JP2008291720A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の運転モードを圧縮着火運転モードと火花点火運転モードとの間で切り替える際に、内燃機関の出力トルクの変動などを抑制しつつ、その切り替えを円滑に行なう。
【解決手段】運転モードを圧縮着火運転モードから火花点火運転モードに移行させるときに介在させる第1中間モードと、火花点火運転モードから圧縮着火運転モードに移行させるときに介在させる第2中間モードとを備える。第1中間モードにおいては、混合気の空燃比が徐々にリッチ化していくように、燃焼室への空気供給量および燃料供給量を制御し、且つ、第2中間モードにおいては、混合気の空燃比が徐々にリーン化していくように、空気供給量および燃料供給量を制御する。
【選択図】図2
【解決手段】運転モードを圧縮着火運転モードから火花点火運転モードに移行させるときに介在させる第1中間モードと、火花点火運転モードから圧縮着火運転モードに移行させるときに介在させる第2中間モードとを備える。第1中間モードにおいては、混合気の空燃比が徐々にリッチ化していくように、燃焼室への空気供給量および燃料供給量を制御し、且つ、第2中間モードにおいては、混合気の空燃比が徐々にリーン化していくように、空気供給量および燃料供給量を制御する。
【選択図】図2
Description
本発明は、気筒の燃焼室に充填された混合気を圧縮することによって該混合気の燃料を自着火燃焼させる圧縮着火運転モードと、該混合気の燃料を火花点火によって着火燃焼させる火花点火運転モードとで運転可能な内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば、特許文献1、2に見られるように、気筒の燃焼室に充填された混合気を圧縮することによって該混合気の燃料を自着火燃焼させる圧縮着火運転モード(所謂HCCCI方式の運転モード)と、該混合気の燃料を火花点火によって着火燃焼させる火花点火運転モード(所謂SI方式の運転モード)とで運転可能とした内燃機関(以下、2方式着火内燃機関ということがある)が知られている。
前記特許文献1,2に見られる技術では、基本的には、内燃機関の回転数および負荷が、低速・低負荷領域の状態である場合に圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転を行い、該回転数および負荷が高速・高負荷領域の状態である場合に火花点火運転モードでの内燃機関の運転が行なわれる。
なお、これらの特許文献1,2に見られる技術では、圧縮着火運転モードと火花点火運転モードとで吸気バルブの開閉タイミングやリフト量を各別に調整し得るバルブ機構や過給気を備えることで、各運転モードにおける混合気の燃焼を適切に行なうことを可能としている。
補足すると、HCCI方式による運転を行なう内燃機関としては、例えば特許文献3に見られるように、オクタン価が異なる2種類の燃料をそれぞれ独立に気筒の燃焼室に供給し得るようにして、それらの燃料の供給量の割合を、内燃機関の負荷に応じて調整することによって、燃料の燃焼を適切に行うようにしたものも知られている。
特開2006−97603号公報
特開2007−77919号公報
特開2000−179368号公報
ところで、前記2方式着火内燃機関では、各運転モードでの燃料の着火方式が異なることに加えて、各運転モードで内燃機関の運転を適切に行なうために必要な混合気の空燃比などの種々の要件が異なる。例えば、火花点火運転モードでの運転に適した混合気の空燃比は、理論空燃比近傍の空燃比であるが、圧縮着火運転モードでの運転に適した混合気の空燃比は、理論空燃比よりも大幅にリーン寄りの空燃比である。このため、それらの運転モードの切り替えの際に、燃焼室内の混合気の空燃比が、いずれの運転モードに対しても不適切なものとなって、燃焼室における混合気の燃焼が不安定となったり、出力トルクの変動を生じる等の不都合が生じやすい。
また、火花点火運転モードでの運転に適した混合気の空燃比が、圧縮着火運転モードでの運転に適した混合気の空燃比に対してリッチ寄りの空燃比であることから、火花点火運転モードから圧縮着火運転モードへの切り替りの際には、その切り替りの直後における気筒内の温度や筒壁の温度が、圧縮着火運転モードでの連続的な運転時における温度よりも高温になりやすい。このため、火花点火運転モードから圧縮着火運転モードへの切り替りの直後の内燃機関の運転時に、混合気の燃焼時期が適切な燃焼時期よりも早期化し、過大な燃焼音が発生したり、ノッキングが発生するなどの不都合を生じる恐れがある。
しかるに、前記特許文献1、2に見られるような2方式着火内燃機関の制御技術では、運転モードの切り替えの際の適切な制御技術を持たず、上記の如き不都合を生じる恐れがあった。また、特許文献1、2に見られる技術では、吸気バルブの複雑な駆動機構を必要とするため、内燃機関の構成が複雑化すると共に、吸気バルブの駆動機構の動作の遅れなどにより、混合気の空燃比などの最適な制御が困難であった。
本発明は、かかる背景に鑑み、2方式着火内燃機関の運転モードを圧縮着火運転モードと火花点火運転モードとの間で切り替える際に、内燃機関の出力トルクの変動などを抑制しつつ、その切り替えを円滑に行なうことができる制御装置を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関の制御装置は、かかる目的を達成するために、気筒の燃焼室に充填された混合気を圧縮することによって該混合気の燃料を自着火燃焼させる圧縮着火運転モードと、該混合気の燃料を火花点火によって着火燃焼させる火花点火運転モードとで運転可能な内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関の運転モードを圧縮着火運転モードから火花点火運転モードに移行させるときにその両運転モードの間に介在させる第1中間モードと、前記内燃機関の運転モードを火花点火運転モードから圧縮着火運転モードに移行させるときにその両運転モードの間に介在させる第2中間モードとを備え、前記第1中間モードにおいては、前記混合気の空燃比が徐々にリッチ化していくように、前記燃焼室への空気供給量および燃料供給量を制御し、且つ、前記第2中間モードにおいては、前記混合気の空燃比が徐々にリーン化していくように、前記空気供給量および燃料供給量を制御する中間モード制御手段を備えたことを特徴とする(第1発明)。
この第1発明によれば、内燃機関の運転モードとして、前記圧縮着火運転モードおよび火花点火運転モードに加えて、前記第1中間モードと第2中間モードとを備える。そして、第1中間モードにおいては、前記中間モード制御手段によって、前記混合気の空燃比が徐々にリッチ化していくように、前記燃焼室への空気供給量および燃料供給量が制御される。これにより、前記圧縮着火運転モードから火花点火運転モードへの移行の際に、それらの運転モードの間に介在する第1中間モードにおいて、前記混合気の空燃比を、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転に適した空燃比(理論空燃比よりもリーン寄りの空燃比)から、火花点火運転モードでの内燃機関の運転に適した空燃比(理論空燃比近傍の空燃比)に円滑に変化させることができる。また、第2中間モードにおいては、前記中間モード制御手段によって、前記混合気の空燃比が徐々にリーン化していくように、前記燃焼室への空気供給量および燃料供給量が制御される。これにより、前記火花点火運転モードから圧縮着火運転モードへの移行の際に、それらの運転モードの間に介在する第2中間モードにおいて、前記混合気の空燃比を、火花点火運転モードでの内燃機関の運転に適した空燃比(理論空燃比近傍の空燃比)から、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転に適した空燃比(理論空燃比よりもリーン寄りの空燃比)に円滑に変化させることができる。
この結果、圧縮着火運転モードと火花点火運転モードとの間での運転モードの切り替えの際に、内燃機関の出力トルクの変動などを抑制しつつ、その切り替えを円滑に行なうことが可能となる。
かかる第1発明では、より具体的には、前記圧縮着火運転モードで内燃機関を運転させる場合に要求される前記空気供給量を規定する状態量としての吸気状態量の第1目標値を内燃機関の運転状態に応じて決定する第1目標吸気状態量決定手段と、前記火花点火運転モードで内燃機関を運転させる場合に要求される前記吸気状態量の第2目標値を内燃機関の運転状態に応じて決定する第2目標吸気状態量決定手段と、前記吸気状態量を検出する吸気状態量検出手段とを有して、前記圧縮着火運転モードおよび第2中間モードでの内燃機関の運転時には前記検出された吸気状態量を前記第1目標値に近づけ、前記火花点火運転モードおよび第1中間モードでの内燃機関の運転時には、前記検出された吸気状態量を前記第2目標値に近づけるように、該第1目標値または第2目標値と前記検出された吸気状態量との偏差に応じて前記内燃機関の吸気路に設けれられたスロットル弁の開度を制御する吸気制御手段と、
前記圧縮着火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む圧縮着火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する圧縮着火運転モード用制御処理手段と、
前記火花点火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む火花点火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する火花点火運転モード用制御処理手段とを備え、
前記第1目標吸気状態量決定手段および第2目標吸気状態量決定手段は、少なくとも前記圧縮着火運転モードと火花点火圧縮着火運転モードとの間での運転モードの移行を行なうべき内燃機関の運転状態では、前記第1目標値により規定される空気供給量が前記第2目標値により規定される空気供給量よりも大きくなるように該第1目標値および第2目標値をそれぞれ決定する手段であり、
前記中間モード制御手段は、前記第1中間モードおよび第2中間モードでの内燃機関の運転時に前記空気供給量を制御する手段として前記吸気制御手段を含み、前記第1中間モードでの内燃機関の運転時に前記燃料供給量を制御する手段として、前記燃焼室への実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、前記圧縮着火運転モードの終了時に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量から、該第1中間モードでの内燃機関の運転中に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第1パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記内燃機関に備えた燃料供給装置を制御する手段を含み、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時に前記燃料供給量を制御する手段として、前記燃焼室への実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、前記火花点火運転モードの終了時に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量から、該第2中間モードでの内燃機関の運転中に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第2パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記燃料供給装置を制御する手段を含むことが好ましい(第2発明)。
前記圧縮着火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む圧縮着火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する圧縮着火運転モード用制御処理手段と、
前記火花点火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む火花点火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する火花点火運転モード用制御処理手段とを備え、
前記第1目標吸気状態量決定手段および第2目標吸気状態量決定手段は、少なくとも前記圧縮着火運転モードと火花点火圧縮着火運転モードとの間での運転モードの移行を行なうべき内燃機関の運転状態では、前記第1目標値により規定される空気供給量が前記第2目標値により規定される空気供給量よりも大きくなるように該第1目標値および第2目標値をそれぞれ決定する手段であり、
前記中間モード制御手段は、前記第1中間モードおよび第2中間モードでの内燃機関の運転時に前記空気供給量を制御する手段として前記吸気制御手段を含み、前記第1中間モードでの内燃機関の運転時に前記燃料供給量を制御する手段として、前記燃焼室への実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、前記圧縮着火運転モードの終了時に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量から、該第1中間モードでの内燃機関の運転中に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第1パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記内燃機関に備えた燃料供給装置を制御する手段を含み、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時に前記燃料供給量を制御する手段として、前記燃焼室への実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、前記火花点火運転モードの終了時に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量から、該第2中間モードでの内燃機関の運転中に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第2パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記燃料供給装置を制御する手段を含むことが好ましい(第2発明)。
前記吸気制御手段によって、前記第1中間モードでの内燃機関の運転時は、内燃機関の気筒の燃焼室への空気供給量が徐々に減少していくように制御され、第2中間モードでの内燃機関の運転時には、内燃機関の気筒の燃焼室への空気供給量が徐々に増加していくように制御されることとなる。なお、前記吸気状態量としては、前記スロットル弁の下流側における前記吸気路内の圧力(所謂、吸気圧)や、該吸気路における空気の流量などが挙げられる。
そして、前記吸気制御手段による空気供給量の制御と並行して、各中間モードの内燃機関の運転時に、前記中間モード制御手段により、前記燃料供給装置が制御され、前記燃焼室への燃料供給量が調整され、ひいては、該燃焼室内の混合気の空燃比が調整される。このとき、第1中間モードでの内燃機関の運転時には、前記燃焼室への実際の燃料供給量を規定する制御用操作量が、前記圧縮着火運転モードの終了時に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量から、該第1中間モードでの内燃機関の運転中に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第1パターンで変化させつつ追従させるように決定される。そして、その決定された制御用操作量に応じて燃料供給装置が制御される。この場合、前記所定の第1パターンを適切に定めておくことで、第1中間モードでの内燃機関の運転時に、各燃焼サイクルで燃焼室に充填させる混合気の空燃比を、適切な形態で徐々にリッチ化し、最終的には、火花点火運転モードでの運転に適した空燃比に制御することができる。
また、第2中間モードでの内燃機関の運転時には、前記燃焼室への実際の燃料供給量を規定する制御用操作量が、前記火花点火運転モードの終了時に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量から、該第2中間モードでの内燃機関の運転中に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第2パターンで変化させつつ追従させるように決定される。そして、その決定された制御用操作量に応じて燃料供給装置が制御される。この場合、前記所定の第2パターンを適切に定めておくことで、第2中間モードでの内燃機関の運転時に、各燃焼サイクルで燃焼室に充填させる混合気の空燃比を、適切な形態で徐々にリーン化し、最終的には、圧縮着火運転モードでの運転に適した空燃比に制御することができる。
この結果、圧縮着火運転モードと火花点火運転モードとの間での運転モードの切り替えの際に、好適に、内燃機関の出力トルクの変動などを抑制しつつ、その切り替えを円滑に行なうことができる。さらに、前記したスロットル弁の開度の制御と、燃料供給装置の制御とによって、吸気バルブの複雑な駆動機構を必要とすることなく、燃焼室内の混合気の空燃比を適切に制御できるので、内燃機関の構成を簡素なものとすることができる。
補足すると、この第2発明においては、前記第1中間モードにおける燃焼室への燃料供給時期に関しては、例えば、該第1中間モードでの内燃機関の運転時に前記火花点火運転モード用制御手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給時期に関する操作量に応じて前記燃料供給装置による燃料供給時期を制御するようにすればよい。
また、前記第2中間モードにおける燃焼室への燃料供給時期に関しては、例えば、該第2中間モードでの内燃機関の運転時に前記圧縮着火運転モード用制御手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給時期に関する操作量に応じて前記燃料供給装置による燃料供給時期を制御するようにすればよい。
また、前記各中間モードにおける点火時期の制御に関しては、例えば、前記火花点火運転モード用制御処理手段により、前記火花点火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室内の混合気の点火時期を規定する点火時期操作量をさらに含む火花点火運転モード用操作量を決定するようにしておく。そして、各中間モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室内の混合気の実際の点火時期を規定する制御用点火時期操作量を、該中間モードでの内燃機関の運転中に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火着火運転モード用操作量のうちの前記点火時期操作量から所定の第3パターンで変化させつつ該点火時期操作量に追従させるように決定し、この決定した制御用点火時期操作量に応じて内燃機関に備えた点火プラグを制御することが好ましい。この場合、上記第3パターンは、第1中間モードと第2中間モードとで各別に定めておくことが望ましい。
また、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量に応じて前記燃料供給装置を制御すればよい。さらに、火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量に応じて前記燃料供給装置(あるいは燃料供給装置および点火プラグ)を制御すればよい。
ところで、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には、燃焼室での混合気の圧縮によって該混合気の燃料を自着火燃焼させるので、比較的高い着火性を有する燃料を使用することが適している。また、火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、火花点火によって強制的に混合気の燃料を着火燃焼させるので、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時よりも着火性が低い燃料を使用することが適している。そして、オクタン価が互いに異なり、且つ、それぞれの供給量を調整可能な複数種類の燃料を燃焼室に供給し得るようにした場合には、それらの燃料の供給量の相互の割合を調整することによって、該複数種類の燃料からなる複合燃料の着火性を変化させることができる。
そこで、前記第1発明において、前記燃焼室に供給する燃料が、オクタン価が互いに異なり、且つ、それぞれの供給量を調整可能な複数種類の燃料からなる場合には、前記中間モード制御手段は、前記第1中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合を調整し、且つ、前記第2中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合を調整する手段をさらに備えることが好ましい(第3発明)。
この第3発明によれば、前記第1中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量(各種類の燃料の供給量の総和)に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合が調整される。このため、前記圧縮着火運転モードから火花点火運転モードへの移行の際に、それらの運転モードの間に介在する第1中間モードにおいて、前記混合気の燃料、すなわち、前記複数種類の燃料からなる複合燃料の着火性を、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転に適した着火性から、火花点火運転モードでの内燃機関の運転に適した着火性に円滑に変化させることができる。また、第2中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合が調整される。このため、前記火花点火運転モードから圧縮着火運転モードへの移行の際に、それらの運転モードの間に介在する第2中間モードにおいて、前記混合気の複合燃料の着火性を、火花点火運転モードでの内燃機関の運転に適した着火性から、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転に適した着火性に円滑に変化させることができる。
この結果、圧縮着火運転モードと火花点火運転モードとの間での運転モードの切り替えの際に、内燃機関の出力トルクの変動などを抑制し、その切り替えを円滑に行なうことの効果を高めることができる。
