JP2008291083A - 放熱材用熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

放熱材用熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】放熱効果に優れる放熱材となりうる組成物の提供。
【解決手段】少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を側鎖として有する熱可塑性エラストマー(A)と、シェルが前記熱可塑性エラストマー(A)と水素結合することが可能な官能基を有する有機化合物であり、前記シェル内にコアとして蓄熱材を内包するマイクロカプセル(B)とを含む放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、放熱材用熱可塑性エラストマー組成物に関する。
LSIパッケージや電子機器から発生する熱を外部へ放熱させるためのデバイスとして放熱器(ヒートシンク)が使用されている。
放熱器としては例えばベース板上に多数の放熱フィンを付けて表面積を大きくした金属ブロックが挙げられ、ベース部分を電子機器等に密着させて用いられる。
また、放熱を効果的にすることを目的として、放熱器のベース部分と電子機器との間に放熱シートを挟むことがある。
しかしながら、本願発明者は、従来の放熱シートを使用する場合電子機器等から発生する熱を外部へ放熱させる効果が極めて低いことを見出した。
そこで、本発明は、放熱効果に優れる放熱材となりうる組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を側鎖として有する熱可塑性エラストマー(A)と、シェルが前記熱可塑性エラストマー(A)と水素結合することが可能な官能基を有する有機化合物であり、前記シェル内にコアとして蓄熱材を内包するマイクロカプセル(B)とを含む熱可塑性エラストマー組成物が、放熱効果に優れる放熱材となることを見出し、本発明を達成するに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(13)に記載の熱可塑性エラストマー組成物、下記(14)に記載の放熱材および下記(15)に記載の積層体を提供する。
(1) 少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を側鎖として有する熱可塑性エラストマー(A)と、
シェルが前記熱可塑性エラストマー(A)と水素結合することが可能な官能基を有する有機化合物であり、前記シェル内にコアとして蓄熱材を内包するマイクロカプセル(B)とを含む放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(2) 前記熱可塑性エラストマー(A)が、さらに、共有結合架橋部を側鎖として有する上記(1)に記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(3) 前記熱可塑性エラストマー(A)が、前記含窒素複素環含有基を介して架橋している上記(1)に記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(4) 前記官能基が、カルボニル基、アミノ基およびアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(5) さらに、可塑剤を含む上記(1)〜(4)のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(6) 前記有機化合物が、メラミンホルムアルデヒド樹脂および尿素ホルマリン樹脂のうちのいずれか一方または両方である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(7) 前記マイクロカプセル(B)の量が、前記熱可塑性エラストマー(A)100質量部に対して、100〜2,000質量部である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(8) 前記側鎖のうちの少なくとも一部または全部が、1つの側鎖内に含窒素複素環とカルボニル基とを含有する上記(1)〜(7)のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(9) 前記1つの側鎖内に前記含窒素複素環と前記カルボニル基とを含有する前記側鎖が、下記式(1)で表される構造を含有する上記(8)に記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
Figure 2008291083

(式中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合、酸素原子、イオウ原子、アミノ基NR′および酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含んでもよい有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)
(10) 前記式(1)で表される構造を含有する側鎖が、下記式(2)または式(3)で表される構造である上記(9)に記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
Figure 2008291083

(式中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、イオウ原子、アミノ基NR′および酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含んでもよい有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、α位またはβ位において直接または有機基を介して前記熱可塑性エラストマー(A)の主鎖に結合する。)
(11) 前記熱可塑性エラストマー(A)の主鎖が、ポリオレフィン系ゴムである上記(1)〜(10)のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(12) 前記可塑剤が液状ゴム(C)であり、前記液状ゴム(C)が、ポリブテン、エチレン−プロピレンゴム、ポリブタジエンおよびポリイソプレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(5)〜(11)のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(13) 前記可塑剤の量が、前記熱可塑性エラストマー(A)100質量部に対して、50〜500質量部である上記(5)〜(12)のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
(14) 上記(1)〜(13)のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物を材料として用いた放熱材。
(15) 上記(14)に記載の放熱材と金属層とを具備する積層体。
本発明の放熱材および本発明の積層体は放熱効果に優れる。
また、本発明の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物は、放熱効果に優れる放熱材となることができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物は、
少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を側鎖として有する熱可塑性エラストマー(A)と、
シェルが前記熱可塑性エラストマー(A)と水素結合することが可能な官能基を有する有機化合物であり、前記シェル内にコアとして蓄熱材を内包するマイクロカプセル(B)とを含む組成物である。
以下、本発明の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物を「本発明の組成物」ということがある。
熱可塑性エラストマー(A)について以下に説明する。
本発明の組成物に含まれる熱可塑性エラストマー(A)は、少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を側鎖として有するものである。
本発明の組成物に含まれる熱可塑性エラストマー(A)は、その主鎖がエラストマーであれば特に制限されない。例えば、天然高分子または合成高分子のいずれであってもよい。
熱可塑性エラストマー(A)の主鎖となりうるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム;ポリオレフィン系ゴム、主鎖に不飽和炭素結合を有するゴム[例えば、ブチルゴム(IIR)]、主鎖に炭素原子以外の原子を有するゴムのような非ジエン系ゴム;熱可塑性エラストマー(TPE)が挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)の主鎖となりうるエラストマーとしてのジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)およびこれらの水素添加物が挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)の主鎖となりうるエラストマーとしてのポリオレフィン系ゴムはポリメチレン型の飽和主鎖を有するものであれば特に制限されない。
例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−オクテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)、ポリエチレンゴム、ポリプロピレンゴム、ジエン系ゴムの完全水素添加物のような炭化水素のみからなるポリオレフィン系ゴム;エチレン−ビニルアルコールゴム(EVA)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、エチレン−アクリルゴム(AEM)のような官能基を有するポリオレフィン系ゴムが挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)の主鎖となりうるエラストマーとしての、主鎖に炭素原子以外の原子を有する非ジエン系ゴムとしては、例えば、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、多硫化ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムが挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)の主鎖となりうるエラストマーとしての熱可塑性エラストマー(TPE)としては、例えば、スチレン系TPE(例えば、SBS、SIS、SEBS、SEPS等。なおスチレン系TPEは水素添加されていてもよい。)、オレフィン系TPE、ジエン系TPE(例えば、1,2−BR、トランスIR)、塩化ビニルTPE、ウレタン系TPE、エステル系TPE、アミド系TPE、フッ素系TPEが挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)の主鎖は、得られる放熱体の引張強度に優れ、二重結合が存在しないため組成物の劣化を抑制することができるという観点から、ポリオレフィン系ゴムであるのが好ましく、炭化水素のみからなるポリオレフィン系ゴムがより好ましく、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−オクテンゴムであるのがさらに好ましい。
