JP2004200132A - 燃料電池スタック - Google Patents
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Abstract
【課題】積層した複数の単位電池への燃料ガス,酸化剤ガスまたは冷却媒体の分配性を均一化する。
【解決手段】電解質膜7をアノード側電極9とカソード側電極11とで挟んで単位電池(MEA)13を構成し、MEA13の両側にセパレータ15,17を配置する。これらMEA13およびセパレータ15,17を貫通する燃料ガス分配流路63を形成する。MEA13の上流側に位置するセパレータ15の燃料ガス分配流路63を形成する連通孔15aの内壁の上流側角部に面取部67を形成し、同下流側角部には面取部67より大きな面取部69を形成する。これにより、セパレータ15の連通孔15aにおける下流側の流路断面積が同上流側の流路断面積より大きくなり、MEA13への燃料ガスの流入特性が向上する。
【選択図】 図4
【解決手段】電解質膜7をアノード側電極9とカソード側電極11とで挟んで単位電池(MEA)13を構成し、MEA13の両側にセパレータ15,17を配置する。これらMEA13およびセパレータ15,17を貫通する燃料ガス分配流路63を形成する。MEA13の上流側に位置するセパレータ15の燃料ガス分配流路63を形成する連通孔15aの内壁の上流側角部に面取部67を形成し、同下流側角部には面取部67より大きな面取部69を形成する。これにより、セパレータ15の連通孔15aにおける下流側の流路断面積が同上流側の流路断面積より大きくなり、MEA13への燃料ガスの流入特性が向上する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電解質膜をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで単位電池を構成し、この単位電池を、セパレータを介して複数積層して構成した燃料電池スタックに関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質型燃料電池は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)の両側に、アノード側電極およびカソード側電極をそれぞれ配置して構成した単位電池を、セパレータによって挟持することにより構成している。
【0003】
このような固体高分子電解質型燃料電池は、通常、上記した単位電池およびセパレータを複数積層することにより、燃料電池スタックとして使用する。
【0004】
上記した燃料電池スタックにおいて、アノード側電極に供給した燃料ガス(水素含有ガス)は、アノード側電極上で水素イオン化され、適度に加湿された高分子イオン交換膜を介してカソード側電極へと移動する。このとき、アノード側電極に生じた電子を外部回路に取り出し、直流の電気エネルギとして利用する。
【0005】
一方、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスあるいは空気を供給し、前記アノード側電極から移動した水素イオン、前記電子および酸素ガスが反応して水を生成する。
【0006】
ところで、燃料電池スタックは、上記したように複数の単位電池をセパレータを介して積層しており、この燃料電池スタック内には、各単位電池に、燃料ガス,酸化剤ガスおよび冷却媒体を供給するための分配流路を、複数の単位電池を一体的に貫通して形成している。
【0007】
その際、燃料電池を効率よく運転するには、各単位電池に燃料ガスなどの流体を均等に供給する必要がある。
【0008】
そこで、例えば、特許文献1には、燃料電池スタック内における燃料ガスの各単位電池への分配流路に整流部材を設けている。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−213044号公報
また、特許文献2には、燃料電池スタック内における燃料ガスの各単位電池への分配流路に、複数の単位電池に跨って整流用の楔部材を挿入している。
【0010】
【特許文献2】
特開2000−149977号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した整流部材や整流用の楔部材を使用しても、各単位電池への流体の分配性の均一化は不充分である。
【0012】
なぜなら、燃料電池スタックでは、単位電池を複数積層しているため、分配流路内では、複数のセパレータ相互で燃料ガスの流れ方向に沿って段差が生じてしまい、したがって、各単位電池への燃料ガス入口にも段差が生じ、燃料ガスの分配性に不均一性が生じる。
【0013】
そこで、この発明は、各単位電池への燃料ガス,酸化剤ガスまたは冷却媒体の少なくとも一つの流体の分配性を均一化することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明は、電解質膜をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで単位電池を構成し、この単位電池を、セパレータを介して複数積層して構成した燃料電池スタックにおいて、前記各単位電池へ、燃料ガス,酸化剤ガスまたは冷却媒体の少なくともいずれか一つの流体を分配供給する分配流路を、前記積層方向に沿って設け、前記分配流路における前記セパレータの前記単位電池へ通じる入口部分の内壁に、前記分配流路に対する凹部となる切欠を設けた構成としてある。
【0015】
【発明の効果】
この発明によれば、分配流路におけるセパレータの単位電池へ通じる入口部分の内壁に、分配流路に対する凹部となる切欠を設けたので、この切欠を経て各単位電池への流体の流入が容易となり、流体の各単位電池への分配性が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0017】
まず、この発明の全実施形態にわたって共通するか、または類似する部分の基本となる構成および作用を、図1〜3を用いて説明する。この発明に係わる燃料電池は、固体高分子電解質型燃料電池(以下、単に燃料電池とする。)であり、例えば燃料電池自動車に搭載する。ただし、自動車以外に用いてもよい。
【0018】
図1は燃料電池スタックの全体を示す斜視図である。この燃料電池スタックは、1V程度の起電力を生じる単位電池1を、複数積層して積層体3を形成する。この積層体3を構成する複数の単位電池1は、それぞれが燃料電池として機能する。そして、この燃料電池スタックは、後述するが、四隅に配置して内部を貫通する図示しないテンションロッドなどを用いて締結する。なお、ここでテンションロッドの本数は4本(四隅)とは限らず、所望の締結力が確保できる仕様であるならばその限りではない。
【0019】
