JP2008292499A - 光学系の性能評価方法及び光学系の設計方法 - Google Patents

光学系の性能評価方法及び光学系の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】視力に関するレンズその他の光学系の評価を、該光学系の倍率色収差を考慮に入れて適切に行う。
【解決手段】光学系を通してみた場合の視力の劣化量を対数視力で表したとき、当該光学系における収差に起因した総劣化量を、該収差のうち倍率色収差以外の収差のみに起因する第1の劣化量と該収差のうち倍率色収差のみに起因する第2の劣化量との和を含んで構成された視力関数で表し、この視力関数を評価関数に用いて、前記光学系の性能を評価する。
【選択図】なし

Description

本発明は、レンズその他の光学系の性能評価方法と、その評価方法を用いた光学系の設計方法と、その設計方法によって製造された光学系とに関する。
眼鏡レンズの設計においては、予め定めた眼鏡レンズの仕様を満たす範囲内で、その光学性能ができるだけ最適となるレンズ形状を計算により求めることが行われている。眼鏡レンズの仕様としては、該レンズの素材や処方等に関する制約条件が与えられる。プラスレンズの場合には、更に付加的な仕様として該レンズの中心肉厚の制約条件も与えられる。そして眼鏡レンズの設計は、該レンズの光学性能を所定の関数を用いて評価しながら行う。そのような関数を評価関数と呼ぶ。
具体的には、眼鏡レンズを定義するパラメータを、予め固定パラメータと可変パラメータとに分けておく。固定パラメータは制約条件である。光学レンズ設計に関連する主たる項目は、レンズ物性・形状ファクター(屈折力、アッベ数、比重、レンズ面形状データ等)、処方及び装用状態関連ファクター(レンズ度数、乱視軸、加入度、プリズム、基底方向、偏心、外径、遠用PD、近用PD、レンズ厚、VR値(CR値+VC値))、光学ファクター(近用、遠用の度数データ等)その他加工指定データ等である。また、フレームデータ(形状、DBL,FPD,フレームカーブ等)、フレーム前傾角、ヤゲン種等を加えて、設計する場合もある。そして、まず光線追跡法や波面追跡法等を用いて、光軸からの距離が異なる複数の評価点を眼鏡レンズの屈折面上に設定する。次いで、可変パラメータの値を所定のステップで変化させながら、各ステップにおいて、そのときの当該可変パラメータの値と固定パラメータの値とによって定義される仮想的な眼鏡レンズを想定する。
そして、その仮想的な眼鏡レンズの各評価点における評価関数の値から、該レンズ全体としての評価値を求めてゆく。なお各評価点における評価関数の値を用いて該レンズ全体としての評価値を定義する関数をメリット関数と呼ぶ。そして、該評価値が最適な値となったステップにおける可変パラメータの値を特定する。好ましい場合には、仕様を満たす範囲内においてメリット関数が極値をとる。これにより、眼鏡レンズを定義するパラメータの全てが求まるから、結果として当該レンズが特定されたことになる。
以上のようにして可変パラメータの最適な値を特定する計算を最適化計算と呼ぶ。なおこのとき、減衰最小自乗法等の手法を用いるのが好ましい。これによれば、最も少ない計算量で可変パラメータの値を効率的に特定できる。このような計算手法を最小計算と呼ぶ(例えば国際公開 WO00/62116号公報、特公平02-38930号公報等。)。
発明者は、従来の技術には、次のような課題があることを見出した。即ち、従来の評価関数(メリット関数)は、眼鏡レンズの光学性能を該レンズ自体の収差量等によって評価しようとするものである。しかしながら、特に眼鏡レンズは本来視力を矯正するものであるから、収差量そのものではなく、むしろその収差によって視力がどの程度劣化するのかということの方が重要である。そこで、単なる評価関数ではなく、いわば視力に関する評価関数、即ち光学系を通してみた場合の視力と、該光学系の収差等との関係を規定した関数を導入するのが好ましい。以下、このような関数を特に「視力関数」と呼ぶことにする。視力と収差の関係について従来技術1(Sloan,Louise .,「Measurment of visual acuity:
a critical review,A.M.A.Arch.Ophthal」(45(6):704-725,1951)が知られている。こ
の文献中において最小分離閾の視力劣化部分とてI式を与えている。
Figure 2008292499
このI式中sphere errorはタンジェンシャルエラーをT、サジタルエラーをSとするとsphere error=min(|T|、|S|)、cyl error=||T|―|S||と定義されている。
しかしながら、この文献には、以下の3つの課題がある。
1.色収差について言及されていない。
2.乱視眼における眼球運動(リステング則)について言及されていない。
3.「sphere error」と「cyl error」を個別に測定しているが、「sphere error」と「cyl error」との相互関係による視力劣化の測定がされていない。
従って、「sphere error」と「cyl error」が組合わさった視力劣化データに信頼性が
乏しく、推定の仮説にも疑問が残る。
更に、特開昭58−24112号公報には、以下の視力Vの定義が開示されている。
Figure 2008292499
ここでΔR、ΔSは前述の従来技術1のI式での「sphere error 」,「cyl error」と同義語である。すなわちΔR=min(|S|、|T|)とΔS=||S|―|T||と定義している。
この公報は、前記の従来技術1と同様に、色収差、乱視眼における眼球運動について言
及されていない。更に、視力Vの式を導きだす根拠となる理論や根拠(測定データ等)が一切開示されておらず、理論的に信頼性に乏しく、実用性がない。
このように、収差等を用いて視力をいかに忠実に表現するのかというのは困難な問題である。即ち、視力をより忠実に表現しようとすれば、眼球運動その他の生体現象も考慮しなければならないはずである。
さらに、収差にも色々あるが、そのうち特に、色収差と視力との関係は未だ判然としていない。
例えば、特公昭42−9416公報では、前述のI式中の一部をBlur Indexとして定義
し色収差を加えた「sphere error」と「cyl error」をそれぞれ以下に定義している。ま
た分数視力Vとの関連を以下のII式〜V式で提示している。
Figure 2008292499
Figure 2008292499
Figure 2008292499
Figure 2008292499
ここでCは倍率の色収差(横色収差)であり、レンズを透過する光線の偏差角のプリズムディオプターをアッベ数で割った値である。しかしながら、この明細書において、タンジェンシャルエラーは瞳孔径の関数であり、倍率の色収差はこの瞳孔径に無関係と言及しているにもかかわらず、実際は単位が異なるにもかかわらず、タンジェンシャルエラーと倍率の色収差を同列に扱っている。即ち、タンジェンシャルエラーの1ディオプターと倍率の色収差の1プリズムディオプターを等量の情報として、取り扱っており、それぞれ等量の視力の劣化を起こすとしている。
この仮説はなんらの科学的なデータに基づく理由もなく、検証できないものである上、その結論に対しても疑問が残るものである。また、乱視度数誤差の計算において、眼球運動(リスティング則)の考慮について言及していない。
従って累進レンズ、アトーリックレンズ等では使用できない。
一方、色収差が少ない程視力にとって好ましいというのは周知の通りであり、また色収差が視機能に及ぼす影響に関する科学的な研究例が無い訳ではない。「鵜飼一彦、大頭仁、中島薫、進藤修:眼鏡レンズの色収差と視機能に及ぼす影響(光学,7(1):21-28,1977)」(以下、文献1という)参照。
しかしながら、両者の関係は、前述のように、少なくとも現実の光学系の設計に応用できる程度には明確に解明されていないのが現状である。なお、簡略の為に色収差を無視し、該色収差以外の収差のみに着目して視力関数を定義することも考えられる。しかしながら、色収差と視力劣化との間に因果関係が全くないとは言い切れない以上、色収差を無視した視力関数が正確であるとは言い難い。
ところで、眼鏡レンズの設計において最適化計算では色収差が無視されてきた。つまり、視力関数ではない従来の単なる評価関数においても、色収差を実質的に可変パラメータとして取り扱ったものはない。これは第1に、色収差と密接に関係するアッベ数の選択幅
が素材の関係上、初めからある程度限られている為ではないかと考えられる。つまり、アッベ数の自由度は、他の要素の自由度に比べると小さい。そのため、光学系の設計においてアッべ数は、可変パラメータとしてではなく、制約条件(仕様)として固定されていた。
また第2に、眼球光学系における白色光と単色光の結像特性は殆ど変わらないという認
識による為ではないかと考えられる。これに関しては、次の文献を参照されたい「G.A.
