本発明の実施の一形態のキャリアは、磁性体から成るコア粒子に、このコア粒子を被覆する樹脂皮膜が形成されて構成される。コア粒子は、たとえばフェライトなどの強磁性体から成る。樹脂皮膜は、たとえばカーボンなどの導電性を有する粒子を分散させたシリコーン樹脂から成る。
キャリアの体積平均粒径は、35μm以上かつ40μm以下に選ばれる。キャリアの抵抗値をR(Ω)とし、緩和時間をτ(ms)としたとき、Rおよびτは、以下の式(1)および(2)を満足するように選ばれる。
5×109≦R≦1×1014 …(1)
0.57Ln(R)−7.91≦τ≦1.3Ln(R)−16.1 …(2)
このようなキャリアは、導電性トナーと混合して2成分現像剤を形成し、電子写真方式の画像形成装置において用いられる。
前記2成分現像剤に用いられる導電性トナーは、たとえばポリエステル樹脂をベースとして、カーボンブラックを7wt%含み、ワックスを8wt%含み、帯電制御剤からなる粉砕粒子にシリカを外添して形成される。導電性トナーの体積平均粒径は、たとえば5.6μmに選ばれる。この導電性トナーと前記キャリアとを混合し、キャリアに応じてトナー濃度T/Dを4.5%〜5.6%に調整して2成分現像剤が作成される。
図1は、本発明の実施の一形態の現像装置である現像部13を備える画像形成装置1を模式的に示す図である。画像形成装置1は、電子写真方式で画像を形成する。画像形成装置1は、フルカラー画像形成装置であり、外部に接続されたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置からの印刷ジョブに基づいてフルカラー画像またはモノクロ画像を記録紙上に形成するものである。現像部13は、前述したキャリアと、導電性トナーとを含んで構成される2成分現像剤を用いて、像担持体に導電性トナーを供給する。
画像形成装置1は、色分解された画像情報に応じた光で露光されることによって静電潜像が形成される像担持体である感光体ドラム11、感光体ドラム11を帯電する帯電器12、および感光体ドラム11の外周部上に形成される静電潜像にトナーを供給して現像する現像部13を含む複数の画像形成ユニット14と、中間転写体15および転写ローラ16を備え、感光体ドラム11に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写部17と、画像形成ユニット14と転写部17とを含んで構成される印字処理部18と、感光体ドラム11に静電潜像を形成する静電潜像形成部19と、感光体クリーニング部21と、転写体クリーニング部22と、現像剤回収装置23と、記録紙を供給する給紙部24と、記録媒体に形成されたトナー像を定着させる定着部25と、排紙部26と、装置本体内で記録紙を搬送する搬送機構とを含んで構成される。
感光体ドラム11は、導電性を有し、かつ円筒状の基材の外周部に感光層が形成されて成る。感光層は、予め定める厚さに形成される。前記基材は、たとえばアルミニウム素管から成る。感光層としては、酸化亜鉛、セレンおよびアモルファスシリコンなどから成る感光層、ならびに有機感光層などが挙げられる。有機感光層には、電荷発生層と電荷輸送層とを積層した積層型有機感光層、電荷発生物質と電荷輸送物質とを1つの層に含む単層型有機感光層などがある。導電性基体と有機感光層との間に下地層を設けてもよく、また有機感光層の表面に保護層を設けてもよい。
中間転写体15には、複数の画像形成ユニット14の感光体ドラム11上に形成されるトナー像が積層して転写される。転写部17は、中間転写体15に転写されたトナー像を、記録媒体である記録紙に一括転写する。
感光体クリーニング部21は、感光体ドラム11と感光体ドラム11と中間転写体15との接触部分よりも、感光体ドラム11の回転方向下流側に設けられ、感光体ドラム11から中間転写体15に転写されずに感光体ドラム11上に残る残留トナーをクリーニングする。転写体クリーニング部22は、中間転写体15から記録紙に転写されずに中間転写体15上に残る残留トナーをクリーニングする。現像剤回収装置23は、感光体クリーニング部21および転写体クリーニング部22によってクリーニングされたトナー(廃トナー)を回収する。定着部25は、トナー像が転写された記録紙を加熱および加圧して、記録紙上に転写されたトナー像を定着する。排紙部26には、トナー像が定着された記録紙が排出される。
