JPH0665075A - 抗腫瘍剤 - Google Patents

抗腫瘍剤

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JPH0665075A
JPH0665075A JP4191740A JP19174092A JPH0665075A JP H0665075 A JPH0665075 A JP H0665075A JP 4191740 A JP4191740 A JP 4191740A JP 19174092 A JP19174092 A JP 19174092A JP H0665075 A JPH0665075 A JP H0665075A
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JP
Japan
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tyrosine kinase
trihydroxy
formyl
methylflavanone
compound
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JP4191740A
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English (en)
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Kazuo Umezawa
一夫 梅澤
Takashi Koyano
喬 小谷野
Tomoko Hara
智子 原
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 有効成分としての8−ホルミル−2,5,7
−トリヒドロキシ−6−メチルフラバノンおよび医薬上
許容可能な担体を含有する抗腫瘍剤、並びに熱帯植物デ
スモス・チネンシスからの該化合物の製造方法。 【効果】 8−ホルミル−2,5,7−トリヒドロキシ
−6−メチルフラバノンはチロシンキナーゼ阻害活性
(IC50値0.85μg/ml,2.70μM)をもち、
癌の化学療法に有効に使用し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱帯植物デスモス・チ
ネンシス(Desmos chinensis )から得ることができる
チロシンキナーゼ阻害物質8−ホルミル−2,5,7−
トリヒドロキシ−6−メチルフラバノンを含有する抗腫
瘍剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】癌遺伝子は、プロト癌遺伝子に点突然変
異、転座、増幅などの異常が起こることで発生し、種々
のヒト腫瘍において存在している例が数多く見い出さ
れ、腫瘍の形成に重要な役割を果たしていると考えられ
ている。
【0003】癌遺伝子はsrc、ras、mycなどに
代表される幾つかのグループに分類することができる
が、最も研究の進んでいるのはsrcファミリーの癌遺
伝子である。この癌遺伝子産物はタンパク質中のチロシ
ン残基を特異的にリン酸化する活性、すなわちチロシン
キナーゼ活性をもち、この活性が細胞の癌化を引起こす
のに重要な役割を果たしていると考えられている(M.
S. Colletteら、Nature,285, 167〜169 (1980); T. Hu
nter とB. M. Sefton, Proc. Natl. Acad. Sci.USA., 7
7, 1311〜1315(1980))。また、上皮細胞増殖因子(E
GF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン
などの増殖因子受容体にもsrcファミリーの癌遺伝子
産物と類似したアミノ酸配列のドメインがありチロシン
キナーゼ活性をもつことが知られている(J.Downward
ら、Nature, 307, 521〜527 (1984))。さらに、癌遺
伝子のうち少なくともいくつかは本来正常な細胞の役割
を果たしている増殖因子や増殖因子受容体の遺伝子の変
化したものであることが判明している(T. Yamamoto
ら、Cell, 35, 71〜78 (1983) ;C. I. Bargman ら、Ce
ll, 45, 649〜656 (1983))。
【0004】このため、癌遺伝子産物の機能を阻害する
物質の開発が、癌の基礎研究及び化学療法の面から重要
視されてきた。これまでに開発されたチロシンキナーゼ
阻害剤としては、ゲニスタイン(genistein )、アーブ
スタチン(erbstatin )、ハービマイシンA(herbimyc
in A)などの微生物産生物質及びST638のような化
学的に合成された物質が知られている(白石忠義、バイ
オサイエンスとインダストリー、第47巻、第5号、第