Fry:Progress in Optics,Vol VIII, p112,ed.by E.Wolf,North-Holland Publishing Company, Amsterdam 1970」(以下、文献2という)、「KrausKopf J.: J.Opt.Soc.Amer.,52,1046-1050(1962)」(以下、文献3という)、「KrausKopf J.:J.Opt.Soc.Amer.,54,715-716(1964)」(以下、文献4という)。
この事は同時に、アッベ数が多少犠牲になったとしても、屈折率の高い素材で作られた軽量で見映えの良いレンズの方が、より顧客満足度を向上できるということを示唆するものであった。
しかしながら、発明者の研究によれば、倍率色収差以外の収差のみに基づく光学系の評価あるいは設計は全く不充分であることが明らかとなった。
本発明の目的は、視力に関する光学系の評価を、該光学系の倍率色収差を考慮に入れて適切に行う技術を提供することにある。また本発明の目的は、光学系の倍率色収差を考慮に入れながら、該光学系を適切に設計する技術を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、光学系を通してみた場合の視力と、該光学系の倍率色収差との相関関係であって、前記視力を対数視力で表したときには、その対数視力が前記倍率色収差に略比例して劣化する比例関係となる相関関係、又はこの相関関係と実質的に等価な前記視力と前記倍率色収差に関する光学値との相関関係に基づいて、前記光学系の性能を評価する光学性能評価工程を有することを特徴とする光学系の性能評価方法が提供される。
ここにいう対数視力とは、視力の表現形式のうち、特に対数を用いて表した形式のことをいう。対数視力としては、例えば次のものが挙げられる。
logMAR単位の対数視力=log10(1/V)
中川式の対数視力=50×log10V+100
AGO単位の対数視力=4×log2210V
ここでVは、2点又は2線を見分けることのできる最小視角である最小分離閾(MAR;Minimum Angular Resolution)の逆数である。なお、この最小分離閾の逆数であるVは、小数視力(desimal visual acuity)若しくは分数視力(fractional visual acuity)等と等価である
。以下、logMAR単位の対数視力のことを「logMAR視力」と呼ぶことにする。
また相関関係とは、対数視力や小数視力等を含む概念としての視力と倍率色収差との相関関係をいい、特に対数視力と倍率色収差との略比例関係だけに限定される訳ではない。従って、そのような略比例関係と実質的に等価な相関関係の全てを含む。
例えば、logMAR視力(=log10(1/V))と倍率色収差との略比例関係を、小数視力Vと倍率
色収差との相関関係に換算すると次のようになる。即ち、logMAR視力の劣化とは、その値の増大を表すのであるから、
log10(1/V)∝倍率色収差
と書ける。そこで、この関係を便宜的に、
log10(1/V)=β×倍率色収差
とおくと、
log10V=−(β×倍率色収差)
であるから、
V=10-(β×倍率色収差)
となる。つまり、小数視力Vであれば、倍率色収差の増大に伴って指数関数的に劣化(低下
)することになる。このような指数関数的な関係も上記比例関係と実質的には等価である
また倍率色収差に関する光学値としては、例えば、当該光学系のアッベ数やプリズムディオプタ等が挙げられる。
本発明の第2の態様によれば、光学系を通してみた場合の視力の当該光学系における収差に起因した総劣化量を、該収差のうち倍率色収差以外の収差のみに起因する第1の劣化量と、該収差のうち倍率色収差のみに起因する第2の劣化量と、を用いて表す場合における両者の合成則であって、前記視力を対数視力で表したときには、この対数視力の前記総劣化量が、前記第1の劣化量と前記第2の劣化量との和となる合成則に基づいて、前記光学系の性能を評価する光学性能評価工程を有することを特徴とする光学系の性能評価方法が提供される。
ここにいう合成則とは、対数視力や小数視力等を含む概念としての視力の収差に起因した総劣化量を、第1の劣化量と第2の劣化量を用いて表す場合における合成則をいい、特に対数視力で表した場合の和の関係だけに限定される訳ではない。
例えば、logMAR視力(=log10(1/V))で表した場合の合成則を、小数視力Vで表した場合
の合成則に換算すると次のようになる。即ち、logMAR視力の劣化とは、その値の増大を表すのであるから、便宜的に、
log10(1/V)=第1の劣化量+第2の劣化量
とおくと、
log10V=−(第1の劣化量+第2の劣化量)
であるから、合成則は、
V=10-(第1の劣化量+第2の劣化量)
V=10-第1の劣化量×10-第2の劣化量
となる。このような合成則も、上記和の関係と実質的には等価である。
また本発明でいう光学系とは、眼の水晶体と視覚対象物との間に介在する光学系のことをいう。つまり、眼の水晶体とコヒーレントに結合する光学系の一切を指す。このような光学系としては、例えば、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、ヘッドマウントディスプレー(HMD)、望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡等が挙げられる。
本発明の第3の態様によれば、第2の態様において、前記光学性能評価工程では、前記第1の劣化量を求める第1の項と、前記第2の劣化量を求める第2の項とが、前記合成則に従って合成されることにより、前記視力の総劣化量から当該視力の値を定義するように構成された視力関数を用いて、前記光学系の性能を評価することを特徴とする光学系の性能評価方法が提供される。
ここで、前記第1の項は、パワーエラー(像面湾曲、或いは平均度数誤差ともいう)を表すパラメータと、非点収差又は残留非点収差を表すパラメータとを含んで構成するのが好ましい。
好ましくは、前記第1の項は、前記光学系が球面レンズによって構成される場合には、パワーエラーを表すパラメータと、非点収差を表すパラメータとを含んで構成し、前記光学系が非球面レンズによって構成される場合には、前記第1の項は、パワーエラーを表すパラメータと、残留非点収差を表すパラメータとを含んで構成する。
ここで残留非点収差とは、リスティング則に基づいて眼球回旋した眼球の座標系におけ
る非点収差と、前記光学系によって発生した非点収差との和をいう。
倍率色収差以外の収差としてパワーエラーと非点収差又は残留非点収差とが選ばれた理由は、第1に、これらの収差は瞳孔径が小口径であっても視力に影響するからである。第2に、視力は網膜上では中心窩を含む約2度が良い視力となるからである。第3に、スタイルズ−クロフォード効果等のため視軸付近が良い視力であるから、球面収差及びコマ収差は視力に大きく影響しないからである。
これら3つの理由は、どれも視力において、瞳孔径に影響する狭義の球面収差、及び軸
上色収差を相殺する視覚システムの存在を示唆する。「池田光男:視覚の心理物理学(森
北出版,1975)」(以下、文献5という)、及び「池田光男:色彩光学の基礎(朝倉書店,1980)」(以下、文献6という)参照。
〔倍率色収差と視力の関係〕
発明者は、鋭意研究の結果、光学系と通してみた場合のlogMAR視力と、該光学系の倍率色収差とに略直線的な関係があることを始めて発見した。以下、詳細に説明する。
色収差には、軸上色収差と倍率色収差とがある。このうち軸上色収差は視力に影響しないとの報告がある。前述した文献1及び「鵜飼一彦:色収差と眼鏡(眼鏡の科学,vol.2,23-49,1978)」(以下、文献7という)参照。
そこで、発明者は倍率色収差と視力の関係について研究した。残念ながら、倍率色収差のみが視力に影響した条件下における視力劣化の良好な測定例はない。そこで、下記の実験を行い、該実験から得たデータに基づいて、倍率色収差と視力劣化との関係について調べた。該実験の模様を第1図に示す。実験方法は、次の通りである。
(a)被験者を検眼椅子に座らせ、そこから5[m]隔てた位置に万国式試視力表1を配置する。そして、自覚式雲霧法を用いて被験者の視力を測定した。ただし室内の明るさは500[lx]に調節した。
(b)具体的には、被験者数7名の各々について、まず裸眼視力を左右別々に測定し、更に両眼視力を自覚式で測定した。
