JP2008294468A - NdFeB系磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部に欠陥がなく、配向性の高いNdFeB系焼結磁石を製造する方法を提供する。
【解決手段】NdFeB系磁石の材料の合金粉末に0.1重量%以上の有機潤滑剤を添加して撹拌混合し、3.5g/cm3を越え、4.2g/cm3を越えない充填密度で該合金粉末をモールド内に充填し、5T以上のパルス磁界で合金粉末を配向させた後、合金粉末をモールドごと加熱して焼結させる。上記有機潤滑剤の添加及び攪拌混合工程により合金粉末が高潤滑状態になるため、3.5g/cm3を越える高い充填密度で合金粉末をモールド内に充填することができるようになるため、焼結後の磁石の内部に欠陥が形成されない。また、このように高潤滑状態にすると共に5T以上の高いパルス磁界で瞬間的に強い力を合金粉末に与えることにより、配向性を高めることができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、NdFeB系焼結磁石の製造方法に関し、特に、NdFeB系焼結磁石用合金粉末(以下これを合金粉末という)を、製品の形状と寸法に対応して設計された容器(以下これをモールドという)に充填し、この合金粉末に磁界を印加して粉末の結晶方向をそろえ、合金粉末を入れたまま容器ごと加熱、焼結して所望の形状のNdFeB系焼結磁石を得る方法に関する。
従来の技術は、平均粒度2〜5μmの合金粉末を、充填密度が2.7g/cm3〜3.5g/cm3になるようにモールドに充填し、モールド上面にふたを載置して、粉末に磁界を印加して配向し、その後焼結して焼結体をモールドから取出して、時効処理するものであった。その内容は特許文献1に示されている。ここで、合金粉末の粒度の測定方法は、特許文献1には記載されていないが、当該文献に係る特許出願当時(1993年)に一般的に用いられていたFisher法によるものと考えられる。
特開平7-153612号公報
NdFeB系焼結磁石は高度な工業製品に使われるので、それぞれの製品内部に欠陥や不均一性があってはならない。特許文献1でも、欠陥や不均一性を排除する目的で、合金粉末をモールドに均一に充填することの必要性が述べられている。特にモールドに合金粉末を充填後、ふたをして、0.5T以下の交流磁界を印加して合金粉末を攪拌することにより、モールド内の合金粉末の充填密度を均一にする技術が記載されている。特許文献1に記載の方法は通常の方法とは異なり、配向後にプレス操作をしないので、このような均一充填状態を得ることができる点で特に重要である。
本願発明者は特許文献1の技術を実施する過程で、この技術の重大な問題に気づいた。それは、従来技術では合金粉末の磁界配向時に、同一方向に磁化された粉末どうしが、相互作用によってモールド内で移動することにより生じる問題である。
配向磁界としてパルス磁界を使うと、粉末どうしの磁気的相互作用は衝撃的な力になる。その力は配向方向と垂直な方向に向いており、モールドの中心から外側に向かう。そのため、配向前にモールド内に合金粉末が均一に充填されていても、パルス配向後は、モールドの外周部に当る領域は充填密度が高くなり、モールドの中心付近は充填密度が低くなる。この磁界配向による粉末の偏りにより、充填密度が高くなったところは焼結時に高密度化して、焼結密度が7.5g/cm3以上に達するが、充填密度が低くなったところは、焼結後の密度が低くなったり、小孔が生成したり、あるいはひび割れたりする。焼結密度が低くなったところは耐食性が悪く磁気特性も低いので、そのような低密度領域をもつNdFeB系焼結磁石はハイテク製品には使えない。小孔やひびがあるNdFeB系焼結磁石はもはや工業製品とは言えない。このような、配向軸に沿って、中心部に形成される欠陥の発生は、モールドの配向軸に垂直な断面の断面積が大きいときに頻繁に起こる。このようなモールドによって作製される焼結磁石には、両極の面積が大きい偏平磁石や、大型のブロックなどがある。
