JP2008283085A - 電解コンデンサ用セパレータ、この製造方法及びこれを用いた電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用セパレータ、この製造方法及びこれを用いた電解コンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】 導電性ポリマーのもととなるモノマーと酸化剤とを含む混合溶液の吸い上げ性に優れ、生産性良く電解コンデンサを製造することのできるセパレータ、このセパレータの製造方法及び電解コンデンサを提供すること。
【解決手段】 本発明の電解コンデンサ用セパレータは、フィブリル化全芳香族ポリアミド繊維が非繊維状態のポリエステル樹脂により固定された湿式不織布からなり、前記湿式不織布は円網−短網−円網により三層漉きされた湿式繊維ウエブに由来する。また、フィブリル化全芳香族ポリアミド繊維とポリエステル樹脂繊維とを用いて、円網−短網−円網により三層漉きして湿式繊維ウエブを形成した後、加熱処理することにより、ポリエステル樹脂繊維を溶融させ、非繊維状態のポリエステル樹脂によって固定して製造する方法である。
【選択図】 図3

Description

本発明は電解コンデンサ用セパレータ、この製造方法及びこれを用いた電解コンデンサに関する。特には、導電性ポリマーを固体電解質として使用した固体電解コンデンサ用セパレータ、この製造方法及びこれを用いた固体電解コンデンサに関する。
従来の電解コンデンサとして、電解液を電解質とするものが知られているが、等価直列抵抗(ESR)が高いものであった。そのため、固体電解質を電解質とする固体電解コンデンサも知られているが、更にESRの低いものが要求されていた。
近年、このような要求に応える固体電解コンデンサとして、ポリピロールやポリチオフェン等の導電性ポリマーを固体電解質として使用した固体電解コンデンサが開発されている。例えば、「陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応により生成したポリエチレンジオキシチオフェンをセパレータで保持した固体電解コンデンサにおいて、セパレータに、合成繊維を主体とする不織布を用いた固体電解コンデンサ。」が開発されている(特許文献1)。この特許文献1においては、固体電解コンデンサのセパレータとして、「ビニロン繊維、またはビニロン繊維とガラス繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、紙繊維とを混抄した不織布からなる」ことを開示している。
別の固体電解コンデンサのセパレータとして、「繊維径がほぼ同等の複数種の合成繊維を配合した湿式不織布」からなり、「セパレータの主体繊維としてポリエチレンテレフタレート繊維とアラミド繊維を配合した」ものが好ましいことが開示されている(特許文献2)。
更に別の固体電解コンデンサのセパレータとして、「非フィブリル化有機繊維、融点又は熱分解温度が250℃以上のフィブリル化高分子を含有し、吸水速度が5mm/min以上である湿式不織布」が提案されている(特許文献3)。
更に別の固体電解コンデンサのセパレータとして、「50%以上のアクリル繊維を含有するセパレータ」が提案され、特に「バインダーとしてポバールを含有する」のが好ましいことが提案されている。
これらのセパレータは耐熱性に優れ、鉛フリーハンダに対応できるなどの特性を有するものであったが、導電性ポリマーを固体電解質として使用した固体電解コンデンサのセパレータとして使用した場合に、固体電解コンデンサの生産性が悪いものであった。つまり、導電性ポリマーを固体電解質として使用した固体電解コンデンサを製造する場合、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回して円筒状のコンデンサ素子を作製した後、導電性ポリマーのもととなるモノマーと酸化剤とを含む混合溶液に円筒状コンデンサ素子の片底面を浸漬し、コンデンサ素子を構成するセパレータで前記混合溶液を吸い上げた後に、加熱して導電性ポリマーからなる固体電解質を形成させるが、前記混合溶液の吸い上げる速度が遅いために、生産性の非常に悪いものであった。
特開平10−340829号公報(請求項1、請求項2) 特開2003−59767号公報(請求項1、請求項4) 特開2004−235293号公報(請求項1) 特開2001−332451号公報(請求項1、請求項4)
本発明は上述のような問題を解決するためになされたもので、電気絶縁性や耐熱性などのセパレータとしての基本性能に加え、電解質の吸い上げ性、特に導電性ポリマーのもととなるモノマーと酸化剤とを含む混合溶液の吸い上げ性に優れ、生産性良く電解コンデンサを製造することのできるセパレータ、このセパレータの製造方法及び電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなるフィブリル化耐熱性繊維が非繊維状態の熱可塑性樹脂により固定された湿式不織布からなり、前記湿式不織布は円網−短網−円網により三層漉きされた湿式繊維ウエブ又は円網−長網−円網により三層漉きされた湿式繊維ウエブに由来することを特徴とする、電解コンデンサ用セパレータ。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂からなることを特徴とする、請求項1記載の電解コンデンサ用セパレータ。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「フィブリル化耐熱性繊維がフィブリル化全芳香族ポリアミド繊維からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の電解コンデンサ用セパレータ。」である。
