JP2008286584A - 光学特性測定装置およびフォーカス調整方法 - Google Patents

光学特性測定装置およびフォーカス調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反射像における濃淡差が相対的に小さい被測定物に対するフォーカス合わせをより容易に行なうことのできる光学特性測定装置およびフォーカス調整方法を提供する。
【解決手段】観察用光源が発生する観察光のビーム断面の光強度(光量)は、略均一である。マスク部26aがこの観察光の一部をマスクすることで、そのビーム断面においてレチクル像に相当する領域の光強度が略ゼロにされる。このレチクル像に相当する影領域が形成された観察光は、ビームスプリッタ20で反射されて被測定物OBJへ照射される。この被測定物OBJに投射されたレチクル像に対応する反射像の濃淡差(コントラスト)に基づいて、被測定物OBJに対する測定光のフォーカス状態を判断する。
【選択図】図2

Description

この発明は、光学特性測定装置およびそれにおけるフォーカス調整方法に関し、より特定的にはその反射像における濃淡差が相対的に小さな被測定物に対する光学特性測定に際してフォーカス合わせを容易に行なう技術に関する。
基板上などに形成された薄膜に対して光を照射しその反射光を分光計測することにより、当該薄膜の反射率や屈折率、消衰係数、膜厚などの光学特性(光学定数)を測定するための代表的な光学特性測定装置として顕微分光装置が知られている。
一般的な顕微分光装置は、たとえば特開平11−230829号公報(特許文献1)の図1に開示されるような構成となっている。この顕微分光装置は、光源から出射された照明光をハーフミラーを介してテーブル上に載置された測定試料に導く照明光学系と、測定試料において反射された光を回折格子およびモニター用光学系に導く結像光学系とを備える。そして、回折格子は、測定試料上の測定領域からの観察光を分光する分光手段として機能し、分光スペクトルをラインセンサ上に結像する。そして、ラインセンサで測定される分光スペクトルによって光学特性が算出される。一方、モニター用光学系は、測定試料の拡大像をリレーレンズにより2次元のCCDカメラ上に結像する。そして、CCDカメラにより撮像された測定試料の拡大像は測定位置の確認やフォーカス合わせに使用される。
さらに、特開2006−301270号公報(特許文献2)や特開2000−137158号公報(特許文献3)には、モニター用光学系によって取得された拡大像に基づいてオートフォーカスを行なう技術が開示されている。
特開平11−230829号公報 特開2006−301270号公報 特開2000−137158号公報
上述した特開2006−301270号公報(特許文献2)には、映像信号の輝度レベルの周波数スペクトラムに基づいてフォーカス値を算出する構成が開示されており、特開2000−137158号公報(特許文献3)には、フォーカスエリア内のエッジ強度値に基づいてフォーカス値(フォーカス度)を算出する構成が開示されている。
これらの構成は、被測定物を撮影して得られる像(もしくは、その映像信号)に濃淡差(コントラスト)が存在する場合に適用できるものであり、被測定物自体の濃淡差が少ない場合には、適用することが困難となる。たとえば、ガラス基板やレンズといった透明な物質を被測定物とする場合には、反射率が低いので反射光が弱くなり、その反射像が全体的に暗くなって濃淡差は小さくなる。一方、その表面に何らの模様(パターン)も形成されていない鏡面状の試料を被測定物とする場合には、反射率が高いので入射光のほぼすべてが反射してしまい、このときにも反射像の濃淡差は小さくなる。そのため、従来の方法では、合焦状態と非合焦状態との間のフォーカス値の変化が小さく、十分なフォーカス精度を得ることができなかった。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、反射像における濃淡差が相対的に小さい被測定物に対するフォーカス合わせをより容易に行なうことのできる光学特性測定装置およびフォーカス調整方法を提供することである。
この発明のある局面に従う光学特性測定装置は、被測定物に対する測定範囲の波長を含む測定光を発生する測定用光源と、被測定物で反射可能な波長を含む観察光を発生する観察用光源と、測定光および観察光が入射され、入射された光を集光する集光光学系と、集光光学系と被測定物との間の位置関係を変更可能な調整機構と、測定用光源から集光光学系までの光学経路上の所定位置において観察光を注入する光注入部と、観察用光源から光注入部までの光学経路上の所定位置において、観察基準像が投射されるように観察光の一部をマスクするマスク部と、被測定物で生じる反射光のうち、測定反射光と観察反射光とを分離する光分離部と、観察反射光に含まれる観察基準像に対応する反射像に基づいて、被測定物における測定光のフォーカス状態を判断するフォーカス状態判断部と、フォーカス状態の判断結果に応じて調整機構を制御する位置制御部とを備える。
この発明によれば、その一部がマスクされた観察光が被測定物に照射されることで、被測定物には観察基準像が投射される。この観察光は、被測定物で反射して観察反射光を生じ、この観察反射光には観察基準像に対応する反射像が含まれる。この観察基準像に対応する反射像には観察基準像によって濃淡差(コントラスト差)が生じるので、被測定物の反射率にかかわらず、被測定物における観察光のフォーカス状態を正確に判断することができる。
一方、測定光および観察光は、共通の集光光学系を介して被測定物に照射されるので、被測定物における観察光のフォーカス状態と、被測定物における測定光のフォーカス状態とを実質的に同一とみなすことができる。
したがって、その反射像における濃淡差が相対的に小さな被測定物であっても、観察基準像に対応する反射像を含む観察反射光に基づいて、容易にフォーカス合わせを行なうことができる。
好ましくは、光学特性測定装置は、観察反射光を受光して、当該観察反射光に応じた映像信号を出力する撮像部をさらに備え、フォーカス状態判断部は、撮像部からの映像信号に基づいて、フォーカス状態を示す値を出力する。
さらに好ましくは、フォーカス状態判断部は、観察反射光に応じた映像信号のうち予め設定された領域に相当する信号成分に基づいて、フォーカス状態を示す値を出力する。
好ましくは、調整機構は、測定光の光軸に沿って被測定物を移動可能に構成され、位置制御部は、フォーカス状態を示す値が最大となるように、光軸に沿って集光光学系と被測定物との間の距離を調整する。
好ましくは、調整機構は、さらに光軸と直交する平面に沿って被測定物を移動可能に構成され、位置制御部は、フォーカス状態を示す値が最大となる場合における被測定物の光軸方向の位置に相当するフォーカス位置を平面上の複数の座標について取得し、取得した複数のフォーカス位置に基づいて、被測定物の空間的な変曲点を探索する。
さらに好ましくは、位置制御部は、平面上の第1の方向に沿った複数の座標についてフォーカス位置を取得するとともに、平面上の第1の方向と直交する第2の方向に沿った複数の座標についてフォーカス位置を取得し、さらに第1および第2の方向のそれぞれにおいてフォーカス位置が最大値または最小値となる座標に基づいて、被測定物の空間的な変曲点を決定する。
さらに好ましくは、位置制御部は、空間的な変曲点に測定光および観察光が照射されるように被測定物を平面に沿って移動させた後、フォーカス状態を示す値が最大となるように、光軸に沿って集光光学系と被測定物との間の距離をさらに調整する。
好ましくは、撮像部は、行列状に配置された複数の画素の各々に対応する観察反射光の輝度データを映像信号として出力し、フォーカス状態判断部は、各画素に対応する輝度データのヒストグラムに基づいて、フォーカス状態を示す値を出力する。
この発明の別の局面に従えば、光学特性測定装置におけるフォーカス調整方法であって、光学特性測定装置は、被測定物に対する測定範囲の波長を含む測定光を発生する測定用光源と、被測定物で反射可能な波長を含む観察光を発生する観察用光源と、測定光および観察光が入射され、入射された光を集光する集光光学系と、集光光学系と被測定物との間の位置関係を変更可能な調整機構と、測定用光源から集光光学系までの光学経路上の所定位置において観察光を注入する光注入部と、観察用光源から光注入部までの光学経路上の所定位置において、観察基準像が投射されるように観察光の一部をマスクするマスク部と、被測定物で生じる反射光のうち、測定反射光と観察反射光とを分離する光分離部とを備える。フォーカス調整方法は、観察用光源から観察光の発生を開始するステップと、観察反射光に含まれる観察基準像に対応する反射像に基づいて、被測定物における測定光のフォーカス状態を判断するステップと、フォーカス状態の判断結果に応じて調整機構を制御するステップとを備える。
