以下に添付図面を参照して、本発明にかかるドアロック装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明にかかるドアロック装置の構成について説明する。図1〜図3は、本発明の実施の形態であるドアロック装置を示した図、図4は、図1に示したドアロック装置において副ケースを外した状態を示す図である。
ここで例示するドアロック装置は、図1に示すように、自動車の前席右側に配置された前方ヒンジのサイドドア(右ハンドル車においては運転席側のドアD)において、ドアハンドルであるアウトサイドハンドルD1とラッチ機構20との間に設けられるものであり、主ケース2および副ケース3を備えている。主ケース2および副ケース3は、たとえば、それぞれ合成樹脂材料を成形したものであり、互いに開口を向け合うよう接合した後、ネジなどの締結部材4で締結することによりハウジング10を構成している。
ハウジング10は、ドアDの左右方向に延在するラッチ機構収容部11と、ラッチ機構収容部11の室内側に位置する端部からドアDの前方へ延在するロック機構収容部12とを備えて構成してあり、上方から見てほぼL字状を呈している。主ケース2と副ケース3との接合面に介在するパッキン材5は、図4に示すように、車両前方側の下端から上方へ延在した後、車両後方側に延在する形態で形成してある。このパッキン材5によって、ハウジング10には所望の水密性が確保されている。
ハウジング10のラッチ機構収容部11は、車両後方側から見てほぼ中央となる位置から室内側に向けてほぼ水平に延在する水平切欠溝13を有している。このラッチ機構収容部11には、内部にラッチ機構20が収容してある。
ラッチ機構20は、図5に示すように、自動車の車両本体側に設けたストライカSを噛合い保持するためのものであり、ラッチ21およびラチェット22を備えて構成してある。
ラッチ21は、ラッチ機構収容部11の水平切欠溝13よりも上方となる位置に、車両前後方向にほぼ水平に延在するラッチ軸23を中心として回転可能に配設したものである。このラッチ21は、噛合溝21a、フック部21bおよび係止部21cを有している。
噛合溝21aは、ラッチ21の外周面からラッチ軸23へ向けて形成した溝であり、ストライカSを収容可能な幅を有して形成してある。
フック部21bは、噛合溝21aの開口を下方へ向けた場合に、噛合溝21aよりも室内側に位置する部分である。このフック部21bは、図5−1に示すように、ラッチ軸23を中心としてラッチ21を時計回りに回転した場合に、水平切欠溝13を開放する位置(以下、「開放位置」と称する)で停止する。一方、フック部21bは、ラッチ軸23を中心としてラッチ21を反時計回りに回転した場合には、図5−2に示すような、水平切欠溝13を横切る位置(以下、「半ラッチ位置」と称する)、または、図5−3に示すような、水平切欠溝13を横切る位置(以下、「フルラッチ位置」と称する)で停止するように形成してある。
係止部21cは、噛合溝21aの開口を下方に向けた場合に、噛合溝21aよりも室外側に位置する部分である。この係止部21cは、図5−1に示すように、ラッチ軸23を中心としてラッチ21を時計回りに回転した場合に、水平切欠溝13を横切るとともに、水平切欠溝13の室外側に向けて漸次上方に傾斜する状態で停止するように形成してある。なお、ラッチ21とラッチ機構収容部11との間には、図5において、ラッチ軸23を中心としてラッチ21を常時時計回りに付勢するラッチバネ(図示せず)が設けてある。
ラチェット22は、ラッチ機構収容部11の水平切欠溝13より下方で、かつ、ラッチ軸23よりも室内側となる位置に、車両前後方向にほぼ水平に延在するラチェット軸24を中心として回転可能に配設したものである。このラチェット22は、係合部22aおよび作用部22bを有している。
係合部22aは、ラチェット軸24から室外側に向けて延在した部分である。この係合部22aは、図5において、ラチェット22がラチェット軸24を中心として反時計回りに回転した場合に、ラッチ21のフック部21bおよび係止部21cと係合可能に形成してある。作用部22bは、ラチェット軸24から室内側に向けて延在した部分である。なお、ラチェット22とラッチ機構収容部11との間には、図5において、ラチェット軸24を中心としてラチェット22を常時反時計回りに付勢するラチェットバネ(図示せず)が設けてある。
さらに、ラチェット22には、図4および図6に示すように、ラチェットレバー25が設けてある。ラチェットレバー25は、ラチェット22より車両前方側となる位置に、ラチェット軸24を中心として回転可能に配設したものである。このラチェットレバー25は、当接部25aおよび動作端部25bを有している。
当接部25aは、ラチェット軸24からラチェット22の作用部22bに沿って延在した後、車両前方へ屈曲し、さらに下方を室内側に屈曲した部分である。動作端部25bは、当接部25aから車両前側上方に延在した後、室内側に屈曲した部分である。また、ラチェットレバー25とラチェット22とは、連係ピン26で連結してある。この連係ピン26によって、ラチェットレバー25とラチェット22とは、一体となってラチェット軸24を中心として回転する。
また、ラッチ21の上方部には、ラッチ21の位置を検出するスイッチ27が設けてある。スイッチ27は、アーマチュア28に対するラッチ21の外周面の接触状態に応じて、適宜電気信号を車両本体の制御部(図示せず)に出力するものである。このスイッチ27からの電気信号によって、車両本体の制御部(図示せず)は、ラッチ21がフルラッチ位置以外の位置、たとえば、開放位置や半ラッチ位置にあるときに室内灯(図示せず)などを点灯させる。
前述したラッチ機構20では、ドアDが車両本体に対して開ドア状態(以下、この状態を「開放状態」と称する)にある場合、図5−1に示すように、ラッチ21が開放位置にあり、車両の室内灯が点灯する。この状態からドアDを閉操作すると、車両本体側に設けたストライカSがラッチ機構収容部11の水平切欠溝13に進入し、やがてラッチ21の係止部21cに当接する。これに伴い、図5において、ラッチ21がラッチバネ(図示せず)の弾性復元力に抗してラッチ軸23を中心として反時計回りに回転する。
さらに、上述した状態からドアDを閉操作すると、水平切欠溝13に対するストライカSの進入量が漸次増大し、やがてラチェット22の係合部22aがラッチ21の噛合溝21aに至る。これに伴い、ラッチ21がラッチ軸23を中心としてさらに反時計回りに回転する。この結果、図5−2に示すように、ラッチ21の係止部21cがラチェット22の係合部22aに当接する。この状態においては、ラッチ21がラッチ軸23を中心として時計回りに回転することが阻止される。しかも、このとき、ラッチ21のフック部21bは、水平切欠溝13を横切るように配置される。これにより、ストライカSが水平切欠溝13から離脱する方向に移動する事態、すなわち、車両本体に対するドアDの開ドア移動が阻止されることになる(以下、この状態を「半ラッチ状態」と称する)。
さらに、上述した半ラッチ状態からドアDを閉操作すると、水平切欠溝13に進入したストライカSが、やがて水平切欠溝13の室外側奥方に至る。これに伴い、ラッチ21がラッチ軸23を中心としてさらに反時計回りに回転する。このとき、ラチェット22は、図5において、ラチェットバネ(図示せず)の弾性復元力に抗してラチェット軸24を中心として時計回りに回転する。しかし、ラチェット22は、ラッチ21のフック部21bがラチェット22の係合部22aより室外側に移動した時点で、ラチェットバネ(図示せず)の弾性復元力により、ラチェット軸24を中心として反時計回りに回転する。この結果、図5−3に示すように、ラッチ21のフック部21bがラチェット22の係合部22aに当接する。この状態においては、ラッチ21がラッチ軸23を中心として時計回りに回転することが阻止される。しかも、このときも、ラッチ21のフック部21bは、水平切欠溝13を横切るように配置される。これにより、ストライカSが水平切欠溝13の室内側奥方から離脱する方向に移動する事態、すなわち、車両本体に対するドアDの開ドア移動が阻止されることになり(以下、この状態を「フルラッチ状態」と称する)、ドアDの閉ドア状態が維持され、車両の室内灯が消灯する。