本発明の請求項4にかかる発明は、「融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなるフィブリル化耐熱性繊維と、フィブリル化耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い融点をもつ熱可塑性樹脂繊維とを用いて、円網−短網−円網又は円網−長網−円網により三層漉きして、湿式繊維ウエブを形成する湿式繊維ウエブ形成工程、この湿式繊維ウエブを加熱処理することにより、熱可塑性樹脂繊維を溶融させて繊維形態を消滅させ、非繊維状態の熱可塑性樹脂によってフィブリル化耐熱性繊維を固定する固定工程、とを備えていることを特徴とする、電解コンデンサ用セパレータの製造方法。」である。
本発明の請求項5にかかる発明は、「固定工程が、湿式繊維ウエブに対して無圧下で赤外線を照射して熱可塑性樹脂繊維を溶融させるとともに、溶融した熱可塑性樹脂を無圧下で凝固させる工程であることを特徴とする、請求項4に記載の電解コンデンサ用セパレータ。」である。
本発明の請求項6にかかる発明は、「請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ用セパレータを用いた電解コンデンサ。」である。
本発明の請求項7にかかる発明は、「請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ用セパレータを用いた固体電解コンデンサ。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、フィブリル化耐熱性繊維を含んでいることによって、緻密性を確保し、電気絶縁性能に優れているとともに、耐熱性に優れている。また、電解コンデンサ用セパレータ(湿式不織布、以下単に「セパレータ」と表記することがある)は、円網−短網−円網により三層漉きされた湿式繊維ウエブ又は円網−長網−円網により三層漉きされた湿式繊維ウエブに由来しており、三層漉きされた湿式繊維ウエブの中央における短網又は長網に由来する繊維は比較的ランダムに配向しており、三層漉きされた湿式繊維ウエブの両面における円網に由来する繊維は比較的長手方向に配向しており、これら繊維の配向の組み合わせ、及び熱可塑性樹脂が繊維状態になく、非繊維状態にあることによって、適度な空隙を形成できるためか、電解質の吸い上げ性、特に導電性ポリマーのもととなるモノマーと酸化剤とを含む混合溶液の吸い上げ性に優れていることを見出した。また、この三層漉きされた湿式繊維ウエブの両面における円網に由来する繊維の配向によって、機械的強度が優れ、セパレータ巻回時等における取り扱い性にも優れている。
本発明の請求項2にかかる発明は、熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂からなるため、耐熱性が更に優れている。
本発明の請求項3にかかる発明は、フィブリル化耐熱性繊維がフィブリル化全芳香族ポリアミド繊維からなるため、特に耐熱性に優れている。
本発明の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかる電気絶縁性能、耐熱性、電解質の吸い上げ性(特に導電性ポリマーのもととなるモノマーと酸化剤とを含む混合溶液の吸い上げ性)、及び取り扱い性の優れるセパレータを製造できる。
本発明の請求項5にかかる発明は、赤外線を照射することによって瞬時に熱可塑性樹脂繊維を溶融させることができるため、生産性良くセパレータを製造できる。また、無圧下で凝固させているため、適度な空隙を形成できるためか、電解質の吸い上げ性、特に導電性ポリマーのもととなるモノマーと酸化剤とを含む混合溶液の吸い上げ性がより優れている。
本発明の請求項6にかかる発明は、上記いずれかに記載のセパレータを用いているため、電気絶縁性、耐熱性に優れ、生産性良く製造できるものである。
本発明の請求項7にかかる発明は、上記いずれかに記載のセパレータを用いているため、電気絶縁性、耐熱性に優れ、生産性良く製造できるものである。
本発明のセパレータを構成する湿式不織布は、緻密な構造を有し、電気絶縁性能及び耐熱性に優れるように、融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなるフィブリル化耐熱性繊維を含んでいる。より具体的には、「融点が300℃以上の樹脂」として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイドなどを挙げることができ、また、「炭化温度が300℃以上の樹脂」として、メタ系全芳香族ポリアミド、パラ系全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリベンズイミダゾール、全芳香族ポリエステルなどを挙げることができる。これらの中でも、全芳香族ポリアミド(メタ系全芳香族ポリアミド、パラ系全芳香族ポリアミド)は耐熱性に優れているため好適である。この好適であるフィブリル化全芳香族ポリアミド耐熱性繊維は耐熱性に優れているように、フィブリル化耐熱性繊維の50mass%以上を占めているのが好ましく、フィブリル化耐熱性繊維の70mass%以上を占めているのがより好ましく、フィブリル化耐熱性繊維の90mass%以上を占めているのが更に好ましく、フィブリル化耐熱性繊維の100mass%を占めているのが最も好ましい。
