JP2008301814A - チョコレート入り冷菓ミックス - Google Patents

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貞治 小野
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Abstract

【課題】冷却能力の低い製造設備であっても製造が可能な、カカオバターを多量に含む冷菓を提供すること、およびこのような冷菓の製造方法を提供すること。
【解決手段】カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルを含む冷菓であって、該リン酸塩が、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である、冷菓。カカオバターを含む冷菓の製造方法であって、該方法が、以下の工程:カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルを含むアイスミックスを得る工程;該アイスミックスを濾過し、均質化し、殺菌および冷却してエージングミックスを得る工程;および該エージングミックスを0℃〜10℃でエージングする工程を包含し、該リン酸塩が、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である、製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、チョコレート感が濃厚な冷菓に関する。より詳細には、本発明は、多量のカカオバターを含む冷菓に関する。
現在、チョコレートアイスを規格する場合、公正競争規約にあるように「チョコレートを加えたものであってその含有率がカカオ分として1.5%以上であるもの」を満たすために、ココアパウダー主体で風味付けしている。チョコレート生地は使用してもせいぜい6%程度であり、チョコレート生地とココアパウダーとを併用することが多い。
その理由は、チョコレート生地を使用した冷菓ミックスは製造工程(特にエージング(熟成)工程)で経時的に増粘して冷菓製造に著しく支障をきたすことが従来より知られているからである。特に、カカオバターの量が多いとエージング工程で経時的に増粘してエージングミックスがマヨネーズ状にぼてぼてになり、流動性がなくなり、冷菓製造に著しく支障をきたす。
そのため、従来より、チョコレート冷菓を製造する際は、配合上、
(1)チョコレート添加量を少なめに調製する(従来技術では、チョコレート生地として5〜6%程度);
(2)ココアパウダー主体で風味付けを行う(ココアパウダーとして3〜7%程度が多い)、
などの方法をとり、エージング工程でのミックス液増粘を避けてきた。
確かに上記(1)、(2)の方法で、ある程度風味の強さを表現することができる。しかし、ココアパウダーを用いた場合に表現される風味は、ココア感であって、チョコレート感ではない。上記(1)、(2)のような方法では、チョコレートの濃厚な風味を満喫することができる冷菓を作製することはできない。チョコレート感を付与するためには、カカオバターが重要な役割を果たす。チョコレートの豊かな風味を表現するためには、やはり、チョコレート自体、特にカカオバターを多く配合する必要がある。しかし、従来の技術では、上述したように、カカオバターの量を増やすとエージングミックスが増粘して工業的な製造を実現できない。冷菓中のカカオバターの量を増やすためには、エージング工程でのエージングミックスの増粘を抑制するかもしくは著しく軽減する必要性がある。
従来、冷菓中のチョコレートの含有量を増やすために、いくつかの方法が提案されてきた。特許文献1(特開2003−052310号公報;「チョコレート冷菓及びこれに用いるチョコレート冷菓ミックス」)は、グリセリン脂肪酸エステルおよびクエン酸モノグリセリドを含有することによりチョコレートミックスの増粘を抑えることができると記載している。特許文献1はさらに、カカオ油脂分(すなわち、カカオバター)1.5%以上に適用できると記載している。しかし、特許文献1の方法を用いてカカオバター3.0%の冷菓を製造しようとすると、エージング72時間後には粘度が極めて高くなり、マヨネーズ状になってしまい、冷菓の生産適性が損なわれる(本願明細書の比較例10−7を参照のこと)。そのため、特許文献1に記載の方法では、カカオバターを多量に含むような冷菓を製造するには不都合があった。
特許文献2(特開昭63−287446号公報;「低粘稠度の高脂肪アイスクリームミックス及びチョコレートアイスクリームミックス」)は、カゼインナトリウムを0.5〜2.0重量%含有させることにより冷菓のミックス粘度を抑えること、カゼインナトリウムを2.0重量%よりも多く含有させると製品の風味を損なうので好ましくないことを記載している。特許文献2は主に、調合時(プレート殺菌後の冷却)での粘度を抑えることについて記載している。しかし、特許文献2の方法を用いて5重量%のカカオバターを含む冷菓を製造しようとすると、カゼインナトリウムを最大量の2.0重量%用いたとしても、エージング72時間後には粘度が極めて高くなり、マヨネーズ状になってしまい、冷菓の生産適性が損なわれる(本願明細書の比較例12−8〜12−13および13−8〜13−11を参照のこと)。そのため、特許文献2に記載の方法では、カカオバターを多量に含むような冷菓を製造するには不都合があった。
このように、多量のカカオバターを含む、濃厚なチョコレート感を楽しめる冷菓を提供することが依然として望まれている。そのためにはエージング工程でのミックス増粘を抑制するかもしくは著しく軽減する必要性がある。
本発明者らは、特願2005−329428号出願において、アイスミックスにメタリン酸塩またはポリリン酸塩を配合することによりアイスミックスの経時的増粘を著しく軽減することを見出した。この技術を用いると非常に濃厚なチョコレート含有冷菓を提供することができる。比較的少量のバッチにおいては、非常に高性能な製品を製造できる。また、工業的規模のバッチにおいても、プレート殺菌機の性能が改善されたタイプの設備であれば製造できる。ところが、通常の汎用的な量産設備を用いて工業的規模でこのチョコレート含有冷菓を製造しようとすると、不適切な増粘が生じて製造ができなくなる場合があることがわかった。アイスミックスの増粘は、(1)アイスミックス中のカカオバター含有量、(2)アイスミックスの配合中の乳化剤および安定剤の組成および量、(3)製造工程でのプレート殺菌機出口での冷却温度、(4)エージングタンク内の攪拌条件などによって発生することがわかっている。特に、プレート殺菌機の能力が低いと、プレート殺菌機出口での冷却が不十分となり、エージングタンク内で経時的に増粘が発生した。そのため、このような冷却能力の低い製造設備を使用した場合であっても、非常に濃厚なチョコレート含有冷菓を提供することができることが望まれる。
特開2003−052310号公報(第2頁〜第5頁) 特開昭63−287446号公報(第1頁〜第4頁)
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、冷却能力の低い製造設備であっても製造が可能な、カカオバターを多量に含む冷菓を提供すること、およびこのような冷菓の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、リン酸塩に加えてさらにショ糖脂肪酸エステルと、ソルビタン脂肪酸エステルまたはポリソルベートとをアイスミックスに配合することにより、冷却能力の低い製造設備を用いた場合であってもアイスミックスの経時的な増粘を著しく抑えることができることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する:
(項目1)
カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルを含む冷菓であって、該リン酸塩が、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である、冷菓。
(項目2)
カカオバターの含有量が、5重量%〜20重量%である、項目1に記載の冷菓。
(項目3)
前記リン酸塩が、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウムからなる群より選択される、項目1または2に記載の冷菓。
(項目4)
前記リン酸塩の含有量が、0.1重量%〜1.0重量%である、項目1〜3のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目5)
前記ショ糖脂肪酸エステルの親水性親油性バランス(HLB)が7〜19である、項目1〜4のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目6)
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が、0.05重量%〜0.40重量%である、項目1〜5のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目7)
前記ソルビタン脂肪酸エステルが、ステアリン酸エステルまたはベヘン酸エステルである、項目1〜6のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目8)
前記ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが2.5〜7.0である、項目1〜7のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目9)
前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が、0.05重量%〜0.4重量%である、項目1〜8のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目10)
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量と前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量との合計が、0.2重量%〜0.7重量%である、項目1〜9のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目11)
前記ショ糖脂肪酸エステルと前記ソルビタン脂肪酸エステルとの重量比が、80:20〜15:75である、項目1〜10のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目12)
ラクトアイス、アイスミルクまたはアイスクリームである、項目1〜11のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目13)
カカオバターを含む冷菓の製造方法であって、該方法が、以下の工程:
カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルを含むアイスミックスを得る工程;
該アイスミックスを濾過し、均質化し、殺菌および冷却してエージングミックスを得る工程;および
該エージングミックスを0℃〜10℃でエージングする工程
を包含し、該リン酸塩が、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である、製造方法。
(項目14)
前記冷菓のカカオバター含有量が、5重量%〜20重量%である、項目13または14に記載の方法。
(項目15)
前記エージングが、4時間〜5日間行われる、項目13〜14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記エージング後のミックスの粘度が、1000cP未満である、項目13〜15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記リン酸塩が、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウムからなる群より選択される、項目13〜16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記リン酸塩の含有量が、0.1重量%〜1.0重量%である、項目13〜17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記ショ糖脂肪酸エステルの親水性親油性バランス(HLB)が7〜19である、項目1〜8のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が、0.05重量%〜0.40重量%である、項目13〜19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記ソルビタン脂肪酸エステルが、ステアリン酸エステルまたはベヘン酸エステルである、項目13〜20のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
前記ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが2.5〜7.0である、項目13〜21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が、0.05重量%〜0.4重量%である、項目13〜22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量と前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量との合計が、0.2重量%〜0.7重量%である、項目13〜23のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
前記ショ糖脂肪酸エステルと前記ソルビタン脂肪酸エステルとの重量比が、80:20〜15:75である、項目13〜24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
前記冷菓がラクトアイス、アイスミルクまたはアイスクリームである、項目13〜25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
1バッチあたりエージングミックス1トン以上の工業的規模で行われる、項目13〜26のいずれか1項に記載の方法。
(項目A1)
カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリソルベートを含む冷菓であって、該リン酸塩が、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である、冷菓。
(項目A2)
カカオバターの含有量が、5重量%〜20重量%であり、より好ましくは5重量%〜10重量%である、項目A1に記載の冷菓。
(項目A3)
前記リン酸塩が、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウムからなる群より選択される、項目A1またはA2に記載の冷菓。
(項目A4)
前記リン酸塩の含有量が、0.1重量%〜1.0重量%である、項目A1〜A3のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目A5)
前記ショ糖脂肪酸エステルの親水性親油性バランス(HLB)が7〜19である、項目A1〜A4のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目A6)
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が、0.05重量%〜0.40重量%である、項目A1〜A5のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目A7)
前記ポリソルベートが、ステアリン酸エステルである、項目A1〜A6のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目A8)
前記ポリソルベートのHLBが10〜15である、項目A1〜A7のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目A9)
前記ポリソルベートの含有量が、0.01重量%〜0.05重量%である、項目A1〜A8のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目A10)
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量と前記ポリソルベートの含有量との合計が、0.2重量%〜0.4重量%である、項目A1〜A9のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目A11)
前記ショ糖脂肪酸エステルと前記ポリソルベートとの重量比が、5:1〜8:1であり、より好ましくは6:1である、項目A1〜A10のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目A12)
ラクトアイス、アイスミルクまたはアイスクリームである、項目A1〜A11のいずれか1項に記載の冷菓。
(項目A13)
カカオバターを含む冷菓の製造方法であって、該方法が、以下の工程:
カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリソルベートを含むアイスミックスを得る工程;
該アイスミックスを濾過し、均質化し、殺菌および冷却してエージングミックスを得る工程;および
該エージングミックスを0℃〜10℃でエージングする工程
を包含し、該リン酸塩が、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である、製造方法。
(項目A14)
前記冷菓のカカオバター含有量が、5重量%〜20重量%であり、より好ましくは5重量%〜10重量%である、項目A13に記載の方法。
(項目A15)
前記エージングが、4時間〜5日間行われる、項目A13またはA14に記載の方法。
(項目A16)
前記エージング後のミックスの粘度が、1000cP未満である、項目A13〜A15のいずれか1項に記載の方法。
(項目A17)
前記リン酸塩が、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウムからなる群より選択される、項目A13〜A16のいずれか1項に記載の方法。
(項目A18)
前記リン酸塩の含有量が、0.1重量%〜1.0重量%である、項目A13〜A17のいずれか1項に記載の方法。
(項目A19)
前記ショ糖脂肪酸エステルの親水性親油性バランス(HLB)が7〜19である、項目A13〜A18のいずれか1項に記載の方法。
(項目A20)
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が、0.05重量%〜0.40重量%である、項目A13〜A19のいずれか1項に記載の方法。
(項目A21)
前記ポリソルベートが、ステアリン酸エステルである、項目A13〜A20のいずれか1項に記載の方法。
(項目A22)
前記ポリソルベートのHLBが10〜15である、項目A13〜A21のいずれか1項に記載の方法。
(項目A23)
前記ポリソルベートの含有量が、0.01重量%〜0.05重量%である、項目A13〜A22のいずれか1項に記載の方法。
(項目A24)
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量と前記ポリソルベートの含有量との合計が、0.2重量%〜0.4重量%である、項目A13〜A23のいずれか1項に記載の方法。
(項目A25)
前記ショ糖脂肪酸エステルと前記ポリソルベートとの重量比が、5:1〜8:1であり、より好ましくは6:1である、項目A13〜A24のいずれか1項に記載の方法。
(項目A26)
前記冷菓がラクトアイス、アイスミルクまたはアイスクリームである、項目A13〜A25のいずれか1項に記載の方法。
(項目A27)
1バッチあたりエージングミックス1トン以上の工業的規模で行われる、項目A13〜A26のいずれか1項に記載の方法。
本発明により、冷却能力の低い製造設備を用いた場合であっても、従来になく多量のカカオバターを含む冷菓を製造することができる。本発明の冷菓の風味は、従来になく濃厚なチョコレート感を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
<冷菓>
本発明の冷菓は、カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルを含む。