熱可塑性エラストマー(A)の主鎖として、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−アクリルゴム(AEM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)、エチレン−オクテンゴムを用いる場合、そのエチレン含有量は、得られる放熱材の耐圧縮永久歪、機械的強度に優れるという観点から、10〜90モル%であるのが好ましく、40〜90モル%であるのがより好ましい。
熱可塑性エラストマー(A)は、液状または固体状であってもよい。
熱可塑性エラストマー(A)の分子量は、特に限定されず、本発明の組成物が用いられる用途、これらに要求される物性等に応じて適宜選択することができる。
熱可塑性エラストマー(A)は、本発明の放熱材(組成物)の強度に優れるという観点から、室温において固体であることが好ましく、室温において固体である熱可塑性エラストマー(A)の主鎖がポリオレフィン系ゴムである場合、その重量平均分子量は100,000以上であることが好ましく、150,000〜1,500,000程度であることが特に好ましい。
本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel permeation chromatography(GPC))により測定した重量平均分子量(ポリスチレン換算)である。測定にはテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いるのが好ましい。
また、熱可塑性エラストマー(A)のガラス転移点は、得られる放熱材が室温でゴム状弾性を示すことができるという観点から、25℃以下であることが好ましい。熱可塑性エラストマー(A)が2以上のガラス転移点を有する場合または2種以上の該熱可塑性エラストマー(A)を混合して用いる場合は、ガラス転移点の少なくとも1つは25℃以下であることが好ましい。
なお、本発明において、ガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC−Differential Scanning Calorimetry)により測定したガラス転移点である。昇温速度は10℃/minにするのが好ましい。
ガラス転移点が25℃以下の熱可塑性エラストマー(A)の主鎖となりうるエラストマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などのジエン系ゴム;ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−アクリルゴム(AEM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)などのポリオレフィン系ゴムが挙げられる。
これらの熱可塑性エラストマー(A)の主鎖となりうるエラストマーは、得られる放熱材が室温でゴム状弾性を示すことができるという観点から好ましい。
本発明において、「側鎖」とは、熱可塑性エラストマー(A)の側鎖および末端のうちのいずれか一方または両方をいう。
また、「少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を側鎖として有する」とは、
(1)熱可塑性エラストマー(A)の主鎖を形成する原子(通常、炭素原子。以下同様。)に、含窒素複素環含有基を有する側鎖およびカルボニル含有基を有する側鎖がそれぞれ化学的に結合(例えば、共有結合等。以下同様。)をしていること、
(2)1つの側鎖内に含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を有する側鎖が、熱可塑性エラストマー(A)の主鎖を形成する原子に、化学的に結合をしていること、
および(3)含窒素複素環含有基を有する側鎖と、カルボニル含有基を有する側鎖と、1つの側鎖内に含窒素複素環含有基とカルボニル含有基とを有する側鎖とが、熱可塑性エラストマー(A)の主鎖を形成する原子に、それぞれ化学的に結合をしていること、のうちの少なくともいずれか1つを意味する。
熱可塑性エラストマー(A)は側鎖として少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を有することによって、熱可塑性エラストマー(A)とマイクロカプセル(B)のシェルとの間で水素結合が形成され、これによって本発明の組成物中にマイクロカプセル(B)を多く含有させることが可能となり、本発明の組成物から得られる放熱材は放熱効果に優れる。
なかでも、熱可塑性エラストマー(A)は、圧縮永久歪み、機械的強度に優れるという観点から、側鎖のうちの少なくとも一部または全部が、1つの側鎖内に含窒素複素環とカルボニル基とを含有するのが好ましい。
1つの側鎖内に含窒素複素環とカルボニル基とを含有する側鎖としては、例えば、下記式(1)で表される構造を含有するものが挙げられる。
Figure 2008291083

式中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合、酸素原子、イオウ原子、アミノ基NR′および酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含んでもよい有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。
熱可塑性エラストマー(A)は、圧縮永久歪み、機械的強度に優れるという観点から、側鎖のうちの少なくとも一部または全部が1つの側鎖内に含窒素複素環とカルボニル基とを含有する側鎖として式(1)で表される構造を有するのが好ましい。
含窒素複素環Aは、複素環内に窒素原子を含むものであれば特に制限されず、複素環内に窒素原子以外のヘテロ原子、例えば、イオウ原子、酸素原子、リン原子等を有することができる。
含窒素複素環Aは置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、ヘキシル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基などのアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子からなる基;シアノ基;アミノ基;芳香族炭化水素基;エステル基;エーテル基;アシル基;チオエーテル基等が挙げられる。
置換基は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができ、その数も限定されない。
含窒素複素環Aは、芳香族性を有することができる。含窒素複素環Aが芳香族性を有している場合、組成物が水素結合等によって架橋して得られる放熱材の引張強度、機械的強度に優れるので好ましい。
含窒素複素環は、五員環または六員環であることが好ましい。
このような含窒素複素環としては、例えば、ピロリジン、ピロリドン、オキシインドール(2−オキシインドール)、インドキシル(3−オキシインドール)、ジオキシインドール、イサチン、インドリル、フタルイミジン、β−イソインジゴ、モノポルフィリン、ジポルフィリン、トリポルフィリン、アザポルフィリン、フタロシアニン、ヘモグロビン、ウロポルフィリン、クロロフィル、フィロエリトリン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン、イミダゾロン、イミダゾリドン、ヒダントイン、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリドン、インダゾール、ピリドインドール、プリン、シンノリン、ピロール、ピロリン、インドール、インドリン、オキシルインドール、カルバゾール、フェノチアジン、インドレニン、イソインドール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、フェナントロリン、オキサジン、ベンゾオキサジン、フタラジン、プテリジン、ピラジン、フェナジン、テトラジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、アントラニル、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、アントラゾリン、ナフチリジン、チアジン、ピリダジン、ピリミジン、キナゾリン、キノキサリン、トリアジン、ヒスチジン、トリアゾリジン、メラミン、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、イソシアヌル酸およびこれらの誘導体等が挙げられる。
また、含窒素複素環は例えば上記と同様の置換基を有していてもよいし、水素原子が付加または脱離されたものであってもよい。
含窒素複素環の結合位置について説明する。なお、含窒素複素環を便宜上「含窒素n員環化合物(n≧3)」とする。
以下に説明する結合位置(「1〜n位」)は、IUPAC命名法に基づくものである。例えば、非共有電子対を有する窒素原子を3個有する化合物の場合、IUPAC命名法に基づく順位によって結合位置を決定する。具体的には、以下に例示する五員環、六員環および縮合環の含窒素複素環に結合位置を記する。
熱可塑性エラストマー(A)において、含窒素複素環が直接または有機基を介して主鎖としてのエラストマーと結合する際、含窒素n員環化合物の結合位置は特に限定されず、いずれの結合位置(1位〜n位)でもよい。好ましくは、その1位または3位〜n位である。
