JP2017198491A - 膜厚測定装置及び膜厚測定方法 - Google Patents

膜厚測定装置及び膜厚測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜厚分布を高解像度で解析することができる膜厚測定装置及び膜厚測定方法を提供する。【解決手段】本発明に係る膜厚測定装置100は、少なくとも第1波長の照明光と第2波長の照明光とを切替可能な光源部と、試料30で反射した反射光を検出して、試料30の所定の領域における画像を取得する光検出器と、光源部からの照明光を試料30まで導くとともに、試料30からの反射光を光検出器まで導く共焦点光学系と、薄膜の膜厚を算出するために、第1波長及び第2波長に対する反射率の測定データをそれぞれ求める処理部と、を備え、処理部は、波長と反射率との関係が薄膜の膜厚毎にそれぞれ示されている計算データを参照して、測定データから薄膜の膜厚を近似して算出し、計算データにおける反射率は、非干渉成分の項を含んでいる。【選択図】図1

Description

本発明は、膜厚測定装置及び膜厚測定方法に関し、特に、反射光を用いて膜厚を測定する膜厚測定装置及び膜厚測定方法に関する。
MEMS(メムス、Micro Electro Mechanical Systems)等の凹凸構造へスプレーコートすることにより形成したフォトレジスト、ディスプレイ用フィルムへスクリーン印刷またはスリットコートすることにより形成した透明導電樹脂、セラミックス部品や刃物等の表面に形成した潤滑剤コート等の薄膜には、全域及び局所的に膜厚分布が発生しやすく、均一性改善のための測定技術が必要とされている。
一般的には、試料の切断面のSEM(Scanning Electron Microscope)観察により、薄膜の膜厚を測定することができる。また、非破壊法としては、従来の光学式膜厚測定法(白色干渉方法、反射分光法、偏光解析法等)を用いて膜厚を測定することができる。しかし、従来の光学式膜厚測定法では、膜厚分布を測定する上での空間分解能がそれほど高くない。このため、数μm□〜数百μm□の領域内において、膜厚が数nm〜数μmまで連続的に増減する場合には、任意の測定点の平均値だけで薄膜の品質を評価することはできない。このような場合には、図11に示すような膜厚分布に対して、ヒストグラムを作成し、作成したヒストグラムから平均膜厚を解析する等の統計処理が必要となる。
特開2009−204313号公報 特開2007−248312号公報
薄膜の膜厚を測定する従来方法としては、(1)反射分光による方法、(2)偏光解析による方法、(3)白色干渉縞走査による方法、(4)共焦点顕微鏡による方法が挙げられる。また、例えば、特許文献1に記載された方法によっても、膜厚を測定することができる。しかしながら、これらの方法にはそれぞれ以下に示すような問題がある。
(1)反射分光による方法は、白色光で照明した試料の反射光を分光することで分光スペクトルを測定する。反射分光による方法のうち、ピークバレー法(PV法)は、分光スペクトルから反射率の極大と極小に対応する波長を求めて膜厚を解析する方法である。この方法では、可視光を使う場合に、波長程度(約0.5μm)以下の膜厚では極大・極小のスペクトルパターンを得ることができない。このため、波長程度以下の膜厚の測定には適用することができない。
また、反射分光による方法のうち、カーブフィット法は、分光スペクトルを、光の波長、薄膜の膜厚、薄膜と基板との屈折率(n)及び滅衰係数(k)で決定される条件により、絶対反射率の波長依存性という形で理論的に計算する。そして、測定データに対して、理論的に計算された絶対反射率をパラメータフィッティングすることにより膜厚を決定する。一般に、数nmから数μmの膜厚までカーブフィット法により膜厚を求めることができる。しかし、測定に用いる照明光の各波長に対して十分なサンプリング数を必要とする。
一般的な分光計は、膜厚の空間分布を高分解に測定することはできず、光が照明するエリアの平均的な値が得られるにとどまる。照明エリア内で膜厚分布(変化)が存在する場合には、反射率が平均化されてしまうため、正確な絶対反射率を得ることができない。このように、カーブフィット法は、膜厚分布を高分解能で測定することはできない。
(2)偏光解析による方法(エリプソメトリー)は、反射光を解析することで膜厚を求める。しかし、試料に対して照明光を斜入射させる必要があるので、膜厚の空間分布を高分解能で測定することはできず、光が照明するエリア(1mm□〜100um□程度)の平均的な値が得られるにとどまる。さらに、薄膜自体が偏光特性を持つ場合は、膜厚を高分解能で測定することが困難となる。
(3)白色干渉縞走査による方法は、試料あるいは対物レンズをzスキャンすることにより、白色光の干渉縞の最大強度位置を計算する。これにより、干渉縞を発生させた薄膜の膜厚を求めることができる。薄膜の膜厚を測定するためには、下地基板と薄膜表面からの干渉強度信号をそれぞれ分離して測定することが必要である。しかし、膜厚が1μm以下の場合、それらの強度信号を分離することが困難となる。さらに、反射率の高い基板上に、反射率の低い透明な薄膜が存在する場合には、透明な薄膜からの干渉強度を精密に測定することはできず、膜厚の測定はいっそう困難なものとなる。多層膜等の膜厚の測定はさらに困難となる。
(4)共焦点顕微鏡による方法は、対物レンズと試料との間の距離をzスキャンすることにより変化させ、合焦点位置を検出することで膜厚を測定する。膜厚が数μm以下の場合には、下地基板と膜表面の反射信号を分離することができないため、膜厚を測定することができない。信号の分離限界は対物レンズの開口数に大きく依存するため、膜厚測定限界は高倍では数μm、低倍率広視野では数十μmとなり、膜厚の測定が困難となる。
