JP2001319526A - 絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
の厚さが薄くても従来の絶縁皮膜が厚い場合と同等以上
の優れた絶縁性能を有し、モーターや変圧器などのコイ
ル用として好適な絶縁電線を提供する。 【解決手段】 カルボキシル基および/または酸無水物
基を末端に有するポリアミドイミド樹脂にグリシジルエ
ーテル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン
部分縮合物を反応させてなるシラン変性ポリアミドイミ
ド樹脂を導体上に直接あるいは他の絶縁層を介して塗布
焼き付けた絶縁電線。
Description
などのコイル用として好適な絶縁性能が良好で、耐加工
性に優れた絶縁電線に関する。
種の電気機器に組み込まれたコイルの用途に大量に使用
されている。それはモーターや変圧器に代表される電気
機器に特に多く使用されている。近年、これらの機器の
小型化及び高性能化が進展し、絶縁電線を非常に狭い部
分へ押しこんで使用する様な使い方が多く見られるよう
になった。具体的には、ステータースロット中に何本の
電線が入れられるかで、そのモーターなどの回転機の性
能が決定するといっても過言ではなく、その結果、ステ
ータースロット断面積に対する全導体の断面積(各電線
の導体断面積の合計)の比率(占積率)が近年非常に高
くなってきている。ステータースロットの内部に、丸断
面の絶縁電線を細密充填した場合、デッドスペースとな
る空隙やあるいは絶縁皮膜の断面積が大きいと占積率を
高くするには障害となる。このため、絶縁電線をコイル
巻線加工する際には、丸断面の電線が変形するほど、ス
テータースロットへの電線の押し込みをおこない、少し
でも占積率の向上を行おうとしているが、やはり絶縁皮
膜の断面積を非常に小さくすることは、その電気的な性
能(絶縁破壊特性など)を犠牲にする恐れがあるため、
行われなかった。
して、ごく最近では導体の断面形状が四角型(正方形や
長方形)に類似した平角線の絶縁電線を使用することが
試みられている。平角線の使用は、占積率の向上には劇
的な効果を示すが、平角導体上に絶縁皮膜を均一に塗布
する事が難しく、特に断面積の小さい絶縁電線には絶縁
皮膜の厚さの制御が難しいことから、あまり普及してい
ない。平角巻線に関しては、その製造方法や絶縁材料に
関して幾つかの提案がなされている。たとえば、特開2
000−260233号公報にはポリエステルイミド皮
膜を平角導体に均一に付着させる方法が記載されてお
り、材料面からのアプローチが提案されている。また、
丸導体を使用した従来の絶縁電線でも、皮膜の絶縁性能
を向上させる試みが多く行われており、たとえば、絶縁
皮膜にポリテトラフルオロエチレンなどの低誘電率の樹
脂を用いることは、すでに知られている。しかしなが
ら、これらの低誘電率の樹脂は熱可塑性であることと、
さらにエナメル線のような皮膜を薄く形成することが困
難であり、エナメル線分野に使用されることはなかっ
た。
ワニス中に、金属酸化物(たとえば酸化チタンやシリカ
など)の微粒子を添加する方法が従来行われており、そ
の結果、絶縁破壊電圧の向上はみられないものの、高周
波領域(たとえば1kHz以上)でのコロナの発生が低
下することは知られている。このコロナの発生が押さえ
られたにもかかわらず、絶縁破壊電圧が向上しない原因
は、ワニス中へ金属酸化物微粒子を添加する際に金属酸
化物の微粒子の表面に酸素などの空気成分を巻き込んで
しまい、その部分が誘電体となってしまうために絶縁破
壊電圧の向上が見られないためと推定されている。ま
た、モーターやトランスのコイル巻を行う場合に必要な
絶縁皮膜の特性として、皮膜の耐加工性能がある。これ
は、前述したコイル加工工程において、電線皮膜に損傷
があると電気絶縁性能が低下してしまう事による。
としては各種の方法が考えられている。例えば、絶縁皮
