JP3922262B2 - 内燃機関の回転速度制御装置 - Google Patents
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Description
この一例として、エンジンのアイドル運転時に、エンジン回転速度を検出し、この回転速度がエンジンの運転条件に応じて予め定められた目標回転速度と一致するように、エンジンへの供給空気量を調整すると共に、回転速度の落ち込み又は目標回転速度からの偏差に応じて、点火時期を補正するようにしている(特許文献3)。即ち、供給空気量の調整によりエンジン回転速度を目標回転速度に制御するだけでなく、トルク発生への応答が速い点火時期を用いてエンジン回転速度の変動又は落ち込みを極力小さくすることを目指すシステムとしている。
従って、点火時期の制御による高応答なトルク調整制御は期待し得ないため、成層混合気による燃焼を行う際に応答よく発生トルクの制御を行わせるための手法としては、燃料噴射量を制御してトルク調整制御を行わせることが考えられる。
しかしながら、上記のように定常的な空燃比をリッチ目に設定する場合は、高応答制御として燃料噴射量の制御を採用したとしても、その制御量が縮小される場合がある。即ち、成層混合気を形成して燃焼を行う場合にあっても、空燃比を濃くし過ぎると、リッチ限界に達して点火性の悪化等が問題となるため、定常的な空燃比をリッチ目に設定した結果、燃料噴射量の増量可能幅が縮小されることとなり、負荷変化(変動)に応じて要求される発生トルクを十分に達成し得ない事態が生じる。言い換えると、燃料噴射量の制御による高応答制御が十分に機能しない状況に陥る惧れがある。
内燃機関の発生トルクを所定のトルク制御値により制御して、内燃機関の回転速度を目標値に維持する回転速度制御手段と、
内燃機関の燃焼形態を、運転条件に応じて第1の燃焼形態から第2の燃焼形態へ切り換える燃焼形態切換手段と、
内燃機関の外部負荷変化に対応して、現在のトルク制御値を補正するトルク制御値補正手段と、
外部負荷変化の発生前の第1の燃焼形態による回転速度制御中に、トルク制御値を現在の値から燃焼形態に応じた所定の限界値にまで増大させた場合の発生トルクの可能増大幅をもとに、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して、第1の燃焼形態により制御し得るか否かを判断するトルク制御可否判断手段と、
この手段により発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得ると判断されたときは、第1の燃焼形態を維持する一方、制御し得ないと判断されたときは、運転条件に拘わらず、燃焼形態を予め第2の燃焼形態に切り換える燃焼形態強制切換手段とを含んで内燃機関の回転速度制御装置を構成した。
第1の燃焼形態を成層混合気により燃焼が行われる燃焼形態とするとともに、第2の燃焼形態を均質混合気により燃焼が行われる燃焼形態とし、
前記トルク制御値補正手段を、内燃機関への燃料供給量を補正するものとして構成した。
第1の燃焼形態を成層混合気により燃焼が行われる燃焼形態とするとともに、第2の燃焼形態を均質混合気により燃焼が行われる燃焼形態とし、
前記トルク制御値補正手段を、第1の燃焼形態による場合に内燃機関への燃料供給量を制御する一方、第2の燃焼形態による場合に内燃機関の点火時期を制御するものとして構成した。
前記トルク制御可否判断手段が、前記発生トルクの可能増大幅が所定の幅未満に狭められていることに基づいて、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得るか否かを判断するように構成した。
前記トルク制御可否判断手段が、内燃機関に加わる可能性がある外部負荷の大きさ又はこれに所定の余裕度を加えた値に基づいて、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得るか否かを判断するように構成した。
前記トルク制御可否判断手段が、現在の空燃比と、予め定められた所定の空燃比との比較結果に基づいて、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得るか否かを判断するように構成した。
前記トルク制御可否判断手段が、所定の大きさの外部負荷が内燃機関に既にかかっていることに基づいて、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得るか否かを判断するように構成した。
請求項8に記載の発明では、
吸入空気量を制御する吸入空気量制御手段が内燃機関に備わる場合に、
前記トルク制御可否判断手段が、この吸入空気量制御手段が吸入空気量を増大させる側に所定の量以上作動していることに基づいて、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得るか否かを判断するように構成した。
前記トルク制御可否判断手段が、前記所定の大きな外部負荷がかかっていることをエアコンの作動、パワーステアリングポンプの作動、自動変速機の走行/後退レンジの選択及び所定の電気負荷の作動のうちいずれか又はこれらの組み合わせにより判断するように構成した。
請求項3に記載の発明によれば、成層混合気による燃焼形態と、均質混合気による燃焼形態とを切換使用する燃焼室直接燃料噴射式ガソリンエンジンの回転速度制御において、良好に高応答制御を実現することができ、外部負荷変化に対応して回転速度を安定して維持することに加え、各燃焼形態で最適な高応答制御を行わせることができ、回転速度制御中の燃費及び排気性能等を改善することができる。
図2は、本発明の第1の実施形態のシステム構成を示す図である。ここでは、燃料噴射弁15により燃焼室10に直接燃料を噴射供給する燃焼室直接燃料噴射式ガソリンエンジンに適用した場合を例に説明するが、本発明は、吸気ポートに燃料噴射弁を配設した吸気ポート燃料噴射式ガソリンエンジンに適用することもできる。