含窒素n員環化合物に含まれる窒素原子が1個(例えば、ピリジン環等)の場合は、分子内でキレートが形成されやすく組成物としたときの引張強度等の物性に優れるため、3位〜(n−1)位が好ましい。
含窒素n員環化合物の結合位置を選択することにより、熱可塑性エラストマー(A)は、該熱可塑性エラストマー(A)同士の分子間で、水素結合、イオン結合、配位結合等による架橋が形成されやすい。また、含窒素n員環化合物の結合位置を選択することにより、熱可塑性エラストマー(A)とマイクロカプセル(B)のシェルとの間で、水素結合、イオン結合、配位結合等による架橋が形成されやすく、熱可塑性エラストマー(A)とマイクロカプセル(B)との間での水素結合が解離することによって熱を多量に放出することができ、放熱効果により優れ、放熱を繰り返し行うことができ、機械的特性に優れる。
含窒素五員環含は、圧縮永久歪み、機械的特性に優れるという観点から、下記の一群の化合物、下記式(25)で表されるトリアゾール誘導体、下記式(26)で表されるイミダゾール誘導体が好ましい。
Figure 2008291083
Figure 2008291083
式中、置換基Xは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。
置換基Xは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20アラルキル基または炭素数6〜20のアリール基であれば特に限定されない。
置換基Xとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基(o−、m−、p−)、ジメチルフェニル基、メシチル基などのアリール基が挙げられる。
含窒素六員環としては、例えば、下記の一群の化合物、イソシアヌル酸(例えば、イソシアネート基含有化合物の3量体)が挙げられる。
含窒素六員環は上記した置換基を有していてもよいし、水素原子が付加または脱離されたものであってもよい。
Figure 2008291083
また、含窒素複素環は、含窒素複素環を有する縮合環であってもよく、例えば、ベンゼン環と縮合したもの、含窒素複素環同士が縮合したものが挙げられる。具体的には、例えば、下記の一群の縮合環が挙げられる。
縮合環は上記した置換基を有していてもよいし、水素原子が付加または脱離されたものであってもよい。
Figure 2008291083
イソシアヌル酸としては、例えば、下記の式で表されるものが挙げられる。
Figure 2008291083

式中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子;メチル基、エチル基のようなアルキル基;メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基のようなヒドロキシ基含有基;塩素原子、臭素原子のようなハロゲン原子;ヒドロキシ基;シアノ基;アミノ基;エステル基;エーテル基である。R1、R2、R3は、それぞれ異なっていてもよく、同一でもよい。
イソシアヌル酸としては、例えば、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸が挙げられる。
含窒素複素環のうち、得られる放熱材が、放熱効果により優れ、耐圧縮永久歪、機械的強度および硬度に優れるという観点から、トリアゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、チアゾール環、イミダゾール環、ヒダントイン環、イソシアヌル酸が好ましい。
含窒素複素環含有基は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
置換基Bは、単結合、酸素原子、イオウ原子、アミノ基NR′および酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含んでもよい有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であるのが好ましい。
有機基は、酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含むことができる炭化水素基である。
炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基(アルキレン基、例えば、−CH2CH2−)が挙げられる。
また、有機基が酸素原子、イオウ原子およびアミノ基NR′からなる群から選ばれる少なくとも1種を末端または側鎖に有する場合としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレンエーテル基(アルキレンオキシ基、例えば、−O−CH2CH2−)、アルキレンアミノ基(例えば、−NH−CH2CH2−等)、アルキレンチオエーテル基(アルキレンチオ基、例えば、−S−CH2CH2−)が挙げられる。
アミノ基NR′中のR′(炭素数1〜10のアルキル基)としては、異性体を含む、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。
置換基Bの、単結合、酸素原子、イオウ原子、アミノ基NR′および酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含んでもよい有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種は、機械的強度に優れるという観点から、式(1)中のカルボニル基と隣接して、エステル基、アミド基、イミド基、チオエステル基等を形成することが好ましい。
なかでも、置換基Bは、式(1)中のカルボニル基と隣接して共役系を形成する、酸素原子、イオウ原子、アミノ基NR′、酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含んでもよい有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種を末端に有する、炭素数1〜20のアルキレンエーテル基、アルキレンアミノ基またはアルキレンチオエーテル基であることが好ましく、アミノ基(NH)、アルキレンアミノ基(−NH−CH2−、−NH−CH2CH2−、−NH−CH2CH2CH2−)、アルキレンエーテル基(−O−CH2−、−O−CH2CH2−、−O−CH2CH2CH2−)であることがより好ましい。
置換基Bは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記式(1)で表される構造を含有する側鎖としては、例えば、下記式(2)、式(3)で表される構造が挙げられる。
Figure 2008291083

式中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、イオウ原子、アミノ基NR′および酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含んでもよい有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、α位またはβ位において直接または有機基を介して前記熱可塑性エラストマー(A)の主鎖に結合する。
含窒素複素環Aは、具体的には、式(1)の含窒素複素環Aと基本的に同様である。
また、置換基BおよびDは式(1)の置換基Bと基本的に同様である。
ただし、式(3)における置換基Dは、圧縮永久歪み、機械的強度に優れるという観点から、単結合;酸素原子、イオウ原子もしくはアミノ基NR′を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基であって、酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′がイミド窒素と共役系を形成するものが好ましく、単結合であるのがより好ましい。
置換基Dは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱可塑性エラストマー(A)において、1つの側鎖内に含窒素複素環およびカルボニル基を含有し、含窒素複素環が、トリアゾール環、イミダゾール環またはチアゾール環である場合、式(1)で表される構造は、圧縮永久歪み、機械的特性に優れるという観点から、下記式(13)、下記式(14)もしくは(15)、または下記式(16)で表される構造であるのが好ましい。
Figure 2008291083
また、下記式(2)、式(3)で表される構造は、圧縮永久歪み、機械的強度に優れるという観点から、下記式(17)もしくは式(18)、下記式(19)〜式(22)のいずれか、または下記式(23)もしくは式(24)で表される構造であるのが好ましい。
Figure 2008291083
式中、BおよびDは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、イオウ原子、アミノ基NR′および酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含んでもよい有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、GおよびJは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。
ここで、式(13)〜式(24)において、置換基BおよびDはそれぞれ独立に、上記式(1)〜式(3)の置換基BおよびDと基本的に同様である。
置換基GおよびJにおいて、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基は、式(25)、式(26)の置換基Xと同様であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(2)、式(3)で表される構造は、α位またはβ位において直接または有機基を介して前記熱可塑性エラストマー(A)の主鎖に結合する。
式(2)、式(3)で表される構造がα位またはβ位において直接熱可塑性エラストマー(A)の主鎖に直接結合する場合、式(2)、式(3)で表される構造のα位またはβ位と熱可塑性エラストマー(A)の主鎖との間の結合は、単結合である。
式(2)、式(3)で表される構造がα位またはβ位において有機基を介して熱可塑性エラストマー(A)の主鎖に結合する場合、有機基は特に制限されない。例えば、酸素原子、イオウ原子もしくはアミノ基NR′を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基炭化水素基が挙げられる。酸素原子、イオウ原子もしくはアミノ基NR′を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基は、例えば、置換基Bにおいて挙げられているものと同様である。
