JP2008297491A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質(A)及び鉱物油系軟化剤(B)を含有する熱可塑性エラストマー(C)100重量部に対して、有機ペルオキシドの非存在下でマレイミド化合物0.1〜10.0重量部溶融混練されてなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物(D)。
【選択図】なし
Description
本発明においてペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質(A)とは、例えば、ブチルゴム、ポリイソブチレン、プロピレン70モル%以上のプロピレン−エチレン共重合体ゴム等の如く、ペルオキシドと混合し、加熱下に混練しても架橋せず、流動性が低下しない炭化水素系のゴム状物質をいう。これらのうちではポリイソブチレン、ブチルゴムが、性能及び取り扱い上好ましい。なお本発明において、架橋するとは、重合体を有機ペルオキシドと熱反応させた際生じる分解反応と架橋反応の競争反応において、架橋反応が多く生じる現象をいい、分解するとは、分解反応が多い結果、重合体のみかけの分子量が減少する反応現象をいう。ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質(A)のムーニー粘度は60以下であることが組成物の流動性を改良する点で好ましく、特にポリイソブチレン又はブチルゴムの場合に好ましい。ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質(A)の配合量は、熱可塑性エラストマー(C)100重量部中に1〜50重量部、好ましくは5〜40重量部の範囲である。
本発明における鉱物油系軟化剤(B)とは、通常ゴムをロール加工する際の分子間力を弱め、加工を容易にするとともに、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の分散を助ける、あるいは加硫ゴムの硬さを低減せしめて柔軟性、弾性を増す目的で使用されている高沸点の石油留分で、パラフィン系、ナフテン系、あるいは芳香族系等に区別されているものである。本発明における鉱物油系軟化剤の配合量は、熱可塑性エラストマー全成分合計量100重量部中に1から70重量部、好ましくは5〜60重量部、さらに好ましくは10〜50重量部である。
本発明における熱可塑性エラストマー(C)としては、ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質(A)、鉱物油系軟化剤(B)を含有することは必須であるが、好ましくは、更にペルオキシド架橋型炭化水素系ゴム状物質1〜90重量部及びペルオキシド非架橋型オレフィン系樹脂1〜80重量部を含み、さらに好ましくは、ペルオキシド架橋型炭化水素系ゴム状物質が部分あるいは完全架橋された熱可塑性エラストマー(C)である。
熱可塑性エラストマー(C)の一成分として用いられるペルオキシド非架橋型ポリオレフィン系樹脂は、高圧法または低圧法の何れかの方法により、1種または2種以上のモノオレフィンを重合して得られる結晶性の高分子量固体生成物である。このようなペルオキシド非架橋型ポリオレフィン系樹脂としては、例えばアイソタクチックおよびシンジオタクチックのモノオレフィン重合体樹脂があげられる。これらの代表的な樹脂は商業的に入手できる。
ペルオキシド非架橋型ポリオレフィン系樹脂は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物(D)の流動性および耐熱性を向上させる役割を持っている。ペルオキシド非架橋型ポリオレフィン系樹脂は単独で用いてもよく、また2種以上組み合せて用いてもよい。前記ペルオキシド非架橋型ポリオレフィン系樹脂としては、特に制限はないが、ポリプロピレンなどを例示することができ、特にポリプロピレンが好ましい。
熱可塑性エラストマー(C)の一成分として用いられるペルオキシド架橋型炭化水素系ゴム状物質としては、特に制限はないが、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体などのエチレン・α- オレフィン・ポリエン共重合体、エチレン・α- オレフィン共重合体などを例示することができる。
1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4- ヘキサジエン、4-メチル-1,4- ヘキサジエン、5-メチル-1,4- ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4- ヘキサジエン、7-メチル-1,6- オクタジエン、8-メチル-4- エチリデン-1,7- ノナジエン、4-エチリデン-1,7- ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;
メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2- ノルボルネン、5-ビニリデン-2- ノルボルネン、6-クロロメチル-5- イソプロペニル-2- ノルボルネン、5-ビニル-2- ノルボルネン、5-イソプロペニル-2- ノルボルネン、5-イソブテニル-2- ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;
2,3-ジイソプロピリデン-5- ノルボルネン、2-エチリデン-3- イソプロピリデン-5- ノルボルネン、2-プロペニル-2,2- ノルボルナジエン、4-エチリデン-8- メチル-1,7- ナノジエン等のトリエンなどが挙げられる。中でも、5-エチリデン-2- ノルボルネン、5-ビニル-2- ノルボルネン、シクロペンタジエン、4-エチリデン-8- メチル-1,7- ナノジエンが好ましい。
