JP2008305620A - 絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ加工等の耐性に優れた絶縁電線を提供する。
【解決手段】導体2と、該導体2の外周に形成された絶縁皮膜3とを備える絶縁電線1において、上記絶縁皮膜3が内側に位置する最内絶縁皮膜4と外側に位置する最外絶縁皮膜5とからなり、上記最内絶縁皮膜4の材料がシランカップリング剤であり、該最内絶縁皮膜4の膜厚が上記絶縁皮膜3全体の膜厚の5%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータやトランスなどの電気機器に用いる絶縁電線に係り、曲げ加工等の耐性に優れた絶縁電線に関する。
一般的に、エナメル線と呼ばれる絶縁電線は、導体の周りに絶縁塗料からなる絶縁皮膜を設けてなる。このエナメル線を使用して電気機器、例えば、モータやトランスなどを作製する場合、一般的にはモータのコア(磁芯)のスロットに連続的にエナメル線をコイル状に巻回して形成したり、或いはエナメル線をコイル状に巻いたものをコアのスロットに嵌合、挿入したりする方法が主流であった。
近年、例えば、自動車の発電機などに使用されている電気機器のコイルは、小型で、かつ、高密度の磁束が要求されていることから、断面積の大きい(太サイズの)エナメル線や、平角導体を有するエナメル線を用いる。このようなエナメル線を用いて、モータやトランスなどを作製する場合、巻き数の少ない短尺の小径コイルを複数形成し、これら小径コイルのエナメル線の端末部分を溶接して繋ぎ合わせ、長尺のコイルを形成する方法が提案されている。
自動車の発電機などに用いる電気機器のコイルには、導体の周りにポリエステルイミドの絶縁皮膜を形成し、そのポリエステルイミド絶縁皮膜の周りにポリアミドイミドの絶縁皮膜を設けたダブルコート線や、導体の周りにポリアミドイミドの絶縁皮膜を設けたシングルコート線が主に使用されている。また、一部では、導体の周りにポリイミドの絶縁皮膜を形成し、そのポリイミド絶縁皮膜の周りにポリアミドイミドの絶縁皮膜を設け、耐熱性と機械強度を向上させたダブルコート線なども使用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、エナメル線に必要とされる機械的特性、耐熱性、可とう性及び電気絶縁特性などを維持しつつ、導体との密着性、耐摩耗性及び熱劣化後の密着性に優れた皮膜を形成しうるイソシアヌレート環を有するポリエステルイミド樹脂なども使用されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−130759号公報 特開2006−001996公報
しかし、従来のポリエステルイミドとポリアミドイミドの絶縁皮膜とからなるエナメル線を用いて、コア(磁芯)のスロットに連続的に巻回して電気機器用コイルを作製する場合や、上記電気機器用コイルをコアのスロットに嵌合、挿入する場合などにおいて発生する曲げ加工などに起因する応力により、絶縁皮膜が導体表面から押し上げられ、導体から剥離する皮膜浮きが発生してしまい、電気機器の信頼性が低下するという問題があった。
また、エナメル線製造の伸線工程において、絶縁皮膜表面に大きな凹凸が生じてしまい、部分的に絶縁破壊が発生するなど、電気的特性が低下するという問題があった。
一方、シランカップリング剤を添加したエナメル線用塗料を導体に塗布、焼付することも行われている。しかし、この方法では、特に、エナメル線用塗料がチタン系触媒を含むポリエステルイミド系樹脂塗料である場合、シランカップリング剤がエナメル線用塗料中に存在するチタン系触媒の硬化作用を阻害する為、エナメル線用塗料の硬化が促進されず、最外絶縁皮膜の硬度が低くなってしまういといった問題がある。特に、最外絶縁皮膜の鉛筆硬度が4H以下の場合、曲げ加工等の加工工程で、表面に傷が発生し、優れた絶縁皮膜を形成することができないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、曲げ加工等の耐性に優れた絶縁電線を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、導体と、該導体の外周にシランカップリング剤を塗布して形成された最内絶縁皮膜と上記最内絶縁皮膜上にエナメル線塗料を塗布、焼き付けして形成された最外絶縁皮膜とからなる絶縁皮膜とを備えるものである。
