JP2008266417A - 改質アスファルト - Google Patents

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Abstract

【課題】夏場であっても轍掘を防ぐことができ、排水性や騒音低減性を良好に維持することができる舗装を作製することができる改質アスファルトの提供。
【解決手段】主鎖がスチレン系エラストマーで構成され、イミノ基、含窒素複素環および共有結合性架橋部位からなる群より選択される少なくとも1つと、カルボニル含有基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)と、
アスファルト(B)と、を含有する改質アスファルト。
【選択図】なし

Description

本発明は、改質アスファルトに関する。
アスファルト舗装としては、密粒アスファルト舗装が一般的に用いられていたが、近年になって、排水性を考慮した排水性舗装や騒音低減性能を考慮した低騒音舗装(以下、これらをまとめて「排水性舗装等」ともいう。)が用いられてきている。
この排水性舗装等は、舗装を構成する骨材(石、砂、石粉等)間に多くの隙間(空隙)が存在するように設計されているため、高温度下の車両重量により、轍掘やへたり現象が起きることが知られている。
そこで、このような現象を防止すべく、アスファルトとともに改質材を添加した改質アスファルトが開発されている(例えば、特許文献1〜3等参照。)。
このような改質材としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、SBSの水添物(SEBS:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)、SISの水添物(SEPS:スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体)、スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)、天然ゴム(NR)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等が知られている。
中でも、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SBS)は、その代表例として知られている。
しかしながら、このような改質アスファルトを用いた排水性舗装等であっても、夏場の轍掘を防ぐことは難しく、また、この轍掘により骨材間の空隙がつぶれ、排水性や騒音低減性が低下するという問題があった。
また、骨材間の空隙がつぶれた排水性舗装等は、一般の密粒アスファルト舗装よりも騒音が大きくなってしまうという問題もあった。
特開平7−150053号公報 特開平7−157665号公報 特開2004−18823号公報
そこで、本発明は、夏場であっても轍掘を防ぐことができ、排水性や騒音低減性を良好に維持することができる舗装を作製することができる改質アスファルトを提供することを課題とする。
そこで、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の構造を含有する側鎖を有するスチレン系の熱可塑性エラストマーと、アスファルトとを含有する組成物が、夏場であっても轍掘を防ぐことができ、排水性や騒音低減性を良好に維持することができる舗装を作製することができる改質アスファルトとなることを見出し、本発明を達成するに至った。
すなわち、本発明は、下記(i)〜(x)に記載の改質アスファルトを提供する。
(i)主鎖がスチレン系エラストマーで構成され、イミノ基、含窒素複素環および共有結合性架橋部位からなる群より選択される少なくとも1つと、カルボニル含有基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)と、
アスファルト(B)と、を含有する改質アスファルト。
(ii)上記熱可塑性エラストマー(A)の含有量が、上記アスファルト(B)100質量部に対して1〜30質量部である上記(i)に記載の改質アスファルト。
(iii)上記熱可塑性エラストマー(A)の側鎖が、下記式(1)で表される構造を含有する上記(i)または(ii)に記載の改質アスファルト。
式中、Aは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、Bは単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。
(iv)上記式(1)で表される構造を含有する側鎖が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(2)または(3)で表される構造を含有する上記(iii)に記載の改質アスファルト。
式中、Aは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。
(v)上記熱可塑性エラストマー(A)の側鎖が、下記式(4)で表される構造を含有する上記(i)または(ii)に記載の改質アスファルト。
式中、Eは含窒素複素環であり、Bは単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。
(vi)上記式(4)で表される構造を含有する側鎖が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(5)または(6)で表される構造を含有する上記(v)に記載の改質アスファルト。
式中、Eは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。
上記含窒素複素環が、5または6員環であるのが好ましい。
上記含窒素複素環が、トリアゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、チアゾール環、イミダゾール環またはヒダントイン環であるのが好ましい。
(vii)上記共有結合性架橋部位において、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により架橋することができる上記(i)〜(vi)のいずれかに記載の改質アスファルト。
(viii)上記共有結合性架橋部位において、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により架橋してなる上記(i)〜(vi)のいずれかに記載の改質アスファルト。
上記共有結合性架橋部位における架橋が、第三級アミノ基を含有するのが好ましい。
(ix)上記共有結合性架橋部位における架橋が、下記式(7)〜(9)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ含有する上記(viii)に記載の改質アスファルト。
式中、K、L、QおよびRはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、Tは酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含んでいてもよく、分岐していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。
(x)上記共有結合性架橋部位における架橋が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(10)〜(12)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ含有する上記(ix)に記載の改質アスファルト。
式中、K、L、QおよびRはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、Tは酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含んでいてもよく、分岐していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。
上記式(7)〜(12)中のいずれかのTが、第3級アミノ基を含有するのが好ましい。
上記共有結合性架橋部位における架橋が、環状酸無水物基と、水酸基あるいはアミノ基および/またはイミノ基との反応により形成されるのが好ましい。
上記式(4)で表される構造を含有する側鎖が、下記式(13)、下記式(14)もしくは(15)、または下記式(16)で表される構造を含有するのが好ましい。
