JP2008286408A - 動力断続装置及びデファレンシャル装置 - Google Patents

動力断続装置及びデファレンシャル装置 Download PDF

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Abstract

【課題】大きなアクチュエータを必要とすることなく、ドッグクラッチの係合及び離脱を確実に行うことができる簡単な構造のデファレンシャル装置を提供する。
【解決手段】エンジンの駆動力が入力して回転するアウタデフケース203と、エンジンの駆動力を差動分配する差動機構2057を内部に有し、アウタデフケース203内に同軸に回転可能に支持されたインナデフケース41と、インナデフケース41の軸方向に隣接して配置され、軸方向に移動可能で、且つアウタデフケース203と一体に回転するクラッチ部材43と、インナデフケース41とクラッチ部材43との対向間に設けられ、クラッチ部材43の軸方向の移動によって係合離脱可能に噛み合うドッグクラッチ41a、43aと、ドッグクラッチ41a、43aが係合離脱するようにクラッチ部材43を軸方向に移動させる環状のプランジャ65を有し、出力軸と同軸に設けられた電磁駆動手段61とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の動力断続装置及びデファレンシャル装置に関する。
図29は特許文献1に記載された従来のデファレンシャル装置を示す。このデファレンシャル装置100は、パートタイム4輪駆動車の2輪切り換え時に駆動が断たれるものであり、車両のフロントデフに適用される。
デファレンシャル装置101はインナデフケース103とアウタデフケース105とを備えている。
インナデフケース103の内部には、ピニオンシャフト107が固定されており、ピニオンシャフト107にはピニオンギア109が回転可能に取り付けられている。ピニオンギア109にはドライブシャフト111,111がスプライン連結された左右のサイドギア113,113が噛み合っている。ドライブシャフト111,111はインナデフケース103の左右のボス部115,117から外側に突出しており、突出部分に左右の車輪が装着される。
アウタデフケース105はインナデフケース103のボス部115,117に配置したボールベアリング119を介して相対回転可能となっている。また、アウタデフケース105の左右のボス部121,123はテーパーローラベアリング125を介してデフキャリア127に回転可能に支持されている。
アウタデフケース105にはリングギア129が固定され、リングギア129がプロペラシャフト131噛み合うことにより、エンジンからの回転力が入力されてアウタデフケース105が回転する。
インナデフケース103のボス部115には、スプライン連結されたスリーブ133が軸方向へ移動可能に配置されている。スリーブ133の外周には、環状の凹部135が形成されており、この凹部135にはシフトフォーク137が相対回転可能に係合している。シフトフォーク137はデフキャリア127に設置された空圧、油圧等のシリンダ139に連結されており、シリンダ139の駆動によってスリーブ133が往復方向に移動するようになっている。シリンダ139は運転席側からのリモート操作によって伸縮駆動する。
スリーブ133とアウタデフケース105との対向部には、クラッチ手段141が設けられている。クラッチ手段141はスリーブ133の端面に環状に形成されたドッグクラッチ143と、アウタデフケース105のボス部121の端面に形成されドッグクラッチ143と噛み合うドッグクラッチ145とからなっている。
このデファレンシャル装置101では、シリンダ139を伸長駆動してスリーブ133を右方向に移動させ、ドッグクラッチ143をアウタデフケース105のドッグクラッチ145に噛み合わせることにより、アウタデフケース105とインナデフケース103とを結合させる。これにより、四輪駆動走行を行う。一方、シリンダ139を短縮駆動してスリーブ133を左方向に移動して、ドッグクラッチ143,145の噛み合いを解除することにより、二輪駆動走行が可能となる。
特公平5−54574号公報
このようなデファレンシャル装置では、ドッグクラッチ143,145の噛み合い及び離脱を行うためのアクチュエータとしてシリンダ139を用いているが、アクチュエータが空圧、油圧等の流体圧で駆動するため、大型化している。特に、高地等における走行では、流体圧が気圧に左右されやすいため、アクチュエータを大型化する必要がある。
また、流体圧で四輪駆動、二輪駆動を切り換えるためには、摺動部分が必要となっている。例えば、図29においては、シフトフォーク137とスリーブ133とが摺動する必要がある。このように摺動部分が必要となっている場合には、摺動抵抗が発生するため、出力トルクに影響を及ぼす恐れがある。
そこで、本発明は、大きなアクチュエータを必要とすることなく、しかも摺動抵抗を低減して出力トルクを大きくすること可能な動力伝達装置及びデファレンシャル装置を提供することを目的とする。
請求項1の動力断続装置は、入力側と出力側の各トルク伝達部材と、前記両トルク伝達部材の間に設けられ、クラッチ部材の軸方向移動によって噛み合いと噛み合いの解除を行う噛み合いクラッチと、前記クラッチ部材を軸方向に移動させる環状のプランジャと、前記両トルク伝達部材と同軸に設けられ、前記プランジャを磁力で移動操作する電磁ソレノイドとを備え、前記プランジャが、前記電磁ソレノイドを構成するコイルハウジングにより、所定の位置で軸方向移動自在に保持されていることを特徴としている。
この発明では、電磁ソレノイドがクラッチ部材を軸方向に移動させるアクチュエータとなっている。電磁ソレノイドは電流を制御することにより、駆動が切り換えられるため、気圧に左右されることがなくなり、アクチュエータを小型とすることができる。
また、流体の漏れを考慮する必要がなく、流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となり、部品点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易となる。
また、流体圧で駆動するアクチュエータのように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、出力トルクへの影響を低減させることができる。
また、電磁ソレノイドが両トルク伝達部材と同軸となるように配置されることにより、プランジャを始めとした電磁ソレノイドの全体がリング形状となる。リング形状では、その全体から駆動力を作用させることができるため、クラッチ部材を大きな力で駆動することができ、安定した駆動を行うことができる。また、リング形状では、出力軸や入力軸を通したレイアウトが可能となるため、バランス性が良好となる。
また、電磁ソレノイドのコイルハウジングによってプランジャを支持(センターリング)するため、コイルハウジングとプランジャの間のクリアランス調整が容易であり、これらの間の磁力ロスと摺動抵抗をそれぞれ最小にすることができる。
請求項2のデファレンシャル装置は、エンジンの駆動力が入力して回転するデフケースと、前記デフケースに収容され、エンジンの駆動力を車輪側出力軸に差動分配する差動機構と、軸方向に移動可能な一側のクラッチ部材と他側のクラッチ部材との間に設けられ、前記一側クラッチ部材の軸方向移動によって係合離脱可能に噛み合い、差動制限、あるいは、トルクの断続を行う噛み合いクラッチと、前記噛み合いクラッチが係合離脱するようにクラッチ部材を軸方向に移動させる環状のプランジャを有し、前記出力軸と同軸に設けられた電磁ソレノイドとを備え、前記プランジャが、前記電磁ソレノイドを構成するコイルハウジングにより、所定の位置で軸方向移動自在に保持されていることを特徴としている。
この発明でも、電磁ソレノイドがクラッチ部材を軸方向に移動させるアクチュエータとなっており、電磁ソレノイドは電流を制御することによって、駆動が切り換えられるため、気圧に左右されることがなくなり、アクチュエータを小型とすることができる。
また、流体の漏れを考慮する必要がなく、流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となり、部品点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易となる。
また、流体圧で駆動するアクチュエータのように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、出力トルクへの影響を低減させることができる。
また、電磁ソレノイドが出力軸と同軸となるように配置されることにより、プランジャを始めとした電磁ソレノイドの全体がリング形状となる。リング形状では、その全体から駆動力を作用させることができるため、クラッチ部材を大きな力で駆動することができ、安定した駆動を行うことができる。また、リング形状では、出力軸を通したレイアウトが可能となるため、バランス性が良好となる。
また、電磁ソレノイドのコイルハウジングによってプランジャを支持(センターリング)するため、コイルハウジングとプランジャの間のクリアランス調整が容易であり、これらの間の磁力ロスと摺動抵抗をそれぞれ最小にすることができる。
請求項3のデファレンシャル装置は、エンジンの駆動力が入力して回転するアウタデフケースと、エンジンの駆動力を左右の出力軸に差動分配する差動機構を内部に有し、アウタデフケース内に同軸に回転可能に支持されたインナデフケースと、インナデフケースの軸方向に隣接して配置され、軸方向に移動可能で、且つアウタデフケースと一体に回転するクラッチ部材と、インナデフケースとクラッチ部材との対向間に設けられ、クラッチ部材の軸方向の移動によって係合離脱可能に噛み合う噛み合いクラッチと、噛み合いクラッチが係合離脱するようにクラッチ部材を軸方向に移動させる環状のプランジャを有し、前記出力軸と同軸に設けられた電磁ソレノイドとを備え、前記プランジャが、前記電磁ソレノイドを構成するコイルハウジングにより、所定の位置で軸方向移動自在に保持されていることを特徴としている。
この発明でも、電磁ソレノイドがクラッチ部材を軸方向に移動させるアクチュエータとなっており、電磁ソレノイドは電流を制御することによって、駆動が切り換えられるため、気圧に左右されることがなくなり、アクチュエータを小型とすることができる。
また、流体の漏れを考慮する必要がなく、流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となり、部品点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易となる。
また、流体圧で駆動するアクチュエータのように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、出力トルクへの影響を低減させることができる。