さらに、上述したフルラッチ状態から、ラチェットバネ(図示せず)の弾性復元力に抗してラチェット22の作用部22b、または、ラチェットレバー25の当接部25aを、図5において、ラチェット軸24を中心として時計回りに回転させると、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接状態が解除される。これに伴い、ラッチ21は、図5において、ラッチバネ(図示せず)の弾性復元力により、ラッチ軸23を中心として時計回りに回転する。これにより、図5−1に示すように、ラッチ21が開放位置となり、ストライカSが水平切欠溝13から離脱する方向に移動可能、すなわち、車両本体に対するドアDの開ドア移動が可能となり、車両の室内灯が点灯する。
ハウジング10のロック機構収容部12には、図1〜4に示すように、内部にオープンレバー30、リンクレバー40、インナーハンドルレバー50、ロック作用機構60およびスーパーロック作用機構70が収容してある。
オープンレバー30は、ラッチ機構20のラチェット22よりも下方となる位置に、車両前後方向にほぼ水平に延在するオープンレバー軸31を中心として回動可能に配設したものである。このオープンレバー30は、図6に示すように、オープン作用端部30a、オープン動作端部30bおよび受圧部30cを有している。
オープン作用端部30aは、オープンレバー軸31から室外側に向けて延在した部分であり、室外側端部がハウジング10の外部に突出している。このハウジング10の外部に突出している室外側端部には、ドアDに設けたアウトサイドハンドルD1と連係するための、たとえば、リンクなどのアウトサイドハンドル連係手段32が接続してある。このアウトサイドハンドル連係手段32は、アウトサイドハンドルD1を開ドア操作した場合に、図6−2に示すように、オープンレバー軸31を中心としてオープンレバー30を反時計回りに回動するように接続してある。
オープン動作端部30bは、オープンレバー軸31から室内側に向けて延在した部分であり、室内側上端部がラチェットレバー25の当接部25aの下方に位置している。
受圧部30cは、オープン動作端部30bより下方に位置し、オープンレバー30の下縁部から車両前方へ屈曲した部分である。なお、オープンレバー30とロック機構収容部12との間には、図6において、オープンレバー軸31を中心としてオープンレバー30を常時時計回りに付勢するオープンレバーバネ33が設けてある。
リンクレバー40は、本発明のロック機構であり、オープンレバー30のオープン動作端部30bに装着してある。このリンクレバー40は、図6および図7に示すように、装着孔40a、ラチェット駆動部40bおよびパニックレバー連結部40cを有している。
装着孔40aは、左右方向の軸心回りに回動可能に設けた回動子40aaに形成してある。装着孔40aおよび回動子40aaは、リンクレバー40の下端部に位置している。つまり、リンクレバー40は、装着孔40aにオープンレバー30のオープン動作端部30bを挿通することにより、オープン動作端部30bと一体となって上下動可能になる。しかも、リンクレバー40は、装着孔40aを回動子40aaに形成しているため、オープン動作端部30bに対して車両の左右方向に沿った軸心回りに回動可能になる。
ラチェット駆動部40bは、装着孔40aからラチェットレバー25の当接部25aへ向けて延在した部分であり、リンクレバー40が上動した場合に、ラチェットレバー25の当接部25aを押圧可能に形成してある。
パニックレバー連結部40cは、装着孔40aからラチェットレバー25の動作端部25bの車両前方側に向けて延在した部分であり、上下方向に長手状の長孔である連結用溝孔40eを備えて形成してある。
インナーハンドルレバー50は、オープンレバー30よりも下方となる位置に、左右方向にほぼ水平に延在するインナーレバー軸51を中心として回動可能に配設したものである。このインナーハンドルレバー50は、図7に示すように、インナー作用部50aおよびインナー当接部50bを有している。
インナー作用部50aは、インナーレバー軸51から車両後方側に延在した後、上方へ延在した部分であり、図3に示すように、車両後方上端部がハウジング10の外部に突出している。このハウジング10の外部に突出した車両後方上端部には、ドアDの室内側に設けたインサイドハンドルD2と連係するための、たとえば、リンクやワイヤなどのインサイドハンドル連係手段53が接続してある。このインサイドハンドル連係手段53は、インサイドハンドルD2を開ドア操作した場合に、図7−2に示すように、インナーレバー軸51を中心としてインナーハンドルレバー50を反時計回りに回動するように接続してある。インナー当接部50bは、インナー作用部50aの一部から車両前方へ突出した部分である。
さらに、インナーハンドルレバー50の室外側には、中間レバー52が設けてある。中間レバー52は、インナーレバー軸51を中心として回動可能に配設したものである。この中間レバー52は、図7に示すように、中間当接部52aおよび中間作用部52bを有している。
中間当接部52aは、インナーレバー軸51から車両後方側に延在した部分であり、インナーレバー軸51を中心として中間レバー52を反時計回りに回動した場合に、オープンレバー30の受圧部30cを上方へ押圧可能に形成してある。
中間作用部52bは、インナーレバー軸51から上方に向けて延在した部分であり、上下方向に長手状の長孔である中間作用溝孔52cを備えて形成してある。なお、中間レバー52とロック機構収容部12との間には、図7において、インナーレバー軸51を中心として中間レバー52を常時時計回りに付勢する中間レバーバネ(図示せず)が設けてある。
ロック作用機構60は、図4および図8に示すように、主ケース2における副ケース3で覆われる面に、キーレバー61、キーサブレバー62、コネクトレバー63、セクタギア65、パニックレバー66およびウォームホイール67を備えて構成してある。
キーレバー61は、ハウジング10の下方に、車両の左右方向に沿った軸心回りに回動可能に配設してある。このキーレバー61は、図8および図9に示すように、入力軸部611、回動凹部612およびレバー部613を有している。
入力軸部611は、図1に示すように、ドアDに設けたキーシリンダKCをキー操作する場合に、回転駆動力を入力する入力部である。この入力軸部611には、キーシリンダKCに連係するための、たとえば、リンクやケーブルなどのキーシリンダ連係手段615が接続してある。このキーシリンダ連係手段615は、キーシリンダKCを施錠操作した場合に、図9−2に示すように、キーレバー61を反時計回りに回動する一方、キーシリンダKCを解錠操作した場合には、図9−1に示すように、キーレバー61を時計回りに回動するように接続してある。
回動凹部612は、図9−2において、入力軸部611のほぼ中央に凹設してあり、副ケース3に設けた凸部(図示せず)に嵌合してある。この回動凹部612が副ケース3に設けた凸部(図示せず)と嵌合することにより、キーレバー61が車両の左右方向に沿った軸心回りに回動可能になる。
レバー部613は、図9−2において、入力軸部611から下方へ延在した部分であり、ほぼ中央部にキーリンク連結孔614を備えて形成してある。
キーサブレバー62は、キーレバー61の車両前側上方に、車両の左右方向に沿った軸心回りに回動可能に配設してある。このキーサブレバー62は、図8および図9に示すように、回動孔621、キーリンク連結部622、ロック切換用突起623、アンロック切換用突起624、アンロック操作認識用突起625およびロック操作認識用突起626を有している。
