JP4777169B2 - 繊維シート - Google Patents

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Description

本発明は繊維シートに関する。より具体的には、電気二重層キャパシタ用セパレータとして好適に使用することができる繊維シートに関する。
従来から不織布、編物、織物等の繊維シートは、繊維、繊維シートの製造方法及び後加工を適宜選択し、組み合わせることによって、各種特性をもつことができるため、様々な用途に適用されている。
例えば、繊維シートの特性の1つである電気絶縁性能を利用した1つの用途として、電気二重層キャパシタのセパレータ用途がある。つまり、電気二重層キャパシタはイオン性溶液中に1対の電極が浸漬された構造を有し、電極に電圧を印加すると、電極と反対符号のイオンが電極の近傍に分布してイオンの層を形成する一方で、電極の内部にイオンと反対符号の電荷が蓄積される。そのため、電極間に負荷をつなげば、電極内部の電荷が放電されるとともに、電極近傍に分布していたイオンは電極近傍から離れて中和状態に戻る。このような電気二重層キャパシタにおいて、1対の電極同士が接触してしまうと、電極近傍においてイオンの層を形成することが困難になるため、1対の電極間にセパレータが配置されている。
このような電気二重層キャパシタ用セパレータとして、本願出願人は「融解温度又は炭化温度が300℃以上の樹脂から構成されているフィブリルを有する繊維と、繊度が0.45dtex(デシテックス)以下の細ポリエステル繊維とを含む繊維シートからなる電気二重層キャパシタ用セパレータ。」(特許文献1)、「融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなる耐熱性繊維が、繊維交点に非繊維状態で凝固した、200℃以上、かつ耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い融点をもつ熱可塑性樹脂によって固定された不織布であり、前記不織布を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に結晶化ピークが描かれない電気二重層キャパシタ用セパレータ。」(特許文献2)等を提案した。これらの電気二重層キャパシタ用セパレータは電極とともに巻きつけるなどして電極群を組み立てた後、アルミニウム等からなるケースに収容し、封口して電気二重層キャパシタを製造することができる。このようにして電気二重層キャパシタを製造する場合のように、電極群形成時に破断するなどして電気絶縁性能を発揮することができないことがないように、更に強度の優れるセパレータが待ち望まれていた。
このように、繊維シートは上述のような電気絶縁性能、或いは分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能に優れていることに加えて、強度的に優れていると、様々な用途に適用できるため、より強度の優れる繊維シートが待望されていた。
特開2001−244150号公報(請求項1、請求項2など) 特開2005−259983号公報(請求項1、請求項8など)
本発明は上述のような問題点を解決するためになされたもので、電気絶縁性能、分離性能、液体保持性能、払拭性、或いは隠蔽性などの各種性能に優れていることに加えて、強度の優れる繊維シートを提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「異方性ポリマー繊維と結晶性樹脂とを含む繊維シートであり、前記結晶性樹脂を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に、融解ピークが2ヶ所以上描かれることを特徴とする繊維シート。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「少なくとも1つの融解ピークが、結晶性樹脂が本来有する溶融点よりも高い温度に描かれ、少なくとも1つの融解ピークが、結晶性樹脂が本来有する溶融点よりも低い温度に描かれることを特徴とする、請求項1記載の繊維シート。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「異方性ポリマー繊維が全芳香族ポリアミド繊維からなり、結晶性樹脂がポリエステル樹脂からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の繊維シート。」である。
本発明の請求項4にかかる発明は、「電気二重層キャパシタ用セパレータとして用いることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の繊維シート。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、結晶性樹脂を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に、融解ピークが2ヶ所以上描かれていることによって、従来よりも強度の優れる繊維シートであることを見出したのである。
本発明の請求項2にかかる発明は、少なくとも1つの融解ピークが、結晶性樹脂が本来有する溶融点よりも高い温度に描かれ、少なくとも1つの融解ピークが、結晶性樹脂が本来有する溶融点よりも低い温度に描かれていることによって、従来よりも強度の優れる繊維シートであることを見出したのである。
本発明の請求項3にかかる発明は、全芳香族ポリアミド繊維とポリエステル樹脂との組み合わせからなると、従来よりも強度の優れる繊維シートであり、しかも耐熱性に優れ、吸水率が低く、絶縁破壊電圧が高いなどの特長がある。
本発明の請求項4にかかる発明は、円筒型の電気二重層キャパシタ用に使用しても、破断することなく電極群を組み立てることのできる電気絶縁性の優れるものである。