また、電磁ソレノイドが出力軸と同軸となるように配置されることにより、プランジャを始めとした電磁ソレノイドの全体がリング形状となる。リング形状では、その全体から駆動力を作用させることができるため、クラッチ部材を大きな力で駆動することができ、安定した駆動を行うことができる。また、リング形状では、出力軸を通したレイアウトが可能となるため、バランス性が良好となる。
また、電磁ソレノイドのコイルハウジングによってプランジャを支持(センターリング)するため、コイルハウジングとプランジャの間のクリアランス調整が容易であり、これらの間の磁力ロスと摺動抵抗をそれぞれ最小にすることができる。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された動力断続装置またはデファレンシャル装置であって、前記コイルハウジングと前記プランジャとの間に、シールが配置されていることを特徴としている。
この発明では、請求項1〜3の発明と同様な作用・効果を有するのに加えて、コイルハウジングとプランジャとの間に配置されたシールによって、オイル中に含まれるコンタミネーション(例えば、磁性金属粉)がコイルに吸着されることがなくなり、磁性金属粉の詰まりによるプランジャの移動不良(噛み合いクラッチの動作不良)が防止され、正常な機構が長期にわたって保たれる。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された動力断続装置またはデファレンシャル装置であって、前記コイルハウジングと前記プランジャの少なくともいずれか一方に、前記プランジャの作動に伴ってオイルの流出入を促進するオイル溝を設けたことを特徴としており、請求項1〜4の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
また、コイルハウジングやプランジャにオイル溝を設けたこの構成では、例えば、プランジャが電磁ソレノイドやリターンスプリングによって移動操作されるとき、プランジャを収容するコイルハウジングの袋状部分からのオイルの流出入が促進され、オイルの抵抗がそれだけ軽減される。
オイルの抵抗が軽減されたことによって、噛み合いクラッチの操作レスポンスが向上すると共に、オイルの抵抗と対抗するために電磁ソレノイドの磁力を強化する必要がなくなり、これに伴う動力断続装置とデファレンシャル装置の大型化、重量化が防止され、各装置が車両に搭載される場合は、各装置の車載性低下が防止される。
さらに、車両に搭載される場合は、電磁ソレノイドを励磁するバッテリー及びバッテリーを充電するオルタネータの負担増加と、このオルタネータを駆動するエンジンの燃費低下が防止される。
また、オイル抵抗の軽減効果は、オイルの粘度が増大する低温時で、特に著しい。
また、上記のように、コイルハウジングに形成される袋状の部分からのオイルの流出入が促進されることによって、オイル中に分散している鉄粉のような磁性金属粉(コンタミネーション)がオイルと共に外部に排出され、内部に溜まらないから、鉄粉などの噛み込みによるプランジャの移動不良が防止され、噛み合いクラッチと、これを用いた各装置の動作(性能)が正常に保たれ、耐久性が向上する。
また、磁路を構成するコイルハウジングとプランジャに設けられたオイル溝は、磁束が集中して極部磁石になり、磁性金属粉が吸着されてオイルへの再分散が防止されるから、磁性金属粉の噛み込み防止効果がさらに向上する。
また、上記のようにオイルの移動が促進され、オイルによる冷却機能が向上するから、電磁ソレノイドの温度上昇(電気抵抗の上昇)と励磁電流の低下(プランジャの移動操作力の低下)が防止され、励磁電流の低下を補うために電磁ソレノイドの磁力を強化する必要がなくなる。
従って、上記のように、電磁ソレノイドの磁力強化に伴う、各装置の大型化、重量化、車載性の低下、バッテリー及びオルタネータの負担増加、エンジン燃費の低下などが防止される。
なお、請求項5の構成において、オイル溝は、コイルハウジングとプランジャのいずれか一方に設けても、あるいは、これらの両方に設けてもよい。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載された動力断続装置またはデファレンシャル装置であって、前記コイルハウジングと前記プランジャとが構成する前記電磁ソレノイドの磁路において、前記コイルハウジングと前記プランジャの少なくともいずれか一方に、磁気抵抗材を配置したことを特徴としており、請求項1〜5の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
また、コイルハウジングやプランジャが構成する電磁ソレノイドの磁路中に、磁気抵抗材を配置することで、磁路上での磁力を適度に低減させたこの構成では、環状のプランジャとコイルハウジングとの隙間が、周方向に変化しても、隙間の変化による磁力変化が小さく抑えられるから、プランジャとコイルハウジングの間の磁束(磁束変化)が周方向で均一化される。
従って、噛み合いクラッチと、これを用いた動力断続装置とデファレンシャル装置の動作と性能が安定し、信頼性が向上する。
なお、請求項6の構成において、磁気抵抗材は、コイルハウジングとプランジャのいずれか一方に配置しても、あるいは、これらの両方に配置してもよい。
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載された動力断続装置またはデファレンシャル装置であって、前記コイルハウジングにおいて、前記プランジャを軸方向に移動させるのに必要な磁束を漏れなく通過させるに充分な磁路断面積を超えた部分が削除されていることを特徴としており、請求項1〜6の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
また、プランジャを移動させるのに必要な磁束を漏れなく通過させるに充分な磁路断面積を超えた部分をコイルハウジングから削除したこの構成では、磁束の漏洩が防止されるか、あるいは、大幅に軽減される。
従って、漏洩による磁束の低下を補うために電磁ソレノイドの磁力を強化する必要がなくなり、上記のように、電磁ソレノイドの磁力強化に伴う電磁ソレノイドと、これを用いた動力断続装置とデファレンシャル装置の大型化、重量化、車載性の低下、バッテリー及びオルタネータの負担増加、エンジン燃費の低下などが防止される。
請求項1の発明によれば、クラッチ部材を移動させるアクチュエータとして電磁ソレノイドを用いるため、アクチュエータを小型とすることができ、しかも、流体の漏れを考慮する必要がなく、流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となりるため、部品点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易となる。
また、流体圧で駆動するアクチュエータのように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、出力トルクへの影響を低減することができる。
また、電磁ソレノイドがトルク伝達部材と同軸のリング形状となり、その全体から駆動力を作用させることができるため、クラッチ部材を大きな力で駆動することができ、安定した駆動を行うことができると共に、トルク伝達部材を通したレイアウトが可能となるため、バランス性が良好となる。
また、電磁ソレノイドのコイルハウジングによってプランジャを支持(センターリング)するため、コイルハウジングとプランジャの間のクリアランス調整が容易であり、これらの間の磁力ロスと摺動抵抗をそれぞれ最小にすることができる。
請求項2記載の発明によれば、クラッチ部材を移動させるアクチュエータとして電磁ソレノイドを用いるため、アクチュエータを小型とすることができ、しかも、流体の漏れを考慮する必要がなく、流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となりるため、部品点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易となる。
また、流体圧で駆動するアクチュエータのように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、出力トルクへの影響を低減することができる。
また、電磁ソレノイドが出力軸と同軸のリング形状となり、その全体から駆動力を作用させることができるため、クラッチ部材を大きな力で駆動することができ、安定した駆動を行うことができると共に、出力軸を通したレイアウトが可能となるため、バランス性が良好となる。
また、電磁ソレノイドのコイルハウジングによってプランジャを支持(センターリング)するため、コイルハウジングとプランジャの間のクリアランス調整が容易であり、これらの間の磁力ロスと摺動抵抗をそれぞれ最小にすることができる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様な効果を得ることができる。
請求項4の発明によれば、請求項1〜3の発明と同様な効果を有するのに加えて、コイルハウジングとプランジャとの間に配置されたシールによって、オイル中に含まれるコンタミネーション(例えば、磁性金属粉)がコイルに吸着されることがなくなり、磁性金属粉の詰まりによるプランジャの移動不良(噛み合いクラッチの動作不良)が防止され、正常な機構が長期にわたって保たれる。
請求項5の発明によれば、請求項1〜4の発明と同様な効果を有するのに加えて、プランジャに対するオイルの抵抗が軽減され、噛み合いクラッチの操作レスポンスが向上すると共に、電磁ソレノイドの磁力を強化する必要がなくなり、これに伴う各装置の大型化、重量化、車載性低下、バッテリー及びオルタネータの負担増加、エンジンの燃費低下などが防止される。
また、オイル中の磁性金属粉が効果的に外部へ排出されるから、プランジャの移動不良が防止され、噛み合いクラッチ及びこれを用いた各装置の動作と性能が正常に保たれ、耐久性が向上する。
また、オイルの移動促進によって冷却機能が向上し、電磁ソレノイドの温度上昇による励磁電流の低下が防止されるから、電磁ソレノイドの磁力を強化する必要がなくなり、これに伴う各装置の大型化、重量化、車載性低下、バッテリー及びオルタネータの負担増加、燃費の低下などが防止される。
請求項6の発明によれば、請求項1〜5の発明と同様な効果を有するのに加え、電磁ソレノイドの磁路に設けた磁気抵抗材によって磁力を適度に低減させたことにより、環状のプランジャとコイルハウジング間の磁束が周方向で均等化されるから、噛み合いクラッチ及びこれを用いた各装置の動作と性能が安定し、信頼性が向上する。
請求項7の発明によれば、請求項1〜6の発明と同様な効果を有するのに加えて、プランジャを軸方向に移動させるのに必要な磁束を漏れなく通過させるに充分な磁路断面積を超えた部分をコイルハウジングから削除したこの構成では、磁束の漏洩が防止されるか、あるいは、大幅に軽減される。
