JP2004197753A - 内燃機関の回転速度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成層燃焼時において、エアーコンディショナの作動等による外部負荷変化があってもこれに対応して機関発生トルクを制御し、回転変動等を充分に抑制し得るか否かを判断する(S280)。抑制不可と判断したときは、燃焼形態を均質燃焼に強制的に切り換える(S290)。
【選択図】 図5
Description
この一例として、エンジンのアイドル運転時に、エンジン回転速度を検出し、この回転速度がエンジンの運転条件に応じて予め定められた目標回転速度と一致するように、エンジンへの供給空気量の調整を行うと共に、回転速度の落ち込み或いは目標回転速度からの偏差に応じて、点火時期を補正するようにしている(特許文献3)。つまり、吸気量を調整し、エンジン回転速度を目標に制御するだけでなく、トルク発生への応答が速い点火時期を用いてエンジン回転速度の変動や落ち込みを極力小さくすることを目指すシステムとしている。
従って、点火時期制御による高応答なトルク調整制御は期待できないため、成層混合気による燃焼を行う際に、応答よく発生トルクの制御を行わせるための手法としては、上述したような、燃料噴射量を調整してトルク調整制御を行わせることが考えられる。
しかしながら、上記のように定常的な空燃比をリッチ目に設定する場合、高応答制御として燃料噴射量を制御しようとしても、その制御量が縮小される場合がある。即ち、成層混合気を形成して燃焼を行う場合にあっても、あまり空燃比を濃くするとリッチ限界(点火性の悪化など)の制限値に達してしまうことになるため、定常的な空燃比をリッチ目に設定した結果、燃料噴射量の増量可能幅が縮小されることとなり、負荷変化(変動)に応じて要求される発生トルクを十分に達成できない事態が生じる。つまり、高応答トルク制御が十分機能できないような状況に陥る惧れがある。
内燃機関の回転速度を目標値に維持するように、内燃機関の発生トルクを制御する回転速度制御手段と、
内燃機関の燃焼形態を、所定の運転条件に応じて、所定の燃焼形態から他の燃焼形態へ切り換える燃焼形態切換手段と、
を含んで構成される内燃機関の回転速度制御装置において、
内燃機関の外部負荷変化に対応して、高応答で内燃機関の発生トルクを制御可能な高応答トルク制御手段と、
前記回転速度制御手段による回転速度制御中に、内燃機関の外部負荷変化があったとした場合に、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクをその外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段において十分に制御できると判断されたときには、現在の燃焼形態を維持し、前記判断手段において十分に制御できないと判断されたときには、前記所定の運転条件に拘わらず、他の燃焼形態に切り換える燃焼形態強制切換手段と、
を含んで構成した。
前記現在の燃焼形態が成層混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、他の燃焼形態が均質混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、
前記高応答トルク制御手段が、内燃機関への燃料供給量を制御する手段を含んで構成されるようにする。
前記現在の燃焼形態が成層混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、他の燃焼形態が均質混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、
前記高応答トルク制御手段が、前記現在の燃焼形態のときに内燃機関への燃料供給量を制御する手段と、前記他の燃焼形態のときに内燃機関の点火時期を制御する手段と、を含んで構成されるようにする。
前記判断手段が、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを制御できる制御幅が、少なくともトルク増大方向において所定以上狭められていることに基づいて、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断するように構成した。
前記判断手段が、内燃機関に加わる可能性がある外部負荷の大きさ若しくはこれに所定の余裕度を加えた値の大きさに基づいて、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断するように構成した。
前記判断手段が、現在の空燃比と、予め定めた所定の空燃比と、の比較結果に基づいて、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断するように構成した。
また、請求項7に記載の発明では、
前記高応答トルク制御手段が内燃機関への燃料供給量を制御する手段として構成された場合に、
前記判断手段が、前記高応答トルク制御手段により、現在の空燃比が所定のリッチ限界空燃比となるまで燃料供給量を増加させた場合に得られるトルク増大幅に基づいて、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断するように構成した。
前記判断手段が、所定の大きな外部負荷が内燃機関に既にかかっていることに基づいて、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断するように構成した。
請求項9に記載の発明では、
前記判断手段が、スロットル弁等の吸入空気量制御手段が、吸気を増大する側に所定以上作動していることに基づいて、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断するように構成した。
請求項10に記載の発明では、
前記所定の大きな外部負荷が、エアコンの作動、パワーステアリングポンプの作動、自動変速機の走行/後退レンジの選択中、所定以上の電気負荷の作動、或いはこれらの組み合わせであるようにする。
請求項3に記載の発明によれば、成層混合気による燃焼形態と均質混合気による燃焼形態とを切換使用する燃焼室直接燃料噴射式ガソリンエンジンの回転速度制御において、良好に高応答制御を実現できるので、以って外部負荷変化等があっても回転速度を安定して維持することができることに加え、各々の燃焼形態に最適な高応答トルク制御手段で高応答トルク制御を行わせることが可能となるので、回転速度制御中の燃費や排気性能等を一層改善することができる。