本発明の繊維シートは耐熱性及び強度に優れ、各種用途に適用できるように、異方性ポリマー繊維を含んでいる。この異方性ポリマー繊維とは異方性ポリマーからなる繊維であり、異方性ポリマーとはリオトロピックポリマーとサーモトロピックポリマーの両方を含んでいる。前者のリオトロピックポリマーはポリマーの溶液が溶媒の種類や濃度変化に応じて液晶挙動を示すポリマーであり、後者のサーモトロピックポリマーはポリマーの溶融体が温度変化によって液晶挙動を示すポリマーである。より具体的には前者のリオトロピックポリマーとして、全芳香族ポリアミド、芳香族ポリアゾメチン、芳香族ポリイミド、芳香族複素環ポリマーなどを挙げることができ、後者のサーモトロピックポリマーとして、芳香族ポリエステルを挙げることができる。これらの中でも、全芳香族ポリアミド(メタ系全芳香族ポリアミド、パラ系全芳香族ポリアミド)は耐熱性、強度に優れているため好適である。この好適である全芳香族ポリアミド繊維は耐熱性及び強度に優れるように、異方性ポリマー繊維の50mass%以上を占めているのが好ましく、異方性ポリマー繊維の70mass%以上を占めているのがより好ましく、異方性ポリマー繊維の90mass%以上を占めているのが更に好ましく、異方性ポリマー繊維の100mass%を占めているのが最も好ましい。
このような異方性ポリマー繊維はフィブリルを有しない繊維であっても良いし、フィブリルを有する繊維であっても良いが、フィブリルを有する異方性ポリマー繊維を含んでいるのが好ましい。フィブリルを有する異方性ポリマー繊維を含んでいることによって、緻密な構造を有する繊維シートであることができ、電気絶縁性能、分離性能、液体保持性能、払拭性、或いは隠蔽性などの各種性能に優れているためである。このようなフィブリルを有する異方性ポリマー繊維はその含有比率が高ければ高い程、前記性能に優れているため、異方性ポリマー繊維の50mass%以上がフィブリルを有する異方性ポリマー繊維からなるのが好ましく、異方性ポリマー繊維の70mass%以上がフィブリルを有する異方性ポリマー繊維からなるのがより好ましく、異方性ポリマー繊維の90mass%以上がフィブリルを有する異方性ポリマー繊維からなるのが更に好ましく、異方性ポリマー繊維がフィブリルを有する異方性ポリマー繊維100mass%からなるのが最も好ましい。なお、「フィブリルを有する異方性ポリマー繊維」とは、機械的剪断力などによって、1本の異方性ポリマー繊維から無数の微細繊維(フィブリル)が発生した異方性ポリマー繊維をいう。
なお、フィブリル化していない異方性ポリマー繊維を含む場合、緻密な構造を有する繊維シートであるように、繊度は2dtex以下であるのが好ましく、1dtex以下であるのがより好ましく、0.8dtex以下であるのが更に好ましい。他方、フィブリル化した異方性ポリマー繊維の濾水度は緻密な構造をもつ繊維シートであるように、300mlCSF以下であるのが好ましく、200mlCSF以下であるのがより好ましく、100mlCSF以下であるのが更に好ましい。なお、フィブリル化した異方性ポリマー繊維の濾水度は50mlCSF以上であるのが好ましい。この「濾水度」はJIS P8121 カナダ標準ろ水度試験機により測定した値をいう。
このような異方性ポリマー繊維は耐熱性に優れているように、繊維シート中、40mass%以上含まれているのが好ましく、50mass%以上含まれているのがより好ましく、60mass%以上含まれているのが更に好ましい。他方、後述の結晶性樹脂との関係から、90mass%以下であるのが好ましく、80mass%以下であるのがより好ましい。なお、異方性ポリマー繊維は組成、フィブリルの有無、繊度、濾水度の中から選ばれる少なくとも1点が異なる2種類以上の異方性ポリマー繊維を含んでいても良い。2種類以上の異方性ポリマー繊維を含んでいる場合には、その合計質量が前記範囲内にあるのが好ましい。
本発明の繊維シートは前述のような異方性ポリマー繊維に加えて結晶性樹脂を含んでいるため、繊維シートに強度を付与できる。この「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定を行い、DSC曲線を描いた時に結晶化ピークが描かれる樹脂であり、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂などを挙げることができる。これらの中でも溶融点が高く、耐熱性の優れるポリエステル樹脂からなるのが好ましい。特に、異方性ポリマー繊維が全芳香族ポリアミド繊維で、結晶性樹脂がポリエステル樹脂からなると、従来よりも強度の優れる繊維シートとなりやすく、しかも耐熱性に優れ、吸水率が低く、絶縁破壊電圧が高いため好適である。
この結晶性樹脂は、示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に、融解ピークが2ヶ所以上描かれるものである。融解ピークが2ヶ所以上描かれていることによって、繊維シートの強度が向上することを見出したのである。その理由は定かではないが、2ヶ所以上に融解ピークを有するということは、2種類以上のサイズの結晶が存在することによって、外力に対して段階的に抗することができるため、強度が向上すると考えている。特に、少なくとも1つの融解ピークが、結晶性樹脂が本来有する溶融点よりも高い温度に描かれ、少なくとも1つの融解ピークが、結晶性樹脂が本来有する溶融点よりも低い温度に描かれていると、強度的に優れていることを見出した。
本発明における示差走査熱量測定は、JIS K 7121(熱流束示差走査熱量測定)に準じ、TA Instruments社製Q1000を用い、次の条件下で行なってDSC(Differential Scanning Calorimetry)曲線を描く。
1.試験片(繊維シート)の形状、大きさ及び質量;試験片として、直径6.4mmの円形の繊維シートを使用する。試験片の質量は電子天秤で5mgを目安として、小数点第2位まで計量する。
2.窒素ガス流量;50ml/min.
