JP4974156B2 - 絶縁電線 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁電線に関し、特に機械加工用モータに供される耐インバータサージ巻線として好適な絶縁電線に関する。
近年、インバータは効率的な可変速制御装置として、多くの電気機器に取り付けられるようになってきている。インバータ制御の場合、インバータから発生する高いサージ電圧よるコロナ放電によって絶縁層の劣化を促進してしまうという問題があった。
そこで、従来においては、絶縁物のコロナ放電に対する抵抗性、すなわち耐コロナ性を高めて絶縁破壊に至るまでの寿命時間を延ばす手段として、耐コロナ放電劣化性のある絶縁層を設けることが行われてきた。一般に、無機物粒子を配合した樹脂組成物で絶縁層を構成することなどが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、機械加工用モータに供される耐インバータサージ巻線を形成する絶縁電線は、切削加工時に使用されるエマルジョンタイプの切削油(強アルカリ性の場合も有る)に曝されると被覆樹脂が分解・侵食され通電寿命が激減すると言う問題があった。
特開平9−204823号公報
本発明の目的は、耐アルカリ性と耐インバータサージ性を両立した絶縁電線を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、無機フィラー表面を、ベース樹脂と反応する官能基を有するカップリング剤を用いて有機化することで、ベース樹脂−無機フィラー間の結合を強固なものにし、アルカリ性に本質的に弱いポリアミドイミド樹脂を用いても、耐インバータサージ特性を維持しつつ、アルカリ性溶液に耐性を持たせることが可能になることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)導体上に絶縁層が形成された絶縁電線であって、該絶縁層の少なくとも1層を構成する樹脂組成物はシラン変性ポリアミドイミド樹脂をベース樹脂とし、かつ有機シラン剤で処理された無機化合物粒子を含有し、前記有機シラン剤がクロロトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザンおよびジクロロジメチルシランから選ばれた少なくとも1種であり、前記無機化合物粒子がシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、クレーおよびタルクから選ばれた少なくとも1種であって、かつ前記無機化合物粒子の樹脂組成物中の含有量が、前記ベース樹脂100質量部に対して10〜40質量部であることを特徴とする絶縁電線、
(2)前記シラン変性ポリアミドイミド樹脂をベース樹脂としかつ前記無機化合物粒子を含有する絶縁層が、最外層以外の層に形成されたことを特徴とする(1)項記載の絶縁電線、および
(3)前記シラン変性ポリアミドイミド樹脂はカルボキシル基および/または酸無水物基を末端に有するポリアミドイミド樹脂にグリシジルエーテル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物を反応させてなることを特徴とする(1)または(2)に記載の絶縁電線、
を提供するものである。
本発明の絶縁電線は、無機フィラー表面の有機化と反応性官能基の導入により、耐インバータサージ巻線における耐アルカリ性が向上した。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において絶縁層を形成するベース樹脂に含有されるシラン変性ポリアミドイミド樹脂に用いられるポリアミドイミド樹脂としては、その末端にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するものであれば特に制限はなく、常法により、例えば極性溶媒中でトリカルボン酸無水物とジイソシアネート類を直接反応させて得たもの、あるいは、極性溶媒中でトリカルボン酸無水物にジアミン類を先に反応させて、まずイミド結合を導入し、ついでジイソシアネート類でアミド化して得たものなどを用いることができる。
このポリアミドイミド樹脂の調製に用いるトリカルボン酸無水物としては、通常、トリメリット酸無水物が好ましく用いられる。この場合、トリカルボン酸無水物の一部量をテトラカルボン酸無水物に置き換えて反応させてもよい。このときのテトラカルボン酸無水物としては例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などを用いることができる。また、トリカルボン酸無水物の一部量を他の酸または酸無水物、例えばトリメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸などに置き換えてもよい。一方、トリカルボン酸無水物と反応させるジイソシアネート類としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類が挙げられ、ジアミン類としてはm−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等の芳香族ジアミン類が挙げられる。また、イミド化にはN,N’−ジメチルホルムアミドを用いてもよい。また、極性溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられるが、好ましくはN−メチル−2−ピロリドンを用いることができる。