好ましくは、光学特性測定装置は、観察反射光を受光して、当該観察反射光に応じた映像信号を出力する撮像部をさらに備え、調整機構は、測定光の光軸に沿って被測定物を移動可能に構成され、フォーカス状態を判断するステップは、撮像部からの映像信号に基づいて、フォーカス状態を示す値を出力するステップを含み、調整機構を制御するステップは、フォーカス状態を示す値が最大となるように、光軸に沿って集光光学系と被測定物との間の距離を調整するステップを含む。
この発明によれば、反射像における濃淡差が相対的に小さい被測定物に対するフォーカス合わせをより容易に行なうことのできる光学特性測定装置およびフォーカス調整方法を実現できる。
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、この発明の実施の形態1に従う光学特性測定装置100Aの概略構成図である。
この発明の実施の形態1に従う光学特性測定装置100Aは、代表的に、顕微分光式の測定装置であって、被測定物からの反射光のスペクトルを測定することで、被測定物に形成された薄膜などについての(絶対および相対)反射率や屈折率、消衰係数、膜厚などの光学特性(光学定数)を測定する。
なお、被測定物の代表例としては、半導体基板、ガラス基板、サファイア基板、石英基板、フィルムなどの表面に薄膜が形成(コーティング)されたものである。より具体的には、薄膜形成されたガラス基板は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)やプラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)などのフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)のディスプレイ部として使用されている。また、薄膜形成されたサファイア基板は、窒化物半導体(GaN:Gallium Nitride)系のLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)として使用されている。また、薄膜形成された石英基板は、各種の光学フィルタや光学部品およびプロジェクション液晶などに使用されている。
特に、本実施の形態に従う光学特性測定装置100Aは、ガラス基板などの透明で反射率が相対的に低い被測定物の光学特性を測定する際に、フォーカス合わせに用いられる観察光の一部をマスクすることによって被測定物に観察基準像を投射し、この観察基準像に対応する反射像に基づいて被測定物に対するフォーカス合わせを行なうものである。また、本実施の形態に従う光学特性測定装置100Aは、フォーカス合わせに用いられる観察光の一部をマスクすることによって、その表面に何らの模様(パターン)も形成されていない鏡面状の被測定物に対するフォーカス合わせを行なうこともできる。
図1を参照して、光学特性測定装置100Aは、制御装置2と、測定用光源10と、コリメートレンズ12と、カットフィルタ14と、結像レンズ16,36と、絞り部18と、ビームスプリッタ20,30と、観察用光源22と、光ファイバ24と、出射部26と、ピンホールミラー32と、軸変換ミラー34と、観察用カメラ38と、表示部39と、対物レンズ40と、ステージ50と、可動機構52と、分光測定部60と、データ処理部70とを備える。
測定用光源10は、被測定物の光学特性の測定に用いられる測定光を生成する光源であり、代表的に重水素ランプ(Dランプ)やタングステンランプ、またはそれらの組合せからなる。そして、測定用光源10が発生する測定光は、被測定物に対する光学特性の測定範囲(一例として、ガラス基板上に形成された薄膜では250nm〜750nm)の波長を含む。なお、本実施の形態に従う光学特性測定装置100Aでは、測定光をフォーカス合わせに使用しないので、測定光の波長帯域を任意に設定可能であり、赤外帯域や紫外帯域といった可視帯域以外の波長のみを含む測定光を用いてもよい。
コリメートレンズ12と、カットフィルタ14と、結像レンズ16と、絞り部18とは、測定用光源10とビームスプリッタ30とを結ぶ光軸AX2上に配置され、測定用光源10から出射される測定光を光学的に調整する。
コリメートレンズ12は、測定用光源10からの測定光が最初に入射する光学部品であり、拡散光線として伝播する測定光を屈折させて平行光線に変換する。コリメートレンズ12を通過した測定光はカットフィルタ14に入射する。
カットフィルタ14は、測定光に含まれる波長を光学特性の測定に必要な波長範囲に制限するための光学フィルタである。すなわち、測定光に含まれる測定範囲以外の波長成分は測定誤差要因となるため、カットフィルタ14が測定光を必要な波長範囲に制限する。代表的に、カットフィルタ14は、ガラス基板などに蒸着された多層膜によって形成される。
結像レンズ16は、測定光のビーム径を調整するために、カットフィルタ14を通過した測定光を平行光線から収束光線に変換する。結像レンズ16を通過した測定光は絞り部18に入射する。
絞り部18は、測定光の光量を所定量に調整した上でビームスプリッタ30へ出射する。好ましくは、絞り部18は、結像レンズ16によって変換された測定光の結像位置に配置される。なお、絞り部18の絞り量は、被測定物に入射する測定光の被写界深度や必要な光強度などに応じて適宜設定される。
一方、観察用光源22は、被測定物へのフォーカス合わせや測定位置の確認に使用される観察光を生成する光源であって、制御装置2からの指令に応じて観察光の生成を開始または停止する。そして、観察用光源22が発生する観察光は、被測定物で反射可能な波長を含むように選択される。なお、本実施の形態に従う光学特性測定装置100Aでは、観察光は光学特性の測定に使用されないので、必要な波長帯域および光量をもつ任意の光源を採用することができる。観察用光源22は、光ファイバ24を介して出射部26と接続されており、観察用光源22で生成された観察光は、光導波路である光ファイバ24を伝播した後に出射部26からビームスプリッタ20へ向けて出射される。
出射部26は、観察用光源22からビームスプリッタ20までの光学経路上の所定位置に配置されるとともに、所定の観察基準像が投射されるように観察光の一部をマスクするマスク部26aを含む。すなわち、観察用光源22で生成された直後の観察光のビーム断面における光強度(光量)は略均一であるが、マスク部26aがこの観察光の一部をマスク(遮へい)することで、観察光にはそのビーム断面において光強度が略ゼロである領域(影領域)が形成される。この影領域が観察基準像として被測定物に投射される。以下では、このような観察基準像を「レチクル(reticle)像」とも称す。
このように、本実施の形態に従う光学特性測定装置100Aは、レチクル像を含む観察光を被測定物に照射することで、その表面に何らの模様(パターン)も形成されていない反射率の低い被測定物(代表的に、透明なガラス基板など)に対しても、当該投射されたレチクル像に基づいて、フォーカス合わせを容易に行なうことができる。また、照射された観察光のほぼすべてが反射されるような鏡面状の試料に対しても、レチクル像によって反射像には濃淡差が生じるので、フォーカス合わせを容易に行なうことができる。なお、レチクル像の形状はいずれであってもよいが、一例として同心円状や十字状のパターンなどを用いることが好ましい。
ステージ50は、被測定物を配置するための可動自在な試料台であり、その配置面は平坦に形成される。このステージ50は、一例として機械的に連結された可動機構52によって、3方向(X方向・Y方向・Z方向)に自在に駆動される。なお、本明細書において「Z方向」は光軸AX1に沿った方向を意味し、「X方向」および「Y方向」は光軸AX1と直交する面上の独立した2つの方向を意味する。また、可動機構52は、一例として3軸分のサーボモータと、各サーボモータを駆動するためのサーボドライバとを含んで構成される。そして、可動機構52は、制御装置2からのステージ位置指令に応答してステージ50を駆動する。このステージ50の駆動によって、被測定物と後述する対物レンズ40との間の位置関係が調整される。
対物レンズ40と、ビームスプリッタ20と、ビームスプリッタ30と、ピンホールミラー32とは、ステージ50の平坦面に垂直な方向に延伸する光軸AX1上に配置される。