特許文献1の方法は、共焦点光学系を用いて、複数の波長の光を切り替えることで、膜厚を測定する。具体的には、第1波長及び第2波長に対する反射率の測定データをそれぞれ求め、波長と反射率との関係が膜厚毎にそれぞれ示されている計算データを参照して、測定データから膜厚を近似して算出している。複数波長の画像から、各画素に対してカーブフィット法を適用することで膜厚を計算し、膜厚分布を求めることができる。こうすることで、1μm以下の膜厚を精度よく求めることができる。しかしながら、特許文献1の方法では、1μm以上の膜厚に対しては、カーブフィットの精度が低下する。
特許文献1の方法において、測定原理上は、薄膜内で光干渉が起こらなければならないが、そのためには少なくとも2つの条件を満たす必要がある。(i)膜面と基板面のそれぞれの焦点位置の距離が焦点深度内以下でなければならない(焦点深度)。(ii)可干渉長に比べて膜厚による行路差が十分小さくなくてはならない(可干渉性)。
焦点深度の問題は、対物レンズの開口数(NA)が大きくなる程、焦点位置の分離が完全に起こらない場合でも、理論計算からのズレの要因となる。
可干渉性の問題は、点光源照明の場合であっても、可干渉距離は帯域幅と中心波長で制限されてしまう。帯域幅が数nmまで狭帯域にするほど可干渉距長は長くなるが、照明強度が弱くなるため、撮像時間を長くする必要があるなどのデメリットが出てくる。画像の明度を確保するために帯域幅を10〜20nm程度確保すると、可干渉距離は10〜20μm程になる。
一般的には、フレネル係数から絶対反射率を理論計算する際には、焦点深度や可干渉性は考慮されていない。分光器の波長分解能が数nmである場合や、レーザ光のような純粋な単色光であれば、測定反射率において可干渉性を考慮する必要がない。しかし、ある程度の帯域幅のある単色光を使う場合は、帯域幅が広がる程、可干渉性が減衰していくことを考慮しなければならない。
このように、特許文献1の方法では、高開口数の対物レンズを使用する場合及び膜厚が1μm以上の場合には、反射光の可干渉性が低下するため、測定値と理論計算値との乖離が大きくなり、最適解が得られない場合が生じるようになる。可干渉距離を拡大するためには、照明光の帯域幅を狭める方法があるが、画像が暗くなるため、撮像時間及びS/N維持の点から好ましくない。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、高開口数の対物レンズを使用する場合及び膜厚が1μm以上の場合でも、薄膜の膜厚分布を高解像度で解析することができる膜厚測定装置及び膜厚測定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る膜厚測定装置は、基板と、前記基板上に設けられた薄膜と、を含む試料の前記薄膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であって、少なくとも第1波長の照明光と第2波長の照明光とを切替可能な光源部と、前記試料で反射した反射光を検出して、前記試料の所定の領域における画像を取得する光検出器と、前記光源部からの照明光を前記試料まで導くとともに、前記試料からの前記反射光を前記光検出器まで導く共焦点光学系と、前記薄膜の膜厚を算出するために、前記第1波長の照明光による第1画像と、前記第2波長の照明光による第2画像とに基づいて、前記第1波長及び前記第2波長に対する反射率の測定データをそれぞれ求める処理部と、を備え、前記処理部は、波長と反射率との関係が前記薄膜の膜厚毎にそれぞれ示されている計算データを参照して、前記測定データから前記薄膜の膜厚を近似して算出し、前記計算データにおける前記反射率は、非干渉成分の項を含んでいる。このような構成により、1μm以上の膜厚の薄膜における膜厚分布を高解像度で解析することができる。
また、前記非干渉成分の項は、前記基板側の界面による所定の回数までの各反射における反射率の総和を含んでいる。このような構成により、薄膜内での多重反射を反映させることができるので、1μm以上の膜厚の薄膜にたいしても高精度で膜厚を解析することができる。
前記計算データにおける前記反射率は、干渉成分の項と、前記干渉成分の項の割合を示す可干渉因子との積を含んでいる。このような構成により、反射率が非干渉成分と干渉成分とを含む部分可干渉の場合でも、薄膜の膜厚を高精度で解析することができる。
また、前記共焦点光学系は、対物レンズを含み、前記計算データにおける反射率は、前記対物レンズの開口数による補正を含んでいる。このような構成により、高開口数の対物レンズを使用する場合でも、薄膜の膜厚を高精度で解析することができる。
さらに、前記薄膜は、複数の膜が積層された多層膜であり、前記処理部は、各複数の前記膜の膜厚毎にそれぞれ示されている反射率を合成して、前記計算データにおける前記反射率とする。このような構成により、多層膜からなる薄膜の膜厚を高精度で解析することができる。
本発明に係る膜厚測定方法は、基板と、前記基板上に設けられた薄膜と、を含む試料の前記薄膜の膜厚を測定する膜厚測定方法であって、共焦点光学系を介して、前記試料に第1波長の照明光と第2波長の照明光とを切替えて照射し、前記試料で反射した反射光を、前記共焦点光学系を介して検出して、前記第1波長の光による第1画像と、前記第2波長の光による第2画像とを取得し、前記薄膜の膜厚を算出するために、前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記第1波長及び第2波長に対する反射率の測定データをそれぞれ求め、波長と反射率との関係が前記薄膜の膜厚毎にそれぞれ示されている計算データを参照して、前記測定データから前記薄膜の膜厚を近似して算出し、前記計算データにおける前記反射率は、非干渉成分の項を含んでいる。このような構成とすることにより、1μm以上の膜厚の薄膜における膜厚分布を高解像度で解析することができる。
