JP2008303289A - 難燃性樹脂組成物、難燃性樹脂成形体及びこの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性に優れ、良好な成形性と実用上充分な機械的強度を有する、バイオマス材料を用いた難燃性樹脂組成物を得る。
【解決手段】少なくとも、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)難燃剤を(C)熱可塑性樹脂により内包した構成の(D)難燃性粒子とを含む難燃性樹脂組成物であって、 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、少なくとも原料の一部として、バイオマス材料を含むポリエステル樹脂を含有しているものであり、(B)難燃剤は、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の少なくともいずれか一種であり、(C)熱可塑性樹脂の融点が、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低いものである難燃性樹脂組成物を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)難燃剤を(C)熱可塑性樹脂により内包した構成の(D)難燃性粒子とを含む難燃性樹脂組成物であって、 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、少なくとも原料の一部として、バイオマス材料を含むポリエステル樹脂を含有しているものであり、(B)難燃剤は、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の少なくともいずれか一種であり、(C)熱可塑性樹脂の融点が、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低いものである難燃性樹脂組成物を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂、特にバイオマス材料を原料に含む脂肪族ポリエステル樹脂を用いた難燃性機能を具備する樹脂組成物、成形体、及びその製造方法に関するものであり、詳しくは、複写機やレーザープリンター、インクジェットプリンター等の画像出力機器や家電製品等の電気電子機器、自動車製品の内部部品等、難燃性が要求される部材として好適な材料に関するものである。
従来から、複写機、レーザープリンター等の電子写真技術、印刷技術、インクジェット技術を用いた画像出力機器に使用される部品や、家電製品等の電気電子機器、自動車の内装部品として樹脂材が多く利用されており、延焼を防止するために、高い難燃性が求められている。
特に複写機は、装置内部に、高温に昇温される定着ユニットを具備しており、この定着ユニット近傍にも樹脂材料よりなる部品が多く使用されている。また、帯電ユニットのような高電圧を発生させるユニットや、電源ユニットは、通常100V程度の交流電源ユニットを用いており、最大消費電力が数100W〜1500Wまでの100V15A電源系統を利用できるユニットであり、これらについても、高い難燃性を有していることが必要とされている。
特に複写機は、装置内部に、高温に昇温される定着ユニットを具備しており、この定着ユニット近傍にも樹脂材料よりなる部品が多く使用されている。また、帯電ユニットのような高電圧を発生させるユニットや、電源ユニットは、通常100V程度の交流電源ユニットを用いており、最大消費電力が数100W〜1500Wまでの100V15A電源系統を利用できるユニットであり、これらについても、高い難燃性を有していることが必要とされている。
上述したような複写機、主にマルチファンクションプリンターに代表される複合機は、500W以上の最大消費電力の構成を有しており、製品機器の安全性規格の一つである樹脂材料の難燃性に関する国際規格(IEC60950)においては、UL94規格の難燃性で、「5V」のエンクロージャー部品で覆うことが要求されている。
そして、上記エンクロージャー部品以外の、装置内部部品に関しては、前記UL94規格の難燃性で、「V-2」以上の条件を満たす高い難燃性が要求されている。
そして、上記エンクロージャー部品以外の、装置内部部品に関しては、前記UL94規格の難燃性で、「V-2」以上の条件を満たす高い難燃性が要求されている。
ところで、上記各種機器に汎用されている樹脂材料は、化石資源すなわち石油を原料とするプラスチック材料であるが、環境保全の観点から、植物等を原材料とする、いわゆるバイオマス由来樹脂を適用する技術についての開発がなされている。
植物や動物等の生物を資源にしているものを「バイオマス資源」と総称するが、具体的には、木材やトウモロコシ、大豆や動物から取れる油脂、生ゴミ等が挙げられる。
前記バイオマス由来樹脂は、前記バイオマス資源を原料として作られるものである。一般的には、生分解性樹脂として知られているが、かかる生分解とは、所定の温度・湿度等の環境下で、微生物等により分解可能な機能を意味しており、バイオマス由来樹脂は、かかる生分解性機能を具備している。
植物や動物等の生物を資源にしているものを「バイオマス資源」と総称するが、具体的には、木材やトウモロコシ、大豆や動物から取れる油脂、生ゴミ等が挙げられる。
前記バイオマス由来樹脂は、前記バイオマス資源を原料として作られるものである。一般的には、生分解性樹脂として知られているが、かかる生分解とは、所定の温度・湿度等の環境下で、微生物等により分解可能な機能を意味しており、バイオマス由来樹脂は、かかる生分解性機能を具備している。
前記バイオマス由来樹脂の具体例としては、ジャガイモやサトウキビやトウモロコシ等の糖質を醗酵させて得られた乳酸をモノマーとし、これを用いて化学重合を行い作製したポリ乳酸:PLA(PolyLactic Acid)や、澱粉を主成分としたエステル化澱粉、微生物が体内に生産するポリエステルである微生物産生樹脂:PHA(PolyHydoroxy Alkanoate)、醗酵法で得られる1,3−プロパンジオールと石油由来のテレフタル酸とを原料とするPTT (Poly Trimethylene Terephtalate)等が挙げられる。
また、PBS(Poly Butylene Succinate)は、現在は石油由来の原料が用いられているが、今後においては、バイオマス由来樹脂として作製する研究が開発されており、主原料の一つであるコハク酸を植物由来で作製する技術についての開発がなされている。
また、PBS(Poly Butylene Succinate)は、現在は石油由来の原料が用いられているが、今後においては、バイオマス由来樹脂として作製する研究が開発されており、主原料の一つであるコハク酸を植物由来で作製する技術についての開発がなされている。
上述したバイオマス由来樹脂のうち、ポリ乳酸は、融点が180℃前後と高く、成形加工性に優れ、かつ市場への供給量も安定していることから、実用的な製品へ利用する材料として期待されている。
しかし一方において、ポリ乳酸はガラス転移点が56℃と低く、熱変形温度は55℃前後であるため、実用面における耐熱性は低いという問題を有している。
また、ポリ乳酸は、結晶性樹脂であるため、耐衝撃性に関しても、アイゾッド衝撃強度が2kJ/m2以下と低く、電気電子機器製品のような耐久部材に適用する際の実用上満足な機能を有しているとはいえない。
また、ポリ乳酸は、結晶性樹脂であるため、耐衝撃性に関しても、アイゾッド衝撃強度が2kJ/m2以下と低く、電気電子機器製品のような耐久部材に適用する際の実用上満足な機能を有しているとはいえない。
かかる問題点に鑑みて、従来においては、石油系樹脂であるポリカーボネート樹脂とのポリマーアロイとすることにより、物性向上を図る技術についての開示がなされている。
しかし、前記物性を向上させるためには、石油系樹脂の含有量を増やさなければならず、その分、環境負荷を低減化させる観点からの、化石資源使用量削減や二酸化炭素排出量削減の効果が低下してしまう。
しかし、前記物性を向上させるためには、石油系樹脂の含有量を増やさなければならず、その分、環境負荷を低減化させる観点からの、化石資源使用量削減や二酸化炭素排出量削減の効果が低下してしまう。
一方、前述したように、複写機やプリンター等の画像出力機器、家電製品等の各種電気電子機器に適用される樹脂部品は、上述したような耐熱性や耐衝撃性等の機械的物性に加えて、難燃性を備えていることが重要である。
上記ポリ乳酸は、燃え易い材料であるため、これを実用的な材料として利用するためには、難燃剤を配合することが必須であるとされている。
難燃剤としては、臭素系・ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤が挙げられる。
上記ポリ乳酸は、燃え易い材料であるため、これを実用的な材料として利用するためには、難燃剤を配合することが必須であるとされている。
難燃剤としては、臭素系・ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤が挙げられる。
樹脂用の難燃剤として汎用されている三種類の難燃剤について下記に説明する。
第1は、臭素系難燃剤に代表されるハロゲン系化合物である。
これは、燃焼した炎に対し、ハロゲン系化合物が酸化反応負触媒として機能することにより燃焼速度を低下させるものである。
第2は、リン系難燃剤、またはシリコーン系難燃剤である。