前記画像形成ユニット14は、ブラック(k)、イエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)の4つの色相に対応して設けられる。4つの画像形成ユニット14は、用いられるトナーの色相が異なるのみであり、その構成が同様であるので、ブラック(k)の画像形成ユニット14kで代表して構成を説明し、他の色相の画像形成ユニット14y,14m,14cについては説明を省略する。なお、本明細書では、各色毎に設けられる画像形成ユニット14、感光体クリーニング部21等の構成について、個々については参照符号の後に色を表すアルファベットを付与し、総称する場合には参照符号のみで表す。
図2は、画像形成ユニット14kの部分の拡大図である。
画像形成ユニット14kは、ドラム形状を有してその表面に静電潜像が形成される感光体ドラム11kと、矢符A方向に回転駆動される感光体ドラム11kの外周に沿って、回転方向上流側から下流側に向って配置される帯電器12k、光を感光体ドラム11kに照射する露光部30k、現像部13k、およびクリーニング手段である感光体クリーニング部21kを含んで構成される。
帯電器12kは、感光体ドラム11kの表面を一様に帯電させるものであり、本実施の形態ではローラ型帯電器が用いられ、感光体ドラム11kの外周面に接触するように配置される。なお、帯電器は、ローラ型帯電器に限定されるものではなく、たとえばブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器などが用いられてもよい。
露光部30kは、一様に帯電された感光体ドラム11kの表面を、黒色の色相の画像情報に応じた光で露光し、黒色の静電潜像を形成する。露光部30kは、他の色相に係る露光部30とともに、露光ユニット32の一部を成す。露光ユニット32は、静電潜像形成部19である。
露光ユニット32は、画像形成に用いる画像情報に基づいて各色相毎に、各感光体ドラム11上にレーザ光を照射して静電潜像を生成させる。露光ユニット32は、レーザ照射部133を備えるレーザスキャニングユニット(略称LSU)33と、ポリゴンミラー34、各色相毎にレーザ光を反射する第1反射ミラー35、シアン、マゼンタおよびイエロの色相毎に第1反射ミラー35で反射するレーザ光を反射する第2反射ミラー36とを含んで構成される。各感光体ドラム11に対応して設けられる第1反射ミラー35、あるいは第1および第2反射ミラー35,36が、各感光体ドラム11に対応する露光部30である。レーザ照射部133から出射されたレーザ光は、ポリゴンミラー34によって色分解された後、第1反射ミラー35または第1および第2反射ミラー35,36で反射して、各色相毎にそれぞれの感光体ドラム11上に照射される。前記露光ユニット32は、感光体ドラム11に対向させてEL(Electro Luminescence)、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子をアレイ状に並べた書込ヘッドを用いる構成であってもよい。
現像部13kは、感光体ドラム11kの表面に形成された静電潜像に黒色の現像剤である導電性トナーを供給して顕像化する。現像部13kは、現像部筐体81kと、この現像部筐体から露出して設けられ、感光体ドラム11kの外周面に供給すべき現像剤が接触するように設けられ、感光体ドラム11kの回転方向と逆方向に回転駆動される現像ローラ82kと、現像部筐体81k内に設けられ、前述したキャリアと導電性トナーとを混ぜ合わせた2成分現像剤を攪拌および搬送する搬送ローラ83kとを含んで構成される。現像部13には、予め定めるバイアス電圧が印加される。現像部13kには、トナーボトル84kに収容されている導電性トナーが供給される。現像ローラ82kは、導電性を有する金属材料から成り、たとえばステンレス鋼から成る。
