JP2008297801A - 建物、その増築構造および増築方法 - Google Patents

建物、その増築構造および増築方法 Download PDF

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英一郎 佐伯
Yasuhiro Nakada
安洋 中田
Naohiro Kawasaki
直宏 川崎
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Abstract

【課題】第1構築物を跨いで第2構築物を構築した建物における耐震性や耐風安定性を向上させることが可能な建物、その増築構造および増築方法を提供すること。
【解決手段】第2構築物3の柱体4が第1構築物2に接続されず、隙間S1を介して立設された独立柱とされていることで、第2構築物3を長周期化して第1構築物2に対する1次固有周期の比を大きくすることができ、第2構築物3への地震動入力を低減することができる。さらに、地震時や強風時において、固有周期の長い第2構築物3がゆっくり大きな振幅で揺れようとしても、第1構築物2に連結された軸変形ダンパー6が減衰力を発揮することで、第2構築物3の振動エネルギーを吸収して揺れを抑えることができ、耐震性や耐風安定性を向上させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、建物、その増築構造および増築方法に関し、詳しくは、第1構築物を跨いで構築された第2構築物を有する建物、既存の第1構築物を跨いで第2構築物を構築する建物の増築構造および増築方法に関する。
従来、既存建築物をそのままの状態で残し、その上方に新たな建物を構築する増築方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の増築方法は、既存建築物の側方に支持部材を立設し、これらの支持部材の上側に既存建築物の屋根を覆う増築用屋根を設け、この増築用屋根と既存建築物の屋根との間に床部材を設けて空間を形成するものである。
特開2003−105976号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来の増築方法では、既存建築物の屋根部分や途中階部分と、増築の支持部材とが床部材等で構造的に連結される構成になっている。このため、増築用屋根部分に作用する地震力や風圧力等の水平力が床部材を介して既存建築物に伝達されたり、逆に既存建築物からの水平力が増築の支持部材に伝達されたりなど、既存建築物と増築構造体との間に相互の水平荷重伝達が発生し、各々の耐荷重を超える水平力が作用する可能性があり、耐震性や耐風安定性の点で問題がある。
本発明の目的は、第1構築物を跨いで第2構築物を構築した建物における耐震性や耐風安定性を向上させることが可能な建物、その増築構造および増築方法を提供することにある。
本発明の建物は、地盤上に構築された第1構築物と、この第1構築物を跨いで構築された第2構築物とを備えた建物であって、前記第2構築物は、前記第1構築物の側方に所定の隙間を介して立設される複数の柱体と、これら複数の柱体に支持されて前記第1構築物の上方に所定の隙間を介して設けられる第2構築物本体とを有するとともに、当該第2構築物本体の底部と前記第1構築物の上部とが、互いの水平方向の相対移動に伴って減衰力を発揮するダンパー装置で連結されていることを特徴とする。
ここで、第1構築物および第2構築物は、それぞれ新設の構築物であってもよく、また第1構築物が既存建築物で第2構築物が増築建築物であってもよい。第1構築物および第2構築物ともに新設の構築物の場合には、第1構築物と第2構築物との施工手順は特に限定されず、第1構築物を構築してから第2構築物を構築してもよく、また第2構築物を構築してから第1構築物を構築してもよく、さらには第1構築物および第2構築物を同時並行的に構築してもよい。
以上の本発明によれば、第1構築物に対し、所定の隙間だけ離して第2構築物の柱体および第2構築物本体を構築するとともに、水平方向のみに作用するダンパー装置で第1構築物と第2構築物本体とを連結することで、第2構築物の鉛直荷重を第1構築物に伝達させずに柱体で支持することができる。
