JP2019104774A - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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知野 圭介
Keisuke Chino
圭介 知野
鈴木 宏明
Hiroaki Suzuki
宏明 鈴木
粂原 偉男
Yorio Kumehara
偉男 粂原
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Abstract

【課題】 破断ひずみを基準としてより高度な延伸性を有する樹脂組成物を製造することが可能な樹脂組成物の製造方法を提供すること。【解決手段】 熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂成分と;カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)を有しかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(A)、並びに、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分を含有する樹脂改質剤と;を、前記樹脂成分100質量部に対する前記樹脂改質剤の混合量を0.1〜100質量部とする割合で混合することにより、前記樹脂成分と前記ポリマー成分とを含有する樹脂組成物を得ることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物の製造方法に関する。
従来より、樹脂成分の耐衝撃性等の特性を改良するために様々な樹脂改質剤を利用して樹脂組成物を製造することが提案されてきた。例えば、特開2003−221477号公報(特許文献1)においては、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物又はその架橋処理物からなる成分を、ポリプロピレン樹脂等の樹脂に対する樹脂改質剤として利用することが提案されている。また、特開2015−10100号公報(特許文献2)においては、特定のプロピレン系樹脂組成物に、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、シラン化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸又はその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどといった極性モノマーがグラフトされてなる成分を、ポリアミド樹脂の樹脂改質剤として利用することが提案されている。
このように、従来より樹脂組成物の用途に応じた特性の向上を図るために、様々な成分を樹脂改質剤として利用して樹脂組成物を製造することが提案されてきた。そして、近年では、そのような特性として破断ひずみを基準とした延伸性をより高度なものとすることが可能となるような樹脂組成物の製造方法の出現が望まれている。
特開2003−221477号公報 特開2015−10100号公報
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、破断ひずみを基準としてより高度な延伸性を有する樹脂組成物を製造することが可能な樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂成分と、下記ポリマー成分を含有する樹脂改質剤とを、前記樹脂成分100質量部に対する前記樹脂改質剤の混合量を0.1〜100質量部とする割合で混合して、前記樹脂成分と前記ポリマー成分とを含有する樹脂組成物を得ることにより、破断ひずみを基準としてより高度な延伸性を有する樹脂組成物を製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の樹脂組成物の製造方法は、
熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂成分と;
カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)を有しかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(A)、並びに、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分を含有する樹脂改質剤と;
を、前記樹脂成分100質量部に対する前記樹脂改質剤の混合量を0.1〜100質量部とする割合で混合することにより、前記樹脂成分と前記ポリマー成分とを含有する樹脂組成物を得ることを特徴とする方法である。
上記本発明の樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリマー成分が、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーと;
水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含窒素化合物、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含酸素化合物、及び、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と;
の反応物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記本発明の樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリマー成分が、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーと;
水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよく、かつ、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む複素環化合物からなる群から選択される少なくとも1種と;
の反応物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記本発明の樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリマー成分が、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーと;
水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいピリジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいチアジアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイミダゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイソシアヌレート、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいヒダントイン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトール、スルファミド、並びに、ポリエーテルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(X)と;
の反応物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記本発明の樹脂組成物の製造方法においては、前記環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーが環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマーであり、
前記ポリマー成分が、前記環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマーと前記化合物(X)との反応物からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分であることが好ましい。
また、上記本発明の樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリマー(A)〜(B)の主鎖はそれぞれ、ジエン系ゴム、ジエン系ゴムの水素添加物、オレフィン系ゴム、水添されていてもよいポリスチレン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、及び、ポリアミド系ポリマーの中から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
さらに、上記本発明の樹脂組成物の製造方法においては、前記樹脂成分が、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記本発明の樹脂組成物の製造方法においては、前記樹脂成分がポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
本発明によれば、破断ひずみを基準としてより高度な延伸性を有する樹脂組成物を製造することが可能な樹脂組成物の製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、
熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂成分と;
カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)を有しかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(A)、並びに、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分を含有する樹脂改質剤と;
を、前記樹脂成分100質量部に対する前記樹脂改質剤の混合量を0.1〜100質量部とする割合で混合することにより、前記樹脂成分と前記ポリマー成分とを含有する樹脂組成物を得ることを特徴とする方法である。先ず、かかる方法に利用する前記樹脂成分、前記樹脂改質剤について説明する。
〈樹脂成分〉
本発明にかかる樹脂成分は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である。
このような熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン(PE:高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(COP)樹脂、等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ポリ酢酸ビニル(PVAc)樹脂;ポリスチレン(PS)樹脂;熱可塑性のポリウレタン(PUR)樹脂;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂);AS樹脂;ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等のアクリル樹脂;ポリ乳酸(PLA樹脂);6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド(PA)樹脂;ポリアセタール(POM)樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂(m−PPE、変性PPE、PPO);ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル(PEs)樹脂;ポリフェニレンスルファイド(PPS)樹脂;ポリサルフォン(PSF)樹脂;ポリエーテルサルフォン(PES:Polyethersulfone)樹脂;非晶ポリアリレート(PAR)樹脂;液晶ポリマー(LCP);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂;熱可塑性ポリイミド(PI)樹脂;ポリアミドイミド樹脂;等が挙げられる。このように、熱可塑性樹脂としては、PA樹脂、POM樹脂等のエンジニアリングプラスティックやPPS樹脂、PSF樹脂等のスーパーエンジニアリングプラスティックであってもよい。
また、このような熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、熱硬化性のポリウレタン樹脂(PUR)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、熱硬化性ポリイミド(PI)等が挙げられる。
また、本発明にかかる樹脂成分としては、より大きな効果が発現するといった観点から、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ポリオレフィン樹脂であることがより好ましい。
また、このようなポリオレフィン樹脂の中でも、化学結合性の分子間相互作用が低いといった観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)がより好ましく、ポリプロピレン(PP)が特に好ましい。
このような樹脂成分として利用する熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としてはいずれも、混合性の観点から、共有結合性架橋部位を有さないものが好ましい。すなわち、前記樹脂成分としては、共有結合性架橋部位を有さない熱可塑性樹脂及び共有結合性架橋部位を有さない熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、ここにいう「共有結合性架橋部位」とは、共有結合により樹脂分子同士を架橋する部位をいい、「共有結合性架橋部位を有さない」とは、かかる樹脂がそのような共有結合により樹脂分子同士を架橋する部位を含まない状態であることをいう。
また、このような樹脂成分として利用する熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、化学結合性の架橋部位を有さないものとしてもよい。なお、本明細書において「化学結合性の架橋部位」とは、水素結合、共有結合、金属イオン−極性官能基間のキレーション、金属−不飽和結合(二重結合、三重結合)間のσ−π相互作用により形成される結合等といった化学結合により架橋が形成されている部位をいい、「化学結合性の架橋部位を有さない」とは、そのような化学結合性の架橋部位(水素結合、共有結合、金属イオン−極性官能基間のキレーション、金属−不飽和結合(二重結合、三重結合)間のσ−π相互作用により形成される結合等といった化学結合により架橋が形成されている部位)を含まない状態であることをいう。
このような樹脂成分として利用する各種樹脂の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜利用できる。また、このような樹脂成分としては市販品を利用してもよい。
〈樹脂改質剤〉
本発明にかかる樹脂改質剤は、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)を有しかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(A)、並びに、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分を含有するものである。
このようなポリマー(A)〜(B)において、「側鎖」とは、ポリマーの側鎖および末端をいう。また、「カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)」とは、ポリマーの主鎖を形成する原子(通常、炭素原子)に、水素結合性架橋部位としてのカルボニル含有基および/または含窒素複素環(より好ましくはカルボニル含有基および含窒素複素環)が化学的に安定な結合(共有結合)をしていることを意味する。また、「側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有され」とは、水素結合性架橋部位を有する側鎖(以下、便宜上、場合により「側鎖(a’)」と称する。)と、共有結合性架橋部位を有する側鎖(以下、便宜上、場合により「側鎖(b)」と称する。)の双方の側鎖を含むことによってポリマーの側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方が含有されている場合の他、水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を有する側鎖(1つの側鎖中に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を含む側鎖:以下、このような側鎖を便宜上、場合により「側鎖(c)」と称する。)を含むことで、ポリマーの側鎖に、水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方が含有されている場合を含む概念である。
