推定し、その推定して得られた荷重分布に基づいて、膜電極接合体の表面に定められた複数の領域のそれぞれに対して個別に荷重を掛けることにより、前記面内の荷重分布の偏りを低減する。したがって、適用例1の燃料電池システムでは、燃料電池スタックの運転中において、その運転状態に応じて面内の荷重分布を均一化の方向に制御することができる。
[適用例2]
適用例1に記載の燃料電池システムであって、前記荷重分布推定手段は、前記運転手段による前記運転中に、前記膜電極接合体における面内の荷重分布に偏りを与え得る運転パラメータを検出するパラメータ検出手段と、前記検出された運転パラメータに基づいて、前記膜電極接合体についての面内の荷重分布を求める荷重分布演算手段とを備える燃料電池システム。
適用例2の構成によれば、燃料電池スタックにもともと設けられたセンサを用いて荷重分布を求めることができることから、構成が簡単にすむ。
[適用例3]
適用例2に記載の燃料電池システムであって、前記運転パラメータは、前記燃料電池スタックの要求電流、前記燃料電池スタックの温度、前記燃料ガスの供給圧力および前記酸化剤ガスの供給圧力のうちの少なくとも1つである、燃料電池システム。
適用例3の構成によれば、燃料電池スタックの要求電流が変化したとき、あるいは、燃料電池スタックの温度が変化したとき、あるいは、燃料ガスの供給圧力が変化したとき、あるいは酸化剤ガスの供給圧力が変化したときにも、膜電極接合体の面内の荷重分布を均一化の方向に制御することができる。
[適用例4]
適用例2または3に記載の燃料電池システムであって、前記荷重分布演算手段は、前記運転パラメータの各値から定まる運転状態毎に対応する荷重分布を定めたテーブルデータを予め記憶するメモリと、前記パラメータ検出手段により検出された前記運転パラメータを前記テーブルデータに照らし合わせることにより前記荷重分布を求める手段とを備える、燃料電池システム。
適用例4の構成によれば、パラメータ検出手段により検出された運転パラメータをテーブルデータに照合するといった簡単な構成により、面内の荷重分布を得ることができる。
[適用例5]
適用例1に記載の燃料電池システムであって、前記荷重分布推定手段は、前記運転手段による前記運転中に、前記膜電極接合体の面内における複数地点の荷重を検出する複数の荷重検出手段と、前記検出された各荷重に基づいて、前記膜電極接合体についての面内の荷重分布を求める荷重分布演算手段とを備える燃料電池システム。
適用例5の構成によれば、複数の荷重検出手段により検出された実測値から荷重分布を求めることができることから、荷重分布を高精度に求めることができることから、荷重分布の均一化の精度を高めることができる。
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれかに記載の燃料電池システムであって、前記荷重付与手段は、前記膜電極接合体と膜電極接合体の間に設けられ、水を含むと膨張する樹脂と導電性材料とを混合してなる水膨張層と、前記水膨張層の面に複数の領域を定めて、各領域に対して個別に加湿ガスを供給する加湿ガス供給手段とを備える、燃料電池システム。
適用例6の構成によれば、加湿ガス供給手段により、水膨張層の表面に定めた複数の領域のそれぞれに個別に加湿ガスの供給を行うことができることから、その供給量を領域毎に制御することで、水膨張層の表面に定めた複数の領域のそれぞれを個別に加湿することができる。加湿ガスを受けた水膨張層の各領域は膨張しようとするが、燃料電池スタックは定寸に締結された構造となっていることから、各領域個別に膜電極接合体の表面を積層方向に押圧する。したがって、この構成によれば、膜電極接合体に対する荷重を、積層方向に垂直な面の面内位置によって変化させることが可能となり、膜電極接合体の面内の荷重分布を変えることができる。
[適用例7]
適用例6に記載の燃料電池システムであって、前記加湿ガスは、前記酸化剤ガスの供給を受けるカソードから排出されるカソードオフガスである、燃料電池システム。
適用例7の構成によれば、カソードオフガスを加湿ガスとして有効利用することができる。このために新たに加湿ガスを作り出す必要もなく、エネルギ効率に優れている。
[適用例8]
適用例6または7に記載の燃料電池システムであって、前記水膨張層は、前記樹脂として電解質が用いられ、前記導電性材料としてカーボンが用いられ、前記カーボンの全体に占める濃度は40vol%である、燃料電池システム。
適用例8の構成によれば、水膨張層は、充分な導電性と、水を含んだときの充分な寸法変化とを併せ持つことができる。したがって、水膨張層として最適である。
[適用例9]
適用例1ないし5のいずれかに記載の燃料電池システムであって、前記荷重付与手段は、前記膜電極接合体と膜電極接合体の間に設けられ、前記各領域に対応して流通する複数の水流路と、各水流路の水圧を個別に制御する水圧制御手段とを備える、燃料電池システム。
適用例9の構成によれば、水圧制御手段により、複数の水流路の水圧を個別に制御することができることから、各水流路に対応した各領域に掛かる水圧を個別に制御することができる。したがって、膜電極接合体の面内の荷重分布を変えることが可能となる。
[適用例10]
適用例9に記載の燃料電池システムであって、前記水流路に流通させる水は、前記燃料電池スタックを冷却する冷却水である、燃料電池システム。
適用例9の構成によれば、既存の冷却水系を有効利用することができ、新たな水流路系を設置する必要がない。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A−1.燃料電池システムの全体構成:
A−2.ソフトウェアの構成:
A−3.作用・効果:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.他の実施形態:
A.第1実施例:
A−1.燃料電池システムの全体構成:
図1は、本発明の第1実施例を適用した燃料電池システム1の全体構成図である。図示するように、この燃料電池システム1は、燃料ガスとしての水素ガスと酸素を含む酸化剤ガスの供給を受けて電力を発生する燃料電池スタック10と、水素ガス源(図示せず)からの水素ガスをシステム内で流通させるための水素ガス流路系30と、酸化剤ガスとしてのエア(空気)を流通させるためのエア流路系40と、燃料電池スタック10の冷却用の冷却水を流通させるための冷却水系60と、燃料電池システム1の運転をコントロールする電子制御ユニット(以下、「ECU」と呼ぶ)70とを備えている。この燃料電池システム1は、車両の駆動モータ(図示せず)の供給電源として使用され、燃料電池スタック10で発生された電力を負荷である駆動モータ等に与えている。
図2は、燃料電池スタック10を構成する単セル10cの概略構成を示す説明図である。燃料電池スタック10は、多数の単セル10cが積層されたスタック構造を有するもので、図2では2つ分の単セル10cの縦断面が示されている。燃料電池スタック10の単セル10cは、主として、固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」と呼ぶ)13の両面に電極14,15が配置された膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、以下MEAという)12と、MEA12を両面から挟み込むセパレータ16,16とを備えている。
図3は、燃料電池スタック10の概略側面を示す説明図である。図示するように、燃料電池スタック10は、単セル10cを複数積層し、その両端に集電板90,90を配置し、さらにその外側に電気絶縁性を有する絶縁板92,92を配置している。さらに、両側からエンドプレート94,94で挟み、締め付けボルト96、皿バネ97および締め付けナット98を用いて、エンドプレート94に挟まれた積層体を締め付け、加圧しながら保持している。この結果、燃料電池スタック10は、多数の単セル10cを緊密に積層することで数百Vの直流電源となるとともに、単セル10cの積層体を両側から定寸に締結した構造となっている。
図2に戻って、各単セル10cに備えられるMEA12は、電解質膜13を二つの電極、つまり燃料極であるアノード14と酸素極であるカソード15とで挟みこんだものである。ここで、電解質膜13は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を有する固体高分子材料で作製された膜であり、具体的にはフッ素系樹脂により形成された膜(デュポン社製のナフィオン膜等)などが挙げられる。アノード14及びカソード15は、それぞれ触媒電極14a,15aとガス拡散電極14b,15bとによって構成されている。触媒電極14a,15aは、電解質膜13に接触する側に位置し、白金微粒子を担持させた導電性カーボンブラックにより形成されている。一方、ガス拡散電極14b,15bは、触媒電極14a,15aに積層され、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形成されている。なお、触媒電極14a,15aに含まれる白金は、水素をプロトンと電子に分けるのを促進したり酸素とプロトンと電子から水を生成する反応を促進する作用を有するものであるが、同様の作用を有するものであれば白金以外のものを用いてもよい。また、ガス拡散電極14b,15bは、カーボンクロスのほか、炭素繊維からなるカーボンペーパまたはカーボンフェルトによって形成してもよく、十分なガス拡散性および導電性を有していればよい。
セパレータ16は、冷却水路形成部層20と荷重管理層24と燃料流路形成層26とを備える。冷却水路形成部層20は、平板を山型に加工した第1の板部20aと平板を谷型に加工した第2の板部20bとを一体的に接合したもので、上記山型の部分と谷型の部分とにより、アノード14及びカソード15の各面に平行な方向に延びる断面六角形の単セル内冷却水流路21を形成する。なお、第1の板部20aの山型の部分はカソード15と接しており、この第1の板部20aとカソード15の表面との間の空間が、エアが通過する単セル内酸化剤ガス流路22となる。第2の板部20bの谷型の部分は、荷重管理層24と接しており、この第2の板部20bと荷重管理層24の表面との間の空間が、後述する加湿ガスが通過する単セル内加湿ガス流路25となる。各流路21,22,25は、図中において図面の厚さ方向にストレートに延びる流路である。
荷重管理層24は、水を含むと膨張する樹脂と導電性材料とを混合した材料により成型されたもので、平板形状をしている。荷重管理層24は、本発明の「水膨張層」に対応する。上記樹脂は、例えば電解質であり、フッ素系樹脂や炭化水素系イオン交換樹脂等が該当する。導電性材料は、カーボンやTi等の金属等が該当する。この実施例では、電解質としてフッ素系樹脂が用いられ、導電性材料としてカーボンが用いられている。浸透理論(パーコレーション理論)によると、カーボンの全体に占める濃度が15vol%を下回ると必要なだけの導電性が発揮されないことが知られている。一方、カーボン量が多すぎると、水を含んでも充分な寸法変化が得られない。この実施例では、カーボンの全体に占める濃度を、15〜60vol%、好ましくは40vol%とした。なお、水を含むと膨張する樹脂は電解質に限る必要もなく、PVA(ポリビニルアルコール)等の吸湿性樹脂等に換えることもできる。