本明細書中で「冷菓」とは、当業者に周知の意味で使用される。例えば、冷菓とは、凍らせた菓子をいう。冷菓は、従来公知の任意の冷菓であり得る。冷菓の例としては、アイスクリーム類および氷菓が挙げられる。
アイスクリーム類は、厚生労働省による乳及び乳製品の成分規格等に関する省令によって、「アイスクリーム類とは、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって、乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く。)をいう」と規定されている。
アイスクリーム類は、アイスクリーム、アイスミルクおよびラクトアイスに分けられる。アイスクリームとは、アイスクリーム類のうちの、乳固形分が15.0%以上(うち乳脂肪分が8.0%以上)のものをいう。アイスミルクとは、アイスクリーム類のうちの、乳固形分が10.0%以上(うち乳脂肪分が3.0%以上)のものをいう。ラクトアイスとはアイスクリーム類のうちの、乳固形分が3.0%以上のものをいう。
氷菓とは、冷菓の各種材料(各種原料)を混和したエージングミックスを凍結したもので、凍結状のまま食用に供するものをいう。ただし、氷菓の定義からは、アイスクリーム類に該当するものを除く。氷菓は、例えば、乳固形分が3.0%未満であって、乳固形分の代わりに植物由来の乳を含むこと以外はアイスクリーム類と同様の組成のもの、および乳固形分が3.0%未満であって、乳固形分の代わりに植物由来の乳を含むものを包含する。植物由来の乳とは、植物材料から得られた、乳白色の可食液体であって、牛乳と似た外観のものをいう。植物由来の乳の例としては、豆乳、ココナッツミルク、アーモンドミルクなどが挙げられる。
冷菓は、カカオバターを含む限り、任意の風味のものであり得る。
<冷菓の原料>
(1)リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステル(またはポリソルベート)
(1−1 リン酸塩)
本発明の冷菓の製造においては、リン酸塩を用いる。本発明において用いられるリン酸塩は、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である。リン酸塩は好ましくは金属塩である。リン酸塩は好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩である。リン酸塩は、好ましくは、食品添加物として認められているリン酸塩である。食品添加物として認められているメタリン酸塩およびポリリン酸塩は、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウムおよびメタリン酸ナトリウムである。
メタリン酸塩とは、メタリン酸と塩基との反応によって形成される塩である。メタリン酸塩の例として、メタリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウムが挙げられる。メタリン酸ナトリウムは、一般に、(NaPOの分子式で示される。低重合度のトリメタリン酸ナトリウムおよびテトラメタリン酸ナトリウムは環状構造を有する。高重合のポリメタリン酸塩は鎖状構造を有する。ポリメタリン酸ナトリウムの通常の市販品は、高重合度の可溶性ポリメタリン酸塩であって、重合度は10〜23であるとされている。メタリン酸カリウムは、一般に、(KPOの分子式で示される。市販品は高重合度のポリメタリン酸カリウムが多い。
メタリン酸塩は、約0℃〜5℃にて1時間攪拌してから約0℃〜5℃にて静置して72時間後のエージングミックスの粘度を1000cPより高く上昇させない限り任意の量で用いられ得る。エージングミックス中でのメタリン酸塩の量は好ましくは約0.05重量%以上であり、より好ましくは約0.1重量%以上であり、さらに好ましくは約0.15重量%以上であり、さらにより好ましくは約0.2重量%以上であり、特に好ましくは約0.25重量%以上であり、最も好ましくは約0.3重量%以上である。エージングミックス中でのメタリン酸塩の量は好ましくは約3重量%以下であり、特に好ましくは約2重量%以下であり、なおさらに好ましくは約1.0重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.8重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.7重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.6重量%以下であり、最も好ましくは約0.5重量%以下である。メタリン酸塩の量が少なすぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合があり、メタリン酸塩の量が多すぎると塩味が目立って発現される場合がある。
メタリン酸塩としてメタリン酸ナトリウムを用いる場合、エージングミックス中でのメタリン酸ナトリウムの量は好ましくは約0.05重量%以上であり、より好ましくは約0.1重量%以上であり、さらに好ましくは約0.15重量%以上であり、さらにより好ましくは約0.2重量%以上であり、特に好ましくは約0.25重量%以上であり、最も好ましくは約0.3重量%以上である。エージングミックス中でのメタリン酸ナトリウムの量は好ましくは約3重量%以下であり、特に好ましくは約2重量%以下であり、なおさらに好ましくは約1.0重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.8重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.7重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.6重量%以下であり、最も好ましくは約0.5重量%以下である。メタリン酸ナトリウムの量が少なすぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合があり、メタリン酸ナトリウムの量が多すぎると塩味が目立って発現される場合がある。
メタリン酸塩としてメタリン酸カリウムを用いる場合、エージングミックス中でのメタリン酸カリウムの量は好ましくは約0.05重量%以上であり、より好ましくは約0.1重量%以上であり、さらに好ましくは約0.15重量%以上であり、さらにより好ましくは約0.2重量%以上であり、特に好ましくは約0.25重量%以上であり、最も好ましくは約0.3重量%以上である。エージングミックス中でのメタリン酸カリウムの量は好ましくは約3重量%以下であり、特に好ましくは約2重量%以下であり、なおさらに好ましくは約1.0重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.9重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.8重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.7重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.6重量%以下であり、最も好ましくは約0.5重量%以下である。メタリン酸カリウムの量が少なすぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合があり、メタリン酸カリウムの量が多すぎると塩味が目立って発現される場合がある。
メタリン酸塩は、メタリン酸ナトリウム単独で、メタリン酸カリウム単独で、またはメタリン酸ナトリウムとメタリン酸カリウムとの混合物として用いられてもよい。メタリン酸塩はまた、ポリリン酸塩と混合して用いられてもよい。
ポリリン酸塩の例として、ポリリン酸ナトリウムおよびポリリン酸カリウムが挙げられる。ポリリン酸はHn+23n+1の一般式を有する。市販のポリリン酸ナトリウムは、一般に、トリポリリン酸ナトリウムを主成分とし、少量のピロリン酸塩、トリメタリン酸塩および非結晶性の高重合リン酸塩が混在する。市販のポリリン酸カリウムは、一般に、トリポリリン酸カリウム(K10)を主成分とする。
ポリリン酸塩は、約0〜5℃にて1時間攪拌してから約0〜5℃にて静置して72時間後のエージングミックスの粘度を1000cPより高く上昇させない限り任意の量で用いられ得る。エージングミックス中でのポリリン酸塩の量は好ましくは約0.05重量%以上であり、より好ましくは約0.1重量%以上であり、さらに好ましくは約0.15重量%以上であり、さらにより好ましくは約0.2重量%以上であり、特に好ましくは約0.25重量%以上であり、最も好ましくは約0.3重量%以上である。エージングミックス中でのポリリン酸塩の量は好ましくは約3重量%以下であり、特に好ましくは約2重量%以下であり、なおさらに好ましくは約1.0重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.8重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.7重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.6重量%以下であり、最も好ましくは約0.5重量%以下である。ポリリン酸塩の量が少なすぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合があり、ポリリン酸塩の量が多すぎると塩味が目立って発現される場合がある。
ポリリン酸塩としてポリリン酸ナトリウムを用いる場合、エージングミックス中でのポリリン酸ナトリウムの量は好ましくは約0.05重量%以上であり、より好ましくは約0.1重量%以上であり、さらに好ましくは約0.2重量%以上であり、さらにより好ましくは約0.3重量%以上であり、特に好ましくは約0.4重量%以上であり、最も好ましくは約0.5重量%以上である。エージングミックス中でのポリリン酸ナトリウムの量は好ましくは約3重量%以下であり、特に好ましくは約2重量%以下であり、なおさらに好ましくは約1.0重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.8重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.7重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.6重量%以下であり、最も好ましくは約0.5重量%以下である。ポリリン酸ナトリウムの量が少なすぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合があり、ポリリン酸ナトリウムの量が多すぎると塩味が目立って発現される場合がある。
ポリリン酸塩としてポリリン酸カリウムを用いる場合、エージングミックス中でのポリリン酸カリウムの量は好ましくは約0.05重量%以上であり、より好ましくは約0.1重量%以上であり、さらに好ましくは約0.2重量%以上であり、さらにより好ましくは約0.3重量%以上であり、特に好ましくは約0.4重量%以上であり、最も好ましくは約0.5重量%以上である。エージングミックス中でのポリリン酸カリウムの量は好ましくは約10重量%以下であり、より好ましくは約8重量%以下であり、さらに好ましくは約5重量%以下であり、さらにより好ましくは約3重量%以下であり、特に好ましくは約2重量%以下であり、なおさらに好ましくは約1.0重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.9重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.8重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.7重量%以下であり、なおさらに好ましくは約0.6重量%以下であり、最も好ましくは約0.7重量%以下である。ポリリン酸カリウムの量が少なすぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合があり、ポリリン酸カリウムの量が多すぎると塩味が目立って発現される場合がある。
ポリリン酸塩は、ポリリン酸ナトリウム単独で、ポリリン酸カリウム単独で、またはポリリン酸ナトリウムとポリリン酸カリウムとの混合物として用いられてもよい。ポリリン酸塩はまた、メタリン酸塩と混合して用いられてもよい。
(1−2 ショ糖脂肪酸エステル)
本発明の冷菓の製造においては、ショ糖脂肪酸エステルを用いる。本発明において用いられるショ糖脂肪酸エステルは、任意のショ糖脂肪酸エステルであり得る。本明細書中で用いられる場合、用語「ショ糖脂肪酸エステル」とは、ショ糖と脂肪酸とがエステル結合した化合物をいう。ショ糖脂肪酸エステルは、当該分野でシュガーエステルとも呼ばれる。ショ糖脂肪酸エステルにおいては、ショ糖部分が親水基として作用し、脂肪酸部分が親油基として作用する。ショ糖には8つの水酸基(OH)がある。その水酸基のうちの一部または全てに脂肪酸をエステル結合させることによりショ糖脂肪酸エステルが生成される。
ショ糖が持っている8つの水酸基のうちの幾つの水酸基に脂肪酸を結合させるかによって、ショ糖脂肪酸エステルの親水性親油性バランス(HLB)が変わる。1つだけの水酸基に脂肪酸がエステル結合したものは水に溶けやすく、親水性シュガーエステルともいわれる。脂肪酸の種類が同じであれば、エステル結合する脂肪酸の数が増えるほど、得られるショ糖脂肪酸エステルは親油性が高くなる。8つの水酸基全てに脂肪酸がエステル結合したものは油に溶けやすく、親油性シュガーエステルともいわれる。
ショ糖脂肪酸エステルはモノエステルであっても、ジエステルであっても、トリエステルであっても、それ以上にエステル化されたものであってもよい。ショ糖脂肪酸エステルは好ましくはモノエステルである。ショ糖脂肪酸エステルは、純粋な単独の化合物として用いられてもよく、種々のショ糖脂肪酸エステルの混合物として用いられてもよい。一般に、市販のショ糖脂肪酸エステルは、製造上の都合から、種々のショ糖脂肪酸エステルの混合物である。このようなショ糖脂肪酸エステル混合物を使用する場合、この混合物は、ショ糖脂肪酸モノエステルを約40%以上含むことが好ましく、約50%以上含むことがより好ましく、約55%以上含むことがさらに好ましく、約60%以上含むことが特に好ましく、約70%以上含むことが最も好ましい。このようなショ糖脂肪酸エステル混合物を使用する場合、この混合物に含まれるショ糖脂肪酸モノエステルの含有量に上限は特になく、例えば100%であってもよく、例えば、約99%以下、約95%以下、約90%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下などのものであっても使用できる。
ショ糖脂肪酸エステルのエステル化度は、好ましくは約10%以上であり、より好ましくは約15%以上であり、さらに好ましくは約20%以上である。ショ糖脂肪酸エステルのエステル化度は、好ましくは約40%以下であり、より好ましくは約30%以下であり、さらに好ましくは約25%以下である。
本明細書中で用いられる場合、「HLB値」とは、親水性親油性バランス(Hydrophile Lipophile Balance)をいい、一般に、20×M/Mにより計算され、ここで、M=親水基部分の分子量であり、M=分子全体の分子量である。HLB値は、分子中の親水基の量が0%のとき0であり、100%のとき20である。HLB値は、乳化剤では乳化剤分子を形成する親水性基および親油性基の大きさと強さを表し、親油性の高い乳化剤はHLB値が小さく、親水性の高い乳化剤はHLB値が大きい。
ショ糖脂肪酸エステルのHLB値は好ましくは約7以上であり、より好ましくは約9以上であり、特に好ましくは約9以上である。場合によっては、約10以上、約11以上、約12以上、約13以上、約14以上、最も好ましくは約15以上などであり得る。ショ糖脂肪酸エステルのHLB値は好ましくは約19以下であり、より好ましくは約18以下であり、さらに好ましくは約17以下であり、特に好ましくは約16以下である。場合によっては、ショ糖脂肪酸エステルのHLB値は、約15.5以下、約15以下などであり得る。
ショ糖とエステル化してショ糖脂肪酸エステルを形成している脂肪酸は、任意の炭素数の脂肪酸であり得る。脂肪酸の炭素数は好ましくは、14以上であり、より好ましくは15以上であり、さらに好ましくは17以上である。脂肪酸の炭素数は好ましくは18以下である。脂肪酸は飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。脂肪酸は飽和脂肪酸であることが好ましい。二重結合を含まない脂肪酸を飽和脂肪酸という。飽和脂肪酸の例としては、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)、リグノセリン酸(C24:0)、セロチン酸(C26:0)、モンタン酸(C28:0)、メリシン酸(C30:0)などが挙げられる。飽和脂肪酸は好ましくは、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)およびベヘン酸(C22:0)からなる群より選択される。二重結合を含む脂肪酸を不飽和脂肪酸という。不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸(C14:1)、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、γ−リノレン酸(C18:3)、エイコセン酸(C20:1)、ジホモ−γ−リノレン酸(C20:3)、アラキドン酸(C20:4)、エイコサペンタエン酸(C20:5)、エルカ酸(C22:1)、ドコサペンタエン酸(C22:5)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)などが挙げられる。不飽和脂肪酸は好ましくは、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)およびγ−リノレン酸(C18:3)からなる群より選択される。脂肪酸は好ましくはパルミチン酸(C16:0)またはステアリン酸(C18:0)であり、より好ましくはステアリン酸(C18:0)である。
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸とを公知の方法によってエステル化した後、精製を行うことにより製造され得る。例えば、溶媒の存在下でのミクロエマルジョン法または無溶媒法によってエステル化が行われ得る。このような方法では通常、目的とするショ糖脂肪酸エステル以外のエステルが混入するので、このような方法で得られるものは、ショ糖脂肪酸エステル含有組成物である。ショ糖脂肪酸エステル含有組成物は種々な会社から販売されている。例えば、第一工業製薬株式会社からは、構成脂肪酸の約100%がステアリン酸であり、約70%がモノエステルであるショ糖脂肪酸がDKエステルF−160として販売されている。本発明において使用し得る他のショ糖脂肪酸エステルの例については、実施例を参照のこと。
エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量は好ましくは約0.05重量%以上であり、より好ましくは約0.06重量%以上であり、さらに好ましくは約0.07重量%以上であり、さらにより好ましくは約0.08重量%以上であり、特に好ましくは約0.09重量%以上であり、最も好ましくは約0.1重量%以上である。エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量は好ましくは約0.35重量%以下であり、より好ましくは約0.3重量%以下であり、最も好ましくは約0.25重量%以下である。場合により、エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量は、約0.2重量%以下、約0.15重量%以下、約0.1重量%以下などであり得る。ショ糖脂肪酸エステルの量が少なすぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合があり、ショ糖脂肪酸エステルの量が多すぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合がある。
1つの実施形態では、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが7〜9の場合、エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量は、好ましくは約0.15重量%以上であり、より好ましくは約0.20重量%以上であり、最も好ましくは約0.25重量%以上であり、好ましくは約0.40重量%以下であり、より好ましくは約0.35重量%以下であり、最も好ましくは約0.30重量%以下である。
