JP2008300730A - 熱電素子の製造方法及び熱電素子 - Google Patents

熱電素子の製造方法及び熱電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な工程で信頼性の高い熱電素子を得る。
【解決手段】この熱電素子1においては、N型半導体11、P型半導体12とこれらの間の絶縁層13が一体化されている。更に、N型半導体11とP型半導体12とは電極14により一端が接続されている。特に、N型半導体11とP型半導体12、及び絶縁層13とが一体化されて形成されている点に特徴を有する。N型半導体11におけるMn組成をP型半導体12におけるMn組成よりも小さくすることにより、本焼成工程において高抵抗層が形成され、この高抵抗層が絶縁層13となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱から起電力を発生する、あるいは電圧を印加することにより冷却を行う熱電素子の製造方法、及びこれにより得られる熱電素子に関する。
熱源から熱起電力を取り出す熱電素子としては、ゼーベック効果を利用したものが知られている。この熱電素子90においては、図4に示すように、N型半導体91とP型半導体92とが電極93によって電気的に接合される。この際に、N型半導体91とP型半導体92において、電極93側とその反対側との間で温度差がある場合、これらの間で起電力が発生するため、この熱電素子を用いて電力を発生させることができる(ゼーベック効果)。あるいは、逆に、この場合の起電力と逆向きの電圧をこれらの間に印加した場合には、冷却素子としても機能する(ペルチェ効果)。
こうした熱電素子においては、例えば、N型半導体91としてはCaMnO−ZnO系を主成分とするもの、P型半導体92としてはCaCoを主成分とするものが用いられる。これらは、バルクセラミックス(焼結体)として製造され、所望の形状に加工され、電極93が形成されて図4の形態となる。
ここで、N型半導体91とP型半導体92とは電極93により接合されるが、この電極93以外の箇所においては、互いに電気的に分離される必要がある。このため、P型半導体91とN型半導体92との間には絶縁性が高い材料が中間層94として挿入される。中間層94は、熱電素子90全体の機械的強度を保つという役割も果たす。すなわち、絶縁性の中間層94を設けることにより、熱電素子90の信頼性が高められる。図4では単純化のために省略しているが、実際にはこうした熱電素子は並列あるいは直列に多数個が接続されたモジュールとして製造・使用される。特にこの際に、中間層94を設けることにより、このモジュールの信頼性が高められる。
このため、こうした構造として、特許文献1には、この中間層94として酸化物ガラス層を形成した構造が記載されている。また、特許文献2には、この中間層94として多孔質シリカ層を形成した構造が記載されている。
こうした構造により、信頼性の高い熱電素子を得ることができた。すなわち、温度差から高い効率で電力を発生させる、あるいは、電圧印加により、高い冷却効率を得ることを長期間にわたり安定して行うことのできる熱電素子を得ることができた。
特開2000−188429号 特開2003−258323号
しかしながら、P型半導体とN型半導体との間にこうした中間層を形成する場合には、その製造工程は複雑になる。例えば、こうした構造を実現するためには、特許文献1に記載されているように、P型半導体とN型半導体とを電極で接合した後に、上記の中間層で融着する工程が必要になる。この際、中間層と両半導体との密着性を高くするためには、厳格な製造条件が要求されるため、簡易な工程でこうした構造の熱電素子を製造することは困難であった。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、Mnを構成元素として含む焼結体であるN型半導体と、Mnを構成元素として含む焼結体であるP型半導体と、前記N型半導体と前記P型半導体との間に介在する絶縁層とを具備する構造を有する熱電素子の製造方法であって、前記N型半導体の焼結体を得るためのN型原材料からなる層と、Mnの含有比率が前記N型半導体よりも高い前記P型半導体の焼結体を得るためのP型原材料からなる層とが積層された積層体を製造する積層工程と、前記積層体を焼成して、前記N型半導体、前記P型半導体、及び前記絶縁層が一体化して形成された構造を得る本焼成工程と、を具備することを特徴とする熱電素子の製造方法に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記N型半導体はMn−Ca系セラミックスであることを特徴とする請求項1に