このようにして得たポリアミドイミド樹脂(ベース樹脂)溶液に、グリシドールとアルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物の脱アルコール反応物であるグリシジルエーテル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物を添加し、前記ポリアミドイミド樹脂とグリシジルエーテル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物とを反応させることにより、シラン変性ポリアミドイミド樹脂を得ることができる。このシラン変性ポリアミドイミド樹脂の調製の方法としては後述の方法を代表的な例として挙げることができる。
本発明に用いられるアルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物は通常知られているいずれのものでも良い。本発明におけるアルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物は、例えば、少なくとも2個のアルコシキもしくはアリールオキシシラン化合物が、脱アルキルエーテル反応によって縮合して生成した線状縮合物(例えばメトキシオルガノシロキサン)であり、縮合するアルコシキもしくはアリールオキシシラン化合物は互いに同じでも異なっていてもよい。アルコキシシラン部分縮合物のアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは1〜4のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブチルオキシなどがあげられる。またアリールオキシ基は、好ましくは炭素数6〜10、より好ましくは6〜8のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ、ジメチルフェニルオキシ、メチルフェニルオキシなどがあげられる。これらのアルコキシ基、アリールオキシ基は、その上にさらに置換基を有していてもよい。具体例を挙げれば、メトキシポリオルガノシロキサン、エトキシポリオルガノシロキサン、フェニルオキシポリオルガノシロキサンなどの縮合物が挙げられ、そのほかにも、フェニルオキシオルガノシロキサンとメトキシオルガノシロキサンの共重合物等も使用できる。テトラメトキシシランの部分縮合物であるメトキシオルガノシロキサンの市販品の代表的な例として多摩化学工業(株)製の「Mシリケート51」(商品名)が挙げられる。
このアルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物の1分子中におけるケイ素(Si)の平均個数は2〜100であることが好ましい。Siの平均個数が2未満であると、グリシドールとの反応の際、溶媒として用いるアルコールとともに反応せずに系外へ溜出するアルコキシもしくはアリールオキシシランの量が多くなりすぎる場合がある。また、Siの平均個数が100を越えると、グリシドールとの反応性が悪くなり、目的とするグリシジルエーテル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物が得られにくい場合がある。入手の容易性を考慮すると、1分子あたりのSiの平均個数は3〜20がさらに好ましい。
これらのアルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物とグリシドールの脱アルコール反応はたとえば以下のような方法を用いることができる。テトラメトキシシラン部分縮合物(1分子中のSiの平均個数4)1モルに対してグリシドールを2モル添加し、バルク条件で120℃程度まで加熱することにより、アルコールの生成が見られる。このアルコールを系外へ溜去しながら反応を継続することによりグリシジルエーテル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物であるメトキシテトラオルガノシロキサン−ジグリシジルエーテルを得ることができる。この反応にて生成したグリシジルエーテル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物は、1分子中にグリシジル基を2個含むものである。このとき、反応触媒として有機錫系の触媒を用いると反応が早く進行するため好ましい。