1つの実施形態では、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが11の場合、エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量は、好ましくは約0.10重量%以上であり、より好ましくは約0.15重量%以上であり、最も好ましくは約0.20重量%以上であり、好ましくは約0.35重量%以下であり、より好ましくは約0.30重量%以下であり、最も好ましくは約0.25重量%以下である。
1つの実施形態では、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが15の場合、エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量は、好ましくは約0.05重量%以上であり、より好ましくは約0.10重量%以上であり、最も好ましくは約0.15重量%以上であり、好ましくは約0.35重量%以下であり、より好ましくは約0.30重量%以下であり、最も好ましくは約0.25重量%以下である。
1つの実施形態では、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが19の場合、エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量は、好ましくは約0.05重量%以上であり、より好ましくは約0.10重量%以上であり、最も好ましくは約0.15重量%以上であり、好ましくは約0.20重量%以下であり、より好ましくは約0.18重量%以下であり、最も好ましくは約0.15重量%以下である。
(1−3 ソルビタン脂肪酸エステル)
本発明の冷菓の製造においては、ソルビタン脂肪酸エステルを用いる。本発明において用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、任意のソルビタン脂肪酸エステルであり得る。本明細書中で用いられる場合、用語「ソルビタン脂肪酸エステル」とは、ソルビタンまたはソルバイドまたはソルビトールと脂肪酸とがエステル結合した化合物をいう。ソルビタンはソルビトールの1分子脱水物であり、ソルビトールの分子内脱水により製造される。ソルビタンは、1,4−ソルビタン、3,6−ソルビタンおよび1,5−ソルビタンのいずれかであり得る。工業的には、ソルビトールを分子内脱水すると、1分子脱水物である1,4−ソルビタン、3,6−ソルビタンおよび1,5−ソルビタンと、2分子脱水物である1,4,3,6−ソルバイドと、ソルビトールとの混合物となる。ソルビタン脂肪酸エステルはこのような混合物と脂肪酸とをエステル結合させることにより製造される。そのため、工業的に製造されるソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタン脂肪酸エステルだけでなく、ソルバイド脂肪酸エステルおよびソルビトール脂肪酸エステルをも含む。ソルビタン脂肪酸エステルにおいては、ソルビタン部分またはソルバイド部分またはソルビトール部分が親水基として作用し、脂肪酸部分が親油基として作用する。ソルビタンには4つの水酸基(OH)があり、ソルバイドには2つの水酸基があり、ソルビトールには6つの水酸基がある。その水酸基のうちの一部または全てに脂肪酸をエステル結合させることによりソルビタン脂肪酸エステルが生成される。
ソルビタンまたはソルバイドまたはソルビトールが持っている水酸基のうちの幾つの水酸基に脂肪酸を結合させるかによって、ソルビタン脂肪酸エステルの親水性親油性バランス(HLB)が変わる。また、ソルビタン脂肪酸エステルとソルバイド脂肪酸エステルとソルビトール脂肪酸エステルとの混合割合によってもHLB値が変わる。
ソルビタン脂肪酸エステルはモノエステルであっても、ジエステルであっても、トリエステルであっても、それ以上にエステル化されたものであってもよい。ソルビタン脂肪酸エステルは好ましくはモノエステルまたはトリエステルである。ソルビタン脂肪酸エステルは、純粋な単独の化合物として用いられてもよく、種々のソルビタン脂肪酸エステルの混合物として用いられてもよい。一般に、市販のソルビタン脂肪酸エステルは、製造上の都合から、種々のソルビタン脂肪酸エステルの混合物である。このようなソルビタン脂肪酸エステル混合物を使用する場合、1つの実施形態では、この混合物は、ソルビタン脂肪酸モノエステルを約50%以上含むことが好ましく、約60%以上含むことがより好ましく、約70%以上含むことが最も好ましく、ソルビタン脂肪酸モノエステルの含有量は例えば、約99%以下、約95%以下、約90%以下、約80%以下、約75%以下などであり得る。別の実施形態では、この混合物は、ソルビタン脂肪酸ジエステルを約50%以上含むことが好ましく、約60%以上含むことがより好ましく、約70%以上含むことが最も好ましく、ソルビタン脂肪酸ジエステルの含有量は例えば、約99%以下、約95%以下、約90%以下、約80%以下、約75%以下などであり得る。さらに別の実施形態では、この混合物は、ソルビタン脂肪酸トリエステルを約50%以上含むことが好ましく、約60%以上含むことがより好ましく、約70%以上含むことが最も好ましく、ソルビタン脂肪酸トリエステルの含有量は例えば、約99%以下、約95%以下、約90%以下、約80%以下、約75%以下などであり得る。
上記のソルビタン脂肪酸エステルの混合物は、1つの実施形態では、ソルバイドの脂肪酸エステルを約60%以上含むことが好ましく、約70%以上含むことがより好ましい。ソルバイドの脂肪酸エステルの割合に上限は特にないが、95%以下、90%以下のものも使用できる。上記のソルビタン脂肪酸エステルの混合物は、別の実施形態では、ソルビタンの脂肪酸エステルを約60%以上含むことが好ましく、約70%以上含むことがより好ましい。ソルビタンの脂肪酸エステルの割合に上限は特にないが、95%以下、90%以下のものも使用できる。
上記のソルビタン脂肪酸エステルの混合物は、1つの実施形態では、ソルバイドの脂肪酸エステルを約60%〜約80%含み、かつ混合物中のモノエステルの割合を約70%〜約80%とすることがより好ましい。上記のソルビタン脂肪酸エステルの混合物は、別の実施形態では、ソルビタンの脂肪酸エステルを約60%〜約80%含み、かつ混合物中のトリエステルの割合を約70%〜約80%とすることがより好ましい。
ソルビタン脂肪酸エステルのエステル化度は、好ましくは約50%以上であり、より好ましくは約60%以上であり、さらに好ましくは約70%以上である。ソルビタン脂肪酸エステルのエステル化度は、好ましくは約95%以下であり、より好ましくは約90%以下であり、さらに好ましくは約85%以下である。
ソルビタン脂肪酸エステルのHLB値は好ましくは約2以上であり、より好ましくは約2.5以上であり、さらに好ましくは約3以上であり、特に好ましくは約4以上であり、最も好ましくは約5以上である。ソルビタン脂肪酸エステルのHLB値は好ましくは約8以下であり、より好ましくは約7.0以下である。場合によっては、ソルビタン脂肪酸エステルのHLB値は、約6.5以下、約6.0以下などであり得る。
ソルビタンまたはソルバイドまたはソルビトールとエステル化してソルビタン脂肪酸エステルを形成している脂肪酸は、任意の炭素数の脂肪酸であり得る。脂肪酸の炭素数は好ましくは、14以上であり、より好ましくは15以上であり、さらに好ましくは17以上である。脂肪酸の炭素数は好ましくは24以下であり、より好ましくは22以下である。脂肪酸は飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。脂肪酸は飽和脂肪酸であることが好ましい。二重結合を含まない脂肪酸を飽和脂肪酸という。飽和脂肪酸の例としては、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)、リグノセリン酸(C24:0)、セロチン酸(C26:0)、モンタン酸(C28:0)、メリシン酸(C30:0)などが挙げられる。飽和脂肪酸は好ましくは、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)およびベヘン酸(C22:0)からなる群より選択される。二重結合を含む脂肪酸を不飽和脂肪酸という。不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸(C14:1)、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、γ−リノレン酸(C18:3)、エイコセン酸(C20:1)、ジホモ−γ−リノレン酸(C20:3)、アラキドン酸(C20:4)、エイコサペンタエン酸(C20:5)、エルカ酸(C22:1)、ドコサペンタエン酸(C22:5)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)などが挙げられる。不飽和脂肪酸は好ましくは、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)およびγ−リノレン酸(C18:3)からなる群より選択される。脂肪酸は好ましくはステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)またはベヘン酸(C22:0)であり、最も好ましくはステアリン酸(C18:0)またはベヘン酸(C22:0)である。
ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンまたはソルバイドまたはソルビトールと脂肪酸とを公知の方法によってエステル化した後、精製を行うことにより製造され得る。例えば、アルカリ触媒下にて、常圧もしくは減圧下においてエステル化が行われ得る。このような方法では通常、目的とするソルビタン脂肪酸エステル以外のエステルが混入するので、このような方法で得られるものは、ソルビタン脂肪酸エステル含有組成物である。
エージングミックス中でのソルビタン脂肪酸エステルの量は好ましくは約0.05重量%以上であり、より好ましくは約0.06重量%以上であり、さらに好ましくは約0.07重量%以上であり、さらにより好ましくは約0.08重量%以上であり、特に好ましくは約0.09重量%以上であり、最も好ましくは約0.1重量%以上である。エージングミックス中でのソルビタン脂肪酸エステルの量は好ましくは約0.5重量%以下であり、より好ましくは約0.4重量%以下であり、場合によっては、約0.3重量%以下、約0.25重量%以下、最も好ましくは約0.2重量%以下、約0.15重量%以下、約0.1重量%以下などであり得る。ソルビタン脂肪酸エステルの量が少なすぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合があり、ソルビタン脂肪酸エステルの量が多すぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合がある。
特に、エージングミックス中でのカカオバターの含有量が多い場合、ソルビタン脂肪酸エステルの量が多いことが好ましく、例えば、カカオバター含有量が20重量%の場合、ソルビタン脂肪酸エステルの量は、約0.4重量%であることが好ましい。
本発明においては、エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量とソルビタン脂肪酸エステルの量との合計は、特定の範囲内にあることが好ましい。エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量とソルビタン脂肪酸エステルの量との合計は、好ましくは約0.2重量%以上であり、より好ましくは約0.25重量%以上であり、最も好ましくは約0.3重量%以上である。エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量とソルビタン脂肪酸エステルの量との合計は、好ましくは約0.7重量%以下であり、場合によっては約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.45重量%以下、約0.4重量%以下、約0.35重量%以下などであり得る。ショ糖脂肪酸エステルの量とソルビタン脂肪酸エステルの量との合計量が少なすぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合があり、ショ糖脂肪酸エステルの量とソルビタン脂肪酸エステルの量との合計量が多すぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合がある。
1つの実施形態では、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが7〜9の場合、エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量とソルビタン脂肪酸エステルの量との合計は、好ましくは約0.2重量%以上であり、より好ましくは約0.25重量%以上であり、最も好ましくは約0.3重量%以上である。エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量とソルビタン脂肪酸エステルの量との合計は、好ましくは約0.45重量%以下であり、より好ましくは約0.4重量%以下であり、特に好ましくは約0.35重量%以下である。
1つの実施形態では、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが11〜19の場合、エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量とソルビタン脂肪酸エステルの量との合計は、好ましくは約0.2重量%以上であり、より好ましくは約0.25重量%以上であり、最も好ましくは約0.3重量%以上である。エージングミックス中でのショ糖脂肪酸エステルの量とソルビタン脂肪酸エステルの量との合計は、好ましくは約0.4重量%以下であり、より好ましくは約0.35重量%以下であり、特に好ましくは約0.30重量%以下である。
本発明においては、ショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとの重量比(すなわち、(ショ糖脂肪酸エステルの重量):(ソルビタン脂肪酸エステルの重量))が、80:20〜15:75であることが好ましく、例えば、90:10〜15:75であることもまた好ましく、87.5:12.5〜16.7:83.3であることがより好ましい。
1つの実施形態では、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが7〜9の場合、(ショ糖脂肪酸エステルの重量):(ソルビタン脂肪酸エステルの重量)が、90:10〜60:40であることが好ましく、80:20〜60:40であることがより好ましい。
1つの実施形態では、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが11〜19の場合、(ショ糖脂肪酸エステルの重量):(ソルビタン脂肪酸エステルの重量)が、90:10〜40:60であることが好ましく、87.5:12.5〜16.7:83.3であることがより好ましい。
(1−4 ポリソルベート)
本発明の冷菓の製造においては、ソルビタン脂肪酸エステルの代わりにポリソルベートを用いてもよい。また、ソルビタン脂肪酸エステルとポリソルベートとを併用してもよい。本発明において用いられ得るポリソルベートは、任意のポリソルベートであり得る。本明細書中で用いられる場合、用語「ポリソルベート」とは、ポリオキシエチレンソルビタンと脂肪酸とがエステル結合した化合物をいう。ポリソルベートは、水に溶けにくいソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドを反応させて水との親和性を改善したものである。ポリソルベートの食品への使用は従来日本では認められていなかったが、2008年4月30日から認可され、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65およびポリソルベート80の4種が使用できるようになった。ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65およびポリソルベート80は、第一工業製薬株式会社から販売されている。また、ポリソルベートは世界的には広く使用されている。上記のように、工業的に製造されるソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタン脂肪酸エステルだけでなく、ソルバイド脂肪酸エステルおよびソルビトール脂肪酸エステルをも含むので、一般に工業的に製造されるポリソルベートもまた、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレンソルバイド脂肪酸エステルとポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルとの混合物である。
ポリソルベートはモノエステルであっても、ジエステルであっても、トリエステルであっても、それ以上にエステル化されたものであってもよい。ポリソルベートは好ましくはモノエステルまたはトリエステルである。ポリソルベートは、純粋な単独の化合物として用いられてもよく、種々のポリソルベートの混合物として用いられてもよい。一般に、市販のポリソルベートは、製造上の都合から、種々のポリソルベートの混合物である。
ポリソルベートのエステル化度は、好ましくは約50%以上であり、より好ましくは約60%以上であり、さらに好ましくは約70%以上である。ポリソルベートのエステル化度は、好ましくは約95%以下であり、より好ましくは約90%以下であり、さらに好ましくは約85%以下である。
ポリソルベートのHLB値は好ましくは約2以上であり、より好ましくは約3以上であり、さらに好ましくは約4以上であり、さらにより好ましくは約5以上であり、とりわけ好ましくは約6以上であり、ことさら好ましくは約7以上であり、なおさらに好ましくは約8以上であり、特に好ましくは約9以上であり、最も好ましくは約10以上である。ポリソルベートのHLB値は好ましくは約16以下であり、より好ましくは約15.5以下であり、特に好ましくは約15以下であり、最も好ましくは約15である。場合によっては、ポリソルベートのHLB値は、約8以下、約7以下、約6以下などであり得る。
ポリソルベートとしては、ポリソルベート60またはポリソルベート65を使用することが好ましく、第一工業製薬株式会社からソルゲンTW−60Fとして販売されているポリソルベート60またはソルゲンTW−65Fとして販売されているポリソルベート65を使用することがより好ましく、ポリソルベート60を使用することがより好ましく、第一工業製薬株式会社からソルゲンTW−60Fとして販売されているポリソルベート60を使用することが最も好ましい。
ポリソルベートを形成している脂肪酸は、任意の炭素数の脂肪酸であり得る。脂肪酸の炭素数は好ましくは、14以上であり、より好ましくは15以上であり、さらに好ましくは17以上である。脂肪酸の炭素数は好ましくは24以下であり、より好ましくは22以下である。脂肪酸は飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。二重結合を含まない脂肪酸を飽和脂肪酸という。飽和脂肪酸の例としては、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)、リグノセリン酸(C24:0)、セロチン酸(C26:0)、モンタン酸(C28:0)、メリシン酸(C30:0)などが挙げられる。飽和脂肪酸は好ましくは、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)およびベヘン酸(C22:0)からなる群より選択される。二重結合を含む脂肪酸を不飽和脂肪酸という。不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸(C14:1)、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、γ−リノレン酸(C18:3)、エイコセン酸(C20:1)、ジホモ−γ−リノレン酸(C20:3)、アラキドン酸(C20:4)、エイコサペンタエン酸(C20:5)、エルカ酸(C22:1)、ドコサペンタエン酸(C22:5)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)などが挙げられる。不飽和脂肪酸は好ましくは、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)およびγ−リノレン酸(C18:3)からなる群より選択される。脂肪酸は好ましくはステアリン酸(C18:0)またはベヘン酸(C22:0)であり、より好ましくはステアリン酸である。