式(2)、式(3)で表される構造と熱可塑性エラストマー(A)の主鎖との結合は、耐候性、耐熱性に優れるという観点から、単結合であるのが好ましい。
式(1)で表される構造は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物において、少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を側鎖(具体的には、式(1)または式(2)もしくは式(3)で表される構造等を有する側鎖)として有する熱可塑性エラストマー(A)は、熱可塑性エラストマー(A)を構成する単量体100モル%に対して側鎖が0.1〜50モル%の割合(導入率)で導入されていることが好ましい。0.1モル%以上である場合、組成物が水素結合等により架橋して得られる放熱材の強度に優れ、50モル%以下である場合架橋密度が適切となりゴム弾性が損なわれず、放熱性により優れる。
また、側鎖の導入率がこのような範囲である場合、放熱効果により優れ、シート成型性、シート密着性、マイクロカプセル(B)との相溶性または親和性に優れる。また、熱可塑性エラストマー(A)の側鎖同士の相互作用が分子間または分子内で起こり、これらがバランス良く形成されるため、得られる本発明の放熱材の架橋時の引張強度が高く、リサイクル性に優れ、更に、耐圧縮永久歪が良好となる。
これらの特性がより優れるという観点から、0.1〜30モル%の割合で側鎖が導入されているのがより好ましく、0.5〜20モル%の割合で側鎖が導入されているのが更に好ましい。
本発明において、熱可塑性エラストマー(A)は、圧縮永久歪や機械的特性に優れるという観点から、さらに、共有結合架橋部を側鎖として有するのが好ましい。
共有結合架橋部は、熱可塑性エラストマー(A)を分子内または分子間において共有結合で架橋させることができる部位である。
熱可塑性エラストマー(A)は、共有結合架橋部によって分子内または分子間において架橋が形成されたものを使用することができる。圧縮永久歪や機械的特性に優れるという観点から、熱可塑性エラストマー(A)は、共有結合架橋部によって分子内または分子間で架橋しているのが好ましい。
共有結合架橋部は、圧縮永久歪や機械的特性に優れるという観点から、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の結合を有するのが好ましい。
共有結合架橋部は、例えば、熱可塑性エラストマー(A)が有することができる官能基と「共有結合を生成する化合物」とを反応させることによって形成することができる。
「共有結合を生成する化合物」と反応して、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の結合を生起しうる、熱可塑性エラストマー(A)が有することができる官能基としては、例えば、環状酸無水物基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、チオール基等が挙げられる。
共有結合架橋部を形成するために使用される「共有結合を生成する化合物」は、1分子中に2個以上の活性水素を有する有機化合物であれば特に制限されない。
例えば、1分子中に2個以上のアミノ基またはイミノ基を(アミノ基およびイミノ基をともに有する場合はこれらの基を合計して2個以上)有するポリアミン化合物;1分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物;1分子中にイソシアネート(NCO)基を2個以上有するポリイソシアネート化合物;1分子中にチオール基(メルカプト基)を2個以上有するポリチオール化合物;等が挙げられる。
ポリアミン化合物としては、例えば、以下に示す脂環族アミン、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、含窒素複素環アミン等が挙げられる。
脂環族アミンとしては、具体的には、例えば、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、ジ−(アミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
脂肪族ポリアミンとしては、具体的には、例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノヘプタン、ジアミノドデカン、ジエチレントリアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、トリエチレンテトラミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジエチルエチレンジアミン、N,N′−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ジイソプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N′−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N′,N′′−トリメチルビス(ヘキサメチレン)トリアミン等が挙げられる。
芳香族ポリアミンおよび含窒素複素環アミンとしては、具体的には、例えば、ジアミノトルエン、ジアミノキシレン、テトラメチルキシリレンジアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
上記ポリアミン化合物は、その水素原子の一つ以上を、アルキル基、アルキレン基、アラルキレン基、オキシ基、アシル基、ハロゲン原子等で置換してもよく、また、その骨格に、酸素原子、イオウ原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
また、上記ポリアミン化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の混合比は、本発明の改質アスファルトに要求される物性等に応じて任意の比率に調整することができる。
上記で例示したポリアミン化合物のうち、ヘキサメチレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が、耐圧縮永久歪、機械的強度、特に引張強度の改善効果が高く好ましい。
ポリオール化合物は、水酸基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格などは特に限定されず、例えば、以下に示すポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールから選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパンその他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸その他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトンなどの開環重合体;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリプロピレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリエチレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリプロピレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリエチレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)、ポリプロピレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)などの低分子ポリオール;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)、H6TDI(水添TDI)等の脂環式ポリイソシアネートなどのジイソシアネート化合物;ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物;これらのイソシアネート化合物のカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物と上記で例示したポリオール化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマー;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリチオール化合物は、チオール基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格などは特に限定されず、その具体例としては、メタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、4,4’−チオビスベンゼンチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ポリチオール(チオコールまたはチオール変性高分子(樹脂、ゴム等))等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(A)においては、この共有結合架橋部における架橋、すなわち、該官能基と上述した「共有結合を生成する化合物」との共有結合による架橋を1分子中に少なくとも1個有していることが好ましく、特に、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により架橋が形成される場合は、2個以上有しているのが好ましく、2〜20個有しているのがより好ましく、2〜10個有しているのが更に好ましい。
本発明においては、この共有結合架橋部における架橋が、第三級アミノ基(−N=)を含有しているのが、圧縮永久歪や機械的特性に優れるという観点から、好ましい。これは、第三級アミノ基が、カルボニル含有基および含窒素複素環と水素結合(相互作用)することで、架橋密度が均一になることによるものと考えられる。したがって、「共有結合を生成する化合物」としては、上記で例示したもののうち、ポリエチレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリプロピレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリエチレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリプロピレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリエチレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)、ポリプロピレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)であるのが好ましい。