3.昇温速度;5.0℃/min.
4.測定開始温度;0℃
なお、「結晶性樹脂が本来有する溶融点」とは、「繊維総覧」(日本繊維機械学会繊維総覧編さん委員会編さん,日本繊維機械学会,昭和45年5月26日発行)に記載の溶融点を意味し、溶融点に幅がある場合には溶融点の上限を結晶性樹脂が本来有する溶融点とみなす。例えば、ポリエステル樹脂が本来有する溶融点は260℃であり、ポリエチレンが本来有する溶融点は135℃であり、ポリプロピレンが本来有する溶融点は173℃であり、ナイロン6が本来有する溶融点は220℃であり、ナイロン66が本来有する溶融点は260℃である。このように繊維総覧を基準としているのは、後述のように結晶性樹脂が繊維に由来するのが好ましいためである。
本発明の繊維シートにおいては、結晶性樹脂はどのような状態で含まれていても良いが、例えば、非繊維状態で凝固した状態で含まれていても良いし、繊維状態で異方性ポリマー繊維と混在した状態で含まれていても良い。なお、前者のように非繊維状態で凝固した状態にあると、結晶性樹脂は繊維のように長く伸びる直線状又は曲線状の皮膜を形成しておらず、面ではなく点状態にあるため、イオン透過性、気体透過性、液体透過性等に優れているという特徴がある。
また、結晶性樹脂は繊維シートの厚さ方向において、偏在していないのが好ましい。偏在していないことによって、結晶性樹脂量が同じであれば、更に強度的に優れ、しかもイオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等に優れているためである。このような状態はエマルジヨン型接着剤によって異方性ポリマー繊維を接着した場合には困難である。つまり、エマルジョン型接着剤で接着するために乾燥した場合、液体(通常、水)の揮発に伴って接着剤も繊維シート表面へ移動(いわゆるマイグレーション)するためである。
このような結晶性樹脂は繊維シートの機械的強度に優れているように、繊維シートの10mass%以上を占めているのが好ましく、20mass%以上占めているのがより好ましい。他方、異方性ポリマー繊維との関係から、60mass%以下占めているのが好ましく、50mass%以下占めているのがより好ましく、40mass%以下占めているのが更に好ましい。なお、結晶性樹脂は樹脂組成の点で異なる2種類以上の結晶性樹脂を含んでいても良い。2種類以上の結晶性樹脂を含んでいる場合には、その合計質量が前記範囲内にあるのが好ましく、いずれの結晶性樹脂も示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に、融解ピークが2ヶ所以上描かれるのが好ましい。
本発明の繊維シートは前述のような異方性ポリマー繊維と結晶性樹脂とを含んでいるが、その形態は、例えば、不織布、織物、編物、或いはこれらの複合体であることができる。これらの中でも、不織布は細い繊維が分散した状態にあることができ、電気絶縁性能、分離性能、液体保持性能、払拭性、或いは隠蔽性等に優れているため好適である。特に、繊維が均一に分散した状態にある湿式不織布が好適である。
本発明の繊維シートは前述のような結晶性樹脂を含んでいることによって、強度の高いものであるが、具体的には、繊維シートが好適である湿式不織布形態からなる場合、少なくとも一方向における単位目付あたりの引張り強さ(=(引張り強さ)/(目付))が0.70以上であることができ、0.73以上であるのが好ましく、0.75以上であるのがより好ましく、0.80以上であるのが更に好ましく、0.85以上であるのが更に好ましく、0.86以上であるのが更に好ましい。このような引張り強さをもつ方向はどの方向であっても良いが、湿式不織布はその長手方向に対して張力をかけながら使用する場合が多いため、湿式不織布の長手方向における単位目付あたりの引張強さが前記引張り強さであるのが好ましい。なお、「目付」はJIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定方法)に規定する方法に基いて得られる坪量をいい、「引張強さ」は、湿式不織布から長方形の試料(幅:15mm、長さ:200mm)を採取した後に、JIS P−8113に準じて測定した引張強度をいう。
本発明の繊維シートの目付、厚さ、及び見掛密度は用途により異なり、特に限定するものではないが、目付は5〜150g/m、厚さは10〜700μm、及び見掛密度は0.2〜0.75g/cmであることができる。なお、「厚さ」はJIS B 7502に規定する方法による測定値、すなわち、5N荷重時の外側マイクロメーターによる測定値をいい、「見掛密度(D、単位:g/cm)」は目付(W、単位:g/cm)を厚さ(T、単位:cm)で除した商、つまり、次の式から得られる値をいう。
D=W/T