なお、このようなポリマー成分は、上記樹脂成分の特性を改質させるために利用されるものである。そのため、このようなポリマー成分は、本発明の製造方法においては、前記樹脂成分として選択された樹脂(改質する目的となる樹脂)とは、異なる構造を有するものをポリマー(A)〜(B)からなる群の中から適宜選択して利用すればよく、その種類等は、特に制限されるものではない。例えば、上記樹脂成分として選択された樹脂が、特定のポリマー(I)である場合には、そのポリマー(I)の改質を目的とすることから、ポリマー成分としては、該ポリマー(I)以外の種類のポリマー(A)〜(B)からなる群から選択されるものを利用すればよい。また、例えば、上記樹脂成分として選択された樹脂が共有結合性の架橋部位を有さないようなものである場合、共有結合性架橋部位が含有されているポリマー(B)(好ましくは前記エラストマー性ポリマー(B))の中から選択されるものを、前記ポリマー成分として利用して、両者が異なる構造を有するものとなるように適宜選択すればよい。このように、改質効果を十分に得るといった観点から、前記ポリマー成分としては、上記樹脂成分として選択する樹脂の種類を考慮して、同一のものとならないように、前記ポリマー(A)〜(B)から選択すればよい。
また、このようなポリマー成分は、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)を有しかつガラス転移点が25℃以下であるエラストマー性ポリマー(A)、並びに、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるエラストマー性ポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分であることが好ましい。すなわち、このようなポリマー成分においては、前記ポリマー(A)が前記エラストマー性ポリマー(A)であり、かつ、前記ポリマー(B)が前記エラストマー性ポリマー(B)であることが好ましい。なお、このようなポリマー成分として好適な前記エラストマー成分は、特許第5918878号公報に記載のエラストマー成分と同義であり、同公報の段落[0032]〜段落[0145]に記載のものを好適に利用できる。また、このような樹脂改質剤に含有させるエラストマー成分は、特許5918878号公報に記載されているものの他にも、例えば、特開2016−193970号公報、特開2017−057322号公報、特開2017−57323号公報、特開2017−057393号公報、特開2017−197637号公報に記載されているエラストマー成分を好適に利用できる。
また、このようなポリマー成分(好ましくはエラストマー成分)としては、延伸性が向上するといった観点から、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(B)(より好ましくはエラストマー性ポリマー(B))からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。
また、このようなポリマー成分(前記ポリマー(A)〜(B))の主鎖(主鎖部分を形成するポリマー)は、一般的に公知の天然高分子または合成高分子であって、そのガラス転移点が室温(25℃)以下のポリマーからなるものであればよく、特に限定されるものではない。このようなポリマー(A)〜(B)の主鎖としては、それぞれ、ジエン系ゴム、ジエン系ゴムの水素添加物、オレフィン系ゴム、水添されていてもよいポリスチレン系ポリマー(好ましくはポリスチレン系エラストマー性ポリマー)、ポリオレフィン系ポリマー(好ましくは、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリオレフィン系エラストマー性ポリマー)、ポリ塩化ビニル系ポリマー(好ましくはポリ塩化ビニル系エラストマー性ポリマー)、ポリウレタン系ポリマー(好ましくはポリウレタン系エラストマー性ポリマー)、ポリエステル系ポリマー(好ましくはポリエステル系エラストマー性ポリマー)、及び、ポリアミド系ポリマー(好ましくはポリアミド系エラストマー性ポリマー)の中から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。なお、このようなポリオレフィン系ポリマーとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、リニアポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン等が挙げられる。また、このようなポリマー成分(前記ポリマー(A)〜(B))の主鎖としては、老化しやすい二重結合がないという観点からは、ジエン系ゴムの水添物、オレフィン系ゴム、ポリオレフィン系ポリマーが好ましく、コストの低さ、反応性の高さ(無水マレイン酸等の化合物のエン反応が可能な二重結合を多数有する)の観点からは、ジエン系ゴムが好ましい。
さらに、このようなポリマー成分が前記エラストマー成分(エラストマー性ポリマー(A)〜(B))である場合、そのエラストマー性ポリマー(A)〜(B)の主鎖(主鎖部分を形成するポリマー)は、一般的に公知の天然高分子または合成高分子であって、そのガラス転移点が室温(25℃)以下のエラストマー性のポリマーからなるものであればよい(いわゆるエラストマーからなるものであればよい)。このようなエラストマー性ポリマー(A)〜(B)の主鎖(主鎖部分を形成するポリマー)としては、ガラス転移点が室温(25℃)以下の公知のエラストマー性のポリマー(例えば、特許第5918878号公報の段落[0033]〜[0036]に記載のもの)を適宜利用できる。
このようなポリマー成分として好適な前記エラストマー成分(エラストマー性ポリマー(A)〜(B))の主鎖はそれぞれ、ジエン系ゴム、ジエン系ゴムの水素添加物、オレフィン系ゴム、水添されていてもよいポリスチレン系エラストマー性ポリマー、ポリオレフィン系エラストマー性ポリマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー性ポリマー、ポリウレタン系エラストマー性ポリマー、ポリエステル系エラストマー性ポリマー、及び、ポリアミド系エラストマー性ポリマーの中から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
また、このようなポリマー成分として好適な前記エラストマー成分(前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B))の主鎖としては、老化しやすい二重結合がないという観点からは、ジエン系ゴムの水添物、オレフィン系ゴムが好ましく、コストの低さ、反応性の高さ(無水マレイン酸等の化合物のエン反応が可能な二重結合を多数有する)の観点からは、ジエン系ゴムが好ましい。また、前記ポリマー成分として好適な前記エラストマー成分(前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B))の主鎖に、それぞれオレフィン系ゴムを用いると、二重結合が存在しないため劣化がより十分に抑制される傾向にある。
また、このようなポリマー成分の主鎖としては、圧縮永久歪を低下できるといった観点から、中でも、ポリエチレン(より好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE))、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、及び、ポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、ポリエチレン(より好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE))、及び、エチレン−ブテン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。
また、このようなポリマー成分(より好ましくはエラストマー成分)としては、前記ポリマー(A)〜(B)(より好ましくは前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B))のうちの1種を単独で利用するものであっても、あるいは、前記ポリマー(A)〜(B)(より好ましくは前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B))のうちの2種以上を組み合わせて利用する混合物であってもよい。
また、このようなポリマー(A)〜(B)(より好ましくは前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B))のガラス転移点は、前述のように25℃以下である。また、本発明において「ガラス転移点」は、示差走査熱量測定(DSC−Differential Scanning Calorimetry)により測定したガラス転移点である。測定に際しては、昇温速度は10℃/minにするのが好ましい。なお、前記ポリマー(A)〜(B)は、ガラス転移点が25℃以下のものであればよいが、前記ポリマー成分として好適なエラストマー成分を用いる場合、前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B)は、ガラス転移点が25℃以下でゴム状弾性を示すものであることが好ましい。
また、前記ポリマー(A)〜(B)(より好ましくは前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B))は、上述のように、側鎖として、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a);水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a’)及び共有結合性架橋部位を含有する側鎖(b);並びに、水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位を含有する側鎖(c);のうちの少なくとも1種を有するものとなる。なお、本発明において、側鎖(c)は、側鎖(a’)としても機能しつつ側鎖(b)としても機能するような側鎖であるとも言える。以下において、各側鎖を説明する。
〈側鎖(a’):水素結合性架橋部位を含有する側鎖〉
このような水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a’)は、水素結合による架橋を形成し得る基(例えば、水酸基、後述の側鎖(a)に含まれる水素結合性架橋部位等)を有し、その基に基づいて水素結合を形成する側鎖であればよく、その構造は特に制限されるものではない。ここにおいて、水素結合性架橋部位は、水素結合によりポリマー分子同士(より好ましくはエラストマー分子同士)を架橋する部位である。なお、水素結合による架橋は、水素のアクセプター(孤立電子対を含む原子を含有する基等)と、水素のドナー(電気陰性度が大きな原子に共有結合した水素原子を備える基等)とがあって初めて形成されることから、ポリマー分子同士(より好ましくはエラストマー同士)の側鎖間において水素のアクセプターと水素のドナーの双方が存在しない場合には、水素結合による架橋が形成されない。そのため、ポリマー分子同士(より好ましくはエラストマー同士)の側鎖間において、水素のアクセプターと水素のドナーの双方が存在することによって初めて、水素結合性架橋部位が系中に存在することとなる。なお、本発明においては、ポリマー分子同士(より好ましくはエラストマー同士)の側鎖間において、水素のアクセプターとして機能し得る部分(例えばカルボニル基等)と、水素のドナーとして機能し得る部分(例えば水酸基等)の双方が存在することをもって、その側鎖の水素のアクセプターとして機能し得る部分とドナーとして機能し得る部分とを、水素結合性架橋部位と判断することができる。
このような側鎖(a’)中の水素結合性架橋部位としては、より強固な水素結合を形成するといった観点から、後述の側鎖(a)がより好ましい。また、同様の観点で、前記側鎖(a’)中の水素結合性架橋部位としては、カルボニル含有基および含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位であることがより好ましい。
〈側鎖(a):カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖〉
カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)は、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有するものであればよく、他の構成は特に限定されない。このような水素結合性架橋部位としては、カルボニル含有基および含窒素複素環を有するものがより好ましい。
このようなカルボニル含有基としては、カルボニル基を含むものであればよく、特に限定されず、その具体例としては、アミド、エステル、イミド、カルボキシ基、カルボニル基等が挙げられる。このようなカルボニル含有基は、カルボニル含有基を前記主鎖に導入し得る化合物を用いて、前記主鎖(主鎖部分のポリマー)に導入した基であってもよい(前記カルボニル含有基は、例えば、高密度ポリエチレン(主鎖部分のポリマー)にカルボニル含有基を前記主鎖に導入し得る化合物を用いて、カルボニル含有基を導入することで形成される基であってもよい)。このようなカルボニル含有基を前記主鎖に導入し得る化合物は特に限定されず、その具体例としては、ケトン、カルボン酸およびその誘導体等が挙げられる。なお、このようなカルボン酸およびその誘導体等のカルボニル含有基を前記主鎖に導入し得る化合物としては、公知のもの(例えば特許第5918878号公報の段落[0051]〜[0053]に記載のもの等)を適宜利用できる。また、このようなカルボニル基(カルボニル含有基)を導入し得る化合物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸等の環状酸無水物が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
また、前記側鎖(a)が含窒素複素環を有する場合、前記含窒素複素環は、直接又は有機基を介して前記主鎖に導入されていればよく、その構成等は特に制限されるものではない。このような含窒素複素環は、複素環内に窒素原子を含むものであれば複素環内に窒素原子以外のヘテロ原子、例えば、イオウ原子、酸素原子、リン原子等を有するものでも用いることができる。ここで、前記側鎖(a)中に含窒素複素環を用いた場合には、複素環構造を有すると架橋を形成する水素結合がより強くなり、得られるポリマー成分を樹脂改質剤に含有させることで、これを用いて樹脂組成物を製造した場合に延伸性、耐衝撃性がより向上するため好ましい。
また、このような含窒素複素環としては、水素結合がより強固になり、圧縮永久歪みや機械的強度がより向上するといった観点から、5員環及び/又は6員環であることが好ましい。また、このような含窒素複素環としては、含窒素複素環をベンゼン環と縮合させたもの、含窒素複素環同士を縮合させたものであってもよい。このような含窒素複素環としては、公知のもの(例えば特許第5918878号公報の段落[0054]〜[0067]に記載のもの等)を適宜利用できる。なお、このような含窒素複素環は置換基を有するものであってもよい。このような含窒素複素環としては、例えば、ピロロリン、ピロリドン、オキシインドール(2−オキシインドール)、インドキシル(3−オキシインドール)、ジオキシインドール、イサチン、インドリル、フタルイミジン、β−イソインジゴ、モノポルフィリン、ジポルフィリン、トリポルフィリン、アザポルフィリン、フタロシアニン、ヘモグロビン、ウロポルフィリン、クロロフィル、フィロエリトリン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン、イミダゾロン、イミダゾリドン、ヒダントイン、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリドン、インダゾール、ピリドインドール、プリン、シンノリン、ピロール、ピロリン、インドール、インドリン、オキシルインドール、カルバゾール、フェノチアジン、インドレニン、イソインドール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、フェナントロリン、オキサジン、ベンゾオキサジン、フタラジン、プテリジン、ピラジン、フェナジン、テトラジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、アントラニル、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、アントラゾリン、ナフチリジン、チアジン、ピリダジン、ピリミジン、キナゾリン、キノキサリン、トリアジン、ヒスチジン、トリアゾリジン、メラミン、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ヒドロキシエチルイソシアヌレートおよびこれらの誘導体等が挙げられる。