従って、磁束の低下を補うために電磁ソレノイドの磁力を強化する必要がなくなり、これに伴う各装置の大型化、重量化、車載性低下、バッテリー及びオルタネータの負担増加、燃費の低下などが防止される。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図3により説明する。図1は後輪駆動車をべ一スにしたパートタイム4輪駆動車の動力伝達系を示し、本実施形態のデファレンシャル装置はこの車両のフロントデフに適用されている。図2は本実施形態のフロントデフの全体断面図である。
図1に示すように、エンジン1の駆動力は、トランスミッション3および動力切換装置5を経て、後輪7側と前輪9側とに配分される。前輪9側への駆動力はプロペラシャフト11を介してフロントデフ(本実施形態のデファレンシャル装置)13に入力し、さらに左右の前出力軸15,15に配分されて前輪9,9を駆動する。一方、後輪7側への駆動力はプロペラシャフト17を介してリアデフ19に入力し、さらに左右の後出力軸21,21に配分されて後輪7,7を駆動する。図2に示すように、フロントデフ13のアウタデフケース31は、ケース本体31aとカバー31bとがボルト33により固定されて構成される。このアウタデフケース31にはリングギヤ35(図1参照)が固定され、エンジン1の駆動力がドライブピニオンを介して、リングギヤ35に入力され、駆動される。
アウタデフケース31は両端のボス部31c,31dによって固定側のデフキャリア39(図1参照)内に回転可能に支持されている。アウタデフケース31をデフキャリア39に回転可能に支持するため、両端のボス部31a、31dとデフキャリア39との間には、テーパーローラベアリング81が配置されている。
ケース本体31aの内周には略短円筒状のインナデフケース41が同軸に回転可能に支持されている。インナデフケース41は、その外周に所定幅の周溝44を有し、この周溝44の両側でケース本体31aに支持されている。このインナデフケース41の右隣りに、同様に略短円筒状のクラッチ部材43が配置されている。
インナデフケース41とクラッチ部材43との対向間、すなわち両部材41,43間の対向する面に係合離脱可能な放射状のドッグクラッチ(噛み合いクラッチ)41a,43aがそれぞれ形成されている。このドッグクラッチ41a,43aの噛合凸部はそれぞれ所定の先細り傾斜に形成され、噛合い易くされている。
インナデフケース41には、その回転軸に直交してピニオンシャフト45がスプリングピン47により一体化されている。ピニオンシャフト45上には、ピニオンギヤ49が2個(内1個は図示省略)回転可能に配置され、対向する一対のサイドギヤ51,53と噛み合っている。
インナデフケース41の内周面41bがピニオンギヤ49のスラストを受けている。また、サイドギヤ51,53とアウタデフケース31間にはワッシャ55,55がそれぞれ配置され、サイドギヤ51,53のスラストを受けている。また、インナデフケース41の左端面とアウタデフケース31の対向面との間には、受けワッシャ59が配置されており、ドッグクラッチ43aがドッグクラッチ41aに噛み込んだときのクラッチ部材43のスラストを受けている。
そして、サイドギヤ51,53はそれぞれ図1の前出力軸15,15にスプライン連結されている。こうして、インナデフケース41、ピニオンギヤ49およびサイドギヤ51,53からなる差動機構57は、これを収容しているアウタデフケース31とは直接には連結されていない。
クラッチ部材43は、図3に示すように、ドッグクラッチ43aを持たない側の端面(右端面)に、突設した周方向等分配置の4本の扇形脚部43bを有する。この突設した扇形脚部43bの周方向両端面43cは、軸方向外方(右方)に向って先細りに所定角度傾斜して形成されている。
一方、アウタデフケース31のケース本体31aの右端壁には扇形孔31eが、クラッチ部材43の扇形脚部43bにそれぞれ対応する位置に設けられている。こうして、これら脚部43bが扇形孔31eに軸方向に嵌合し、脚部43bの周方向端面43cが扇形孔31eの端縁に接して、クラッチ部材43はアウタデフケース31と常時一体的に回転する。扇形孔31eの端縁も、図3に示すように、脚部43bの周方向端面43cの傾斜と平行に傾斜している。
従って、アウタデフケース31がクラッチ部材43を回転駆動するときには、クラッチ部材43は脚部43bの周方向端面43cの傾斜によりインナデフケース41側(図2の左方)へ押され、ドッグクラッチ41a,43aが係合し易くなる。このようにして、クラッチ部材43はアウタデフケース31内で軸方向への移動可能に嵌合している。
アウタデフケース31の右方向の外側には、電磁駆動手段61が配置されている。この電磁駆動手段61は、電磁ソレノイド63と、プランジャ65と、環状部材67と、リターンスプリング69とを有している。
電磁ソレノイド63はコイル63aと、コイル63aの外側のコア63bとを有しており、ブラケット71によって車体側に固定されている。電磁ソレノイド63は、全体がケース本体31aの右側のボス部31cを囲むリング状に成形されている。
プランジャ65は環状(リング状)に成形されており、電磁ソレノイド63の内周側に配置されている。プランジャ65の内周面には、環状部材67が係合状態で取り付けられている。すなわち、プランジャ65の内周面には、凸部65aが形成されており、この凸部65aに環状部材67が係合している。これにより、プランジャ65は、環状部材67の外側で環状部材67にセンターリング(位置決め)されている。
環状部材67は全体が非磁性体によって成形されている。また、環状部材67はケース本体31のボス部31c外周面に接触することにより、ボス部31cによってセンターリングされている。プランジャ65はこの環状部材67の外周に対して係合状態となっているため、プランジャ65は環状部材67を介してボス部31cに間接的にセンターリングされる。
このように電磁ソレノイド63、プランジャ65及び環状部材67がいずれもリング状となっていると共に、環状部材67がケース本体31aのボス部31cにセンターリングされることにより、電磁駆動手段61の全体は、ボス部31c内に挿入されてインナデフケース41のボス部53にスプライン連結される前出力軸15(図1参照)と同軸に設けられた構造となっている。
環状部材67はボス部31cの外周面に接触した状態で、ボス部31cの軸方向に往復移動可能となっている。この移動によって、環状部材67がボス部31cから脱落しないように、ボス部31cにはストッパ板75が取り付けられている。
また、環状部材67とクラッチ部材43との間には、クラッチ部材43の脚部43b(図3参照)に当接するリテーナ73が配置されている。このようにリテーナ73がクラッチ部材43の脚部43bに当接することにより、リテーナ73はクラッチ部材43をドッグクラッチ43a、41aの噛み合い方向に押圧移動させるように作用する。
リテーナ73には、クラッチ部材43の軸方向に屈曲して立ち上がることにより、クラッチ部材43の窪み部43eに係止する係止部73aが形成されている。このように係止部73aがクラッチ部材43に係止することにより、リテーナ73がインナデフケース41から離れる方向に移動する際に、クラッチ部材43を同方向に引き連れるため、ドッグクラッチ41a、43aの噛み合いを解除することができる。
リターンスプリング69は、リテーナ73とアウタデフケース31のケース本体31aとの間に配置されており、ドッグクラッチ41a、43aの噛み合い解除方向にリテーナ73を付勢している。従って、電磁ソレノイド63が駆動していないときは、リターンスプリング69によってドッグクラッチ41a、43aが切断される。
図2の上半部はドッグクラッチ41a、43aが噛み合った状態(四輪駆動時)を示し、下半部はドッグクラッチ41a、43aが離脱した状態(二輪駆動時)を示す。
電磁ソレノイド63に通電すると、コア63b及びプランジャ65を通過する磁路が形成され、プランジャ65が軸方向左方向に移動する。この移動では、プランジャ65に係合している環状部材67が一体的に同方向に移動し、環状部材67はリテーナ73を押圧する。これにより、クラッチ部材43が左方向に移動し、クラッチ部材43のドッグクラッチ43aがインナデフケース41のドッグクラッチ41aと噛み合う。このため、クラッチ部材43を介してアウタデフケース31とその内部のインナデフケース41とが一体回転する(四輪駆動状態)。ドッグクラッチ41a,43a係合時のインナデフケース41のスラストはこれに接している受けワッシャ59が受ける。
電磁ソレノイド63への通電を停止すると、リターンスプリング69の付勢力によってリテーナ73がクラッチ部材43を伴って軸方向右側に移動する。このため、噛み合っていたドッグクラッチ41a、43aが離脱する。従って、アウタデフケース31とその内部のインナデフケース41とは独立に回転可能となる(2輪駆動状態)。
この車両の場合、4駆状態から2輪駆動に切換えられると、エンジンから前輪側への駆動力は動力切換装置5で遮断される。そして、エンジン1の駆動力はプロペラシャフト17、リアデフ19を介して後輪7,7だけを駆動することとなる。
その後は、2輪駆動状態が維持される限り、フロントデフ13内の差動機構57は、それまでの4駆時とは逆の駆動経路をたどって前輪9により空転させられるが、2輪駆動への切換えに連動して、リターンスプリング69によってドッグクラッチ41a、43aの係合がなくなるので、クラッチ部材43、アウタデフケース31およびリングギヤ35等が空転させられることはない。したがって、これら空転部材の走行抵抗によるエネルギー損失及び騒音の発生を低減することができる。
このような実施形態によれば、電磁駆動手段61がクラッチ部材43を軸方向に移動させてドッグクラッチ41a、43aを断続する構造であり、電流を制御することにより駆動が切り換えられるため、アクチュエータを小型とすることができる。また、流体の漏れを考慮する必要がなく、流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となり、部品点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易となる。
また、流体圧で駆動するアクチュエータのように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、出力トルクへの影響を低減させることができる。
また、電磁駆動手段61が前出力軸15と同軸となるように配置されたリング形状となっているため、リング形状の全体から駆動力を作用させることができる。このため、クラッチ部材43を大きな力で駆動することができ、安定した駆動を行うことができる。また、このようなリング形状では、前出力軸15を通したレイアウトが可能となるため、バランス性が良好となる。