回動孔621は、主ケース2の室内側に設けた円柱状の凸部201を挿通可能に形成した孔である。この回動孔621には、凸部201が挿通してある。この回動孔621に凸部201が挿通することにより、キーサブレバー62が凸部201の軸心回りに回動可能になる。
キーリンク連結部622は、図9−2において、凸部201から下方へ延在した部分であり、下端部にキーリンク連結孔622aを備えて形成してある。このキーリンク連結孔622aと、キーレバー61のキーリンク連結孔614とは、キーリンク627により連結してある。このキーリンク627によって、キーレバー61の回転動作をキーサブレバー62に伝達可能となる。
ロック切換用突起623およびアンロック切換用突起624は、それぞれ凸部201から径外方向に延在した部分である。
アンロック操作認識用突起625およびロック操作認識用突起626は、それぞれ凸部201から径外方向に延在した部分である。このアンロック操作認識用突起625は、キーサブレバー62の回動によりリンクレバー40をロック状態からアンロック状態に切換えた場合に、図9−1に示すように、検出スイッチ628の検出片628aを検出スイッチ628に対して反時計回りに倒すように形成してある。一方、ロック操作認識用突起626は、キーサブレバー62の回動によりリンクレバー40をアンロック状態からロック状態に切換えた場合に、図9−2に示すように、検出スイッチ628の検出片628aを検出スイッチ628に対して時計回りに倒すように形成してある。また、検出スイッチ628は、検出片628aに対するアンロック操作認識用突起625およびロック操作認識用突起626の接触状態に応じて、適宜電気信号を車両本体の制御部(図示せず)に出力するものである。この検出スイッチ628からの電気信号によって、車両本体の制御部(図示せず)は、キーシリンダKCのキー操作、つまり、施錠操作および解錠操作の別を識別する。
コネクトレバー63は、本発明の第2駆動機構を構成し、図4に示すように、キーサブレバー62の室内側に重なる態様で、車両の左右方向に沿った軸心回りに回動可能に配設してある。このコネクトレバー63は、図8に示すように、回動用孔631、切換用突起632、セクタギア連結部633、スイッチレバー部634およびワンモーション用突起637を有している。
回動用孔631は、前記凸部201を挿通可能に形成した孔である。この回動用孔631には、凸部201が挿通してある。この回動用孔631に凸部201が挿通することにより、コネクトレバー63が、キーサブレバー62の回動孔621と同一軸心上にある、凸部201の軸心回りに回動可能になる。
切換用突起632は、コネクトレバー63におけるキーサブレバー62と対向する面から突出した突起である。この切換用突起632は、キーサブレバー62のロック切換用突起623およびアンロック切換用突起624と当接可能に形成してある。つまり、キーサブレバー62を凸部201の軸心回りに反時計回りに回動した場合に、ロック切換用突起623が切換用突起632と当接し、押圧する。この結果、コネクトレバー63が、図9−2に示すように、アンロック位置からロック位置に切り換わる。一方、キーサブレバー62を凸部201の軸心回りに時計回りに回動した場合に、アンロック切換用突起624が切換用突起632と当接し、押圧する。この結果、コネクトレバー63が、図9−1に示すように、ロック位置からアンロック位置に切り換わる。
セクタギア連結部633は、前記凸部201から径外方向に延在した部分であり、先端部の室外側の面に、室外側へほぼ水平に延在する連結用凸部635を備えて形成してある。
スイッチレバー部634は、図11において、凸部201からコネクトレバー63の位置を検出する検出用スイッチ636へ向けて延在した部分である。このスイッチレバー部634は、コネクトレバー63が、図11に示すような、アンロック位置(以下、「アンロック位置」と称する)にある場合に、検出用スイッチ636をオフにする一方、コネクトレバー63が、図12に示すような、ロック位置(以下、「ロック位置」と称する)にある場合には、検出用スイッチ636をオンにするように形成してある。
ワンモーション用突起637は、前記凸部201から径外方向に延在した部分である。なお、コネクトレバー63とロック機構収容部12との間には、コネクトレバーバネ(図示せず)が設けてある。このコネクトレバーバネ(図示せず)は、コネクトレバー63が凸部201の軸心回りに回動した場合に、当該コネクトレバー63を、図11に示すアンロック位置、または、図12に示すロック位置に維持するものである。
セクタギア65は、本発明の第1駆動機構を構成し、左右方向にほぼ水平に延在するギアシャフト651を中心として回動可能に配設したものである。このセクタギア65は、図8に示すように、コネクトレバー連結部652、ドリブンギア部654およびパニックレバー当接部655を有している。
コネクトレバー連結部652は、図11において、ギアシャフト651からコネクトレバー63へ向けて延在した部分であり、先端部に連結溝孔656を備えて形成してある。この連結溝孔656には、コネクトレバー63の連結用凸部635が挿通してある。この連結溝孔656に連結用凸部635が挿通することにより、コネクトレバー63が凸部201の軸心回りに反時計回りに回動した場合に、セクタギア65はギアシャフト651を中心として時計回りに回動する一方、コネクトレバー63が凸部201の軸心回りに時計回りに回動した場合には、セクタギア65はギアシャフト651を中心として反時計回りに回動する。
ドリブンギア部654は、図8に示すように、ギアシャフト651を中心として上方に扇形状を呈する部分である。このドリブンギア部654は、上方の外周面に、一対の外側歯654a、654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dを備えて形成してある。これら一対の外側歯654a、654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dは、左右方向の高さが、三段階に位置している。一対の外側歯654a、654bは、車両前後方向の両側で、かつ、最も室内側に位置する部分である。第1受動歯654cは、車両前後方向における、一方の外側歯654aに近接する位置となる部分である。第2受動歯654dは、車両前後方向における、他方の外側歯654bと第1受動歯654cとの間で、かつ、最も室外側に位置する部分である。
パニックレバー当接部655は、車両後方側縁部から室内側に凸設した部分である。
パニックレバー66は、本発明の第1駆動機構を構成し、セクタギア65の室内側に、ギアシャフト651を中心として回動可能に配設したものである。このパニックレバー66は、図8に示すように、連結凸部661およびセクタギア当接部662を有している。
連結凸部661は、ギアシャフト651から下方へ延在した先端部における室内側に位置する面から突出した、円柱状を呈する部分である。この連結凸部661は、リンクレバー40の連結用溝孔40eを挿通してある。この連結凸部661が連結用溝孔40eを挿通することにより、セクタギア65とリンクレバー40とが、パニックレバー66を介して連結される。
セクタギア当接部662は、ギアシャフト651から車両後方側に延在した部分である。このセクタギア当接部662は、セクタギア65のパニックレバー当接部655と当接可能に形成してある。なお、セクタギア65とパニックレバー66との間には、パニックレバー当接部655とセクタギア当接部662とが常時当接するように付勢するパニックスプリング663を設けてある。
ウォームホイール67は、本発明の第1駆動機構を構成し、セクタギア65の上方に、左右方向にほぼ水平に延在するウォーム軸671を中心として回動可能に配設したものである。このウォームホイール67には、図8に示すように、同一軸心上の室内側に間欠歯車672(第1駆動機構)が固着してある。