膜に潤滑性を付与して摩擦係数を下げコイル加工時の外
傷を少なくする方法や、絶縁皮膜と電気導体間の密着性
を向上させてその皮膜が導体から剥離する事を防止して
絶縁皮膜が元来有する電気絶縁性能を保持させる方法な
どである。前者の潤滑性能を付与させる方法は、電線の
表面にワックスなどの潤滑剤を塗布する方法や、絶縁皮
膜中に潤滑剤を添加して電線の製造時にその潤滑剤を電
線表面にブリードアウトさせて潤滑性能を付与させる方
法等が旧来採られており、その実際に適用された例は多
い。しかしながら、この潤滑性能を付与させる方法は、
電線皮膜自体の機械強度を向上させる訳ではないので、
外傷要因に対しては効果があるように見えるが、実際に
はその効果には限界があった。
は、従来から各種の方法が提案されている。そのための
絶縁塗料の具体例として、1)ポリアミドイミド樹脂、
アルコキシ変性アミノ樹脂、ベンゾトリアゾールからな
る耐熱性塗料(特開平3−37283号公報)、2)ポ
リアミドイミド樹脂、トリアルキルアミンからなる塗料
(特開平6−111632号公報)などが提案されてい
る。これらの手法を用いた電線は、往復摩耗試験(電線
に比較的低い荷重をかけ、ビーズ針で皮膜を擦る試験)
においては効果が見られる。しかしながら、一方向摩耗
試験(JIS C3003に規定されている試験;電線
に漸次荷重をかけながらピアノ線で皮膜を引っかく試
験)では十分な効果が認められない。近年は後者の試験
法が皮膜損傷試験として重要視されている。また、密着
性向上の手法のみを採用した電線は、皮膜厚を薄くして
いくと往復摩耗値が低下してしまい、密着性向上の手法
を用いない従来の電線とほぼ同レベルになることが多か
った。一方、樹脂の分子構造の観点から分子中に剛直な
構造を多く導入して皮膜強度を向上させ、皮膜の加工傷
を減少させる方法も提案されており、特開平6−196
025号公報には引張強度、引張弾性率を規定した絶縁
皮膜を有する絶縁電線が記載されている。このような電
線は一方向摩耗試験では著しい効果が見られ、また、薄
肉化してもコイル加工時の皮膜の損傷を防ぐことが可能
である。しかしながら、このような絶縁電線は、伸長後
の可とう性および熱履歴を受けた後の可とう性のレベル
が従来の電線に比較して低く、特に厳しい曲げ加工を受
けたときに可とう性が十分でないので、皮膜に亀裂、割
れが発生する恐れがあった。
性能と耐加工性に優れ、特に、絶縁皮膜の厚さが薄くて
も従来の絶縁皮膜が厚い場合と同等以上の優れた絶縁性
能を有し、モーターや変圧器などのコイル用として好適
な絶縁電線を提供することにある。
縁電線の絶縁皮膜が絶縁破壊を起こす理由を調査した結
果、絶縁破壊に対して耐性のある材料、すなわち固体誘
電率が低くかつ絶縁破壊電圧が高い絶縁皮膜材料として
特定のシラン変性ポリアミドイミド樹脂を塗布焼付けし
た絶縁皮膜が、その絶縁皮膜を有してなる絶縁電線の絶
縁性能と耐加工性能の向上に大きく寄与することを見出
し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。 (1) カルボキシル基および/または酸無水物基を末
端に有するポリアミドイミド樹脂にグリシジルエーテル
基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮
合物を反応させてなるシラン変性ポリアミドイミド樹脂
を導体上に直接あるいは他の絶縁層を介して塗布焼き付
けたことを特徴とする絶縁電線。 (2) 前記グリシジルエーテル基含有アルコキシもし
くはアリールオキシシラン部分縮合物がグリシドールと
アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物と
の脱アルコール反応によって得られるものであることを
特徴とする(1)項記載の絶縁電線。 (3) 前記シラン変性ポリアミドイミド樹脂はケイ素
含有量が1〜15質量%であることを特徴とする(1)