また、この実施形態では、プランジャ65の内周面に非磁性体からなる環状部材67が設けられることにより、磁性体からなるプランジャ65がアウタデフケース31やリテーナ73等と接触することがない。このため、磁路が漏れることがなく、最短の距離で磁路を形成することができる。また、このように磁路の漏れがないことから、磁路を効率良く形成することができると共に電磁駆動手段61に供給する電流を大きくする必要がなく、電力の節減を行うことができる。
また、プランジャ65が環状部材67によってセンターリングされるため、プランジャ65のセンターリングを簡単な構造とすることができる。
また、環状部材67がアウタデフケース31のボス部31cによってセンターリングされるため、環状部材67をセンターリングするための部材が不要となり、構造が簡単となって小型化することができる。
[第2実施形態]
図4は本発明の第2実施形態を示す。この実施形態において、第1実施形態と同一の部材は同一の符号を付して対応させてある。
この実施形態では、電磁駆動手段61の電磁ソレノイド63におけるコア63bが断面コ字形に形成されており、クラッチ部材43から離れた位置の端面が開口されている。また、リテーナ73には、クラッチ部材43から遠ざかる方向に延びた支持プレート部77が一体的に形成されており、この支持プレート部77にプランジャ65が取り付けられている。
プランジャ65はリング状に成形されており、支持プレート部77のクラッチ部材43側の面に固定されている。このプランジャ65はコア63の開口部63cに対して進入及び退出可能な寸法に成形されていると共に、開口部63cとの対応位置となるように支持プレート部77に固定される。
なお、コア63bには、空気或いはオイル抜きのための抜き孔79が部分的に形成されるものである。
69はリターンスプリングで、リテーナ73とアウタデフケース31のケース本体31aとの間に配置されており、ドッグクラッチ41a、43aの噛み合い解除方向にリテーナ73を付勢している。従って、電磁ソレノイド63が駆動していないときは、リターンスプリング69によってドッグクラッチ41a、43aが切断される。
図4の上半部はドッグクラッチ41a、43aが噛み合った状態(四輪駆動時)を示し、下半部はドッグクラッチ41a、43aが離脱した状態(二輪駆動時)を示す。
電磁ソレノイド63に通電すると、コア63b及びプランジャ65を通過する磁路が形成され、プランジャ65が軸方向左方向に移動する。この移動では、プランジャ65を固定している支持プレート部77及びリテーナ73が一体的に同方向に移動する。これにより、クラッチ部材43が左方向に移動し、クラッチ部材43のドッグクラッチ43aがインナデフケース41のドッグクラッチ41aと噛み合う。このため、クラッチ部材43を介してアウタデフケース31とその内部のインナデフケース41とが一体回転する(四輪駆動状態)。ドッグクラッチ41a,43a係合時のインナデフケース41のスラストはこれに接している受けワッシャ59が受ける。
電磁ソレノイド63への通電を停止すると、リターンスプリング69の付勢力によってリテーナ73がクラッチ部材43を伴って軸方向右側に移動する。このため、噛み合っていたドッグクラッチ41a、43aが離脱する。従って、アウタデフケース31とその内部のインナデフケース41とは独立に回転可能となる(2輪駆動状態)。
このように第2実施形態では、非通電時にドッグクラッチ41a,43aの噛み合いを解除して2輪駆動状態とし、必要に応じてドッグクラッチ41a,43aの噛み合わせて4輪駆動状態にするようにしてあるため、例えば、電磁ソレノイド63に不具合が生じたときでも、2輪駆動状態を維持し舗装路の走行性を高めておくことができる。
なお、プランジャ65がコア63の開口部63c内に進入した状態では、コア63b内のコイル63aとの間に所定の隙間が維持されるものである。このように隙間を維持できる構造では、摺動抵抗が少なくなり、その分、トルクへの影響を低減することができる。
また、この第2実施形態では、環状部材67を設けていないため、部品点数が少なくなり、構造が簡単となる。また、プランジャ65がコア63内に進入する構造のため、作動のスペースが小さくなり、小型化することができる。
図5は第2実施形態の支持プレート部77の異なる形態を示す。
この形態では、支持プレート部77或いは支持プレート部77を有したリテーナ73の全体を磁性体によって形成するものである。また、支持プレート部77におけるコア63の開口部63cとの対応位置には、プランジャ65の代わりに開口部63c内に進入可能な凸部77aが形成されている。従って、コイル63aに通電することにより、凸部77aが開口部63c内への進入方向に移動するため、この移動によってドッグクラッチ41a、43aを結合させることができる。
なお、この形態における凸部77aには、空気或いはオイル抜きのための抜き孔83が形成されている。
[第3実施形態]
図6は本発明の第3実施形態を示している。この実施形態において、第2実施形態と同一の部材は同一の符号を付して対応させ、重複する説明は省略する。
この実施形態では、電磁駆動手段61の電磁ソレノイド63におけるコア63bが断面コ字形に形成されており、クラッチ部材43側の端面が開口されており、リテーナ73にリング状に形成されたプランジャ65が取り付けられている。
このプランジャ65は、前述の第2実施形態と同様にコア63の開口部63cに対して進入及び退出可能な寸法に成形されていると共に、開口部63cとの対応位置となるようにリテーナ73に固定される。
なお、コア63bには、空気或いはオイル抜きのための抜き孔79が部分的に形成されている。
リターンスプリング69は、アウタデフケース31のケース本体31a内に該ケース本体31aとクラッチ部材43との間に配置されており、ドッグクラッチ41a、43aの噛み合い方向にリテーナ73を付勢している。従って、電磁ソレノイド63が駆動していないときは、リターンスプリング69によってドッグクラッチ41a、43aが連結されるようになっている。
図6の上半部はドッグクラッチ41a、43aが噛み合った状態(四輪駆動時)を示し、下半部はドッグクラッチ41a、43aが離脱した状態(二輪駆動時)を示す。
この第3実施形態では、電磁ソレノイド63への通電が停止されているとき、リターンスプリング69の付勢力によってリテーナ73がクラッチ部材43を軸方向左側に付勢する。これにより、クラッチ部材43のドッグクラッチ43aがインナデフケース41のドッグクラッチ41aと噛み合った状態が保たれ、クラッチ部材43を介してアウタデフケース31とその内部のインナデフケース41とが一体回転する(四輪駆動状態)。ドッグクラッチ41a,43a係合時のインナデフケース41のスラストはこれに接している受けワッシャ59が受ける。
そして、電磁ソレノイド63に通電すると、コア63b及びプランジャ65を通過する磁路が形成され、プランジャ65が軸方向右方向に移動する。この移動により、プランジャ65を固定しているリテーナ73が一体的に同方向に移動して、クラッチ部材43が右方向に移動し、噛み合っていたドッグクラッチ41a、43aが離脱する。従って、アウタデフケース31とその内部のインナデフケース41とは独立に回転可能となる(2輪駆動状態)。
このように第3実施形態では、非通電時にドッグクラッチ41a,43aを噛み合わせて4輪駆動状態とし、必要に応じてドッグクラッチ41a,43aの噛み合いを解除して2輪駆動状態にするようにしてあるため、例えば、電磁ソレノイド63に不具合が生じたときでも、4輪駆動状態を維持し悪路走破性を高めておくことができる。
なお、第2実施形態同様、プランジャ65がコア63の開口部63c内に進入した状態では、コア63b内のコイル63aとの間に所定の隙間が維持されるものである。このように隙間を維持できる構造では、摺動抵抗が少なくなり、その分、トルクへの影響を低減することができる。
このような実施形態では、環状部材67を設けていないため、部品点数が少なくなり、構造が簡単となる。また、プランジャ65がコア63内に進入する構造のため、作動のスペースが小さくなり、小型化することができる。
また、この第3実施形態においても、上記第2実施形態と同様に支持プレート部77或いは支持プレート部77を有したリテーナ73の全体を磁性体によって形成して、該支持プレート部77におけるコア63の開口部63cとの対応位置に、開口部63c内に進入可能な凸部77aを形成してもよい。
[第4実施形態]
図7は本発明の第4実施形態を示している。
本実施形態のデファレンシャル装置201は、前輪駆動車の前輪側、または、後輪駆動車の後輪側に用いられている。
デファレンシャル装置201は、デフケース203、ベベルギア式の差動機構205、ドッグクラッチ207(噛み合いクラッチ)、リターンスプリング209、電磁ソレノイド211(電磁駆動手段)、プランジャ213、Oリング215(シール)などから構成されている。
デフケース203は、ケーシング本体217と左右のカバー219,221から構成されており、ケーシング本体217と左のカバー219はボルト223で固定され、ケーシング本体217と右のカバー221は溶接されている。
デフケース203はデフキャリヤ225の内部に配置されており、カバー219,221に形成された各ボス部227,229はテーパーローラーベアリング231,233を介してデフキャリヤ225に支承されている。
デフキャリヤ225の内部にはオイル溜りが形成されている。
デフケース203にはリングギアがボルトで固定されており、リングギアは動力伝達系の出力ギヤと噛み合っている。この動力伝達系はトランスファ側に連結されており、デフケース203はトランスファとこの動力伝達系とを介して伝達されるエンジンの駆動力によって回転駆動される。
差動機構205は、ピニオンシャフト235、ピニオンシャフト235上に支承されたピニオンギア237、出力側サイドギア239,241から構成されている。
ピニオンシャフト235は、デフケース203(ケーシング本体217)に設けられた貫通孔243に端部を係合し、スプリングピン245で固定されている。サイドギア239,241は左右からそれぞれピニオンギア237と噛み合っている。
デフケース203とピニオンギア237との間には球面ワッシャ247が配置されており、ピニオンギア237の遠心力と、サイドギア239,241との噛み合いによって生じた噛み合い反力を受けている。
各サイドギア239,241のボス部249,251は、カバー219,221に形成された支承部253,255によって支承されており、各ボス部249,251はスプライン連結された車軸を介して左右の車輪側に連結されている。
左サイドギア239とデフケース203との間にはスラストワッシャ257が配置されてサイドギア239の噛み合いスラスト力を受けており、右サイドギア241とデフケース203との間にはスラストワッシャ259が配置されてサイドギア241の噛み合いスラスト力を受けている。
ドッグクラッチ207は右サイドギア241に形成された噛み合い歯261と、クラッチリング263(クラッチ部材)に形成された噛み合い歯265によって構成されている。