式中、Bは単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、GおよびJはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。
上記式(4)で表される構造を含有する側鎖が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(17)もしくは(18)、下記式(19)〜(22)のいずれか、または下記式(23)もしくは(24)で表される構造を含有するのが好ましい。
式中、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、GおよびJはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。
以下に説明するように、本発明によれば、夏場であっても轍掘を防ぐことができ、排水性や騒音低減性を良好に維持することができる舗装を作製することができる改質アスファルトを提供することができるため有用である。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の改質アスファルトは、主鎖がスチレン系エラストマーで構成され、イミノ基、含窒素複素環および共有結合性架橋部位からなる群より選択される少なくとも1つと、カルボニル含有基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)と、アスファルト(B)と、を含有する改質アスファルトである。
以下に、本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)およびアスファルト(B)について詳述する。
<熱可塑性エラストマー(A)>
本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、主鎖がスチレン系エラストマーで構成され、イミノ基、含窒素複素環および共有結合性架橋部位からなる群より選択される少なくとも1つと、カルボニル含有基とを含有する側鎖を有する。
本発明において、「側鎖」とは、スチレン系エラストマーの側鎖および末端をいう。また、「イミノ基、含窒素複素環および共有結合性架橋部位からなる群より選択される少なくとも1つと、カルボニル含有基とを含有する側鎖を有する」とは、スチレン系エラストマーの主鎖を形成する原子(通常、炭素原子)に、イミノ基、含窒素複素環および共有結合性架橋部位からなる群より選択される少なくとも1つと、カルボニル含有基とが化学的に安定な結合(例えば、共有結合、イオン結合等)をしていることを意味する。
上記熱可塑性エラストマー(A)の主鎖を構成するスチレン系エラストマーは、そのガラス転移点が室温(25℃)以下のスチレン系のポリマー、すなわちエラストマーであれば特に限定されない。
本発明において、ガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC−Differential Scanning Calorimetry)により測定したガラス転移点である。昇温速度は10℃/minにするのが好ましい。
このようなスチレン系エラストマーとしては、具体的には、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、SBSの水添物(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)、SISの水添物(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SEEPS」という。)等が挙げられる。
これらのうち、SBS、SEBSであるのが、本発明の改質アスファルトの夏場の轍掘に対する耐性(耐轍掘性)がより良好となるため好ましい。
本発明においては、上記スチレン系エラストマーは、液状または固体状であってもよく、その分子量は特に限定されないが、重量平均分子量は10000以上であるのが好ましい。
本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel permeation chromatography(GPC))により測定した重量平均分子量(ポリスチレン換算)である。測定にはテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いるのが好ましい。
また、本発明においては、上記スチレン系エラストマーを2種以上混合して用いることができる。この場合の各エラストマー同士の混合比は、本発明の改質アスファルトに要求される物性等に応じて任意の比率とすることができる。
本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、上記スチレン系エラストマーに、イミノ基、含窒素複素環および共有結合性架橋部位からなる群より選択される少なくとも1つと、カルボニル含有基とを含有する側鎖を有するものであり、該側鎖が含窒素複素環または共有結合性架橋部位とカルボニル含有基とを含有しているのが好ましい。
本発明においては、上記側鎖がイミノ基とカルボニル含有基とを含有する場合、該側鎖は下記式(1)で表される構造を含有しているのが好ましい。
式中、Aは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、Bは単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。
置換基Aは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20アラルキル基または炭素数6〜20のアリール基であれば特に限定されない。
このような置換基Aとしては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基(o−、m−、p−)、ジメチルフェニル基、メシチル基などのアリール基;等が挙げられる。
これらのうち、アルキル基、特に、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基であることが、熱可塑性エラストマー(A)とアスファルト(B)との混合性が良好となるため好ましい。
置換基Bは、単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であれば特に限定されない。
このような置換基Bとしては、具体的には、例えば、単結合;酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基);これらの原子または基を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基;これらの原子または基を末端に有する、炭素数1〜20のアルキレンエーテル基(アルキレンオキシ基、例えば、−O−CH2CH2−基)、アルキレンアミノ基(例えば、−NH−CH2CH2−基等)またはアルキレンチオエーテル基(アルキレンチオ基、例えば、−S−CH2CH2−基);これらを末端に有する、炭素数1〜20のアラルキレンエーテル基(アラルキレンオキシ基)、アラルキレンアミノ基またはアラルキレンチオエーテル基;等が挙げられる。
ここで、上記アミノ基NR′の炭素数1〜10のアルキル基としては、異性体を含む、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
上記置換基Bの酸素原子、イオウ原子およびアミノ基NR′;ならびに;これらの原子または基を末端に有する炭素数1〜20の、アルキレンエーテル基、アルキレンアミノ基、アルキレンチオエーテル基、または、アラルキレンエーテル基、アラルキレンアミノ基、アラルキレンチオエーテル基等の酸素原子、アミノ基NR′およびイオウ原子は、隣接するカルボニル基と組み合わされ共役系のエステル基、アミド基、イミド基、チオエステル基等を形成することが好ましい。
これらのうち、置換基Bは、共役系を形成する、酸素原子、イオウ原子またはアミノ基;これらの原子または基を末端に有する、炭素数1〜20のアルキレンエーテル基、アルキレンアミノ基またはアルキレンチオエーテル基であることが好ましく、アミノ基(NH)、アルキレンアミノ基(−NH−CH2−基、−NH−CH2CH2−基、−NH−CH2CH2CH2−基)、アルキレンエーテル基(−O−CH2−基、−O−CH2CH2−基、−O−CH2CH2CH2−基)であることが特に好ましい。