さらに、地震時や強風時において、第1構築物および第2構築物に水平力が作用した場合に、第1構築物と第2構築物本体との間に生じる水平方向の相対移動に対してダンパー装置が作用して減衰力を発揮することで、水平力のエネルギーを吸収して第1構築物および第2構築物の水平変形を低減させ、耐震性や耐風安定性を向上させることができる。すなわち、第2構築物の柱体が第1構築物の全体高さ寸法と同一程度かそれ以上の長さ寸法を有し、柱体の途中位置が第1構築物に接続されていないことから、第2構築物単体としては、水平振動における固有周期が第1構築物と比較して十分に長い(長周期化された)振動特性を有するものになっている。このように振動特性(固有周期)が異なる第1構築物および第2構築物間にダンパー装置を設けることで、相互間に生じる相対移動を効果的にダンパー装置が吸収し、それぞれの地震応答(または風による振動)を低減させることが可能となる。
この際、本発明の建物では、前記第2構築物単体の1次固有周期は、前記第1構築物単体の1次固有周期の2倍〜50倍の範囲に設定されていることが好ましい。
このような構成によれば、第1構築物に対して第2構築物の固有周期を2倍〜50倍に設定する、すなわち第2構築物の振動特性を長周期化させることで、互いの振動特性の差が顕著になってダンパー装置の減衰力を効果的に発揮させることができる。このように第2構築物が長周期化されることで、そもそも第2構築物への地震入力が小さくなるため、ダンパー装置に要求される減衰力、つまり第2構築物からダンパー装置を介して第1構築物に伝達される水平力も小さくすることができ、第1構築物および第2構築物相互の水平力伝達による強度的な影響を最小化することができる。
また、本発明の建物では、前記第2構築物単体の1次固有周期は、1.0秒〜10秒の範囲に設定されていることが好ましい。
さらに、本発明の建物では、前記第1構築物は、3階〜6階建ての建築物であり、前記第2構築物単体の1次固有周期は、2.0秒〜5.0秒の範囲に設定されていることが好ましい。
また、本発明の建物では、前記ダンパー装置の減衰力は、前記第2構築物の重量に対して1.0%〜20%の範囲または1.0%〜5.0%の範囲に設定されていることが好ましい。
これらの各構成によれば、第1構築物および第2構築物の振動特性を明確に分離するとともに、第2構築物を長周期化させることで、ダンパー装置の減衰力を小さくしても効果的に地震応答を低減させることができる。
さらに、本発明の建物では、前記第1構築物が既存建築物であり、前記第2構築物が増築建築物であることが好ましい。
このような構成によれば、既存建築物である第1構築物の上方に第2構築物の第2構築物本体を増築した建物において、前述の効果を得ることができる。従って、増築した第2構築物から既存の第1構築物への鉛直荷重の伝達がなく、かつダンパー装置を介した水平力の伝達も軽微なものにでき、既存建築物に対して補強する必要がなくあるいは最小限の補強によって第2構築物が増築できる。
また、本発明の建物では、前記第2構築物は、前記第2構築物本体が1階以上の階数を有した建築物であることが好ましい。
さらに、本発明の建物では、前記第2構築物の柱体が鉄骨製またはコンクリート充填鋼管製であることが好ましい。
このような構成によれば、2階以上の床を有して第2構築物本体が構成されることで、建築物として利用可能な空間を確保することができ、その場合でも第1構築物への荷重伝達等の影響を回避することができる。
また、第2構築物の柱体を鉄骨製やコンクリート充填鋼管(CFT)製とすることで、強度を確保しつつ第2構築物を長周期化しやすくなるとともに、第2構築物を比較的容易かつ短工期で施工することができる。
以上において、本発明の建物では、前記第1構築物と前記第2構築物の柱体との隙間が2.0cm以上に設定されているか、または前記第1構築物と前記第2構築物の柱体との隙間が6.0cm以上に設定されていることが好ましい。
ここで、第1構築物と第2構築物の柱体との隙間の寸法設定としては、第2構築物の重量に対するダンパー装置の減衰力の比に応じて設定されるもので、減衰力の比が20%以下に程度までの比較的大きな値にできる場合には、2.0cm以上の比較的小さな隙間寸法にでき、減衰力の比が5%以下の比較的小さな値の場合には、6.0cm以上の隙間寸法に設定することが望ましい。
