JP4500919B2 - 顕微鏡装置及び物体の観察方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般的には顕微鏡装置に関し、特に、遠紫外光を使用して物体を観察・測定するのに好適な顕微鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体回路構造の高集積化、微細化が進むにつれて、半導体集積回路の高集積化のキー技術である光リソグラフィ技術に使用される光として、ますます短波長の光が利用されるようになってきている。例えば、64メガビットDRMA(Dynamic Random Access Memory)以降の0.3μmより微細なデザイン・ルールを必要とする製造工程は、現在、KrF(フッ化クリプトン)エキシマ・レーザを使用して、遠紫外域にある露光波長248nmによってリソグラフィ処理を行う。
【0003】
次世代のリソグラフィ技術は、0.15μm以下のデザイン・ルールを必要とする1ギガビットDRAMをターゲットとしており、ArF(フッ化アルゴン)エキシマ・レーザを利用したリソグラフィ技術が最も有力視されている。露光波長は193nmであり、真空紫外の領域に入っている。さらにArF以降のリソグラフィ技術は、F2(フッ素ダイマ)レーザ・リソグラフィ(露光波長157nm)、EPL(Electron Projection Lithography)などのEB(Electron Beam)を利用したリソグラフィ技術、もしくはX線を利用するリソグラフィ技術などが検討されており、光源の波長はますます短いものとなっていく。
【0004】
リソグラフィに使用されるマスクの精度を保証する技術として、マスク検査技術は重要である。上記のように、リソグラフィ技術の微細化が進むにつれて、マスク・パターンのより微細な欠陥を検出することができるマスク検査技術が要求されている。マスク・パターンの微細化にともない、マスク検査分解能を向上するために、検査光の波長も短くなる。典型的には、マスク・パターンの測定に、露光波長と同じ波長の光が利用される。また、結像レンズ系における色収差を抑制する観点から、マスク・パターン測定のための照明波長を制限することが要求される。
【0005】
露光装置と異なり、マスク・パターン測定のためにはエキシマ・レーザのような光強度を必要としない。従って、マスク・パターン測定装置の効率化ために、マスク・パターン測定装置は、必要な波長の光を放出するランプを利用することができる。ランプの所定の波長域の放出光から特定波長の光を選択して、マスク・パターン測定を行うことができる。紫外領域の光を利用するマスクのパターン測定のためには、紫外光を放出するランプを利用する。図6は、従来の遠紫外顕微鏡の一構成例を示している。水銀ランプなどの光源からの光のうち、バンド・パス・フィルタとして機能する干渉フィルタによって特定波長近傍内の光が選択される。選択された特定波長近傍内の光のみが干渉フィルタを透過し、透過光はレンズによって測定物体としてのマスクに集められる。マスクを透過した光は対物レンズによって拡大され、レンズを介してイメージセンサによって受光される。
【0006】
このように、干渉フィルタを利用することによって所定波長の光を利用してマスク・パターンの測定を行うことができる。一方、検査光の波長が短くなり、真空紫外領域の光が使用される場合、典型的な光源として利用されうるランプは重水素ランプである。重水素ランプはおよそ100nm〜の光を放出することが可能であり、検査光の波長としては、真空紫外フォトリソグラフィに使用されるマスク・パターンの測定に好適である。しかし、重水素ランプのような輝度が低く、発光スペクトルが広帯域に渡っているランプを使用し、狭い波長範囲の光線のみを選択した場合には、光量不足の問題が生じうる。
【0007】
一方、マスク・パターン検査のための光学システムに限らず、特定の波長領域を使用した顕微鏡が広く利用されている。このような光学システムにおいて、広視野と高輝度が確保されていることは重要である。又、特に、短い波長領域で観察を行う場合、その波長領域内における結像光学系の色収差の補正を考慮することが重要である。短い波長域においては、使用可能なレンズ材料に制限があるため、色収差補正、いわゆる色消しの幅が狭くなるからである。
【0008】