また、前記第2発明において、前記燃料供給装置が、オクタン価が互いに異なる複数種類の燃料を前記燃焼室に供給可能であると共に、該複数種類の燃料のそれぞれの供給量を調整可能である場合には、前記圧縮着火運転モード用制御処理手段が決定する前記圧縮着火運転モード用操作量群のうちの前記燃料供給量に関する操作量と、前記火花点火運転モード用制御処理手段が決定する前記火花点火運転モード用操作量群のうちの前記燃料供給量に関する操作量と、前記中間モード制御手段が決定する前記燃料供給量に関する制御用操作量とは、それぞれ、前記各種類の燃料毎の供給量を規定する操作量からなり、前記第1中間モードでの内燃機関の運転時における前記所定の第1パターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなり、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時における前記所定の第2パターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなることが好ましい(第4発明)。
この第4発明によれば、前記第1中間モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への各種類の燃料の実際の燃料供給量を規定する制御用操作量が、それぞれ各別のパターン(第1パターン)で変化しつつ、前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の燃料供給量に関する操作量に追従するように決定されることとなる。このため、各種類の燃料毎の第1パターンを適切に定めておくことで、第1中間モードでの内燃機関の運転時に、各燃焼サイクル毎に燃焼室に充填される混合気の空燃比を徐々にリッチ化しながら、該混合気の燃料(複合燃料)の着火性を前記第3発明の如く変化させることができる。
また、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時には、前記燃焼室への各種類の燃料の実際の燃料供給量を規定する制御用操作量が、それぞれ各別のパターン(第2パターン)で変化しつつ、前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の燃料供給量に関する操作量に追従するように決定されることとなる。このため、各種類の燃料毎の第2パターンを適切に定めておくことで、第2中間モードでの内燃機関の運転時に、各燃焼サイクル毎に燃焼室に充填される混合気の空燃比を徐々にリーン化しながら、該混合気の燃料(複合燃料)の着火性を前記第3発明の如く変化させることができる。
この結果、第4発明によれば、第3発明と同様に、圧縮着火運転モードと火花点火運転モードとの間での運転モードの切り替えの際に、内燃機関の運転状態の変動を抑制し、また、燃焼室における燃料の燃焼状態の安定性を高めることができる。
前記第4発明では、前記圧縮着火運転モード用制御処理手段は、前記第2中間モードから前記圧縮着火運転モードへの切り替りの直後の第1の所定期間を除く該圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの供給量を規定する操作量の、該複数種類の燃料についての組である操作量群を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて所定の第1制御則により決定する手段と、前記第1の所定期間における前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記所定の第1制御則により決定される前記操作量群である通常操作量群のうちの少なくとも1つの操作量を補正してなる補正操作量群を決定する手段とを備えると共に、該補正操作量群を決定する手段は、該補正操作量群により規定される前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合を、前記所定の第1制御則により決定される通常操作量群により規定される割合よりも増加させるように、前記補正操作量群を決定する手段であり、前記第1の所定期間における前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には前記圧縮着火運転モード用制御処理手段で決定された補正後操作量群に応じて前記燃料供給装置を制御し、前記第1の所定期間を除く前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には前記圧縮着火運転モード用制御処理手段で決定された通常操作量群に応じて前記燃料供給装置を制御するようにすることが好ましい(第5発明)。
すなわち、前記したように、火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時よりも、気筒内の温度や筒壁の温度が高くなる傾向がある。このため、運転モードが火花点火運転モードから第2中間モードを介して圧縮着火運転モードに切り替った直後は、燃焼室内の混合気の燃料の燃焼時期が適切な燃焼時期よりも早まりやすい。
この場合、前記第5発明によれば、前記第2中間モードから前記圧縮着火運転モードへの切り替りの直後の第1の所定期間における圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時と、該第1の所定期間を除く圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時とを区別し、前者の運転時には、前記第1制御則により決定される通常操作量群の少なくとも1つの操作量(少なくとも1つの種類の燃料に関する燃料供給量を規定する操作量)を補正してなる前記補正操作量群に応じて前記燃料供給装置が制御される。また、後者の運転時には、前記第1制御則により決定される通常操作量群に応じて前記燃料供給装置が制御される。そして、前記補正操作量群は、それにより規定される前記複数種類の燃料の総量(各種類の燃料の総和)に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合を、前記所定の第1制御則により決定される通常操作量群により規定される割合よりも増加させるように決定される。
このため、前記第1の所定期間における圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に、各燃焼サイクル毎に燃焼室に充填される混合気の燃料(複合燃料)の着火性を、前記通常操作量群に応じて燃料供給装置を制御する通常の場合よりも低くすることができる。その結果、運転モードが火花点火運転モードから第2中間モードを介して圧縮着火運転モードに切り替った直後において、燃料の着火時期が早期化するのを防止して、適切な燃焼時期で燃料(複合燃料)の自着火燃焼を行うことができる。
また、以上説明した第1〜第5発明では、前記第1中間モードから前記火花点火運転モードへの切り替りの直後の第2の所定期間を除く該火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記燃焼室内の混合気の点火時期を規定する点火時期操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて所定の第2制御則により決定して、該点火時期操作量に応じて前記内燃機関に備えた点火プラグを制御し、且つ、前記第2の所定期間における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記所定の第1制御則により決定される点火時期操作量である通常点火時期操作量を補正してなる補正点火時期操作量を決定して、該補正点火時期操作量に応じて前記点火プラグを制御する火花点火運転モード用点火時期制御手段を備え、該点火時期制御手段は、前記第2の所定期間における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記補正点火時期操作量により規定される点火時期が前記通常点火時期操作量により規定される点火時期よりも遅角側の点火時期になるように前記補正点火時期操作量を決定することが好ましい(第6発明)。
すなわち、圧縮着火運転モードから火花点火運転モードへの移行の際には、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に供給されて、内燃機関の気筒の吸気ポートなどに付着・残留する燃料の影響で、第1中間モードから火花点火運転モードへの切り替りの直後における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時に、燃焼室に充填される混合気の空燃比が理論空燃比よりもリッチ化する傾向がある。ひいては、内燃機関の出力トルクが目標とするトルクよりも大きくなる傾向がある。
この場合、第6発明によれば、前記第1中間モードから前記火花点火運転モードへの切り替りの直後の第2の所定期間における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時と、該第2の所定期間を除く火花点火運転モードでの内燃機関の運転時とを区別し、前者の運転時には、前記第2制御則により決定される通常点火時期操作量を補正してなる補正点火時期操作量に応じて前記点火プラグが制御される。また、後者の運転時には、前記第2制御則により決定される通常点火時期操作量に応じて前記点火プラグが制御される。そして、前記補正点火時期操作量は、それにより規定される点火時期が、通常点火時期操作量により規定される点火時期よりも遅角側の点火時期になるように決定される。この結果、運転モードが圧縮着火運転モードから第1中間モードを介して火花点火運転モードに切り替った直後において、内燃機関の出力トルクが増加傾向となるのを防止し、該出力トルクを滑らかに変化させることができる。
また、本発明の内燃機関の制御装置は、前記第1発明とは別の態様として、気筒の燃焼室に充填された混合気を圧縮することによって該混合気の燃料を自着火燃焼させる圧縮着火運転モードと、該混合気の燃料を火花点火によって着火燃焼させる火花点火運転モードとで運転可能であると共に、前記燃焼室にオクタン価が互いに異なる複数種類の燃料を供給可能な内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関の運転モードを圧縮着火運転モードから火花点火運転モードに移行させるときにその両運転モードの間に介在させる第1中間モードと、前記内燃機関の運転モードを火花点火運転モードから圧縮着火運転モードに移行させるときにその両運転モードの間に介在させる第2中間モードとを備え、前記第1中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合を調整し、且つ、前記第2中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合を調整する中間モード制御手段を備えたことを特徴とする(第7発明)。
この第7発明によれば、内燃機関の運転モードとして、前記圧縮着火運転モードおよび火花点火運転モードに加えて、前記第1中間モードと第2中間モードとを備える。そして、前記第1中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量(各種類の燃料の供給量の総和)に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合が調整される。このため、前記圧縮着火運転モードから火花点火運転モードへの移行の際に、それらの運転モードの間に介在する第1中間モードにおいて、前記混合気の燃料、すなわち、前記複数種類の燃料からなる複合燃料の着火性を、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転に適した着火性から、火花点火運転モードでの内燃機関の運転に適した着火性に円滑に変化させることができる。また、第2中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合が調整される。このため、前記火花点火運転モードから圧縮着火運転モードへの移行の際に、それらの運転モードの間に介在する第2中間モードにおいて、前記混合気の複合燃料の着火性を、火花点火運転モードでの内燃機関の運転に適した着火性から、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転に適した着火性に円滑に変化させることができる。
この結果、圧縮着火運転モードと火花点火運転モードとの間での運転モードの切り替えの際に、内燃機関の出力トルクの変動などを抑制し、その切り替えを円滑に行なうことができる。
この第7発明では、より具体的には、前記圧縮着火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む圧縮着火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する圧縮着火運転モード用制御処理手段と、
前記火花点火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む火花点火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する火花点火運転モード用制御処理手段とを備え、
前記中間モード制御手段は、前記第1中間モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、各種類の燃料毎に各別に、前記圧縮着火運転モードの終了時に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量から、該第1中間モードでの内燃機関の運転中に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第1パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記内燃機関に備えた燃料供給装置を制御する手段と、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、各種類の燃料毎に各別に、前記火花点火運転モードの終了時に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量から、該第2中間モードでの内燃機関の運転中に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第2パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記燃料供給装置を制御する手段とを備え、
前記第1中間モードでの内燃機関の運転時における前記所定の第1パターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなり、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時における前記所定の第2パターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなることが好ましい(第8発明)。
前記火花点火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む火花点火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する火花点火運転モード用制御処理手段とを備え、
前記中間モード制御手段は、前記第1中間モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、各種類の燃料毎に各別に、前記圧縮着火運転モードの終了時に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量から、該第1中間モードでの内燃機関の運転中に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第1パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記内燃機関に備えた燃料供給装置を制御する手段と、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、各種類の燃料毎に各別に、前記火花点火運転モードの終了時に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量から、該第2中間モードでの内燃機関の運転中に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第2パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記燃料供給装置を制御する手段とを備え、
前記第1中間モードでの内燃機関の運転時における前記所定の第1パターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなり、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時における前記所定の第2パターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなることが好ましい(第8発明)。
この第8発明によれば、前記第1中間モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への各種類の燃料の実際の燃料供給量を規定する制御用操作量が、前記圧縮着火運転モードの終了時に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量から、それぞれ各別の第1パターンで変化しつつ、前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の燃料供給量に関する操作量に追従するように決定されることとなる。そして、この場合、前記第1のパターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなる。このように各種類の燃料毎の第1のパターンを適切に定めておくことによって、第1中間モードでの内燃機関の運転時に、各燃焼サイクル毎に燃焼室に充填される混合気の燃料(複合燃料)の着火性を前記第7発明の如く変化させることができる。
また、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時には、前記燃焼室への各種類の燃料の実際の燃料供給量を規定する制御用操作量が、前記火花点火運転モードの終了時に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量から、それぞれ各別の第2パターンで変化しつつ、前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の燃料供給量に関する操作量に追従するように決定されることとなる。そして、この場合、前記第2のパターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなる。このように各種類の燃料毎の第2のパターンを適切に定めておくことによって、第2中間モードでの内燃機関の運転時に、各燃焼サイクル毎に燃焼室に充填される混合気の燃料(複合燃料)の着火性を前記第7発明の如く変化させることができる。
補足すると、この第8発明においては、前記第1中間モードにおける燃焼室への燃料供給時期に関しては、例えば、該第1中間モードでの内燃機関の運転時に前記火花点火運転モード用制御手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給時期に関する操作量に応じて前記燃料供給装置による燃料供給時期を制御するようにすればよい。
また、前記第2中間モードにおける燃焼室への燃料供給時期に関しては、例えば、該第2中間モードでの内燃機関の運転時に前記圧縮着火運転モード用制御手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給時期に関する操作量に応じて前記燃料供給装置による燃料供給時期を制御するようにすればよい。
また、前記各中間モードにおける点火時期の制御に関しては、例えば、前記火花点火運転モード用制御処理手段により、前記火花点火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室内の混合気の点火時期を規定する点火時期操作量をさらに含む火花点火運転モード用操作量を決定するようにしておく。そして、各中間モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室内の混合気の実際の点火時期を規定する制御用点火時期操作量を、該中間モードでの内燃機関の運転中に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火着火運転モード用操作量のうちの前記点火時期操作量から所定の第3パターンで変化させつつ該点火時期操作量に追従させるように決定し、この決定した制御用点火時期操作量に応じて内燃機関に備えた点火プラグを制御することが好ましい。この場合、上記第3パターンは、第1中間モードと第2中間モードとで各別に定めておくことが望ましい。
また、圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量に応じて前記燃料供給装置を制御すればよい。さらに、火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量に応じて前記燃料供給装置(あるいは燃料供給装置および点火プラグ)を制御すればよい。
前記第8発明においては、前記第5発明と同様の理由によって、前記圧縮着火運転モード用制御処理手段は、前記第2中間モードから前記圧縮着火運転モードへの切り替りの直後の第1の所定期間を除く該圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの供給量を規定する操作量の、該複数種類の燃料についての組である操作量群を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて所定の第1制御則により決定する手段と、前記第1の所定期間における前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記所定の第1制御則により決定される前記操作量群である通常操作量群のうちの少なくとも1つの操作量を補正してなる補正操作量群を決定する手段とを備えると共に、該補正操作量群を決定する手段は、該補正操作量群により規定される前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合を、前記所定の第1制御則により決定される通常操作量群により規定される割合よりも増加させるように、前記補正操作量群を決定する手段であり、