さらに、本発明の建物では、前記第2構築物の重量に対する前記ダンパー装置の減衰力の比をRとし、前記第2構築物単体の1次固有周期をTとした場合に、前記第1構築物と前記第2構築物の柱体との隙間寸法Lが式(1)で算出される寸法(cm)以上に設定されていることが好ましい。
Figure 2008297801
一方、本発明の建物の増築構造は、地盤上に構築された既存の第1構築物を跨いで第2構築物を構築する建物の増築構造であって、前記第2構築物は、前記第1構築物の側方に所定の隙間を介して立設される複数の柱体と、これら複数の柱体に支持されて前記第1構築物の上方に所定の隙間を介して設けられる第2構築物本体とを有して構成され、前記第2構築物本体の底部は、前記第1構築物の上部に対して、互いの水平方向の相対移動に伴って減衰力を発揮するダンパー装置で連結されていることを特徴とする。
また、本発明の建物の増築方法は、地盤上に構築された既存の第1構築物を跨いで第2構築物を構築する建物の増築方法であって、前記第1構築物の側方に所定の隙間を介して複数の柱体を立設してから、前記第1構築物の上方に所定の隙間を介して第2構築物本体を前記複数の柱体に支持させて構築し、前記第2構築物本体の底部と前記第1構築物の上部とを、互いの水平方向の相対移動に伴って減衰力を発揮するダンパー装置で連結することを特徴とする。
このような増築構造または増築方法によれば、前述と同様の作用効果を得ることができ、既存の第1構築物に対する補強を不要または最小限にしつつ、増築された第1構築物および第2構築物からなる建物全体の耐震性や耐風安定性を向上させることができる。
以上のような本発明によれば、第1構築物を跨いで第2構築物を構築した建物における耐震性や耐風安定性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の建物1を示す側面図である。図2は、建物1を示す一部を断面した斜視図である。
図1において、建物1は、地盤Gに構築された図示しない基礎上に構築された既存建築物である第1構築物2と、この第1構築物2に跨って構築された増築建築物である第2構築物3とを備えて構成され、集合住宅等の用途に供されるものである。第1構築物2は、1階から5階の床F1〜F5と、屋上階の床FRとが積層された5階建ての建築物であり、各階の内部空間が住居として利用されるものである。第2構築物3は、第1構築物2の側方に所定の隙間S1を介して立設される複数の柱体4と、これら複数の柱体4上に支持されて第1構築物2の上方に所定の隙間S2を介して設けられる第2構築物本体5とを有して構成されている。そして、第2構築物本体5は、増築された1階から3階の床ZF1〜ZF3と、屋上階の床ZFRとが積層された3階建てであり、各階の内部空間が住居として利用されるものである。また、第1構築物2と第2構築物本体5との間には、図示しない階段やエレベータ、給排水管、電気、ガス配管等が上下に渡って接続されている。
第2構築物3の柱体4は、地盤Gに構築された図示しない基礎上に立設された鉄骨製またはコンクリート充填鋼管(CFT)製のものであり、第1構築物2の建物高さと隙間S2の高さとを合わせた分の長さ寸法に渡って、第1構築物2とのつなぎ材や柱体4同士のつなぎ材等を全く有さない独立柱となっている。この柱体4の頂部、つまり第2構築物本体5の1階床ZF1下側の高さ位置において、柱体4同士および第2構築物本体5が梁等を介して互いに緊結されており、第2構築物本体5の鉛直荷重が柱体4を介して基礎まで伝達される、すなわち鉛直荷重に関して第2構築物3は、その柱体4で全体が支持されて自立するように構成されている。
また、第1構築物2の上部と第2構築物本体5の底部とは、互いの水平方向の相対移動(隙間S2の層間変位)に伴って減衰力を発揮するダンパー装置としての軸変形ダンパー6で連結されている。具体的には、第1構築物2の屋上階床FRの上側に固定された支持部7と、第2構築物本体5の1階床ZF1の下側に固定された支持部7とに、軸変形ダンパー6の両端部が固定され、この軸変形ダンパー6は、隙間S2の空間において略水平に設置されている。このような軸変形ダンパー6は、図2に示すように、複数箇所に設置されており、例えば、建物1のX方向およびY方向に関して各方向の相対移動に作用する軸変形ダンパー6がそれぞれ2箇所ずつに設置されている。ここで、各方向の軸変形ダンパー6は、第2構築物本体5の重心位置や第1構築物2および第2構築物3の剛心位置等に対して偏心しないように設置されることが好ましい。