また、前記非干渉成分の項は、前記基板側の界面による所定の回数までの各反射における反射率の総和を含んでいる。このような構成とすることにより、薄膜内での多重反射を反映させることができるので、1μm以上の膜厚の薄膜にたいしても高精度で膜厚を解析することができる。
さらに、前記計算データにおける前記反射率は、干渉成分の項と、前記干渉成分の項の割合を示す可干渉因子との積を含んでいる。このような構成とすることにより、反射率が非干渉成分と干渉成分とを含む部分可干渉の場合でも、薄膜の膜厚を高精度で解析することができる。
前記共焦点光学系は、対物レンズを含み、前記計算データにおける反射率は、前記対物レンズの開口数による補正を含んでいる。このような構成により、高開口数の対物レンズを使用する場合でも、薄膜の膜厚を高精度で解析することができる。
前記薄膜は、複数の膜が積層された多層膜であり、各複数の前記膜の膜厚毎にそれぞれ示されている反射率を合成して、前記計算データにおける前記反射率とする。このような構成とすることにより、多層膜からなる薄膜の膜厚を高精度で解析することができる。
本発明によれば、高開口数の対物レンズを使用する場合及び膜厚が1μm以上の場合でも、薄膜の膜厚分布を高解像度で解析することができる膜厚測定装置及び膜厚測定方法を提供することができる。
実施形態に係る膜厚測定装置を例示した構成図である。 実施形態に係る薄膜が形成された基板を例示した光学モデルである。 実施形態に係る薄膜が形成された基板における反射光の屈折による光路差を例示した図である。 実施形態に係る薄膜内の干渉のない多重反射を例示した図である。 実施形態に係る波長と反射率との関係を例示したグラフであり、横軸は波長を示し、縦軸は絶対反射率を示す。 実施形態に係る波長と反射率との関係を例示したグラフであり、横軸は波長を示し、縦軸は絶対反射率を示す。 実施形態に係る膜厚測定方法を例示したフローチャート図である。 実施形態に係る波長と反射率との関係を例示したグラフであり、横軸は波長を示し、縦軸は絶対反射率を示す。 実施形態に係る薄膜の膜厚と残差との関係を例示したグラフであり、横軸は、薄膜の膜厚を示し、縦軸は残差を示す。 実施形態に係る完全非可干渉の場合の膜厚がゼロの反射率計算の取り扱いを例示した図である。 基板上の薄膜の膜厚分布を例示した模式図である。
(実施形態)
本発明は、膜厚分布を測定し評価するという目的のために、以下の4点を利用した反射分光膜厚測定を利用する。
(1)共焦点光学系を使うことで、透明基板の裏面反射光を除去することができ、正味の表面反射光を正確に測定することが期待される。
(2)従来の分光膜厚計のように反射光を分光するかわりに、照明を単色光として試料の反射強度を測定する。そして、照明波長を変える度に、反射強度を同一視野に対して測定する。従って、反射率の波長依存性、すなわち、反射スペクトルを得ることができる。この時に各波長に対して撮像することで、反射率を2次元的に画像化できる。
(3)共焦点光学系を使いzスキャンすることで、表面形状を膜厚程度の誤差を含んだ形だが、3次元計測することができる。測定点が照明光軸に対してどの程度傾斜しているのかを見積もることができる。従って、傾斜による反射率変化を補正する場合にも利用できる。
(4)共焦点光学系を使い、微細パターンの膜厚分布を測定するために、開口数NAの大きな対物レンズを使うことで、数μmのパターン幅でも反射像を撮像できる。
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
本実施形態に係る膜厚測定装置100の構成を説明する。図1は、実施形態に係る膜厚測定装置100の構成を例示した図である。図1に示すように、本実施の形態に係る膜厚測定装置100は、光源11、干渉フィルター12、レンズ13a、13b、13c、スリット14、ビームスプリッタ15、振動ミラー16、対物レンズ17、ステージ18、光検出器19、処理装置20を備えている。光源11及び干渉フィルター12は光源部10を構成している。レンズ13a、13b、13c、スリット14、ビームスプリッタ15、振動ミラー16及び光検出器19は、共焦点光学系101を構成している。ステージ18上には、試料30が載置されている。膜厚測定装置100は、基板と、基板上に設けられた薄膜と、を含む試料30の薄膜の膜厚を測定する。
光源11としては、水銀キセノンランプのような連続スペクトルに複数の輝線を含む白色光源が用いられる。なお、例えば、紫外から赤外域(185nm〜2000nm)に幅広い連続スペクトルを有するキセノンランプを用いてもよい。もちろん、光源11としては、キセノンランプに限らず、白色ダイオード、白色レーザ等を用いてもよい。後述するように、波長が選択できればどのような光源を用いてもよい。
光源11からの光によって、試料30を観察するための光学系について説明する。光源11から出射した光は、干渉フィルター12を通過し、特定の波長の光に変換される。干渉フィルター12としては、例えば、特定波長の光を選択的に透過させる複数のバンドパスフィルタを用いることができる。これにより、複数の単一波長の照明光を選択的に透過させる。例えば、照明光の波長として、水銀キセノンランプの輝線に対応する波長の405nm、436nm、488nm、514nm、546nm、578nm、及び水銀キセノンランプの輝線ではない633nmを選択することができる。水銀キセノンランプを用いる場合、輝線に対応する波長以外の波長の光をフィルターで選択することも可能である。輝線の波長以外の光は強度が小さいため、干渉フィルターの半値幅を広くすることによりバランスを取ることができる。なお、波長の切替は連続的でもよいし、断続的でもよく、例えば、400nm〜650nmの間で5〜7波長を選択してもよい。このように、膜厚測定装置100は、少なくとも第1波長の照明光と第2波長の照明光とを切替可能な光源部10を備えている。