現像部13kには、感光体ドラム11kの周速度が、490mm/s以上1300mm/sとなるように回転駆動する不図示の回転駆動部が設けられる。感光体ドラム11kの周速度は、画像形成装置1で記録紙に画像が形成される速度、すなわちプロセス速度に等しい。
感光体クリーニング部21kは、感光体ドラム11kの矢符Aで示す回転方向に関して帯電器12kよりも上流側で、かつ感光体ドラム11kと後述する転写ベルト45との接触部よりも、下流側に配置される。感光体クリーニング部21kは、クリーニングブレード41kと、感光体廃現像剤搬送部42kとを含む。クリーニングブレード41kは、感光体ドラム11kの外周面に当接配置され、中間転写体15に転写されずに残留する現像剤を感光体ドラム11kの表面から掻取る。感光体廃現像剤搬送部42kは、クリーニングブレード41kが掻取った現像剤を、図1および図2の紙面に垂直な方向の一方に形成される現像剤回収装置23の廃現像剤回収口まで搬送する。
感光体ドラム11上に供給されるのは、基本的に現像剤のうちトナーであることから、感光体ドラム11へ移行後の現像剤については、現像剤とトナーとを同じ意味に用いる場合がある。
このように構成される画像形成ユニット14は、本実施形態では、転写部17に含まれる後述する転写ローラ16から最も近い位置に黒色用の画像形成ユニット14kが配置され、転写ローラ16から離間する方向にシアン用の画像形成ユニット14c、マゼンタ用の画像形成ユニット14m、イエロー用の画像形成ユニット14y、の順に並設される。
中間転写体15は、画像形成ユニット14の上方であって、各感光体ドラム11に接するようにして配置される。中間転写体15は、転写ベルト45と、転写ベルト駆動ローラ46と、転写ベルト従動ローラ47と、転写ベルトテンション機構48と、中間転写ローラ49とを含んで構成される。前記中間転写ローラ49は、各色相の画像形成ユニット14に対応して4つ(49k,49y,49m,49c)が設けられる。中間転写体15は、感光体ドラム11に形成された各色のトナー像を転写ベルト45に順次重ねて転写することによって、転写ベルト45上にフルカラーのトナー像を形成する。
転写ベルト45は、厚さが75μm〜120μm程度のフィルムを用いて無端環状に形成される。転写ベルト45の材質は、たとえばポリイミド、ポリカーボネートなどが好適に用いられる。また、転写ベルト45は、その外表面が感光体ドラム11の外周面と接触するように、転写ベルト駆動ローラ46と転写ベルト従動ローラ47とに張架され、転写ベルトテンション機構48によって張力を付与されながら、転写ベルト駆動ローラ46の回転駆動力によって副走査方向(図1中の矢符B方向)へ回転駆動するように構成される。
転写ベルト駆動ローラ46は、画像形成装置1の筐体50の内部であって一方の端部寄りに配置され、張架される転写ベルト45を矢符B方向に回転駆動させるとともに、転写ベルト45と記録紙とを重ね合わせた状態で、転写部17の転写ローラ16とで挟み込んで圧接しながら記録紙を搬送することができるように設けられる。
転写ベルト従動ローラ47は、筐体50の内部であって他方の端部寄りに配置され、転写ベルト駆動ローラ46とともに、転写ベルト45が張架される。転写ベルト駆動ローラ46および転写ベルト従動ローラ47には、たとえば、直径30mmで、肉厚1mmのアルミニウム製ロール状部材が用いられる。
各中間転写ローラ49は、転写ベルト45の内周面に接し、感光体ドラム11との間に転写ベルト45を挟持するように設けられる。中間転写ローラ49は、直径が8mm〜10mmの金属製の軸を備え、その金属軸の外周面に導電性を有する弾性材が被覆するようにして形成される。前記金属製の軸は、たとえば、ステンレス鋼によって形成される。前記弾性材は、たとえばエチレン−プロピレンゴム(EPDM)、発泡ウレタン等によって形成される。