図2は単位電池1の構造を示す分解斜視図である。この単位電池1は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜7と、この電解質膜7の一方の面に配置した触媒層および拡散層からなるアノード側電極9(燃料極)と、電解質膜7の他方の面に配置した触媒層および拡散層からなるカソード側電極11(空気極)とで、膜−電極アッセンブリ(MEA)13を構成している。
【0020】
このMEA13の両側には、アノード側電極9に燃料ガス(水素)を、カソード側電極11に酸化ガス(酸素、通常は空気)をそれぞれ供給するための流体通路を形成するセパレータ15および17を、ガスケット19および21を介してそれぞれ配置する。
【0021】
電解質膜7は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成したプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。電解質膜7の表面には、触媒としての白金または、白金と他の金属からなる合金を担持させてある。
【0022】
アノード側電極9およびカソード側電極11は、ガス拡散電極である。これら各電極9,11は、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスや、カーボンペーパ、あるいはカーボンフェルトなど、充分なガス拡散性および導電性を有する部材によって構成する。
【0023】
セパレータ15,17は、充分な導電性と強度と耐食性とを有する材料によって形成する。例えば、カーボン材料をプレス成形したり、また、充分な耐食性が実現可能であれば、金属など他の材料によって形成してもよい。
【0024】
上記したセパレータ15のアノード側電極9側には図示しない燃料ガス流路を、セパレータ17のカソード側電極11側には酸化剤ガス流路25を、それぞれ形成し、また、セパレータ15のアノード側電極9と反対側に、必要に応じて冷却媒体流路27を形成する。
【0025】
ガスケット19,21は、シリコンゴム、EPDMまたはフッ素ゴムなどのゴム状弾性材料によって形成する。
【0026】
上記した燃料電池スタックは、複数の単位電池1からなる積層体3の積層方向両端に、図1に示すように集電板29,31、絶縁板33,35、エンドプレート37,39をそれぞれ配置する。そして、この燃料電池スタックの、例えば四隅に、前述したテンションロッドを貫通させ、テンションロッドの端部に形成した雄ねじ部に、ナット41を螺合締結することで、締め付ける。
【0027】
テンションロッドは、剛性を備えた材料、例えば鋼などの金属材料によって形成し、また単位電池1同士の電気的短絡を防止するため、表面には絶縁処理を施す。
【0028】
集電板29,31は、緻密質カーボンや銅板などガス不透過な導電性部材によって形成し、絶縁板33,35は、ゴムや樹脂などの絶縁性部材によって形成する。
【0029】
エンドプレート37,39は、剛性を備えた材料、例えば鋼などの金属材料によって形成する。また、2枚の集電板29,31には、それぞれ出力端子43,45を設けており、燃料電池スタックで生じた起電力を、この出力端子43,45を介して出力する。
【0030】
上記したテンションロッドによる燃料電池スタックの締付方法は、テンションロッドを積層体3の内部に貫通させる必要はなく、図3の正面図に示すように、スタック外部でエンドプレート37,39同士をテンションロッド5により締め付けるようにしてもよい。
【0031】
また、図3に示すように、燃料電池スタックの積層方向一端側のエンドプレート39と、このエンドプレート39の積層方向内側に設けた絶縁板35との間に、内側エンドプレート47を配置し、エンドプレート39と内側エンドプレート47との間に、ばねなどからなる加圧機構49を設置する構造であってもよい。
【0032】
なお、テンションロッドによる締付機構は、ナット41を使用する必要はなく、一方のエンドプレートにねじ孔を形成し、このねじ孔にテンションロッドの一端に形成したねじ部を螺合締結するようにしてもよい。この場合、テンションロッドの他端にはボルトの頭部を形成する。
【0033】
また、上記した燃料電池スタックの一方の端部のエンドプレート37には、図1に示すように、燃料ガス入口51および同出口53、酸化剤ガス入口55および同出口57、冷却水(冷却媒体)入口59および同出口61を、それぞれ設けてある。
【0034】
上記した各入口51,55,59に連通する燃料ガス,酸化剤ガス,冷却水の各分配流路および、各出口53,57,61に連通する燃料ガス,酸化剤ガス,冷却水の各集合流路を、集電板29,絶縁板33および積層体3を貫通して形成する。
【0035】
上記した各分配流路および集合流路は、前記したセパレータ15のアノード側電極9側に形成した燃料ガス流路、セパレータ17のカソード側電極11側に形成した酸化剤ガス流路25、冷却媒体流路27のそれぞれの対応する流路にそれぞれ連通している。
【0036】
上記した積層体3に分配流路を形成するために、図2に示すように、セパレータ15,ガスケット19,電解質膜7,ガスケット21,セパレータ17には、図1に示した燃料ガス入口51に対応する位置に、燃料ガス入口用連通孔15a,19a,7a,21a,17aをそれぞれ形成してある。
【0037】
同様に、図1に示してある燃料ガス出口53,酸化剤ガス入口55および同出口57,冷却水入口59および同出口61についても、それぞれ対応する連通孔を、セパレータ15,ガスケット19,電解質膜7,ガスケット21,セパレータ17に設けてある。
【0038】
図4(a),(b)は、この発明の第1の実施形態を示す、図1の燃料ガス入口51に連通する燃料電池スタック内の燃料ガス分配流路63を、一つの単位電池1に相当するMEA13とその両側のセパレータ15,17について示した概略的な断面図である。
【0039】
燃料ガス分配流路63を流れる燃料ガスは、セパレータ15のアノード側電極9に対向して形成してある燃料ガス流路65に分配する。他の図示しない酸化剤ガス分配流路を流れる酸化剤ガスは、セパレータ17のカソード側電極11に対向して形成してある酸化剤ガス流路25に分配する。また、図示しない冷却水分配流路を流れる冷却水は、セパレータ17の酸化剤ガス流路25と反対側に形成してある冷却媒体流路27に分配する。
【0040】
図4(a)は、単位電池1を構成するMEA13に対して上流側のセパレータ15の燃料ガス分配流路63を構成する連通孔17aの上流側角部に面取部67を形成するとともに、同下流側角部には面取部67より大きな面取部69を形成する。
【0041】
上記した各面取部67,69は、燃料ガス分配流路63におけるセパレータ15のMEA13に通じる入口部分の連通孔15aの内壁に、分配流路63に対する凹部73,75となる切欠を設けることにより形成する。
【0042】
図4(b)は、図4(a)の面取部67,69に代えて、セパレータ15の連通孔15aの内壁における下流側角部のみに、面取部77を形成している。この面取部77は、セパレータ15の厚さ方向(図4中で左右方向)全域に設けてある。