本発明に係るマレイミド化合物としては、N,N´−m−フェニレンビスマレイミド、N,N´−トルイレンビスマレイミド等を上げることが出来るが、N,N´−m−フェニレンビスマレイミドが好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーにマレイミド化合物を添加する際に、必要に応じて、スリップ剤、充填剤、酸化防止剤、耐候安定剤、着色剤、発泡剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
(1)硬度
硬度は、JIS K6253に準拠して、ショアーA硬度を測定した。
(測定条件)プレス成形機によりシートを作製し、A型測定器を用い、押針接触後直ちに目盛りを読み取った。
(2)経時の成形品のベタ
実施例、比較例で得られた組成物ペレットについては、住友重機(株)社製竪型50t射出成形機により射出温度250℃、金型温度40℃にて長さ10cm、幅2mm、厚み2mmの成形品を作成し、成形品を80℃オーブン中に10日間放置した後、成形品のベタ感を調査した。
熱可塑性エラストマーの調製
(熱可塑性エラストマーペレット−1の作成)
ペルオキシド架橋型炭化水素系ゴム状物質として、油展エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含量:78モル%、プロピレン含量:22モル%、ヨウ素価:13、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]74、油展量:ゴム100重量部に対してパラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名 PW−380)を40重量部;以下、EPTと略す。]70重量部と、
ペルオキシド非架橋型ポリオレフィン系樹脂として、プロピレン単独重合体[MFR(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重):0.5g/10分、融点(Tm):162℃;以下、PP−1と略す。]15重量部、
ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質としてButyl065(日本ブチル(株)社製)15重量部
酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤[日本チバガイギー(株)製、商品名 イルガノックス1010]0.1重量部と、
耐候剤としてジアゾ系耐候安定剤[日本チバガイギー(株)製、商品名 チヌビン326]0.1重量部と、
架橋剤として有機ペルオキシド[日本油脂(株)製、商品名 パーヘキサ25B]0.2重量部
をヘンシェルミキサーで充分混合し、押出機[品番 TEM−50、東芝機械(株)製、L/D=40、シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C6 180℃、C7〜C8 200℃、C9〜C12 220℃、ダイス温度:210℃、スクリュー回転数:280rpm、押出量:40kg/h]にてパラフィン系プロセスオイル[出光興産(株)製、商品名 PW−100]10重量部をシリンダーに注入しながら造粒を行ない、まず熱可塑性エラストマー組成物のペレット−1を得た。
ペルオキシド架橋型炭化水素系ゴム状物質として、油展エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含量:78モル%、プロピレン含量:22モル%、ヨウ素価:13、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]74、油展量:ゴム100重量部に対してパラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名 PW−380)を40重量部;以下、EPTと略す。]70重量部と、
ペルオキシド非架橋型ポリオレフィン系樹脂として、プロピレン単独重合体[MFR(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重):0.5g/10分、融点(Tm):162℃;以下、PP−1と略す。]15重量部、
ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質としてButyl065(日本ブチル(株)社製)15重量部
酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤[日本チバガイギー(株)製、商品名 イルガノックス1010]0.1重量部と、
耐候剤としてジアゾ系耐候安定剤[日本チバガイギー(株)製、商品名 チヌビン326]0.1重量部と、
架橋剤として有機ペルオキシド[日本油脂(株)製、商品名 パーヘキサ25B]0.2重量部
をヘンシェルミキサーで充分混合し、押出機[品番 TEM−50、東芝機械(株)製、L/D=40、シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C6 180℃、C7〜C8 200℃、C9〜C12 220℃、ダイス温度:210℃、スクリュー回転数:280rpm、押出量:40kg/h]にてパラフィン系プロセスオイル[出光興産(株)製、商品名 PW−100]25重量部をシリンダーに注入しながら造粒を行ない、まず熱可塑性エラストマー組成物のペレット−1を得た。