ビームスプリッタ30は、測定用光源10で生成される測定光を反射することで、その伝播方向を光軸AX1の紙面下向きに変換する。また、ビームスプリッタ30は、光軸AX1を紙面上向きに伝播する被測定物からの反射光を透過させる。代表的に、ビームスプリッタ30はハーフミラーで構成される。
一方、ビームスプリッタ20は、観察用光源22で生成される観察光を反射することで、その伝播方向を光軸AX1の紙面下向きに変換する。同時に、ビームスプリッタ20は、光軸AX1を紙面下向きに伝播するビームスプリッタ30で反射された測定光を透過させる。すなわち、ビームスプリッタ20は、測定用光源10から集光光学系である対物レンズ40までの光学経路上の所定位置において観察光を注入する光注入部として機能する。このビームスプリッタ20で合成された測定光と観察光とは、対物レンズ40に入射する。また、ビームスプリッタ20は、光軸AX1を紙面上向きに伝播する被測定物からの反射光を透過させる。代表的に、ビームスプリッタ20はハーフミラーで構成される。
対物レンズ40は、光軸AX1を紙面下向きに伝播する測定光および観察光を集光するための集光光学系である。すなわち、対物レンズ40は、被測定物またはその近接した位置で結像するように測定光および観察光を収束させる。また、対物レンズ40は、所定の倍率(たとえば、10倍,20倍,30倍,40倍など)を有する拡大レンズであり、被測定物の測定対象領域を対物レンズ40に入射する光のビーム断面に比較してより微小化する。そのため、被測定物のより微小な領域についての光学特性を測定できる。
また、対物レンズ40から被測定物に入射した測定光および観察光の一部は、被測定物で反射され、光軸AX1上を紙面上向きに伝播する。この反射光は、対物レンズ40に透過した後、ビームスプリッタ20および30を透過してピンホールミラー32まで到達する。
ピンホールミラー32は、被測定物で生じる反射光のうち、測定反射光と観察反射光とを分離する光分離部として機能する。具体的には、ピンホールミラー32は、光軸AX1を紙面上向きに伝播する被測定物からの反射光を反射する反射面を含み、その反射面と光軸AX1との交点を中心とする穴あき部(ピンホール)32aが形成されている。このピンホール32aの大きさは、測定用光源10からの測定光が被測定物で反射されて生じる測定反射光の、ピンホールミラー32の位置におけるビーム径に比較して小さくなるように形成される。また、このピンホール32aは、それぞれ測定光および観察光が被測定物で反射されて生じる測定反射光および観察反射光の結像位置と一致するように配置される。このような構成によって、被測定物で生じた反射光は、ピンホール32aを通過して分光測定部60に入射する。一方、反射光の残部は、その伝播方向を変換されて軸変換ミラー34へ入射する。
分光測定部60は、ピンホールミラー32を通過した測定反射光のスペクトルを測定し、その測定結果をデータ処理部70へ出力する。より詳細には、分光測定部60は、回折格子(グレーティング)62と、検出部64と、カットフィルタ66と、シャッタ68とを含む。
カットフィルタ66と、シャッタ68と、回折格子62とは、光軸AX1上に配置される。カットフィルタ66は、ピンホールを通過して分光測定部60に入射する測定反射光に含まれる測定範囲外の波長成分を制限するための光学フィルタであり、特に測定範囲外の波長成分を遮断する。シャッタ68は、検出部64をリセットするときなどに、検出部64に入射する光を遮断するために使用される。シャッタ68は、代表的に電磁力によって駆動する機械式のシャッタからなる。
回折格子62は、入射する測定反射光を分光した上で、各分光波を検出部64へ導く。具体的には、回折格子62は、反射型の回折格子であり、所定の波長間隔毎の回折波が対応する各方向に反射するように構成される。このような構成を有する回折格子62に測定反射波が入射すると、含まれる各波長成分は対応する方向に反射されて、検出部64の所定の検出領域に入射する。回折格子62は、代表的にフラットフォーカス型球面グレーティングからなる。
検出部64は、測定反射光のスペクトルを測定するために、回折格子62で分光された測定反射光に含まれる各波長成分の光強度に応じた電気信号を出力する。検出部64は、代表的にフォトダイオードなどの検出素子をアレイ状に配置したフォトダイオードアレイや、マトリックス状に配置されたCCD(Charged Coupled Device)などからなる。
なお、回折格子62および検出部64は、光学特性の測定波長範囲および測定波長間隔などに応じて適宜設計される。
データ処理部70は、検出部64からの測定結果(電気信号)に基づいて各種のデータ処理(代表的には、フィッティング処理やノイズ除去処理)を行ない、被測定物の反射率や屈折率、消衰係数、膜厚などの光学特性(光学定数)を制御装置2や図示しない他の装置へ出力する。
一方、ピンホールミラー32で反射された観測反射光は光軸AX3に沿って伝播し、軸変換ミラー34へ入射する。軸変換ミラー34は、観測反射光の伝播方向を光軸AX3から光軸AX4に変換する。すると、観測反射光は、光軸AX4に沿って伝播し、観察用カメラ38へ入射する。
観察用カメラ38は、観察反射光を受光して、受光した観察反射光に応じた映像信号を出力する撮像部であり、代表的にはCCD(Charged Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどからなる。なお、観察用カメラ38の感度波長は、観察光に含まれる波長をカバーするように設定され、代表的に可視帯域に感度をもつものが一般的である。そして、観察用カメラ38は、受光した観察反射光に応じた映像信号を表示部39および制御装置2へ出力する。表示部39は、観察用カメラ38からの映像信号に基づいて観察反射光の像を画面上に表示する。ユーザは、この表示部39に表示される像を目視して測定位置の確認などを行なうこともできる。表示部39は、代表的に液晶ディスプレイ(LCD)などからなる。
制御装置2は、観察用カメラ38からの映像信号に基づいて、観察反射光に含まれるレチクル像に対応する反射像に基づいて被測定物における測定光のフォーカス状態を判断し、そのフォーカス状態の判断結果に応じて可動機構52を駆動する。上述したように、測定光および観察光は、いずれも対物レンズ40を介して被測定物に入射する。そのため、測定用光源10から対物レンズ40までの光学経路と、観察用光源22から対物レンズ40までの光学経路とを光学的に等価に設計することで、被測定物に対する観察光のフォーカス状態と、被測定物に対する測定光のフォーカス状態とを実質的に同一とみなすことができる。言い換えれば、観察光が被測定物において合焦状態にあれば、測定光についても被測定物において合焦状態とみなすことができる。そこで、本実施の形態に従う光学特性測定装置100Aでは、観察光が被測定物で反射して生じる観察反射光による反射像のフォーカス状態に基づいて、被測定物における測定光のフォーカス状態を判断する。
より具体的には、制御装置2は、観察用カメラ38からの映像信号に基づいて、被測定物における測定光のフォーカス状態を示す値(以下、「フォーカス値」とも称す)を算出し、このフォーカス値が最大となるように、被測定物と対物レンズ40との間の位置関係を制御する。このフォーカス値の算出方法や位置関係の制御方法などについては後述する。
また、制御装置2は、フォーカス値が最大となる場合における被測定物(ステージ50)のZ方向の位置に相当するフォーカス位置MzをXY平面上の複数の座標について取得し、取得した複数のフォーカス位置Mzに基づいて、被測定物の空間的な変曲点を探索する。本明細書において「空間的な変曲点」とは、被測定物が凸形状や凹形状などの表面形状を有する場合に、その頂点や底点などの空間的な変化方向が変わる点を意味する。より具体的には、被測定物が凸形状のレンズなどである場合において、制御装置2は当該レンズの頂点を「空間的な変曲点」として探索する。この空間的な変曲点の探索にかかる処理についても後述する。
制御装置2は、代表的に、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置とを含むコンピュータ(いずれも図示しない)で構成され、ハードディスク装置に予め格納されたプログラムがRAMに読み出された上で、CPUが当該プログラムを実行することで、本発明に係る処理が実現される。なお、本発明に係る処理の一部または全部をハードウェアによって実現してもよい。