上記技術の他に、半導体デバイスのリソグラフィ工程において、紫外光と可視光を利用した顕微鏡によって、露光状態を検査する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、被検体の紫外画像とカラー画像とを同時に表示できる紫外線顕微鏡を提供する。水銀ランプからの光は、照明レンズ系、対物レンズ系を通じて被検体としての半導体デバイスへ入射される。デバイスで反射した光の結像光路は、ダイクロイックミラーにより紫外線の光路と可視光の光路とに分離される。紫外線は紫外線用CCD(Charge-Coupled Device)カメラへ導かれる。
【0009】
紫外線用CCDカメラは、モノクローム画像信号を、画像処理装置を通じてディスプレィへ与える。一方、可視光はカラーCCDカメラへ導かれる。カラーCCDカメラは、カラー画像信号を、画像処理装置を通じてディスプレィへ与える。半導体デバイスの高解像力、高倍率の紫外画像と、半導体デバイスの色を視認できるカラー画像とを同時に表示できる。しかし、この技術は、短波長光による照明光量不足の問題及びその解決方法について一切開示するものではない。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−127096号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の一つの目的は、照明光量を改善することができる顕微鏡を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様は顕微鏡装置であって、所定の波長域の光を放出する光源と、前記光源からの光を空間的に波長分散させる光学手段と、前記波長分散した光の一部の波長域の光を通過させる選択手段と、前記選択手段からの光を物体に照射する光学手段と、前記物体からの光を検出する検出手段と、を備えるものである。この構成を有することによって、視野内の照明光量を改善することができる。
【0013】
上記第1の態様において、前記顕微鏡装置の視野内において、位置に応じて照射光の波長が変化しており、前記物体の観察点は、前記視野内において予め定められた波長域の光が照射されている位置に配置されることが好ましい。この構成を有することによって、物体を所望の波長域の光によって観察することができるあるいは、光学系の色収差を抑制することができる。尚、観察は、モニタなどによる物体の視認、測定、検査など、物体の光学的特性を把握する方法を含む。又、予め定められた波長域は、実質的に一つの波長の光のみである場合を含む。
【0014】
上記第1の態様において、さらに、前記検出手段に物体からの光を集光する光学手段を備え、前記検出手段は、受光面において受光した光を電気信号に変換し、前記集光する光学手段からの光の波長に応じた集光位置のずれを抑制するように、前記受光面が光軸に対して傾いている、ことが好ましい。この構成を有することによって、視野内における鮮明な画像を得ることができる。あるいは、前記光を空間的に波長分散させる光学手段はプリズムを備えることが好ましい。これによって、効果的に光の分散を行うことができる。
【0015】
あるいは、前記選択手段は、空間的に波長分散した光の一部が通過可能な開口部を備えることが好ましい。さらに、前記選択手段は、前記物体と共役な位置に配置されることが好ましい。これによって、効果的に所望波長域の光を選択することができる。あるいは、前記選択手段は、物体に照射する光の波長調整のために、視野内の観察波長領域に相当する開口部を備えることが好ましい。これにより効果的な波長調整が可能となる。尚、選択手段は複数の分離可能な部材から構成することが可能である。
【0016】
上記第1の態様において、さらに、前記検出手段に物体からの光を結像する光学手段を備え、前記検出手段は受光面において受光した光を電気信号に変換し、
前記受光面は、結像面と実質的に一致するように光軸に対して傾いていることが好ましい。これによって、視野内における鮮明な画像を得ることができる。
【0017】
本発明の他の態様は、物体に光を照射し、照射された物体からの光を検出することによって物体を観察する方法であって、所定の波長域の光を放出する光源からの光を空間的に波長分散するステップと、前記空間的に波長分散した光の一部を空間的に遮蔽し、一部の光を通過させることによって特定波長域の光を選択するステップと、前記選択された光を物体に照射するステップと、前記物体からの光を検出するステップと、を備える。この構成を有することによって、視野内の照明光量を改善することができる。
