JP2008284921A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】演算処理の増大を招くことなく、簡素な構成にて、効果的に異音や振動の発生を抑制することのできる電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】マイコン17は、オープン制御演算の実行によりd軸電圧指令値Vd*_op及びq軸電圧指令値Vq*_opを演算するオープン制御部31と、各F/B制御部27d,27qを用いた電流フィードバック制御から上記オープン制御部31を用いたオープン制御への切替判定及びその復帰判定を実行する切替制御部32とを備える。切替制御部32は、モータ12の制御出力に関連する信号としての操舵トルクτに含まれた振動成分を検出可能な振動成分検出手段としての振動成分検出部33を備える。そして、切替制御部32は、低速操舵時において当該振動成分が検出された場合には、上記電流フィードバック制御からオープン制御への切替を行うべき旨の判定を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とした電動パワーステアリング装置(EPS)があり、こうしたEPSには、油圧式のパワーステアリング装置と比較して、レイアウト自由度が高く、且つエネルギー消費量が小さいという特徴がある。このため、近年では、小型車両から大型車両までの幅広い車種において、その採用が検討されるようになっている。
さて、通常、このようなEPSにおけるアシスト力の制御は、その駆動源であるモータに通電される実電流値を検出し、該実電流値に基づいて電流フィードバック制御を実行することにより行われる。しかしながら、このような電流フィードバック制御には、実電流値及びモータ回転角の検出誤差に起因するトルクリップルの発生しやすい制御領域がある。そして、特に、比較的ゆっくりとしたステアリング操作時(低速操舵時)には、こうしたトルクリップルが異音や振動として運転者に伝達されやすく、これにより操舵フィーリングが悪化するという問題がある。
そこで、従来、モータの制御出力(モータ回転角や電流値)から振動成分(振動周波数成分)を抽出し、当該振動成分を打ち消すための振動抑制制御量を基本アシスト制御量に付加することにより、トルクリップルの発生を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−335228号公報
しかしながら、上記従来の方法を具体化するためには、その複雑な演算処理を高速で実行する必要がある。このため、制御手段を構成する情報処理装置(マイコン)には、極めて高い演算処理能力が要求されることになり、その結果、その製造コストが大幅に押し上げられるおそれがある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、演算処理の増大を招くことなく、簡素な構成にて、効果的に異音や振動の発生を抑制することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータを駆動源として操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与すべく設けられた操舵力補助装置と、前記モータに対する駆動電力の供給を通じて前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、電流フィードバック制御の実行により前記モータに対する駆動電力の供給を行う電動パワーステアリング装置であって、前記モータの制御出力に関連する信号から振動成分を検出可能な振動成分検出手段を備え、前記制御手段は、低速操舵時において前記振動成分が検出された場合には、前記電流フィードバック制御に代えて、オープン制御を実行することにより前記モータに対する駆動電力の供給を行うこと、を要旨とする。
即ち、電流検出を行わないオープン制御では、実電流値の検出誤差に起因するトルクリップルは発生し得ない。また、モータトルクの制御をd/q座標系(q軸電流)を行う構成では、実電流についての3相/2相変換が不要となることでモータ回転角の検出誤差の影響も低減する。そして、上記構成のように、こうしたオープン制御の切替を、トルクリップルの発生しやすい低速操舵時、且つモータの制御出力に関連する信号に含まれた振動成分が検出された場合に行うことにより、精度よくトルクリップルの発生を検知して速やかにその抑制を図ることができる。その結果、効果的に異音や振動の発生を抑制して良好な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、前記振動成分検出手段は、前記低速操舵時以外には、前記振動成分の検出処理を実行しないこと、を要旨とする。