例えば、本発明の繊維シートを電気二重層キャパシタ用セパレータとして使用する場合には、目付が5〜60g/m、厚さが17〜55μm、かつ見掛密度が0.32〜0.7g/cmであるのが好ましい。このような物性を同時に満足する繊維シート(電気二重層キャパシタ用セパレータ)は、空隙が多いことによってイオン透過性に優れているためである。つまり、繊維シートの目付が5g/m未満であると、強度的に弱い傾向があり、目付が60g/mを超えると、一定体積中における繊維シート(電気二重層キャパシタ用セパレータ)の占める体積が大きくなり過ぎて、エネルギー密度を高められない傾向があるためで、より好ましい目付は10〜25g/mである。また、繊維シート(電気二重層キャパシタ用セパレータ)の厚さが17μm未満であると、十分な電気絶縁性を発揮するのが困難となり、漏れ電流を生じるなど、不安定になる傾向があり、厚さが55μmを越えると、一定体積中におけるセパレータの占める体積が大きくなり、エネルギー密度を高められない傾向があるためで、より好ましい厚さは20〜55μmである。更に、繊維シートの見掛密度が0.32g/cm未満であると、機械的強度が弱くなって、取り扱いにくくなる傾向があり、見掛密度が0.7g/cmを越えると、緻密な構造となりすぎて、イオン透過性が悪くなる傾向があるためで、より好ましい見掛密度は0.35〜0.6g/cmである。
本発明の繊維シートは、繊維シートの基本的な性能である電気絶縁性能、分離性能、液体保持性能、払拭性、或いは隠蔽性等に優れているばかりでなく、強度及び耐熱性に優れているため、各種用途に使用できるものである。例えば、本発明の繊維シートは電気二重層キャパシタ用セパレータ用途、リチウム二次電池用セパレータ用途、アルカリ二次電池用セパレータ用途、気体又は液体濾過材用途、積層板用基材用途、電極支持材用途、ワイピング材用途、医療用基材用途などに好適に使用することができる。
特に、本発明の繊維シートを電気二重層キャパシタ用セパレータとして用いた場合には、(1)本発明の繊維シートは強度的に優れ、電極と一緒に巻き付けて円筒状の電極群を形成しても破断しにくいため、電気絶縁性に優れ、漏れ電流が発生しにくい安定した電気二重層キャパシタを製造することができる、(2)結晶性樹脂がポリエステル樹脂からなる場合、繊維シートは耐熱性に優れているため、電気二重層キャパシタ用セパレータ、集電極、及び電極から電極群を組み立てた後に、一緒に高温で乾燥して水分を除去したとしても、高温時においても機械的強度を維持できるため、セパレータが破断することなく、耐電圧の高い電気二重層キャパシタやエネルギー密度の高い電気二重層キャパシタを製造できる、(3)結晶性樹脂がポリエステル樹脂からなる場合、繊維シートは耐熱性に優れているため、鉛フリー半田の使用にも耐えることのできる電気二重層キャパシタを製造することができる、(4)結晶性樹脂が非繊維状態で凝固していると、空隙が多く、イオン透過性に優れているため、内部抵抗が低く、容量の大きい電気二重層キャパシタを製造できる、など、様々な効果を奏するため、本発明の繊維シートは電気二重層キャパシタ用セパレータとして好適に使用できる。
本発明の繊維シートは、例えば、異方性ポリマー繊維と結晶性樹脂とを含む前駆繊維シートを形成した後に、(1)結晶性樹脂の融解ピーク温度の17℃低い温度から、結晶性樹脂の融解ピーク温度以下での熱処理を短時間実施するか、(2)結晶性樹脂の融解ピーク温度を超え、融解ピーク温度の6℃高い温度までの範囲の熱処理を実施することによって、結晶性樹脂を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に、融解ピークが2ヶ所以上描かれる状態とすることができ、結果として強度を高めた繊維シートを製造することができる。
より具体的には、まず、異方性ポリマー繊維と結晶性樹脂とを含む前駆繊維シートを形成する。この前駆繊維シートの形成は常法により実施することができ、例えば、織物は異方性ポリマー繊維と結晶性樹脂繊維とを用いて、タペット織機、ドビー織機、ジャカード織機、フライシャトル織機、シャトルレス織機等により形成することができ、編物は異方性ポリマー繊維と結晶性樹脂繊維とを用いて、よこ編機、丸編機、トリコット機、ミラニーズ機、ラッセル機等により形成することができ、不織布は異方性ポリマー繊維と結晶性樹脂繊維とを用いて、カード法やエアレイ法などの乾式法、湿式法により繊維ウエブを形成した後に、接着剤により接着したり、結晶性樹脂繊維の融着性を利用して融着したり、或いは水流やニードルなどによる絡合作用により絡合することによって形成することができる。これらの中でも、繊維が均一に分散することができる湿式法により繊維ウエブを形成し、湿式法により形成した繊維の均一分散を損なうことなく結合できる、結晶性樹脂繊維の融着性を利用して融着するのが好ましい。このように、結晶性樹脂が繊維形態からなると、粉体などと異なり取り扱いが容易な上に、結晶性樹脂繊維の長さを活かして更に強度の強い繊維シートを製造することができる。なお、異方性ポリマー繊維を使用して織物、編物、又は繊維ウエブを形成した後に、結晶性樹脂を付与して前駆繊維シートを形成することもできる。また、前述の通り、強度が高くなりやすく、耐熱性に優れ、吸水率が低く、しかも絶縁破壊電圧が高い繊維シートを製造できるように、異方性ポリマー繊維が全芳香族ポリアミド繊維からなり、結晶性樹脂繊維がポリエステル樹脂繊維からなるのが好ましい。
