JP2008291001A - 皮膚化粧料及び美容用飲食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然抽出物を含有した抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤、メラニン産生抑制剤、皮膚化粧料又は美容用飲食品を提供する。
【解決手段】抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤、メラニン産生抑制剤、皮膚化粧料又は美容用飲食品に、仮鷹爪(Desmos chinensis Lour.;Desmos cochinchinensis Lour.)からの抽出物を有効成分として含有せしめる。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤、メラニン産生抑制剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品に関するものである。
近年、特に生体成分を酸化させる要因として、活性酸素が注目されており、その生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、活性酸素としては、スーパーオキサイド(すなわち酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン:・O )、過酸化水素(H)、ヒドロキシラジカル(・OH)及び一重項酸素()等が挙げられる。これらの活性酸素は、食細胞の殺菌機構にとって必須であり、ウィルスや癌細胞の除去に重要な働きを果たしている。
しかしながら、活性酸素の過剰な生成は、生体内の膜や組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発する。通常、生体内で生産され、他の活性酸素の出発物質ともなっているスーパーオキサイドは、細胞内に含まれているスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)の触媒作用により逐次消去されているが、スーパーオキサイドの産生が過剰である場合、又はSODの作用が低下している場合には、スーパーオキサイドの消去が不十分となり、スーパーオキサイド濃度が高くなり、これが関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、しわ、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性等を引き起こす。
特に、皮膚は、紫外線等の環境因子の刺激を直接受けるため、スーパーオキサイドが生成しやすい器官であるため、スーパーオキサイド濃度の上昇により、例えば、コラーゲン等の生体組織を分解し、変性し又は架橋したり、油脂類を酸化して細胞に障害を与える過酸化脂質を生成したりすると考えられており、活性酸素によって引き起こされる障害が、皮膚のシワ形成や皮膚の弾力低下等の老化の原因になるものと考えられている(非特許文献1参照)。したがって、活性酸素や生体内ラジカルの生成を阻害・抑制することにより、シワ形成や弾力低下等の皮膚の老化や、関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性等の活性酸素が関与する各種障害を予防、治療又は改善できるものと考えられる。
そこで、活性酸素消去物質、ラジカル消去物質、過酸化水素消去物質を安全性の点で有利な天然物から得る試みがなされており、このような作用を有するものとして、アブラナ科ブラシカ属植物からの抽出物(特許文献1参照)、ベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属植物からの抽出物(特許文献2参照)、タマコチョウからの抽出物(特許文献3参照)、スイオウからの抽出物(特許文献4参照)等が知られている。
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドであり、細胞内の主要なシステイン残基を有する化合物である。細胞内におけるグルタチオンは、ラジカルの捕捉、酸化還元による細胞機能の調節、各種酵素のSH供与体としての機能を果たすものであり、抗酸化成分としても知られている。その作用発現は、システイン残基に由来すると考えられている。しかしながら、皮膚中のグルタチオン量は、加齢により低下することが報告されており、このことが皮膚における酸化防御能を低下させ、細胞のDNA及びタンパク質等の構成成分にダメージを与える一因であると考えられている。
すなわち、皮膚においてグルタチオンの産生を促進することは、加齢により衰える酸化ストレスの防御を高め、かつ紫外線による酸化ストレスに対する障害を抑制することにつながり、皮膚の老化の予防、治療、又はシミ等の色素沈着に対する改善が期待できると考えられる。このような考えに基づき、グルタチオン産生促進作用を有するものとして、ビルベリー抽出物及びウォルナット抽出物(特許文献5参照)、クチナシ属植物の抽出物(特許文献6参照)等が知られている。
皮膚は、表皮、基底膜及び真皮から構成されている。基底膜は、表皮と真皮との境界部に存在し、表皮と真皮とを繋ぎ止めるだけでなく、皮膚機能の維持に重要な役割を果たしている(非特許文献2参照)。若い皮膚においては、基底膜の働きにより、表皮と真皮との相互作用が恒常性を保つことにより、水分保持力、柔軟性、弾力性等が確保され、外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線、著しい空気の乾燥、過度の皮膚洗浄、ストレス、喫煙等の外的因子の影響を受けたり、加齢が進んだりすると、基底膜の主要構成成分であるIV型コラーゲンやラミニン5が分解又は変質して、基底膜構造が破壊されたりする(非特許文献3参照)。その結果、皮膚の保湿機能や弾力性が低下し、角質の異常剥離が起こり、皮膚の老化に伴う変化、すなわち、しわ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等が生じる。
ここで、外的因子としての過酸化水素は、例えば、炎症、過酸化脂質の生成、種々の酵素の失活及びDNAの損傷等を引き起こすことが知られている。過酸化水素によって生じる細胞傷害を予防・改善して、細胞の恒常性を高めることができれば、皮膚組織のターンオーバーサイクルを正常に維持することができ、皮膚の老化を予防・改善することができるものと考えられる(特許文献7参照)。
このように、皮膚の老化に伴う変化、すなわち、しわ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、IV型コラーゲンやラミニン5の分解や変質が関与している。近年、皮膚の老化に伴う変化を誘導する因子の一つとして、過酸化水素によって生じる細胞障害が挙げられており、皮膚のしわ形成等の大きな要因と考えられる。したがって、IV型コラーゲンやラミニン5の産生を促進すること、過酸化水素によって生じる細胞障害を予防・改善することは、皮膚の老化を防止し、改善する上で重要であると考えられる。
一酸化窒素(NO)は、大気汚染、酸性雨等の要因となる窒素酸化物であるが、近年、この一酸化窒素が、血管内皮由来弛緩因子(EDRF)、神経伝達物質、生体防御における微生物・腫瘍細胞の障害因子等、生体内で多彩な機能を示す生理活性物質であることが見出されている。生体防御においては、特にマクロファージから産生される一酸化窒素が、細菌やウィルスの感染を防御している。
しかし、一酸化窒素が大量に生合成されると、生体にとって無毒ではなく、自己組織の破壊を引き起こし、炎症の悪化、リューマチ、糖尿病等の病態の原因となっている。また、大量に生合成された一酸化窒素が血管平滑筋の弛緩と過剰な透過性の増大をもたらし、著しい血圧の低下によってエンドトキシン・ショックを引き起こすことも知られている。