このように構成される中間転写ローラ49は、感光体ドラム11に形成されたトナー像を、中間転写体15の転写ベルト45に転写するために高電圧の転写バイアス、すなわちトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧が印加され、弾性材によって転写ベルト45に対して均一に高電圧を印加するように構成される。各感光体ドラム11上で各色相に応じて顕像化されトナー像は、中間転写ローラ49によって転写ベルト45上に順次転写されて積層され、形成されるべき所望の画像となる。
転写ローラ16は、転写ベルト駆動ローラ46に対して略水平で平行に対向し、転写ベルト駆動ローラ46に巻回される転写ベルト45に対して所定のニップを有して圧接するように配設される。転写ローラ16は、転写ベルト45上に形成されたフルカラーのトナー像を記録紙上に転写させるための電圧、すなわちトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧が印加されるように構成される。また、転写ベルト45と転写ローラ16との間のニップを定常的に得るために、転写ベルト駆動ローラ46または転写ローラ16のいずれか一方を、金属等の硬質材料で構成し、他方を弾性ゴム、発泡性樹脂等の軟質材料で構成することが好ましい。
本実施の形態では、転写ローラ16には、芯金と、芯金の表面に形成される弾性層とを含むロール状部材が用いられ、芯金の表面に、硬度50度(JIS−A)のシリコーンゴムからなる厚さ3mmの弾性層と、PFAからなる厚さ20μmの表層とを順次積層した外径30mmのロール状部材が用いられる。また本実施の形態では、転写ローラ16は、転写ベルト駆動ローラ46に8N/cmの圧力で圧接するように配置され、電圧は印加されない。
転写ベルト駆動ローラ46と転写ローラ16との下方にはレジストローラ51が設けられ、レジストローラ51が、給紙部24から供給される記録紙の先端と転写ベルト45上のトナー像の先端とを同期させて転写ローラ16へ搬送する。転写ベルト45上に形成されたトナー像は、転写ローラ16に印加される高電圧によって、転写ベルト45と転写ローラ16とのニップを通過する記録紙に転写される。
また中間転写体15の他方の側、すなわち転写ベルト従動ローラ47が配置される側に、転写体クリーニング部22である転写ベルトクリーニングユニット(以後、転写BCU22という)が設けられる。転写BCU22は、転写ベルト45に当接して設けられる転写体クリーニングブレード52と、転写体クリーニングブレード52が転写ベルト45から掻取った(廃)トナーを収納するボックス状のトナー収納部53とを含む。転写BCU22は、転写ベルト45の回転方向(矢符B方向)に関して画像形成ユニット14よりも上流側であり、かつ転写ローラ16よりも下流側に配置され、また、転写体クリーニングブレード52が転写ベルト45の外表面に接触する部分は、その転写ベルト45の内側面が転写ベルト従動ローラ47によって支持される。
前述のように、感光体ドラム11との接触により転写ベルト45に付着したトナーのうち、記録紙上に転写しきれずに残留したトナーは、次工程におけるトナーの混色の発生を防止するために、転写BCU22によって除去・回収される。
各色に応じて設けられる感光体ドラム11k,11y,11m,11cは、感光体軸体55k,55y,55m,55cが、それぞれ位置決めフレームに形成される軸支持穴にそれぞれ挿入されて回転自在に支持される。位置決めフレームは、筐体50に対して位置決めされて装着されているので、位置決めフレームの予め定める位置に形成される軸支持穴に、感光体軸体55k,55y,55m,55cが挿入されることによって、各感光体ドラム11k,11y,11m,11cは位置決めされる。
現像剤回収装置23は、それぞれ筒状のトナー搬送ケース56と、トナー搬送ケース56内で回転自在に設けられ回転軸外周にらせん状の突起が連続して形成される搬送スクリュ部材57とを含んで構成される。搬送スクリュ部材57は不図示の駆動源によって回転駆動されて回転することによって、クリーニングブレード41で感光体ドラム11表面から掻取られ、トナー搬送ケース56内に収納された廃トナーが、廃現像剤回収口まで搬送される。廃現像剤回収口まで搬送された廃トナーは、廃現像剤(トナー)通過孔を通過し、廃現像剤(トナー)通路を通って廃現像剤容器内へ回収される。