【0043】
上記した図4(a),(b)の場合は、連通孔15aの内壁に面取部67,69および77を設けることで、セパレータ15の燃料ガス分配流路63に向けて突出する部分の先端を、楔状に形成したことになる。また、この面取部67,69および77によって、連通孔15aにおける下流側の流路断面積が、上流側の流路断面積より大きくなる。
【0044】
一方、MEA13の下流側のセパレータ17については、図4(a),(b)ともに、下流側ほど流路断面積が大きくなるような傾斜面71を形成してある。この傾斜面71については、特に必要なく、図4中で水平となる面に形成してもよい。
【0045】
図4(a),(b)に示す形状のセパレータ15を用いることで、燃料ガスのMEA13への入口面積が大きくなり、また、楔状突出部の頂部(先端)Pを、連通孔15aにおけるガス流れの上流側に配置することによって、ガス流れの向きが、矢印Aで示すようにアノード側電極9となることで向上する。これにより、各セパレータ15,17の流路への燃料ガスの流入性が向上し、各セパレータ15,17の流路への燃料ガスの分配性が向上する。
【0046】
ただし、上記した楔状突出部の頂部Pはガス流れの上流側にある必要性はなく、下流側に位置してもよい。
【0047】
図5は、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第1の実施形態のもの(実線図示)と、後述する図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0048】
これによれば、第1の実施形態のものは、各単位電池1への燃料ガスの分配性が、比較例に比べて向上することで、各単位電池1の電圧の均一性が向上しており、燃料電池の運転効率が向上する。
【0049】
上記した図6に示すセパレータ形状は、MEA13の両側のセパレータ150,170の燃料ガス分配流路63を形成する連通孔150a,170aの内壁を、図6中で水平な平坦に形成してある。この場合、単位電池1を複数積層することで、燃料ガス分配流路63に沿って、複数のセパレータ相互で段差(凹凸)が形成されやすく、MEA13への燃料ガスの流入性にばらつきが生じ、前記図5に示したように、各単位電池の電圧に、上記した第1の実施形態に比べて大きなばらつきが生じる。
【0050】
図7は、この発明の第2の実施形態を示す。この実施形態は、セパレータ15の燃料ガス分配流路63を構成する連通孔15aの内壁における下流側角部のみに面取部77を形成している点が、前記図4(b)に示した第1の実施形態と同様である。
【0051】
図4(b)の第1の実施形態と異なる点は、上記した面取部77による燃料ガス分配流路63への突出部の断面三角形状の先端角度αを、30〜60度としていることである。
【0052】
上記した先端角度αを、30度以上とすることで、面取部77の加工性が、30度未満とした場合と比べて良好となる。一方、先端角度αが60を超えると、MEA13への燃料ガスの流入性が確保しにくくなる。
【0053】
図8は、前記した図5と同様に、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第2の実施形態のもの(実線示)と、前記図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0054】
これによれば、第2の実施形態のセパレータ形状とすることで、各単位電池1への燃料ガスの分配性が向上することで、各単位電池の電圧の均一性が、図6のものに比べて向上し、燃料電池の運転効率が向上する。
【0055】
図9は、この発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は、セパレータ15の燃料ガス分配流路63を構成する連通孔15aの内壁における下流側角部のみに面取部77を形成するとともに、この面取部77の上流側端部および下流側端部の各角部81,83を円弧状に形成している。
【0056】
また、ここでは、MEA13に対して下流側のセパレータ17の傾斜面71についても、その上流側端部および下流側端部の各角部85,87を円弧状に形成している。なお、この場合、角部81,83,85,87のすべてを円弧状に形成する必要はない。
【0057】
このように、各角部81,83,85,87、特にMEA13の上流側のセパレータ15の角部81,83を円弧状とすることで、各セパレータ15,17の流路への燃料ガスの流入がさらに向上し、各単位電池1への燃料ガスの分配特性がさらに向上する。
【0058】
また、角部81,83,85,87を円弧状に形成することで、ガス流れ方向の流速分布が安定化する。
【0059】
図10は、前記した図5と同様に、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第3の実施形態のもの(実線示)と、前記図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0060】
これによれば、第3の実施形態のセパレータ形状とすることで、各単位電池1への燃料ガスの分配性が向上することで、各単位電池の電圧の均一性が、図6のものに比べて向上し、燃料電池の運転効率が向上する。
【0061】
図11は、この発明の第4の実施形態を示す。この実施形態は、前記図7に示した第2の実施形態における面取部77上に円弧状部分89を形成している。また、下流側のセパレータ17の燃料ガス分配流路63を形成する連通路17aの内壁にも円弧状部分91を形成しているが、この円弧状部分91は、特に設ける必要はない。
【0062】
このように、各セパレータ15,17、特にMEA13の上流側のセパレータ15に円弧状部分89を設けることで、MEA13への燃料ガスの流入特性がさらに向上し、各単位電池1への燃料ガスの分配特性がさらに向上する。
【0063】
また、円弧状部分89,91を設けることで、ガス流れ方向の流速分布が安定化する。
【0064】
図12は、前記した図5と同様に、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第4の実施形態のもの(実線示)と、前記図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0065】
これによれば、第4の実施形態のセパレータ形状とすることで、各単位電池1への燃料ガスの分配性が向上することで、各単位電池1の電圧の均一性が、図6のものに比べて向上し、燃料電池の運転効率が向上する。
【0066】
なお、上記した第1〜第4の各実施形態におけるセパレータ15,17の形状は、複数積層する各単位電池1それぞれに同様に適用する。
【0067】
図13は、この発明の第5の実施形態を示す。この実施形態は、図13(a)に示す燃料電池スタック(図3の燃料電池スタックと同等)の積層方向に形成する燃料ガス分配流路63の上流側では、図13(b)に示すように、前記図4(a)に示した第1の実施形態と同様なセパレータ形状とし、同下流側では、図13(c)に示すように、前記図4(b)に示した第1の実施形態と同様なセパレータ形状としている。