得られたグリシジルエーテル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物をポリアミドイミド樹脂に反応させるには、例えば、以下の方法により行うことができる。ポリアミドイミド樹脂を25質量%にてN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶液200gと前述の方法にて作成したメトキシテトラオルガノシロキサン−ジグリシジルエーテル5.17gとを適当な加熱可能な容器にて混合しながら95℃に昇温させた。95℃にて4時間反応させ、その後N−メチル−2−ピロリドンを5.17g加えて冷却し、不揮発分25%のシラン変性ポリアミドイミド樹脂溶液を得ることができる。この場合、ケイ素含有量は4.29質量%となる。
本発明に用いられるシラン変性ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂に対して3−アミノプロピルトリメトキシシランを反応させて得られたものであってもよい。ポリアミドイミド樹脂と3−アミノプロピルトリメトキシシランの反応は、たとえば以下のような方法を用いることができる。ポリアミドイミド樹脂を25質量%にてN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶液200gと3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.5gとを適当な加熱可能な容器にて混合しながら95℃に昇温させた。95℃にて4時間反応させ冷却し、不揮発分25%のシラン変性ポリアミドイミド樹脂溶液を得ることができる。
本発明での、シラン変性ポリアミドイミド樹脂中のケイ素の含有量は1質量%以上15質量%以下が好ましい。ケイ素含有量が少なすぎると、そのシラン変性ポリアミドイミド樹脂を塗布焼付けて絶縁電線としたときの効果、特に電線の耐傷性向上がほとんど得られず、従来の絶縁皮膜と同等にしかならない場合がある。また、このケイ素の含有量が多すぎると、焼き付けにより得られる絶縁電線の外観が良好ではなく、表面に微細な荒れが生じるために電線としての電気特性に悪影響を及ぼす場合がある。この点を考慮してそのケイ素含有量を適宜定める。
このケイ素含有量は、樹脂の合成時点でのモル分比により概ね判断することができる。正確には、固体NMRを用いて29Siの共鳴スペクトルを用いる方法で求めることができる。この際、ポリジメチルシロキサン(−34ppm)を標準試料として用いることが一般的である。
本発明において絶縁層を形成するベース樹脂には、上記のシラン変性ポリアミドイミド樹脂以外の樹脂(例えば、日立化成製ポリアミドイミド樹脂HI−4064)を、98質量%以下含有させることができる。
本発明において絶縁層には、上記のベース樹脂とともにシランカップリング剤で表面処理された無機化合物粒子を含有するものである。
本発明において使用する無機化合物粒子は、シリカ(SiO)、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、クレーおよびタルクから選ばれた少なくとも1種であり、特にシリカ、酸化チタンは樹脂への分散性がよく、粒子が凝集しにくく、絶縁層中にボイドが入りにくく、電気的特性の異常が起こりにくいので好ましい。また、無機化合物粒子は平均粒径0.001〜0.1μmのものが好ましく、0.005〜0.03μmのものがさらに好ましい。大き過ぎては絶縁皮膜の外観が悪くなると共に絶縁皮膜全体としての可撓性も低下する。
本発明において、無機化合物粒子を表面処理するシラン剤としては、クロロトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ジクロロジメチルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。無機化合物粒子を表面処理方法としては、例えば、無機化合物粒子シリカ(球状:一次粒径30nm)10gに対し、シランカップリング剤ジクロロジメチルシラン2gを用いて湿式濾過法により行うことができる。また、表面処理方法には乾式撹拌法を用いることもできる。
また、上記の無機化合物粒子の樹脂組成物の含有量は、絶縁層を形成するシラン変性ポリアミドイミド樹脂含有ベース樹脂100質量部に対して10〜40質量部であり、好ましくは20〜30質量部である。多過ぎては絶縁皮膜全体としての可撓性及び皮膜強度が低下する上、絶縁塗料の粘度が非常に高くなるために製造上で支障をきたし、逆に少な過ぎては絶縁電線の耐コロナ性が不充分となる。