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、前記P型半導体はMn−Ni系セラミックスであることを特徴とする請求項2に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、前記N型半導体におけるMnの含有比率は30〜85mol%の範囲であり、前記P型半導体におけるMnの含有比率は60〜90mol%の範囲であり、かつ前記P型半導体におけるMnの含有比率が前記N型半導体におけるMnの含有比率よりも大きいことを特徴とする請求項2または3に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項5記載の発明の要旨は、前記N型半導体にはZnが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項4に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項6記載の発明の要旨は、前記N型半導体にはTaが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項4に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項7記載の発明の要旨は、前記P型半導体にはCuが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項8記載の発明の要旨は、前記P型半導体はMn−Co系セラミックスであることを特徴とする請求項2に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項9記載の発明の要旨は、前記N型半導体におけるMnの含有比率は30〜65mol%の範囲であり、前記P型半導体におけるMnの含有比率は40〜70mol%の範囲であり、かつ前記P型半導体におけるMnの含有比率が前記N型半導体におけるMnの含有比率よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項10記載の発明の要旨は、前記N型半導体にはZnが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項9に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項11記載の発明の要旨は、前記N型半導体にはTaが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項9に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項12記載の発明の要旨は、前記P型半導体にはCuが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項13記載の発明の要旨は、前記本焼成工程における焼成は900〜1250℃の温度で行われることを特徴とする請求項2乃至12のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項14記載の発明の要旨は、前記N型原材料は原料粉末を800〜1100℃の温度範囲で仮焼きを行うことにより得られることを特徴とする請求項2乃至13のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項15記載の発明の要旨は、前記P型原材料は原料粉末を800〜1100℃の温度範囲で仮焼きを行うことにより得られることを特徴とする請求項2乃至14のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法に存する。
請求項16記載の発明の要旨は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の製造方法によって得られたことを特徴とする熱電素子に存する。
本発明は以上の如き構成としたので、簡易な工程で信頼性の高い熱電素子を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る熱電素子1の構造を示す断面図である。この熱電素子1においては、N型半導体11、P型半導体12とこれらの間の絶縁層13が一体化されている。更に、N型半導体11とP型半導体12とは電極14により一端が接続されている。特に、N型半導体11とP型半導体12、及び絶縁層13とが一体化されて形成されている点に特徴を有する。