ポリソルベートは、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドを反応させた後、精製を行うことにより製造され得る。このような方法では通常、目的とするポリソルベート以外のエステルが混入するので、このような方法で得られるものは、ポリソルベート含有組成物である。
エージングミックス中でのポリソルベートの量は好ましくは約0.01重量%であり、より好ましくは約0.02重量%以上であり、さらに好ましくは約0.03重量%以上であり、特に好ましくは約0.04重量%以上である。場合によっては、約0.05重量%以上、約0.06重量%以上、約0.07重量%以上、約0.08重量%以上、約0.09重量%以上、約0.1重量%以上などであってもよい。エージングミックス中でのポリソルベートの量は好ましくは約0.3重量%以下であり、より好ましくは約0.25重量%以下であり、さらに好ましくは約0.2重量%以下であり、特に好ましくは約0.15重量%以下であり、最も好ましくは約0.1重量%以下である。場合によっては、約0.09重量%以下、約0.08重量%以下、約0.07重量%以下、約0.06重量%以下、約0.05重量%以下などであってもよい。ポリソルベートの量は、最も好ましくは約0.05重量%である。ポリソルベートの量が少なすぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合があり、ポリソルベートの量が多すぎると増粘抑制効果が発揮されにくい場合がある。
(2)カカオ系原料
本発明の冷菓の製造においては、カカオ系原料を用い得る。カカオ系原料としては、カカオバター、ココアパウダー、カカオマス、チョコレート生地、準チョコレート生地などが挙げられる。
(2−1 カカオバター)
カカオバターは、原料のカカオ豆を選別し、焙焼し、種皮と胚乳(ニブ)とを分離し、ニブを磨砕機によってすりつぶしてカカオマスを得て、このカカオマスを脱脂することによって得られる。カカオバターは、カカオビーンズから調製される油脂分である。当業者に公知のように、カカオバターは、カカオマス中に油脂分として約55%含まれる。カカオバターとして、通常使用されたカカオバターを使用し得る。カカオバターは、精製されたものを用いてもよく、カカオバターの少なくとも一部を与えるものとしてカカオマス、チョコレート生地、準チョコレート生地などを用いてもよい。カカオバターは種々の脂肪酸エステルの混合物である。カカオバターは、人の体温(約37℃)付近で固体から液体へと変化するという特性を有する。
本発明の冷菓は、5重量%以上、好ましくは約5.5重量%以上、より好ましくは約6重量%以上、さらに好ましくは約6.5重量%以上、さらにより好ましくは約7重量%以上、特に好ましくは約7.5重量%以上、最も好ましくは約8重量%以上のカカオバターを含む。なお、本明細書中で冷菓のカカオバターの含有量に言及する場合、冷菓の生地に実質的に均等に分布しているカカオバターの含有量をいう。例えば、チョコチップのようなチョコレート塊を冷菓が含む場合、チョコレート塊中のカカオバターは、含有量には算入されない。
なお、本明細書中では、カカオバターを含め、各種原料の含有量の基準は、冷菓の重量である。ただし、冷菓が、モナカ皮、コーン、ウェハースなどの可食容器との複合冷菓である場合、含有量の基準の重量には、可食容器の重量は含まれない。冷菓がその中に他の食品(例えば、ジャム、チョコートソース)などを含む場合、または冷菓が他の食品(例えば、油脂、チョコレート)によって包まれている場合、含有量の基準の重量には、この他の食品の重量は含まれない。冷菓がプラスチック製または木製のスティックなどの非可食部材と接触した状態で販売される場合、含有量の基準の重量には、非可食部材の重量は含まれない。冷菓が、本発明の冷菓と他の食品(例えば、バニラアイスなどの冷菓)との積層体である場合、含有量の基準の重量は、本発明の冷菓に相当する部分の重量のみである。
本発明の冷菓に含まれるカカオバターの量に特に上限はないが、需要者の味の好みに応じて限定することも可能である。上限は例えば、約20重量%以下、約19重量%以下、約18重量%以下、約17重量%以下、約16重量%以下、約15重量%以下、約14重量%以下、約13重量%以下、約12重量%以下、約11.5重量%以下、約11重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下などであり得る。例えば、0.25重量%のメタリン酸ナトリウムと0.2重量%のショ糖脂肪酸エステルと0.05重量%のソルビタン脂肪酸エステルとを用いる場合、カカオバターの量の上限は、約20重量%以下、約19重量%以下、約18重量%以下、約17重量%以下、約16重量%以下、約15重量%以下、約14重量%以下、約13重量%以下、約12重量%以下、約11.5重量%以下、約11重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7.5重量%以下、約7.2重量%以下などであり得る。一般に、リン酸塩の添加量が増加すると、冷菓に添加できるカカオバターの量の上限値が上がる。
本発明の冷菓中のカカオバター量は、本発明の冷菓を直接測定することによって求められてもよいが、一般に、カカオバターの脂肪分と他の脂肪分とを区別して測定することは困難である。それゆえ、一般に、本発明の冷菓を作製するために用いた原料全体の量、カカオ原料の量およびそのカカオ系原料に含まれるカカオバター量から算出される。
(2−2 ココアパウダー)
ココアパウダーは、カカオマスからカカオバターを搾取した後に得られる粉末である。ココアパウダーとしては、通常使用されるココアパウダーを用い得る。ココアパウダーの少なくとも一部を与えるものとしてカカオマス、チョコレート生地、準チョコレート生地などを用いてもよい。
本発明の冷菓に含まれるココアパウダーの量に制限はない。本発明の冷菓は、好ましくは約0.1重量%以上、さらに好ましくは約0.5重量%以上、より好ましくは約1.0重量%以上、特に好ましくは約2.0重量%以上のココアパウダーを含み得る。本発明の冷菓は、好ましくは約25重量%以下、さらに好ましくは約20重量%以下、より好ましくは約15重量%以下、特に好ましくは約10重量%以下のココアパウダーを含み得る。
カカオバターとココアパウダーとをほぼ同量で用いると、ミルクチョコレート、ブラックチョコレートなどの風味が得られる。ココアパウダーを用いずにカカオバターのみを用いると、ホワイトチョコレートの風味が得られる。チョコレートらしさは、主にカカオバターによって付与され、ココアパウダーのみを添加した場合には、チョコレートらしさというよりはココアらしさが付与される。
(2−3 チョコレート生地)
チョコレート生地は、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」によるチョコレート生地の基準に従う製品を含む。
「チョコレート生地」とは、カカオビーンズから調製したカカオマス、カカオバター、ココアケーキまたはココアパウダーを原料とし、必要により糖類、乳製品、他の食用油脂、香料等を加え、通常の工程を経て製造したものであって、カカオ分が全重量の35パーセント以上(カカオバターが全重量の18パーセント以上)であって、水分が全重量の3パーセント以下のものをいう。ただし、カカオ分が全重量の21パーセントを下らず(カカオバターが全重量の18パーセント以上)、かつ、カカオ分と乳固形分の合計が全重量の35パーセントを下らない範囲内(乳脂肪が全重量の3パーセント以上)で、カカオ分の代わりに、乳固形分を使用することができる。
(2−4 準チョコレート生地)
準チョコレート生地は、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」による準チョコレート生地の基準に従う製品を含む。
「準チョコレート生地」とは、カカオビーンズから調製したカカオマス、カカオバター、ココアケーキまたはココアパウダーを原料とし、必要により糖類、乳製品、他の食用油脂、香料等を加え、通常の工程を経て製造したものであって、カカオ分が全重量の15パーセント以上(カカオバターが全重量の3パーセント以上)、脂肪分が全重量の18パーセント以上のものであって、水分が全重量の3パーセント以下のもの、またはカカオ分が全重量の7パーセント以上(カカオバターが全重量の3パーセント以上)、脂肪分が全重量の18パーセント以上、乳固形分が全重量の12.5パーセント以上(乳脂肪が全重量の2パーセント以上)であって、水分が全重量の3パーセント以下のものをいう。ただし、準チョコレート生地からは、チョコレート生地に該当するものを除く。
チョコレート生地および準チョコレート生地の量は、カカオバターおよびココアパウダーの量が上記の好ましい量の範囲内に入るように適切に設定され得る。
(3)他のアイスミックス原料
本発明の冷菓は、リン酸塩の効果を損なわない限り、カカオバターおよびリン酸塩に加えて、通常冷菓のアイスミックスに用いられ得る任意の冷菓原料を含み得る。このような原料およびその使用量は、当業者によって容易に決定され得る。アイスミックスとは、当業者に周知の意味で使用される。例えば、アイスミックスとは、冷菓の主な原料を混合して溶解することによって得られるものをいう。
アイスミックスは、当該分野で公知の他のアイスミックス原料を含み得る。例えば、アイスミックスは、必要に応じて、乳系原料;食用油脂;糖類;全卵または卵黄:果汁または果肉;安定剤:乳化剤;香料;着色料;調味料;水;甘味料;酸味料;ならびに食物繊維からなる群より選択される原料を含み得る。これらのアイスミックス原料の配合量の決定は、目的とする冷菓の組織、風味、種類などを考慮して当業者によって任意に適切に行われる。果汁または果肉、一部の着色料、酸味料および香料は、原料の混合および溶解時に予め配合するのではなく、エージングミックスに添加してもよい。
(3−1 乳系原料)
本発明において用いられ得る乳系原料の例としては、当該分野で公知の任意の乳および乳製品が挙げられる。
「乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳及び加工乳をいう。「生乳」とは、搾取したままの牛の乳をいう。「牛乳」とは、直接飲用に供する目的で販売する牛の乳をいう。「特別牛乳」とは、牛乳であって特別牛乳として販売するものをいう。「生山羊乳」とは、搾取したままの山羊乳をいう。「殺菌山羊乳」とは、直接飲用に供する目的で販売する山羊乳をいう。「生めん羊乳」とは、搾取したままのめん羊乳をいう。「部分脱脂乳」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分を除去したものであって、脱脂乳以外のものをいう。「脱脂乳」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳からほとんどすべての乳脂肪分を除去したものをいう。「加工乳」とは、生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を加工したものであって、直接飲用に供する目的で販売するもの(部分脱脂乳、脱脂乳、発酵乳及び乳酸菌飲料を除く。)をいう。
「乳製品」とは、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上を含むものに限る。)及び乳飲料をいう。
「クリーム」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したものをいう。「バター」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したものをいう。「バターオイル」とは、バター又はクリームから乳脂肪以外の成分をほとんどすべて除去したものをいう。「チーズ」とは、ナチユラルチーズ及びプロセスチーズをいう。「ナチユラルチーズ」とは、(1)乳、バターミルク(バターを製造する際に生じた脂肪粒以外の部分をいう)若しくはクリームを乳酸菌で発酵させ、又は乳、バターミルク若しくはクリームに酵素を加えてできた凝乳から乳清を除去し、固形状にしたもの又はこれらを熟成したもの、および(2)乳、バターミルク又はクリームを原料として、凝固作用を含む製造技術を用いて製造したものであって、(1)に掲げるものと同様の化学的、物理的及び官能的特性を有するものをいう。「プロセスチーズ」とは、ナチユラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したものをいう。「濃縮ホエイ」とは、乳を乳酸菌で発酵させ、又は乳に酵素若しくは酸を加えてできた乳清を濃縮し、固形状にしたものをいう。「濃縮乳」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳を濃縮したものをいう。「脱脂濃縮乳」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分を除去したものを濃縮したものをいう。「無糖練乳」とは、濃縮乳であって直接飲用に供する目的で販売するものをいう。「無糖脱脂練乳」とは、脱脂濃縮乳であって直接飲用に供する目的で販売するものをいう。「加糖練乳」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳にショ糖を加えて濃縮したものをいう。「加糖脱脂練乳」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳の乳脂肪分を除去したものにショ糖を加えて濃縮したものをいう。「全粉乳」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳からほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。「脱脂粉乳」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳の乳脂肪分を除去したものからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。「クリームパウダー」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳の乳脂肪分以外の成分を除去したものからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。「ホエイパウダー」とは、乳を乳酸菌で発酵させ、又は乳に酵素若しくは酸を加えてできた乳清からほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。「タンパク質濃縮ホエイパウダー」とは、乳を乳酸菌で発酵させ、又は乳に酵素若しくは酸を加えてできた乳清の乳糖を除去したものからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。「バターミルクパウダー」とは、バターミルクからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。「加糖粉乳」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳にショ糖を加えてほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたもの又は全粉乳にショ糖を加えたものをいう。「調製粉乳」とは、生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料とし、これに乳幼児に必要な栄養素を加え粉末状にしたものをいう。「発酵乳」とは、乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状又は液状にしたもの又はこれらを凍結したものをいう。「乳酸菌飲料」とは、乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させたものを加工し、又は主要原料とした飲料(発酵乳を除く。)をいう。「乳飲料」とは、生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を主要原料とした飲料であって、上記に掲げるもの以外のものをいう。
乳系原料は好ましくは、乳、濃縮乳、クリーム、バター、脱脂乳、脱脂濃縮乳または脱脂粉乳である。
乳系原料は、1種類のみが用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の冷菓は、チーズを用いずに製造することが好ましい場合がある。すなわち、本発明の冷菓は、チーズを含まないことが好ましい場合がある。
本発明の冷菓は、その中に好ましくは約3.5〜20重量%、特に好ましくは約5〜10重量%の乳系原料の固形分を含む。乳系原料に含まれる脂肪分は、エージングミックスの粘度に影響を与えないことが公知である。それゆえ、カカオバターの脂肪分と、乳系原料に含まれる脂肪分とは別々に考慮される。本発明の冷菓中の乳系原料の固形分量および脂肪分量は、本発明の冷菓を直接測定することによって求められてもよいが、一般に、乳系原料の脂肪分と他の脂肪分とを区別して測定することは困難である。それゆえ、一般に、本発明の冷菓を作製するために用いた原料全体の量、乳系原料の量およびその乳系原料に含まれる脂肪分の量から算出される。
(3−2 食用油脂)
本発明の冷菓は、カカオバターおよび乳系原料の脂肪以外に他の食用油脂を含み得る。このような油脂の例としては、天然の油脂、半合成油脂、合成油脂が挙げられる。本発明で使用される油脂は、天然の油脂のみからなっていてもよいし、半合成油脂のみからなっていてもよいし、合成油脂のみからなっていてもよい。あるいは、本発明で使用される油脂は、天然の油脂と半合成油脂との混合物、天然の油脂と合成油脂との混合物、半合成油脂と合成油脂との混合物または天然の油脂と半合成油脂と合成油脂との混合物であり得る。本発明で使用される油脂は、物質として純粋な油脂であってもよいし、複数種の油脂の混合物であってもよい。
天然油脂は、油脂原料を脱脂することによって得られ得る。天然の油脂の製造方法および入手方法は当業者に公知である。天然の油脂の例としては、ヤシ油、パーム油、パーム核油、なたね油などが挙げられる。
半合成油脂は、例えば、原料の油脂に水素添加することによって合成され得る。天然の油脂であるカカオバターの価格および供給が一般に不安定であるのに比べて、半合成油脂は価格も安く供給も安定していることが多いという利点がある。半合成油脂の合成方法は、当業者に公知である。半合成油脂の例としては、硬化ヤシ油、硬化パーム油、硬化大豆油、硬化菜種油などが挙げられる。
合成油脂の合成方法は、当業者に公知である。天然の油脂および半合成油脂の組成は比較的変動しやすいのに比べて、合成油脂は、組成が均一なものを得ることができるという利点がある。
本発明の冷菓は、代表的には約1重量%〜20重量%、好ましくは約2重量%〜約15重量%、より好ましくは約3重量%〜約10重量%の他の食用油脂を含み得る。
(3−3 糖類)
本発明において用いられ得る糖類としては、当該分野で公知の任意の糖類であり得る。糖類の例としては、砂糖(グラニュー糖など)、異性化糖、ブドウ糖、果糖、水あめなどが挙げられる。糖類は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の冷菓は、その中に好ましくは約5重量%〜約30重量%、特に好ましくは約10重量%〜約20重量%の糖類を含む。
(3−4 全卵)
本発明の冷菓は、全卵を含み得る。全卵とは、卵殻以外の部分をいう。本発明において用いられ得る全卵としては、当該分野で公知の任意の全卵であり得る。全卵は、代表的には鶏卵から採取されるが、他の卵から採取した全卵であってもよい。コストの面から、鶏卵から採取することが好ましい。全卵の例としては、液状全卵、加糖全卵、凍結全卵、乾燥全卵などが挙げられる。液状全卵は、卵殻から分離したのみであって、濃縮、乾燥などの処理を行っていないものである。液状全卵は、全卵タンパク質の物性が保たれやすいという利点を有する。加糖全卵は、液状全卵に約20重量%〜約50重量%の糖類を加えて低温殺菌したものである。凍結全卵は、液状全卵を凍結することにより得られるものである。凍結全卵の中には、加糖凍結全卵がある。加糖凍結全卵は、液状全卵に約20重量%〜約50重量%の糖類を加えて低温殺菌後冷凍したものである。加糖全卵および凍結全卵は、殻付き卵よりも起泡性および乳化性が劣る場合があるという一方で、コストが低いという利点を有する。乾燥全卵は、液状全卵をスプレードライ法、フリーズドライ法などによって乾燥したものである。乾燥全卵は、乾燥によってリポタンパク質が変性して溶解度が低下し脂肪が遊離するため、起泡しにくい場合がある一方で、貯蔵運搬に便利であるという利点を有する。