また、本発明においては、上記共有結合架橋部における架橋が、下記式(7)〜式(9)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ含有しているのが好ましく、式中のTが第三級アミノ基を含有しているのがより好ましい。
Figure 2008291083
式中、K、L、QおよびRはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、Tは酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含んでいてもよく、分岐していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。
ここで、置換基K、L、QおよびRはそれぞれ独立に、上記式(1)の置換基Bと基本的に同様である。
また、置換基Tとしては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、1,9−ノニレン基、1,10−デシレン基、1,11−ウンデシレン基、1,12−ドデシレン基などのアルキレン基;N,N−ジエチルドデシルアミン−2,2′−ジイル、N,N−ジプロピルドデシルアミン−2,2′−ジイル、N,N−ジエチルオクチルアミン−2,2′−ジイル、N,N−ジプロピルオクチルアミン−2,2′−ジイル、N,N−ジエチルステアリルアミン−2,2′−ジイル、N,N−ジプロピルステアリルアミン−2,2′−ジイル、;ビニレン基;1,4−シクロへキシレン基等の2価の脂環式炭化水素基;1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,3−フェニレンビス(メチレン)基などの2価の芳香族炭化水素基;プロパン−1,2,3−トリイル、ブタン−1,3,4−トリイル、トリメチルアミン−1,1′,1′′−トリイル、トリエチルアミン−2,2′,2′′−トリイル等の3価の炭化水素基;下記式(27)および式(28)で表される4価の炭化水素基;およびこれらを組み合わせて形成される置換基;等が挙げられる。
Figure 2008291083
更に、本発明においては、上記共有結合架橋部における架橋が、熱可塑性エラストマー(A)の主鎖にα位またはβ位で結合する下記式(10)〜式(12)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ含有するのが好ましく、式中のTが第三級アミノ基を含有しているのがより好ましい。下記式(10)〜式(12)のいずれかで表される構造としては、具体的には、下記式(29)〜式(40)で表される化合物が好適に例示される。
Figure 2008291083
ここで、置換基K、L、QおよびRはそれぞれ独立に、上記式(7)〜(9)の置換基K、L、QおよびRと基本的に同様であり、置換基Tは、上記式(7)の置換基Tと基本的に同様である。
Figure 2008291083

(式中、lは、1以上の整数を表す。)
Figure 2008291083
Figure 2008291083

(式中、l、mおよびnは、それぞれ独立に1以上の整数を表す。)
Figure 2008291083
本発明においては、上記共有結合架橋部における架橋が、環状酸無水物基と、ヒドロキシ基あるいはアミノ基および/またはイミノ基との反応により形成されるのが好ましい。
共有結合架橋部の形成または共有結合架橋部による架橋は、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
また、本発明において、熱可塑性エラストマー(A)は、可逆架橋性、加工性に優れるという観点から、含窒素複素環含有基を介して架橋しているのが好ましい。
架橋は、分子内または分子間のいずれであってもよい。
架橋は、共有結合性であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
含窒素複素環含有基は上記と同義である。
また、本発明において、含窒素複素環含有基を介して架橋していることは、含窒素複素環含有基とカルボニル含有基とを有する基が熱可塑性エラストマー(A)を架橋することを含む。
ここで、含窒素複素環含有基とカルボニル含有基とを有する基は、1つの側鎖内に含窒素複素環とカルボニル基とを含有する側鎖のうちで2価以上のものである。
1つの側鎖内に含窒素複素環とカルボニル基とを含有する側鎖は上記と同義である。
含窒素複素環含有基を介することによる架橋は、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)は、柔軟性に優れるという観点から、そのガラス転移点が25℃以下であるのが好ましい。
熱可塑性エラストマー(A)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱可塑性エラストマー(A)は、その製造について特に限定されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
具体的には例えば、環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーに含窒素複素環を導入しうる化合物を反応させて、熱可塑性エラストマー(A)を得る反応工程を具備する製造方法が挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)を製造する際に使用される、環状酸無水物基を側鎖(末端を含む。)に含有する熱可塑性エラストマーは、環状酸無水物基が熱可塑性エラストマーの主鎖を形成する原子に直接または有機基を介して化学的に結合(共有結合)をしている熱可塑性エラストマーをいう。また、環状酸無水物基は熱可塑性エラストマーの末端に直接または有機基を介して結合することができる。
環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーの主鎖は、特に制限されず、熱可塑性エラストマー(A)の主鎖と同様である。
また、環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーにおける環状酸無水物基は、2個のカルボキシ基が脱水して環状構造を構成しているものであれば特に制限されない。例えば、下記式で表される五員環構造のものが挙げられる。
Figure 2008291083
環状酸無水物基が熱可塑性エラストマーの側鎖に直接結合する場合、環状酸無水物基と熱可塑性エラストマーとの結合は単結合である。
環状酸無水物基が熱可塑性エラストマーの側鎖に有機基を介して結合する場合、有機基は、式(2)、式(3)で表される構造が熱可塑性エラストマー(A)の主鎖に有機基を介して結合する場合と同様である。
環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーとして、例えば、下記式(I)、式(IV)で表されるものが挙げられる。
各式における繰り返し単位の繰り返し単位数は特に制限されない。
また、各式における繰り返し単位の配列は特に制限されず、例えば、ランダム結合、テーパーを有することができるブロック結合が挙げられる。
Figure 2008291083
環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーは、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。具体的には例えば、加熱、攪拌等の条件下において熱可塑性エラストマーに環状酸無水物を反応させる方法が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性エラストマー(A)の主鎖として例示したものが挙げられる。
環状酸無水物基を導入しうる化合物は、環状酸無水物基を有するものであれば特に制限されない。例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸等の環状酸無水物が挙げられる。
また、環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーとして市販品を用いることができる。
環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、タフテック(無水マレイン酸変性SEBS、M1913(旭化成ケミカルズ社製))、タフテック(無水マレイン酸変性SEBS、M1943(旭化成ケミカルズ社製))、クレイトン(無水マレイン酸変性SEBS、FG1901X(クレイトンポリマー社製))、タフプレン(無水マレイン酸変性SBS、912(旭化成社製))、セプトン(無水マレイン酸変性SEPS(クラレ社製))が挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)を製造する際に使用される含窒素複素環を導入しうる化合物は、含窒素複素環を有するものであれば特に制限されず、例えば、上記の含窒素複素環、無水マレイン酸等の環状酸無水物基と反応する置換基(例えば、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基等)を有する含窒素複素環が挙げられる。
反応工程は、例えば、含窒素複素環を導入しうる化合物と、環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーとを、ロール、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、単軸押出し機、二軸押出し機、万能攪拌機等を用いて混合し、該化合物と該環状酸無水物基とが化学結合しうる温度(例えば、60〜250℃、好ましくは80〜200℃)の条件下で反応させる工程であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。この反応工程によって、少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を側鎖として有する熱可塑性エラストマー(A)を得ることができる。