39〜42頁、1989年)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これまでに開発された
チロシンキナーゼ阻害剤は、上述のとおり微生物が産生
したものか又は化学的に合成されたものである。しか
し、公知のチロシンキナーゼ阻害剤のなかには、細胞膜
透過性が悪い、血清中で不安定であるなどの欠点を有す
るものもある。また、正常細胞に影響を及ぼさず、阻害
活性が十分強く且つ特異性の高いチロシンキナーゼ阻害
剤はまだないといってよい。そのため、正常細胞と異な
る癌遺伝子産物の構造及び機能を識別し、癌遺伝子産物
に強く作用する薬剤の開発が望まれてきた。
【0006】本発明者らは、比較的毒性が低いと考えら
れる植物由来のチロシンキナーゼ阻害物質の探索を行な
った結果、熱帯植物デスモス・チネンシスにチロシンキ
ナーゼ阻害活性が有することを発見し、本発明を完成さ
せた。
【0007】本発明の目的は、新規のタイプのチロシン
キナーゼ阻害物質8−ホルミル−2,5,7−トリヒド
ロキシ−6−メチルフラバノンを含有する抗腫瘍剤を提
供することである。
【0008】本発明の別の目的は、デスモス・チネンシ
スからの該フラバノン化合物の製造方法を提供すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、有効成分とし
ての8−ホルミル−2,5,7−トリヒドロキシ−6−
メチルフラバノンおよび医薬上許容可能な担体を含有す
る抗腫瘍剤を提供する。 ここで、8−ホルミル−2,
5,7−トリヒドロキシ−6−メチルフラバノンは、フ
ラボノイド系化合物の一種であり、下記の構造式:
【0010】
【化1】 を有する。2位の炭素原子周囲の立体配置としては、チ
ロシンキナーゼ阻害活性をもつものが選択され、もし該
活性を有するならばラセミ体または種々の割合のR/S
混合物も包含される。さらに、構造活性相関等の技術を
用いてチロシンキナーゼ阻害活性をもつ、置換もしくは
付加誘導体のような本発明化合物の類縁体を誘導するこ
とも可能であろう。
【0011】上記有効成分はチロシンキナーゼ阻害活性
をもち、これによって、EGFレセプター,PDGFレ
セプター等の増殖因子レセプター上で発現された、細胞
の癌化および増殖を誘導するチロシンキナーゼ活性が阻
害され得る。この様なチロシンキナーゼ阻害物質の1つ
に前述のゲニスタイン(genistein) が知られているが(A
kiyama,T. ら(1987)J.Biol.Chem. 262, 5592-5595)、こ
の化合物はイソフラボノイドの一種である。一方、本発
明の有効成分である8−ホルミル−2,5,7−トリヒ
ドロキシ−6−メチルフラバノンはフラバノンの一種で
あり、この種の化合物がチロシンキナーゼ阻害活性をも
つことについては、これまで全く知られていなかった。
【0012】本発明のチロシンキナーゼ阻害活性を、ヒ
ト上皮癌A431細胞から調製された細胞膜(チロシン
キナーゼ含有)、EGF、[γ−32P]−ATP及びヒ
ストン(基質)から成る系に種々の濃度の本発明物質を
作用させたときのリン酸化ヒストンの放射能の残存率か
ら求めた結果、チロシンリン酸化を50%阻害するとき
の阻害剤濃度IC50値は0.85μg/ml(2.70 μM)で
あった。この値は公知のチロシンキナーゼ阻害剤である
アーブスタチン(MW179.17)のIC50値0.55μg/ml
(3.07 μM)[H. Umezawaら、J. Antibiotics, 39, 170
〜173 (1986)]を凌ぐものである。
【0013】本発明の抗腫瘍剤に使用される医薬上許容
可能な担体としては、例えば天然もしくは合成ケイ酸ア
ルミニウム,微結晶セルロース,タルク,デキストリ
ン,澱粉,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム,乳糖な
どの賦形剤、または、植物油,プロピレングリコールな
どの希釈剤が挙げられる。これに加えて、任意成分とし
ての医薬上許容可能な安定剤,崩壊剤,コーテイング
剤,懸濁化剤,乳化剤,溶解補助剤,保存剤,緩衝剤,
甘味剤なども存在させ得る。これらの添加剤としては、
公知のものを適宜組合せて使用し得る。また、剤型とし
ては、粉剤,顆粒剤,錠剤,カプセル剤,注射剤等の任
意形態で用いられる。
【0014】本発明の抗腫瘍剤は主として経口投与され
るが、緊急を要する場合には静脈内投与を行ってもよ
く、本発明は投与方法によって特に限定されない。成人
1日当たりの投与量は投与方法によって異なる。主たる
投与方法である経口投与の場合で言えば0.1〜1gが
好ましい1日当たりの投与量である。しかし、本発明は
投与量によって限定されない。また、有効成分である本
発明のチロシンキナーゼ阻害物質は植物由来のものであ
るため低毒性であると考えられる。
【0015】本発明はまた、デスモス・チネンシスから