転写ローラ16においてトナー像が一括転写された記録紙は、定着部25で定着処理される。定着部25は、転写部17の上方に設けられる。定着部25は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62とにより構成される一対の定着ローラと、定着ローラの上方に配置される搬送ローラ63を備える。トナー像が転写された記録紙は、定着ローラの下方から上方に向けて搬送される。定着部25におけるトナー像の記録紙に対する定着は、加熱ローラ61の内部もしくは加熱ローラ61に近接して設けられるハロゲンランプ等の不図示の加熱手段を温度検出器の検出値に基づいて制御することによって所定の定着温度に保つとともに、トナー像が転写された記録紙を加熱ローラ61と加圧ローラ62とで挟み、回転搬送しながら加熱・加圧することによって行われる。
加熱ローラ61は、その内部に加熱手段が設けられる。加熱ローラ61は、たとえば、芯金と、芯金の表面に形成される導電性弾性層と、導電性弾性層の表面に形成され、フッ素樹脂などのトナー離型性に優れる材料を含有する表面層とを含む。本実施の形態では、加熱ローラ61は、炭素鋼から成る厚さが1mmの芯金と、該芯金の外周面に形成される体積抵抗が10−8Ω・cm〜10−9Ω・cmで、厚さが3mmのシリコーンゴム層と、該シリコーンゴム層の外周面に形成される厚さが20μmのPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)層とを含み、外径が30mmとなる。本実施の形態では、加熱手段によって加熱ローラの表面温度が170℃に保持されるように制御される。この制御は、温度検出器による検知結果に応じて実行される。
加圧ローラ62は、径12mmの芯金表面にヤング率2MPaのエチレンプロピレンゴムから成る弾性層を設け形成され、直径が20mmに選ばれる。また、加圧ローラ62の加熱ローラ61への接触時の押圧力は、好ましくは線圧で0.05N/cm〜1.0N/cmに選ばれる。
定着部25の上方には排紙ローラ64が設けられ、搬送ローラ63で搬送された記録紙を、排紙ローラ64によって排紙部26である排紙トレイ上に排出する。
また、定着部25に隣接して、両面印刷用の両面原稿搬送路S3が設けられる。両面原稿搬送路S3は、定着部25の後方から下方に向かい給紙部24付近まで形成される。両面原稿搬送路S3は、搬送路上に並設される各一対の第1および第2搬送ローラ65,66によって、記録紙を反転させた状態で、再び転写ローラ16に向かって搬送するように構成される。より詳細には、第1搬送ローラ65は定着部25の後方に配置され、第2搬送ローラ66は第1搬送ローラ65の下方に位置するとともに、レジストローラ51と略同水平位置に配置される。
次に、転写部17に記録紙を供給する給紙部24について説明する。給紙部24は、画像形成ユニット14の下方に設けられる。給紙部24は、画像形成に使用する記録紙を収容する手差トレイ67および給紙カセット68を備え、手差トレイ67または給紙カセット68から記録紙を一枚ずつ転写部17に供給する。
手差トレイ67は、画像形成装置1の筐体50の一側部に、使用時には外方に拡開され、未使用時には一側部に折り畳んで収納可能に設けられ、操作者が所望する種類の記録紙を少数枚(必要とする枚数)だけ載置して画像形成装置1の筐体50内部に1枚ずつ取込むものである。手差トレイ67による記録紙の給紙方向(図1中の矢符C方向)下流側であって、露光ユニット32の下方にピックアップローラ68が設けられ、給紙(C)方向のさらに下流側には第3〜第5搬送ローラ71,72,73が設けられる。
ピックアップローラ68は、手差トレイ67から給紙される記録紙の一端部の表面と接触し、ローラの摩擦抵抗によって一枚ずつ確実に搬送する。給紙方向の最下流側の第5搬送ローラ73は、第3および第4搬送ローラ71,72よりも上方に設けられ、このことによって記録紙を上方に向かって搬送することができるように構成される。ピックアップローラ68および第3〜第5搬送ローラ71,72,73によって記録紙搬送路S1が構成される。