本発明における「融点」はJIS K 7121に規定されている示差熱分析により得られる示差熱分析曲線(DTA曲線)から得られる温度をいい、「炭化温度」はJIS K 7120に規定されている熱重量測定により得られる温度をいう。また、「フィブリル」とは、機械的剪断力などによって、1本の繊維が裂けて枝状化し、無数の微細繊維が発生した状態をいう。
このようなフィブリル化耐熱性繊維のろ水度は緻密な構造をもつセパレータであるように、300mlCSF以下であるのが好ましく、200mlCSF以下であるのがより好ましく、115mlCSF以下であるのが更に好ましい。なお、フィブリル化耐熱性繊維のろ水度は生産性に優れるように50mlCSF以上であるのが好ましい。この「ろ水度」はJIS P8121 カナダ標準ろ水度試験機により測定した値をいう。
なお、本発明においては、フィブリル化耐熱性繊維以外に、フィブリル化耐熱性繊維と同様の樹脂からなるフィブリル化していない耐熱性繊維を含んでいても良い。
このようなフィブリル化耐熱性繊維は耐熱性に優れているように、セパレータ(湿式不織布)中、40mass%以上含まれているのが好ましく、50mass%以上含まれているのがより好ましく、60mass%以上含まれているのが更に好ましい。他方、後述の熱可塑性樹脂との関係から、90mass%以下であるのが好ましく、80mass%以下であるのがより好ましい。なお、フィブリル化耐熱性繊維は樹脂組成及び/又は濾水度の点で異なる2種類以上のフィブリル化耐熱性繊維を含んでいても良い。2種類以上のフィブリル化耐熱性繊維を含んでいる場合、その合計質量が前記範囲内にあるのが好ましい。
本発明のセパレータ(湿式不織布)は、前述のようなフィブリル化耐熱性繊維が非繊維状態の熱可塑性樹脂により固定されて形態を維持している。このように熱可塑性樹脂が非繊維状態にあるため、適度な空隙が存在するためか、電解質の吸い上げ性に優れている。この「非繊維状態」とは、熱可塑性樹脂が紐状に連続して伸びていない状態をいう。なお、熱可塑性樹脂は電解質の吸い上げ性を損なわないように、皮膜を形成していないのが好ましい。
また、熱可塑性樹脂はセパレータ(湿式不織布)の厚さ方向において、偏在していないのが好ましい。このような状態はエマルジヨン型接着剤によってフィブリル化耐熱性繊維を接着した場合には困難である。つまり、エマルジョン型接着剤で接着するために乾燥した場合、液体(通常水)の揮発に伴って接着剤もセパレータ表面へ移動(いわゆるマイグレーション)するためである。
この熱可塑性樹脂はフィブリル化耐熱性繊維を損傷させず、セパレータ(湿式不織布)の形態を維持できるように、フィブリル化耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い融点(好ましくは20℃以上低い融点、より好ましくは30℃以上低い融点)をもっているのが好ましい。また、耐熱性に優れているように、200℃以上(好ましくは210℃以上、より好ましくは220℃以上)の融点をもっているのが好ましい。このような熱可塑性樹脂はフィブリル化耐熱性繊維の種類によって変化するため、特に限定するものではないが、好ましい200℃以上の融点をもつ熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂などを挙げることができる。これらの中でも融点の高いポリエステル樹脂が好適である。
このような熱可塑性樹脂はセパレータ(湿式不織布)の機械的強度に優れているように、セパレータの10mass%以上を占めているのが好ましく、20mass%以上占めているのがより好ましい。他方、フィブリル化耐熱性繊維との関係から、60mass%以下占めているのが好ましく、50mass%以下占めているのがより好ましく、40mass%以下占めているのが更に好ましい。なお、熱可塑性樹脂は樹脂組成の点で異なる2種類以上の熱可塑性樹脂を含んでいても良い。2種類以上の熱可塑性樹脂を含んでいる場合には、その合計質量が前記範囲内にあるのが好ましい。
本発明のセパレータ(湿式不織布)は基本的に上述のようなフィブリル化耐熱性繊維が非繊維状態の熱可塑性樹脂によって固定されたものであるが、このセパレータ(湿式不織布)は円網−短網−円網により三層漉きされた湿式繊維ウエブ又は円網−長網−円網により三層漉きされた湿式繊維ウエブに由来している。円網によって漉き上げられた湿式繊維ウエブは比較的生産方向(長手方向)に繊維が配向し、短網又は長網によって漉き上げられた湿式繊維ウエブは比較的ランダムに繊維が配向する。そのため、陰極箔と陽極箔とをセパレータを介して巻回(セパレータの長手方向と巻回方向とが一致)した円筒状コンデンサ素子の片底面を、電解液(特に導電性ポリマーのもととなるモノマーと酸化剤とを含む混合溶液)に浸漬した場合、比較的ランダムに繊維が配向した中間層(短網又は長網に由来)で電解液が吸い上げられやすく、また、吸い上げられた電解液は吸い上げ方向と交差する方向に配向した繊維からなる両表面層(円網)で拡散し、結果として、セパレータ全体に電解液が行き渡るのではないかと考えている。