上記最内絶縁皮膜の膜厚が上記絶縁皮膜全体の膜厚の5%以下であってもよい。
上記最外絶縁皮膜が、ポリエステルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂のいずれかの材料により形成されてもよい。
上記導体の平均表面粗さRaが0.2〜1.0μmであってもよい。
上記導体から上記絶縁皮膜を剥離させる剥離強度が300N/m以上であってもよい。
上記シランカップリング剤が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのいずれかであってもよい。
上記最外絶縁皮膜は、JIS S 6006による鉛筆硬度で6H以上を有してもよい。
上記絶縁皮膜は、上記導体の外周に上記最内絶縁皮膜の材料としての塗料を塗布し、焼き付けすることで上記最内絶縁皮膜を形成した後、その最内絶縁皮膜の外周に上記最外絶縁皮膜の材料としての塗料を塗布し、焼き付けすることで上記最外絶縁皮膜を形成してなってもよい。
上記導体は、平角導体であってもよい。
本発明によれば、絶縁性能と耐加工性に優れた絶縁電線を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に示されるように、本発明に係る絶縁電線1は、導体2と、導体2の外周にシランカップリング剤を塗布して形成された最内絶縁皮膜4と最内絶縁皮膜4上にエナメル線塗料を塗布、焼き付けして形成された最外絶縁皮膜5とからなる絶縁皮膜3とを備えるものである。最内絶縁皮膜4の膜厚が絶縁皮膜3全体の膜厚の5%以下であるのが好ましい。
図1に示した絶縁電線1は、導体2として断面が円形の丸形導体を用いているので、この導体2を最内絶縁皮膜4、最外絶縁皮膜5が順次同心円状に覆うように形成されている。
また、図2に示されるように、本発明に係る絶縁電線1aは、導体2aと、導体2aの外周にシランカップリング剤を塗布して形成された最内絶縁皮膜4aと最内絶縁皮膜4a上にエナメル線塗料を塗布、焼き付けして形成された最外絶縁皮膜5aとからなる絶縁皮膜3aとを備えるものである。
図2に示した絶縁電線1aは、導体2aとして断面が平角の平角形導体を用いており、この導体2aを最内絶縁皮膜4a、最外絶縁皮膜5aが順次覆うように形成されている。以下の説明では、符号aは用いないが、絶縁電線1,1aに共通した内容を示す。
導体2の構成材の材質としては、エナメル線導体として慣用的に用いられているものであれば全て適用可能であり、特に限定するものではないが、銅又は銅合金が好ましい。また、導体2の断面形状についても、特に限定するものではなく、円形導体、平角導体などのようにいずれであってもよい。さらに、導体2の断面積(サイズ)についても、特に限定するものではなく、エナメル線導体として慣用的に用いられているものであれば全て適用可能である。
この導体2に過酸化水素水、硫酸を用いたエッチング処理で平均表面粗さRaが0.2〜1.0である粗化処理面を形成することが好ましい。平均表面粗さRaが0.2未満である場合、皮膜浮きや、ブリスタ発生を抑制する効果が小さくなる。平均表面粗さRaが1.0を超える場合、絶縁破壊といった、電気特性の低下が発生する。
最内絶縁皮膜4の材料となるシランカップリング剤としては、導体2と最内絶縁皮膜4との密着強度を向上させ、かつ最外絶縁皮膜5との密着強度を向上する作用を奏するものであれば特に限定するものではない。例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好ましいが、これらに限定されるものではない。
最外絶縁皮膜5の材料としては、ポリエステルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂を1種類以上用いるのがましい。すなわち、最外絶縁皮膜5は、ポリエステルイミド皮膜、ポリアミドイミド皮膜、ポリイミド皮膜、ポリエステル皮膜、ポリウレタン皮膜のいずれかである。