好適である湿式繊維ウエブは、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、順流円網・逆流円網コンビネーション方式、順流円網・円網フォーマーコンビネーション方式、逆流円網・円網フォーマーコンビネーション方式、短網・円網コンビネーション方式、又は長網・円網コンビネーション方式等の方法によって形成できる。なお、湿式法により繊維ウエブを形成する場合、繊維配向が同じ又は異なる湿式繊維ウエブを2枚以上積層した、積層湿式繊維ウエブ(特には、隣接する繊維ウエブの繊維配向が異なる積層湿式ウエブ)を形成するのが好ましい。このような積層湿式繊維ウエブは孔径が小さく、電気絶縁性能、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能が更に優れる不織布を製造できるためである。より具体的には、同じ種類の網によって抄造した湿式繊維ウエブを積層したり、異なる種類の網(例えば、短網と円網、長網と円網)によって抄造した湿式繊維ウエブを積層して積層湿式繊維ウエブを製造することができ、異なる種類の網によって抄造した湿式繊維ウエブを積層すると、繊維配向の異なる積層湿式繊維ウエブを形成できる。
前駆繊維シートを形成する際に結晶性樹脂繊維を使用する場合、結晶性樹脂繊維の繊度は特に限定するものではないが、0.45dtex以下であるのが好ましい。結晶性樹脂繊維の繊度が小さければ小さいほど、均一に分散することができ、電気絶縁性能、分離性能、液体保持性能、払拭性、或いは隠蔽性等に優れており、また、結晶性樹脂繊維を溶融させて繊維形態を消滅させる場合には、結晶性樹脂繊維が繊維形態でなくなることによる異方性ポリマー繊維の均一分散性を損なわないためである。結晶性樹脂繊維のより好ましい繊度は0.35dtex以下であり、更に好ましい繊度は0.25dtex以下であり、最も好ましい繊度は0.15dtex以下である。結晶性樹脂繊維の繊度の下限は特に限定するものではないが、0.01dtex程度であるのが好ましい。
なお、異方性ポリマー繊維、結晶性樹脂繊維の繊維長は繊維シート形態によって異なり、例えば、湿式法により繊維ウエブを形成する場合には、1〜25mmであるのが好ましく、3〜20mmであるのがより好ましい。
このような異方性ポリマー繊維と結晶性樹脂繊維との比率は、前述の通り、(異方性ポリマー繊維):(結晶性樹脂繊維)=40〜90:60〜10であるのが好ましく、(異方性ポリマー繊維):(結晶性樹脂繊維)=50〜80:50〜20であるのがより好ましく、(異方性ポリマー繊維):(結晶性樹脂繊維)=60〜80:40〜20であるのが更に好ましい。
好適である結晶性樹脂繊維の融着性を利用する異方性ポリマー繊維の融着は、加圧下で行っても良いし、無圧下で行っても良いが、イオン透過性、気体透過性、液体透過性等を必要とする場合には、結晶性樹脂繊維を皮膜化させないように、無圧下で実施するのが好ましい。この無圧下での融着は、例えば、赤外線乾燥機、熱風噴射式赤外線乾燥機、熱風式乾燥機、熱風貫通式乾燥機等により実施することができる。これらの中でも、赤外線乾燥機又は熱風噴射式赤外線乾燥機により融着させると、繊維ウエブの外側(表面近傍)に存在する結晶性樹脂繊維ばかりでなく、繊維ウエブの内部に存在する結晶性樹脂繊維も十分に融着させることができるため好適な融着方法である。なお、結晶性樹脂繊維は繊維形態を維持するように融着させても良いし、結晶性樹脂繊維を溶融させて繊維形態を消滅させても良い。
この好適である赤外線乾燥機又は熱風噴射式赤外線乾燥機により融着させる場合、結晶性樹脂繊維は溶融するものの、異方性ポリマー繊維は溶融又は炭化しない温度で行う。つまり、結晶性樹脂繊維の融解ピーク温度以上、異方性ポリマー繊維の融解ピーク温度未満、又は炭化温度よりも低い温度で照射する。このような条件は結晶性樹脂繊維及び異方性ポリマー繊維の種類によって変化するため、特に限定するものではない。この赤外線照射条件は実験を繰り返すことによって適宜設定することができる。
このように形成した前駆繊維シートに対して、(1)結晶性樹脂の融解ピーク温度の17℃低い温度から、結晶性樹脂の融解ピーク温度以下での熱処理を短時間実施するか、(2)結晶性樹脂の融解ピーク温度を超え、融解ピーク温度の6℃高い温度までの範囲の熱処理を実施することによって、結晶性樹脂を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に、融解ピークが2ヶ所以上描かれる繊維シートを製造することができる。