軸変形ダンパー6は、金属ダンパーや摩擦ダンパー、オイルダンパー、粘性ダンパー、粘弾性ダンパー等、軸方向に変形(設置状態における水平方向の軸変形)することで減衰力を発揮するタイプのものであればよい。そして、軸変形ダンパー6が金属ダンパーである場合には、鉛や低降伏点鋼、普通鋼などの金属材料からなる履歴エネルギー吸収機構を有したものが適用できる。また、軸変形ダンパー6がオイルダンパーである場合には、ピストンおよびシリンダを有して構成され、ピストンの移動に伴うシリンダ内のオイルの移動によって粘性減衰を発揮するものが例示できる。
一方、本発明におけるダンパー装置としては、軸変形ダンパー6に限らず、図3、図4に示すようなせん断変形ダンパー8が利用可能である。このせん断変形ダンパー8は、ベースプレート9等を介して第1構築物2の上部と第2構築物本体5の底部とを連結するもので、例えば、U型に曲げ加工した金属を放射状に組み合わせた金属ダンパー8Aや、高減衰ゴムなどのシート状の粘弾性体と金属板とを交互に積層した積層ゴム8Bなど、第1構築物2と第2構築物本体5との相対移動に伴ってせん断変形し、このせん断変形することで減衰力を発揮するタイプのものであればよい。
以上の建物1の増築手順としては、先ず、既存の第1構築物2の周囲の地盤Gを掘削するか、または地盤G上に直接設置するなどして、柱体4を立設するための基礎を構築する。そして、構築した基礎上に柱体4を建て込み、第1構築物2との間隔S1を確保しながら柱体4を第1構築物2の屋上階床FRよりも上方まで立ち上げる。この際、柱体4は、その高さ寸法分の長さを複数に分割したものを順次接合して立設されればよい。
次に、立設した複数の柱体4同士の上端部同士を梁等で連結するとともに、第2構築物本体5の1階床ZF1や、柱体4の上方に連続する柱、壁等を構築し、屋上階の床ZFRまで各階を順次構築する。
以上のようにして第2構築物本体5を構築した後、すなわち隙間S2の間隔寸法が固定された状態で、軸変形ダンパー6やせん断変形ダンパー8を第1構築物2の上部と第2構築物本体5の底部とに連結して建物1の増築が完了する。この際、軸変形ダンパー6やせん断変形ダンパー8を第2構築物本体5の構築前に設置してもよいし、構築後に設置してもよい。
本実施形態において、第1構築物2は、鉄筋コンクリート造の3階〜6階建て、つまり建物高さが10m〜20m程度の範囲であり、その1次固有周期が0.1秒〜0.4秒程度の既存建築物である。そして、第2構築物3は、軸変形ダンパー6やせん断変形ダンパー8を設置しない状態、つまり第2構築物3単体の状態で、その1次固有周期が1.0秒〜10秒程度の範囲、好ましくは、3.0秒〜4.0秒程度の範囲に設定されている。従って、第2構築物3単体の1次固有周期は、第1構築物単体の1次固有周期の2倍〜50倍程度の範囲、好ましくは、7倍〜20倍程度の範囲に設定されている。そして、軸変形ダンパー6やせん断変形ダンパー8が発揮可能な減衰力としては、第2構築物本体5の重量に対して1.0%〜20%の範囲に設定され、このような減衰力が得られるように、軸変形ダンパー6やせん断変形ダンパー8の個々のサイズや性能、および設置個数が設定されている。
次に、第1構築物2と第2構築物3の柱体4との隙間S1部分のいて、その隙間寸法Lの設定方法について説明する。
隙間寸法Lは、前記式(1)に基づいて設定されている。この式(1)では、第2構築物3の重量に対するダンパー(軸変形ダンパー6やせん断変形ダンパー8)の減衰力の比をRとし、第2構築物3単体の1次固有周期をTとしている。この式(1)において、減衰力の比Rを1.0〜20%(1,2,5,10,15,20%)とし、建物の固有周期を1秒から10秒までとして、算出される隙間寸法Lを、図6のグラフに曲線でに示す。また、図6のグラフには、本実施形態の建物1をモデル化して時刻歴地震応答解析を実施し、第1構築物2と第2構築物3の柱体4との間に生じる相対変位から算出した所要隙間寸法をプロットする。この時刻歴地震応答解析においては、極まれに発生する地震相当の強度レベル地震動を用いた。また、建物の固有周期としては、ダンパーの付加による剛性増加も考慮した等価固有周期を用い、減衰力としては、図5に示すような各種のダンパー形式に応じたものを用いている。すなわち、図5(A)に示す履歴型ダンパーの場合には、降伏耐力を減衰力とし、図5(B)〜図5(D)に示す粘性ダンパーや粘弾性ダンパーの場合には、変位0(ゼロ)の時の抵抗力値を減衰力として用いている。