の8−ホルミル−2,5,7−トリヒドロキシ−6−メ
チルフラバノンの製造方法を提供する。この方法は、熱
帯植物デスモス・チネンシスから8−ホルミル−2,
5,7−トリヒドロキシ−6−メチルフラバノンを溶媒
抽出し、次いで精製することを包含する。
【0016】デスモス・チネンシス(Desmos chinensi
s )は、バンレイシ科に属し、主にインド、ミャンマ
ー、インドシナ、マレーシアなどに生息する熱帯植物で
ある。原料植物は、保存、運搬等の理由から乾燥したも
のが好ましく使用される。また抽出に際しては粉砕した
ものが好ましい。
【0017】本発明の実施態様により、抽出溶媒として
は、非極性溶媒が好ましく、特に炭化水素溶媒又はハロ
ゲン化炭化水素溶媒が好ましい。炭化水素溶媒として
は、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、
ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、特にヘ
キサンが好ましい。また、ハロゲン化炭化水素溶媒とし
ては、例えばクロロホルム、メチレンクロライド、四塩
化炭素などが挙げられ、特にクロロホルムが好ましい。
もちろん、これらの溶媒類に限定されるものではなく、
本化合物を安定に抽出し得る溶媒は全て本発明方法の範
囲に含まれる。
【0018】溶媒の量は特に限定されないが、本発明の
阻害物質が抽出され得る量であればよく、一般に、乾燥
粉砕したデスモス・チネンシス50g当たり100〜1
000mlである。抽出温度も特に限定されないが、本発
明の阻害物質が分解を起こすことなく安定に抽出され得
る温度であればよく、好ましくは室温〜50℃である。
抽出時間は温度により異なるが、例えば室温で抽出する
場合5〜12時間である。なお、抽出は抽出率に応じて
2回以上繰り返してもよい。
【0019】上述の抽出操作によって得られた粗抽出物
のチロシンキナーゼ阻害活性IC50値は、ヘキサン抽出
の場合42μg/ml及びクロロホルム抽出の場合12μ
g/mlであった。
【0020】得られた粗抽出物からさらにチロシンキナ
ーゼ阻害活性をもつ成分を単離するために、さらに抽出
物を精製工程に掛ける。精製は、例えば抽出物を一旦濃
縮した後にクロマトグラフィーに掛けて行うことができ
る。
【0021】本発明の実施態様により、クロマトグラフ
ィーは好ましくはシリカゲルクロマトグラフィー、ゲル
濾過クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィ
ー、薄層クロマトグラフィー又はこれらの組み合せを包
含し得る。適切に使用し得る担体及び溶媒系はそれぞ
れ、シリカゲルクロマトグラフィーの場合例えばMerck
Silicagel 60(メルク社製)及びヘキサン:酢酸エチル
=5:1〜8:1であり、ゲル濾過クロマトグラフィー
の場合例えばトヨパールHW40(東ソー製)及びメタ
ノール又はセファデックスLH20(ファルマシア社
製)及びクロロホルム:メタノール=1:2であり、高
速液体クロマトグラフィーの場合例えばヌクレオシル5
18(ナーゲル社製)及び50%アセトニトリル水溶液
であり、薄層クロマトグラフィーの場合例えばシリカゲ
ルTLC及びクロロホルム−メタノール混合溶媒であ
る。クロマトグラフィーは、上記クロマトグラフィーを
任意に組み合せて実施するのが好ましい。なお、クロマ
トグラフィー、担体及及び溶媒系の種類は上記のものに
限定されない。
【0022】本発明方法により、粗抽出物約2gから約
30mgの8−ホルミル−2,5,7−トリヒドロキシ−
6−メチルフラバノンが95%以上の純度で得られた。
さらに高純度を得るために、再結晶化を適用し得る。こ
の目的の溶媒としては、例えばベンゼン/トルエン/メ
タノールが好適である。
【0023】8−ホルミル−2,5,7−トリヒドロキ
シ−6−メチルフラバノンは、本発明方法以外にUnona
lawii (J.Chopinら,Phytochemistry, 1987, Vol.1
7,pp.332-334 )からも取り出すことが可能であるし、
また、化学合成によって得ることも可能であろう。
【0024】
【実施例】以下の実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその実施例に限定されるものでは
ない。
【0025】ヘキサンによるデスモス・チネンシスから
のチロシンキナーゼ阻害物質の抽出 乾燥後、粉砕されたデスモス・チネンシス50gを加熱
器、攪拌機及びコンデンサーを備え付けた1lのガラス
抽出容器に入れ、ヘキサン200mlを加え、撹拌下、室
温で約8時間抽出した。抽出後、濾過により抽出液と固
体残渣とに分離し、次いで固体残渣を同様の操作でさら
に2回抽出した。3回分の抽出液を合わせて減圧下にヘ
キサンを加熱留去し、次いで得られた残渣を凍結乾燥し
て粘稠な液状物質1.6gを得た。後述の方法により測