また、含窒素複素環を導入しうる化合物を、原料である熱可塑性エラストマーの側鎖に含有される環状酸無水物基の一部または全量と反応させることができる。
含窒素複素環を導入しうる化合物を熱可塑性エラストマーの側鎖に含有する環状酸無水物基の一部と反応させる場合、含窒素複素環を導入しうる化合物の量は、得られる熱可塑性エラストマー(A)において含窒素複素環を導入した効果が発現しやすく、架橋時の引張強度等の機械的強度が向上するという観点から、環状酸無水物基100モル%に対して1モル%以上が好ましく、50モル%以上であるのがより好ましく、80モル%以上であるのが特に好ましい。
含窒素複素環を導入しうる化合物と、環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーとの反応としては、例えば、下記の反応式1および反応式2が挙げられる。
反応式1は、環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーとして式(I)で表される無水マレイン酸変性EPMを使用し、含窒素複素環を導入しうる化合物として式(II)で表される3−アミノ−1,2,4−トリアゾールを使用し、これらを反応させることによって式(III)で表される熱可塑性エラストマー(A)が得られることを示す。
また、反応式2は、環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーとして式(IV)で表される無水マレイン酸変性EVAを使用し、含窒素複素環を導入しうる化合物として式(II)で表される3−アミノ−1,2,4−トリアゾールを使用し、これらを反応させることによって式(V)で表される熱可塑性エラストマー(A)が得られることを示す。
なお、式(I)で表される無水マレイン酸変性EPMは熱可塑性エラストマー(A)の一例であり、式(I)において無水マレイン酸変性EPMを構成する繰り返し単位の配列は特に限定されない。式(III)、式(IV)、式(V)についても同様である。
Figure 2008291083
式(I)または式(III)で表される化合物における各繰り返し単位の繰り返し単位数は、aが10〜90であるのが好ましく20〜80であるのがより好ましく、bが1〜60であるのが好ましく10〜50であるのがより好ましく、cが1〜20であるのが好ましく1〜10であるのがより好ましく、dが0〜1であるのが好ましく0〜0.1であるのがより好ましい。
式(IV)または式(V)で表される化合物における各繰り返し単位の繰り返し単位数は、oが10〜90であるのが好ましく20〜80であるのがより好ましく、pが1〜60であるのが好ましく10〜50であるのがより好ましく、qが1〜20であるのが好ましく1〜10であるのがより好ましく、rが0〜11であるのが好ましく0〜1であるのがより好ましい。
また、各式における繰り返し単位の配列は特に制限されず、例えば、ランダム結合、テーパーを有することができるブロック結合が挙げられる。
得られる熱可塑性エラストマー(A)の側鎖の各基(構造)、または未反応の環状酸無水物基は、NMR、IRスペクトル等の通常用いられる分析手段により確認することができる。
マイクロカプセル(B)について以下に説明する。
本発明の組成物に含有されるマイクロカプセル(B)は、シェルが前記熱可塑性エラストマー(A)と水素結合することが可能な官能基を有する有機化合物であり、前記シェル内にコアとして蓄熱材を内包するものである。
官能基は、熱可塑性エラストマー(A)が有する、含窒素複素環含有基、カルボニル含有基および主鎖からなる群から選ばれる少なくとも1種と水素結合することができる。
熱可塑性エラストマー(A)と水素結合することが可能な官能基としては、例えば、カルボニル基、アミノ基、アミド結合が挙げられる。
なかでも、機械的強度に優れるという観点から、カルボニル基、アミノ基およびアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
熱可塑性エラストマー(A)と官能基との組合せによる水素結合としては、熱可塑性エラストマー(A)と官能基との組合せを「(陽子供与体)−H…(陽子受容体)」のように表し、前記…が水素結合を示すように記載する場合、例えば、N−H…O、N−H…N、C−H…N、C−H…Oが挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)またはシェルを構成する有機化合物がヒドロキシ基を有する場合、例えば、O−H…O、O−H…Nのような組合せで水素結合を形成することができる。
熱可塑性エラストマー(A)が側鎖として含窒素複素環含有基を有する場合、含窒素複素環含有基と水素結合可能な官能基としては、例えば、カルボニル基、アミノ基、アミド結合が挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)が側鎖としてカルボニル含有基を有する場合、カルボニル含有基と水素結合可能な官能基としては、例えば、アミノ基、アミド結合が挙げられる。
熱可塑性エラストマー(A)の主鎖と水素結合可能な官能基としては、例えば、カルボニル基、アミノ基、アミド結合が挙げられる。
なかでも、圧縮永久歪み、機械的強度に優れるという観点から、熱可塑性エラストマー(A)の側鎖が含窒素複素環含有基である場合、官能基がアミノ基である組合せが好ましい。
マイクロカプセル(B)のシェルを構成する有機化合物は、熱可塑性エラストマー(A)と水素結合することが可能な官能基を有する化合物であれば特に制限されず、例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルマリン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
なかでも、熱可塑性エラストマー(A)と水素結合を多く形成することができ、系内における分散性に優れ、マイクロカプセル(B)を多くの量で加えることができ、水素結合が多く解離することおよびマイクロカプセル(B)を多く含むことができることによって放熱効果により優れるという観点から、メラミンホルムアルデヒド樹脂および尿素ホルマリン樹脂のうちのいずれか一方または両方であるのが好ましい。
マイクロカプセル(B)のシェルに内包されるコアである蓄熱材は、特に制限されない。
例えば、n−パラフィン等の炭化水素が挙げられる。
また、蓄熱材の融点は、放熱性により優れるという観点から、−50〜100℃であるのが好ましい。
マイクロカプセル(B)は、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
また、マイクロカプセル(B)として市販品を使用することができる。マイクロカプセル(B)の市販品としては、例えば、EP−1(三菱製紙社製)が挙げられる。
マイクロカプセル(B)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
マイクロカプセル(B)の量は、水素結合が多く解離することおよびマイクロカプセル(B)を多く含むことができることによって放熱効果により優れるという観点から、熱可塑性エラストマー(A)100質量部に対して、100〜2,000質量部であるのが好ましく、100〜1,500質量部であるのがより好ましく、300〜1,000質量部であるのがさらに好ましい。
可塑剤について以下に説明する。
本発明の組成物に含まれる可塑剤は特に制限されず、例えば、従来公知のものが挙げられる。
なかでも、ゴム弾性、低温性、耐ブリード性に優れるという観点から、液状ゴム(C)が好ましい。
可塑剤としての液状ゴム(C)は、−20〜70℃の条件下で液状であるものであれば特に制限されない。例えば、室温(20〜30℃)における粘度が0.1〜5000Pa・sのものが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ジエン系ゴムおよび非ジエン系ゴムが挙げられる。
ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が挙げられる。
非ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリブテン、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ポリサルファイドが挙げられる。
可塑剤は、例えば、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、アミノ基のような官能基を分子内に有することができる。
なかでも、熱可塑性エラストマー(A)に対する相溶性、シート成型性に優れ、得られる放熱材が柔軟性、金属または基材(例えば、基板)に対する密着性に優れ、放熱効果により優れるという観点から、ポリブテン、エチレン−プロピレンゴム、ポリブタジエンおよびポリイソプレンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
可塑剤の重量平均分子量は、熱可塑性エラストマー(A)に対する相溶性、シート成型性に優れ、得られる放熱材が柔軟性、金属または基材(例えば、基板)に対する密着性に優れ、放熱効果により優れるという観点から、500〜50,000であるのが好ましく、800〜5,000であるのがより好ましい。
可塑剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
可塑剤は、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
可塑剤の量は、熱可塑性エラストマー(A)に対する相溶性、シート成型性に優れ、得られる放熱材が柔軟性、金属または基材(例えば、基板)に対する密着性に優れ、放熱効果により優れるという観点から、熱可塑性エラストマー(A)100質量部に対して、50〜500質量部であるのが好ましく、100〜350質量部であるのがより好ましい。
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、熱可塑性エラストマー(A)以外のポリマー、補強剤(充填剤)、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤などの添加剤を含むことができる。
各種添加剤は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
なお、本発明の組成物は、金属性化合物を実質的に含有しないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。このような場合放熱材を軽量なものとすることができるからである。