請求項10に記載の発明によれば、より一層簡単な構成で、高精度に高応答トルク制御が十分に機能できない状況下を検出することができる。
図2は、本発明の第1の実施形態のシステム構成を示す図である。本実施形態では、燃料噴射弁15により燃焼室10に直接燃料を噴射供給する燃焼室直接燃料噴射式ガソリンエンジンの例を示しているが、吸気ポートに燃料噴射弁を配設した吸気ポート燃料噴射式ガソリンエンジンであっても適用できるものである。
燃料噴射弁15は、コントローラ19からの指令により、例えば所定気筒の吸気行程において燃料噴射(燃料供給)を行うことで均質混合気(燃焼室10全域に亘ってほぼ均一な空燃比となる混合気)を形成する一方、圧縮行程において燃料噴射を行うことで燃焼室10内の一部に混合気が偏在する成層混合気を形成することができるものである。つまり、燃料噴射弁15からの燃料供給時期を切り換えることで、均質混合気による燃焼と、成層混合気により燃焼と、を切り換えることができるようになっている。ところで、成層混合気により燃焼を行わせる際には、コントローラ19を介して後述するスロットル弁4或いは補助空気量制御バルブ3を所定量開弁させて吸入空気量を所定量増加させたうえで、所定の極希薄な混合気を形成するようになっている。従って、成層混合気による燃焼時には、吸気の通気抵抗が減少されるから、ポンピングロスが低減され、以って燃費が向上し延いては排気有害成分の排出量も低減されることになる。
また、排気は排気弁14を介して排気ポート7、排気通路へ導出されるが、排気中の酸素濃度から空燃比を検出する空燃比センサ17が、排気通路に配設されている。
以下に、本実施形態に係る作用について説明する。
S110では、アイドル目標回転速度(回転数)Nsetを算出する。これは、エンジンの暖機状態や、AT(自動変速機)のNレンジやDレンジのセレクト状態などに応じて与えられる。
S130では、S110で算出された目標回転速度や外部負荷から目標アイドル回転速度を維持するために必要とされる必要トルク操作量(基本トルク操作量)を算出する。
エンジン回転数(rpm)=30/xとなる。
S160では、この偏差Nerrに基づいて、補正すべきトルク操作量(補正トルク操作量)を算出する。
S170では、上記必要トルク操作量(基本トルク操作量)と、補正トルク操作量と、を加算し、目標トルク操作量として算出する。
これにより、エンジンの回転速度は、安定して目標回転速度に維持されることになる。
次に、本実施形態における高応答トルク制御について、図4のタイミングチャートに基づき説明する。
図4の(A)は、エアコンの負荷の変化のタイミングチャートである。
図4の(B)は、エアコンの負荷の増加に対応し、その負荷に相当するトルクの増加が実現されるように、例えばスロットル弁4や補助空気量制御バルブ3等の空気量制御弁が開かれることを示すタイミングチャートである。
このため、エアコン負荷の増加と釣り合わせるためには、図4の(D)のようなトルクが不足することになる。
そこで、この特徴を活かして、図4の(E)のように、空燃比(燃料供給量)をリッチ側に補正することにより、図4の(D)の不足トルクを補償するようなフィードフォワード制御を行わせることが、一例として考えられる。
S210では、エンジンの暖機状態を検出する。
S220では、この暖機状態に応じて、成層混合気による燃焼が可能か否かを判断する。可能であれば、S230へ進む。可能でないと判断された場合は、S290へ進み、均質混合気による燃焼を行わせる。
なお、成層混合気での燃焼を行った場合、発生できるトルクのレンジがあまり大きくないため、要求されるエンジンの運転条件が高トルク側の状態であった場合、成層混合気での燃焼では実現できない場合がある。
そこで、S240では、そのような状況を判断し、実現できる範囲であれば、S250へ進ませ、実現できない範囲であれば、S290へ進ませる。
S270では、高応答トルク制御の制御可能な量を算出する。
S280では、その制御可能な量が高応答トルク制御として十分性能を発揮できる量であるか否かにより、成層混合気による燃焼を行っても高応答トルク制御を十分に行えるか否かを判断する。なお、前記S270、S280についての具体的な例は後述する。
そして、S260では、以上の判断に基づき第1の動作状態(第1の燃焼形態)として成層混合気による燃焼を行わせ、S290では第2の動作状態(第2燃焼形態)として均質混合気による燃焼を行わせる。
即ち、S260では、成層混合気による燃焼を行わせ、高応答トルク制御手段として燃料噴射量補正により高応答トルク制御を行わせる。
以上の説明では、機械的に所定の敷居値で判断を切り換えるようにしているが、実際はヒステリシスなどを設けて、切り換えのハンチングが生じないようにすることが好ましい。
即ち、
S310では、第1の高応答トルク制御によるトルク操作可能な範囲TRQ1を算出する。
S340では、この余裕代TRQ3と、所定の余裕代aと、を比較する。
そして、TRQ3>aであれば、第1の高応答トルク制御が行えると判断し、S350により成層混合気による燃焼が可能であると判断して、本フローを終了する。
このうようにすると、高応答トルク制御で発生可能なトルク量と、突入(投入)される可能性のある負荷量と、を比較し、その比較結果に基づいて、高応答トルク制御が十分機能できない状況であるか否かを判断するので、高精度に高応答トルク制御が十分に機能できない状況下を検出することができる。従って、必要最小限の範囲でのみ均質混合気による燃焼へ切り換えられ、最大限成層混合気による運転を行わせることができるので、燃費向上やこれに付随するCO2 排出量の低減を最大限維持・促進することができる。
また、図6のフローチャートに対して、一層構成の簡略化を図るべく、前記2つの空燃比(リッチ限界値と現在の空燃比)の偏差に基づいて、第1の高応答トルク制御を十分機能させることができるか否かを直接判断するように構成することも可能である。
なお、成層混合気を形成し、極希薄な空燃比にてエンジンを運転する場合、出力トルクが小さくなり、供給空気量を可能な範囲或いは容認できる範囲で増加させたとしても、負荷の状態によっては十分でない場合があり得る。つまり、例えば、エアコンが最大能力で働き、ATは走行レンジにセットされ、前照燈など大きな電気負荷によりオルタネータの負荷が大きくなったような場合は、目標空燃比が希薄限界に対しリッチ側の値に設定される。