定されたヘキサン抽出物のチロシンキナーゼ阻害活性I
50値は42μg/mlであった。
【0026】クロロホルムによるデスモス・チネンシス
からのチロシンキナーゼ阻害物質の抽出 ヘキサンに代えてクロロホルムを用いた以外は上記の抽
出操作と全く同様に抽出を行った。その結果、デスモス
・チネンシス50gから粘稠な液状物質3.3gを得
た。このクロロホルム抽出物のチロシンキナーゼ阻害活
性IC50値は12μg/mlであった。
【0027】抽出物からのチロシンキナーゼ阻害物質の
精製 クロロホルム抽出物2000mgをMerck Silicagel 60
(メルク社製)を充填したシリカゲルカラム(40φ×
100mm)上に載置し、ヘキサン:酢酸エチルの混合溶
媒8:1及び5:1をそれぞれ700ml及び250mlず
つ用いてこの順番で段階溶出した。活性画分を集め、減
圧下に溶媒を蒸発し、緑色の油状残渣を得た。次いで、
得られた油状残渣を少量のクロロホルムに溶解し、シリ
カゲルTLC(Merck 5715)にスポットした後、クロロ
ホルム:メタノール=20:1で展開し、UVランプで
黄色に検出されるところを掻き取り、クロロホルム:メ
タノール=5:1で抽出し、減圧下に溶媒を蒸発して黄
色油状物を得た。この油状物をさらにゲル濾過クロマト
グラフィー[トヨパールHW40(東ソー製)、カラム
サイズ40φ×120mm]に掛け、メタノールで溶出
し、活性画分を集め、減圧下に溶媒を蒸発して透明の黄
色油状物としてチロシンキナーゼ阻害物質30mgを得
た。
【0028】この物質の純度は、TLC分析(担体Merc
k 5715、展開溶媒クロロホルム:メタノール=20:
1)により単一スポットとなり、またHPLC分析[カ
ラムヌクレオシル5 18、4.6φ×250mm(ナーゲ
ル社製)、溶媒50%アセトニトリル、検出254nm]
により95.3%を示した。またこの物質の物理化学的
及び分光学的性質は以下のとおりであった。
【0029】(a)分子量:314(マススペクトルか
らの値)。
【0030】(b)分子式:C17146 (元素分析:
17146 としての計算値 C64.96%,H4.49% ;実験値
C65.29%,H4.62%)。
【0031】(c) 1H−NMR(アセトン−d6 )δ
13.05(1H,s,OH-5 またはOH-7);12.70(1H,s,OH-7 または
OH-5);10.15(1H,s,CHO);7.45-7.75(6H,m, C6 5 およ
びOH-2);2.10(2H,s,CH2 -3);2.05(3H,s,CH3 )ppm。
【0032】(d)IR(KBr)ν1633cm-1(C=O) ,
3341cm-1(OH)。
【0033】(e)シリカゲル薄層クロマトグラフィ
ー:Rf =0.48(CHCl3 :MeOH=50:1);
f =0.45(トルエン:アセトン=10:1);Rf
0.47(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。
【0034】(f)溶媒に対する溶解性:ヘキサン、ク
ロロホルム、酢酸エチル、メタノール、トルエン、ジメ
チルスルホキシドに対し可溶性であり、水に対し不溶性
である。
【0035】(g)2,4−ジニトロフェニルヒドラジ
ン呈色反応:陽性。
【0036】X線結晶構造解析の結果(図1)をも考慮
すると、得られた物質は8−ホルミル−2,5,7−ト
リヒドロキシ−6−メチルフラバノンであることが判明
した。この化合物は、J.Chopinらが植物Unona
lawii の茎から見出だしたものの溶液中での推定構造
と同一であることが分った(Phytochemistry, 1978,Vo
l.17, pp.332-334)。
【0037】A431細胞膜の調製 A431細胞を底面積175cm2 のプラスチックシャー
レの中で5%仔牛血清(CS, Gibco Laboratories)を含
むDMEM(Dulbecco′s modified Eagle′s mediu
m )で37℃で大量培養した。培地を捨て、PBS溶液
(塩化ナトリウム2.0g、塩化カリウム0.05g、
りん酸水素二ナトリウム(無水)0.229g、りん酸
一カリウム0.05g/水250ml)適量で洗浄後PB
S溶液を10ml加えて、増殖したA431細胞をラバー
ポリスマンで剥がし、−80℃で保存した。
【0038】以下に示した手順は0℃で行った。上記で
得たA431細胞を含むPBS溶液を450×gで10
分間遠心して沈殿した細胞を集めた。細胞の体積と等量
のハーベースティングソリューション(0.05Mホウ
酸、0.15M塩化ナトリウム、1mM塩化マグネシウ
ム、1mM塩化カルシウム、pH7.2)を加えよく懸
濁させ、エクストラクティングソリューション(0.0
2Mホウ酸、0.2mM EDTA、pH10.2)1
00倍量中に滴下し分散させた。10分間撹拌すること