本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、上記式(1)で表される構造を含有する側鎖を、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(2)または(3)で表される構造を含有する側鎖として有していることが好ましい。
式中、Aは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。
ここで、置換基Aは上記式(1)の置換基Aと基本的に同様であり、置換基BおよびDはそれぞれ独立に、上記式(1)の置換基Bと基本的に同様である。
ただし、上記式(3)における置換基Dは、上記式(1)の置換基Bで例示した中でも、単結合;酸素原子、アミノ基NR′またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基のイミド窒素と共役系を形成するものであることが好ましく、アルキレン基であることが特に好ましい。すなわち、上記式(3)のイミド窒素とともに、酸素原子、アミノ基NR′またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレンアミノ基またはアラルキレンアミノ基を形成することが好ましく、アルキレンアミノ基を形成することが特に好ましい。
このような置換基Dとしては、具体的には、例えば、単結合;上記した酸素原子、イオウ原子またはアミノ基を末端に有する炭素数1〜20の、アルキレンエーテル基、アルキレンアミノ基、アルキレンチオエーテル基またはアラルキレンエーテル基、アラルキレンアミノ基、アラルキレンチオエーテル基等;異性体を含む、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基、キシリレン基等が挙げられる。
本発明において、イミノ基とカルボニル含有基とを含有する側鎖(具体的には、上記式(1)あるいは上記式(2)または(3)で表される構造等を含有する側鎖)は、上記スチレン系エラストマーを構成する単量体100モル%に対して0.1〜50モル%の割合(導入率)で導入されていることが好ましい。0.1モル%未満では架橋時の強度が十分でない場合があり、50モル%を超えると架橋密度が高くなりゴム弾性が失われる場合がある。導入率がこの範囲であると、スチレン系エラストマーの側鎖同士の相互作用が分子間または分子内で起こり、これらがバランス良く形成されるため、得られる本発明の改質アスファルトの架橋時の引張強度が高く、リサイクル性にも優れ、更に、耐圧縮永久歪が良好となる。これらの特性がより優れる点で、0.1〜30モル%の割合で側鎖が導入されているのがより好ましく、0.5〜20モル%の割合で側鎖が導入されているのが更に好ましい。
本発明においては、上記側鎖が含窒素複素環とカルボニル含有基とを含有する場合、該側鎖は下記式(4)で表される構造を含有しているのが好ましい。
式中、Eは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。
ここで、含窒素複素環Eは、具体的には、以下に例示する含窒素複素環が挙げられる。
また、置換基BおよびDはそれぞれ独立に、上記式(1)の置換基Bと基本的に同様である。
上記含窒素複素環は、複素環内に窒素原子を含むものであれば複素環内に窒素原子以外のヘテロ原子、例えば、イオウ原子、酸素原子、リン原子等を有するものでも用いることができる。ここで、複素環化合物を用いるのは、複素環構造を有すると架橋を形成する水素結合が強くなり、得られる本発明の改質アスファルトの引張強度が向上するためである。
また、上記含窒素複素環は置換基を有していてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、ヘキシル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基などのアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子からなる基;シアノ基;アミノ基;芳香族炭化水素基;エステル基;エーテル基;アシル基;チオエーテル基;等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
更に、上記含窒素複素環は、芳香族性を有していても、有していなくてもよいが、芳香族性を有していると得られる本発明の改質アスファルトの架橋時の引張強度がより高くなり、機械的強度がより向上するため好ましい。
上記含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましい。
このような含窒素複素環としては、具体的には、例えば、ピロロリン、ピロリドン、オキシインドール(2−オキシインドール)、インドキシル(3−オキシインドール)、ジオキシインドール、イサチン、インドリル、フタルイミジン、β−イソインジゴ、モノポルフィリン、ジポルフィリン、トリポルフィリン、アザポルフィリン、フタロシアニン、ヘモグロビン、ウロポルフィリン、クロロフィル、フィロエリトリン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン、イミダゾロン、イミダゾリドン、ヒダントイン、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリドン、インダゾール、ピリドインドール、プリン、シンノリン、ピロール、ピロリン、インドール、インドリン、オキシルインドール、カルバゾール、フェノチアジン、インドレニン、イソインドール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、フェナントロリン、オキサジン、ベンゾオキサジン、フタラジン、プテリジン、ピラジン、フェナジン、テトラジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、アントラニル、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、アントラゾリン、ナフチリジン、チアジン、ピリダジン、ピリミジン、キナゾリン、キノキサリン、トリアジン、ヒスチジン、トリアゾリジン、メラミン、アデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびこれらの誘導体等が挙げられる。これらのうち、特に含窒素5員環については、下記の化合物、下記式(25)で表されるトリアゾール誘導体および下記式(26)で表されるイミダゾール誘導体が好ましく例示される。また、これらは上記した種々の置換基を有していてもよいし、水素付加または脱離されたものであってもよい。
式中、置換基Xは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、上記式(1)の置換基Aと基本的に同様である。
また、含窒素6員環については、下記の化合物が好ましく例示される。これらについても上記した種々の置換基を有していてもよいし、水素付加または脱離されたものであってもよい。
また、上記含窒素複素環とベンゼン環または含窒素複素環同士が縮合したものも用いることができ、具体的には、下記の縮合環が好適に例示される。これらの縮合環についても上記した種々の置換基を有していてもよいし、水素原子が付加または脱離されたものであってもよい。
このような含窒素複素環のうち、トリアゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、チアゾール環、イミダゾール環およびヒダントイン環であることが、得られる本発明の改質アスファルトのリサイクル性、耐圧縮永久歪、機械的強度および硬度に優れるため好ましい。
本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、上記式(4)で表される構造を含有する側鎖を、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(5)または(6)で表される構造を含有する側鎖として有していることがより好ましい。
式中、Eは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。
ここで、含窒素複素環Eは、具体的には、上記で例示した含窒素複素環が挙げられる。