なお、光源11として単波長のレーザ光を出射するレーザ光源を用い、波長変換素子を設けてもよい。例えば、第二高調波発生により、波長変換素子に入射する単波長の光の波長変換を行うことができる。また、光源11として、可変波長レーザを用いることも可能である。さらに、異なる波長のレーザ光を出射する複数のレーザ光源を設けて、複数のレーザ光源のうちの所望の波長の光を選択するようにしてもよい。
共焦点光学系101は、光源部10からの照明光を試料30まで導くとともに、試料30からの反射光を光検出器19まで導く。干渉フィルター12を透過した単一波長の照明光はレンズ13aを透過して、スリット14に入射する。照明光は、スリット14を通してX方向のライン状に整形される。そして、ライン状の照明光は、ビームスプリッタ15に入射する。ビームスプリッタ15は、偏光状態によらずに、反射光と透過光の光量が略1:1になるように、光を分岐する。従って、照明光の略半分がビームスプリッタ15を透過する。
その後、図1中右方向に進む光は、振動ミラー16に入射する。振動ミラー16により、X方向のライン状の照明光で試料30上をY方向に走査する。これにより、試料30面上をXYに走査することができる。振動ミラー16としては、例えばガルバノミラー、ポリゴンミラー等を用いることができる。
振動ミラー16により、下方に反射された照明光は、対物レンズ17により集光され、試料30に照射される。試料30は、ステージ18上に載置されている。そして、試料30からの反射光は、再度対物レンズ17を通過し、振動ミラー16により再び反射され、ビームスプリッタ15へ入射する。その後、入射した光の略半分がビームスプリッタ15で反射され、レンズ13cに入射する。レンズ13cは、光検出器19の受光面に合成光を結像させる。レンズ13cを透過した光は、光検出器19で受光される。
本実施の形態では、光検出器19は、試料30のコンフォーカル画像を撮像するCCDラインセンサである。光源11からスリット14を透過した照明光が、試料30で反射して、CCDラインセンサにより検出される。振動ミラー16により、試料30上を走査することにより、スリットコンフォーカル画像が撮像される。このようにして、光検出器19は、試料30で反射した反射光を検出して、試料30の所定の領域における画像を取得する。なお、共焦点光学系の方式が用いられていれば、走査方法等は異なってもよく、スリットや光検出器は方式に適応したものを適宜用いることができる。例えば、X方向とY方向にスキャンするための振動ミラーを用いてもよく、X方向に音響光学素子であるAODを用いることも可能である。
ステージ18は、図示しないZ軸駆動モータを有しており、試料30を図1の上下方向に移動させることができる。このステージ18は、Z軸方向に移動することにより、試料面が焦点位置にくるように制御される。なお、ステージ18がZ方向に移動するかわりに、対物レンズ17を移動させて焦点位置調整を行うこともできる。
共焦点光学系において、観察波長を変えると合焦点位置が変化することが考えられ、これによる輝度の変化が予想される。これは、各波長の合焦点位置のズレ分を予め測定してPCに記憶しておき、波長切り替えの際に、ズレ分だけ自動的に試料30あるいは対物レンズ17のZ位置を微調整することでキャンセルすることができる。あるいは、それぞれの波長において、全焦点画像をZスキャンにより作製してもよい。なお、観察光学系自身の波長依存性は、シリコンや石英ガラスなどの、反射スペクトルが既知のサンプルを予め測定しておくことで、計算により補正できる。
本発明では、共焦点顕微鏡を用いて、照明波長を切り替えながら、反射率を測定する。処理装置20は、複数の異なる波長の照明光を照射したときのそれぞれの光検出器19で得られた画像から反射率を測定する。そして、基板に形成された薄膜の膜厚を算出する。すなわち、処理装置20は、薄膜の膜厚を算出するために、ある波長(第1波長)の照明光による画像(第1画像)と、それと異なる波長(第2波長)の照明光による画像(第2画像)とに基づいて、それぞれの波長に対する反射率の測定データを求める。そして、処理装置20は、波長と反射率との関係が薄膜の膜厚毎にそれぞれ示されている計算データを参照して、測定データから薄膜の膜厚を近似して算出する。
次に、上述した膜厚測定装置100を用いた膜厚測定方法について説明する。上述したように、本実施の形態に係る膜厚測定装置100は、波長を選択することが可能な共焦点顕微鏡を用いたものである。本実施形態では、1μm以上のレジスト膜の膜厚の解析方法を説明する。まず、膜厚の解析で参照する計算データについて説明する。その後、反射率を測定し、測定した反射率の測定データから、計算データを参照して、膜厚を算出する方法を説明する。
[可干渉性因子の導入]
高開口数の対物レンズを使用する場合及び膜厚が1μm以上の場合のように、反射光の可干渉性が低下した場合でも、反射率を算出することができるように、反射率の計算に可干渉性因子を導入する。試料30における薄膜の干渉による反射率Rは、干渉成分の項と非干渉成分の項とに分けられる。よって、試料30における薄膜の干渉による反射率Rは、非干渉成分の項Ricと干渉成分の項Rifと可干渉性因子Γを使って、式(1)のように書くことができる。