または(2)項記載の絶縁電線。 (4) ケイ素含有量が1〜15質量%であるシラン変
性ポリアミドイミド樹脂を導体上に直接あるいは他の絶
縁層を介して塗布焼き付けしたことを特徴とする絶縁電
線。
する。本発明において絶縁皮膜を形成するために用いら
れるシラン変性ポリアミドイミド樹脂のベース樹脂とな
るポリアミドイミド樹脂としては、その末端にカルボキ
シル基および/または酸無水物基を有するものであれば
特に制限はなく、常法により、例えば極性溶媒中でトリ
カルボン酸無水物とジイソシアネート類を直接反応させ
て得たもの、あるいは、極性溶媒中でトリカルボン酸無
水物にジアミン類を先に反応させて、まずイミド結合を
導入し、ついでジイソシアネート類でアミド化して得た
ものなどを用いることができる。
トリカルボン酸無水物としては、通常、トリメリット酸
無水物が好ましく用いられる。この場合、トリカルボン
酸無水物の一部量をテトラカルボン酸無水物に置き換え
て反応させてもよい。このときのテトラカルボン酸無水
物としては例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物な
どを用いることができる。また、トリカルボン酸無水物
の一部量を他の酸または酸無水物、例えばトリメリット
酸、イソフタル酸、テレフタル酸などに置き換えてもよ
い。一方、トリカルボン酸無水物と反応させるジイソシ
アネート類としては、例えば、4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の
芳香族ジイソシアネート類が挙げられ、ジアミン類とし
てはm−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフ
ェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,
4’−ジアミノベンゾフェノン等の芳香族ジアミン類が
挙げられる。また、イミド化にはN,N’−ジメチルホ
ルムアミドを用いてもよい。また、極性溶媒としてはN
−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられるが、好ま
しくはN−メチル−2−ピロリドンを用いることができ
る。
(ベース樹脂)溶液に、グリシドールとアルコキシもし
くはアリールオキシシラン部分縮合物の脱アルコール反
応物であるグリシジルエーテル基含有アルコキシもしく
はアリールオキシシラン部分縮合物を添加し、前記ポリ
アミドイミド樹脂とグリシジルエーテル基含有アルコキ
シもしくはアリールオキシシラン部分縮合物とを反応さ
せることにより、シラン変性ポリアミドイミド樹脂を得
ることができる。このシラン変性ポリアミドイミド樹脂
の調製の方法としては後述の方法を代表的な例として挙
げることができる。
リールオキシシラン部分縮合物は通常知られているいず
れのものでも良い。本発明におけるアルコキシもしくは
アリールオキシシラン部分縮合物は、例えば、少なくと
も2個のアルコシキもしくはアリールオキシシラン化合
物が、脱アルキルエーテル反応によって縮合して生成し
た線状縮合物(例えばメトキシオルガノシロキサン)で
あり、縮合するアルコシキもしくはアリールオキシシラ
ン化合物は互いに同じでも異なっていてもよい。アルコ
キシシラン部分縮合物のアルコキシ基は、好ましくは炭
素数1〜6、より好ましくは1〜4のアルコキシ基であ
り、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブチル
オキシなどがあげられる。またアリールオキシ基は、好
ましくは炭素数6〜10、より好ましくは6〜8のアリ
ールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ、ジメチ
ルフェニルオキシ、メチルフェニルオキシなどがあげら
れる。これらのアルコキシ基、アリールオキシ基は、そ