これは、燃焼中に樹脂の表面にシリコーン系難燃剤をブリードさせたり、リン酸系難燃剤を樹脂内で脱水反応を起こさせたりすることにより、表面にチャー(炭化物)を生成させて断熱皮膜が形成されることにより燃焼を停止させるものである。
第3は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機系難燃剤である。
これは、樹脂の燃焼によってこれらの化合物が分解するときの吸熱反応や、生成した水の持つ蒸発潜熱等により、樹脂全体を冷却させ、燃焼を停止させるものである。
第1は、臭素系難燃剤に代表されるハロゲン系化合物である。
これは、燃焼した炎に対し、ハロゲン系化合物が酸化反応負触媒として機能することにより燃焼速度を低下させるものである。
第2は、リン系難燃剤、またはシリコーン系難燃剤である。
これは、燃焼中に樹脂の表面にシリコーン系難燃剤をブリードさせたり、リン酸系難燃剤を樹脂内で脱水反応を起こさせたりすることにより、表面にチャー(炭化物)を生成させて断熱皮膜が形成されることにより燃焼を停止させるものである。
第3は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機系難燃剤である。
これは、樹脂の燃焼によってこれらの化合物が分解するときの吸熱反応や、生成した水の持つ蒸発潜熱等により、樹脂全体を冷却させ、燃焼を停止させるものである。
上述したように、従来においても各種難燃剤が知られているが、上記第1〜第3の難燃剤は、有効に機能を発揮させるための添加量が多く、樹脂100重量部に対して10〜30重量部、多いものでは50重量部程度必要とする場合もある。
そして多くの難燃剤は、化石資源を原料として合成されているものであるから、主材料としてバイオマス由来樹脂を用いたとしても、環境負荷削減効果は低いものとなってしまう。
また、上述した難燃剤自体の有害性も検討しなければならない。
例えば、臭素系難燃剤は、焼却時に熱分解によりダイオキシン類が発生する。またリン系難燃剤は、化学物質過敏症(アレルギー)を引き起こす恐れもあり、今後において、難燃剤は、生体に無害かつ安全で、かつ少量であっても実用上充分な難燃効果が得られるものであることの要望が高まってくるものと予想される。
そして多くの難燃剤は、化石資源を原料として合成されているものであるから、主材料としてバイオマス由来樹脂を用いたとしても、環境負荷削減効果は低いものとなってしまう。
また、上述した難燃剤自体の有害性も検討しなければならない。
例えば、臭素系難燃剤は、焼却時に熱分解によりダイオキシン類が発生する。またリン系難燃剤は、化学物質過敏症(アレルギー)を引き起こす恐れもあり、今後において、難燃剤は、生体に無害かつ安全で、かつ少量であっても実用上充分な難燃効果が得られるものであることの要望が高まってくるものと予想される。
上述した難燃剤に関する課題に関し、従来においても技術提案がなされている(例えば、下記特許文献1参照。)。これは、母材としてポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系の生分解樹脂を用い、難燃剤として、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の金属水和物からなる粒径10nmの微粒子の表面にシリコーン処理による被膜層を形成した難燃性粒子を添加したものである。
これによると、25重量部程度の添加量で難燃効果を発揮できるとされているが、バイオマス由来材料を用いたことによる環境負荷低減化の観点からは、未だ充分ではない。
これによると、25重量部程度の添加量で難燃効果を発揮できるとされているが、バイオマス由来材料を用いたことによる環境負荷低減化の観点からは、未だ充分ではない。
また、生分解性樹脂に対して、結晶化核剤として作用するマイカ、タルク、モンモリナイトを微粒子状にし、充填剤として分散・充填させた樹脂組成物に、シリコーン系化合物、金属塩、金属水酸化塩及びリン系化合物を、難燃成分として別途外部添加した樹脂材料についての提案がなされている(例えば、下記特許文献2参照。)。
これによると、母材の物性を劣化させずに難燃性を向上させることができるとされている。
しかしながら、実施例に示されている樹脂組成によると、充填剤が40質量%、難燃剤が5〜30質量%とあり、バイオマス由来材料の割合が、55質量%〜30質量%と、全体量から比較して少なく、やはり環境負荷低減化の観点からは、未だ充分ではない。
これによると、母材の物性を劣化させずに難燃性を向上させることができるとされている。
しかしながら、実施例に示されている樹脂組成によると、充填剤が40質量%、難燃剤が5〜30質量%とあり、バイオマス由来材料の割合が、55質量%〜30質量%と、全体量から比較して少なく、やはり環境負荷低減化の観点からは、未だ充分ではない。
一方、バイオマス由来樹脂の割合を高くさせることができるように、難燃剤添加量を微量としても、難燃効果が得られる技術についての提案もなされている(例えば、下記特許文献3参照。)。
これは、ポリテトラフルオロエチレンと炭素数1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび芳香族アルケニル化合物から選ばれたビニル系単量体を乳化重合させた共重合体とで構成される熱可塑性樹脂改質剤に関する技術であり、熱可塑性樹脂に添加する際に、更に外部添加で難燃剤を添加するというものである。
かかる難燃剤としては、ハロゲン系化合物やリン酸エステル等のリン系化合物、金属水和物等が提案されいるとともに、有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩を用いることが提案されている。
特に有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩については、実施例中で、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウムを0.07質量部、外部添加している例で、ポリカーボネート樹脂に対して、難燃性UL94規格のV-0の高い難燃効果を実現している。
しかしながら、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム等の有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩を熱可塑性樹脂に外部添加した後、射出成形による加工を行う際に、スクリュー内に滞留が発生し、熱可塑性樹脂の分子量が低下する分解現象が生じる場合があり、成形加工性について実用上の問題点があった。
また、かかる難燃剤は、バイオマス由来樹脂への難燃効果が確認されていない。
これは、ポリテトラフルオロエチレンと炭素数1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび芳香族アルケニル化合物から選ばれたビニル系単量体を乳化重合させた共重合体とで構成される熱可塑性樹脂改質剤に関する技術であり、熱可塑性樹脂に添加する際に、更に外部添加で難燃剤を添加するというものである。
かかる難燃剤としては、ハロゲン系化合物やリン酸エステル等のリン系化合物、金属水和物等が提案されいるとともに、有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩を用いることが提案されている。
特に有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩については、実施例中で、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウムを0.07質量部、外部添加している例で、ポリカーボネート樹脂に対して、難燃性UL94規格のV-0の高い難燃効果を実現している。
しかしながら、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム等の有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩を熱可塑性樹脂に外部添加した後、射出成形による加工を行う際に、スクリュー内に滞留が発生し、熱可塑性樹脂の分子量が低下する分解現象が生じる場合があり、成形加工性について実用上の問題点があった。
また、かかる難燃剤は、バイオマス由来樹脂への難燃効果が確認されていない。
また、母材としての熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対し、難燃剤として、0.0002〜0.8質量部の有機スルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物、及びこれらの金属塩の少なくともいずれかを含有している難燃性樹脂組成物についての提案がなされている(例えば、下記特許文献4参照。)。
実施例においても、難燃剤として脂肪族スルホン酸化合物であるカンファースルホン酸を0.01〜0.05質量部添加した難燃性樹脂組成物についての例が示されており、かかる例で、UL94規格のV-2〜V-0までの難燃効果を発現していることが確かめられている。
しかしながら、カンファースルホン酸等の脂肪族スルホン酸化合物を熱可塑性ポリエステル樹脂に外部添加した後、射出成形による加工を行う際、スクリュー内に滞留が発生し、熱可塑性樹脂の分子量が低下する分解現象が生じる場合があり、成形加工性に関して、ややはり解決すべき課題を包含している。
そしてまた、バイオマス由来樹脂への難燃効果については、確認されていない。