ここで形成される熱電素子には、N型半導体11とP型半導体12とが用いられる。これらの半導体は、焼結体(セラミックス)であり、N型半導体11としては、例えばMn−Ca系材料(例えばCaMnO)、P型半導体12としては、例えばMn−Ni系(例えば(MnNi))、Mn−Co系(例えば(MnCo))が用いられる。これらにおいては共にMnがその構成元素の1種となっている。なお、これらの半導体は、上記の元素の他に他の元素を添加物として含んでいてもよい。これらのセラミックスは、25℃における電気抵抗率が例えば5×10−3〜5×10Ω・cmの範囲になるように、組成比を調整したり、または、不純物を添加したりして作製されることが好ましい。
また、図2はこの製造方法における各工程の概要を示す図である。この製造方法は、N型半導体準備工程及びP型半導体準備工程、積層工程、本焼成工程、切断工程、電極形成工程とからなる。
図2(a)におけるN型半導体準備工程においては、まずN型半導体の焼結体を製造するための粉末を準備する。例えば、N型半導体として例えばCaMnOが用いられる場合には、Mn、CaCOの粉末がこの原料として用いられる。これらの粉末を所定の組成比となるべく混合し、ボールミル等で例えば16時間混合する。この混合粉末を、例えば大気中で800〜1100℃で仮焼成した後に、例えばライカイ機を用いて粉砕して、N型仮焼粉末が得られる。このN型仮焼粉末はN型原材料となり、その成型体(N型成型体21)を形成する。N型成型体21は例えばN型原材料をプレス機により成型して得ることができる。
図2(a)におけるP型半導体準備工程においては、まずP型半導体の焼結体を製造するための粉末を準備する。その原料以外はN型半導体準備工程と同様である。例えば、P型半導体として例えば(MnNi)が用いられる場合には、Mn、NiO、(MnCo)が用いられる場合にはMn、Coの粉末がこの原料として用いられ、他は前記と同様にしてP型仮焼粉末が得られる。このP型仮焼粉末はP型原材料となり、N型成型体21と同様にしてP型成型体22が得られる。
なお、N型原材料及びP型原材料として、N型半導体及びP型半導体を焼成によって形成することのできる材料であれば、前記の仮焼成等の工程は不要である。また、上記のN型半導体11、P型半導体12を焼結体として形成することができれば、N型成型体21、P型成型体22を形成する方法は、上記の方法に限定されない。
図2(b)における積層工程においては、前記のN型成型体21とP型成型体22とが積層して一体化された積層体23を作成する。積層体23は、例えばN型成型体21とP型成型体22とを積層してプレス機により成型して得ることができる。あるいは、特にN型成型体21とP型成型体22を製造せずに、同様の構造の積層体23を直接製造してもよい。以上の工程は、一般的なセラミックスを製造する場合と同様に行うことができる。
図2(c)における本焼成工程においては、この積層体23を、例えば大気中で900〜1250℃の温度で2時間焼成する。これにより、積層焼結体16が形成される。積層焼結体16においては、N型半導体11はN型成型体21から、P型半導体12はP型成型体22からそれぞれ形成される。N型半導体11とP型半導体12とは熱電半導体として機能する。なお、本焼成における雰囲気や温度は、N型半導体11及びP型半導体12が焼結によって形成できる条件であれば、これに限定されない。
ここで、N型半導体11とP型半導体12との間には、絶縁層13が同時に形成される。従って、この工程以降、N型半導体11とP型半導体12とはこの絶縁層13により機械的に固定され、かつ電気的に絶縁される。また、これらは一体化されて形成された構造が積層焼結体16となっている。
図2(d)に示す切断工程では、この積層焼結体16を所望の形状、例えば短冊状に切断する。切断には、例えば、一般的なセラミック用カッター等を使用することができる。この際には、その大きさが、図1におけるN型半導体11、P型半導体12、及び絶縁層13が一体化された構造の大きさとなるべく切断される。すなわち、これにより、図1中におけるN型半導体11、P型半導体12、及び絶縁層13が一体化された構造が形成される。
最後に、図2(e)における電極形成工程では、N型半導体11とP型半導体12の一端を接続する電極14を形成する。例えば、電極材料として導電性ペーストを印刷で形成し、これを焼成することにより、電極14が形成される。電極の材料としては、例えばAg、Pd、Cu、Ni、Pt、Au等の金属が適宜用いられる。これにより、図1の構造の熱電素子1が形成される。なお、図2では単純化して記載しているが、実際には、図2(e)の構造の熱電素子が直列あるいは並列に接続されたモジュールの構成として製造・使用することがその性能上は好ましい。