ゴム成分として油展エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含量:78モル%、プロピレン含量:22モル%、ヨウ素価:13、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]74、油展量:ゴム100重量部に対してパラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名 PW−380)を40重量部;以下、EPTと略す。]70重量部と、
ペルオキシド非架橋型ポリオレフィン樹脂としてプロピレン単独重合体[MFR(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重):1.5g/10分、融点(Tm):162℃;以下、PP−1と略す。]30重量部、
酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤[日本チバガイギー(株)製、商品名 イルガノックス1010]0.1重量部と、
耐候剤としてジアゾ系耐候安定剤[日本チバガイギー(株)製、商品名 チヌビン326]0.1重量部と、
架橋剤として有機ペルオキシド[日本油脂(株)製、商品名 パーヘキサ25B]0.2重量部
をヘンシェルミキサーで充分混合し、押出機[品番 TEM−50、東芝機械(株)製、L/D=40、シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C6 180℃、C7〜C8 200℃、C9〜C12 220℃、ダイス温度:210℃、スクリュー回転数:280rpm、押出量:40kg/h]にてパラフィン系プロセスオイル[出光興産(株)製、商品名 PW−100]10重量部をシリンダーに注入しながら造粒を行ない、まず熱可塑性エラストマー組成物のペレット−2を得た。
参考例で作成した熱可塑性エラストマーペレット−1 100重量部とN,N´−m−フェニレンビスマレイミド2.2重量部と
をヘンシェルミキサーで充分混合し、押出機[品番 TEM−50、東芝機械(株)製、L/D=40、シリンダー温度:C1〜C4 160℃、C5〜C12 200℃、ダイス温度:210℃、スクリュー回転数:280rpm、押出量:40kg/h]にて造粒を行ない、まず熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
このペレット状の熱可塑性エラストマー組成物について前記方法に従って評価した。
その結果、硬度はA55、経時後成形品にベタは無かった。
実施例1においてマレイミド化合物の添加量を5.3重量部とした以外は、実施例1と同様に熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
その結果、硬度はA56、経時後成形品にベタはなかった。
実施例1において熱可塑性エラストマーペレット−1の代わりに熱可塑性エラストマーペレット−2とした以外は、実施例1と同様に熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
その結果、硬度はA41、経時後成形品にベタはなかった。
実施例1においてマレイミド化合物を添加しないで、実施例1と同様に熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
その結果、硬度はA54、経時後成形品にベタが見られた。
実施例1においてマレイミド化合物を添加しないで、さらに熱可塑性エラストマーペレット−1の代わりに熱可塑性エラストマーペレット−3を用いた以外は実施例1と同様に熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
その結果、硬度はA80であり経時後成形品にベタが見られなかったが、低硬度化を実現できなかった。
Claims (5)
- ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質(A)及び鉱物系油軟化剤(B)を含有する熱可塑性エラストマー(C)100重量部に対して、有機ペルオキシドの非存在下でマレイミド化合物0.1〜10.0重量部が溶融混練されてなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物(D)。
- 前記マレイミド化合物が、N,N´−m−フェニレンビスマレイミドであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物(D)。
- 前記熱可塑性エラストマー(C)100重量部が、ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質(A)1〜50重量部、鉱物油系軟化剤(B)1〜70重量部、ペルオキシド架橋型炭化水素系ゴム状物質1〜90重量部及びペルオキシド非架橋型ポリオレフィン系樹脂1〜80重量部から成ることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性エラストマー組成物(D)。
- 前記熱可塑性エラストマー(C)のペルオキシド架橋型炭化水素系ゴム状物質が、部分的あるいは完全に架橋されていることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物(D)。
- 前記ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質(A)が、ポリイソブチレン及びブチルゴムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物(D)。
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