したがって、炎症性疾患においては、一酸化窒素の過剰な産生を抑制することが重要となる。一酸化窒素の産生抑制作用を有するものとして、例えば、ローズマリー抽出液、カルノソール、カルノシン酸、コーヒー豆の抽出液、サクラダソウ抽出液、オウレン抽出液、オウバク抽出液、カンゾウ抽出液、イヌノイバラ抽出液、センキュウ抽出液、トウニン抽出液、シャクヤク抽出液、ヨクイニン抽出液、アカブドウ抽出液(特許文献8参照);唐独活、タラ根皮、和続断、車前子、遠子、茜草根、半枝連、槐花、花椒(非特許文献4参照)等が知られている。
腫瘍壊死因子(TNF−α)は、腫瘍を壊死させる因子として見出されたが、最近では腫瘍に対してだけではなく、正常細胞の機能を調節するメディエーター的な役割を担うサイトカインであるといわれている。腫瘍壊死因子は、炎症の初発から終息までの過程において重要な役割を担っているが、その持続的かつ過剰な産生は、組織障害を引き起こしたり、全身的には発熱やカケクシアの原因となり、炎症の悪化を引き起こしたりする。腫瘍壊死因子の異常産生により引き起こされる疾患としては、例えば、関節リューマチ、変形性関節症等の慢性炎症性疾患が挙げられる。したがって、炎症性疾患においては、腫瘍壊死因子の過剰な産生を抑制することが重要となる。腫瘍壊死因子の産生抑制作用を有するものとしては、例えば、シソ抽出液(非特許文献4参照)、ヒガンバナ科アルカロイドのリコリン、リコリシジノール(非特許文献5参照)等が知られている。
炎症性疾患の原因の一つとして、血小板凝集によるものが知られている。血小板が凝集して活性化することにより、生理的には止血、病理的には血栓形成を生じる他、血小板の凝集は、動脈硬化の進展、癌転移、炎症等に関与していると考えられている。このため、血小板の凝集を阻害・抑制することにより炎症性疾患に予防・改善することができると考えられている。血小板凝集抑制作用を有するものとしては、例えば、カナリウム属植物からの抽出物(特許文献9参照)、コウサンフウ抽出物(特許文献10参照)、藤茶抽出物(特許文献11参照)等が知られている。
皮膚においてメラニンは、紫外線から生体を保護する役目も果たしているが、過剰生成や不均一な蓄積は、皮膚の黒化やシミの原因となる。したがって、皮膚の色黒(皮膚色素沈着症)、シミ、ソバカス等を予防、治療又は改善するためには、メラニンの産生を抑制することが考えられる。
従来、皮膚色素沈着症、シミ、ソバカス等の予防、治療又は改善には、ハイドロキノン等の化学合成品を有効成分とする美白剤を外用する処置が行われてきた。しかしながら、ハイドロキノン等の化学合成品は、皮膚刺激、アレルギー等の副作用のおそれがある。そこで、安全性の高い天然原料を有効成分とする美白剤の開発が望まれており、メラニン産生抑制作用を有するものとしては、例えば、トウゴマ根部からの抽出物(特許文献12参照)、サウスウレア(Saussurea)属に属する植物からの抽出物(特許文献13参照)等が知られている。
特開2003−81848号公報 特開2005−29483号公報 特開2006−321730号公報 特開2007−8902号公報 特開2006−241062号公報 特開2006−347934号公報 特開2006−8571号公報 特開2002−87975号公報 特開2002−52478号公報 特開2002−53477号公報 特開2001−97873号公報 特開2001−213757号公報 特開2002−201122号公報 「フレグランスジャーナル臨時増刊」,1995年,No.14,p.156 Marinkovich MP et al.,"J. Cell. Biol.",1992,No.199,p.695-703 Lavker et al.,"J. Invest. Dermatol.",1979,No.73,p.59-66 「和漢医薬学雑誌」,1998年,Vol.15,p.302-303 「炎症」,1993年,Vol.13,No.4,p.337-340 「薬学雑誌」,2001年,Vol.121,No.2,p.167-171
本発明は第一に、安全性の高い天然物の中からスーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗酸化剤を提供することを目的とする。
本発明は第二に、安全性の高い天然物の中からIV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用及び過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗老化剤を提供することを目的とする。
本発明は第三に、安全性の高い天然物の中から一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用及び血小板凝集抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗炎症剤を提供することを目的とする。
本発明は第四に、安全性の高い天然物の中からメラニン産生抑制作用を有するものを見出し、それを有効成分とする美白剤又はメラニン産生抑制剤を提供することを目的とする。
本発明は第五に、安全性の高い天然物の中から、スーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用、過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用、血小板凝集抑制作用及びメラニン産生抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有するものを見出し、それを配合した皮膚化粧料又は美容用飲食品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤、メラニン産生抑制剤は、仮鷹爪からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とし、また、本発明の皮膚化粧料及び美容用飲食品は、仮鷹爪からの抽出物を配合したことを特徴とする。
本発明の抗酸化剤においては、上記抽出物が、スーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することが好ましく、本発明の抗老化剤においては、上記抽出物が、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用及び過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することが好ましく、本発明の抗炎症剤においては、上記抽出物が、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用及び血小板凝集抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することが好ましい。
本発明によれば、天然物である仮鷹爪からの抽出物を有効成分として含有し、安全性に優れた抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤、メラニン産生抑制剤、皮膚化粧料又は美容用飲食品を提供することができる。
以下、本発明について説明する。
〔抗酸化剤,抗老化剤,抗炎症剤,美白剤,メラニン産生抑制剤〕
本発明の抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤又はメラニン産生抑制剤は、仮鷹爪からの抽出物を有効成分として含有する。
ここで本発明において「仮鷹爪からの抽出物」には、仮鷹爪を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
本発明において使用する抽出原料は、仮鷹爪(カヨウソウ,学名:Desmos chinensis Lour.;Desmos cochinchinensis Lour.)である。
仮鷹爪(Desmos chinensis Lour.;Desmos cochinchinensis Lour.)は、バンレイシ科デスモス属に属する樹高3m程度の低木であり、別名、酒餅葉と呼ばれ、海南、広東、広西等の中国各省に野生しており、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る仮鷹爪の構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、花部等の地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部である。