給紙カセット68は、筐体50内の画像形成ユニット14および露光ユニット32の下方に設けられ、装置の仕様により規定されるサイズまたは操作者が予め定めるサイズの記録紙を大量に収容することができる。給紙カセット68一端部の上方には、もう一つのピックアップローラ74が設けられ、もう一つのピックアップローラ74の記録紙搬送方向(図1中の矢符D方向)下流側であって、もう一つのピックアップローラ74の斜め上方には第6搬送ローラ75が設けられる。もう一つのピックアップローラ74は、給紙カセット68にセットされた記録紙の最上部にある記録紙の一端部の表面と接触して、ローラの摩擦抵抗で一枚ずつ確実に繰出して搬送する。第6搬送ローラ75は、もう一つのピックアップローラ74から繰り出された記録紙を、筐体50内の一端部側に形成された記録紙搬送路S2に沿って上方に向かって転写部17へ搬送する。
以下、画像形成装置1による画像形成動作について簡単に説明する。まず、帯電器12によって感光体ドラム11の外周面が所定の電位に均一に帯電される。帯電された感光体ドラム11に露光ユニット32から画像情報に応じたレーザ光を照射することによって、各感光体ドラム11に各色毎の静電潜像が生成される。次に、現像部13から感光体ドラム11の外周面に現像剤のトナーが供給され、感光体ドラム11の外周面に形成された静電潜像がトナーによって顕像化されトナー像が形成される。
感光体ドラム11に形成される各色毎のトナー像は、中間転写体15の転写ベルト45上に中間転写ローラ49によって順次積層転写され、フルカラーのトナー像となる。転写ベルト45上に転写されたフルカラーのトナー像は、転写ベルト45が移動し、転写ローラ16まで達したとき、給紙部24の給紙カセット68または手差トレイ67から供給される記録紙に対して転写ローラ16で転写バイアスが印加されることによって、記録紙上に一括転写される。
トナー像が転写された記録紙は、定着部25へ搬送され、定着部25においてトナー像が記録紙に熱定着される。トナー像が定着された記録紙は、片面印刷要求の場合、排紙ローラ64によって排紙部26上にフェイスダウンで排出される。
一方、両面印刷要求の場合、排紙ローラ64によって記録紙をチャックした後、排紙ローラ64を逆回転させて記録紙を両面原稿搬送路S3へ導き、第1および第2搬送ローラ65,66によって再度レジストローラ51へ搬送する。このとき、記録紙は、転写される面が反転するとともに搬送される前後方向が変わる。すなわち、最初の転写時にスタート側となる端部が裏面転写時にはエンド側となり、最初の転写時にエンド側となる端部が裏面転写時にはスタート側となる。この記録紙の裏面にトナー像を転写し、熱定着させた後、排紙ローラ64によって排紙部26上に排出される。以上のようにして、一連の記録紙への画像形成動作が行われる。
画像形成装置1によれば、体積平均粒径が35μm以上かつ40μm以下であり、抵抗値をR(Ω)とし、緩和時間をτ(ms)としたとき、Rが、5×109≦R≦1×1014を満足し、τが、0.57Ln(R)−7.91≦τ≦1.3Ln(R)−16.1を満足するキャリアを用いて2成分現像剤を作成して、静電潜像が形成された感光体ドラム11にトナーを供給することによって、高速印刷プロセスにおいても、感光体ドラム11へのキャリアの付着を防止することができ、画像形成において良好な画質を得ることができる。
またフェライトから成るコア粒子と、このコア粒子を被覆する樹脂皮膜とを含んでキャリアが形成されるので、コア粒子の大きさおよび材質ならびに樹脂皮膜の厚みおよび材質を選択することによって、抵抗値と緩和時間とを、前述した条件に適合させることができる。
また本発明によれば、プロセス速度が490mm/s以上となるような高速印刷プロセスにおいても、前述したキャリアを用いた2成分現像剤を用いれば、感光体ドラム11へのキャリアの付着を防止することができ、画像形成において良好な画質を得ることができる。