間欠歯車672は、ウォーム軸671の径外方向に、基本歯672a、一対の第1駆動歯672bおよび一対の第2駆動歯672cを備えて形成してある。これら基本歯672a、一対の第1駆動歯672bおよび一対の第2駆動歯672cは、セクタギア65のドリブンギア部654に形成した一対の外側歯654a、654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dとそれぞれ噛合可能で、かつ、左右方向の高さが、三段階に位置している。基本歯672aは、ドリブンギア部654の一対の外側歯654a、654bとのみ噛合可能な部分である。一対の第1駆動歯672bは、ドリブンギア部654の第1受動歯654cとのみ噛合可能な部分である。一対の第2駆動歯672cは、ドリブンギア部654の第2受動歯654dとのみ噛合可能な部分である。なお、ウォームホイール67とロック機構収容部12との間には、ウォームホイール67の間欠歯車672に形成した基本歯672aを、ギアシャフト651の軸心へ向ける状態(以下、この状態を「中立状態」と称する)を維持するように付勢する中立復帰バネ673が設けてある。
さらに、ウォームホイール67には、図4に示すように、駆動モータ675(第1駆動源)の出力軸に固着したウォーム676(第1駆動源)が噛合してある。
つまり、図11に示すように、セクタギア65がギアシャフト651を中心として反時計回りに回動している(以下、「アンロック位置」と称する)場合に、駆動モータ675の駆動によるウォーム676の回転により、ウォーム軸671を中心としてウォームホイール67を反時計回りに回動すると、基本歯672aが、ドリブンギア部654の一方の外側歯654aと噛合した後、第1駆動歯672bが、ドリブンギア部654の第1受動歯654cと噛合し、さらに、第2駆動歯672cが、ドリブンギア部654の第2受動歯654dと噛合する。この結果、図12に示すように、セクタギア65がギアシャフト651を中心として時計回りに回動する(以下、「ロック位置」と称する)。これに伴い、パニックレバー当接部655を介してパニックレバー66がギアシャフト651を中心として時計回りに回動するとともに、連結凸部661を介してリンクレバー40がオープン動作端部30bを中心として車両の左右方向に沿った軸心回りに反時計回りに回動し(以下、「ロック位置」と称する)、かつ、コネクトレバー連結部652を介してコネクトレバー63が反時計回りにロック位置に回動する。
しかしながら、セクタギア65をアンロック位置からロック位置まで回動した場合には、駆動モータ675の駆動によるウォーム676の回転により、ウォーム軸671を中心としてウォームホイール67を反時計回りに回動しても、もはや間欠歯車672がドリブンギア部654と噛合うことがなく、セクタギア65を回動することができなくなり、かつ、ウォームホイール67が中立復帰バネ673の弾性復元力により中立状態に復帰する。
一方、図12に示すように、セクタギア65がロック位置にある場合に、駆動モータ675の駆動によるウォーム676の回転により、ウォーム軸671を中心としてウォームホイール67を時計回りに回動すると、基本歯672aが、ドリブンギア部654の他方の外側歯654bと噛合した後、第2駆動歯672cが、ドリブンギア部654の第2受動歯654dと噛合し、さらに、第1駆動歯672bが、ドリブンギア部654の第1受動歯654cと噛合する。この結果、図11に示すように、セクタギア65がギアシャフト651を中心として反時計回りにアンロック位置に回動する。これに伴い、パニックレバー当接部655を介してパニックレバー66がギアシャフト651を中心として反時計回りに回動するとともに、連結凸部661を介してリンクレバー40がオープン動作端部30bを中心として車両の左右方向に沿った軸心回りに時計回りに回動し(以下、「アンロック位置」と称する)、かつ、コネクトレバー連結部652を介してコネクトレバー63が時計回りにアンロック位置に回動する。
しかしながら、セクタギア65をロック位置からアンロック位置まで回動した場合には、駆動モータ675の駆動によるウォーム676の回転により、ウォーム軸671を中心としてウォームホイール67を時計回りに回動しても、もはや間欠歯車672が、ドリブンギア部654と噛合うことがなく、セクタギア65を回動することができなくなり、かつ、ウォームホイール67が中立復帰バネ673の弾性復元力により中立状態に復帰する。
また、セクタギア65をアンロック位置からロック位置までギアシャフト651を中心として時計回りに回動した場合には、一対の外側歯654a、654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dが、ウォームホイール67の基本歯672a、一対の第1駆動歯672bおよび一対の第2駆動歯672cと噛合うことがなく、ウォームホイール67を回動することができない。一方、セクタギア65をロック位置からアンロック位置までギアシャフト651を中心として反時計回りに回動した場合にも、一対の外側歯654a、654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dが、ウォームホイール67の基本歯672a、一対の第1駆動歯672bおよび一対の第2駆動歯672cと噛合うことがなく、ウォームホイール67を回動することができない。すなわち、セクタギア65とウォームホイール67とは、ウォームホイール67からセクタギア65への一方向にのみ動力伝達するよう構成してある。
スーパーロック作用機構70は、図4および図8に示すように、主ケース2における副ケース3で覆われる面に、連係アーム71、回動軸72、係合アーム73、セクタギア74、ウォームホイール75および第1リンク76を備えて構成してある。
連係アーム71は、本発明の第2駆動機構を構成し、コネクトレバー63の室内側に、当該コネクトレバー63と一体に設けたものである。この連係アーム71は、図8に示すように、係合凸部711および係合ピン713を有している。
係合凸部711は、前記凸部201からコネクトレバー63のセクタギア連結部633に相反する方向へ延在した先端部における室内側に位置する面から突出した、矩形状を呈する部分である。
係合ピン713は、凸部201からコネクトレバー63のセクタギア連結部633に相反する方向へ延在した先端部における室外側に位置する面から突出した部分である。
回動軸72は、本発明の第2駆動機構を構成し、凸部201の軸心部分に設けた軸孔201aに、回動可能に挿通したものである。この回動軸72は、図8に示すように、摺動案内部721を有している。
摺動案内部721は、連係アーム71よりも室内側に位置で、回動軸72から径外方向に延在した板体である。この摺動案内部721は、室内側の面から突出する案内突起722を備えて形成してある。
係合アーム73は、本発明の第2駆動機構を構成し、回動軸72を中心として回動可能に配設したものである。この係合アーム73は、図8に示すように、係合長孔731、挿通溝732、係合溝部733および連動ピン734を有している。
係合長孔731は、回動軸72の案内突起722と係合可能に形成した長孔である。この係合長孔731には、案内突起722が係合してある。この係合長孔731に案内突起722が係合することにより、係合アーム73が回動軸72とともに回動することになり、かつ、係合アーム73が回動軸72に対して係合長孔731に沿って摺動可能になる。
挿通溝732は、図8において、回動軸72を中心として反時計回り方向に開口した、円弧状を呈する溝である。
係合溝部733は、挿通溝732の奥方で、当該挿通溝732に向けて開口した溝である。この係合溝部733には、連係アーム71の係合凸部711が遊挿してある。つまり、係合アーム73を係合長孔731に沿って回動軸72に向けて摺動した場合に、図11および図12に示すように、係合溝部733と係合凸部711とが係合する。この結果、係合アーム73が、コネクトレバー63とともに回動することになる。一方、係合アーム73を係合長孔731に沿って回動軸72から離反する方向へ摺動した場合に、図13に示すように、係合溝部733と係合凸部711とが係合しない。この結果、係合アーム73が、コネクトレバー63とは別に回動することになる。