ここで、この製造方法においては、絶縁層13を構成するための材料は特に用いておらず、本焼成工程におけるN型成型体21とP型成型体22との間の化学反応によって絶縁層13が形成される。以下、この点につき詳細に説明する。
発明者は、特にN型半導体11とP型半導体12とが共にMnをその構成要素とし、特にN型半導体11側のMn組成をP型半導体12側よりも小さくした場合に、これらが一体化されて焼成されると、これらの界面に絶縁層13が形成されることを見出した。
表1は、N型半導体11として、Mn−Ca系セラミックス(主成分はCaMnOで、MnとCaの合計に対してZnを10mol%添加)を用い、P型半導体12として、Mn−Ni系セラミックス(主成分は(MnNi)で、MnとNiの合計に対してCuを10mol%添加)を用いた場合に形成される絶縁層13の特性を調べた結果である。ここで、各半導体の材料は、前記の通り、Mn、CaCO、NiO、ZnO、CuO粉末が用いられ、各組成に応じて秤量され、混合されて焼成された。この工程は、前記の製造方法におけるN型半導体準備工程とP型半導体準備工程、積層工程、本焼成工程と同様である。本焼成工程は、大気中で2時間、1100℃で行われた。
表1においては、組成比を変えたN型半導体11とP型半導体12の組み合わせにおいて、界面に形成された層の抵抗率が示してある。また、各組成のN型半導体11及びP型半導体12のMn組成(N型にあってはMnとCaとの総和に対するMnのmol比率、P型にあってはMnとNiの総和に対するMnのmol比率)と、N型半導体11及びP型半導体12自身の抵抗率も示してある。
ここで、抵抗率の測定は、上下に電極(Ag/Pd/Au/Pt及びこれらの合金)を形成して抵抗を測定し、試料の厚さと電極面積とから算出した。
表1において、×印の箇所は、抵抗率が500Ω・cm以上の高抵抗層が形成されていなかったことを示す。この結果より、特にN型半導体11のMn組成がP型半導体12よりも小さい場合には、界面に高抵抗層が形成されることが明らかである。具体的には、P型半導体12のMn組成が60mol%の場合はN型半導体11のMn組成が55%以下、P型半導体12のMn組成が70mol%の場合はN型半導体11のMn組成が65%以下、P型半導体12のMn組成が75mol%の場合はN型半導体11のMn組成が70%以下、P型半導体12のMn組成が80mol%の場合はN型半導体11のMn組成が75%以下、P型半導体12のMn組成が85mol%の場合はN型半導体11のMn組成が80%以下、P型半導体12のMn組成が90mol%の場合はN型半導体11のMn組成が85%以下で抵抗率が500Ω・cm以上の高抵抗層が形成されている。この高抵抗層の抵抗率は、隣接して存在するN型半導体11及びP型半導体12の抵抗率と比べて、小さいところでも5倍以上大きい。また、高抵抗層の抵抗率は、N型半導体11のMn組成がP型半導体12のMn組成に近づくほど低下する。なお、一般にN型半導体とP型半導体とが接合された場合にはPN接合による整流特性が見られるが、この場合には、両方向で抵抗を測定した場合にも同様の結果が得られたため、この高抵抗層は単純なPN接合の特性を反映しているものではない。従って、N型半導体11の材料とP型半導体12の材料との化学反応によって高抵抗層が生じたものであると考えられる。従って、N型半導体11におけるMn組成をP型半導体12におけるMn組成よりも小さくすることにより、本焼成工程において高抵抗層が形成され、この高抵抗層が絶縁層13となる。
この絶縁層13(高抵抗層)の抵抗率としては、N型半導体11及びP型半導体12よりも充分に大きいことが必要であり、熱電素子の動作においてこの絶縁層13を流れる電流が無視できればよい。このためには、その抵抗率は500Ω・cm以上であることがより好ましい。これに応じたMn組成は表1中で×印以外の組成の箇所である。
ただし、表1に示すように、N型半導体11のMn組成が25mol%以下の場合には、焼結が行われず、測定は不可能であった。また、P型半導体12のMn組成が55mol%以下、あるいは95%以上の場合には、P型半導体12の抵抗率が1000Ω・cm以上と高くなった。この場合は、N型半導体11の抵抗率が適正であり、かつ絶縁層13が形成されていたとしても、熱電素子の正常な動作はできないため、熱電素子用の材料としては適正ではない。従って、より好ましいMn組成の組み合わせの範囲は、P型半導体12で60〜90mol%、N型半導体11で30〜85mol%であり、かつ、P型半導体12におけるMn組成がN型半導体11におけるMn組成よりも大きい範囲である。また、P型半導体12自体の抵抗率を低くし、かつ絶縁層13の抵抗率を高くするためにより好ましい範囲は、P型半導体12で70〜80mol%、N型半導体11で40〜60mol%であり、かつ、P型半導体12におけるMn組成がN型半導体11におけるMn組成よりも大きい範囲である。