本発明のセパレータ(湿式不織布)の目付は特に限定するものではないが、セパレータの強度に優れているように、10g/m以上であるのが好ましく、14g/m以上であるのがより好ましい。他方、セパレータが必要以上に厚くならないように30g/m以下であるのが好ましく、28g/m以下であるのがより好ましい。また、厚さはセパレータの強度に優れているように、15μm以上であるのが好ましく、20μm以上であるのがより好ましい。他方、ESRを低くできるように85μm以下であるのが好ましく、55μm以下であるのがより好ましい。更に、見掛密度は0.30〜0.70g/cmであるのが好ましく、0.35〜0.66g/cmであるのがより好ましい。この「目付」はJIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定方法)に規定する方法に基いて得られる坪量をいい、「厚さ」はJIS B 7502に規定する方法による測定値、すなわち、5N荷重時の外側マイクロメーターによる測定値をいい、見掛密度は目付(単位:g/cm)を厚さ(cm)で除した商をいう。
本発明のセパレータ(湿式不織布)は、融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなるフィブリル化耐熱性繊維と、フィブリル化耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い融点をもつ熱可塑性樹脂繊維とを用いて、円網−短網−円網又は円網−長網−円網により三層漉きして、湿式繊維ウエブを形成する湿式繊維ウエブ形成工程、この湿式繊維ウエブを加熱処理することにより、熱可塑性樹脂繊維を溶融させて繊維形態を消滅させ、非繊維状態の熱可塑性樹脂によってフィブリル化耐熱性繊維を固定する固定工程、により製造することができる。この製造方法によれば、フィブリル化耐熱性繊維を使用しているため、電気絶縁性及び耐熱性に優れたセパレータを製造できる。また、円網−短網−円網又は円網−長網−円網により三層漉きしていることの繊維配向、及び繊維形態を消滅させた非繊維状態とすることによって適度な空隙ができるためか、電解質の吸い上げ性(特に導電性ポリマーのもととなるモノマーと酸化剤とを含む混合溶液の吸い上げ性)に優れるセパレータを製造できる。
より詳細には、湿式繊維ウエブ形成工程においては、まず、前述のようなフィブリル化耐熱性繊維と、フィブリル化耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い融点をもつ熱可塑性樹脂繊維とを用意する。前述の通り、フィブリル化耐熱性繊維として、全芳香族ポリアミドからなるものを用意するのが好ましい。また、熱可塑性樹脂繊維はフィブリル化耐熱性繊維を固定できるように、フィブリル化耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い融点をもつ。好ましくは20℃以上低い融点をもち、より好ましくは30℃以上低い融点をもつ。この熱可塑性樹脂繊維はフィブリル化耐熱性繊維を固定するため、前述のような熱可塑性樹脂からなる繊維であり、ポリエステル樹脂からなるのが好ましい。
この熱可塑性樹脂繊維の繊度は特に限定するものではないが、0.45dtex以下であるのが好ましい。これは、前述のように、熱可塑性樹脂は非繊維状態でフィブリル化耐熱性繊維を固定しているため、熱可塑性樹脂繊維の繊維形態を消滅させる必要があるが、熱可塑性樹脂繊維が細ければ、熱可塑性樹脂繊維を湿式繊維ウエブ全体に均一に分散させることができ、しかも熱可塑性樹脂繊維が繊維形態でなくなることによって形成される空隙も、結果的に均一に分散させることができるためである。熱可塑性樹脂繊維の繊度の下限は特に限定するものではないが、0.01dtex程度であるのが好ましい。この「繊度」はJIS L 1015に規定されているA法により得られる値をいう。なお、熱可塑性樹脂繊維の繊維長は湿式法により湿式繊維ウエブを形成できるように、1〜20mmであるのが好ましく、3〜15mmであるのがより好ましい。この繊維長はJIS L 1015のB法(補正ステープルダイヤグラム法)により得られる長さをいう。
このようなフィブリル化耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との比率は、前述のような比率のセパレータとすることができるように、(フィブリル化耐熱性繊維):(熱可塑性樹脂繊維)=40〜90:60〜10であるのが好ましく、(フィブリル化耐熱性繊維):(熱可塑性樹脂繊維)=50〜80:50〜20であるのがより好ましく、(フィブリル化耐熱性繊維):(熱可塑性樹脂繊維)=60〜80:40〜20であるのが更に好ましい。