また、このような含窒素複素環としては、リサイクル性、圧縮永久歪、硬度及び機械的強度(特に引張強度)に優れるといった観点から、それぞれ置換基を有していてもよい、トリアゾール環、イソシアヌレート環、チアジアゾール環、ピリジン環、イミダゾール環、トリアジン環及びヒダントイン環の中から選択される少なくとも1種であることが好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、トリアゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、イミダゾール環およびヒダントイン環の中から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
このような含窒素複素環が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。また、このような置換基としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、ヘキシル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基などのアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子からなる基;シアノ基;アミノ基;芳香族炭化水素基;エステル基;エーテル基;アシル基;チオエーテル基;等も用いることができる。また、これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
また、前記側鎖(a)において、上記カルボニル含有基および上記含窒素複素環の双方が含まれる場合、上記カルボニル含有基および上記含窒素複素環は、互いに独立の側鎖として主鎖に導入されていてもよいが、上記カルボニル含有基と上記含窒素複素環とが互いに異なる基を介して結合した1つの側鎖として主鎖に導入されていることが好ましい。このような側鎖(a)の構造としては、例えば、特許第5918878号公報の段落[0068]〜[0081]に記載されているような構造としてもよい。
また、側鎖(a)としては、反応後に前記主鎖を形成するポリマー(ポリマー形成用の材料)に、官能基として環状酸無水物基(より好ましくは無水マレイン酸基)を有するポリマー(より好ましくは環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)を用いて、前記官能基(環状酸無水物基)と、前記官能基(環状酸無水物基)と反応して水素結合性架橋部位を形成する化合物(含窒素複素環を導入し得る化合物)とを反応させて、水素結合性架橋部位を形成して、ポリマーの側鎖を側鎖(a)としたものが好ましい。このような水素結合性架橋部位を形成する化合物(含窒素複素環を導入し得る化合物)は、上記含窒素複素環そのものであってもよく、無水マレイン酸等の環状酸無水物基と反応する置換基(例えば、水酸基、チオール基、アミノ基等)を有する含窒素複素環であってもよい。
〈側鎖(b):共有結合性架橋部位を含有する側鎖〉
本明細書において「共有結合性架橋部位を含有する側鎖(b)」は、主鎖を形成するポリマー同士(より好ましくはエラストマー同士)を共有結合により架橋する部位(共有結合性架橋部位:例えば、後述する「共有結合を生成する化合物」等と特定の官能基等とを反応させることで形成される、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合等の化学的に安定な結合(共有結合)等によりポリマー同士を架橋する部位)を含有している側鎖であることを意味する。なお、側鎖(b)は共有結合性架橋部位を含有する側鎖であるが、共有結合性部位を有しつつ、更に、水素結合が可能な基を有して、側鎖間において水素結合による架橋を形成するような場合には、後述の側鎖(c)として利用されることとなる(なお、前記ポリマー同士(より好ましくはエラストマー同士)の側鎖間に水素結合を形成することが可能な、水素のドナーと、水素のアクセプターの双方が含まれていない場合、例えば、系中に単にエステル基(−COO−)が含まれている側鎖のみが存在するような場合には、エステル基(−COO−)同士では特に水素結合は形成されないため、かかる基は水素結合性架橋部位としては機能しない。他方、例えば、カルボキシ基やトリアゾール環のような、水素結合の水素のドナーとなる部位と、水素のアクセプターとなる部位の双方を有する構造をエラストマー同士の側鎖にそれぞれ含む場合には、前記ポリマー同士(より好ましくはエラストマー同士)の側鎖間で水素結合が形成されるため、水素結合性架橋部位が含有されることとなる。また、例えば、前記ポリマー同士(より好ましくはエラストマー同士)の側鎖間に、エステル基と水酸基とが共存して、それらの基により側鎖間で水素結合が形成される場合、その水素結合を形成する部位が水素結合性架橋部位となる。そのため、側鎖(b)が有する構造自体や、側鎖(b)が有する構造と他の側鎖が有する置換基の種類等に応じて、側鎖(c)として利用される場合がある。)。また、ここにいう「共有結合性架橋部位」は、共有結合によりポリマー同士(より好ましくはエラストマー同士)を架橋する部位である。
このような共有結合性架橋部位を含有する側鎖(b)は特に制限されないが、例えば、官能基を側鎖に有するポリマー(前記主鎖部分を形成させるためのポリマー:より好ましくは官能基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)と、前記官能基と反応して共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)とを反応させることで、形成される共有結合性架橋部位を含有するものであることが好ましい。このような側鎖(b)の前記共有結合性架橋部位における架橋は、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により形成されてなることが好ましい。そのため、前記主鎖部分を形成させるためのポリマー(以下、場合により「主鎖を構成するポリマー」と称する)が有する前記官能基としては、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合を生起しうる官能基であることが好ましい。
このような「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」としては、例えば、1分子中にアミノ基および/またはイミノ基を2個以上(アミノ基およびイミノ基をともに有する場合はこれらの基を合計して2個以上)有するポリアミン化合物;1分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物;1分子中にイソシアネート(NCO)基を2個以上有するポリイソシアネート化合物;1分子中にチオール基(メルカプト基)を2個以上有するポリチオール化合物;等が挙げられる。ここにおいて「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」は、かかる化合物が有する置換基の種類や、かかる化合物を利用して反応せしめた場合に反応の進行の程度、等によっては、前記水素結合性架橋部位及び前記共有結合性架橋部位の双方を導入し得る化合物となる(例えば、水酸基を3個以上有する化合物を利用して、共有結合による架橋部位を形成する場合において、反応の進行の程度によっては、官能基を側鎖に有するポリマー(より好ましくは官能基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)の該官能基に2個の水酸基が反応して、残りの1個の水酸基が水酸基として残るような場合も生じ、その場合には、水素結合性の架橋を形成する部位も併せて導入され得ることとなる。)。そのため、ここに例示する「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」には、「水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物」も含まれ得る。このような観点から、側鎖(b)を形成する場合には、「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」の中から目的の設計に応じて化合物を適宜選択したり、反応の進行の程度を適宜制御する等して、側鎖(b)を形成すればよい。なお、共有結合性架橋部位を形成する化合物が複素環を有している場合には、より効率よく水素結合性架橋部位も同時に製造することが可能になり、後述の側鎖(c)として、前記共有結合性架橋部位を有する側鎖を効率よく形成することが可能となる。そのため、かかる複素環を有しているような化合物の具体例については、側鎖(c)を製造するための好適な化合物として、特に側鎖(c)と併せて説明する。なお、側鎖(c)は、その構造から、側鎖(a)や側鎖(b)等の側鎖の好適な一形態であるとも言える。
このような「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」として利用可能な前記ポリアミン化合物、前記ポリオール化合物、前記ポリイソシアネート化合物、前記ポリチオール化合物としては、公知のもの(例えば特許第5918878号公報の段落[0094]〜[0106]に記載のもの等)を適宜利用することができる。
また、このような「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」としては、ポリエチレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリプロピレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリエチレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリプロピレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリエチレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)、ポリプロピレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)であることが好ましい。
このような「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」と反応する、前記主鎖を構成するポリマーが有する官能基としては、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合を生起(生成:形成)し得る官能基が好ましく、かかる官能基としては、環状酸無水物基、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、チオール基等が好適に例示される。
〈側鎖(c):水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を含む側鎖〉
このような側鎖(c)は、1つの側鎖中に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を含む側鎖である。このような側鎖(c)に含まれる水素結合性架橋部位は、側鎖(a’)において説明した水素結合性架橋部位と同様のものであり、側鎖(a)中の水素結合性架橋部位と同様のものが好ましい。また、側鎖(c)に含まれる共有結合性架橋部位としては、側鎖(b)中の共有結合性架橋部位と同様のものを利用できる(その好適な架橋も同様のものを利用できる。)。
このような側鎖(c)は、官能基を側鎖に有するポリマー(前記主鎖部分を形成させるためのポリマー(ここで、かかる官能基を側鎖に有するポリマーとしては官能基を側鎖に有するエラストマー性ポリマーがより好ましい))と、前記官能基と反応して水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物(水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を導入する化合物)とを反応させることで、形成される側鎖であることが好ましい。
このような水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物(水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を導入する化合物)としては、複素環(特に好ましくは含窒素複素環)を有しかつ共有結合性架橋部位を形成することが可能な化合物(共有結合を生成する化合物)が好ましく、中でも、複素環含有ポリオール、複素環含有ポリアミン、複素環含有ポリチオール等がより好ましい。なお、このような複素環を含有する、ポリオール、ポリアミンおよびポリチオールは、複素環(特に好ましくは含窒素複素環)を有するものである以外は、前述の「共有結合性架橋部位を形成することが可能な化合物(共有結合を生成する化合物)」において説明した前記ポリオール化合物、前記ポリアミン化合物および前記ポリチオール化合物と同様のものを適宜利用することができる。また、複素環を含有する、ポリオール、ポリアミンおよびポリチオールとしては公知のもの(例えば、特許5918878号公報の段落[0113]に記載のもの)を適宜利用できる。なお、「水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物(水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を導入する化合物)」と反応する、前記主鎖を構成するポリマーが有する官能基としては、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合を生起(生成:形成)し得る官能基が好ましく、かかる官能基としては、環状酸無水物基、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、チオール基等が好適に例示される。
(側鎖(b)〜(c)中の共有結合性架橋部位として好適な構造について)
側鎖(b)及び/又は(c)に関して、共有結合性架橋部位における架橋が、第三級アミノ結合(−N=)、エステル結合(−COO−)を含有している場合であって、これらの結合部位が水素結合性架橋部位としても機能する場合、他の水素結合架橋部位と水素結合して架橋がより強固となるといった観点から好ましい。このように、共有結合性架橋部位を有する側鎖中の第三級アミノ結合(−N=)やエステル結合(−COO−)が、他の側鎖との間において、水素結合を形成するような場合、かかる第三級アミノ結合(−N=)、エステル結合(−COO−)を含有している共有結合性架橋部位は、水素結合性架橋部位も備えることとなり、側鎖(c)として機能し得る。
前記主鎖を構成するポリマーが有する官能基と反応して前記第三級アミノ結合及び/又は前記エステル結合を含有している共有結合性架橋部位を形成させることが可能な化合物(水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成することが可能な化合物)としては、ポリエチレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリプロピレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリエチレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリプロピレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリエチレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)、ポリプロピレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)を好適なものとして挙げることができる。