これら最内絶縁皮膜4の材料、最外絶縁皮膜5の材料は、塗料(エナメル線用塗料)の状態で提供される。従って、導体2の外周に最内絶縁皮膜4の材料としての塗料を塗布し、焼き付けすることで最内絶縁皮膜4を形成した後、その最内絶縁皮膜4の外周に最外絶縁皮膜5の材料としての塗料を塗布し、焼き付けすることで最外絶縁皮膜5を形成し、絶縁皮膜3が作製される。塗料の銘柄に関しては特に制限することはない。
本発明にあっては、最内絶縁皮膜4の膜厚が、絶縁皮膜3全体(最内絶縁皮膜4と最外絶縁皮膜5)の膜厚の5%以下でなければならず、1%以下であるのが好ましい。最内絶縁皮膜4の膜厚が絶縁皮膜3全体の膜厚の5%を超えた場合、皮膜浮きやブリスタ発生を抑制する効果が小さくなるためである。
以下、本発明の原理とその作用を説明する。
従来は、コイル状に巻いた絶縁電線をコアのスロットに挿入する際に、そのとき発生する曲げ加工等に起因する応力によって、絶縁皮膜が導体表面から押し上げられ、絶縁皮膜が導体から剥離することにより、絶縁皮膜が浮き上がる。本発明者らは、この絶縁皮膜の浮き上がりを抑制すべく、鋭意研究した結果、以下のことを見出した。
(1)粗化処理面を有する導体2の平均表面粗さRaは、0.2〜1.0μmであることが必要である。導体2を粗化する方法としては過酸化水素水、硫酸を用いたエッチング処理や、銅めっき形成による粗化、サンドブラストによる表面研磨などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
(2)導体2に直接接する最内絶縁皮膜4を構成する材料としては、導体2および最外絶縁皮膜5と高密着を発現し、更には導体2の防錆効果を発現するシランカップリング剤が好適である。また、シランカップリング剤からなる最内絶縁皮膜4を形成した後、ポリエステルイミド皮膜で構成される最外絶縁皮膜5を形成する場合、最外絶縁皮膜5中に存在するチタン系触媒の作用を阻害することなく、十分な硬度を有する最外絶縁皮膜5を形成することができる。ポリエステルイミド皮膜の硬化に用いられるチタン系触媒は、テトライソプロピルチタネートやテトラ−n−ブチルチタネートなどの−般に使用される化合物が挙げられる。
(3)ポリエステル皮膜以外に最外絶縁皮膜5としては、耐熱性が高く、熱分解しづらいものを用いることができ、巻線時などの加工を受けた際に傷が生じにくく、耐傷性に優れたポリアミドイミド皮膜、ポリイミド皮膜、ポリエステル皮膜、あるいはポリウレタン皮膜などが挙げられる。
(4)最外絶縁皮膜5を構成する材料としては、導体2に直接接する最内絶縁皮膜4に対する密着強度が高い材料を用いることが必要である。これは、導体2と絶縁皮膜3との密着強度が、導体2から絶縁皮膜3が剥離する力(又は浮き上がる力)よりも高いと、皮膜浮きや、ブリスタ発生を抑制できるためである。
以上、(1)〜(4)を踏まえ、本発明者らが、更に検討を続けた結果、本発明に至った。すなわち、粗化処理面を有する導体2の周りの最内絶縁皮膜4をシランカップリング剤皮膜とし、最外絶縁皮膜5をポリエステルイミド皮膜、あるいはポリアミドイミド皮膜、あるいはポリイミド皮膜、あるいはポリエステル皮膜、あるいはポリウレタン皮膜とし、最内絶縁皮膜4の膜厚を絶縁皮膜3全体の膜厚の5%以下とする。これにより、導体2と最内絶縁皮膜4との密着強度が300N/m以上となるエナメル線が作製でき、皮膜浮きや、ブリスタ発生を抑制することが可能になる。また、最外絶縁皮膜5は鉛筆硬度が6H以上と高くなり、曲げ加工等の耐性に優れた絶縁皮膜3を形成することが可能である。
なお、シランカップリング剤に由来するケイ素原子はX線光電子分光測定(XPS)、エネルギー分散型X線(EDX)、オージェ電子分光(AES)、2次イオン質量分析(SIMS)、高感度反射赤外分光(IRRAS)によって測定可能である。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。次に、実施例を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