【0018】
さらに、上記他の態様において、前記光を検出するステップは、視野内の予め定められた位置に配置された前記物体の観察点からの光を検出することが好ましい。この構成を有することによって、物体を所望の波長域の光によって観察することができる。
【0019】
さらに、上記他の態様において、前記物体からの光を集光するステップを備え、前記検出するステップは、前記集光するステップにおいて波長に応じて異なる位置の集光点に集光された光を同一平面において検出することが好ましい。これによって、視野内における鮮明な画像を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を適用可能な実施の形態が説明される。以下の説明は、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。説明の明確化のため、以下の記載は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、当業者であれば、以下の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能であろう。尚、各図において同一の符号は同一の構成要素を示しており、必要のない説明は省略される。
【0021】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかる遠紫外顕微鏡100の概略構成を示す構成図である。本形態の遠紫外顕微鏡100は、所定波長域の光を波長に従って空間的に分散させ、この分散光を利用して物体を照射する。本形態の遠紫外顕微鏡100は、例えば、位相シフト・マスクのマスク・パターン測定に好適である。位相シフト・マスクのマスク・パターン測定において、遠紫外顕微鏡100は、マスク・パターンの透過光の位相差を測定する。以下において、位相シフト・マスクの測定を例として本実施形態が説明されるが、本発明はこのアプリケーションに限定されるものではない。尚、理解されるように、以下の説明においてレンズとして示されるものは、複数のレンズから構成されることができる。
【0022】
図1において、101は光源としての重水素ランプである。重水素ランプ101は、典型的には、100−600nmの光を放出することができる。ArFリソグラフィ(193nm)に利用されるマスクのパターン測定を例とすれば、遠紫外顕微鏡100は、例えば、190−200nmの光を利用することができる。重水素ランプ101は、ピンホールを通る電子線によって励起された重水素が発光する。このため、ピンホールが光源の大きさとなる。重水素ランプは、他の真空紫外光を放出可能なランプと比較して、光の量が多く点光源に近い特性を備えていることから、マスク・パターン測定に使用される真空紫外光を得るためのランプとして好適である。尚、ピンホールを形成する電極の反射によって、ランプからの光に不均一性が生ずることから、リレー・レンズを利用して、別のピンホールまたはスリットにランプの発光点の像を結像させ、ランプの発行点の拡がりを制限することが好ましい。
【0023】
102は重水素ランプ101からの光を分光する分光器である。分光器102は、重水素ランプ101からの光の所定波長域の光を選択して出射すると同時に、選択された所定波長域内において、波長に従って光を空間的に分散して出射することができる。分光器102は、第1のレンズ103、プリズム104、ミラー105、第2のレンズ106、及び、所定幅のスリットを備える視野絞り107を備えている。視野絞り107は入射光の一部を遮蔽し、一部を通過させる。第1のレンズ103は重水素ランプ101からの光を集め、プリズム104に照射する。プリズム104は、受光した光を波長に従って空間的に分散する。ミラー105は、プリズム104からの分散光を反射する。第2のレンズ106は、ミラー105からの分散光を視野絞り107に集光する。視野絞り107は、スリットを通る光以外の光を遮蔽することによって、視野を規定する。
【0024】