全卵は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の冷菓は、約0.1重量%〜約3.0重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約1.8重量%の全卵の固形分を含み得る。
なお、本明細書中では、固形分とは、水分以外の部分をいう。固形分は、例えば、厚生省生活衛生局監修の「食品衛生検査指針」の「第1章 食品成分」の「試験法 1.水分」に記載の常圧加熱乾燥法、減圧加熱乾燥法、乾燥助剤法などによって測定することが出来る。通常、冷菓では、乾燥助剤法(混砂乾燥法ともいう)および赤外線ランプを用いた常圧加熱乾燥法が用いられる。乾燥助剤法は実験室などの少量サンプルの測定で用いられることが多く、赤外線ランプを用いた常圧加熱乾燥法は工場などの大量サンプルの測定で用いられることが多い。赤外線ランプを用いた常圧加熱乾燥法は、迅速に値が得られるという利点を有する。一般に、乾燥助剤法で得られる値と赤外線ランプを用いた常圧加熱乾燥法で得られる値とに大差はない。
(3−5 卵黄)
本発明の冷菓は、卵黄を含み得る。卵黄とは、卵の黄色の部分をいう。本発明において用いられ得る卵黄としては、当該分野で公知の任意の卵黄であり得る。卵黄は、代表的には鶏卵から採取されるが、他の卵から採取した卵黄であってもよい。コストの面から、鶏卵から採取することが好ましい。卵黄の例としては、液状卵黄、加糖卵黄、凍結卵黄、乾燥卵黄などが挙げられる。液状卵黄は、卵から分離したのみであって、濃縮、乾燥などの処理を行っていないものである。液状卵黄は、卵黄タンパク質の物性が保たれやすいという利点を有する。加糖卵黄は、液状卵黄に約10重量%〜約50重量%の糖類を加えて低温殺菌したものである。凍結卵黄は、液状卵黄を凍結することにより得られるものである。凍結卵黄の中には、加糖凍結卵黄がある。加糖凍結卵黄は、液状卵黄に約10重量%〜約50重量%の糖類を加えて低温殺菌後冷凍したものである。加糖卵黄および凍結卵黄は、殻付き卵よりも起泡性および乳化性が劣る場合があるという一方で、コストが低いという利点を有する。乾燥卵黄は、液状卵黄をスプレードライ法、フリーズドライ法などによって乾燥したものである。乾燥卵黄は、乾燥によってリポタンパク質が変性して溶解度が低下し脂肪が遊離するため、起泡しにくい場合がある一方で、貯蔵運搬に便利であるという利点を有する。
卵黄は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の冷菓は、約0.1重量%〜約3.0重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約1.8重量%の卵黄の固形分を含み得る。
(3−6 果汁または果肉)
果汁または果肉としては、当該分野で用いられ得る任意の果汁または果肉が用いられ得る。果汁または果肉の例としては、イチゴ、キイチゴ、クランベリー、ブルーベリーなどのベリー類;オレンジ、レモン、グレープフルーツなどの柑橘類;ブドウ;ナシ;リンゴ;メロン;スイカなどの果汁または果肉が挙げられる。これらの果汁または果肉は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の冷菓は、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約15重量%の果汁または果肉を固形分として含み得る。
(3−7 安定剤)
安定剤としては、当該分野で用いられ得る任意の安定剤が用いられ得る。安定剤の例としては、ゼラチン、寒天、ペクチン、セルロース、タマリンドシードガム、グアガム、ローカストビーンガム、カラギナン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、タラガム、大豆多糖類、アルギン酸ナトリウム、繊維素グルコール酸ナトリウム(カルボキシメチルセルロース)などが挙げられる。これらの安定剤は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の冷菓は、好ましくは約0.01重量%〜約1.0重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約0.5重量%を含み得る。
(3−8 ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル以外の乳化剤)
ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル以外の乳化剤としては、当該分野で用いられ得る任意の乳化剤が用いられ得る。乳化剤とは、分子内に親水基および親油基の両方を含み、従って水と油との界面に吸着層を作りやすい物質をいう。例えば、公知の各種界面活性剤が挙げられる。乳化剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;レシチン、アラビアゴム、アルギン酸、ゼラチンなどの天然物が挙げられる。レシチンとしては、大豆レシチンまたは卵黄レシチンなどが挙げられる。レシチンは、酵素分解レシチンであってもよい。これらの乳化剤は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の冷菓は、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル以外の乳化剤を、好ましくは約0.01重量%〜約1.0重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約0.5重量%含み得る。ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル以外の乳化剤を全く含まないことが好ましい。
(3−9 香料)
香料としては、当該分野で用いられ得る任意の香料が用いられ得る。本発明の冷菓は、約0.001重量%〜約1.0重量%の香料を含み得る。
(3−10 着色料)
着色料としては、当該分野で用いられ得る任意の着色料が用いられ得る。本発明の冷菓は、好ましくは約0.001重量%〜約1.0重量%の着色料を含み得る。
(3−11 調味料)
調味料としては、当該分野で用いられ得る任意の調味料が用いられ得る。調味料の例としては、L−グルタミン酸ナトリウムが挙げられる。本発明の冷菓は、好ましくは約0.001重量%〜約5.0重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約1重量%の調味料を含み得る。
(3−12 水)
水は、硬水、中間水、軟水の任意の水が用いられ得る。水は、好ましくは軟水または中間水であり、より好ましくは軟水である。水は、水道水であってもよい。水は、濾過、イオン交換樹脂への適用、蒸留などの処理が施されていてもよい。本発明の冷菓は、好ましくは約30重量%〜約90重量%、より好ましくは約40重量%〜約85重量%の水を含み得る。
(3−13 甘味料)
甘味料としては、当該分野で用いられ得る任意の甘味料が用いられる。甘味料とは、甘味を与える物質であって、糖類以外の物質をいう。甘味料の例としては、糖アルコール、還元水飴、ステビア、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウムなどが挙げられる。これらの甘味料は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。本発明の冷菓は、好ましくは約0.001重量%〜約20重量%、より好ましくは約5重量%〜約10重量%の甘味料を含み得る。
(3−14 酸味料)
酸味料としては、当該分野で用いられ得る任意の酸味料が用いられ得る。酸味料の例としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。これらの酸味料は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。本発明の冷菓は、好ましくは約0.001重量%〜約1.0重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約0.5重量%の酸味料を含み得る。
(3−15 食物繊維)
食物繊維としては、当該分野で用いられ得る任意の食物繊維が用いられ得る。食物繊維の例としては、ポリデキストロース、サツマイモファイバーなどが挙げられる。本発明の冷菓は、好ましくは約0.01重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%の食物繊維を含み得る。
(4)均質化後のアイスミックスに添加される原料
本発明の冷菓は、チョコチップのような粒状の原料を含み得る。このような原料は、均質化後のアイスミックスに添加される。均質化後のアイスミックスに添加され得る原料としては、果肉、種実類および豆類;香料;あん、ジャム、チョコレート塊などが挙げられる。
果肉、種実類および豆類としては、当該分野で用いられ得る任意の果肉、種実類および豆類が用いられ得る。果肉の例としては、イチゴ、キイチゴ、クランベリー、ブルーベリーなどのベリー類;オレンジ、レモン、グレープフルーツなどの柑橘類;ブドウ;ナシ;リンゴ;メロン;スイカ;パインアップル;モモなどの果肉が挙げられる。種実類の例としては、クルミ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、カシューナッツ、松の実、カボチャの種子、ゴマ、アーモンド、アサ、エゴマ、カヤ、ギンナン、クリ、ケシ、ココナッツ、シイ、スイカの種子、トチ、ハス、ヒシ、ヒマワリ、ピーナッツ、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ペカンなどが挙げられる。豆類の例としては、アズキ、インゲンマメ、エンドウ、ササゲ、ソラマメ、タケアズキ、ダイズ、ヒヨコマメ、ベニバナインゲン、ライマメ、リョクトウ、レンズマメなどが挙げられる。これらの原料は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
これらの原料の配合量の決定は、目的とする冷菓の組織、風味、種類などを考慮して当業者によって任意に適切に行われる。
<冷菓の製造>
本発明の冷菓は、カカオバター、リン酸塩などの冷菓材料を用いて、当該分野で公知の冷菓の製造方法に従って製造され得る。
本発明の冷菓は工業的規模での生産に適している。特に、冷却工程における設備(例えば、プレート殺菌機および配管)の容量が大きい設備に好適である。工業的規模とは、エージングミックスの重量として1つのバッチあたり、約500kg以上であることをいう。冷菓の製造規模は、エージングミックスの重量として1つのバッチあたり、例えば、約1トン以上、約2トン以上、約3トン以上、約4トン以上、約5トン以上などであり得る。冷菓の製造規模に特に上限はない。例えば、エージングミックスの重量として1つのバッチあたり、約100トン以下、約50トン以下、約30トン以下、約20トン以下、約10トン以下、約9トン以下、約8トン以下、約7トン以下、約6トン以下などであり得る。本発明の製造方法は、このような大規模での設備に好適に適用可能である。
本発明の冷菓は、例えば、以下のようにして製造され得る。
まず、リン酸塩、カカオ系原料、乳系原料、糖類、安定剤、乳化剤、香料、着色料、水などの冷菓原料を計量する。次いで、計量した冷菓材料を混合し、溶解させて、アイスミックスを得る。このとき、乳化剤、安定剤、着色料などは、他の原料がある程度溶解した段階で添加して混合することが多い。冷菓原料のうち、果汁、果肉などの殺菌によって変質する原料はこのときは混合しない。この際、必要に応じて加温し得る。加温する場合、混合物の品温が好ましくは約30℃〜約70℃、より好ましくは約60℃〜約70℃になるように加温する。加温により、原料の溶解が促進される。
アイスミックスは、必要に応じて濾過される。濾過は当該分野で公知の方法によって行われ得る。例えば、60メッシュフィルターを通して濾過され得る。濾過により、溶解残渣、不純物などが除去される。
次いで、アイスミックスは、均質化される。均質化の際、アイスミックスは必要に応じて加温され得る。加温する場合、アイスミックスの品温が好ましくは50℃〜70℃になるように加温する。均質化は、任意の装置を用いて行われ得る。代表的には、ホモゲナイザーを用いて均質化される。均質化することによって、各種の原料が完全に混和し、原料中に含まれる脂肪球を2ミクロン以下に粉砕し乳化することができ、起泡性を良くしてオーバーランを促進し、そして滑らかな組織を作り、消化吸収を良くすることができる。均質化後に添加される原料は、均質化後、殺菌の前に添加され、混合されてもよい。
均質化されたアイスミックスは、殺菌される。アイスクリーム類の原料は、法令によって68℃にて30分間の殺菌またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌することが定められている。殺菌は、当該分野で公知の方法を用いて行われ得る。殺菌は例えば、75℃にて15分間であり得る。一般に、果汁、果肉などの殺菌によって変質する原料は、殺菌後に添加され、混合される。
アイスミックスの殺菌は、当該分野で通常用いられる殺菌機を用いて行われる。このような殺菌機の例としては、プレート殺菌機、タンクを加熱するバッチ式殺菌が挙げられる。プレート殺菌機は、殺菌だけでなく、殺菌後の冷却の機能も果たす。通常のプレート殺菌機を用いると、プレート殺菌機の出口でのアイスミックスの温度は約10℃以下となる。本発明の方法では、プレート殺菌機の出口でのアイスミックスの温度が約10℃よりも高くても実施が可能である。プレート殺菌機の出口でのアイスミックスの温度は好ましくは約20℃以下であり、より好ましくは約19℃以下であり、さらに好ましくは約18℃以下であり、さらにより好ましくは約17℃以下であり、特に好ましくは約16℃以下であり、一層好ましくは約15℃以下であり、ことさら好ましくは約14℃以下であり、より一層好ましくは約13℃以下であり、さらに一層好ましくは約12℃以下であり、とりわけ好ましくは約11℃以下であり、最も好ましくは約10℃以下である。プレート殺菌機の出口でのアイスミックスの温度が高すぎるとアイスミックスの乳化状態が壊れて顕著な増粘が生じる場合がある。
本発明の方法では、従来のプレート殺菌機を使用してもよく、従来のプレート殺菌機を調整して耐圧限界を高めることによってプレート殺菌機の冷却効率を上げてもよい。あるいは、従来のプレート殺菌機にポンプを設置することによってプレート殺菌機の冷却効率を上げてもよい。ココアバターの含有量が約15重量%以上と極めて高い場合には、プレート殺菌機の耐圧限界を高めたり、ポンプを設置したりしてプレート殺菌機の冷却効率を上げることが好ましい。
殺菌されたアイスミックスは、代表的には0℃〜10℃、好ましくは0℃〜5℃に冷却される。冷却されたアイスミックスを、エージングミックスという。
エージングミックスは、エージングされる。「エージング」とは、貯蔵することをいう。エージングによって、アイスミックス中の脂肪が固形化され、タンパク質、安定剤などを充分水和させることによりアイスミックスの粘度が上がり、そしてアイスミックスの組織のなめらかさおよび保型性が向上する。エージングの際に香料、他の添加物などを分解溶解させる時間を確保する目的で行われる場合もある。エージングは代表的には約0℃〜約10℃で行われ、好ましくは約0℃〜7℃で行われる。場合によっては、エージングは、好ましくは0℃〜5℃で行われ、最も好ましくは約4℃で行われる。エージングの時間は、当業者によって任意に設定され得る。エージングの時間は好ましくは約1時間以上であり、より好ましくは約3時間以上であり、さらに好ましくは約4時間以上であり、さらにより好ましくは約8時間以上であり、特に好ましくは約12時間以上である。エージングの時間は約24時間(約1日間)以上であってもよい。エージングの時間は好ましくは約120時間(約5日間)以下であり、より好ましくは約96時間(約4日間)以下であり、さらにより好ましくは約84時間(約3.5日間)以下であり、特に好ましくは約72時間(約3日間)以下である。エージングの際、エージングミックスは例えばタンクなどに貯蔵される。エージングの際、一般に、エージングミックスは静置状態で貯蔵されてもよく、攪拌しながら貯蔵されてもよい。均質化後に添加される原料は、エージング中に添加され、混合されてもよい。
エージングの時間の経過に伴って、一般にエージングミックスの粘度が上昇する。エージングミックスの粘度が高くなりすぎると、エージングミックスがぼてぼてになってしまい、工業的生産に不適切である。工業的生産に許容し得るエージングミックスの粘度は約1000cP未満である。本発明の方法を用いると、5重量%以上という多量のカカオバターを含むエージングミックスを3日間(72時間)エージングした場合のエージングミックスの粘度が約1000cP未満である。エージング後のミックスの粘度は、好ましくは約1000cP未満であり、より好ましくは約900cP未満であり、さらに好ましくは約800cP未満であり、さらにより好ましくは約700cP未満であり、特に好ましくは約600cP未満であり、最も好ましくは約500cP未満である。エージング後のミックスの粘度に特に下限はないが、例えば、約50cP以上、約100cP以上、約150cP以上などである。
エージング後のミックスの粘度の測定は、当該分野で公知の方法によって行われ得る。例えば、約4℃で(株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形を用いて測定することができる。実施例および参考例では、No.3のローターを使用し、30秒間、30rpmの設定で測定した。
エージングされたミックスは、フリージングされてから容器に充填されてもよく、または、液状で容器に充填されてもよい。
エージングされたミックスをフリージングする場合、フリージングは通常、−2℃〜−8℃で行われる。フリージングによって、ミックス中の水分を凍結させながら空気を混入してオーバーランが出され、そして固体と気体と液体との各層が均一にされ得る。フリージングは、当該分野で公知の方法によって行われ得る。例えば、フリーザーを用いて行われ得る。
フリージングの後、アイスミックスを容器に充填してから硬化させてもよく、ミックスを硬化させてから容器に充填してもよい。硬化させることによって、冷菓の組織および形が良好な状態になる。硬化にかかる時間は、包装の大きさおよび形、包装材質、冷却する空気の循環および温度などの条件によって異なる。
エージングされたミックスをそのまま液状で容器に充填する場合、充填は、当該分野で公知の方法によって行われ得る。充填後、ミックスは容器内で凍結される。
このようにして本発明の冷菓が製造される。本発明の冷菓は、多量の(好ましくは5重量%以上の)カカオバターを含むので、従来になく濃厚なチョコレート感を示す。本明細書では、「チョコレート感」とは、ココアの風味に加え、カカオバターがもつ奥深く、どっしりとした底味を併せ持つ風味を示す。本明細書では、「ココア感」とは、華やかではあるが、風味が表面的である風味を示す。
以下、実施例に基づき詳細に説明する。以下の実施例において%は重量%である。また、以下の実施例において、特に言及がない限り、各原料は、以下のものを用いた:
メタリン酸ナトリウム:三栄源エフ・エフ・アイ(株)社製サンポリマーNo.143;
メタリン酸カリウム:太平化学産業株式会社社製 メタリン酸カリウム;
ポリリン酸ナトリウム:太平化学産業株式会社社製 ポリリン酸ナトリウム;
ポリリン酸カリウム:太平化学産業株式会社社製 ポリリン酸カリウム;
ショ糖脂肪酸エステル1:第一工業製薬株式会社製DKエステルF−160(HLB15.0;構成脂肪酸の約100%がステアリン酸であり、約70%がモノエステルである、ショ糖脂肪酸エステル);
ショ糖脂肪酸エステル2:第一工業製薬株式会社製DKエステルSS(HLB19.0、構成脂肪酸の約100%がステアリン酸であり、約100%がモノエステルである、ショ糖脂肪酸エステル);
ショ糖脂肪酸エステル3:三菱化学株式会社製リョートーシュガーエステルS−1170(HLB11.0、構成脂肪酸の約100%がステアリン酸であり、約55%がモノエステルである、ショ糖脂肪酸エステル);
ショ糖脂肪酸エステル4:三菱化学株式会社製リョートーシュガーエステルS−970(HLB9.0、構成脂肪酸の約100%がステアリン酸であり、約50%がモノエステルである、ショ糖脂肪酸エステル);