また、置換基BおよびDはそれぞれ独立に、上記式(1)の置換基Bと基本的に同様である。
ただし、上記式(6)における置換基Dは、単結合;酸素原子、アミノ基NR′またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基のイミド窒素と共役系を形成するものであることが好ましく、単結合であることが特に好ましい。すなわち、上記式(6)のイミド窒素とともに、酸素原子、アミノ基NR′またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレンアミノ基またはアラルキレンアミノ基を形成するのが好ましく、上記式(6)のイミド窒素に含窒素複素環が直接結合する(単結合)のが特に好ましい。
また、本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、上記含窒素複素環を含有する側鎖としてトリアゾール環、イミダゾール環またはチアゾール環を含有する側鎖を有する場合、上記式(4)で表される構造を含有する側鎖を、下記式(13)、下記式(14)もしくは(15)、または下記式(16)で表される構造を含有する側鎖として有していることが好ましく、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(17)もしくは(18)、下記式(19)〜(22)のいずれか、または下記式(23)もしくは(24)で表される構造を含有する側鎖として有していることがより好ましい。
式中、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、GおよびJはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。
ここで、置換基BおよびDはそれぞれ独立に、上記式(4)〜(6)の置換基BおよびDと基本的に同様である。
また、置換基GおよびJとしては、具体的には、例えば、水素原子;上記式(1)の置換基Aとして例示したメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基(o−、m−、p−)、ジメチルフェニル基、メシチル基などのアリール基;等が挙げられ、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
本発明において、含窒素複素環とカルボニル含有基とを含有する側鎖(具体的には、上記式(4)あるいは上記式(5)または(6)で表される構造等を含有する側鎖)は、上記スチレン系エラストマーを構成する単量体100モル%に対して0.1〜50モル%の割合(導入率)で導入されていることが好ましい。0.1モル%未満では架橋時の強度が十分でない場合があり、50モル%を超えると架橋密度が高くなりゴム弾性が失われたり、リサイクル性が損なわれる場合がある。導入率がこの範囲であると、スチレン系エラストマーの側鎖同士の相互作用が分子間または分子内で起こり、これらがバランス良く形成されるため、得られる本発明の改質アスファルトの架橋時の引張強度が高く、リサイクル性にも優れ、更に、耐圧縮永久歪が良好となる。これらの特性がより優れる点で、0.1〜30モル%の割合で側鎖が導入されているのがより好ましく、0.5〜20モル%の割合で側鎖が導入されているのが更に好ましい。
また、本発明において、イミノ基とカルボニル含有基とを含有する側鎖と共に、含窒素複素環とカルボニル含有基を含有する側鎖を有する場合は、これらの側鎖を合計して、上記スチレン系エラストマーを構成する単量体100モル%に対して0.1〜50モル%の割合(導入率)で導入されていることが好ましく、側鎖へのこれらの導入比(含窒素複素環とカルボニル含有基を含有する側鎖/イミノ基とカルボニル含有基を含有する側鎖)が、1/99〜99/1であることがより好ましく、10/90〜90/10であることが更に好ましい。
導入率および導入比がこの範囲であると、架橋時の引張強度が高く、リサイクル性にも優れ、更に、耐圧縮永久歪が良好となる特性を保持しつつ、引張強度等の機械的強度を更に向上させ、また導入される含窒素複素環に由来する組成物の着色も抑制することができるため好ましい。
次に、本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)が含窒素複素環を含有する側鎖を有する場合の含窒素複素環の結合位置について説明する。なお、含窒素複素環を便宜上「含窒素n員環化合物(n≧3)」とする。
以下に説明する結合位置(「1〜n位」)は、IUPAC命名法に基づくものである。例えば、非共有電子対を有する窒素原子を3個有する化合物の場合、IUPAC命名法に基づく順位によって結合位置を決定する。具体的には、上記で例示した5員環、6員環および縮合環の含窒素複素環に結合位置を記した。
上記熱可塑性エラストマー(A)では、直接または有機基を介して共重合体と結合する含窒素n員環化合物の結合位置は特に限定されず、いずれの結合位置(1位〜n位)でもよい。好ましくは、その1位または3位〜n位である。
含窒素n員環化合物に含まれる窒素原子が1個(例えば、ピリジン環等)の場合は、分子内でキレートが形成されやすく組成物としたときの引張強度等の物性に優れるため、3位〜(n−1)位が好ましい。
含窒素n員環化合物の結合位置を選択することにより、熱可塑性エラストマーは、該熱可塑性エラストマー同士の分子間で、水素結合、イオン結合、配位結合等による架橋が形成されやすく、リサイクル性に優れ、機械的特性に優れる。
本発明においては、上記側鎖が共有結合性架橋部位とカルボニル含有基とを含有する場合、該共有結合性架橋部位において、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により架橋できるのがより好ましい。また、本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、このような結合により架橋が形成されたものであってもよい。
共有結合性架橋部位とカルボニル含有基とを含有する側鎖は、カルボニル含有基以外に、「共有結合を生成する化合物」と反応することで、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合を生起しうる官能基を共有結合性架橋部位として有する側鎖であれば特に限定されない。
本発明において、「共有結合を生成する化合物」としては、例えば、1分子中にアミノ基および/またはイミノ基を2個以上(アミノ基およびイミノ基をともに有する場合はこれらの基を合計して2個以上)有するポリアミン化合物;1分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物;1分子中にイソシアネート(NCO)基を2個以上有するポリイソシアネート化合物;1分子中にチオール基(メルカプト基)を2個以上有するポリチオール化合物;等が挙げられる。
ポリアミン化合物としては、例えば、以下に示す脂環族アミン、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、含窒素複素環アミン等が挙げられる。
脂環族アミンとしては、具体的には、例えば、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、ジ−(アミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
脂肪族ポリアミンとしては、具体的には、例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノヘプタン、ジアミノドデカン、ジエチレントリアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、トリエチレンテトラミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジエチルエチレンジアミン、N,N′−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ジイソプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N′−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N′,N′′−トリメチルビス(ヘキサメチレン)トリアミン等が挙げられる。