仮鷹爪からの抽出物に含有されるスーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用、過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用、血小板凝集抑制作用又はメラニン産生抑制作用を有する物質の詳細は不明であるが、植物の抽出に一般に用いられている抽出方法によって、仮鷹爪からこれらの作用を有する抽出物を得ることができる。
例えば、上記植物を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより、スーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用、過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用、血小板凝集抑制作用又はメラニン産生抑制作用を有する抽出物を得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、仮鷹爪の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を用いるのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用することのできる親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90質量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40質量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して多価アルコール10〜90質量部を混合することが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
精製は、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等により行うことができる。得られた抽出液はそのままでも抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤又はメラニン産生抑制剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
仮鷹爪からの抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、皮膚化粧料又は美容用飲食品に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。
以上のようにして得られる仮鷹爪からの抽出物は、抗酸化作用、抗老化作用、抗炎症作用、美白作用又はメラニン産生抑制作用を有しているため、それぞれの作用を利用して抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤又はメラニン産生抑制剤の有効成分として用いることができる。
ここで、仮鷹爪からの抽出物が有する抗酸化作用は、例えば、スーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用に基づいて発揮される。ただし、仮鷹爪からの抽出物が有する抗酸化作用は、上記作用に基づいて発揮される抗酸化作用に限定されるものではない。なお、仮鷹爪からの抽出物は、スーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用を有するため、それらの作用を利用して、スーパーオキサイド消去剤、ラジカル消去剤、過酸化水素消去剤及びグルタチオン産生促進剤の有効成分として利用することができる。
また、仮鷹爪からの抽出物が有する抗老化作用は、例えば、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用及び過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用に基づいて発揮される。ただし、仮鷹爪からの抽出物が有する抗老化作用は、上記作用に基づいて発揮される抗老化作用に限定されるものではない。なお、仮鷹爪からの抽出物は、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用及び過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用を有するため、それらの作用を利用して、IV型コラーゲン産生促進剤、ラミニン5産生促進剤並びに過酸化水素による細胞傷害の予防及び/又は改善剤の有効成分として利用することができる。
さらに、仮鷹爪からの抽出物が有する抗炎症作用は、例えば、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用及び血小板凝集抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用に基づいて発揮される。ただし、仮鷹爪からの抽出物が有する抗炎症作用は、上記作用に基づいて発揮される抗炎症作用に限定されるものではない。なお、仮鷹爪からの抽出物は、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用及び血小板凝集抑制作用を有するため、それらの作用を利用して、一酸化窒素産生抑制剤、腫瘍壊死因子産生抑制剤及び血小板凝集抑制剤の有効成分として利用することができる。
さらにまた、仮鷹爪からの抽出物が有する美白作用は、例えば、メラニン産生抑制作用に基づいて発揮される。ただし、仮鷹爪からの抽出物が有する美白作用は、上記作用に基づいて発揮される美白作用に限定されるものではない。
本発明の抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤又はメラニン産生抑制剤は、仮鷹爪からの抽出物のみからなるものであってもよいし、上記抽出物を製剤化したものであってもよい。
仮鷹爪からの抽出物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯臭剤等を用いることができる。仮鷹爪からの抽出物は、他の組成物(例えば、後述する皮膚化粧料、美容用飲食品等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
なお、本発明の抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤又はメラニン産生抑制剤は、必要に応じて、抗酸化作用、スーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、抗老化作用、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用、過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用、抗炎症作用、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用、血小板凝集抑制作用、美白作用又はメラニン産生抑制作用を有する他の天然抽出物を配合して有効成分として用いることができる。