ショ糖脂肪酸エステル5:三菱化学株式会社製リョートーシュガーエステルS−770(HLB7.0、構成脂肪酸の約100%がステアリン酸であり、約40%がモノエステルである、ショ糖脂肪酸エステル);
ソルビタン脂肪酸エステル1:理研ビタミン株式会社製ポエムS−60V(HLB5.1、ソルバイド主体、ソルビタン型、モノステアレート);
ソルビタン脂肪酸エステル2:理研ビタミン株式会社製ポエムS−65V(HLB3.0、ソルビタン主体、ソルビタン型、トリステアレート);
ソルビタン脂肪酸エステル3:理研ビタミン株式会社製ポエムB−150(HLB2.5、ソルビタン主体、ソルビタン型、トリベヘネート);
ソルビタン脂肪酸エステル4:第一工業製薬株式会社製ソルゲン50V(HLB4.7、ソルビタン脂肪酸エステル、モノステアレート);
ソルビタン脂肪酸エステル5:理研ビタミン株式会社製ソルマンS−301V(HLB5.3、ソルビタン脂肪酸エステル、モノステアレート);
ソルビタン脂肪酸エステル6:第一工業製薬株式会社製ソルゲンFS−700V(HLB7.0、ソルビタン脂肪酸エステル、モノステアレート);
チョコレート生地:カカオ分を80%含み、カカオマス、砂糖、カカオバター、レシチンからなるチョコレート、カカオバター含有量47%;
ココアパウダー:カカオバター含有量23重量%のココアパウダー;
脱脂粉乳:市販品;
グラニュー糖:市販品;
水あめ:市販品;
安定剤:三栄源エフ・エフ・アイ(株)社製増粘多糖類(ローカストビーンガムを主成分とし、グアガム、タマリンドシードガム、タラガム、ジェランガムが配合された増粘多糖類混合物);
清水:水道水を浄水器にかけて得た水。
(参考例1〜4:殺菌後の冷却温度とミックス粘度の相関の確認)
以下の表1に記載の重量比の原料を混合し、約75℃で溶解してそれぞれ5kgのアイスミックスを得た。75℃にて15分間バッチ式で殺菌した後、60メッシュフィルターを通して濾過し、ホモジナイザー(イズミフードマシナリ社製;HV−0A−1−0.75S)に圧力150kg/cmで1回通して均質化し、そして(1)4℃まで(参考例1)、(2)10℃まで(参考例2)、(3)15℃まで(参考例3)、または(4)20℃(参考例4)まで急冷してエージングミックスを得た。その後、このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。なお、この条件は、工場での条件を想定して設定した。1時間攪拌直後、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。粘度の測定の際には、No.3のローターを使用し、30秒間、30rpmの設定で測定した。このアイスミックスの成分値を表2に示す。
結果を表1の下段および図1に示す。この結果、殺菌後の冷却温度が低いほどミックスの増粘が抑えられること、逆に冷却温度が高いと著しくミックスの増粘が発生することがわかった。
Figure 2008301814
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(実施例1−1〜1−9および比較例1−1〜1−5:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル1、2または3との併用による、ラクトアイスミックス増粘抑制効果)
以下の表3に記載の重量比の原料を用い、殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃としたこと以外は、参考例1と同様にしてエージングミックスを得た。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。なお、この条件は、工場での条件を想定して設定した。均質化直後、1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。粘度の測定の際には、No.3のローターを使用し、30秒間、30rpmの設定で測定した。工場でのプレート圧の高低を、均質化処理直後のミックス(約60℃)の粘度測定により判断した。このアイスミックスの成分値を表4に示す。このアイスミックスの配合特徴および均質化処理の状況の特徴を表5に示す。結果を表3の下段、図2および図3に示す。
なお、本出願人による先願(特願2005−329428)の実施例では、殺菌後の冷却温度を10℃とした実験の結果を報告している。この先願の実験とは異なり、本願実施例1では、殺菌後の冷却温度を20℃に設定することにより、工業的規模の設備における状況と類似の、あるいはより悪条件の状況を意図的に作り出している。
Figure 2008301814
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この結果、比較例1−1と比較例1−2との比較から、リン酸塩の効果が確認された。殺菌後の冷却温度を20℃までとした悪条件ということもあり、比較例1−1と比較例1−2のいずれにおいても粘度上昇がみられるが、比較例1−2にみられるようにリン酸塩を配合することにより、粘度上昇程度は比較例1−1と比較すると小さい。このことから、リン酸塩がアイスミックスの増粘に対して効果があることが確認できる。リン酸塩を使用しなければ、均質化処理能力が著しく低下し、均質化処理されてからのミックスの流れが悪くなる。従って、プレート殺菌機を使用した場合、均質化処理した後配管圧力が高まり、十分冷却できないと考えられる。
比較例1−2、比較例1−3、比較例1−4および比較例1−5の結果を比較することにより、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとを組み合わせた場合およびリン酸塩とソルビタン脂肪酸エステルとを組合せた場合の効果が確認できる。これらの比較例における均質化直後のミックス粘度を確認することで、均質化処理状況がある程度分かる。比較例1−2、比較例1−3、比較例1−4および比較例1−5のいずれも、均質化処理後のミックス粘度は比較例1−1よりはやや低く抑えられている。しかし、その後の粘度上昇は著しく急激に大きく起こっている。特に比較例1−3、比較例1−4および比較例1−5(リン酸塩とソルビタン脂肪酸エステルとを組合せた場合)は、比較例1−2(リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとを組み合わせた場合)よりもやや粘度が高い傾向にあることから、ソルビタン脂肪酸エステル単独での乳化力はショ糖脂肪酸エステルに劣ると考えられる。
実施例1−1〜1−9の結果から、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを組み合わせた場合の効果が確認できる。冷却20℃という悪条件でありながら、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、72時間後までのミックス粘度を1000cp未満に抑えることができることが分かる。このように、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを組み合わせることにより、乳化力が著しく強化されていると考えられる。
実施例1−1〜1−4の比較から、ショ糖脂肪酸エステルによる乳化をソルビタン脂肪酸エステルが補っている形をとっていると考えられ、量的にショ糖脂肪酸エステル<ソルビタン脂肪酸エステルとなると(実施例1−3および実施例1−4)、油滴界面での乳化状態が実施例1−1および実施例1−2に比較するとやや不安定な方向に進むのかもしれない。これは、実施例1−7〜実施例1−9を比較しても同様である。しかし、いずれにしてもリン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することで乳化力が高まることは明らかであり、チョコミックスの粘度上昇には著しく効果を発揮することがわかる。均質化処理直後のミックス粘度を見ても歴然としており、プレート殺菌機を使用した場合においてもプレート殺菌出口での冷却は通常ミックス同様に実施できると考えられる。
今回使用したソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタン脂肪酸エステル1〜3)の乳化力はほぼ同等の効果を有すると考えられる。中でもソルビタン脂肪酸エステル1を使用した場合が最もミックス粘度上昇を抑制したことから、工場テストではソルビタン脂肪酸エステル1を利用した配合で実施することにした(工場テストについては実施例2に記載する)。
さらに、エージング72時間後の実施例1−1〜1−9のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例2および比較例2:工場レベルでの、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとの併用による、ラクトアイスミックス増粘抑制効果)
通常の工場生産の設備を用いて実生産のスケール(5トン)で実施した。詳細には、以下の表6に記載の重量比の原料を混合し、約65℃で溶解してそれぞれ5トンのアイスミックスを得た。このアイスミックスを60メッシュフィルターを通して濾過し、約65℃の品温でホモジナイザー((株)イズミフードマシナリー社製;HV−3C−50−37S)に圧力150kg/cmで1回通して均質化し、プレート殺菌機((株)イズミフードマシナリー社製;NV20HRS−184−6−HWC)にて85℃にて15秒間殺菌し、冷却した。プレート圧を測定した。プレート殺菌機から出たエージングミックスをエージングタンク(大東食品機械(株)製;TAD−5000)に入れて7℃にて3日間エージングを行った。エージングミックスをエージングタンクに受け入れる際の温度を測定した。2時間攪拌直後、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。粘度の測定の際には、No.3のローターを使用し、30秒間、30rpmの設定で測定した。このアイスミックスの成分値を表7に示す。結果を表6の下段および図4に示す。
Figure 2008301814
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上記2つの実験では、使用したミックスの組成以外は全く同一の条件でプレート殺菌機の冷却設備を稼動させた。そのため、同じ組成のミックスを使用すれば、プレート出口でのミックスの温度は同じとなるはずであった。冷却設備には何の異常もなく、冷却設備は正常に動作していたが、結果としては表に示す通り、比較例2においてプレート出口でのミックスの温度が下がりきらなかった。比較例2では、カカオバター特有の結晶特性及びアイスミックスの全固形分が高いために冷却工程でのミックスの流れが悪くなったと考えられる。そのため、プレート圧力が高まり、結果的にプレート出口でのミックス温度を下げることができなかった。他方、実施例2の配合では、冷却工程でのミックスの流れも良く、正常に製品を生産することができた。
この結果、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することで、プレート圧が著しく下がり、エージングタンクへの受入れ温度を10℃以下に下げることが可能となった。その結果、72時間後までミックス増粘を抑制することが可能となった。
さらに、エージング72時間後の実施例2のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例3−1〜3−3および比較例3−1〜3−4:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル1との併用の際の量の確認)
以下の表8に記載の重量比の原料を用い、殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃としたこと以外は、参考例1と同様にしてエージングミックスを得た。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。なお、この条件は、工場での条件を想定して設定した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。粘度の測定の際には、No.3のローターを使用し、30秒間、30rpmの設定で測定した。工場でのプレート圧の高低を、均質化処理直後のミックス(約60℃)の粘度測定により判断した。このアイスミックスの成分値を表9に示す。このアイスミックスの配合特徴および均質化処理の状況の特徴を表5に示す。結果を表8の下段、図5および図6に示す。
Figure 2008301814
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比較例3−1〜比較例3−4の結果からわかるように、ショ糖脂肪酸エステル1の添加量を最大0.5%まで増やしたが、粘度への影響は小さかった。このことから、20℃の冷却温度では、ショ糖脂肪酸エステルとリン酸塩のみではミックス増粘を抑えることはできないことがわかった。
実施例3−1〜3−3の結果からわかるように、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル1とを一定の量で併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル1との配合量の合計が0.3%〜0.4%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル1との量比が87.5:12.5〜16.7:83.3であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例3−1〜3−3のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例4−1〜4−3:併用するソルビタン脂肪酸エステルの種類の確認)
以下の表11に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置24時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値を表12に示す。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表11の下段に示す。
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実施例4−1〜4−3の結果からわかるように、リン酸塩およびショ糖脂肪酸エステルと併用するソルビタン脂肪酸エステルとしてHLB4.7〜7.0のソルビタン脂肪酸モノステアリン酸エステルを使用した場合にも、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
実施例1−1〜1−9の結果と合わせて考えると、ソルビタン脂肪酸エステルとしてHLB2.5〜7.0のソルビタン脂肪酸エステルであって、かつ、ステアリン酸エステルまたはベヘン酸エステルであるものを使用した場合に、ミックス粘度を良好に抑えることができることがわかった。また、飽和系のソルビタン脂肪酸エステルが好適に使用され得ることが確認された。
さらに、エージング48時間後の実施例4−1〜4−3のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例5−1〜5−5:併用するショ糖脂肪酸エステルの種類の確認)
以下の表13に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置24時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値を表14に示す。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表13の下段に示す。
Figure 2008301814
Figure 2008301814
実施例5−1〜5−5の結果からわかるように、リン酸塩およびソルビタン脂肪酸エステルと併用するショ糖脂肪酸エステルとしてHLB7.0〜19.0のショ糖脂肪酸エステルを使用した場合に、ミックス粘度を良好に抑えることができることがわかった。
さらに、エージング48時間後の実施例5−1〜5−5のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例6−1〜6−5:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル2との併用の際の量の確認)
以下の表15に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表15の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例6−1〜6−5の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル2とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好であった。ショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル2との配合量の合計が0.25%〜0.4%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル1:ソルビタン脂肪酸エステル2の量比が7:1〜2:3であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例6−1〜6−5のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例7−1〜7−5:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル3との併用の際の量の確認)
以下の表16に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表16の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例7−1〜7−5の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル3とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル3との配合量の合計が0.25%〜0.4%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル1:ソルビタン脂肪酸エステル3の量比が7:1〜2:3であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例7−1〜7−5のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例8−1〜8−5:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル4との併用の際の量の確認)
以下の表17に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表17の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例8−1〜8−5の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル4とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル4との配合量の合計が0.25%〜0.4%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル1:ソルビタン脂肪酸エステル4の量比が7:1〜2:3であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例8−1〜8−5のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例9−1〜9−5:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル5との併用の際の量の確認)