クラッチリング263には脚部267が周方向等間隔に形成されている。クラッチリング263は各脚部267をカバー221に形成された周方向等間隔の開口269にそれぞれ貫通させてデフケース203に回り止めされ、軸方向移動自在に配置されている。
クラッチリング263が左に移動するとドッグクラッチ207が噛み合って差動機構205の差動がロックされ、図7のように、クラッチリング263が右に移動するとドッグクラッチ207の噛み合いが解除され、差動ロックが解除される。
リターンスプリング209は右サイドギア241とクラッチリング263との間に配置され、クラッチリング263をドッグクラッチ207の噛み合い解除側(右方)に付勢している。
電磁ソレノイド211は電磁コイル271とこれを左右から挟み込んで一体にされた一対のコア273,275(コイルハウジング)などから構成されている。
コア275は連結部材277を介してデフキャリヤ225に固定されており、電磁コイル271のリード線279はデフキャリヤ225の外部に引き出され、コントローラを介して車載のバッテリに接続されている。
プランジャ213は磁性材料で作られており、コア273,275の内部に軸方向移動自在に配置されている。プランジャ213には押圧部281が周方向等間隔に形成されており、各押圧部281はOリング215を介してコア273を貫通し、左方に突き出ている。
ドッグクラッチ207のクラッチリング263は、リターンスプリング209の付勢力により、摺動プレート283を介して各押圧部281(プランジャ213)を右方に押圧している。摺動プレート283は腕部285によって回転側のクラッチリング263に連結されており、静止側のプランジャ213(押圧部281)との間で摺動を吸収している。
コア273,275とプランジャ213とによって電磁ソレノイド211の磁路が構成されており、プランジャ213はアーマチャになっている。
コントローラは、電磁ソレノイド211の励磁、励磁停止を行う。
電磁ソレノイド211が励磁されると、磁路に磁力ループ287が発生し、プランジャ213がリターンスプリング209を撓ませながら左方に移動し、クラッチリング263を移動させてドッグクラッチ207を噛み合わせ、上記のように、差動機構205の差動をロックさせる。
悪路走行中のように、左右の駆動輪が空転し易い状況で差動をロックさせると、空転車輪からの駆動力の逃げが防止されて、悪路などの脱出性、走破性が向上する。
また、電磁ソレノイド211の励磁を停止すると、リターンスプリング209によってクラッチリング263とプランジャ213が右方へ戻り、ドッグクラッチ207の噛み合いが解除される。
このような実施形態によれば、電磁ソレノイド211がクラッチリング263を軸方向に移動させてドッグクラッチ207を断続する構造であり、電流を制御することにより駆動が切り換えられるため、アクチュエータを小型とすることができる。また、流体の漏れを考慮する必要がなく、流体の漏れ防止のためのシール部材が不要となり、部品点数が減じ、構造が簡単となり、組み立ても容易となる。
また、流体圧で駆動するアクチュエータのように摺動部分が不要となるため、摺動抵抗が低減し、出力トルクへの影響を低減させることができる。
また、電磁ソレノイド211がデファレンシャル装置201(車軸)と同軸となるように配置されたリング形状となっているため、リング形状の全体から駆動力を作用させることができる。このため、クラッチリング263を大きな力で駆動することができ、安定した駆動を行うことができる。また、このようなリング形状では、車軸を通したレイアウトが可能となるため、バランス性が良好となる。
また、この実施形態では、プランジャ213が電磁ソレノイド211のコア273,275に内包されていると共に、デフキャリヤ225に支持されたコア273,275はデフケース203と接触することがない。このため、磁力が漏れることがなく、最短の距離で磁路を形成することができる。
また、磁力の漏れがないことによって磁路を効率良く形成することができるから、電磁ソレノイド211に供給する電流を大きくする必要がなくなり、バッテリー電力の節減を行うことができる。
また、電磁ソレノイド211のコア273,275によってプランジャ213が支持されるため、コア273,275とプランジャ213の間のクリアランス調整が容易であり、これらの間の磁力ロスと摺動抵抗をそれぞれ最小にすることができる。
また、プランジャ213がコア273,275によってセンターリングされるため、プランジャ213のセンターリングを簡単な構造とすることができる。
また、コア273とプランジャ213(押圧部281)との間に配置されたOリング215によって、オイル中に含まれるコンタミネーション(例えば、磁性金属粉)が電磁コイル271に吸着されることがなくなり、磁性金属粉の詰まりによるプランジャ213の移動不良及びドッグクラッチ207の動作不良などが防止され、正常な機構が長期にわたって保たれる。
なお、コア273,275はベアリングによってデフケース203に支持してもよい。
[第5実施形態]
図8は本発明の第5実施形態を示している。
本実施形態のデファレンシャル装置301は、第4実施形態のデファレンシャル装置201において電磁ソレノイド211の支持構造を変えたものである。
以下、デファレンシャル装置201と同機能の部材には同一の符号を与えて引用しながら相違点を説明する。
電磁ソレノイド211は、非磁性材料の滑り軸受け303を介して、デフケース203の右ボス部229の外周に支承され、センターリングされていると共に、ブラケット305(回り止め手段)を介してデフキャリヤ225側に連結され、回り止めされている。
電磁ソレノイド211(滑り軸受け303)はボス部229上のスナップリング307と、テーパーローラーベアリング233の左に配置されたワッシャ309とによって軸方向に位置決めされている。
また、ボス部229(デフケース203の小径部)に固定された電磁ソレノイド211は、デフケース203の軸方向投影範囲の内側に配置されている。
ドッグクラッチ207のクラッチリング263には、リテーナ311がその腕部313によって連結されており、電磁ソレノイド211が励磁されると、磁路に磁力ループ287が発生し、プランジャ213がリテーナ311を介してクラッチリング263を左に押圧し、ドッグクラッチ207を噛み合わせて差動機構205の差動をロックさせる。
電磁ソレノイド211の励磁を停止すると、リターンスプリング209によってクラッチリング263とリテーナ311とプランジャ213が右方へ押し戻されて、ドッグクラッチ207の噛み合いと差動ロックが解除される。
一般に、電磁ソレノイド(電磁駆動手段)をデフキャリヤに固定して回り止めする構成の場合、デフケースに固定されたリングギアと相手側ギアとのバックラッシ調整に伴ってデフケースが移動すると、あるいは、組み付け誤差によって、デフケース側のクラッチとデフキャリヤ側の電磁ソレノイドとの距離がそれだけ変動する。
従って、電磁ソレノイドのストロークに、デフケース側クラッチとの距離の変動を吸収するための余裕が要求されることになり、それだけ電磁ソレノイドの作動力を大きくする必要が生じるから、電磁ソレノイドが大型で重くなり、コスト高になる上に、デファレンシャル装置の車載性が低下する。
また、電磁ソレノイドの大型化に伴って消費電力が増加するから、バッテリーの負担が大きくなり、エンジンの燃費が低下する。
さらに、電磁ソレノイドの大型化に伴って電磁ソレノイドをデフキャリヤに固定するブラケットにも相応の強度アップが必要になり、ブラケットの重量化、コストの上昇などを招く。
また、電磁ソレノイドの固定と回り止めの両方をデフキャリヤ側で行う構成は、デフキャリヤ側の電磁ソレノイドとデフケース側のクラッチとの相対位置を調整する必要があり、それだけ組み付けが難しい。
しかし、上記のように構成された第5実施形態のデファレンシャル装置301では、電磁ソレノイド211がデフケース203(ボス部229)に固定されているから、デフケース203側のリングギア及びこれと噛み合う動力伝達系出力ギヤとのバックラッシ調整を行っても、あるいは、組み付け誤差が生じても、電磁ソレノイド211はデフケース203と一体に移動し、ドッグクラッチ207との距離は変動しない。
従って、電磁ソレノイド211のストロークに、距離の変動を吸収するための余裕を設ける必要がなくなり、電磁ソレノイド211の作動力を大きくする必要がなくなるから、電磁ソレノイド211の大型化と重量化、コストの上昇、デファレンシャル装置301の車載性低下などが防止される。
さらに、電磁ソレノイド211の消費電力増加と、バッテリーの負担増加と、エンジンの燃費低下なども防止される。
また、デフケース203のリングギアと出力ギヤとの充分なバックラッシ調整を行うことが可能になるから、これらの噛み合いが正常に設定され、ギア音や振動などが防止され、耐久性が向上する。
また、ブラケット305は、電磁ソレノイド211をデフキャリヤ225に回り止めするだけでよく、電磁ソレノイド211をデフキャリヤ225に固定する機能及びそれに応じた強度は要求されないから、軽量化とコストの低減が可能になる。
また、電磁ソレノイド211をデフケース203側に固定するデファレンシャル装置301の構成は、電磁ソレノイドをデフキャリヤに固定する構成と異なって、デフキャリヤ側の電磁ソレノイドとデフケース側のクラッチとの相対位置を調整する必要がない上に、回り止め対策は、組み付けの際にブラケット305をデフキャリヤ225に係合させるだけですむから、組み付けが極めて容易である。
また、電磁ソレノイド211が滑り軸受け303を介してデフケース203にセンターリングされているから、例えば、第1実施形態のような環状部材67を設けてセンターリングする必要がなくなり、それだけ部品点数とコストが低減され、構造が簡単になる。
また、電磁ソレノイド211をボス部229(デフケース203の小径部)に固定し、デフケース203の軸方向投影範囲の中に配置したことによってスペースを有効に利用したから、デファレンシャル装置301がそれだけコンパクトに構成され、車載性がさらに向上する。
[第6実施形態]
図9は本発明の第6実施形態に用いられた電磁駆動手段の電磁ソレノイド351を示している。
この電磁ソレノイド351は、コイルハウジング353とボビン355とコイル357などから構成されている。
コイルハウジング353は、ハウジング部材359,361を互いに固定して構成されており、コイル357はエナメル線363をボビン355に巻線して形成されている。
ボビン355は、断面がU字形状のボビン本体365とカバー367からなり、ボビン本体365は、例えば、鉄系金属のような磁性材料で作られ、カバー367はプラスチック(樹脂材料)で作られている。
また、ボビン本体365の内側には絶縁コーティング369が施されており、絶縁コーティング369上に上記のエナメル線363を巻線した後、ボビン本体365にカバー367を固定してボビン355が形成される。