本発明の抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤又はメラニン産生抑制剤の投与方法としては、一般に経皮投与が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本発明の抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤又はメラニン産生抑制剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本発明の抗酸化剤は、仮鷹爪からの抽出物が有するスーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて、シワ形成や弾力低下等の皮膚の老化や、関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性等の活性酸素が関与する各種障害を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の抗酸化剤は、これらの用途以外にもスーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本発明の抗老化剤は、仮鷹爪からの抽出物が有するIV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用及び過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて、皮膚の老化を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の抗老化剤は、これらの用途以外にもIV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用及び過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本発明の抗炎症剤は、仮鷹爪からの抽出物が有する一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用及び血小板凝集抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡等の各種炎症性疾患を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の抗炎症剤は、これらの用途以外にも一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用及び血小板凝集抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本発明の美白剤は、仮鷹爪からの抽出物が有するメラニン産生抑制作用を通じて、皮膚色素沈着症、シミ、ソバカス等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明の美白剤は、これらの用途以外にもメラニン産生抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本発明のメラニン産生抑制剤は、仮鷹爪からの抽出物が有するメラニン産生抑制作用を通じて、皮膚色素沈着症、シミ、ソバカス等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明のメラニン産生抑制剤は、これらの用途以外にもメラニン産生抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
〔皮膚化粧料〕
仮鷹爪からの抽出物は、スーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用、過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用、血小板凝集抑制作用又はメラニン産生抑制作用を有しており、皮膚に適用した場合の使用感と安全性とに優れているため、皮膚化粧料に配合するのに好適である。この場合、皮膚化粧料には、仮鷹爪からの抽出物を配合してもよいし、仮鷹爪からの抽出物から製剤化した抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤又はメラニン産生抑制剤を配合してもよい。仮鷹爪からの抽出物、上記抗酸化剤、上記抗老化剤、上記抗炎症剤、上記美白剤又は上記メラニン産生抑制剤を皮膚化粧料に配合することによって、皮膚化粧料にスーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用、過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用、血小板凝集抑制作用又はメラニン産生抑制作用を付与することができる。
仮鷹爪からの抽出物を配合し得る皮膚化粧料の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ゼリー、ファンデーション、リップクリーム、口紅、入浴剤等が挙げられる。
仮鷹爪からの抽出物を皮膚化粧料に配合する場合、その配合量は、皮膚化粧料の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.0001〜10質量%であり、特に好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.001〜1質量%である。
本発明の皮膚化粧料は、仮鷹爪からの抽出物が有するスーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用、過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用、血小板凝集抑制作用又はメラニン産生抑制作用を妨げない限り、通常の皮膚化粧料の製造に用いられる主剤、助剤又はその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等を併用することができる。このように併用することで、より一般性のある製品となり、また、併用された上記成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた効果をもたらすことがある。
〔美容用飲食品〕
上記仮鷹爪からの抽出物は、スーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用、グルタチオン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用、過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用、血小板凝集抑制作用又はメラニン産生抑制作用を有しており、消化管で消化されるようなものではないことが確認されており、安全性にも優れているため、美容用飲食品に配合するのに好適である。この場合に、仮鷹爪からの抽出物をそのまま配合してもよいし、仮鷹爪からの抽出物から製剤化した抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤又はメラニン産生抑制剤を配合してもよい。
ここで、「美容用飲食品」とは、美肌を図ることを目的とした飲食物、又は肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防・改善することを目的とした飲食物を意味する。
上記仮鷹爪からの抽出物、又はそれから製剤化した抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤若しくはメラニン産生抑制剤を美容用飲食品に配合する場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して、成人1日あたりの抽出物摂取量が約1〜1000mgになるようにするのが好ましい。
本発明の美容用飲食品は、仮鷹爪からの抽出物をその活性を妨げないような任意の飲食品に配合したものであってもよいし、仮鷹爪からの抽出物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。
本発明の美容用飲食品を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類などの任意の助剤を添加して任意の形状の飲食品にすることができる。