(c)次に、同様の自覚式で矯正視力を左右別々に測定し、更に両眼での矯正視力の見え
る限界値まで測定した。
(d)次に、プリズム2として、プリズム値がそれぞれ10Δ,8Δ,6Δ,4Δ,2Δの5種類のプ
リズムからなる組を、アッベ数別に4組用意した。そして、それらプリズムを度数の強いものから順次眼鏡レンズ3の前方に配置して視力を測定した。プリズム2の配置には、トライアルフレームを用いた。
この実験に使用したプリズムの屈折率及びアッベ数を表1に掲げる。
Figure 2008292499
また、7名の各被験者(No.1〜No.7とする)の裸眼視力、矯正視力、及び実験した視力測
定値をそれぞれ表2〜表8に掲げる。表中、Rとは右眼、Lとは左眼、Bとは両眼のことであ
る。
Figure 2008292499
Figure 2008292499
Figure 2008292499
Figure 2008292499
Figure 2008292499
Figure 2008292499
Figure 2008292499
表2〜表8において、符号pを付した視力値はその上の視力値の中間値である。ここで視
力測定を両眼で行ったのは、眼鏡装用時と同一の条件にする為である。なお通常、両眼とも同じアッベ数のレンズを装用する。
そして、縦軸にlogMAR視力をとり、横軸に倍率色収差をとった座標平面上に、表2〜表8の視力測定データをプロットした。その結果を第2図に示す。
第2図の横軸の値について説明する。横軸の値は、表1に掲げたアッベ数と、表2〜表8に掲げたプリズム値(10Δ,8Δ,6Δ,4Δ,2Δ)とから求めることができる。例えば、アッベ数νd=40.2で、プリズム値=6Δならば、倍率色収差は6Δを40.2で割った値である0.149となる。即ち、倍率色収差の単位は、プリズムディオプタ/アッベ数である。
なお第2図において、倍率色収差はd線での測定結果であるが、e線でもアッベ数が増
すのと同程度の比率でプリズム値が増す。従って、倍率色収差の値は、e線の場合でも上記と略同じ値であり、今後の論述に影響しない。
次に第2図の縦軸の値について説明する。7名の被験者数ごとに矯正視力が異なっている。そこで、矯正視力(単位は小数視力)を全ての被験者とも1.0に正規化する。この正規化
によれば、視力測定条件(例えば、視力表の輝度や測定距離の精度等)のバラツキによる影響が大いに減じられる。そして、その正規化した値をlogMAR視力に換算する。
視力を[logMAR]単位で表す理由は、生体現象の殆どが対数を用いて表現できるという事実に基づく。つまり、小数視力や分数視力に比べると対数視力の方が、より生体現象を忠実に表すからである。なお、小数視力からlogMAR視力への換算には次式を用いることができる。
logMAR視力=log10(1/小数視力)
第2図のプロットから次のことが分かる。
(1)No.1〜No.7の全ての被験者において、倍率色収差とlogMAR視力との間に直線的な相
関関係があることを発見した。一般に視力が悪いほどlogMAR視力の値は大きくなるのであるから、第2図は、logMAR視力が倍率色収差の増大に比例して劣化してゆくことを示して
いる。なお、第2図においては、直線的な相関関係を分かり易くする為に、No.2とNo.3の
被験者の視力劣化を表すプロットに近似直線を付した。
第2図に示すような正規化されたlogMAR視力と倍率色収差のプロットは、発明者がはじ
めて試みたものである。発明者は、このプロットの考察より、色収差によるlogMAR視力の
劣化は倍率色収差に略比例することを見出した。
(2)倍率色収差とlogMAR視力との相関関係については、個人差が大きい。この事実から
、該相関関係と裸眼視力とに関係があるのではないかと考えられる。遠視の被験者では、矯正レンズはプラスであり、近視の被験者に比べると、より強い色収差の影響がある。即ち、遠視の被検者(No.2、No.6)は、近視の被検者(No.3)に比較して、より強い色収差の影響がある。その理由として、第1に遠視眼鏡、近視眼鏡の両方を掛けて測定したため、眼鏡の違いによる色収差の影響が考えられる。第2に遠視眼、近視眼の違いによる色収差の影響が考えられる。ただ、被験者の数が少ないという課題は残る。
(3)小視野トリタノピア現象の為、黄と青の知覚最小視角を13[分]、赤と緑のそれを8[
分]とする(尚、「小視野トリタノピア」については眼科用語であり、前述した文献6参照
されたい)。そうすると、色にじみを感じなくなる倍率色収差は略0.2Δ以下となる。ところが、第2図に示すように、色が見えないにもか拘わらず、倍率色収差約0.2Δ以下の範囲においても直線的にlogMAR視力の劣化が起こっている。発明者は、この実験により、たとえ色が見えなくても、logMAR視力と倍率色収差との比例関係は、該倍率色収差がゼロになるまで続くことをはじめて見出した。
以上のような実験データの分析により、倍率色収差に起因する視力(logMAR視力)の劣化が明らかとなった。
ところで、視力測定によって視力関数を作成するのではなく、眼球モデルに基づく計算で視力関数を作成できると便利である。しかしながら、現時点では、どのモデルも眼球光学の結像特性の評価には適切なものがなく、色分散を定量的に求める適当なモデルは今のところ知られていないのが通説である。(「劉龍輝、加藤久幸、大頭仁:屈折率分布水晶体によるヒト模型眼,光学、30(6):407-413,2001」(以下、文献8という)参照。)また
、網膜処理及び脳内処理を含めた視力計算の為の全体的な視覚モデルは、精度等の観点から作成が困難である。その為、本願発明では、実測にされた視覚データに基づいて視力関数を定義していく手法を採用する。
〔倍率色収差と色収差以外の収差と視力の関係〕
以上、倍率色収差に起因して視力が劣化することが判明した。次に、このことと、倍率色収差以外の収差に起因する視力劣化とを、どのように合成するかについて説明する。合成則は、前述した文献1の実験データを再検討し、一部のデータを再調整したり、新たに
補足することにより新規な結論を見出すことができた。
まず、前述した文献1に記載されている実験について説明する。文献1においては、第3
図に示すように、眼鏡を装用し側方視したときにおけるMTF測定を行っている。眼鏡レン
ズ4としては、それぞれアッベ数の異なる4種類のレンズ(No.1〜No.4とする)を用いている。
なおMTF(Modulation Transfer Function)とは、レンズ等の光学系がどのような光学性
能をもっているかを空間周波数で表したものである。MTFは、物体(この場合は、モアレパターン(縞))から最終プロセス(この場合は、眼)に至る像の質を定量的に表現するのに適
した方法である。
文献1には実験条件が示されている。それは次の通りである。
(1)第3図に示すように、眼鏡レンズ4の表面における中心位置41から20[mm]側方の位置42に、径8[mm]の円形開口51を有するマスク5をかぶせてMTF測定した。
(2)視野は円形であり、視角は4°である。
(3)使用したレンズの度数は−6.50[D]である。
(4)レンズの後方頂点から眼球の回旋中心までの距離は25[mm]である。
(5)被験者は26才、近視眼、矯正視力は1.0である。
(6)モアレパターン提示装置6を用い、該パターンの空間周波数を変化させながらMTF測
定を行う。
文献1の実験結果は、倍率色収差による視力劣化と、色収差以外の収差であって視力に
影響する収差(パワーエラー、非点収差)による視力劣化とが合成された条件下における唯一の公知なデータである。この実験に使用されたレンズ4の屈折率とアッベ数を表9に掲げる。
Figure 2008292499
表9に掲げるように、No.1〜No.4の全てのレンズにおいて屈折率は平均1.700となるようにしている。これにより、全てのレンズにおいて、屈折率による視力劣化は実質的に同一となる。そして、アッベ数のみに起因する視力劣化の変化を実験により求めている。視力測定結果は文献1のFig.10に示されている。これを引用したものが第4図である。第4図は
、縦軸にカットオフ周波数をとり、横軸にアッベ数の逆数をとったグラフである。
第4図の視力劣化データを、倍率色収差のみに起因する視力劣化データと比較できるよ
うにするために、第4図のデータを第2図のように視力と倍率色収差との関係が関連づけ易いように同じ形式となるように再プロットし、調整する。再プロットの仕方は、次の通りである。