パルス強磁界の印加により起こるもう一つの不都合な現象は、合金粉末が小さい束の集合体のようになり、束と束の間が低充填密度の状態になってしまうことである。このような微視的な凝集現象は焼結後の焼結体中において高密度の領域と低密度の領域が分布する状態を形成し、焼結体全体としての平均の焼結密度を低下させることになる。焼結体の密度が低下すると磁気特性が低下するだけではなく、焼結体が腐食されやすくなり工業材料として使えない。高性能NdFeB焼結磁石として望ましい焼結密度はDyや他の特別な添加元素を多く含まない標準的なNdFeB焼結磁石の場合7.45g/cm3以上である。このような理由で起こる焼結体の低密度化はやはり、両極の面積が大きい製品に起こりやすい。特に、モールドに強磁性体の材料を使うと、上述の穴があく現象も、この微視的な凝集現象による焼結体の低密度化現象も両方起こりやすい。
これとは対照的に、モールドの配向軸に垂直な断面の断面積が比較的小さく、モールドが配向軸方向に細長いときは、モールドに充填した合金粉末にパルス磁界を印加すると、合金粉末は配向軸方向に移動し、モールド両端の材質が強磁性体であるときには、合金粉末は両極付近で充填密度が高く、中央部で充填密度が低くなる。逆に、モールド両端の材質が非磁性体であると、パルス配向後は、合金粉末は、中央部で充填密度が高く、両端で低くなる。この結果、このようなモールドによって作製される細長い焼結磁石は、前者では両端が太く、中央部が細くなり、後者ではその逆になる。このような細長い焼結磁石はほとんどの場合、配向軸に垂直にスライスして使用に供されるが、断面積が一定でない細長い磁石はこの目的に使用することができない。
このようなパルス磁界配向時の粉末の偏りに起因して焼結体中に生成される欠陥や低密度領域、あるいは焼結体のゆがみは、モールド中の合金粉末の充填密度が低いときほど顕著である。
従来は、以下の2つの理由により、合金粉末の充填密度は3.5g/cm3以下とすることが望ましい、と考えられていた。第1は充填性の問題である。通常のプロセスによって作られるNdFeB系焼結磁石用合金粉末をモールドに充填するとき、円筒形や四角い箱型のような単純形状のモールドでも、充填密度を3.5g/cm3を越える充填密度まで高めることは困難である。プレス機を使うと充填密度を3.5g/cm3以上に高めることは可能であるが、モールドが変形したり、破損してしまう問題が発生する。さらに、プレス機を使うのは、特許文献1にも記載されている、プレス機を使わなくてもよいというこの方法の利点を放棄することになる。
もう1つの問題は配向性の問題である。通常のプロセスで作られるNdFeB系焼結磁石用合金粉末をモールドに詰めて磁界を印加することにより粉末の結晶方向をそろえるとき、充填密度が高すぎると合金粉末が動きにくくなるため、強いパルス磁界を使用しても配向性を高めることができない。特許文献1中にも、「3.5g/cm3を越えると金属容器内の原料粉末の配向が不十分となり、磁気特性が低下するので好ましくない」と記載されている。
しかし、本発明者の実験では、モールド中の合金粉末の充填密度が3.2g/cm3以下では100%、3.2g/cm3以上3.5g/cm3以下の範囲でも高い頻度で、焼結体中に工業材料として許容できないレベルの大きい欠陥や低密度領域の形成、あるいは形状のゆがみ(断面積の不均一)が認められた。
本発明が解決しようとする課題は、内部の欠陥や低密度領域の形成、あるいは形状のゆがみがなく、配向性の高いNdFeB系焼結磁石を製造する方法を提供することにある。
本願発明者は、従来は配向性が低くなるため好ましくないと考えられていた、3.5g/cm3を越えるという高い密度で合金粉末をモールドに充填して初めて、内部に欠陥のないNdFeB系磁石を製造するという課題を解決できることを見出した。そして、係る高充填密度を実現するために、合金粉末に0.1重量%以上の有機潤滑剤を添加して撹拌混合することにより、合金粉末を高潤滑状態にしなければならないことを見出した。更に、係る高充填密度下においても十分な配向性を得るために、充填後、焼結前に5T以上のパルス磁界で合金粉末を配向させなければならないことを見出した。
即ち、本発明に係るNdFeB系焼結磁石の製造方法は、製品の形状と寸法に対応して設計された容器(以下これをモールドという)にNdFeB系磁石の合金粉末(以下これを合金粉末という)を充填し、この合金粉末に磁界を印加して配向し、その後この合金粉末をモールドごと加熱して、所望の形状と寸法を持つNdFeB系焼結磁石を製造する方法において、