特に600dpi(ドットパーインチ)〜1200dpiの高画質の画像を印刷する画像形成装置では、用いられる導電性トナーの粒径に微小になり、このような微小な導電性トナーを供給する媒体として、前述したキャリアを用いることによって、画像形成において良好な画質を得ることができる。
図3は、本発明の他の実施の形態の画像形成装置100の画像形成ユニット14kの部分の拡大図である。本実施の形態の画像形成装置100は、前述した実施の形態の画像形成装置1と同様の構成を備え、画像形成装置1の構成に付加して、キャリア回収部31を備える構成であるので、同様の構成についてはその説明を省略する。また本実施の形態においても、ブラック(k)の画像形成ユニット14kで代表して構成を説明し、他の色相の画像形成ユニット14y,14m,14cについては説明を省略する。なお、本明細書では、各色毎に設けられる画像形成ユニット14、感光体クリーニング部21等の構成について、個々については参照符号の後に色を表すアルファベットを付与し、総称する場合には参照符号のみで表す。
キャリア回収部31kは、感光体ドラム11kと現像ローラ82kとが最近接する部分よりも現像ローラ82kの回転方向下流側で、現像ローラ82kの下方に配置される。キャリア回収部31kは、現像部13に設けられ、感光体ドラム11kに外表面から予め定める間隔をあけて設けられ、感光体ドラム11kの回転方向と同じ方向に回転駆動されるキャリア回収ローラ86kと、キャリア回収ローラ86kの外周面に先端が当接し、キャリア回収ローラ86に付着したキャリアを剥離する除去部材87kとを含んで構成される。除去部材87kは、弾発性を有し、キャリア回収ローラ86kを押圧して接触する。
キャリア回収ローラ86kは、絶縁性を有し、樹脂材料から成る円筒部材88kと、円筒部材88kの内周部に設けられる磁石89kとを有する。磁石89kは、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。除去部材87kは、円筒部材88kの外周面を押圧して接触し、キャリア回収ローラ86kの外周面に付着したキャリアは、除去部材87kに接触してキャリア回収ローラ86kとともに移動することが防がれ、キャリア回収ローラ86kから掻取られて剥離する。
感光体ドラム11kに付着したキャリアは、内部に磁石89kを備えるキャリア回収ローラ86kの外周面に吸着されるので、現像ローラ82kから感光体ドラム11kにキャリアが移動して付着したとしても、キャリア回収ローラ86kによって感光体ドラム11に付着したキャリアを回収することができる。したがって、感光体ドラム11kにキャリアが付着したままで、画像形成が行われることをより確実に防止することができ、さらに良好な画像を得ることができるようになる。
キャリア回収ローラ86kから剥離されたキャリアは、現像部筐体81kに収容され、キャリア回収ローラ86kによって回収したキャリアを再利用することができるようになるので、ランニングコストの低減を図ることができる。
(実施例)
以下のように、キャリアを製造した。
樹脂皮膜を形成するためのコート樹脂としては、コア材の重量に対してシリコーン樹脂(信越化学工業社製、商品名:KR−255)を2重量%、1次粒径が60nmで、ルチル型結晶の含有率が全結晶に対して10%である酸化チタン微粒子をコア材の重量に対して10重量%、カーボンブラック(ライオン社製、商品名:ケッチェンブラックEC)をコア材の重量に対して5.0重量%となるように加え、それらをトルエンに分散させ、流動床型コーティング装置を用いて浸漬法によって得られる分散液を用意した。
フェライトから成るコア材に、前記分散液を塗布し、250℃で2時間加熱して、塗布したコート樹脂を硬化させることによって、体積平均粒径が31μm〜49μmであるキャリアを作成した。
導電性トナーは、ポリエステル樹脂をベースとして、カーボンブラックを7wt%含み、ワックスを8wt%含み、帯電制御剤からなる粉砕粒子にシリカを外添して形成した。トナーの体積平均粒径は、5.6μmである。