芳香族ポリアミンおよび含窒素複素環アミンとしては、具体的には、例えば、ジアミノトルエン、ジアミノキシレン、テトラメチルキシリレンジアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
上記ポリアミン化合物は、その水素原子の一つ以上を、アルキル基、アルキレン基、アラルキレン基、オキシ基、アシル基、ハロゲン原子等で置換してもよく、また、その骨格に、酸素原子、イオウ原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
また、上記ポリアミン化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の混合比は、本発明の改質アスファルトに要求される物性等に応じて任意の比率に調整することができる。
上記で例示したポリアミン化合物のうち、ヘキサメチレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が、耐圧縮永久歪、機械的強度、特に引張強度の改善効果が高く好ましい。
ポリオール化合物は、水酸基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格などは特に限定されず、例えば、以下に示すポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールから選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパンその他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸その他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトンなどの開環重合体;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリプロピレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリエチレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリプロピレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリエチレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)、ポリプロピレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)などの低分子ポリオール;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)、H6TDI(水添TDI)等の脂環式ポリイソシアネートなどのジイソシアネート化合物;ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物;これらのイソシアネート化合物のカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物と上記で例示したポリオール化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマー;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリチオール化合物は、チオール基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格などは特に限定されず、その具体例としては、メタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、4,4’−チオビスベンゼンチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ポリチオール(チオコールまたはチオール変性高分子(樹脂、ゴム等))等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
このような「共有結合を生成する化合物」と反応することで、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合を生起しうる官能基としては、環状酸無水物基、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、チオール基等が好適に例示される。
共有結合性架橋部位とカルボニル含有基とを含有する側鎖は、このような官能基とカルボニル含有基とを有する側鎖であれば特に限定されない。
本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)においては、この共有結合性架橋部位における架橋、すなわち、該官能基と上述した「共有結合を生成する化合物」との共有結合による架橋を1分子中に少なくとも1個有していることが好ましく、特に、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により架橋が形成される場合は、2個以上有しているのが好ましく、2〜20個有しているのがより好ましく、2〜10個有しているのが更に好ましい。
本発明においては、この共有結合性架橋部位における架橋が、第三級アミノ基(−N=)を含有しているのが、得られる本発明の改質アスファルトの成形性が改善される理由から好ましい。これは、第三級アミノ基が、カルボニル含有基および含窒素複素環と水素結合(相互作用)することで、架橋密度が均一になることによるものと考えられる。したがって、「共有結合を生成する化合物」としては、上記で例示したもののうち、ポリエチレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリプロピレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリエチレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリプロピレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリエチレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)、ポリプロピレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)であるのが好ましい。
また、本発明においては、上記共有結合性架橋部位における架橋が、下記式(7)〜(9)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ含有しているのが好ましく、式中のTが第三級アミノ基を含有しているのがより好ましい。
式中、K、L、QおよびRはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、Tは酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含んでいてもよく、分岐していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。
ここで、置換基K、L、QおよびRはそれぞれ独立に、上記式(1)の置換基Bと基本的に同様である。
また、置換基Tとしては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、1,9−ノニレン基、1,10−デシレン基、1,11−ウンデシレン基、1,12−ドデシレン基などのアルキレン基;N,N−ジエチルドデシルアミン−2,2′−ジイル、N,N−ジプロピルドデシルアミン−2,2′−ジイル、N,N−ジエチルオクチルアミン−2,2′−ジイル、N,N−ジプロピルオクチルアミン−2,2′−ジイル、N,N−ジエチルステアリルアミン−2,2′−ジイル、N,N−ジプロピルステアリルアミン−2,2′−ジイル、;ビニレン基;1,4−シクロへキシレン基等の2価の脂環式炭化水素基;1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,3−フェニレンビス(メチレン)基などの2価の芳香族炭化水素基;プロパン−1,2,3−トリイル、ブタン−1,3,4−トリイル、トリメチルアミン−1,1′,1′′−トリイル、トリエチルアミン−2,2′,2′′−トリイル等の3価の炭化水素基;下記式(27)および(28)で表される4価の炭化水素基;およびこれらを組み合わせて形成される置換基;等が挙げられる。