前記第1の所定期間における前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には前記圧縮着火運転モード用制御処理手段で決定された補正後操作量群に応じて前記燃料供給装置を制御し、前記第1の所定期間を除く有すると共に、前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には前記圧縮着火運転モード用制御処理手段で決定された通常操作量群に応じて前記燃料供給装置を制御するようにすることが好ましい(第9発明)。
前記第1の所定期間における前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には前記圧縮着火運転モード用制御処理手段で決定された補正後操作量群に応じて前記燃料供給装置を制御し、前記第1の所定期間を除く有すると共に、前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には前記圧縮着火運転モード用制御処理手段で決定された通常操作量群に応じて前記燃料供給装置を制御するようにすることが好ましい(第9発明)。
この前記第9発明によれば、第5発明と同様に、前記第2中間モードから前記圧縮着火運転モードへの切り替りの直後の第1の所定期間における圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時と、該第1の所定期間を除く圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時とを区別し、前者の運転時には、前記第1制御則により決定される通常操作量群の少なくとも1つの操作量(少なくとも1つの種類の燃料に関する燃料供給量を規定する操作量)を補正してなる前記補正操作量群に応じて前記燃料供給装置が制御される。また、後者の運転時には、前記第1制御則により決定される通常操作量群に応じて前記燃料供給装置が制御される。そして、前記補正操作量群は、それにより規定される前記複数種類の燃料の総量(各種類の燃料の総和)に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合を、前記所定の第1制御則により決定される通常操作量群により規定される割合よりも増加させるように決定される。
このため、前記第1の所定期間における圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に、各燃焼サイクル毎に燃焼室に充填される混合気の燃料(複合燃料)の着火性を、前記通常操作量群に応じて燃料供給装置を制御する通常の場合よりも低くすることができる。その結果、運転モードが火花点火運転モードから第2中間モードを介して圧縮着火運転モードに切り替った直後において、燃料の着火時期が早期化するのを防止して、適切な燃焼時期で燃料(複合燃料)の自着火燃焼を行うことができる。
また、前記第7〜第9発明においては、前記第6発明と同様の理由によって、前記第1中間モードから前記火花点火運転モードへの切り替りの直後の第2の所定期間を除く該火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記燃焼室内の混合気の点火時期を規定する点火時期操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて所定の第2制御則により決定して、該点火時期操作量に応じて前記内燃機関に備えた点火プラグを制御し、且つ、前記第2の所定期間における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記所定の第1制御則により決定される点火時期操作量である通常点火時期操作量を補正してなる補正点火時期操作量を決定して、該補正点火時期操作量に応じて前記点火プラグを制御する火花点火運転モード用点火時期制御手段を備え、該点火時期制御手段は、前記第2の所定期間における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記補正点火時期操作量により規定される点火時期が前記通常点火時期操作量により規定される点火時期よりも遅角側の点火時期になるように前記補正点火時期操作量を決定することが好ましい(第10発明)。
この第10発明によれば、第6発明と同様に、前記第1中間モードから前記火花点火運転モードへの切り替りの直後の第2の所定期間における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時と、該第2の所定期間を除く火花点火運転モードでの内燃機関の運転時とを区別し、前者の運転時には、前記第2制御則により決定される通常点火時期操作量を補正してなる補正点火時期操作量に応じて前記点火プラグが制御される。また、後者の運転時には、前記第2制御則により決定される通常点火時期操作量に応じて前記点火プラグが制御される。そして、前記補正点火時期操作量は、それにより規定される点火時期が、通常点火時期操作量により規定される点火時期よりも遅角側の点火時期になるように決定される。この結果、運転モードが圧縮着火運転モードから第1中間モードを介して火花点火運転モードに切り替った直後において、内燃機関の出力トルクが増加傾向となるのを防止し、該出力トルクを滑らかに変化させることができる。
本発明の一実施形態を図1〜図30を参照して説明する。まず、図1を参照して本実施形態の予混合圧縮着火エンジンの制御装置の全体的なシステム構成を説明する。図1はそのシステム構成の概略を示す図である。
図1中、1は内燃機関、2は制御装置である。内燃機関1は、複数の気筒3を有する内燃機関、例えば4気筒の内燃機関である。なお、図1では、内燃機関1の1気筒分の概略構造だけを代表的に図示している。
この内燃機関1は、各気筒3の燃焼室内の混合気を圧縮することによって該混合気の燃料を自着火燃焼させる圧縮着火燃焼運転モードと、前記混合気の燃料を火花点火によって着火燃焼させる火花点火燃焼運転モードとで運転可能な内燃機関である。本実施形態では、この内燃機関1は、図示しない車両の推進力発生源として該車両に搭載される。
各気筒3は、シリンダブロックおよびシリンダヘッドなどから構成される機関基体4内に形成されている。各気筒3には、その内部を該気筒3の軸心方向に往復動自在なピストン5が収容され、このピストン5の上側(シリンダヘッド側)の空間が燃焼室6として形成されている。各ピストン5は、コンロッド7を介して内燃機関1の出力軸であるクランク軸8に連結され、各気筒3のピストン5の往復動に伴いクランク軸8が回転するようになっている。
各気筒3の燃焼室6は、吸気バルブ9により開閉される吸気ポート10を介して吸気マニホールド11に連通していると共に、排気バルブ12により開閉される排気ポート13を介して排気マニホールド14に連通している。本実施形態では、吸気バルブ9および排気バルブ12は、クランク軸8の回転に連動するカムシャフトを有するバルブ駆動機構(図示省略)を介して開閉駆動される。
各気筒3に対応する吸気マニホールド11は、全ての気筒3について共通の吸気路15に合流している。そして、この吸気路15には、電動式のスロットル弁16が設けられ、このスロットル弁16の開度を制御することによって、各気筒3への空気の吸気量(空気供給量)が操作されるようになっている。
各気筒3に対応する排気マニホールド14は、全ての気筒3について共通の排気路24に合流しており、各気筒3で生成される排ガスは、該排気路24に設けられた浄化触媒(図示省略)を介して排出されるようになっている。
また、内燃機関1には、各気筒3毎に、2つの燃料噴射装置17,18が備えれられている。本実施形態では、これらの燃料噴射装置17,18により、本発明における燃料供給装置が構成される。本実施形態では、各気筒3の燃焼室7で燃焼させる燃料は、オクタン価が互いに異なる(ひいては着火性が互いに異なる)2種類の燃料、すなわち、低オクタン価燃料及び高オクタン価燃料からなる複合燃料である。そして、燃料噴射装置17は、低オクタン価燃料用の噴射装置、燃料噴射装置18は、高オクタン価燃料用の噴射装置である。この場合、燃料噴射装置17は、ポート噴射型のものであり、各気筒3に対応する吸気ポート10に向かって低オクタン価燃料を噴射するように、吸気マニホールド11に装着されている。また、燃料噴射装置18は、直噴型のものであり、各気筒3の燃焼室6に直接的に高オクタン価燃料を噴射するように、機関基体4(シリンダヘッドの部分)に装着されている。
これらの燃料噴射装置17,18にはそれぞれ図示を省略する燃料タンクから、低オクタン価燃料、高オクタン価燃料が圧送されるようになっている。そして、これらの燃料噴射装置17,18は、それぞれの燃料の噴射時間(噴射弁の開弁時間)を制御可能であり、その噴射時間の制御によって、各気筒3に対する各種類の燃料の供給量(1燃焼サイクル当たりの供給量)を調整することが可能となっている。従って、各気筒3毎の燃料噴射装置17,18によって、各気筒3の燃焼室6にオクタン価が異なる2種類の燃料(低オクタン価燃料および高オクタン価燃料)を各気筒3毎且つ各種類の燃料毎に供給可能となっていると共に、それらの2種類の燃料の供給量を、各気筒3毎に且つ各種類の燃料毎に調整可能となっている。なお、燃料噴射装置17,18は、各種類の燃料の噴射時期も制御可能である。
また、内燃機関1は、各気筒3毎に点火プラグ30を備えている。この点火プラグ30は、その電極を燃焼室6に臨ませて、機関基体4(シリンダヘッドの部分)に装着されている。
以上のように構成されている内燃機関1では、圧縮着火運転モード(以下、HCCIモードという)においては、各気筒3の各燃焼サイクルの所要のタイミングで、該気筒3に対応する燃料噴射装置17,18からそれぞれ低オクタン価燃料および高オクタン価燃料を噴射することによって、それらの2種類の燃料が各気筒3の燃焼室6に供給される。そして、それらの2種類の燃料から成る複合燃料と該気筒3の吸気行程で燃焼室6内に充填される空気との混合気が該気筒3の圧縮行程で圧縮される。その圧縮により、該混合気が高温になって複合燃料の自着火燃焼が行なわれる。なお、このHCCIモードでは、各気筒3の混合気の空燃比は、理論空燃比よりもリーンとなる空燃比である。
また、火花点火運転モード(以下、SIモードという)においては、上記と同様に各気筒3の燃焼室6内の混合気が該気筒3の圧縮行程で圧縮される。そして、その圧縮された混合気の燃料(複合燃料)が、点火プラグ30から発せられる点火火花によって、着火燃焼する。なお、このSIモードでは、各気筒3の混合気の空燃比は、理論空燃比近傍の空燃比である。
補足すると、低オクタン価燃料は、高オクタン価燃料に比べて着火性が高いので、各気筒3に供給する両燃料の総量に対して、低オクタン価燃料の供給量(噴射量)の割合をより多くすることで、該気筒3における混合気の燃料(複合燃料)の着火性が高まることとなる。また、高オクタン価燃料は、低オクタン価燃料に比べて着火性が低いので、各気筒3に供給する両燃料の総量に対して、高オクタン価燃料の供給量(噴射量)の割合をより多くすることで、該気筒3における混合気の燃料(複合燃料)の着火性が低下することとなる。従って、HCCIモードでの内燃機関1の運転時には、各気筒3の燃焼室6への高オクタン価燃料の供給量と低オクタン価燃料の供給量との割合を調整することによって、該気筒3における混合気の燃焼時期を各気筒3毎に調整することが可能である。
なお、本実施形態では、高オクタン価燃料として例えばエタノールが使用される。また、低オクタン価燃料として、例えばガソリン、またはジエチルエーテルが使用される。
また、内燃機関1には、上記した構成のほか、クランク軸8の回転角度に応じたパルス信号を出力するクランク角センサ19と、HCCIエンジン1の吸気圧PBA(絶対圧)を検出する吸気圧センサ20と、各気筒3の燃焼室6での混合気の燃焼時に流れるイオン電流を検出するイオン電流センサ21と、各気筒3で燃焼した混合気の空燃比を検出する空燃比センサ31とが備えらている。
クランク角センサ19は、クランク軸8が所定角度、回転する毎に、パルス信号を制御装置2に出力するセンサである。該パルス信号は、制御装置2において、クランク軸8の回転角度(ある基準位置からの回転角度。以下、クランク角という)や該クランク軸8の回転数(回転速度)を検出するために使用される。
吸気圧センサ20は、前記スロットル弁16の下流側(前記吸気マニホールド11の合流箇所の近傍)で吸気路15に装着されており、その箇所での吸気路15内の圧力PBA(絶対圧)をHCCIエンジン1の吸気圧として検出し、その検出信号を制御装置2に出力する。
補足すると、この吸気圧センサ20が検出する吸気圧PBAは、本発明における吸気状態量(各気筒3の燃焼室6への空気供給量を規定する状態量)としての意味を持つ。従って、吸気圧センサ20は、本発明における吸気状態量検出手段として機能するものである。なお、吸気圧センサ20の代わりに、エアフローセンサを使用し、それにより検出される空気流量を吸気状態量として使用してもよい。
イオン電流センサ21は、各気筒3毎に備えられ、機関基体4と電気的に絶縁した状態で各気筒3の燃焼室6に先端部を突出させた導電性のプローブ22とこのプローブ22に接続された信号生成部23とから構成される。この例では、プローブ22は、点火プラグ30と一体に設けられている。そして、信号生成部23は、各気筒3の燃焼室6での混合気の燃焼時に発生するイオンによってプローブ22に電流に応じた電圧信号Vionをイオン電流の検出信号として制御装置2に出力するようになっている。なお、プローブ22の代わりに、点火プラグ30の電極を使用してもよい。
ここで、各気筒3の燃焼室6での混合気の燃焼時にイオン電流センサ21で検出されるイオン電流の波形は、あるクランク角でピーク(最大値)を持つような波形となり、そのピークにおけるクランク角(以下、イオン電流ピーククランク角CA_ionmaxという)は、混合気の実際の燃焼時期と一定の相関性を有する。すなわち、混合気の燃焼時の熱発生率(単位クランク角当たりの発生熱量)が最大となるクランク角と、イオン電流ピーク角CA_ionmaxとの間には、線形な関係が成立する。そこで、本実施形態では、イオン電流センサ21で検出されるイオン電流が最大値となるイオン電流ピーククランク角CA_ionmaxを実際の燃焼時期を代表する指標として用いる。そして、該イオン電流センサ21の出力は、制御装置2において、上記イオン電流ピーククランク角CA_ionmaxを検出するために使用される。
補足すると、燃焼時期を代表する指標として使用可能なものは、イオン電流ピーククランク角CA_ionmaxに限られるものではない。例えば、イオン電流がある所定値を超えるクランク角もしくは時刻、あるいは気筒3内の圧力(筒内圧)がピーク値となるようなクランク角もしくは時刻、あるいは該筒内圧が所定値を越えるクランク角もしくは時刻を燃焼時期を代表する指標として用いてもよい。また、燃焼時期を例えばレーザを使用して推定することも可能である。
空燃比センサ31は、内燃機関1の各気筒3毎の排気マニホールド14の集合箇所の近傍で前記排気路24に装着されている。この空燃比センサ31は、排気中の酸素濃度に感応し、その酸素濃度によって表される空燃比A/F(これは各気筒3の燃焼室6で燃焼した混合気の空燃比に相当する)に応じた検出信号を出力する。本実施形態では、該空燃比センサ31は、所謂、広域空燃比センサであり、空燃比の変化に対してほぼリニアな出力特性を有する。
制御装置2はCPU、RAM、ROMなどを含む電子回路ユニットである。この制御装置2には、前記クランク角センサ19、吸気圧センサ20、イオン電流センサ21、および空燃比センサ31の出力が入力される他、内燃機関1を搭載した車両のアクセルペダル(図示省略)の操作量AP(踏み込み量)を検出するアクセルセンサ32の出力が入力される。また、図示を省略する種々のセンサから、内燃機関1の機関温度(冷却水温もしくは油温)や、吸気温度(前記吸気路15に導入される空気温度)、大気圧などの検出信号が入力されるようになっている。
図2は、この制御装置2は、概略構成を示すブロック図である。図示の如く、制御装置2は、インターフェース回路33、演算処理部34、およびドライバ回路35を有する。
上記したクランク角センサ19などの各センサの出力は、インターフェース回路(I/F回路)33を介して制御装置2に取り込まれ、演算処理部34に与えられる。
演算処理部34は、CPU、RAM、ROMを有するマイクロコンピュータにより構成され、インターフェース回路33からの入力データや、あらかじめROMに記憶保持されたプログラムおよび参照データ(マップ、テーブルなど)に基づいて、各気筒3毎の燃料噴射装置17,18の動作(燃料噴射量と燃料噴射時期とに関する動作)、点火プラグ30の動作(火花放電の発生時期と通電量とに関する動作)、並びに、スロットル弁16の動作(スロットル弁16の開度に関する動作)を規定する操作量(制御入力)を決定する。そして、制御装置2は、その操作量によって、ドライバ回路35を介して各燃料噴射装置17,18の動作と点火プラグ30の動作とスロットル弁16の動作とを制御するようにしている。なお、図2のドライバ回路35は、実際には、各燃料噴射装置17,18、各点火プラグ30、およびスロットル弁16のそれぞれに対応する複数のドライバ回路から構成される。
演算処理部34は、プログラム等により実現される主要な処理機能として、運転モード決定部40、HCCI制御処理部41、SI制御処理部42、出力決定処理部43、およびスロットル制御処理部44を備える。
運転モード決定部40は、内燃機関1の運転モードを内燃機関1の運転状態に応じて決定する処理を実行するものである。ここで、本実施形態では、運転モード決定部40が決定する内燃機関1の運転モードは、詳細は後述するが、前記HCCIモードとSIモードのほか、さらに、HCCIモードからSIモードへの移行時にそれらの運転モードの間に一時的に介在させる第1中間モードと、SIモードからHCCIモードへの移行時にそれらの運転モードの間に一時的に介在させる第2中間モードとを有する。
HCCI制御処理部41は、内燃機関1を前記HCCIモードで運転させる場合における操作量(制御入力)であるHCCIモード用操作量(制御入力)を内燃機関1の運転状態などに応じて決定する処理を実行するものである。そのHCCIモード用操作量は、各燃料噴射装置17,18の動作を規定する複数の操作量から構成される。
SI制御処理部42は、内燃機関1を前記SIモードで運転させる場合における操作量(制御入力)であるSIモード用操作量(制御入力)を内燃機関1の運転状態などに応じて決定する処理を実行するものである。そのSIモード用操作量は、各気筒3毎の燃料噴射装置17,18の動作と点火プラグ30の動作とを規定する複数の操作量から構成される。
出力決定処理部43は、HCCI制御処理部41で決定されたHCCIモード用操作量と、SI制御処理部42で決定されたSIモード用操作量と、運転モード決定部40で決定された運転モードとを基に、内燃機関1の運転を実際に制御するために使用する制御用操作量を決定する処理を実行するものである。その制御用操作量は前記燃料噴射装置17,18の動作と前記点火プラグ30の動作とを規定する操作量とから構成される。本実施形態では、出力決定処理部43は、運転モードがHCCIモードであるときには、HCCIモード用操作量をそのまま制御用操作量として決定し、SIモードであるときには、SIモード用操作量をそのまま制御用操作量として決定する。また、出力決定処理部43は、運転モードが第1中間モードまたは第2中間モードであるときには、HCCIモード用操作量とSIモード用操作量とから制御用操作量を決定する。
スロットル制御処理部44は、スロットル弁16の動作を制御するために使用する制御用操作量を、前記運転モード決定部40で決定された運転モードと内燃機関1の運転状態とに応じて決定する処理を実行するものである。
従って、制御装置2は、出力決定処理部43で決定された制御用操作量によって、各気筒3毎の燃料噴射装置17,18と点火プラグ30の動作を制御する。さらに、制御装置2は、スロットル制御処理部44で決定された制御用操作量によって、スロットル弁16の動作を制御する。
なお、制御装置2の演算処理部34は、その制御処理のために、前記クランク角センサ19の出力(パルス信号)を基に、クランク角を逐次検出する処理と、クランク軸8の回転数NEを検出する処理も実行する。また、演算処理部34は、検出したクランク角と、前記イオン電流センサ21の出力とを基に、各気筒3毎の前記イオン電流ピーククランク角CA_ionmaxを検出する処理も実行する。この場合、例えば、次のような処理によりCA_ionmaxを検出すればよい。すなわち、各気筒3での混合気の燃焼時に、前記クランク角センサ19の出力から検出されるクランク角の値と、イオン電流センサ21の出力から検出されるイオン電流の値との組を逐次取り込んで、時系列的に記憶保持する。そして、その時系列から、イオン電流ピーククランク角CA_ionmaxを検出する。
さらに、演算処理部34は、アクセルセンサ32の出力などを基に、内燃機関1の出力トルクの目標値である目標トルクTdを決定する処理も実行する。なお、目標トルクTdは、内燃機関1の負荷を表す指標としての意味を持つ。
次に、図3〜図28を参照して、制御装置2の演算処理部34の制御処理機能を詳細に説明する。
図3は、運転モード決定部40による運転モードの決定の仕方を説明するための図である。運転モード決定部40には、制御装置2で検出する内燃機関1の回転数NE(最新値)と、制御装置2で決定した目標トルクTd(最新値)とが内燃機関1の運転状態を示す指標として逐次入力される。そして、運転モード決定部40は、それらの回転数NEおよび目標トルクTdの組に応じて運転モードを決定する。
図3を参照して、本実施形態では、内燃機関1の回転数NE(検出値)と目標トルクTdとの組が、図中の外枠A内に存する状態で内燃機関1の運転が行なわれる。そして、運転モード決定部40は、基本的には、この外枠A内で、上側の境界線aと下側の境界線bと外枠Aとで囲まれた部分に設定された領域B内に回転数NEと目標トルクTdとの組が存在するものとなる内燃機関1の運転状態において、運転モードをHCCIモード(図3ではこれをmode=0としている)に決定する。領域Aは、内燃機関1をHCCIモードで運転させた場合に、各気筒3の燃焼室6の混合気の圧縮による自着火燃焼を安定に行なうことができる、過大な燃焼音が発生しない、排気中の窒素酸化物(NOx)の量が十分に小さくなるなどの条件を満たすようにあらかじめ実験的に設定された領域の例である。この場合、境界線a,bは、それぞれHCCIモードでの運転時に回転数NEを一定に維持した場合における高負荷側(目標トルクTdが高トルクとなる側)の限界、低負荷側(目標トルクTdが低トルクとなる側)の限界を示している。