本発明の組成物は、その製造について特に限定されない。例えば、熱可塑性エラストマー(A)、マイクロカプセル(B)および必要に応じて使用することができる、可塑剤添加剤を、ロール、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、単軸押出し機、二軸押出し機、高速かくはん機等を用いて混合することにより、本発明の組成物を得ることができる。
また、熱可塑性エラストマー(A)を生成することができる化合物(例えば、環状酸無水物基を側鎖に含有する熱可塑性エラストマーおよび含窒素複素環を導入しうる化合物)を混合し、熱可塑性エラストマー(A)を得る反応工程を行い、ここにマイクロカプセル(B)と、必要に応じて使用することができる可塑剤と添加剤とを加えて混合工程を行うことによって、本発明の組成物を得ることができる。
または、熱可塑性エラストマー(A)を生成することができる化合物と、マイクロカプセル(B)と、必要に応じて使用することができる可塑剤と、添加剤とを加えて混合し反応工程と混合工程とを同時に行うことができる。
次に、本発明の放熱材について以下に説明する。
本発明の放熱材は、本発明の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物を材料として用いた放熱材である。
本発明の放熱材に使用される材料は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物であれば特に制限されない。
本発明の放熱材は、その形状について特に制限されず、放熱材の形状は、用途、作用に応じて適宜選択することができる。例えば、シート、コーティングが挙げられる。
本発明の放熱材がシート状である場合、シートの厚さは、放熱効果により優れるという観点から、100mm以下であるのが好ましい。
本発明の放熱材は、その製造について特に制限されない。例えば、熱可塑性エラストマー組成物を160〜180℃で数分間混練し、その後モールドにて160〜180℃程度で数分〜数十分間熱プレスを行い、更に室温に戻すために冷プレスを行うことによって、放熱材を得る方法が挙げられる。
本発明の放熱材は、成型性、放熱効果、金属または基材への密着性、接着性、耐衝撃性に優れる。
本発明の放熱材に関する用途としては、例えば、LSIパッケージやコンピューター、電子機器のような電気製品用、建築材料用、冷暖房製品用が挙げられる。
次に、本発明の積層体について以下に説明する。
本発明の積層体は、本発明の放熱材と金属層とを具備するものである。
本発明の積層体に具備される放熱材は、本発明の放熱材であれば特に制限されない。
放熱材の形状は、放熱効果により優れ、金属との密着性、放熱材が金属と反対側において基材と接する場合の基材との密着性、接着性に優れるという観点から、シート、コーティングであるのが好ましい態様として挙げられる。
放熱材の厚さは、放熱効果により優れるという観点から、100mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましい。
本発明の積層体に具備される金属層は、特に制限されず、例えば、アルミニウム、銅、真鍮、銀が挙げられる。金属層は合金メッキされていてもよい。
金属層の厚さは、放熱効果により優れるという観点から、50mm以下であるのが好ましく、30mm以下であるのがより好ましい。
金属層の形状は特に制限されない。必要とされる用途、機能に応じて適宜選択することができる。例えば、板状、ヒートシンク(放熱器)の形状、容器状等が挙げられる。
また、本発明の積層体は金属層の上にさらに樹脂層を具備することができる。
樹脂層は、製品外層を形成し、放熱性だけでなく、耐衝撃性を向上させることを目的として設けられるものであり、このような目的が達成できるものであれば特に制限されない。樹脂層の材料としては、例えば、ABS樹脂、PC樹脂が挙げられる。
金属層と樹脂層との間は、例えば、接着剤を用いて接着させることができる。
本発明の積層体は、さらに放熱材の下に基材を設置することができる。
放熱材の下に設置することが可能な基材としては、例えば、基板(マザーボード)、建築材料、半導体部品等が挙げられる。
本発明の積層体は、その製造について特に制限されない。例えば、放熱材と金属層と基材とを積層させることによって得ることができる。
放熱材と金属層または基材とは、積層体をプレスすることによって放熱材と金属層または基材とを密着させ放熱材と金属層または基材とを固定することができる。
放熱材と金属層と基材とをプレスする方法は特に制限されない。
本発明の積層体に使用される放熱材は柔軟性、密着性に優れるので、放熱材と金属層または基材とをプレスすることによって放熱材と金属層または基材とを密着させることができる。放熱材と金属層または基材との間を隙間なく密着させることによって、本発明の積層体は放熱効果に優れる。
本発明の積層体について添付の図面を使用して以下に説明する。
図2は、本発明の積層体の一例の断面の概略を模式的に示す断面図である。
図2において、本発明の積層体200は、シート状の放熱材202と金属層204とを具備する。
本発明の積層体の用途としては例えば、LSIパッケージやコンピューター、電子機器のような電気製品用放熱体、建築用放熱体、冷暖房製品用放熱体が挙げられる。
また、本発明の積層体は、放熱材と金属層とを具備する放熱体を基材に積層させることによって得られる積層体を含む。
本発明の積層体が電子機器の基板と放熱体とを有する場合について添付の図面を用いて以下に説明する。
図3は、本発明の積層体を基板と放熱体とを有する場合の一例の概略を模式的に示す斜視図である。
図3において、本発明の積層体300は、基板302と放熱体312とを有し、放熱体312は、放熱材304とヒートシンク306とを具備する。ヒートシンク306は、ベース板308の上に多数の放熱フィン310を有する。なお、ベース板308の裏面(図示せず。)は平坦な面であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。基板302はCPU等の発熱体(図示せず。)を有する。
本発明の積層体に具備される放熱材は、基材が発する熱を吸収し、約80〜約200℃の熱によって放熱材中に形成されている水素結合等による三次元の架橋結合(架橋構造)が解離することによって熱を放出させることができる。
そして、放熱材中に形成されている水素結合等による三次元架橋結合(架橋構造)が解離した後、本発明の積層体が具備する放熱材の温度が約80℃以下となると、解離した三次元の架橋結合(架橋構造)が再び結合する。
このような水素結合等による三次元の架橋結合(架橋構造)の解離と再結合の繰り返しにより、本発明の積層体は優れた放熱効果を繰り返し発現することができる。
本願発明者は、本発明の積層体が放熱効果に優れる理由を以下のように推察する。
すなわち、本発明の積層体に具備される放熱材は、少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を側鎖として有する熱可塑性エラストマー(A)と、シェルが前記熱可塑性エラストマー(A)と水素結合することが可能な官能基を有する有機化合物であり、前記シェル内にコアとして蓄熱材を内包するマイクロカプセル(B)とを含む放熱材用熱可塑性エラストマー組成物から得られるものである。
本発明の積層体に具備される放熱材において、熱可塑性エラストマー(A)とマイクロカプセル(B)とは、熱可塑性エラストマー(A)とマイクロカプセル(B)のシェルを構成する有機化合物が有する官能基との間に形成される水素結合が解離することによって熱を放出させることができる。
また、熱可塑性エラストマー(A)とマイクロカプセル(B)との間の水素結合によって、熱可塑性エラストマー(A)とマイクロカプセル(B)とは親和性または相溶性が高くなり、熱可塑性エラストマー(A)に対してマイクロカプセル(B)を従来のエラストマーよりも多く加えることができる。
このように、本発明の積層体は、積層体に具備される放熱材において、熱可塑性エラストマー(A)とマイクロカプセル(B)との間に形成される水素結合が解離すること、および熱可塑性エラストマー(A)に対してマイクロカプセル(B)を多量に加えることができることによって、優れた放熱効果を有することができる。
次に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.評価方法
得られた熱可塑性エラストマー組成物のシート成型性、シート密着性および放熱材の平均温度上昇速度について以下のとおり評価した。結果を第1表に示す。
(1)シート成型性
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、これを200℃の条件下でプレス成型し0.5mm厚のシートとした際のシート成型性を評価した。
シート成型性の評価基準は、平滑な表面のシートができる場合を「◎」、シートは平板だが表面がざらざらしている場合を「○」、シートが変形して平板ではない場合を「△」、シートが得られない場合を「×」とした。
(2)シート密着性、平均温度上昇速度
本発明におけるシート密着性および平均温度上昇速度の評価方法について添付の図面を用いて以下に説明する。
図1は、本発明におけるシート密着性および平均温度上昇速度の評価に使用された評価装置の断面の概略を模式的に表す断面図である。
図1において、評価装置100は、基板103(材質:グラスウール断熱材)の上に上述のとおりにして得られたシート101を配置し、シート101の上にアルミニウム板107(厚さ0.3mm)を配置し、アルミニウム板107の上にABS樹脂板109(厚さ1.0mm)を配置する。基板103は熱源105を有し、熱源105の垂直方向のABS樹脂板109の上に熱電対111が配置されている。基板103、シート101、アルミニウム板107およびABS樹脂板109からなる積層体を積層体113とする。
シート密着性は、シート101が評価装置100にセットされた状態を目視で側面から確認して評価する。
シート密着性の評価基準は、シート101が基板103およびアルミニウム板107と隙間なく密着している場合を「○」、積層体113を圧着しないとシート101と基板103またはアルミニウム板107との間に隙間が発生する場合を「△」、積層体113を圧着してもシート101と基板103またはアルミニウム板107との間に隙間が発生する場合を「×」とした。
平均温度上昇速度は、シート101を60℃の熱源105に密着させて、積層体113の温度上昇を熱電対111を用いて経時的に60分間測定し、このデータをもとに1分間当りに上昇した温度を算出し、これを平均温度上昇速度とした。