実施例においても、難燃剤として脂肪族スルホン酸化合物であるカンファースルホン酸を0.01〜0.05質量部添加した難燃性樹脂組成物についての例が示されており、かかる例で、UL94規格のV-2〜V-0までの難燃効果を発現していることが確かめられている。
しかしながら、カンファースルホン酸等の脂肪族スルホン酸化合物を熱可塑性ポリエステル樹脂に外部添加した後、射出成形による加工を行う際、スクリュー内に滞留が発生し、熱可塑性樹脂の分子量が低下する分解現象が生じる場合があり、成形加工性に関して、ややはり解決すべき課題を包含している。
そしてまた、バイオマス由来樹脂への難燃効果については、確認されていない。
そこで本発明においては、環境負荷低減化の観点からバイオマス材料を主原料として用い、これと、少量添加するのみで実用上十分に高い難燃性が発揮できる難燃剤とを組み合わせた難燃性樹脂組成物を提供することを目的とした。
請求項1の発明においては、少なくとも、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)難燃剤を(C)熱可塑性樹脂により内包した構成の(D)難燃性粒子とを含む難燃性樹脂組成物であって、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、少なくとも原料の一部として、バイオマス材料を含む、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂の、少なくともいずれか一種類を含有しているものであり、前記(B)難燃剤は、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の、少なくともいずれか一種であるものとし、前記(C)熱可塑性樹脂の融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低いことを特徴とする難燃性樹脂組成物を提供する。
請求項2の発明においては、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリ乳酸樹脂、微生物産生樹脂(ポリヒドロキシアルカン酸)、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートの、少なくともいずれかを含有しているものであることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物を提供する。
請求項3の発明においては、前記(B)難燃剤を構成する、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物の、それぞれの金属塩が、ナトリウム塩、又はカリウム塩の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物を提供する。
請求項4の発明においては、前記(D)難燃性粒子を構成する(C)熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を提供する。
請求項5の発明においては、前記(C)熱可塑性樹脂の融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも、20〜200℃高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を提供する。
請求項6の発明においては、前記(D)難燃性粒子を構成する前記(B)難燃剤と、(C)熱可塑性樹脂との配合比が、(B):(C)=0.01:99.99〜30:70であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を提供する。
請求項7の発明においては、前記(D)難燃性粒子の体積平均粒子径が、10nm〜5μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を提供する。
請求項8の発明においては、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、前記(B)難燃剤が0.001〜1重量部であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を提供する。
請求項9の発明においては、少なくとも、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)難燃剤を(C)熱可塑性樹脂により内包した構成の(D)難燃性粒子とを含む難燃性樹脂組成物を用いた難燃性樹脂成形体であって、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、少なくとも原料の一部として、バイオマス材料を含む、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂の、少なくともいずれか一種類を含有しているものであり、前記(B)難燃剤は、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の、少なくともいずれか一種であり、前記(C)熱可塑性樹脂の融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低いものとし、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点TmA以上、かつ(C)熱可塑性樹脂の融点Tmc以下の温度で、成形を行ったものであることを特徴とする難燃性樹脂成形体を提供する。
請求項10の発明においては、少なくとも、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)難燃剤を(C)熱可塑性樹脂により内包した構成の(D)難燃性粒子とを含む難燃性樹脂組成物を用いた難燃性樹脂成形体の製造方法であって、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂としては、少なくとも原料の一部として、バイオマス材料を含む、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂の、少なくともいずれか一種類を含有しているものを用い、前記(B)難燃剤としては、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の、少なくともいずれか一種を用い、前記(C)熱可塑性樹脂の融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低いものであり、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点TmA以上で、かつ(C)熱可塑性樹脂の融点Tmc以下の温度により成形を行うことを特徴とする難燃性樹脂成形体の製造方法を提供する。
請求項1の発明によれば、少ない添加量で難燃効果を発揮でき、かつ成形加工の際にも、スクリュー滞留等の熱履歴による物性低下を効果的に回避可能な難燃性樹脂組成物が提供された。
請求項2の発明によれば、化石資源使用量の削減、及び二酸化炭素の排出量の低減化効果が得られ、環境負荷低減化に好適な難燃性樹脂組成物が提供された。
請求項3の発明によれば、難燃剤の構成材料を特定したことにより、前記効果に加え、高い難燃効果が確実に得られた。
請求項4の発明によれば、(D)難燃性粒子を構成する(C)熱可塑性樹脂の材料を特定したことにより、特に、成形加工時における、スクリュー滞留等の熱履歴による物性低下が確実に回避可能な、成形性に優れた難燃性樹脂組成物が提供できた。
請求項5の発明によれば、(D)難燃性粒子を構成する(C)熱可塑性樹脂の融点が、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも20〜200℃の範囲で高いものとしたことにより、成形加工時においては、(C)熱可塑性樹脂が溶融せず、燃焼時には溶融して難燃剤を露出させることができるので、成形性及び難燃性の双方の特性に優れた難燃性樹脂組成物が提供できた。
請求項6の発明によれば、(D)難燃性粒子を構成する前記(B)難燃剤と、(C)熱可塑性樹脂との配合比に関して数値範囲を特定したことにより、安定した成形加工性が確実に得られ、少量の難燃剤添加にも関わらず優れた難燃効果が発揮され、さらには、環境に対する負荷を低減化させる観点からも望ましい難燃性樹脂組成物が提供された。
請求項7の発明によれば、(D)難燃性粒子の体積平均粒子径の数値範囲を特定したことにより、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂中における(D)難燃性粒子の良好な分散性が確保され、優れた成形性と高い難燃性との両立が図られた難燃性樹脂組成物が提供できた。
請求項8の発明によれば、(B)難燃剤の添加量を、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部であるものと特定したことにより、微量添加による高い難燃効果が発揮されるとともに、優れた成形加工性を確保することができた。
請求項9、10の発明によれば、少ない添加量で難燃効果を発揮でき、かつ成形加工の際、スクリュー滞留等の熱履歴による物性低下を効果的に回避可能な難燃性樹脂組成物成形体が得られた。
本発明の難燃性樹脂組成物は、図1に概略模式図を示すように、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)難燃剤を(C)熱可塑性樹脂により内包した構成の(D)難燃性粒子とを構成要素としているものである。