次いで、上述のようなフィブリル化耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを用い、円網−短網−円網又は円網−長網−円網により三層漉き、つまり、短網又は長網により形成される繊維ウエブを円網により形成される繊維ウエブで挟み込んだ湿式繊維ウエブを形成する。前述の通り、三層漉きすることによって、電解液の吸い上げ性、機械的強度が向上する。また、円網によって形成される繊維の配向と、短網又は長網によって形成される繊維の配向とが異なるため、孔径がより小さくなり、地合いが向上し、電気絶縁性が向上するという効果も奏する。
次いで、湿式繊維ウエブを加熱処理することにより、熱可塑性樹脂繊維を溶融させて繊維形態を消滅させ、非繊維状態の熱可塑性樹脂によって、フィブリル化耐熱性繊維を固定する固定工程を実施する。この加熱処理はフィブリル化耐熱性繊維を非繊維状態の熱可塑性樹脂によって固定できれば良く、特に限定するものではないが、例えば、赤外線を照射する方法、オーブンによる方法、熱風を貫通させる方法、超音波を照射する方法、レーザーを照射する方法、などを挙げることができる。これらの中でも、湿式繊維ウエブに対して無圧下で赤外線を照射して熱可塑性樹脂繊維を溶融させるとともに、溶融した熱可塑性樹脂を無圧下で凝固させると、瞬時に熱可塑性樹脂繊維を溶融させることができるため、生産性良くセパレータを製造でき、また、無圧下で凝固させることによって熱可塑性樹脂繊維が消滅したことによって形成される空隙を維持できるためか、電解質の吸い上げ性、特に導電性ポリマーのもととなるモノマーと酸化剤とを含む混合溶液の吸い上げ性に優れているため好適である。
より具体的には、赤外線(特に波長が5.6〜1000μmの遠赤外線が好ましい)を照射すると、湿式繊維ウエブの外側に存在する繊維(フィブリル化耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維)の表面及び内部ばかりでなく、湿式繊維ウエブの内部に存在する繊維(フィブリル化耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維)の表面及び内部も均一に加熱することができるため、瞬時に熱可塑性樹脂繊維が溶融して繊維形態が消滅する。そして、この溶融した熱可塑性樹脂はフィブリル化耐熱性繊維の交点などのフィブリル化耐熱性繊維間で凝固し、フィブリル化耐熱性繊維を固定する。この赤外線の照射は熱可塑性樹脂繊維を溶融させるものの、フィブリル化耐熱性繊維は溶融又は炭化しない温度で行う。つまり、熱可塑性樹脂繊維の融点以上、フィブリル化耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い温度となるように照射する。このような条件は熱可塑性樹脂繊維及びフィブリル化耐熱性繊維の種類によって変化するため、特に限定するものではない。この赤外線の照射条件は、実験を繰り返すことによって適宜設定することができる。このように熱可塑性樹脂繊維が溶融した熱可塑性樹脂に対して圧力を作用させると、熱可塑性樹脂が皮膜状となり、繊維形態を消滅したことによって形成される空隙を埋めてしまい、電解液の吸い上げ性を損なう傾向があるため、無圧下で赤外線を照射する。なお、赤外線は熱可塑性樹脂繊維の分子運動(振動、振幅)を活発にすることにより発熱させて溶融させているが、熱可塑性樹脂繊維がより効率良く溶融するように、熱風を吹き付けたり、循環させるのが好ましい。この熱風の温度は、熱可塑性樹脂繊維の樹脂組成によって異なるため特に限定するものではないが、例えば、熱可塑性樹脂繊維が好適であるポリエステル繊維からなる場合、260℃以上であるのが好ましい。このように熱風を吹き付けたり、循環させると、熱風の流通によって熱可塑性樹脂がフィブリル化耐熱性繊維の交点で凝集しやすくなり、セパレータの強度が向上するという効果を奏する。このように、「無圧下」とは、ロールのような固体で圧力を加えないことを意味し、熱風のような気体の場合には無圧下とみなす。
なお、溶融した熱可塑性樹脂を凝固させ、フィブリル化耐熱性繊維を固定するためには、温度200℃未満の気体中(例えば、室温下)に放置すれば良いが、凝固を促進させるために、温度200℃未満の気体を吹き付けたり、循環させても良い。この熱可塑性樹脂を凝固させる際に圧力が加わっても、熱可塑性樹脂が皮膜状となり、繊維形態を消滅したことによって形成される空隙を埋めてしまい、電解液の吸い上げ性を損なう傾向があるため、無圧下で凝固させる。
このようにして本発明のセパレータ(湿式不織布)を製造できるが、厚さのバラツキがある場合がある。このような場合には、熱可塑性樹脂の軟化温度よりも低い温度(好ましくは20℃以上低い温度)でカレンダー処理を行って、厚さを調整するのが好ましい。なお、カレンダー処理における圧力は、厚さのバラツキの程度によって異なるため特に限定するものではない。この圧力は、実験を繰り返すことによって、適宜設定することができる。なお、「軟化温度」はJIS−K−7121に規定されている熱流束示差走差熱量測定(DSC、昇温温度10℃/分)により得られるDSC曲線における融解吸熱曲線の開始点を与える温度をいう。