荷重管理層24の表面には、前述したように、複数本の単セル内加湿ガス流路25が沿わして設けられている。単セル内加湿ガス流路25は、後述する加湿ガス流路系から加湿ガスの供給を受ける。加湿ガスは単セル内加湿ガス流路25を通過して、荷重管理層24の表面に送られる。加湿ガスを受けた荷重管理層24は膨張しようとするが、前述したように燃料電池スタック10は定寸に締結された構造となっていることから、単セル内を積層方向に押圧する。この実施例では、複数本の単セル内加湿ガス流路25は、MEA12の表面全体に対応しており、後述する構成によって、所定の本数毎のグループに区分けされ、グループ毎に流量を制御できる構成となっている。この構成により、荷重管理層24は、単セル内の積層方向のPR、換言すればMEA12に対する荷重を、単セル10cの積層方向に垂直な面の面内位置によって変化させることが可能となる。すなわち、MEA12についての面内の荷重分布を変えることができる。
燃料流路形成層26は、荷重管理層24における冷却水路形成部層20と反対側の面に接して設けられている。燃料流路形成層26は、カーボンや金属などの導電性材料で形成されたガス不透過な部材である。燃料流路形成層26の表面には、所定の凹凸形状が形成されており、アノード14との間で、水素ガスが通過する単セル内燃料ガス流路27が形成されている。
図1に戻って、水素ガス流路系30は、水素ガス源の放出口から燃料電池スタック10の水素ガス供給口に至る水素ガス供給管32と、燃料電池スタック10の水素ガス排出口に接続される水素ガス排出管34とを備える。前記燃料電池スタック10の水素ガス供給口および水素ガス排出口は、図示しないマニホルドホールを介して前述した単セル内燃料ガス流路27(図2)に接続されている。水素ガス供給管32は、水素調圧バルブV1と圧力センサP1を備える。水素ガス排出管34は、水素ポンプ36等を備える。
エア流路系40は、燃料電池スタック10の酸化剤ガス供給口に至るエア供給管42と、燃料電池スタック10の酸化剤ガス排出口に接続されるエア排出管44とを備える。前記酸化剤ガス供給口および酸化剤ガス排出口は、図示しないマニホルドホールを介して前述した単セル内酸化剤ガス流路22(図2)に接続されている。エア供給管42は、エアコンプレッサ46と圧力センサP2を備える。エア排出管44は、三方バルブV2を備える。
三方バルブV2の分岐口には、加湿ガス供給系50が接続されている。加湿ガス供給系50は、三方バルブV2の分岐口から燃料電池スタック10の加湿ガス供給口に至る加湿ガス供給管52と、燃料電池スタック10の加湿ガス排出口に接続される加湿ガス排出管54とを備える。加湿ガス供給管52は、途中3本の流路に分岐して燃料電池スタック10に接続される。なお、分岐された各流路52a,52b,52c(図4)はバルブV3〜V5を備える。また、加湿ガス排出管54は、燃料電池スタック10に接続される3本の流路54a,54b,54c(図4)を1本に集合したもので、上記3本の流路のそれぞれはバルブV6〜V8を備える。加湿ガス供給系50を流れる加湿ガスは、三方バルブV2により分配されたエア排出管44を流れるガス、すなわちカソード15から排出されるカソードオフガスである。
図4は、燃料電池スタック10に対する加湿ガス供給系50の接続の様子を示す説明図である。この図は、燃料電池スタック10の内部を積層方向に見た図である。なお、この図のA−A断面の一部が図2に該当する。
図示するように、燃料電池スタック10は、MEA12と一体的に形成されるガスケット102を備える。ガスケット102は、枠形状であり、その内側にMEA12が設けられている。MEA12の表面には、長手方向にほぼ等しく3つの領域が定められており、各領域の積層方向の上方には、複数本(図示の例では5本)の単セル内加湿ガス流路25の集合がそれぞれ設けられている。図中、右側の5本の集合を第1の単セル内加湿ガス流路群25A、中央の5本の集合を第2の単セル内加湿ガス流路群25B、左側の5本の集合を第3の単セル内加湿ガス流路群25Cとそれぞれ呼ぶものとする。なお、前述したように実際には、MEA12と単セル内加湿ガス流路25との間には、荷重管理層24と燃料流路形成層26とが存在するが、図4においては、MEA12に対する単セル内加湿ガス流路25の位置関係を示しているだけで、荷重管理層24と燃料流路形成層26は図示を省略した。
第1の単セル内加湿ガス流路群25Aの各流路の一方側の端部は加湿ガス供給管52の第1の分岐流路52aに接続され、前記各流路の他方側の端部は加湿ガス排出管54の第1の流路54aに接続されている。第2の単セル内加湿ガス流路群25Bの各流路の一方側の端部は加湿ガス供給管52の第2の分岐流路52bに接続され、前記各流路の他方側の端部は加湿ガス排出管54の第2の流路54bに接続されている。第3の単セル内加湿ガス流路群25Cの各流路の一方側の端部は加湿ガス供給管52の第3の分岐流路52cに接続され、前記各流路の他方側の端部は加湿ガス排出管54の第3の流路54cに接続されている。各分岐流路52a,52b,52cには前述したバルブV3〜V5が設けられ、各流路54a,54b,54cには前述したバルブV6〜V8が設けられていることから、バルブV3とV6の組、バルブV4とV7の組、バルブV5とV8の組を個別に調整することで、第1ないし第3の単セル内加湿ガス流路群25A,25B,25Cのそれぞれの単位で、単セル内加湿ガス流路25に流れる加湿ガスの流量を制御することができる。