一方、従来の電磁アクチュエータに用いられる電磁ソレノイドの場合、ボビンがプラスチック(樹脂材料)で作られているから、ボビンを成形加工するための型が必要であり、この成形型が高価である。
また、プラスチック製のボビンには強度の限界があり、板厚Tを余り薄くすることができず、一般に、板厚Tは1mmより厚い。
しかし、上記のように構成された第6実施形態では、ボビン355(ボビン本体365)を鉄系金属で作ったことによって大きな強度が得られるから、その板厚Tを1mmより薄くすることが可能になった。
従って、従来例との板厚Tの差だけ、磁路に沿ったコイルハウジング353の断面積を広くすることが可能になり、断面積を広くすれば透過する磁束の本数が増加して、電磁ソレノイド351(コイル357)によるプランジャの操作力(磁力)が強化される。
また、コイルハウジング353の断面積を一定にする場合は、従来例との板厚Tの差だけ、本体365に対するエナメル線363の巻線本数を増やすことが可能になり、電磁ソレノイド351(コイル357)の操作力(磁力)が強化される。
また、ボビン本体365を鋳造や機械加工が可能な鉄系金属製にしたから、プラスチック用の高価な成形型が不要になり、コストが大幅に低減される。
[第7実施形態]
図10は本発明の第7実施形態に用いられた電磁駆動手段401を示している。
電磁駆動手段401は、コイルハウジング403、コイル405(電磁ソレノイド)、プランジャ407などから構成されている。
コイルハウジング403は、第1のハウジング部材411と第2のハウジング部材409を互いに固定して形成されており、コイル405はこれらのハウジング部材409,411の間に収容されている。
第1のハウジング部材411にはプランジャ407をセンターリングするガイド部413が形成されている。
また、プランジャ407はコイル405と直接対向して配置されており、プランジャ407には、ガイド部413側に、フッ素樹脂コーティング415が施されており、ガイド部413との間で、軸方向に移動操作されるとき及びセンターリングされるときの摺動抵抗を軽減させている。
プランジャ407とコイル405との間には、このようにコイルハウジング403が介在しないから、コイル405が励磁されると、第1のハウジング部材411とそのガイド部413からプランジャ407を介して第2のハウジング部材409へ戻る磁路に、実線で示す磁束ループ417が形成され、プランジャ407が移動して噛み合いクラッチが操作される。
一方、従来のコイルハウジングには、交差する斜線で示した分岐部419が形成されており、この場合、磁束ループはガイド部413を通らずに、破線部分421を形成し、分岐部419からプランジャ407に導かれる。
従来のコイルハウジングは、このような分岐部419を形成したことによって形状が複雑になっているから、加工が難しくコスト高である。
しかし、上記のように構成された第7実施形態では、分岐部419のないコイルハウジング403は、形状が簡単で、加工が容易になり、コストがそれだけ低減されている。
また、分岐部419の容積だけ、コイルハウジング403においてコイル405を収容する部分の容積が広くなるから、コイル405の巻き数をそれだけ増やすことが可能になり、巻き数を増やせば、コイル405の磁力が強化されて噛み合いクラッチの操作力が強化され、例えば、噛み合いクラッチを構成するクラッチ部材や、プランジャ407などがオイルの抵抗を受けても、操作時のレスポンスを向上させることができる。
また、コイル405の巻き数(電磁ソレノイドの磁力)を一定に保つ場合は、分岐部419を削除した重量だけ、コイルハウジング403と電磁駆動手段401と、これを用いた動力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置が軽量でコンパクトになり、これらの車載性が向上する。
また、コイルハウジング403は鉄系金属であるから、分岐部419を削除したことによる軽量化効果が大きい。
[第8実施形態]
図11と図12は本発明の第8実施形態に用いられた電磁駆動手段451を示している。
電磁駆動手段451は、コイルハウジング453、コイル455(電磁ソレノイド)、プランジャ457などから構成されている。
コイルハウジング453は、ハウジング部材459,461を互いに固定して形成されており、コイル455はこれらのハウジング部材459,461の間に収容されている。
ハウジング部材461にはプランジャ457をセンターリングするガイド部463が形成されており、プランジャ457は、ガイド部463によってコイルハウジング453に形成された袋状部分に収容されている。
また、プランジャ457とガイド部463の対向部には、ほぼ円形断面のオイル溝465,467が軸方向にそれぞれ設けられ、ガイド部463の径方向壁部には開口部469が設けられている。
コイル455が励磁されると、ハウジング部材459,461とプランジャ457からなる磁路に磁束ループ471が形成され、プランジャ457が移動して噛み合いクラッチが操作される。
このように構成された第8実施形態では、プランジャ457とガイド部463(コイルハウジング453)にオイル溝465,467を設けたことにより、プランジャ457がコイル455とリターンスプリングによって往復移動操作されるとき、コイルハウジング453の上記袋状部分からのオイルの流出入が促進され、オイルの抵抗がそれだけ軽減される。
また、オイルが流出入するガイド部463の開口部469によって、オイルの抵抗がさらに軽減される。
オイルの抵抗がこのように大幅に軽減されたことにより、噛み合いクラッチの操作レスポンスが向上すると共に、オイルの抵抗と対抗するために電磁ソレノイドの磁力を強化する必要がなくなり、これに伴う動力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置の大型化、重量化、車載性低下が防止される。
また、電磁ソレノイドを励磁するバッテリー及びバッテリーを充電するオルタネータの負担増加と、このオルタネータを駆動するエンジンの燃費低下が防止される。
また、上記のようなオイル抵抗の軽減効果は、オイルの粘度が増大する低温時で、特に著しい。
また、コイルハウジング453の袋状部分からオイルの流出入が促進されることによって、オイル中に分散している鉄粉のような磁性金属粉(コンタミネーション)がオイルと共に外部に排出され、内部に溜まらないから、鉄粉などの噛み込みによるプランジャ457の移動不良が防止され、噛み合いクラッチと、これを用いた各装置の動作と性能が正常に保たれ、耐久性が向上する。
また、磁路を構成するプランジャ457とコイルハウジング453に設けられたオイル溝465,467は、磁束を集中させて極部磁石になり、図12のように、磁性金属粉473を吸着し、オイルへの再分散を防止するから、磁性金属粉の噛み込み防止効果がさらに向上する。
また、上記のようにオイルの移動が促進されることによって、オイルによる冷却機能が向上するから、コイル455の温度上昇(電気抵抗の上昇)と励磁電流の低下(プランジャ457の移動操作力の低下)が防止され、励磁電流の低下を補うためにコイル455の磁力を強化する必要がなくなる。
従って、コイル455の磁力強化に伴う、各装置の大型化、重量化、車載性の低下、バッテリー及びオルタネータの負担増加、エンジン燃費の低下などが防止される。
また、オイル溝465,467の断面形状は、円形の他に、例えば、三角形、四角形など任意に選んでよいが、磁束が集中し易いように、鋭い角度を持った凹部や凸部を形成すれば磁性金属粉の吸着機能がさらに向上して有利である。
なお、請求項14のようにオイル溝465,467に傾斜を与え、例えば、スパイラル(螺旋)にしてもよい。
オイル溝465,467をスパイラルにすれば、プランジャ457の往復移動に伴ってオイルと磁性金属粉の排出がさらに促進される。
また、プランジャ457が、噛み合いクラッチのクラッチ部材の回転に伴って回転する場合は、スパイラルのオイル溝465,467が回転することにより、ポンプ作用が生じ、オイルと磁性金属粉の排出がさらに促進される。
[第9実施形態]
図13と図14によって本発明の第9実施形態を説明する。
図13は第9実施形態に用いられた電磁駆動手段501を示し、図14は磁路中に介在するエアギャップ(隙間)の変化に対する磁力の変化を示すグラフ503を示す。
電磁駆動手段501は、コイルハウジング505、コイルハウジング505に収容されたコイル507(電磁ソレノイド)、プランジャ509、フッ素樹脂コーティング511(磁気抵抗材)などから構成されている。
フッ素樹脂コーティング511はプランジャ509の外周に施されている。プランジャ509はこのフッ素樹脂コーティング511を介し、コイルハウジング505の内周でセンターリングされており、フッ素樹脂コーティング511はセンターリング時と軸方向移動時の摺動抵抗を軽減させている。
コイル507が励磁されると、コイルハウジング505、フッ素樹脂コーティング511、プランジャ509の間に磁束ループ513が形成され、プランジャ509が移動して噛み合いクラッチが操作される。
また、フッ素樹脂コーティング511はこのように磁路中に介在しており、その磁気抵抗によって磁束ループ513の磁力を適度に低減させている。
また、図14のグラフ503に示すように、磁路中に同一の隙間Sを設けたとき、磁力が弱い領域で生じる磁力変化ΔQ1は、磁力が強い領域で生じる磁力変化ΔQ2より小さい。
一方、それぞれがリング状であるコイルハウジング505とプランジャ509は上記のようにセンターリングしても、互いの隙間を周方向で均等にすることは難しく、このような周方向の隙間のバラツキによって、コイル507の磁力(磁束ループ513)が周方向で不均等になるから、プランジャ509が、センターリング不良や傾斜などによって、円滑に移動できなくなる恐れがある。
しかし、上記のように構成された第9実施形態では、コイルハウジング505とプランジャ509との隙間が周方向に変化しても、上記のようにプランジャ509に設けたフッ素樹脂コーティング511によって磁束ループ513の磁力を適度に低減させたことにより、隙間のバラツキによる磁力変化(ΔQ1)を軽減させている。
このように、コイルハウジング505とプランジャ509間の磁束ループ513が周方向で均等になるから、プランジャ509は、センターリング不良や傾斜などが防止されて常時円滑に移動することが可能になり、従って、噛み合いクラッチと、これを用いた動力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置の動作と性能が安定し、信頼性が向上する。
また、摩擦抵抗の小さい部材(低μ部材)であるフッ素樹脂コーティング511をプランジャ509上に配置したことにより、プランジャ509が移動操作されるときコイルハウジング505との摩擦抵抗がそれだけ小さくなり、電磁ソレノイド501(コイル507)の操作力ロスが低減される。
[第10実施形態]
図15は本発明の第10実施形態に用いられた電磁駆動手段551を示している。