平角形状の銅導体を粗化液(HIST−7300;日立化成製)を用い粗化を行った後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403;信越化学工業社製)の1%水溶液を、平角形状の銅導体上に塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分で加熱することで1μmの最内絶縁皮膜を設けた。この最内絶縁皮膜の周りに、ポリエステルイミド塗料(EH−402;大日精化社製)を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの最外絶縁皮膜を設けた。これによって、絶縁皮膜全体の厚さが31μmのエナメル線を作製した。
(実施倒2)
KBM−903の代わりに3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学工業社製)を用いる以外は、実施倒1と同様にして、エナメル線を作製した。
(実施倒3)
ポリエステルイミド塗料の代わりにポリアミドイミド(HI−404;日立化成工業社製)塗料を用いる以外は、実施例1と同様にして、エナメル線を作製した。
(実施例4)
ポリエステルイミド塗料の代わりにポリアミドイミド(HI−404;日立化成工業社製)塗料を用いる以外は、実施例2と同様にして、エナメル線を作製した。
(比較例1)
平角形状の銅導体にポリエステルイミド塗料単体を塗布した後、焼き付けを行うことで単層の絶縁皮膜を設けた。これによって、エナメル線を作製した。
(比較例2)
平角形状の銅導体を3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503;信越化学工業社製)の10%水溶液を、平角形状の銅導体上に塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分で加熱することで2μmの最内絶縁皮膜を設けた。この最内絶縁皮膜の周りに、ポリアミドイミド(HI−404;日立化成工業社製)塗料単体を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの最外絶縁皮膜を設けた。これによって、絶縁皮膜全体の厚さが32μmのエナメル線を作製した。
(比較例3)
平角形状の銅導体を粗化液(HIST−7300;日立化成工業社製)を用い粗化を行った後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903;信越化学工業社製)の10%水溶液を、平角形状の銅導体上に塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分で加熱することで2μmの最内絶縁皮膜を設けた。この最内絶縁皮膜の周りに、ポリアミドイミド(HI−404;日立化成工業社製)塗料単体を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが30μmの最外絶縁皮膜を設けた。これによって、絶縁皮膜全体の厚さが32μmのエナメル線を作製した。
(比較例4)
ポリエステルイミド塗料の代わりにポリアミドイミド塗料を用いる以外は、比較例3と同様にして、エナメル線を作製した。
(比較例5)
平角形状の銅導体を真諭製ブラシで200rpmの回転数で3分研磨した後、ポリエステルイミド塗料単体を塗布した後、焼き付けを行い、絶縁皮膜を設けた。これによって、エナメル線を作製した。
(比較例6)
平角形状の銅導体を真鐘製ブラシで200rpmの回転数で3分研磨した後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503;信越化学工業社製)の50%水溶液を、平角形状の銅導体上に塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分で加熱することで2μmの最内絶縁皮膜を設けた。この最内絶縁皮膜の周りに、ポリアミドイミド(HI−404;日立化成工業社製)塗料単体を塗布した後、焼き付けを行い、皮膜厚さが32μmの最外絶縁皮膜を設けた。これによって、絶縁皮膜全体の厚さが40μmのエナメル線を作製した。
実施倒1〜4及び比較例1〜6について、導体表面をレーザ顕微鏡で観察し、導体の表面粗さを測定した。また、オージェ分光分析から最内絶縁皮膜の膜厚を測定し、絶縁皮膜全体の厚さをマイクロメータで測定することで、最内絶縁皮膜/絶縁皮膜全体の比を算出した。また、電気化学的還元電位測定で、導体表面の酸化膜厚の計測を行った。