108は視野絞り107からの光を受光する第3のレンズ、109は被測定物体としての位相シフト・マスクである。110は物体に光を集光するコンデンサレンズである。111は位相シフト・マスク109が載置されるステージである。ステージ111は、駆動装置(不図示)によって、載置面に平行なXY方向に移動することができる。112は位相シフト・マスク109の透過光を受光する対物レンズ、113は対物レンズ112からの光を撮像装置114に集光するチューブレンズである。撮像装置114は、受光した光を強度に従って電気信号に変換する。撮像装置114としては、CCD(Charge-Coupled Device)カメラ、CMOSセンサ、あるいはフォトダイオード・アレイなどを利用することができる。撮像装置114には、物体観察のためのモニタ(不図示)、あるいは物体測定・検査のための画像処理システム(不図示)を接続することができる。
【0025】
重水素ランプ101から放射されたブロードなスペクトル分布の光は、第1のレンズ103に入射し、平行光として第1のレンズ103から出射する。レンズ103からの平行光はプリズム104に入射する。波長による屈折率の違いから、プリズム104からの光は波長に従って空間的に分散される。図1に示すように、短波長の光の屈折角が大きく、長波長の屈折角が小さい。プリズム104からの光は、分散方向において、位置の変化に応じて波長が変化する。尚、光の分散に使用されるプリズム104は、複数のプリズムによって構成することができる。あるいは、プリズムに代えて、光を空間的に波長分散するために、回折格子を利用することができる。光の利用効率の観点から、プリズム、特に反射防止コーティングが施されたプリズムを利用することが好ましい。
【0026】
プリズム104からの分散光はミラー105によって反射され、第2のレンズ106に入射する。第2のレンズ106によって集光された光は、視野絞り107に入射する。視野絞り107は、ステージ111に載置された位相シフト・マスク109の試料面と共役な位置に配置されている。空間的に波長分散した光の一部は、視野絞り107のスリットを通過し、他の光は遮蔽される。これによって、視野絞り107は、視野を規定すると同時に、波長分散した光の透過光の波長域を選択することができる。
【0027】
視野絞り107のスリットを通過した光は、第3のレンズ108を介してコンデンサレンズ110に入射する。コンデンサレンズ110によって集光された光は、ステージ111上の位相シフト・マスク109に照射される。位相シフト・マスク109を透過した光は対物レンズ112に入射する。対物レンズ112によって拡大された光はチューブレンズ113に入射し、撮像装置114上に結像される。撮像装置114の受光面は光軸に対して傾いて配置されている。この点については後に説明される。尚、本形態は物体の透過光を測定するが、理解されるように、光源からの光を物体表面に照射し、その反射光を観察・測定する顕微鏡に本発明を適用することが可能である。
【0028】
位相シフト・マスクの測定を例として説明する。位相シフト・マスクのマスク・パターン測定においては、マスク・パターンの一部である測定領域の位置合わせを行い、位置合わせされた領域の位相差を測定する。この測定領域を特定し、位置合わせを行うためには、測定領域よりも一定以上の広い視野が確保されていることが好ましい。図2は、本形態の遠紫外顕微鏡100の視野内の状態示す、概念図である。図2において、201は視野、202は視野内の測定波長領域、203は位相差マスク109内の測定領域を示している。測定波長領域202は位相シフト・マスクの位相差測定に使用される波長の光が照射されている領域、測定領域は、位相シフト・マスクの測定対象としての領域を示している。図2(a)は位相差マスクの測定領域203が測定波長領域202外にある状態を、図2(b)は、測定領域203が測定波長領域202内にある状態を例示している。
【0029】
視野内201において、光は空間的に波長分散している。従って、視野内の分散方向の座標の変移に従って、照射光の波長が変化する。図2の例においては、視野201の左端から右端に向かって、波長が増加する。マスク・パターン測定のためには、特定波長を中心として狭い波長範囲の光による透過光を測定する必要がある。本形態の遠紫外顕微鏡100においては、視野内201において空間的に波長が異なるので、特定波長の光が照射されている視野内の領域に測定領域203を配置することによって、所望の波長のもしくは所望の波長近傍内の波長域の光による測定を行うことができる。これによって、所定の波長域の光を含む短波長域の光を使用する場合であっても、結像光学系の色収差の問題を実質的に解決することができる。
【0030】