即ち、振動成分の検出処理をリアルタイムで実行する場合、制御手段を構成する情報処理装置(マイコン)には、極めて高い演算処理能力が要求されることになる。この点、上記構成のように、トルクリップルが発生する蓋然性の高い低速操舵時にのみ、振動成分の検出を実行する構成とすることで、トルクリップルの検知精度を低下させることなく、その演算負荷の増大を抑えることができる。その結果、演算処理能力の強化に伴う製造コストの上昇を回避しつつ、精度よくトルクリップルの発生を検知して、速やかなその抑制を図ることができるようになる。
本発明によれば、演算処理の増大を招くことなく、簡素な構成にて、効果的に異音や振動の発生を抑制することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
以下、本発明を電動パワーステアリング装置(EPS)に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のEPS1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリングホイール(ステアリング)2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により操舵輪6の舵角が変更されるようになっている。
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、その駆動源であるモータ12がラック5と同軸に配置された所謂ラック型のEPSアクチュエータであり、モータ12が発生するアシストトルクは、ボールねじ機構(図示略)を介してラック5に伝達される。尚、本実施形態のモータ12は、ブラシレスモータであり、ECU11から三相(U,V,W)の駆動電力の供給を受けることにより回転する。そして、モータ制御装置としてのECU11は、このモータ12が発生するアシストトルクを制御することにより、操舵系に付与するアシスト力を制御する(パワーアシスト制御)。
本実施形態では、ECU11には、トルクセンサ14及び車速センサ15が接続されている。そして、ECU11は、これらトルクセンサ14及び車速センサ15によりそれぞれ検出される操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、EPSアクチュエータ10の作動、即ちパワーアシスト制御を実行する。
次に、本実施形態のEPSの電気的構成について説明する。
図2は、本実施形態のEPSの制御ブロック図である。同図に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するモータ制御信号出力手段としてのマイコン17と、同マイコン17の出力するモータ制御信号に基づいてモータ12に三相の駆動電力を供給する駆動回路18とを備えている。
尚、本実施形態の駆動回路18は、直列に接続された一対のスイッチング素子(FET)を基本単位(アーム)として、各相に対応する3つのアームを並列接続してなる周知のPWMインバータであり、マイコン17の出力するモータ制御信号は、駆動回路18を構成する各FETのオンduty比を規定するものとなっている。そして、モータ制御信号が各FETのゲート端子に印加され、同モータ制御信号に応答して各FETがオン/オフすることにより、車載電源(図示略)の直流電圧が三相(U,V,W)の駆動電力に変換されてモータ12に供給されるようになっている。
本実施形態では、ECU11には、モータ12に通電される各相電流値Iu,Iv,Iwを検出するための電流センサ20u,20v,20w、及びモータ12の回転角θを検出するための回転角センサ21が接続されている。そして、マイコン17は、これら各センサの出力信号に基づき検出されたモータ12の各相電流値Iu,Iv,Iw及び回転角θ、並びに上記操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、駆動回路18に対するモータ制御信号の出力を実行する。
詳述すると、本実施形態のマイコン17は、操舵系に付与するアシスト力の制御目標量として電流指令値を演算する電流指令値演算手段としての電流指令値演算部22と、電流指令値演算部22により算出された電流指令値に基づいてモータ制御信号を生成するモータ制御信号生成手段としてのモータ制御信号生成部24とを備えている。
本実施形態では、電流指令値演算部22には、上記トルクセンサ14及び車速センサ15により検出された操舵トルクτ及び車速Vが入力される。そして、電流指令値演算部22は、その操舵トルクτが大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きな目標アシスト力に対応する電流指令値Iq*を演算する。
モータ制御信号生成部24には、電流指令値演算部22において演算された電流指令値Iq*とともに、各電流センサ20u,20v,20wにより検出された実電流値としての各相電流値Iu,Iv,Iw、及び回転角センサ21により検出された回転角θが入力される。そして、モータ制御信号生成部24は、通常制御時、これら各相電流値Iu,Iv,Iw、及び回転角θ(電気角)に基づいて、d/q座標系における電流フィードバック制御を実行することによりモータ制御信号を生成する。