そして、運転モード決定部40は、基本的には、領域Bの外側の、外枠A内の領域Cに回転数NEと目標トルクTdとの組が存在するものとなる内燃機関1の運転状態において、運転モードをSIモード(図3ではこれをmode=2としている)に決定する。
ただし、運転モード決定部40は、回転数NEと目標トルクTdとの組が、領域Bから領域Cに変化したときには、運転モードを一時的に第1中間モード(図3ではこれをmode=1としている)に決定し、この第1中間モードを介して運転モードをHCCIモードからSIモードに移行させる。また、運転モード決定部40は、上記と逆に、回転数NEと目標トルクTdとの組が、領域Cから領域Bに変化したときには、運転モードを一時的に第2中間モード(図3ではこれをmode=3としている)に決定し、この第2中間モードを介して運転モードをSIモードからHCCIモードに移行させる。
なお、本実施形態では、運転モード決定部40は、前記第1中間モードおよび第2中間モードでは、詳細を後述するスロットル制御処理部44で決定される目標吸気圧と、前記吸気圧センサ20で検出される吸気圧PBAとの差が所定の設定値以下となった時(該差がほぼ0になった時)に、第1中間モードからSIモードへの運転モードの切り替え、あるいは、第2中間モードからHCCIモードへの運転モードの切り替えを行なう。
このことは、各気筒3の燃焼室6への実際の吸気量(空気供給量)が各中間モードに続く運転モードであるSIモードまたはHCCIモードでの内燃機関1の運転を行なうときに目標とする吸気量にほぼ一致した状態で、運転モードを各中間モードからSIモードまたはHCCIモードに切り替えることを意味する。
ただし、第1中間モードからSIモードへの運転モードの切り替え、あるいは、第2中間モードからHCCIモードへの運転モードの切り替えを行なうタイミングは、前記イオン電流センサ21の出力や、各気筒3の燃焼室6内の圧力を検出するセンサ(筒内圧センサ)の出力に基づいて判断するようにすることも可能である。
補足すると、前記領域Aは、HCCIモードでの内燃機関1の運転を安定に行い得る実際の限界に対して、余裕を持った領域、換言すれば、その領域を多少逸脱しても、HCCIモードでの内燃機関1の運転を安定に行い得るような領域に設定しておくことが望ましい。また、領域Aの境界付近での内燃機関1の運転時に、運転モードが頻繁に切り替るのを防止するために、領域Aの境界線a,bにヒステリシス特性を持たせるようにしてもよい。あるいは、運転モードが切り替った時には、ある一定時間、運転モードの切り替えを禁止するようにしてもよい。あるいは、アクセルペダルの踏み込み量に応じた要求トルクに対して、目標トルクTdを遅れを伴って追従させるようにして、目標トルクTdが急激に変化しないようにしてもよい。
図4は、前記スロットル制御処理部44の制御処理機能を示す機能ブロック図である。該スロットル制御処理部44の制御処理は、クランク軸8の所定の回転角度毎に逐次実行される。このスロットル弁制御処理部44には、内燃機関11の回転数NEの検出値(最新値)と、目標トルクTd(最新値)と、前記吸気圧センサ20で検出された吸気圧PBA(最新値)と、前記運転モード決定部40で決定された運転モードとが逐次入力される。
そして、スロットル弁制御処理部44は、まず、入力されたNE,Td(これは内燃機関1の運転状態を表す指標である)から、処理部83にて、内燃機関1の吸気圧の目標値である目標吸気圧PBA_objを決定する。この場合、処理部83は、入力された運転モードに応じて、図5または図6に例示するマップを選択し、その選択したマップに基づいて、入力されたNE,Tdから(換言すれば内燃機関1の現在の運転状態に応じて)、PBA_objを決定する。
この場合、処理部83は、入力された運転モードがHCCIモードである場合または第2中間モードである場合には、図5のマップを使用し、入力された運転モードがSIモードまたは第1中間モードである場合には、図6のマップを使用する。図5のマップは、HCCIモードでの内燃機関1の運転を行なったとした場合に、回転数NEなどが一定となる定常運転状態で、内燃機関1の運転状態が最適な運転状態(各気筒3での混合気の燃焼が高い安定性で且つ高効率で行なわれるような運転状態)となるように、実験的に設定されたものである。また、図6のマップは、SIモードでの内燃機関1の運転を行なったとした場合に、定常運転状態で、内燃機関1の運転状態が最適な運転状態となるように、実験的に設定されたものである。
なお、これらのマップは、内燃機関1の現在の運転状態(入力されたNE,Tdの組)が、HCCIモードに対応する運転状態、またはHCCIモードとSIモードと境界付近に対応する運転状態(前記図3の境界線a,bの付近の運転状態)であるときに決定される目標吸気圧PBA_objが、図6のマップを使用した場合(運転モードがSIモードまたは第1中間モードである場合)よりも、図5のマップを使用した場合(運転モードがHCCIモードまたは第2中間モードである場合)の方が、より高い吸気圧になるように(換言すれば、各気筒3の燃焼室6への吸気量(空気供給量)がより多くなるように)設定されている。このため、運転モードがHCCIモードから第1中間モードに切り替った時には、目標吸気圧PBA_objは小さくなり(これは目標とする吸気量を減少させることを意味する)、運転モードがSIモードから第2中間モードに切り替った時には、目標吸気圧PBA_objが大きくなる(これは目標とする吸気量を増加させることを意味する)ようになっている。
補足すると、図5、図6のマップは一例であり、それらのマップは、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の種類、HCCIエンジン1の仕様などに依存して一般には、異なるものとなる。
また、図5のマップに基づいて決定される目標吸気圧PBA_objと、図6のマップに基づいて決定される目標吸気圧PBA_objとは、それぞれ、本発明における第1目標値および第2目標値に相当する。従って、処理部83は、本発明における第1目標吸気状態量決定手段および第2目標吸気状態量決定手段としての機能を有する。
スロットル弁制御処理部44は、さらに、入力された回転数NEの検出値と、上記の如く決定した目標吸気圧PBA_objとから、処理部84にて、スロットル弁16の開度の基本値である基本開度TH_obj_mapを決定する。この場合、処理部84は、入力されたNE,PBA_objから、図7に例示する如くあらかじめ設定されたマップに基づいて、TH_obj_mapを決定する。このマップでは、回転数NEが高くなるほど、あるいは、目標空気圧PBA_objが大きくなるほど、基本開度TH_obj_mapが大きな値に決定される。
上記処理部84のマップは、回転数NEと目標吸気圧PBA_objとを一定に維持した定常運転状態で、前記吸気圧センサ20により検出される実際の吸気圧PBAが、目標吸気圧PBA_objに一致するように、実験的に設定されたものである。
また、スロットル弁制御処理部44は、処理部83で決定した目標吸気圧PBA_objと、入力された吸気圧PBAの検出値との偏差ΔPBA(=PBA_obj−PB)を演算部85にて算出する。そして、スロットル弁制御処理部44は、この偏差ΔPBAから、この偏差ΔPBAを0に近づけるためのフィードバック要求操作量dTHをF/B演算部86にて算出する。該フィードバック要求操作量dTHは、偏差ΔPBAを0に近づけるように前記基本開度TH_obj_mapを補正するための補正操作量である。この場合、F/B演算部86は、比例則、PID則などのフィードバック制御則により偏差ΔPBAからフィードバック要求操作量dTHを算出する。
次いで、スロットル弁制御処理部44は、上記の如くF/B演算部86で求めたフィードバック要求操作量dTHを処理部84で決定された基本開度TH_obj_mapに、演算部87で加算することにより、スロットル弁16の目標開度TH_objを決定する。
なお、この目標開度TH_objは、前記ドライバ回路35を介してスロットル弁16のアクチュエータのアクチュエータ(図示省略)に出力される。そして、該アクチュエータによって、スロットル弁16の実際の開度が目標開度TH_objに制御される。
以上説明したスロットル弁制御処理部44の処理により、スロットル弁16の開度操作に応じた吸気圧の応答遅れを補償し、内燃機関1の実際の吸気圧PBAが該内燃機関1の運転(HCCIモードまたはSIモードでの運転)に適した目標吸気圧PBA_objになるように、スロットル弁16の目標開度TH_objが決定されることとなる。ひいては、内燃機関1の各気筒3の燃焼室6への吸気量(空気供給量)が、目標吸気圧PBA_objに相当する目標値になるように、スロットル弁16の目標開度TH_objが決定されることとなる。この場合、処理部83で使用するマップが前記した如く設定されており、また、スロットル弁16の開度や吸気量は瞬時には変化しないので、運転モードがHCCIモードから第1中間モードに切り替った時には、各気筒3の燃焼室6への吸気量(空気供給量)が徐々に減少していくこととなる。また、運転モードがSIモードから第2中間モードに切り替った時には、各気筒3の燃焼室6への吸気量(空気供給量)が徐々に増加していくこととなる。
以上が、スロットル弁制御処理部44の制御処理の詳細である。補足すると、このスロットル弁制御処理部44は、前記吸気圧センサ20と併せて、本発明における吸気制御手段を構成するものである。
図8は、前記HCCI制御処理部41の制御処理機能を示す機能ブロック図である。同図を参照して、本実施形態では、HCCI制御処理部41は、各気筒3毎の低オクタン価燃料用の燃料噴射装置17および高オクタン価燃料用の燃料噴射装置18のそれぞれの燃料噴射時間Ti_Loh,Ti_Hihを決定する燃料噴射時間制御処理部50と、各気筒3毎の低オクタン価燃料用の燃料噴射装置17および高オクタン価燃料用の燃料噴射装置18のそれぞれの燃料噴射時期CA_inj_Loh,CA_inj_Hihを決定する燃料噴射時期制御処理部51とから構成される。なお、燃料噴射時間制御処理部50および燃料噴射時期制御処理部51は、各気筒3毎に各別に備えられるが、図3では、1つの気筒3に関するものだけを代表的に図示している。
ここで、燃料噴射時間Ti_Loh,Ti_Hihは、HCCIモードで内燃機関1の運転を行なう場合に各気筒3毎の燃料噴射装置17,18による各気筒3の燃焼室6への2種類の燃料のそれぞれの供給量(噴射量)を規定する操作量(制御入力)としての意味を持つ。また、燃料噴射時期CA_inj_Loh,CA_inj_Hih(これらはクランク角での時期である)は、HCCIモードで内燃機関1の運転を行なう場合に各気筒3毎の燃料噴射装置17,18による各気筒3の燃焼室6への2種類の燃料のそれぞれの供給タイミング(噴射時期)を規定する操作量(制御入力)としての意味を持つ。HCCI制御処理部41で決定する前記HCCIモード用操作量は、これらの燃料噴射時間Ti_Loh,Ti_Hihおよび燃料噴射時期CA_inj_Loh,CA_inj_Hihから成る操作量群であり、各気筒3毎の燃料噴射装置17,18の動作を規定する操作量としての意味を持つ。
なお、燃料噴射時間Ti_Loh,Ti_Hihの代わりに、燃料供給量(噴射量)を決定するようにしてもよい。また、燃料噴射時期CA_inj_Loh,CA_inj_Hihは、必ずしもクランク角の次元で決定する必要は無く、時間(時刻)の次元で決定するようにしてもよい。
補足すると、HCCI制御処理部41は、本発明における圧縮着火運転モード用制御処理手段としての機能を持つ。
各気筒3毎の前記燃料噴射時間制御処理部50の制御処理は、該燃料噴射時間制御処理部50に対応する気筒3の燃焼サイクル(クランク軸8の2回転)に同期した所定のタイミングで次のように行なわれる。なお、以降、内燃機関1が有する複数の気筒3のうちの任意の1つの気筒3に着目し、その気筒3を参照符号3xを用いて表記する。そして、以降のHCCI制御処理部41の説明は、特にことわらない限り、その着目している任意の1つの気筒3xに関する説明であるとする。このことは、後述するSI制御処理部42の説明においても同様である。
燃料噴射時間制御処理部50は、高オクタン価燃料の基本噴射時間Ti_Hi_maphを決定する処理部53と、低オクタン価燃料の基本噴射時間Ti_Lo_maphを決定する処理部54と、これらの基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphをそれぞれ補正するための第1補正操作量K_ion_Hih,K_ion_Loh、第2補正操作量K_acc_Hih,K_acc_Loh、第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohおよび第4補正操作量Kx_Hih,Kx_Lohをそれぞれ決定するイオン電流F/B処理部55、加減速補正処理部56、SH補正処理部57、付加的補正処理部58を備える。
そして、燃料噴射時間制御処理部50は、高オクタン価燃料の基本噴射時間Ti_Hi_maphを、該高オクタン価燃料に対応する各補正操作量K_ion_Hih,K_acc_Hih,K_SH_Hih,Kx_Hihにより補正することによって気筒3xの1燃焼サイクル毎の燃料噴射時間Ti_Hihを決定する。この場合、本実施形態では、基本噴射時間Ti_Hi_maphの補正は、Ti_Hi_maphに、K_ion_Hih,K_acc_Hih,K_SH_Hih,Kx_Hihを乗じることで行なわれる。同様に、燃料噴射時間制御処理部50は、低オクタン価燃料の基本噴射時間Ti_Lo_maphを、該低オクタン価燃料に対応する各補正操作量K_ion_Loh,K_acc_Loh,K_SH_Loh,Kx_Lohにより補正することによって気筒3xの1燃焼サイクル毎の燃料噴射時間Ti_Loを決定する。この場合、本実施形態では、基本噴射時間Ti_Lo_maphの補正は、Ti_Lo_maphに、K_ion_Loh,K_acc_Loh,K_SH_Loh,Kx_Lohを乗じることで行なわれる。
なお、高オクタン価燃料に対応する各補正操作量K_ion_Hih,K_acc_Hih,K_SH_Hih,Kx_Hihは、その値が「1」よりも大きいときに、高オクタン価燃料の燃料噴射時間Ti_Hihを基本噴射時間Ti_Hi_maphよりも増加させる(ひいては気筒3xへの高オクタン価燃料の供給量をより増加させる)ように機能する。逆に、各補正操作量K_ion_Hih,K_acc_Hih,K_SH_Hih,Kx_Hihは、その値が「1」よりも小さいときに、高オクタン価燃料の燃料噴射時間Ti_Hihを基本噴射時間Ti_Hi_maphよりも減少させる(ひいては気筒3xへの高オクタン価燃料の供給量をより減少させる)ように機能する。同様に、低オクタン価燃料に対応する各補正操作量K_ion_Loh,K_acc_Loh,K_SH_Loh,Kx_Lohは、その値が「1」よりも大きいときに、低オクタン価燃料の燃料噴射時間Ti_Loを基本噴射時間Ti_Lo_maphよりも増加させる(ひいては気筒3xへの低オクタン価燃料の供給量をより増加させる)ように機能する。逆に、各補正操作量K_ion_Loh,K_acc_Loh,K_SH_Loh,Kx_Lohは、その値が「1」よりも小さいときに、低オクタン価燃料の燃料噴射時間Ti_Loを基本噴射時間Ti_Lo_maphよりも減少させる(ひいては気筒3xへの低オクタン価燃料の供給量をより減少させる)ように機能する。
以下に、処理部53〜58の処理を具体的に説明する。まず、処理部53,54でそれぞれ決定する基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphは、内燃機関1の回転数NEや目標トルクTdなどの運転状態が一定に維持される定常運転状態(HCCIモードでの定常運転状態)における気筒3xへの燃料の供給量(噴射量)を規定する基本操作量である。本実施形態では、基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphはそれぞれHCCIモードでの内燃機関11の運転状態を代表する回転数NEと目標トルクTdとからあらかじめ設定されたマップにより求められるフィードフォワード操作量である。
より具体的には、処理部53,54には、それぞれHCCIエンジン1の回転数NEの検出値(最新値)と目標トルクTd(最新値)とが入力される。そして、処理部53,54は、入力された回転数NEと目標トルクTdとから、それぞれ、図9、図10に示す如くあらかじめ設定されたマップに基づいて基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphを決定する。これらのマップは、回転数NEと目標トルクTdとを一定に維持した定常運転状態(より正確には、内燃機関1の機関温度、吸気温、大気圧などの運転環境条件がある既定の標準条件である場合の定常運転状態)で、内燃機関1の運転状態が最適な運転状態となるように、実験的に設定されたものである。これらのマップは、本実施形態では、全ての気筒3について同一である。但し、これらのマップを各気筒3毎に各別に備えるようにしてもよい。なお、図9、図10のマップは、一例であり、これらのマップは、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の種類、内燃機関1の仕様などに依存して一般には、異なるものとなる。
イオン電流F/B処理部55で決定する第1補正操作量K_ion_Hih,K_ion_Lohは、気筒3xにおける混合気の燃焼時期を所要の目標値に一致させるように、気筒3xへの低オクタン価燃料の供給量と高オクタン価燃料の供給量との割合を調整するためのフィードバック操作量である。本実施形態では、イオン電流F/B処理部55の処理では、気筒3xにおける前記イオン電流ピーククランク角CA_ionmaxを、目標とする燃焼時期に相当する目標値(以下、目標イオン電流ピーククランク角CA_ionmax_objという)に一致させるように(CA_ionmax_objとCA_ionmaxとの偏差を0に近づけるように)、第1補正操作量K_ion_Hih,K_ion_Lohが決定される。この場合、さらに、これらの第1補正操作量K_ion_Hih,K_ion_Lohは、それによる基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphの補正によって、高オクタン価および低オクタン価の燃料(気筒3xに噴射される燃料)の総発熱量が変化しないように決定される。
このような処理を行なうイオン電流F/B処理部55は、本発明における偏差応動補正手段としての機能を有するものである。
図11は、イオン電流F/B処理部55の具体的な処理機能を示す機能ブロック図である。イオン電流F/B処理部55には、内燃機関1の回転数NEの検出値(最新値)と、目標トルクTdと、前記イオン電流ピーククランク角CA_ionmaxの検出値(最新値)とが入力される。なお、イオン電流ピーククランク角CA_ionmaxは、前記したようにクランク角の検出値と、前記イオン電流センサ21の出力とから制御装置2で検出される。そして、イオン電流F/B処理部55は、まず、入力された回転速度NEと、目標トルクTdとから、目標イオン電決定部59にて、目標イオン電流ピーククランク角CA_ionmax_objを決定する。この場合、目標イオン電流決定部59は、入力されたNE,Tdから、例えば図12に例示する如くあらかじめ設定されたマップに基づいて、CA_ionmax_objを決定する。このマップは、前記図9および図10のマップと同様に、回転数NEと目標トルクTdとを一定に維持した定常運転状態で、内燃機関1の最適な運転が行なわれるように、実験的に設定されたものである。このマップは、全ての気筒3について同一でよいが、各気筒3毎に各別に備えるようにしてもよい。なお、CA_ionmax_objを決定するということは、燃焼時期の目標値を決定することと実質的に等価である。また、図12のマップは、一例であり、このマップは、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の種類、HCCIエンジン1の仕様などに依存して一般には、異なるものとなる。
次いで、イオン電流F/B処理部55は、上記の如く決定したCA_ionmax_objと、入力されたイオン電流ピーククランク角CA_ionmaxの検出値との偏差ΔCA_ionmax(=CA_ionmax_obj−CA_ionmax)を演算部60で算出する。さらに、イオン電流F/B処理部55は、この偏差ΔCA_ionmaxから、この偏差ΔCA_ionmaxを0に近づけるためのフィードバック要求操作量K_ionをF/B演算部61により算出する。この場合、本実施形態では、制御則によりK_ionを求めるためのフィードバック制御則として、例えば比例則を用いる。すなわち、F/B演算部61は、ΔCA_ionmaxに所定のゲイン(比例ゲイン)を乗じ、これに「1」を加えることでK_ionを求める。なお、ΔCA_ionmaxに所定のゲイン(比例ゲイン)を乗じたものに「1」を加えるのは、ΔCA_ionmaxが0であるときにK_ionの値を「1」にするためである。また、フィードバック制御則は、比例則に限られるものではなく、PID則などの他の制御則を使用してもよい。
本実施形態では、第1補正操作量K_ion_Hih,K_ion_Lohのうちの一方、例えば低オクタン価燃料に関する第1補正操作量K_ion_Lohを、ΔCA_ionmaxを0に近づけるための主たるフィードバック操作量とする。そこで、イオン電流F/B処理部55は、上記のようにして求めたフィードバック要求操作量K_ionをそのまま低オクタン価燃料に関する第1補正操作量K_ion_Lohとして決定する。この場合、目標イオン電流ピーククランク角CA_ionmax_objに対してイオン電流ピーククランク角CA_ionmaxの検出値が遅角しているとき(実際の燃焼時期が目標とする燃焼時期よりも遅いとき)に、第1補正操作量K_ion_Lohが「1」よりも大きくなり、且つ、CA_ionmax_objに対してCA_ionmaxの検出値が進角しているとき(実際の燃焼時期が目標とする燃焼時期よりも早いとき)に、第1補正操作量K_ion_Lohが「1」よりも小さくなるように、F/B演算部61のゲインが設定されている。
従って、実際の燃焼時期が目標とする燃焼時期よりも遅い場合に、着火性がより高い低オクタン価燃料の気筒3xへの供給量を基本噴射時間Ti_Lo_maphに応じて規定される低オクタン価燃料の供給量よりも増加させるように第1補正操作量K_ion_Lohが決定されることとなる。逆に、実際の燃焼時期が目標とする燃焼時期よりも早い場合に、着火性がより高い低オクタン価燃料の気筒3xへの供給量を基本噴射時間Ti_Lo_maphに応じて規定される低オクタン価燃料の供給量よりも減少させるように第1補正操作量K_ion_Lohが決定されることとなる。