本例においては、位置合わせの工程において、マスク・パターンの測定領域203が測定波長領域202内に配置されるように、位置合わせが実行される。図2(a)に示すように、マスク・パターン測定領域203は測定波長領域202の外にあるが、視野201内に配置されているため、測定領域203を容易に特定することができる。従って、図2(b)に示すように、測定領域203を、測定波長領域202内に効率的に位置合わせすることができる。位置合わせは、ステージ111を移動させることによって行うことができる。測定領域203が測定波長領域202内に位置合わせされた状態で、マスク・パターンの位相差測定が実行される。このように、本形態の遠紫外顕微鏡100においては、広い視野が確保されているため、マスク・パターンの位置合わせを効率的に行うことができる。
【0031】
図3は、従来のマスク・パターン測定技術に従った顕微鏡において利用される波長域を示すグラフ(図2(a))と、本形態における遠紫外顕微鏡100をマスク・パターン測定に利用する場合に使用される波長域を示すグラフ(図2(b))である。従来の測定方法において、例えば、301に示す波長領域の光を利用してマスク・パターンの測定を行っている。本形態の遠紫外顕微鏡100は、図2(b)に示すように、302で示される波長領域の光を利用してマスク・パターンの測定を行うことができる。
【0032】
302で示される波長領域の光が、視野全体を照射するために利用される。波長領域202は従来の波長領域201より大きいため、視野全体として、照明光の光量を大きくすることができる。193nm近傍での測定を例とすれば、例えば、190−200nmの光を利用して視野全体を照射する。これによって、従来の測定方法における視野全体の光量不足の問題を効果的に解決することができる。物体の実際の測定においては、上に説明したように、193nm近傍の光が照射されている領域に物体を配置することで、所望波長域での測定を行うことができるため、光学系の色収差の問題を同時に解決することができる。以上のように、本形態の遠紫外顕微鏡は、広い視野と、視野内の必要な照明光量を提供すると同時に、測定における光学系の色収差を効果的に抑制することができる。
【0033】
図1を参照して、撮像装置114の受光面は光軸に対して傾いて配置される。これによって、色収差の問題を解決することができる。一般に、所定範囲の波長を含む光で視野全体を照明する場合、レンズ系の色収差を考慮する必要がある。特に、短い波長領域で観察・測定を行う場合、レンズ系の色収差の補正を考慮することが重要である。高精度の観察・測定を行うためには、使用される波長領域の全ての波長において焦点距離が一定となっているレンズ系が必要とされる。一方、短波長領域において硝材の制約が存在し、レンズに使用できる材料は、合成石英あるいはフッ化カルシウムなどの、特定の材料に限定される。このため、広い波長域に渡って焦点距離を一定にすることができず、色消しの幅は極めて狭いものとなる。
【0034】
本形態の遠紫外顕微鏡100は、空間的に波長分散された光と、光軸に対して傾いた撮像装置114を利用することによって、短波長域における色収差の問題を解決することができる。図1を参照して説明したように、物体からの光は対物レンズ112によって拡大され、撮像装置114上に像を形成する。各波長の光は焦点距離が異なるため、波長ごとに焦点位置がずれる。典型的には、図1に示すように、短波長の光の集光位置が結像光学系に近く、長い波長の光が結像光学系から遠い位置に集光位置が形成される。
【0035】
物体からの光は空間的に波長分散されているので、波長が変化する方向に関して、光軸方向の集光点の位置が徐々に変化する。図1の例においては、撮像装置の受光面に向かって左から右へ波長が増加し、焦点距離が増加、もしくは集光点位置が物体から遠くなる。撮像装置114は、波長による集光点のずれを補償するように傾いて配置され、各波長の集光点が撮像装置114上に形成されるように配置される。
【0036】
図1の例においては、光軸と垂直な方向において、短波長光を受光する部分(受光面に向かって左端)が物体に近く、波長が増加するにつれて徐々に物体から遠くなり、最も長波長の光を受光する部分(受光面に向かって右端)が最も結像光学系から遠くなるように傾いている。尚、焦点距離のずれは各レンズの色収差に対する補正量によって変化する。各レンズの色収差に対する補正量、あるいは撮像装置114の傾き角度は、適宜適切なものが選択される。
【0037】