Figure 2017198491
薄膜内の反射光が完全に干渉する状態を完全可干渉(Γ=1)、全く干渉しない状態を完全非可干渉(Γ=0)とすると、一般の状態はそれらの中間にあると考えることができる。反射率を理論計算する際に、Γ=1の場合(R=Rch)とΓ=0場合(R=Ric)についてそれぞれフレネル係数から計算することができる。従って、それらの差をとることで、干渉成分Rifを式(2)で計算することができる。
Figure 2017198491
従って、可干渉性因子Γを入れて式(3)を使い、反射率Rを理論計算することができる。
Figure 2017198491
可干渉性には時間的可干渉性と空間的可干渉性が含まれているが、前者に関しては可干渉距離Lという形で見積ることが出来る。照明光の波長帯域Δλと中心波長λを使って式(4)のように計算できる。例えば、中心波長λ=546nm、波長帯域Δλ=16nmの場合には、可干渉距離L=18nm程度になる。
Figure 2017198491
膜厚tが可干渉距離Lよりも十分小さい範囲では可干渉性因子Γ〜1となり、大きい範囲では可干渉性因子Γ<<1となるので、可干渉性因子Γは、ガウス関数型で変化すると考えるのが一般的である。多重反射の影響でガウス型から歪む可能性があるが、近似とする。補正係数として、βとする。薄膜の屈折率がn1の場合、行路差は2tnとなる。(後で開口数NAの効果の補正によって、tnはΔLに置き換える。)
Figure 2017198491
Figure 2017198491
可干渉距離以外の要因には焦点深度の影響がある。膜面と基板面の焦点位置のズレは可干渉性を低下させる方向に作用する。焦点位置からのズレと受光強度の関係(I−Z曲線)をガウス関数またはローレンツ関数で近似した場合の半値幅が、膜厚tに対して十分小さくなければ、可干渉性への影響が無視できなくなる。この効果の補正は、補正係数βで吸収できると考える。
この理論値を実測値に対して、補正係数βをパラメータに含めて、カーブフィット法で膜厚解析することができる。代表点の解析で求めた補正係数βの値を使って、画像全体の膜厚分布解析をすることもできる。
[絶対反射率の理論計算]
図2は、実施形態に係る薄膜32が形成された基板31を例示した光学モデルである。図2に示すように、光学モデルは、測定対象として考える試料30の構造の断面を示している。試料30は、基板31と、基板31の上に設けられた薄膜32を含んでいる。基板31は、例えばシリコン基板Siであり、薄膜32は、例えば、フォトレジスト膜 (Photo Resist)PRである。
試料30の構造は、上から、空気air/フォトレジスト膜PR/シリコン基板Siとなり、波長λに対するそれぞれの複素屈折率をN、N、N、屈折率をn=1、n、n、消衰係数をk=0、k、kとする。複素屈折率は式(7)〜(9)のように定義する。求めたいフォトレジスト膜PRの膜厚を膜厚tとする。
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
[1.完全可干渉の場合]
次に、シリコン基板Si上のフォトレジスト膜PRによる薄膜干渉強度について考える。波長λの光が薄膜に対して垂直に入射するものとする(図2では、対物レンズの開口数NAを考えて斜め入射にしている)。入射した光の一部は、空気air/フォトレジスト膜PRの界面0で反射する。また、一部は、透過し、フォトレジスト膜PR/シリコン基板Siの界面1で反射する。界面1からの反射光の一部は、界面0を透過するが、さらに、一部は、界面0で反射され、再び界面1で反射する。一般的に、薄膜では、このような多重反射が起こる。これらの反射光が全て干渉し、合計されたものから、反射率Rが得られる。複素屈折率が既知であるならば、垂直入射の反射率Rは波長λと膜厚tだけで決まる。
界面0(空気air/フォトレジスト膜PRの界面)と界面1(フォトレジスト膜PR/シリコン基板Siの界面)での振幅反射率をそれぞれ、式(10)(11)とする。このとき薄膜を1回透過する光の位相変化と振幅変化をそれぞれ、式(12)(13)のようにδとγとする。
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
多重反射を考慮した膜構造全体の振幅反射率は式(14)となる。
Figure 2017198491
反射率Rは振幅反射率の絶対値の自乗となるので、式(15)となる。
Figure 2017198491
従って、複素屈折率が既知であれば、垂直入射の反射率は波長λと膜厚tのみから計算することができる。
ここで、対物レンズの開口数NAによる斜入射効果の補正を考える。図3は、実施形態に係る薄膜が形成された基板における反射光の屈折による光路差を例示した図である。図3に示すように、光軸に対して角度θで入射した光は、界面0で式(16)のスネルの法則に従い、界面0でθだけ屈折し、界面1で反射し、再び界面0で屈折する反射光Eとなる。反射光Eと、界面0で反射した反射光Eとの間で、多重反射による干渉が起こる。垂直入射の場合と異なるのは、反射光Eと反射光Eの光路差が式(17)のようになることである。入射角が大きくなるに従い、見掛け上の膜厚tは小さくなる。
Figure 2017198491
Figure 2017198491
入射光には、対物レンズの開口数NAによる角度θNAから0度までの様々な光が含まれているため、厳密には反射光の干渉を全ての角度で計算する必要がある。しかし、振幅反射率と光路差の角度依存性を全て扱うのは計算負荷が大きいので、垂直入射の振幅反射率と平均光路差を使って近似する。入射光は無偏光なので、反射率の角度依存より、光路差の角度依存が支配的だと考える。