さらに、以下の方法で、導体と絶縁皮膜との引剥強さを測定した。導体と絶縁皮膜との密着強度測定は以下の方法で行った。先ず、各エナメル線を製造した後、各エナメル線から約5cmの長さの試料片をそれぞれ切り取った。その後、各試料片の上面又は下面(幅が広い方の面のいずれか一方)の絶縁皮膜に、カッターなどを用いて、試料片の長手方向に延びる切り込みを1mm間隔で2本形成した。この切り込み間における絶縁皮膜の長手方向端部を、ピンセットなどを用いて導体から剥離させ、つかみ代を形成した。その後、各試料片を治具に固定すると共に、つかみ代をチャックで挟み、テンシロン万能試験機を用いて導体から絶縁皮膜を更に引き剥がした。この時、絶縁皮膜を1mm長さで剥がす時の剥離強度(密着強度)を測定した。
また、JIS S 6006に規定のしんを約60°の角度をもたせて刃型に削り、これを試験片に約60゜の角度で約5Nの力で押し、試験片の長さ方向に規定の硬さのしんで1回ひっかいたとき、導体が現れるほど、皮膜がはがれないかを目視で調べた。
各種特性評価結果を表1に示す。
Figure 2008305620
表1に示すように、実施例1〜4の各エナメル線は、粗化処理面を有する導体の周りに2層で構成される絶縁皮膜を有し、導体に接する最内絶縁皮膜がシランカップリング剤皮膜であり、最外絶縁皮膜がポリエステルイミド膜であり、最内絶縁皮膜の膜厚が、絶縁皮膜全体の膜厚の5%以下である。また、平均表面粗さRaが0.2〜1.0μmの粗化処理面を有する導体の外周に、最内絶縁皮膜としてシランカップリング剤皮膜を設けることで、粗化処理・化学処理による密着性向上により導体と絶縁皮膜との剥離強度は300N/m以上となった。
また、最内絶縁皮膜となるシランカップリング剤は、最外絶縁皮膜となるポリエステルイミド中に存在するチタン系触媒の硬化作用を阻害することなく、エナメル線用塗料の硬化を促進し、硬化後は鉛筆硬度が6H以上と高く、曲げ加工等の耐性に優れた絶縁皮膜を形成することが可能である。
本発明の一実施形態を示す絶縁電線の断面図である。 本発明の一実施形態を示す絶縁電線の断面図である。
符号の説明
1 絶縁電線
2 導体
3 絶縁皮膜
4 最内絶縁皮膜
5 最外絶縁皮膜

Claims (8)

  1. 導体と、該導体の外周にシランカップリング剤を塗布して形成された最内絶縁皮膜と上記最内絶縁皮膜上にエナメル線塗料を塗布、焼き付けして形成された最外絶縁皮膜とからなる絶縁皮膜とを備えることを特徴とする絶縁電線。
  2. 上記最内絶縁皮膜の膜厚が上記絶縁皮膜全体の膜厚の5%以下であることを特徴とする請求項1記載の絶縁電線。
  3. 上記最外絶縁皮膜が、ポリエステルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂のいずれかの材料により形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の絶縁電線。
  4. 上記導体の平均表面粗さRaが0.2〜1.0μmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の絶縁電線。
  5. 上記導体から上記絶縁皮膜を剥離させる剥離強度が300N/m以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の絶縁電線。
  6. 上記シランカップリング剤が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのいずれかであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の絶縁電線。
  7. 上記最外絶縁皮膜は、JIS S 6006による鉛筆硬度で6H以上を有することを特徴とする請求項1〜6記載の絶縁電線。
  8. 上記導体は、平角導体であることを特徴とする請求項1〜7記載の絶縁電線。
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