仮鷹爪からの抽出物を配合し得る美容用飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤などが挙げられ、これらの飲食品に上記テンニンカからの抽出物を配合するときに、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
なお、本発明の抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、美白剤、メラニン産生抑制剤、皮膚化粧料又は美容用飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
以下、製造例、試験例及び配合例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
〔製造例1〕仮鷹爪葉部抽出物の製造
仮鷹爪の葉部の粗粉砕物100gに抽出溶媒1000mLを加え、穏やかに攪拌しながら80℃にて2時間保ち、熱時濾過した。得られた抽出液を40℃で減圧下にて濃縮し、減圧乾燥機で乾燥して仮鷹爪葉部抽出物を得た。抽出溶媒として、水、50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)、80質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:4)を用いたときの各抽出物の収率を表1に示す。
[表1]
試 料 抽出溶媒 抽出物収率(%)
1 水 20.2
2 50%エタノール 22.0
3 80%エタノール 18.4
〔試験例1〕スーパーオキサイド消去作用試験(NBT法)
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにしてスーパーオキサイド消去作用を試験した。
試験管に3mMのキサンチン、0.05MのNaCO緩衝液(pH10.2)、3mMのEDTA、ウシ血清アルブミン溶液、及び0.75mMのNBT(nitroblue tetrazolium)を0.1mLずつ加え、これに各試料溶液(試料1〜3)0.1mLを添加し、25℃で10分間放置した。放置後、酵素溶液としてのキサンチンオキシダーゼ溶液を加えて素早く攪拌し、25℃で20分間静置した。その後、6mMの塩化銅0.1mLを加えて反応を停止させて、波長560nmにおける吸光度を測定した。
酵素溶液を添加しない場合についても、同様の操作と吸光度の測定を行い、さらに、試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。得られた結果から、下記式によりスーパーオキサイド消去率(%)を算出した。
スーパーオキサイド消去率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
上記式において、Aは「酵素溶液添加・試料溶液添加時の吸光度」を、Bは「酵素溶液無添加・試料溶液添加時の吸光度」を、Cは「酵素溶液添加・試料溶液無添加時の吸光度」を、Dは「酵素溶液無添加・試料溶液無添加時の吸光度」を示す。
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記スーパーオキサイド消去率の測定を行い、スーパーオキサイド消去率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL)を内挿法により求めた。
上記試験の結果を表2に示す。
[表2]
試 料 IC 50 (μg/mL)
1 96.3
2 88.4
3 92.7
表2に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れたスーパーオキサイド消去作用を有することが確認された。また、スーパーオキサイド消去作用の程度は、仮鷹爪葉部抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
〔試験例2〕ラジカル消去作用試験
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにしてラジカル消去作用を試験した。
1.5×10−4MのDPPH(diphenyl-p-picrylhydrazyl)エタノール溶液3mLに試料溶液(試料1〜3)3mLを加え密栓した後、振り混ぜて30分間放置した。放置後、波長520nmにおける吸光度を測定した。コントロールとして、試料溶液の代わりに試料を溶解した溶媒のみを用いて同様の操作をして、波長520nmの吸光度を測定した。また、ブランクとして、エタノールに試料溶液3mLを加えた後、直ちに波長520nmの吸光度を測定した。得られた結果から、下記式によりラジカル消去率(%)を算出した。
ラジカル消去率(%)={1−(B−C)/A}×100
ただし、上記式において、Aは「コントロールの吸光度」を、Bは「試料溶液添加時の吸光度」を、Cは「ブランクの吸光度」を表す。
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記ラジカル消去率の測定を行い、ラジカル消去率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL)を内挿法により求めた。
上記試験の結果を表3に示す。
[表3]
試 料 IC 50 (μg/mL)
1 201.4
2 185.3
3 194.8
表3に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れたラジカル消去作用を有することが確認された。また、ラジカル消去作用の程度は、仮鷹爪葉部抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
〔試験例3〕過酸化水素消去作用
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにして過酸化水素消去作用を試験した。
1.5mMの過酸化水素溶液10μLに試料溶液(試料1〜3)10μLを加え、37℃で20分間反応させた後、発色溶液(100mMのDA−64(和光純薬社製)、0.5質量%トライトンX−100を含有する0.1MのPIPES緩衝液(pH7.0)100mLに100units/mLのペルオキシダーゼ1mLを添加し、全量を100mLに調整したもの)2.98mLを添加し、37℃で5分間インキュベートした。その後、波長727nmにおける吸光度を測定した。
過酸化水素の標準溶液を添加していない場合についても、同様の操作と吸光度測定を行い、さらに、試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。得られた結果から、下記式により過酸化水素消去率(%)を算出した。
過酸化水素消去率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
ただし、上記式において、Aは「過酸化水素標準溶液添加・試料溶液添加時の吸光度」を、Bは「過酸化水素標準溶液無添加・試料溶液添加時の吸光度」を、Cは「過酸化水素標準溶液添加・試料溶液無添加時の吸光度」を表し、Dは「過酸化水素標準溶液無添加・試料溶液無添加時の吸光度」を表す。
試料濃度を段階的に減少させて上記過酸化水素消去率の測定を行い、過酸化水素の消去率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL)を内挿法により求めた。
上記試験の結果を表4に示す。
[表4]
試 料 IC 50 (μg/mL)
1 18.6
2 14.7
3 17.9
表4に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れた過酸化水素消去作用を有することが確認された。また、過酸化水素消去作用の程度は、仮鷹爪葉部抽出物の濃度により調節できることが確認された。
〔試験例4〕グルタチオン産生促進作用試験
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにしてグルタチオン産生促進作用を試験した。