ここで、低オクタン価燃料に関する基本噴射時間Ti_Lo_maphだけを第1補正操作量K_ion_Lohにより補正すると、その補正後の噴射時間に応じて規定される量の低オクタン価燃料と、基本噴射時間Ti_Hi_maphに応じて規定される供給量の高オクタン価燃料とを燃焼させたときの総発熱量は、基本噴射時間Ti_Lo_maph,Ti_Hi_maphに応じてそれぞれ規定される供給量の低オクタン価燃料および高オクタン価燃料を燃焼させたときの総発熱量(本来予定されていた総発熱量)から変化してしまう。そこで、本実施形態では、イオン電流F/B処理部54は、第1補正操作量K_ion_Hih,K_ion_Lohによりそれぞれ基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphを補正した場合と補正しない場合とで、気筒3xにおける低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の燃焼時の総発熱量を変化させないように、高オクタン価燃料に関する第1補正操作量K_ion_Hihを決定する。
具体的には、イオン電流F/B処理部55は、上記のように第1補正係数K_ion_L0(=K_ion)を決定した後、このK_ion_Lohと「1」との差(K_ion_Loh−1)を演算部62で求める。そして、イオン電流F/B処理部55は、基本噴射時間Ti_Lo_maphに対応して算出される低オクタン価燃料の発熱量Calo_Lo(基本噴射時間Ti_Lo_maphに応じて気筒3xに供給される低オクタン価燃料の燃焼時の発熱量)と基本噴射時間Ti_Hi_maphに対応して算出される高オクタン価燃料の発熱量Calo_Hi(基本噴射時間Ti_Hi_maphに応じて気筒3xに供給される高オクタン価燃料の燃焼時の発熱量)との比(Calo_Lo/Calo_Hi)を演算部63で上記差(K_ion_Loh−1)に乗じる。この場合、Calo_Loは、低オクタン価燃料の特性値(低位発熱量および密度)と、基本噴射時間Ti_Lo_maphにより規定される低オクタン価燃料の噴射量(気筒3xへの供給量)とから算出されるものであり、Ti_Lo_maphに比例する値である。同様に、Calo_Hiは、高オクタン価燃料の特性値(低位発熱量および密度)と、基本噴射時間Ti_Hi_maphにより規定される高オクタン価燃料の噴射量(気筒3xへの供給量)とから算出されるものであり、Ti_Hi_maphに比例する値である。
次いで、イオン電流F/B処理部55は、上記演算部63の演算結果を「1」から減じてなる値を演算部64で求め、その求めた値を高オクタン価燃料に関する第1補正操作量K_ion_Hihとして決定する。
補足すると、演算部62〜64の演算処理の全体は、K_ion_Hih=1−(K_ion_Loh−1)・Calo_Lo/Calo_Hiという演算を行なうものである。
このようにして決定されるK_ion_Hihは、K_ion_Loh>1である場合に、「1」よりも小さい値に決定され、K_ion_Loh<1である場合に、「1」よりも大きい値に決定されることとなる。従って、実際の燃焼時期が目標とする燃焼時期よりも遅い場合に、着火性がより低い高オクタン価燃料の気筒3xへの供給量を基本噴射時間Ti_Hi_maphに応じて規定される高オクタン価燃料の供給量よりも減少させるように第1補正操作量K_ion_Hihが決定されることとなる。逆に、実際の燃焼時期が目標とする燃焼時期よりも早い場合に、着火性がより低い高オクタン価燃料の気筒3xへの供給量を基本噴射時間Ti_Hi_maphに応じて規定される高オクタン価燃料の供給量よりも減少させるように第1補正操作量K_ion_Hihが決定されることとなる。
以上説明したイオン電流F/B処理部55の処理によって、前記偏差ΔCA_ionmaxを0に近づけるためのフィードバック操作量としての第1補正操作量K_ion_Loh,K_ion_Hihが決定される。この場合、これらの第1補正操作量K_ion_Loh,K_ion_Hihは、実際の燃焼時期が目標とする燃焼時期よりも遅い場合(CA_ionmax_objに対してCA_ionmaxの検出値が遅角している場合)に、第1補正操作量K_ion_Loh,K_ion_Hihによる補正後の高オクタン価燃料の供給量に対する低オクタン価燃料の供給量の割合を、基本噴射時間Ti_Lo_maph,Ti_Hi_maphに応じた高オクタン価燃料の供給量に対する低オクタン価燃料の供給量の割合よりも増加させるように決定されることとなる。また、実際の燃焼時期が目標とする燃焼時期よりも早い場合(CA_ionmax_objに対してCA_ionmaxの検出値が進角している場合)に、第1補正操作量K_ion_Loh,K_ion_Hihによる補正後の低オクタン価燃料の供給量に対する高オクタン価燃料の供給量の割合を、基本噴射時間Ti_Lo_maph,Ti_Hi_maphに応じた低オクタン価燃料の供給量に対する高オクタン価燃料の供給量の割合よりも増加させるように決定されることとなる。
また、基本噴射時間Ti_Lo_maphを第1補正操作量K_ion_Lohにより補正してなる噴射時間に応じた供給量の低オクタン価燃料の発熱量(=Calo_Lo×K_ion_Loh)と、基本噴射時間Ti_Hi_maphを第1補正操作量K_ion_Hihにより補正してなる噴射時間に応じた供給量の高オクタン価燃料の発熱量(=Calo_Hi×K_ion_Hih)との総和(総発熱量)が、Calo_LoとCalo_Hiとの総和(総発熱量)に維持されるように第1補正操作量K_ion_Loh,K_ion_Hihが決定されることとなる。
なお、本実施形態では、フィードバック要求操作量K_ionをそのまま低オクタン価燃料に関する第1補正操作量K_ion_Lohとして決定したが、K_ionをそのまま高オクタン価燃料に関する第1補正操作量K_ion_Hihとして決定するようにしてもよい。この場合には、CA_ionmax_objに対してCA_ionmaxの検出値が遅角しているとき(実際の燃焼時期が目標とする燃焼時期よりも遅いとき)に、第1補正操作量K_ion_Hihが「1」よりも小さくなり、且つ、CA_ionmax_objに対してCA_ionmaxの検出値が進角しているとき(実際の燃焼時期が目標とする燃焼時期よりも早いとき)に、第1補正操作量K_ion_Hihが「1」よりも大きくなるように、F/B演算部61のゲインを設定する。さらに、低オクタン価燃料に関する第1補正操作量K_ion_Lohは、K_ion_Loh=1−(K_ion_Hih−1)・Calo_Hi/Calo_Loという演算により決定すればよい。
また、K_ionが十分に「1」に近い場合には、K_ionをそのまま第1補正操作量K_ion_Loh,K_ion_Hihのいずれかの値として決定し、他方の値を「1」にするようにしてもよい。換言すれば、フィードバック要求操作量K_ionに応じて低オクタン価燃料および高オクタン価燃料のいずれか一方の燃料についてのみ、基本噴射時間を補正するようにしてもよい。
前記加減速補正処理部56で決定する第2補正操作量K_acc_Hih,K_acc_Lohは、内燃機関1を搭載した車両の加速時や減速時のように、内燃機関1の運転状態(具体的には回転速度NEや目標トルクTd)が変化する過渡運転状態における気筒3xでの混合気の燃焼時期を調整するために、気筒3xへの低オクタン価燃料の供給量と高オクタン価燃料の供給量の割合を調整する操作量である。ここで、前記基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphは、内燃機関1の回転数NEおよび目標トルクTdが一定に維持される定常運転状態においてHCCIエンジン1の最適な運転を行なわれるように決定されるものである。また、前記処理部53,54の処理を含めて燃料噴射時間制御処理部50の処理が実行される時刻と、該燃料噴射時間制御処理部50の処理によって最終的に決定される燃料噴射時間Ti_Hih,Ti_Loに応じて気筒3xへの実際の燃料噴射が行なわれる時刻との間には1燃焼サイクル分のずれを生じる。このため、内燃機関1の過渡運転状態では、気筒3xへの実際の燃料噴射が行なわれる時刻におけるHCCIエンジン1の回転数NEまたは目標トルクTdは、その実際の燃料噴射に係わる基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphを決定した時の回転数NEまたは目標トルクTdと完全には一致しないものとなる。ひいては、気筒3xに実際に供給される各種類の燃料の量が、その燃料の燃焼時における内燃機関1の運転状態に整合せず、実際の燃焼時期が適切な時期に対してずれを生じることとなる。その結果、内燃機関1を搭載した車両の加速時や減速時に該内燃機関1の出力トルクが大きく変動したり、ノッキングや燃焼音が発生する恐れがある。
そこで、本実施形態では、前記第2補正操作量K_acc_Hih,K_acc_Lohによって、気筒3xへの低オクタン価燃料の供給量と高オクタン価燃料の供給量の割合を調整し、内燃機関1の過渡運転状態における気筒3xでの燃焼時期のずれを補償する。この場合、本実施形態では、加減速補正処理部56は、イオン電流F/B処理部55の処理の場合と同様に、第2補正操作量K_acc_Hih,K_acc_Lohによる基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphの補正によって、高オクタン価燃料および低オクタン価燃料の総発熱量が変化しないように、第2補正操作量K_acc_Hih,K_acc_Lohを決定する。
図13は、加減速補正処理部56の具体的な処理機能を示す機能ブロック図である。加減速補正処理部56には、内燃機関1の回転数NEの検出値(最新値)と、該回転数NEの過去値NE_pと、目標トルクTdの最新値と、該目標トルクTdの過去値Td_pとが入力される。この場合、回転数NEの過去値NE_pは、例えば前回の燃焼サイクルの所定時点における値、あるいは、前回の燃焼サイクルにおける平均値などである。同様に、目標トルクTdの過去値Td_pは、例えば前回の燃焼サイクルの所定時点における値、あるいは、前回の燃焼サイクルにおける平均値などである。これらの過去値NE_p,Td_pは、図示しないメモリに記憶保持され、気筒3xの燃焼サイクル毎に更新される。
そして、加減速補正処理部56は、内燃機関1の回転数NEの検出値(最新値)と、過去値NE_pとの差(NE−NE_p)を、気筒3xの現在の燃焼サイクルにおける混合気の燃焼時から次回の燃焼サイクルにおける混合気の燃焼時にかけて期間での回転数NEの予測変化量dNE(以下、回転数予測変化量dNEという)として演算部66で算出する。また、加減速補正処理部56は、目標トルクTdの最新値と、過去値Td_pとの差(Td−Td_p)を気筒3xの現在の燃焼サイクルにおける混合気の燃焼時から次回の燃焼サイクルにおける混合気の燃焼時にかけて期間での目標トルクTdの予測変化量dTd(以下、トルク予測変化量dTdという)として演算部67で算出する。
なお、回転数予測変化量dNEは、回転数NEの過去の時系列から補間演算などによって求めるようにしてもよい。同様にトルク予測変化量dTdは、目標トルクTdの過去の時系列から補間演算などによって求めるようにしてもよい。
次いで、加減速補正処理部56は、上記の如く求めた回転数予測変化量dNEおよびトルク予測変化量dTdから、加減速補正操作量決定部68にて、第2補正操作量K_acc_Hih,K_acc_Lohのうちのいずれか一方、例えば低オクタン価燃料に関する第2補正操作量K_acc_Lohを決定する。この場合、加減速補正操作量決定部68は、入力されたdNE,dTdから、例えば図14に示す如くあらかじめ設定されたマップに基づいて、K_acc_Lohを決定する。このマップは、実験的に決定されたものである。この場合、このマップでは、低オクタン価燃料に関する基本噴射時間Ti_Lo_maphをK_acc_Lohで補正してなる噴射時間が、内燃機関1の回転数および目標トルクがそれぞれNE+dNE,Td+dTdであるときに前記図10のマップにより求められる基本噴射時間の値に近い値になるように、dNE,dTdに応じてK_acc_Lohの値が設定されている。また、dNE=dTd=0にであるときには、K_acc_Lohの値は、「1」に設定される。また、dNE>0且つdTd>0であるときには、K_acc_Lohの値は、「1」よりも大きな値に設定される。また、dNE<0且つdTd≦0であるときには、K_acc_Lohの値は、「1」よりも小さな値に設定される。
なお、図14のマップは、一例であり、このマップは、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の種類、内燃機関1の仕様などに依存して一般には、異なるものとなる。
加減速補正処理部56は、上記のように低オクタン価燃料に関する第2補正操作量K_acc_Lohを決定した後、さらに、気筒3xに供給しようとしている高オクタン価燃料および低オクタン価燃料の総発熱量が変化しないように高オクタン価燃料に関する第2補正操作量K_acc_Hihを求める処理を実行する。この処理は、前記イオン電流F/B処理部55における処理と同様である。具体的には、加減速補正処理部56は、上記の如く決定した低オクタン価燃料に関する第2補正操作量K_acc_Lohと「1」との差(K_acc_Loh−1)を演算部69で求める。そして、加減速補正処理部56は、基本噴射時間Ti_Lo_maphに対応して算出される低オクタン価燃料の発熱量Calo_Loと基本噴射時間Ti_Hi_maphに対応して算出される高オクタン価燃料の発熱量Calo_Hiとの比(Calo_Lo/Calo_Hi)を演算部70で上記差(K_acc_Loh−1)に乗じる。次いで、加減速補正処理部56は、上記演算部70の演算結果を「1」から減じてなる値を演算部71で求め、その求めた値を高オクタン価燃料に関する第2補正操作量K_acc_Hihとして決定する。従って、加減速補正処理部55は、K_acc_Hih=1−(K_acc_Loh−1)・Calo_Lo/Calo_Hiという演算によって、K_acc_Hihを決定する。このようにして決定されるK_acc_Hihは、K_acc_Loh>1である場合に、「1」よりも小さい値に決定され、K_acc_Loh<1である場合に、「1」よりも大きい値に決定されることとなる。
以上説明した加減速補正処理部56の処理によって、内燃機関1の過渡運転状態における回転数NEまたは目標トルクTdの変化が気筒3xにおける混合気の燃焼時期に及ぼす影響を補償するように、第2補正操作量K_acc_Loh,K_acc_Hihが決定される。この場合、基本噴射時間Ti_Lo_maphを第2補正操作量K_acc_Lohにより補正してなる噴射時間に応じた低オクタン価燃料の発熱量(=Calo_Lo×K_acc_Loh)と、基本噴射時間Ti_Hi_maphを第2補正操作量K_acc_Hihにより補正してなる噴射時間に応じた高オクタン価燃料の発熱量(=Calo_Hi×K_acc_Hih)との総和が、Calo_LoとCalo_Hiとの総和に維持されるように決定されることとなる。そして、これらの第2補正操作量K_acc_Loh,K_acc_Hihにより基本噴射時間Ti_Lo_maph,Ti_Hi_maphを補正することで、上記の補償がなされるように、気筒3xへの低オクタン価燃料の供給量と高オクタン価燃料の供給量との割合が調整されることとなる。
この場合、これらの第2補正操作量K_acc_Loh,K_acc_Hihは、dNE>0且つdTd>0となる状況、すなわち、HCCIエンジン1の回転数NEおよび目標トルクTdが増加していく加速運転状態では、第2補正操作量K_acc_Loh,K_acc_Hihによる補正後の高オクタン価燃料の供給量に対する低オクタン価燃料の供給量の割合を、基本噴射時間Ti_Lo_maph,Ti_Hi_maphに応じた高オクタン価燃料の供給量に対する低オクタン価燃料の供給量の割合よりも増加させるように決定されることとなる。また、dNE<0且つdTd≦0となる状況、すなわち、内燃機関1の目標トルクTdが減少したり0に維持され、回転数NEが減少していく減速運転状態では、第2補正操作量K_acc_Loh,K_acc_Hihによる補正後の低オクタン価燃料の供給量に対する高オクタン価燃料の供給量の割合を、基本噴射時間Ti_Lo_maph,Ti_Hi_maphに応じた低オクタン価燃料の供給量に対する高オクタン価燃料の供給量の割合よりも増加させるように決定されることとなる。
なお、本実施形態では、回転数予測変化量dNEおよびトルク予測変化量dTdから低オクタン価燃料に関する第2補正操作量K_acc_Lohを決定したが、高オクタン価燃料に関する第2補正操作量K_acc_HihをdNE,dTdから決定するようにしてもよい。この場合には、低オクタン価燃料に関する第2補正操作量K_acc_Lohは、K_acc_Loh=1−(K_acc_Hih−1)・Calo_Hi/Calo_Loという演算により決定すればよい。また、dNE,dTdから決定した第2補正操作量K_acc_LohまたはK_acc_Hihが十分に「1」に近い場合には、他方の第2補正操作量K_acc_HihまたはK_acc_Lohを「1」にするようにしてもよい。換言すれば、内燃機関1の過渡運転状態における回転数NEおよび目標トルクTdの変化の影響を補償するための基本噴射時間の補正は、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料のいずれか一方の燃料についてのみ行なうようにしてもよい。
前記SH補正処理部57で決定する第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohは、少なくとも内燃機関1の運転モードがSIモードから第2中間モードを介してHCCIモードに移行した直後における燃焼時期を調整するための操作量である。
前記したように、SIモードでの内燃機関1の運転状態では、各気筒3の混合気の空燃比が理論空燃比近傍の空燃比であるのに対し、HCCIモードでの内燃機関1の運転状態では、混合気の空燃比がリーン側の空燃比である。また、SIモードでの内燃機関1の運転は、基本的には、目標トルクTdが比較的大きなものとなる高負荷域で行なわれる。このため、内燃機関1の運転モードをSIモードから第2中間モードを介してHCCIモードに切り替えた直後においては、各気筒3の内部や筒壁の温度が、HCCIモードでの内燃機関1の連続的な運転時における定常的な温度よりも高温になる傾向がある。このため、運転モードがHCCIモードに切り替った直後は、各気筒3の燃焼室6の混合気の燃料(複合燃料)の着火時期が適切な着火時期よりも早くなりやすく、過大な燃焼音が発生したり、ノッキングが発生する恐れがある。
そこで、本実施形態では、SIモードからHCCIモードへの運転モードの移行の際には、少なくともHCCIモードへの切替り直後の所定期間において、前記第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohによって、気筒3xへの低オクタン価燃料の供給量と高オクタン価燃料の供給量の割合を調整するようにして、HCCIモードに運転モードが切り替った直後における燃焼の安定性を確保する。
図15は、SH補正処理部57による第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohの決定の仕方を示すグラフである。なお、図15のグラフの横軸の燃焼サイクル数は、気筒3xの燃焼サイクル数である。
図示の如く、本実施形態では、SIモードからHCCIモードへの切替りのタイミング(より正確には、SIモードから第2中間モードに切り替る燃焼サイクル)で、高オクタン価燃料に関する第3補正操作量K_SH_Hihが「1」よりも所定の調整量ΔKSH_Hi(>0)だけ大きな値(初期値)に決定されると共に、低オクタン価燃料に関する第3補正操作量K_SH_Lohが「1」よりも所定の調整量ΔKSH_Lo(>0)だけ小さな値(初期値)に決定される。そして、第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohは、それぞれ、第2中間モードにおいて、調整量ΔKSH_Hi,ΔKSH_Loの初期値に保持される。さらに、第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohは、第2中間モードからHCCIモードへの切り替りの直後の所定時間または所定の燃焼サイクル数の期間TSH(以下、SH補正期間TSHという)において、上記初期値から徐々に「1」に近づいていくように気筒3xの各燃焼サイクル毎に決定される。さらに、SH補正期間TSHの経過後は、第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohは、「1」に保持される。
なお、SH補正期間TSHは、その期間内で、気筒3x内の温度や筒壁の温度が、HCCIモードでの内燃機関1の連続的な運転時における定常的な温度まで上昇するのに要する期間である。該SH補正期間TSHは、一定時間または一定の燃焼サイクル数の期間でもよいが、HCCIモードの直前のSIモードでの内燃機関1の運転時間や、その運転時間における燃焼サイクル数に応じて設定してもよい。また、SIモードでの第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohの値は「1」に保持される。
以上のように、第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohを決定することにより、運転モードがSIモードからHCCIモードに移行するときには、第2中間モードからHCCIモードへの切り替りの直後のSH補正期間TSHにおいては、高オクタン価燃料に関する第3補正操作量K_SH_Hihが「1」よりも大きい値に決定されると同時に、低オクタン価燃料に関する第3補正操作量K_SH_Lohが「1」よりも小さい値に決定される。すなわち、第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohによる補正後の低オクタン価燃料の供給量に対する高オクタン価燃料の供給量の割合を、K_SH_Hih=K_SH_Loh=1とした場合(第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohによる補正を省略した場合)における低オクタン価燃料の供給量に対する高オクタン価燃料の供給量の割合よりも増加させるように第3補正操作量K_fSH_Hi,K_SH_Lohが決定される。そして、該第3補正操作量K_SH_Loh,K_SH_Hihは、SH補正期間TSH内で、徐々に「1」に近づけられる。