合金粉末に0.1重量%以上の有機潤滑剤を添加して撹拌混合する工程と、
3.5g/cm3を越え、4.2g/cm3を越えない充填密度で該合金粉末をモールド内に充填する工程と、
5T以上のパルス磁界で合金粉末を配向させる工程と、
を有することを特徴とする。
この発明における合金粉末は、工業的に広く使われている通常のNdFeB系焼結磁石の組成を持ち、レーザー式粒度分布計(SYMPATEC社製)で測定したときの粉末粒径中央値(D50)が1μmから6μm程度の範囲にあるものを対象とする。
合金粉末に添加される有機潤滑剤として、オクチル酸メチル、デカン酸メチル、カプロン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチル酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ダイナシラングリモなど、各種界面活性剤、脂肪酸エステル、金属石けん、カップリング剤等を用いることができる。
このような液体あるいは固体の有機潤滑剤を、合金粉末に対して、重量比で0.1%以上添加し、撹拌混合する。撹拌混合は、例えば容器の中で高速で回転する羽根を持つ混合器を用いて行うことができる。ステアリン酸亜鉛のような固体潤滑剤を合金粉末に添加して混合する場合は、例えばスーパーミキサー(株式会社カワタ社製)と呼ばれる混合機で、固体潤滑剤を合金粉末の粒子表面にたんねんに塗付する。これにより、合金粉末は高潤滑状態になる。
合金粉末が「高潤滑状態」であるか否かは次のようにして判定することができる。まず、内径30mm、深さ100mm肉厚1mmの底付き鉄製パイプに、潤滑剤を添加して撹拌混合した合金粉末を100g静かに注ぎこみ、合金粉末の上面に、パイプにちょうど入る厚さ10mmの鉄製円板を載せる。次に、このパイプを、軸方向を鉛直にした状態で50mm落下させてパイプの底を厚さ10mm以上の鉄板に衝突させる操作を120回くりかえす。このときのパイプの中の合金粉末の見かけ密度(充填密度)を、粉末の高さから見積る。このときの充填密度が3.5g/cm3を越えるとき、その粉末は高潤滑剤状態であるという。このような状態は上述した有機潤滑剤を0.1重量%以上添加してよく撹拌混合することにより達成される。
上述の合金粉末をモールド内に高密度に充填することが、本発明の第2の必要条件である。欠陥やゆがみがなく高密度のNdFeB焼結磁石を作製するために充填密度は3.5g/cm3を越える必要がある。3.5g/cm3を越える高密度充填は例えば次のようにして行うことができる。まず、モールドの開口部にガイドを取り付ける。このときモールドとガイドは機械的にしっかりと固着させておく。このモールドとガイドで作られる空間に所定量の合金粉末を注ぎこむ。次に、この粉末が注ぎこまれたモールドとガイドを落下させてモールドの底を硬い台板に衝突させる。これを多数回くり返して充填密度を高めていく。このとき、粉末の上面に適当な重さの落しぶたを載せておく。落しぶたは粉末の飛散を防止する役目をする。合金粉末が高潤滑状態にないと、強いタッピングを何回くりかえしても充填密度は3.5g/cm3を越えるまでにいたらない。合金粉末が高潤滑状態にあると、50mm程度の落下を120回程度くりかえすことにより、充填密度は3.5g/cm3を越えるようになる。
本発明の第3の必要条件は配向磁界が5T以上のパルス磁界であることである。上述したように欠陥やゆがみのない製品を得るためにはモールド中に合金粉末を3.5g/cm3を越えて高密度に充填しなくてはならない。高密度充填するためには合金粉末を高潤滑状態にする必要がある。このように合金粉末を高潤滑状態にしても、配向磁界を強くしないと、磁性粒子を一方向に配向するためのトルクを与えることができない。充分高い配向度を得るために配向磁界はパルス状の瞬間的な磁界である必要があり、またそのピーク値が5Tを越えるものでなくてはならない。パルス状の磁界は一方向に1回印加すればよいが、複数回印加したり、さらに、複数回印加のときに印加磁界の方向を交互に変化させることにより、より高い配向度が得られる。