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有α−MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10cells/mLの細胞密度に10%FBS含有α−MEMで希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり200μLずつ播種し、一晩培養した。培養後、1%FBS含有D−MEMで溶解した試料溶液(試料1〜3,試料濃度:200μg/mL)を各ウェルに200μL添加し、24時間培養した。培養終了後、各ウェルから培地を抜き、400μLのPBS(−)にて洗浄後、150μLのM−PER(PIERCE社製)を用いて細胞を溶解した。このようにして得られた細胞溶解液100μLを用いて、総グルタチオンの定量を下記のようにして行った。
細胞溶解液100μL、0.1Mのリン酸緩衝液(50μL)、2mMのNADPH25μL及びグルタチオンレダクターゼ25μL(終濃度17.5unit/mL)を加え、37℃で10分間加温した後、10mMの5,5'-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)25μLを加え、5分後までの波長412nmにおける吸光度を測定し、ΔOD/minを求めた。総グルタチオン濃度は、酸化型グルタチオンを用いて作成した検量線をもとに算出した。得られた値を総タンパク量あたりのグルタチオン量に補正した後、下記式によりグルタチオン産生促進率(%)を算出した。
グルタチオン産生促進率(%)=B/A×100
上記式において、Aは「試料無添加時の細胞中における総タンパク量あたりのグルタチオン量」を、Bは「試料添加時の細胞中における総タンパク量あたりのグルタチオン量」を表す。
上記試験の結果を表5に示す。
[表5]
試 料 グルタチオン産生促進率(%)
1 309.2
2 425.8
3 351.3
表5に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れたグルタチオン産生促進作用を有することが確認された。
〔試験例5〕IV型コラーゲン産生促進作用試験
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにしてIV型コラーゲン産生促進作用を試験した。
ヒト正常線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有D−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.6×10cells/mLの細胞密度になるようにD−MEM培地を用いて希釈した後、96ウェルマイクロプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。
培養終了後、培地を抜き、0.25%FBS含有D−MEM培地に溶解した試料溶液(試料1〜3,試料濃度:100μg/mL)を各ウェルに150μLずつ添加し、3日間培養した。培養後、各ウェルの培地中のIV型コラーゲン量をELISA法により測定した。得られた測定結果から、下記式に基づいてIV型コラーゲン産生促進率(%)を算出した。
IV型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
上記式において、Aは「試料添加時のIV型コラーゲン量」を、Bは「試料無添加時のIV型コラーゲン量」を表す。
上記試験結果を表6に示す。
[表6]
試 料 IV型コラーゲン産生促進率(%)
1 131.2
2 140.5
3 128.6
表6に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れたIV型コラーゲン産生促進作用を有することが確認された。
〔試験例6〕ラミニン5産生促進作用試験
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにしてラミニン5産生促進作用を試験した。
正常ヒト表皮角化細胞を24穴プレートに播種し、37℃、5%CO−95%airの条件下にて、試料添加培地(試料1〜3,試料濃度:50μg/mL)で48時間培養した後、上清100μLをエライザプレートに移し換え、4℃、一晩でプレートに吸着させた後、溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて洗浄を行った。
その後、1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸生理緩衝液で、ブロッキング操作を行った。溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて洗浄を行い、抗ヒトラミニン5抗体(マウスIgG,ケミコン社製)を反応させた。
溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて洗浄を行い、ビオチン標識抗マウスIgG(アマシャムバイオサイエンス社製)を反応させた。溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸緩衝液(PBS−T)にて洗浄を行い、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(カルビオケム社製)と反応させた後、同様の洗浄操作を行い、発色反応を行った。得られた測定結果から、下記式によりラミニン5産生促進率(%)を算出した。
ラミニン5産生促進率(%)=A/B×100
上記式において、Aは「試料添加時のラミニン5産生量」を、Bは「試料無添加時のラミニン5産生量」を表す。
上記試験結果を表7に示す。
[表7]
試 料 ラミニン5産生促進率(%)
1 108.7
2 118.8
3 112.3
表7に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れたラミニン5産生促進作用を有することが確認された。
〔試験例7〕過酸化水素による細胞障害の予防・改善作用試験
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにして過酸化水素による細胞障害の予防・改善作用を試験した。
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)1×10個を、80cmフラスコで10%FBSを含有するα−MEM培養液(pH7.2)を用いて、37℃、5%CO−95%airの条件下で5日間前培養した。前培養した細胞をトリプシン処理により回収し、5%FBSを含有するα−MEM培養液を用いて2.5×10cells/mLの細胞密度に調整し、48ウェルのマイクロプレートに1ウェルあたり200μLずつ分注し、37℃、5%CO−95%airの条件下で一晩培養した。
培養後、培養液を除去し、1%FBSを含有するα−MEM培養液に試料を溶解した試料溶液(試料1〜3,試料濃度:100μg/mL)を、各ウェルに200μLずつ添加し、37℃、5%CO−95%airの条件下で24時間培養した。培養後、400μLのPBS(−)で洗浄し、過酸化水素を溶解したHank's緩衝液(過酸化水素最終濃度:1mM)を200μL添加し、37℃、5%CO−95%airの条件下で2時間培養した。
また、試料溶液を添加して培養し、培養後、過酸化水素を溶解していないHank's緩衝液を200μL添加し、同様の条件で培養した。さらに、試料溶液を添加せずに培養し、培養後、過酸化水素を溶解したHank's緩衝液を200μL添加し、同様の条件で培養した。
培養後、400μLのPBS(−)で洗浄し、1%FBSを含有するα−MEM培養液で溶解した0.05mg/mLのニュートラルレッド溶液を、200μLずつ添加し、37℃、5%CO−95%airの条件下で2.5時間培養した。この後、ニュートラルレッド溶液を除去し、エタノール・酢酸溶液(エタノール:酢酸:水=50:1:49)300μLを各ウェルに加え、色素を抽出した。その後、マイクロプレートリーダーを用い540nmでの吸光度を測定し、下記式により過酸化水素による細胞障害抑制率(%)を算出した。