なお、SH補正期間TSHにおける第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohの初期値は、HCCIモードの直前のSIモードでの内燃機関1の運転時間や、その運転時間における燃焼サイクル数に応じて設定するようにしてもよい。また、図15の例では、第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohを、SH補正期間TSHで直線的に変化させて、「1」に近づけているが、指数関数状など、曲線的に変化させつつ、「1」に近づけるようにしてもよい。また、第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohは、前記第1補正操作量K_ion_Hih,K_ion_Lohを決定する場合と同様に、複合燃料の総発熱量を変化させないように決定するようにしてもよい。
図8に戻って、前記付加的補正処理部58で決定する第4補正操作量Kx_Hih,Kx_Lohは、図示しないセンサで検出された内燃機関1の機関温度(冷却水温または油温)、吸気温度、大気圧などの運転環境条件に応じて基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphを補正するものである。すなわち、本実施形態では、基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphは、前記した如く、内燃機関1の機関温度、吸気温、大気圧などの運転環境条件がある既定の標準条件である場合を前提としている。そして、内燃機関1の最適な運転を行なうための燃料噴射時間は、これらの運転環境条件に応じて若干変化する。
そこで、本実施形態では、第4補正操作量Kx_Hih,Kx_Lohによって、基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphを補正する。この場合、付加的補正処理部58には、機関温度(冷却水温または油温)、吸気温度、大気圧などの検出値が図示しないセンサから入力される。そして、付加的補正処理部58は、それらの入力値からあらかじめ設定されたマップあるいはテーブルあるいは演算式により第4補正操作量Kx_Hih,Kx_Lohを決定する。なお、第4補正操作量Kx_Hih,Kx_Lohは、運転環境条件が同じであっても、一般には互いに相違する。
なお、前記処理部53,54において、例えば多次元マップを使用し、内燃機関1の回転数NEおよび目標トルクTdだけでなく、機関温度、吸気温度、大気圧の検出値をも使用して、基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphを決定するようにしてもよい。この場合には、付加的補正処理部58は不要である。
ここで、前記SH補正処理部57に関して補足すると、本実施形態においては、内燃機関1の運転モードがHCCIモードである場合において、第3補正操作量K_SH_Loh,K_SH_Hihの両者が「1」に設定される状況、すなわち、前記SH補正期間TSH以外のHCCIモードでの内燃機関1の運転時に、燃料噴射時間制御処理部50により最終的に決定される燃料噴射時間Ti_Hih(=Ti_Hi_maph×K_ion_Hih×K_acc_Hih×Kx_Hih)とTi_Loh(=Ti_Lo_maph×K_ion_Loh×K_acc_Loh×Kx_Loh)との組が、本発明における通常操作量群に相当する。すなわち、イオン電流F/B処理部55、加減速補正処理部56、および付加的補正処理部58によりそれぞれ決定される補正操作量により基本噴射時間Ti_Hi_map,Ti_Lo_mapの組を補正したものが通常操作量群に相当する。従って、前記処理部53,54、イオン電流F/B処理部55、加減速補正処理部56、および付加的補正処理部58の制御処理と、イオン電流F/B処理部55、加減速補正処理部56、および付加的補正処理部58によりそれぞれ決定される補正操作量により基本噴射時間Ti_Hi_map,Ti_Lo_mapを補正する(該補正操作量を乗じる)処理とによって、本発明における所定の第1制御則が構成されることとなる。
また、前記SH補正期間TSHが、本発明における第1の所定期間に相当する。そして、その期間における圧縮着火運転モードでの内燃機関1の運転時に、燃料噴射時間制御処理部50により最終的に決定される燃料噴射時間Ti_Hi(=Ti_Hi_maph×K_ion_Hih×K_acc_Hih×K_SH_Hih×Kx_Hih)とTi_Loh(=Ti_Lo_maph×K_ion_Loh×K_acc_Loh×K_fc_Loh×Kx_Loh)との組が、本発明における補正操作量群に相当する。従って、この補正操作量群は、イオン電流F/B処理部55、加減速補正処理部56、および付加的補正処理部58によりそれぞれ決定される補正操作量により基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphの組を補正したものとしての通常操作量群を、SH補正処理部57で決定される第3補正操作量K_SH_Hih,K_SH_Lohにより補正したものであると言える。
以上が燃料噴射時間制御処理部50の制御処理の詳細である。
次に、前記燃料噴射時期制御処理部51の制御処理を図8を参照して説明する。その制御処理は、気筒3xの燃焼サイクルに同期して(クランク軸8の2回転毎に)次のように行なわれる。燃料噴射時期制御処理部51は、高オクタン価燃料用の燃料噴射装置18に関する燃料噴射時期CA_inj_Hihを決定する処理部80と、低オクタン価燃料用の燃料噴射装置17に関する燃料噴射時期CA_inj_Lohを決定する処理部81とから構成される。
この場合、処理部80で決定するCA_inj_Hihはフィードフォワード操作量であり、該処理部80には、内燃機関1の回転数NEの検出値(最新値)と目標トルクTd(最新値)とが内燃機関1の運転状態を表す指標として入力される。そして、処理部80は、入力されたNE,Tdから、図16に示す如くあらかじめ設定されたマップに基づいて、CA_inj_Hihを決定する。
また、処理部81で決定するCA_inj_Lohもフィードフォワード操作量であり、該処理部81には、内燃機関1の回転数NEの検出値(最新値)が内燃機関1の運転状態を表す指標として入力される。そして処理部81は、入力されたNEから、図17に示す如くあらかじめ設定されたテーブルに基づいて、CA_inj_Lohを決定する。この場合、該テーブルでは、CA_inj_Lohは、目標トルクTd(内燃機関1の負荷)に依存しない。これは、本実施形態では、低オクタン価燃料用の燃料噴射装置17が気筒3xの吸気ポート10に燃料を噴射するものであるため、低オクタン価燃料の適切な噴射時期が内燃機関1の目標トルクTdの影響をほとんど受けないためである。
上記図16のマップおよび図17のテーブルは、前記図9、図10のマップなどと同様に、回転数NEと目標トルクTdとを一定に維持した定常運転状態で、内燃機関1の運転状態が最適な運転状態となるように、実験的に設定されたものである。なお、図16のマップ、図17のテーブルは、一例であり、これらのマップやテーブルは、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の種類、内燃機関1の仕様などに依存して一般には、異なるものとなる。
以上が、前記燃料噴射時期制御処理部51の具体的な制御処理である。
以上説明したように、HCCI制御処理部41では、HCCIモードで内燃機関1を運転させた場合における各気筒3毎の燃料噴射装置17,18の動作を規定する操作量とし、燃料噴射時間Ti_Hih,Ti_Lohと、燃料噴射時期CA_inj_Hih,CA_inj_Lohとが決定される。なお、HCCIモードで内燃機関1を運転させる場合には、点火プラグ30を動作は停止するので、該点火プラグ30の動作に関する操作量を決定する必要はない。また、本実施形態では、HCCI制御処理部42の演算処理は、運転モードによらずに、内燃機関1の運転中に実行される。ただし、運転モードがSIモードであるとき、あるいは、第2中間モードであるときには、HCCI制御処理部41の演算処理を停止してもよい。
次に、図18は、前記SI制御処理部42の制御処理機能を示す機能ブロック図である。同図を参照して、本実施形態では、SI制御処理部42は、各気筒3毎の低オクタン価燃料用の燃料噴射装置17および高オクタン価燃料用の燃料噴射装置18のそれぞれの燃料噴射時間Ti_Los,Ti_Hisを決定する燃料噴射時間制御処理部90と、各気筒3毎の低オクタン価燃料用の燃料噴射装置17および高オクタン価燃料用の燃料噴射装置18のそれぞれの燃料噴射時期CA_inj_Los,CA_inj_Hisを決定する燃料噴射時期制御処理部91と、各気筒3毎の点火プラグ30の点火時期IG_logsを決定する点火時期制御処理部92と、該点火プラグ30の通電量を規定するデューティIG_dutysを決定する点火デューティ制御処理部93とから構成される。なお、上記の各処理部90〜93は、各気筒3毎に各別に備えられるが、HCCI制御処理部41の場合と同様に、図18では、任意の1つの気筒3xに関するものだけを代表的に図示している。
ここで、燃料噴射時間Ti_Los,Ti_Hisは、SIモードでの内燃機関1の運転を行なう場合に各気筒3毎の燃料噴射装置17,18による各気筒3の燃焼室6への2種類の燃料のそれぞれの供給量(噴射量)を規定する操作量(制御入力)としての意味を持つ。また、燃料噴射時期CA_inj_Los,CA_inj_His(これはクランク角での時期である)は、SIモードでの内燃機関1の運転を行なう場合に各気筒3毎の燃料噴射装置17,18による各気筒3の燃焼室6への2種類の燃料のそれぞれの供給タイミング(噴射時期)を規定する操作量(制御入力)としての意味を持つ。また、点火時期IG_logsは、SIモードでの内燃機関1の運転を行なう場合に各気筒3毎の点火プラグ30の点火タイミング(火花放電の発生タイミング)を規定する操作量(制御入力)としての意味を持つ。また、デューティIG_dutys(以下、点火デューティIG_dutysという)は、点火プラグ30にPWM制御により通電するためのパルス信号のデューティの指令値であり、点火プラグ30への通電量を規定する操作量(制御入力)としての意味を持つ。SI制御処理部42で決定する前記SIモード用操作量は、これらの燃料噴射時間Ti_Los,Ti_His、燃料噴射時期CA_inj_Los,CA_inj_His、点火時期IG_logs、および点火デューティIG_dutysから成る操作量である。この場合、その操作量のうちの、Ti_Los,Ti_His,CA_inj_Los,CA_inj_Hisが各気筒3毎の燃料噴射装置17,18の動作を規定する操作量としての意味を持つ。また、IG_logs,IG_dutysが各気筒3毎の点火プラグ30の動作を規定する操作量としての意味を持つ。
なお、燃料噴射時間Ti_Los,Ti_Hisの代わりに、燃料供給量(噴射量)を決定するようにしてもよい。また、燃料噴射時期CA_inj_Los,CA_inj_Hisは、必ずしもクランク角の次元で決定する必要は無く、時間(時刻)の次元で決定するようにしてもよい。
補足すると、SI制御処理部42は、本発明における火花点火運転モード用制御処理手段としての機能を持つ。
各気筒3毎の燃料噴射時間制御処理部90の制御処理は、該燃料噴射時間制御処理部90に対応する気筒3の燃焼サイクル(クランク軸8の2回転)に同期した所定のタイミングで次のように行なわれる。
燃焼噴射時間制御処理部90は、高オクタン価燃料の基本噴射時間Ti_Hi_mapsを決定する処理部94と、低オクタン価燃料の基本噴射時間Ti_Lo_mapsを決定する処理部95と、これらの基本噴射時間Ti_Hi_maps,Ti_Lo_mapsをそれぞれ補正するための第1補正操作量K_afsおよび第2補正操作量K_accsをそれぞれ決定する空燃比F/B処理部96、加減速補正処理部97を備える。
そして、燃料噴射時間制御処理部90は、高オクタン価燃料の基本噴射時間Ti_Hi_maphと低オクタン価燃料の基本噴射時間Ti_Lo_mapsとを、それぞれ各補正操作量K_afs,K_accsにより補正することによって気筒3xの1燃焼サイクル毎の高オクタン価燃料および低オクタン価燃料のそれぞれの燃料噴射時間Ti_His,Ti_Losを決定する。この場合、本実施形態では、高オクタン価燃料の基本噴射時間Ti_Hi_mapsの補正は、Ti_Hi_mapsに、K_afs,K_accsを乗じることで行なわれる。同様に、低オクタン価燃料の基本噴射時間Ti_Lo_mapsの補正は、Ti_Lo_mapsに、K_afs,K_accsを乗じることで行なわれる。
なお、各補正操作量K_afs,K_accsは、その値が「1」よりも大きいときに、高オクタン価燃料および低オクタン価燃料の燃料噴射時間Ti_His,Ti_Losをそれぞれ基本噴射時間Ti_Hi_maps,Ti_Lo_mapsよりも同じ割合だけ増加させるように機能する。逆に、各補正操作量K_afs,K_accsは、その値が「1」よりも小さいときに、高オクタン価燃料および低オクタン価燃料の燃料噴射時間Ti_His,Ti_Losをそれぞれ基本噴射時間Ti_Hi_maps,Ti_Lo_mapsよりも同じ割合だけ減少させるように機能する。従って、各補正操作量K_afs,K_accsは、気筒3xの燃焼室6に供給する高オクタン価燃料および低オクタン価燃料の相互の割合を、基本噴射時間Ti_Hi_maps,Ti_Lo_mapsにより規定される割合に維持しつつ、両燃料の供給量の総和を増減させるように機能する。
以下に、処理部94〜97の処理を具体的に説明する。まず、処理部53,54でそれぞれ決定する基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphは、内燃機関1の運転状態が一定に維持される定常運転状態(SIモードでの定常運転状態)における気筒3xへの燃料の供給量(噴射量)を規定する基本操作量である。本実施形態では、基本噴射時間Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphはそれぞれSIモードでの内燃機関1の運転時における該内燃機関1の運転状態を代表する回転数NEと吸気圧PBAとからあらかじめ設定されたマップにより求められるフィードフォワード操作量である。
より具体的には、処理部94,95には、それぞれ内燃機関1の回転数NEの検出値(最新値)と前記吸気圧センサ20による吸気圧PBAの検出値(最新値)とが入力される。そして、処理部94,95は、入力された回転数NEと吸気圧PBAとを内燃機関1の運転状態を表す指標として用いて、これらから、それぞれ、図19、図20に示す如くあらかじめ設定されたマップに基づいて基本噴射時間Ti_Hi_maps,Ti_Lo_mapsを決定する。これらのマップは、回転数NEと吸気圧PBAとを一定に維持した定常運転状態(SIモードでの定常運転状態)で、内燃機関1の運転状態が最適な運転状態となるように、実験的に設定されたものである。これらのマップは、本実施形態では、全ての気筒3について同一である。但し、これらのマップを各気筒3毎に各別に備えるようにしてもよい。なお、図19、図20のマップは、一例であり、これらのマップは、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の種類、内燃機関1の仕様などに依存して一般には、異なるものとなる。
補足すると、図19および図20のマップによりそれぞれ決定されるTi_Hi_maps,Ti_Lo_mapsにより規定される高オクタン価燃料の供給量の低オクタン価燃料の供給量に対する割合は、前記図9および図10のマップにより決定されるTi_Hi_maph,Ti_Lo_maphにより規定される高オクタン価燃料の供給量の低オクタン価燃料の供給量に対する割合よりも大きな割合となる。換言すれば、Ti_Hi_maps,Ti_Lo_mapsにより規定される複合燃料の着火性が、Ti_Hi_maph,Ti_Lo_maphにより規定される複合燃料の着火性よりも低くなる。
空燃比F/B処理部96で決定する第1補正操作量K_afsは、前記空燃比センサ31で検出される空燃比A/Fを所要の目標値に一致させるように、気筒3xへの高オクタン価燃料および低オクタン価燃料のそれぞれの供給量の総和(気筒3xの燃焼室6で燃焼させる複合燃料の総量)を調整するためのフィードバック操作量である。この場合、空燃比F/B処理部96には、前記空燃比センサ31の出力が表す空燃比A/Fの検出値(最新値)と目標空燃比とが入力される。目標空燃比は、理論空燃比近傍の空燃比である。そして、空燃比F/B処理部96は、入力された空燃比A/Fの検出値と目標空燃比との偏差に応じたフィードバック制御処理により、その偏差を0に近づけるように空燃比操作量K_afsを決定する。そのフィードバック制御処理は、火花点火方式の内燃機関における公知の空燃比制御手法で行なえばよい。
加減速補正処理部97で決定する第2補正操作量K_accsは、内燃機関1の出力トルクが変動する過渡運転状態において、実際の出力トルクの変化がアクセルペダルの操作量に応じた要求に対して遅れが生じるのを防止するために、気筒3xへの高オクタン価燃料および低オクタン価燃料のそれぞれの供給量の総和(複合燃料の総量)を調整するものである。
本実施形態では、この加減速補正処理部97には、前記HCCI制御処理部41の加減速処理部56の説明で前記したトルク予測変化量Tdが入力される。該トルク予測変化量Tdは、HCCI制御処理部41の加減速処理部56の処理の場合と同様に、目標トルクTdの現在値と、過去値とから算出される。
そして、加減速補正処理部97は、入力されたトルク予測変化量dTdから、図21に例示する如くあらかじめ設定されたテーブルに基づいて、第2補正操作量K_accsを決定する。このテーブルにより決定される第2補正操作量K_accsは、dTd>0であるときには、「1」よりも大きい値に決定され、dTd<0であるときには、「1」よりも小さい値に決定されることとなる。従って、内燃機関1の目標トルクTdが増加していく状況では、第2補正操作量K_accsは、高オクタン価燃料および低オクタン価燃料の気筒3xへの供給量をより増やすように決定される。また、内燃機関1の目標トルクTdが減少していく状況では、第2補正操作量K_accsは、高オクタン価燃料および低オクタン価燃料の気筒3xへの供給量をより減少させるように決定される。
以上が燃料噴射時間制御処理部90の制御処理の詳細である。
次に、前記燃料噴射時期制御処理部91の制御処理を図18を参照して説明する。その制御処理は、気筒3xの燃焼サイクルに同期して(クランク軸8の2回転毎に)次のように行なわれる。燃料噴射時期制御処理部91は、高オクタン価燃料用の燃料噴射装置18に関する燃料噴射時期CA_inj_Hisを決定する処理部98と、低オクタン価燃料用の燃料噴射装置17に関する燃料噴射時期CA_inj_Losを決定する処理部99とから構成される。
この場合、処理部98で決定するCA_inj_Hisはフィードフォワード操作量であり、該処理部98には、内燃機関1の回転数NEの検出値(最新値)が内燃機関1の運転状態を表す指標として入力されると共に、前記燃料噴射時間制御処理部90で決定された高オクタン価燃料の燃料噴射時間Ti_His(最新値)が入力される。そして、処理部98は、入力されたNE,Ti_Hisから、図22に示す如くあらかじめ設定されたマップに基づいて、CA_inj_Hisを決定する。
また、処理部99で決定するCA_inj_Losもフィードフォワード操作量であり、該処理部99には、内燃機関1の回転数NEの検出値(最新値)が内燃機関1の運転状態を表す指標として入力される。そして処理部99は、入力されたNEから、図23に示す如くあらかじめ設定されたテーブルに基づいて、CA_inj_Losを決定する。この場合、本実施形態では、低オクタン価燃料用の燃料噴射装置17は、ポート噴射型のものであるので、CA_inj_Losを回転数NEだけに応じて決定するようにしている。
上記図22のマップおよび図23のテーブルは、前記図19、図20のマップなどと同様に、回転数NEと吸気圧PBAとを一定に維持した定常運転状態(SIモードでの定常運転状態)で、内燃機関1の運転状態が最適な運転状態となるように、実験的に設定されたものである。なお、図22のマップ、図23のテーブルは、一例であり、これらのマップやテーブルは、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の種類、内燃機関1の仕様などに依存して一般には、異なるものとなる。
以上が、前記燃料噴射時期制御処理部91の具体的な制御処理である。
次に、前記点火時期制御処理部92の制御処理を説明する。気筒3xに対応する点火時期制御処理部92の制御処理は、該気筒3xの燃焼サイクル(クランク軸8の2回転)に同期した所定のタイミングで次のように行なわれる。
点火時期制御処理部92は、図18に示すように、気筒3xに対応する点火プラグ30の基本点火時期IG_log_mapsを決定する処理部100と、この基本点火時期IG_log_mapsを遅角方向に補正する補正操作量IG_delayを決定する遅角補正処理部101とを備え、その補正操作量IG_delayにより基本点火時期IG_log_mapsを演算部102にて補正する(IG_log_mapsからIG_delay(>0)を減じる)ことによって、点火時期IG_logsを決定する。なお、ここでは、点火時期の進角方向を正方向としている。
この場合、処理部100で決定する基本点火時期IG_log_mapsは、フィードフォワード操作量であり、該処理部100には、内燃機関1の回転数NEの検出値(最新値)と吸気圧PBAの検出値(最新値)とが内燃機関1の運転状態を表す指標として入力される。そして、処理部100は、入力されたNE,PBAから、図24に示す如くあらかじめ設定されたマップに基づいて、IG_log_mapsを決定する。
図24に示すマップは、回転数NEと吸気圧PBAとを一定に維持した定常運転状態(SIモードでの定常運転状態)で、内燃機関1の運転状態が最適な運転状態となるように、実験的に設定されたものである。このマップは、本実施形態では、全ての気筒3について同一である。但し、このマップを各気筒3毎に各別に備えるようにしてもよい。なお、図24のマップは、一例であり、該マップは、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の種類、内燃機関1の仕様などに依存して一般には、異なるものとなる。
また、前記遅角補正処理部101で決定する補正操作量IG_delayは、内燃機関1の運転モードがHCCIモードから第1中間モードを介してSIモードに移行するときに、HCCIモードから第1中間モードへの切り替りの直後からSIモードの初期にかけての所定期間において、最終的に決定する点火時期IG_logsを基本点火時期IG_log_mapsよりも遅角側に補正するものである。