【0068】
このように、第5の実施形態では、燃料電池スタックの積層方向に沿って複数のセパレータ相互の形状を変化させることで、燃料電池スタックの積層方向に形成されやすい流速および流量分布に対応させることができ、これによって、各単位電池1への燃料ガスの流入性を変化させ、燃料電池スタック全体での、各単位電池1への燃料ガスの分配性を均一化することが可能となる。
【0069】
なお、上記したセパレータ形状の変化は、第1の実施形態の形状だけでなく、第1の実施形態から第4の実施形態ものを、適宜組み合わせることができる。
【0070】
図14は、前記した図5と同様に、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第5の実施形態のもの(実線示)と、前記図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0071】
これによれば、第5の実施形態のセパレータ形状とすることで、各単位電池1への燃料ガスの分配性が向上することで、各単位電池の電圧の均一性が、図6のものに比べて向上し、燃料電池の運転効率が向上する。
【0072】
図15は、この発明の第6の実施形態を示す。この実施形態は、図15(a)に示す燃料電池スタック(図3の燃料電池スタックと同等)の積層方向に形成する燃料ガス分配流路63の上流側では、図15(b)に示すように、各セパレータ15,17の形状を、連通孔15a,17aにおける上流側の流路断面積が同下流側の流路断面積より大きくなるようにしている。
【0073】
すなわち、セパレータ15においては、上流側の角部の面取部67を、下流側の角部の面取部69より大きくし、また、セパレータ17においては、下流側ほど流路断面積が小さくなるような傾斜面71を形成してある。
【0074】
また、燃料ガス分配流路63の下流側では、図15(c)に示すように、セパレータ15および17は、図13に示した第5の実施形態と同様な面取部77および傾斜面71を備えている。
【0075】
上記した第6の実施形態においては、図15(b)に示すように、セパレータ15,17のそれぞれの形状を、燃料ガス分配流路63の下流側の流路断面積を上流側の流路断面積より小さくし、MEA13への燃料ガス流入特性をあえて悪くすることで、例えば分配流路下流端近傍の位置で格別に流量が多くなる特定箇所の流量を低減することによって、燃料電池スタック全体の燃料ガスの分配特性の向上を図っている。
【0076】
図16は、前記した図5と同様に、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第6の実施形態のもの(実線示)と、前記図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0077】
これによれば、第6の実施形態のセパレータ形状とすることで、各単位電池1への燃料ガスの分配性が向上することで、各単位電池の電圧の均一性が、図6のものに比べて向上し、燃料電池の運転の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の燃料電池スタックの基本構造を示す斜視図である。
【図2】図1の燃料電池スタックにおける単位電池の分解斜視図である。
【図3】図1の燃料電池スタックの一部を変更した正面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態に係わるセパレータ形状を示す要部の断面図で、(a)はセパレータの上下流両端角部に面取部を形成した例を示し、(b)は一方の角部のみに面取部を形成した例を示す。
【図5】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第1の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【図6】図5における比較例に対応するセパレータ形状を示す断面図である。
【図7】この発明の第2の実施形態に係わるセパレータ形状を示す要部の断面図である。
【図8】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第2の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【図9】この発明の第3の実施形態に係わるセパレータ形状を示す要部の断面図である。
【図10】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第3の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【図11】この発明の第4の実施形態に係わるセパレータ形状を示す要部の断面図である。
【図12】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第4の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【図13】この発明の第5の実施形態に係わるもので、(a)は燃料電池スタック全体の断面図、(b)は(a)の上流側のセパレータ形状を示す断面図、(c)は(a)の下流側のセパレータ形状を示す断面図である。
【図14】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第5の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【図15】この発明の第6の実施形態に係わるもので、(a)は燃料電池スタック全体の断面図、(b)は(a)の上流側のセパレータ形状を示す断面図、(c)は(a)の下流側のセパレータ形状を示す断面図である。
【図16】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第6の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【符号の説明】
1 単位電池
3 単位電池の積層体
7 電解質膜
9 アノード側電極
11 カソード側電極
15,17 セパレータ
15a 連通孔
63 燃料ガス分配流路(分配流路)
67,69,77 面取部(切欠)
73,75,79 凹部
81,83 円弧状に形成した角部
α 断面三角形状の先端角度
【発明の属する技術分野】
この発明は、電解質膜をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで単位電池を構成し、この単位電池を、セパレータを介して複数積層して構成した燃料電池スタックに関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質型燃料電池は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)の両側に、アノード側電極およびカソード側電極をそれぞれ配置して構成した単位電池を、セパレータによって挟持することにより構成している。