上述した図1と本願発明との対応関係については、測定用光源10が「測定用光源」に相当し、観察用光源22が「観察用光源」に相当し、対物レンズ40が「集光光学系」に相当し、ビームスプリッタ20が「光注入部」に相当し、マスク部26aが「マスク部」に相当し、ピンホールミラー32が「光分離部」に相当し、観察用カメラ38が「出力部」に相当し、可動機構52が「調整機構」に相当し、観察用カメラ38が「撮像部」に相当する。
(観察基準像)
図2は、被測定物に観察基準像を投射する構成をより詳細に説明するための図である。
図2を参照して、観察用光源22(図1)が発生する観察光は、光ファイバ24を介して出射部26へ導かれる。この観察用光源22が発生する観察光のビーム断面の光強度(光量)は、A−A断面として図示するように略均一である。そして、出射部26に含まれるマスク部26aが観察光の一部をマスクすることで、そのビーム断面においてレチクル像に相当する領域の光強度が略ゼロにされる。すなわち、出射部26を通過後の観察光のビーム断面の光強度は、B−B断面として図示するようにレチクル像に相当する影領域が形成されている。そして、このレチクル像に相当する影領域が形成された観察光は、ビームスプリッタ20で反射されて、光軸AX1に沿って被測定物OBJへ向けて進行する。
一方、測定用光源10(図1)が発生する測定光は、ビームスプリッタ30で反射されて、光軸AX1に沿って被測定物OBJへ向けて進行する。ここで、測定光のビーム断面の光強度(光量)は、C−C断面として図示するように略均一である。
このようにして、被測定物OBJには測定光および観察光が照射される。
図3は、観察用カメラ38で撮影される被測定物OBJからの観察像の一例を示す図である。
図3を参照して、観察用カメラ38では、被測定物OBJに投射される観察光のビーム径に応じた観察視野80を得ることができる。この観察視野80内には、被測定物OBJからの反射像が含まれるとともに、被測定物OBJに投射されるレチクル像に対応する反射像86が含まれる。なお、観察視野80の中心部には、ピンホールミラー32に設けられるピンホール32a(図1)による影部82が存在している。すなわち、影部82は測定光が被測定物OBJで反射されて生じる測定反射光が分離されたことによるものである。
本実施の形態に従う光学特性測定装置100Aは、図3に示すレチクル像に対応する反射像86の濃淡差(コントラスト差)に基づいて、被測定物OBJに対する測定光のフォーカス状態を判断する。
なお、観察光は可視帯域の波長を含むように設定されることが多いが、被測定物の可視帯域の波長についての反射率が極めて小さい場合(たとえば、可視反射防止膜など)には、観察光が近赤外や紫外線域の波長を含むように設定してもよい。この場合には、観察用カメラ38の受光感度についても、観察光の波長に対応するように選択される。
(測定光および観察光のビーム径)
被測定物が凸形状のレンズなどである場合には、球面状の表面に測定光が入射するため、測定光のビーム径(照射スポット径)が被測定物の曲率半径などに比較して大きい場合には、測定光が被測定物の表面で分散して入射経路とは別の経路に反射される割合が大きくなる。すなわち、測定光のうち被測定物で正反射する光量が低下するので、反射率や膜厚などの光学特性を正確に測定することができない。
そのため、光学特性の測定精度をより向上させる観点からは、被測定物に入射する測定光のビーム径は相対的に小さいことが好ましい。一例として、被測定物に入射する測定光のビーム径と被測定物の大きさとの関係としては、直径が3〜7mmのレンズを被測定物とする場合には、測定光のビーム径は0.01mm程度とすることが好ましい。
また、測定光の伝播に際してその光学経路上にあるレンズの表面で僅かながら反射が生じたり、測定反射光がピンホール32aからずれた位置での結像が生じたりする。このような分光測定部60に好ましくない(入射してほしくない)光は内部反射光とも称され、測定誤差の要因となり得るが、伝播中の測定光のビーム径を小さくすることで、ピンホール32aに入射するこのような内部反射光を低減することができる。すなわち、測定光のビーム径を1/8にすると、単純計算で内部反射光は約1/64に低減できる。さらに、反射ムラや乱反射の影響も抑制できるので、実際には内部反射光をより低減することが可能となる。
これに対して、被測定物に対するフォーカス合わせをより容易に行なう観点からは、被測定物に入射する観察光のビーム径は相対的に大きいことが好ましい。これは、可能な限り大きな観察視野を確保するためである。
そこで、本実施の形態に従う光学特性測定装置100Aでは、図2に示すように、ビームスプリッタ20における測定光のビーム径が、ビームスプリッタ20における観察光のビーム径に比較して小さくなるように設計される。
(制御装置における処理)
図4は、この発明の実施の形態1に従う制御装置2の機能構成を示すブロック図である。
図4を参照して、制御装置2はその機能として、フォーカス状態判断部2Aと、位置制御部2Bとを含む。
フォーカス状態判断部2Aは、観察光が被測定物で反射して生じる観察反射光に含まれるレチクル像に対応する反射像に基づいて、被測定物における測定光のフォーカス状態を判断する。より具体的には、観察用カメラ38からの観察反射光に応じた映像信号に基づいてフォーカス値(以下、FV(Focus Value)とも記載する)を算出し、位置制御部2Bへ出力する。なお、フォーカス状態判断部2Aは、観察用カメラ38からの映像信号のうち、予め設定された領域に相当する信号成分に基づいてフォーカス値を算出することもできる。
一方、位置制御部2Bは、フォーカス状態判断部2Aからのフォーカス値に応じてステージ位置指令を出力することで可動機構52を駆動し、対物レンズ40(図1,図2)と被測定物との間の位置関係を調整する。具体的には、位置制御部2Bは、フォーカス値が最大となるように、光軸AX1に沿って対物レンズ40と被測定物との間の距離を調整する。
上述した図4と本願発明との対応関係については、フォーカス状態判断部2Aが「フォーカス状態判断部」に相当し、位置制御部2Bが「位置制御部」に相当する。
(フォーカス値算出処理)
図5は、観察用カメラ38から出力される映像信号のデータ構造を示す図である。
図5を参照して、観察用カメラ38では、観察用光源22側から光軸AX1に沿ってステージ50を観察した反射像が撮影される。すなわち、観察用カメラ38からは、ステージ50上のX方向およびY方向に対応する反射像を示す映像信号が出力される。このような映像信号は、撮影周期で更新されるフレーム200からなる。なお、図5では、説明の便宜上、フレーム200の行方向がステージ50上のX方向に対応し、フレーム200の列方向がステージ50上のY方向に対応する例を示すが、このような対応関係は必ずしも必要ではない。
このフレーム200は、行列状に配置された複数の画素の各々に対応するn行×m列の輝度データで構成される。この各画素に対応する輝度データは、観察用カメラ38がモノクロームであれば、代表的に濃淡値として0〜255のいずれかのレベルとなり、観察用カメラ38がカラーであれば、代表的に赤(R),緑(G),青(B)のそれぞれについて0〜255のいずれかのレベルとなる。
フォーカス状態判断部2Aは、各画素に対応する輝度データのヒストグラムを算出し、そのヒストグラムに基づいてフォーカス値を判断する。
図6は、輝度データから算出されるヒストグラムの一例を示す図である。
図6(a)は、非合焦状態におけるヒストグラムを示し、図6(b)は、合焦状態におけるヒストグラムを示す。
図6(a)および図6(b)に示すように、ヒストグラムは、フレーム200を構成する画素についての輝度レベルの分布状態を示すものであり、各輝度レベルに対応付けて、当該輝度レベルを有する画素数をプロットしたものである。なお、図6(a)および図6(b)に示すヒストグラムは一次元の輝度レベルに基づくものであるので、各画素が赤(R),緑(G),青(B)についての3次元の輝度レベルを有する場合などにおいては、赤(R),緑(G),青(B)のうち特定の色についての輝度レベルを用いたり、赤(R),緑(G),青(B)の輝度レベルを合計した値を用いたりすることができる。さらに、各画素の輝度レベルによるヒストグラムに代えて、またはそれに加えて、行方向または列方向に隣接する画素間の輝度レベルの差分値に基づくヒストグラムを算出してもよい。
このように算出されたヒストグラムには、フォーカス状態に応じて異なる特徴が現れる。代表的に、被測定物に対して測定光(観察光)が非合焦状態にあれば、算出されるヒストグラムは相対的に緩やかなピークが現れる(図6(a))。一方、被測定物に対して測定光(観察光)が合焦状態にあれば、算出されるヒストグラムは相対的に急峻なピークが現れる(図6(b))。そこで、フォーカス状態判断部2Aは、ヒストグラムに現れるこのような特徴的な変化に基づいてフォーカス値を算出する。