尚、例えば、位相シフト・マスクの測定において、撮像装置は必ずしも傾いている必要はない。広い波長領域の光は、位置合わせの工程において使用されるが、位置合わせの工程は、一定内の画像の不鮮明を許容することができる。又、位相差測定は特定の波長近傍内の光を使用して行われるため、位相差測定の解像度に影響はないからである。例えば、この波長域を視野の中心に配置し、測定領域を測定波長領域内に配置することで、測定精度を確保することができる。しかし、視野の端の像が不鮮明であることは、効率的な位置合わせの妨げとなりうるため、撮像装置は集光点のずれを補償するように傾いて配置されていることが好ましい。あるいは、視野内のある程度の領域において物体が観察・測定される場合、上記のように撮像装置を傾けることは色収差による影響を抑制する観点から、大きな効果を奏する。
【0038】
尚、本実施の形態は、位相シフト・マスクの測定を例として説明されたが、本発明はマスク・パターンの測定装置に限らず、モニタを利用した物体の観察、座標測定、線副測定、パターン検査、ウェハ検査など、様々な顕微鏡のアプリケーションに適用することができる。又、本発明は、300nm以下の遠紫外光、特に200nm以下の真空紫外光を測定光とする顕微鏡に特に好適であるが、400nm以下の紫外光あるいは、可視光を含むその他の波長域の光を利用する顕微鏡に適用することが可能である。紫外光の光源として、重水素ランプの他に、例えば、キセノン・フラッシュランプなどの他のランプを使用することが可能である。これらの点は、以下の実施の形態において同様である。
【0039】
他の実施の形態.
図4は、他の実施の形態にかかる遠紫外顕微鏡400の概略構成を示す、構成図である。図4は、特定波長の光の光路のみを示している。図4において、図1と同一の符号を付された要素は、図1において説明された各要素と実質的に同様の構成を有するものであって、必要のない説明は省略される。図4において、401は分光器であって、重水素ランプ101からの光のうち、所定波長域の光を選択的に透過すると同時に、波長に従って空間的に光を分散させる。分光器401は、可動プリズム402と可動ミラー403を備えている。
【0040】
プリズム402及びミラー403は、一体的に動くことができ、回転軸を中心として、一体的に回動可能であるように構成される。分光器からの光の精度が測定精度に影響するため、分光器の高精度の波長調整が必要とされる。本形態の分光器401は、プリズム402とミラー403の光の第1レンズ103からの入射光に対する角度が、一体的に変化するように構成されている。これにより、光軸のずれを引き起こすことなく、波長調整を行うことができる。測定点の波長選択を効果的に行うことができるので、高精度な測定を実現することができる。
【0041】
図5は、視野絞り107の例示的構成を示す平面図である。マスク・パターンの測定において、高精度な測定を実現するため、測定領域における波長精度は重要である。測定点における波長を高精度に決定するため、分光光度計を利用して光の波長を測定し、分光器401を利用して波長のキャブレーションを行うことが好ましい。高精度な測定を行うためには、マスク・パターンの測定領域と同一の領域における光を測定することが好ましい。本形態の視野絞り107は、マスク・パターン測定用スリット501と、波長測定用スリット502とを備えている。波長測定用スリット502は、実際の測定において使用される測定領域に相当する位置に形成され、測定領域に相当する形状を備えていることが好ましい。波長測定用スリット502を通過した光は、視野内の測定領域と実質的に一致するように構成される。
【0042】
波長調整において、ステージ上の試料の設置面に、分光光度計の受光モジュールである光ファイバを設置する。光ファイバは、波長測定用スリット502を通過した光だけが入射するように配置される。分光器401のプリズム402とミラー403を移動することによって波長調整を行い、強度ピークが所望の波長と一致するように分光器401を調整する。視野絞り107が波長調整用スリットを有することによって、効率的に測定光の波長調整を行うことができる。位相差測定領域と実質的に一致するスリットを通過した光を使用して、波長測定を行うことによって、測定波長精度を向上することができる。尚、視野絞り107の代わりに、波長調整用のスリットを備えるプレートを別に設けることが可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、視野内の照明光量を改善する顕微鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態にかかる遠紫外顕微鏡の概略構成を示す構成図である。