前記側鎖(b)及び/又は側鎖(c)の上記共有結合性架橋部位における架橋としては、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ含有しているものが好ましく、式中のGが第三級アミノ結合、エステル結合を含有しているものがより好ましい(なお、以下の構造において、水素結合性架橋部位を含む場合、その構造を有する側鎖は、側鎖(c)として利用されるものである。)。
上記一般式(1)〜(3)中、E、J、KおよびLはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR’(R’は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、Gは酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜20の炭化水素基である。
このような置換基Gとしては、下記一般式(111)〜(114)で表される基が好ましく、耐熱性が高く、水素結合により、高強度になるという観点から、下記一般式(111)で表される基及び下記一般式(112)で表される基であることがより好ましい。
また、前記側鎖(b)及び(c)において、上記共有結合性架橋部位における架橋は、環状酸無水物基と、水酸基あるいはアミノ基及び/又はイミノ基との反応により形成されることが好ましい。例えば、反応後に主鎖部分を形成するポリマーが官能基として環状酸無水物基(例えば無水マレイン酸基)を有している場合に、該ポリマーの環状酸無水物基と、水酸基あるいはアミノ基および/またはイミノ基を有する前記共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)とを反応させて、共有結合により架橋する部位を形成してポリマー間を架橋させることで、形成される架橋としてもよい。
また、このような側鎖(b)及び(c)において、前記共有結合性架橋部位における架橋は、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により形成されてなることがより好ましい。
以上、側鎖(a’)、側鎖(a)、側鎖(b)、側鎖(c)について説明したが、このようなポリマー中の側鎖の各基(構造)等は、NMR、IRスペクトル等の通常用いられる分析手段により確認することができる。
また、前記ポリマー(A)(より好ましくはエラストマー性ポリマー(A))は、前記側鎖(a)を有するガラス転移点が25℃以下のポリマー(より好ましくはエラストマー性ポリマー)であり、前記ポリマー(B)(より好ましくは前記エラストマー性ポリマー(B))は、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位を含有しているガラス転移点が25℃以下のポリマー(側鎖として、側鎖(a’)及び側鎖(b)の双方を有するポリマーや、側鎖に側鎖(c)を少なくとも一つ含むポリマー等)である。このようなポリマー成分としては、前記ポリマー(A)〜(B)のうちの1種を単独で利用してもよく、あるいは、それらのうちの2種以上を混合して利用してもよい。
なお、前記ポリマー(B)(より好ましくはエラストマー性ポリマー(B))は、側鎖(a’)及び側鎖(b)の双方を有するポリマーであっても、側鎖(c)を有するポリマーであってもよいが、このようなポリマー(B)(より好ましくはエラストマー性ポリマー(B))の側鎖に含有される水素結合性架橋部位としては、より強固な水素結合が形成されるといった観点から、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位(より好ましくはカルボニル含有基および含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位)であることが好ましい。また、前記ポリマー(B)(より好ましくは前記エラストマー性ポリマー(B))の側鎖に含有される前記共有結合性架橋部位における架橋は、その架橋部位を含む側鎖間において水素結合等の分子間相互作用を引き起こさせることも可能となるといった観点から、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により形成されてなることが好ましい。
このようなポリマー(A)〜(B)を製造する方法としては特に制限されず、例えば、前記ポリマー(A)〜(B)として好適なエラストマー性ポリマー(A)〜(B)を製造する場合には、特許5918878号公報に記載の方法(段落[0139]〜[0140]に記載の方法等)等の公知の方法を適宜採用することができる。また、このようなポリマー(A)〜(B)(より好ましくはエラストマー性ポリマー(A)〜(B))を製造する方法としては、例えば、官能基(例えば環状酸無水物基等)を側鎖に有するポリマー(より好ましくは官能基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)を用いて、該ポリマーを、前記官能基と反応して水素結合性架橋部位を形成する化合物、並びに、前記官能基と反応して水素結合性架橋部位を形成する化合物及び前記官能基と反応して共有結合性架橋部位を形成する化合物の混合原料のうちの少なくとも1種の原料化合物と反応させて、前記側鎖(a)を有するポリマー(好ましくは前記側鎖(a)を有するエラストマー性ポリマー);側鎖(a’)及び側鎖(b)を有するポリマー(好ましくは、前記側鎖(a’)及び側鎖(b)を有するエラストマー性ポリマー);及び/又は前記側鎖(c)を有するポリマー(好ましくは前記側鎖(c)を有するエラストマー性ポリマー)を製造する方法を採用してもよい。なお、このような反応の際に採用する条件(温度条件や雰囲気条件等)は特に制限されず、官能基や該官能基と反応させる化合物(水素結合性架橋部位を形成する化合物及び/又は共有結合性架橋部位を形成する化合物)の種類に応じて適宜設定すればよい。なお、前記ポリマー(A)の場合(より好ましくはエラストマー性ポリマー(A)の場合)は、水素結合部位を持つモノマーを重合して製造してもよい。
このような官能基(例えば環状酸無水物基)を側鎖に有するポリマー(より好ましくは官能基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)としては、前述のポリマー(A)〜(B)の主鎖を形成することが可能なポリマーであって、官能基を側鎖に有するものが好ましい。ここで、「官能基を側鎖に含有するポリマー」とは、主鎖を形成する原子に官能基(上述の官能基等、例えば、環状酸無水物基等)が化学的に安定な結合(共有結合)をしているポリマー(より好ましくはエラストマー性ポリマー)をいい、ポリマー(例えば公知の天然高分子または合成高分子)と官能基を導入し得る化合物とを反応させることにより得られるものを好適に利用できる。
また、このような官能基としては、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合を生起し得る官能基であることが好ましく、中でも、環状酸無水物基、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、チオール基等が好ましく、組成物中にクレイをより効率よく分散させることが可能であるといった観点からは、環状酸無水物基が特に好ましい。このように、官能基を側鎖に有するポリマーとしては、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(より好ましくは環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)が好ましい。また、このような環状酸無水物基としては、無水コハク酸基、無水マレイン酸基、無水グルタル酸基、無水フタル酸基が好ましく、中でも、容易にポリマー側鎖に導入可能で、工業上入手が容易である観点からは、無水マレイン酸基がより好ましい。また、前記官能基が環状酸無水物基である場合には、例えば、前記官能基を導入しうる化合物として、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸およびこれらの誘導体等の環状酸無水物を用いて、ポリマー(例えば公知の天然高分子または合成高分子、より好ましくはエラストマー性ポリマー)に官能基を導入してもよい。
このようなポリマー(A)及び(B)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分(より好ましくは前記エラストマー性ポリマー(A)及び(B)からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分)としては、反応性が高く、工業的に入手しやすいという観点から、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(より好ましくは環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー、更に好ましくは無水マレイン酸変性エラストマー性ポリマー)と;水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含窒素化合物、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含酸素化合物、及び、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、便宜上、場合により単に「化合物(Z)」と称する。)と;の反応物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
このような水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含窒素化合物、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含酸素化合物、及び、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(Z)としては、特に制限されないが、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいピリジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいチアジアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイミダゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイソシアヌレート、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいヒダントイン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトール(pentaerythritol)、スルファミド、並びに、ポリエーテルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(X)が好適なものとして挙げられる。
また、前記化合物(Z)としては、水素結合が強くなって、より延伸性が改善するという観点から、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよく、かつ、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む複素環化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このような複素環化合物としては、特に制限されないが、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいピリジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいチアジアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイミダゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイソシアヌレート、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいヒダントイン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが好適なものとして挙げられる。このような複素環化合物は、1種を単独で利用してもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて利用してもよい。
また、このようなポリマー(A)及び(B)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分(より好ましくは前記エラストマー性ポリマー(A)及び(B)からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分)としては、工業的に入手しやすく、しかも樹脂改質剤を安全に簡便に合成することが可能であるといった観点から、
環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(より好ましくは環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー、更に好ましくは無水マレイン酸変性エラストマー性ポリマー)と;前記化合物(X)と;の反応物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このように、ポリマー(A)及び(B)(より好ましくはエラストマー性ポリマー(A)及び(B))としては、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(更に好ましくは環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー、特に好ましくは無水マレイン酸変性エラストマー性ポリマー)と、前記化合物(Z)との反応物が好ましく、中でも、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(更に好ましくは環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー、特に好ましくは無水マレイン酸変性エラストマー性ポリマー)と、前記化合物(X)との反応物がより好ましい。
また、このような化合物(X)としては、共有結合性の架橋部位の生成と同時に水素結合性の架橋部位の生成も可能であるといった観点、すなわち、ポリマー(B)(より好ましくはエラストマー性ポリマー(B))をより効率よく生成することが可能であるといった観点から、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいピリジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいチアジアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイミダゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイソシアヌレート、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいヒダントイン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトール(pentaerythritol)、スルファミド、並びに、ポリエーテルポリオールがより好ましい。