連動ピン734は、室外側の面から室外側に延在した部分である。
セクタギア74は、本発明の第2駆動機構を構成し、左右方向にほぼ水平に延在するギアシャフト741の軸心を中心として、当該ギアシャフト741と一体となって回動可能に配設したものである。
ギアシャフト741は、本発明のエマージェンシー部材であり、図1および図3に示すように、円柱状を呈しており、端部が副ケース3に設けた副ケース孔3aを貫通した後外部に突出している。このギアシャフト741は、図10に示すように、エマージェンシー操作部741aおよびストッパ部741bを備えて形成してある。
エマージェンシー操作部741aは、外部に突出した端面に形成したものであり、たとえば、車両のキーや専用工具などの操作部材が挿通可能な開口形状を有した孔である。このエマージェンシー操作部741aに操作部材を挿通することにより、当該操作部材によりギアシャフト741を回動し、セクタギア74を回動させることが可能になる。
このギアシャフト741は、図1および図3に示すように、ドアロック装置をドアDに配設した場合、エマージェンシー操作部741aがドアDの室内側に向けて開口するよう位置している。このエマージェンシー操作部741aに対向するドアDおよびドアトリムDTには、エマージェンシー操作部741aを操作するための孔である、孔DOおよび孔DTOが設けてある。さらに、このドアトリムDTには、ヒンジを介して開閉可能に設けたドアトリムカバーDTCが設けてある。このドアトリムカバーDTCは、室内側からエマージェンシー操作部741aが目視できない閉成した状態と、エマージェンシー操作部741aが室内側から目視可能となる開成した状態とに、開閉するよう配設してある。
ストッパ部741bは、副ケース3の室外側で、ギアシャフト741から径外方向に、副ケース孔3aより大きな外径を有するよう延在した部分である。
このセクタギア74は、図8に示すように、アーム連結部742およびドリブンギア部743を有している。アーム連結部742は、ギアシャフト741から径外方向に延在した部分である。このアーム連結部742は、連係アーム連結用溝孔744および係合アーム連結用溝孔745を備えて形成してある。
連係アーム連結用溝孔744には、連係アーム71の係合ピン713が挿通してある。この連係アーム連結用溝孔744に係合ピン713が挿通することにより、図13に示すように、セクタギア74がギアシャフト741とともに時計回りに回動している(以下、「スーパーロック位置」と称する)場合に、ロック位置にあるコネクトレバー63を時計回りにアンロック位置に回動すると、図11に示すように、セクタギア74がギアシャフト741とともに反時計回りに回動する(以下、「解除位置」と称する)一方、図11に示すように、コネクトレバー63がアンロック位置にある場合には、解除位置にあるセクタギア74を時計回りにスーパーロック位置に回動すると、図13に示すように、コネクトレバー63がロック位置に回動する。
係合アーム連結用溝孔745には、係合アーム73の連動ピン734が挿通してある。この係合アーム連結用溝孔745に連動ピン734が挿通することにより、図12に示すように、解除位置にあるセクタギア74を時計回りにスーパーロック位置に回動した場合に、図13に示すように、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72から離反する方向へ摺動する一方、図13に示すように、スーパーロック位置にあるセクタギア74を反時計回りに解除位置に回動した場合には、図12に示すように、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72に向けて摺動する。
ドリブンギア部743は、図8に示すように、ギアシャフト741を中心として下方に扇形状を呈する部分である。このドリブンギア部743は、下方の外周面に、一対の外側歯743a、743b、第1受動歯743cおよび第2受動歯743dを備えて形成してある。これら一対の外側歯743a、743b、第1受動歯743cおよび第2受動歯743dは、左右方向の高さが、三段階に位置している。一対の外側歯743a、743bは、車両前後方向の両側で、かつ、最も室内側に位置する部分である。第1受動歯743cは、車両前後方向における、一方の外側歯743aに近接する位置となる部分である。第2受動歯743dは、車両前後方向における、他方の外側歯743bと第1受動歯743cとの間で、かつ、最も室外側に位置する部分である。なお、セクタギア74とロック機構収容部12との間には、セクタギアバネ746が設けてある。このセクタギアバネ746は、セクタギア74がギアシャフト741とともに回動した場合に、当該セクタギア74を、図12に示す解除位置、または、図13に示すスーパーロック位置に維持するものである。
ウォームホイール75は、本発明の第2駆動機構を構成し、セクタギア74の下方に、左右方向にほぼ水平に延在するウォーム軸751を中心として回動可能に配設したものである。このウォームホイール75には、図8に示すように、同一軸心上の室内側に間欠歯車752(第2駆動機構)が固着してある。
間欠歯車752は、ウォーム軸751の径外方向に、基本歯752a、一対の第1駆動歯752bおよび一対の第2駆動歯752cを備えて形成してある。これら基本歯752a、一対の第1駆動歯752bおよび一対の第2駆動歯752cは、セクタギア74のドリブンギア部743に形成した一対の外側歯743a、743b、第1受動歯743cおよび第2受動歯743dとそれぞれ噛合可能で、かつ、左右方向の高さが、三段階に位置している。基本歯752aは、ドリブンギア部743の一対の外側歯743a、743bとのみ噛合可能な部分である。一対の第1駆動歯752bは、ドリブンギア部743の第1受動歯743cとのみ噛合可能な部分である。一対の第2駆動歯752cは、ドリブンギア部743の第2受動歯743dとのみ噛合可能な部分である。なお、ウォームホイール75とロック機構収容部12との間には、ウォームホイール75の間欠歯車752に形成した基本歯752aを、ギアシャフト741の軸心へ向ける状態(以下、この状態を「中立状態」と称する)を維持するように付勢する中立復帰バネ753が設けてある。
さらに、ウォームホイール75には、図4に示すように、駆動モータ755(第2駆動源)の出力軸に固着したウォーム756(第2駆動源)が噛合してある。
つまり、図11および図12に示すように、セクタギア74が解除位置にある場合に、駆動モータ755の駆動によるウォーム756の回転により、ウォーム軸751を中心としてウォームホイール75を反時計回りに回動すると、基本歯752aが、ドリブンギア部743の一方の外側歯743aと噛合した後、第1駆動歯752bが、ドリブンギア部743の第1受動歯743cと噛合し、さらに、第2駆動歯752cが、ドリブンギア部743の第2受動歯743dと噛合する。この結果、図13に示すように、セクタギア74がギアシャフト741を中心として時計回りにスーパーロック位置に回動する。これに伴い、連係アーム連結用溝孔744を介してコネクトレバー63がロック位置に回動し、かつ、係合アーム連結用溝孔745を介して係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72から離反する方向へ摺動する。
しかしながら、セクタギア74を解除位置からスーパーロック位置まで回動した場合には、駆動モータ755の駆動によるウォーム756の回転により、ウォーム軸751を中心としてウォームホイール75を反時計回りに回動しても、もはや間欠歯車752が、ドリブンギア部743と噛合うことがなく、セクタギア74を回動することができなくなり、かつ、ウォームホイール75が中立復帰バネ753の弾性復元力により中立状態に復帰する。