以下の表18に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表18の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例9−1〜9−5の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル5とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル5との配合量の合計が0.25%〜0.4%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル1:ソルビタン脂肪酸エステル5の量比が7:1〜2:3であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例9−1〜9−5のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例10−1〜10−5:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル6との併用の際の量の確認)
以下の表19に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表19の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例10−1〜10−5の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル6とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル6との配合量の合計が0.25%〜0.4%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル1:ソルビタン脂肪酸エステル6の量比が7:1〜2:3であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例10−1〜10−5のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例11−1〜11−4:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル5とソルビタン脂肪酸エステル1との併用の際の量の確認)
以下の表20に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表20の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例11−1〜11−4の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル5とソルビタン脂肪酸エステル1とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル5の配合量が0.15%〜0.40%であることが好ましいことがわかった。ショ糖脂肪酸エステル5とソルビタン脂肪酸エステル1との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル5:ソルビタン脂肪酸エステル1の量比が8:1〜3:2であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例11−1〜11−4のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例12−1および12−2:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル5とソルビタン脂肪酸エステル2との併用の際の量の確認)
以下の表21に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表21の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例12−1および12−2の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル5とソルビタン脂肪酸エステル2とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル5とソルビタン脂肪酸エステル2との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル5:ソルビタン脂肪酸エステル2の量比が8:1〜3:2であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例12−1および12−2のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例13−1および13−2:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル5とソルビタン脂肪酸エステル3との併用の際の量の確認)
以下の表22に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表22の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例13−1および13−2の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル5とソルビタン脂肪酸エステル3を用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル5とソルビタン脂肪酸エステル3との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル5:ソルビタン脂肪酸エステル3の量比が8:1〜3:2であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例13−1および13−2のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例14−1〜14−4:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル1との併用の際の量の確認)
以下の表23に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表23の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例14−1〜14−4の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル1とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステルのHLBが低いと乳化力が落ち、そのため、配合量を増やすことが好ましいと考えられる。ショ糖脂肪酸エステル4の配合量は0.15%〜0.40%であることが好ましい。ショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル1との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル4:ソルビタン脂肪酸エステル1の量比が8:1〜3:2であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例14−1〜14−4のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例15−1および15−2:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル2との併用の際の量の確認)
以下の表24に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表24の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例15−1および15−2の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル2とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル2との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル4:ソルビタン脂肪酸エステル2の量比が8:1〜3:2であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例15−1および15−2のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例16−1および16−2:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル3との併用の際の量の確認)
以下の表25に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表25の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例16−1および16−2の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル3とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル3との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル4:ソルビタン脂肪酸エステル3の量比が8:1〜3:2であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例16−1および16−2のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例17−1および17−2:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル4との併用の際の量の確認)
以下の表26に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表26の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例17−1および17−2の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル4とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル4との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル4:ソルビタン脂肪酸エステル4の量比が8:1〜3:2であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例17−1および17−2のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例18−1および18−2:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル5との併用の際の量の確認)
以下の表27に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表27の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例18−1および18−2の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル5とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。この組み合わせは、ショ糖脂肪酸エステル4と他のソルビタン脂肪酸エステルとの組み合わせよりも若干効果が高かった。ショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル5との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル4:ソルビタン脂肪酸エステル5の量比が8:1〜3:2であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例18−1および18−2のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例19−1および19−2:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル6との併用の際の量の確認)
以下の表28に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表28の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例19−1および19−2の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル6とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ショ糖脂肪酸エステル4とソルビタン脂肪酸エステル6との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル4:ソルビタン脂肪酸エステル6の量比が8:1〜3:2であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例19−1および19−2のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例20−1〜20−4:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル1との併用の際の量の確認)
以下の表29に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表29の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例20−1〜20−4の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル1とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。上記の実施例1−1〜1−9においてショ糖脂肪酸エステル1と各種ソルビタン脂肪酸エステルとの組み合わせの効果を確認したところソルビタン脂肪酸エステルの種類によらず効果は同じように高かったため、添加量の上限および下限の辺りの確認を行った。ショ糖脂肪酸エステル1よりもショ糖脂肪酸エステル3の方が添加量を0.4%増量しても効果が高かった。ショ糖脂肪酸エステル3はショ糖脂肪酸エステル1よりもHLBが低いため、より多くの添加量で好適に用いられると考えられる。従って、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが低いほど添加量を増やすことが好ましい。ショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル1との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル3:ソルビタン脂肪酸エステル1の量比が8:1〜1:4であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例20−1〜20−4のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例21−1〜21−3:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル2との併用の際の量の確認)
以下の表30に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表30の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例21−1〜21−3の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル2とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。上記の実施例1−1〜1−9においてショ糖脂肪酸エステル1と各種ソルビタン脂肪酸エステルとの組み合わせの効果を確認したところソルビタン脂肪酸エステルの種類によらず効果は同じように高かったため、添加量の上限および下限の辺りの確認を行った。ショ糖脂肪酸エステル1よりもショ糖脂肪酸エステル3の方が添加量を0.35%増量しても効果が高かった。ショ糖脂肪酸エステル3はショ糖脂肪酸エステル1よりもHLBが低いため、より多くの添加量で好適に用いられると考えられる。従って、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが低いほど添加量を増やすことが好ましい。ショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル2との組み合わせでは、他のソルビタン脂肪酸エステルとの組み合わせと比較するとやや粘度が高い傾向にあった。この場合、ショ糖脂肪酸エステル3の量は、0.35%以下であると好適に使用できた。ショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル2との配合量の合計が0.25%〜0.40%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル3:ソルビタン脂肪酸エステル2の量比が7:1〜1:5であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例21−1〜21−3のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例22−1〜22−4:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル3との併用の際の量の確認)
以下の表31に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表31の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例22−1〜22−4の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル3とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。上記の実施例1−1〜1−9においてショ糖脂肪酸エステル1と各種ソルビタン脂肪酸エステルとの組み合わせの効果を確認したところソルビタン脂肪酸エステルの種類によらず効果は同じように高かったため、添加量の上限および下限の辺りの確認を行った。ショ糖脂肪酸エステル1よりもショ糖脂肪酸エステル3の方が添加量を0.4%増量しても効果が高かった。ショ糖脂肪酸エステル3はショ糖脂肪酸エステル1よりもHLBが低いため、より多くの添加量で好適に用いられると考えられる。従って、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが低いほど添加量を増やすことが好ましい。ショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル3との組み合わせでは、他のソルビタン脂肪酸エステルとの組み合わせと比較するとやや粘度が高い傾向にあったが特に問題はない。ショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル3との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル3:ソルビタン脂肪酸エステル3の量比が8:1〜1:5であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例22−1〜22−4のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例23−1〜23−4:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル4との併用の際の量の確認)