前記ポリマー成分(より好ましくはエラストマー成分)として、ポリマー(A)及び(B)の双方を含有する場合には、ポリマー(A)とポリマー(B)の含有比率は質量比([ポリマー(A)]:[ポリマー(B)])で1:9〜9:1とすることが好ましく、2:8〜8:2とすることがより好ましい。また、前記ポリマー成分に由来して、樹脂改質剤中に側鎖(a’)と側鎖(b)の双方が存在する場合には、その側鎖(a’)の全量と側鎖(b)の全量とが、質量比を基準として、1:9〜9:1となっていることが好ましく、2:8〜8:2となっていることがより好ましい。なお、このような側鎖(a’)は、側鎖(a)を含む概念である。そのため、側鎖(a’)として側鎖(a)のみが含まれるような場合においても、上記質量比で、組成物中に側鎖(a)と側鎖(b)の双方が存在することが好ましい。
本発明にかかる樹脂改質剤が、前記ポリマー成分(より好ましくはエラストマー成分)を含有するものである場合、このような樹脂改質剤中の前記ポリマー成分(より好ましくはエラストマー成分)の含有量は1〜99質量%であることが好ましく、10〜99質量%であることがより好ましく、20〜99質量%であることが更に好ましい。このような樹脂改質剤中のポリマー成分(より好ましくはエラストマー成分)の含有量が前記下限未満では柔軟性を付与する能力が低くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると混合が困難となる傾向にある。
なお、本発明においては、前記樹脂改質剤が前記ポリマー成分として、前記エラストマー成分を含む形態のものである場合、そのエラストマー成分が柔軟性に富むことから、前記樹脂成分に対して柔軟性を付与することが可能となり、これにより、前記樹脂成分と前記樹脂改質剤とを混合して樹脂組成物を製造した場合に、樹脂組成物に対して、破断ひずみを基準として、より高度な延伸性を付与することが可能となり、更に、その成分によっては、より優れた耐衝撃性を付与することも可能となるものと本発明者らは推察する。
また、このような樹脂改質剤としては、樹脂改質剤中においてポリマー成分(より好ましくは前記エラストマー成分)をより高度に分散させることが可能となるといった観点から、化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂を更に含有するものが好ましい。ここにいう「α−オレフィン系樹脂」とは、α−オレフィンの単独重合体、α−オレフィンの共重合体をいい、「α−オレフィン」とは、α位に炭素−炭素二重結合を有するアルケンをいい、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が挙げられる。このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂としては、例えば、特開2017−57322号公報の段落[0204]〜[0214]に記載のものを好適に利用できる。
また、このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂としては、前記ポリマー成分(より好ましくは前記エラストマー成分)に対する相溶性の観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体が好ましい。また、このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂としては、中でも、結晶化度が10%以上となるα−オレフィン系樹脂(ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリエチレン、ポリブテン等)を好適に利用できる。このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂の製造するための方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このようなα−オレフィン系樹脂としては、市販品を用いてもよい。なお、このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂は1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂を樹脂改質剤に含有させる場合、そのα−オレフィン系樹脂の含有量は、前記樹脂改質剤中の前記ポリマー成分(より好ましくはエラストマー成分)100質量部に対して、500質量部以下(より好ましくは5〜250質量部、更に好ましくは10〜400質量部、特に好ましくは25〜300質量部、最も好ましくは35〜200質量部)とすることがより好ましい。このようなα−オレフィン系樹脂の含有量が前記下限未満では相溶性が低くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると硬度が高くなりすぎて、樹脂改質剤により十分に高度な柔軟性を付与することが困難となる傾向にある。
さらに、このような樹脂改質剤としては、樹脂改質剤の流動性を向上させることが可能となり、使用時の作業性がより高いものとなるばかりか、より効率よく樹脂改質剤の硬度を調整できるといった観点から、パラフィンオイルを含有することがより好ましい。このようなパラフィンオイルとしては特に制限されず、公知のパラフィンオイルを適宜利用することができ、例えば、特開2017−57323号公報の段落[0153]〜段落[0157]に記載のものを好適に利用できる。なお、このようなパラフィンオイルとしては、そのオイルに対して、ASTM D3238−85に準拠した相関環分析(n−d−M環分析)を行って、パラフィン炭素数の全炭素数に対する百分率(パラフィン部:CP)、ナフテン炭素数の全炭素数に対する百分率(ナフテン部:CN)、及び、芳香族炭素数の全炭素数に対する百分率(芳香族部:CA)をそれぞれ求めた場合において、パラフィン炭素数の全炭素数に対する百分率(CP)が60%以上であることが好ましい。また、前記パラフィンオイルは、流動性、安全性の観点から、JIS K 2283(2000年発行)に準拠して測定される、40℃における動粘度が10mm/s〜700mm/sのものであることが好ましく、20〜600mm/sであることがより好ましく、30〜500mm/sであることが更に好ましい。さらに、前記パラフィンオイルは、流動性、安全性の観点から、JIS K2256(2013年発行)に準拠したU字管法により測定されるアニリン点が80℃〜145℃であることが好ましく、100〜145℃であることがより好ましく、105〜145℃であることが更に好ましい。なお、これらの動粘度及びアニリン点の測定方法はそれぞれ特開2017−57323号公報の段落[0153]〜段落[0157]に記載されている方法を採用できる。このようなパラフィンオイルとしては、適宜市販のものを利用することができる。
このようなパラフィンオイルを樹脂改質剤に含有させる場合、パラフィンオイルの含有量としては、前記樹脂改質剤中の前記ポリマー成分(より好ましくはエラストマー成分)100質量部に対して10〜1000質量部であることが好ましく、30〜900質量部であることがより好ましく、50〜800質量部であることが更に好ましく、75〜700質量部であることが特に好ましい。このようなパラフィンオイルの含有量が前記下限未満では、パラフィンオイルの含有量が少なすぎて、特に流動性及び作業性の点で十分な効果が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、パラフィンオイルのブリードが誘発され易くなり、均一な状態の樹脂改質剤として利用することが困難となる傾向にある。
また、前記樹脂改質剤としては、オイル利用時のブリード防止といった観点から、化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体を含有するものが好ましい。そのため、前記樹脂改質剤としては、前記パラフィンオイルと前記化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体を組み合わせて含有させることが好ましい。このように、前記パラフィンオイルと前記化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体を組み合わせて含有させた場合、スチレンブロック共重合体にオイルを吸収させることが可能となり、オイルのブリード等をより十分に抑制しながら、樹脂改質剤の流動性をより効率よく向上させることが可能となるとともに、硬度をより効率よく調整することが可能となる。このような化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体としては、特開2017−57393号公報の段落[0156]〜段落[0163]に記載のものを好適に利用できる。なお、「スチレンブロック共重合体」とは、いずれかの部位にスチレンブロック構造を有するポリマーであればよい。
このような化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体としては、機械的強度、オイル吸収性の観点から、スチレン含有量が10〜50質量%(より好ましくは20〜40質量%)のスチレンブロック共重合体であることが好ましい。また、このようなスチレンブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布の分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、機械的強度、オイル吸収性の観点から、Mwは20万以上70万以下であることが好ましく、30万以上60万以下であることがより好ましく、35万以上55万以下であることが更に好ましく、他方、Mnは、10万以上60万以下であることが好ましく、15万以上55万以下であることがより好ましく、20万以上50万以下であることが更に好ましく、更に、Mw/Mnは、5以下であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。このようなスチレンブロック共重合体のガラス転移点は、エラストマー性の観点から、−80〜−30℃であることが好ましく、−70〜−40℃であることがより好ましい。このような各種特性の測定方法(Mw、Mnなど)は、特開2017−57393号公報の段落[0156]〜段落[0163]に記載の方法を採用する。
このような化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体としては、分子量の高さ、工業的な入手性、経済性の観点から、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン‐エチレン‐プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン‐エチレン‐エチレン‐プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、これらの水素添加物(いわゆる水添物)が好ましく、SEBS、SEEPSがより好ましい。このようなスチレンブロック共重合体は1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて利用してもよい。このようなスチレンブロック共重合体としては、適宜市販のものを利用することができる。
また、前記化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体を樹脂改質剤に含有させる場合、スチレンブロック共重合体の含有量としては、前記樹脂改質剤中の前記ポリマー成分(より好ましくは前記エラストマー成分)100質量部に対して1〜1000質量部であることが好ましく、5〜800質量部であることがより好ましい。このような含有比率が前記下限未満ではオイルを添加した場合にオイルがブリードし易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると成形性が低下する傾向にある。
また、前記樹脂改質剤は、必要に応じて、各種の添加剤を含むものであってもよい。このような添加剤としては、樹脂の改質剤に利用することが可能なものであればよく、特に制限されず、公知の添加剤を適宜利用することができる。また、このような添加剤としては、前記樹脂改質剤中の前記ポリマー成分(より好ましくは前記エラストマー成分)の酸化防止などの観点から、熱可塑性のエラストマー組成物に対して利用することが可能な公知の添加剤等であってもよい。
このような添加剤としては、例えば、前記ポリマー成分(A)〜(B)以外のポリマー、架橋剤、補強剤(充填剤)、水素結合性の補強剤(充填剤)、アミノ基を導入してなる充填剤(以下、単に「アミノ基導入充填剤」という。)、該アミノ基導入充填剤以外のアミノ基含有化合物、金属元素を含む化合物、無水マレイン酸変性ポリマー、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤(軟化剤)、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、前記パラフィンオイル(パラフィン系オイル)以外の各種オイル(例えば、アロマ系オイル(芳香族系オイル)、ナフテン系オイル等)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、フィラー、滑材、加工助剤(加硫する場合のステアリン酸や酸化亜鉛等の加硫促進助剤)等の各種成分が挙げられる。
また、このような添加剤として利用可能な前記補強剤(充填剤)としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、クレイ(有機化クレイであってもよい)、炭酸カルシウム(表面処理されたものであってもよい)等が好適なものとして挙げられる。なお、このようなクレイとしては有機化クレイであることが好ましい。このようなクレイとしては、公知のクレイ(例えば、特許第5918878号公報の段落[0146]〜段落[0156]に記載のもの、特開2017−057393号公報の段落[0146]〜[0155]に記載のもの等)を適宜利用することができる。また、前記老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、脂肪族および芳香族のヒンダードアミン系等の化合物を適宜利用することができる。さらに、前記酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等を適宜利用することができる。また、このような添加剤等は、特に制限されず、一般に用いられるもの(公知のもの:例えば、特許5918878号公報の段落[0169]〜[0174]に記載のもの、特開2006−131663号公報に例示されているようなもの等)を適宜使用することができる。なお、前記添加剤がクレイ、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)又は可塑剤である場合、それらの成分の含有量は、それぞれ(各成分ごとに)、前記ポリマー成分(好ましくはエラストマー成分)100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、0.01〜10質量部であることがより好ましい。このように、目的とする用途や設計に応じて、添加剤等の他の成分を適宜利用することができる。また、このような添加剤は、用途に応じて1種を単独で利用してもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて利用してもよい。
なお、前記樹脂改質剤がポリマー成分として前記エラストマー成分を含有する場合、前記樹脂改質剤中の前記エラストマー成分の調製方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、特許第5918878号公報、特開2016−193970号公報、特開2017−057323号公報、国際公開第2017/047274号公報等に記載されているエラストマー成分を製造する方法を採用してもよい。また、このようなエラストマー成分を含有する樹脂改質剤としては、例えば、特許5918878号公報、特開2016−193970号公報、特開2017−057322号公報、特開2017−57323号公報、特開2017−057393号公報、国際公開第2017/047274号公報等に記載されている熱可塑性エラストマー組成物をそのまま樹脂改質剤として利用してもよい。
また、前記樹脂改質剤の製造方法としては、特に制限されるものではないが、
環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(より好ましくは環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)と;
前記環状酸無水物基と反応して水素結合性架橋部位を形成する化合物(i)、並びに、前記化合物(i)及び前記環状酸無水物基と反応して共有結合性架橋部位を形成する化合物(ii)の混合原料のうちの少なくとも1種の原料化合物と;