2.熱可塑性エラストマー組成物の調製
(1)実施例1
200℃に加熱した加圧ニーダーに、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(エチレン:プロピレン=30:70、マレイン化率:1.0質量%、重量平均分子量:20万、三井化学社製。以下これを「マレイン化EPM」と略す。)を第1表に示す量(単位:質量部。以下同様。)入れ、老化防止剤(Irganox1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.2質量部を入れる。5分間の素練りの後、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(ATA、日本カーバイト社製。以下これを「アミノトリアゾール」ということがある。)を第1表に示す量で加えて、マレイン化EPMに含窒素複素環を導入し、熱可塑性エラストマー(A)を合成する。得られた熱可塑性エラストマー(A)を熱可塑性エラストマー(A−1)とする。
これに、マイクロカプセル(B)(EP−1、三菱製紙社製。蓄熱材の融点:31℃、シェル成分(被膜):メラミン・ホルムアルデヒド樹脂。)を第1表に示す量で加え熱可塑性エラストマー組成物が均一になるまで混練し、熱可塑性エラストマー組成物を調製する。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を、200℃でプレス成型し、0.5mm厚のシートとする。
(2)実施例2〜5
マイクロカプセル(B)の他にさらに可塑剤(液状ポリブテン、HV−100、新日本石油社製)を第1表に示す量で加える他は、実施例1と同様に実験を行った。
(3)実施例6
マレイン化EPMを無水マレイン酸変性EVA(VR105−1、三井デュポンポリケミカル社製)に代えるほかは実施例4と同様にして実験を行った。なお、得られた熱可塑性エラストマー(A)を熱可塑性エラストマー(A−2)とする。
(4)実施例7
アミノトリアゾールを1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸[商品名タナック(P)、日産化学社製]に代えた他は、実施例3と同様に実験を行った。なお、得られた熱可塑性エラストマー(A)を熱可塑性エラストマー(A−3)とする。
(3)比較例1
マイクロカプセル(B)を使用しない他は実施例3と同様にして実験を行った。
(4)比較例2
マレイン化EPMの代わりにTPV(動的架橋熱可塑性エラストマー、商品名:サントプレン 101−55、エー・イー・エス社製)を使用し、アミノトリアゾールを使用しない他は、実施例3と同様にして実験を行った。
(5)比較例3
マレイン化EPMの代わりにSEBS(スチレン系熱可塑性エラストマー、商品名:タフテックH1031、旭化成社製。以下同様。)を使用し、アミノトリアゾールおよびマイクロカプセル(B)を使用しない他は、実施例3と同様にして実験を行った。
(6)比較例4
マレイン化EPMの代わりにSEBSを使用し、アミノトリアゾールを使用せず、マイクロカプセル(B)の量を100質量部とする他は、実施例3と同様にして実験を行った。
(7)比較例5
マレイン化EPMの代わりにSEBSを使用し、アミノトリアゾールを使用しない他は、実施例3と同様にして実験を行った。
Figure 2008291083
第1表に示す結果から明らかなように、マイクロカプセル(B)を含有しない比較例1は放熱性に劣る。なお、比較例1の平均温度上昇速度が比較例3より小さいのは、熱可塑性エラストマー(A)の分子内または分子間の水素結合由来の潜熱によるものと考えられる。熱可塑性エラストマー(A)以外の熱可塑性エラストマーおよび可塑剤を多く含有する比較例2はシートからオイルがブリードしてしまいシート成型性に劣る。熱可塑性エラストマー(A)以外の熱可塑性エラストマーを含有し、マイクロカプセル(B)を含有しない比較例3はシート成型性、シート密着性、放熱性に劣った。熱可塑性エラストマー(A)以外の熱可塑性エラストマーおよびマイクロカプセル(B)を含有する比較例4はシート成型性、シート密着性、放熱性に劣った。熱可塑性エラストマー(A)以外の熱可塑性エラストマーおよびマイクロカプセル(B)を比較的多量に含有する比較例5は組成物中においてマイクロカプセル(B)が均一に混合されず粉状となってしまいシート成型性に劣った。
これに対して、実施例1〜7は、シート成型性、シート密着性、放熱性、シートの柔軟性、耐ブリード性に優れる。また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物はマイクロカプセル(B)を多量に含有することができ、これによって本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いてなる放熱材を具備する積層体の温度上昇を大きく抑制することができる。
図1は、本発明におけるシート密着性および平均温度上昇速度の評価に使用された評価装置の断面の概略を模式的に表す断面図である。 図2は、本発明の積層体の一例の断面の概略を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の積層体を基板と放熱体とを有する場合の一例の概略を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
100 評価装置
101 シート
103 基板
105 熱源
107 アルミニウム板
109 ABS樹脂板
111 熱電対
113 積層体
200 本発明の積層体
202 放熱材
204 金属層
300 本発明の積層体
302 基板
304 放熱材
306 ヒートシンク
308 ベース板
310 放熱フィン
312 放熱体

Claims (15)

  1. 少なくとも含窒素複素環含有基およびカルボニル含有基を側鎖として有する熱可塑性エラストマー(A)と、
    シェルが前記熱可塑性エラストマー(A)と水素結合することが可能な官能基を有する有機化合物であり、前記シェル内にコアとして蓄熱材を内包するマイクロカプセル(B)とを含む放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記熱可塑性エラストマー(A)が、さらに、共有結合架橋部を側鎖として有する請求項1に記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記熱可塑性エラストマー(A)が、前記含窒素複素環含有基を介して架橋している請求項1に記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記官能基が、カルボニル基、アミノ基およびアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  5. さらに、可塑剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記有機化合物が、メラミンホルムアルデヒド樹脂および尿素ホルマリン樹脂のうちのいずれか一方または両方である請求項1〜5のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 前記マイクロカプセル(B)の量が、前記熱可塑性エラストマー(A)100質量部に対して、100〜2,000質量部である請求項1〜6のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 前記側鎖のうちの少なくとも一部または全部が、1つの側鎖内に含窒素複素環とカルボニル基とを含有する請求項1〜7のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  9. 前記1つの側鎖内に前記含窒素複素環と前記カルボニル基とを含有する前記側鎖が、下記式(1)で表される構造を含有する請求項8に記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
    Figure 2008291083

    (式中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合、酸素原子、イオウ原子、アミノ基NR′および酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含んでもよい有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)
  10. 前記式(1)で表される構造を含有する側鎖が、下記式(2)または式(3)で表される構造である請求項9に記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
    Figure 2008291083

    (式中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、イオウ原子、アミノ基NR′および酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′を含んでもよい有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、α位またはβ位において直接または有機基を介して前記熱可塑性エラストマー(A)の主鎖に結合する。)
  11. 前記熱可塑性エラストマー(A)の主鎖が、ポリオレフィン系ゴムである請求項1〜10のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  12. 前記可塑剤が液状ゴム(C)であり、前記液状ゴム(C)が、ポリブテン、エチレン−プロピレンゴム、ポリブタジエンおよびポリイソプレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5〜11のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  13. 前記可塑剤の量が、前記熱可塑性エラストマー(A)100質量部に対して、50〜500質量部である請求項5〜12のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の放熱材用熱可塑性エラストマー組成物を材料として用いた放熱材。
  15. 請求項14に記載の放熱材と金属層とを具備する積層体。
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