細胞障害抑制率(%)={(Nt−C)−(Nt−Sa)}/(Nt−C)×100
上記式において、Ntは「試料溶液無添加・過酸化水素溶液無添加時の吸光度」を、Cは「試料溶液無添加・過酸化水素溶液添加時の吸光度」を、Saは「試料溶液天下・過酸化水素溶液添加時の吸光度」を表す。
上記試験結果を表8に示す。
[表8]
試 料 細胞障害抑制率(%)
1 1.8
2 2.9
3 2.0
表8に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れた過酸化水素による細胞障害の予防・改善作用を有することが確認された。
〔試験例8〕一酸化窒素産生抑制作用試験
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにして一酸化窒素産生抑制作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7細胞,大日本製薬社製)を、10%FBSを添加した、フェノールレッドを含まないEagle’s MEM(日水製薬製)にて、37℃、5%CO−95%airの条件下で7日間前培養し、セルスクレーパーにより細胞を回収した。
10%FBS、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを含有し、フェノールレッドを含まないRPMI−1640培地(Sigma社製)を使用し、1ウェルあたり3×10cells/100μLの細胞密度で96穴マイクロプレートに、上記集めた細胞を播種し、37℃、5%CO−95%airの条件下で4時間前培養した。
96穴プレート中の培地を捨て、新鮮な培養液100μLを添加した後、予め2%DMSOを含む培養液で溶解した試料溶液50μLを添加し、すぐにリポポリサッカライド(LPS,終濃度1μg/mL,E.coli0111:B4,DIFCO社製)50μLを添加して細胞を刺激した。その後、37℃、5%CO−95%airの条件下で48時間培養し、それにより産生した二酸化窒素の量を指標として、一酸化窒素の産生量を下記の方法により測定した。
一酸化窒素は、培養上清中に遊離するが、不安定であり、直ちに酸化されて二酸化窒素になるため、実際には一酸化窒素の遊離量を直接測定することは困難である。したがって、下記のように二酸化窒素の量を測定することで、各試料における一酸化窒素の遊離量を対比した。一酸化窒素は、単に二酸化窒素に酸化されるだけであるため、このように二酸化窒素の量を対比することで、各試料における一酸化窒素の遊離量の対比も客観的に行うことができると推定できる。
培養液中に産生した二酸化窒素の量は、培養上清と同量のグリース試薬を培養液に添加して、10分間室温にて反応させた後、540nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。試料無添加時(コントロール)の二酸化窒素産生量を基に、一酸化窒素産生抑制率(%)を下記式により算出した。
一酸化窒素産生抑制率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
上記式において、Aは「試料無添加時の吸光度」を、Bは「試料無添加時のブランクの吸光度」を、Cは「試料添加時の吸光度」を、Dは「試料添加時のブランクの吸光度」を表す。
次に、試料溶液の濃度を段階的に減少させて、上記一酸化窒素産生抑制率を算出し、一酸化窒素産生抑制率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL)の値を内挿法により算出した。
上記試験結果を表9に示す。
[表9]
試 料 IC 50 (μg/mL)
1 144.7
2 152.6
3 149.4
表9に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れた一酸化窒素産生抑制作用を有することが確認された。また、一酸化窒素産生抑制作用の程度は、仮鷹爪葉部抽出物の濃度によって調節できることが確認された。
〔試験例9〕腫瘍壊死因子産生抑制作用試験
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにして腫瘍壊死因子産生抑制作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7細胞,大日本製薬社製)を、10%FBS含有DMEM培地を用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10cells/mLの細胞密度になるように10%FBS含有DMEMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、4時間培養した。
培養終了後に培地を抜き、終濃度0.5%のDMSOを含む10%FBS含有DMEMで溶解した試料(試料1〜3,試料濃度:200μg/mL)を各ウェルに100μL添加し、終濃度1μg/mLで10%FBS含有DMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS,E.coli0111:B4,DIFCO社製)100μLを加え、24時間培養した。
培養終了後、各ウェルの培養上清中の腫瘍壊死因子量を、サンドイッチELISA法を用いて測定した。同様の方法により、試料を添加しない場合についても測定した。得られた結果から、下記式に基づいて腫瘍壊死因子産生抑制率(%)を算出した。
腫瘍壊死因子産生抑制率(%)={(B−A)/B}×100
上記式において、Aは「試料添加時の腫瘍壊死因子量」を、Bは「試料無添加時の腫瘍壊死因子量」を表す。
上記試験結果を表10に示す。
[表10]
試 料 腫瘍壊死因子産生抑制率(%)
1 15.3
2 27.9
3 20.1
表10に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れた腫瘍壊死因子産生抑制作用を有することが確認された。
〔試験例10〕血小板凝集抑制作用試験
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにして血小板凝集抑制作用を試験した。
(1)血小板浮遊液の調製
採血したウサギの血液に77mmol/LのEDTA(pH7.4)を1/10量加えて、遠心(180×g,10分,室温)して血小板浮遊液(P.R.P.)を得た。さらに遠心(810×g,10分,4℃)し、上清を除去して血小板を得た。これを血小板洗浄液(0.15mol/Lの塩化ナトリウムと、0.15mol/Lのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)と、77mmol/LのEDTA溶液(pH7.4)とを90:8:2で混合)に浮遊させ、上記と同様に遠心し、得られた血小板を血小板浮遊液(145mmol/Lの塩化ナトリウム、5mmol/Lの塩化カリウム及び5.5mmol/Lのグルコースを含む10mmol/LのHEPES緩衝液,pH7.4)に浮遊させて血小板数を調整(3.0×10cells/μL)し、洗浄血小板浮遊液を得た。
(2)血小板凝集抑制作用試験
得られた洗浄血小板浮遊液222μLに200mmol/Lの塩化カルシウム溶液1μLを加え、37℃で1分間反応させた。これに試料溶液(試料濃度:400μg/mL)2μLを加え、さらに2分間反応させ、撹拌子を入れて1分間撹拌した後、コラーゲン溶液を25μL添加して、37℃の温度条件下で10分間の血小板凝集率を測定した。また、コントロールとして試料溶液を添加しない以外は同様にして血小板凝集率を測定した。得られた測定結果から、下記式により、血小板凝集抑制率(%)を算出した。
血小板凝集抑制率(%)=(A−B)/A×100
上記式において、Aは「コントロールの血小板凝集率」を表し、Bは「試料添加時の血小板凝集率」を表す。
上記試験結果を表11に示す。
[表11]
試 料 血小板凝集抑制率(%)
1 12.1
2 16.7