なお、固定工程を実施した後に、熱処理を実施して熱可塑性樹脂を結晶化させるのが好ましい。このように熱可塑性樹脂を結晶化させることによって、更に耐熱性が向上するためである。特に赤外線の作用により熱可塑性樹脂繊維を溶融させた場合には、瞬時に溶融しており、この溶融した熱可塑性樹脂を急冷すると、非晶状態で凝固してしまい、結果として、耐熱性が低下する傾向があるためである。この熱処理は前述の固定工程と同時に実施することができるし、固定工程の後に別の工程として実施することもできる。この熱可塑性樹脂を結晶化させる熱処理は、熱可塑性樹脂が結晶化する熱処理である限り、特に限定するものではないが、例えば、固定工程と同時に実施する場合には、前述のような熱風の吹き付けや循環を、熱可塑性樹脂が結晶化するのに十分な時間だけ行う方法を挙げることができる。また、固定工程後に別の工程として実施する場合、熱風を吹き付けたり、循環させる方法を挙げることができる。なお、熱処理温度は熱可塑性樹脂が結晶化する熱処理である限り特に限定するものではなく、熱可塑性樹脂の組成によって異なるため、実験により適宜確認する必要がある。例えば、熱可塑性樹脂が好適であるポリエステルからなる場合には、130〜230℃であるのが好ましい。ポリエステルの場合、130℃未満では結晶化が不十分になる傾向があり、230℃を超えると、補外溶解開始温度(樹脂が溶け始める温度)に近くなり、ポリエステルの形態が変化しはじめ、ポリエステルの状態が変わってしまうためで、より好ましくは150〜220℃である。また、この熱処理は熱可塑性樹脂が皮膜を形成しないように、どの段階で実施する場合にも、無圧下で実施するのが好ましい。なお、「結晶化させる」とは、製造したセパレータを示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に結晶化ピークが描かれない状態とすることをいう。
本発明の電解コンデンサ、特に固体電解コンデンサは上述のようなセパレータを用いたものである。そのため、電気絶縁性、耐熱性に優れ、また電解液の吸い上げ性に優れるため生産性良く製造できるものである。本発明の電解コンデンサは上述のようなセパレータを用いたこと以外は、従来の電解コンデンサと全く同様の構成からなる。
例えば、好適である固体電解コンデンサは、次のようにして製造することができる。まず、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回して円筒状コンデンサ素子を形成する。この場合、セパレータの長手方向(生産方向)を巻回方向と一致させると、セパレータの機械的強度が優れているため、作業性良く円筒状コンデンサ素子を作製できる。次いで、エチレンジオキシチオフェン、ピロール等の導電性高分子のもととなるモノマーとパラトルエンスルホン酸第二鉄などの酸化剤とを含む混合溶液に、円筒状コンデンサ素子の片底面を浸漬して、セパレータに前記混合溶液を含ませた後、熱処理を実施することにより、前記混合溶液中におけるモノマーの重合反応を進行させて固体電解質層を形成する。そして、この固体電解質層を形成したコンデンサ素子を筒状ケースに挿入し、開口部を封口し、固体電解コンデンサとすることができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
パラ系全芳香族ポリアミドからなるフィブリルを有するフィブリル化耐熱性繊維(製品名:トワロン1094、帝人製、炭化温度:500℃以上、濾水度(CSF):212ml)、及びポリエチレンテレフタレートからなる、繊度0.11dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維(融点:260℃、軟化温度:253℃)を用意した。
次いで、前記フィブリル化耐熱性繊維をリファイナーによりフィブリル化を促進させたフィブリル化耐熱性繊維(濾水度(CSF):115ml)とポリエステル繊維とを80:20の質量比率で分散させたスラリーを形成した。
その後、順流円網、傾斜ワイヤー型短網、順流円網、及びヤンキードライヤーを備えた抄紙機に、前記スラリーを各網へ供給し、それぞれ湿潤繊維ウエブを形成し、それぞれの湿潤繊維ウエブを積層した積層湿潤繊維ウエブを形成し、続いて、この積層湿潤繊維ウエブを温度120℃に設定したヤンキードライヤーにより乾燥して、繊維配向が一方向、ランダム、一方向の三層湿式繊維ウエブを形成した(以上、湿式繊維ウエブ形成工程)。この三層湿式繊維ウエブの表面は図1に示すような状態にあり、断面は図2に示すような状態にあった。
次いで、温度490℃に設定した遠赤外線セラミックヒータ(Ryoka製)を、上下にそれぞれ12基ずつ備えた遠赤外線照射装置の遠赤外線セラミックヒータ間を、速度7m/min.で前記三層湿式繊維ウエブを通過させることにより、ポリエステル繊維を溶融させて繊維形態を消滅させるとともに、溶融したポリエステル樹脂をフィブリル化耐熱性繊維間に凝集させた。なお、いずれの遠赤外線セラミックヒーターとも110mm離間させた状態で前記三層湿式繊維ウエブを通過させた。また、移動する三層湿式繊維ウエブに対して、温度260℃の熱風を吹き付けた。次いで、無圧下、室温で空冷して、凝集したポリエステル樹脂を凝固させて、凝固湿式不織布を製造した(以上、固定工程)。
その後、前記凝固湿式不織布を、温度220℃に加熱したドライヤー内を3秒間かけて通過させ、ポリエステル樹脂を結晶化させ、結晶化湿式不織布を製造した。