燃料噴射弁15は、コントローラ19からの指令により、所定の気筒に対し、吸気行程中に燃料噴射(燃料供給)を行うことで、均質混合気(燃焼室10全域に亘ってほぼ均一な空燃比となる混合気)を形成する一方、圧縮行程中に燃料噴射を行うことで、燃焼室10内の一部に混合気が偏在する成層混合気を形成することができるものである。即ち、燃料噴射弁15からの燃料供給時期を切り換えることで、均質混合気による燃焼と成層混合気による燃焼とを切り換えることができる。ところで、成層混合気による燃焼を行わせる際は、コントローラ19を介して後述するスロットル弁4又は補助空気量制御バルブ3を所定の量だけ開弁させて、吸入空気量を所定の量だけ増加させたうえで、所定の極希薄な混合気を形成する。従って、成層混合気による燃焼時には、吸入空気の通気抵抗が減少されるから、ポンピングロスが低減され、以って燃費が向上し、延いては排気有害成分の排出量も低減されることになる。
また、排気は、排気弁14の開弁により排気ポート7を介して排気通路へ導出される。この排気通路には、排気の酸素濃度から空燃比を検出する空燃比センサ17が配設されている。
以下に、本実施形態に係る作用について説明する。
S110では、目標アイドル回転速度Nsetを算出する。これは、エンジンの暖機状態や、自動変速機(以下「AT」という。)のNレンジ又はDレンジのセレクト状態等に応じて与えられる。
S130では、算出された目標アイドル回転速度及び外部負荷から、目標アイドル回転速度を維持するために必要とされる必要トルク操作量(又は基本トルク操作量)を算出する。
エンジン回転数(rpm)=30/xとなる。
S160では、算出された偏差Nerrに基づいて、必要トルク操作量を補正するためのトルク操作量(以下「補正トルク操作量」という。)を算出する。
S170では、必要トルク操作量と補正トルク操作量とを加算し、目標トルク操作量として算出する。
これにより、エンジンの回転速度は、安定して目標アイドル回転速度に維持されることになる。
次に、本実施形態に係る機関発生トルクの高応答制御について、図4のタイミングチャートにより説明する。
図4の(A)は、エアコンの負荷の変化を示すタイミングチャートである。
図4の(B)は、エアコンの負荷の増加に対応した機関発生トルクの増加が実現されるように、スロットル弁4又は補助空気量制御バルブ3等の空気量制御弁が開かれることを示すタイミングチャートである。
このため、エアコンの負荷の増加と釣り合わせるためには、図4の(D)に斜線で示すトルクが不足することになる。
そこで、この特徴を活かして、図4の(E)のように、空燃比をリッチ側に補正することにより、図4の(D)の不足トルクを補償するようなフィードフォワード制御を行わせることが一例として考えられる。
S220では、検出された暖機状態に応じて、成層混合気による燃焼(以下「成層燃焼」という。)が可能であるか否かを判断する。可能であると判断された場合は、S230へ進む。可能でないと判断された場合は、S290へ進み、均質混合気による燃焼(以下「均質燃焼」という。)を行わせる。
なお、成層燃焼を行う場合は、発生させ得るトルクのレンジがあまり大きくないため、要求されるエンジンの運転条件が高トルク側の状態にあるときは、成層燃焼ではその要求トルクを実現し得ない場合がある。
そこで、S240では、そのような状況を判断し、実現し得る範囲であれば、S250へ進み、実現し得ない範囲であれば、S290へ進む。
S270では、エアコン等の作動に伴う外部負荷変化に対し、成層燃焼での高応答制御により不足トルクを補い得るか否かを判断する。なお、このS270の判断の具体的な内容は、後述する。
そして、以上の判断に従い、S270では、第1の燃焼形態としての成層燃焼を行わせる一方、S280では、第2の燃焼形態としての均質燃焼を行わせる。
即ち、S270では、成層燃焼を行わせ、燃料噴射量の補正により高応答制御を行わせる。
S310では、第1の燃焼形態(ここでは、成層燃焼)での高応答制御(燃料噴射量の補正による。)により操作可能な、機関発生トルクの可能増大幅TRQ1を算出する。
このようにすると、成層燃焼での高応答制御(即ち、燃料噴射量の補正)により発生可能な機関発生トルクの可能増大幅と、今後突入(投入)される可能性のある外部負荷とを比較し、その比較結果に基づいて、外部負荷変化に対し、成層燃焼のままで不足トルクを補い得るか否かを高精度に判断することができる。従って、均質燃焼への切り換えを必要最小限の範囲でのみ行い、成層燃焼による運転を最大限行わせることができるので、燃費の向上や、これに付随する二酸化炭素排出量の低減を最大限維持・促進することができる。以上の説明では、機械的に所定の敷居値で判断を切り換えるようにしているが(S340)、実際には、ヒステリシス等を設けて、切り換えのハンチングが生じないようにすることが好ましい。
また、図6に示すフローチャートに対して構成の簡略化を図るべく、前記2つの空燃比(リッチ限界値及び現在の空燃比)の偏差に基づいて、不足トルクを補い得るか否かを直接判断することも可能である。
なお、成層燃焼による運転を行う場合は、機関発生トルクが小さくなり、供給空気量を可能な範囲又は容認し得る範囲で増加させたとしても、負荷の状態によっては十分でない場合があり得る。例えば、エアコンが最大出力で作動し、ATが走行レンジにセットされ、かつ前照燈等の大きな電気負荷によりオルタネータの負荷が大きくなっているような場合は、目標空燃比がリーン限界よりもリッチ側の値に設定される。
なお、この場合において、「供給空気量を可能な範囲又は容認し得る範囲で増加させる」としたが、この具体的状況としては、吸気負圧に応じて動作するアクチュエータがエンジンに備えられている場合に、これを動作させるための負圧を確保しておく必要があり、供給空気量をある程度(即ち、可能な範囲又は容認し得る範囲で)制限する必要がある場合が挙げられる。
Claims (9)
- 内燃機関の発生トルクを所定のトルク制御値により制御して、内燃機関の回転速度を目標値に維持する回転速度制御手段と、
