JP2008303731A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、圧縮機の小型化と圧縮機の再使用性とを両立させながら、ケーシング同士を固定させることを可能とした圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明の圧縮機は、突き合わせた各ケーシング1a,1bの端部の外周にそれぞれ形成されたフランジ状の一対の突起部3,3と、ケーシングの開口形状を複数に分割した形状で、内周部には突き合わせた突起部3,3と嵌合可能な溝部5をもつ複数の固定部材4a〜4cとを用い、突き合わせた各ケーシング4a〜4cの開口端部同士を、突起部3,3に嵌合させてケーシング1a、1bを囲うように固定部材4a〜4cをそれぞれ配置してから固定部材4a〜4c同士を溶接で取着することにより固定した。これにより、ボルト部材を用いたときのような大きな張り出し部分を必要とせず、ケーシング1a,1b同士が固定できる。しかも、ケーシング1a、1b内部の圧縮ユニット10の調整や修理などが求められても、固定部材4a〜4cを切断するだけで対応できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、圧力容器内に圧縮ユニットを収めて構成される圧縮機に関する。
自動車の空調システムや家庭用空調機や冷蔵庫などでは、密閉型の圧縮機を用いて冷凍サイクルを運転することが行われている。
こうした圧縮機の多くは、特開2005−54667号公報にも開示されているように一対の筒形のケーシングの開口端同士を突き合わせることによって、圧縮ユニットを収める圧力容器を構成する構造が用いられている。
ところで、圧力容器の内部に収めた圧縮ユニットは、機械のメカニズムであるので、調整や修理が求められる場合があることを考慮しておかなければならない。
そのため、こうした圧縮機で用いられるケーシング同士の固定には、固定の解除を考慮して、特開2005−54667号公報にも示されるようにそれぞれケーシングの開口端部の複数箇所に、外側へ張り出るボルト組付け用ボス部を形成し、これらボス部間をボルト部材で締結する構造が用いられている。
ところが、ボルト部材の締結で、内部圧力に打ち勝つ締結力を確保するためには、太径のボルト部材の使用が求められる。しかし、これだと、ボルト部材が太径になるだけでなく、そのボス部材を支えるボス部も、かなり張り出し寸法を大きくしなければならない。このため、圧縮機が大形になる傾向にある。
そこで、家庭用の空調システム、冷蔵庫で用いられる圧縮機などでは、特開平11−324920号公報にも示されるようにケーシングの開口端部を溶接で取着して、高い固定強度を確保することが行われている。
特開2005−54667号公報 特開平11−324920号公報
ところが、ケーシング同士を溶接で取着する構造は、固定強度の点には優れるが、製品の再使用の点で劣る。すなわち、例えばケーシング内部に収めた圧縮ユニットに対し、調整や修理などが求められたような場合、ケーシングを壊さないと、内部機器の修理ができない。これでは、ケーシングだけでなく、ケーシングの内部に収められている圧縮ユニットにも影響が出るので、実質、圧縮機をそのまま使用することは難しい。
そのため、ケーシング同士の固定には、圧縮機の小形化と、圧縮機の再使用性との考慮した技術が求められている。
そこで、本発明の目的は、圧縮機の小型化と圧縮機の再使用性とを両立させながら、ケーシング同士を固定させることを可能とした圧縮機を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、突き合わせた各ケーシングの端部の外周にそれぞれ形成されたフランジ状の一対の突起部と、ケーシングの開口形状を複数に分割した形状で、内周部には突き合わせた突起と嵌合可能な溝部をもつ複数の固定部材とを用いて、突き合わせた各ケーシングの開口端部同士が、ケーシングを囲うように固定部材をそれぞれ突起部に嵌合させてから当該固定部材同士を溶接で取着することによって固定される構成とした。
これにより、ケーシングの開口端部同士は、ケーシングからの張り出しが少なくてすむうえ、圧縮ユニットの調整や修理などの対応が固定部材の切断だけですむ構造で固定される。