(D)難燃性粒子において、(B)難燃剤を均一分散させた系にて(D)難燃性粒子を作製する場合には、図1に示すような海島構造の分散形態になり、(B)難燃剤の一部は外表面側に露出してしまうが、樹脂組成物の成形加工性の観点から、(B)難燃剤は、外表面側に露出しない形態となることが望ましい。
(D)難燃性粒子において、(B)難燃剤を均一分散させた系にて(D)難燃性粒子を作製する場合には、図1に示すような海島構造の分散形態になり、(B)難燃剤の一部は外表面側に露出してしまうが、樹脂組成物の成形加工性の観点から、(B)難燃剤は、外表面側に露出しない形態となることが望ましい。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、少なくとも原料の一部として、バイオマス材料を含む、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂の、少なくともいずれか一種類を含有しているものとする。
(B)難燃剤は、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の、少なくともいずれか一種であるものとする。
(C)熱可塑性樹脂の融点は前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低いものとする。
なおここで、分解開始温度とは、熱重量分析TG(Thermo−gravimetry)において、熱分解における重量減少が開始する温度のことをいうものとする。
(B)難燃剤は、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の、少なくともいずれか一種であるものとする。
(C)熱可塑性樹脂の融点は前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低いものとする。
なおここで、分解開始温度とは、熱重量分析TG(Thermo−gravimetry)において、熱分解における重量減少が開始する温度のことをいうものとする。
(A)熱可塑性ポリエステルについて説明する。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、少なくとも原料の一部がバイオマス材料からなる樹脂であるものとする。脂肪族系ポリエステル樹脂としては、具体的に、ポリ乳酸樹脂、微生物産生樹脂であるポリヒドロキシアルカン酸類、例えば、P(3HB)、P(3HB-co-3HV)、P(3HB-co-3HA)、P(3HB-co-3HHx)、P(3HB-co-4HB)より選定される1種、または2種類以上の混合物が挙げられる。
また、少なくとも原料の一部がバイオマス材料からなる芳香族ポリエステル樹脂であってもよい。例えば、1,3−プロパンジオールをバイオマス材料で合成したポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、少なくとも原料の一部がバイオマス材料からなる樹脂であるものとする。脂肪族系ポリエステル樹脂としては、具体的に、ポリ乳酸樹脂、微生物産生樹脂であるポリヒドロキシアルカン酸類、例えば、P(3HB)、P(3HB-co-3HV)、P(3HB-co-3HA)、P(3HB-co-3HHx)、P(3HB-co-4HB)より選定される1種、または2種類以上の混合物が挙げられる。
また、少なくとも原料の一部がバイオマス材料からなる芳香族ポリエステル樹脂であってもよい。例えば、1,3−プロパンジオールをバイオマス材料で合成したポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。
次に、(B)難燃剤について説明する。
難燃剤は、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物、及びこれらの金属塩の、少なくともいずれか一種であるものとする。
難燃剤は、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物、及びこれらの金属塩の、少なくともいずれか一種であるものとする。
脂肪族スルホン酸は、一般式:R−SO3Hで表されるものとし、Rは炭素鎖で構成されている化合物を示す。Rは直鎖構造、分岐鎖を有する構造、環状構造、ヒドロキシ基を含む構造のいずれであってもよい。
具体的には、カンファースルホン酸を含むモノテルペン類のスルホン酸、およびそのナトリウム塩、もしくはカリウム塩が好適に用いられるが、他のメタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、オクタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸も適用できる。
具体的には、カンファースルホン酸を含むモノテルペン類のスルホン酸、およびそのナトリウム塩、もしくはカリウム塩が好適に用いられるが、他のメタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、オクタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸も適用できる。
芳香族スルホン酸は、ベンゼン環を含むスルホン酸である。
具体的に、ドデシルベンゼンスルホン酸以外のアルキルベンゼンスルホン酸、およびそのナトリウム塩、もしくはカリウム塩が適用できる。また、クロロベンゼンスルホン酸、ジクロロベンゼンスルホン酸、トリクロロベンゼンスルホン酸、アミノベンゼンスルホン酸、ジアミノベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ラウリルベンゼンスルホン酸、ホルミルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸も適用できる。
具体的に、ドデシルベンゼンスルホン酸以外のアルキルベンゼンスルホン酸、およびそのナトリウム塩、もしくはカリウム塩が適用できる。また、クロロベンゼンスルホン酸、ジクロロベンゼンスルホン酸、トリクロロベンゼンスルホン酸、アミノベンゼンスルホン酸、ジアミノベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ラウリルベンゼンスルホン酸、ホルミルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸も適用できる。
脂肪族カルボン酸は、一般式:R−COOHで表わされるものとし、Rは炭素鎖で構成されている化合物を示す。例えば、炭素鎖が単結合のみの飽和脂肪酸、炭素鎖に二重結合または三重結合が含まれる不飽和脂肪酸、およびそのナトリウム塩、もしくはカリウム塩が挙げられる。
また、Rは直鎖構造のみならず、分岐鎖を持つ分岐脂肪酸、環状構造を持つ環状脂肪酸、ヒドロキシ基を含むヒドロキシル脂肪酸等であってもよい。
また、Rは直鎖構造のみならず、分岐鎖を持つ分岐脂肪酸、環状構造を持つ環状脂肪酸、ヒドロキシ基を含むヒドロキシル脂肪酸等であってもよい。
芳香族カルボン酸は、ベンゼン環を含むカルボン酸である。本発明においては、例えば、安息香酸、メチル安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、イソプロピル安息香酸、フタル酸、メチルイソフタル酸、フェニル酢酸、フェニルプロパン酸、フェニルアクリル酸、サリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシメチル安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、メトキシ安息香酸、ジメトキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシメトキシ安息香酸、ヒドロキシジフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルプロパン酸等の芳香族カルボン酸、およびそのナトリウム塩、もしくはカリウム塩を適用できる。
(B)難燃剤の添加量については、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲とすることにより、高い難燃効果が発揮されるとともに、優れた成形加工性が確保できることが確かめられた。
次に、(C)熱可塑性樹脂について説明する。
難燃剤を内包する材料である(C)の熱可塑性樹脂としては、その融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも高く、かつ前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低い材料を適用する。
(C)熱可塑性樹脂の融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも、20〜200℃高いものとなる組み合わせが好適である。
(C)の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメタクリレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリグリコール酸等のポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)等のフッ素系樹脂、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロンMXD6等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。