以上の図6から、式(1)で算出した隙間寸法L以上の間隔を隙間S1部分に設けておけば、地震応答の相対変位に基づく所要隙間寸法が確保できる、つまり第1構築物2と第2構築物3の柱体4とが衝突しない最低間隔が確保できることが解る。
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、第2構築物3の柱体4が第1構築物2に接続されず、隙間S1を介して立設された独立柱とされていることで、第2構築物3を長周期化して第1構築物2に対する1次固有周期の比を大きくすることができる。従って、第2構築物3への地震動入力そのものを低減することができる。さらに、地震時や強風時において、固有周期の長い第2構築物3がゆっくり大きな振幅で揺れようとしても、第1構築物2に連結された軸変形ダンパー6やせん断変形ダンパー8が減衰力を発揮することで、第2構築物3の振動エネルギーを吸収して揺れを抑えることができ、耐震性や耐風安定性を向上させることができる。
(2)また、地震動入力が低減された第2構築物3の応答に応じて、軸変形ダンパー6やせん断変形ダンパー8の減衰力を適切に設定することで、これらを介して第2構築物3から第1構築物2に伝達される力を小さくすることができ、第1構築物2に作用する応力や変形の増大を防止し、第1構築物2の耐震性を確保することができる。さらに、第1構築物2自身の揺れも軸変形ダンパー6やせん断変形ダンパー8の減衰力によって低減されるので、耐震性を向上させることができる。
(3)また、鉛直荷重に関して柱体4で第2構築物本体5が支持され、第2構築物3が自立するように構成されているので、第2構築物3の重量が第1構築物2に作用することがなく、既存建築物として強度的な余裕が少ない第1構築物2を補強せずに、あるいは軽微な補強によって、第1構築物2の上方に第2構築物本体5を増築することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、第1構築物2を鉄筋コンクリート造5階建ての既存建物としたが、構造種別や階数は特に限定されず、また第1構築物2が新設の建築物であってもよい。また、第2構築物3における第2構築物本体5の階数も3階に限らず、適宜設定可能であり、柱体4の構造種別も鉄骨造やCFT造に限らず、高靱性繊維補強コンクリートなどの利用も含む鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造、プレキャストコンクリート造であってもよい。
さらに、建物1の用途も共同住宅に限らず、事務所ビルやその他の施設用の建築物であってもよく、さらには建築物以外の工作物や土木構造物であってもよい。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の実施形態に係る建物を示す側面図である。 前記建物を示す一部を断面した斜視図である。 前記実施形態の変形例に係る建物を示す側面図である。 図3とは異なる前記実施形態の変形例に係る建物を示す側面図である。 前記実施形態に用いるダンパー装置の特性を示すグラフである。 前記実施形態における隙間寸法の設定を示すグラフである。
符号の説明
1…建物、2…第1構築物、3…第2構築物、4…柱体、5…第2構築物本体、6…ダンパー装置としての軸変形ダンパー、8…ダンパー装置としてのせん断変形ダンパー、S1,S2…隙間、L…隙間寸法。

Claims (14)

  1. 地盤上に構築された第1構築物と、この第1構築物を跨いで構築された第2構築物とを備えた建物であって、
    前記第2構築物は、前記第1構築物の側方に所定の隙間を介して立設される複数の柱体と、これら複数の柱体に支持されて前記第1構築物の上方に所定の隙間を介して設けられる第2構築物本体とを有するとともに、当該第2構築物本体の底部と前記第1構築物の上部とが、互いの水平方向の相対移動に伴って減衰力を発揮するダンパー装置で連結されていることを特徴とする建物。