請求項2に記載の発明は、一層、圧力容器としての信頼性を増すよう、突起部のうち開口端とは反対側の背面は、突起部の根元側が固定部材の溝部の開口幅より増大するように傾斜した傾斜面で形成した。
これにより、ケーシングの内部の圧力が高まると、溝部の壁部に突き当たる力が増し、ケーシング開口端部同士を押し付け合う力が増す。
請求項1の発明によれば、ケーシングの開口端部同士は、フランジ状の突起部を、リング形となった固定部材との嵌合で規制するという構造の採用により、ケーシングからの張り出しは、嵌合を許すだけの小さな量ですむから、ボルト部材を用いたときのような大きな張り出し部分を必要とせずに、ケーシング同士を高固定強度で固定できる。しかも、たとえケーシング内部に収めてある圧縮ユニットの調整や修理などが求められても、固定部材を切断するだけで、ケーシングから固定部材が取り外せ、即、ケーシング同士が離せる。そのため、圧縮機の各部は、そのまま再び使用できる。
したがって、圧縮機の小形化と、圧縮機の再使用性とを両立させながら、ケーシング同士を固定させることができる。
請求項2の発明によれば、ケーシングの内部の圧力が高まり、溝部の壁部と傾斜面とが突き当たる力が増すと、傾斜面がもたらすくさび作用により、ケーシング開口端部同士を押し付け合う力が増すので、漏れの心配はなく、圧力容器の信頼性を高めることができる。
以下、本発明を図1〜図4に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は圧縮機、例えば車両空調用の電動圧縮機(密閉形)の外観を示し、図2は図1中のA−A線に沿う断面を示し、図3および図4はケーシングの固定の仕方をそれぞれ示している。
図1中1は、電動圧縮機の筒形のハウジング(本願の圧力容器に相当)である。ハウジング1は、図3に示されるように筒形の外郭部品、例えば片側の端が塞がれた筒形のケーシング1aと、同様に片側の端が塞がれた筒形のケーシング1bとに分割してある。そして、各ケーシング1a,1bの開口端を突き合わせる部分としている。ハウジング1は、この開口端同士を突き合わせ、これら開口端部同士を、後述する固定構造で固定することにより形成される。
このハウジング1の片側となるケーシング1aの内部に、例えばスクロール式圧縮機構で構成される圧縮ユニット10が収容される。また反対側のケーシング1bの内部には、例えば電動モータで構成される電動ユニット12が、同電動ユニット12をインバータ制御するインバータユニット13と共に収められる。そして、電動ユニット12の出力部(図示しない)から出力された回転が、圧縮ユニット10の入力部(図示しない)へ入力されると、圧縮ユニット10で圧縮運転が行われるようにしてある。つまり、この圧縮運転により、外部から冷媒を吸込み、これを圧縮してから、ハウジング1内を通じ、ケーシング1aに形成した吐出口部10aへ吐出されるようにしてある。
一方、突き合わせたケーシング1a,1bの開口端部を固定する構造には、高い固定強度をもたらす構造が用いられている。同構造には、図3および図4に示されるような嵌合構造を用いて、突き合わせたケーシング1a,1b同士を締結することが行われる。
同嵌合構造には、図3に示されるようにケーシング1a,1bの開口端部の外周にそれぞれ形成されたフランジ状の突起部3と、図4に示されている突起部3,3を固定するための固定部材4a〜4cとを組み合わせた構造が用いられている。このうち突起部3は、いずれも図2に示されるように開口端に向く前面に平坦な突合せ面3aをもち、開口端と反対側に向く背面は傾斜、具体的には根元に向うにしたがい突起部3の厚みが増加するように傾斜している。3bはその傾斜面を示している。
固定部材4a〜4cには、例えば図4に示されるようなケーシング1a,1bの開口形状にならう部材を複数に分割した部材が用いられている。具体的には、固定部材4a〜4cには、ケーシング1a,1bの円形形状に合わせてリング形に成形される枠形部材を、例えば3分割に分割した円弧形の部材が用いられる。これら固定部材4a〜4cは、いずれも図4に示されるように内側が凹んだチャンネル部材から形成される。むろん、内周部の全長には溝部5が形成してある。溝部5は、いずれも、突き合わせた一対の突起部3の根元に近い部分を除く部分と嵌合可能な開口幅をもつ。これは、傾斜面3bの根元側が、溝部5の開口幅より大きくなるように傾斜していることによる。