なお、上記において、「供給空気量を可能な範囲或いは容認できる範囲で増加させる」としたが、この具体的状況としては、吸気負圧に応じて動作するアクチュエータがエンジンに備えられている場合に、これを動作させるための負圧を確保しておく必要があり、供給空気量をある程度(即ち、可能な範囲或いは容認できる範囲)に制限する必要がある場合などが挙げられる。
Claims (10)
- 内燃機関の回転速度を目標値に維持するように、内燃機関の発生トルクを制御する回転速度制御手段と、
内燃機関の燃焼形態を、所定の運転条件に応じて、所定の燃焼形態から他の燃焼形態へ切り換える燃焼形態切換手段と、
を含んで構成される内燃機関の回転速度制御装置において、
内燃機関の外部負荷変化に対応して、高応答で内燃機関の発生トルクを制御可能な高応答トルク制御手段と、
前記回転速度制御手段による回転速度制御中に、内燃機関の外部負荷変化があったとした場合に、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクをその外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段において十分に制御できると判断されたときには、現在の燃焼形態を維持し、前記判断手段において十分に制御できないと判断されたときには、前記所定の運転条件に拘わらず、他の燃焼形態に切り換える燃焼形態強制切換手段と、
を含んで構成したことを特徴とする内燃機関の回転速度制御装置。 - 前記現在の燃焼形態が成層混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、他の燃焼形態が均質混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、
前記高応答トルク制御手段が、内燃機関への燃料供給量を制御する手段を含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の回転速度制御装置。 - 前記現在の燃焼形態が成層混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、他の燃焼形態が均質混合気により燃焼が行われる燃焼形態であり、
前記高応答トルク制御手段が、前記現在の燃焼形態のときに内燃機関への燃料供給量を制御する手段と、前記他の燃焼形態のときに内燃機関の点火時期を制御する手段と、を含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の回転速度制御装置。 - 前記判断手段が、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを制御できる制御幅が、少なくともトルク増大方向において所定以上狭められていることに基づいて、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。
- 前記判断手段が、内燃機関に加わる可能性がある外部負荷の大きさ若しくはこれに所定の余裕度を加えた値の大きさに基づいて、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。
- 前記判断手段が、現在の空燃比と、予め定めた所定の空燃比と、の比較結果に基づいて、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。
- 前記高応答トルク制御手段が内燃機関への燃料供給量を制御する手段として構成された場合に、
前記判断手段が、前記高応答トルク制御手段により、現在の空燃比が所定のリッチ限界空燃比となるまで燃料供給量を増加させた場合に得られるトルク増大幅に基づいて、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。 - 前記判断手段が、所定の大きな外部負荷が内燃機関に既にかかっていることに基づいて、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。
- 前記判断手段が、スロットル弁等の吸入空気量制御手段が、吸気を増大する側に所定以上作動していることに基づいて、現在の燃焼形態において、前記高応答トルク制御手段により内燃機関の発生トルクを外部負荷変化に対応して十分に制御できるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の回転速度制御装置。
- 前記所定の大きな外部負荷が、エアコンの作動、パワーステアリングポンプの作動、自動変速機の走行/後退レンジの選択中、所定以上の電気負荷の作動、或いはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の回転速度制御装置。
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JP2006266119A (ja) * | 2005-03-23 | 2006-10-05 | Nissan Motor Co Ltd | 筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置 |
-
2004
- 2004-03-15 JP JP2004073283A patent/JP3922262B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006266119A (ja) * | 2005-03-23 | 2006-10-05 | Nissan Motor Co Ltd | 筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置 |
JP4501743B2 (ja) * | 2005-03-23 | 2010-07-14 | 日産自動車株式会社 | 筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置 |
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