  2. 請求項1に記載の建物において、
    前記第2構築物単体の1次固有周期は、前記第1構築物単体の1次固有周期の2倍〜50倍の範囲に設定されていることを特徴とする建物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の建物において、
    前記第2構築物単体の1次固有周期は、1.0秒〜10秒の範囲に設定されていることを特徴とする建物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の建物において、
    前記第1構築物は、3階〜6階建ての建築物であり、前記第2構築物単体の1次固有周期は、2.0秒〜5.0秒の範囲に設定されていることを特徴とする建物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の建物において、
    前記ダンパー装置の減衰力は、前記第2構築物の重量に対して1.0%〜20%の範囲に設定されていることを特徴とする建物。
  6. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の建物において、
    前記ダンパー装置の減衰力は、前記第2構築物の重量に対して1.0%〜5.0%の範囲に設定されていることを特徴とする建物。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の建物において、
    前記第1構築物が既存建築物であり、前記第2構築物が増築建築物であることを特徴とする建物。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の建物において、
    前記第2構築物は、前記第2構築物本体が1階以上の階数を有した建築物であることを特徴とする建物。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の建物において、
    前記第2構築物の柱体が鉄骨製またはコンクリート充填鋼管製であることを特徴とする建物。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の建物において、
    前記第1構築物と前記第2構築物の柱体との隙間が2.0cm以上に設定されていることを特徴とする建物。
  11. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の建物において、
    前記第1構築物と前記第2構築物の柱体との隙間が6.0cm以上に設定されていることを特徴とする建物。
  12. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の建物において、
    前記第2構築物の重量に対する前記ダンパー装置の減衰力の比をRとし、前記第2構築物単体の1次固有周期をTとした場合に、前記第1構築物と前記第2構築物の柱体との隙間寸法Lが式(1)で算出される寸法(cm)以上に設定されていることを特徴とする建物。
    Figure 2008297801
  13. 地盤上に構築された既存の第1構築物を跨いで第2構築物を構築する建物の増築構造であって、
    前記第2構築物は、前記第1構築物の側方に所定の隙間を介して立設される複数の柱体と、これら複数の柱体に支持されて前記第1構築物の上方に所定の隙間を介して設けられる第2構築物本体とを有して構成され、
    前記第2構築物本体の底部は、前記第1構築物の上部に対して、互いの水平方向の相対移動に伴って減衰力を発揮するダンパー装置で連結されていることを特徴とする建物の増築構造。
  14. 地盤上に構築された既存の第1構築物を跨いで第2構築物を構築する建物の増築方法であって、
    前記第1構築物の側方に所定の隙間を介して複数の柱体を立設してから、前記第1構築物の上方に所定の隙間を介して第2構築物本体を前記複数の柱体に支持させて構築し、
    前記第2構築物本体の底部と前記第1構築物の上部とを、互いの水平方向の相対移動に伴って減衰力を発揮するダンパー装置で連結することを特徴とする建物の増築方法。
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