代表的に、フォーカス状態判断部2Aは、ヒストグラムに現れるピークの広がり度合いに基づいてフォーカス値を算出する。より具体的には、フォーカス状態判断部2Aは、輝度データのヒストグラムを算出してそのピーク値PK(a),PK(b)を取得する。そして、フォーカス状態判断部2Aは、取得したピーク値に所定の低減率αを乗じた値(αPK(a),αPK(b))に相当するヒストグラムの幅SW(a),SW(b)を取得する。フォーカス状態判断部2Aは、このヒストグラムの幅SW(a),SW(b)に応じて、フォーカス値を決定する。すなわち、ヒストグラムの幅SWが小さいほど、フォーカス値は大きくなる。
このようなフォーカス値の算出処理において、フレーム200に含まれるすべての画素の輝度データを用いてもよいが、被測定物の形状によっては、フレーム200に含まれる画素のうち予め設定された領域に相当する画素の輝度データだけを用いることが好ましい場合もある。
図7は、凸形状の球面を有する被測定物を測定する場合に取得される観察像の概念図である。
図7を参照して、レンズなどの凸形状の球面を有する被測定物OBJの表面上の各点と対物レンズ40との間の距離は、表面形状に応じて異なっている。ここで、対物レンズ40が所定の倍率を有する拡大レンズなどからなる場合には、被写界深度は極めて小さく(たとえば、数10μm程度)なる。そのため、観察用カメラ38で撮影される観察像のうち、所定の範囲だけが合焦状態となる場合がある。
たとえば、被測定物OBJが球面形状であれば、フレーム200に含まれる観察視野80のうち、Z方向の位置が所定範囲(すなわち、被写界深度)にある領域210についてのみ合焦状態となり得る。そのため、投射されるレチクル像204のうち、領域210に相当する範囲(図7において実線部分)については明瞭に観察できる一方で、領域210に相当する範囲以外(図7において破線部分)についてはぼやけた状態で観察される。
したがって、フレーム200の観察視野80に比較して、フォーカス合わせ可能な領域が小さい場合には、フレーム200に含まれる画素のうちフォーカスを合わせたい領域に対応する画素の輝度データを用いて、フォーカス値を算出することが好ましい。すなわち、観察用カメラ38から出力される観察反射光に応じた映像信号のうち、予め設定された領域に相当する信号成分に基づいて、フォーカス値を算出することが好ましい。なお、上述したように、観察視野80(すなわち、観察光のビーム径)に比較して、測定光の照射スポット(すなわち、測定光のビーム径)が小さくなるように設計されるので、フォーカス値の算出には、フレーム200に含まれる画素のうち測定光が照射される領域に対応する画素、または当該領域を包含するような領域に対応する画素を用いることがより好ましい。
図5を参照して、フォーカス状態判断部2Aは、観察用カメラ38から出力される映像信号のフレーム200を構成する画素のうち、フォーカスを合わせるべき領域220に含まれる画素を抽出し、この抽出した画素の輝度データに基づいて、フォーカス値を算出する。
なお、フォーカス値の算出処理としては、上記の方法以外の公知の方法を用いることも可能である。
(フォーカス合わせ処理)
上述したように、フォーカス状態判断部2Aで算出されるフォーカス値に応じて、位置制御部2Bは、対物レンズ40と被測定物との間の距離を光軸AX1に沿って調整、すなわち被測定物における測定光(観測光)のフォーカス合わせを行なう。
具体的には、位置制御部2Bは、光軸AX1に沿って対物レンズ40と被測定物との間の距離(Z方向位置)を順次変更するとともに、各位置において算出されるフォーカス値を取得し、フォーカス値が最大となるZ方向位置を探索する。
図8は、対物レンズ40と被測定物との間の距離変化に伴うフォーカス値FVの変化特定を示す図である。
図8を参照して、位置制御部2Bがステージ位置指令を可動機構52に与えて、対物レンズ40と被測定物との間の距離を光軸AX1に沿って変化させると、フォーカス状態判断部2Aで算出されるフォーカス値FVは、フォーカス位置Mzに近付くにつれて大きくなっていく。そして、測定光(観測光)が被測定物にフォーカスが合う位置、すなわち被測定物が対物レンズ40による測定光(観測光)の結像位置に一致した状態において、フォーカス値FVは極大値をとる。
このような特性を利用して、位置制御部2Bはフォーカス値が最大となるZ方向位置を探索することで、測定光(観測光)の焦点合わせを行なう。ここで、フォーカス位置Mzは、代表的にZ方向の基準位置からの距離を意味する。
なお、フォーカス値FVの算出対象となるZ方向の最小刻み幅(以下、フォーカス分解能とも称す)は比較的小さくできるので、このフォーカス分解能の単位でフォーカス位置Mzを探索すると、探索範囲の大きさによっては非常に演算処理量が多くなる。そこで、フォーカス分解能より大きなZ方向の幅(以下、フォーカス探索分解能とも称す)の単位で粗調整を行なった後、フォーカス分解能の単位で微調整を行なうことが好ましい。なお、フォーカス探索分解能は、フォーカス分解能の整数倍であることが好ましい。
図9は、フォーカス位置の探索に係る処理を説明するための図である。
図9を参照して、ステージ50の可動範囲や被測定物の高さなどに応じて、Z方向に沿った所定のフォーカス位置探索範囲が予め定められている場合において、まず位置制御部2Bは、粗調整を行なうために、フォーカス探索分解能の単位で被測定物をZ方向に移動する。図9に示す例では、位置制御部2Bが被測定物(ステージ50)をZ方向位置Pr1〜Pr6の6か所に逐次的に移動させる。そして、位置制御部2Bは、Z方向位置Pr1〜Pr6の各々においてフォーカス状態判断部2Aが算出するフォーカス値FV(Pr1)〜FV(Pr6)を取得する。その後、取得されたフォーカス値FV(Pr1)〜FV(Pr6)のうち最大値となるものを抽出する。図9に示す例では、Z方向位置Pr3でのフォーカス値FV(Pr3)が最大値である場合を示す。
このように粗調整が完了すると、位置制御部2Bは微調整を行なう。すなわち、位置制御部2Bは、最大のフォーカス値が得られたZ方向位置Pr3を中心とするフォーカス探索分解能の範囲に対して、フォーカス分解能の単位で被測定物をZ方向に移動する。図9に示す例では、フォーカス探索分解能がフォーカス分解能の6倍に設定されているとする。この場合において、位置制御部2Bは被測定物(ステージ50)をZ方向位置Pf1〜Pf6の6か所に逐次的に移動させる。そして、位置制御部2Bは、Z方向位置Pf1〜Pf6の各々においてフォーカス状態判断部2Aが算出するフォーカス値FV(Pf1)〜FV(Pf6)を取得する。その後、取得されたフォーカス値FV(Pf1)〜FV(Pf6)のうち最大値となるものを抽出する。図9に示す例では、Z方向位置Pf5でのフォーカス値FV(Pf5)が最大値である場合を示す。すると、位置制御部2Bは、このフォーカス値が最大となるZ方向位置Pf5がフォーカス位置Mzであると判断する。
このように、粗調整および微調整の2段階でフォーカス位置Mzを探索することで、被測定物の移動およびフォーカス値の算出という一連の作業回数を低減できる。なお、図9に示す例では、フォーカス位置探索範囲に対して微調整のみでフォーカス位置を探索した場合には36回の処理が必要であるが、粗調整および微調整の2段階でフォーカス位置Mzを探索した場合には12回の処理で済み、単純計算でフォーカス位置Mzの探索時間を1/3に低減できる。
なお、上述の例では、2段階でフォーカス位置を探索する構成について例示したが、探索範囲(分解能)をさらに多くの段数で切替えてフォーカス位置を探索するようにしてもよい。
図10は、この発明の実施の形態1に従う光学特性測定装置100Aを用いたフォーカス合わせ処理の手順を示すフローチャートである。
図10を参照して、まず、ユーザ操作などに応答して、観察用光源22が観察光の発生を開始する(ステップS100)。この発生した観察光が対物レンズ40を介して被測定物に入射すると、被測定物で生じた観察反射光がピンホールミラー32などを介して観察用カメラ38に入射する。観察用カメラ38は、この観察反射光を受光して、当該観察反射光に応じた映像信号を制御装置2へ出力開始する(ステップS102)。
制御装置2の位置制御部2Bは、被測定物(ステージ50)を予め定められたZ方向の初期位置に移動する(ステップS104)。そして、制御装置2のフォーカス状態判断部2Aが、観察用カメラ38からの映像信号に基づいてフォーカス値を算出し(ステップS106)、制御装置2の位置制御部2Bが、算出されたフォーカス値を当該時点のZ方向位置と対応付けて格納する(ステップS108)。