上記無機化合物粒子を含有する絶縁層は良好な耐コロナ性を発揮することから、絶縁電線は耐インバータサージ特性に優れたものとなる。なお、上記の優れた耐コロナ性が発揮されるのは、電線の使用中にコロナ放電が発生した際、その電気力線が中間絶縁層2bの広域に分散することから、該コロナ放電による絶縁皮膜2の侵食が局部に集中せずに緩和され、もって絶縁皮膜2全体としてコロナ放電に起因した絶縁破壊に至るまでの寿命が大幅に延びることによると推定される。
本発明の絶縁電線は、導体上に上記の無機化合物粒子を含有する絶縁層を1層だけ設けたものでも良いし、導体上に複数の絶縁層が設けられ、そのうち少なくとも1層が上記の無機化合物粒子を含有する絶縁層であってもよい。
上記無機化合物粒子を含有する絶縁層が最外層以外の層に形成されたものであることが、耐アルカリ溶剤性が一層向上するとともに、無機化合物粒子の含有層が絶縁皮膜の表面に現れないので電線の外観が良好であるので好ましい。
上記の無機化合物粒子を含有する絶縁層の厚さは、10〜30μmが好ましく、15〜25μmがさらに好ましい。また、絶縁皮膜が多層絶縁層である場合、上記の無機化合物粒子を含有する絶縁層の厚さは、絶縁皮膜全厚の35%を超えることが好ましく、50〜70%がさらに好ましい。
次に、上記の無機化合物粒子を含有する絶縁層とともに多層絶縁層を形成する他の絶縁層の樹脂成分は、従来より絶縁材料として知られる汎用樹脂をいずれも使用可能であり、特に制約はないが、ポリエステル、耐熱変性ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等が好ましく、これらの中から目的とする絶縁電線の種類による必要特性に応じて適宜選択すればよい。
また、本発明の絶縁電線の絶縁層が3層で構成され、上記の無機化合物粒子を含有する絶縁層を中間絶縁層とし、この中間絶縁層を挟む内外両側の絶縁層を実質的に無機化合物粒子を含有しないものとするとで、電線の曲げに伴う絶縁皮膜の変形が比較的軟弱の内外両側の絶縁層にて担われ、絶縁皮膜の可撓性ひいては電線全体としての可撓性が高くなり、もって巻線加工等を行う際の電線の耐加工性が良好となる。また、無機化合物粒子が中間絶縁層に含有され、内側絶縁層は無機化合物粒子を含まないために導体表面との密着性がよく、また中間絶縁層は表面に現れた粒子によるアンカー作用で外側絶縁層と強く一体化することから、絶縁皮膜の耐摩耗性に優れ、巻線加工等の加工時や走線時の表面の引っ掛かりによる絶縁皮膜の削れ、損傷、摺接抵抗による断線等を生じにくい。
また、導体1としては、上記の軟銅線等に限定されるものではなく、従来の絶縁電線に用いられている任意の導体を用いることができる。
本発明の絶縁電線は、無機化合物粒子を含有する樹脂組成物を導体上にそのまま塗布焼き付けする方法や、導体上に他の絶縁物を介して、無機化合物粒子を含有する樹脂組成物を塗布焼き付けすることにより製造することができる。また、たとえば無機化合物粒子を含有する樹脂組成物を絶縁物の中間層に使用することも可能であり、その場合は、下層に公知のポリアミドイミド樹脂を1層以上塗布し、その後無機化合物粒子を含有する樹脂組成物を1層塗装したのち、さらにその上層にポリアミドイミド樹脂を塗装することが好ましい。
導体上に他の絶縁物を介して無機化合物粒子を含有する樹脂組成物を塗装する場合の他の絶縁物については通常絶縁電線に使用されている材料ならば特に制限はなく、その一例としてポリエステル、耐熱変性ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を例示することができる。
また無機化合物粒子を含有する樹脂組成物を導体上に塗装する場合、その樹脂自体に自己潤滑性を持たせることも可能である。自己潤滑の方法は公知の方法でよく、例えば、樹脂溶液中にポリエチレンワックスを添加する方法がもっとも一般的である。
無機化合物粒子を含有する樹脂組成物の塗布後の焼付処理は従来の塗布焼付処理と同様の条件で行うことができる。焼付処理温度は、通常400〜550℃であり、好ましくは480〜530℃である。また無機化合物粒子を含有する樹脂組成物の塗布焼付処理としては、該樹脂を1回塗布後に1回当たりの焼付処理時間が通常15秒〜1分、好ましくは20秒〜25秒の処理を、通常6回以上、好ましくは15回もしくはそれ以上繰返す複数回塗布焼付処理として行うことが好ましい。このような複数回塗布焼付処理において、全塗布焼付時間は、通常1分30秒〜15分である。
本発明で用いたシラン変性ポリアミドイミド樹脂それ自体は、荒川化学工業(株)の開発したものであり、同社の方法に従って合成したものである。
本発明においては、無機粒子化合物の表面を有機化することでアルカリ性水溶液の侵入を阻害させる作用が発現する。また、ベース樹脂と反応する官能基を有するカップリング剤を用いることで、ベース樹脂−無機フィラー間の結合を強固なものにすることで、アルカリ性に本質的に弱いポリアミドイミド樹脂を用いてもアルカリ性溶液に耐性を持たせることが可能になった。