により、細胞は、浸透圧で破裂し細胞膜は断片状にな
り、細胞質はゲル状になった。8倍量の0.5Mホウ酸
溶液(pH10.2)を添加し5分間撹拌後、ナイロン
メッシュでゲル状の細胞質を除き450×gで10分間
遠心して得た上澄みを12,000×gで30分間遠心後、得
られた沈殿画分を35%(w/w)ショ糖を含むPBS
溶液上にのせ、その上にPBS溶液をのせて24,000×g
で1時間超遠心分離を行った。35%ショ糖水溶液界面
に集まった細胞膜断片を集め、PBS溶液を添加し 10
0,000×gで10分間遠心分離を行い、得られた沈殿を
分注しA431細胞膜標品とした。
【0039】チロシンキナーゼ阻害活性の測定 3.3mlのHEPES緩衝液(HEPES 0.48
g、塩化マンガン 19.7mg、BSA 12.5mg/
100ml水 pH7.2)に、EGF(濃度3.3μg
/ml)300μl とヒストン(濃度110μg/ml)1
2μl を加えたものをAバッファーとした。
【0040】このAバッファーをマイクロチューブに3
4μl とり、そこにジメチルスルホキシド(DMSO)
に溶かし濃度を調整したサンプルを6μl 加えて、0℃
で10分間プレインキュベートした。次に[γ−32P]
−ATP(NEN製;NEG−002 adenosine 5′-tri
phosphate, tetra(triethylammonium) salt,[γ−32
P]−)10μl を添加し30分間0℃で反応させた。
【0041】そこから50μl 取り出し、96穴シャー
レに10%TCA溶液200μl 入れた中に添加し反応
を停止させ15分間冷蔵庫に静置した。
【0042】それをセルハーベスターによりTCAの不
溶画分を濾紙(Titertek Cat. No.78-115-05)に吸着さ
せ、液体シンチレーションカウンター(Beckman 社製;
LS−5000TD)でチェレンコフ効果により濾紙に吸着
した[γ−32P]−ATPにてリン酸化されたヒストン
の放射活性を測定した。
【0043】又、サンプル濃度0μg/mlとしたもの
(サンプルを加えず等容量のDMSOを加えた)をコン
トロールとし、サンプル濃度0μg/mlで反応時間0分
間としたもの(サンプルを加えず等容量のDMSOを加
え、反応を停止させる直前に[γ−32P]−ATP 1
0μl を加えた)をブランクとした。
【0044】阻害率を次のように算出した。まずTCA
不溶性画分の放射活性をS(サンプル)、そして検体を
含まない放射活性をC(コントロール)、また検体を含
まずかつ反応時間を0分間にしたものの測定値をB(ブ
ランク)としてチロシンキナーゼ阻害率を計算し、チロ
シンキナーゼ活性を50%阻害するために必要な検体の
濃度をIC50値とした。
【0045】阻害率(%)=[1−{(S−B)÷(C
−B)}]×100 本発明の阻害物質では、濃度依存的にチロシンキナーゼ
阻害率が向上し、濃度20μg/mlのとき阻害率90%
を示した。またIC50値は0.85μg/ml(2.70
μM)であった。
【0046】
【発明の効果】これまで説明してきたように、植物成分
である8−ホルミル−2,5,7−トリヒドロキシ−6
−メチルフラバノンがチロシンキナーゼ阻害活性をもつ
ことが判明したことにより、この物質が抗腫瘍剤として
癌の化学療法に有効に使用し得ることが分る。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線結晶構造解析による8−ホルミル−2,
5,7−トリヒドロキシ−6−メチルフラバノンの立体
構造を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 原 智子 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効成分としての8−ホルミル−2,
    5,7−トリヒドロキシ−6−メチルフラバノンおよび
    医薬上許容可能な担体を含有する抗腫瘍剤。
  2. 【請求項2】 8−ホルミル−2,5,7−トリヒドロ
    キシ−6−メチルフラバノンの製造方法であって、熱帯
    植物デスモス・チネンシスから8−ホルミル−2,5,
    7−トリヒドロキシ−6−メチルフラバノンを溶媒抽出
    し、次いで精製することを包含する方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008291001A (ja) * 2007-05-28 2008-12-04 Maruzen Pharmaceut Co Ltd 皮膚化粧料及び美容用飲食品
US7819468B2 (en) 2007-09-13 2010-10-26 Honda Motor Co., Ltd. Seat for vehicle

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