開口数NAと屈折角の関係は式(18)のようになるため、平均光路差は式(17)を−θmax〜+θmaxの範囲で、角度分布の平均を式(19)のように求めればよい。よって、式(17)を式(19)に置き換えて、式(15)を計算すれば、任意の開口数NAに対する反射率を簡便に計算することができる。
Figure 2017198491
Figure 2017198491
ここまで説明した単層の薄膜32の計算は、多層膜の場合でも基板31側から合成フレネル係数の合成則を使って計算することにより実行することができる。
[2.完全非可干渉の場合]
次に、シリコン基板Si上のフォトレジスト膜PRによる薄膜干渉のない場合の反射率Ricについて検討する。図4は、実施形態に係る薄膜32内の干渉のない多重反射を例示した図である。完全可干渉の場合と同様に、薄膜32内では多重反射が起こるが、界面0及び界面1の反射光は互いに干渉しないため、これらの反射光を単純合計されたものから、反射率Ricが得られる。
界面0の反射率をR、界面1の反射率をR、薄膜32の内部透過率をTとする。それぞれの界面の反射率はフレネル係数から、式(20)及び式(21)となる。内部透過率Tは、ランベルトの法則から吸収係数αと消衰係数kの関係を使い、式(22)のようになる。基板31によるm回反射の反射率をRとすると、mを0から∞まで足し合わせたものが反射率Ricとなり、式(23)のように書くことができる。
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
内部透過率Tに対する開口数NAの影響を補正する。角θの場合の内部透過率Tは、式(22)中の膜厚tを角度平均<t>に置き換えればよい。入射角は0〜θmaxとすると、式(24)となり、角度平均<t>は、式(25)のように書くことができる。ここで改めて、内部透過率Tを式(26)のようにする。
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
以上の計算は、多層膜の場合でも基板31側から界面反射率を合成計算することで実行できる。
[3.部分可干渉の場合]
完全可干渉の反射率Rch、完全非可干渉の反射率Ric、可干渉性因子Γを使うことで、それらの中間状態(部分可干渉性)の反射率Rを式(27)として計算することができる。
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
式(30)の可干渉性因子Γは、式(19)の開口数NAの補正を使って、式(5)の膜厚tnをΔLに置き換えた。多層膜の場合は、各層のΔLの合計を、最終的なΔLとして使う。
図5及び図6は、実施形態に係る波長と反射率との関係を例示したグラフであり、横軸は波長を示し、縦軸は絶対反射率を示す。図5に示すように、開口数NA=0.3の場合について、膜厚t=1000nmの条件で、波長400〜700nmにおける反射率Rの補正係数β依存性を計算した。補正係数β=0の場合はΓ=1、補正係数β=1の場合はΓ<0.8、補正係数β=2の場合はΓ<0.65、補正係数β=10の場合はΓ<0.1であり、Γが小さくなると干渉成分が減衰する。さらに、Γは波長依存性があるので、波長が短い側から干渉成分が減衰している。図6に示すように、開口数NA=0.3の場合について、膜厚t=2000nmの場合をみると、膜厚が厚い程、干渉成分が減衰している。
[膜厚解析]
次に、反射率を測定して、反射率の測定データを求め、上述した計算データを参照して、膜厚を算出する方法を説明する。
図7は、実施形態に係る膜厚測定方法を例示したフローチャート図である。まず、図7のステップS1に示すように、異なる波長の照明光を切替えて薄膜に照明光を照射する。共焦点光学系101を介して、試料30に第1波長の照明光と第2波長の照明光とを切替えて照射する。例えば、照明光の波長として、436nm、486nm、514nm、546nm、578nm、633nmの7つの波長を選択する。
次に、図7のステップS2に示すように、異なる波長の照明光による画像を取得する。試料30で反射した反射光を、共焦点光学系101を介して検出して、第1波長の光による第1画像と、第2波長の光による第2画像とを取得する。
次に、図7のステップS3に示すように、反射率を測定し、測定データを求める。すなわち、薄膜32の膜厚を算出するために、第1画像と第2画像とに基づいて、第1波長及び第2波長に対する反射率の測定データをそれぞれ求める。反射率は、キャプチャーした画像の輝度値Isampleから求める。各波長の反射率Rの測定値を式(27)に対して、最小自乗法で膜厚tと、補正係数βをパラメータとしてフィッティングさせることで、膜厚tを求めることができる。
反射率Rを測定する場合は、測定に使用している光学系の特性や光源の特性を補正するために、反射率Rが既知である基準試料の反射率測定を行う。例えば、シリコン(Si)を基準とする場合(石英ガラス等でも構わない)は、各波長でシリコン(Si)の反射画像をキャプチャーする(カラーバランス、ゲインコントロール等は一定にする)。このシリコン(Si)の輝度値ISiに対する相対値として、試料の反射率Rを計算し、さらに、シリコン(Si)の既知の反射率の波長依存性のデータRSiで補正を行う。従って、試料の反射率は式(32)のように求められる。Iは照明光のシャッターを閉じた場合に受光される暗輝度値である。
Figure 2017198491
共焦点顕微鏡のゲイン調整を固定した状態で、基準のシリコン(Si)と試料30について、同一の視野の画像を、波長を変えて取得した。画像上で指定したエリアに関する輝度値の平均値あるいは各画素の輝度値に対してIsample、ISiとして使い、式(32)から絶対反射率を求める。