の上にさらに置換基を有していてもよい。具体例を挙げ
れば、メトキシポリオルガノシロキサン、エトキシポリ
オルガノシロキサン、フェニルオキシポリオルガノシロ
キサンなどの縮合物が挙げられ、そのほかにも、フェニ
ルオキシオルガノシロキサンとメトキシオルガノシロキ
サンの共重合物等も使用できる。テトラメトキシシラン
の部分縮合物であるメトキシオルガノシロキサンの市販
品の代表的な例として多摩化学工業(株)製の「Mシリ
ケート51」(商品名)が挙げられる。
ラン部分縮合物の1分子中におけるケイ素(Si)の平
均個数は2〜100であることが好ましい。Siの平均
個数が2未満であると、グリシドールとの反応の際、溶
媒として用いるアルコールとともに反応せずに系外へ溜
出するアルコキシもしくはアリールオキシシランの量が
多くなりすぎる場合がある。また、Siの平均個数が1
00を越えると、グリシドールとの反応性が悪くなり、
目的とするグリシジルエーテル基含有アルコキシもしく
はアリールオキシシラン部分縮合物が得られにくい場合
がある。入手の容易性を考慮すると、1分子あたりのS
iの平均個数は3〜20がさらに好ましい。
シシラン部分縮合物とグリシドールの脱アルコール反応
はたとえば以下のような方法を用いることができる。テ
トラメトキシシラン部分縮合物(1分子中のSiの平均
個数4)1モルに対してグリシドールを2モル添加し、
バルク条件で120℃程度まで加熱することにより、ア
ルコールの生成が見られる。このアルコールを系外へ溜
去しながら反応を継続することによりグリシジルエーテ
ル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分
縮合物であるメトキシテトラオルガノシロキサン−ジグ
リシジルエーテルを得ることができる。この反応にて生
成したグリシジルエーテル基含有アルコキシもしくはア
リールオキシシラン部分縮合物は、1分子中にグリシジ
ル基を2個含むものである。このとき、反応触媒として
有機錫系の触媒を用いると反応が早く進行するため好ま
しい。
キシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物をポリア
ミドイミド樹脂に反応させるには、例えば、以下の方法
により行うことができる。ポリアミドイミド樹脂を25
質量%にてN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶
液200gと前述の方法にて作成したメトキシテトラオ
ルガノシロキサン−ジグリシジルエーテル5.17gと
を適当な加熱可能な容器にて混合しながら95℃に昇温
させた。95℃にて4時間反応させ、その後N−メチル
−2−ピロリドンを5.17g加えて冷却し、不揮発分
25%のシラン変性ポリアミドイミド樹脂溶液を得るこ
とができる。この場合、ケイ素含有量は4.29質量%
となる。
樹脂中のケイ素の含有量は1質量%以上15質量%以下
が好ましい。ケイ素含有量が少なすぎると、そのシラン
変性ポリアミドイミド樹脂を塗布焼付けて絶縁電線とし
たときの効果、特に電線の耐傷性向上がほとんど得られ
ず、従来の絶縁皮膜と同等にしかならない場合がある。
また、このケイ素の含有量が多すぎると、焼き付けによ
り得られる絶縁電線の外観が良好ではなく、表面に微細
な荒れが生じるために電線としての電気特性に悪影響を
及ぼす場合がある。この点を考慮してそのケイ素含有量
を適宜定める。このケイ素含有量は、樹脂の合成時点で
のモル分比により概ね判断することができる。正確に
は、固体NMRを用いて29Siの共鳴スペクトルを用
いる方法で求めることができる。この際、ポリジメチル
シロキサン(−34ppm)を標準試料として用いるこ
とが一般的である。
ドイミド樹脂を導体上にそのまま塗布焼き付けする方法
や、導体上に他の絶縁物を介して、シラン変性ポリアミ
ドイミド樹脂を塗布焼き付けすることにより製造するこ
とができる。また、たとえばシラン変性ポリアミドイミ