一方、図13に示すように、セクタギア74がスーパーロック位置にある場合に、駆動モータ755の駆動によるウォーム756の回転により、ウォーム軸751を中心としてウォームホイール75を時計回りに回動すると、基本歯752aが、ドリブンギア部743の他方の外側歯743bと噛合した後、第2駆動歯752cが、ドリブンギア部743の第2受動歯743dと噛合し、さらに、第1駆動歯752bが、ドリブンギア部743の第1受動歯743cと噛合する。この結果、図12に示すように、セクタギア74がギアシャフト741を中心として反時計回りに解除位置に回動する。これに伴い、係合アーム連結用溝孔745を介して係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72に向かう方向へ摺動する。
しかしながら、セクタギア74をスーパーロック位置から解除位置まで回動した場合には、駆動モータ755の駆動によるウォーム756の回転により、ウォーム軸751を中心としてウォームホイール75を時計回りに回動しても、もはや間欠歯車752が、ドリブンギア部743と噛合うことがなく、セクタギア74を回動することができなくなり、かつ、ウォームホイール75が中立復帰バネ753の弾性復元力により中立状態に復帰する。
また、セクタギア74を解除位置からスーパーロック位置までギアシャフト741を中心として時計回りに回動した場合には、一対の外側歯743a、743b、第1受動歯743cおよび第2受動歯743dが、ウォームホイール75の基本歯752a、一対の第1駆動歯752bおよび一対の第2駆動歯752cと噛合うことがなく、ウォームホイール75を回動することができない。一方、セクタギア74をスーパーロック位置から解除位置までギアシャフト741を中心として反時計回りに回動した場合にも、一対の外側歯743a、743b、第1受動歯743cおよび第2受動歯743dが、ウォームホイール75の基本歯752a、一対の第1駆動歯752bおよび一対の第2駆動歯752cと噛合うことがなく、ウォームホイール75を回動することができない。すなわち、セクタギア74とウォームホイール75とは、ウォームホイール75からセクタギア74への一方向にのみ動力伝達するよう構成してある。
第1リンク76は、本発明の第2駆動機構を構成し、セクタギア74の室外側に位置する部位に、左右方向にほぼ水平に延在するギアシャフト741を中心として、セクタギア74と一体となって回動可能に配設したものである。この第1リンク76には、図4に示すように、リンクピン78によって第2リンク77が連結してある。
第2リンク77は、本発明のスーパーロック機構であり、第1リンク76の車両後方側に位置する端部において室外側となる面に、リンクピン78を中心として車両の左右方向に沿った軸心回りに回動可能に配設したものである。この第2リンク77は、図8に示すように、中間ピン77aを有している。
中間ピン77aは、第2リンク77において上方の先端部における室内側の面から突出した部分であり、中間レバー52の中間作用溝孔52cに挿通してある。この中間ピン77aは、ギアシャフト741を中心としてセクタギア74回動した場合に、第1リンク76を介して移動し、中間作用溝孔52cに沿って上下方向に摺動可能である。この中間ピン77aは、図11および図12に示すように、セクタギア74が解除位置にある場合に、中間作用溝孔52cの上方側に位置し(以下、「解除位置」と称する)、インナーレバー軸51を中心としてインナーハンドルレバー50を反時計回りに回動すると、インナー当接部50bと当接する。一方、図13に示すように、セクタギア74がスーパーロック位置にある場合には、中間ピン77aが中間作用溝孔52cの下方側に移動するため(以下、「スーパーロック位置」と称する)、インナーレバー軸51を中心としてインナーハンドルレバー50を反時計回りに回動しても、インナー当接部50bと当接しない。
また、この中間ピン77aは、セクタギア74が解除位置にあり、かつ、コネクトレバー63がロック位置にある場合に、インナーレバー軸51を中心としてインナーハンドルレバー50を反時計回りに回動すると、インナー当接部50bと当接した後、ワンモーション用突起637と当接する。
次に、本発明にかかるドアロック装置の作用について説明する。図14は、図1に示したドアロック装置がロック状態においてインサイドハンドルを開ドア操作した場合を示す概念図、図15は、図1に示したドアロック装置がスーパーロック状態においてインサイドハンドルを開ドア操作した場合を示す概念図である。
上述したドアロック装置では、ドアDの閉ドア状態において、図11に示すように、リンクレバー40がアンロック位置にある(以下、このリンクレバー40がアンロック位置にある状態を「アンロック状態」と称する)場合に、図6−1および図7−1に示すように、ラチェット駆動部40bがラチェットレバー25の当接部25aの下方に位置している。
このリンクレバー40がアンロック状態において、アウトサイドハンドルD1を開ドア操作すると、アウトサイドハンドル連係手段32を介して、オープンレバー30がオープンレバー軸31を中心として反時計回りに回動する。これに伴い、図6−2に示すように、オープン動作端部30bが上動した後、リンクレバー40を介してラチェットレバー25の当接部25aを押圧する。これにより、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接状態が解除されるため、車両本体に対するドアDの開ドア移動が可能となる。
また、リンクレバー40がアンロック状態において、インサイドハンドルD2を開ドア操作すると、インサイドハンドル連係手段53を介して、インナーハンドルレバー50がインナーレバー軸51を中心として反時計回りに回動する。これに伴い、図7−2に示すように、第2リンク77の中間ピン77aを介して、中間レバー52がインナーレバー軸51を中心として反時計回りに回動する。この結果、オープンレバー30の受圧部30cを上動するとともに、オープン動作端部30bが上動した後、リンクレバー40を介してラチェットレバー25の当接部25aを押圧する。これにより、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接状態が解除されるため、車両本体に対するドアDの開ドア移動が可能となる。
また、リンクレバー40がアンロック状態において、駆動モータ675を駆動すると、図12に示すように、ウォーム676の回転により、ウォーム軸671を中心としてウォームホイール67が反時計回りに回動するともに、セクタギア65が時計回りに回動してロック位置となる。これに伴い、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに反時計回りに回動してロック位置となり、かつ、コネクトレバー63が反時計回りに回動してロック位置となる。すなわち、図12に示すように、リンクレバー40がロック位置になる(以下、このリンクレバー40がロック位置にある状態を「ロック状態」と称する)。
このリンクレバー40がロック状態において、アウトサイドハンドルD1を開ドア操作すると、アウトサイドハンドル連係手段32を介して、オープンレバー30がオープンレバー軸31を中心として反時計回りに回動する。しかしながら、図12に示すように、オープン動作端部30bが上動しても、リンクレバー40のラチェット駆動部40bとラチェットレバー25の当接部25aとが当接できない。これにより、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接状態が解除されないため、車両本体に対するドアDの開ドア移動が阻止されることになり、ドアDが施錠された状態となる。