なお、ガスケット102には、セル間酸化剤ガス通路を構成する第1および第2の長孔104,105と、セル間燃料ガス通路を構成する第3および第4の孔106,107と、セル間冷却水通路を構成する第5および第6の長孔108,109とが形成されている。第1および第2の長孔104,105のうちの図中右上にある第1の長孔104が流入口で、図中左下にある第2の長孔105が流出口であることから、酸化剤ガスは図中矢印R1に示すように右上から左下に向かう方向に流れる。一方、第3および第4の長孔106,107のうちの図中左上にある第3の長孔106が流入口で、図中右下にある第4の長孔107が流出口であることから、燃料ガスは図中矢印R2に示すように左上から右下に向かう方向に流れる。したがって、本実施例の燃料電池スタック10では、燃料ガスと酸化剤ガスとの流れ方向が互いに対向する、いわゆる対向流型の流入方式となっている。
以上詳述してきた水素ガス流路系30およびエア流路系40の構成、セル間燃料ガス通路およびセル間酸化剤ガス通路の構成、単セル内燃料ガス流路27および単セル内酸化剤ガス流路22の構成によって、燃料電池スタック10の各MEA12に対して水素ガスの給排とエアの給排が行われる。各MEA12は、水素ガスとエアの供給を受けると、電気化学反応(電池反応)によって発電を行う。
図1に戻って、冷却水系60は、燃料電池スタック10に形成された単セル内冷却水流路21を通過するように形成された冷却水循環用配管62と、ラジエータ64と、冷却水ポンプ66とを備えている。冷却水ポンプ66を駆動することで、単セル内冷却水流路21内で冷却水を循環させることができる。燃料電池スタック10では、電気化学反応の進行と共に熱が生じるため、発電中は、燃料電池スタック10内に冷却水を循環させ、この冷却水をラジエータ64で冷却することによって、燃料電池スタック10の内部温度を所定の範囲内に保つ。なお、冷却水循環用配管62における燃料電池スタック10よりも下流側には、冷却水の温度を検出する温度センサT1が設けられている。
前述した水素ポンプ36、水素調圧バルブV1、エアコンプレッサ46、三方バルブV2、バルブV3〜V8、冷却水ポンプ66、圧力センサP1,P2および温度センサT1等は、ECU70と電気的に接続されている。ECU70は、CPU、ROM、RAM(図示せず)等を備えた周知のマイクロコンピュータによって構成される。ROMには、各種のコンピュータプログラムや後述するマップデータが予め格納されている。CPUは、RAMをワークエリアとして用いて前記コンピュータプログラムを実行することにより、前記電気的に接続された各パーツの動作タイミングを制御する。
A−2.ソフトウェアの構成:
詳細には、ECU70は、CPUによって、前記コンピュータプログラムを実行することにより、(i)負荷要求に応じて(すなわち、要求電流に応じて)水素ガスおよびエアの量を調節して燃料電池スタック10の運転を制御する運転制御と、(ii)燃料電池スタック10の運転中に、加湿ガスの量を調整してMEA12の面内の荷重分布を均一化する荷重分布制御、等を行なう。上記運転制御については、周知の構成であることから、詳細な説明はここでは省略する。上記荷重分布制御について、以下に詳述する。
図5は、ECU70により実行される荷重分布制御処理を示すフローチャートである。この処理は、上記運転制御の実行時に所定時間毎(例えば、100[ms]毎)の割り込みにて実行される。
図5に示すように、処理が開始されると、ECU70のCPUは、まず、燃料電池スタック10に対する負荷要求を示す要求電流Lを演算する処理を行う(ステップS100)。この演算処理は例えば次のようにして行なう。図示しないアクセル開度センサからセンサ信号を読み込むことで現在のアクセル開度を検出し、そのアクセル開度から駆動モータにて目標とする駆動トルクを算出し、この目標駆動トルクを駆動モータにて発生するために必要となる消費電流を要求電流Lとして求める。なお、駆動モータ以外に負荷となりうる補機があるような場合にはその補機の動作に必要な消費電流も足し併せて要求電流として演算する。
次いで、CPUは、温度センサT1、圧力センサP1,P2の各検出値(温度St,ガス圧力Sp1,Sp2)を取り込む(ステップS110)。続いて、CPUは、ステップS100で求めた要求電流Lと、ステップS110で取り込んだ温度St,ガス圧力Sp1,Sp2とをROMに記憶した後述するテーブルデータに照合して、荷重分布を推定する処理を行う(ステップS120)。
図6は、前述した対向流型の単セルにおける電流分布の一例を示す説明図である。前述した単セル10cを車両に乗せない状態で、1.0[A/cm2]の要求電流でもって運転させたときの面内の電流分布(電流密度分布)を実験的に測定したものが、図示のものである。ここで「面内」とは、MEA12についての面内であり、以下同様に、単に面内という場合はMEA12についての面内である。図中の矩形Gは、図4におけるガスケット102の内側部分(以下、発電領域と呼ぶ)に相当し、ハッチングの濃度が濃い部分ほど電流密度が大きい。図示するように、前述した対向流型の単セル10cにおいて、面内の電流分布が、図中左右方向の外側付近(すなわち、セル間酸化剤ガス通路やセル間燃料ガス通路付近で)では1.0[A/cm2]と小さく、図中左右方向の中央付近では1.5[A/cm2]と大きい。このように、対向流型の単セルにおいては電流分布にバラツキが生じることはよく知られている。