即ち、モータ制御信号生成部24において、各相電流値Iu,Iv,Iwは、回転角θとともに3相/2相変換部25に入力され、同3相/2相変換部25によりd/q座標系のd軸電流値Id及びq軸電流値Iqに変換される。また、モータ制御信号生成部24に入力された電流指令値Iq*は、q軸電流指令値として、上記q軸電流値Iqとともに減算器26qに入力され、d軸電流値Idは、d軸電流指令値Id*(Id*=0)とともに減算器26dに入力される。そして、これら減算器26d,26qにおいて演算されるd軸電流偏差ΔId及びq軸電流偏差ΔIqは、それぞれ対応するF/B制御部27d,27qに入力される。
各F/B制御部27d,27qは、入力されたd軸電流偏差ΔId及びq軸電流偏差ΔIqに所定のF/Bゲイン(PIゲイン)を乗ずることにより、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を演算する(フィードバック制御演算)。これら各F/B制御部27d,27qにより演算されたd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*は、回転角θとともに2相/3相変換部28に入力される。そして、そのd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*は、2相/3相変換部28において三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換される。
2相/3相変換部28において演算された各電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*は、PWM変換部30に入力され、同PWM変換部30において、該各電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応するduty指令値が生成される。そして、モータ制御信号生成部24は、これら各duty指令値に示されるオンduty比を有するモータ制御信号を生成し、マイコン17は、そのモータ制御信号を、駆動回路18を構成する各スイッチング素子(のゲート端子)に出力することにより、同駆動回路18の作動、即ちモータ12への駆動電力の供給を制御する。
(異音・振動の抑制制御)
次に、本実施形態のEPSにおける異音・振動の抑制制御の態様について説明する。
上述のように、電流フィードバック制御の実行によりモータに対する駆動電力の供給を行うEPSには、実電流値やモータ回転角の検出誤差に起因するトルクリップルの問題がある。そして、特に、比較的ゆっくりとしたステアリング操作の発生時、即ち低速操舵時には、そのトルクリップルが異音や振動として運転者に伝わりやすく、これにより操舵フィーリングが悪化するおそれがある。
この点を踏まえ、本実施形態では、マイコン17は、低速操舵時において上記トルクリップルが発生したと推定される場合には、そのモータ制御信号の生成方法を、上記電流フィードバック制御からオープン制御に切り替える。
即ち、電流検出を行わないオープン制御では、実電流値の検出誤差に起因するトルクリップルは発生し得ない。また、モータトルクの制御をd/q座標系(q軸電流)を行う構成では、実電流についての3相/2相変換が不要となることでモータ回転角の検出誤差の影響も低減する。つまり、モータ制御信号の生成を、電流フィードバック制御の実行に基づくものからオープン制御の実行に基づくものに切り替えることによりトルクリップルの発生を抑制することできる。そして、本実施形態では、これにより、低速操舵時における操舵フィーリングの改善を図る構成となっている。
詳述すると、図2に示すように、本実施形態では、マイコン17のモータ制御信号生成部24には、上記の各F/B制御部27d,27qに加え、オープン制御演算(オープンループ制御演算)の実行により、d軸電圧指令値Vd*_op及びq軸電圧指令値Vq*_opを演算するオープン制御部31が設けられている。このオープン制御部31には、d軸電流指令値Id*(Id*=0)、及び電流指令値演算部22の出力する電流指令値Iq*がq軸電流指令値として、並びにモータ12の回転角速度ωが入力されるようになっている。そして、オープン制御部31は、これら各状態量に基づいて、次の(1)(2)式を解くことにより、d軸電圧指令値Vd*_op及びq軸電圧指令値Vq*_opを演算する。
Vd*_op=−L×Iq*×ω ・・・(1)
Vq*_op=R×Iq*+K×ω ・・・(2)
(但し、K:モータ逆起電力定数、R:相抵抗、L:相インダクタンス)
尚、上記(1)(2)式は、以下の(3)(4)式に示されるモータ電圧方程式の一般式に「Id*=0」を代入するとともに、そのd,q軸電圧指令値「Vd*」「Vq*」をそれぞれ「Vd*_op」「Vq*_op」と置き換えたものである。
Vd*=(R+Ls)×Id*−L×Iq*×ω ・・・(3)
Vq*=(R+Ls)×Iq*+L×Id*×ω+K×ω ・・・(4)