ケーシング1a,1b同士の固定としては、まず、図2および図4に示されるように、突き合わせた一対の突起部3,3にそれぞれ固定部材4a〜4cを嵌合させて、固定部材4a〜4cをケーシング1a,1cの周りに配置させる(リング形)。続いて、ケーシング1a,1bの周りを囲う固定部材4a〜4cをケーシング1a,1bの中心側へ押え付けて、溝部5の壁部5aの先端部と傾斜面3bとを当接させ、そのとき生ずるくさび作用を利用して、ケーシング端同士を押し付け合わせる。その後、リング形に配置されている固定部材4a〜4cの端部同士を、図示しない溶接機を用いて溶接で取着することにより、図1および図2に示されるように固定してある。図1中Xは、その溶接した部分を示している。
つまり、ケーシング1a,1bの端部同士は、一対のリング形の突起部3,3に、リング形の溝部5を外側から嵌り合わせる構造で固定される。
こうした固定は、電動圧縮機のようなケーシング1a,1bの内部から圧力が加わる挙動が見られる場合、最も有効に固定強度が作用する。しかも、ケーシング1a,1bからの張り出しは、嵌合を許すだけの小さな量ですむ。
それ故、同構造だと、ボルト部材を用いたときのような大きな張り出し部分を必要とせずに、ケーシング1a,1b同士を高い固定強度で締結させることができる。
また、ケーシング1a,1bの内部に収めてある圧縮ユニット10の調整や修理などが求められたとする。
このときは、溶接されている固定部材4a〜4cを切断して、ケーシング1a,1bから固定部材4a〜4cを取り外す。すると、ケーシング1a,1bの嵌合は解除され、ケーシング1a,1b同士が離せるので、内部に収められた圧縮ユニット10の調整や修理などが行える。つまり、固定部材4a〜4cを除いて、再び電動圧縮機の各部が使用できる。このことは、電動圧縮機は、そのまま使用できる部分が多くなる。
かくして、電動圧縮機の小形化を図ること、電動圧縮機の再使用性を高めることの両方を両立させながら、ケーシング1a,1b同士を固定させることができる。特に突起部3の背面を傾斜面3bに形成すると、図2中の矢印Pに示されるようにケーシング1a,1bの内部の圧力が高まると、溝部5の壁部5aの先端部と傾斜面3bとが突き当たる力が増して、ケーシング1a,1b同士を押し付け合う力がくさび作用により増すから、ケーシング1a,1b間における漏れの心配はなく、圧力容器としての信頼性を高めることができる。
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱し
ない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば一実施形態では、電動圧縮機に本発明を適用したが、これに限らず、他の構造の車両空調用圧縮機、家庭用空調機や冷蔵庫などで用いられる密閉型圧縮機などに本発明を適用してもよい。
本発明の一実施形態に係る圧縮機の外観を示す斜視図。 図1中のA−A線に沿う断面図。 フランジ状の突起部が付いたケーシングを示す斜視図。 フランジ状の突起部とリング形の固定部材とによりケーシング同士を固定する構造を説明する斜視図。
符号の説明
1a,1b ケーシング
3 突起部
3a 突合せ面
3b 傾斜面
4a〜4c 固定部材
5 溝部
10 圧縮ユニット
12 電動ユニット

Claims (2)

  1. 突き合わせ可能な開口端を有し、当該開口端同士が突き合わせて配置されて、圧縮ユニットを収める圧力容器を構成する複数のケーシングと、
    前記突き合わせた各ケーシングの端部の外周にそれぞれ形成されたフランジ状の一対の突起部と、
    前記ケーシングの開口形状を複数に分割した形状をなし、内周部には前記突き合わせた一対の突起と嵌合可能な溝部が形成された複数の固定部材とを有し、
    前記突き合わせた各ケーシングの開口端部同士は、前記一対の突起部と嵌合して前記ケーシングを囲うように前記固定部材をそれぞれ配置してから当該固定部材同士を溶接で取着することによって固定される
    ことを特徴とする圧縮機。
  2. 前記突起部のうち開口端とは反対側の背面は、当該突起部の根元側が前記固定部材の溝部の開口幅より増大するように傾斜した傾斜面で形成してあることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
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