必要に応じて他の成分(前記化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体、パラフィンオイル、前記化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂及び前記添加剤等)と;
を混合することにより、
環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(より好ましくは前記環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)と前記原料化合物とを反応せしめて、前記ポリマー(A)、並びに、前記ポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分(好ましくは前記エラストマー性ポリマー(A)、並びに、前記エラストマー性ポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分)を形成して、前記ポリマー成分を含有する樹脂改質剤を得る方法を採用することが好ましい。
ここで、「環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー」とは、ポリマーの主鎖を形成する原子に環状酸無水物基が化学的に安定な結合(共有結合)をしているポリマーをいう。このような環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーとしては、例えば、環状酸無水物基を側鎖に有するポリオレフィンポリマー(例えば、環状酸無水物基を側鎖に有する高密度ポリエチレン(HDPE)、環状酸無水物基を側鎖に有するポリプロピレン(PP)、環状酸無水物基を側鎖に有するエチレンプロピレンコポリマー、環状酸無水物基を側鎖に有するエチレンブチレンコポリマー、環状酸無水物基を側鎖に有するエチレンオクテンコポリマー、環状酸無水物基を側鎖に有するポリオレフィン系エラストマー性ポリマー等が挙げられる)、エチレン−メチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、環状酸無水物基を側鎖に有するジエン系ゴム、環状酸無水物基を側鎖に有するジエン系ゴムの水素添加物、環状酸無水物基を側鎖に有するオレフィン系ゴム、環状酸無水物基を側鎖に有する水添されていてもよいポリスチレン系ポリマー、環状酸無水物基を側鎖に有するポリ塩化ビニル系ポリマー、環状酸無水物基を側鎖に有するポリウレタン系ポリマー、環状酸無水物基を側鎖に有するポリエステル系ポリマー、環状酸無水物基を側鎖に有するポリアミド系ポリマー等が挙げられる。
また、そのような環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーとして好適なものである「環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー」とは、エラストマー性を有するポリマーの主鎖を形成する原子に環状酸無水物基が化学的に安定な結合(共有結合)をしているエラストマー性ポリマーのことをいい、例えば、前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B)の主鎖部分を形成することが可能なポリマーと、環状酸無水物基を導入し得る化合物とを反応させることにより得られるものを好適に利用することができる。このような環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマーとしては、公知のもの(例えば、特許第5918878号公報の段落[0183]〜段落[0193]に記載のもの)を適宜利用することができる。また、このような環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマーとしては、高分子量で高強度であるといった観点から、無水マレイン酸変性エラストマー性ポリマーがより好ましく、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム、無水マレイン酸変性エチレン−ブテンゴム、無水マレイン酸変性エチレン−オクテンゴム、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン−アクリレート樹脂が更に好ましい。なお、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーとしては、前記環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー以外に、例えば、環状酸無水物基を側鎖に有するオレフィンポリマー(環状酸無水物基を側鎖に有する高密度ポリエチレン(HDPE)、環状酸無水物基を側鎖に有するポリプロピレン(PP)、環状酸無水物基を側鎖に有するエチレンプロピレンコポリマー、環状酸無水物基を側鎖に有するエチレンブチレンコポリマー、環状酸無水物基を側鎖に有するエチレンオクテンコポリマー、環状酸無水物基を側鎖に有するポリオレフィン系エラストマー性ポリマー等が挙げられる)、エチレン−メチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、前記環状酸無水物基と反応して水素結合性架橋部位を形成する化合物(i)としては、前述の「水素結合性架橋部位を形成する化合物(含窒素複素環を導入し得る化合物)」と同様のものを好適に利用することができる。例えば、上述の含窒素複素環そのものであってもよく、あるいは、前記含窒素複素環に無水マレイン酸等の環状酸無水物基と反応する置換基(例えば、水酸基、チオール基、アミノ基等)が結合した化合物(前記置換基を有する含窒素複素環)であってもよい。なお、このような化合物(i)としては、水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物(水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を同時に導入することが可能な化合物)を利用してもよい(なお、水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を有する側鎖は、水素結合性架橋部位を有する側鎖の好適な一形態といえる。)。
また、前記環状酸無水物基と反応して共有結合性架橋部位を形成する化合物(ii)としては、前述の「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」と同様のものを好適に利用することができる(その化合物として好適なものも同様である。)。また、このような化合物(ii)としては、水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物(水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を同時に導入することが可能な化合物)を利用してもよい(なお、水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を有する側鎖は、共有結合性架橋部位を有する側鎖の好適な一形態といえる。)。このような水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物としては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジンが特に好ましい。
なお、このような原料化合物(化合物(i)及び化合物(ii))としては、例えば、特許5918878号公報の段落[0203]〜[0207]に記載のものを適宜利用できる。また、前記原料化合物(化合物(i)及び/又は化合物(ii))としては、前述の化合物(Z)が好ましく、前述の化合物(X)がより好ましい。さらに、化合物(i)及び化合物(ii)の添加量(これらの総量:一方の化合物のみを利用する場合には、その一方の化合物の量となる。)や添加方法は、特に制限されず、目的とする設計に応じて適宜設定できる(例えば、特許5918878号公報の段落[0208]〜[0210]を参照して適宜設計変更してもよい)。
また、このような原料化合物(化合物(i)及び/又は化合物(ii))としては、耐圧縮永久歪性の観点からは、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、スルファミド、ペンタエリスリトール、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、ポリエーテルポリオールが好ましく、ペンタエリスリトール、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが更に好ましい。
また、前記環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(より好ましくは前記環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)と前記原料化合物(化合物(i)及び/又は化合物(ii)、より好ましくは前記化合物(Z)、更に好ましくは前記化合物(X))とを反応させる際には、前記原料化合物の使用量を、前記環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(好ましくは前記環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましく、0.3〜7質量部とすることがより好ましく、0.5〜5.0質量部とすることが更に好ましい。このような原料化合物の添加量(質量部に基づく量)が前記下限未満では、原料化合物が少なすぎて架橋密度が上がらず所望の物性が発現しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると多すぎてブランチが多くなり架橋密度が下がってしまう傾向にある。
前記環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(より好ましくは前記環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)と前記原料化合物(化合物(i)及び/又は化合物(ii))とを反応させると、前記ポリマーが有する環状酸無水物基が開環されて、環状酸無水物基と前記原料化合物(前記化合物(i)及び/又は化合物(ii))とが化学結合されるため、これにより、ポリマー(A)(より好ましくは前記エラストマー性ポリマー(A))、並びに、ポリマー(B)(より好ましくは前記エラストマー性ポリマー(B))からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分を形成することができる。このようなポリマーと前記原料化合物(前記化合物(i)及び/又は化合物(ii))とを反応(環状酸無水物基を開環)させる際の温度条件は特に制限されず、前記化合物と環状酸無水物基との種類に応じて、これらが反応可能な温度に調整すればよく、例えば、軟化させて反応を瞬時に進める観点からは、100〜250℃とすることが好ましく、120〜230℃とすることがより好ましい。
また、このような混合の方法は特に制限されず、公知の方法等を適宜採用することができ、例えば、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等により混合する方法を採用することができる。また、必要に応じて、他の成分(前記化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体、パラフィンオイル、前記化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂や、前記添加剤等)を混合する場合には、前記他の成分を十分に均一に混合させるといった観点から、例えば、前記環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(より好ましくは前記環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)と前記他の成分とを含む混合物を予め調製した後に、前記原料化合物(化合物(i)及び/又は化合物(ii))を添加して混合することが好ましい。なお、このような混合の際には、前記環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー(より好ましくは環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)、及び、場合によって添加する他の成分(各種添加剤を含む)のうちのポリマー成分は可塑化することが好ましい。このような可塑化の方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用でき、例えば、これらを可塑化することが可能となるような温度(例えば100〜250℃程度)でロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等を用いて混練する方法等を適宜採用できる。
なお、前記樹脂改質剤においては、ポリマー(A)をポリマー成分として含有する前記樹脂改質剤と、ポリマー(B)をポリマー成分ととして含有する前記樹脂改質剤とをそれぞれ別々に製造した後、これを混合して、ポリマー成分として前記ポリマー(A)及び(B)を含有する前記樹脂改質剤としてもよい。
以上、上記各成分(前記樹脂成分及び前記樹脂改質剤)について説明したが、次に、それらの成分を用いた本発明の樹脂組成物の製造方法において採用する工程等について説明する。
〈工程等について〉
本発明の樹脂組成物の製造方法においては、前記樹脂成分と前記樹脂改質剤とを、前記樹脂成分100質量部に対する前記樹脂改質剤の混合量を0.1〜100質量部とする割合で混合することにより、前記樹脂成分と前記ポリマー成分とを含有する樹脂組成物を得る。
このように、前記樹脂成分と前記樹脂改質剤とを混合する際の前記樹脂改質剤の量(添加量)は、前記樹脂成分100質量部に対して0.1〜100質量部とする必要がある。このような添加量が前記下限未満では十分な効果が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると前記樹脂改質剤の量が多すぎて元の樹脂の性質が損なわれてしまう傾向にある。また、同様の観点からは、前記樹脂成分と前記樹脂改質剤とを混合する際の前記樹脂改質剤の量(添加量)は前記樹脂成分100質量部に対して0.5〜90質量部とすることが好ましく、1〜80質量部とすることがより好ましく、3〜70質量部とすることが更に好ましい。
このように、本発明の樹脂組成物の製造方法においては、前記混合量(添加量)の割合で前記樹脂成分と前記樹脂改質剤とを混合する(混合工程)。このような混合工程に際しては、前記樹脂成分と前記樹脂改質剤とを可塑化して混合することが好ましい。このような可塑化の方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用でき、樹脂成分の種類にもよるが、100〜250℃(より好ましくは120〜230℃)の温度条件下において混合(混練)することがより好ましい。このような温度が前記下限未満では各成分を十分に分散させることが困難(各成分を均一に混合分散することが困難)となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、却って劣化が起こってしまう傾向にある。
また、このような混合工程に際しては、例えば、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー、押出し機、万能撹拌機等の公知の混練機を適宜利用して混合する方法を採用してもよい。