なお、リンクレバー40のアンロック状態からロック状態への移行は、必ずしも駆動モータ675を駆動することに限らず、図9−2に示すように、キーシリンダKCを施錠操作してもよい。キーシリンダKCを施錠操作すると、キーシリンダ連係手段615を介して、キーレバー61が車両の左右方向に沿った軸心回りに反時計回りに回動するとともに、キーリンク627を介して、キーサブレバー62が凸部201の軸心回りに反時計回りに回動する。これに伴い、コネクトレバー63がロック位置になるとともに、セクタギア65がロック位置となる。この結果、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに反時計回りに回動してロック位置となる。
このリンクレバー40がロック状態において、駆動モータ675を駆動すると、図11に示すように、ウォーム676の回転により、ウォーム軸671を中心としてウォームホイール67を時計回りに回動するとともに、セクタギア65が反時計回りに回動してアンロック位置となる。これに伴い、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに時計回りに回動してロック位置となり、かつ、コネクトレバー63が時計回りに回動してアンロック位置となる。
なお、リンクレバー40のロック状態からアンロック状態への移行は、必ずしも駆動モータ675を駆動することに限らず、図9−1に示すように、キーシリンダKCを解錠操作してもよい。キーシリンダKCを解錠操作すると、キーシリンダ連係手段615を介して、キーレバー61が車両の左右方向に沿った軸心回りに時計回りに回動するとともに、キーリンク627を介して、キーサブレバー62が凸部201の軸心回りに時計回りに回動する。これに伴い、コネクトレバー63が時計回りに回動してアンロック位置になるとともに、セクタギア65が反時計回りに回動してアンロック位置となる。この結果、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに時計回りに回動してアンロック位置となる。
ところで、このリンクレバー40がロック状態において、インサイドハンドルD2を開ドア操作すると、インサイドハンドル連係手段53を介して、インナーハンドルレバー50がインナーレバー軸51を中心として反時計回りに回動する。これに伴い、図14に示すように、第2リンク77の中間ピン77aを介して、中間レバー52がインナーレバー軸51を中心として反時計回りに回動し、かつ、コネクトレバー63が凸部201の軸心回りに時計回りに回動する。この結果、コネクトレバー63がアンロック位置になるとともに、セクタギア65が反時計回りに回動してアンロック位置となる。また、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに時計回りに回動してアンロック位置となる。しかも、中間当接部52aがオープンレバー30の受圧部30cを上動するとともに、リンクレバー40を介してラチェットレバー25の当接部25aを押圧する。これにより、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接状態が解除されるため、車両本体に対するドアDの開ドア移動が可能となる(いわゆるワンモーション機能)。
このリンクレバー40がロック状態において、駆動モータ755を駆動すると、図13に示すように、ウォーム756の回転により、ウォーム軸751を中心としてウォームホイール75を反時計回りに回動するとともに、セクタギア74が時計回りに回動してスーパーロック位置となる。これに伴い、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72から離反する方向へ摺動し、かつ、第1リンク76を介して、第2リンク77の中間ピン77aが中間レバー52の中間作用溝孔52cに沿って下方に摺動する。すなわち、図13に示すように、第2リンク77がスーパーロック位置になる(以下、この第2リンク77がスーパーロック位置にある状態を「スーパーロック状態」と称する)。
この第2リンク77がスーパーロック状態においては、インサイドハンドルD2を開ドア操作すると、インサイドハンドル連係手段53を介して、インナーハンドルレバー50がインナーレバー軸51を中心として反時計回りに回動する。しかしながら、図15に示すように、インナー当接部50bと中間ピン77aとが当接できないため、中間レバー52が回動することはなく、かつ、コネクトレバー63も回動しない。これにより、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接状態が維持されるため、車両本体に対するドアDの開ドア移動が阻止されることになり、ドアDが施錠された状態となる。
なお、第2リンク77のスーパーロック状態への移行は、必ずしもリンクレバー40がロック状態になっている場合からに限らず、リンクレバー40がアンロック状態からでもスーパーロック状態に移行させることができる。すなわち、リンクレバー40がアンロック状態において、駆動モータ755を駆動すると、図13に示すように、ウォーム756の回転により、ウォーム軸751を中心としてウォームホイール75を反時計回りに回動するともに、セクタギア74が時計回りに回動してスーパーロック位置となる。これに伴い、連係アーム71を介して、コネクトレバー63がロック位置に回動し、かつ、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72から離反する方向へ摺動し、さらに、第1リンク76を介して、第2リンク77の中間ピン77aが中間レバー52の中間作用溝孔52cに沿って下方に摺動する。この結果、セクタギア65が回動してロック位置になるとともに、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに反時計回りに回動してロック位置となる。
この第2リンク77がスーパーロック状態において、駆動モータ755を駆動すると、図12に示すように、ウォーム756の回転により、ウォーム軸751を中心としてウォームホイール75を時計回りに回動するとともに、セクタギア74が反時計回りに回動して解除位置となる。これに伴い、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72に向かう方向へ摺動し、かつ、第1リンク76を介して、第2リンク77の中間ピン77aが中間レバー52の中間作用溝孔52cに沿って上方に摺動する。すなわち、図12に示すように、第2リンク77が解除位置になる(以下、この第2リンク77が解除位置にある状態を「解除状態」と称する)。
さらに、第2リンク77がスーパーロック状態において、駆動モータ675を駆動すると、図11に示すように、ウォーム676の回転により、ウォーム軸671を中心としてウォームホイール67を時計回りに回動するともに、セクタギア65が反時計回りに回動してアンロック位置となる。これに伴い、図11に示すように、コネクトレバー63が時計回りに回動してアンロック位置になるとともに、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに時計回りに回動してアンロック位置となる。この結果、連係アーム71を介して、セクタギア74がギアシャフト741とともに反時計回りに回動するとともに、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72に向かう方向へ摺動し、さらに、第1リンク76を介して、第2リンク77の中間ピン77aが中間レバー52の中間作用溝孔52cに沿って上方に摺動する。