更に、本発明においては、上記共有結合性架橋部位における架橋が、上述した上記スチレン系エラストマーの主鎖にα位またはβ位で結合する下記式(10)〜(12)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ含有するのが好ましく、式中のTが第三級アミノ基を含有しているのがより好ましい。下記式(10)〜(12)のいずれかで表される構造としては、具体的には、下記式(29)〜(40)で表される化合物が好適に例示される。
ここで、置換基K、L、QおよびRはそれぞれ独立に、上記式(7)〜(9)の置換基K、L、QおよびRと基本的に同様であり、置換基Tは、上記式(7)の置換基Tと基本的に同様である。

(式中、lは、1以上の整数を表す。)

(式中、l、mおよびnは、それぞれ独立に1以上の整数を表す。)
本発明においては、上記共有結合性架橋部位における架橋が、環状酸無水物基と、水酸基あるいはアミノ基および/またはイミノ基との反応により形成されるのが好ましい。
また、本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、そのガラス転移点が25℃以下であるのが好ましく、該熱可塑性エラストマーが2以上のガラス転移点を有する場合または2種以上の熱可塑性エラストマーを併用する場合はガラス転移点の少なくとも1つは25℃以下であるのが好ましい。ガラス転移点が25℃以下であると、本発明の改質アスファルトを用いた舗装の破壊が抑制できる。
本発明の改質アスファルトは、このような熱可塑性エラストマー(A)を1種以上含有する。2種以上含有する場合の混合比は、本発明の改質アスファルトに要求される物性等に応じて任意の比率に調整することができる。
本発明の改質アスファルトに用いられる熱可塑性エラストマー(A)の製造方法は特に限定されず、通常の方法を選択することができる。
具体的には、イミノ基とカルボニル含有基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)を製造する方法としては、環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーにイミノ基を導入しうる化合物を反応させる反応工程(以下、「反応工程A」という。)を具備する製造方法が好適に例示される。
また、含窒素複素環とカルボニル含有基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)を製造する方法としては、環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーに含窒素複素環を導入しうる化合物を反応させる反応工程(以下、「反応工程B」という。)を具備する製造方法が好適に例示される。
なお、イミノ基と含窒素複素環とカルボニル含有基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)を製造する方法としては、上記反応工程Aおよび上記反応工程Bをいずれも具備する方法が好適に例示される。この方法において、上記反応工程Bは、反応工程Aと同時に行う工程として具備するものであっても、反応工程Aの前工程もしくは後工程として具備するものであってもよいが、反応工程Aの後工程として具備していることが好ましい。
一方、共有結合性架橋部位とカルボニル含有基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)を製造する方法としては、具体的には、上記スチレン系エラストマーと後述する環状酸無水物基を導入しうる化合物とを反応させる反応工程(以下、「反応工程C」という。)を具備する製造方法や、この製造方法により得られる環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーに、更に上述した共有結合を生成する化合物を反応させる反応工程(以下、「反応工程D」という。)を具備する製造方法;等が挙げられる。
以下に、環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマー、イミノ基を導入しうる化合物および含窒素複素環を導入しうる化合物ならびに反応工程A〜Dについて詳述する。
(環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマー)
環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーとは、主鎖を形成する原子に環状酸無水物基が化学的に安定な結合(共有結合)をしているスチレン系エラストマーのことをいい、上記スチレン系エラストマーと環状酸無水物基を導入しうる化合物とを反応させることにより得られるものである。
環状酸無水物基を導入しうる化合物としては、具体的には、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸等の環状酸無水物が挙げられる。
本発明においては、環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーは、通常行われる方法、例えば、上記スチレン系エラストマーに、通常行われる条件、例えば、加熱下での攪拌等により環状酸無水物をグラフト重合させる方法で製造してもよく、また市販品を用いてもよい。
市販品としては、例えば、タフテック(無水マレイン酸変性SEBS、M1913(旭化成ケミカルズ社製))、タフテック(無水マレイン酸変性SEBS、M1943(旭化成ケミカルズ社製))、クレイトン(無水マレイン酸変性SEBS、FG1901X(クレイトンポリマー社製))、タフプレン(無水マレイン酸変性SBS、912(旭化成社製))、セプトン(無水マレイン酸変性SEPS(クラレ社製))等が挙げられる。
(イミノ基を導入しうる化合物)
イミノ基を導入しうる化合物は、複素環等の環状化合物の一部を構成しないイミノ基と、その他の活性水素基(例えば、水酸基、チオール基、アミノ基等)とを分子内に有する化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、N−メチルアミノエタノール、N−エチルアミノエタノール、N−n−プロピルアミノエタノール、N−n−ブチルアミノエタノール、N−n−ペンチルアミノエタノール、N−n−ヘキシルアミノエタノール、N−n−ヘプチルアミノエタノール、N−n−オクチルアミノエタノール、N−n−ノニルアミノエタノール、N−n−デシルアミノエタノール、N−n−ウンデシルアミノエタノール、N−n−ドデシルアミノエタノール、N−(2−エチルヘキシル)アミノエタノール、N−メチルアミノプロパノール、N−メチルアミノブタノールなどのアルキルアミノアルコール類;N−フェニルアミノエタノール、N−トルイルアミノエタノール、N−フェニルアミノプロパノール、N−フェニルアミノブタノールなどの芳香族アミノアルコール類;N−メチルアミノエタンチオール、N−エチルアミノエタンチオール、N−n−プロピルアミノエタンチオール、N−n−ブチルアミノエタンチオール、N−メチルアミノプロパンチオール、N−メチルアミノブタンチオールなどのアルキルアミノチオール類;N−フェニルアミノエタンチオール、N−トルイルアミノエタンチオール、N−フェニルアミノプロパンチオール、N−フェニルアミノブタンチオールなどの芳香族アミノチオール類;N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N−メチルプロパンジアミン、N−エチルプロパンジアミン、N−メチルブタンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジエチルエチレンジアミンなどのアルキルジアミン類;N−フェニルエチレンジアミン、N−フェニルプロパンジアミン、N−フェニルブタンジアミン、N,N′−ジフェニルエチレンジアミンなどの芳香族ジアミン類;等が挙げられる。
これらのうち、N−n−ブチルアミノエタノール、N−n−オクチルアミノエタノール、N−n−ドデシルアミノエタノールであることが好ましい。
(含窒素複素環を導入しうる化合物)
含窒素複素環を導入しうる化合物としては、上記で例示した含窒素複素環そのものであってもよく、無水マレイン酸等の環状酸無水物基と反応する置換基(例えば、水酸基、チオール基、アミノ基等)を有する含窒素複素環であってもよい。
(反応工程A)