縦軸の値は次のようにして求める。まず第4図から、レンズ中心41と、中心から20[mm]
側方の位置42とにおけるカットオフ周波数データを正確に読みとる。そして、No.1〜No.4のレンズの中心におけるカットオフ周波数データがlogMAR視力でゼロとなるように、中心から20[mm]側方の位置42におけるカットオフ周波数データをlogMAR単位の視力劣化データへ正規化する。この正規化により、当該実験条件下における機械近視、指標輝度、指標距離等の誤差要因を大幅に減じることができた。以上のようにして縦軸の値を求めた。
横軸の値は次のようにして求める。まず第4図の横軸であるアッベ数の逆数(1/νd)を、倍率色収差の単位であるプリズム値/アッベ数に換算する。ところが、中心から20[mm]側
方の位置42におけるレンズ開口部のプリズムデータが文献1に記載されていない。またプ
リズムデータを計算により求めるには、当該実験に用いた眼鏡レンズ4の形状データが必
要であるが、該形状データは文献1に記載されていない。
そこで、当該実験に用いた眼鏡レンズ4の中心から20[mm]側方の位置42におけるプリズ
ム値を推定する。その為に次の事項を仮定した。
(1)まず当該実験が行われた当時の眼鏡レンズは球面レンズである。
(2)当該実験で用いられた眼鏡レンズの形状が、当時販売されていた屈折率1.702のガラス製の眼鏡レンズの形状と同等であると仮定しても、レンズ中心から20[mm]側方の位置における光線の偏角の値、及びプリズム値には本論述上に実質的に影響がない。その理由は、レンズの中心から離れた位置におけるプリズム値は、レンズ形状によって大きく変化しないからである。これは、レンズの中心から離れた位置におけるプリズム値が、レンズの中心における度数と、中心からその位置までの距離に近似的に比例するというプレンティスの公式に基づく。
(3)また、全て屈折率1.700としても、レンズの中心における度数で眼鏡レンズNo.1〜No.4では中心度数略0.01[D]の誤差で本質的な差ではない。
そこでレンズ形状データを推定し、表10に掲げる。
Figure 2008292499
この表10のデータを用い、レンズ中心から20[mm]側方の位置におけるプリズム値(プリ
ズムディオプタ)は表11のように計算できる。
Figure 2008292499
このプリズムディオプタを、No.1〜No.4の各レンズのアッベ数で割った値を倍率色収差とした。これにより、第4図の横軸であるアッベ数の逆数を、倍率色収差の通常の単位で
あるプリズム値/アッベ数に換算することができた。以上のようにして横軸の値を求めた
ここで、上記の如くして第4図のデータを再計算して得られたデータを表12に掲げる。
Figure 2008292499
表12の倍率色収差を横軸値とし、中心から20[mm]側方の位置におけるlogMAR視力を縦軸値とすることで、第2図と同形式のデータを得る。
〔色収差がない軸外収差による視力劣化計算〕
ところで、文献1では第4図に示すように、縦軸にカットオフ周波数、横軸にアッベ数の逆数をとって色収差が存在しないときのカットオフ周波数を推定し、眼鏡レンズの色収差以外の軸外収差による影響を考察しよう試みられている。しかし、結果として、MTFの変
化からだけでは、眼鏡レンズ周辺における色収差及びそれ以外の収差の影響は分離できないとの結論に至っている。
〔眼鏡レンズにおける色収差以外の軸外収差の視力への影響の考察〕
そこで、この上記の結論に対して、下記の手法にて、色収差とそれ以外の収差との分離を行う方法を見出した。眼鏡レンズにおける色収差以外の軸外収差の視力への影響は、以下に述べる手法により計算できる。
まず、新たに、実測による視力データを使用し解析を行うことにより、色収差以外の軸外収差による視力劣化を解明する。視力実測値と色収差以外のレンズ収差をつなげる基礎的な文献として、「Peters, Henry B., The relationship between refractive error and visual acuity at three age levels, Am.J.Optom.Physiol.Opt.,38: 194-198, 1961」(以下、文献9という)がある。ここで色収差以外の収差といっても視力に影響する主な色
収差以外の収差は瞳孔径に無関係なパワーエラー、非点収差だけであることを想定している。
文献9の図には、眼鏡を常用している被験者に眼鏡を外してもらい、視力測定を行った
結果が示されている。その図を引用して第5図に示す。これは、横軸に球面度数をとり、
縦軸に乱視度数をとって、分数視力の単位で視力測定値を表した図である。眼鏡を外しているのだから当然に視力劣化が起こりよく見えない。また眼鏡を装用していない状態での視力測定であるから、眼球の軸上色収差は、前述した文献1で視力に影響ないとされてお
り、色収差の影響がない場合の視力劣化データとなっていることに注意したい。
このデータを用いて、色収差抜きの条件下における視力劣化を計算する。このとき、被験者が眼鏡を外した状態における視力劣化と、被験者が眼鏡を装用している状態で、眼鏡レンズの球面度数および乱視度数と逆の値を有するレンズをさらに通して見た場合における視力劣化と、が同じであるとする。
そうすると、第5図の視力劣化データの値はそのままにしておいて、横軸の球面度数と
縦軸の乱視度数の符号をそれぞれ逆にした場合、そのデータは、正視眼の被験者が逆にした球面度数、乱視度数の眼鏡を装用した場合の視力劣化を表すことになる。
ここで、視力劣化と眼球運動(リスティング則)との関連を述べておく。リスティング則とは、眼球が遠方前方を見るとき(第1眼位)、眼球回旋点を含み、その眼位に垂直な面(リスティング面)内に眼球運動の回転軸があることをいう。
前述した文献1における倍率色収差の測定においては、レンズの球面度数が−6.50[D]であったが、一般的には乱視度数があることが想定される。乱視度数がある場合、リスティング則を考慮した設計システムが知られている(特開昭57-10112号公報等参照)。
しかしながら、この公報においては、光学計算より導出された収差の評価だけを行っており、視力との関連が記述されていない。以下、この上記公報に基づいてリスティング則を簡単に説明する。
リスティング則によれば、乱視眼鏡を装用したとき、眼鏡主経線に沿って眼球が第1眼
位より該リスティング則に従い回転する場合は、眼鏡主経線とリスティング則に従い回転した座標系の軸とは互いに平行になり挟む角はゼロとなる。
しかし、眼鏡主経線と異なる方向に変化する場合、眼鏡主経線とリスティング則に従い回転した座標軸との挟む角はゼロとはならなくなる。その場合、上記公報の通りのような角ズレが起こる。
この座標系の角ズレを考慮することにより、正確なパワーエラー、非点収差を計算できる。典型的には、基準非点収差(レンズ中心での乱視量と乱視軸)の絶対値と同じ値の絶対値を有する非点収差であっても、該非点収差がベクトル値のような方向性を有している為、ゼロでない値の非点収差が新たに発生する。以下この非点収差を残留非点収差と呼ぶ。なお、パワーエラーは、リスティング則による座標変化には不変である。
ここで眼鏡レンズの軸外の収差である、パワーエラー、残留非点収差と球面度数、乱視度数の関係について述べる。球面度数、乱視度数を収差量とみなすことにより、残留非点収差と乱視度数が正の場合、以下の式の関係がある。また残留非点収差と乱視度数が負の場合でも、定義上のことであり物理的な違いはない。
球面度数=パワーエラー−残留非点収差/2 …(1)
乱視度数=残留非点収差 …(2)
次に、第5図をみると、横軸(球面度数)の値が原点に対して対称ではないのが分かる。
更に縦軸(乱視度数)の値も、生体に特有の非線形なデータとなっている。例えば、横軸値の絶対値が同じで符合が異なる視力値をみると単純な関数関係をもたないことが分かる。つまり、視力値は光学性能値に対して非線形である。従って、生体に特有の非線形性を考慮する必要がある。
そこで本発明では、まず第5図のデータから補間関数Vを求める。具体的には、横軸値(
球面度数)、縦軸値(乱視度数)をそれぞれ0.1〜1ディオプタで刻み、視力値を離散的にプロットする。そして、該平面座標上の視力値を、公知の補間法を用いて補間することにより、球面度数及び乱視度数をパラメータとして含む補間関数Vを求める。補間関数Vは次式で表される。
第1の補間関数V=V(球面度数,乱視度数) …(3)
この(3)式によれば、パラメータとしての球面度数、乱視度数が連続値であっても補間