難燃剤を内包する材料である(C)の熱可塑性樹脂としては、その融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも高く、かつ前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低い材料を適用する。
(C)熱可塑性樹脂の融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも、20〜200℃高いものとなる組み合わせが好適である。
(C)の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメタクリレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリグリコール酸等のポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)等のフッ素系樹脂、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロンMXD6等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。
次に、(D)難燃性粒子を構成する前記(B)難燃剤と(C)熱可塑性樹脂との配合比について説明する。
本発明の難燃性樹脂組成物においては、(B):(C)=0.01:99.99〜30:70の数値範囲とすることが好ましい。
(B)難燃剤の割合が多くなると、(D)難燃性粒子において(B)難燃剤が外表面に多く露出するようになり、(A)の熱可塑性ポリエステル樹脂と接し、樹脂組成物全体の成形性の悪化を招来するようになる。かかる点に鑑み、(D)難燃性粒子を構成する(B)難燃剤と(C)熱可塑性樹脂との配合比は、30:70以下、すなわち(B)難燃剤の割合が30重量部以下とすることが好ましい。
一方において、(B)難燃剤の割合が少なく、(C)熱可塑性樹脂の割合が多くなると、実用上充分な難燃効果を発揮させるためには、樹脂組成物全体中の(D)難燃性粒子の含有量を多くしなければならず、このようにすると、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂(バイオマス材料)による環境負荷削減効果が低く限定されてしまうという問題を生じる。かかる問題点に鑑みて、バイオマス材料を原料に含む(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を100重量部とした場合、(D)難燃性粒子の割合は10重量部以下とすることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物においては、(B):(C)=0.01:99.99〜30:70の数値範囲とすることが好ましい。
(B)難燃剤の割合が多くなると、(D)難燃性粒子において(B)難燃剤が外表面に多く露出するようになり、(A)の熱可塑性ポリエステル樹脂と接し、樹脂組成物全体の成形性の悪化を招来するようになる。かかる点に鑑み、(D)難燃性粒子を構成する(B)難燃剤と(C)熱可塑性樹脂との配合比は、30:70以下、すなわち(B)難燃剤の割合が30重量部以下とすることが好ましい。
一方において、(B)難燃剤の割合が少なく、(C)熱可塑性樹脂の割合が多くなると、実用上充分な難燃効果を発揮させるためには、樹脂組成物全体中の(D)難燃性粒子の含有量を多くしなければならず、このようにすると、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂(バイオマス材料)による環境負荷削減効果が低く限定されてしまうという問題を生じる。かかる問題点に鑑みて、バイオマス材料を原料に含む(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を100重量部とした場合、(D)難燃性粒子の割合は10重量部以下とすることが好ましい。
成形加工性と難燃効果の双方の特性を実用上充分に良好なものとなる樹脂組成物を得るための配合比について検討した。
上述したように、(B)難燃剤の添加量については、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲が好適である。
難燃効果が発揮される前記下限値である(B)難燃剤0.001重量部となる(D)難燃性粒子を構成する場合には、(D)難燃性粒子が(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して10重量部であるとき、(B):(C)は、0.01:99.99となる。
仮に、(B):(C)=0.005:99.995とし、(D)難燃性粒子中の(B)難燃剤の含有量を低下させると、目的とする樹脂組成物において、実用上充分な難燃効果を得るために、(D)難燃性粒子を(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して20重量部含有させなければならず、環境負荷低減化効果を低下させることになる。
上述したように、目的とする樹脂組成物の成形加工性と難燃効果の双方の特性を実用上充分に得るためには、(D)難燃性粒子を構成する前記(B)難燃剤と(C)熱可塑性樹脂との配合比は、(B):(C)=0.01:99.99〜30:70の数値範囲とすることが好ましい。
上述したように、(B)難燃剤の添加量については、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲が好適である。
難燃効果が発揮される前記下限値である(B)難燃剤0.001重量部となる(D)難燃性粒子を構成する場合には、(D)難燃性粒子が(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して10重量部であるとき、(B):(C)は、0.01:99.99となる。
仮に、(B):(C)=0.005:99.995とし、(D)難燃性粒子中の(B)難燃剤の含有量を低下させると、目的とする樹脂組成物において、実用上充分な難燃効果を得るために、(D)難燃性粒子を(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して20重量部含有させなければならず、環境負荷低減化効果を低下させることになる。
上述したように、目的とする樹脂組成物の成形加工性と難燃効果の双方の特性を実用上充分に得るためには、(D)難燃性粒子を構成する前記(B)難燃剤と(C)熱可塑性樹脂との配合比は、(B):(C)=0.01:99.99〜30:70の数値範囲とすることが好ましい。
上述した本発明の難燃性樹脂組成物については、従来公知の各種添加剤を適宜用いることができる。例えば、相溶化剤、可塑化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、加水分解抑制剤等の各種添加剤を適宜選定して配合することができる。
なお、(D)難燃性粒子の体積平均粒子径は、10nm〜5μmであることが好ましい。これにより、優れた難燃効果と共に、良好な成形加工性が確実に得られる。
なお、(D)難燃性粒子の体積平均粒子径は、10nm〜5μmであることが好ましい。これにより、優れた難燃効果と共に、良好な成形加工性が確実に得られる。
次に、上述した本発明の難燃性樹脂組成物を用いて成形品の加工を行う場合には、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点TmA以上で、かつ(C)熱可塑性樹脂の融点Tmc以下の温度により行う。具体例を示すと、(A)としてポリ乳酸(融点TmA=180℃)を用い、(C)としてポリエチレンテレフタレート(融点Tmc=265℃)を用いる場合、加熱加工温度は、180℃〜265℃となる。これにより、成形時においては、(D)難燃性粒子中の(B)難燃剤が(A)熱可塑性ポリエステル樹脂側に露出せず安定した成形加工を行うことができる。
また、かかる樹脂組成物、成形品が燃焼した場合には、(D)難燃性粒子中の(B)難燃剤が(A)熱可塑性ポリエステル粒子中に拡散し、難燃効果を発揮する。
また、かかる樹脂組成物、成形品が燃焼した場合には、(D)難燃性粒子中の(B)難燃剤が(A)熱可塑性ポリエステル粒子中に拡散し、難燃効果を発揮する。
〔実施例、比較例〕
以下、本発明の難燃性樹脂組成物について、具体的な実施例、及び比較例を作製して難燃性と成形性の評価を行った。
以下、本発明の難燃性樹脂組成物について、具体的な実施例、及び比較例を作製して難燃性と成形性の評価を行った。
(実施例1)
<難燃性粒子の作製>
(C)熱可塑性ポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレート(三井化学株式会社製PETJ120):90重量部
(B)難燃剤:カンファースルホン酸(C10H16O4S、関東化学株式会社製 試薬1級):10重量部
前記(C)樹脂45重量部と(B)難燃剤10重量部とを混合し、3本ロールミルを用いて混練温度260℃として混練を行い、冷却固化後にハンマーミルで粗い粉砕を行った。
得られた粉砕物に、更に前記(C)熱可塑性ポリエステル樹脂45重量部を加えてドライブレンドし、2軸混練押出機を用いて、混練温度260℃で溶融混練を行った。