電子顕微鏡で積層焼結体の断面構造を観察した結果、及びこの断面においてEPMAによってMn組成分布を調べた結果が図3である。図3の右側では特にMnの濃度が濃淡で示してあり、濃部がMn濃度が低く、淡部がMn濃度の高い箇所である。この結果から、特にN型半導体11とP型半導体12との境界部付近のN型半導体11中に、Mn濃度の高い層(同図中では破線で囲まれた白い箇所)が形成されていることが確認できる。特にこの箇所のMn濃度は、高いMn組成をもつP型半導体12のMn濃度よりも更に高くなっており、P型半導体12、N型半導体11のどちらとも大きく異なる組成をもつ層となっている。この層が高抵抗層(絶縁層13)となっている。
同様の現象はMnを構成要素として含む他の熱電半導体においても確認された。表2は、表1におけるP型半導体12の代わりに、Mn−Co系セラミックス(主成分は(MnCo)で、MnとCoの合計に対してCuを10mol%添加)を用いた場合に形成される高抵抗層の特性を調べた結果である。ここで、各半導体の材料は、前記の通り、Mn、CaCO、CaO、ZnO、CuO粉末が用いられ、製造方法については前記と同様である。表1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
この結果から、P型半導体12として、同様にMnを含み、かつ別組成の材料であるMn−Co系セラミックスを用いた場合であっても、同様の結果が得られた。すなわち、N型半導体11のMn組成がP型半導体12よりも小さい場合には、界面に高抵抗層が形成される。具体的には、P型半導体12のMn組成が50mol%の場合はN型半導体11のMn組成が45%以下、P型半導体12のMn組成が60mol%の場合はN型半導体11のMn組成が55%以下、P型半導体12のMn組成が65mol%の場合はN型半導体11のMn組成が60%以下、P型半導体12のMn組成が70mol%の場合はN型半導体11のMn組成が65%以下で抵抗率が500Ω・cm以上の高抵抗層が形成されている。この高抵抗層が絶縁層13となる。また、N型半導体11のMn組成が25mol%以下の場合には焼結体が得られず、P型半導体12のMn組成が35mol%以下、あるいは75%以上の場合にはP型半導体の抵抗率が1000Ω・cm以上と高くなるため、熱電素子としての使用は困難であった。
従って、N型半導体11としてMn−Ca系セラミックスを用い、P型半導体12としてMn−Co系セラミックスを用いた場合には、より好ましいMn組成の組み合わせの範囲は、P型半導体12で40〜70mol%、N型半導体11で30〜65mol%であり、かつ、P型半導体12におけるMn組成がN型半導体11におけるMn組成よりも大きい範囲である。また、P型半導体12自体の抵抗率を低くし、かつ絶縁層13の抵抗率を高くするためにより好ましい範囲は、P型半導体12で50〜65mol%、N型半導体11で40〜60mol%であり、かつ、P型半導体12におけるMn組成がN型半導体11におけるMn組成よりも大きい範囲である。
これらの特性は、N型半導体11、あるいはP型半導体12にZn、Ta、Cuを添加し、その添加量を変えた場合でも同様であった。表1の場合と同様に、N型半導体11としてMn−Ca系セラミックス、P型半導体12としてMn−Ni系セラミックスを用いた場合に、これらの半導体層における添加物と、焼成後に得られた高抵抗層との関係を調べた結果が表3〜5である。
表3は、P型半導体12としてMn−Ni系セラミックス(Mn組成75%、Cu10mol%添加)を用いた場合に、N型半導体11(Mn−Ca系セラミックス)のZn添加量を0.1〜50%の範囲とした場合に得られた高抵抗層の抵抗率を測定した結果である。この際、N型半導体11のMn組成も40〜60%の範囲としている。表3では、表1、2と同様に、N型半導体11、P型半導体12自身の抵抗率、組成も示してある。
この結果から、N型半導体11となるMn−Ca系セラミックスにおけるZn添加量が0.1〜50mol%の場合にも、同様に絶縁層13が形成されることが確認された。
同様に、N型半導体11となるMn−Ca系セラミックスにTaを添加し、Ta添加量を0.1〜50%とした場合に得られた高抵抗層の抵抗率を測定した結果を表4に示す。Ta添加以外については表3中の材料と同様である。なお、Taの添加には原料としてTaを用いた。
この結果から、N型半導体11となるMn−Ca系セラミックスにおけるTa添加量が0.1〜50mol%の場合にも、同様に絶縁層13が形成されることが確認された。