上記単セルの面内の電流分布は、要求電流の値だけではなく、単セルの温度や、単セルに供給される燃料ガスと酸化剤ガスの各圧力によっても変化することが知られている。すなわち、面内の荷重分布に偏りを与え得る運転パラメータとして、要求電流、単セルの温度、燃料ガス圧力、酸化剤ガス圧力がある。このため、詳細には、前述した単セル10cを車両に乗せない状態で、上記運転パラメータの少なくとも1つを順に変化させて、それぞれのときの電流分布を予め測定しておく。そして、それら測定された各電流分布から各荷重分布を推定して、その推定した各荷重分布を、対応する運転状態、すなわち要求電流、単セルの温度、燃料ガス圧力、酸化剤ガス圧力の各値ととともに記憶するテーブルデータを作成する。
図7は、上記推定した荷重分布の一例を示すグラフである。このグラフは、上記運転パラメータのそれぞれの値から定まる一の運転状態のときのもので、図6の電流分布に対応したものである。図7におけるグラフの横軸は発電領域Gの長手方向Xの位置を示し、セル間酸化剤ガス通路の流入口104側が横軸の左側に、セル間酸化剤ガス通路の流出口105側が横軸の右側に対応している(つまり、図6と図7とは左右方向が反転している)。作業者は、図6に示した電流分布の測定結果から、発電領域Gの長手方向Xの各位置における短手方向Yの各位置の荷重値を順に積算し、その積算値を図7の縦軸の荷重値として順にプロットしていく。その結果が図7に例示したグラフである。
作業者は、上記グラフを、要求電流、単セルの温度、燃料ガス圧力、酸化剤ガス圧力の各値を順に変化させて測定した電流分布毎に作成する。そうして、作業者は、各グラフを、対応する要求電流、単セルの温度、燃料ガス圧力、酸化剤ガス圧力の各値に対応させてECU70のROMに格納する。なお、上記説明では、電流分布を測定して電流分布から荷重分布を求めていたが、これに換えて、温度分布または抵抗(膜含水)分布を測定してその分布から荷重分布を求める構成としてもよい。
図8は、ROMに格納されるテーブルデータTBL等を示す説明図である。図示するように、ROMには、テーブルデータTBLと複数のグラフデータGDが格納されている。テーブルデータTBLは、要求電流、単セルの温度、燃料ガス圧力、酸化剤ガス圧力の各項目F1,F2,F3,F4と、グラフデータGDの格納位置を示す(リンクされた)項目F5とにより構成される1レコードを複数備える。グラフデータGDは、図7に例示した荷重分布のグラフを示すデータであり、リンク元のレコードが示す運転条件によって得られた電流分布に基づいて作成されたものである。
図5におけるステップS120では、詳細には、ECU70のCPUは、ステップS100で求めた要求電流LとステップS110で取り込んだ温度St,ガス圧力Sp1,Sp2とを上記テーブルデータTBLに照合して、各値L,St,Sp1,Sp2から定まる運転状態に対応したグラフデータGDをリンクをたどって読み出すことにより、荷重分布のデータを得る。
その後、CPUは、ステップS120で得られた荷重分布に基づいてバルブV3〜V8を制御することにより、面内における荷重分布の偏りを低減する処理を行う(ステップS130)。図4を用いて前述したように、本実施例では、第1ないし第3の単セル内加湿ガス流路群25A,25B,25Cのそれぞれの単位で、単セル内加湿ガス流路25に流れる加湿ガスの流量を制御することができる。そこで、ステップS130では、詳細には次の工程によって処理を行っている。
まず、ステップS120で得られた荷重分布を、図9に示すように、長手方向Xにおいて3等分した3つの区間AR1,AR2,AR3に分けて、区間AR1,AR2,AR3毎に平均値AV1,AV2,AV3を求める。次いで、各平均値AV1,AV2,AV3の和を値3で割ることにより総平均値AV0を求める。続いて、第1の区間AR1の平均値AV1と総平均値AV0との偏差に基づいて、第1の単セル内加湿ガス流路群25Aに対応するバルブV3とV6の開度を調整し、第2の区間AR2の平均値AV2と総平均値A0との偏差に基づいて、第2の単セル内加湿ガス流路群25Bに対応するバルブV4とV7の開度を調整し、第3の区間AR3の平均値AV3と総平均値A0との偏差に基づいて、第3の単セル内加湿ガス流路群25Cに対応するバルブV5とV8の開度を調整することにより、第1ないし第3の区間AR1〜AR3のそれぞれに掛かる荷重分布の平均値を総平均値AV0に調整する。なお、このバルブV3〜V8の制御時には、エア排出管44に設けた三方バルブV2は、加湿ガス供給管52側に連通するモードに予め切り替えられているものとする。
ステップS130の実行後、「リターン」に抜けて、この荷重分布制御処理を一旦終了する。この荷重分布制御処理における上記ステップS120の処理が本発明の「荷重分布推定手段」に対応し、上記ステップS130の処理が本発明の「分布偏り低減手段」に対応する。
A−3.作用・効果:
以上詳述したように、本実施例の燃料電池システム1によれば、燃料電池スタック10の運転中に、要求電流L、燃料電池スタック10の温度St,燃料電池スタック10への燃料ガスの供給圧力Sp1,酸化剤ガスの供給圧力Sp2を検出し、それら値L,St,Sp1,Sp2をテーブルデータTBLに照合することにより、各値L,St,Sp1,Sp2から定まる運転状態に対応した荷重分布を求める。そうして、その求めた荷重分布に基づいて、第1ないし第3の単セル内加湿ガス流路群25A,25B,25Cのそれぞれに供給する加湿ガスの流量を制御することにより、MEA12の面内の荷重分布の偏りを低減する。