この混練物をジェットミル粉砕機で微粉砕し、更に精密空気分級機により処理を行い、体積平均粒径が1.0μmの(D)難燃性粒子を得た。
<難燃性粒子の作製>
(C)熱可塑性ポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレート(三井化学株式会社製PETJ120):90重量部
(B)難燃剤:カンファースルホン酸(C10H16O4S、関東化学株式会社製 試薬1級):10重量部
前記(C)樹脂45重量部と(B)難燃剤10重量部とを混合し、3本ロールミルを用いて混練温度260℃として混練を行い、冷却固化後にハンマーミルで粗い粉砕を行った。
得られた粉砕物に、更に前記(C)熱可塑性ポリエステル樹脂45重量部を加えてドライブレンドし、2軸混練押出機を用いて、混練温度260℃で溶融混練を行った。
この混練物をジェットミル粉砕機で微粉砕し、更に精密空気分級機により処理を行い、体積平均粒径が1.0μmの(D)難燃性粒子を得た。
<難燃性樹脂組成物の作製>
(A)ポリ乳酸樹脂100重量部と、上述のようにして作製した(D)難燃性微粒子0.5、1、5重量部の三種類、すなわちポリ乳酸樹脂100重量部に対して(B)難燃剤が0.05、0.1、0.5重量部とをそれぞれドライブレンドし、その後、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練処理を行い、3mm角程度の成形用ペレットを作成した(サンプル1〜3)。
前記(A)ポリ乳酸樹脂としては、三井化学株式会社製のレイシアH-100Jを適用した。
(A)ポリ乳酸樹脂100重量部と、上述のようにして作製した(D)難燃性微粒子0.5、1、5重量部の三種類、すなわちポリ乳酸樹脂100重量部に対して(B)難燃剤が0.05、0.1、0.5重量部とをそれぞれドライブレンドし、その後、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練処理を行い、3mm角程度の成形用ペレットを作成した(サンプル1〜3)。
前記(A)ポリ乳酸樹脂としては、三井化学株式会社製のレイシアH-100Jを適用した。
<UL94垂直燃焼試験片の作製>
上述のようにして作製した成形用ペレット(サンプル1〜3の三種類)を、棚式の熱風乾燥機を用いて50℃で12時間乾燥処理を施し、その後、型締力50トンの電動式射出成形機を使用して金型温度40℃、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/sec、射出圧力100MPa、冷却時間60secの設定で、UL94垂直燃焼試験用の短冊試験片を作製した。
作製した短冊試験片は、幅13mm、長さ125mm、厚さ1.6mmである。
上述のようにして作製した成形用ペレット(サンプル1〜3の三種類)を、棚式の熱風乾燥機を用いて50℃で12時間乾燥処理を施し、その後、型締力50トンの電動式射出成形機を使用して金型温度40℃、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/sec、射出圧力100MPa、冷却時間60secの設定で、UL94垂直燃焼試験用の短冊試験片を作製した。
作製した短冊試験片は、幅13mm、長さ125mm、厚さ1.6mmである。
<UL94垂直燃焼試験>
上述のようにして作製した試験片を、50℃で72時間のエージングした後、湿度20%のデシケータ内で3時間冷却した。
試験片を5本で1セットとし、UL94規格に準拠した垂直燃焼試験を行った。
試験方法について説明する。
各試験片の上端部をクランプし、垂直状態で保持し、各試験片の下端部から300±10mm下方に脱脂綿(0.8g以下、50mm角)を置き、後述する燃焼試験によって溶融物が脱脂綿上に落下することを確認する。
各試験片の下端部からバーナーで接炎(1回目)を10±1秒間行い、その後、約300mm/秒の速度でバーナーを試験片から離す。燃焼が消えたら直ちにバーナーをサンプルの下端部に戻し、接炎(2回目)を10±1秒間行った。
5本1セットの試験片について、合計10回の接炎を行い、各試験片の燃焼時間を記録した。
ここで、「燃焼時間」とは、離炎後の燃焼継続時間を意味する。
1回目の燃焼時間をt1、2回目の燃焼時間をt2、2回目の燃焼後火種継続時間をt3とした。
ここで、「2回目の燃焼後火種継続時間」とは、試験片において炎は消えているが、試験片に赤く火種が残った状態が続く時間を言うものとする。
上述のようにして作製した試験片を、50℃で72時間のエージングした後、湿度20%のデシケータ内で3時間冷却した。
試験片を5本で1セットとし、UL94規格に準拠した垂直燃焼試験を行った。
試験方法について説明する。
各試験片の上端部をクランプし、垂直状態で保持し、各試験片の下端部から300±10mm下方に脱脂綿(0.8g以下、50mm角)を置き、後述する燃焼試験によって溶融物が脱脂綿上に落下することを確認する。
各試験片の下端部からバーナーで接炎(1回目)を10±1秒間行い、その後、約300mm/秒の速度でバーナーを試験片から離す。燃焼が消えたら直ちにバーナーをサンプルの下端部に戻し、接炎(2回目)を10±1秒間行った。
5本1セットの試験片について、合計10回の接炎を行い、各試験片の燃焼時間を記録した。
ここで、「燃焼時間」とは、離炎後の燃焼継続時間を意味する。
1回目の燃焼時間をt1、2回目の燃焼時間をt2、2回目の燃焼後火種継続時間をt3とした。
ここで、「2回目の燃焼後火種継続時間」とは、試験片において炎は消えているが、試験片に赤く火種が残った状態が続く時間を言うものとする。
<UL94垂直燃焼試験の判定方法>
上述したUL94垂直燃焼試験による判定を下記の方法により行った。
(1)各試験片の、測定された離炎後の燃焼継続が、t1、t2であり、これらが10秒以下ならV-0、30秒以下ならV-1もしくはV-2と判定した。
V-1、V-2判定上区別する境界については、下記(5)記載の評価による、燃焼時の滴下物でコットン着火するかどうかが基準となる。コットン着火した場合はV-2になり、着火が無い場合には、V-1となる。
(2)5本の試験片全ての燃焼継続時間(t1+t2)が、50秒以下ならばV-0、250秒以下ならばV-1もしくはV-2と判定した。
(3)2回目接炎後の燃焼継続時間と火種継続時間の合計(t2+t3)が、30秒以下ならばV-0、60秒以下ならばV-1もしくはV-2と判定した。
(4)クランプまで燃える燃焼がないことを確認できれば、合格とした。
(5)燃焼物や落下物による脱脂綿の発火について評価した。発火無しならばV-0もしくはV-1と判定し、発火ありならV-2と判定した。
ここで、発火が無い場合のV-0とV-1の境界は、上記(2)、(3)の燃焼継続時間(t1+t2)と(t2+t3)の測定結果が基準となる。t1+t2が50秒以下ならばV-0となり、50秒より大きく250秒以下ならばV-1となる。
また、t2+t3が30秒以下ならばV-0となり、30秒より大きく60秒以下ならばV-1となる。
上記、(1)〜(5)のそれぞれについて、V-0、V-1、V-2の条件を全て満たすものが実用上合格レベルにあるものと評価した。
上述したUL94垂直燃焼試験による判定を下記の方法により行った。
(1)各試験片の、測定された離炎後の燃焼継続が、t1、t2であり、これらが10秒以下ならV-0、30秒以下ならV-1もしくはV-2と判定した。
V-1、V-2判定上区別する境界については、下記(5)記載の評価による、燃焼時の滴下物でコットン着火するかどうかが基準となる。コットン着火した場合はV-2になり、着火が無い場合には、V-1となる。
(2)5本の試験片全ての燃焼継続時間(t1+t2)が、50秒以下ならばV-0、250秒以下ならばV-1もしくはV-2と判定した。
(3)2回目接炎後の燃焼継続時間と火種継続時間の合計(t2+t3)が、30秒以下ならばV-0、60秒以下ならばV-1もしくはV-2と判定した。
(4)クランプまで燃える燃焼がないことを確認できれば、合格とした。
(5)燃焼物や落下物による脱脂綿の発火について評価した。発火無しならばV-0もしくはV-1と判定し、発火ありならV-2と判定した。
ここで、発火が無い場合のV-0とV-1の境界は、上記(2)、(3)の燃焼継続時間(t1+t2)と(t2+t3)の測定結果が基準となる。t1+t2が50秒以下ならばV-0となり、50秒より大きく250秒以下ならばV-1となる。
また、t2+t3が30秒以下ならばV-0となり、30秒より大きく60秒以下ならばV-1となる。
上記、(1)〜(5)のそれぞれについて、V-0、V-1、V-2の条件を全て満たすものが実用上合格レベルにあるものと評価した。
<アイゾット衝撃試験用試験片の作製>
上述のようにして作製した成形用ペレットを、棚式の熱風乾燥機を使用して50℃で12時間乾燥処理を施した。その後、型締力50トンの電動式射出成形機を使用して、金型温度40℃、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/s、射出圧力100MPa、冷却時間60secの設定条件で、アイゾット衝撃試験用試験片を作製した。
試験片のサイズは、長さ64mm、幅12.7mm、厚さ12.7mmで、A切欠きを入れた2号A試験片であるものとした。