また、表1の結果は、P型半導体12となるMn−Ni系セラミックスにおけるCu添加量が10mol%の場合の結果であったが、Cu添加量がこれと異なる場合でも、同様の結果が得られる。表5は、N型半導体11としてMn−Ca系セラミックス(Mn組成50%、Cu10mol%添加)を用いた場合に、P型半導体12となるMn−Ni系セラミックスのCu添加量を0.1〜20%の範囲とした場合に得られた高抵抗層の抵抗率を測定した結果である。この際、P型半導体12のMn組成も70〜80%の範囲としている。
この結果から、P型半導体12となるMn−Ni系セラミックスにおけるCu添加量が0.1〜20mol%の場合にも、表1と同様に絶縁層13が形成されることが確認された。
次に、表2の場合と同様に、N型半導体11としてMn−Ca系セラミックス、P型半導体12としてMn−Co系セラミックスを用いた場合に、これらの半導体層における添加物及びその濃度と、焼成後に形成された高抵抗層との関係を調べた。
表6は、P型半導体12としてMn−Co系セラミックス(Mn組成65%、Cu10mol%添加)を用いた場合に、N型半導体11となるMn−Ca系セラミックスにおけるZn添加量を0.1〜50%の範囲とした場合に得られた高抵抗層の抵抗率を測定した結果である。この際、N型半導体11のMn組成も40〜60%の範囲としている。
この結果から、N型半導体11となるMn−Ca系セラミックスにおけるZn添加量が0.1〜50mol%の場合にも、同様に絶縁層13が形成されることが確認された。
同様に、N型半導体11となるMn−Ca系セラミックスにTaを添加し、Ta添加量を0.1〜50%とした場合に得られた高抵抗層の抵抗率を測定した結果を表7に示す。Ta添加以外については表6中の材料と同様である。なお、Taの添加には原料としてTaを用いた。
この結果から、N型半導体11となるMn−Ca系セラミックスにおけるTa添加量が0.1〜50mol%の場合にも、同様に絶縁層13が形成されることが確認された。
また、表2の結果は、P型半導体12となるMn−Co系セラミックスにおけるCu添加量が10mol%の場合の結果であったが、Cu添加量がこれと異なる場合でも、同様の結果が得られる。表8は、N型半導体11としてMn−Ca系セラミックス(Mn組成45%、Zn10mol%添加)を用いた場合に、P型半導体12となるMn−Co系セラミックスのCu添加量を0.1〜20%の範囲とした場合に得られた高抵抗層の抵抗率を測定した結果である。この際、P型半導体12のMn組成も50〜65%の範囲としている。
この結果から、P型半導体12となるMn−Co系セラミックスにおけるCu添加量が0.1〜20mol%の場合にも、表1と同様に絶縁層13が形成されることが確認された。
以上の結果より、本発明の実施の形態となる製造方法において、特にその本焼成工程においては、N型半導体11とP型半導体12との境界部に、絶縁層13が形成されることが確認された。従って、本焼成工程後には、図2(c)に示すように、N型半導体11とP型半導体12との間に絶縁層13が形成された積層焼結体16が得られる。以降の工程は、前記の通りに行われ、図1に示す構造の熱電素子1が得られる。
この構造においては、本焼成工程においてN型半導体11、P型半導体12、及び絶縁層13が一体となって焼結されて形成されている。しかも、これらは共通の元素、特にMnを共通の構成元素として含有するため、これらの間の結合は強固となる。従って、これらの間で剥離を生じにくく、機械的強度が高く信頼性の高い熱電素子となる。
さらに、特に絶縁層13を形成するための特別な材料は用いておらず、用いる材料は、Mnを含むN型半導体材料と、同じくMnを含むP型半導体材料だけで、絶縁層13が形成される。Mnは前記の通り、熱電半導体であるMn−Ca系セラミックス、Mn−Ni系セラミックス、Mn−Co系セラミックスに共通の構成元素であるため、新たな材料を添加することは不要である。必要なことは、単にN型半導体におけるMn組成をP型半導体におけるMn組成よりも小さくすることである。従って、絶縁層13を形成するための原材料の準備や秤量は不要となるため、安価かつ容易に熱電素子を得ることができる。
また、絶縁層13を形成するための原材料が不要なだけではなく、N型半導体11とP型半導体12とが本焼成工程で形成される際に、絶縁層13は同時に形成される。従って、N型半導体11とP型半導体12を形成する工程で絶縁層13は自動的に形成され、絶縁層13を形成するための特別な工程は不要である。従って、この点からも安価かつ容易に熱電素子を得ることができる。
従って、上記の製造方法によれば、信頼性の高い熱電素子を簡易な工程で得ることができる。