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学製)23gとHI4064(日立化成製ポリアミドイミド樹脂、固形分32%、NMP溶液)917gを95℃加温下で4時間撹拌し、シラン変性ポリアミドイミド樹脂溶液を調製した。シリカをジメチルジクロロシランを用いて表面処理された疎水性シリカ84g(球状:平均一次粒径30nm、トクヤマ製)と上記シラン変性ポリアミドイミド樹脂溶液916gとを室温下で混合して樹脂組成物を得た。0.9mm径の軟銅線の表面に、ポリアミドイミド樹脂溶液を複数回塗布焼付を行うことにより厚さ12μmの皮膜を形成した上に、上記無機化合物含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂組成物を複数回塗布焼付ることで厚さ18μmの皮膜を形成し、さらにその上にHI4064(日立化成製ポリアミドイミド樹脂)からなる厚さ3μmの皮膜を形成し、絶縁電線(全皮膜厚33μm)を作成した。
実施例2
シリカハイブリッドポリアミドイミド樹脂(荒川化学製:コンポセランH901、固形分15%)88gとHI4064(日立化成製ポリアミドイミド樹脂溶液、固形分32%)828gを室温下撹拌混合し、シラン変性ポリアミドイミド樹脂916gを得た。シリカをジメチルジクロロシランを用いて表面処理された疎水性シリカ84g(球状:平均一次粒径30nm、トクヤマ製)とシラン変性ポリアミドイミド樹脂916gとを室温下で混合して樹脂組成物を得た。0.9mm径の軟銅線の表面に、ポリアミドイミド樹脂溶液を複数回塗布焼付を行うことにより厚さ12μmの皮膜を形成した上に、上記無機化合物含有シラン変性ポリアミドイミド樹脂組成物を複数回塗布焼付ることで厚さ18μmの皮膜を形成し、さらにその上にポリアミドイミド樹脂からなる厚さ3μmの皮膜を形成し、絶縁電線(全皮膜厚33μm)を作成した。
比較例1
シリカをジメチルジクロロシランを用いて表面処理された疎水性シリカ84g(球状:平均一次粒径30nm、トクヤマ製)とHI4064(日立化成製ポリアミドイミド樹脂溶液、固形分32%)916gとを室温下で混合して樹脂組成物を得た。0.9mm径の軟銅線の表面に、ポリアミドイミド樹脂溶液を複数回塗布焼付を行うことにより厚さ12μmの皮膜を形成した上に、上記無機化合物含有リアミドイミド樹脂組成物を複数回塗布焼付ることで厚さ18μmの皮膜を形成し、さらにその上にポリアミドイミド樹脂からなる厚さ3μmの皮膜を形成し、絶縁電線(全皮膜厚33μm)を作成した。
〔耐コロナ寿命〕
JIS C 3003に規定される2個撚り試料に、電圧1410V、周波数10000Hzを印加し、コロナ破壊に至るまでの時間を測定した。
〔耐切削油性〕
2個撚り試料を切削油剤(ユシロ化学工業製、ユシロケンEC50T3、10倍希釈)に80℃、500時間浸漬し、浸漬前後での絶縁破壊電圧(BDV)の残存率を指標とした。
絶縁破壊電圧はJIS C 3003 に規定される試験・評価方法に準じ測定した。
Figure 0004974156

Claims (3)

  1. 導体上に絶縁層が形成された絶縁電線であって、該絶縁層の少なくとも1層を構成する樹脂組成物はシラン変性ポリアミドイミド樹脂をベース樹脂とし、かつ有機シラン剤で処理された無機化合物粒子を含有し、前記有機シラン剤がクロロトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザンおよびジクロロジメチルシランから選ばれた少なくとも1種であり、前記無機化合物粒子がシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、クレーおよびタルクから選ばれた少なくとも1種であって、かつ前記無機化合物粒子の樹脂組成物中の含有量が、前記ベース樹脂100質量部に対して10〜40質量部であることを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記シラン変性ポリアミドイミド樹脂をベース樹脂としかつ前記無機化合物粒子を含有する絶縁層が、最外層以外の層に形成されたことを特徴とする請求項1記載の絶縁電線。
  3. 前記シラン変性ポリアミドイミド樹脂はカルボキシル基および/または酸無水物基を末端に有するポリアミドイミド樹脂にグリシジルエーテル基含有アルコキシもしくはアリールオキシシラン部分縮合物を反応させてなることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁電線。
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