上述のようにして作製した成形用ペレットを、棚式の熱風乾燥機を使用して50℃で12時間乾燥処理を施した。その後、型締力50トンの電動式射出成形機を使用して、金型温度40℃、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/s、射出圧力100MPa、冷却時間60secの設定条件で、アイゾット衝撃試験用試験片を作製した。
試験片のサイズは、長さ64mm、幅12.7mm、厚さ12.7mmで、A切欠きを入れた2号A試験片であるものとした。
<アイゾット衝撃試験>
JIS K 7110に準拠したアイゾット衝撃試験を行った。
JIS K 7110に準拠したアイゾット衝撃試験を行った。
(実施例2)
<難燃性粒子の作製>
熱可塑性ポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレート(三井化学株式会社製PETJ):90重量部
難燃剤:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C12H25C6H4SO3Na、関東化学株式会社製 試薬鹿1級):10重量部
前記熱可塑性ポリエステル樹脂45重量部と前記難燃剤10重量部の混合物を、3本ロールミルを用いて、温度260℃の条件下で混練し、冷却固化し、その後ハンマーミルで粗い粉砕を行った。
この粉砕物にさらに上記熱可塑性ポリエステル樹脂45重量部を加えてドライブレンドし、2軸混練押出機を用いて、温度260℃の条件下で溶融混練を行った。
この混練物をジェットミル粉砕機で微粉砕し、さらに精密空気分級機を用いて、体積平均粒径が1.0μmの難燃性粒子を作製した。
<難燃性粒子の作製>
熱可塑性ポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレート(三井化学株式会社製PETJ):90重量部
難燃剤:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C12H25C6H4SO3Na、関東化学株式会社製 試薬鹿1級):10重量部
前記熱可塑性ポリエステル樹脂45重量部と前記難燃剤10重量部の混合物を、3本ロールミルを用いて、温度260℃の条件下で混練し、冷却固化し、その後ハンマーミルで粗い粉砕を行った。
この粉砕物にさらに上記熱可塑性ポリエステル樹脂45重量部を加えてドライブレンドし、2軸混練押出機を用いて、温度260℃の条件下で溶融混練を行った。
この混練物をジェットミル粉砕機で微粉砕し、さらに精密空気分級機を用いて、体積平均粒径が1.0μmの難燃性粒子を作製した。
<難燃性樹脂組成物の作製>
実施例1で使用したポリ乳酸樹脂100重量部と、上記工程により作製された難燃性粒子1重量部を用いて、前記実施例1と同様の方法により成形用ペレットを作製した(サンプル4)。
実施例1で使用したポリ乳酸樹脂100重量部と、上記工程により作製された難燃性粒子1重量部を用いて、前記実施例1と同様の方法により成形用ペレットを作製した(サンプル4)。
<UL94垂直燃焼試験片の作製>
前記実施例1と同様の方法により、電動式射出成形機を使用して、UL94垂直燃焼試験用の試験片を作製した。
前記実施例1と同様の方法により、電動式射出成形機を使用して、UL94垂直燃焼試験用の試験片を作製した。
<UL94垂直燃焼試験およびその判定方法>
前記実施例1と同様の方法で、UL94垂直燃焼試験を行い、燃焼性を判定・評価した。
前記実施例1と同様の方法で、UL94垂直燃焼試験を行い、燃焼性を判定・評価した。
<アイゾット衝撃試験用試験片の作製およびアイゾット衝撃試験>
前記実施例1と同様の方法で、電動式射出成形機を使用して、アイゾット衝撃試験用の試験片を作製し、JIS K 7110に準拠したアイゾット衝撃試験を行った。
前記実施例1と同様の方法で、電動式射出成形機を使用して、アイゾット衝撃試験用の試験片を作製し、JIS K 7110に準拠したアイゾット衝撃試験を行った。
(比較例1)
<難燃性樹脂組成物の作製>
前記実施例1で使用したポリ乳酸100重量部に、難燃剤として前期実施例1で使用した脂肪族スルホン酸化合物であるカンファースルホン酸0.0001、0.05、0.1、0.5重量部を、それぞれ添加しドライブレンドし、その後、2軸混練押出機を用いて180℃の条件下で溶融混練して、3mm角の成形用ペレットを作製した(サンプル5〜8)。
<難燃性樹脂組成物の作製>
前記実施例1で使用したポリ乳酸100重量部に、難燃剤として前期実施例1で使用した脂肪族スルホン酸化合物であるカンファースルホン酸0.0001、0.05、0.1、0.5重量部を、それぞれ添加しドライブレンドし、その後、2軸混練押出機を用いて180℃の条件下で溶融混練して、3mm角の成形用ペレットを作製した(サンプル5〜8)。
<UL94垂直燃焼試験片の作製>
前記実施例1と同様の方法で、電動式射出成形機を使用して、UL94垂直燃焼試験用の試験片を作製した。
前記実施例1と同様の方法で、電動式射出成形機を使用して、UL94垂直燃焼試験用の試験片を作製した。
<UL94垂直燃焼試験およびその判定方法>
前記実施例1と同様の方法で、UL94垂直燃焼試験を行い、燃焼性を判定・評価した。
前記実施例1と同様の方法で、UL94垂直燃焼試験を行い、燃焼性を判定・評価した。
<アイゾット衝撃試験用試験片の作製およびアイゾット衝撃試験>
前記実施例1と同様の方法で、電動式射出成形機を使用して、アイゾット衝撃試験用の試験片を作製し、JIS K 7110に準拠したアイゾット衝撃試験を行った。
前記実施例1と同様の方法で、電動式射出成形機を使用して、アイゾット衝撃試験用の試験片を作製し、JIS K 7110に準拠したアイゾット衝撃試験を行った。
(比較例2)
前記実施例1で使用したポリ乳酸樹脂のみを用いて、前記実施例1と同様の方法で、UL94垂直燃焼試験用の試験片、およびアイゾット衝撃試験用の試験片を作製した(サンプル9)。前記実施例1と同様の方法により各試験を行った。
前記実施例1で使用したポリ乳酸樹脂のみを用いて、前記実施例1と同様の方法で、UL94垂直燃焼試験用の試験片、およびアイゾット衝撃試験用の試験片を作製した(サンプル9)。前記実施例1と同様の方法により各試験を行った。
(比較例3)
前記実施例1で作製した難燃性粒子を用いて、ポリ乳酸樹脂100重量部に難燃性粒子30重量部で添加して、難燃性樹脂組成物を作製し、前記実施例1と同様の方法で、UL94垂直燃焼試験用の試験片、およびアイゾット衝撃試験用の試験片を作製した(サンプル10)。前記実施例1と同様の方法により各試験を行った。
前記実施例1で作製した難燃性粒子を用いて、ポリ乳酸樹脂100重量部に難燃性粒子30重量部で添加して、難燃性樹脂組成物を作製し、前記実施例1と同様の方法で、UL94垂直燃焼試験用の試験片、およびアイゾット衝撃試験用の試験片を作製した(サンプル10)。前記実施例1と同様の方法により各試験を行った。
(比較例4)
前記実施例1で作製した難燃性粒子を用いて、ポリ乳酸樹脂100重量部と難燃性粒子0.001重量部を添加して、難燃性樹脂組成物を作製し、前記実施例1と同様の方法で、UL94垂直燃焼試験用の試験片、およびアイゾット衝撃試験用の試験片を作製した(サンプル11)。前記実施例1と同様の方法により試験を行った。
前記実施例1で作製した難燃性粒子を用いて、ポリ乳酸樹脂100重量部と難燃性粒子0.001重量部を添加して、難燃性樹脂組成物を作製し、前記実施例1と同様の方法で、UL94垂直燃焼試験用の試験片、およびアイゾット衝撃試験用の試験片を作製した(サンプル11)。前記実施例1と同様の方法により試験を行った。
〔試験結果〕
上述した実施例1、2、比較例1〜4の、サンプル1〜11における、UL94垂直燃焼試験、アイゾット衝撃試験、及び試験片成形時の成形性評価結果を下記〔表1〕に示す。
なお、成形性評価に関しては、連続成形が可能だった場合は「○」、5〜15ショット程度において成形不良が発生しスクリューへの滞留分をパージし直さなければならなかった場合は「△」、5ショット未満しか連続成形ができずにパージ直後しか成形品が取れない、もしくは成形品を取ることができない場合は「×」として評価した。
上述した実施例1、2、比較例1〜4の、サンプル1〜11における、UL94垂直燃焼試験、アイゾット衝撃試験、及び試験片成形時の成形性評価結果を下記〔表1〕に示す。
なお、成形性評価に関しては、連続成形が可能だった場合は「○」、5〜15ショット程度において成形不良が発生しスクリューへの滞留分をパージし直さなければならなかった場合は「△」、5ショット未満しか連続成形ができずにパージ直後しか成形品が取れない、もしくは成形品を取ることができない場合は「×」として評価した。
実施例1のサンプル1〜3、及び実施例2のサンプル4においては、アイゾット衝撃値、難燃性、及び成形性のいずれにおいても、実用上充分な評価が得られた。
比較例1のサンプル5は、難燃剤が極めて少量であるため成形性は良好であったが、実用上充分な難燃効果が得られなかった。
比較例1のサンプル6、7は、難燃性粒子中に難燃剤を包含させた構成としなかったため、成形性が悪化した。
比較例1のサンプル8は、難燃効果は実用上充分に高かったが、難燃性粒子中に難燃剤を包含させなかたため、成形性が悪化した。
比較例2のサンプル9は、ポリ乳酸のみを用いたものであるので、成形性や機械的強度は良好であるが、実用的な難燃性は有していない例である。
比較例3のサンプル10は、難燃性粒子が過剰に含有されており、また難燃性粒子中の難燃剤含有量も高いため、成形性が悪化した。
比較例4のサンプル11は、成形性は良好であったが、難燃剤の含有量が少なく充分な難燃効果が得られなかった。