上述したように、本発明は3つの必須要件からなる。3つの必須要件のどの1つが欠けても工業材料として有益な製品の生産ができない。これら3つの必須要件を満足するように合金粉末を調整し、これをモールドに高密度充填し、そして高磁界パルス配向した後、合金粉末はモールドに充填されたまま焼結炉に入れられ焼結される。この焼結工程では、合金粉末がほとんど理論密度に近くなるまで焼結される。しかしモールドと合金粉末の溶着が問題になる場合や、モールドの形状によっては、モールドが焼結収縮を妨害する場合がある。このような場合は、焼結前にモールドから仮焼結状態の品物を取出して、再度加熱して理論密度に近くなるまで高温で焼結される。焼結後、更に高保磁力化のための熱処理が行われる。
作製された磁石において、残留磁化Brと飽和磁化Jsの比Br/Jsで定義される配向度は0.85以上であることが望ましい。充填密度が4.0g/cm3以下であれば、配向磁界(パルス磁界)の大きさが本発明における下限値である5Tであっても、配向度は0.85以上にすることができる。一方、充填密度が4.0g/cm3を越える場合には、8T以上の配向磁界を印加すれば、確実に配向度を0.85以上にすることができる。
[本発明の効果]
合金粉末を容器に入れて、容器ごと加熱して所定形状のNdFeB磁石を作製する技術は本発明以前に知られていたが、工業的に広く利用されるに至っていなかった。その理由は、従来法では焼結体内部に空洞やひびや割れ、低密度領域が形成され、工業材料として高品質の製品が作れなかったからである。本発明により、このような空洞等が内部になく配向度が十分に高い、工業的に価値の高いNdFeB焼結磁石を製造できるようになった。
特に、従来の方法で作製すると空洞、ひび、割れ及び低密度領域が顕著に生じていた板状磁石(板が湾曲しているセグメント(弓形、瓦形)磁石を含む)や棒状磁石を、それら空洞等が生じることなく作製することができる、という点で本発明の方法は優れている。
例えば、NdFeB焼結磁石の最大の用途の1つである、ハードディスクドライブのボイスコイルモータに使われる磁石は、棒状磁石を多連外周刃切断機でスライスすることにより作製されている。ここで、棒状磁石を作製するためのモールドの形状は最終製品の形状から焼結収縮を考慮して設計されており、異形(円ではない)断面を持つ長尺のモールドを使用することによりボイスコイルモータ用磁石のような異形形状の磁石が生産されている。本発明により、所望の断面形状を持つ長尺の棒状磁石が製作できるようになったため、スライスによりたくさんのボイスコイルモータ用磁石が能率よく生産できるようになった。
また、多数の空洞を設けた1個のモールドを用いて平板状磁石やセグメント磁石を同時に多数個作製した場合、従来の方法によれば欠陥がある製品しか生産できない。本発明の方法により初めて、欠陥のない平板状磁石やセグメント磁石を多数個同時に作製することができるようになった。これらの形状のNdFeB磁石も多数の重要な用途を有し、このような板状磁石を多数個同時に作製できることはNdFeB焼結磁石の工業において画期的なことである。
31.5%Nd、0.99%B、残部Feを主成分とするストリップキャスト合金を水素解砕した後、窒素ガスによるジェットミルにより、SYMPATEC社製粒度分布計で測定した粒径の中央値D50が2.9μmの粉末を作製した。この工程中、原料合金を水素解砕した後、ステアリン酸亜鉛を添加して、回転羽根の付いた混合機で30分間撹拌して、原料合金を0.5〜1mm程度の粗粉に砕くとともに、粗粉表面にステアリン酸亜鉛を塗布した。その後ジェットミル粉砕を行った。
上述したジェットミル粉砕粉から次の10種類の粉末を作製した。
粉末A:ステアリン酸亜鉛を0.05%添加してジェットミル粉砕後そのままの状態の粉末
粉末B:ステアリン酸亜鉛を0.1%添加してジェットミル粉砕後そのままの状態の粉末
粉末C:粉末Aにさらに0.05%(重量比、以下同じ)のステアリン酸亜鉛を添加して、スーパーミキサーと呼ばれる回転羽根式混合機で、羽根の回転数500rpmで30分間撹拌混合した。撹拌はすべて高純度Ar中で行った(以下同じ)。
粉末D:粉末Aに0.1%のステアリン酸亜鉛を添加して、粉末Cの作製条件と同じ条件で撹拌混合した。
粉末E:粉末Aに0.2%のダイナシラングリモを添加して、粉末Cの作製条件と同じ条件で撹拌混合した。
粉末F:粉末Aに0.2%のカプロン酸メチルを添加して、粉末Cと同じ条件で撹拌混合した。