上記反応工程Aは、イミノ基を導入しうる化合物と、環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーとを混合し、該化合物と該環状酸無水物基とが化学結合しうる温度(例えば、60〜250℃)で反応(環状酸無水物基を開環)させる工程である。この反応により、得られる熱可塑性エラストマーの側鎖に上記式(2)または(3)で表される構造を含有することになる。
また、イミノ基を導入しうる化合物は、上記スチレン系エラストマーの側鎖に含有する環状酸無水物基の一部または全量と反応させればよい。一部とは、環状酸無水物基100モル%に対して1モル%以上が好ましく、10モル%以上であるのがより好ましく、30モル%以上であるのが特に好ましい。この範囲であると、高物性(例えば、破断特性)が十分に発現し、耐圧縮永久歪がより向上する。
(反応工程B)
上記反応工程Bは、含窒素複素環を導入しうる化合物と、環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーとを混合し、該化合物と該環状酸無水物基とが化学結合しうる温度(例えば、60〜250℃)で反応(環状酸無水物基を開環)させる工程である。この反応により、得られる熱可塑性エラストマーの側鎖に上記式(5)または(6)で表される構造を含有することになる。
また、含窒素複素環を導入しうる化合物は、上記スチレン系エラストマーの側鎖に含有する環状酸無水物基の一部または全量と反応させればよい。一部とは、環状酸無水物基100モル%に対して1モル%以上が好ましく、50モル%以上であるのがより好ましく、80モル%以上であるのが特に好ましい。この範囲であると、含窒素複素環を導入した効果が発現し、架橋時の引張強度等の機械的強度がより向上する。
また、上記イミノ基を導入しうる化合物および上記含窒素複素環を導入しうる化合物を共に用いた場合は、上記反応工程Aおよび上記反応工程Bを共に具備することになる。この場合においては、イミノ基を導入しうる化合物および含窒素複素環を導入しうる化合物は、上記スチレン系エラストマーの側鎖に含有する環状酸無水物基の一部または全量と反応させればよい。環状酸無水物基に対するそれぞれの化合物の反応割合は特に限定されないが、合計して、環状酸無水物基100モル%に対して1モル%以上が好ましく、50モル%以上であるのがより好ましく、80モル%以上であるのが特に好ましい。この範囲であると、リサイクル性を保持しつつ、引張特性、耐圧縮永久歪および架橋時の引張強度がより向上する。
なお、環状酸無水物基に対するそれぞれの化合物の反応割合の比(イミノ基を導入しうる化合物:含窒素複素環を導入しうる化合物)は、1:99〜99:1であるのが好ましく、10:90〜99:1であるのがより好ましく、20:80〜90:10であるのが特に好ましい。
(反応工程C)
上記反応工程Cは、スチレン系エラストマーと、環状酸無水物基を導入しうる化合物とを反応させて環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーを製造する工程である。
(反応工程D)
上記反応工程Dは、環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーと、共有結合を生成する化合物とを混合し、該環状酸無水物基と該化合物とが化学結合しうる温度(例えば、60〜250℃)で反応(環状酸無水物基を開環)させる工程である。この反応により、得られる熱可塑性エラストマーの側鎖に上記式(10)〜(12)で表される構造を含有することになる。
また、共有結合を生成する化合物は、上記スチレン系エラストマーの側鎖に含有する環状酸無水物基の一部または全量と反応させればよい。一部とは、環状酸無水物基100モル%に対して1モル%以上が好ましく、10モル%以上であるのがより好ましく、30モル%以上であるのが特に好ましい。この範囲であると、高物性(例えば、破断特性)が十分に発現し、耐圧縮永久歪がより向上する。
このような製造方法は、例えば、環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーと、イミノ基を導入しうる化合物および/または含窒素複素環を導入しうる化合物とを、60〜250℃下で、ロール、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、単軸押出し機、二軸押出し機、万能攪拌機等を用いて混合する方法であってもよい。
また、このような製造方法においては、熱可塑性エラストマーの側鎖の各基(構造)、すなわち、未反応の環状酸無水物基、上記式(2)、(3)、(5)、(6)等で表される構造は、NMR、IRスペクトル等の通常用いられる分析手段により確認することができる。
このような熱可塑性エラストマー(A)の含有量は、後述するアスファルト(B)100質量部に対して1〜30質量部であるのが好ましく、1〜20質量部であるのがより好ましく、3〜15質量部であるのが更に好ましい。
熱可塑性エラストマー(A)の含有量がこの範囲であると、本発明の改質アスファルト夏場の耐轍掘性がより良好となる。
<アスファルト(B)>
本発明の改質アスファルトに用いられるアスファルト(B)は、ビチューメン類と呼ばれる主に炭化水素からなる混合系の材料であり、その具体例としては、ストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブローンアスファルト、カットバックアスファルト、脱ろうアスファルトなどの石油アスファルト;天然アスファルト;アスファルタイト;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、石油アスファルトであるのが好ましく、特に、ストレートアスファルトであるのが、アスファルト舗装の骨材間の空隙に対する浸透性、骨材との接着性が良好となる理由からより好ましい。
本発明の改質アスファルトは、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、上記熱可塑性エラストマー(A)および上記アスファルト(B)以外に、粘着付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、鉱物油、石油樹脂等の各種添加剤を含有することができる。
本発明の改質アスファルトは、上記熱可塑性エラストマー(A)および上記アスファルト(B)ならびに所望により上記添加剤を含有するものである。
本発明の改質アスファルトの製造方法は特に限定されないが、具体的には、例えば、上記アスファルト(B)に対して上記熱可塑性エラストマー(A)を配合し、ロール、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、単軸押出し機、二軸押出し機、高速かくはん機等を用いて両者を混合することにより、上記アスファルト(B)中に上記熱可塑性エラストマー(A)を分散させる方法等が挙げられる。また、後述する実施例に示すように、熱可塑性エラストマー(A)を生成するための化合物(例えば、環状酸無水物基を側鎖に含有するスチレン系エラストマーおよび含窒素複素環を導入しうる化合物)と、アスファルト(B)とを混合する方法であってもよい。
また、本発明の改質アスファルトは、上記熱可塑性エラストマー(A)および上記アスファルト(B)を含有するものであるため、夏場であっても轍掘を防ぐことができ、排水性や騒音低減性を良好に維持することができる舗装を作製することができる。
これは、詳細には明らかではないが、改質材として従来公知のスチレン・ブタジエンブロック共重合体(SBS)配合した改質アスファルトと同等の分散状態を示し、圧縮永久歪も良好になるためであると考えられる。
なお、本発明においては、上記熱可塑性エラストマー(A)として特定の側鎖を有するスチレン系エラストマーを用いるが、同様の側鎖を有し、エチレン−プロピレンゴム(EPM)を主鎖とする熱可塑性エラストマーを用いた場合は、本発明の効果を奏しない。
これは、後述する実施例1および比較例1の対比からも明らかなように、意外にも、主鎖がスチレン系エラストマーで構成される熱可塑性エラストマーの方が、アスファルトへの分散性が良好になるためである。
次に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1および2、比較例1および2)