ド樹脂を絶縁物の中間層に使用することも可能であり、
その場合は、下層に公知のポリアミドイミド樹脂を1層
以上塗布し、その後シラン変性ポリアミドイミド樹脂を
1層塗装したのち、さらにその上層にポリアミドイミド
樹脂を塗装することが好ましい。導体上に他の絶縁物を
介してシラン変性ポリアミドイミド樹脂を塗装する場合
の他の絶縁物については通常絶縁電線に使用されている
材料ならば特に制限はなく、その一例としてポリエステ
ル、耐熱変性ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステ
ルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を例示する
ことができる。またシラン変性ポリアミドイミド樹脂を
導体上に塗装する場合、その樹脂自体に自己潤滑性を持
たせることも可能である。自己潤滑の方法は公知の方法
でよく、例えば、樹脂溶液中にポリエチレンワックスを
添加する方法がもっとも一般的である。
ド樹脂層の厚さは単独で直接導体上に形成するか、ある
いは他の絶縁層を介して設けるかなどにより異なり特に
制限はないが、好ましくは0.001〜0.040m
m、より好ましくは0.002〜0.012mmであ
る。シラン変性ポリアミドイミド樹脂の塗布後の焼付処
理は従来の塗布焼付処理と同様の条件で行うことができ
る。焼付処理温度は、通常400〜550℃であり、好
ましくは480〜530℃である。またシラン変性ポリ
アミドイミド樹脂の塗布焼付処理としては、該樹脂を1
回塗布後に1回当たりの焼付処理時間が通常15秒〜1
分、好ましくは20秒〜25秒の処理を、通常6回以
上、好ましくは15回もしくはそれ以上繰返す複数回塗
布焼付処理として行うことが好ましい。このような複数
回塗布焼付処理において、全塗布焼付時間は、通常1分
30秒〜15分である。本発明で用いたシラン変性ポリ
アミドイミド樹脂それ自体は、荒川化学工業(株)の開発
したものであり、同社の方法に従って合成したものであ
る。本発明においては、シラン変性ポリアミドイミド樹
脂を導体上に塗布焼付けすることにより、該樹脂のアル
コキシシリル基もしくはアリールオキシシリル基から形
成されるシリカ(SiO2)部位、すなわちシロキサン結
合の高次網目構造が絶縁皮膜中に形成される。このよう
なシリカ部位により、得られる絶縁皮膜は誘電率が低い
ものとなると考えられる。
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
ル容の4つ口フラスコに撹拌機、冷却管、塩化カルシウ
ム管を取りつけ、無水トリメリット酸192g(1モ
ル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート2
50g(1モル)、N−メチル−2−ピロリドン663
gを仕込み、80℃で2時間、昇温して140℃で5時
間反応させた。その後50℃まで冷却し、N,N’−ジ
メチルホルムアミド163gを加えた。これにより樹脂
濃度30%のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
ラン部分縮合物の作成(1))1リットル容の4つ口フ
ラスコに撹拌機、冷却管、縮合管を取りつけ、グリシド
ール148.16g(2モル)、テトラメトキシシラン
部分縮合物(Siの平均個数4)を474.10g(平
均分子量として1モル)を仕込み、窒素気流下にて攪拌
しながら90℃まで昇温した。90℃に昇温後、触媒と
してジブチル錫ジラウレート0.70gを添加し、その
まま反応させた。反応中の副生成物として生じたメタノ
ールは分溜管を使用して除去し、メタノールの溜出が5
0gに達した時点で、室温まで冷却した。この間の反応
時間は、90℃で4時間であった。室温まで冷却後、減
圧によって残りのメタノールを除去し、メタノールの溜
出量は合計で64.0gであった。その結果、558.