電磁駆動手段551は、コイルハウジング553、コイル555(電磁ソレノイド)、プランジャ557、永久磁石559,559(磁力発生手段:磁石)などから構成されている。
コイルハウジング553は、ハウジング部材561,563とガイド部565からなり、ハウジング部材561,563は互いに固定され、ガイド部565はハウジング部材563に形成されている。
各永久磁石559はハウジング部材561,563に固定されており、それぞれプランジャ557に近接して配置され、オイル中に分散している磁性金属粉(例えば、鉄粉)などのコンタミネーションを吸着し、オイル中への再分散を防止している。
コイル555が励磁されると、コイルハウジング553とプランジャ557の間に磁束ループ567が形成され、プランジャ557が移動して噛み合いクラッチが操作される。
このように構成された電磁駆動手段では、プランジャの移動に伴って、オイルがコイルハウジングとプランジャの間を流出入し、オイル中の磁性金属粉がプランジャの周囲に蓄積されることがあり、蓄積された磁性金属粉を噛み込むことによってプランジャが移動不良になり、噛み合いクラッチが動作不良を起こす恐れがある。
しかし、上記のように構成された第10実施形態では、プランジャ557に近接して配置された永久磁石559,559がオイル中の磁性金属粉を吸着することによって、プランジャ557が磁性金属粉を噛み込むことによる移動不良と、プランジャ557の移動不良による噛み合いクラッチの動作不良が防止され、この噛み合いクラッチを用いた動力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置の性能が安定する。
また、永久磁石559を用いる第10実施形態の構成は、磁路を通る磁束を利用しないから、永久磁石559の配置箇所を任意に選ぶことが可能であり、こうすることによってプランジャ557の動作を阻害する磁性金属粉の蓄積を最も効果的に防止することができる。
[第11実施形態]
図16と図17は本発明の第11実施形態に用いられた電磁駆動手段601を示している。
電磁駆動手段601は、コイルハウジング553、コイル555(電磁ソレノイド)、プランジャ557、切り欠き603,603(磁力発生手段:極部磁石)などから構成されており、以下、第10実施形態との相違点を説明する。
各切り欠き603はハウジング部材561,563上に、磁束ループ567とプランジャ557とに近接して形成されており、図17に拡大して示すように、磁束ループ567の磁束の一部605が集中することによって極部磁石が形成され、その磁力により、オイル中に分散している磁性金属粉(鉄粉)などのコンタミネーションを吸着し、オイル中への再分散を防止している。
このように構成された第11実施形態では、プランジャ557に近接して設けられた切り欠き603,603(極部磁石)がオイル中の磁性金属粉を吸着することにより、磁性金属粉の噛み込みによるプランジャ557の移動不良と、噛み合いクラッチの動作不良が防止され、この噛み合いクラッチを用いた動力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置の性能が安定する。
また、コイルハウジング553に切り欠き603を設けて極部磁石を形成する第11実施形態の構成では、永久磁石が不要であるから、磁石による部品点数の増加とコストの上昇が防止されると共に、切り欠き603,603の重量分だけ、各装置が軽量化される。
[第12実施形態]
図18と図19は本発明の第12実施形態に用いられた噛み合いクラッチのクラッチリング651(クラッチ部材)を示している。このクラッチリング651は、第4実施形態で用いられたドッグクラッチ207のクラッチリング263に第12実施形態の特徴を施したものであり、以下、第4実施形態との相違点を説明する。
クラッチリング651の外周側面取り部には、軸方向に貫通するオイル溝653(オイル流路)が周方向等間隔に形成されている。また、クラッチリング651に設けられたリターンスプリング209用の座であるリテーナ部655には、その内周側面取り部に、軸方向に貫通するオイル溝657(オイル流路)が周方向等間隔に形成されている。
また、このリテーナ部655には、軸方向に貫通するオイル流路659が周方向等間隔に形成されている。
このように構成された第12実施形態では、ドッグクラッチ207のクラッチリング651に設けたオイル溝653,657とオイル流路659によってオイルの通過が促進されるから、電磁ソレノイド211がプランジャ213を介してクラッチリング651を移動操作するとき、及び、リターンスプリング209がクラッチリング651を反対方向に移動させるときに、クラッチリング651に掛かるオイルの移動抵抗が大幅に低減され、駆動力を断続操作する際のレスポンスがそれだけ向上する。
また、この操作レスポンスの向上効果は、オイルの粘度が上昇する低温時に、特に著しい。
また、オイル溝653,657とオイル流路659の重量だけ、クラッチリング651と、ドッグクラッチ207を用いたデファレンシャル装置が軽量化され、車載性が向上する。
また、クラッチリング651は鉄系金属であるから、オイル溝653,657とオイル流路659を設けたことによる上記の軽量化効果は大きい。
[第13実施形態]
図20〜図22によって本発明の第13実施形態を説明する。
図20は第13実施形態に用いられた電磁駆動手段701とプレッシャープレート703を示している。
電磁駆動手段701は、コイルハウジング705、コイル707(電磁ソレノイド)、プランジャ709などから構成されている。
コイルハウジング705は、ハウジング部材711,713とガイド部715からなり、ハウジング部材711,713は互いに固定されてコイル707を収容しており、ガイド部715はハウジング部材711に形成されている。
プレッシャープレート703は、噛み合いクラッチのクラッチ部材に連結されており、クラッチ部材と共にデフケースと連動して回転する。
図20のように、各ハウジング部材711,713には冷却フィン717,719がそれぞれ放射状に形成されており、図21,22のように、プレッシャープレート703には冷却フィン721が放射状にプレス加工されている。
コイル707が励磁されると、コイルハウジング705とプランジャ709との間で磁束ループ723が形成され、プランジャ709が移動して噛み合いクラッチが操作される。
コイル707は、温度が上昇すると電気抵抗も上昇し、励磁電流が低下してプランジャ709の移動操作力が低下する。
しかし、上記のように構成された第13実施形態では、コイルハウジング705に冷却フィン717,719を設け、クラッチ部材とプランジャ709とを連結するプレッシャープレート703に冷却フィン721を設けたことによって、オイル(あるいは、空気)との接触面積及びオイル(空気)の冷却機能が増加し、コイル707の温度上昇を大幅に軽減させている。
従って、温度上昇による励磁電流の低下を補うためにコイル707の磁力を強化する必要がなくなり、これに伴う、デファレンシャル装置の大型化、重量化、車載性の低下などが防止されると共に、コイル707を励磁するバッテリーと、バッテリーを充電するオルタネータの負担増加が防止され、オルタネータを駆動するエンジンの燃費低下などが防止される。
また、回転部材であるプレッシャープレート703に冷却フィン721を設けたから、その回転によって接触する(放熱する)オイル量(空気量)が増加すると共に、プレッシャープレート703の周辺でオイル(空気)の循環が促進され、電磁駆動手段701(コイル707)の冷却効果がさらに向上する。
[第14実施形態]
図23によって本発明の第14実施形態を説明する。
図23は第14実施形態に用いられた電磁駆動手段751とプレッシャープレート753などを示している。
電磁駆動手段751は、コイルハウジング755、コイル757(電磁ソレノイド)、プランジャ759などから構成されており、一側にはプレッシャープレート753(周辺部材)が配置され、他側にはケーシング761(周辺部材)が配置されている。
コイル757が励磁されると、コイルハウジング755とプランジャ759との間で磁束ループ763が形成され、プランジャ759が移動して噛み合いクラッチが操作される。
プレッシャープレート753は、噛み合いクラッチのクラッチ部材に連結されており、プランジャ759とリターンスプリングとによって軸方向に往復移動操作され、噛み合いクラッチの噛み合いが解除された状態ではコイルハウジング755に接近する。
また、コイルハウジング755の磁路部分には、プレッシャープレート753側とケーシング761側にそれぞれテーパーを付けて、角度αの斜面765と角度βの斜面767が形成されており、こうすることによって、破線で示したように、所要の磁路断面積を超えた部分769,771をコイルハウジング755から削除してある。
上記のように、プレッシャープレート753は、噛み合いクラッチの噛み合いが解除された状態でコイルハウジング755に接近するから、磁束がコイルハウジング755からプレッシャープレート753側に漏洩する恐れがある。
また、コイルハウジング755とケーシング761との距離が近ければ、同様に、磁束が漏洩する恐れがある。
しかし、上記のように構成された第14実施形態では、プレッシャープレート753側とケーシング761側で、所要の磁路断面積を超えた部分769,771をコイルハウジング755から取り除いたことにより、コイルハウジング755に対するプレッシャープレート753とケーシング761の隙間がそれぞれ広くなったから、磁束の漏洩が防止され、あるいは、大幅に軽減される。
従って、漏洩による磁束の低下を補うためにコイル757の磁力を強化する必要がなくなり、磁力強化に伴う、電磁駆動手段751と、これを用いた動力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置の大型化、重量化、車載性の低下、バッテリー及びオルタネータの負担増加、エンジン燃費の低下などが防止される。
また、コイルハウジング755の削除分だけ、電磁駆動手段751と上記各装置が軽量でコンパクトになり、車載性が向上する。
また、鉄系金属であるコイルハウジング755の余分な部分(肉)を取り除いたことによる上記の軽量化効果は大きい。
また、コイルハウジング755は、所要の磁路断面積を維持しており、充分なスラスト力でプランジャ759を移動操作することができる。
なお、コイルハウジング755に設けるテーパーは、プレッシャープレート753側とケーシング761側で角度を同一にしてもよく、あるいは、一点鎖線773で示したように、所要の箇所まで直線的に肉薄にしてもよい。
[第15実施形態]
図24と図25によって本発明の第15実施形態を説明する。
図24は第15実施形態に用いられた電磁駆動手段の電磁ソレノイド801を示している。
この電磁ソレノイド801は、コイルハウジング803とコイル805などから構成されている。