可干渉因子補正の計算方法の検証として、シリコンウェハ上のフォトレジスト膜PR(約1586nm:白色干渉法の断面測定)を使った。光学デモルは、図3と同様になる。膜厚測定装置100の対物レンズは、開口数NA=0.3のものを用いた。
次に、図7のステップS4に示すように、反射率の計算データを参照し、反射率の測定データから膜厚を算出する。すなわち、波長と反射率との関係が薄膜32の膜厚毎にそれぞれ示されている計算データを参照して、測定データから薄膜32の膜厚を近似して算出する。
図8は、実施形態に係る波長と反射率との関係を例示したグラフであり、横軸は波長を示し、縦軸は絶対反射率を示す。図8には、式(32)から求めた測定反射率と、式(27)から求めた計算反射率とをプロットしたものを示した。補正係数βを、0及び0.5として計算したものである。測定値の反射率Rmesと計算値の反射率Rcalの残差Σを式(33)により求める。
図9は、実施形態に係る薄膜の膜厚と残差との関係を例示したグラフであり、横軸は、薄膜の膜厚を示し、縦軸は残差を示す。
Figure 2017198491
残差Σが最小になる場合の膜厚tを、この試料の測定点の膜厚とすることができる。したがって、ここでは、補正係数β=0の場合(完全可干渉)は、膜厚t=44nmと判定され、補正係数β=0.5の場合(部分可干渉)は、膜厚t=1580nmと判定されている。可干渉性因子Γを導入した解析結果は、白色干渉の測定結果と合致している。6つの波長の測定でも、可干渉性因子Γを解析に導入することで、1μm以上の膜厚tを、高精度で測定することができる。
同様の方法で、画像の各画素に対して膜厚tを求めることができるので、膜厚分布を表示することができる。従って、膜厚分布を、容易にヒストグラム解析することができる。薄膜上に、ゴミや異物が存在することにより測定値の異常点が発生しても、周囲の正常値で補間処理(ノイズリダクション)することも容易である。表示方法として、鳥瞰図にすることもできる。
[反射率計算の補足]
試料30における薄膜32が多層膜の場合において、多層膜中に、幾つかの厚さゼロの層が存在する場合の反射率計算の取り扱いについて補足する。完全可干渉の場合は、各界面のフレネル係数の合成式は厚さ0の場合でもそのまま適用できるので、問題は生じない。しかし、完全非可干渉の場合には、層の厚さが0のときは、式(20)、式(21)及び式(23)をそのまま適用できないため、以下に説明する特別な計算法則を導入する必要がある。
図10は、実施形態に係る完全非可干渉の場合の膜厚がゼロの反射率計算の取り扱いを例示した図である。図10に示すように、N層膜の中の連続する(m−1)層、m層、(m+1)層の3つの層の重なりを考える。m層に着目すると、光学定数はn、k及び膜厚tである。(m−1)層とm層との界面を(m−1、m)界面とし、m層と(m+1)層との界面を(m、m+1)界面とする。界面のフレネル係数をそれぞれ、rm−1、m及びrm、m+1とし、式(10)及び式(11)と同様に表現できる。この関係を、(m−1)層と(m+1)層についても考えことができる。
(m+2)層までの合成反射率R’m+2、m+3まで計算できている状況で、(m+1)層の膜厚tm+1>0の場合、(m+1、m+2)界面の合成反射率R’m+1、m+2は、式(23)と同様にして計算できる。ここで、m層の膜厚t=0の場合は、上下の界面のフレネル係数、rm−1、m及びrm、m+1を、式(34)及び式(35)のような特別な規則で置き換え処理を行う。この改訂されたフレネル係数を使い、それぞれの界面の反射率を、式(36)及び式(37)と再定義する。この時の内部透過率Tiは、それぞれ式(38)及び式(39)とおける。
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
Figure 2017198491
(m、m+1)界面の合成反射率R’m。m+1は、合成規則より式(40)となる。
Figure 2017198491
さらに、上のm層の合成反射率R’m−1、mも、合成規則より式(41)となる。
Figure 2017198491
式(41)をよく観ると、まさにm層が存在しない場合の反射率の式になっている。このようなフレネル係数の変換則を適用することで、多層膜中に膜厚が0の層が存在する場合でも、完全非可干渉の反射率を計算することができる。N層膜中にJ個の膜厚0層が分布して存在する場合も同様に計算することができる。
次に、本実施形態に係る膜厚測定装置100及び膜厚測定方法の効果を説明する。本実施形態の膜厚測定装置100において、波長と反射率との関係が薄膜の膜厚毎にそれぞれ示されている計算データにおける反射率は、非干渉成分の項を含んでいる。よって、可干渉性が減少するような1μm以上の膜厚の薄膜にたいしても高精度で膜厚を解析することができる。これにより、1μm以上の膜厚の薄膜における膜厚分布を高解像度で解析することができる。
また、計算データにおける反射率の非干渉成分Ricの項は、基板31側の界面による所定の回数までの各反射における反射率の総和を含んでいる。これにより、薄膜32内での多重反射を反映させることができるので、1μm以上の膜厚の薄膜にたいしても高精度で膜厚を解析することができる。
計算データにおける反射率は、干渉成分Rifの項と、干渉成分の項の割合を示す可干渉因子Γとの積を含んでいる。これにより、反射率が非干渉成分Ricと干渉成分Rifとを含む部分可干渉の場合でも、薄膜の膜厚を高精度で解析することができる。
さらに、計算データにおける反射率は、対物レンズの開口数NAによる補正を含んでいる。これにより、高開口数の対物レンズを使用する場合でも、薄膜の膜厚を高精度で解析することができる。また、膜厚分布を高解像度で解析することができる。