【0003】
このような固体高分子電解質型燃料電池は、通常、上記した単位電池およびセパレータを複数積層することにより、燃料電池スタックとして使用する。
【0004】
上記した燃料電池スタックにおいて、アノード側電極に供給した燃料ガス(水素含有ガス)は、アノード側電極上で水素イオン化され、適度に加湿された高分子イオン交換膜を介してカソード側電極へと移動する。このとき、アノード側電極に生じた電子を外部回路に取り出し、直流の電気エネルギとして利用する。
【0005】
一方、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスあるいは空気を供給し、前記アノード側電極から移動した水素イオン、前記電子および酸素ガスが反応して水を生成する。
【0006】
ところで、燃料電池スタックは、上記したように複数の単位電池をセパレータを介して積層しており、この燃料電池スタック内には、各単位電池に、燃料ガス,酸化剤ガスおよび冷却媒体を供給するための分配流路を、複数の単位電池を一体的に貫通して形成している。
【0007】
その際、燃料電池を効率よく運転するには、各単位電池に燃料ガスなどの流体を均等に供給する必要がある。
【0008】
そこで、例えば、特許文献1には、燃料電池スタック内における燃料ガスの各単位電池への分配流路に整流部材を設けている。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−213044号公報
また、特許文献2には、燃料電池スタック内における燃料ガスの各単位電池への分配流路に、複数の単位電池に跨って整流用の楔部材を挿入している。
【0010】
【特許文献2】
特開2000−149977号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した整流部材や整流用の楔部材を使用しても、各単位電池への流体の分配性の均一化は不充分である。
【0012】
なぜなら、燃料電池スタックでは、単位電池を複数積層しているため、分配流路内では、複数のセパレータ相互で燃料ガスの流れ方向に沿って段差が生じてしまい、したがって、各単位電池への燃料ガス入口にも段差が生じ、燃料ガスの分配性に不均一性が生じる。
【0013】
そこで、この発明は、各単位電池への燃料ガス,酸化剤ガスまたは冷却媒体の少なくとも一つの流体の分配性を均一化することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明は、電解質膜をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで単位電池を構成し、この単位電池を、セパレータを介して複数積層して構成した燃料電池スタックにおいて、前記各単位電池へ、燃料ガス,酸化剤ガスまたは冷却媒体の少なくともいずれか一つの流体を分配供給する分配流路を、前記積層方向に沿って設け、前記分配流路における前記セパレータの前記単位電池へ通じる入口部分の内壁に、前記分配流路に対する凹部となる切欠を設けた構成としてある。
【0015】
【発明の効果】
この発明によれば、分配流路におけるセパレータの単位電池へ通じる入口部分の内壁に、分配流路に対する凹部となる切欠を設けたので、この切欠を経て各単位電池への流体の流入が容易となり、流体の各単位電池への分配性が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0017】
まず、この発明の全実施形態にわたって共通するか、または類似する部分の基本となる構成および作用を、図1〜3を用いて説明する。この発明に係わる燃料電池は、固体高分子電解質型燃料電池(以下、単に燃料電池とする。)であり、例えば燃料電池自動車に搭載する。ただし、自動車以外に用いてもよい。
【0018】
図1は燃料電池スタックの全体を示す斜視図である。この燃料電池スタックは、1V程度の起電力を生じる単位電池1を、複数積層して積層体3を形成する。この積層体3を構成する複数の単位電池1は、それぞれが燃料電池として機能する。そして、この燃料電池スタックは、後述するが、四隅に配置して内部を貫通する図示しないテンションロッドなどを用いて締結する。なお、ここでテンションロッドの本数は4本(四隅)とは限らず、所望の締結力が確保できる仕様であるならばその限りではない。
【0019】
図2は単位電池1の構造を示す分解斜視図である。この単位電池1は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜7と、この電解質膜7の一方の面に配置した触媒層および拡散層からなるアノード側電極9(燃料極)と、電解質膜7の他方の面に配置した触媒層および拡散層からなるカソード側電極11(空気極)とで、膜−電極アッセンブリ(MEA)13を構成している。
【0020】
このMEA13の両側には、アノード側電極9に燃料ガス(水素)を、カソード側電極11に酸化ガス(酸素、通常は空気)をそれぞれ供給するための流体通路を形成するセパレータ15および17を、ガスケット19および21を介してそれぞれ配置する。
【0021】
電解質膜7は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成したプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。電解質膜7の表面には、触媒としての白金または、白金と他の金属からなる合金を担持させてある。
【0022】
アノード側電極9およびカソード側電極11は、ガス拡散電極である。これら各電極9,11は、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスや、カーボンペーパ、あるいはカーボンフェルトなど、充分なガス拡散性および導電性を有する部材によって構成する。
【0023】
セパレータ15,17は、充分な導電性と強度と耐食性とを有する材料によって形成する。例えば、カーボン材料をプレス成形したり、また、充分な耐食性が実現可能であれば、金属など他の材料によって形成してもよい。
【0024】
上記したセパレータ15のアノード側電極9側には図示しない燃料ガス流路を、セパレータ17のカソード側電極11側には酸化剤ガス流路25を、それぞれ形成し、また、セパレータ15のアノード側電極9と反対側に、必要に応じて冷却媒体流路27を形成する。
【0025】
ガスケット19,21は、シリコンゴム、EPDMまたはフッ素ゴムなどのゴム状弾性材料によって形成する。
【0026】