ここで、本実施形態では、各F/B制御部27d,27qにおけるフィードバック制御演算の実行時には、オープン制御部31におけるオープン制御演算は実行されない。同様に、オープン制御部31におけるオープン制御演算の実行時には、各F/B制御部27d,27qにおけるフィードバック制御演算(及び3相/2相変換部25における3相/2相変換)は実行されない。そして、このように各F/B制御部27d,27q又はオープン制御部31において演算された各電圧指令値(Vd*,Vq*、又はVd*_op,Vq*_op)を、2相/3相変換部28が三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換することにより、そのモータ制御信号の生成方法の切替が実行されるようになっている。
さらに詳述すると、本実施形態のマイコン17は、電流フィードバック制御からオープン制御への切替判定及びその復帰判定を実行する切替制御部32を備えており、同切替制御部32は、その切替判定及び復帰判定の結果を、切替信号Schとしてモータ制御信号生成部24に出力する。そして、モータ制御信号生成部24は、その切替信号Schに基づいて、上記電流フィードバック制御からオープン制御への切替、及びオープン制御から電流フィードバック制御への復帰を実行する。
本実施形態の切替制御部32は、入力される信号に含まれる振動成分を検出する振動成分検出部33と、該振動成分検出部33の検出結果に基づいて上記電流フィードバック制御からオープン制御への切替判定を行う切替判定部34とを備えている。
本実施形態では、切替制御部32には、モータ12の制御出力に関連する信号として、トルクセンサ14により検出される操舵トルクτが入力されるようになっており、振動成分検出部33は、この検出される操舵トルクτに含まれる振動成分を検出する。具体的には、本実施形態の振動成分検出部33は、信号としての操舵トルクτに対してバンドパスフィルタ処理(10Hz〜200Hz)を実行し、そのフィルタ処理後の信号に所定値以上の振幅(例えば2Nm、或いは50m秒間の最大−最小幅が4Nm)を有する振動成分が含まれる否かをもって、その振動成分の検出を行う。そして、切替判定部34は、当該振動成分が検出された場合に、上記電流フィードバック制御からオープン制御への切替を行うべき旨の判定を行う。
ここで、本実施形態の切替制御部32には、上記振動成分検出部33による振動成分の検出を実行(開始)するか否かの判定を行う開始判定部35が設けられており、振動成分検出部33は、この開始判定部35の判定に基づいて、その振動成分の検出を実行する。具体的には、本実施形態の切替制御部32には、操舵トルクτとともにモータ12の回転角速度ωが入力されるようになっており、開始判定部35は、これら入力される操舵トルクτ及び回転角速度ωに基づいて、現在のステアリング操作の状態が低速操舵状態にあるか否かを判定する。尚、この低速操舵状態にあるか否かの判定は、操舵トルクτの変化量(Δτ)及び回転角速度ωが、ともに、それぞれ対応する所定の閾値以下(|Δτ|≦τ0、且つ|ω|≦ω0)である否かをもって行われる。そして、開始判定部35は、当該低速操舵状態にあると判定された場合に、振動成分検出部33による振動成分検出を実行すべき旨の判定をし、振動成分検出部33は、その振動成分検出を実行すべき旨の判定がある場合にのみ、上記振動成分の検出を実行する。
即ち、振動成分の検出処理をリアルタイムで実行する場合、制御手段を構成する情報処理装置(マイコン)には、極めて高い演算処理能力が要求されることになる。この点を踏まえ、本実施形態では、トルクリップルが発生する蓋然性の高い低速操舵時にのみ、振動成分の検出を実行し、低速操舵時以外には、当該振動成分検出を実行しない。そして、これにより、精度よくトルクリップルの発生を検知して速やかにその抑制を図るとともに、演算負荷の増大を抑えて、演算処理能力の強化に伴う製造コストの上昇を回避する構成となっている。
また、本実施形態では、オープン制御から電流フィードバック制御への復帰判定もまた、上記切替判定部34において行われる。具体的には、本実施形態の切替制御部32には、上記操舵トルクτ及び回転角速度ωとともに、電流指令値演算部22の出力する電流指令値Iq*が入力されるようになっている。そして、切替判定部34は、操舵トルクτの変化量(Δτ)又は回転角速度ωが、それぞれ対応する所定の閾値よりも大きい、或いは電流指令値Iq*が所定の閾値以下である場合に(|Δτ|>τ0、又は|ω|>ω0、或いは|Iq*|≦I0)、オープン制御から電流フィードバック制御へと復帰すべき旨の判定を行う。尚、本実施形態では、上記切替判定及び復帰判定における操舵トルクτの変化量(Δτ)及び回転角速度ωについての各閾値(τ0,ω0)は、上述のトルクリップルが発生しやすい低速操舵状態の上限に相当する値に設定され、電流指令値Iq*についての閾値(I0)は、略ゼロに設定されている。