その後、制御装置2の位置制御部2Bは、所定のフォーカス位置探索範囲の全範囲についての探索が完了したか否かを判断する(ステップS110)。フォーカス位置探索範囲の全範囲についての探索が完了していなければ(ステップS110においてNO)、制御装置2の位置制御部2Bが被測定物(ステージ50)をZ方向にフォーカス探索分解能だけ移動し(ステップS112)、ステップS106以降の処理が再度実行される。
フォーカス位置探索範囲の全範囲についての探索が完了していれば(ステップS110においてYES)、制御装置2の位置制御部2Bは、上述のステップS108において格納されたフォーカス値のうちから最大値を抽出し、当該最大値に対応するZ方向位置を決定する(ステップS114)。以上のステップS104〜S114までの処理が粗調整に相当する。
次に、制御装置2の位置制御部2Bは、ステップS114において決定したZ方向位置を中心とするフォーカス探索分解能の範囲を詳細探索範囲に決定する(ステップS116)。そして、制御装置2の位置制御部2Bは、被測定物(ステージ50)をステップS116において決定した詳細探索範囲内の初期位置に移動する(ステップS118)。そして、制御装置2のフォーカス状態判断部2Aが、観察用カメラ38からの映像信号に基づいてフォーカス値を算出し(ステップS120)、制御装置2の位置制御部2Bが、算出されたフォーカス値を当該時点のZ方向位置と対応付けて格納する(ステップS122)。
その後、制御装置2の位置制御部2Bは、詳細探索範囲の全範囲についての探索が完了したか否かを判断する(ステップS124)。詳細探索範囲の全範囲についての探索が完了していなければ(ステップS124においてNO)、制御装置2の位置制御部2Bが被測定物(ステージ50)をZ方向にフォーカス分解能だけ移動し(ステップS126)、ステップS120以降の処理が再度実行される。
詳細探索範囲の全範囲についての探索が完了していれば(ステップS124においてYES)、制御装置2の位置制御部2Bは、上述のステップS122において格納されたフォーカス値のうちから最大値を抽出し、当該最大値に対応するZ方向位置をフォーカス位置に決定し(ステップS128)、フォーカス合わせ処理を終了する。以上のステップS116〜S128までの処理が微調整に相当する。
以上のような処理手順によって、フォーカス位置が決定される。
(空間的変曲点の探索処理)
制御装置2の位置制御部2Bは、上述したフォーカス合わせ処理に加えて、被測定物の空間的な変曲点を探索する処理を行なうようにしてもよい。たとえば、被測定物がレンズなどの凸形状の半球面体である場合などには、頂点以外の斜面(側面)に測定光を照射すると乱反射などにより測定誤差が増加するため、頂点付近に測定光を照射することが好ましい。しかしながら、ユーザの目視による頂点探索は手間と時間を要するため、自動化することが好ましい。そこで、本実施の形態に従う光学特性測定装置100Aでは、以下に述べる(1)〜(3)などの方法を用いて、被測定物の空間的変曲点を探索する。
(1)座標法
座標法は、凸形状や凹形状といった空間的な変曲点を1つだけ有する被測定物(代表的に、レンズなど)を対象とする方法である。
図11は、座標法による空間的な変曲点の探索処理を説明するための図である。
図11を参照して、位置制御部2Bが凸形状の被測定物OBJの頂点を探索する場合の処理について説明する。まず、位置制御部2Bは、ステージ50上のX方向に沿った複数の座標の各々において上述のフォーカス合わせ処理を実行し、各座標におけるフォーカス位置Mzを取得する。X方向におけるフォーカス位置Mzの取得処理が終了すると、位置制御部2Bは、ステージ50上のY方向に沿った複数の座標の各々において上述のフォーカス合わせ処理を実行し、各座標におけるフォーカス位置Mzを取得する。
その後、位置制御部2Bは、X方向においてフォーカス位置Mzが最大値となる座標と、Y方向においてフォーカス位置Mzが最大値となる座標とを抽出する。そして、位置制御部2Bは、抽出したX方向における座標と、Y方向における座標との交点を被測定物OBJの頂点(すなわち、空間的な変曲点)であると決定する。
同様にして、凹形状の被測定物OBJの底点を探索する場合には、X方向およびY方向のそれぞれに沿った複数の座標の各々においてフォーカス合わせ処理を行なった後、位置制御部2Bは、X方向においてフォーカス位置Mzが最小値となる座標と、Y方向においてフォーカス位置Mzが最小値となる座標とを抽出する。そして、位置制御部2Bは、抽出したX方向における座標と、Y方向における座標との交点を被測定物OBJの底点(すなわち、空間的な変曲点)であると決定する。
なお、このように空間的な変曲点が探索された後、位置制御部2Bは、当該変曲点における光学特性を測定するために、空間的な変曲点に測定光および観察光が照射されるように被測定物OBJをXY平面上に沿って移動させた後、フォーカス合わせ処理をさらに実行する。
座標法によれば、被測定物が凸形状や凹形状を有していなければならないが、探索回数(フォーカス位置の取得処理の回数)が少なくても空間的な変曲点を確実に探索できる。
図12は、座標法による空間的な変曲点の探索処理の手順を示すフローチャートである。
図12を参照して、まず、ユーザ操作などに応答して、観察用光源22が観察光の発生を開始する(ステップS200)。この発生した観察光が対物レンズ40を介して被測定物に入射すると、被測定物で生じた観察反射光がピンホールミラー32などを介して観察用カメラ38に入射する。観察用カメラ38は、この観察反射光を受光して、当該観察反射光に応じた映像信号を制御装置2へ出力開始する(ステップS202)。
制御装置2の位置制御部2Bは、空間的な変曲点の探索範囲を受付け(ステップS204)、X方向およびY方向のそれぞれについてフォーカス合わせ処理を行なう座標群を決定する(ステップS206)。そして、制御装置2の位置制御部2Bは、X方向およびY方向の各座標において順次フォーカス合わせを行なう。
制御装置2の位置制御部2Bは、X方向に沿った座標のうち最初の座標に観測光が照射されるように被測定物(ステージ50)を移動し(ステップS208)、フォーカス合わせ処理を行なってフォーカス位置Mzを取得する(ステップS210)。そして、制御装置2の位置制御部2Bは、取得されたフォーカス値を当該座標と対応付けて格納する(ステップS212)。
続いて、制御装置2の位置制御部2Bは、被測定物(ステージ50)がX方向に沿った座標のうち最後の座標に到達しているか否かを判断する(ステップS214)。被測定物(ステージ50)が最後の座標に到達していなければ(ステップS214においてNO)、制御装置2の位置制御部2Bは、X方向の次の座標に観測光が照射されるように被測定物(ステージ50)を移動し(ステップS216)、ステップS210以降の処理が再度実行される。
被測定物(ステージ50)が最後の座標に到達していれば(ステップS214においてYES)、制御装置2の位置制御部2Bは、Y方向に沿った座標のうち最初の座標に観測光が照射されるように被測定物(ステージ50)を移動し(ステップS218)、フォーカス合わせ処理を行なってフォーカス位置Mzを取得する(ステップS220)。そして、制御装置2の位置制御部2Bは、取得されたフォーカス値を当該座標と対応付けて格納する(ステップS222)。なお、このときのX方向の座標は任意に設定することが可能であるが、基準のX方向の座標(たとえば、X方向に沿った座標のうち最初の座標)などに予め移動しておくことが好ましい。
その後、制御装置2の位置制御部2Bは、被測定物(ステージ50)がY方向に沿った座標のうち最後の座標に到達しているか否かを判断する(ステップS224)。被測定物(ステージ50)が最後の座標に到達していなければ(ステップS224においてNO)、制御装置2の位置制御部2Bは、Y方向の次の座標に観測光が照射されるように被測定物(ステージ50)を移動し(ステップS226)、ステップS220以降の処理が再度実行される。
被測定物(ステージ50)が最後の座標に到達していれば(ステップS224においてYES)、位置制御部2Bは、X方向においてフォーカス位置Mzが最大値(または最小値)となる座標と、Y方向においてフォーカス位置Mzが最大値(または最小値)となる座標とを抽出する(ステップS228)。そして、位置制御部2Bは、ステップS228において抽出したX方向の座標とY方向の座標との交点を被測定物OBJの空間的な変曲点であると決定する(ステップS230)。