【図2】 第1の実施の形態にかかる遠紫外顕微鏡の視野内の状態を示す概念図である。
【図3】 第1の実施の形態にかかる遠紫外顕微鏡の利用波長域を説明するグラフである。
【図4】 他の実施の形態にかかる遠紫外顕微鏡の概略構成を示す構成図である。
【図5】 他の実施の形態にかかる遠紫外顕微鏡の視野絞りの例示的構成を示す平面図である。
【図6】 従来の技術における遠紫外顕微鏡の概略構成を示す構成図である。
【符号の説明】
101 重水素ランプ、102 分光器、103 第1のレンズ、104 プリズム、105 ミラー、106 第2のレンズ、107 視野絞り、108 第3のレンズ、109 位相シフト・マスク、110 コンデンサレンズ、111 ステージで、112 対物レンズ、113 チューブレンズ、114 撮像装置、201 視野、202 視野内の測定波長領域、203 位相差マスク109内の測定領域、401 分光器、402 可動プリズム、403 可動ミラー、501 マスク・パターン測定用スリット、502 波長測定用スリット

Claims (11)

  1. 物体に光を照射し、照射された物体からの光を検出する顕微鏡装置であって、
    所定の波長域の光を放出する光源と、
    前記光源からの光を空間的に波長分散させる光学手段と、
    前記波長分散した光の一部の波長域の光を通過させる選択手段と、
    前記選択手段からの光であって、視野内において一定方向に波長が連続的に変化する光を物体に照射する光学手段と、
    前記物体からの光を検出する検出手段と、
    を備える顕微鏡装置。
  2. 前記顕微鏡装置の視野内において、位置に応じて照射光の波長が変化しており、
    前記物体の観察点は、前記視野内において予め定められた波長域の光が照射されている位置に配置される、
    請求項1に記載の顕微鏡装置。
  3. さらに、前記検出手段に物体からの光を集光する光学手段を備え、
    前記検出手段は、受光面において受光した光を電気信号に変換し、前記集光する光学手段からの光の波長に応じた集光位置のずれを抑制するように、前記受光面が光軸に対して傾いている、
    請求項1又は2に記載の顕微鏡装置。
  4. 前記光を空間的に波長分散させる光学手段はプリズムを備える、請求項1、2または3に記載の顕微鏡装置。
  5. 前記選択手段は、空間的に波長分散した光の一部が通過可能な開口部を備える、請求項1、2または3に記載の顕微鏡装置。
  6. 前記選択手段は、前記物体と共役な位置に配置される、請求項5に記載の顕微鏡装置。
  7. 前記選択手段は、物体に照射する光の波長調整のために、視野内の観察波長領域に相当する開口部を備える、請求項5に記載の顕微鏡装置。
  8. さらに、前記検出手段に物体からの光を結像する光学手段を備え、
    前記検出手段は受光面において受光した光を電気信号に変換し、
    前記受光面は、結像面と実質的に一致するように光軸に対して傾いている、
    請求項1又は2に記載の顕微鏡装置。
  9. 物体に光を照射し、照射された物体からの光を検出することによって物体を観察する方法であって、
    所定の波長域の光を放出する光源からの光を空間的に波長分散するステップと、
    前記空間的に波長分散した光の一部を空間的に遮蔽し、一部の光を通過させることによって、視野内において一定方向に波長が連続的に変化する光を特定波長域の光を選択するステップと、
    前記選択された光を物体に照射するステップと、
    前記物体からの光を検出するステップと、
    を備える方法。
  10. 前記光を検出するステップは、視野内の予め定められた位置に配置された前記物体の観察点からの光を検出する、請求項9に記載の方法。
  11. さらに、前記物体からの光を集光するステップを備え、
    前記光を検出するステップは、前記集光するステップにおいて波長に応じて異なる位置の集光点に集光された光を光軸に対して傾いた同一平面において検出する、請求項9又は10に記載の方法。
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