ここで、運転モードがHCCIモードから第1中間モードを介してSIモードに移行する場合には、HCCIモードでの内燃機関1の運転中に前記燃料供給装置17から気筒3xの吸気ポート10に噴射される低オクタン価燃料の、該吸気ポート10の壁面への付着などが影響して、運転モードがSIモードに切り替った直後において、気筒3xの燃焼室6内の混合気の空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に偏る傾向がある。このため、運転モードがSIモードに切り替った直後においては、基本点火時期IG_log_mapsに従って点火プラグ30による混合気の燃料の点火を行なうと、内燃機関1の出力トルクが目標トルクTdよりも大きくなり過ぎて、該出力トルクの変動が生じる恐れがある。
そこで、本実施形態では、HCCIモードから第1中間モードへの切り替りの直後からSIモードの初期にかけての所定期間において、点火時期IG_logsを補正操作量IG_delayによって基本点火時期IG_log_mapsよりも遅角側に補正することによって、気筒3xの燃焼室6での燃料(複合燃料)の燃焼によって発生する内燃機関1の出力トルクを減少方向に抑制する。
図26は、遅角補正処理部101による補正操作量IG_delayの決定の仕方を示すグラフである。なお、図26のグラフの横軸のTDC数は、内燃機関1のいずれかの気筒3がTDCとなるクランク角でカウントされる数であり、各気筒3の燃焼サイクル数に比例する(本実施形態では内燃機関1の気筒数が4であるので、TDC数は、燃焼サイクル数の4倍となる)。
図示の如く、本実施形態では、HCCIモードから第1中間モードへの切替りのタイミング(HCCIモードから第1中間モードに切り替る燃焼サイクル)で、補正操作量IG_delayを所定値IG_delay0(>0)に決定する。そして、第1中間モードの期間T1では、IG_delayはIG_delay0に維持される。さらに、第1中間モードからSIモードへの切り替りのタイミング(第1中間モードからSIモードに切り替る燃焼サイクル)から、所定時間または所定のTDC数の期間T2(以下、SI初期補正期間T2という)において、IG_delayは、IG_delay0から徐々に0に近づけていくよう気筒3xの各燃焼サイクル毎に決定される。そして、SI初期補正期間T2の経過後は、補正操作量IG_delayは、「0」に保持される。
なお、SI初期補正期間T2は、一定時間または一定の燃焼サイクル数の期間でもよいが、気筒3xの筒内温度等に応じて設定してもよい。また、所定値IG_delay0は、固定値でもよいが、気筒3xの筒内温度等に応じて設定してもよい。
以上のように補正操作量IG_delayを決定することにより、HCCIモードからSIモードへの移行の際には、第1中間モードの期間T2と、SIモードへの切り替り直後のSI初期補正期間T2とにおいて、点火時期IG_logsは、基本点火時期IG_log_mapsよりも遅角側に補正されることとなる。また、SI初期補正期間T2の経過後は、基本点火時期IG_log_mapsがそのまま点火時期IG_logsとして決定されることとなる。
以上が、点火時期制御処理部92の具体的な制御処理である。
補足すると、点火時期制御処理部92は、本発明における火花点火運転モード用点火時期制御手段としての機能を有する。ここで、本実施形態においては、内燃機関1の運転モードがSIモードである場合において、前記補正操作量IG_delayが0に設定される状況、すなわち、前記SI初期補正期間T2以外のSIモードでの内燃機関1の運転時に、点火時期制御処理部92により最終的に決定される点火時期IG_logs(=IG_log_maps)が本発明における通常点火時期操作量に相当する。すなわち、処理部100で決定される基本点火時期IG_log_mapsが通常点火時期操作量に相当する。従って、処理部100の処理によって、本発明における所定の第2制御則が構成されることとなる。
また、前記SI初期補正期間T2が、本発明における第2の所定期間に相当する。そして、この期間におけるSIモードでの内燃機関1の運転時に、点火時期制御処理部92により最終的に決定される点火時期IG_logs(=IG_log_maps−IG_delay)が本発明における補正点火時期操作量に相当する。従って、補正点火時期操作量は、処理部100により決定される基本点火時期IG_log_mapsである通常点火時期操作量を、遅角補正処理部101で決定される補正操作量IG_delayにより補正したものであると言える。
次に、点火デューティ制御処理部93を説明する。気筒3xに対応する点火時期制御処理部92の制御処理は、該気筒3xの燃焼サイクル(クランク軸8の2回転)に同期した所定のタイミングで次のように行なわれる。
点火デューティ制御処理部93は、図8に示すように処理部103により構成され、この処理部103により点火デューティIG_dutysを決定する。この場合、点火デューティIG_dutysは、フィードフォワード操作量であり、該処理部103には、内燃機関1の回転数NEの検出値(最新値)と吸気圧PBAの検出値(最新値)とが内燃機関1の運転状態を表す指標として入力される。そして、処理部103は、入力されたNE,PBAから、図25に示す如くあらかじめ設定されたマップに基づいて、IG_dutysを決定する。
図25に示すマップは、回転数NEと吸気圧PBAとを一定に維持した定常運転状態(SIモードでの定常運転状態)で、内燃機関1の運転状態が最適な運転状態となるように、実験的に設定されたものである。このマップは、本実施形態では、全ての気筒3について同一である。但し、このマップを各気筒3毎に各別に備えるようにしてもよい。なお、図25のマップは、一例であり、該マップは、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の種類、内燃機関1の仕様などに依存して一般には、異なるものとなる。
以上が点火デューティ制御処理部93の具体的な制御処理である。
以上説明したように、SI制御処理部42では、SIモードで内燃機関1を運転させた場合における各気筒3毎の燃料噴射装置17,18の動作を規定する操作量とし、燃料噴射時間Ti_His,Ti_Losと、燃料噴射時期CA_inj_His,CA_inj_Losとが決定される。また、各気筒3毎の点火プラグ30の動作を規定する操作量として、点火時期IG_logsと点火デューティIG_dutysとが決定される。なお、本実施形態では、SI制御処理部42の演算処理は、運転モードによらずに、内燃機関1の運転中に実行される。ただし、運転モードがHCCIモードであるときには、SI制御処理部42の演算処理を停止してもよい。
次に、前記出力決定処理部43の制御処理を説明する。
出力決定処理部43は、運転モードがHCCIモードであるときには、HCCI制御処理部41により前述の通り決定された燃料噴射時間Ti_Hih,Ti_Lohと、燃料噴射時期CA_inj_Hih,CA_inj_Lohとを、そのまま各気筒3毎の燃料噴射装置17,18の実際の動作を規定する制御用操作量として決定する。そして、その制御用操作量に応じて燃料噴射装置17,18の動作を制御する。これにより、HCCIモードでの内燃機関1の運転が行なわれる。
また、出力決定処理部43は、運転モードがSIモードであるときには、SI制御処理部42により前述の通り決定された各気筒3毎の燃料噴射時間Ti_His,Ti_Losと、燃料噴射時期CA_inj_His,CA_inj_Losとを、そのまま各気筒3毎の燃料噴射装置17,18の実際の動作を規定する制御用操作量として決定する。そして、その制御操作量に応じて燃料噴射装置17,18の動作を制御する。さらに、出力決定処理部43は、SI制御処理部42により前述の通り決定された各気筒3毎の点火時期IG_losgおよび点火デューティIG_dutysを、そのまま各気筒3毎の点火プラグ30の動作を規定する制御用操作量として決定する。そして、その制御用操作量に応じて点火プラグ30の動作を制御する。これにより、SIモードでの内燃機関1の運転が行なわれる。
一方、出力決定処理部43は、運転モードがHCCIモードからSIモードに移行する場合の前記第1中間モードにおいては、次式(1)〜(4)により、各気筒3毎の燃料噴射装置17,18の実際の動作を規定する制御用操作量としての燃料噴射時間Ti_Lo,Ti_Hiおよび燃料噴射時期CA_inj_Lo,CA_inj_Hiを決定する。なお、Ti_Lo,CA_inj_Loはそれぞれ低オクタン価燃料用の燃料噴射装置17の動作を規定する制御用操作量、Ti_Hi,CA_inj_Hiはそれぞれ高オクタン価燃料用の燃料噴射装置18の動作を規定する制御用操作量である。また、該第1中間モードにおいては、出力決定処理部43は、次式(5),(6)により、各気筒3毎の点火プラグ30の動作を規定する制御用操作量としての点火時期IG_logおよび点火デューティIG_dutyを決定する。
Ti_Lo=Ti_Los+(Ti_Loh(0)−Ti_Los)×K_Lo_HS ……(1)
Ti_Hi=Ti_His+(Ti_Hih(0)−Ti_His)×K_Hi_HS ……(2)
CA_inj_Lo=CA_inj_Los ……(3)
CA_inj_Hi=CA_inj_His ……(4)
IG_log=IG_logs+IG_add_HS ……(5)
IG_duty=IG_dutys ……(6)
ここで、式(1)におけるTi_Loh(0)は、HCCIモードから第1中間モードへの切り替りのタイミングもしくはその直前にHCCI制御処理部41により決定された低オクタン価燃料用の燃料噴射時間Ti_Lohである。そして、K_Lo_HSは、第1中間モードにおけるTi_Loの変化パターンを規定する係数である。
同様に、式(2)におけるTi_Hih(0)は、HCCIモードから第1中間モードへの切り替りのタイミングもしくはその直前にHCCI制御処理部41により決定された高オクタン価燃料用の燃料噴射時間Ti_Hihである。そして、K_Hi_HSは、第1中間モードにおけるTi_Loの変化パターンを規定する係数である。
また、式(5)におけるIG_add_HSは、第1中間モードにおける点火時期IG_logの変化パターンを規定する点火時期調整量である。
上記の式(3)、(4)、(6)から明らかなように、本実施形態では、第1中間モードにおける各種類の燃料の噴射時期を規定する制御用操作量である燃料噴射時期CA_inj_Lo,CA_inj_Hiは、それぞれ、SI制御処理部42により決定される燃料噴射時期CA_inj_Los,CA_inj_His、すなわち、第1中間モードに続く運転モードであるSIモードでの内燃機関1の運転に適した燃料噴射時期に決定される。また、点火デューティIG_dutyは、SI制御処理部42により決定される点火デューティIG_dutysに決定される。
一方、式(2),(3)によりそれぞれ決定される燃料噴射時間Ti_Lo,Ti_Hiは、それぞれ、係数K_Lo_HS,K_Hi_HSの値に応じた変化パターン(これは本発明における第1パターンに相当する)で、第1中間モードにおいて前記SI制御処理部42により各気筒3の燃焼サイクル毎に決定される燃料噴射時間Ti_Los,Ti_Hisに追従するように(最終的には、Ti_Los,Ti_Hisにそれぞれ一致するように)決定される。また、式(5)により決定される点火時期IG_logは、点火時期調整量IG_add_HSの値に応じた変化パターンで、第1中間モードにおいてSI制御処理部42により決定される点火時期IG_logsに対して変化し、最終的に、IG_logsに一致するように決定される。
本実施形態では、出力決定処理部43は、前記係数K_Lo_HS,K_Hi_HSおよび点火時期調整量IG_add_HSを、それぞれ図27のテーブルで示すようなパターンで、第1中間モードの開始時からカウントされるTDC数に応じて逐次決定する。そして、出力決定処理部43は、その決定した係数K_Lo_HS,K_Hi_HSおよび点火時期調整量IG_add_HSを用いて、前記式(1)、(2)、(5)の演算を行い、それぞれTi_Lo,Ti_Hi,IG_logを決定する。
この場合、第1中間モードにおいては、前記したスロットル弁制御処理部44の制御処理によって、各気筒3の燃焼室6への吸気量(空気供給量)が徐々に減少していく。そして、図27のテーブルでは、K_Lo_HS,K_Hi_HSは、第1中間モードでの内燃機関1の運転中に、燃焼室6への吸気量の減少形態と、式(1),(2)によりそれぞれ決定されるTi_Lo,Ti_Hiにより規定される各気筒3の燃焼室6への低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の供給量とに応じた該燃焼室6内の混合気の空燃比が徐々にリッチ化していくように設定されている。同時に、図27のテーブルでは、K_Lo_HS,K_Hi_HSは、第1中間モードでの内燃機関1の運転中に、式(1),(2)によりそれぞれ決定されるTi_Lo,Ti_Hiにより規定される低オクタン価燃料の供給量に対する高オクタン価燃料の供給量の割合(それらの燃料の供給量の総和に対する高オクタン価燃料の供給量の割合)が徐々に高くなるように設定されている。
図27に示す例では、K_Lo_HS,K_Hi_HSは、第1中間モードの開始後、「1」の近傍の正の初期値から、一旦、「1」よりも大きい値に増加した後、0に近づいていき、最終的に0に保持されるようになっている。また、K_Lo_HSよりもK_Hi_HSが早期に0に近づくようになっている。
また、図27のテーブルでは、点火時期調整量IG_add_HSは、第1中間モードでの内燃機関1の運転中に、式(5)により決定される点火時期IG_logが、各気筒3の燃焼室6内の混合気の空燃比に適した点火時期になるように設定されている。図示の例では、IG_add_Hsは、第1中間モードの開始後、進角側の初期値(正の値)から一旦、進角方向(正方向)に変化した後、徐々に0よりも遅角側の値(負の値)に変化し、その後、再び進角方向(正方向)に変化して、0に近づいていき、最終的に0に保持されるようになっている。
これらの係数K_Lo_HS,K_Hi_HSおよび点火時期調整量IG_add_HSは、第1中間モードでの内燃機関1の運転時に、各気筒3の燃焼室6での複合燃料の燃焼を適切に行いつつ、該燃焼室6に充填される混合気の空燃比や、複合燃料の着火性などが、HCCIモードでの内燃機関1の運転に適した状態から、SIモードでの内燃機関1の運転に適した状態に円滑に移行させるように実験的に設定されたものである。
第1中間モードにおいては、出力決定処理部43は、上記の如く決定した各気筒3毎の燃料噴射時間Ti_Hi,Ti_Loと、燃料噴射時期CA_inj_Hi,CA_inj_Loとを、燃料噴射装置17,18の実際の動作を規定する制御用操作量とし、その制御操作量に応じて燃料噴射装置17,18の動作を制御する。また、出力決定処理部43は、上記の如く決定した各気筒3毎の点火時期IG_logおよび点火デューティIG_dutyを、点火プラグ30の実際の動作を規定する制御用操作量とし、その制御用操作量に応じて点火プラグ30の動作を制御する。
また、出力決定処理部43は、運転モードがSIモードからHCCIモードに移行する場合の前記第2中間モードにおいては、次式(11)〜(14)により、燃料噴射時間Ti_Lo,Ti_Hiおよび燃料噴射時期CA_inj_Lo,CA_inj_Hiを決定する。また、該第2中間モードにおいては、出力決定処理部43は、次式(15),(16)により、点火時期IG_logおよび点火デューティIG_dutyを決定する。
Ti_Lo=Ti_Loh+(Ti_Los(0)−Ti_Loh)×K_Lo_SH ……(11)
Ti_Hi=Ti_Hih+(Ti_His(0)−Ti_Hih)×K_Hi_SH ……(12)
CA_inj_Lo=CA_inj_Loh ……(13)
CA_inj_Hi=CA_inj_Hih ……(14)
IG_log=IG_logs+IG_add_SH ……(15)
IG_duty=IG_dutys ……(16)
ここで、式(11)におけるTi_Los(0)は、SIモードから第2中間モードへの切り替りのタイミングもしくはその直前にSI制御処理部42により決定された低オクタン価燃料用の燃料噴射時間Ti_Losである。そして、K_Lo_SHは、第2中間モードにおけるTi_Loの変化パターンを規定する係数である。
同様に、式(12)におけるTi_His(0)は、SIモードから第2中間モードへの切り替りのタイミングもしくはその直前にSI制御処理部42により決定された高オクタン価燃料用の燃料噴射時間Ti_Hisである。そして、K_Hi_SHは、第2中間モードにおけるTi_Loの変化パターンを規定する係数である。
また、式(15)におけるIG_add_SHは、第2中間モードにおける点火時期IG_logの変化パターンを規定する点火時期調整量である。
上記の式(13)、(14)、(16)から明らかなように、本実施形態では、第1中間モードにおける各種類の燃料の噴射時期を規定する制御用操作量である燃料噴射時期CA_inj_Lo,CA_inj_Hiは、それぞれ、HCCI制御処理部41により決定される燃料噴射時期CA_inj_Loh,CA_inj_Hih、すなわち、第2中間モードの終了後の運転モードであるHCCIモードでの内燃機関1の運転に適した燃料噴射時期に決定される。また、点火デューティIG_dutyは、SI制御処理部42により決定される点火デューティIG_dutysに決定される。
一方、式(12),(13)によりそれぞれ決定される燃料噴射時間Ti_Lo,Ti_Hiは、それぞれ、係数K_Lo_SH,K_Hi_SHの値に応じた変化パターン(これは本発明における第2パターンに相当する)で、第2中間モードにおいて前記HCCI制御処理部41により各気筒3の燃焼サイクル毎に決定される燃料噴射時間Ti_Loh,Ti_Hihに追従するように(最終的には、Ti_Loh,Ti_Hihにそれぞれ一致するように)決定される。また、式(15)により決定される点火時期IG_logは、点火時期調整量IG_add_SHの値に応じた変化パターンで、第2中間モードにおいてSI制御処理部42により決定される点火時期IG_logsに対して変化し、最終的に、IG_logsに一致するように決定される。
本実施形態では、出力決定処理部43は、前記係数K_Lo_SH,K_Hi_SHおよび点火時期調整量IG_add_SHを、それぞれ図28のテーブルで示すようなパターンで、第2中間モードの開始時からカウントされるTDC数に応じて逐次決定する。そして、出力決定処理部43は、その決定した係数K_Lo_SH,K_Hi_SHおよび点火時期調整量IG_add_SHを用いて、前記式(11)、(12)、(15)の演算を行い、それぞれTi_Lo,Ti_Hi,IG_logを決定する。
この場合、第2中間モードにおいては、前記したスロットル弁制御処理部44の制御処理によって、各気筒3の燃焼室6への吸気量(空気供給量)が徐々に増加していく。そして、図28のテーブルでは、K_Lo_SH,K_Hi_SHは、第2中間モードでの内燃機関1の運転中に、燃焼室6への吸気量の増加形態と、式(11),(12)によりそれぞれ決定されるTi_Lo,Ti_Hiにより規定される各気筒3の燃焼室6への低オクタン価燃料および高オクタン価燃料の供給量とに応じた該燃焼室6内の混合気の空燃比が徐々にリーン化していくように設定されている。また、図28のテーブルでは、K_Lo_SH,K_Hi_SHは、第2中間モードでの内燃機関1の運転中に、式(11),(12)によりそれぞれ決定されるTi_Lo,Ti_Hiにより規定される高オクタン価燃料の供給量に対する低オクタン価燃料の供給量の割合(それらの燃料の供給量の総和に対する低オクタン価燃料の供給量の割合)が徐々に高くなるように設定されている。
図28に示す例では、K_Lo_SHは、第1中間モードの開始後、負の初期値から負方向に変化した後、0に近づいていき、最終的に0に保持されるようになっている。また、K_Hi_SHは、第1中間モードの開始後、正の初期値から0に徐々に近づいていき、最終的に0に保持されるようになっている。
また、図28のテーブルでは、点火時期調整量IG_add_SHは、第2中間モードでの内燃機関1の運転中に、式(15)により決定される点火時期IG_logが、各気筒3の燃焼室6内の混合気の空燃比に適した点火時期になるように設定されている。図示の例では、IG_add_SHは、第2中間モードの開始後、0である初期値から、徐々に、遅角方向に変化し、最終的に、遅角側の所定値(−α)に保持されるようになっている。
これらの係数K_Lo_SH,K_Hi_SHおよび点火時期調整量IG_add_SHは、第2中間モードでの内燃機関1の運転時に、各気筒3の燃焼室6での複合燃料の燃焼を適切に行いつつ、該燃焼室6に充填される混合気の空燃比や、複合燃料の着火性などが、SIモードでの内燃機関1の運転に適した状態から、HCCIモードでの内燃機関1の運転に適した状態に円滑に移行させるように実験的に設定されたものである。
第2中間モードにおいては、出力決定処理部43は、上記の如く決定した各気筒3毎の燃料噴射時間Ti_Hi,Ti_Loと、燃料噴射時期CA_inj_Hi,CA_inj_Loとを、燃料噴射装置17,18の実際の動作を規定する制御用操作量とし、その制御操作量に応じて燃料噴射装置17,18の動作を制御する。また、出力決定処理部43は、上記の如く決定した各気筒3毎の点火時期IG_logおよび点火デューティIG_dutyを、点火プラグ30の実際の動作を規定する制御用操作量とし、その制御用操作量に応じて点火プラグ30の動作を制御する。
以上が、出力決定処理部43の制御処理の詳細である。補足すると、この出力決定処理部43は、前記スロットル制御処理部44と併せて、本発明における中間モード制御手段としての機能を有するものである。
次に本実施形態の装置による効果について図29および図30を参照して説明する。図29は、運転モードがHCCIモードからSIモードに移行する場合における内燃機関1の回転数NEなどの経時変化を例示するグラフである。また、図30は、運転モードがSIモードからHCCIモードに移行する場合における内燃機関1の回転数NEなどの経時変化を例示するグラフである。
まず、図29に例示する状況は、図29の上側から第1段目のグラフ中の破線で示す如く、目標トルクTdが増加しながら、運転モードがHCCIモードから第1中間モードを介してSIモードに切り替る状況である。この状況では、前記スロットル弁制御処理部44の制御処理およびこれに応じたスロットル弁16の開度の制御によって、吸気圧センサ20により検出される吸気圧PBAが、図29の第2段目のグラフで示す如く第1中間モードにおいて徐々に減少していく。ひいては、該第1中間モードにおいて、各気筒3の燃焼室6への吸気量(空気供給量)が徐々に減少していく。