前記トナーとキャリアとを混合し、トナーとキャリアとの合計重量であるデベロッパー重量Dに対するトナーの重量Tの割合(T/D)、すなわちトナー濃度を4.5%〜5.6%に調整した2成分現像剤を調製した。
調整した2成分現像剤を用いて、前述した画像形成装置1を用いて画像形成を行った。感光体ドラム11の感光層の厚みは27μmとし、感光体ドラムの直径は80mmとし、現像ローラ82の直径は40mmとした。感光層は、チタニルフタロシアニン化合物によって形成した。
表1は、キャリアおよび画像形成プロセスにおける条件と、画質および感光層へのキャリアの付着の発生を評価した結果を示す。本実施例では、画像形成プロセスの条件として分別される4つの条件A〜Dに対して、それぞれ体積平均粒径が、31μm,32μm,34μm,42μm,49μmのキャリアを用いて、感光層の外表面におけるキャリアの付着を観察した結果、および印刷画質を評価した結果を示す。なお条件Aは、比較例である。本実施例では、プロセス速度Vpは590mm/sとした。
表1における周速比(S/D)は、周速比 S/D = 現像ローラの周速度/感光体の周速度で算出される。現像ギャップ(DSD)は、感光体ドラム11の外周面と、現像ローラ82の外周面とが最近接する距離を表す。
キャリアの抵抗値は、東亜DKK社製SM−8220抵抗計によって測定した。測定は、ギャップ2mmの対面電極型セルにキャリアを両側から磁石で支持してブリッジ状態でセットし、両端の電極に電圧を印加して行った。このときの電流値より、抵抗値が算出した。なお、印加電圧は、500vとした。
緩和時間τは、感光体ドラム11を装着し、現像部13の現像槽にキャリアのみを投入して所定速度で駆動し、現像バイアスにF=50Hz、100Vppの交流を印加し、感光体ドラム11を10kΩの接地抵抗を介して接地し、交流電源と接地抵抗の電圧降下との位相差θ(rad)を測定し、以下の式(3)によって算出した。
τ=tanθ/(2πF) …(3)
印刷時は、−600Vのグリッドバイアス、直流−450Vに3kHz、1200Vppの交流電圧を重畳した現像バイアスを用いた。
また評価の方法として、感光層の表面上の100mm2のエリアで、キャリアが10個以上観察された場合に、キャリアの付着が発生と判定した。また画質については、目視によって良否を評価した。
図4は、キャリアの抵抗値と緩和時間との関係を表すグラフである。図4において縦軸は、動的緩和時間(ms)を表し、横軸はキャリアの抵抗値(Ω)を表す。図4において、比較例である条件Aについては、黒丸(●)で表し、条件Bについては、白抜き三角(△)で表し、条件Cについては、十字(+)で表し、条件Dについては、白抜き菱形(◇)で表す。
実施例からも、式(1)および式(2)を満足するようなキャリアを用いることによって、高速プロセスにおいても、感光体ドラム11への付着を防止することができ、画像形成において良好な画質を得ることができることがわかる。
(比較例)
比較例の実験条件である条件Aでは、階調性が悪く、高精彩な画質を得ることができない。また、キャリア抵抗が5×109Ω以上の高い範囲では欠けが顕著になり、それ未満の低いところでは、キャリア付着による画質劣化が顕著になる。
上記以外の比較例として、実施例で作製したキャリアからカーボンブラックを除いて、コートの樹脂量を倍増させたキャリアを同様に作製した。このキャリアは、抵抗値が1014Ω、動的緩和時間τの値がτ>1.3Ln(R)−16.1であった。このキャリアを用いて、その他の実験条件を前述した条件Aとして画像を形成すると、感光層への付着に対する耐性はあったが、欠けによる画質劣化が発生した。
表2は、比較例におけるプロセス速度Vpと、キャリアの付着の有無を表す。
従来の技術のキャリアを用いると、表1に示す結果のように、プロセス速度が490mm/sよりも高くなると、キャリアの付着が発生することがわかる。これに対して、実施例で示したキャリアを用いる場合では、プロセス速度が590mm/sであっても、キャリアの付着が発生せず、良好な画像を形成することができる。