26gのグリシジルエーテル基含有アルコキシシラン部
分縮合物(a)を得た。この縮合物(a)の「生成物1
分子あたりの平均Si個数/生成物1分子あたりのオキ
シラン環(Si上のグリシジルオキシ基)の平均個数」
は2であった。
ラン部分縮合物の作成(2))前述の(1)と同様に、
グリシドール74.08g(1モル)、テトラメトキシ
シラン部分縮合物(Siの平均個数10)369.07
g(1/3モル)を仕込み、窒素気流下にて攪拌しなが
ら90℃まで昇温した。90℃に昇温後、触媒としてジ
ブチル錫ジラウレート0.70gを添加し、そのまま反
応させた。反応中の副生成物として生じたメタノールは
分溜管を使用して除去し、メタノールの溜出が20gに
達した時点で、室温まで冷却した。この間の反応時間
は、90℃で6時間であった。室温まで冷却後、減圧に
よって残りのメタノールを除去し、メタノールの溜出量
は合計で32.0gであった。その結果、411.15
gのグリシジルエーテル基含有アルコキシシラン部分縮
合物(b)を得た。この縮合物(b)の「生成物1分子
あたりの平均Si個数/生成物1分子あたりのオキシラ
ン環の平均個数」は3であった。
(1))1リットル容の4つ口フラスコに撹拌機、冷却
管を取り付け、ポリアミドイミド樹脂の作成の項で作成
したポリアミドイミド樹脂溶液500gにグリシジルエ
ーテル基含有アルコキシシラン部分縮合物の作成(1)
で作成したグリシジルエーテル基含有アルコキシシラン
部分縮合物(a)を5.17g添加し、95℃にて4時
間攪拌した。これにより、シラン変性ポリアミドイミド
樹脂(ケイ素含有量4.29%)(AI−1)を得た。
(2))1リットル容の4つ口フラスコに撹拌機、冷却
管を取り付け、ポリアミドイミド樹脂の作成の項で作成
したポリアミドイミド樹脂溶液500gにグリシジルエ
ーテル基含有アルコキシシラン部分縮合物の作成(1)
で作成したグリシジルエーテル基含有アルコキシシラン
部分縮合物(a)を2.58g添加し、95℃にて4時
間攪拌した。これにより、シラン変性ポリアミドイミド
樹脂(ケイ素含有量2.15%)(AI−2)を得た。
表2、3のケイ素含有量は仕込み時のシロキサンとポリ
アミドイミドの樹脂モル比から計算で求めた数値であ
る。
(3〜6))1リットル容の4つ口フラスコに撹拌機、
冷却管を取り付け、ポリアミドイミド樹脂の作成の項で
作成したポリアミドイミド樹脂溶液500gにグリシジ
ルエーテル基含有アルコキシシラン部分縮合物の作成
(2)で作成したグリシジルエーテル基含有アルコキシ
シラン部分縮合物(b)を添加し、95℃にて4時間攪
拌した。これにより、シラン変性ポリアミドイミド樹脂
(AI−3〜6)を得た。
て作成したシラン変性ポリアミドイミド樹脂を導体上に
塗布焼き付けを行い、所望の絶縁電線を得た。絶縁電線
の作成は以下のとおり行った。絶縁電線の導体は直径
1.0mmの銅線を用い、樹脂の焼き付けは炉長7mで
雰囲気温度500℃の熱風循環方式の焼付け炉を用いて
複数回塗布焼付けして、所定の皮膜厚さの絶縁皮膜を形
成した。絶縁皮膜としては、実施例1〜5、比較例1で
は単一層の絶縁層とした。一方、実施例6、7では上下
二層の絶縁層を設けた。なお、上下二層の絶縁層の厚さ
は、表5中に、皮膜厚さの後にカッコ書きで厚さの比と
して記載した。先に調製したシラン変性ポリアミドイミ
ド樹脂塗料(AI−1〜AI−6)を絶縁層形成に用い
た。さらに比較として使用した絶縁塗料は、ポリアミド
イミド樹脂として日立化成(株)製HI−406および
HI−406A(いずれも商品名)をそれぞれ使用し
た。
コ中に、キシレン27gおよびポリエチレンワックス
(三井化学製ポリエチレンワックス400P、商品名)
を3g入れ、120℃にて1時間攪拌した。液が透明で
均質となったら、攪拌しながら急激に冷却し、ポリエチ
レンワックスディスパージョン(30g)を作成した。
先に調整したシラン変性ポリアミドイミド樹脂(AI−
3)500g中に、このポリエチレンワックスディスパ
ージョン(30g)を入れ、十分に攪拌してポリアミド
イミド樹脂中にポリエチレンワックスが分散するように
して、自己潤滑ワニスを製造した。この自己潤滑ワニス
を用いて実施例6と同様にして絶縁電線とした。
得られた各種絶縁電線の耐傷性評価を、次のような試験
法により評価した。 (一方向摩耗試験):JIS C3003の10項記載