コイルハウジング803には、磁束ループ807の密度の薄い外周(プランジャと反対側)の両側に全周にわたって溝809(所要の磁路断面積を超えた部分)が設けられており、さらに、溝809より深い複数個の凹部811(所要の磁路断面積を超えた部分)が周方向等間隔に設けられている。
このように構成された第15実施形態では、プレッシャープレート側とケーシング側で、所要の磁路断面積を超えた部分である溝809と凹部811をコイルハウジング803から取り除いたことにより、第14実施形態と同様な効果が得られる。
[第16実施形態]
図26は本発明の第16実施形態で噛み合いクラッチのクラッチリング(クラッチ部材)を押圧するプレッシャープレート851を示している。
プレッシャープレート851は、プランジャ(電磁ソレノイド)とリターンスプリングとによって軸方向に往復移動操作され、噛み合いクラッチを断続させる。
プレッシャープレート851には、複数個の開口部853が周方向等間隔に設けられており、上記の往復移動に当たっては、各開口部853によってオイルの通過が促進されるから、プレッシャープレート851に掛かるオイルの移動抵抗が大幅に低減され、駆動力を断続操作する際のレスポンスがそれだけ向上する。
また、この操作レスポンスの向上効果は、オイルの粘度が上昇する低温時で、特に著しい。
[第17実施形態]
図27と図28は本発明の第17実施形態に用いられた電磁駆動手段901を示している。
電磁駆動手段901は、コイルハウジング903、コイル905(電磁ソレノイド)、プランジャ907などから構成されている。
図27に示すように、コイルハウジング903はハウジング部材909,911を固定して形成されている。各ハウジング部材909,911には、それぞれ分岐部913,915が形成されており、コイル905はハウジング部材909,911と分岐部913,915の内側に収容されている。
また、ハウジング部材911にはプランジャ907をセンターリングするガイド部917が形成され、ハウジング部材909にはプランジャ907の脱落を防止する凸部919が形成されており、このようにプランジャ907はガイド部917と凸部919によって形成された袋状の部分に収容されている。
また、図27,28のように、ハウジング部材911のガイド部917には、その径方向壁部と軸方向壁部とを通して形成された開口部921が周方向等間隔に設けられており、ハウジング部材909の凸部919には開口部923が周方向等間隔に設けられている。
コイル905が励磁されると、ハウジング部材909,911と分岐部913,915からプランジャ907を通る磁路に磁束ループ925が形成される。プランジャ907はこの磁力とリターンスプリングとによって軸方向に往復移動操作され、噛み合いクラッチが断続操作される。
プランジャ907は、上記のように、袋状の部分に収容されているから、往復移動操作される際に、オイルによる移動抵抗が掛かり、磁力とリターンスプリングとによる操作に対してレスポンスが低下し易い。
しかし、上記のように構成された第17実施形態では、コイルハウジング903の袋状の部分に開口部921,923を設けたことによって、プランジャ907に対するオイルの移動抵抗が低減され、操作に対するレスポンスが大幅に向上する。
従って、オイルの移動抵抗に対抗するためにコイル905の磁力を強化する必要がなくなり、これに伴う、動力断続装置とトランスファ装置とデファレンシャル装置の大型化、重量化、車載性の低下などが防止されると共に、コイル905を励磁するバッテリー及びオルタネータの負担増加と、エンジンの燃費低下などが防止される。
第1実施形態を適用した車両の動力伝達系を示す平面図である。 第1実施形態のデファレンシャル装置の断面図である。 クラッチ部材とアウタデフケースとの係合関係を示す断面図である。 第2実施形態のデファレンシャル装置の断面図である。 第2実施形態の変形々態を示す断面図である。 第3実施形態のデファレンシャル装置の断面図である。 第4実施形態のデファレンシャル装置の断面図である。 第5実施形態のデファレンシャル装置の断面図である。 第6実施形態を示す断面図である。 第7実施形態を示す断面図である。 第8実施形態を示す断面図である。 図11のA−A断面図である。 第9実施形態を示す断面図である。 第9実施形態において、磁路中に介在する隙間の変化に対する磁力の変化を示すグラフである。 第10実施形態を示す断面図である。 第11実施形態を示す断面図である。 図16の要部拡大図である。 第12実施形態を示す正面図である。 図18のB−B断面図である。 第13実施形態を示す断面図である。 図20のC矢視図である。 図20のD断面図である。 第14実施形態を示す断面図である。 第15実施形態を示す断面図である。 図24のE矢視図である。 第16実施形態を示す正面図である。 第17実施形態を示す断面図である。 図27のF矢視図である。 従来のデファレンシャル装置を示す断面図である。
符号の説明
13 フロントデフ
31 アウタデフケース
41 インナデフケース 41a,43a ドッグクラッチ(噛み合いクラッチ)
43 クラッチ部材
51,53 サイドギヤ
57 差動機溝
61 電磁駆動手段
63 電磁ソレノイド
65 プランジャ
67 環状部材
201 デファレンシャル装置
203 デフケース
207 ドッグクラッチ(噛み合いクラッチ)
211 電磁ソレノイド(電磁駆動手段)
213 プランジャ
215 Oリング(シール)
301 デファレンシャル装置
305 ブラケット(回り止め手段)
351 電磁ソレノイド
353 コイルハウジング
355 ボビン
401 電磁駆動手段
403 コイルハウジング
405 コイル
407 プランジャ
415 フッ素樹脂コーティング
419 コイルハウジングの分岐部
451 電磁駆動手段
453 コイルハウジング
455 コイル
457 プランジャ465,467 オイル溝
501 電磁駆動手段
505 コイルハウジング
507 コイル
509 プランジャ
511 フッ素樹脂コーティング(磁気抵抗材)
551 電磁駆動手段
553 コイルハウジング
555 コイル
557 プランジャ
559,559 永久磁石(磁力発生手段:磁石)
601 電磁駆動手段
603,603 切り欠き(磁力発生手段:極部磁石)
651 クラッチリング(クラッチ部材)
653,657 オイル溝(オイル流路)
659 オイル流路
701 電磁駆動手段
703 プレッシャープレート
705 コイルハウジング
707 コイル
717,719 冷却フィン
721 冷却フィン
751 電磁駆動手段
753 プレッシャープレート(周辺部材)
755 コイルハウジング
757 コイル
761 ケーシング(周辺部材)
769,771 コイルハウジングで所要の磁路断面積を超えた部分
801 電磁駆動手段803 コイルハウジング
805 コイル
809 溝(コイルハウジングで所要の磁路断面積を超えた部分)
811 凹部(コイルハウジングで所要の磁路断面積を超えた部分)
851 プレッシャープレート
853 開口部
901 電磁駆動手段
903 コイルハウジング
905 コイル
907 プランジャ
921,923 コイルハウジングに設けられた開口部

Claims (7)

  1. 入力側と出力側の各トルク伝達部材と、
    前記両トルク伝達部材の間に設けられ、クラッチ部材の軸方向移動によって噛み合いと噛み合いの解除を行う噛み合いクラッチと、
    前記クラッチ部材を軸方向に移動させる環状のプランジャと、前記両トルク伝達部材と同軸に設けられ、前記プランジャを磁力で移動操作する電磁ソレノイドとを備え、
    前記プランジャが、前記電磁ソレノイドを構成するコイルハウジングにより、所定の位置で軸方向移動自在に保持されていることを特徴とする動力断続装置。
  2. エンジンの駆動力が入力して回転するデフケースと、
    前記デフケースに収容され、エンジンの駆動力を車輪側出力軸に差動分配する差動機構と、
    軸方向に移動可能な一側のクラッチ部材と他側のクラッチ部材との間に設けられ、前記一側クラッチ部材の軸方向移動によって係合離脱可能に噛み合い、差動制限、あるいは、トルクの断続を行う噛み合いクラッチと、
    前記噛み合いクラッチが係合離脱するようにクラッチ部材を軸方向に移動させる環状のプランジャを有し、前記出力軸と同軸に設けられた電磁駆動手段とを備え、
    前記プランジャが、前記電磁ソレノイドを構成するコイルハウジングにより、所定の位置で軸方向移動自在に保持されていることを特徴とするデファレンシャル装置。
  3. エンジンの駆動力が入力して回転するアウタデフケースと、
    エンジンの駆動力を左右の出力軸に差動分配する差動機構を内部に有し、アウタデフケース内に同軸に回転可能に支持されたインナデフケースと、
    インナデフケースの軸方向に隣接して配置され、軸方向に移動可能で、且つアウタデフケースと一体に回転するクラッチ部材と、
    インナデフケースとクラッチ部材との対向間に設けられ、クラッチ部材の軸方向の移動によって係合離脱可能に噛み合う噛み合いクラッチと、
    噛み合いクラッチが係合離脱するようにクラッチ部材を軸方向に移動させる環状のプランジャを有し、前記出力軸と同軸に設けられた電磁駆動手段とを備え、
    前記プランジャが、前記電磁ソレノイドを構成するコイルハウジングにより、所定の位置で軸方向移動自在に保持されていることを特徴とするデファレンシャル装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された発明であって、
    前記コイルハウジングと前記プランジャとの間に、シールが配置されていることを特徴とする動力断続装置またはデファレンシャル装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載された発明であって、
    前記コイルハウジングと前記プランジャの少なくともいずれか一方に、前記プランジャの作動に伴ってオイルの流出入を促進するオイル溝を設けたことを特徴とする動力断続装置またはデファレンシャル装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載された発明であって、
    前記コイルハウジングと前記プランジャとが構成する前記電磁ソレノイドの磁路において、
    前記コイルハウジングと前記プランジャの少なくともいずれか一方に、磁気抵抗材を配置したことを特徴とする動力断続装置またはデファレンシャル装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載された発明であって、
    前記コイルハウジングにおいて、前記プランジャを軸方向に移動させるのに必要な磁束を漏れなく通過させるに充分な磁路断面積を超えた部分が削除されていることを特徴とする動力断続装置またはデファレンシャル装置。
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