上記した燃料電池スタックは、複数の単位電池1からなる積層体3の積層方向両端に、図1に示すように集電板29,31、絶縁板33,35、エンドプレート37,39をそれぞれ配置する。そして、この燃料電池スタックの、例えば四隅に、前述したテンションロッドを貫通させ、テンションロッドの端部に形成した雄ねじ部に、ナット41を螺合締結することで、締め付ける。
【0027】
テンションロッドは、剛性を備えた材料、例えば鋼などの金属材料によって形成し、また単位電池1同士の電気的短絡を防止するため、表面には絶縁処理を施す。
【0028】
集電板29,31は、緻密質カーボンや銅板などガス不透過な導電性部材によって形成し、絶縁板33,35は、ゴムや樹脂などの絶縁性部材によって形成する。
【0029】
エンドプレート37,39は、剛性を備えた材料、例えば鋼などの金属材料によって形成する。また、2枚の集電板29,31には、それぞれ出力端子43,45を設けており、燃料電池スタックで生じた起電力を、この出力端子43,45を介して出力する。
【0030】
上記したテンションロッドによる燃料電池スタックの締付方法は、テンションロッドを積層体3の内部に貫通させる必要はなく、図3の正面図に示すように、スタック外部でエンドプレート37,39同士をテンションロッド5により締め付けるようにしてもよい。
【0031】
また、図3に示すように、燃料電池スタックの積層方向一端側のエンドプレート39と、このエンドプレート39の積層方向内側に設けた絶縁板35との間に、内側エンドプレート47を配置し、エンドプレート39と内側エンドプレート47との間に、ばねなどからなる加圧機構49を設置する構造であってもよい。
【0032】
なお、テンションロッドによる締付機構は、ナット41を使用する必要はなく、一方のエンドプレートにねじ孔を形成し、このねじ孔にテンションロッドの一端に形成したねじ部を螺合締結するようにしてもよい。この場合、テンションロッドの他端にはボルトの頭部を形成する。
【0033】
また、上記した燃料電池スタックの一方の端部のエンドプレート37には、図1に示すように、燃料ガス入口51および同出口53、酸化剤ガス入口55および同出口57、冷却水(冷却媒体)入口59および同出口61を、それぞれ設けてある。
【0034】
上記した各入口51,55,59に連通する燃料ガス,酸化剤ガス,冷却水の各分配流路および、各出口53,57,61に連通する燃料ガス,酸化剤ガス,冷却水の各集合流路を、集電板29,絶縁板33および積層体3を貫通して形成する。
【0035】
上記した各分配流路および集合流路は、前記したセパレータ15のアノード側電極9側に形成した燃料ガス流路、セパレータ17のカソード側電極11側に形成した酸化剤ガス流路25、冷却媒体流路27のそれぞれの対応する流路にそれぞれ連通している。
【0036】
上記した積層体3に分配流路を形成するために、図2に示すように、セパレータ15,ガスケット19,電解質膜7,ガスケット21,セパレータ17には、図1に示した燃料ガス入口51に対応する位置に、燃料ガス入口用連通孔15a,19a,7a,21a,17aをそれぞれ形成してある。
【0037】
同様に、図1に示してある燃料ガス出口53,酸化剤ガス入口55および同出口57,冷却水入口59および同出口61についても、それぞれ対応する連通孔を、セパレータ15,ガスケット19,電解質膜7,ガスケット21,セパレータ17に設けてある。
【0038】
図4(a),(b)は、この発明の第1の実施形態を示す、図1の燃料ガス入口51に連通する燃料電池スタック内の燃料ガス分配流路63を、一つの単位電池1に相当するMEA13とその両側のセパレータ15,17について示した概略的な断面図である。
【0039】
燃料ガス分配流路63を流れる燃料ガスは、セパレータ15のアノード側電極9に対向して形成してある燃料ガス流路65に分配する。他の図示しない酸化剤ガス分配流路を流れる酸化剤ガスは、セパレータ17のカソード側電極11に対向して形成してある酸化剤ガス流路25に分配する。また、図示しない冷却水分配流路を流れる冷却水は、セパレータ17の酸化剤ガス流路25と反対側に形成してある冷却媒体流路27に分配する。
【0040】
図4(a)は、単位電池1を構成するMEA13に対して上流側のセパレータ15の燃料ガス分配流路63を構成する連通孔17aの上流側角部に面取部67を形成するとともに、同下流側角部には面取部67より大きな面取部69を形成する。
【0041】
上記した各面取部67,69は、燃料ガス分配流路63におけるセパレータ15のMEA13に通じる入口部分の連通孔15aの内壁に、分配流路63に対する凹部73,75となる切欠を設けることにより形成する。
【0042】
図4(b)は、図4(a)の面取部67,69に代えて、セパレータ15の連通孔15aの内壁における下流側角部のみに、面取部77を形成している。この面取部77は、セパレータ15の厚さ方向(図4中で左右方向)全域に設けてある。
【0043】
上記した図4(a),(b)の場合は、連通孔15aの内壁に面取部67,69および77を設けることで、セパレータ15の燃料ガス分配流路63に向けて突出する部分の先端を、楔状に形成したことになる。また、この面取部67,69および77によって、連通孔15aにおける下流側の流路断面積が、上流側の流路断面積より大きくなる。
【0044】
一方、MEA13の下流側のセパレータ17については、図4(a),(b)ともに、下流側ほど流路断面積が大きくなるような傾斜面71を形成してある。この傾斜面71については、特に必要なく、図4中で水平となる面に形成してもよい。
【0045】
図4(a),(b)に示す形状のセパレータ15を用いることで、燃料ガスのMEA13への入口面積が大きくなり、また、楔状突出部の頂部(先端)Pを、連通孔15aにおけるガス流れの上流側に配置することによって、ガス流れの向きが、矢印Aで示すようにアノード側電極9となることで向上する。これにより、各セパレータ15,17の流路への燃料ガスの流入性が向上し、各セパレータ15,17の流路への燃料ガスの分配性が向上する。
【0046】
ただし、上記した楔状突出部の頂部Pはガス流れの上流側にある必要性はなく、下流側に位置してもよい。
【0047】
図5は、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第1の実施形態のもの(実線図示)と、後述する図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0048】
これによれば、第1の実施形態のものは、各単位電池1への燃料ガスの分配性が、比較例に比べて向上することで、各単位電池1の電圧の均一性が向上しており、燃料電池の運転効率が向上する。
【0049】
上記した図6に示すセパレータ形状は、MEA13の両側のセパレータ150,170の燃料ガス分配流路63を形成する連通孔150a,170aの内壁を、図6中で水平な平坦に形成してある。この場合、単位電池1を複数積層することで、燃料ガス分配流路63に沿って、複数のセパレータ相互で段差(凹凸)が形成されやすく、MEA13への燃料ガスの流入性にばらつきが生じ、前記図5に示したように、各単位電池の電圧に、上記した第1の実施形態に比べて大きなばらつきが生じる。