の試験を実施した。結果はN単位で表示し、数値が高い
もの程、皮膜が剥離しづらいことを示す。 (衝撃落下試験):試験用絶縁電線の直径より浅いV溝
を表面に設けた金属板のV溝上に絶縁電線を固定し、そ
の絶縁電線の長手方向に対して直角となるように、先端
角度55゜、先端の曲率r=0.5とした刃先で全体荷
重が100g、500g、1000gの衝撃荷重を水平
に対して45゜の角度から荷重の落下長(実際の荷重の
移動長)を370mmとして落下させたときの、電線の
絶縁皮膜の破壊状況を電線の傷部分の漏れ電流試験にて
評価した。漏れ電流試験の方法は、JIS C3003
記載のピンホール試験方法に準じて電極の正負を逆にし
て実施し、検出には電流計を用いた。導体を正極、水側
を負極とし、その間に12Vの電圧を印加して、漏れ電
流の値を電流計から読みとった。その数値が大きいほど
傷がつきやすいことを示す。なお、耐外傷性の判断は衝
撃落下試験、一方向摩耗試験の両方の結果から判断し
た。これらの結果を表4および表5に示した。
高い皮膜破壊強度を示している。これに対し、比較例1
の電線の場合、本発明におけるシラン変性ポリアミドイ
ミド樹脂層がないため、高荷重がかかった場合にかかる
力を分散させることができず、一気に導体まで傷が進行
してしまい、目的とする耐加工性の一指標である皮膜破
壊強度を得ることができなかったと判断出来る。
から5と比較例1にて得られた各種絶縁電線の電気絶縁
性能評価を、次のような試験法により評価した。 (絶縁破壊電圧):JIS C3003の記載の試験を
実施した。結果はkV単位で表示し、数値が高いもの
程、絶縁破壊電圧が高いことを意味する。また絶縁破壊
電圧と形成された絶縁皮膜の厚さとの関係も両者の比と
して併せて示した。 (誘電率):形成された絶縁皮膜の誘電率を測定した。
誘電率の測定には、LCRメーターを使用し、測定周波
数を1kHzとした。また測定温度は、室温(25℃)
および100℃とした。結果を表6に示す。
し、過酷なコイル巻線加工の条件下で高い負荷がかかっ
ても絶縁皮膜の破壊が起こることが無くかつ皮膜の割れ
が生じにくいことから、絶縁不良を起こしにくい。さら
に本発明の絶縁電線は高い絶縁破壊電圧を有し、皮膜厚
さを薄くしても絶縁破壊しない優れた絶縁特性を有す
る。また、本発明の絶縁電線に用いられる絶縁皮膜は、
誘電率としてポリイミドと同等程度の低い数値を有して
いる。これらのことから、本発明の絶縁電線をトランス
やモーターなどに使用した場合、高い占積率下で使用で
き、さらにそのような環境下で絶縁不良を起こしにく
い。このため本発明の絶縁電線によれば、信頼性の高い
コイルが提供でき、コイルを用いる機器全体の小型化、
低コスト化、信頼性向上に寄与するという優れた効果を
奏する。
Claims (4)
- 【請求項1】 カルボキシル基および/または酸無水物
基を末端に有するポリアミドイミド樹脂にグリシジルエ
ーテル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン
部分縮合物を反応させてなるシラン変性ポリアミドイミ
ド樹脂を導体上に直接あるいは他の絶縁層を介して塗布
焼き付けたことを特徴とする絶縁電線。 - 【請求項2】 前記グリシジルエーテル基含有アルコキ
シもしくはアリールオキシシラン部分縮合物がグリシド
ールとアルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮
合物との脱アルコール反応によって得られるものである
ことを特徴とする請求項1記載の絶縁電線。 - 【請求項3】 前記シラン変性ポリアミドイミド樹脂は
ケイ素含有量が1〜15質量%であることを特徴とする
請求項1または2記載の絶縁電線。 - 【請求項4】 ケイ素含有量が1〜15質量%であるシ
ラン変性ポリアミドイミド樹脂を導体上に直接あるいは
他の絶縁層を介して塗布焼き付けしたことを特徴とする
絶縁電線。
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- 2001-02-28 JP JP2001055781A patent/JP4844992B2/ja not_active Expired - Lifetime
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