関数Vの値を算出できる。この補間関数の値とは、分数視力(=小数視力)のことである。
この(3)式の球面度数、乱視度数に、それぞれ(1),(2)式を代入すると、次の(4)式が得
られる。
第2の補間関数V=V(パワーエラー,残留非点収差) …(4)
この(4)式によれば、光学的な計算より求めたパワーエラー及び残留非点収差と、補間
関数の値が関連付けられる。この補間関数の値とは、分数視力(=小数視力)のことである。
この(4)式の第2の補間関数Vをそのまま、分数視力(小数視力)単位の視力関数として用
いることもできる。しかし、非線形性が強く、また物理的にも意味がないので、最適化計算に最良の状態とはいい難い。そこで、次の(5)式のように、(4)式の単位を、現在一般的に採用されているlogMARに換算するのが好ましい。
第1の視力関数[logMAR]=log10(1/V(パワーエラー,残留非点収差)) …(5)
以上の処理により、生体の光学性能よりみた非線形な性質が考慮された視力関数が導出される(本件発明者の国際特許出願 PCT/JP02/04244 :P11〜P22,、第1図〜第12図参照)。勿論、生体の視力は年齢、測定環境等で大きく変化する。また、実際には、
上記の基本的な手法では、最適化計算における計算量が大きくなる。そこで、前述の(5)
式の代わりに、次の(6)式のような近似式も使用できる。
第2の視力関数=α×[(パワーエラー)2+(K×残留非点収差/2)2]1/2
…(6)
但し、αは0.25≦α≦0.65の範囲の係数であり、好ましくは0.4751である。Kは0.2≦K
<1の範囲の係数である。
この(6)式を使用し、表10に掲げた条件で、レンズ中心から20[mm]側方の位置における
パワーエラー、残留非点収差、及び視力を計算した。これによって、色収差の影響がないときの視力が計算された。得られたデータを表13に掲げる。
Figure 2008292499
第6図は、本発明者が、新たに、表12,13に基づくデータ(以下、「合成のデータ1」という)のプロットを第2図に付加して表した図であり、倍率色収差とそれ以外の収差との視力劣化を合成した図である。文献1から導出した表12のデータ(倍率色収差)は、第2図の考察で述べたような直線関係が導き出されている。また横軸の倍率色収差がゼロとなるときの切片視力は、表13に掲げるように0.127となるべきある。即ち、この数値は7251人の測定
データの結果から採用されたものである。
従って、たとえ近似式の視力関数(6)式を用いたとはいえ、他のデータに対して圧倒的
に信頼度が高いデータである。すると第6図では、倍率色収差とそれ以外の収差との視力
劣化を合成したものは、横軸0,縦軸0.127を通る直線(以下、「合成の直線1」という)となる。
また前記合成の直線は、視力劣化のデータのうち、No.3の被験者のデータ(屈折率1.7000、アッベ数48.1)の近似直線を略平行移動したものである。つまり第6図において、倍率
色収差とそれ以外の収差の双方が視力に影響した条件下で求めた前記合成の直線は、倍率色収差のみが視力に影響した条件下で求めたNo.3の被験者のデータの近似直線を、倍率色収差以外の収差のみが視力に影響したときの視力である切片視力の分だけ、上方にシフトしたものである。
〔結論〕
発明者は、この事実から、[logMAR]単位で視力を表す場合は、色収差による視力の劣化に、色収差のない視力の劣化を単に加えれば良いことをはじめて発見した。
次に、この上記の結論を検証するため、文献1のFig.11の中心より10[mm]側方の位置に
おけるカットオフ周波数のデータを、表12のデータを算出したのと同様な手法で変形させて採用する。即ちlogMAR、倍率色収差、視力データの正規化、色収差のない場合の視力計算を行う。このデータはFig.11で示されるNo.1,4のデータから算出したデータを示す。
まず表10の形状データを使用し、中心より10[mm]カットオフ周波数のデータを算出する。このデータを表14に示す。
Figure 2008292499
このデータを使用し文献1のFig.11の正規化したカットオフ周波数を表15に掲げる。
Figure 2008292499
中心より10[mm]の位置のパワーエラー、非点収差、色収差のない視力を表16に掲げる。
Figure 2008292499
ここで表12の20[mm]でのlogMAR視力の値から表13の色収差のない視力を引いた値は、倍率色収差そのものとして扱える。即ち第2図と同じ形式になる。同様に表15の中心から10[mm]でのlogMAR視力から表16の視力値を引いた値は第2図と同じ形式になる。これを表17に掲げる。
Figure 2008292499
この表17のデータ(以下、「合成のデータ2」という)と、第2図のデータを同時に表示すると第7図になる。第7図では、合成のデータ2のプロットの近似直線(以下、「合成の直線2」という)も示している。第7図から、logMAR視力の劣化は、倍率色収差に比例し、なお
かつ倍率色収差が0.2以下の領域でも比例していることが判明した。以上のデータから、
色収差以外の収差のみによる視力劣化と、色収差のみによる視力の劣化の和が、総合的な視力の劣化になることが検証できる。
この発見を数式で表現すると、(6)式に倍率色収差の項を加えて次の(7)式となる。
第3の視力関数=α×[(パワーエラー)2+(K×残留非点収差)2]1/2+β×倍率色収差
…(7)
但し、αは0.25≦α≦0.65の範囲の係数であり、好ましくは0.4751である。βは個人ごとに変化する0.2≦β≦1.2の範囲の係数であり、好ましくは0.2≦β≦1.0であり、より好ましくは0.6である。なおα,βの値はそれぞれ測定データ数より変化する。Kは0.2≦K<1の範囲の係数であり、好ましくは0.2≦K<0.6である。
ここで倍率色収差に関する光学値として、残留プリズムを定義する。残留プリズムとは、リスティング則に則った座標系から測ったプリズム方向を持った量である。(7)式では
その絶対値を使用する。(7)式での倍率色収差は、残留プリズムの絶対値をアッベ数で割
った値である。
上記(7)式の視力関数は、リスティング則を考慮しているから、乱視レンズ等の設計又
は評価に用いれば、視力をより忠実に表現できる。
なお、上記(7)式は球面レンズにも適用できる。但し、球面レンズの主経線上では、上
記残留非点収差の値が非点収差と等価になるから、該球面レンズの設計又は評価においては、必ずしもリスティング則を考慮する必要はない。そこで、球面レンズに対しては、下記(8)式の視力関数も適用できる。
第4の視力関数=α×[(パワーエラー)2+(K×非点収差)2]1/2+β×倍率色収差
…(8)
但し、αは0.25≦α≦0.65の範囲の係数であり、好ましくは0.4751である。βは個人ごとに変化する0.2≦β≦1.2の範囲の係数であり、好ましくは0.2≦β≦1.0であり、より好ましくは0.6である。なおα,βの値はそれぞれ測定データ数より変化する。Kは0.2≦K<1の範囲の係数であり、好ましくは0.2≦K<0.6である。
〔視力関数のレンズ設計への応用〕
前述のように、光学系における収差補正の過程では、幾つかの収差やレンズ形状等の評価関数により構成されたメリット関数を、公知の最適化計算にて最小計算するのが一般的な設計法である(例えば、特公平2-38930号公報参照)。
まずメリット関数を構成する要素として種々の評価指標を組み込むことができるが、例えば、視力値には直接関係はないが、眼鏡にとって矯正すべき収差として歪曲収差がある。歪曲収差は、主に装用初期の揺れや歪みの原因として広く知られている。
従来、眼鏡の歪曲は視角倍率Mとして表現されている(「三宅和夫:再び角倍率について,光学第19巻第10号」(以下、文献10という)参照)。
中心の視角倍率をM0とし式で表現すると
M0=lim射出角→0(tan(射出角)/tan(入射角)) …(9)
ここでM0は近軸光学計算により容易に計算できる。M0の簡単な説明をする。射出光線が眼球入射瞳中心を通る場合において、M0は通常、眼鏡倍率と呼ばれている。しかし射出光線が眼球回旋点を通る場合において、文献10の三宅にならい、回転視角倍率と呼ぶ方がより適切である。
また周辺部の視角倍率をMとすると、
M=tan(射出角)/tan(入射角) …(10)
すると、眼鏡の歪曲収差(DIST)は、(9),(10)式を使用することにより、次の(11)式のように定義できる。