したがって、燃料電池システム1では、燃料電池スタック10の運転状態がどのように変化したとしても、その運転状態に応じて常に面内の荷重分布を均一化の方向に制御することができるという効果を奏する。面内の荷重分布が均一化されると、面内分布のバラツキに起因する耐久性の悪化、発電性能の低下といった問題を解消することができる。
また、本実施例の燃料電池システム1によれば、MEA12とMEA12との間に荷重管理層24を設け、荷重管理層24を水膨張させるためのガスとしてカソードオフガスを利用するよう構成していることから、カソードオフガスを有効利用して荷重管理を行うことができる。このために新たに加湿ガスを作り出す必要もなく、エネルギ効率に優れている。
B.第2実施例:
本発明の第2実施例について次に説明する。この第2実施例は、第1実施例と比較して、面内の荷重分布を変化させる構成が相違するだけであり、その他の構成については同一である。
図10は、本発明の第2実施例における燃料電池スタック210の単セル210cの概略構成を示す説明図である。単セル210cは、第1実施例の単セルと比較して、MEA212とMEA212との間に設けられるセパレータ216の構成が相違し、MEA212については同一である。
セパレータ216は、平板を山型に加工した第1の板部216aと平板を谷型に加工した第2の板部216bとを一体的に接合したもので、上記山型の部分と谷型の部分とにより、アノード214及びカソード215の各面に平行な方向にストレートに延びる断面六角形の単セル内冷却水流路221を形成する。第1の板部216aの山型の部分はカソード215と接しており、この第1の板部216aとカソード215の表面との間の空間が、エアが通過する単セル内酸化剤ガス流路222となる。第2の板部216bの山型の部分はアノード214と接しており、この第2の板部216bとアノード214の表面との間の空間が、水素ガスが通過する単セル内燃料ガス流路227となる。
本実施例では、単セル内冷却水流路221の水圧を制御することにより、MEA212に対する積層方向の押圧力PR2が調整される。詳細には、複数本の単セル内冷却水流路221は、MEA212の表面全体に対応しており、第1実施例の単セル内加湿ガス流路25と同様に、所定の本数毎のグループに区分けされ、グループ毎に圧力(流量)を制御できる構成となっている。この構成により、単セル内冷却水流路221は、MEA212に対する荷重を、単セルの積層方向に垂直な面の面内位置によって変化させることが可能となる。すなわち、MEA212についての面内の荷重分布を変えることができる。
図11は、第2実施例の燃料電池システム201の全体構成図である。図示において、第1実施例の図1と比較して、エア排出管44には三方バルブV2がなく、三方バルブV2に接続される加湿ガス供給系50も備えられていない点が相違する。冷却水系160は、第1実施例の冷却水系60と同様に、冷却水循環用配管162、ラジエータ164、冷却水ポンプ166および温度センサT11とを備えている。冷却水循環用配管162における燃料電池スタック210の上流側、下流側はともに3本の流路に分岐しており、単セル内冷却水流路121のそれぞれの上記グループと個別に接続されている。燃料電池スタック210よりも上流側の3本の流路のそれぞれにはバルブV21〜V23が設けられている。バルブV21〜V23の開度をECU270により調整することにより、上記単セル内冷却水流路121の各グループへ供給する冷却水の流量、すなわち、単セル内冷却水流路121の水圧を上記グループ単位で制御することができる。
この第2実施例のECU270は、第1実施例のECU70と同様に、運転制御と荷重分布制御を行う。運転制御は第1実施例と同一である。荷重分布制御については、図5のステップS130で、荷重分布の偏りの低減をバルブV21〜V23の制御により行っている点が相違するだけで、その他のステップについては同一である。
以上のように構成された第2実施例によれば、第1実施例と同様に、燃料電池スタック210の運転状態がどのように変化したとしても、その運転状態に応じて常に面内の荷重分布を均一化の方向に制御することができるという効果を奏する。
C.第3実施例:
本発明の第3実施例について次に説明する。この第3実施例は、第1実施例と比較して、ハードウェアにおいては、燃料電池スタック310が荷重センサを備える点だけが相違し、その他の構成については同一である。
図12は、第3実施例における燃料電池スタック310の概略側面を示す説明図である。図示するように、燃料電池スタック310は、第1実施例と同様のものであり、一方側の絶縁板92とエンドプレート94の間に複数(例えば2つであってもよいし、3つであってもよいし、3以上であってもよい)の荷重センサ320が設けられている。荷重センサ320は、単セル10cの積層方向の押圧力を測定するものであり、図中、上下方向に一列に複数設けられている。なお、荷重センサ320は、絶縁板92の表面の凹凸を検出する歪センサに換えることができる。荷重センサ320は、ECUと電気的に接続されている。
図13は、ECUにより実行される荷重分布制御処理を示すフローチャートである。この処理は、運転制御の実行時に所定時間毎(例えば、100[ms]毎)の割り込みにて実行される。