【0050】
図7は、この発明の第2の実施形態を示す。この実施形態は、セパレータ15の燃料ガス分配流路63を構成する連通孔15aの内壁における下流側角部のみに面取部77を形成している点が、前記図4(b)に示した第1の実施形態と同様である。
【0051】
図4(b)の第1の実施形態と異なる点は、上記した面取部77による燃料ガス分配流路63への突出部の断面三角形状の先端角度αを、30〜60度としていることである。
【0052】
上記した先端角度αを、30度以上とすることで、面取部77の加工性が、30度未満とした場合と比べて良好となる。一方、先端角度αが60を超えると、MEA13への燃料ガスの流入性が確保しにくくなる。
【0053】
図8は、前記した図5と同様に、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第2の実施形態のもの(実線示)と、前記図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0054】
これによれば、第2の実施形態のセパレータ形状とすることで、各単位電池1への燃料ガスの分配性が向上することで、各単位電池の電圧の均一性が、図6のものに比べて向上し、燃料電池の運転効率が向上する。
【0055】
図9は、この発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は、セパレータ15の燃料ガス分配流路63を構成する連通孔15aの内壁における下流側角部のみに面取部77を形成するとともに、この面取部77の上流側端部および下流側端部の各角部81,83を円弧状に形成している。
【0056】
また、ここでは、MEA13に対して下流側のセパレータ17の傾斜面71についても、その上流側端部および下流側端部の各角部85,87を円弧状に形成している。なお、この場合、角部81,83,85,87のすべてを円弧状に形成する必要はない。
【0057】
このように、各角部81,83,85,87、特にMEA13の上流側のセパレータ15の角部81,83を円弧状とすることで、各セパレータ15,17の流路への燃料ガスの流入がさらに向上し、各単位電池1への燃料ガスの分配特性がさらに向上する。
【0058】
また、角部81,83,85,87を円弧状に形成することで、ガス流れ方向の流速分布が安定化する。
【0059】
図10は、前記した図5と同様に、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第3の実施形態のもの(実線示)と、前記図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0060】
これによれば、第3の実施形態のセパレータ形状とすることで、各単位電池1への燃料ガスの分配性が向上することで、各単位電池の電圧の均一性が、図6のものに比べて向上し、燃料電池の運転効率が向上する。
【0061】
図11は、この発明の第4の実施形態を示す。この実施形態は、前記図7に示した第2の実施形態における面取部77上に円弧状部分89を形成している。また、下流側のセパレータ17の燃料ガス分配流路63を形成する連通路17aの内壁にも円弧状部分91を形成しているが、この円弧状部分91は、特に設ける必要はない。
【0062】
このように、各セパレータ15,17、特にMEA13の上流側のセパレータ15に円弧状部分89を設けることで、MEA13への燃料ガスの流入特性がさらに向上し、各単位電池1への燃料ガスの分配特性がさらに向上する。
【0063】
また、円弧状部分89,91を設けることで、ガス流れ方向の流速分布が安定化する。
【0064】
図12は、前記した図5と同様に、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第4の実施形態のもの(実線示)と、前記図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0065】
これによれば、第4の実施形態のセパレータ形状とすることで、各単位電池1への燃料ガスの分配性が向上することで、各単位電池1の電圧の均一性が、図6のものに比べて向上し、燃料電池の運転効率が向上する。
【0066】
なお、上記した第1〜第4の各実施形態におけるセパレータ15,17の形状は、複数積層する各単位電池1それぞれに同様に適用する。
【0067】
図13は、この発明の第5の実施形態を示す。この実施形態は、図13(a)に示す燃料電池スタック(図3の燃料電池スタックと同等)の積層方向に形成する燃料ガス分配流路63の上流側では、図13(b)に示すように、前記図4(a)に示した第1の実施形態と同様なセパレータ形状とし、同下流側では、図13(c)に示すように、前記図4(b)に示した第1の実施形態と同様なセパレータ形状としている。
【0068】
このように、第5の実施形態では、燃料電池スタックの積層方向に沿って複数のセパレータ相互の形状を変化させることで、燃料電池スタックの積層方向に形成されやすい流速および流量分布に対応させることができ、これによって、各単位電池1への燃料ガスの流入性を変化させ、燃料電池スタック全体での、各単位電池1への燃料ガスの分配性を均一化することが可能となる。
【0069】
なお、上記したセパレータ形状の変化は、第1の実施形態の形状だけでなく、第1の実施形態から第4の実施形態ものを、適宜組み合わせることができる。
【0070】
図14は、前記した図5と同様に、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第5の実施形態のもの(実線示)と、前記図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0071】
これによれば、第5の実施形態のセパレータ形状とすることで、各単位電池1への燃料ガスの分配性が向上することで、各単位電池の電圧の均一性が、図6のものに比べて向上し、燃料電池の運転効率が向上する。
【0072】
図15は、この発明の第6の実施形態を示す。この実施形態は、図15(a)に示す燃料電池スタック(図3の燃料電池スタックと同等)の積層方向に形成する燃料ガス分配流路63の上流側では、図15(b)に示すように、各セパレータ15,17の形状を、連通孔15a,17aにおける上流側の流路断面積が同下流側の流路断面積より大きくなるようにしている。
【0073】
すなわち、セパレータ15においては、上流側の角部の面取部67を、下流側の角部の面取部69より大きくし、また、セパレータ17においては、下流側ほど流路断面積が小さくなるような傾斜面71を形成してある。
【0074】