さらに、位置制御部2Bは、ステップS230において決定した空間的な変曲点に測定光および観察光が照射されるようにXY平面に沿って被測定物を移動させ(ステップS232)、さらにフォーカス合わせ処理を行なう(ステップS234)。
以上のような処理手順によって、被測定物の空間的な変曲点が探索される。
(2)マトリックス法
マトリックス法は、変曲点を含む探索対象領域を予め設定し、当該探索対象領域内で所定間隔毎にフォーカス位置Mzを取得した後に、フォーカス位置Mzについての近似関数を算出した上で、空間的な変曲点を決定する方法である。
図13は、マトリックス法による空間的な変曲点の探索処理を説明するための図である。
図13を参照して、まず、位置制御部2Bは、ステージ50上のXY平面における探索範囲302を設定する。この探索範囲302はユーザが予め設定しておいてもよい。そして、位置制御部2Bは、探索範囲302内に所定間隔で複数の探索点304を設定する。すなわち、位置制御部2Bは、探索範囲302をメッシュ化し、各メッシュ点を探索点304に設定する。なお、図13には、m行×m列((1,1)〜(m,n))の探索点304が設定されている場合を示す。
そして、位置制御部2Bは、探索点304の各々において上述のフォーカス合わせ処理を順次実行し、各探索点304におけるフォーカス位置Mzを取得する。その後、位置制御部2Bは、各探索点304におけるフォーカス位置Mzに基づいて、2次元スプライン法などを用いて近似関数を算出する。すなわち、座標(x,y)におけるフォーカス位置をMz(x,y)とすると、位置制御部2Bは、Mz(1,1)〜Mz(m,n)に対する残差が最小となるように近似関数Fa(Mz:x,y)を算出し、この近似関数Fa(Mz:x,y)の変数xおよび変数yについての変曲点に対応する座標を被測定物OBJの空間的な変曲点として決定する。
上述したように、このように空間的な変曲点が探索された後、位置制御部2Bは、当該変曲点における光学特性を測定するために、空間的な変曲点に測定光および観察光が照射されるように被測定物OBJをXY平面上に沿って移動させた後、フォーカス合わせ処理をさらに実行する。
マトリックス法によれば、比較的探索点が多くなるので時間を要するが、被測定物OBJに含まれる空間的な変曲点の数には制限がない。すなわち、被測定物OBJに複数の空間的な変曲点が含まれている場合であっても探索が可能である。
図14は、マトリックス法による空間的な変曲点の探索処理の手順を示すフローチャートである。
図14を参照して、まず、ユーザ操作などに応答して、観察用光源22が観察光の発生を開始する(ステップS300)。この発生した観察光が対物レンズ40を介して被測定物に入射すると、被測定物で生じた観察反射光がピンホールミラー32などを介して観察用カメラ38に入射する。観察用カメラ38は、この観察反射光を受光して、当該観察反射光に応じた映像信号を制御装置2へ出力開始する(ステップS302)。
制御装置2の位置制御部2Bは、XY平面に対して探索範囲を受付け(ステップS304)、探索範囲に対して複数の探索点を設定する(ステップS306)。そして、制御装置2の位置制御部2Bは、以下のように各探索点におけるフォーカス位置を順次取得する。
制御装置2の位置制御部2Bは、最初の探索点に観測光が照射されるように被測定物(ステージ50)を移動し(ステップS308)、フォーカス合わせ処理を行なってフォーカス位置Mzを取得する(ステップS310)。そして、制御装置2の位置制御部2Bは、取得されたフォーカス値を当該探索点の座標と対応付けて格納する(ステップS312)。
その後、制御装置2の位置制御部2Bは、被測定物(ステージ50)の現在座標が最後の探索点の座標であるか否かを判断する(ステップS314)。被測定物(ステージ50)の現在座標が最後の探索点の座標でなければ(ステップS314においてNO)、制御装置2の位置制御部2Bは、次の探索点に観測光が照射されるように被測定物(ステージ50)を移動し(ステップS316)、ステップS310以降の処理が再度実行される。
被測定物(ステージ50)の現在座標が最後の探索点の座標であれば(ステップS314においてYES)、制御装置2の位置制御部2Bは、取得した複数のフォーカス値と対応する探索点の座標に基づいて近似関数を算出する(ステップS318)。そして、制御装置2の位置制御部2Bは、算出した近似関数における変曲点を算出し(ステップS320)、算出した変曲点に対応するXY平面上の座標を被測定物OBJの空間的な変曲点として決定する(ステップS322)。
さらに、制御装置2の位置制御部2Bは、ステップS322において決定した空間的な変曲点に測定光および観察光が照射されるようにXY平面に沿って被測定物を移動させ(ステップS324)、さらにフォーカス合わせ処理を行なう(ステップS326)。
以上のような処理手順によって、被測定物の空間的な変曲点が探索される。
(3)数学的探索法
数学的探索法は、探索対象領域内の予め設定された初期座標におけるフォーカス位置Mzを取得し、当該初期座標から数学的なアルゴリズムに従って変曲点を反復的に探索する方法である。この方法は、原則的に探索対象領域内に1つの変曲点が存在する場合に適用されるが、比較的探索点の数が少なくて済むため、空間的な変曲点をより高速に探索できる。
このような数学的探索法では、算出されるフォーカス位置などに基づいて探索ベクトルが算出され、この探索ベクトルに従って順次探索点が決定される。このような探索ベクトルの算出方法としては、さまざまなアルゴリズムが提案されているが、代表的に以下の3つのアルゴリズムを用いることができる。
(i)滑降シンプレックス法(Downhill Simplex Method)
(ii)Powell法(Powell’s Method)
(iii)共役勾配法(Conjugate Gradient Method)
これらのアルゴリズムの詳細については「NUMERICAL RECIPES IN C: THE ART OF SCIENTIFIC COMPUTING, Cambridge University Press. 1988-1992, pp408-425」などを参照されたい。
この発明の実施の形態1によれば、観察光が観察基準像に対応するようにマスクされて被測定物に照射されることで、被測定物には観察基準像が投射される。この観察光は、被測定物で反射して観察反射光を生じ、この観察反射光には観察基準像に対応する反射像が含まれる。この観察基準像に対応する反射像には観察基準像によって濃淡差(コントラスト差)が生じるので、被測定物の反射率にかかわらず、被測定物における観察光のフォーカス状態を正確に判断することができる。
一方、測定光および観察光は、共通の集光光学系を介して被測定物に照射されるので、被測定物における観察光のフォーカス状態と、被測定物における測定光のフォーカス状態とを実質的に同一とみなすことができる。
したがって、反射率が相対的に低い被測定物であっても、観察基準像に対応する反射像を含む観察反射光に基づいて、容易にフォーカス合わせを行なうことができる。
また、この発明の実施の形態1によれば、被測定物の複数の点において、フォーカス値が最大となるフォーカス位置を取得し、この取得したフォーカス位置に基づいて被測定物の空間的な変曲点を探索する。したがって、レンズなどの凸形状をもつ被測定物の頂点などに対して測定光を確実に照射できる。これにより、球面形状の被測定物の光学特性をより正確に測定することができる。
[実施の形態2]
上述のこの発明の実施の形態1に従う光学特性測定装置では、反射光(測定反射光および観察反射光)の伝播経路上にビームスプリッタ20を配置して観察光を注入する構成について説明したが、観察光を注入する位置は、測定用光源10から集光光学系である対物レンズ40までの光学経路上であればいずれであってもよい。そこで、この発明の実施の形態3では、測定用光源10からビームスプリッタ30までの光学経路上で観察光を注入する構成について説明する。
図15は、この発明の実施の形態2に従う光学特性測定装置100Bの概略構成図である。
図15を参照して、この発明の実施の形態2に従う光学特性測定装置100Bは、図1に示す光学特性測定装置100Aにおいて、測定用光源10からビームスプリッタ30までの光学経路上にビームスプリッタ20の位置を変更し、この位置変更に伴って観察用光源22と、光ファイバ24と、出射部26との位置についても変更したものである。各部の機能および構成は、図1に示す光学特性測定装置100Aと同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