前者の(1)結晶性樹脂の融解ピーク温度の17℃低い温度から、結晶性樹脂の融解ピーク温度以下での熱処理を短時間実施する場合、結晶性樹脂の融解ピーク温度の8℃低い温度から、結晶性樹脂の融解ピーク温度の1℃低い温度の範囲内での熱処理を実施するのが好ましく、結晶性樹脂の融解ピーク温度の5℃低い温度から、結晶性樹脂の融解ピーク温度の2℃低い温度の範囲内での熱処理を実施するのがより好ましい。なお、熱処理時間が長くなると、DSC曲線における融解ピークが1ヶ所となってしまい、耐熱性は向上するものの、強度が低下する傾向があるため、熱処理時間を短くする必要がある。この熱処理時間は実験を繰り返すことによって確認できる。例えば、結晶性樹脂がポリエステル樹脂からなる前駆繊維シートに対して熱処理を実施する場合で、ポリエステル樹脂の融解ピーク温度が258℃の場合、温度241〜258℃、好ましくは250〜257℃、更に好ましくは253〜256℃で熱処理を2時間以内実施することによって、結晶性樹脂を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に、融解ピークが2ヶ所以上描かれる繊維シートを製造することができる。
後者の(2)結晶性樹脂の融解ピーク温度を超え、融解ピーク温度の6℃高い温度までの範囲の熱処理を実施する場合、結晶性樹脂の融解ピーク温度の1℃高い温度から、結晶性樹脂の融解ピーク温度の4℃高い温度の範囲内での熱処理を実施するのが好ましい。なお、この温度範囲においては、熱処理時間が長くても短くても、DSC曲線における融解ピークが2ヶ所以上描かれるため、熱処理時間は特に限定するものではない。例えば、結晶性樹脂がポリエステル樹脂からなる前駆繊維シートに対して熱処理を実施する場合、ポリエステル樹脂の融解ピーク温度が258℃の場合、温度258(258℃を含まない)〜264℃、好ましくは259〜262℃で熱処理を実施することによって、結晶性樹脂を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に、融解ピークが2ヶ所以上描かれる繊維シートを製造することができる。
このような熱処理は、いずれの熱処理方法であっても、イオン透過性、気体透過性、液体透過性等を必要とする場合には、結晶性樹脂を皮膜化させないように、無圧下で実施するのが好ましい。例えば、熱風式乾燥機、熱風貫通式乾燥機等により無圧下で実施する。
このような熱処理は1回である必要はなく、DSC曲線に融解ピークを3ヶ所以上としたい場合には、2回目の熱処理を実施する。2回目の熱処理をする場合には、低い方の融解ピーク温度の17℃低い温度から、低い方の融解ピーク温度以下での熱処理を実施する。好ましくは低い方の融解ピーク温度の8℃低い温度から、低い方の融解ピーク温度よりも1℃低い温度の範囲内で熱処理を実施し、より好ましくは低い方の融解ピーク温度の5℃低い温度から、低い方の融解ピーク温度よりも2℃低い温度の範囲内で熱処理を実施する。例えば、結晶性樹脂がポリエステル樹脂からなり、1回目の熱処理によってポリエステル樹脂の融解ピーク温度が255℃と270℃となった場合、238℃〜255℃の温度範囲で2回目の熱処理を実施する。好ましくは247℃〜254℃の温度範囲で2回目の熱処理を実施し、より好ましくは250℃〜253℃の温度範囲で2回目の熱処理を実施する。なお、加熱時間はDSC曲線の状態によって異なるため、実験を繰り返すことによって適宜設定する。この2回目の熱処理も、イオン透過性、気体透過性、液体透過性等を必要とする場合には、結晶性樹脂を皮膜化させないように、無圧下で実施するのが好ましく、例えば、熱風式乾燥機、熱風貫通式乾燥機等により無圧下で実施する。
更に、DSC曲線における融解ピークを多くしたい場合には、3回目以降の熱処理を、2回目の熱処理と同様にして実施する。
なお、繊維シートに厚さのバラツキがある場合や、見掛密度、引張り強さ等が所望範囲内にない場合には、結晶性樹脂の軟化温度よりも低い温度(好ましくは20℃以上低い温度)でカレンダー処理(カレンダー工程)を行うのが好ましい。なお、カレンダー工程における圧力は、厚さのバラツキの程度、所望見掛密度、所望引張り強さ等によって異なるため特に限定するものではない。この圧力は、実験を繰り返すことによって、適宜設定することができる。
以上、本発明の繊維シートの製造方法について説明したが、上述の説明においては、結晶性樹脂繊維を融着させて前駆繊維シートを形成する熱処理と、結晶性樹脂を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に、融解ピークが2ヶ所以上描かれるようにするための熱処理とを別の工程において実施する方法について説明したが、結晶性樹脂の融解ピーク温度を超え、融解ピーク温度の6℃高い温度までの範囲の熱処理を実施することによって、結晶性樹脂繊維を融着させると同時に、融解ピークが2ヶ所以上描かれるようにすることができる。同時に実施する場合には、熱風式乾燥機、熱風貫通式乾燥機等により無圧下で実施するのが好ましい。