以下の表32に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表32の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例23−1〜23−4の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル4とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。上記の実施例1−1〜1−9においてショ糖脂肪酸エステル1と各種ソルビタン脂肪酸エステルとの組み合わせの効果を確認したところソルビタン脂肪酸エステルの種類によらず効果は同じように高かったため、添加量の上限および下限の辺りの確認を行った。ショ糖脂肪酸エステル1よりもショ糖脂肪酸エステル3の方が添加量を0.4%増量しても効果が高かった。ショ糖脂肪酸エステル3はショ糖脂肪酸エステル1よりもHLBが低いため、より多くの添加量で好適に用いられると考えられる。従って、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが低いほど添加量を増やすことが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとの配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル:ソルビタン脂肪酸エステルの量比が8:1〜1:5であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例23−1〜23−4のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例24−1〜24−4:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル5との併用の際の量の確認)
以下の表33に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表33の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例24−1〜24−4の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル5とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。上記の実施例1−1〜1−9においてショ糖脂肪酸エステル1と各種ソルビタン脂肪酸エステルとの組み合わせの効果を確認したところソルビタン脂肪酸エステルの種類によらず効果は同じように高かったため、添加量の上限および下限の辺りの確認を行った。ショ糖脂肪酸エステル1よりもショ糖脂肪酸エステル3の方が添加量を0.4%増量しても効果が高かった。ショ糖脂肪酸エステル3はショ糖脂肪酸エステル1よりもHLBが低いため、より多くの添加量で好適に用いられると考えられる。従って、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが低いほど添加量を増やすことが好ましい。ショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル5との配合量の合計が0.25%〜0.45%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル3:ソルビタン脂肪酸エステル5の量比が8:1〜1:5であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例24−1〜24−4のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例25−1〜25−4:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル6との併用の際の量の確認)
以下の表34に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表34の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例25−1〜25−4の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル6とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。上記の実施例1−1〜1−9においてショ糖脂肪酸エステル1と各種ソルビタン脂肪酸エステルとの組み合わせの効果を確認したところソルビタン脂肪酸エステルの種類によらず効果は同じように高かったため、添加量の上限および下限の辺りの確認を行った。ショ糖脂肪酸エステル1よりもショ糖脂肪酸エステル3の方が添加量を0.4%増量しても効果が高かった。ショ糖脂肪酸エステル3はショ糖脂肪酸エステル1よりもHLBが低いため、より多くの添加量で好適に用いられると考えられる。従って、ショ糖脂肪酸エステルのHLBが低いほど添加量を増やすことが好ましい。ショ糖脂肪酸エステル3とソルビタン脂肪酸エステル6との配合量の合計が0.25%〜0.40%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル:ソルビタン脂肪酸エステルの量比が8:1〜1:5であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例25−1〜25−4のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例26−1および26−2:メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル2とソルビタン脂肪酸エステル1との併用の際の量の確認)
以下の表35に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表35の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例26−1および26−2の結果からわかるように、メタリン酸ナトリウムとショ糖脂肪酸エステル2とソルビタン脂肪酸エステル1とを用いた場合も、リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。ソルビタン脂肪酸エステルの種類による影響はほぼ無いと判断した上で確認した。ショ糖脂肪酸エステル2の乳化力は非常に強いため、添加量が0.2%以下であると好適に使用され得ることがわかった。ショ糖脂肪酸エステル2とソルビタン脂肪酸エステル1との配合量の合計が0.25%〜0.30%であれば、またはショ糖脂肪酸エステル2:ソルビタン脂肪酸エステル1の量比が4:1〜1:5であれば、ミックス粘度を抑えることができることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例26−1および26−2のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例27−1〜27−3:各種リン酸塩とショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとの併用の確認)
以下の表36に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表36の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例27−1〜27−3の結果からわかるように、メタリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウムまたはポリリン酸カリウムとショ糖脂肪酸エステル1とソルビタン脂肪酸エステル1とを用いた場合も、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。このように、メタリン酸ナトリウム以外に、メタリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウムおよびポリリン酸カリウムも本発明において使用され得ることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例27−1〜27−3のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
上記の実施例1〜27において、ショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとをどのように組み合わせて使用したかを以下にまとめる。いずれの実施例においても、リン酸塩としてメタリン酸ナトリウムを使用した。
Figure 2008301814
(実施例28:ポリソルベートをソルビタン脂肪酸エステルの代わりに代用した場合の冷菓の製造)
以下の表38に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値は、実施例3−1〜3−3と同じであった。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表38の下段に示す。
Figure 2008301814
実施例28の結果からわかるように、ポリソルベート60をソルビタン脂肪酸エステルの代わりにリン酸塩およびショ糖脂肪酸エステルと併用した場合も、均質化処理後のミックスの流れが良好となった。このように、ソルビタン脂肪酸エステルの代わりにポリソルベートが使用され得ることがわかった。
さらに、エージング72時間後の実施例28のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベートによって風味が損なわれることはなく、従来になく濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
(実施例29:カカオバター含量をさらに増加させた冷菓の製造)
以下の表39に記載の重量比の原料を用いたこと以外は、参考例4と同様にしてエージングミックスを得た。本実施例でも、工場での条件を想定して、エージングミックスの殺菌後の冷却温度を(悪条件を想定して)20℃とした。このエージングミックスを冷蔵庫内(約4℃)で1時間攪拌後引き続き4℃の冷蔵庫内に静置した。1時間攪拌直後(エージングミックスの温度約7〜9℃)、静置48時間後(エージングミックスの温度4℃)および静置72時間後(エージングミックスの温度4℃)の時点で、デジタル粘度計((株)東京計器社製のデジタル粘度計DVL−B形)を用いてミックスの粘度を測定した。このアイスミックスの成分値を表40に示す。このアイスミックスの均質化処理の状況の特徴および粘度測定の結果を表39の下段に示す。
Figure 2008301814
Figure 2008301814
実施例29の結果からわかるように、20%という極めて多量のカカオバターを含む場合においても、均質化処理後の流れが良好なミックスを得ることができた。
さらに、エージング72時間後の実施例29のアイスミックスの風味確認をしてみたところ、このアイスミックスは、メタリン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルによって風味が損なわれることはなく、従来になく、極めて濃厚なチョコレート感を示し、極めて美味であった。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明により、従来になく多量のココアバターを含む冷菓が提供される。本発明の冷菓は、多量のココアバターを含むので、濃厚なチョコレート感を有する。
図1は、参考例1〜4のアイスミックスの、1時間攪拌直後、静置48時間後および静置72時間後の時点での粘度を示すグラフである。それぞれ、縦軸は粘度(cP)を、横軸は測定時点を示す。 図2は、実施例1−1〜1−9および比較例1−1〜1−5のアイスミックスの、均質化直後、1時間攪拌直後、静置48時間後および静置72時間後の時点での粘度を示すグラフである。それぞれ、縦軸は粘度(cP)を、横軸は測定時点を示す。 図3は、実施例1−1〜1−9および比較例1−1〜1−5のアイスミックスの、均質化直後、1時間攪拌直後、静置48時間後および静置72時間後の時点での粘度のうち、0〜1200cpまでを示すグラフである。それぞれ、縦軸は粘度(cP)を、横軸は測定時点を示す。 図4は、実施例2および比較例2のアイスミックスの、当日(2時間攪拌直後)、静置48時間後および静置72時間後の時点での粘度を示すグラフである。それぞれ、縦軸は粘度(cP)を、横軸は測定時点を示す。 図5は、実施例3−1〜3−3および比較例3−1〜3−4のアイスミックスの、均質化直後、1時間攪拌直後、静置48時間後および静置72時間後の時点での粘度を示すグラフである。それぞれ、縦軸は粘度(cP)を、横軸は測定時点を示す。 図6は、実施例3−1〜3−3および比較例3−1〜3−4のアイスミックスの、均質化直後、1時間攪拌直後、静置48時間後および静置72時間後の時点での粘度のうち、0〜1200cpまでを示すグラフである。それぞれ、縦軸は粘度(cP)を、横軸は測定時点を示す。

Claims (33)

  1. カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルを含む冷菓であって、該リン酸塩が、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である、冷菓。
  2. カカオバターの含有量が、5重量%〜20重量%である、請求項1に記載の冷菓。
  3. 前記リン酸塩が、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウムからなる群より選択される、請求項1または2に記載の冷菓。
  4. 前記リン酸塩の含有量が、0.1重量%〜1.0重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷菓。
  5. 前記ショ糖脂肪酸エステルの親水性親油性バランス(HLB)が7〜19である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷菓。
  6. 前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が、0.05重量%〜0.40重量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷菓。
  7. 前記ソルビタン脂肪酸エステルが、ステアリン酸エステルまたはベヘン酸エステルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の冷菓。
  8. 前記ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが2.5〜7.0である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷菓。
  9. 前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が、0.05重量%〜0.4重量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の冷菓。
  10. 前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量と前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量との合計が、0.2重量%〜0.7重量%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の冷菓。
  11. 前記ショ糖脂肪酸エステルと前記ソルビタン脂肪酸エステルとの重量比が、80:20〜15:75である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の冷菓。
  12. ラクトアイス、アイスミルクまたはアイスクリームである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の冷菓。
  13. カカオバターを含む冷菓の製造方法であって、該方法が、以下の工程:
    カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルを含むアイスミックスを得る工程;
    該アイスミックスを濾過し、均質化し、殺菌および冷却してエージングミックスを得る工程;および
    該エージングミックスを0℃〜10℃でエージングする工程
    を包含し、該リン酸塩が、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である、製造方法。
  14. 前記冷菓のカカオバター含有量が、5重量%〜20重量%である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記エージングが、4時間〜5日間行われる、請求項13または14に記載の方法。
  16. 前記エージング後のミックスの粘度が、1000cP未満である、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記リン酸塩が、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウムからなる群より選択される、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記リン酸塩の含有量が、0.1重量%〜1.0重量%である、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記ショ糖脂肪酸エステルの親水性親油性バランス(HLB)が7〜19である、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が、0.05重量%〜0.40重量%である、請求項13〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記ソルビタン脂肪酸エステルが、ステアリン酸エステルまたはベヘン酸エステルである、請求項13〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが2.5〜7.0である、請求項13〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が、0.05重量%〜0.4重量%である、請求項13〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量と前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量との合計が、0.2重量%〜0.7重量%である、請求項13〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記ショ糖脂肪酸エステルと前記ソルビタン脂肪酸エステルとの重量比が、80:20〜15:75である、請求項13〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記冷菓がラクトアイス、アイスミルクまたはアイスクリームである、請求項13〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 1バッチあたりエージングミックス1トン以上の工業的規模で行われる、請求項13〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリソルベートを含む冷菓であって、該リン酸塩が、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である、冷菓。
  29. カカオバターの含有量が、5重量%〜20重量%である、請求項28に記載の冷菓。
  30. 前記ポリソルベートのHLBが10〜15である、請求項28または29項に記載の冷菓。
  31. 前記ポリソルベートが、ステアリン酸エステルである、請求項28〜31のいずれか1項に記載の冷菓。
  32. 前記ポリソルベートの含有量が、0.01重量%〜0.05重量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の冷菓。
  33. カカオバターを含む冷菓の製造方法であって、該方法が、以下の工程:
    カカオバター、リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリソルベートを含むアイスミックスを得る工程;
    該アイスミックスを濾過し、均質化し、殺菌および冷却してエージングミックスを得る工程;および
    該エージングミックスを0℃〜10℃でエージングする工程
    を包含し、該リン酸塩が、メタリン酸塩またはポリリン酸塩である、製造方法。
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