なお、第2リンク77をスーパーロック状態から解除状態へ移行し、かつ、リンクレバー40をロック状態からアンロック状態へ移行する際は、必ずしも駆動モータ675を駆動することに限らず、図9−1に示すように、キーシリンダKCを解錠操作してもよい。キーシリンダKCを解錠操作すると、キーシリンダ連係手段615を介して、キーレバー61が車両の左右方向に沿った軸心回りに時計回りに回動するとともに、キーリンク627を介して、キーサブレバー62が凸部201の軸心回りに時計回りに回動する。これに伴い、コネクトレバー63が時計回りに回動してアンロック位置になるとともに、セクタギア65が反時計回りに回動してアンロック位置となり、かつ、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに反時計回りに回動してロック位置となる。この結果、連係アーム71を介して、セクタギア74がギアシャフト741とともに反時計回りに回動するとともに、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72に向かう方向へ摺動し、さらに、第1リンク76を介して、第2リンク77の中間ピン77aが中間レバー52の中間作用溝孔52cに沿って上方に摺動する。すなわち、本発明のドアロック装置は、キーシリンダKCを解錠操作することにより、たとえば、車両のバッテリーが上がった場合や駆動モータ675および駆動モータ755が故障した場合などの、駆動モータ675および駆動モータ755が駆動できない場合に、第2リンク77のスーパーロック状態を解除状態にすることができる。
但し、たとえば、車両のバッテリーが上がった場合や駆動モータ675および駆動モータ755が故障した場合などの、駆動モータ675および駆動モータ755が駆動できない場合には、第2リンク77をスーパーロック状態にできない。しかしながら、本発明のドアロック装置は、セクタギア74を手動操作するためのギアシャフト741を備えている。したがって、リンクレバー40がアンロック状態において、ギアシャフト741に形成したエマージェンシー操作部741aに、たとえば、ドアトリムカバーDTCを開操作した後車両のキーや専用工具などの操作部材を挿通し、車両の左右方向に沿った軸心回りに時計回りに回動することにより、セクタギア74が時計回りに回動してスーパーロック位置となる。これに伴い、連係アーム71を介して、コネクトレバー63がロック位置に回動し、かつ、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72から離反する方向へ摺動し、さらに、第1リンク76を介して、第2リンク77の中間ピン77aが中間レバー52の中間作用溝孔52cに沿って下方に摺動する。この結果、セクタギア65が時計回りに回動してロック位置になるとともに、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに反時計回りに回動してロック位置となる。したがって、この状態からドアDを閉ドア操作すれば、ドアDが施錠した状態に保持される。
なお、エマージェンシー部材の操作は、必ずしもリンクレバー40がアンロック状態になっている場合からに限らず、リンクレバー40がロック状態においても、第2リンク77を解除状態からスーパーロック状態に移行させることができる。すなわち、リンクレバー40がロック状態において、エマージェンシー部材であるギアシャフト741に形成したエマージェンシー操作部741aに、ドアトリムカバーDTCを開操作した後操作部材を挿通し、車両の左右方向に沿った軸心回りに時計回りに回動すれば、セクタギア74が時計回りに回動してスーパーロック位置となる。これに伴い、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72から離反する方向へ摺動し、かつ、第1リンク76を介して、第2リンク77の中間ピン77aが中間レバー52の中間作用溝孔52cに沿って下方に摺動する。したがって、この状態からドアDを閉ドア操作すれば、ドアDを施錠状態に維持することができる。
この第2リンク77がスーパーロック状態において、エマージェンシー部材であるギアシャフト741に形成したエマージェンシー操作部741aに、ドアトリムカバーDTCを開操作した後操作部材を挿通し、車両の左右方向に沿った軸心回りに反時計回りに回動すると、セクタギア74が反時計回りに回動して解除位置となる。これに伴い、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72に向かう方向へ摺動し、かつ、第1リンク76を介して、第2リンク77の中間ピン77aが中間レバー52の中間作用溝孔52cに沿って上方に摺動する。この第2リンク77が解除状態において、インサイドハンドルD2を開ドア操作すると、インサイドハンドル連係手段53を介して、インナーハンドルレバー50がインナーレバー軸51を中心として反時計回りに回動する。これに伴い、図14に示すように、第2リンク77の中間ピン77aを介して、中間レバー52がインナーレバー軸51を中心として反時計回りに回動し、かつ、コネクトレバー63が凸部201の軸心回りに時計回りに回動する。この結果、コネクトレバー63がアンロック位置になるとともに、セクタギア65が反時計回りに回動してアンロック位置となる。また、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに時計回りに回動してアンロック位置となる。しかも、中間当接部52aがオープンレバー30の受圧部30cを上動するとともに、リンクレバー40を介してラチェットレバー25の当接部25aを押圧する。これにより、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接状態が解除されるため、車両本体に対するドアDの開ドア移動が可能となる。すなわち、本発明のドアロック装置は、エマージェンシー部材であるギアシャフト741に形成したエマージェンシー操作部741aに、操作部材を挿通し、車両の左右方向に沿った軸心回りに反時計回りに回動することにより、たとえば、ドアロック装置を誤操作してスーパーロック状態にしてしまった場合などの、車両の室内に乗員が閉じ込められてしまった場合に、第2リンク77のスーパーロック状態を解除状態にすることができる。したがって、この状態からインサイドハンドルD2を開ドア操作すれば、ドアDの開ドア移動ができるため、車両の室内から乗員が脱出することができる。
上記のように構成したドアロック装置によれば、ドアの室内側となる位置に、外部からの操作によりセクタギア74を回動可能なギアシャフト741を設けたため、たとえば、車両のバッテリーが上がった場合や駆動モータ675および駆動モータ755が故障した場合などの、駆動モータ675および駆動モータ755が駆動できない場合に、ギアシャフト741に形成したエマージェンシー操作部741aを、たとえば、ドアトリムカバーDTCを開操作した後車両のキーや専用工具などの操作部材で時計回りに回動することにより、セクタギア74が時計回りに回動してスーパーロック位置となる。これに伴い、連係アーム71を介して、コネクトレバー63がロック位置に回動し、かつ、係合アーム73が係合長孔731に沿って回動軸72から離反する方向へ摺動し、さらに、第1リンク76を介して、第2リンク77の中間ピン77aが中間レバー52の中間作用溝孔52cに沿って下方に摺動する。この結果、セクタギア65が時計回りに回動してロック位置になるとともに、パニックレバー66を介してリンクレバー40が車両の左右方向に沿った軸心回りに反時計回りに回動してロック位置となる。したがって、悪意のある者がアウトサイドハンドルD1を開ドア操作しても、当該操作を無効化することができるとともに、悪意のある者が車両のガラスを破壊した後、インサイドハンドルD2を開ドア操作しても、当該操作を無効化することができるという効果を奏する。
また、上記のように構成したドアロック装置によれば、セクタギア74の回動中心となるギアシャフト741をエマージェンシー部材とするため、車両の室内にシルノブなど、ロック機構を切換え操作するための操作部材を設ける必要がなくなり、シルノブやシルノブとロック機構との連結部材などの製造コストの削減を図ることが可能である。
なお、上述した実施の形態では、運転席側のドアDにおいて、ドアハンドルであるアウトサイドハンドルD1とラッチ機構20との間に設けられるドアロック装置を例示しているが、キーシリンダKCのない助手席側のドアにももちろん適用することが可能である。