そして、こうした切替判定部34における各判定(切替判定及び復帰判定)の結果を、切替制御部32が切替信号Schとして出力することにより、モータ制御信号生成部24において、上記電流フィードバック制御からオープン制御への切替、及び電流フィードバック制御への復帰が実行される構成となっている。
次に、本実施形態のマイコンによるモータ制御信号出力の処理手順について説明する。
図3のフローチャートに示すように、マイコン17は、モータ制御信号の出力に用いる各状態量を取得すると(ステップ101)、先ず、既にオープン制御中であるか否かについて判定し(ステップ102)、オープン制御中ではないと判定した場合(ステップ102:NO)には、続いてステアリング操作の状態が低速操舵状態にあるか否かを判定する(ステップ103)。そして、低速操舵状態にあると判定した場合(ステップ103:YES)には、モータ12の制御出力に関連する信号としての操舵トルクτに含まれる振動成分の検出処理を実行する(ステップ104)。
次に、マイコン17は、上記ステップ104における振動成分検出処理の結果が、電流フィードバック制御からオープン制御への切替条件を満たすものであるか否かを判定する(ステップ105)。そして、当該切替条件が成立する場合(ステップ105:YES)には、上記(1)(2)式に基づくオープン制御演算を実行し(ステップ106)、切替条件が成立しない場合(ステップ105:NO)には、本実施形態において通常制御として位置付けられたフィードバック制御演算を実行する(ステップ107)。
尚、上記ステップ103において、低速操舵状態にはないと判定した場合(ステップ103:NO)には、マイコン17は、上記ステップ104,105の処理を実行することなく、ステップ107においてフィードバック制御演算を実行する。
また、上記ステップ102において、既にオープン制御中であると判定した場合(ステップ102:YES)、マイコン17は、続いてオープン制御から電流フィードバック制御への復帰条件が成立しているか否かを判定する(ステップ108)。そして、当該復帰条件が成立している場合(ステップ108:YES)には、ステップ107においてフィードバック制御演算を実行し、復帰条件が成立していない場合(ステップ108:NO)には、ステップ106においてオープン制御演算を実行する。尚、このように、上記ステップ102において、既にオープン制御中であると判定した場合(ステップ102:YES)には、上記ステップ103〜ステップ105の処理は実行されない。
次に、マイコン17は、上記ステップ106におけるオープン制御又はステップ107における電流フィードバック制御の実行により演算された制御量(d軸電圧指令値Vd*_op及びq軸電圧指令値Vq*_op、又はd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*)に対してフィルタ処理を実行する(ステップ109)。
尚、本実施形態では、このステップ109におけるフィルタ処理は、上記ステップ106又はステップ107において演算された制御量とその前回値(前回の演算周期において演算された値)との間に差分がある場合に、その差分値に基づいて行われる。具体的には、マイコン17は、当該差分値に、操舵速度(モータ12の回転角速度ω)に応じて変化する可変ゲイン(Kω、回転角速度ωが大きいほど大となる)を乗ずることにより補正量を演算する。そして、その補正量を今回の制御量に加算することにより、上記の切替及び復帰に伴う制御量の急峻な変動を抑制する構成となっている。
そして、マイコン17は、このようにして演算されフィルタ処理が施された制御量に基づいてモータ制御信号を生成し、そのモータ制御信号を駆動回路18へと出力する(ステップ110)。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)マイコン17は、オープン制御演算の実行によりd軸電圧指令値Vd*_op及びq軸電圧指令値Vq*_opを演算するオープン制御部31と、各F/B制御部27d,27qを用いた電流フィードバック制御から上記オープン制御部31を用いたオープン制御への切替判定及びその復帰判定を実行する切替制御部32とを備える。切替制御部32は、モータ12の制御出力に関連する信号としての操舵トルクτに含まれた振動成分を検出可能な振動成分検出手段としての振動成分検出部33を備える。そして、切替制御部32は、低速操舵時において当該振動成分が検出された場合には、上記電流フィードバック制御からオープン制御への切替を行うべき旨の判定を行う。
即ち、電流検出を行わないオープン制御では、実電流値の検出誤差に起因するトルクリップルは発生し得ない。また、モータトルクの制御をd/q座標系(q軸電流)を行う構成では、実電流についての3相/2相変換が不要となることでモータ回転角の検出誤差の影響も低減する。従って、上記構成のように、そのモータ制御信号の生成を、電流フィードバック制御の実行に基づくものからオープン制御の実行に基づくものに切り替えることでトルクリップルの発生を抑えることができる。そして、このようなオープン制御への切替を、トルクリップルの発生しやすい低速操舵時、且つモータ12の制御出力に関連する信号に含まれた振動成分が検出された場合に行うことにより、精度よくトルクリップルの発生を検知して速やかにその抑制を図ることができる。その結果、効果的に異音や振動の発生を抑制して良好な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