本発明の実施の形態に係る熱電素子の構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る熱電素子の製造方法を示す工程図である。 本発明の実施の形態の製造方法において形成された本焼成後の焼結体の断面の構造及びMnの分布を示す図である。 従来の熱電素子の一例の構造を示す断面図である。
1、90 熱電素子
11、91 N型半導体
12、92 P型半導体
13 絶縁層
14、93 電極
16 積層焼結体
21 N型成型体
22 P型成型体
23 積層体
94 中間層

Claims (16)

  1. Mnを構成元素として含む焼結体であるN型半導体と、Mnを構成元素として含む焼結体であるP型半導体と、前記N型半導体と前記P型半導体との間に介在する絶縁層とを具備する構造を有する熱電素子の製造方法であって、
    前記N型半導体の焼結体を得るためのN型原材料からなる層と、Mnの含有比率が前記N型半導体よりも高い前記P型半導体の焼結体を得るためのP型原材料からなる層とが積層された積層体を製造する積層工程と、
    前記積層体を焼成して、前記N型半導体、前記P型半導体、及び前記絶縁層が一体化して形成された構造を得る本焼成工程と、
    を具備することを特徴とする熱電素子の製造方法。
  2. 前記N型半導体はMn−Ca系セラミックスであることを特徴とする請求項1に記載の熱電素子の製造方法。
  3. 前記P型半導体はMn−Ni系セラミックスであることを特徴とする請求項2に記載の熱電素子の製造方法。
  4. 前記N型半導体におけるMnの含有比率は30〜85mol%の範囲であり、前記P型半導体におけるMnの含有比率は60〜90mol%の範囲であり、かつ前記P型半導体におけるMnの含有比率が前記N型半導体におけるMnの含有比率よりも大きいことを特徴とする請求項2または3に記載の熱電素子の製造方法。
  5. 前記N型半導体にはZnが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項4に記載の熱電素子の製造方法。
  6. 前記N型半導体にはTaが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項4に記載の熱電素子の製造方法。
  7. 前記P型半導体にはCuが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法。
  8. 前記P型半導体はMn−Co系セラミックスであることを特徴とする請求項2に記載の熱電素子の製造方法。
  9. 前記N型半導体におけるMnの含有比率は30〜65mol%の範囲であり、前記P型半導体におけるMnの含有比率は40〜70mol%の範囲であり、かつ前記P型半導体におけるMnの含有比率が前記N型半導体におけるMnの含有比率よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の熱電素子の製造方法。
  10. 前記N型半導体にはZnが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項9に記載の熱電素子の製造方法。
  11. 前記N型半導体にはTaが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項9に記載の熱電素子の製造方法。
  12. 前記P型半導体にはCuが0.1〜50mol%添加されたことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法。
  13. 前記本焼成工程における焼成は900〜1250℃の温度で行われることを特徴とする請求項2乃至12のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法。
  14. 前記N型原材料は原料粉末を800〜1100℃の温度範囲で仮焼きを行うことにより得られることを特徴とする請求項2乃至13のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法。
  15. 前記P型原材料は原料粉末を800〜1100℃の温度範囲で仮焼きを行うことにより得られることを特徴とする請求項2乃至14のいずれか1項に記載の熱電素子の製造方法。
  16. 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の製造方法によって得られたことを特徴とする熱電素子。
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