なお、このような混合工程においては、最終的に得られる樹脂組成物の用途等に応じて、前記樹脂成分と前記樹脂改質剤とを混合する際に、他の添加成分を更に添加して混合してもよい。このような他の添加成分としては、樹脂組成物に利用することが可能なものであればよく、特に制限されないが、例えば、タルク、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、色粉、酸化防止剤、老化防止剤等が挙げられる。また、このような他の添加成分としては、成形性を改善するといった観点から、タルク、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウムが好ましく、タルクがより好ましい。また、前記樹脂組成物中の前記他の添加成分の含有量としては、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。このような樹脂組成物中の他の添加成分の含有量(総量)が前記下限未満では少なすぎて効果が発現しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると多すぎて成形性が低下してしまう傾向にある。なお、このような他の添加成分は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて利用できる。
このような混合工程により、前記樹脂成分と前記ポリマー(より好ましくはエラストマー成分)とを含有する樹脂組成物を得ることができる。このようにして得られる樹脂組成物は、破断ひずみを基準としてより高度な延伸性を有するものとなる。なお、このようにして得られる樹脂組成物において、前記ポリマー成分(より好ましくは前記エラストマー成分)の含有量は、特に制限されないが、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましい。このような樹脂組成物中の前記ポリマー成分(より好ましくは前記エラストマー成分)の含有量が前記下限未満では高度な延伸性を付与することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリマー成分の割合が高くなるため樹脂成分に由来する特性の影響が低くなってしまい、ポリマー成分に由来する特性がより強くでてしまうことから、樹脂成分の本来の特性を利用することが困難となってしまう傾向にある。
また、前記樹脂改質剤には、前述のように、使用前の改質剤の硬度や安定性の確保、流動性の確保等といった観点から、前記ポリマー成分(より好ましくは前記エラストマー成分)以外に、他の成分として各種樹脂を含有させることがある。そのような場合、前記樹脂成分と前記樹脂改質剤とを混合すると、得られる組成物中には、前記樹脂改質剤中の成分に由来する樹脂成分も含有されることとなる。なお、本発明においては、そのような場合においても、最終的に得られる樹脂組成物中において、前記ポリマー成分(より好ましくは前記エラストマー成分)を樹脂成分に対して相溶することが可能なものとすることができるため、得られる樹脂組成物を破断ひずみを基準として、より高度な延伸性を有するものとすることができ、また、その成分によっては、更に耐衝撃性をより高度なものとすることも可能となるものと本発明者らは推察する。
このように、本発明の樹脂組成物の製造方法は、前記特定の割合で前記樹脂改質剤を利用し、前記樹脂成分に前記樹脂改質剤を混合するといった簡便な方法で、得られる樹脂組成物の破断ひずみを基準とした延伸性をより高度な水準のものとすることを可能とする方法である。そのため、本発明の樹脂組成物の製造方法は、例えば、日用品、自動車部品、電化製品、工業部品等の用途に利用する樹脂組成物を製造するための方法等として特に有用である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(クレイトン社製の商品名「G1633U」、分子量:40万〜50万、スチレン含有量30質量%:以下、場合により「SEBS」と称する)12gを加圧ニーダーに投入して、180℃の条件で混合しながら、前記加圧ニーダー中に、更にパラフィンオイル(JXTGエネルギー社製の商品名「YU8J」:以下、場合により単に「パラフィンオイル(A)」と称する)40gを滴下し、SEBSとパラフィンオイル(A)とを1分間混合した。次いで、前記加圧ニーダー中に、無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(三井化学社製の商品名「タフマーMH5040」、結晶化度4%:以下、場合により単に「マレイン化EBM」と称する)4g、エチレン−ブテン共重合体(三井化学社製の商品名「タフマーDF7350」:以下において場合により「EBM」と称する)3gおよび老化防止剤(アデカ社製の商品名「AO−50」)0.177gを更に添加し、180℃で2分間混練して可塑化させて混合物を得た。その後、前記加圧ニーダー中の前記混合物(a)にトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(日星産業社製の商品名「タナックP」)0.1048gを添加して180℃で8分間混練し、樹脂改質剤(I)を調製した。表1に樹脂改質剤(I)の組成を示す。なお、表1中の数値はマレイン化EBMを100質量部とした場合の質量部である。また、このような樹脂改質剤(I)の調製は、後述の各実施例等において利用する量の樹脂改質剤(I)を得るために複数回行った。
(合成例2)
SEBS14gを加圧ニーダーに投入して、180℃の条件で混合しながら、前記加圧ニーダー中に、更にパラフィンオイル(A)28gを滴下し、SEBSとパラフィンオイル(A)とを1分間混合した。次いで、前記加圧ニーダー中に、マレイン化EBM7g、EBM5.25gおよび老化防止剤(アデカ社製の商品名「AO−50」)0.1633gを更に添加し、180℃で2分間混練して可塑化させて混合物(b)を得た。その後、前記加圧ニーダー中の前記混合物(b)に有機化クレイ(ホージュン社製の商品名「エスベンWX」)0.007gを添加して180℃で4分間混練した後、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(日星産業社製の商品名「タナックP」)0.1834gを添加して180℃で8分間混練し、樹脂改質剤(II)を調製した。表1に樹脂改質剤(II)の組成を示す。なお、表1中の数値はマレイン化EBMを100質量部とした場合の質量部である。また、このような樹脂改質剤(II)の調製は、後述の各実施例等において利用する量の樹脂改質剤(II)を得るために複数回行った。
(実施例1)
計量装置(重量式計量二軸フィーダー、K−トロン社製、商品名:K−CL−SFS−KT20)を備える二軸押出機(同方向回転二軸押出機、株式会社パーカーコーポレーション製の商品名:HK−25D(41D)、スクリュー径:25mm、L/D:41(Lは押出機長さ、Dはスクリュ径)、ダイスのノズル:直径3mm(2穴))を用いて、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー社製の商品名「PM870A」:以下、場合により単に「PP」と称する)と、合成例1で得られた樹脂改質剤(I)と、タルク(林化成株式会社製の商品名「ミクロンホワイト#5000S」)とを、質量比([PP]:[樹脂改質剤(I)]:[タルク])が80:10:10となる割合で混合(ドライブレンド)した原料混合物(ドライブレンド品:PP100質量部に対して樹脂改質剤(I)の含有量は12.5質量部)5kgを、該二軸押出機のホッパより一括供給(供給量:6kg/h)し、該二軸押出機においてスクリュー回転数を200rpmmとし、温度条件を下記のようにして溶融混練し、該二軸押出機のダイスから出てきたストランドを水冷却することにより、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
〈二軸押出機での混練時の温度条件〉
前記二軸押出機により前記原料混合物を溶融混練する際には、シリンダ及びダイスの温度条件を以下のように設定した。なお、シリンダの加熱温度の設定に際しては、シリンダの出口側の端部から入口側に向かってシリンダ全長の3%程度のダイスとの接続部の出口側領域を除いてシリンダを原料の供給口側(供給部)から出口側(排出部)に向かって、ほぼ同定度の長さの7個の区画(領域)に区切り、シリンダのホッパが接続されている部分の領域(供給部の領域:シリンダの供給口側の領域:シリンダの一方の端部側の領域:ホッパ下の領域)から、シリンダのダイスとの接続部の出口側領域(排出部の領域:シリンダの出口側の領域:シリンダのもう一方の端部側の領域)に向かって、かかる7個の区画をそれぞれ領域C0〜C6と称し、また、該シリンダの前記ダイスとの接続部の前記出口側領域を領域C7と称して、各領域ごとに以下のように加熱温度を設定した。なお上記二軸押出機においては、シリンダの供給口から供給された混合物は領域C0(ホッパ下の領域)に投入された後、シリンダ内で混練されながら、該領域C0から、領域C1、領域C2、領域C3、領域C4、領域C5、領域C6、領域C7(シリンダのダイスへの接続部の出口側領域)の順に通過し、ダイスを介して外部に押し出されることとなる。シリンダ内の各領域(各区画)の設定温度(加熱温度)と、ダイスの設定温度(加熱温度)の条件を以下に示す。
領域C0の設定温度 :加熱温度設定せず(加熱していない)
領域C1の設定温度 :100℃
領域C2〜C7の設定温度:190℃(領域C2〜C7のいずれも190℃とした)
ダイスの設定温度 :190℃。
(実施例2)
樹脂改質剤(I)の代わりに合成例2で得られた樹脂改質剤(II)を使用した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
(比較例1)
前記樹脂改質剤(I)を利用せずに、原料混合物としてPPとタルクとの質量比([PP]:[タルク])が90:10である混合物を5kg用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
(比較例2)
樹脂改質剤(I)の代わりに、EBM(三井化学社製の商品名「タフマーDF7350」)を改質剤として使用した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
[実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物の特性の評価]
(引張試験用の試料の調製工程)
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物をそれぞれ樹脂材料として利用して、以下のようにして、各樹脂組成物の引張試験用の試料をそれぞれ作成した。すなわち、先ず、前記樹脂材料を70℃で8時間以上熱風で乾燥した(予備乾燥工程)。次いで、射出成形機(日本製鋼所株式会社の電動式射出成形機、商品名:J110AD−180H、型締力:110tf、超臨界発泡射出成形用スクリュー使用)と金型を用いて、引張試験用の試料(JIS K 7139(2009年発行)に準拠した試験片(タイプA1)、厚みt:4mm)を形成すべく、前記乾燥後の樹脂材料を成形温度(設定温度):190℃、金型温度(設定温度):20℃、スクリュー回転数:80rpm、射出速度:204mm/s、保圧:20MPa、保圧速度:10mm/s、及び、冷却時間(設定時間):30秒の条件にて射出成形して、試験用の試料(試験片)をそれぞれ製造した。なお、かかる試験片は、各樹脂組成物(実施例1〜2及び比較例1〜2)ごとに、それぞれ30個ずつ作成した。
(破断ひずみの測定)
上述の「引張試験用の試料の調製工程」により得られた引張試験用の試料(JIS K 7139に記載の試験片、タイプA1、厚みt:4mm)をそれぞれ用いて、JIS K 7161−2(2014年発行)に準拠した下記試験条件で引張試験を行い、各樹脂組成物(実施例1〜2及び比較例1〜2)の破断ひずみ[単位:%]を測定した。結果を表2に示す。
〈引張試験の試験条件〉
試験方法:JIS K 7161−2(2014年発行)に準拠
試験片 :JIS K 7139 タイプA1(t:4mm)
測定装置:万能材料試験機 5966型(インストロン社製)。
(衝撃に対する強さの測定)
上述の「引張試験用の試料の調製工程」により得られた引張試験用の試料(射出成形品)をそれぞれ用いて、かかる引張試験用の試料から切削加工により、縦80mm、横10mm、厚み4.0mmの短冊状の試験片を切り出し、各樹脂組成物(実施例1〜2及び比較例1〜2)の衝撃に対する強さの測定用の試料とした。次いで、各測定用の試料を用いて、下記試験条件でJIS K 7110(1999年発行)に準拠したアイゾット衝撃試験を行い、各樹脂組成物(実施例1〜2及び比較例1〜2)の−40℃の時の衝撃に対する強さ[−40℃の時のアイゾット衝撃強さ(単位:kJ/m)]を測定した。結果を表2に示す。
〈アイゾット衝撃試験の試験条件〉
試験方法:JIS K 7110(1999年発行)に準拠
試験片 :縦80mm、横10mm、厚み4.0mmの短冊状の試験片
:ノッチタイプA(ノッチ部の幅8.0mm、r=0.25mm)
試験機 :デジタル衝撃試験機 DG−UB型(株式会社東洋精機製作所製)
測定装置:IT型−衝撃試験機(株式会社東洋精機製作所製)
なお、上記試験機を利用した測定に際しては、試験片を設定温度(−40℃)の低温槽に6時間以上暴露した後、かかる試験片を前記低温槽から取り出して(前記試験環境下に取り出して)10秒以内に試験を行うことで、−40℃の時のアイゾット衝撃強さを測定した。また、アイゾット衝撃強さの値は、試験ごとに新たな試験片を用いて10回の試験を行い、その平均値として求めた。
表2に示す結果からも明らかなように、先ず、樹脂改質剤を10質量%の割合で用いた樹脂組成物の系(実施例1〜2及び比較例2)について検討すると、マレイン化EBMとトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとの反応物からなるエラストマー成分を含む樹脂改質剤を利用した場合(実施例1〜2)に、改質剤として市販のEBMを利用した場合[比較例2)と対比して、得られる樹脂組成物の破断ひずみとアイゾット衝撃強さの双方がより高い値となることが確認された。なお、改質剤を利用しなかった場合(比較例1)と対比すると、改質剤を利用した場合(実施例1〜2及び比較例2)に、得られる樹脂組成物の破断ひずみとアイゾット衝撃強さの双方がより高い値となることも確認された。このような結果から、実施例1〜2で採用する本発明の樹脂組成物の製造方法によれば、より高度な延伸性(破断ひずみを基準とした延伸特性)を有する樹脂組成物を製造することが可能となることが確認され。るとともに、得られる樹脂組成物の耐衝撃性もより高度なものとすることが可能となることが分かった。
(実施例3)
原料混合物中の各成分の質量比([PP]:[樹脂改質剤(I)]:[タルク])を70:20:10に変更した以外(原料混合物として、PPと樹脂改質剤(I)とタルクの質量比が70:20:10の混合物を利用した以外)は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。また、前記原料混合物において、樹脂改質剤(I)の含有量はPP100質量部に対して28.6質量部であった。
(実施例4)
樹脂改質剤(I)の代わりに、合成例2で得られた樹脂改質剤(II)を使用した以外(原料混合物として、PPと樹脂改質剤(II)とタルクの質量比が70:20:10の混合物を利用した以外)は、実施例3と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
(比較例3)
樹脂改質剤(I)の代わりに、EBM(三井化学社製の商品名「タフマーDF7350」)を改質剤として使用した以外(原料混合物として、PPとEBMとタルクの質量比が70:20:10の混合物を利用した以外)は実施例3と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
[実施例3〜4及び比較例3で得られた樹脂組成物の特性の評価]
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物の代わりに実施例3〜4及び比較例3で得られた樹脂組成物をそれぞれ用いた以外は、前述の「引張試験用の試料の調製工程」と同様の工程を採用して、各樹脂組成物(実施例3〜4及び比較例3)の引張試験用の試料(JIS K 7139に記載の試験片、タイプA1、厚みt:4mm)を調製した。
次いで、各樹脂組成物(実施例3〜4及び比較例3)の引張試験用の試料をそれぞれ用いた以外は、実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物の特性の評価のために実施した、前述の「破断ひずみの測定」において採用した方法と同様の方法を採用して、実施例3〜4及び比較例3で得られた樹脂組成物の破断ひずみ(単位:%)を求めた。結果を表3に示す。
また、各樹脂組成物(実施例3〜4及び比較例3)の引張試験用の試料をそれぞれ用いた以外は、実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物の特性の評価のために実施した、前述の「衝撃に対する強さの測定」において採用した方法と同様の方法を採用して、実施例3〜4及び比較例3で得られた樹脂組成物のアイゾット衝撃強さ(単位:kJ/m)を求めた。結果を表3に示す。なお、表3には参照のために比較例1の特性の評価結果を併せて示す。