膜厚測定装置100は、薄膜が多層膜の場合でも、積層された各複数の膜の膜厚毎にそれぞれ示されている反射率を合成して、計算データにおける反射率としている。よって、多層膜からなる薄膜の膜厚を高精度で解析することができる。また、多層膜における膜厚分布を高解像度で解析することができる。多層膜におけるいくつかの膜厚が0の場合でも光学モデルの構成を変えずに、フレネル係数の変換則を適用することで、高精度で膜厚を解析することができる。
このように、膜厚測定装置100は、観察画像の各画素に対して、分光スペクトルを得ることができる。そして、分光スペクトルを絶対反射率に換算し、可干渉性因子を考慮した膜厚をパラメータとするフィッティングを行っている。これにより、0〜1μmの膜厚だけでなく、1μm以上の膜厚まで精度よく求めることができる。
また、膜厚測定装置100は、共焦点顕微鏡を用いて、照明波長を切り替えながら、反射強度を測定することで、基材上の膜厚分布の測定をすることができる。よって、膜厚分布のムラの大きい場合でも非接触・非破壊で、短時間に測定することができる。さらに、光学顕微鏡の焦点深度より大きな段差のある表面の膜厚測定にも対応できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。
0、1 界面
10 光源部
11 光源
12 干渉フィルター
13a、13b、13c レンズ
14 スリット
15 ビームスプリッタ
16 振動ミラー
17 対物レンズ
18 ステージ
19 光検出器
20 処理装置
30 試料
31 基板
32 薄膜
100 膜厚測定装置
101 共焦点光学系

Claims (10)

  1. 基板と、前記基板上に設けられた薄膜と、を含む試料の前記薄膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であって、
    少なくとも第1波長の照明光と第2波長の照明光とを切替可能な光源部と、
    前記試料で反射した反射光を検出して、前記試料の所定の領域における画像を取得する光検出器と、
    前記光源部からの照明光を前記試料まで導くとともに、前記試料からの前記反射光を前記光検出器まで導く共焦点光学系と、
    前記薄膜の膜厚を算出するために、前記第1波長の照明光による第1画像と、前記第2波長の照明光による第2画像とに基づいて、前記第1波長及び前記第2波長に対する反射率の測定データをそれぞれ求める処理部と、を備え、
    前記処理部は、波長と反射率との関係が前記薄膜の膜厚毎にそれぞれ示されている計算データを参照して、前記測定データから前記薄膜の膜厚を近似して算出し、
    前記計算データにおける前記反射率は、非干渉成分の項を含んでいる膜厚測定装置。
  2. 前記非干渉成分の項は、前記基板側の界面による所定の回数までの各反射における反射率の総和を含んでいる請求項1に記載の膜厚測定装置。
  3. 前記計算データにおける前記反射率は、干渉成分の項と、前記干渉成分の項の割合を示す可干渉因子との積を含んでいる請求項1または2に記載の膜厚測定装置。
  4. 前記共焦点光学系は、対物レンズを含み、
    前記計算データにおける反射率は、前記対物レンズの開口数による補正を含んでいる請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜厚測定装置。
  5. 前記薄膜は、複数の膜が積層された多層膜であり、
    前記処理部は、各複数の前記膜の膜厚毎にそれぞれ示されている反射率を合成して、前記計算データにおける前記反射率とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜厚測定装置。
  6. 基板と、前記基板上に設けられた薄膜と、を含む試料の前記薄膜の膜厚を測定する膜厚測定方法であって、
    共焦点光学系を介して、前記試料に第1波長の照明光と第2波長の照明光とを切替えて照射し、
    前記試料で反射した反射光を、前記共焦点光学系を介して検出して、前記第1波長の光による第1画像と、前記第2波長の光による第2画像とを取得し、
    前記薄膜の膜厚を算出するために、前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記第1波長及び第2波長に対する反射率の測定データをそれぞれ求め、
    波長と反射率との関係が前記薄膜の膜厚毎にそれぞれ示されている計算データを参照して、前記測定データから前記薄膜の膜厚を近似して算出し、
    前記計算データにおける前記反射率は、非干渉成分の項を含んでいる膜厚測定方法。
  7. 前記非干渉成分の項は、前記基板側の界面による所定の回数までの各反射における反射率の総和を含んでいる請求項6に記載の膜厚測定方法。
  8. 前記計算データにおける前記反射率は、干渉成分の項と、前記干渉成分の項の割合を示す可干渉因子との積を含んでいる請求項6または7に記載の膜厚測定方法。
  9. 前記共焦点光学系は、対物レンズを含み、
    前記計算データにおける反射率は、前記対物レンズの開口数による補正を含んでいる請求項6〜8のいずれか一項に記載の膜厚測定方法。
  10. 前記薄膜は、複数の膜が積層された多層膜であり、
    各複数の前記膜の膜厚毎にそれぞれ示されている反射率を合成して、前記計算データにおける前記反射率とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の膜厚測定方法。
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