DIST=100×((M/M0)−1) …(11)
(11)式は従来から導出された関係式である。通常、射出光線は、眼球回旋点を通り、DISTは眼鏡の動的歪曲収差と呼ばれている。
ここで眼球運動を考慮にいれた設計手法から(11)式を検討する。残留非点収差、残留プリズムについての説明と同様に、同一のDISTでもDISTはベクトル値のため軸方向の違いにより、残留DISTを発生する。
即ち、従来のM0とMは、背景に前提として同一方向であるときDISTとして計算されてい
る。例えば同一方向のM0とMが同じ量なら(11)式よりDIST=0と計算される。眼球運動より生じる前述の角ズレを計算に入れる為、M0とMともベクトル量であるという自然な拡張定
義を行う。
すると、レンズが乱視レンズ等である場合M0はレンズ度数基準点(通常は、レンズ中心
部)において、放射方向に異なる値を持つベクトル値となる。すると、最適化計算でのレ
ンズ評価点において、残留視角倍率を視角倍率より中心の視角倍率引いたものと定義する。
即ち、残留視角倍率=M−M0とし、Signを残留視角倍率とM0の内積の正負の符号と定義
すると、リスティング則を考慮にいれた本発明の拡張された眼鏡の歪曲収差の定義は以下の(12),(13)式になる。またその関係を図示すると第8図となる。
残留視角倍率=視角倍率M−視角倍率M0 …(12)
拡張DIST=Sign×100×(|残留視角倍率|/|視角倍率M0|) …(13)
本発明のレンズ設計においてレンズに光線を通し光線追跡法にて計算を行うのであるが、レンズの各評価点にて(7),(13)式を計算する。
なお評価点とは、眼鏡レンズの光学性能を評価する為に、該眼鏡レンズ上に設定する複数の仮想的な点である。評価点は、軸対称レンズであれば5〜10点程度、軸非対称レンズ
であれば15〜10000点程度設定できる。
(7)式の場合、評価する物体距離に応じて異なった値となる。どの距離を採用するは、
レンズの性格、設計者の裁量による。例えば厳密には、以下の(14)式で、近方での視力実測値はないが、パワーエラー、残留非点収差に対しての挙動は、(7)式の遠方の視力と同
様と仮定し計算する。
眼鏡の動的歪曲収差は理論上、距離に関係ないが、視力と歪みをどのように配分するかといった明確な判断資料がないものも設計者の裁量による。以上から、本発明の一般的な評価関数の組み合わせ関数であり単一評価尺度のメリット関数は以下の(14)式になる。
Figure 2008292499
但し、mは設定した評価点の個数を表す自然数であり、nは各評価点に割り当てられた自然数であり、遠方の視力とはその評価点における視力関数の遠方領域をみる場合の値であり、近方の視力とはその評価点における視力関数の近方領域をみる場合の値である。この(14)式で用いる視力関数とは、色収差を含んだ(7)式の関数のことである。
また、a,b,cはそれぞれ(14)式における各項の重み配分を表す所定の係数であり、u,v,wはそれぞれ各評価点での重み配分を表す係数である。なお、重みはゼロという概念も含む。但し、ここでは重みとしてゼロは採用しないものとした。
ここで、遠方領域とは、例えば、基準点から10[m]乃至無限遠方の範囲と定義できる。
この範囲をディオプタ単位で表すと、0[D]乃至0.1[D]となる。また近方領域とは、例えば、基準点から30[cm]乃至33[cm]の範囲と定義できる。この範囲をディオプタ単位で表すと、略3[D]乃至3.33[D]となる。また、基準点をどこにするかについて統一的な基準はない
が、通常、眼球の回旋中心、レンズ表面、角膜中心の何れかとする。
上記(14)式は、リスティング則を考慮しているから、乱視レンズ等に適用すれば、視力により忠実な評価又は設計が行える。
なお、上記(14)式は球面レンズにも適用できる。但し、球面レンズの主経線上では、上記残留非点収差の値が非点収差と等価になり、また残留DISTがDIST(歪曲収差)と等価になるから、該球面レンズの設計又は評価においては、必ずしもリスティング則を考慮する必要はない。そこで、球面レンズに対しては、下記(15)式のメリット関数を適用できる。
Figure 2008292499
但し、mは設定した評価点の個数を表す自然数であり、nは各評価点に割り当てられた自然数であり、遠方の視力とはその評価点における前記視力関数の前記遠方領域をみる場合の値であり、近方の視力とはその評価点における前記視力関数の前記近方領域をみる場合の値であり、DISTとはその評価点における歪曲収差の値であり、a,b,cはそれぞれ(15)
式における各項の重み配分を表す所定の係数であり、u,v,wはそれぞれ各評価点での重
み配分を表す係数である。
良いレンズを設計するには、レンズの性質、審美的、経済的、光学的等の考慮を行い、設計者の裁量により重み配分を行い決定する。またメリット関数にレンズ形状等の直接視力に関係ない項を加える場合もある。その場合でも、上記の式が主因子の場合、本発明の範囲である。
またメリット関数に色収差を陽で示した(直接的に表現した)場合以下の式にもなる
Figure 2008292499
(16)式における視力関数とは、色収差を含まない(6)式のことである。a,b,c,dは各評価関数の重み配分である。u,v,w,sは各評価点での重み配分である。nはレンズ評価点である。(16)式中のa,bの比は、(7)式のα, βの比になる。
この(16)式のメリット関数も、実質的には(14)式と等価である。また、(16)式中の残留DISTに代えてDISTを採用したメリット関数は、実質的には(15)式と等価である。
メリット関数を設計自由度の観点より考察する。眼鏡レンズの度数を固定した制限条件下において、レンズの前面及びレンズの後面がそれぞれ自由に変形できる自由曲面のレンズ設計を用いた場合、メリット関数は、第1項又は第2項を2つの面の変形の合成により、満足させることが可能である。即ち、ある一定の物体距離において、視力関数の構成要素である、パワーエラー、残留非点収差をともにゼロにする事は可能である。
しかし、レンズの1つの面である前面は、審美的、経済的に軸対称という制限条件においては、眼鏡レンズ全面(両面)で、ある一定の物体距離においてのパワーエラー、残留非点収差をともにゼロにする事はできない。まして、倍率色収差、残留DISTは、一般的に度数のある面構成では、他の評価関数に影響しないで、ゼロにすることは困難である。
そのため、係数,重みはレンズ設計者の裁量となる。また設計自由度の観点では、前面が球面等、固定されていると設計者の自由度は制限され、メリット関数中の第3項である
残留DISTを制御する余裕が少なくなる。さらにこのことを説明すると、設計者にとり、眼
鏡レンズの前面、後面とも自由に変形可能なら、その面の関数であるメリット関数は、自由に制御可能であるが、面に球面等の設計制限があれば、前記のメリット関数の最小化に影響を及ぼすことになる。
以下、本発明のレンズの評価方法の実施態様について説明する。
本実施例ではコンピュータを用いた公知の一般的な光線追跡法を使用したレンズ設計方法を用いており、詳細な設計方法の説明は従来技術に記載したとおり、であるので省略する。ただ、光学性能計算及びその計算結果の表示プログラムについては、後述する明視角、明視径の計算及び表示に関する処理プログラムを含んで構成されている。
〔実施例1;アッベ数が異なる場合における眼鏡レンズの明視径の比較〕
はじめに、明視径について説明する。まず、(7)式の視力関数を用いて、眼鏡レンズの
明視域を定義する。明視域とは、眼鏡レンズのクリアに見える領域のことである。なお、明視域は、例えば明瞭域や標準視域とも称されている。
具体的には、明視域は(7)式の視力関数の値であるlogMAR視力値に基づいて定義する。
詳細には、logMAR視力の値がゼロのときを最も明瞭に見えるとしたとき、好ましくはゼロ〜0.1乃至0.2までの範囲となる領域を明視域として定義する。この範囲を小数視力で表すと、1〜約0.6乃至約0.8となる。この範囲は、常識的に視力値として評価できる好ましい
基準的値である。但し、明視域を定義するlogMAR視力値は特に限定されるものではなく、目的を逸脱しない範囲で設定できる。
以下、本実施例ではlogMAR視力が0.1以内の領域を明視域と定義していく。
次に、眼球の回旋中心(眼球回旋点)から、明視域を見込む立体角と等しい立体角を有し、かつ眼鏡レンズの光軸まわりに軸対称な球分を想定し、該球分に基づいて明視視角を求める。