本実施の形態に従う光学特性測定装置100Bによれば、被測定物からの反射光(測定反射光および観察反射光)が1つのビームスプリッタ30だけを通過する。ビームスプリッタ30は代表的にハーフミラーで構成される。ハーフミラーの理論的な透過率はその名の通り50%であるため、ハーフミラーを通過する前後でその光強度は半減(50%)してしまう。そのため、反射光が通過するビームスプリッタの数を低減することで、分光測定部60に入射する反射光の減衰量を抑制することができる。したがって、分光測定部60で検出されるスペクトルのSN(Signal to Noise)比をより高い状態に維持できる。
この発明の実施の形態2によれば、上述の実施の形態1によって得られる効果に加えて、より測定精度を向上することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態1に従う光学特性測定装置の概略構成図である。 被測定物に観察基準像を投射する構成をより詳細に説明するための図である。 観察用カメラで撮影される被測定物からの観察像の一例を示す図である。 この発明の実施の形態1に従う制御装置の機能構成を示すブロック図である。 観察用カメラから出力される映像信号のデータ構造を示す図である。 輝度データから算出されるヒストグラムの一例を示す図である。 凸形状の球面を有する被測定物を測定する場合に取得される観察像の概念図である。 対物レンズと被測定物との間の距離変化に伴うフォーカス値の変化特定を示す図である。 フォーカス位置の探索に係る処理を説明するための図である。 この発明の実施の形態1に従う光学特性測定装置を用いたフォーカス合わせ処理の手順を示すフローチャートである。 座標法による空間的な変曲点の探索処理を説明するための図である。 座標法による空間的な変曲点の探索処理の手順を示すフローチャートである。 マトリックス法による空間的な変曲点の探索処理を説明するための図である。 マトリックス法による空間的な変曲点の探索処理の手順を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2に従う光学特性測定装置の概略構成図である。
符号の説明
2 制御装置、2A フォーカス状態判断部、2B 位置制御部、10 測定用光源、12 コリメートレンズ、14 カットフィルタ、16,36 結像レンズ、18 絞り部、20,30 ビームスプリッタ、22 観察用光源、24 光ファイバ、26 出射部、26a マスク部、32 ピンホールミラー、32a ピンホール、34 軸変換ミラー、38 観察用カメラ、39 表示部、40 対物レンズ、50 ステージ、52 可動機構、60 分光測定部、62 回折格子、64 検出部、66 カットフィルタ、68 シャッタ、70 データ処理部、80 観察視野、82 影部、86 反射像、100A,100B 光学特性測定装置、200 フレーム、204 観察基準像(レチクル像)、302 探索範囲、304 探索点、AX1〜AX4 光軸、OBJ 被測定物。

Claims (10)

  1. 被測定物に対する測定範囲の波長を含む測定光を発生する測定用光源と、
    前記被測定物で反射可能な波長を含む観察光を発生する観察用光源と、
    前記測定光および前記観察光が入射され、入射された光を集光する集光光学系と、
    前記集光光学系と前記被測定物との間の位置関係を変更可能な調整機構と、
    前記測定用光源から前記集光光学系までの光学経路上の所定位置において前記観察光を注入する光注入部と、
    前記観察用光源から前記光注入部までの光学経路上の所定位置において、観察基準像が投射されるように前記観察光の一部をマスクするマスク部と、
    前記被測定物で生じる反射光のうち、測定反射光と観察反射光とを分離する光分離部と、
    前記観察反射光に含まれる前記観察基準像に対応する反射像に基づいて、前記被測定物における前記測定光のフォーカス状態を判断するフォーカス状態判断部と、
    前記フォーカス状態の判断結果に応じて前記調整機構を制御する位置制御部とを備える、光学特性測定装置。
  2. 前記観察反射光を受光して、当該観察反射光に応じた映像信号を出力する撮像部をさらに備え、
    前記フォーカス状態判断部は、前記撮像部からの前記映像信号に基づいて、前記フォーカス状態を示す値を出力する、請求項1に記載の光学特性測定装置。
  3. 前記フォーカス状態判断部は、前記観察反射光に応じた映像信号のうち予め設定された領域に相当する信号成分に基づいて、前記フォーカス状態を示す値を出力する、請求項2に記載の光学特性測定装置。
  4. 前記調整機構は、前記測定光の光軸に沿って前記被測定物を移動可能に構成され、
    前記位置制御部は、前記フォーカス状態を示す値が最大となるように、前記光軸に沿って前記集光光学系と前記被測定物との間の距離を調整する、請求項2または3に記載の光学特性測定装置。
  5. 前記調整機構は、さらに前記光軸と直交する平面に沿って前記被測定物を移動可能に構成され、
    前記位置制御部は、前記フォーカス状態を示す値が最大となる場合における前記被測定物の前記光軸方向の位置に相当するフォーカス位置を前記平面上の複数の座標について取得し、取得した複数の前記フォーカス位置に基づいて、前記被測定物の空間的な変曲点を探索する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の光学特性測定装置。
  6. 前記位置制御部は、前記平面上の第1の方向に沿った複数の座標について前記フォーカス位置を取得するとともに、前記平面上の前記第1の方向と直交する第2の方向に沿った複数の座標について前記フォーカス位置を取得し、さらに前記第1および第2の方向のそれぞれにおいて前記フォーカス位置が最大値または最小値となる座標に基づいて、前記被測定物の空間的な変曲点を決定する、請求項5に記載の光学特性測定装置。
  7. 前記位置制御部は、前記空間的な変曲点に前記測定光および前記観察光が照射されるように前記被測定物を前記平面に沿って移動させた後、前記フォーカス状態を示す値が最大となるように、前記光軸に沿って前記集光光学系と前記被測定物との間の距離をさらに調整する、請求項5または6に記載の光学特性測定装置。
  8. 前記撮像部は、行列状に配置された複数の画素の各々に対応する前記観察反射光の輝度データを前記映像信号として出力し、
    前記フォーカス状態判断部は、各画素に対応する輝度データのヒストグラムに基づいて、前記フォーカス状態を示す値を出力する、請求項2〜7のいずれか1項に記載の光学特性測定装置。
  9. 光学特性測定装置におけるフォーカス調整方法であって、
    前記光学特性測定装置は、
    被測定物に対する測定範囲の波長を含む測定光を発生する測定用光源と、
    前記被測定物で反射可能な波長を含む観察光を発生する観察用光源と、
    前記測定光および前記観察光が入射され、入射された光を集光する集光光学系と、
    前記集光光学系と前記被測定物との間の位置関係を変更可能な調整機構と、
    前記測定用光源から前記集光光学系までの光学経路上の所定位置において前記観察光を注入する光注入部と、
    前記観察用光源から前記光注入部までの光学経路上の所定位置において、観察基準像が投射されるように前記観察光の一部をマスクするマスク部と、
    前記被測定物で生じる反射光のうち、測定反射光と観察反射光とを分離する光分離部とを備え、
    前記フォーカス調整方法は、
    前記観察用光源から前記観察光の発生を開始するステップと、
    前記観察反射光に含まれる前記観察基準像に対応する反射像に基づいて、前記被測定物における前記測定光のフォーカス状態を判断するステップと、
    前記フォーカス状態の判断結果に応じて前記調整機構を制御するステップとを備える、フォーカス調整方法。
  10. 前記光学特性測定装置は、前記観察反射光を受光して、当該観察反射光に応じた映像信号を出力する撮像部をさらに備え、
    前記調整機構は、前記測定光の光軸に沿って前記被測定物を移動可能に構成され、
    前記フォーカス状態を判断するステップは、前記撮像部からの前記映像信号に基づいて、前記フォーカス状態を示す値を出力するステップを含み、
    前記調整機構を制御するステップは、前記フォーカス状態を示す値が最大となるように、前記光軸に沿って前記集光光学系と前記被測定物との間の距離を調整するステップを含む、請求項9に記載のフォーカス調整方法。
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