ストレートアスファルト(針入度:60/80、昭和シェル石油社製)100gに、下記表1に示すように、SBS(アサプレンT−437、旭化成ケミカル社製)、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(エチレン:プロピレン=30:70、マレイン化率:1.0質量%、重量平均分子量:20万、以下「マレイン化EPM」と略す。)、または、無水マレイン酸変性SEBS(M1913、旭化成ケミカルズ社製、以下「マレイン化SEBS」と略す。)を10g配合し、高速かくはん機を用い、180℃で3時間、5000rpmの条件で混合した。
その後、4H−3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(ATA、日本カーバイト社製)0.156g、または、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(タナック、日産化学社製)0.161g(無水マレイン酸基に対して1当量)添加し、更に1時間混合することで、熱可塑性エラストマーを生成させつつ、ストレートアスファルトに分散させ、改質アスファルトを調製した。IR分析を行うことにより、トリアゾール環またはイソシアヌレート環の導入された熱可塑性エラストマーを含有していることを確認した。
なお、比較例1については、4H−3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(ATA)を添加せず、ストレートアスファルトにSBSを配合し、混合した状態で評価した。
得られた各改質アスファルトについて、以下に示す方法によりJIS−A硬度、引張特性および圧縮永久歪を測定した。また、実施例1および比較例1については、以下に示す方法により熱可塑性エラストマーの分散状態を確認した。その結果を下記表1に示す。
<JIS−A硬度>
得られた各改質アスファルトを180℃で10分間熱プレスし、2mm厚のシートを作製した。
このシートから円板状(直径29mm)の試験片を打ち抜き、得られた円板状試験片を7枚重ね、200℃で20分間熱プレスし、JIS K6253に準拠して、JIS−A硬度を測定した。
<引張特性>
得られた各改質アスファルトを180℃で10分間熱プレスし、2mm厚のシートを作製した。
このシートから3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251に準拠して行い、100%モジュラス(M100)[MPa]、200%モジュラス(M200)[MPa]、および、300%モジュラス(M300)[MPa]を室温にて測定した。
<圧縮永久歪み(C−Set)>
得られた各改質アスファルトを180℃で10分間熱プレスし、2mm厚のシートを作製した。
作製したシートを7枚重ね合わせて200℃で20分間熱プレスし、円筒状のサンプル(直径29mm×厚さ12.5mm)を作製した。
この円筒状サンプルを、専用治具で25%圧縮し、40℃で22時間放置した後の圧縮永久歪みをJIS K6262に準じて測定した。
<分散状態>
得られた各改質アスファルトについて、切断面の表面写真(倍率20000倍)をFE−SEMにより撮影し、目視により熱可塑性エラストマーの分散状態を確認した。
図1(A)は、実施例1の改質アスファルトの切断表面写真であり、図1(B)は、比較例1の改質アスファルトの切断表面写真である。
上記表1から明らかなように、主鎖がスチレン系エラストマーで構成され、特定の側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)を配合した実施例1および2で調製した改質アスファルトは、比較例1および2で調製した改質アスファルトに比べ、引張特性および圧縮永久歪がいずれも良好となることが分かった。
そのため、従来品に相当する比較例1の改質アスファルトに比べ、夏場であっても轍掘を防ぐことができることが分かり、排水性や騒音低減性を良好に維持することができる。
図1(A)は、実施例1で調製した改質アスファルトの切断表面を示すFE−SEM写真であり、図1(B)は、比較例1で調製した改質アスファルトの切断表面を示すFE−SEM写真である。

Claims (10)

  1. 主鎖がスチレン系エラストマーで構成され、イミノ基、含窒素複素環および共有結合性架橋部位からなる群より選択される少なくとも1つと、カルボニル含有基とを含有する側鎖を有する熱可塑性エラストマー(A)と、
    アスファルト(B)と、を含有する改質アスファルト。
  2. 前記熱可塑性エラストマー(A)の含有量が、前記アスファルト(B)100質量部に対して1〜30質量部である請求項1に記載の改質アスファルト。
  3. 前記熱可塑性エラストマー(A)の側鎖が、下記式(1)で表される構造を含有する請求項1または2に記載の改質アスファルト。

    (式中、Aは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、Bは単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。)
  4. 前記式(1)で表される構造を含有する側鎖が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(2)または(3)で表される構造を含有する請求項3に記載の改質アスファルト。

    (式中、Aは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。)
  5. 前記熱可塑性エラストマー(A)の側鎖が、下記式(4)で表される構造を含有する請求項1または2に記載の改質アスファルト。

    (式中、Eは含窒素複素環であり、Bは単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。)
  6. 前記式(4)で表される構造を含有する側鎖が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(5)または(6)で表される構造を含有する請求項5に記載の改質アスファルト。

    (式中、Eは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基である。)
  7. 前記共有結合性架橋部位において、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により架橋することができる請求項1〜6のいずれかに記載の改質アスファルト。
  8. 前記共有結合性架橋部位において、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により架橋してなる請求項1〜6のいずれかに記載の改質アスファルト。
  9. 前記共有結合性架橋部位における架橋が、下記式(7)〜(9)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ含有する請求項8に記載の改質アスファルト。

    (式中、K、L、QおよびRはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、Tは酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含んでいてもよく、分岐していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。)
  10. 前記共有結合性架橋部位における架橋が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(10)〜(12)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ含有する請求項9に記載の改質アスファルト。

    (式中、K、L、QおよびRはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR′(R′は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、Tは酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含んでいてもよく、分岐していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。)
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