図13に示すように、処理が開始されると、ECUのCPUは、まず、複数の荷重センサ320の各検出値(荷重Sw1〜Swi(ここで、iは荷重センサ320の個数である))を取り込む(ステップS410)。続いて、CPUは、ステップS310で取り込んだ荷重Sw1〜Swiに基づいて荷重分布を推定する処理を行う(ステップS420)。ここでは、第1実施例の図7で例示したものと同様な荷重分布を表すデータを得る。その後、CPUは、第1実施例のステップS130と同様にして、ステップS420で得られた荷重分布に基づいてバルブV3〜V8を制御することにより、面内における荷重分布の偏りを低減する処理を行う(ステップS430)。
以上のように構成された第3実施例によれば、第1実施例と同様に、燃料電池スタック310の運転状態がどのように変化したとしても、その運転状態に応じて常に面内の荷重分布を均一化の方向に制御することができるという効果を奏する。特にこの実施例では、荷重センサ320により燃料電池スタック310の面内に掛かる荷重を実測して、その実測した荷重から荷重分布を推定していることから、その推定結果は高精度となる。したがって、第1実施例と比較して面内の荷重分布をより高精度に均一化することができる。なお、第1実施例や第2実施例は、荷重センサが不要であることから、この第3実施例に比べて構成が容易である。
この第3実施例は、第1実施例において荷重センサを使用する構成を適用したものであるが、これに換えて、第2実施例において荷重センサを使用する構成を適用したものとしてもよい。
D.他の実施形態:
なお、この発明は上記の第1ないし第3実施例やその変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能であり、例えば次のような他の実施形態も可能である。
(1)前記第1および第2実施例では、面内の荷重分布に偏りを与え得る運転パラメータとして、要求電流、単セルの温度、燃料ガス圧力、酸化剤ガス圧力を用いていたが、これに換えて、これら4つのパラメータから選択された1または複数のパラメータを用いた構成としてもよい。また、これら4つのパラメータに限る必要もなく、面内の荷重分布に偏りを与え得る運転パラメータであればどのようなものであってもよい。
(2)前記第1ないし第3実施例では、MEAの表面を3つの領域に分けて、3つの領域のそれぞれに対して個別に荷重を制御していたが、これに換えて、2つあるいは4つ以上に分けて個別に制御してもよい。また、領域の分け方は長手方向である1次元の方向に分けていたが、これに換えて、長手方向に例えば2つ、短手方向に例えば2つというように2次元の方向に領域をわかる構成としてもよい。
(3)前記第1実施例では、荷重管理層24を水膨張させるためのガスとしてカソードオフガスを利用するよう構成していたが、必ずしもカソードオフガスを利用する必要もなく、別途、加湿ガスの供給系を用意する構成としてもよい。前記第2実施例では、セパレータ216に設けた単セル内冷却水流路221を荷重分布変更のための水流路としていたが、これに換えて、MEA212とMEA212との間に別途、水流路を設ける構成としてもよい。
(4)前記第1実施例ないし第3実施例では、燃料電池スタックは燃料ガスと酸化剤ガスとの流れ方向が互いに対向する対向流型の流入方式となっていたが、これに換えて、燃料ガスと酸化剤ガスとの流れ方向が平行となる平行流型の流入方式としてもよく、どのような流入方式であってもよい。
(5)前記各実施例では、燃料電池スタックは固体高分子型燃料電池としたが、固体酸化物型燃料電池やリン酸型燃料電池等、異なる種類の燃料電池に適用することも可能である。また、前記各実施例では、燃料電池システムを車両に搭載する場合について説明したが、これに替えて、船舶、航空機などの他の交通手段や、その他各種産業機械などに搭載することも可能である。
本発明の第1実施例を適用した燃料電池システム1の全体構成図である。 燃料電池スタック10を構成する単セル10cの概略構成を示す説明図である。 燃料電池スタック10の概略側面を示す説明図である。 燃料電池スタック10に対する加湿ガス供給系50の接続の様子を示す説明図である。 ECU70により実行される荷重分布制御処理を示すフローチャートである。 対向流型の単セルにおける電流分布の一例を示す説明図である。 ステップS120で推定した荷重分布の一例を示すグラフである。 ROMに格納されるテーブルデータTBL等を示す説明図である。 荷重分布を均一化する処理を説明するためのグラフである。 本発明の第2実施例における燃料電池スタック210の単セル210cの概略構成を示す説明図である。 第2実施例の燃料電池システム201の全体構成図である。 第3実施例における燃料電池スタック10を荷重センサ320とともに示す説明図である。 ECUにより実行される荷重分布制御処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1…燃料電池システム
10…燃料電池スタック
10c…単セル
13…電解質膜
14…アノード
15…カソード
14a,15a…触媒電極
14b,15b…ガス拡散電極
16…セパレータ
20…冷却水路形成部層
20a…第1の板部
20b…第2の板部
21…単セル内冷却水流路
22…単セル内酸化剤ガス流路
24…荷重管理層
25…単セル内加湿ガス流路
25A…第1の単セル内加湿ガス流路群
25B…第2の単セル内加湿ガス流路群
25C…第3の単セル内加湿ガス流路群
26…燃料流路形成層
27…単セル内燃料ガス流路
30…水素ガス流路系
32…水素ガス供給管
34…水素ガス排出管
36…水素ポンプ
40…エア流路系
42…エア供給管
44…エア排出管