粉末G:粉末Aに0.5%のカプロン酸メチルを添加して、粉末Cと同じ条件で撹拌混合した。
粉末H:粉末Aに1%のカプロン酸メチルを添加して、粉末Cと同じ条件で撹拌混合した。
粉末I:粉末Aに1.5%のカプロン酸メチルを添加して、粉末Cと同じ条件で撹拌混合した。
上述した充填性のテストにより、粉末A〜Iの潤滑性の評価をした。その結果、粉末C、D、E、F、G、H、Iは全て高潤滑状態であったが、粉末AとBは高潤滑状態ではなかった。
一方、モールドとして次の形状のものを非磁性ステンレス(SUS304)、パーマロイ(Ni78%, Mo5%, Cu4%, 残部Fe)および磁性ステンレス(SUS440)により作製した。
(1)円板状:キャビティー内径23mm、深さ4mm、側方部肉厚1.7mm、底肉厚2.4mm、ふた外径26.4mm、厚さ2.4mm
(2)丸棒状:キャビティー内径10.5mm、深さ65mm、側方部肉厚4.25mm、底肉厚3mm、ふた外径19mm、ふた肉厚5mm
(3)小円柱状:キャビティー内径10mm、深さ12mm、側方部肉厚1.5mm、底肉厚2mm、ふた外径12mm、ふた肉厚2mm
(1)、(2)、(3)いずれも、モールドキャビティー側の上面から2mm側方部外周を0.5mm切削し、ふた下面に、この切削した部分にちょうど入る突出部を着けて、粉末をキャビティーに充填した後、ふたをかぶせて押しつけるとふたがモールドに固定されるようにした。
上述の粉末A〜Hとモールドを使用して、次のようにして焼結磁石を作製した。まずモールドにガイドを取着けて、モールドの容積に対して一定の充填密度になるようにあらかじめ秤量された一定量の合金粉末をガイドを通じて、モールドに充填した。充填密度は2.6〜4.4g/cm3の間で変化させた。モールドの底を鉄板にたたきつけて、投入した合金粉末を全部モールド中に充填した後、ガイドをはずして、モールドにふたをした。タッピングだけでは全部の粉末をモールド中に入れることができない場合はプレス機によって粉末上面を押しつけて、全部の粉末がモールド中に入るようにした。次にこの合金粉末の入ったモールドをコイルの中に入れて固定し、コイルにパルス電流を流して合金粉末を配向した。配向方向は、いずれも円柱の軸方向とし、配向磁界として、パルス状交流減衰磁界を2回、パルス状直流磁界を1回の順に印加した。このとき、交流、直流磁界ともにパルス磁界のピーク値は3〜8Tとした。その後合金粉末の入ったモールドを焼結炉に入れて真空中で、975℃で2時間焼結し、焼結体をモールドから取出した。これらの焼結体を500℃〜600℃で熱処理した。
焼結磁石の磁気特性の評価は、モールド(3)によって作製した焼結磁石を直径7mm、長さ7mmの円柱に加工して、パルスB-Hトレーサーによって磁化曲線を測定することによって行った。評価は、作製した磁石の残留磁化Brと飽和磁化Js(最大印加パルス磁界10Tでの磁化の値をJsとした。)の比Br/Jsによって行った。粉末の種類を(A)〜(I)まで変え、充填密度を2.6〜4.4g/cm3、配向磁界のピーク値を3〜8Tの範囲で変化させて、いろいろな組合せで作製した焼結磁石のBr/Jsを測定した。その結果次のことが判明した。
(1)粉末A及びBは充填密度が2.6〜3.0g/cm3のときBr/Jsは0.85以上という高い値であったが、充填密度が3.0g/cm3を越えると配向度が低下していき、3.5g/cm3以上になると配向磁界を8Tに増大させても配向が起こらなくなった。これは、粉末A及びBでは有機潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)をジェットミル粉砕前に添加したが、ジェットミル粉砕後に、潤滑剤が粉末の粒子表面に塗付されるように攪拌混合をしていないことにより、高潤滑状態になっていないため粉末が充分に配向しなかったためである、と考えられる。
(2)粉末C〜Iの7種類の粉末は充填密度が3.5g/cm3を越えてもBr/Js>0.85を示した。粉末G、H、Iでは充填密度が4.0g/cm3以上の高密度になってもパルス磁界を8Tにすることにより、Br/Jsを0.85以上にすることができた。充填密度が4.2g/cm3を越えると配向度が低下してよい磁石は作れなかった。