内燃機関の燃焼形態を、運転条件に応じて第1の燃焼形態から第2の燃焼形態へ切り換える燃焼形態切換手段と、
内燃機関の外部負荷変化に対応して、現在のトルク制御値を補正するトルク制御値補正手段と、
外部負荷変化の発生前の第1の燃焼形態による回転速度制御中に、トルク制御値を現在の値から燃焼形態に応じた所定の限界値にまで増大させた場合の発生トルクの可能増大幅をもとに、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して、第1の燃焼形態により制御し得るか否かを判断するトルク制御可否判断手段と、
この手段により発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得ると判断されたときは、第1の燃焼形態を維持する一方、制御し得ないと判断されたときは、運転条件に拘わらず、燃焼形態を予め第2の燃焼形態に切り換える燃焼形態強制切換手段と、を含んで構成される内燃機関の回転速度制御装置。 - 第1の燃焼形態が成層混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、第2の燃焼形態が均質混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、
前記トルク制御値補正手段が、内燃機関への燃料供給量を補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の回転速度制御装置。 - 第1の燃焼形態が成層混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、第2の燃焼形態が均質混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、
前記トルク制御値補正手段が、第1の燃焼形態による場合に内燃機関への燃料供給量を制御する一方、第2の燃焼形態による場合に内燃機関の点火時期を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の回転速度制御装置。 - 前記トルク制御可否判断手段が、前記発生トルクの可能増大幅が所定の幅未満に狭められていることに基づいて、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得るか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。
- 前記トルク制御可否判断手段が、内燃機関に加わる可能性がある外部負荷の大きさ又はこれに所定の余裕度を加えた値に基づいて、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得るか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。
- 前記トルク制御可否判断手段が、現在の空燃比と、予め定められた所定の空燃比との比較結果に基づいて、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得るか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。
- 前記トルク制御可否判断手段が、所定の大きさの外部負荷が内燃機関に既にかかっていることに基づいて、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得るか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。
- 吸入空気量を制御する吸入空気量制御手段を備える内燃機関に設けられ、
前記トルク制御可否判断手段が、この吸入空気量制御手段が吸入空気量を増大させる側に所定の量以上作動していることに基づいて、内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して制御し得るか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。 - 前記トルク制御可否判断手段が、前記所定の大きさの外部負荷がかかっていることをエアコンの作動、パワーステアリングポンプの作動、自動変速機の走行/後退レンジの選択及び所定の電気負荷の作動のうちいずれか又はこれらの組み合わせにより判断することを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の回転速度制御装置。
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JP2004073283A JP3922262B2 (ja) | 2004-03-15 | 2004-03-15 | 内燃機関の回転速度制御装置 |
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JP2004073283A Expired - Lifetime JP3922262B2 (ja) | 2004-03-15 | 2004-03-15 | 内燃機関の回転速度制御装置 |
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JP4501743B2 (ja) * | 2005-03-23 | 2010-07-14 | 日産自動車株式会社 | 筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置 |
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2004
- 2004-03-15 JP JP2004073283A patent/JP3922262B2/ja not_active Expired - Lifetime
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