(尚、詳細は、特願2002-211641号参照)
具体的には、立体角[ステラジアン]を第9図に示すように、眼鏡レンズ10の光軸11まわ
りに軸対称な球分12として計算する。該球分12は、眼球回旋点13を頂点とし、眼鏡レンズ10側に球面部分を有するものである。
この球分12の頂角θを算出し、これを明視視角として角度の単位で表示すれば、わかりやすい表現形式となる。球分12の頂角θとは、光軸11を含む平面で球分12を切り取った場合にできる頂角θのことである。尚、明視視角という言葉は、発明者が名付けたものであり、例えば平均視角又は等価視角とも言い換えることができる。
具体的には、明視視角は以下の(17)式で近似的に求めることができる。近似的というのは、視角が大きいと光線本数と立体角の比例関係がくずれる為である。但し、下記(17)
式は、通常の眼鏡業界で用いられるレンズ径(具体的には、例えば80[mm]以下)を有する眼鏡レンズに対しては立体角が小さいので前記の比例関係の影響を実質的に受けないから問題なく適用できる。
Figure 2008292499
但し、Lは眼球回旋点13から眼鏡レンズ10へ等角度間隔で多数の光線を入射させた場合における当該角度間隔(例えば、1°ピッチ)であり、Nは入射させた光線のうち明視域を通過した光線の本数である。
このようにして求めた明視視角の値は、レンズ径に依存しない、眼鏡レンズ10の明視域の絶対的な大きさに依存する値である。この明視視角の値は、眼鏡レンズ10の光学性能値として好適に用いることができる。
次に、第9図において、球分12の立体角を光軸11に垂直でかつ眼鏡レンズ10の後方頂点14を含む平面15に投影して得る円の直径Rに相当する明視径Rの値を算出する。この明視径Rは、明視視角(等価視角) θ、及び後方頂点14から眼球回旋点13までの距離VRの値に基づ
いて、次の(18)式を用いて近似計算できる。なお、明視径という言葉は発明者が名付けたものである。
明視径=2×VR×tan(明視視角/2) …(18)
ここで、明視視角は、上記(17)式を用いて求める。
以上説明した、明視視角、明視径の値は、眼鏡レンズの明視域の絶対的な大きさを表す値である。これらの値は、それぞれ、角度の単位、長さの単位で表示できるから、レンズに関する専門知識を有しない者であっても理解し易い。
以上、明視径の算出方法について説明した。この方法を、表18に掲げる眼鏡レンズに適用する。これら眼鏡レンズは、球面レンズであり、全て同一の屈折率(1.60)を有する。明視径の計算の際、乱視レンズの比較では、眼球運動(リスティング則)を考慮した計算を行った。使用した(7)式のαは2.986、βを0.62として計算した。またレンズ後方頂点より眼球回旋点までの距離VRは以下の式にて計算した。
VR(mm)=27.0−(平均度数/6) …(19)
そして、表18の各度数に対応する明視径の値を、色収差のない場合、アッベ数30,60の場合でそれぞれ算出した。算出結果を表19に掲げる。なお表18,19の度数表示は、全てC
マイナス表示である。
Figure 2008292499
Figure 2008292499
更に、表19のデータをプロットして第10図に示した。第10図では、横軸にレンズの球面度数をとり、縦軸にレンズ径(明視径)を[mm]単位でとっている。各度数では全て表12のレンズデータを持つ同一形状であり、ただ色収差のない場合、アッベ数60,30の明視径の比較である。第10図において、プロットをつないだ各折れ線グラフは、レンズ径の大きいものから順に、レンズ径、色収差のない場合の明視径、アッベ数60の場合の明視径、アッベ数30の場合の明視径をそれぞれ表す。
ここでレンズ径を表す折れ線から、色収差のない場合の明視径を表す折れ線までの距離は、パワーエラー及び残留非点収差による視力の劣化を表す。また色収差のない場合明視径を表す折れ線から、アッベ数60の場合の明視径を表す折れ線、又はアッベ数30の場合の明視径を表す折れ線までの距離は、倍率色収差による視力の劣化を表す。
そうすると、第10図に基づいて、色収差(倍率色収差)による視力の劣化は、パワーエラー及び残留非点収差による視力の劣化に比較して大きいことが分かる。このことは、レンズ性能の改善は、色収差を無視してはいけないことを示唆している。
以上、アッベ数と明視径の関係について説明した。本実施例は、主にレンズ素材の開発時における、アッベ数変化による光学性能算定に適用できる。
〔実施例2;視角30°が明視径内である為に必要な必要アッベ数〕
本実施例は、眼鏡レンズ素材の開発の際、アッベ数はどの程度必要かという疑問に答えたものである。本実施例において適用したレンズの諸データを表20に掲げる。その他の計算条件は実施例1と同じである。
計算の手法は、アッベ数を小さな値から徐々に大きく変化させ、視角30°(眼球回旋角15°)において明視域になったとき計算を止める方法で行った。ここで明視域は、logMAR視力が0.1以下となる領域と定義した。計算の結果を表21、第11図に示す。
Figure 2008292499
Figure 2008292499
第11図では、横軸に度数をとり、縦軸に視角30°(眼球回旋角15°)で明視域内に有る為の必要アッベ数をとっている。第11図に示すように、必要アッベ数は、レンズ度数に依存していることが定量的に提示できた。
また、第11図より、例えば、アッベ数40なら約−6.5[D]〜+5[D]で視角30°を満たすことが分かる。表21には、縦軸は視角30°(眼球回旋角15°)で、準明視域であるのに必要なアッベ数を掲げた。ここで準明視域は、logMAR視力が0.2以内の領域と定義した。
以上、どの程度の視角でどの位のアッベ数が必要か判明した。従って、(7)式は眼鏡レ
ンズの設計上、素材の開発上重要な判断基準になるといえる。
〔実施例3;視角60°(眼球回旋角30°)での視力評価〕
過去、多くの文献が眼球回旋角30°にて、収差を低減した眼鏡レンズを設計してきた。または、眼球回旋角30°にて、収差補正の目安にしてきた。視力の観点から、視角60°での性能評価は重要である。そこでレンズ形状データとして表20のレンズ諸データを使用して、視角60°(眼球回旋角30°)でのlogMAR視力を計算してみた。計算結果を表22、第12図に示す。
Figure 2008292499
第12図より、色収差がない場合、提示した度数範囲では略準明視域であることが明白に分かる。ここで準明視域は、logMAR視力が0.2以下の領域と定義した。
またアッベ数60では、度数マイナス範囲は略準明視域であることが分かる。
また表16中のパワーエラー、非点収差のデータは表14のレンズ形状のデータを使用し視角60°(眼球回旋角30°)でのパワーエラー、非点収差を算出した。このデータより判明するのは、パワーエラーは提示した度数範囲では、はぼ、度数製作最小単位0.25[D]以下、
また非点収差は+6[D]以上では若干大きいものの、眼鏡レンズ設計規範でよく使われる非点収差0.5[D]を満たしている。
即ち、提示した度数範囲(±8[D]以内)では従来設計の補正を行う収差であるパワーエラー、非点収差の判断でも、色収差を考慮しない場合の視力関数でも、どの度数部分の設計が補正を必要としているかが判然としなかった。
しかし、本実施例によれば、この色収差を含んだ視力関数の使用により、眼鏡レンズ性能が明白になり、眼鏡レンズの性能の補正設計が大変容易になった。
また眼鏡レンズの性能補正の観点から、視角では50°が、準明視域が適当であることが判明した。
また、本実施例では明視径の表現を使用したが、それ以外にも、レンズ面に対する明視域のパーセント比率による評価、また明視域を直接表示して評価しても良い。
また、視力関数を前述の従来技術の「Measurment of visual acuity:a critical review,A.M.A.Arch.Ophthal」(45(6):704-725,1951)や、特公昭42-9416号公報に開示された
もの(あるいは改良されたもの)に色収差を加えて改良してもよい。その場合は、例えば
、下記のようにな視力関数を導きだすことができる。
視力関数=log10[1+2.8×(sphere error+L×cyl error)]+β×倍率色収差
…(c)
但し、Lは0.5≦L≦0.8の範囲の係数であり、sphere error、cyl errorは、タンジェン
シャルエラーをT、サジタルエラーをSとすると、それぞれ下記(d),(e)式で表される。