また、燃料ガス分配流路63の下流側では、図15(c)に示すように、セパレータ15および17は、図13に示した第5の実施形態と同様な面取部77および傾斜面71を備えている。
【0075】
上記した第6の実施形態においては、図15(b)に示すように、セパレータ15,17のそれぞれの形状を、燃料ガス分配流路63の下流側の流路断面積を上流側の流路断面積より小さくし、MEA13への燃料ガス流入特性をあえて悪くすることで、例えば分配流路下流端近傍の位置で格別に流量が多くなる特定箇所の流量を低減することによって、燃料電池スタック全体の燃料ガスの分配特性の向上を図っている。
【0076】
図16は、前記した図5と同様に、燃料電池スタックの積層方向(ガス流れ方向)に沿った各単位電池1の電圧の変化を、上記した第6の実施形態のもの(実線示)と、前記図6に示す比較例となるセパレータ形状のもの(破線)とを比較して示している。
【0077】
これによれば、第6の実施形態のセパレータ形状とすることで、各単位電池1への燃料ガスの分配性が向上することで、各単位電池の電圧の均一性が、図6のものに比べて向上し、燃料電池の運転の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の燃料電池スタックの基本構造を示す斜視図である。
【図2】図1の燃料電池スタックにおける単位電池の分解斜視図である。
【図3】図1の燃料電池スタックの一部を変更した正面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態に係わるセパレータ形状を示す要部の断面図で、(a)はセパレータの上下流両端角部に面取部を形成した例を示し、(b)は一方の角部のみに面取部を形成した例を示す。
【図5】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第1の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【図6】図5における比較例に対応するセパレータ形状を示す断面図である。
【図7】この発明の第2の実施形態に係わるセパレータ形状を示す要部の断面図である。
【図8】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第2の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【図9】この発明の第3の実施形態に係わるセパレータ形状を示す要部の断面図である。
【図10】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第3の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【図11】この発明の第4の実施形態に係わるセパレータ形状を示す要部の断面図である。
【図12】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第4の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【図13】この発明の第5の実施形態に係わるもので、(a)は燃料電池スタック全体の断面図、(b)は(a)の上流側のセパレータ形状を示す断面図、(c)は(a)の下流側のセパレータ形状を示す断面図である。
【図14】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第5の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【図15】この発明の第6の実施形態に係わるもので、(a)は燃料電池スタック全体の断面図、(b)は(a)の上流側のセパレータ形状を示す断面図、(c)は(a)の下流側のセパレータ形状を示す断面図である。
【図16】燃料電池スタックにおける積層した複数の単位電池の電圧変化を、第6の実施形態と図6に示す比較例とを比較して示した説明図である。
【符号の説明】
1 単位電池
3 単位電池の積層体
7 電解質膜
9 アノード側電極
11 カソード側電極
15,17 セパレータ
15a 連通孔
63 燃料ガス分配流路(分配流路)
67,69,77 面取部(切欠)
73,75,79 凹部
81,83 円弧状に形成した角部
α 断面三角形状の先端角度
Claims (11)
- 電解質膜をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで単位電池を構成し、この単位電池を、セパレータを介して複数積層して構成した燃料電池スタックにおいて、前記各単位電池へ、燃料ガス,酸化剤ガスまたは冷却媒体の少なくともいずれか一つの流体を分配供給する分配流路を、前記積層方向に沿って設け、前記分配流路における前記セパレータの前記単位電池へ通じる入口部分の内壁に、前記分配流路に対する凹部となる切欠を設けたことを特徴とする燃料電池スタック。
- 前記切欠は、前記セパレータの前記積層方向両端角部の少なくとも一方に設けた面取部であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池スタック。
- 前記面取部を、前記流体流れ方向下流側の角部にのみ設けたことを特徴とする請求項2記載の燃料電池スタック。
- 前記面取部を、前記積層方向両端角部に設け、前記流体流れ方向下流側の角部の面取部を、同上流側の角部の面取部より大きくしたことを特徴とする請求項2記載の燃料電池スタック。
- 前記面取部の形成による前記分配流路への突出部の先端を、楔状に形成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池スタック。
- 前記面取部の形成による前記分配流路への突出部の断面三角形状の先端角度を、30度〜60度とすることを特徴とする請求項5記載の燃料電池スタック。
- 前記面取部の角部を、円弧状に形成したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の燃料電池スタック。
- 前記凹部となる切欠の形状を、円弧状としたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池スタック。
- 前記凹部となる切欠の形状を互いに異ならせた複数のセパレータを組み合わせたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池スタック。
- 前記凹部となる切欠の形状は、前記セパレータの単位電池へ通じる入口部分の分配流路断面積を、上流側より下流側で大きくしたことを特徴とする請求項9記載の燃料電池スタック。
- 前記凹部となる切欠の形状は、前記セパレータの単位電池へ通じる入口部分の分配流路断面積を、下流側より上流側で大きくしたものを含んでいることを特徴とする請求項9記載の燃料電池スタック。
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