比較例1のサンプル5は、難燃剤が極めて少量であるため成形性は良好であったが、実用上充分な難燃効果が得られなかった。
比較例1のサンプル6、7は、難燃性粒子中に難燃剤を包含させた構成としなかったため、成形性が悪化した。
比較例1のサンプル8は、難燃効果は実用上充分に高かったが、難燃性粒子中に難燃剤を包含させなかたため、成形性が悪化した。
比較例2のサンプル9は、ポリ乳酸のみを用いたものであるので、成形性や機械的強度は良好であるが、実用的な難燃性は有していない例である。
比較例3のサンプル10は、難燃性粒子が過剰に含有されており、また難燃性粒子中の難燃剤含有量も高いため、成形性が悪化した。
比較例4のサンプル11は、成形性は良好であったが、難燃剤の含有量が少なく充分な難燃効果が得られなかった。
A 熱可塑性ポリエステル樹脂
B 難燃剤
C 熱可塑性樹脂
D 難燃性粒子
B 難燃剤
C 熱可塑性樹脂
D 難燃性粒子
Claims (10)
- 少なくとも、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、
(B)難燃剤を(C)熱可塑性樹脂により内包した構成の(D)難燃性粒子とを含む難燃性樹脂組成物であって、
前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、少なくとも原料の一部として、バイオマス材料を含む、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂の、少なくともいずれか一種類を含有しているものであり、
前記(B)難燃剤は、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の、少なくともいずれか一種であるものとし、
前記(C)熱可塑性樹脂の融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低いことを特徴とする難燃性樹脂組成物。 - 前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリ乳酸樹脂、微生物産生樹脂(ポリヒドロキシアルカン酸)、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートの、少なくともいずれかを含有していることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記(B)難燃剤を構成する、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物の、それぞれの金属塩が、ナトリウム塩、又はカリウム塩の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記(D)難燃性粒子を構成する(C)熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記(C)熱可塑性樹脂の融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも、20〜200℃高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記(D)難燃性粒子を構成する前記(B)難燃剤と、(C)熱可塑性樹脂との配合比が、(B):(C)=0.01〜99.99〜30:70であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記(D)難燃性粒子の体積平均粒子径が、10nm〜5μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、前記(B)難燃剤が0.001〜1重量部であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 少なくとも、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、
(B)難燃剤を(C)熱可塑性樹脂により内包した構成の(D)難燃性粒子とを含む難燃性樹脂組成物を用いた難燃性樹脂成形体であって、
前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、少なくとも原料の一部として、バイオマス材料を含む、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂の、少なくともいずれか一種類を含有しているものであり、
前記(B)難燃剤は、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の、少なくともいずれか一種であり、
前記(C)熱可塑性樹脂の融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低いものであり、
前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点TmA以上で、
かつ(C)熱可塑性樹脂の融点Tmc以下の温度で、成形を行ったものであることを特徴とする難燃性樹脂成形体。 - 少なくとも、
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、
(B)難燃剤を(C)熱可塑性樹脂により内包した構成の(D)難燃性粒子とを含む難燃性樹脂組成物を用いた、難燃性樹脂成形体の製造方法であって、
前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂としては、少なくとも原料の一部として、バイオマス材料を含む、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂の、少なくともいずれか一種類を含有しているものを用い、
前記(B)難燃剤としては、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物及びこれらの金属塩の、少なくともいずれか一種を用い、
前記(C)熱可塑性樹脂の融点が、前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分解開始温度よりも低いものであり、
前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点TmA以上で、かつ(C)熱可塑性樹脂の融点Tmc以下の温度により成形を行うことを特徴とする難燃性樹脂成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007151419A JP2008303289A (ja) | 2007-06-07 | 2007-06-07 | 難燃性樹脂組成物、難燃性樹脂成形体及びこの製造方法 |
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ID=40232291
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JP2007151419A Pending JP2008303289A (ja) | 2007-06-07 | 2007-06-07 | 難燃性樹脂組成物、難燃性樹脂成形体及びこの製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008303289A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8481618B2 (en) | 2008-07-03 | 2013-07-09 | Ricoh Company, Ltd. | Fire retardant resin composition |
KR101303556B1 (ko) | 2013-02-08 | 2013-09-03 | 정정승 | 난연기능성 폴리에스터 수지를 이용한 마스터배치 또는 콤파운드의 제조방법 및 난연사의 제조방법 |
JP2017002141A (ja) * | 2015-06-08 | 2017-01-05 | 横浜ゴム株式会社 | タイヤ用ゴム組成物およびその製造方法並びに空気入りタイヤ |
-
2007
- 2007-06-07 JP JP2007151419A patent/JP2008303289A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8481618B2 (en) | 2008-07-03 | 2013-07-09 | Ricoh Company, Ltd. | Fire retardant resin composition |
KR101303556B1 (ko) | 2013-02-08 | 2013-09-03 | 정정승 | 난연기능성 폴리에스터 수지를 이용한 마스터배치 또는 콤파운드의 제조방법 및 난연사의 제조방법 |
WO2014123322A1 (ko) * | 2013-02-08 | 2014-08-14 | Jeong Jeong-Seung | 난연기능성 폴리에스터 수지를 이용한 마스터배치 또는 콤파운드의 제조방법 및 난연사의 제조방법 |
JP2017002141A (ja) * | 2015-06-08 | 2017-01-05 | 横浜ゴム株式会社 | タイヤ用ゴム組成物およびその製造方法並びに空気入りタイヤ |
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