3 13.8
表11に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れた血小板凝集抑制作用を有することが確認された。
〔試験例11〕メラニン産生抑制作用試験
製造例1により得られた仮鷹爪葉部抽出物(試料1〜3)について、以下のようにしてメラニン産生抑制作用を試験した。
25cmの培養フラスコに入れた10%FBS含有D−MEM培地に、B−16メラノーマ細胞1×10個を播種し、37℃、5%CO−95%airの条件下で4日間培養した。次いで、トリプシン処理し、1000rpmで3分間遠心分離して細胞を回収した。回収した細胞4×10個を、10%FBS含有D−MEM培地5mLを入れた直径60mmのシャーレに播種し、24時間培養した。
次に、培養したメラノーマ細胞を、試料濃度が12.5μg/mLになるように各試料を溶解した0.5mmol/Lのテオフィリン添加培地5mLで3日間培養した。培養後、トリプシン処理し、さらに遠心分離して細胞を回収し、10%FBS含有D−MEM培地4mLを加えて細胞浮遊液を得た。得られた細胞浮遊液中の細胞数を測定した後、細胞浮遊液を遠心分離し、沈殿として得られた細胞に10%DMSO含有2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液2mLを添加して超音波破砕機により細胞を破壊した。これを濾紙で濾過し、得られた濾液の波長475nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定した。同様の操作と吸光度測定を、試料を添加せずに行い、下記式によりメラニン産生抑制率(%)を算出した。
メラニン産生抑制率(%)=(A−B)/A×(C−D)×100
上記式において、Aは「試料無添加時の475nmにおける吸光度」を、Bは「試料添加時の475nmにおける吸光度」を、Cは「試料添加時の細胞数」を、Dは「試料無添加時の細胞数」を表す。
上記試験結果を表12に示す。
[表12]
試 料 メラニン産生抑制率(%)
1 33.1
2 42.6
3 39.6
表12に示すように、仮鷹爪葉部抽出物は、優れたメラニン産生抑制作用を有することが確認された。
〔配合例1〕
下記組成の乳液を常法により製造した。
仮鷹爪水抽出物(製造例1) 0.10g
ホホバオイル 4.0g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.5g
オリーブオイル 2.0g
スクワラン 2.0g
セタノール 2.0g
モノステアリン酸グリセリル 2.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.0g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
黄杞エキス 0.10g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
イチョウ葉エキス 0.10g
コンキオリン 0.10g
オウバクエキス 0.10g
カツミレエキス 0.10g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例2〕
下記組成の化粧水を常法により製造した。
仮鷹爪50%エタノール抽出物(製造例1) 0.10g
グリセリン 3.0g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.0g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
クエン酸 0.10g
クエン酸ソーダ 0.10g
油溶性甘草エキス 0.10g
海藻エキス 0.10g
クジンエキス 0.10g
キシロビオースミクスチャー 0.05g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例3〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
仮鷹爪80%エタノール抽出物(製造例1) 0.10g
スクワラン 10.0g
1,3−ブチレングリコール 6.0g
流動パラフィン 5.0g
サラシミツロウ 4.0g
セタノール 3.0g
モノステアリン酸グリセリル 3.0g
ラノリン 2.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
ステアリン酸 1.0g
酵母抽出液 0.10g
シソ抽出液 0.10g
シナノキ抽出液 0.10g
ジユ抽出液 0.10g
香料 0.10g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例4〕
下記組成のパックを常法により製造した。
仮鷹爪50%エタノール抽出物(製造例1) 0.20g
ポリビニルアルコール 15.0g
エタノール 10.0g
プロピレングリコール 7.0g
ポリエチレングリコール 3.0g
セージ抽出液 0.10g
トウキ抽出液 0.10g
ニンジン抽出液 0.10g
パラオキシ安息香酸メチル 0.05g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例5〕
下記組成の錠剤状栄養補助食品を常法により製造した。
仮鷹爪水抽出物(製造例1) 30g
粉糖(ショ糖) 178g
ソルビット 10g
グリセリン脂肪酸エステル 12g
〔配合例6〕
下記組成の顆粒状栄養補助食品を常法により製造した。
仮鷹爪50%エタノール抽出物(製造例1) 30g
ビートオリゴ糖 178g
ビタミンC 10g
ステビア抽出物 12g
本発明の抗酸化剤は、活性酸素が関与する各種障害の予防、治療又は改善に、本発明の抗老化剤は、皮膚の老化の予防、治療又は改善に、抗炎症剤は、各種炎症性疾患の予防、治療又は改善に、本発明の美白剤又はメラニン産生抑制剤は、皮膚色素沈着症、シミ等の予防、治療又は改善に大きく貢献できる。

Claims (10)

  1. 仮鷹爪からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤。
  2. 前記抽出物が、スーパーオキサイド消去作用、ラジカル消去作用、過酸化水素消去作用及びグルタチオン産生促進作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することを特徴とする請求項1に記載の抗酸化剤。
  3. 仮鷹爪からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤。
  4. 前記抽出物が、IV型コラーゲン産生促進作用、ラミニン5産生促進作用及び過酸化水素による細胞傷害の予防・改善作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することを特徴とする請求項3に記載の抗老化剤。
  5. 仮鷹爪からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗炎症剤。
  6. 前記抽出物が、一酸化窒素産生抑制作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用及び血小板凝集抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することを特徴とする請求項5に記載の抗炎症剤。
  7. 仮鷹爪からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする美白剤。
  8. 仮鷹爪からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするメラニン産生抑制剤。
  9. 仮鷹爪からの抽出物を配合したことを特徴とする皮膚化粧料。
  10. 仮鷹爪からの抽出物を配合したことを特徴とする美容用飲食品。
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