本発明の繊維シートを各種用途へ適用するにあたり、各用途への適合性を高める後加工を実施することができる。例えば、電気二重層キャパシタ用セパレータ用途、リチウム二次電池用セパレータ用途、アルカリ二次電池用セパレータ用途に用いる場合には、電解液との親和性をもたせるために、公知のスルホン化処理、放電処理、フッ素ガス処理、グラフト処理、界面活性剤付与処理等の親和性付与処理、気体又は液体濾過材用途或いはワイピング用途に用いる場合には、塵埃等の捕捉性を高めるためのエレクトレット化処理、積層板用基材用途に用いる場合には、ワニスとの親和性を高めるための親和性付与処理、電極支持材用途に用いる場合には、金属膜との密着性を高めるための親和性付与処理、医療用基材用途に用いる場合には、汚染液体の透過を抑制するための撥水・撥油処理、などを実施することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
パラ系全芳香族ポリアミドからなるフィブリルを有する異方性ポリマー繊維(製品名:トワロン1094、帝人製、濾水度(CSF):150ml)、及びポリエチレンテレフタレートからなる、繊度0.11dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維(本来有する溶融点:260℃、融解ピーク温度:258.14℃、軟化温度:253℃)を用意した。
次いで、前記異方性ポリマー繊維をリファイナーによりフィブリル化を促進させた異方性ポリマー繊維(濾水度(CSF):90ml)と、ポリエステル繊維とを80:20の質量比率で分散させたスラリーを形成した。
その後、順流円網、傾斜ワイヤー型短網、順流円網、及びヤンキードライヤーを備えた抄紙機に、前記スラリーを各網へ供給し、それぞれ湿潤繊維ウエブを形成し、それぞれの湿潤繊維ウエブを積層した積層湿潤繊維ウエブを形成し、続いて、この積層湿潤繊維ウエブを温度120℃に設定したヤンキードライヤーにより乾燥して、繊維配向が一方向、ランダム、一方向の三層湿式繊維ウエブを形成した。
次いで、温度490℃に設定した遠赤外線セラミックヒータ(Ryoka製)を、上下にそれぞれ12基づつ備えた遠赤外線照射装置の遠赤外線セラミックヒータ間を、速度10m/min.で前記三層湿式繊維ウエブを通過させることにより、ポリエステル繊維を溶融させて繊維形態を消滅させた後、無圧下、室温で空冷して、凝集したポリエステル樹脂を凝固させて、ポリエステル樹脂が厚さ方向にも均一に分散した前駆湿式不織布を製造した。なお、いずれの遠赤外線セラミックヒーターとも50mm離間させた状態で前記三層湿式繊維ウエブを通過させた。また、移動する三層湿式繊維ウエブに対して、温度220℃の熱風を吹き付けた。
その後、前記前駆湿式不織布を、温度255℃に加熱した熱風式乾燥機により0.5時間熱処理を実施して、湿式不織布(目付:20g/m、厚さ:55μm、見掛密度:0.36g/cm)を製造した。この湿式不織布のDSC曲線を描き(図1参照)、そのDSC曲線における融解ピーク温度、つまりポリエステル樹脂の融点を測定したところ、254.91℃と270.94℃の2ヶ所に融解ピークが発現していた。また、湿式不織布の長手方向における単位目付あたりの引張り強さは0.87N/15mm幅であった。
(実施例2)
実施例1と全く同様にして、三層湿式繊維ウエブ(前駆湿式不織布に相当)を形成した後、この三層湿式繊維ウエブを、温度255℃に加熱した熱風式乾燥機により0.5時間熱処理を実施して、湿式不織布(目付:20g/m、厚さ:55μm、見掛密度:0.36g/cm)を製造した。この湿式不織布のDSC曲線を描き(図2参照)、そのDSC曲線における融解ピーク温度、つまりポリエステル樹脂の融点を測定したところ、255.85℃と269.49℃の2ヶ所に融解ピークが発現していた。また、湿式不織布の長手方向における単位目付あたりの引張り強さは0.73N/15mm幅であった。
(実施例3)
フィブリル化を促進させた異方性ポリマー繊維(パラ系全芳香族ポリアミド、濾水度(CSF):90ml)とポリエステル繊維とを55:45の質量比率で分散させたスラリーを使用したこと以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂が厚さ方向にも均一に分散した前駆湿式不織布を製造した。
その後、前記前駆湿式不織布を、温度255℃に加熱した熱風式乾燥機により1時間熱処理を実施して、湿式不織布(目付:20g/m、厚さ:55μm、見掛密度:0.36g/cm)を製造した。この湿式不織布のDSC曲線を描き(図3参照)、そのDSC曲線における融解ピーク温度、つまりポリエステル樹脂の融点を測定したところ、249.90℃と267.07℃の2ヶ所に融解ピークが発現していた。また、湿式不織布の長手方向における単位目付あたりの引張り強さは0.74N/15mm幅であった。