次に磁性ステンレスSUS440製のモールド(1)に、粉末Gを充填密度3.15、3.25、3.35、3.45、3.60g/cm3まで充填して、ピーク値8Tのパルス交流減衰磁界を2回、つづいて8Tの直流パルス磁界を印加して粉末を配向し、975℃で焼結した。焼結体の写真を図1に示す。この図に見られるように、充填密度が3.15〜3.45g/cm3では、円板状焼結体の中央部に穴があく現象が見られたが、充填密度が3.60g/cm3では穴のない良好な焼結体が得られた。
次にパーマロイ製のモールド(2)に、粉末Gを充填密度3.2、3.4、3.6g/cm3まで充填して、ピーク値8Tのパルス交流減衰磁界を2回とピーク値8Tの直流パルス磁界を印加して配向して、975℃で焼結した。3種類の焼結体の写真を図2に示す。この図に見られるように、充填密度が3.2g/cm3及び3.4g/cm3の場合には、丸棒状焼結体の両端部に欠陥が見られる。これに対して、充填密度が3.6g/cm3以上ではこのような両端の欠陥がなく、棒全体がまっすぐで、断面積が一定の良好な焼結体が得られた。
実施例1の粉末Gを、実施例1のパーマロイ製のモールド(3)に、充填密度3.0、3.2、3.4、3.6、3.8g/cm3に充填して、8Tのピーク値を持つ交流減衰パルス磁界を2回、同じく8Tのピーク値を持つ直流パルス磁界を印加して配向した後、975℃で焼結した。焼結体にはどれも肉眼で見える欠陥は形成されていなかった。焼結体の密度を表1に示す。
同じ粉末を同じモールドに充填して、充填後磁界を印加しなかった場合、同じ975℃で焼結したときの焼結密度は、充填密度が3.2g/cm3以上であれば、7.5g/cm3以上に達することを確認した。このことから、表1において、充填密度が3.4g/cm3以下のとき、焼結密度が低いのは、モールド中に充填された合金粉末がパルス磁界印加によって小さい束の集合体のようになる現象によっていることが推測される。
上述の実験結果により、高パルス磁界を印加して合金粉末をモールド中で配向するとき、充填密度が3.5g/cm3を越えなければ、高性能磁石として必要な7.45g/cm3の焼結密度が得られないことが実証された。
このように作製された焼結体を500〜580℃で熱処理して得られたNdFeB焼結磁石の磁気特性は次の通りであった。
この表に示すように、本発明の方法によりきわめて高特性のNdFeB焼結磁石が作製できることが分る。
実施例1と同じ粉末Gを使い平板多数個取りモールドを使用して焼結磁石を作製した。モールドの材質はパーマロイである。充填密度は3.7g/cm3と3.2g/cm3として、実施例2と同じ磁界配向条件を適用して合金粉末を配向し、モールドに入れたまま焼結した。焼結温度は975℃とした。このようにして作製した平板磁石とモールドを図3(本発明)と図4(比較例)に示す。これらの図から、本発明の方法はNdFeB焼結磁石のきわめて高い生産性をもつ生産方法であることが分る。従来法の条件ではこのような方法で平板磁石を作製することができないことは図4から明らかである。
各種充填密度で作製した円板磁石の写真。 各種充填密度で作製した丸棒磁石の写真。 平板状磁石多数個取りモールドの写真、及びこのモールドを用いて充填密度3.7g/cm3で作製(本実施例)した焼結磁石の写真。 平板状磁石多数個取りモールドの写真、及びこのモールドを用いて充填密度3.2g/cm3で作製(比較例)した焼結磁石の写真。

Claims (1)

  1. 製品の形状と寸法に対応して設計された容器(以下これをモールドという)にNdFeB系磁石の合金粉末(以下これを合金粉末という)を充填し、この合金粉末に磁界を印加して配向し、その後この合金粉末をモールドごと加熱して、所望の形状と寸法を持つ所望の形状と寸法を持つNdFeB系焼結磁石を製造する方法において、
    合金粉末に0.1重量%以上の有機潤滑剤を添加して撹拌混合する工程と、
    3.5g/cm3を越え、4.2g/cm3を越えない充填密度で該合金粉末をモールド内に充填する工程と、
    5T以上のパルス磁界で合金粉末を配向させる工程と、
    を有することを特徴とする、NdFeB系焼結磁石の製造方法。
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