表3に示す結果からも明らかなように、先ず、樹脂改質剤を20質量%の割合で用いた樹脂組成物の系(実施例3〜4及び比較例3)について検討すると、マレイン化EBMとトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとの反応物からなるエラストマー成分を含む樹脂改質剤を利用した場合(実施例3〜4)に、市販のEBMを樹脂改質剤として利用した場合(比較例3)と対比して、得られる樹脂組成物の破断ひずみとアイゾット衝撃強さの双方がより高い値となることが確認された。なお、改質剤を利用しなかった場合(比較例1)と対比すると、改質剤を利用した場合(実施例3〜4及び比較例3)に、得られる樹脂組成物の破断ひずみとアイゾット衝撃強さの双方がより高い値となることも確認された。このような結果から、実施例3〜4で採用する本発明の樹脂組成物の製造方法によれば、より高度な延伸性(破断ひずみを基準とした延伸特性)を有する樹脂組成物を製造することが可能となることが確認されるとともに、得られる樹脂組成物の耐衝撃性もより高度なものとすることが可能となることが分かった。
(実施例5)
原料混合物中の各成分の質量比([PP]:[樹脂改質剤(I)]:[タルク])を60:30:10に変更した以外(原料混合物として、PPと樹脂改質剤(I)とタルクの質量比が60:30:10の混合物を利用した以外)は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。また、原料混合物中のPP100質量部に対して樹脂改質剤(I)の含有量は50質量部であった
(実施例6)
樹脂改質剤(I)の代わりに、合成例2で得られた樹脂改質剤(II)を使用した以外(原料混合物として、PPと樹脂改質剤(II)とタルクの質量比が60:30:10の混合物を利用した以外)は、実施例5と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
(比較例4)
樹脂改質剤(I)の代わりに、EBM(三井化学社製の商品名「タフマーDF7350」)を改質剤として使用した以外(原料混合物として、PPとEBMとタルクの質量比が60:30:10の混合物を利用した以外)は、実施例5と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
[実施例5〜6及び比較例4で得られた樹脂組成物の特性の評価]
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物の代わりに実施例5〜6及び比較例4で得られた樹脂組成物をそれぞれ用い、かつ、成形時の条件を、成形温度(設定温度):180℃、金型温度(設定温度):10℃、スクリュー回転数:80rpm、射出速度:204mm/s、保圧:15MPa(実施例5)、20MPa(実施例6)、10MPa(比較例4)、保圧速度10mm/s、及び、冷却時間(設定時間):30秒(実施例5〜6)、40秒(比較例4)という条件に変更した以外は、前述の「引張試験用の試料の調製工程」と同様の工程を採用して、各樹脂組成物(実施例5〜6及び比較例4)の引張試験用の試料(JIS K 7139に記載の試験片、タイプA1、厚みt:4mm)をそれぞれ調製した。
次いで、各樹脂組成物(実施例5〜6及び比較例4)の引張試験用の試料をそれぞれ用いた以外は、実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物の特性の評価のために実施した、前述の「破断ひずみの測定」において採用した方法と同様の方法を採用して、実施例5〜6及び比較例4で得られた樹脂組成物の破断ひずみ(単位:%)を求めた。結果を表4に示す。
また、各樹脂組成物(実施例5〜6及び比較例4)の引張試験用の試料をそれぞれ用いた以外は、実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物の特性の評価のために実施した、前述の「衝撃に対する強さの測定」において採用した方法と同様の方法を採用して、実施例5〜6及び比較例4で得られた樹脂組成物のアイゾット衝撃強さ(単位:kJ/m)を求めた。結果を表4に示す。なお、表4には参照のために比較例1の特性の評価結果を併せて示す。
表4に示す結果からも明らかなように、先ず、樹脂改質剤を30質量%の割合で用いた樹脂組成物の系(実施例5〜6及び比較例4)について検討すると、マレイン化EBMとトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとの反応物からなるエラストマー成分を含む樹脂改質剤を利用した場合(実施例5〜6)に、市販のEBMを樹脂改質剤として利用した場合(比較例4)と対比して、得られる樹脂組成物の破断ひずみとアイゾット衝撃強さの双方がより高い値となることが確認された。なお、改質剤を利用しなかった場合(比較例1)と対比すると、改質剤を利用した場合(実施例5〜6及び比較例4)に、得られる樹脂組成物の破断ひずみとアイゾット衝撃強さの双方がより高い値となることも確認された。このような結果から、実施例5〜6で採用する本発明の樹脂組成物の製造方法によれば、より高度な延伸性(破断ひずみを基準とした延伸特性)を有する樹脂組成物を製造することが可能となることが確認されるとともに、得られる樹脂組成物の耐衝撃性もより高度なものとすることが可能となることが分かった。
(実施例7)
タルクを利用せず、かつ、PPの変わりにポリアミド樹脂(ポリアミド12:PA12:宇部興産株式会社製の商品名「UBESTA3012U」:以下、場合により単に「PA12」と称する)を利用して原料混合物がPA12と樹脂改質剤(II)との混合物となるように変更し、更に、該混合物中の各成分の使用量を質量比([PA12]:[樹脂改質剤(II)])が80:20となるようにした以外(原料混合物として、PA12と樹脂改質剤(II)との質量比が80:20の混合物を利用した以外)は、実施例2と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
(実施例8)
原料混合物中の各成分の質量比([PA12]:[樹脂改質剤(II))を70:30に変更した以外(原料混合物として、PA12と樹脂改質剤(II)との質量比が70:30の混合物を利用した以外)は、実施例7と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
(比較例5)
樹脂改質剤(II)を利用せず、原料混合物を利用する代わりにPA12を単独で利用した以外は、実施例7と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
(実施例9)
タルクを利用せず、かつ、PPの変わりにポリアセタール樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製の商品名「テナック4010」:以下、場合により単に「POM」と称する)を利用して原料混合物がPOMと樹脂改質剤(I)との混合物となるように変更し、更に、該混合物中の各成分の使用量を質量比([POM]:[樹脂改質剤(I)])が80:20となるようにした以外(原料混合物として、POMと樹脂改質剤(I)との質量比が80:20の混合物を利用した以外)は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
(実施例10)
樹脂改質剤(I)の代わりに、合成例2で得られた樹脂改質剤(II)を利用した以外(原料混合物として、POMと樹脂改質剤(II)との質量比が80:20の混合物を利用した以外)は、実施例9と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
(比較例6)
樹脂改質剤(I)を利用せず、原料混合物を利用する代わりにPOMを単独で利用した以外は、実施例9と同様にして、樹脂組成物(ストランド状)を得た。
[実施例7〜10及び比較例5〜6で得られた樹脂組成物の特性の評価]
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物の代わりに実施例7〜10及び比較例5〜6で得られた樹脂組成物をそれぞれ用いた以外は、前述の「引張試験用の試料の調製工程」と同様の工程を採用して、各樹脂組成物(実実施例7〜10及び比較例5〜6)の引張試験用の試料(JIS K 7139に記載の試験片、タイプA1、厚みt:4mm)を調製した。
次いで、各樹脂組成物(実施例7〜10及び比較例5〜6)の引張試験用の試料をそれぞれ用いた以外は、実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物の特性の評価のために実施した、前述の「破断ひずみの測定」において採用した方法と同様の方法を採用して、実施例7〜10及び比較例5〜6で得られた樹脂組成物の破断ひずみ(単位:%)を求めた。実施例7〜8及び比較例5の樹脂組成物の測定結果を表5に示し、実施例9〜10及び比較例6の樹脂組成物の測定結果を表6に示す。
また、実施例7〜8及び比較例5で得られた樹脂組成物に関しては、前述の引張試験用の試料をそれぞれ用いた以外は、実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた樹脂組成物の特性の評価のために実施した、前述の「衝撃に対する強さの測定」において採用した方法と同様の方法を採用して、実施例7〜8及び比較例5で得られた樹脂組成物のアイゾット衝撃強さ(単位:kJ/m)を求めた。結果を表5に示す。
表5に示す結果からも明らかなように、マレイン化EBMとトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとの反応物からなるエラストマー成分を含む樹脂改質剤を利用した場合(実施例7〜8)、改質剤を利用しなかった場合(比較例5)と対比して、破断ひずみとアイゾット衝撃強さの双方がより高い値となることが確認された。このような結果から、実施例7〜8で採用する本発明の樹脂組成物の製造方法によれば、より高度な延伸性(破断ひずみを基準とした延伸特性)を有する樹脂組成物を製造することが可能となることが確認されるとともに、得られる樹脂組成物の耐衝撃性もより高度なものとすることが可能となることが分かった。
表6に示す結果からも明らかなように、マレイン化EBMとトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとの反応物からなるエラストマー成分を含む樹脂改質剤を利用した場合(実施例9〜10)、改質剤を利用しなかった場合(比較例6)と対比して、破断ひずみがより高い値となることが確認された。このような結果から、実施例9〜10で採用する本発明の樹脂組成物の製造方法によれば、より高度な延伸性(破断ひずみを基準とした延伸特性)を有する樹脂組成物を製造することが可能となることが確認された。
このように、本発明の樹脂組成物の製造方法(実施例1〜10)によれば、より高度な延伸性(破断ひずみを基準とした延伸特性)を有する樹脂組成物を製造することが可能となることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、破断ひずみを基準としてより高度な延伸性を有する樹脂組成物を製造することが可能な樹脂組成物の製造方法を提供することが可能となる。したがって、本発明の樹脂組成物の製造方法は、例えば、日用品、自動車部品、電気電子材料、工業部品、医療部品等の用途に利用する樹脂組成物を製造するための方法等として特に有用である。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂成分と;
    カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)を有しかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(A)、並びに、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマー成分を含有する樹脂改質剤と;
    を、前記樹脂成分100質量部に対する前記樹脂改質剤の混合量を0.1〜100質量部とする割合で混合することにより、前記樹脂成分と前記ポリマー成分とを含有する樹脂組成物を得ることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記ポリマー成分が、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーと;
    水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含窒素化合物、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含酸素化合物、及び、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよい含硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と;
    の反応物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記ポリマー成分が、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーと;
    水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよく、かつ、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む複素環化合物からなる群から選択される少なくとも1種と;
    の反応物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記ポリマー成分が、環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーと;
    水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいピリジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいチアジアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイミダゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイソシアヌレート、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいヒダントイン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトール、スルファミド、並びに、ポリエーテルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(X)と;
    の反応物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記環状酸無水物基を側鎖に有するポリマーが環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマーであり、
    前記ポリマー成分が、前記環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマーと前記化合物(X)との反応物からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記ポリマー(A)〜(B)の主鎖はそれぞれ、ジエン系ゴム、ジエン系ゴムの水素添加物、オレフィン系ゴム、水添されていてもよいポリスチレン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、及び、ポリアミド系ポリマーの中から選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記樹脂成分が、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記樹脂成分がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
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