(実施例4)
実施例1と全く同様にして作製した前駆湿式不織布を、温度255℃に加熱した熱風式乾燥機により2時間熱処理を実施して、湿式不織布(目付:20g/m、厚さ:55μm、見掛密度:0.36g/cm)を製造した。この湿式不織布のDSC曲線を描き(図4参照)、そのDSC曲線における融解ピーク温度、つまりポリエステル樹脂の融点を測定したところ、248.28℃と271.88℃の2ヶ所に融解ピークが発現していた。また、湿式不織布の長手方向における単位目付あたりの引張り強さは0.79N/15mm幅であった。
(実施例5)
実施例1と全く同様にして作製した前駆湿式不織布を、温度264℃に加熱した熱風式乾燥機により1分間熱処理を実施して、湿式不織布(目付:20g/m、厚さ:55μm、見掛密度:0.36g/cm)を製造した。この湿式不織布のDSC曲線を描き(図5参照)、そのDSC曲線における融解ピーク温度、つまりポリエステル樹脂の融点を測定したところ、256.08℃と268.01℃の2ヶ所に融解ピークが発現していた。また、湿式不織布の長手方向における単位目付あたりの引張り強さは0.75N/15mm幅であった。
(比較例1)
実施例1における前駆湿式不織布を湿式不織布(目付:20g/m、厚さ:55μm、見掛密度:0.36g/cm)とした。この湿式不織布のDSC曲線を描き(図6参照)、そのDSC曲線における融解ピーク温度、つまりポリエステル樹脂の融点を測定したところ、257.84℃であった。また、湿式不織布の長手方向における単位目付あたりの引張り強さは0.55N/15mm幅であった。
(比較例2)
実施例1と全く同様にして、作製した前駆湿式不織布を、温度266℃に加熱した熱風式乾燥機により1分熱処理を実施して、湿式不織布(目付:20g/m、厚さ:55μm、見掛密度:0.36g/cm)を製造した。この湿式不織布のDSC曲線を描き(図7参照)、そのDSC曲線における融解ピーク温度、つまりポリエステル樹脂の融点を測定したところ、254.33℃であった。また、湿式不織布の長手方向における単位目付あたりの引張り強さは0.56N/15mm幅であった。
(比較例3)
実施例1と全く同様にして、作製した前駆湿式不織布を、温度255℃に加熱した熱風式乾燥機により24時間熱処理を実施して、湿式不織布(目付:20g/m、厚さ:55μm、見掛密度:0.36g/cm)を製造した。この湿式不織布のDSC曲線を描き(図8参照)、そのDSC曲線における融解ピーク温度、つまりポリエステル樹脂の融点を測定したところ、281.92℃であった。また、湿式不織布の長手方向における単位目付あたりの引張り強さは0.66N/15mm幅であった。
(比較例4)
実施例1と全く同様にして、作製した前駆湿式不織布を、温度255℃に加熱した熱風式乾燥機により3時間熱処理を実施して、湿式不織布(目付:20g/m、厚さ:55μm、見掛密度:0.36g/cm)を製造した。この湿式不織布のDSC曲線を描き(図9参照)、そのDSC曲線における融解ピーク温度、つまりポリエステル樹脂の融点を測定したところ、270.30℃であった。また、湿式不織布の長手方向における単位目付あたりの引張り強さは0.60N/15mm幅であった。
実施例1におけるポリエステル樹脂のDSC曲線 実施例2におけるポリエステル樹脂のDSC曲線 実施例3におけるポリエステル樹脂のDSC曲線 実施例4におけるポリエステル樹脂のDSC曲線 実施例5におけるポリエステル樹脂のDSC曲線 比較例1におけるポリエステル樹脂のDSC曲線 比較例2におけるポリエステル樹脂のDSC曲線 比較例3におけるポリエステル樹脂のDSC曲線 比較例4におけるポリエステル樹脂のDSC曲線

Claims (4)

  1. 異方性ポリマー繊維と結晶性樹脂とを含む繊維シートであり、前記結晶性樹脂を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に、融解ピークが2ヶ所以上描かれることを特徴とする繊維シート。
  2. 少なくとも1つの融解ピークが、結晶性樹脂が本来有する溶融点よりも高い温度に描かれ、少なくとも1つの融解ピークが、結晶性樹脂が本来有する溶融点よりも低い温度に描かれることを特徴とする、請求項1記載の繊維シート。
  3. 異方性ポリマー繊維が全芳香族ポリアミド繊維からなり、結晶性樹脂がポリエステル樹脂からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の繊維シート。
  4. 電気二重層キャパシタ用セパレータとして用いることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の繊維シート。
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