46…エアコンプレッサ
50…加湿ガス供給系
52…加湿ガス供給管
52a…第1の分岐流路
52b…第2の分岐流路
52c…第3の分岐流路
54…加湿ガス排出管
60…冷却水系
62…冷却水循環用配管
64…ラジエータ
66…冷却水ポンプ
70…ECU
90…集電板
92…絶縁板
94…エンドプレート
96…ボルト
97…皿バネ
98…ナット
102…ガスケット
104…第1の長孔
105…第2の長孔
106…第3の長孔
107…第4の長孔
108…第6の長孔
121…単セル内冷却水流路
160…冷却水系
162…冷却水循環用配管
164…ラジエータ
166…冷却水ポンプ
201…燃料電池システム
210…燃料電池スタック
210c…単セル
214…アノード
215…カソード
216…セパレータ
216a…第1の板部
216b…第2の板部
221…単セル内冷却水流路
222…単セル内酸化剤ガス流路
227…単セル内燃料ガス流路
270…ECU
310…燃料電池スタック
320…荷重センサ
V1…水素調圧バルブ
V2…三方バルブ
V3〜V8…バルブ
P1,P2…圧力センサ
T1…温度センサ
V2…三方バルブ
V21〜V23…バルブ
L…要求電流
St…温度
Sp1、Sp2…ガス圧力
TBL…テーブルデータ

Claims (10)

  1. 燃料電池システムであって、
    燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって発電する膜電極接合体を導電性のセパレータを介して複数積層し、該積層体を両側から定寸に締結した燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックに前記燃料ガスと酸化剤ガスとを供給することによって前記燃料電池スタックを運転する運転手段と、
    前記運転手段による前記運転中に、前記膜電極接合体における面内の荷重分布を推定する荷重分布推定手段と、
    前記膜電極接合体の表面を複数の領域に分けて、各領域に対して個別に荷重を掛ける荷重付与手段と、
    前記荷重分布演推定手段により得られた荷重分布に基づいて前記荷重付与手段を制御して、前記膜電極接合体における面内の荷重分布の偏りを低減する分布偏り低減手段と
    を備える燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記荷重分布推定手段は、
    前記運転手段による前記運転中に、前記膜電極接合体における面内の荷重分布に偏りを与え得る運転パラメータを検出するパラメータ検出手段と、
    前記検出された運転パラメータに基づいて、前記膜電極接合体についての面内の荷重分布を求める荷重分布演算手段と
    を備える燃料電池システム。
  3. 請求項2に記載の燃料電池システムであって、
    前記運転パラメータは、前記燃料電池スタックの要求電流、前記燃料電池スタックの温度、前記燃料ガスの供給圧力および前記酸化剤ガスの供給圧力のうちの少なくとも1つである、燃料電池システム。
  4. 請求項2または3に記載の燃料電池システムであって、
    前記荷重分布演算手段は、
    前記運転パラメータの各値から定まる運転状態毎に対応する荷重分布を定めたテーブルデータを予め記憶するメモリと、
    前記パラメータ検出手段により検出された前記運転パラメータを前記テーブルデータに照らし合わせることにより前記荷重分布を求める手段と
    を備える、燃料電池システム。
  5. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記荷重分布推定手段は、
    前記運転手段による前記運転中に、前記膜電極接合体の面内における複数地点の荷重を検出する複数の荷重検出手段と、
    前記検出された各荷重に基づいて、前記膜電極接合体についての面内の荷重分布を求める荷重分布演算手段と
    を備える燃料電池システム。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記荷重付与手段は、
    前記膜電極接合体と膜電極接合体の間に設けられ、水を含むと膨張する樹脂と導電性材料とを混合してなる水膨張層と、
    前記水膨張層の面に複数の領域を定めて、各領域に対して個別に加湿ガスを供給する加湿ガス制御手段と
    を備える、燃料電池システム。
  7. 請求項6に記載の燃料電池システムであって、
    前記加湿ガスは、前記酸化剤ガスの供給を受けるカソードから排出されるカソードオフガスである、燃料電池システム。
  8. 請求項6または7に記載の燃料電池システムであって、
    前記水膨張層は、前記樹脂として電解質が用いられ、前記導電性材料としてカーボンが用いられ、
    前記カーボンの全体に占める濃度は40vol%である、燃料電池システム。
  9. 請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記荷重付与手段は、
    前記膜電極接合体と膜電極接合体の間に設けられ、前記各領域に対応して流通する複数の水流路と、
    各水流路の水圧を個別に制御する水圧制御手段と
    を備える、燃料電池システム。
  10. 請求項9に記載の燃料電池システムであって、
    前記水流路に流通させる水は、前記燃料電池スタックを冷却する冷却水である、燃料電池システム。
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