sphere error=min(|T|,|S|) …(d)
cyl error=||T|−|S|| …(e)
本発明によれば、視力に関する光学系の評価を、該光学系の倍率色収差を考慮に入れて適切に行える。また本発明によれば、光学系の倍率色収差を考慮に入れながら、該光学系を適切に設計できる。
第1図は、倍率色収差による視力劣化を求めるために行った測定実験の模式図である。 第2図は、倍率色収差による視力の劣化を示す図である。 第3図は、倍率色収差による視力劣化と、色収差以外の収差による視力劣化との合成側を求めるために行った測定実験の模式図である。 第4図は、前述した文献1のFig.10を引用して示した図である。 第5図は、前述した文献9の視力測定データを引用して示した図である。 第6図は、合成視力の劣化を示す図である。 第7図は、合成視力の劣化の確認を説明する図である。 第8図は、残留DISTの説明図である。 第9図は、明視視角及び明視径の説明図である。 第10図は、眼鏡レンズの明視径と度数の関係を、アッベ数別に示した図である。 第11図は、視角30°が明視域であるために必要なアッベ数と度数の関係を示した図である。 第12図は、視角60°におけるlogMAR視力を、アッベ数別に示した図である。
符号の説明
1…万国式試視力表、2…プリズム、3…眼鏡レンズ、4…眼鏡レンズ、41…眼鏡レンズの中心、42…眼鏡レンズの側方、5…マスク、51…円形開口、6…モアレパターン提示装置、10…眼鏡レンズ、11…光軸、12…球分、13…眼球回旋点(眼球の回旋中心)、14…後方頂点、15…後平面、θ…明視視角、R…明視径、VR…後方頂点から眼球回旋点までの距離。

Claims (14)

  1. 光学系を通してみた場合の視力の劣化量を対数視力で表したとき、
    当該光学系における収差に起因した総劣化量を、該収差のうち倍率色収差以外の収差のみに起因する第1の劣化量と該収差のうち倍率色収差のみに起因する第2の劣化量との和を含んで構成された視力関数で表し、この視力関数を評価関数に用いて、前記光学系の性能を評価することを特徴とする光学系の性能評価方法。
  2. 請求項1に記載の光学系の性能評価方法において、前記第2の項は、前記倍率色収差の値を表すパラメータと所定の比例定数との積を含んで構成されることを特徴とする光学系の性能評価方法。
  3. 請求項2に記載の光学系の性能評価方法において、前記第2の項の定義域は、小視野トリタノピア現象が起きる前記倍率色収差の範囲を含むことを特徴とする光学系の性能評価方法。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の光学系の性能評価方法において、前記第1の項は、前記光学系を通して所定方向の遠方領域をみる場合と、その方向における前記遠方領域よりも眼球側の近方領域をみる場合とで、値が異なるパラメータを含んで構成されたものであることを特徴とする光学系の性能評価方法。
  5. 請求項4に記載の光学系の性能評価方法において、前記第1の項は、パワーエラーを表すパラメータと、非点収差又は残留非点収差を表すパラメータとを含んで構成されたものであることを特徴とする光学系の性能評価方法。
  6. 請求項2乃至5の何れかに記載の光学系の性能評価方法において、前記視力関数が、下記(a)式で表されることを特徴とする光学系の性能評価方法。
    視力関数=α×[(パワーエラー)2+(K×非点収差)2]1/2+β×倍率色収差
    …(a)
    但し、αは0.25≦α≦0.65の範囲の係数であり、βは0.2≦β≦1.2の範囲の係数であり、Kは0.2≦K<1の範囲の係数である。
  7. 請求項2乃至5の何れかに記載の光学系の性能評価方法において、前記視力関数が、下記(b)式で表されることを特徴とする光学系の性能評価方法。
    視力関数=α×[(パワーエラー)2+(K×残留非点収差)2]1/2+β×倍率色収差 …(b)
    但し、αは0.25≦α≦0.65の範囲の係数であり、βは0.2≦β≦1.2の範囲の係数であり、Kは0.2≦K<1の範囲の係数である。
  8. 請求項2乃至5の何れかに記載の光学系の性能評価方法において、前記視力関数が、下記(c)式で表されることを特徴とする光学系の性能評価方法。
    視力関数=log10[1+2.8×(sphere error+L×cyl error)]+β×倍率色収差 …(c)
    但し、Lは0.5≦L≦0.8の範囲の係数であり、sphere error、cy
    l errorは、タンジェンシャルエラーをT、サジタルエラーをSとすると、それぞ
    れ下記(d),(e)式で表される。
    sphere error=min(|T|,|S|) …(d)
    cyl error=||T|−|S|| …(e)
  9. 請求項1乃至8の何れかに記載の光学系の性能評価方法において、前記光学系を構成す
    る光学要素の光線が通過する面に、予め複数の評価点を設定しておく評価点設定工程をさらに有し、次いで、前記光学性能評価工程では、前記設定した評価点の各々における光学性能を評価することを特徴とする光学系の性能評価方法。
  10. 請求項5に記載の光学系の性能評価方法において、前記光学系を構成する光学要素の光線が通過する面に、予め複数の評価点を設定しておく評価点設定工程をさらに有し、次いで、前記光学性能評価工程では、前記視力関数を用いて構成された下記(f)式で表されるメリット関数、又はこのメリット関数と実質的に等価な関数によって、前記光学系の性能を評価することを特徴とする光学系の性能評価方法。
    Figure 2008292499
    但し、mは設定した評価点の個数を表す自然数であり、nは各評価点に割り当てられた自然数であり、遠方の視力とはその評価点における前記視力関数の前記遠方領域をみる場合の値であり、近方の視力とはその評価点における前記視力関数の前記近方領域をみる場合の値であり、DISTとはその評価点における歪曲収差の値であり、a,b,cはそれぞれ(f)における各項の重み配分を表す所定の係数であり、u,v,wはそれぞれ各評価点での重み配分を表す係数である。
  11. 請求項5に記載の光学系の性能評価方法において、前記光学系を構成する光学要素の光線が通過する面に、予め複数の評価点を設定しておく評価点設定工程をさらに有し、次いで、前記光学性能評価工程では、前記視力関数を用いて構成された下記(g)式で表されるメリット関数、又はこのメリット関数と実質的に等価な関数によって、前記光学系の性能を評価することを特徴とする光学系の性能評価方法。
    Figure 2008292499
    但し、mは設定した評価点の個数を表す自然数であり、nは各評価点に割り当てられた自然数であり、遠方の視力とはその評価点における前記視力関数の前記遠方領域をみる場合の値であり、近方の視力とはその評価点における前記視力関数の前記近方領域をみる場合の値であり、残留DISTとはその評価点における残留歪曲収差の値であり、a,b,cはそれぞれ(g)における各項の重み配分を表す所定の係数であり、u,v,wはそれぞれ各評価点での重み配分を表す係数である。
  12. 予め定めた眼鏡レンズの仕様を満たす範囲内でその光学性能が最適になるレンズ形状を計算により求めて眼鏡レンズの設計をする際に、前記光学性能を、請求項1乃至11の何れかに記載の光学系の性能評価方法を用いて評価することを特徴とする光学系の設計方法。
  13. 請求項12に記載の光学系の設計方法において、前記光学系を構成する光学要素を定義するパラメータを、予め固定パラメータと可変パラメータとに分けておき、前記可変パラメータの値を所定のステップで変化させながら、各ステップにおいて、そのときの当該可変パラメータの値と前記固定パラメータの値とによって定義される仮想的な光学要素の性能を、前記光学性能評価方法を用いることにより視力に関して評価し、その評価が最適と
    なったステップにおける前記可変パラメータの値を特定する最適化計算工程、を有することを特徴とする光学系の設計方法。
  14. 請求項13に記載の光学系の設計方法において、前記可変パラメータには、前記光学要素の倍率色収差又は該倍率色収差に関する光学値が含まれることを特徴とする光学系の設計方法。
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