また、このとき、前記した出力決定処理部43で、燃料噴射時間Ti_Lo,Ti_Hiがそれぞれ前記式(1)、(2)により決定されることによって、各気筒3の燃焼室6への低オクタン価燃料の供給量および高オクタン価燃料の供給量は、第1中間モードにおいて、図29の第4段目のグラフに示すように変化する。このため、各気筒3の燃焼室6に充填される混合気の空燃比(前記空燃比センサ31により検出される空燃比A/Fは、図29の第3段目のグラフに示す如く、第1中間モードにおいて徐々にリッチ化していく。また、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料からなる複合燃料のオクタン価は、図29の第2段目のグラフで示す如く、第1中間モードにおいて徐々に高くなる。ひいては、該複合燃料の着火性が第1中間モードにおいて徐々に低下する。補足すると、図29に示すオクタン価は、より詳しくは、低オクタン価燃料の供給量と高オクタン価燃料の供給量との総和である複合燃料の総量に対する低オクタン価燃料の供給量の割合を、低オクタン価燃料のオクタン価に乗じたものと、当該複合燃料の総量に対する高オクタン価燃料の供給量の割合を、高オクタン価燃料のオクタン価に乗じたものとを加え合わせたものとして定義されるオクタン価、すなわち、当該複合燃料の平均的なオクタン価である。
また、図29の第4段目のグラフに示すように、点火プラグ30による混合気の実際の点火時期は、第1中間モードにおいて、前記図27に示した点火時期調整量IG_add_HSと同様のパターンで変化する。この場合、第1中間モードからSIモードへの切り替りの直後にかけて、前記した点火時期制御処理部92により決定される点火時期IG_logが遅角側に補正されているため、図29に示す点火時期は、第1中間モードからSIモードへの切り替り直後は、遅角側に偏っている。そして、SIモードでの時間の経過に伴い、点火時期が本来の点火時期(IG_log_maps)に向かって徐々に進角していくこととなる。
HCCIモードからSIモードへの移行の際には、上記の如く、空燃比や、各種類の燃料の供給量などが制御されることとなるため、図29の第1段目のグラフに示すように、内燃機関1の実際の出力トルク(検出値)は、目標トルクTdに高い安定性で滑らかに追従する。また、内燃機関1の回転数NE(検出値)も、滑らかに変化する。
次に、図30に例示する状況は、図30の上側から第1段目のグラフ中の破線で示す如く、目標トルクTdが減少しながら、運転モードがSIモードから第2中間モードを介してHCCIモードに切り替る状況である。この状況では、前記スロットル弁制御処理部44の制御処理およびこれに応じたスロットル弁16の開度の制御によって、吸気圧センサ20により検出される吸気圧PBAが、図30の第2段目のグラフで示す如く第2中間モードにおいて徐々に増加していく。ひいては、該第2中間モードにおいて、各気筒3の燃焼室6への吸気量(空気供給量)が徐々に増加していく。
また、このとき、前記した出力決定処理部43で、燃料噴射時間Ti_Lo,Ti_Hiがそれぞれ前記式(11)、(12)により決定されることによって、各気筒3の燃焼室6への低オクタン価燃料の供給量および高オクタン価燃料の供給量は、第2中間モードにおいて、図30の第4段目のグラフに示すように変化する。このため、各気筒3の燃焼室6に充填される混合気の空燃比(前記空燃比センサ31により検出される空燃比A/F)は、図30の第3段目のグラフに示す如く、第2中間モードにおいて徐々にリーン化していく。また、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料からなる複合燃料のオクタン価は、図30の第2段目のグラフで示す如く、第2中間モードにおいて徐々に低くなる。ひいては、該複合燃料の着火性が第1中間モードにおいて徐々に高まる。補足すると、図30に示すオクタン価は、図29に示すオクタン価と同様に定義されるオクタン価である。
なお、第2中間モードからHCCIモードに切り替った直後は、前記SH補正処理部57が決定する第3補正操作量K_SH_Loh,K_SH_Hihによって、複合燃料のオクタン価が高オクタン価側に偏っており、該複合燃料のオクタン価は、HCCIモードでの時間の経過に伴い、徐々に、本来のオクタン価に低下していく。
また、図30の第4段目のグラフに示すように、点火プラグ30による混合気の実際の点火時期は、第2中間モードにおいて、前記図28に示した点火時期調整量IG_add_SHと同様のパターンで変化する。
SIモードからHCCIモードへの移行の際には、上記の如く、空燃比や、各種類の燃料の供給量などが制御されることとなるため、図30の第1段目のグラフに示すように、内燃機関1の実際の出力トルク(検出値)は、目標トルクTdに高い安定性で滑らかに追従する。また、内燃機関1の回転数NE(検出値)も、滑らかに変化する。
以上のように、本実施形態によれば、SIモードとHCCIモードとの間での運転モードの移行の際に、前記第1中間モードまたは第2中間モードを介在させることによって、内燃機関1の出力トルクの変動などを生じることなく、SIモードとHCCIモードとの間での運転モードの移行を円滑に行なうことができる。また、各中間モードでの燃料(複合燃料)の燃焼を安定に適切な燃焼時期で行うことができ、SIモードとHCCIモードとの間での運転モードの移行の際に、過大な燃焼音が発生したり、ノッキングが発生するのを防止できる。
なお、本実施形態では、HCCI制御処理部41の燃料噴射時間制御処理部50にイオン電流F/B処理部および加減速補正処理部56を備えたが、これらの両者またはいずれか一方を省略してもよい。また、SI制御処理部42の燃焼噴射時間制御処理部50に、加減速補正処理部97を備えたが、これを省略してもよい。
また、前記実施形態では、内燃機関1で使用する燃料の種類数を2種類としたが、オクタン価が相違する3種類以上の燃料を使用するようにしてもよい。
1…内燃機関、2…制御装置、3…気筒、6…燃焼室、15…吸気路、16…スロットル弁、17,18…燃料噴射装置(燃料供給装置)、30…点火プラグ、20…吸気圧センサ(吸気状態量検出手段)、41…HCCI制御処理部(圧縮着火運転モード用制御処理手段)、42…SI制御処理部(火花点火運転モード用制御処理手段)、43…出力決定処理部(中間モード制御手段)、44…スロットル制御処理部(吸気制御手段、中間モード制御手段)、83…処理部(第1目標吸気状態量決定手段、第2目標吸気状態量決定手段)、92…点火時期制御処理部(火花点火運転モード用点火時期制御手段)。
Claims (10)
- 気筒の燃焼室に充填された混合気を圧縮することによって該混合気の燃料を自着火燃焼させる圧縮着火運転モードと、該混合気の燃料を火花点火によって着火燃焼させる火花点火運転モードとで運転可能な内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の運転モードを圧縮着火運転モードから火花点火運転モードに移行させるときにその両運転モードの間に介在させる第1中間モードと、前記内燃機関の運転モードを火花点火運転モードから圧縮着火運転モードに移行させるときにその両運転モードの間に介在させる第2中間モードとを備え、
前記第1中間モードにおいては、前記混合気の空燃比が徐々にリッチ化していくように、前記燃焼室への空気供給量および燃料供給量を制御し、且つ、前記第2中間モードにおいては、前記混合気の空燃比が徐々にリーン化していくように、前記空気供給量および燃料供給量を制御する中間モード制御手段を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記圧縮着火運転モードで内燃機関を運転させる場合に要求される前記空気供給量を規定する状態量としての吸気状態量の第1目標値を内燃機関の運転状態に応じて決定する第1目標吸気状態量決定手段と、前記火花点火運転モードで内燃機関を運転させる場合に要求される前記吸気状態量の第2目標値を内燃機関の運転状態に応じて決定する第2目標吸気状態量決定手段と、前記吸気状態量を検出する吸気状態量検出手段とを有して、前記圧縮着火運転モードおよび第2中間モードでの内燃機関の運転時には前記検出された吸気状態量を前記第1目標値に近づけ、前記火花点火運転モードおよび第1中間モードでの内燃機関の運転時には、前記検出された吸気状態量を前記第2目標値に近づけるように、該第1目標値または第2目標値と前記検出された吸気状態量との偏差に応じて前記内燃機関の吸気路に設けれられたスロットル弁の開度を制御する吸気制御手段と、
前記圧縮着火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む圧縮着火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する圧縮着火運転モード用制御処理手段と、
前記火花点火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む火花点火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する火花点火運転モード用制御処理手段とを備え、
前記第1目標吸気状態量決定手段および第2目標吸気状態量決定手段は、少なくとも前記圧縮着火運転モードと火花点火圧縮着火運転モードとの間での運転モードの移行を行なうべき内燃機関の運転状態では、前記第1目標値により規定される空気供給量が前記第2目標値により規定される空気供給量よりも大きくなるように該第1目標値および第2目標値をそれぞれ決定する手段であり、
前記中間モード制御手段は、前記第1中間モードおよび第2中間モードでの内燃機関の運転時に前記空気供給量を制御する手段として前記吸気制御手段を含み、前記第1中間モードでの内燃機関の運転時に前記燃料供給量を制御する手段として、前記燃焼室への実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、前記圧縮着火運転モードの終了時に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量から、該第1中間モードでの内燃機関の運転中に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第1パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記内燃機関に備えた燃料供給装置を制御する手段を含み、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時に前記燃料供給量を制御する手段として、前記燃焼室への実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、前記火花点火運転モードの終了時に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量から、該第2中間モードでの内燃機関の運転中に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第2パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記燃料供給装置を制御する手段を含むことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記燃焼室に供給する燃料は、オクタン価が互いに異なり、且つ、それぞれの供給量を調整可能な複数種類の燃料からなり、
前記中間モード制御手段は、前記第1中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合を調整し、且つ、前記第2中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合を調整する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の制御装置。 - 前記燃料供給装置は、オクタン価が互いに異なる複数種類の燃料を前記燃焼室に供給可能であると共に、該複数種類の燃料のそれぞれの供給量を調整可能であり、
前記圧縮着火運転モード用制御処理手段が決定する前記圧縮着火運転モード用操作量群のうちの前記燃料供給量に関する操作量と、前記火花点火運転モード用制御処理手段が決定する前記火花点火運転モード用操作量群のうちの前記燃料供給量に関する操作量と、前記中間モード制御手段が決定する前記燃料供給量に関する制御用操作量とは、それぞれ、前記各種類の燃料毎の供給量を規定する操作量からなり、
前記第1中間モードでの内燃機関の運転時における前記所定の第1パターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなり、
前記第2中間モードでの内燃機関の運転時における前記所定の第2パターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。 - 前記圧縮着火運転モード用制御処理手段は、前記第2中間モードから前記圧縮着火運転モードへの切り替りの直後の第1の所定期間を除く該圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの供給量を規定する操作量の、該複数種類の燃料についての組である操作量群を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて所定の第1制御則により決定する手段と、前記第1の所定期間における前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記所定の第1制御則により決定される前記操作量群である通常操作量群のうちの少なくとも1つの操作量を補正してなる補正操作量群を決定する手段とを備えると共に、該補正操作量群を決定する手段は、該補正操作量群により規定される前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合を、前記所定の第1制御則により決定される通常操作量群により規定される割合よりも増加させるように、前記補正操作量群を決定する手段であり、
前記第1の所定期間における前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には前記圧縮着火運転モード用制御処理手段で決定された補正後操作量群に応じて前記燃料供給装置を制御し、前記第1の所定期間を除く前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には前記圧縮着火運転モード用制御処理手段で決定された通常操作量群に応じて前記燃料供給装置を制御するようにしたことを特徴とする請求項4記載の内燃機関の制御装置。 - 前記第1中間モードから前記火花点火運転モードへの切り替りの直後の第2の所定期間を除く該火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記燃焼室内の混合気の点火時期を規定する点火時期操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて所定の第2制御則により決定して、該点火時期操作量に応じて前記内燃機関に備えた点火プラグを制御し、且つ、前記第2の所定期間における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記所定の第1制御則により決定される点火時期操作量である通常点火時期操作量を補正してなる補正点火時期操作量を決定して、該補正点火時期操作量に応じて前記点火プラグを制御する火花点火運転モード用点火時期制御手段を備え、
該点火時期制御手段は、前記第2の所定期間における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記補正点火時期操作量により規定される点火時期が前記通常点火時期操作量により規定される点火時期よりも遅角側の点火時期になるように前記補正点火時期操作量を決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。 - 気筒の燃焼室に充填された混合気を圧縮することによって該混合気の燃料を自着火燃焼させる圧縮着火運転モードと、該混合気の燃料を火花点火によって着火燃焼させる火花点火運転モードとで運転可能であると共に、前記燃焼室にオクタン価が互いに異なる複数種類の燃料を供給可能な内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の運転モードを圧縮着火運転モードから火花点火運転モードに移行させるときにその両運転モードの間に介在させる第1中間モードと、前記内燃機関の運転モードを火花点火運転モードから圧縮着火運転モードに移行させるときにその両運転モードの間に介在させる第2中間モードとを備え、
前記第1中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合を調整し、且つ、前記第2中間モードにおいては、前記燃焼室に供給する前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料の供給量の割合が徐々に増加するように前記複数種類の燃料の供給量の相互の割合を調整する中間モード制御手段を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記圧縮着火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む圧縮着火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する圧縮着火運転モード用制御処理手段と、
前記火花点火運転モードで内燃機関を運転させる場合における前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量および燃料供給時期をそれぞれ規定する操作量を少なくとも含む火花点火運転モード用操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて決定する火花点火運転モード用制御処理手段とを備え、
前記中間モード制御手段は、前記第1中間モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、各種類の燃料毎に各別に、前記圧縮着火運転モードの終了時に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量から、該第1中間モードでの内燃機関の運転中に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第1パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記内燃機関に備えた燃料供給装置を制御する手段と、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの実際の燃料供給量を規定する制御用操作量を、各種類の燃料毎に各別に、前記火花点火運転モードの終了時に前記火花点火運転モード用制御処理手段により決定される火花点火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量から、該第2中間モードでの内燃機関の運転中に前記圧縮着火運転モード用制御処理手段により決定される圧縮着火運転モード用操作量のうちの各種類の燃料毎の前記燃料供給量に関する操作量に向かって所定の第2パターンで変化させつつ追従させるように決定し、その決定した制御用操作量に応じて、前記燃料供給装置を制御する手段とを備え、
前記第1中間モードでの内燃機関の運転時における前記所定の第1パターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなり、前記第2中間モードでの内燃機関の運転時における前記所定の第2パターンは、前記複数種類の燃料のそれぞれの燃料供給量に関する前記制御用操作量により規定される該複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が低い側の燃料に関する制御用操作量により規定される燃料供給量の割合が徐々に増加するように、前記各種類の燃料毎に各別にあらかじめ設定されたパターンからなることを特徴とする請求項7記載の内燃機関の制御装置。 - 前記圧縮着火運転モード用制御処理手段は、前記第2中間モードから前記圧縮着火運転モードへの切り替りの直後の第1の所定期間を除く該圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記燃焼室への前記複数種類の燃料のそれぞれの供給量を規定する操作量の、該複数種類の燃料についての組である操作量群を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて所定の第1制御則により決定する手段と、前記第1の所定期間における前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記所定の第1制御則により決定される前記操作量群である通常操作量群のうちの少なくとも1つの操作量を補正してなる補正操作量群を決定する手段とを備えると共に、該補正操作量群を決定する手段は、該補正操作量群により規定される前記複数種類の燃料の総量に対して、オクタン価が高い側の燃料の供給量の割合を、前記所定の第1制御則により決定される通常操作量群により規定される割合よりも増加させるように、前記補正操作量群を決定する手段であり、
前記第1の所定期間における前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には前記圧縮着火運転モード用制御処理手段で決定された補正後操作量群に応じて前記燃料供給装置を制御し、前記第1の所定期間を除く有すると共に、前記圧縮着火運転モードでの内燃機関の運転時には前記圧縮着火運転モード用制御処理手段で決定された通常操作量群に応じて前記燃料供給装置を制御するようにしたことを特徴とする請求項8記載の内燃機関の制御装置。 - 前記第1中間モードから前記火花点火運転モードへの切り替りの直後の第2の所定期間を除く該火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記燃焼室内の混合気の点火時期を規定する点火時期操作量を少なくとも内燃機関の運転状態に応じて所定の第2制御則により決定して、該点火時期操作量に応じて前記内燃機関に備えた点火プラグを制御し、且つ、前記第2の所定期間における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時には、前記所定の第1制御則により決定される点火時期操作量である通常点火時期操作量を補正してなる補正点火時期操作量を決定して、該補正点火時期操作量に応じて前記点火プラグを制御する火花点火運転モード用点火時期制御手段を備え、
該点火時期制御手段は、前記第2の所定期間における火花点火運転モードでの内燃機関の運転時に、前記補正点火時期操作量により規定される点火時期が前記通常点火時期操作量により規定される点火時期よりも遅角側の点火時期になるように前記補正点火時期操作量を決定することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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