そして、この結晶化湿式不織布を温度60℃に設定したカレンダーにより押圧(線圧力:230N/cm)して厚さ調整し、目付16g/m、厚さ28μm、見掛密度0.57g/cmの電解コンデンサ用セパレータを製造した。この電解コンデンサ用セパレータの表面は図3に示すように、ポリエステル樹脂繊維が消滅し、ポリエステル樹脂がフィブリル化耐熱性繊維間を非繊維状態で固定し、皮膜を形成していない状態にあった。また、この電解コンデンサ用セパレータの断面は図4に示すように、ポリエステル樹脂は電解コンデンサ用セパレータの厚さ方向において偏在しておらず、均一に分布していた。
(実施例2)
実施例1と同様にして製造した結晶化湿式不織布を電解コンデンサ用セパレータ(目付:16g/m、厚さ:46μm、見掛密度:0.35g/cm)とした。この電解コンデンサ用セパレータもポリエステル樹脂繊維が消滅し、ポリエステル樹脂がフィブリル化耐熱性繊維間を非繊維状態で固定し、皮膜を形成していない状態にあった。また、この電解コンデンサ用セパレータのポリエステル樹脂は電解コンデンサ用セパレータの厚さ方向において偏在しておらず、均一に分布していた。
(実施例3)
フィブリル化耐熱性繊維(濾水度(CSF):115ml)とポリエステル繊維とを70:30の質量比率で分散させたスラリーを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、結晶化湿式不織布を製造し、電解コンデンサ用セパレータ(目付:16g/m、厚さ:28μm、見掛密度:0.57g/cm)とした。この電解コンデンサ用セパレータもポリエステル樹脂繊維が消滅し、ポリエステル樹脂がフィブリル化耐熱性繊維間を非繊維状態で固定し、皮膜を形成していない状態にあった。また、この電解コンデンサ用セパレータのポリエステル樹脂は電解コンデンサ用セパレータの厚さ方向において偏在しておらず、均一に分布していた。
(比較例1)
順流円網、傾斜ワイヤー型短網、及びヤンキードライヤーを備えた抄紙機を使用したこと以外は実施例1と同様にして、電解コンデンサ用セパレータ(目付:16g/m、厚さ:28μm、見掛密度:0.57g/cm)とした。この電解コンデンサ用セパレータもポリエステル樹脂繊維が消滅し、ポリエステル樹脂がフィブリル化耐熱性繊維間を非繊維状態で固定し、皮膜を形成していない状態にあった。また、この電解コンデンサ用セパレータのポリエステル樹脂は電解コンデンサ用セパレータの厚さ方向において偏在しておらず、均一に分布していた。
(比較例2)
順流円網2基及びヤンキードライヤーを備えた抄紙機を使用したこと以外は実施例1と同様にして、電解コンデンサ用セパレータ(目付:16g/m、厚さ:28μm、見掛密度:0.57g/cm)とした。この電解コンデンサ用セパレータもポリエステル樹脂繊維が消滅し、ポリエステル樹脂がフィブリル化耐熱性繊維間を非繊維状態で固定し、皮膜を形成していない状態にあった。また、この電解コンデンサ用セパレータのポリエステル樹脂は電解コンデンサ用セパレータの厚さ方向において偏在しておらず、均一に分布していた。
(比較例3)
実施例1と同様にして製造した三層湿式繊維ウエブを電解コンデンサ用セパレータ(目付:16g/m、厚さ:46μm、見掛密度:0.35g/cm)とした。この電解コンデンサ用セパレータは図1及び図2に示すように、ポリエステル樹脂が繊維形態で存在していた。
(比較例4)
アクリル繊維(登録商標:ボンネルMVP D−122、三菱レイヨン社製、繊度:0.1dtex、繊維長:3mm)、及びバインダーとしてポリビニルアルコール繊維(登録商標:クラロンK−II EQ5、クラレ社製、繊度:2dtex、繊維長:6mm)を用意した。
次いで、前記アクリル繊維とポリビニルアルコール繊維とを70:30の質量比率で分散させてスラリーを形成した。
その後、順流円網、傾斜ワイヤー型短網、順流円網、及びヤンキードライヤーを備えた抄紙機に、前記スラリーを各網へ供給し、それぞれ湿潤繊維ウエブを形成し、それぞれの湿潤繊維ウエブを積層した積層湿潤繊維ウエブを形成し、続いて、この積層湿潤繊維ウエブを温度120℃に設定したヤンキードライヤーにより乾燥して、繊維配向が一方向、ランダム、一方向の三層湿式繊維ウエブを形成し、電解コンデンサ用セパレータ(目付:16g/m、厚さ:40μm、見掛密度:0.40g/cm、通気度:0.9s/100ml)とした。この電解コンデンサ用セパレータはポリビニルアルコール繊維によってアクリル繊維が接着した状態にあった。
(吸い上げ性の評価)
幅方向に25mm、長さ方向に300mm長に切断した各長方形状セパレータに、20mm×300mmに切断した長方形状アルミ箔を、長方形状セパレータの幅方向において、両端部に2.5mmずつセパレータが露出するように重ね合わせた後、同心円に巻回して、円筒状の巻取り素子(半径:2.5mm、高さ:25mm)を作製した。
次いで、前記巻取り素子を温度50℃の0.2wt%−リン酸二水素アンモニウム溶液に30分間浸漬した後、温度100℃のドライヤーで30分乾燥し、試験素子とした。
そして、前記各試験素子を、水性インクで着色したエチレングリコール液中に垂直に立て、試験素子の片底面から4mmまで浸し、前記エチレングリコールが試験素子の他方の底面まで吸い上がるのに要する時間を測定した。これらの結果は表1に示す通りであった。なお、エチレングリコールはアルミ電解コンデンサの電解液として使用されているものであり、また、固体電解コンデンサに用いられている導電性高分子のもととなるモノマーと酸化剤とを含む混合溶液と同程度の粘性を示すため、この吸い上げ性の評価結果から、電解コンデンサ、固体電解コンデンサの両方の生産性を推定することができる。