(2)振動成分検出部33は、低速操舵時以外には、振動成分の検出を実行しない。
即ち、振動成分の検出処理をリアルタイムで実行する場合、制御手段を構成する情報処理装置(マイコン)には、極めて高い演算処理能力が要求されることになる。この点、上記構成のように、トルクリップルが発生する蓋然性の高い低速操舵時にのみ、振動成分の検出を実行する構成とすることで、トルクリップルの検知精度を低下させることなく、その演算負荷の増大を抑えることができる。その結果、演算処理能力の強化に伴う製造コストの上昇を回避しつつ、精度よくトルクリップルの発生を検知して、速やかなその抑制を図ることができるようになる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、低速操舵状態にあるか否かの判定は、操舵トルクτの変化量(Δτ)及びモータ12の回転角速度ωが、ともに、それぞれ対応する所定の閾値以下(|Δτ|≦τ0、且つ|ω|≦ω0)である否かをもって行われることとした。しかし、これに限らず、例えば、操舵トルクτの変化量(Δτ)に代えて絶対値を用いてもよく、モータ12の回転角速度ωの代わりに操舵角を用いてもよい。そして、さらには、車速条件や操舵角条件を組み合わせた構成としてもよい。
・本実施形態では、振動成分の検出処理は、モータ12の制御出力に関連する信号である操舵トルクτに対してバンドパスフィルタ処理(10Hz〜200Hz)を実行し、そのフィルタ処理後の信号に所定値以上の振幅(例えば2Nm、或いは50m秒間の最大−最小幅が4Nm)を有する振動成分が含まれる否かにより行われることとした。しかし、これに限らず、例えば、上記信号に対してローパスフィルタ処理を実行し、当該ローパスフィルタ処理後の信号を処理前の信号と比較する。或いは、RMS演算により演算される実効値を用いる等、その他の方法を用いてもよい。
・本実施形態では、モータ12の制御出力に関連する信号として操舵トルクτを用いたが、これに限らず、モータ12に通電される実電流やその回転角、或いは操舵角を用いてもよい。尚、この場合における各状態量の位置づけは、瞬間値ではなく、連続信号としての位置付けであることはいうまでもない。
・本実施形態では、オープン制御から電流フィードバック制御への復帰条件は、操舵トルクτの変化量(Δτ)又は回転角速度ωが、それぞれ対応する所定の閾値よりも大きい、或いは電流指令値Iq*が所定の閾値以下である場合の何れかとした(|Δτ|>τ0、又は|ω|>ω0、或いは|Iq*|≦I0)。しかし、復帰条件は、これに限らず、任意に設定してもよい。
電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。 EPSの電気的構成を示すブロック図。 モータ制御信号出力の処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、17…マイコン、18…駆動回路、22…電流指令値演算部、24…モータ制御信号生成部、27d,27q…F/B制御部、31…オープン制御部、32…切替制御部、33…振動成分検出部、34…切替判定部、35…開始判定部、Vd*,Vd*_op…d軸電圧指令値、Vq*,Vq*_op…q軸電圧指令値、Sch…切替信号、ω…回転角速度、τ…操舵トルク。

Claims (2)

  1. モータを駆動源として操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与すべく設けられた操舵力補助装置と、前記モータに対する駆動電力の供給を通じて前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、電流フィードバック制御の実行により前記モータに対する駆動電力の供給を行う電動パワーステアリング装置であって、
    前記モータの制御出力に関連する信号から振動成分を検出可能な振動成分検出手段を備え、
    前記制御手段は、低速操舵時において前記振動成分が検出された場合には、前記電流フィードバック制御に代えて、オープン制御を実行することにより前記モータに対する駆動電力の供給を行うこと、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記振動成分検出手段は、前記低速操舵時以外には、前記振動成分の検出処理を実行しないこと、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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