(内部抵抗値の測定)
陽極アルミ箔として、アルミニウム箔の表面にエッチング処理を施した後に化成液中で陽極酸化を行ない、表面に酸化被膜を生成させたものを用意し、陰極アルミ箔として、アルミニウム箔の表面にエッチング処理を施したものを用意し、それぞれ2.5mm×150mmに切断した。
次いで、切断した各電極アルミ箔にリードを取り付けた後、3mm×170mmに裁断したセパレータを、陰極アルミ箔と陽極アルミ箔の間に介して重ね合わせ、同心円状に巻回して、コンデンサ素子を作製した。
次いで、このコンデンサ素子に、3、4−エチレンジオキシチオフェンとp−トルエンスルホン酸第二鉄とをブタノールに溶解させた混合液を含浸した後、温度120℃で2時間加熱し、コンデンサ素子中での化学重合反応により、ポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子をケースに入れてエージング処理を行ない固体電解コンデンサを作製した。この固体電解コンデンサは各セパレータを使用し、それぞれ10個ずつ作製した。
このように作製した固体電解コンデンサの内部抵抗を、LCRメーター(日置電機(株)製、LCRハイテスタ3522)を用いて、温度20℃、100kHzの条件下で測定した。この内部抵抗の測定は各10個の固体電解コンデンサについて行ない、それぞれ算術平均値を算出した。この平均内部抵抗値は表1に示す通りであった。
(リフロー耐熱性の評価)
上記の内部抵抗値の測定に用いた固体電解コンデンサと同様にして、各セパレータを使用し、それぞれ10個ずつ固体電解コンデンサを作製した。
その後、各固体電解コンデンサを、リフロー炉を想定した温度260℃の電気炉内に1分後放置した後に取り出し、温度20℃まで冷却した後、100kHz時における内部抵抗をLCRメーター(日置電機(株)製、LCRハイテスタ3522)を用いて測定した。この内部抵抗の測定は各10個の固体電解コンデンサについて行ない、それぞれ算術平均値を算出した。この平均内部抵抗値は表1に示す通りであった。
Figure 2008283085
#:ポリビニルアルコール繊維が繊維状態で存在
表1の結果から、本発明のセパレータを使用した固体電解コンデンサ素子は耐熱性及び電気絶縁性に優れており、しかも電解質の吸い上げ性に優れるため、生産性良く固体電解コンデンサを製造できるものであることが推定できるものであった。また、本発明のセパレータは内部抵抗の小さい固体電解コンデンサを製造できるものであった。
実施例1における三層湿式繊維ウエブ表面の電子顕微鏡写真 実施例1における三層湿式繊維ウエブ断面の電子顕微鏡写真 実施例1における電解コンデンサ用セパレータ表面の電子顕微鏡写真 実施例1における電解コンデンサ用セパレータ断面の電子顕微鏡写真
符号の説明
1 フィブリル化耐熱性繊維
2 ポリエステル繊維

Claims (7)

  1. 融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなるフィブリル化耐熱性繊維が非繊維状態の熱可塑性樹脂により固定された湿式不織布からなり、前記湿式不織布は円網−短網−円網により三層漉きされた湿式繊維ウエブ又は円網−長網−円網により三層漉きされた湿式繊維ウエブに由来することを特徴とする、電解コンデンサ用セパレータ。
  2. 熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂からなることを特徴とする、請求項1記載の電解コンデンサ用セパレータ。
  3. フィブリル化耐熱性繊維がフィブリル化全芳香族ポリアミド繊維からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の電解コンデンサ用セパレータ。
  4. 融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなるフィブリル化耐熱性繊維と、フィブリル化耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い融点をもつ熱可塑性樹脂繊維とを用いて、円網−短網−円網又は円網−長網−円網により三層漉きして、湿式繊維ウエブを形成する湿式繊維ウエブ形成工程、
    この湿式繊維ウエブを加熱処理することにより、熱可塑性樹脂繊維を溶融させて繊維形態を消滅させ、非繊維状態の熱可塑性樹脂によってフィブリル化耐熱性繊維を固定する固定工程、
    とを備えていることを特徴とする、電解コンデンサ用セパレータの製造方法。
  5. 固定工程が、湿式繊維ウエブに対して無圧下で赤外線を照射して熱可塑性樹脂繊維を溶融させるとともに、溶融した熱可塑性樹脂を無圧下で凝固させる工程であることを特徴とする、請求項4に記載の電解コンデンサ用セパレータ。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ用セパレータを用いた電解コンデンサ。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ用セパレータを用いた固体電解コンデンサ。
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